(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20230726BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20230726BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2022580194
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2022012671
(87)【国際公開番号】W WO2022196799
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021044987
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318004947
【氏名又は名称】株式会社ファーストスクリーニング
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金澤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】角田 義人
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028625(JP,A)
【文献】特開2020-119324(JP,A)
【文献】特開2017-153938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の時系列バイタルデータを取得する第1取得手段と、
前記被験者に関し、各々が複数のタイミングで取得された複数種類の非バイタルデータを取得する第2取得手段と、
情報を表示する表示手段と、
ユーザの指示を受け付ける受け付け手段と
を有し、
前記表示手段が、前記時系列バイタルデータにより示される、バイタルデータの時間変化のグラフであって、前記非バイタルデータを含まないグラフを表示し、
前記受け付け手段が、前記グラフ上において前記
時系列バイタルデータの時間変化における特徴点の指定を受け付け、
前記受け付け手段が前記指定を受け付けたことを契機として、前記表示手段が、前記複数種類の非バイタルデータのうち決定された種類の非バイタルデータであって、前
記特徴点に対応する時間帯に属するタイミングで取得された非バイタルデータを表示し、
前記非バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、
前記特徴点は、第1種類の特徴点及び第2種類の特徴点を含み、
前記第1種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第1種類の非バイタルデータを表示し、
前記第2種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第2種類の非バイタルデータを表示する
情報処理装置。
【請求項2】
前記特徴点に対応する時間帯に属するタイミングで取得された前記非バイタルデータは、前記特徴点を示す時刻を含む時間帯に生成された非バイタルデータであり、
前記時系列バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、
前記第1種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合と前記第2種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合とで、前記時間帯の長さが異なる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記時系列バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、
前記複数種類の非バイタルデータは、第3種類のデータ及び第4種類のデータを含み、
前記第1種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合、前記表示手段は前記第3種類の前記非バイタルデータを表示し、
前記第2種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合、前記表示手段は前記第4種類の前記非バイタルデータを表示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数種類の非バイタルデータは、前記被験者が摂った食事、当該被験者が行った運動、及び当該被験者のスケジュールの少なくともいずれかを示すデータを含む
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定された種類の非バイタルデータは、ユーザによりあらかじめ設定された種類の非バイタルデータである
