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特許7319769排熱回収システム及び船舶並びに排熱回収装置の運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】排熱回収システム及び船舶並びに排熱回収装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
F22B1/18 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018188376
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020056551
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 龍太
(72)【発明者】
【氏名】寺原 貴澄
(72)【発明者】
【氏名】高本 健太
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩市
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-182001(JP,A)
【文献】特開昭64-000308(JP,A)
【文献】特開2005-009792(JP,A)
【文献】特開昭59-056601(JP,A)
【文献】特開2016-118323(JP,A)
【文献】特開2015-232294(JP,A)
【文献】実開昭56-160199(JP,U)
【文献】特開2012-037089(JP,A)
【文献】特開2015-098829(JP,A)
【文献】特開平01-113507(JP,A)
【文献】特開昭63-099401(JP,A)
【文献】特開2013-210148(JP,A)
【文献】特開2015-113084(JP,A)
【文献】特開平10-185103(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102384483(CN,A)
【文献】特開2016-148467(JP,A)
【文献】特開2016-148468(JP,A)
【文献】特開2017-223440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1燃料と第2燃料とを切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
前記燃焼装置に供給される燃料が前記第1燃料と前記第2燃料との間で切り替えられたことを示す信号を受け取ったとき、該信号に基づいて前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するように構成された制御部と、を備え、
前記第1燃料は、前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い燃料であり、
前記制御部は、前記燃料が前記第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも低い第1圧力となるように前記バルブの開度を調節するように構成された
ことを特徴とする排熱回収システム。
【請求項2】
前記第1圧力は2bar以上4bar以下であり、
前記第2圧力は5bar以上7bar以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱回収システム。
【請求項3】
前記第1圧力は2bar以上4bar未満であり、
前記第2圧力は4bar以上5bar以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の排熱回収システム。
【請求項4】
蒸気を生成するためのボイラをさらに備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
【請求項5】
2種類以上の燃料を切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
前記燃焼装置に供給される燃料が切り替えられたことを示す信号を受け取ったとき、該信号に基づいて前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するように構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、前記燃料が第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも低い第1圧力となるように前記バルブの開度を調節するように構成され、
蒸気を生成するためのボイラをさらに備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含み、
前記ボイラは、バーナで燃焼される燃料に向けて蒸気を噴射するように構成された蒸気噴射部を含み、
前記第2圧力は、該第2圧力の蒸気を前記蒸気噴射部から噴射することによって前記燃料を拡散させることが可能な圧力である
ことを特徴とする排熱回収システム。
【請求項6】
燃料油を加熱して前記燃料油の粘性を低減させるための燃料加熱部をさらに備え、
前記第2圧力は、該第2圧力の蒸気を前記燃料加熱部に供給することによって前記燃料油の粘性を低減可能な圧力である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
【請求項7】
前記排ガスラインにおいて前記熱交換器よりも上流側に設けられた過熱器と、
前記過熱器からの過熱蒸気により駆動されるように構成されたタービンと、
をさらに備え、
前記過熱器は、前記飽和蒸気ラインを流れる飽和蒸気の一部を前記排ガスとの熱交換により加熱して前記過熱蒸気を生成するように構成された
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
【請求項8】
前記燃焼装置に供給される前記第1燃料を貯留するための燃料タンクをさらに備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の排熱回収システムを備える船舶。
【請求項10】
第1燃料と第2燃料とを切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
を含む排熱回収装置の運転方法であって、
前記燃焼装置に供給される燃料が前記第1燃料と前記第2燃料との間で切り替えられたとき、前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するステップを備え、
前記第1燃料は、前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い燃料であり、
前記圧力を変更するステップでは、前記燃料が前記第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも低い第1圧力となるように前記バルブの開度を調節する
ことを特徴とする排熱回収装置の運転方法。
【請求項11】
前記第1圧力は2bar以上4bar以下であり、
前記第2圧力は5bar以上7bar以下である
ことを特徴とする請求項10に記載の排熱回収装置の運転方法。
【請求項12】
前記第1圧力は2bar以上4bar未満であり、
前記第2圧力は4bar以上5bar以下である
ことを特徴とする請求項10に記載の排熱回収装置の運転方法。
【請求項13】
前記排熱回収装置は、蒸気を生成するためのボイラを備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記排熱回収装置の前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含む
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の排熱回収装置の運転方法。
【請求項14】
前記排熱回収装置は、
前記排ガスラインにおいて前記熱交換器よりも上流側に設けられた過熱器と、
前記過熱器からの過熱蒸気により駆動されるように構成されたタービンと、
をさらに備え、
前記過熱器は、前記飽和蒸気ラインを流れる飽和蒸気の一部を前記排ガスとの熱交換により加熱して前記過熱蒸気を生成するように構成された
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の排熱回収装置の運転方法。
【請求項15】
2種類以上の燃料を切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
を含む排熱回収装置の運転方法であって、
前記燃焼装置に供給される燃料が切り替えられたとき、前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するステップを備え、
