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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】知育玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20230726BHJP
   A63H 33/08 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A63H33/00 A
A63H33/00 302Z
A63H33/08 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023009034
(22)【出願日】2023-01-24
【審査請求日】2023-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596000017
【氏名又は名称】野出 正和
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野出 正和
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0238191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い複数の板状部材と、前記複数の板状部材同士を連結する複数の連結部材とを備え、前記板状部材と前記連結部材とを組み合わせ、球体を転がす誘導路を自在に形成することができる知育玩具であって、
前記複数の板状部材は、端部の幅と厚さがそれぞれ統一された所定の寸法で形成され、
前記複数の連結部材は、少なくとも所定の角度に折れ曲がった本体の少なくとも1側面に、前記板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結する定角連結部材を含み、
前記定角連結部材は、前記折れ曲がった本体の内側の2面の内、少なくとも一方の面に、連結する前記板状部材の長手方向と直交する方向に溝部又は突起部を備え、
前記溝部若しくは突起部、又は挿入した前記板状部材と前記本体との段差により球体を一時的に静止して待機させる待機部を形成することを特徴とする知育玩具。
【請求項2】
前記定角連結部材は、他側面にもさらに前記板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、
2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を延長して形成するように、4つの前記板状部材を連結することを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項3】
一方向に長く、端部の幅と厚さがそれぞれ統一された所定の寸法で形成された板状部材同士を連結する定角連結部材であって、
所定の角度に折れ曲がった本体を有し、
前記本体の少なくとも1側面に板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結し、
前記折れ曲がった本体の内側の2面の内、少なくとも一方の面に、連結する前記板状部材の長手方向と直交する方向に溝部又は突起部を備え、
前記溝部若しくは突起部、又は挿入した前記板状部材と前記本体との段差により球体を一時的に静止して待機させる待機部を形成することを特徴とする定角連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知育玩具に関し、特に、端部の幅と厚さが統一された複数の板状部材と、板状部材同士を所定の角度で連結する連結部材を含む複数の連結部材とを組み合わせて、球体を転がす誘導路を自在な形状に形成することができる知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、球体を転がすための経路となる部品を様々に組合せて立体的な球体の誘導路を形成し、誘導路の高い位置から球体を転がして遊ぶ玩具が提供されてきた。経路となる部品を組み合わせる際、決まった場所に決まった部品が来るようにしか組立たないと、完成する誘導路も限られた形状にしかならないため、こうした玩具を使用する使用者はすぐに飽きてしまう。
それに対して経路となる部品の組み合わせが自由に選べる場合は、完成する誘導路も自在な変形が可能となり、また経路となる部品を追加して拡張するのも容易となる。このように自由度を高めた玩具は自由な発想を誘発するため子供の知育に有効な知育玩具と見ることができる。
【0003】
特許文献1には、転回する球体のためのガイドを有する走行トラックと、傾斜した球体の経路を有する接続部品とを備えた個々の構成部品とからなり、走行トラックには球体を他の構成部品に送る少なくとも一つの貫通孔、または貫通ボアが設けられているボールトラックが開示されている。
【0004】
特許文献1の発明によれば、様々な種類の走行トラックと、様々な種類の接続部品により、多種多様な立体的な球体の誘導路を形成することができる。しかし、逆に構成部品の種類が多いために必要な構成部品を探すのに手間がかかる上、走行トラックは専用の部品として作製されているためにほかの用途には転用し難いという課題が残る。