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定された種類の非バイタルデータは、バイタルデータとの対応関係があらかじめ決められた種類の非バイタルデータである
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
表示手段を有するコンピュータに、
被験者の時系列バイタルデータを取得するステップと、
前記被験者に関し、各々が複数のタイミングで取得された複数種類の非バイタルデータを取得するステップと、
前記時系列バイタルデータにより示される、バイタルデータの時間変化のグラフであって、前記非バイタルデータを含まないグラフを前記表示手段に表示するステップと、
前記グラフ上において前記
時系列バイタルデータの時間変化における特徴点の指定を受け付けるステップと、
前記指定を受け付けたことを契機として、前記複数種類の非バイタルデータのうち決定された種類の非バイタルデータであって、前
記特徴点に対応する時間帯に属するタイミングで取得された非バイタルデータを前記表示手段に表示するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記非バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、
前記特徴点は、第1種類の特徴点及び第2種類の特徴点を含み、
前記第1種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第1種類の非バイタルデータを表示し、
前記第2種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第2種類の非バイタルデータを表示する
プログラム。
【請求項8】
表示手段を有するコンピュータが、
被験者の時系列バイタルデータを取得するステップと、
前記被験者に関し、各々が複数のタイミングで取得された複数種類の非バイタルデータを取得するステップと、
前記時系列バイタルデータにより示される、バイタルデータの時間変化のグラフであって、前記非バイタルデータを含まないグラフを前記表示手段に表示するステップと、
前記グラフ上において前記
時系列バイタルデータの時間変化における特徴点の指定を受け付けるステップと、
前記指定を受け付けたことを契機として、前記複数種類の非バイタルデータのうち決定された種類の非バイタルデータであって、前
記特徴点に対応する時間帯に属するタイミングで取得された非バイタルデータを前記表示手段に表示するステップと
を有し、
前記非バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、
前記特徴点は、第1種類の特徴点及び第2種類の特徴点を含み、
前記第1種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第1種類の非バイタルデータを表示し、
前記第2種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第2種類の非バイタルデータを表示する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者のバイタルデータを用いて被験者の健康管理の補助をする技術を提供する。
【背景技術】
【0002】
被験者のバイタルデータを提示する技術が知られている。例えば特許文献1には、顔面の写真から得られる皮膚温度データ又は血行量データを、β波の振幅等の他のパラメータと並列表示させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において表示されるのはβ波の振幅といった専門的なパラメータであり、専門的な知識を持たない一般ユーザがこれを理解するのは困難であった。
【0005】
これに対し本発明は、バイタルデータの時系列変化における特徴点に対応する非バイタルデータを出力する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被験者の時系列バイタルデータを取得する第1取得手段と、前記被験者に関する複数の非バイタルデータを取得する第2取得手段と、前記複数の非バイタルデータのうち、前記時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を示す時刻に対応する非バイタルデータを表示する表示手段とを有する情報処理装置を提供する。
【0007】
前記表示手段は、前記時系列バイタルデータにより示される、バイタルデータの時間変化のグラフを表示し、前記グラフ上において前記特徴点の指定を受け付ける受け付け手段を有し、前記表示手段は、前記受け付け手段が前記指定を受け付けたことを契機として、前記特徴点を示す時刻に対応するデータを表示してもよい。
【0008】
