(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ベビーカー用シート及び電動ファン付ベビーカー用シート
(51)【国際特許分類】
B62B 9/10 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
B62B9/10 A
(21)【出願番号】P 2019116300
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】青木 大祐
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊勢井 学
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 和
(72)【発明者】
【氏名】住吉 右次
(72)【発明者】
【氏名】河田 明菜
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 大征
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0002168(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108784141(CN,A)
【文献】中国実用新案第206968461(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-1821146(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0066447(KR,A)
【文献】中国実用新案第202046219(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0061331(US,A1)
【文献】登録実用新案第3121208(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1851522(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 9/10
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーに装着されるベビーカー用シートであって、
ベビーカーの背もたれから座部にかけて延在し、内部に空気が流通する空間を有する本体部と、
前記本体部の両側部のうち、少なくとも一方から突出し、内部に前記本体部の空間と連通する空間を有する延出部と、
前記延出部に設けられ、電動ファンを装着可能なファン装着部と、
前記本体部は、人体と接する側の面に内側の空気を外側に排出する空気排出部を備え、
前記延出部は、ベビーカーに装着時、ベビーカーの肘掛けに垂下可能な位置に設けられ、
前記ファン装着部に装着された電動ファンにより導入された空気が前記延出部を介して前記本体部に流入するベビーカー用シート。
【請求項2】
前記延出部は、前記本体部の両側部から左右方向に突出した一対の延出部であり、
前記一対の延出部の一方に前記ファン装着部が設けられ、
前記一対の延出部の他方に設けられ、前記電動ファンを駆動させる電源が収納される電源収納部を備える請求項1記載のベビーカー用シート。
【請求項3】
前記ファン装着部は、取付孔を有し、
前記取付孔を覆うように前記電動ファンが取り付けられる請求項1
又は2に記載のベビーカー用シート。
【請求項4】
前記本体部は、内部に空間を確保するためにスペーサーを備える請求項1から
3のいずれか一項に記載のベビーカー用シート。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載のベビーカー用シートと、
前記ファン装着部に装着された電動ファンと、
を備える電動ファン付ベビーカー用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーに装着されるベビーカー用シート及び電動ファン付ベビーカー用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベビーカーの背もたれから座部にかけて装着されるベビーカー用シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなベビーカー用シートにおいては、長手方向の下端部に電動ファンが取り付けられ、電動ファンにより取り込まれた空気を内部の空間を通して外部に排出させる電動ファン付ベビーカー用シートも知られている。かかる電動ファン付ベビーカー用シートは、ベビーカー装着時に座部から下方に垂下した位置に電動ファンが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電動ファン付ベビーカー用シートは、電動ファンがベビーカーの座部よりも下方に配置されているため、走行時に地面から巻き上げられた埃を含む汚れた空気が内部に吸い込まれることとなって、衛生的に好ましくない。
また、乳幼児の足が電動ファンに当たると空気の取り込みを妨げてしまい、効率が低下してしまうという問題も生じる。
【0005】
本発明の目的は、より衛生的で且つ効率的に冷却することができるベビーカー用シート及び電動ファン付ベビーカー用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
ベビーカーに装着されるベビーカー用シートであって、
ベビーカーの背もたれから座部にかけて延在し、内部に空気が流通する空間を有する本体部と、
前記本体部の両側部のうち、少なくとも一方から突出し、内部に前記本体部の空間と連通する空間を有する延出部と、
前記延出部に設けられ、電動ファンを装着可能なファン装着部と、
前記本体部は、人体と接する側の面に内側の空気を外側に排出する空気排出部を備え、
前記延出部は、ベビーカーに装着時、ベビーカーの肘掛けに垂下可能な位置に設けられ、
前記ファン装着部に装着された電動ファンにより導入された空気が前記延出部を介して前記本体部に流入することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のベビーカー用シートにおいて、
