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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】建築物管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230726BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022146679
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2022-09-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年10月14日リモート開催されたAccelerate Aichi by 500 Startups Growth Program DEMODAYで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年12月18日リモート開催された始動Next Innovator最終審査で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年4月4日グロービス経営大学院東京校(東京都千代田区二番町5番地1 住友不動産麹町ビル)にて開催されたG-STARTUP DEMODAYで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月12日GINZA SCRATCH(東京都中央区銀座6丁目12番13号 大東銀座ビル2階)にて開催されたSCRATCH ACCELERATION PROGRAM DEMODAYで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月2日ロイトン札幌(北海道札幌市中央区北1条西11丁目)にて開催されたB Dash Camp 2022 Summer in Sapporoで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年8月8日リモート開催されたJ-Startup HOKKAIDO審査会で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年9月8日東京カルチャーカルチャー(東京都渋谷区渋谷1丁目23番16号 cocoti SHIBUYA4階)にて開催されたANOBAKA Pitch 2022 Autumnで発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522233854
【氏名又は名称】株式会社FLINTZ
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145126
【弁理士】
【氏名又は名称】金丸 清隆
(72)【発明者】
【氏名】高森 拓也
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-225467(JP,A)
【文献】特開2021-182276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090441(US,A1)
【文献】特開2016-045868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して利用者端末がアクセス可能な管理サーバを備え、
前記管理サーバは、
建築物の図面画像を表示する図面表示画面を前記利用者端末に配信する図面表示部と、
前記図面表示画面において指定された前記図面画像上の位置にピンを設定するピン設定部と、
選択された前記ピンと関連付けて設備情報を登録するとともに、該設備情報を表示する設備情報画面を前記利用者端末に配信する設備情報管理部と、を備え、
前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備に対する作業に関する報告書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記報告書情報を表示する報告書画面を前記利用者端末に配信する報告書管理部を有し、
前記報告書管理部は、1つの前記報告書情報に複数の前記ピンを連携でき、1つの前記ピンに複数の前記報告書情報を連携できる
ことを特徴とする建築物管理システム。
【請求項2】
前記報告書管理部は、前記ピン設定部により設定された前記ピンの情報を表示するピン選択画面であって、選択された一または複数の前記ピンを前記報告書情報と連携する前記ピン選択画面を前記利用者端末に配信する
ことを特徴とする請求項1記載の建築物管理システム。
【請求項3】
前記ピン選択画面には、検索により絞り込まれた前記ピンの情報が表示される
ことを特徴とする請求項2記載の建築物管理システム。
【請求項4】
前記図面表示部は、前記図面表示画面において、複数種類のピン画像のうち選択された前記ピン画像を前記図面画像に重ねて表示する
ことを特徴とする請求項1記載の建築物管理システム。
【請求項5】
前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備に関するメモ情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記メモ情報を表示するピン情報画面を前記利用者端末に配信するピン情報管理部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の建築物管理システム。
【請求項6】
前記メモ情報はメモ件名を含み、
前記図面表示部は、前記図面表示画面において、前記ピンが設定された位置にピン画像とともに前記ピンに対応する前記メモ件名を前記図面画像に重ねて表示する
ことを特徴とする請求項5記載の建築物管理システム。
【請求項7】
前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備の仕様書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記仕様書情報を表示する仕様書画面を前記利用者端末に配信する仕様書管理部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の建築物管理システム。
【請求項8】
ネットワークを介して利用者端末がアクセス可能なコンピュータを管理サーバとして機能させるためのプログラムであって、
建築物の図面画像を表示する図面表示画面を前記利用者端末に配信する図面表示処理と、
前記図面表示画面において指定された前記図面画像上の位置にピンを設定するピン設定処理と、
選択された前記ピンと関連付けて設備情報を登録するとともに、該設備情報を表示する設備情報画面を前記利用者端末に配信する設備情報管理処理と、をコンピュータに実行させ、
前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備に対する作業に関する報告書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記報告書情報を表示する報告書画面を前記利用者端末に配信する報告書管理処理を有し、
前記報告書管理処理により、1つの前記報告書情報に複数の前記ピンを連携でき、1つの前記ピンに複数の前記報告書情報を連携できる