前記特徴点を示す時刻に対応する非バイタルデータは、前記特徴点を示す時刻を含む時間帯に生成された非バイタルデータであり、前記時系列バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、前記第1種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合と前記第2種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合とで、前記時間帯の長さが異なってもよい。
【0009】
前記時系列バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、前記非バイタルデータは、第3種類のデータ及び第4種類のデータを含み、前記第1種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合、前記表示手段は前記第3種類の前記非バイタルデータを表示し、 前記第2種類の時系列バイタルデータについて前記特徴点が指定された場合、前記表示手段は前記第4種類の前記非バイタルデータを表示してもよい。
【0010】
前記非バイタルデータは、第1種類のデータ及び第2種類のデータを含み、前記特徴点は、第1種類の特徴点及び第2種類の特徴点を含み、前記第1種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第1種類の非バイタルデータを表示し、前記第2種類の特徴点が指定された場合、前記表示手段は、前記第2種類の非バイタルデータを表示してもよい。
【0011】
前記非バイタルデータは、前記被験者が摂った食事、当該被験者が行った運動、及び当該被験者のスケジュールの少なくともいずれかを示すデータを含んでもよい。
【0012】
また、本発明は、コンピュータに、被験者の時系列バイタルデータを取得するステップと、前記被験者に関する複数の非バイタルデータを取得するステップと、前記複数の非バイタルデータのうち、前記時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を示す時刻に対応する非バイタルデータを表示するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、被験者の時系列バイタルデータを取得するステップと、前記被験者に関する複数の非バイタルデータを取得するステップと、前記複数の非バイタルデータのうち、前記時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を示す時刻に対応する非バイタルデータを表示するステップとを有する情報処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る健康補助システム1の概要を示す図。
【
図3】ユーザ端末30のハードウェア構成を例示する図。
【
図5】解析システム40のハードウェア構成を例示する図。
【
図6】健康補助システム1の動作の概要を例示する図。
【
図7】解析処理の詳細を例示するシーケンスチャート。
【
図10】UI部37に表示される画面を例示した図。
【
図11】UI部37に表示される画面を例示した図。
【符号の説明】
【0015】
1…健康補助システム、30…ユーザ端末、31…記憶部、32…無線通信部、34…取得部、35…通信部、36…制御部、37…UI部、40…解析システム、41…通信部、42…記憶部、43…解析部、45…出力部、46…制御部、301…CPU、302…メモリ、303…ストレージ、304…LTEチップ、305…WiFiチップ、306…アンテナ、307…タッチスクリーン、308…スピーカ、309…カメラ、401…CPU、402…メモリ、403…ストレージ、404…NIC
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.構成
図1は、第1実施形態に係る健康補助システム1の概要を示す図である。健康補助システム1は、被験者のバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータを用いて、被験者に対して健康補助のための情報を提供するシステムである。ここでいう被験者は動物であり、人間、ペット、及び家畜を含む。バイタルデータは、被験者から取得される、被験者の生命兆候に関する情報(被験者が生きている状態であるということを示す情報)である。ここでいう被験者は、人間でも動物でもよい。バイタルデータは例えば、被験者の体温、心拍、呼吸、脈拍、血圧、意識の有無、及び尿中の特定成分の検知結果を示すデータである。
【0017】
一例として、被験者の尿中の特定成分の検知結果を示すデータが、バイタルデータとして用いられる。この場合、尿中の特定成分を検知する尿センサー(図示略)により被験者の尿中の特定成分が検知される。尿中の特定成分を検知するセンサー素子としては、例えば酵素を用いたバイオセンサー又はダイヤモンド電極を用いたセンサーが用いられる。