【0005】
特許文献2には、第1軌道部を有する少なくとも1個の第1組立要素と、第1軌道部とは態様が異なる第2軌道部を有し、第1組立要素とは形状が異なる少なくとも1個の第2組立要素とを含み、第1組立要素と第2組立要素とを併設した状態において第1軌道部と第2軌道部とによって球体などの物品を移動可能な移動経路部を構築できるように構成された組立玩具セットが開示されている。
【0006】
特許文献2に記載の発明が提供する組立要素も、軌道部として球体を移動させる経路を備えた専用の部品を組み合わせて、全体的な経路である誘導路を構築するものであり、多様な形状の誘導路が実現可能な反面、様々な種類の組立要素を使用するので、必要な組立要素を探すのに手間がかかる。また経路として構成されているため、ほかの用途には転用し難いという点でも特許文献1の発明と同様である。
【0007】
そこで、例えば積み木として遊べるような単純な板状部材を使用し、これに板状部材同士を球体の経路を構成するように連結する連結部材を組み合わせることにより、本来の積み木としての遊びに加え、球体を転がす誘導路を自在な形状に形成することができる知育玩具の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2002-536139号公報
【文献】特開2020-124298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記知育玩具における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、端部の幅と厚さが統一された複数の板状部材と、板状部材同士を所定の角度で連結する連結部材を含む複数の連結部材とを組み合わせて、球体を転がす誘導路を自在な形状に形成することができる知育玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明による知育玩具は、一方向に長い複数の板状部材と、前記複数の板状部材同士を連結する複数の連結部材とを備え、前記板状部材と前記連結部材とを組み合わせ、球体を転がす誘導路を自在に形成することができる知育玩具であって、前記複数の板状部材は、端部の幅と厚さがそれぞれ統一された所定の寸法で形成され、前記複数の連結部材は、少なくとも所定の角度に折れ曲がった本体の少なくとも1側面に、前記板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結する定角連結部材を含み、前記定角連結部材は、前記折れ曲がった本体の内側の2面の内、少なくとも一方の面に、連結する前記板状部材の長手方向と直交する方向に溝部又は突起部を備え、前記溝部若しくは突起部、又は挿入した前記板状部材と前記本体との段差により球体を一時的に静止して待機させる待機部を形成することを特徴とする。
【0012】
前記定角連結部材は、他側面にもさらに前記板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を延長して形成するように、4つの前記板状部材を連結することが好ましい。
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明による定角連結部材は、一方向に長く、端部の幅と厚さがそれぞれ統一された所定の寸法で形成された板状部材同士を連結する定角連結部材であって、所定の角度に折れ曲がった本体を有し、前記本体の少なくとも1側面に板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結し、前記折れ曲がった本体の内側の2面の内、少なくとも一方の面に、連結する前記板状部材の長手方向と直交する方向に溝部又は突起部を備え、前記溝部若しくは突起部、又は挿入した前記板状部材と前記本体との段差により球体を一時的に静止して待機させる待機部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る知育玩具によれば、端部の幅と厚さが統一された複数の板状部材と、板状部材同士を所定の角度で連結する連結部材を含む複数の連結部材とが組み合わせて提供されるため、板状部材を自由に組み合わせて、様々な高さや位置で、球体を転がす誘導路の土台を作り、その上に連結部材により連結した誘導路を並べて載置することで、自在な形状の誘導路を形成することができるので、使用者は飽きることなく球体を転がして遊ぶことができる。
【0015】
また、板状部材は元々積み木の要素でもあるため、一般的な積み木として使用したり、高く積み上げた板状部材を、崩れないように参加者が順番に抜いていくゲームのように使用したりすることもできるため、多様な遊びに対応することもできる。
【0016】