ことを特徴とする建築物管理プログラム。
【請求項9】
前記図面表示処理は、前記図面表示画面において、複数種類のピン画像のうち選択された前記ピン画像を前記図面画像に重ねて表示する処理を有する
ことを特徴とする請求項8記載の建築物管理プログラム。
【請求項10】
前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備に関するメモ情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記メモ情報を表示するピン情報画面を前記利用者端末に配信するピン情報管理処理を有する
ことを特徴とする請求項8記載の建築物管理プログラム。
【請求項11】
前記メモ情報はメモ件名を含み、
前記図面表示処理は、前記図面表示画面において、前記ピンが設定された位置にピン画像とともに前記ピンに対応する前記メモ件名を前記図面画像に重ねて表示する処理を有する
ことを特徴とする請求項10記載の建築物管理プログラム。
【請求項12】
前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備の仕様書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記仕様書情報を表示する仕様書画面を前記利用者端末に配信する仕様書管理処理を有する
ことを特徴とする請求項8記載の建築物管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物管理システムおよびプログラムに関する。さらに詳しくは、本発明は、ビルの点検、修繕などの建築物管理に用いられるシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル、雑居ビル、マンションなどのビルの多くは、ビル管理会社により管理されている。ビル管理会社は、その業務として、ビルに付随する設備の点検、検査、修繕、清掃などを行う。ビル管理会社の職員は設備の点検などを行うたびに、その結果を報告書に記録する。従来は、紙ベースで報告書が作成され、保管されていたため、過去の報告書を参照したり、そこに記録された情報を活用したりすることが困難であった。これに対し、報告作業を電子的に行うシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-33626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビルの管理業務にはそのビルの図面が欠かせない。実際、ビル管理業務の現場では、点検の結果、修繕が必要な場合には、紙の図面上に直接メモを書き込むことが行われている。しかし、この場合、特に複数人が書き込みを行うと、メモが見づらくなり、内容の理解が困難になる。
【0005】
また、一つのビルには同種の設備が複数箇所に配置されているため、報告書にはどの位置の設備に関する報告なのかを特定する必要がある。その際、設備の位置を図面上で示すことが簡便である。ところが、電子的な報告書を採用すると、設備の位置を図面で示すことが困難である。すなわち、図面を印刷し、紙の図面に書き込みを行い、その図面を電子化して、電子的な報告書に添付するといった作業が必要になる。
【0006】
さらに、点検などの作業を行う前には、図面を見て、作業対象の設備の位置を把握するほか、その設備の操作方法などの仕様を確認しておく必要がある。しかし、設備の位置情報と仕様書とは必ずしも関連付けられた状態で管理されているわけではなく、それぞれの情報を個別に探す必要があるのが現状である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、図面上の位置と関連付けて設備情報を管理できる建築物管理システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(建築物管理システム)
第1態様の建築物管理システムは、ネットワークを介して利用者端末がアクセス可能な管理サーバを備え、前記管理サーバは、建築物の図面画像を表示する図面表示画面を前記利用者端末に配信する図面表示部と、前記図面表示画面において指定された前記図面画像上の位置にピンを設定するピン設定部と、選択された前記ピンと関連付けて設備情報を登録するとともに、該設備情報を表示する設備情報画面を前記利用者端末に配信する設備情報管理部と、を備え、前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備に対する作業に関する報告書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記報告書情報を表示する報告書画面を前記利用者端末に配信する報告書管理部を有し、前記報告書管理部は、1つの前記報告書情報に複数の前記ピンを連携でき、1つの前記ピンに複数の前記報告書情報を連携できることを特徴とする。
第2態様の建築物管理システムは、第1態様において、前記報告書管理部は、前記ピン設定部により設定された前記ピンの情報を表示するピン選択画面であって、選択された一または複数の前記ピンを前記報告書情報と連携する前記ピン選択画面を前記利用者端末に配信することを特徴とする。
第3態様の建築物管理システムは、第2態様において、前記ピン選択画面には、検索により絞り込まれた前記ピンの情報が表示されることを特徴とする。
第4態様の建築物管理システムは、第1~第3態様のいずれかにおいて、前記図面表示部は、前記図面表示画面において、複数種類のピン画像のうち選択された前記ピン画像を前記図面画像に重ねて表示することを特徴とする。
第5態様の建築物管理システムは、第1~第4態様のいずれかにおいて、前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備に関するメモ情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記メモ情報を表示するピン情報画面を前記利用者端末に配信するピン情報管理部を有することを特徴とする。
第6態様の建築物管理システムは、第5態様において、前記メモ情報はメモ件名を含み、前記図面表示部は、前記図面表示画面において、前記ピンが設定された位置にピン画像とともに前記ピンに対応する前記メモ件名を前記図面画像に重ねて表示することを特徴とする。
第7態様の建築物管理システムは、第1~第6態様のいずれかにおいて、前記設備情報管理部は、前記設備情報の一種として設備の仕様書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記仕様書情報を表示する仕様書画面を前記利用者端末に配信する仕様書管理部を有することを特徴とする。

(建築物管理プログラム)
第8態様の建築物管理プログラムは、ネットワークを介して利用者端末がアクセス可能なコンピュータを管理サーバとして機能させるためのプログラムであって、建築物の図面画像を表示する図面表示画面を前記利用者端末に配信する図面表示処理と、前記図面表示画面において指定された前記図面画像上の位置にピンを設定するピン設定処理と、選択された前記ピンと関連付けて設備情報を登録するとともに、該設備情報を表示する設備情報画面を前記利用者端末に配信する設備情報管理処理と、をコンピュータに実行させ、前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備に対する作業に関する報告書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記報告書情報を表示する報告書画面を前記利用者端末に配信する報告書管理処理を有し、前記報告書管理処理により、1つの前記報告書情報に複数の前記ピンを連携でき、1つの前記ピンに複数の前記報告書情報を連携できることを特徴とする。