【0018】
健康補助システム1は、ユーザ端末30及び解析システム40を有する。ユーザ端末30は、被験者のバイタルデータを取得するとともに、被験者に関する非バイタルデータを取得し、被験者の健康に関する情報を表示する。非バイタルデータは、被験者の生命兆候に関する情報以外の情報である。非バイタルデータは例えば、被験者が摂取した飲食物に関する情報を含むデータ、被験者が行った運動に関する情報を含むデータ、及び被験者のスケジュールを示すデータの少なくともいずれか一種を含む。飲食物に関する情報とは、例えば、飲食物を摂取した時刻、摂取した飲食物の名前、及び摂取した量を特定する情報、又は料理の写真である。運動に関する情報とは、例えば、被験者が行った運動に関する情報、例えば、運動の強度及び運動時間を特定する情報である。
【0019】
解析システム40は、被験者のバイタルデータを解析し、解析結果に応じた情報をユーザ端末30に送信する。なお
図1では、1台のユーザ端末30が示されているが、健康補助システム1は、複数のユーザ端末30を有してもよい。
【0020】
図2は、ユーザ端末30の機能構成を例示する図である。ユーザ端末30は、バイタルデータの解析により得られた情報を表示する。ユーザ端末30は、被験者又は被験者であるペットの飼い主等のユーザにより所持される。
【0021】
ユーザ端末30は、記憶部31、無線通信部32、取得部34、通信部35、制御部36、及びUI部37を有する。記憶部31は、各種のデータを記憶する。記憶部31が記憶するデータには、ユーザ端末30のユーザを特定する識別子(以下「ユーザ識別子」という)が含まれる。
【0022】
無線通信部32は、他の機器から無線信号を受信する。無線通信部32は、送信機20の無線通信部24と同じ通信規格(例えばBluetooth(登録商標))に準拠する。
【0023】
取得部34(第1取得手段、第2取得手段、受け付け手段の一例)は、解析システム40から、被験者の時系列バイタルデータを取得するとともに、バイタルデータを用いた解析の結果に応じた情報を取得する。解析の結果に応じた情報とは、バイタルデータの解析結果そのものを示す情報であってもよいし、解析結果を用いて得られる情報であってもよい。
【0024】
また、取得部34は、被験者に関する複数の非バイタルデータを取得する。非バイタルデータは、ユーザ端末30により生成される。ユーザ端末30は、非バイタルデータにタイムスタンプを付す。非バイタルデータとして料理の写真が用いられる場合、ユーザは、食事を摂る際にカメラ309で料理の写真を撮る。この写真にタイムスタンプが付与され、このタイムスタンプにより飲食物を摂取した時刻が得られる。
【0025】
通信部35は、所定の通信規格に従って通信を行う。通信部35が従う通信規格は、無線通信部32が従う通信規格とは異なっており、一例としては、LTE(Long Term Evolution)等の移動通信規格、又はWi-Fi等の無線LAN規格である。制御部36は、ユーザ端末30の他の要素を制御する。
【0026】
UI部37(表示手段の一例)は、ユーザ端末30のユーザに対するUIを提供する。UI部37は、ユーザから指示又は情報の入力を受け付ける受け付け部(又は入力部)、及びユーザに対して各種の情報を出力する出力部としての機能を有する。出力部には、各種の情報を視覚的に出力する表示部が含まれる。
【0027】
図3は、ユーザ端末30のハードウェア構成を例示する図である。ユーザ端末30は、CPU301、メモリ302、ストレージ303、LTEチップ304、WiFiチップ305、アンテナ306、タッチスクリーン307、スピーカ308、及びカメラ309を有するコンピュータ装置、例えばスマートフォンである。CPU301は、プログラムに従って各種の演算を行い、他のハードウェア要素を制御する装置である。メモリ302は、各種のデータを記憶する主記憶装置である。ストレージ303は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置である。LTEチップ304は、LTE規格に従って通信するためのチップセットである。WiFiチップ305は、WiFi規格に従って通信するためのチップセットである。アンテナ306は、LTEチップ304及びWiFiチップ305が電波を送受信するためのアンテナである。タッチスクリーン307は、情報を表示するディスプレイと、表示装置の画面上に設けられたタッチセンサーとを有する入出力装置である。スピーカ308は、音を出力する出力装置である。カメラ309は、撮影し、撮影した画像データを出力する撮影装置である。
【0028】
この例において、ストレージ303は、コンピュータ装置をユーザ端末30として機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という)を記憶している。CPU301がクライアントプログラムを実行することにより、
