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特許7319741可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 5/36 20060101AFI20230726BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20230726BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20230726BHJP
   B23Q 5/34 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B23Q5/36
B23B21/00 C
B23Q17/22 Z
B23Q5/34 510F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022540885
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2021080227
(87)【国際公開番号】W WO2021232902
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202010446005.2
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 遠流
(72)【発明者】
【氏名】胡 朋
(72)【発明者】
【氏名】陶 冶
(72)【発明者】
【氏名】杜 慧林
(72)【発明者】
【氏名】居 冰峰
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-031577(JP,A)
【文献】特開平03-256639(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109382700(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110142637(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109333133(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110125711(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103009071(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102554633(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103357894(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 5/28、36
B23B 21/00
B23Q 17/22
B23Q 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(100)と、ベース内に配置されたボイスコイルモータと、伝達機構を介してボイスコイルモータコイル(108)に接続された工具マウント(102)と、ボイスコイルモータの中心に設けられたガイド軸(107)を介して前記伝達機構に接続された変位測定機構と、を含む可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステムであって、前記伝達機構は、第1の可撓ヒンジ(103)と、第2の可撓ヒンジ(105)と、第1の可撓ヒンジ(103)と第2の可撓ヒンジ(105)との間に位置する第1の接続部材(104)と、第2の可撓ヒンジ(105)とボイスコイルモータコイル(108)との間に位置する第2の接続部材(106)と、を含み、前記工具マウント(102)、第1の可撓ヒンジ(103)、第1の接続部材(104)、第2の可撓ヒンジ(105)、第2の接続部材(106)およびガイド軸(107)の一端は、第1の横ネジによって同軸に連通され、前記第1の可撓ヒンジ(103)および第2の可撓ヒンジ(105)は同一形状のシート状十字構造であり、かつ十字アームの端部は前記ベース(100)に固定接続されることを特徴とする可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項2】
前記第1の可撓ヒンジ(103)および第2の可撓ヒンジ(105)の十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/2よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項3】
前記第1の可撓ヒンジ(103)の隣接する十字アームの相互間及び前記第2の可撓ヒンジ(105)の隣接する十字アームの相互間には、それぞれ、前記第1の可撓ヒンジ(103)に沿った断面及び前記第2の可撓ヒンジ(105)に沿った断面を前記ガイド軸(107)の軸方向から見て円弧状の接続部が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項4】
前記第2の接続部材(106)は、周方向に配置されたいくつかの横ネジによって前記ボイスコイルモータコイル(108)に固定接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項5】