第9態様の建築物管理プログラムは、第8態様において、前記図面表示処理は、前記図面表示画面において、複数種類のピン画像のうち選択された前記ピン画像を前記図面画像に重ねて表示する処理を有することを特徴とする。
第10態様の建築物管理プログラムは、第8または第9態様において、前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備に関するメモ情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記メモ情報を表示するピン情報画面を前記利用者端末に配信するピン情報管理処理を有することを特徴とする。
第11態様の建築物管理プログラムは、第10態様において、前記メモ情報はメモ件名を含み、前記図面表示処理は、前記図面表示画面において、前記ピンが設定された位置にピン画像とともに前記ピンに対応する前記メモ件名を前記図面画像に重ねて表示する処理を有することを特徴とする。
第12態様の建築物管理プログラムは、第8~第11態様のいずれかにおいて、前記設備情報管理処理は、前記設備情報の一種として設備の仕様書情報を登録するとともに、前記設備情報画面の一種として前記仕様書情報を表示する仕様書画面を前記利用者端末に配信する仕様書管理処理を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1または第8態様によれば、図面上にピンを設定し、ピンと関連付けて設備情報を登録できるので、設備の位置と情報との対応関係を把握しやすい。また、図面上のピンと関連付けて報告書を作成できるので、どの位置の設備に関する報告なのかが分かりやすい。
第4または第9態様によれば、ピン画像を複数種類から選択できるので、図面上に示されたピンの種類から設備の状態などを一目で把握できる。
第5または第10態様によれば、図面上のピンと関連付けてメモの登録および表示ができるので、図面上にメモを書き込むのと同様の運用ができ、図面から設備の状態などを把握しやすい。
第6または第11態様によれば、図面上にメモ件名が表示されるので、ピン情報画面を表示しなくも図面表示画面で設備の状態などを把握できる。
第7または第12態様によれば、図面上のピンと関連付けて設備の仕様書を登録できるので、設備の位置情報と仕様書とを容易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る建築物管理システムの全体構成図である。
図2】第1実施形態に係る建築物管理システムの機能ブロック図である。
図3】第1実施形態のデータベース構成を示す実体関連図である。
図4】第1実施形態の図面表示画面の画面イメージである。
図5】第1実施形態のピン情報画面の画面イメージである。
図6】複数のピンを設定した場合の図面表示画面の画面イメージである。
図7】ピンを設定する処理を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る建築物管理システムの機能ブロック図である。
図9】第2実施形態のデータベース構成を示す実体関連図である。
図10】第2実施形態の報告書画面の画面イメージである。
図11】第2実施形態のピン選択画面の画面イメージである。
図12】第2実施形態のピン情報画面の画面イメージである。
図13】報告書を登録する処理を示すフローチャートである。
図14】ピンを報告書と連携する処理を示すフローチャートである。
図15】第3実施形態に係る建築物管理システムの機能ブロック図である。
図16】第3施形態のデータベース構成を示す実体関連図である。
図17】第3施形態の図面表示画面の画面イメージである。
図18】第3施形態の仕様書画面の画面イメージである。
図19】仕様書を登録する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る建築物管理システムAAは、建築物の管理に用いられるシステムである。「建築物」として、オフィスビル、雑居ビル、マンションなどのビル、ならびに橋梁、塔などが挙げられる。建築物の「管理」として、建築物に付随する設備の点検、検査、修繕、清掃などが挙げられる。建築物に付随する「設備」には、電気設備、水道設備、ガス設備、熱源機器、空調設備、消防設備、昇降機などに代表される機器のほか、柱、壁、床などの構造体も含まれる。
【0012】
図1に示すように、建築物管理システムAAは管理サーバ1を有する。管理サーバ1は、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。管理サーバ1は、物理的には、1台のサーバ装置で構成されてもよいし、複数台のサーバ装置を組み合わせて構成されてもよい。管理サーバ1はインターネットなどのネットワーク2に接続されている。
【0013】
後述のごとく、管理サーバ1は各種の機能を有する。コンピュータに建築物管理プログラムをインストールすることで、管理サーバ1としての機能が実現する。建築物管理プログラムはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(非一過性のものを含む)に記憶してもよい。
【0014】
ネットワーク2には利用者端末3が接続されている。利用者端末3はネットワーク2を介して管理サーバ1にアクセスできる。利用者端末3は建築物管理システムAAの利用者が直接操作するものである。通常、建築物の管理は所謂ビル管理会社が行う。したがって、「利用者」の代表的な例としてビル管理会社の職員が挙げられる。
【0015】
利用者端末3は、CPU、メモリなどで構成されたコンピュータである。利用者端末3としてパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどを用いることができる。利用者端末3はディスプレイなどの表示装置、およびキーボード、マウスなどの入力装置を有する。利用者端末3の数は特に限定されないが、通常、複数である。
【0016】
利用者端末3は端末アプリケーションを実行できる。端末アプリケーションは利用者に対するユーザーインターフェースを担う。端末アプリケーションはウェブブラウザでもよいし専用のアプリケーションでもよい。
【0017】
本実施形態の管理サーバ1は、建築物の図面上にピンを設定し、ピンに関連付けて設備情報を登録する機能を有する。この機能を実現するため、図2に示すように、管理サーバ1は、データベース10、図面表示部20、ピン設定部30、および設備情報管理部40を有する。本実施形態の設備情報管理部40はピン情報管理部41を有する。これらは、ハードウエアで構成されてもよいし、ソフトウエアをコンピュータにインストールすることにより実現してもよい。
【0018】
データベース10は建築物管理システムAAで用いられる各種のデータを記憶する。データベース10は、例えば、DBMS(Database Management System)および補助記憶装置に確保されたデータ領域などで構成される。DBMSはデータ領域に格納されているデータの追加、更新、削除、検索など、データベース10を制御する機能を有する。