図2に示される機能がコンピュータ装置に実装される。CPU301がクライアントプログラムを実行している状態において、メモリ302及びストレージ303は記憶部31の一例である。WiFiチップ305及びアンテナ306は無線通信部32の一例である。CPU301は取得部34、及び制御部36の一例である。LTEチップ304及びアンテナ306は通信部35の一例である。
【0029】
図4は、解析システム40の機能構成を例示する図である。解析システム40は、ユーザ端末30から出力されるバイタルデータを用いて、そのユーザの健康状態を解析する。解析システム40は、ユーザ端末30とは物理的に別の装置(例えば、いわゆるクラウド)に実装されてもよいし、ユーザ端末30と同じ装置に実装されてもよい。解析システム40を例えばクラウドに実装することにより、ユーザ端末30の負荷を低減できるという効果、及び複数のユーザに関するバイタルデータを統計処理できるという効果が奏される。解析システム40をユーザ端末30と同じ装置に実装することにより、ユーザ端末30をスタンドアローンで使用できるという効果、及びバイタルデータのプライバシーが保たれるという効果が奏される。ここでは一例として、解析システム40がクラウドに実装される例を用いる。
【0030】
解析システム40は、通信部41、記憶部42、解析部43、出力部45、及び制御部46を有する。通信部41は、ユーザ端末30と通信する。記憶部42は、各種のデータを記憶する。この例において記憶部42に記憶されるデータには、尿中の特定成分の検知結果(バイタルデータ)を時系列に記録したデータ(以下「時系列バイタルデータ」という)が含まれる。記憶部42は、この時系列バイタルデータを、複数のユーザの各々について記憶する。解析部43は、時系列バイタルデータを用いてそのユーザの健康状態を解析する。健康状態の解析は、所定のアルゴリズムに従って行われる。健康状態の解析には、ディープラーニング等のAI(Artificial Intelligence)技術が用いられてもよい。
【0031】
出力部45は、解析部43における解析結果に関連する情報(以下「関連情報」という)を示すデータ(以下「関連情報データ」という)をユーザ端末30に出力する。関連情報は、例えば、解析結果を直接示す情報(例えば、時系列バイタルデータをグラフとして視覚化した情報)、時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を示す時刻に関する情報、及び、解析結果に解釈を加えた情報(例えば、時系列バイタルデータから推測した病名を提示する情報)である。特徴点は、時系列バイタルデータの時間変化における特徴的な点をいう。特徴点は、例えば、グラフ上のピーク値、変曲点、又は極小値である。ピーク値、変曲点、及び極小値は、第1種類の特徴点及び第2種類の特徴点の一例である。制御部46は、各種の制御を行う。
【0032】
図5は、解析システム40のハードウェア構成を例示する図である。解析システム40は、CPU401、メモリ402、ストレージ403、及びNIC(Network Interface Controller)404を有するコンピュータ装置、例えばインターネット上のサーバ装置である。CPU401は、プログラムに従って各種の演算を行い、他のハードウェア要素を制御する装置である。メモリ402は、各種のデータを記憶する主記憶装置である。ストレージ403は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置である。NIC404は、所定の通信規格(例えばイーサネット)に従った通信を行うための装置である。
【0033】
この例において、ストレージ403は、コンピュータ装置を解析システム40として機能させるためのプログラム(以下「解析プログラム」という)を記憶している。CPU401が解析プログラムを実行している状態において、NIC404は通信部41の一例である。メモリ402及びストレージ403は記憶部42の一例である。CPU401は、解析部43、出力部45、及び制御部46の一例である。
【0034】
2.動作
図6は、健康補助システム1の動作の概要を例示する図である。ステップS1において、健康補助システム1は、ユーザのバイタルを測定する。ステップS2において、健康補助システム1は、非バイタルデータを取得する。ステップS3において、健康補助システム1は、バイタルデータを解析する。ステップS4において、健康補助システム1は、バイタルデータの解析結果に応じた情報をユーザに提供する。この実施形態において、ユーザ端末30には、健康補助システム1に対応するアプリケーション(以下「健康補助アプリ」という)が予めインストールされている。
【0035】
2-1.測定