前記変位測定機構は、グレーティングルーラー(112)と、グレーティングルーラー(112)の末端に設けられたグレーティングルーラー読み取りヘッド(114)と、前記グレーティングルーラー(112)と前記ガイド軸(107)の他端を接続する第3の可撓ヒンジ(111)および第3の接続部材(110)とを含み、前記グレーティングルーラー(112)、前記第3の可撓ヒンジ(111)、前記第3の接続部材(110)および前記ガイド軸(107)の他端は、第2の横ネジによって連通され、前記第3の可撓ヒンジ(111)はシート状十字構造であり、かつ十字アームの端部は前記ベース(100)に固定接続されることを特徴とする、請求項1-4のいずれか一項に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項6】
前記第3の可撓ヒンジ(111)の十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/3よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項7】
前記第3の可撓ヒンジ(111)の厚さおよび軸方向剛性は、前記第1の可撓ヒンジ(103)および第2の可撓ヒンジ(105)よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項8】
前記ベース(100)には、前記第3の可撓ヒンジ(111)を軸方向に制限するための制限ブロック(113)がさらに設けられ、前記制限ブロック(113)は、前記第3の接続部材(110)および前記ガイド軸(107)の他端よりも前記第3の可撓ヒンジ(111)を介してグレーティングルーラー(112)に近い側に位置することを特徴とする、請求項5に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項9】
前記ガイド軸(107)は、第2の接続部材(106)に近い一端部に、該一端部の直径よりも縮径され該ガイド軸(107)の変形を低減する段差構造が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【請求項10】
前記ベース(100)は、ベースプレート(1001)と筐体(1002)を含み、前記ボイスコイルモータのハウジング(109)は、複数のネジによって前記筐体(1002)に固定接続されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁駆動式高速工具サーボシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速工具サーボに関し、特に、可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超精密切削技術は、情報電子、光学、航空宇宙などの分野における主要部品の表面微細構造の重要な加工手段の一つである。本技術は、鋭い刃先、高硬度、優れた耐摩耗性、極薄の切削厚さなどの特性を持っているダイヤモンド工具によって、超円滑(表面粗さRaが10nm以下)かつ高精度(表面形状精度が100nm以上)の複雑な表面/曲面を加工できる利点がある。高速工具サーボ(Fast Tool Servo、FTS)は、最も代表的な超精密加工手段である。
【0003】
高速工具サーボ技術は、高剛性、高周波応答、高位置決め精度の特性を備えており、構造特徴サイクルが小さく、複雑な曲面形状を持つ三次元微細構造表面に特に適している。また、フォトリソグラフィー、フェムト秒レーザー加工技術、特殊エネルギーフィールド加工技術などと比較して、高速工具サーボ技術は、高い表面形状処理精度、自由曲面の製造能力とバッチ複製能力を備えており、三次元微細構造の自由曲面の処理では、明らかな利点がある。
【0004】
しかし、加工材料の多様化や加工環境の過酷化に伴い、各分野での高速工具サーボ超精密加工システムに対する要求も厳しくなり、広いストローク(1mm)範囲内で非常に高い加工精度(1nm)が求められる。現在、一般的に使用されている圧電セラミックス駆動式の高速工具サーボシステムは、ストロークが通常数十ミクロンであるため、要求を満たさない。また、磁歪式やマクスウェル力駆動式の高速工具サーボシステムは、その非線形性や磁歪効果により、超高加工精度の要求を満たすことが困難である。
【0005】
それに対し、電磁駆動式高速工具サーボシステムは、ボイスコイルモータの急速な発展により、徐々にその優位性が明らかになりつつあり、大ストローク・高精度で幅広い発展見通しが期待できる。しかし、それは依然として伝達機構によって制限され、すなわち、圧電セラミックス駆動式の高速工具サーボシステムに使用される可撓ヒンジは、ストロークが小さく、剛性がボイスコイルモータの動作範囲よりも遥かに大きく、空気浮上ガイドレールと超精密ベアリングも、軸方向と横方向の精度に対する高速工具サーボ加工システムの要件を満たすことが困難である。
【0006】
そこで、上記の欠点に対して、可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステムを提案し、以下の問題が解決される。
【0007】
1.大ストロークの高速工具サーボシステムに使用される伝達機構は、ストロークが小さすぎる。
【0008】
2.大ストロークの高速工具サーボシステムに使用される伝達機構は、システムの軸方向と横方向の精度を確保することが困難である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、超精密加工システムによる大ストロークと高精度の要求に対して、可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステムを提供することを目的とし、同一ではない3つの可撓ヒンジの設計により、システムの大ストロークを確保した上で、機構の軸方向と横方向の剛性を向上させ、機構の伸縮による変形やストロークの損失を低減し、システムの加工時の軸方向および横方向の精度を向上させ、電磁駆動式の大ストローク且つ高精度の高速工具サーボシステムの設計・開発を実現する。