【0019】
データベース構成は、管理サーバ1が後述の機能を実現できる構成であればよく、特に限定されないが、例えば図3に示す構成を採用できる。すなわち、データベース10には、建築物マスタM1、フロアマスタM2、ピン種類マスタM3、図面テーブルT1、およびピンテーブルT2が記憶されている。
【0020】
建築物マスタM1は、フィールドとして、主キーである「建築物ID」のほか、「建築物名」を有する。「建築物ID」は建築物を一意に識別する識別子である。「建築物名」は建築物の名称である。
【0021】
フロアマスタM2は、フィールドとして、主キーである「フロアID」のほか、「建築物ID」および「フロア名」を有する。「フロアID」は建築物のフロアを一意に識別する識別子である。「フロア名」はフロアの名称である。フロアマスタM2に登録された「建築物ID」により、建築物とフロアとが紐付けられている。なお、本データベース構成では、1つの建築物が1つ以上のフロアを有することを想定している。
【0022】
ピン種類マスタM3は、フィールドとして、主キーである「ピン種類ID」のほか、「ピン種類名」および「ピン画像」を有する。「ピン種類ID」はピンの種類を一意に識別する識別子である。「ピン種類名」はピン種類の名称である。「ピン画像」はピンの画像ファイルである。ピン種類ごとに異なる色、形状のピン画像を登録しておけば、画面表示されたピン画像からピン種類を判別できる。
【0023】
利用者が、利用者端末3を通して、ピン種類マスタM3を変更できるようにしてもよい。すなわち、利用者によりピン種類の追加、削除が可能である。また、利用者によりピン種類名およびピン画像の変更が可能である。ピン画像の変更により、ピンの色、形状などを自由に設定できる。
【0024】
図面テーブルT1は、フィールドとして、主キーである「図面ID」のほか、「フロアID」、「図面名」、および「図面画像」を有する。「図面ID」は建築物の図面を一意に識別する識別子である。「図面名」は図面の名称である。「図面画像」は図面の画像ファイルである。図面テーブルT1に登録された「フロアID」により、フロアと図面とが紐付けられている。
【0025】
なお、本データベース構成では、1つのフロアに対して複数の図面を登録できる。例えば、そのフロアの平面図、配管図、そのフロアが有する区画ごとの図面などである。また、図面には建築物の全体平面図などフロアに紐づかない図面もありうる。このような図面はフロアと紐付けずに建築物に紐づけて登録できるようにしてもよい。
【0026】
利用者が、利用者端末3から管理サーバ1に図面をアップロードできるようにしてもよい。利用者端末3から図面の画像ファイルがアップロードされた場合に、管理サーバ1はその画像ファイルを図面テーブルT1に登録する。また、利用者端末3からPDF(Portable Document Format)、CAD(Computer-Aided Design)などのファイルがアップロードされた場合には、管理サーバ1はアップロードされたファイルを画像に変換し、図面テーブルT1に登録するようにしてもよい。
【0027】
ピンテーブルT2は、フィールドとして、主キーである「ピンID」のほか、「作成日時」、「ピン種類ID」、「図面ID」、「ピン座標」、および「メモ情報」を有する。「ピンID」は図面に設定されたピンを一意に識別する識別子である。「作成日時」は図面にピンが設定された日時である。「ピン座標」は図面上のピンの位置を示す座標である。ピン座標は二次元の図面画像上に設定されたX-Y座標系におけるX座標およびY座標の組み合わせとすることができる。「ピン座標」をX座標およびY座標の2つのフィールドに分けてもよい。「メモ情報」はピンに関連付けられた設備に関する情報である。メモ情報はメモ件名およびメモ内容を含んでもよい。「メモ情報」をメモ件名およびメモ内容の2つのフィールドに分けてもよい。
【0028】
ピンテーブルT2に登録された「ピン種類ID」により、図面に設定されたピンの種類を特定できる。また、ピンテーブルT2に登録された「図面ID」により、図面とピンとが紐付けられている。なお、本データベース構成では、1つの図面に複数のピンを設定できる。ピンとメモ情報とは1対1に対応する。
【0029】
建築物マスタM1、フロアマスタM2、ピン種類マスタM3、図面テーブルT1、およびピンテーブルT2には、前記のデータのほか、他のデータが含まれてもよい。
【0030】
図面表示部20は、利用者端末3からの要求に応じて、図面表示画面を利用者端末3に配信する。利用者は利用者端末3の端末アプリケーションを通して図面表示画面を閲覧する。
【0031】
図4に示すように、図面表示画面50は建築物の図面画像を表示する画面である。図面表示画面50はメニュー領域51を有する。メニュー領域51には建築物選択欄52が含まれている。建築物選択欄52は例えばプルダウン形式の選択欄である。プルダウンのメニューとして建築物マスタM1に登録されている建築物名が表示される。建築物マスタM1に複数の建築物が登録されている場合、建築物選択欄52に複数の建築物名がリスト表示される。利用者は建築物選択欄52で一の建築物を選択できる。
【0032】
本実施形態では、1つの建築物に対して複数のフロアを設定し、また、1つのフロアに対して複数の図面を登録できる。利用者はメニュー領域51に含まれる他のボタンを操作するなどして、一のフロアを選択し、さらに一の図面を選択する。そうすると、選択された図面の画像が図面表示領域53に表示される。
【0033】
ここで、図面表示部20は、利用者が選択した建築物が有する1または複数のフロアをフロアマスタM2から取得できる。また、図面表示部20は、利用者が選択したフロアに対して登録された1または複数の図面を図面テーブルT1から取得できる。図面表示部20は、利用者が選択した図面の図面画像を図面テーブルT1から取得し、図面表示領域53に表示する。
【0034】
利用者が図面表示領域53においてピンチイン、ピンチアウトなどの操作を行うと、図面画像を拡大縮小できるようにしてもよい。また、利用者が図面表示領域53においてドラッグなどの操作を行うと、図面画像をスライドできるようにしてもよい。
【0035】
ピン設定部30は図面上にピンを設定する機能を有する。利用者が図面表示領域53においてクリックなどの操作を行い、図面画像上の一点を指定すると、ピン設定部30は指定された図面画像上の位置にピン54を設定する。
【0036】
図面画像にはX-Y座標が設定されている。ピン設定部30は利用者が指定した位置を、X-Y座標系におけるX座標およびY座標として認識する。そして、ピン設定部30はデータベース10にピンを登録する。具体的には、ピン設定部30はピンテーブルT2に新たなレコードを追加し、ピンID、作成日時、図面ID、およびピン座標を登録する。ここで、図面IDは現在図面表示領域53に表示されている図面のIDである。また、ピン座標は利用者が指定した位置を示すX座標およびY座標である。
【0037】
図面表示部20は、図面表示領域53において、設定されたピン54のピン画像を図面画像に重ねて表示する。
【0038】
設備情報管理部40は、利用者端末3からの要求に応じて、設備情報画面を利用者端末3に配信する。利用者は利用者端末3の端末アプリケーションを通して設備情報画面を閲覧する。設備情報画面は選択されたピンと関連付けて設備情報を登録することができ、また、登録された設備情報を表示する画面である。「設備情報」は、建築物に付随する設備に関する情報であればよく、特に限定されない。