例えばバイタルデータとして被験者の尿中の特定成分が検知される例を考える。尿センサーにより被験者の尿中の特定成分が検知され、検知された測定値を示すバイタルデータが解析システム40に出力される。特定成分としては、例えば、pH、尿酸値、シュウ酸値、及び尿糖値が検知される。バイタルデータには属性データが付加される。属性データは、測定値の属性を示すデータであり、この例においては、測定時刻を示すタイムスタンプ及び測定の対象となったユーザを特定するユーザ識別子を含む。記憶部31は、収束した測定値を示すバイタルデータを記憶する。
【0036】
この場合に用いられる尿センサーは、ユーザ端末30と通信する機器であってもよく、また、解析システム40と通信する機能を備えた端末に設けられたものであってもよい。
【0037】
2-2.非バイタルデータの収集
この実施形態では、被験者が摂った食事の写真を示すデータ、被験者が行った運動を示すデータ、及び被験者のスケジュールを示すデータが、非バイタルデータとして用いられる。非バイタルデータは、健康補助アプリとは異なるアプリにより管理されている。例えば、非バイタルデータとして料理の写真が用いられる場合を考える。この写真はカメラアプリにより撮影されたものであり、画像データとして所定のフォルダに保存される。この写真は、画像データを管理するアプリにより管理されており、画像ビューワーアプリによって閲覧することができる。被験者は、食事を摂る際、ユーザ端末30により料理の写真を撮影する。それらの写真データは、他の写真データ(料理以外の写真データ)とともにユーザ端末30の記憶部に格納される。
【0038】
運動データは、例えば、ジョギング30分、テニス1時間、といった運動の内容を示すデータである。運動データは、例えば歩数を計測する歩数計アプリ、又はジョギングの記録を行うためのジョギングアプリにより生成される。
【0039】
スケジュールデータは、ユーザの予定又はユーザが参加するイベントを示すデータである。スケジュールデータは、ユーザのスケジュールを管理するスケジュールアプリにより生成される。
【0040】
2-3.バイタルデータの解析
図7は、バイタルデータの解析処理の詳細を例示するシーケンスチャートである。ステップS201において、解析システム40の通信部41は、ユーザ端末30(又は他の端末)からバイタルデータを受信する。ステップS202において、記憶部42は、バイタルデータ及び属性データを記憶する。この例において属性データはタイムスタンプ及びユーザ識別子を含んでいるので、複数の測定タイミングにおけるバイタルデータが蓄積されると、記憶部42は、バイタルデータを時系列で記憶するといえる。
【0041】
ステップS203において、解析部43は、あるユーザについて健康状態の解析をトリガするイベントを検知する。このイベントは、健康状態の解析の対象となる被験者(以下「対象被験者」という)を特定する識別子を解析システム40が受信する処理を含む。このイベントは、例えば、ユーザ端末30においてユーザが健康状態の解析を指示した(又はこの指示が解析システム40に通知された)というイベントである。あるいは、このイベントは、ユーザ端末30から新たなバイタルデータを受信したというイベントであってもよい。さらにあるいは、このイベントは、前回、対象ユーザについて健康状態の解析を行ってから所定の時間が経過したというイベントである。健康状態の解析をトリガするイベントが検知された場合、解析部43は、処理をステップS204に移行する。
【0042】
ステップS204において、解析部43は、ユーザ識別子により特定される対象被験者の時系列バイタルデータを解析し、関連情報データを生成する。解析される時系列バイタルデータは、複数の種類のデータを含む。また、解析部43は、時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を特定する。
【0043】
2-4.情報提供
解析システム40の出力部45は、解析部43が生成した関連情報データを、対象被験者のユーザ端末30に出力する。ユーザ端末30の取得部34は、解析システム40から関連情報データを取得する。UI部37は、関連情報データをユーザに提供する。
【0044】
図8は、UI部37に表示される画面を例示した図である。
図8の例では、UI部37には、時系列バイタルデータのグラフg21が表示される。グラフg21は、時系列バイタルデータにより示される、バイタルデータの時間変化のグラフである。
【0045】
グラフg21が表示されている状態において、ユーザは、UI部37に表示されたグラフg21における特徴点を選択することができる。ユーザ端末30は、UI部37から出力される情報に応じてグラフg21において特徴点の指定を受け付ける。ユーザ端末30は、ユーザによる指定を受け付けたことを契機として、特徴点を示す時刻に対応するデータをUI部37に表示する。
【0046】
図9は、UI部37に表示される画面を例示した図である。
図9の例では、
図8に例示される画面において表示されている特徴点P21がユーザにより選択された場合に表示される画面G12が例示されている。画面G12には、特徴点P21を示す時刻に対応する非バイタルデータの示す料理の写真I21、及び料理の写真がAIにより解析された結果を示す情報(カロリー、栄養素、等)I22が表示される。