【0010】
上記の目的を実現するために、本発明は以下のような技術的解決手段を採用する。
【0011】
可撓ヒンジ組合せ機構による電磁駆動式高速工具サーボシステムであって、ベースと、ベース内に配置されたボイスコイルモータと、伝達機構を介してボイスコイルモータコイルに接続された工具マウントと、ボイスコイルモータの中心に設けられたガイド軸を介して前記伝達機構に接続された変位測定機構と、を含み、前記伝達機構は、第1の可撓ヒンジと、第2の可撓ヒンジと、第1の可撓ヒンジと第2の可撓ヒンジとの間に位置する第1の接続部材と、第2の可撓ヒンジとボイスコイルモータコイルとの間に位置する第2の接続部材とを含み、前記工具マウント、第1の可撓ヒンジ、第1の接続部材、第2の可撓ヒンジ、第2の接続部材およびガイド軸の一端は、第1の横ネジによって同軸に接通され、前記第1の可撓ヒンジおよび第2の可撓ヒンジは同一形状のシート状十字構造であり、かつ十字アームの端部は前記ベースに固定接続される。
【0012】
さらに、前記第1の可撓ヒンジおよび第2の可撓ヒンジの十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/2よりも大きい。
【0013】
さらに、前記第1の可撓ヒンジと第2の可撓ヒンジの隣接する十字アームの間には、円弧状の接続部が設けられる。
【0014】
さらに、前記第2の接続部材は、周方向に配置されたいくつかの横ネジによって前記ボイスコイルモータコイルに固定接続される。
【0015】
さらに、前記変位測定機構は、グレーティングルーラーと、グレーティングルーラーの末端に設けられたグレーティングルーラー読み取りヘッドと、前記グレーティングルーラーとガイド軸の他端を接続する第3の可撓ヒンジおよび第3の接続部材を含み、前記グレーティングルーラー、第3の可撓ヒンジ、第3の接続部材およびガイド軸の他端は、第2の横ネジによって連通され、前記第3の可撓ヒンジはシート状十字構造であり、かつ十字アームの端部は前記ベースに固定接続される。
【0016】
さらに、前記第3の可撓ヒンジの十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/3よりも小さい。
【0017】
さらに、前記第3の可撓ヒンジの厚さおよび軸方向剛性は、第1の可撓ヒンジおよび第2の可撓ヒンジよりも小さい。
【0018】
さらに、前記ベースには、第3の可撓ヒンジを軸方向に制限するための制限ブロックがさらに設けられ、前記制限ブロックは、グレーティングルーラーに近い側に位置する。
【0019】
さらに、前記ガイド軸は、第2の接続部材に近い端部に段差構造が設けられる。
【0020】
さらに、前記ベースは、ベースプレートと筐体を含み、前記ボイスコイルモータのハウジングは、複数のネジによって前記筐体に固定接続される。
【0021】
既存技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0022】
一、本発明によって設計された可撓ヒンジは、大ストローク高速工具サーボシステムのストローク、およびボイスコイルモータによる伝達機構の剛性への要求を満たし、大ストロークの伝達を実現した。
【0023】
二、当該可撓ヒンジセットにおける異なるヒンジの軸方向剛性の違いにより、ガイド軸の変形を低減し、ダイヤモンド工具とグレーティングルーラーの軸方向の変位の整合性を確保した。
【0024】
三、当該可撓ヒンジセットにおける異なるヒンジの横方向剛性と曲げ剛性の比により、重力によるダイヤモンドチップの横方向のズレを低減し、当該電磁駆動式の大ストローク且つ高精度の高速工具サーボシステムの加工精度を確保した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に係る電磁駆動式高速工具サーボシステムの構造を示す模式図である。
図2図1の実施例の前方方向における中央断面図である。
図3図2の実施例の第1の可撓ヒンジ(B-B)に沿った断面図である。
図4図2の実施例の第2の可撓ヒンジ(C-C)に沿った断面図である。
図5図2の実施例の第3の可撓ヒンジ(D-D)に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明をさらに理解するために、本発明の好ましい実施形態を実施例とともに以下に説明するが、これらの説明は、本発明の特徴および利点をさらに説明するためのものに過ぎず、本発明の請求項を限定するものではないことを理解すべきである。
【0027】
本発明の実施例は、可撓ヒンジを伝達機構とする電磁駆動式の大ストローク且つ高精度の高速工具サーボシステムに関し、超精密加工・計測製品が主要部品として使用される情報電子、航空宇宙、新エネルギー、バイオメディカルなどの分野に適用される。
【0028】
図1および2に示すように、本実施例に係る可撓ヒンジを伝達機構とする電磁駆動式の大ストローク且つ高精度の高速工具サーボシステムは、
複数のネジによって固定接続されるベースプレート1001と筐体1002を含むベース100と、
ボイスコイルモータのハウジング109とボイスコイルモータコイル108を含む、筐体1002内に配置されたボイスコイルモータと、を含む。ここで、ボイスコイルモータのハウジング109は、複数のネジによって筐体1002に固定接続され、ボイスコイルモータの安定した動作状態が確保される。