本発明に係る知育玩具によれば、球体の誘導路を形成するための連結部材は、折れ曲がった本体の内側の2面の内、少なくとも一方の面に、連結する板状部材の長手方向と直交する方向に溝部又は突起部を備えるものを含むので、この溝部又は突起部を利用して球体を一時的に静止して待機させ、誘導路の上流側から転がした他の球体の衝突等を利用して途中から球体を転がすなど多様な遊び方もできるので、使用者である子供の知育に有効である。尚、連結部材は板状部材の端部を側面に挿入して誘導路を形成するため、挿入した板状部材の表面と連結部材の上面とには段差ができる。この段差を利用して球体を一時的に静止して待機させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による知育玩具の板状部材を概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による知育玩具の定角連結部材を概略的に示す側方斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態による知育玩具の定角連結部材を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態による知育玩具の板状部材と定角連結部材とを連結する状態を概略的に示す図である。
図5】本発明のさらに他の実施形態による知育玩具の定角連結部材を概略的に示す図である。
図6】本発明の実施形態による知育玩具の板状部材と定角連結部材とを連結して形成した誘導路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る知育玩具を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による知育玩具の板状部材を概略的に示す図であり、図2は、本発明の実施形態による知育玩具の定角連結部材を概略的に示す側方斜視図である。
【0019】
本発明の実施形態による知育玩具は、図1に示すような積み木として使用することができる板状部材10と、板状部材10同士を連結する図2に示すような定角連結部材20を中心とする連結部材とを組み合わせ、板状部材10同士が所定の角度で隣接して連結された構造体とし、この構造体を様々な形で組み合わせ、その上を球体を転がす誘導路として構成することを可能とする玩具である。板状部材10は、連結しないときは積み木として使用でき、誘導路に高低差を付ける土台としても使用できる。このため、本発明の実施形態による知育玩具によって作り出す誘導路の形態は、自由な発想でいかようにも変形ができ、知育に有効に活用できる玩具となっている。
【0020】
図1を参照すると本発明の実施形態による板状部材10は、端部11が幅w、厚さtを有する直方体である。幅wは統一された所定の幅であり、厚さtも統一された所定の厚さである。このように幅wと厚さtを統一するのは板状部材10の端部11を連結部材に挿入することにより板状部材10同士の連結を行うからである。一実施形態では幅wは23mmであり、厚さtは8mmである。板状部材10の長さに関しては、積み木としても使用するため様々な組み合わせとしてもよいが、一実施形態では長さの比が1:2:4の3種類の組み合わせとし、例えば47mm:94mm:188mmである。
【0021】
ここに示した板状部材10の幅wや厚さt、長さ及びその構成比などは一例に過ぎない。幅wと厚さtがそれぞれ統一された所定の値であれば、上記の数値に限定されるものではない。長さの比率や組み合わせの種類も上記の例に限らない。ただし、同じ長さの板状部材10同士を隣接させて連結し、誘導路の最低単位となる構造体を形成することから、長さの種類はあまり増やさず3種類程度が好ましい。組み合わせの種類を増やす場合は、同じ長さの板状部材10ごとに色を変えるなどして組み合わせをわかりやすくするのが好ましい。
【0022】
図1で上側となる上面12は球体の誘導路として使用する際、球体と接触する面となる。板状部材10は直方体であるので、裏返して使用してもよく、上下面で区別はないことから、ここでは球体と接触する面を便宜的に上面12としている。上面12は球体が転がりやすいように平坦であることが好ましいが、球体の転がりに変化が起こるように、上面12に小さな突起や浅い溝などを設けたり、表面に波状のうねりを設けたりしてもよい。実施形態では板状部材10の素材は木材であるが、これに限らず樹脂材料でも、それ以外の材料でもよい。
【0023】
図2を参照すると、本発明の実施形態による連結部材の主要なものとなる定角連結部材20は、所定の角度Θに折れ曲がった本体21の少なくとも1側面22に、板状部材10の端部11を挿入する凹部23を2つ備え、これにより2つの板状部材10を所定の角度Θで隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結する部材である。所定の角度Θは図2では約90度であるが、球体が誘導できればこれに限らず、90度より広くても、逆に狭くてもかまわない。
【0024】
2つの凹部23は、一辺が板状部材10の幅wと同じ長さで、これと直交する一辺が板状部材10の厚さtと同じ長さの長方形の開口を備える。これにより凹部23に板状部材10の端部11を挿入して固定することが可能となる。図2では見えないが図中で奥側となる他の側面にも手前側の2つの凹部23と同様に2つの凹部23を備えてもよい。奥側の凹部23にも板状部材10を挿入することにより板状部材10の長手方向に誘導路を延長することができる。