前記延出部は、前記本体部の両側部から左右方向に突出した一対の延出部であり、
前記一対の延出部の一方に前記ファン装着部が設けられ、
前記一対の延出部の他方に設けられ、前記電動ファンを駆動させる電源が収納される電源収納部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のベビーカー用シートにおいて、
前記ファン装着部は、取付孔を有し、
前記取付孔を覆うように前記電動ファンが取り付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のベビーカー用シートにおいて、
前記本体部は、内部に空間を確保するためにスペーサーを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、電動ファン付ベビーカー用シートにおいて、
請求項1から4のいずれか一項に記載のベビーカー用シートと、
前記ファン装着部に装着された電動ファンと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ベビーカーに装着された際、より衛生的で且つ効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の電動ファン付ベビーカー用シートがベビーカーに装着された状態を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の電動ファン付ベビーカー用シートを示す正面図である。
【
図3】本実施形態の電動ファン付ベビーカー用シートを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るベビーカー用シート及び電動ファン付ベビーカー用シートの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
本実施形態の電動ファン付ベビーカー用シート1000は、例えば、
図1に示すように、ベビーカー1の背もたれ2から座部3にかけて装着される。
(電動ファン付ベビーカー用シート)
電動ファン付ベビーカー用シート1000は、例えば、
図1から3に示すように、ベビーカー用シート100と、ベビーカー用シート100内部に空気を導入する電動ファン200と、電動ファン200に電力を供給する電源300と、電源300と電動ファン200とを電気的に接続する電源ケーブル400と、を備え、電動ファン200によってベビーカー用シート100内に取り込まれた空気を流通させることで、ベビーカー1に座っている乳幼児の身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0016】
(ベビーカー用シート)
ベビーカー用シート100は、ベビーカー1の背もたれ2から座部3にかけて延在し、内部に空気が流通する空間を有する本体部10と、本体部10の両側部10a、10bから突出し、内部に本体部10の空間と連通する空間を有する左右一対の延出部20、30と、を備えている。
【0017】
(本体部)
本体部10は、ベビーカー1に装着された際、人体と接する側である正面側(座面側)に内側の空気を外側に排出する空気排出部15を備えている。
空気排出部15は、正面側の本体部10において、本体部10の幅方向の中央に長手方向に沿って延在しており、例えば、ダブルラッセル等のメッシュ生地からなる通気性素材のみにより形成される。正面側の本体部10の空気排出部15以外の部分には、通気性素材の裏面に非通気性素材が貼り合わせられている。これにより、空気排出部15のみから内側の空気が外側に排出されることとなる。
なお、本体部10の正面側を構成する通気性素材は、通気性を有するものであればどのような素材であってもよい。
また、ベビーカーと接する側である背面側の素材は、特に限定するものではないが、正面側よりも通気性が低いものが好ましく、通気性がないものがより好ましい。
【0018】
本体部10の内部には、
図4に示すように、乳幼児が座っても内部に空気を流通させる空間を確保するためのスペーサー11が配置されている。
本体部10の裏面には、スペーサー11を内部に出し入れするためのファスナー16が設けられている。
また、本体部10は、ベビーカー1に装着時された際、背もたれ2と対向する位置に、ベビーカー1の肩ベルト4を通すための肩ベルト通し穴12と、座部3に対向する位置に、ベビーカー1の股ベルト5を通すための股ベルト通し穴13と、を備えている。
肩ベルト通し穴12は、本体部10の左右方向に対をなして二つ設けられ、さらに、その対が上下方向に沿って複数段設けられている。
股ベルト通し穴13は、本体部10の左右方向の中央であって、上下方向の中央よりも下側に一つ設けられている。
【0019】
(延出部)
一対の延出部20、30は、
図2、
図3に示すように、本体部10の上下方向のほぼ中央の両側部10a、10bから外方に向けて突出しており、内部に本体部10の空間と連通する空間を有する。
一対の延出部20、30は、左右対称で、基端部20a、30aは先端部20b、30bに比べて上下方向の幅が狭くなっている。そして、
図1に示すように、ベビーカー1に装着された状態で、一対の延出部20、30は、ベビーカー1の肘掛け6に垂下された状態とされる。
延出部20は、非通気性の素材から構成されていることが望ましく、少なくとも電動ファン200により外部から取り込んだ空気を本体部10に流入させることができるようになっている。
延出部20の内部には、スペーサー11と同様のスペーサー(図示省略)が二層(二重)に配置されている。これにより、ベビーカー1の肘掛け6に垂下された状態でも空気を流通させる内部空間を確保できる。
延出部20の裏面には、スペーサーを内部に出し入れするためのファスナー22が設けられている。
【0020】
一対の延出部20、30のうち、右側(一方)の延出部20には、電動ファン200を装着可能なファン装着部21が形成されている。
ファン装着部21は、正面側に設けられた円形の取付孔21aと、取付孔21aの周りを補強した補強部21bと、を備えている。そして、取付孔21aを覆うように電動ファン200が補強部21bに固定されるようになっている。