【0029】
ボイスコイルモータの中心部には、ガイド軸107が取り付けられた貫通穴が設けられる。当該ガイド軸107の直径は、ボイスコイルモータのハウジングの中心孔径よりもわずかに小さく、両端がねじ山付き内穴構造となっている。
【0030】
ガイド軸107の一端およびボイスコイルモータコイル108は、伝達機構を介して工具マウント102に接続される。当該伝達機構は、第1の可撓ヒンジ103と、第2の可撓ヒンジ105と、第1の可撓ヒンジ103と第2の可撓ヒンジ105との間に位置する第1の接続部材104と、第2の可撓ヒンジ105とボイスコイルモータコイル108との間に位置する第2の接続部材106と、を含む。ここで、工具マウント102において、第1の可撓ヒンジ103、第1の接続部材104、第2の可撓ヒンジ105と第2の接続部材106の中心部、およびガイド軸107の一端には、いずれも位置/大きさが適合した貫通穴/ねじ穴が設けられ、それにより、一体型可動部材の前端を形成できるように、上記部材が同一の横ネジによって同軸に接通される。同時に、第2の接続部材106は、周方向に配置されたいくつかの横ネジによってボイスコイルモータコイル108に固定接続される。このように、ボイスコイルモータによって、当該伝達機構は工具マウント102を移動させることができる。
【0031】
図3および4に示すように、本実施例では、第1の可撓ヒンジ103および第2の可撓ヒンジ105は、同一形状のシート状十字構造であり、かつ十字アームの端部はいくつかのネジによって筐体1002に固定接続される。
【0032】
好ましい実施形態として、第1の可撓ヒンジ103および第2の可撓ヒンジ105の十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/2よりも大きい。十字アームの幅を広くすることで、その軸方向剛性を確保しつつ、横方向剛性とねじり剛性を高めることができる。
【0033】
さらに好ましい実施形態として、第1の可撓ヒンジ103と第2の可撓ヒンジ105の隣接する十字アームの間には、円弧状の接続部が設けられる。当該円弧状の接続部により、応力が集中することが低減され、横方向と曲げ剛性が強化される。
【0034】
本実施例では、工具マウント102にはダイヤモンド工具101が設けられ、縦ネジによって工具マウント102に接続され、また、工具マウント102にはダイヤモンド工具101を位置決めして制限するための凹状段差が設けられる。
【0035】
図2に示すように、本実施例に係る高速工具サーボシステムは、後端に設けられた変位測定機構をさらに含む。当該変位測定機構は、グレーティングルーラー112と、グレーティングルーラー112の末端に設けられたグレーティングルーラー読み取りヘッド114と、グレーティングルーラー112とガイド軸107の他端を接続する第3の可撓ヒンジ111および第3の接続部材110を含む。ここで、グレーティングルーラー112、第3の可撓ヒンジ111、第3の接続部材110およびガイド軸107の他端には、位置/大きさが適合した貫通穴/ねじ穴が設けられ、それにより、上記部材が同一の横ネジによって連通される。
【0036】
図5に示すように、本実施例では、第3の可撓ヒンジ111は、シート状十字構造であり、かつ十字アームの端部はいくつかのネジによって筐体1002に固定接続される。当該第3の可撓ヒンジの設計により、ボイスコイルモータコイルの重力によるダイヤモンド工具の横方向のズレが低減される。
【0037】
好ましい実施形態として、第3の可撓ヒンジ111の十字アームの幅は、ヒンジの全幅の1/3よりも小さい。
【0038】
さらに好ましい実施形態として、第3の可撓ヒンジ111の厚さおよび軸方向剛性は、第1の可撓ヒンジ103および第2の可撓ヒンジ105よりも小さい。
【0039】
本実施例では、第3の可撓ヒンジの設計により、ガイド軸にかかる力が弱められ、ガイド軸の軸方向変形が低減され、ダイヤモンド工具とグレーティングルーラーの軸方向変位の一致性を確保するようになる。
【0040】
さらに好ましい実施形態として、本実施例では、ガイド軸107は、第2の接続部材106に近い端部に段差構造が設けられることで、ガイド軸の変形が低減される。
【0041】
図2に示すように、本実施例に係る高速工具サーボシステムにおいて、ベース100には、第3の可撓ヒンジ111を軸方向に制限するための制限ブロック113がさらに設けられる。当該制限ブロック113は、グレーティングルーラー112に近い側に位置する。
【0042】
本実施例に係る高速工具サーボシステムでは、完全に同一ではない3つの可撓ヒンジによってシステムの軸方向および横方向の安定性を確保すると同時に、システムの関連部材の軸方向および横方向の変形を低減する。
【0043】
本実施例に係る高速工具サーボシステムを取り付ける場合、まずボイスコイルモータのハウジングを固定し、次にボイスコイルモータコイル、第1の可撓ヒンジ、第2の可撓ヒンジ、第3の可撓ヒンジ、ガイド軸およびそれらの間の接続部材などを含む関連可動部材を組み立て、その後、可動部材と変位測定機構/制限ブロックなどを固定板に取り付け、最後に、システムを加工台に取り付ける。
【0044】
以上の実施例の説明は、本発明の方法とその中心思想を容易に理解するためにのみ使用される。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改良および修正が可能であり、これらも本発明の請求項の保護範囲に含まれることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5