【0039】
本実施形態の設備情報管理部40はピン情報管理部41を有する。ピン情報管理部41は、利用者端末3からの要求に応じて、ピン情報画面を利用者端末3に配信する。ピン情報画面は選択されたピンと関連付けて設備に関するメモ情報を登録することができ、また、登録されたメモ情報を表示する画面である。すなわち、メモ情報は設備情報の一種であり、ピン情報画面は設備情報画面の一種である。
【0040】
利用者が図面表示画面50においてピン画像をクリックするなどして、一のピン54を選択すると、ピン情報管理部41は選択されたピン54に対応するピン情報画面を利用者端末3に配信する。
【0041】
図5に示すように、ピン情報画面60は、メモ件名入力欄61、ピン種類選択欄62、およびメモ内容入力欄63を有する。利用者はメモ件名入力欄61にメモ件名を入力できる。利用者はピン種類選択欄62において複数のピン種類から一つを選択できる。また、利用者はメモ内容入力欄63にメモ内容を入力できる。
【0042】
例えば、ビル管理会社の職員がビルの点検を行った結果、修繕が必要と判断すれば、図面上で修繕が必要な設備にピンを設定し、どのような不具合があるかをメモ情報として登録できる。
【0043】
利用者がピン情報画面60の各欄に入力した後、更新ボタン64を押下すると、ピン情報管理部41は入力された情報をデータベース10に登録する。具体的には、ピン情報管理部41は、ピンテーブルT2から利用者が選択したピンに対応するレコードを抽出し、そのレコードのピン種類IDおよびメモ情報を入力された情報に更新する。
【0044】
利用者が、図面表示画面50において、既にメモ情報が登録されているピン54を選択した場合には、ピン情報画面60には登録されたメモ情報が表示される。
【0045】
利用者がピン情報画面60においてピン削除ボタン65を押下すると、ピン情報管理部41はデータベース10から選択されたピンの情報を削除する。具体的には、ピン情報管理部41は、ピンテーブルT2から利用者が選択したピンに対応するレコードを抽出し、そのレコードを削除する。
【0046】
図6に示すように、利用者がピン設定操作を繰り返すと、一の図面画像上に複数のピンが設定される。また、利用者は各ピンの種類を設定できる。図面表示部20は、ピンごとに、ピン種類マスタM3に登録された複数種類のピン画像のうち利用者端末3から選択されたピン種類のピン画像を図面画像に重ねて表示する。ピン画像を複数種類から選択できるので、図面上に示されたピンの種類から設備の状態などを一目で把握できる。
【0047】
図面表示画面50はピン表示設定ボタン55を有してもよい。例えば、ピン表示設定ボタン55は、ピン種類ごとの表示/非表示切替ボタン、全てのピンを表示するボタン、全てのピンを非表示にするボタンなどで構成される。ピン種類ごとの表示/非表示切替ボタンに、ピン種類マスタM3に登録されているピン種類名を表示してもよい。これにより、ピンの意味が分かりやすくなる。
【0048】
図面表示部20は、ピン表示設定ボタン55の押下状態に従って、図面に設定された複数のピンの一部または全部を図面表示領域53に表示する。一つの図面に多数のピンが設定されると、ピンの把握が困難になる。また、ピンに隠れて図面が見づらくなる。ピン表示設定ボタン55で表示するピン種類を限定することで、確認が必要なピンを把握することが容易になる。また、表示するピンを減らすことで、図面が見やすくなる。
【0049】
利用者は各ピンにメモ情報を登録できる。図面表示部20は、ピンが設定された位置にピン画像とともに、そのピンに対応するメモ件名の表示要素56を図面画像に重ねて表示してもよい。例えば、マウスオーバーしたピンに対してのみ、メモ件名の表示要素56を表示すればよい。図面上にメモ件名が表示されるので、ピン情報画面60を表示しなくも図面表示画面50のみで設備の状態などを把握できる。
【0050】
つぎに、図7に示すフローチャートに基づき、建築物管理システムAAの処理を説明する。
まず、利用者は、利用者端末3を操作して、一の図面を選択する(ステップS11)。具体的には、利用者は建築物およびフロアを選択し、そのフロアに紐付けられた複数の図面の中から一の図面を選択する。
【0051】
図面表示部20は、利用者が選択した図面を表示する図面表示画面50を利用者端末3に配信する(図面表示処理:ステップS21)。そうすると、利用者端末3に図面表示画面50(図4参照)が表示される(ステップS12)。
【0052】
つぎに、利用者は、図面表示画面50において、図面画像上の一点をクリックするなどして、図面画像上の位置を指定する(ステップS13)。ピン設定部30は指定された図面画像上の位置にピン54を設定する(ピン設定処理:ステップS22)。具体的には、ピン設定部30は利用者が指定した図面画像上の位置を示すピン座標をデータベース10に登録する。
【0053】
図面表示部20は、図面画像にピン画像を重ねて表示する図面表示画面50を利用者端末3に配信する(図面表示処理:ステップS23)。ここで、図面表示部20は、複数種類のピン画像のうち利用者端末3から選択されたピン種類のピン画像を図面画像に重ねて表示する。そうすると、利用者端末3に図面表示画面50(図4参照)が表示される(ステップS14)。
【0054】
つぎに、利用者は、図面表示画面50において、図面上に表示された複数のピンのうちの一つをクリックするなどして、一のピンを選択する(ステップS15)。ピン情報管理部41は、利用者が選択したピンのピン情報画面60を利用者端末3に配信する(ピン情報管理処理:ステップS24)。そうすると、利用者端末3にピン情報画面60(図5参照)が表示される(ステップS16)。
【0055】
つぎに、利用者は、ピン情報画面60にメモ情報などを入力する(ステップS17)。ピン情報管理部41は入力されたメモ情報をデータベース10に登録する(ピン情報管理処理:ステップS25)。
【0056】
メモ情報の登録後、利用者端末3には図面表示画面50(図6参照)が表示される。図面表示画面50において、ピンが設定された位置にピン画像とともにピンに対応するメモ件名の表示要素56を図面画像に重ねて表示してもよい。
【0057】
以上のように、建築物管理システムAAは、図面上にピンを設定し、ピンと関連付けて設備情報を登録できるので、設備の位置と情報との対応関係を把握しやすい。特に本実施形態では、図面上のピンと関連付けてメモの登録および表示ができる。図面上にメモを書き込むのと同様の運用ができ、図面から設備の状態などを把握しやすい。例えば修繕、点検箇を、図面上で把握することができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
つぎに、第2実施形態に係る建築物管理システムBBを説明する。
第2実施形態に係る建築物管理システムBBは、ピンと関連付けてメモ情報を登録する機能に加えて、または代えて、報告書を登録する機能を有する。
【0059】
図8に示すように、本実施形態の設備情報管理部40は、ピン情報管理部41に加えて、報告書管理部42を有する。その余の構成は第1実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。報告書管理部42は、ハードウエアで構成されてもよいし、ソフトウエアをコンピュータにインストールすることにより実現してもよい。設備情報管理部40はピン情報管理部41を有しなくてもよい。