【0025】
また、定角連結部材20は、折れ曲がった本体21の内側の2面となる2つの内面24、すなわち球体が転がる側の2つの面の内、少なくとも一方の面に、連結する板状部材10の長手方向と直交する方向に溝部25を備える。この溝部25は誘導路を構成したときに球体を一時的に静止させて待機させることができる待機部となるものである。ここで、一時的に静止させるとは、上流から転がってきた球体を一旦静止させるということではなく、球体を静かに載置すれば転がり落ちない程度にその場に留めることができるという意味である。溝部(待機部)25は、例えば、誘導路の途中の溝部(待機部)25に第1の球体を待機させた状態で、上流から別の第2の球体を転がして待機中の第1の球体に衝突させ、第2の球体の代わりに、第1の球体を転がすような球体によるリレーの仕組みとして使用する。溝部25の幅や深さは使用する球体の大きさなどにより適正な寸法が変わってくる。
【0026】
溝部25の幅や深さを球体の大きさに対してあまり大きくすると、第2の球体が衝突しても第1の球体が溝部25から抜け出さなくなる。一方溝部25の幅や深さが球体の大きさに対して小さすぎると少しの揺れなどでも転がりだしてしまう。そこで球体の大きさなどにより球体によるリレーが良好に成立するような寸法に決定される。図2では溝部25は、2つの内面24にそれぞれ設けるように示すが、球体が待機できれば、溝部25はいずれか一方の内面24だけに設けてもよい。
定角連結部材20は、樹脂材料を使用して金型によるモールド成型などにより形成することができる。
【0027】
図3は、本発明の他の実施形態による知育玩具の定角連結部材を示す側面図である。
図3を参照すると、本発明の他の実施形態による定角連結部材30は、所定の角度Θに折れ曲がった本体31の少なくとも1側面32に、板状部材10の端部11を挿入する凹部33を2つ備える点では、図2に示す定角連結部材20と変わらない。板状部材10の端部11を挿入するため凹部33の開口も定角連結部材20の凹部23と変わらない。定角連結部材30が定角連結部材20と相違するのは、本体31の内面34に備える待機部が溝部25の代わりに突起部35を備える点である。
【0028】
突起部35の突起の高さは、使用する球体により適正値が変わるため球体の大きさなどにより決定される。所定の角度Θに固定された誘導路を球体を転がす場合、球体の大きさによって誘導路との接点の位置が変わってくる。具体的には大きな球体を使用するほど誘導路内の外側、即ち高い位置で接するようになる。大きな球体ほど突起を乗り越えやすくなることから、突起部35の突起高さは、内面34の高い位置になるほど高くなるように形成してもよい。このときの突起部35の高さは、前述の溝部25の場合と同様、球体によるリレーが良好に成立するような寸法に決定される。図3では突起部35は、2つの内面34にそれぞれ設けるように示すが、突起部35も、球体が待機できれば、いずれか一方の内面34だけに設けてもよい。
【0029】
また、定角連結部材30では凹部33の開口の内、内面34側を除く3辺に開口から凹部33の底面に向かうスリット36をさらに備える。これにより凹部33に板状部材10を抜き差しする際、スリット36を介して空気が流れるため、抜き差しが容易となるという効果を有するとともに軽量化にも寄与するものである。図3の本体31の下方側の4つの三角形に近い形状に見える部分も、凹部33と同様に窪んでおり、樹脂を削減して軽量化に寄与する部分である。こうしたスリット36や樹脂を削減する部分は溝部25を備える定角連結部材20に適用してもよい。
【0030】
図4は、本発明の実施形態による知育玩具の板状部材と定角連結部材とを連結する状態を概略的に示す図である。
図4を参照すると、定角連結部材30は、側面32が左右方向になるように配置した状態で上面となる内面34の上方から見た形態が示される。この状態では側面32に設けられる凹部33も左右方向を向く。そこで板状部材10を連結する場合、図4のように凹部33の向きに合わせて板状部材10を傾けて端部11をそれぞれの凹部33に挿入する。これにより隣接する2つずつの板状部材10同士が所定の角度Θをもって連結され、また板状部材10の長手方向に延長された誘導路が形成される。板状部材10を挿入する際は凹部33内の空気はスリット36を通じて流出するので抵抗なく挿入することができる。逆に板状部材10を抜き取る際はスリット36を通じて空気が凹部33内に流入するので、板状部材10を容易に抜くことができる。
【0031】
図4において定角連結部材30の左右の側面32の中央に当たる中央部分には突起部35が位置する。図4に示す定角連結部材30と4つの板状部材10からなる構造体を、図中の左右いずれかが高くなるように傾斜して配置した場合、高くなる側が球体を転がすうえでの上流側となるが、突起部35の上流側に球体を載置することにより、突起部35によって球体が転がりだすのを抑制し、この場に球体を待機させることができる。なお、定角連結部材30に板状部材10を挿入した場合、定角連結部材30の開口の部分で凹部33の肉厚分だけ段差が生ずるので、球体の大きさによってはこの段差を利用して球体を待機させることもできる。