【0047】
特徴点に対応する非バイタルデータの特定処理は、例えば以下のようにして行われる。どの種類の非バイタルデータ(食事の写真、運動、又はスケジュール)を表示するのかは、予めユーザが設定する。例えば、非バイタルデータとして食事の写真を表示するとユーザが設定した場合を例に考える。健康補助アプリのグラフ表示画面においてユーザが特徴点(例えば
図8のP21)をタッチすると、健康補助アプリは、OS又は画像ビューワーアプリが提供するAPIに対し、ある時間範囲における料理写真の出力を要求する。この時間範囲は、例えば、グラフ表示においてタッチされた特徴点の前のプロットから特徴点までの時間帯である。具体的には例えば、ユーザにより選択された特徴点の時刻が10:00で、1つ前の特徴点の時刻が8:00である場合、健康補助アプリは、8時から10時の間において、10時に最も近い時間帯の写真を要求する。OS又はアプリのAPIは、要求に応じた画像を記憶部31から抽出して、出力する。
【0048】
変形例として、検索される非バイタルデータの種類が、ユーザにより設定されるのでなく、バイタルデータに応じて自動的に決定されてもよい。例えば、尿糖値のグラフの特徴点がタッチされると食事の写真が検索され、尿pHのグラフの特徴点がタッチされるとスケジュールが検索されてもよい。
【0049】
別の変形例として、検索される非バイタルデータの種類が、ユーザにより設定されるのでなく、バイタルデータに応じて自動的に決定されてもよい。例えば、尿糖値のグラフにおいて、ピークがタッチされると食事の写真が検索され、極小値がタッチされると運動記録が検索されてもよい。
【0050】
このように、UI部37は、対象被験者に関する複数の非バイタルデータのうち、時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を示す時刻に対応する非バイタルデータを表示する。
【0051】
図10及び
図11は、UI部37に表示される他の画面を例示した図である。
図10の例では、
図8に例示された時系列バイタルデータとは異なる種類の時系列バイタルデータにより示されるバイタルデータの時間変化のグラフg32が表示される。
図10に例示される画面に表示されている特徴点p32がユーザにより選択されることにより、
図11に例示される画面G22が表示される。
図9の例では、特徴点P21に対応する非バイタルデータとして、特徴点P21を示す時刻を含む時間帯に生成された食事の写真データの表す画像が表示された。これに対し、
図11の例では、特徴点P32に対応する非バイタルデータとして、特徴点P32を示す時刻を含む時間帯に生成された運動データの表す内容が表示されている。
【0052】
図8乃至
図11に示されるように、この実施形態では、第1種類の時系列バイタルデータについて特徴点が指定された場合と、第2種類の時系列バイタルデータについて特徴点が指定された場合とで、表示対象とする非バイタルデータが生成された時間帯の長さが異なっている。具体的には、
図9及び
図11の例では、タンパク質のバイタルデータについて特徴点が指定された場合と、尿糖値のバイタルデータについて特徴点が指定された場合とで、表示される非バイタルデータの時間帯の長さが異なる。
【0053】
また、この実施形態では、ユーザ端末30は、第1種類の時系列バイタルデータについて特徴点が指定された場合、第3種類の非バイタルデータを表示し、第2種類の時系列バイタルデータについて特徴点が指定された場合、第4種類の非バイタルデータを表示する。具体的には、
図9の例では、タンパク質のバイタルデータについて特徴点が指定された場合、ユーザ端末30は、食事の写真を表す非バイタルデータをUI部37に表示する。一方、
図11の例では、尿糖値のバイタルデータについて特徴点が指定された場合、ユーザ端末30は、運動データの表す情報をUI部37に表示する。
【0054】
この実施形態によれば、バイタルデータの時系列変化によける特徴点に対応する非バイタルデータが出力される。これにより、専門的な知識を持たない一般ユーザがバイタルデータの時系列変化及びそれに関連する非バイタルデータの内容を把握し易い。
【0055】
3.変形例
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例は、上記の実施形態に適用可能である。また、以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて適用されてもよい。さらに、各実施形態及び変形例の少なくとも一部が、他の実施形態及び変形例の少なくとも一部と組み合わせられてもよい。
【0056】
3-1.変形例1(バイタルデータ)