【0060】
特に限定されないが、本実施形態では、図9に示すデータベース構成を採用できる。すなわち、データベース10には、建築物マスタM1、フロアマスタM2、ピン種類マスタM3、図面テーブルT1、およびピンテーブルT2のほか、報告書テーブルT3、報告書-ピン連携テーブルT4、ファイルテーブルT5、および報告書-ファイル連携テーブルT6が記憶されている。
【0061】
報告書テーブルT3は、フィールドとして、主キーである「報告書ID」のほか、「作成日時」および「報告書情報」を有する。「報告書ID」は報告書を一意に識別する識別子である。「作成日時」は報告書が作成された日時である。「報告書情報」は報告書の内容である。報告書情報は報告書の件名および本文を含んでもよい。「報告書情報」を件名および本文の2つのフィールドに分けてもよい。
【0062】
報告書-ピン連携テーブルT4は、フィールドとして、2つの主キー「報告書ID」および「ピンID」を有する。報告書IDとピンIDとの組み合わせにより、報告書とピンとを連携できる。本データベース構成では、1つの報告書に複数のピンを連携でき、また、1つのピンに複数の報告書を連携できる。
【0063】
ファイルテーブルT5は、フィールドとして、主キーである「ファイルID」のほか、「ファイル」を有する。「ファイルID」はファイルを一意に識別する識別子である。「ファイル」は電子ファイルである。電子ファイルは、利用者が利用者端末3から管理サーバ1にアップロードできる。電子ファイルの種類は特に限定されず、画像ファイル、動画ファイル、音声ファイル、文書ファイルなどが挙げられる。例えば、設備の点検時に撮影した写真、動画などが電子ファイルとしてファイルテーブルT5に登録される。
【0064】
報告書-ファイル連携テーブルT6は、フィールドとして、2つの主キー「報告書ID」および「ファイルID」を有する。報告書IDとファイルIDとの組み合わせにより、報告書とファイルとを連携できる。本データベース構成では、1つの報告書に複数のファイルを連携でき、また、1つのファイルに複数の報告書を連携できる。
【0065】
報告書テーブルT3、報告書-ピン連携テーブルT4、ファイルテーブルT5、および報告書-ファイル連携テーブルT6には、前記のデータのほか、他のデータが含まれてもよい。
【0066】
報告書管理部42は、利用者端末3からの要求に応じて、報告書画面を利用者端末3に配信する。報告書画面は選択されたピンと関連付けて設備に対する作業に関する報告書情報を登録することができ、また、登録された報告書情報を表示する画面である。報告書情報は設備情報の一種であり、報告書画面は設備情報画面の一種である。
【0067】
図10に示すように、報告書画面70は、件名入力欄71および内容入力欄72を有する。利用者は件名入力欄71に報告書の件名を入力できる。利用者は内容入力欄72に報告書の本文を入力できる。例えば、ビル管理会社の職員が建築物の点検を行った後に、その結果を報告書として登録できる。
【0068】
利用者が報告書画面70の各欄に入力した後、作成ボタン73を押下すると、報告書管理部42は入力された情報をデータベース10に登録する。具体的には、報告書管理部42は報告書テーブルT3に新たなレコードを追加し、報告書ID、作成日時、および報告書情報を登録する。
【0069】
報告書画面70はピン追加ボタン74を有する。利用者がピン追加ボタン74を押下すると、図11に示すように、ピン選択画面80が表示される。ピン選択画面80は、キーワード検索欄81、作成日検索欄82、およびピン一覧表83を有する。ピン一覧表83には、ピンテーブルT2に登録されたピンが一覧形式で表示される。
【0070】
利用者がキーワード検索欄81にキーワードを入力すると、報告書管理部42はピンテーブルT2を検索し、メモ情報にキーワードが含まれるピンを抽出する。利用者が作成日検索欄82に期間を入力すると、報告書管理部42はピンテーブルT2を検索し、作成日時が入力された期間に該当するピンを抽出する。抽出されたピンはピン一覧表83に表示される。このように、検索によりピン一覧表83に表示されるピンを絞り込むことができる。
【0071】
ピン一覧表83には、ピンごとに、連携チェックボックス84が表示されている。連携チェックボックス84にチェックを入れることにより、利用者は報告書と連携するピンを選択できる。報告書と連携させるピンは複数選択可能である。また、連携チェックボックス84のチェックを外すことにより、利用者は報告書とピンとの連携を解消できる。ピン選択画面80において決定ボタン85が押下されると、報告書管理部42は報告書とピンとの連携を登録する。具体的には、報告書-ピン連携テーブルT4を更新する。ここで、報告書IDは、報告書画面70に表示されている報告書のIDである。ピンIDはピン選択画面80で選択されたピンのIDである。
【0072】
報告書とピンとの連携が完了すると、図10に示すように、報告書画面70のピン一覧表75に、報告書と連携されたピンの情報が表示される。
【0073】
利用者が報告書画面70のピン一覧表75から一のピンを選択すると、そのピンが設定された図面を表示する図面表示画面50(図6参照)を表示するようにしてもよい。具体的には、報告書画面70において一のピンが選択されると、図面表示部20は選択されたピンが設定された図面画像を表示する図面表示画面50を利用者端末3に配信する。したがって、利用者端末3では、報告書画面70から図面表示画面50に遷移する。報告書画面70から図面表示画面50に遷移して、報告書に関連付けられた設備の位置が表示されるので、報告書と設備との対応関係が分かりやすい。報告書から対象の設備の位置を把握することが容易である。
【0074】
ピン情報画面60においても、報告書とピンとの連携を可能にしてもよい。図12に示すように、ピン情報画面60は報告書選択領域66を有してもよい。報告書選択領域66は、キーワード検索欄66a、作成日検索欄66b、および報告書一覧表66cを有する。報告書一覧表66cには、報告書テーブルT3に登録された報告書が一覧形式で表示される。
【0075】
利用者がキーワード検索欄66aにキーワードを入力すると、報告書管理部42は報告書テーブルT3を検索し、報告書情報にキーワードが含まれる報告書を抽出する。利用者が作成日検索欄66bに期間を入力すると、報告書管理部42は報告書テーブルT3を検索し、作成日時が入力された期間に該当する報告書を抽出する。抽出された報告書は報告書一覧表66cに表示される。このように、検索により報告書一覧表66cに表示される報告書を絞り込むことができる。
【0076】
報告書一覧表66cには、報告書ごとに、連携チェックボックス66dが表示されている。連携チェックボックス66dにチェックを入れることにより、利用者はピンと連携する報告書を選択できる。ピンと連携させる報告書は複数選択可能である。また、連携チェックボックス66dのチェックを外すことにより、利用者は報告書とピンとの連携を解消できる。ピン情報画面60において更新ボタン64が押下されると、報告書管理部42は報告書とピンとの連携を登録する。具体的には、報告書-ピン連携テーブルT4を更新する。ここで、報告書IDは、報告書選択領域66で選択された報告書のIDである。ピンIDはピン情報画面60を表示する際に図面表示画面50で選択されたピンのIDである。