一対の延出部20、30のうち、左側(他方)の延出部30には、電動ファン200を駆動させる電源300が収納されるポケット状の電源収納部31を備える。
【0021】
(電動ファン)
電動ファン200は、
図1及び
図2に示すように、取付孔21aを挿通するようにしてベビーカー用シート100に取り付けられ、取付孔21aを通して、外部からベビーカー用シート100内に空気を導入するためのものである。
電動ファン200には、電源300より、電源ケーブル400を通じて必要な電力が供給される。
【0022】
電動ファン200としては、取付孔21aを覆うようにベビーカー用シート100に取り付けられ、ベビーカー用シート100内部に空気を導入できるものであれば、任意の構成を採用可能である。
【0023】
(電源)
電源300は、電動ファン200に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、電源ケーブル400を通じて電動ファン200と接続される。
また、電源300には、図示しないが電動ファン200のオンオフおよび風速調整のための制御部が内蔵され、リモートコントローラーにより遠隔操作が可能となっている。
なお、電源300は、電動ファン200に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0024】
(電源ケーブル)
電源ケーブル400は、電源300と電動ファン200とを電気的に接続するケーブルであり、電源ケーブル400を通じて、電源300から電動ファン200に対して、電動ファン200の稼働に必要な電力が供給される。電源ケーブル400は、
図2に示すように、本体部10及び一対の延出部20、30の縁部に沿って配置され、ベビーカー用シート100の内面側に保持されている。
なお、電源ケーブル400は、電源300から電動ファン200に対して、電動ファン200の稼働に必要な電力を供給できるものであればよく、その具体的な構成及びベビーカー用シート100内の配置は任意である。
【0025】
以上のように、本実施形態のベビーカー用シート100及び電動ファン付ベビーカー用シート1000によれば、ベビーカー1の背もたれ2から座部3にかけて延在し、内部に空気が流通する空間を有する本体部10と、本体部10の側部10aから突出し、内部に本体部10の空間と連通する空間を有する延出部20と、延出部20に設けられ、電動ファン200を装着可能なファン装着部21と、を備えている。そして、本体部10は、人体と接する側の面に内側の空気を外側に排出する空気排出部15を備え、ファン装着部21に装着された電動ファン200により生成された風が延出部20を介して本体部10に流入するので、空気の導入位置を高くすることができ、従来よりもきれいな空気を導入することができることとなって、より衛生的である。
また、本実施形態のベビーカー用シート100及び電動ファン付ベビーカー用シート1000によれば、乳幼児の足が電動ファン200と接触する可能性も低くすることができるため、より効率的である。
【0026】
また、本実施形態のベビーカー用シート100及び電動ファン付ベビーカー用シート1000によれば、一方の延出部20にファン装着部21が設けられ、他方の延出部30に電源収納部31を備えるため、左右のバランスがよい。
【0027】
また、本実施形態のベビーカー用シート100及び電動ファン付ベビーカー用シート1000によれば、一対の延出部20、30は、ベビーカー1に装着時、ベビーカー1の肘掛け6に垂下可能な位置に設けられているので、より確実に電動ファン200を地面から遠ざけることができる。
【0028】
また、本実施形態のベビーカー用シート100及び電動ファン付ベビーカー用シート1000によれば、本体部10は、内部に空間を確保するためにスペーサー11を備えるので、電動ファン200により導入された空気を本体部10内でより確実に流通させることができる。
【0029】
なお、以上の実施の形態においては、本体部10の正面側に空気排出部15を備えた構成としたが、本体部10の正面側の通全体を空気排出部としてもよい。また、例えば、延出部20との接続部から上下方向に離れるに連れて通気性を高める構造(例えば、メッシュの開口面積を調整)としてもよい。このようにすることで、電動ファン200から導入された空気が本体部10の上下方向の端部まで流入させやすくすることができる。
また、空気排出部15の位置を調整できるようにしてもよい。
【0030】
また、以上の実施の形態においては、電動ファン200と電源300を電源ケーブル400で接続する構造としたが、電源ケーブル400を備えることなく、電動ファン200と電源300とが直接接続される構成とすることも可能である。また、電動ファン200と電源300とを一体化してもよい。
この場合、一対の延出部20、30の両方にファン装着部21を設け、各々のファン装着部21に電動ファン200を設けてもよい。このようにすることで、冷却機能をより向上させることができたり、また、二つの電動ファン200を設けることで、一つの電動ファン200を設けるものに比べて、個々の電動ファン200を小型化することもできたりする。
【0031】
また、電動ファン200と電源300を直接接続する場合、延出部20は左右のどちらか一方にのみ備えた構造でもよい。
さらに、延出部20に電動ファン200のみを備え、電源300はベビーカー用シート100の外部に配置させ、そこから電力が供給される構造であってもよい。
また、ベビーカー用シート100は、内部に配置されたスペーサー11、電動ファン200、電源300、電源ケーブル400を全て外すことができ、それによりベビーカー用シート100を洗濯することができる。
【0032】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 ベビーカー
2 背もたれ
3 座部
4 肩ベルト
5 股ベルト
6 肘掛け
100 ベビーカー用シート
10 本体部
10a 側部
10b 側部
11 スペーサー
12 肩ベルト通し穴
13 股ベルト通し穴
15 空気排出部
20 延出部
21 ファン装着部
21a 取付孔
21b 補強部
30 延出部
31 電源収納部
200 電動ファン
300 電源
400 電源ケーブル
1000 電動ファン付ベビーカー用シート