上述の実施形態では、バイタルデータとして、被験者の尿中の特定成分の検知結果を示すデータが用いられた。バイタルデータは上述の実施形態で示されたものに限られない。例えば、被験者の体温、心拍、呼吸、脈拍、血圧、体重、身長、意識の有無等がバイタルデータとして用いられてもよい。また、上記の実施形態において尿が測定される例を説明したが、測定の対象は尿に限定されない。本発明に係る健康補助システムは、汗、唾液、又は血液等、尿以外の体液を測定してもよい。
【0057】
3-2.変形例2(特徴点の種類)
上述の実施形態において、ユーザ端末30は、ユーザによって指定された特徴点の種類によって、表示される非バイタルデータの種類を異ならせてもよい。すなわち、ユーザ端末30が、第1種類の特徴点が指定された場合、第1種類の非バイタルデータを表示し、第2種類の特徴点が指定された場合、第2種類の非バイタルデータを表示してもよい。具体的には、例えば、ユーザ端末30が、ピーク値が指定された場合、被験者が摂った食事を示すデータを表示し、変曲点が指定された場合、運動を示すデータを表示する。
【0058】
3-3.変形例3(暗号化)
送信機20は、ユーザ端末30にバイタルデータを送信する際、バイタルデータを暗号化してもよい。この場合、送信機20とユーザ端末30とは、バイタルデータの送受信に先立って暗号鍵を交換する。一例においては、ユーザ端末30が、送信機20に暗号鍵を送信する。送信機20は、この暗号鍵を用いて暗号化してから、バイタルデータをユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、送信機20に送信した暗号鍵と対応する復号鍵を用いてバイタルデータを復号する。バイタルデータは一種の個人情報であるといえるので、平文のまま送信するとセキュリティ上のリスクがあるが、暗号化によりセキュリティ上のリスクを低減できる。
【0059】
3-4.変形例4(測定項目の組み合わせ)
尿センサー10の提供事業者は、複数のセンサー素子12を有する尿センサー10を提供するにあたり、異なる種類のセンサー素子12を組み合わせてもよい。例えば、4つのセンサー素子12を有する尿センサー10を提供するにあたり、ある製品(以下、尿センサー10Aという)においては、センサー素子12A~Dが、pH、尿酸、シュウ酸、及び尿糖を測定するものであり、別の製品(以下、尿センサー10Bという)においては、センサー素子12A~Dが、比重、潜血、ケトン体、及び亜硝酸塩を測定するものであってもよい。尿センサー10の提供事業者は、センサー素子12の組み合わせ(測定項目の組み合わせ)に対し識別コードを付与する。この識別コードは、例えば、文字列(例えば識別番号)又は画像(例えばいわゆる二次元バーコード)である。この識別コードは、例えば、基材11の表面又は尿センサー10のパッケージに記載されている。ユーザは、例えば基材11又はパッケージに記載されている識別コードをユーザ端末30に入力する。ユーザ端末30は、識別コードを測定項目の組み合わせに変換する情報を(例えば解析システム40から取得して)有しており、この情報を参照して、どのセンサー素子12の出力信号がどの測定項目の結果を示しているか判断する。この例によれば、測定項目の多様な組み合わせを有する尿センサー10を提供することができる。
【0060】
3-5.変形例5(処理の分担)
各装置における処理の分担は、実施形態において説明したものに限定されない。例えば、実施形態においてユーザ端末30において行われる処理の少なくとも一部を、解析システム40が実行してもよい。一例としては、解析システム40の制御部46が、記憶部42に記憶されている時系列のバイタルデータを用いて、時系列バイタルデータを生成し、生成した時系列バイタルデータを解析し、時系列バイタルデータの時間変化における特徴点を特定する。
【0061】
別の例において、実施形態において解析システム40において行われる処理の少なくとも一部を、ユーザ端末30が実行してもよい。一例としては、ユーザ端末30の記憶部31は、バイタルデータを時系列に記憶してもよい。制御部36は、記憶部31において記憶されている時系列のバイタルデータを用いて、時系列バイタルデータを生成する、又は、制御部36は、時系列のバイタルデータに何らかの統計処理を行い、統計処理されたバイタルデータを生成する。ユーザ端末30は生成したデータを解析システム40に出力する。
【0062】
別の例において、ユーザ端末30がバイタルデータを解析システム40に出力する場合であっても、解析システム40に出力したものと同じデータを、ユーザ端末30の記憶部31が記憶してもよい。特に解析システム40がいわゆるクラウドに実装される場合において、記憶部31にバイタルデータを記憶しておけば、バイタルデータの確認及び/又は統計処理等、一部の処理をローカルで(ネットワークに接続せずに)実行することができる。
【0063】
3-6.他の変形例
上記の実施形態に係る健康補助システムを構成する各要素の具体的なハードウェア構成は、実施形態で例示したものに限定されない。各要素は、どのようなハードウェア構成を有していてもよい。