【0077】
報告書とピンとの連携が完了すると、ピン情報画面60の報告書一覧領域67に、ピンと連携された報告書の情報が表示される。報告書一覧領域67には、報告書ごとに、報告書表示ボタン68が表示される。利用者が報告書一覧領域67から一の報告書を選択し、報告書表示ボタン68を押下すると、その報告書の報告書画面70(図10参照)が表示される。具体的には、ピン情報画面60において一の報告書が選択されると、報告書管理部42は選択された報告書の報告書画面70を利用者端末3に配信する。したがって、利用者端末3では、ピン情報画面60から報告書画面70に画面遷移する。ピン情報画面60から報告書画面70に遷移して、ピンに関連付けられた報告書が表示されるので、設備と報告書との対応関係が分かりやすい。図面に示された設備から報告書を入手することが容易である。
【0078】
報告書管理部42は報告書とファイルとを連携する機能を有してもよい。図10に示すように、報告書画面70はファイル選択ボタン76を有する。利用者がファイル選択ボタン76を押下すると、過去にアップロードされ、ファイルテーブルT5に登録されているファイルを選択でき、報告書と連携できる。具体的には、報告書管理部42は報告書-ファイル連携テーブルT6を更新する。ここで、報告書IDは、報告書画面70に表示されている報告書のIDである。ファイルIDは選択されたファイルのIDである。
【0079】
報告書画面70はファイルアップロードボタン77を有してもよい。利用者がファイルアップロードボタン77を押下すると、利用者端末3から管理サーバ1にファイルをアップロードできる。アップロードされたファイルはファイルテーブルT5に登録される。また、報告書管理部42はアップロードされたファイルと報告書とを連携する。
【0080】
つぎに、図13に示すフローチャートに基づき、建築物管理システムBBの処理を説明する。
まず、利用者は、メニュー領域51に含まれるボタンを操作するなどして、報告書画面70を要求する(ステップS31)。
【0081】
報告書管理部42は報告書画面70を利用者端末3に配信する(ステップS41)。そうすると、利用者端末3に報告書画面70(図10参照)が表示される(ステップS32)。
【0082】
つぎに、利用者は、報告書画面70に報告書情報を入力する(ステップS33)。報告書管理部42は入力された報告書情報をデータベース10に登録する(報告書管理処理:ステップS42)。
【0083】
報告書管理部42は、登録された報告書情報を表示する報告書画面70を利用者端末3に配信する(報告書管理処理:ステップS43)。そうすると、利用者端末3に報告書画面70(図10参照)が表示される(ステップS34)。
【0084】
つぎに、利用者は、報告書画面70においてピン追加ボタン74を押下する(ステップS35)。報告書管理部42は、ピン選択画面80を利用者端末3に配信する(ステップS44)。そうすると、利用者端末3にピン選択画面80(図11参照)が表示される(ステップS36)。
【0085】
つぎに、利用者は、ピン選択画面80において、一または複数のピンを選択する(ステップS37)。報告書管理部42は、報告書とピンとを連携させる(報告書管理処理:ステップS45)。具体的には、報告書管理部42は、報告書-ピン連携テーブルT4を更新する。
【0086】
報告書とピンとの連携の後、利用者端末3には報告書画面70(図10参照)が表示される。利用者が報告書画面70において一のピンを選択すると、選択されたピンが設定された図面画像を表示する図面表示画面50(図4参照)を利用者端末3に配信する処理を行ってもよい。
【0087】
建築物管理システムBBは、図14のフローチャートに示す処理を行ってもよい。なお、予め、ピンの設定、および報告書情報の登録は行われているものとする。
まず、利用者は、利用者端末3を操作して、一の図面を選択する(ステップS11)。図面表示部20は、利用者が選択した図面を表示する図面表示画面50を利用者端末3に配信する(ステップS21)。そうすると、利用者端末3に図面表示画面50(図4参照)が表示される(ステップS12)。
【0088】
つぎに、利用者は、図面表示画面50において、図面上に表示された複数のピンのうちの一つをクリックするなどして、一のピンを選択する(ステップS15)。ピン情報管理部41は、利用者が選択したピンのピン情報画面60を利用者端末3に配信する(ステップS24)。そうすると、利用者端末3にピン情報画面60(図12参照)が表示される(ステップS16)。
【0089】
つぎに、利用者は、ピン情報画面60において、一または複数の報告書を選択する(ステップS18)。報告書管理部42は、ピンと報告書とを連携させる(ステップS26)。具体的には、報告書管理部42は、報告書-ピン連携テーブルT4を更新する。
【0090】
報告書とピンとの連携の後、利用者がピン情報画面60において一の報告書を選択すると、選択された報告書の報告書画面70を利用者端末3に配信する処理を行ってもよい。
【0091】
以上のように、建築物管理システムBBは、図面上のピンと関連付けて報告書を作成できる。そのため、報告書がどの位置の設備に関する報告なのかが分かりやすい。
【0092】
〔第3実施形態〕
つぎに、第3実施形態に係る建築物管理システムCCを説明する。
第3実施形態に係る建築物管理システムCCは、ピンと関連付けてメモ情報および/または報告書を登録する機能に加えて、または代えて、設備の仕様書を登録する機能を有する。設備の仕様書は、設備の機械的な構成、操作方法、点検方法などを説明する書類である。例えば、貯水槽を操作するためのバルブの位置、エレベーターの点検時の操作方法などを説明する書類が仕様書に該当する。通常、仕様書の登録は、建築物の管理を始めるとき、建築物に新たな設備を導入したときなどに行われる。
【0093】
図15に示すように、本実施形態の設備情報管理部40は、ピン情報管理部41および報告書管理部42に加えて、仕様書管理部43を有する。その余の構成は第2実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を付して説明を省略する。仕様書管理部43は、ハードウエアで構成されてもよいし、ソフトウエアをコンピュータにインストールすることにより実現してもよい。設備情報管理部40はピン情報管理部41および報告書管理部42を有しなくてもよい。
【0094】
特に限定されないが、本実施形態では、図16に示すデータベース構成を採用できる。すなわち、データベース10には、建築物マスタM1、フロアマスタM2、ピン種類マスタM3、図面テーブルT1、およびピンテーブルT2のほか、仕様書テーブルT7および仕様書-ピン連携テーブルT8が記憶されている。
【0095】
仕様書テーブルT7は、フィールドとして、主キーである「仕様書ID」のほか、「作成日時」および「仕様書情報」を有する。「仕様書ID」は仕様書を一意に識別する識別子である。「作成日時」は仕様書が作成された日時である。「仕様書情報」は設備の仕様書の内容である。仕様書情報は設備名および本文を含んでもよい。「仕様書情報」を設備名および本文の2つのフィールドに分けてもよい。
【0096】
仕様書-ピン連携テーブルT8は、フィールドとして、2つの主キー「仕様書ID」および「ピンID」を有する。仕様書IDとピンIDとの組み合わせにより、仕様書とピンとを連携できる。本データベース構成では、1つの仕様書に複数のピンを連携でき、また、1つのピンに複数の仕様書を連携できる。