【0032】
図5は、本発明のさらに他の実施形態による知育玩具の定角連結部材を概略的に示す図である。
図5を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による定角連結部材40は、所定の角度Θに折れ曲がった本体41の少なくとも1側面に相当する一方の端面42に、板状部材10の端部11を挿入する凹部43を2つ備える点では、定角連結部材20、定角連結部材30と変わらないが、本体41は所定の角度Θを保ちつつ湾曲している点で前述の定角連結部材(20、30)とは相違する。
【0033】
定角連結部材40は、本体41が湾曲しているため本体41の内面44は曲面となり、他方の端面42は一方の端面42とは平行ではない。図中では表されないが、他方の端面42にも板状部材10の端部11を挿入する凹部43を2つ備える。そこで2つの端面42に板状部材10を挿入して誘導路を形成すると、球体53の転がる向きを変更する誘導路が形成される。
また、図では示さないが、2つの端面42の中間にあたる部分の内面44には、定角連結部材(20、30)に設けたような溝部25又は突起部35を設ける。これにより本体41が湾曲していても球体53を待機させることができる。
【0034】
図6は、本発明の実施形態による知育玩具の板状部材と定角連結部材とを連結して形成した誘導路の例を示す図である。
図6を参照すると、本発明の実施形態による知育玩具1の板状部材10と連結部材とを組み合わせて、始点51から終点52まで形成した誘導路50が示される。
【0035】
始点51および始点51に近い部分では板状部材10を積み木として高く積み上げ、誘導路50の高低差を実現している。誘導路50では、定角連結部材30と板状部材10とを組み合わせた構造体を基本単位とし、この構造体を組み合わせて主要な部分を形成している。球体53の転がる方向を変更する部分では、一例として、高低差を利用し、上流側の構造体から、向きの異なる下流側の構造体に球体53を落下させることで方向を変えるように構成されている。このような構成にすることにより、図5に示した湾曲した定角連結部材40を使用しなくても途中で向きを変える誘導路50を実現できる。
【0036】
また誘導路50では連結部材として、回転連結部材54を使用し、球体のリレーを行う部分を形成している。回転連結部材54は、コの字を伏せた形状の固定部55と回転軸を介して固定部55と連結された上向きのコの字形状の回転部56を備えており、固定部55に挿入した板状部材10を固定部分とし、回転部56に挿入した板状部材10を回転するように構成する連結部材である。図6では、2箇所に回転連結部材54を使用しているが、例えば図中で右側の回転連結部材54は、上流側から転がってきた球体53が回転部56に挿入した板状部材10の一端部分に衝突し、板状部材10を回転させると、板状部材10の他端部分に待機する他の球体53を押し出すように構成されている。この他、誘導路50には板状部材10をドミノ倒しの駒のように使用して方向を変更するような仕組みも含む。終点52には球体53の転がり終わりを知らせる鈴57が設けられる。
【0037】
図6に示す誘導路50は板状部材10と連結部材で構成する誘導路50のほんの一例であり、本発明の実施形態による知育玩具を使用すれば、積み木の積み方や使い方を様々に工夫して、自由自在に誘導路50を形成することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 知育玩具
10 板状部材
11 端部
12 上面
20、30、40 定角連結部材
21、31、41 本体
22、32 側面
23、33、43 凹部(待機部)
24、34、44 (本体の)内面
25 溝部(待機部)
35 突起部
36 スリット
42 端面
50 誘導路
51 始点
52 終点
53 球体
54 回転連結部材
55 固定部
56 回転部
57 鈴
w (板状部材の)幅
t (板状部材の)厚さ
Θ 所定の角度
【要約】
【課題】端部の幅と厚さが統一された複数の板状部材と、板状部材同士を所定の角度で連結する連結部材を含む複数の連結部材とを組み合わせて、球体を転がす誘導路を自在な形状に形成することができる知育玩具を提供する。
【解決手段】本発明による知育玩具は、一方向に長い複数の板状部材と、前記複数の板状部材同士を連結する複数の連結部材とを備え、前記板状部材と前記連結部材とを組み合わせ、球体を転がす誘導路を自在に形成することができる知育玩具であって、前記複数の板状部材は、端部の幅と厚さがそれぞれ統一された所定の寸法で形成され、前記複数の連結部材は、少なくとも所定の角度に折れ曲がった本体の少なくとも1側面に、前記板状部材の端部を挿入する凹部を2つ備え、2つの前記板状部材を所定の角度で隣接させて球体を転がす誘導路を形成するように連結する定角連結部材を含むことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6