【0097】
仕様書テーブルT7および仕様書-ピン連携テーブルT8には、前記のデータのほか、他のデータが含まれてもよい。
【0098】
前述のごとく、ピン設定部30は利用者が指定した図面画像上の位置にピンを設定する機能を有する。図17に示すように、利用者は、仕様書を登録する設備の図面上の位置にピン54を設定する。この際、ピン54の種類として仕様書との連携専用の種類を選択することが好ましい。すなわち、ピン54の種類としてメモ情報および/または報告書と連携させるピンとは異なる種類のものとすることが好ましい。また、ピン種類の違いをピン画像の違いで表現することが好ましい。
【0099】
仕様書管理部43は、利用者端末3からの要求に応じて、仕様書画面を利用者端末3に配信する。仕様書画面は選択されたピンと関連付けて設備の仕様書情報を登録することができ、また、登録された仕様書情報を表示する画面である。仕様書情報は設備情報の一種であり、仕様書画面は設備情報画面の一種である。
【0100】
図18に示すように、仕様書画面90は、設備名入力欄91および仕様入力欄92を有する。利用者は設備名入力欄91に設備の名称を入力できる。利用者は仕様入力欄92に仕様の本文を入力できる。
【0101】
利用者が仕様書画面90の作成ボタン93を押下すると、仕様書管理部43は入力された情報をデータベース10に登録する。具体的には、仕様書管理部43は仕様書テーブルT7に新たなレコードを追加し、仕様書ID、作成日時、および仕様書情報を登録する。
【0102】
仕様書画面90は、ピン追加ボタン94を有する。利用者がピン追加ボタン94を押下すると、ピン選択画面80(図11参照)が表示される。なお、ピン選択画面80のピン一覧表83には、仕様書との連携専用のピン種類のみに絞り込んでピンを表示することが好ましい。
【0103】
利用者がピン選択画面80において一または複数のピンを選択すると、仕様書管理部43は仕様書とピンとの連携を登録する。具体的には、仕様書-ピン連携テーブルT8を更新する。ここで、仕様書IDは、仕様書画面90に表示されている仕様書情報のIDである。ピンIDはピン選択画面80で選択されたピンのIDである。
【0104】
仕様書とピンとの連携が完了すると、図18に示すように、仕様書画面90のピン一覧表95に、仕様書と連携されたピンの情報が表示される。
【0105】
利用者が仕様書画面90のピン一覧表95から一のピンを選択すると、そのピンが設定された図面を表示する図面表示画面50(図17参照)を表示するようにしてもよい。具体的には、仕様書画面90において一のピンが選択されると、図面表示部20は選択されたピンが設定された図面画像を表示する図面表示画面50を利用者端末3に配信する。したがって、利用者端末3では、仕様書画面90から図面表示画面50に遷移する。仕様書画面90から図面表示画面50に遷移して、仕様書に関連付けられた設備の位置が表示されるので、仕様書と設備との対応関係が分かりやすい。仕様書から対象の設備の位置を把握することが容易である。
【0106】
また、図面表示画面50から仕様書画面90に遷移するようにしてもよい。具体的には、利用者が図面表示画面50において、仕様書と連携されたピンを選択すると、仕様書管理部43はそのピンに連携された仕様書の仕様書画面90(図18参照)を利用者端末3に配信する。ここで、利用者が図面表示画面50においてピン画像をクリックすると、直接仕様書画面90に遷移するようにしてもよいし、ピン情報画面60を介して間接的に仕様書画面90に遷移するようにしてもよい。図面表示画面50から仕様書画面90に遷移して、ピンに関連付けられた仕様書が表示されるので、仕様書と設備との対応関係が分かりやすい。図面に示された設備から報告書を入手することが容易である。
【0107】
つぎに、建築物管理システムCCの処理を説明する。
まず、利用者は、図面表示画面50(図17参照)においてピンを設定する。この際の建築物管理システムCCの処理は、図7のフローチャートに示したとおりである。
【0108】
つぎに、図19に示すように、利用者は、メニュー領域51に含まれるボタンを操作するなどして、仕様書画面90を要求する(ステップS51)。
【0109】
仕様書管理部43は仕様書画面90を利用者端末3に配信する(ステップS61)。そうすると、利用者端末3に仕様書画面90(図18参照)が表示される(ステップS52)。
【0110】
つぎに、利用者は、仕様書画面90に仕様書情報を入力する(ステップS53)。仕様書管理部43は入力された仕様書情報をデータベース10に登録する(仕様書管理処理:ステップS62)。
【0111】
仕様書管理部43は、登録された仕様書情報を表示する仕様書画面90を利用者端末3に配信する(仕様書管理処理:ステップS63)。そうすると、利用者端末3に仕様書画面90(図18参照)が表示される(ステップS54)。
【0112】
つぎに、利用者は、仕様書画面90においてピン追加ボタン94を押下する(ステップS55)。仕様書管理部43は、ピン選択画面80を利用者端末3に配信する(ステップS64)。そうすると、利用者端末3にピン選択画面80(図11参照)が表示される(ステップS56)。
【0113】
つぎに、利用者は、ピン選択画面80において、一または複数のピンを選択する(ステップS57)。仕様書管理部43は、仕様書とピンとを連携させる(仕様書管理処理:ステップS65)。具体的には、仕様書管理部43は、仕様書-ピン連携テーブルT8を更新する。
【0114】
ピン連携の後、利用者端末3には仕様書画面90(図18参照)が表示される。利用者が仕様書画面90において一のピンを選択すると、選択されたピンが設定された図面画像を表示する図面表示画面50(図17参照)を利用者端末3に配信する処理を行ってもよい。
【0115】
また、利用者が図面表示画面50において一のピンを選択すると、選択されたピンと関連付けられた仕様書の仕様書画面90を利用者端末3に配信する処理を行ってもよい。
【0116】
以上のように、建築物管理システムCCは、図面上のピンと関連付けて仕様書を作成できる。そのため、設備の位置情報と仕様書とを容易に取得できる。
【符号の説明】
【0117】
AA、BB、CC 建築物管理システム
1 管理サーバ
2 ネットワーク
3 利用者端末
10 データベース
20 図面表示部
30 ピン設定部
40 設備情報管理部
41 ピン情報管理部
42 報告書管理部
43 仕様書管理部
50 図面表示画面
60 ピン情報画面
70 報告書画面
80 ピン選択画面
90 仕様書画面
【要約】
【課題】図面上の位置と関連付けて設備情報を管理できる建築物管理システムを提供する。
【解決手段】建築物管理システムAAは、ネットワーク2を介して利用者端末3がアクセス可能な管理サーバ1を有する。管理サーバ1は、建築物の図面画像を表示する図面表示画面を利用者端末3に配信する図面表示部20と、図面表示画面において指定された図面画像上の位置にピンを設定するピン設定部30と、選択されたピンと関連付けて設備情報を登録するとともに、設備情報を表示する設備情報画面を利用者端末3に配信する設備情報管理部40とを有する。図面上にピンを設定し、ピンと関連付けて設備情報を登録できるので、設備の位置と情報との対応関係を把握しやすい。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19