前記圧力を変更するステップでは、前記燃料が第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも低い第1圧力となるように前記バルブの開度を調節し、
前記排熱回収装置は、蒸気を生成するためのボイラを備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記排熱回収装置の前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含み、
前記ボイラは、バーナで燃焼される燃料に向けて蒸気を噴射するように構成された蒸気噴射部を含み、
前記第2圧力は、該第2圧力の蒸気を前記蒸気噴射部から噴射することによって前記燃料を拡散させることが可能な圧力である
ことを特徴とする排熱回収装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排熱回収システム及び船舶並びに排熱回収装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置から排出される高温の排ガスの熱を熱交換器を用いて回収して、蒸気生成等の用途に利用することがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ガス燃料と重油燃料とを切替えて燃焼させることが可能なボイラを含むボイラプラントにおいて、ボイラからの燃焼ガス(排ガス)とボイラに供給される前の給水とをエコノマイザで熱交換し、給水を予熱することが記載されている。また、特許文献1には、ボイラで使用する燃料の種類(ガス燃料又は重油燃料)に応じて、上述のエコノマイザに送出する給水の温度を調節することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6219742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料には硫黄分が含まれていることがあり、この場合、燃料の燃焼ガス(排ガス)の温度が酸露点以下であると、燃焼ガスの流路を構成する配管等の機器に酸腐食が生じる可能性がある。このため、排ガスから熱回収するための熱交換器(エコノマイザ等)の出口における排ガス温度を適切に管理する必要がある。
【0006】
ここで、燃焼装置(エンジンやボイラ等)において、硫黄分濃度の比較的高い高硫黄燃料と、硫黄分濃度の比較的低い低硫黄燃料とを切替えて使用することを考える。
高硫黄燃料使用時の酸腐食を防止するために、燃焼装置からの排ガスが導かれる熱交換器の出口の排ガス温度を、該高硫黄燃料の酸露点を基準とした温度(該酸露点よりも高い温度)に設定すると、燃料を低硫黄燃料に切り替えて使用するときに、低硫黄燃料の酸露点(高硫黄燃料よりも低い酸露点)よりも大幅に高い温度での運転となるため、低硫黄燃料使用時の排熱回収量の増加が見込めない。
一方、上述の熱交換器出口の排ガス温度を、低硫黄燃料の酸露点を基準とした温度(該酸露点よりも高い温度)に設定すると、燃料を高硫黄燃料に切り替えて使用するときに、高硫黄燃料の酸露点(低硫黄燃料よりも高い酸露点)よりも低い温度での運転となる可能性があり、この場合、機器に酸腐食が生じる可能性がある。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることが可能な排熱回収システム及びこれを備えた船舶、並びに排熱回収装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る排熱回収システムは、
2種類以上の燃料を切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
前記燃焼装置に供給される燃料が切り替えられたことを示す信号を受け取ったとき、該信号に基づいて前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するように構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、前記燃料が第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも低い第2圧力となるように前記バルブの開度を調節するように構成される。
【0009】
燃料の燃焼により生じる排ガスは、燃料の硫黄分濃度に応じた酸露点を有し、硫黄分濃度が高い燃料ほど、その燃料から生成される排ガスの酸露点が高い。また、排ガスの流路を構成する熱交換器や配管等の機器を酸腐食から保護するためには、これらの機器内における排ガス温度を、排ガスの酸露点よりも高い温度に維持する必要がある。
【0010】
この点、上記(1)の構成では、燃焼装置の燃料として低硫黄燃料である第1燃料を使用するときには、第2燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が低い第1圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を低下させるようにしたので、酸露点の低下に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を低下させることができ、すなわち、熱交換器における排熱回収量を増大させることができる。
また、上記(1)の構成では、燃焼装置の燃料として高硫黄燃料である第2燃料を使用するときには、第1燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が高い第2圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を上昇させるようにしたので、酸露点の上昇に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を上昇させることで、熱交換器や配管等の機器を酸腐食から保護することができる。
よって、上記(1)の構成によれば、燃料種に応じて、バルブ開度の調節により排熱回収システムによる排熱回収量を調節することができ、これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0011】
ところで、上述のように、バルブ開度の調節により熱交換器による排熱回収量を調節しようとする場合、例えば、熱交換出口における排ガス温度に基づきバルブ開度を調節することも考えられる。しかしながら、排ガス温度は、該排ガスの流れに直交する面内で分布があり、温度検出点に応じて制御にばらつきが生じる可能性がある。また、温度に基づく制御では、制御応答が遅くなる可能性がある。
これに対し、容器内の圧力は場所によらずほぼ同じであることから、容器内圧力の検出値は、熱交換器出口における排ガスの温度の検出値よりも正確性が高い。また、圧力に基づく制御は、温度に基づく制御に比べて制御応答が速い傾向がある。
【0012】
この点、上記(1)の構成によれば、飽和状態の水及び蒸気が貯留される容器の圧力(即ち、飽和温度に対応する飽和圧力)に基づきバルブ開度を調節することで排熱回収量を調節するようにしたので、正確性の高い圧力検出値により制御のばらつきを抑制することができるとともに、該容器内の温度(即ち飽和温度)を迅速に調節することができる。
【0013】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1圧力は2bar以上4bar以下であり、
前記第2圧力は5bar以上7bar以下である。
【0014】
上述したように、燃料の燃焼生成ガス(排ガス)は、燃料の硫黄分濃度に応じた酸露点を有する。例えば、硫黄分濃度が0.5%以下の燃料由来の排ガスの酸露点は100℃程度であり、硫黄分濃度が0.5%を超える燃料由来の排ガスの酸露点は、120℃程度以上である。
上記(2)の構成によれば、第1圧力が2bar以上4bar以下となり、かつ、第2圧力が5bar以上7bar以下となるようにバルブ開度を調節するようにしたので、例えば、第1燃料として硫黄分濃度が0.5%以下の燃料を使用し、第2燃料として硫黄分濃度が0.5%より大きい燃料を使用した場合に、燃焼装置で使用する燃料の切替えに応じて、排熱回収システムによる排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0015】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1圧力は2bar以上4bar未満であり、
前記第2圧力は4bar以上5bar以下である。
【0016】
上記(3)の構成によれば、第1圧力が2bar以上4bar未満となり、かつ、第2圧力が4bar以上5bar以下となるようにバルブ開度を調節するようにしたので、例えば、第1燃料として硫黄分をほぼ含まない燃料を使用し、第2燃料として硫黄分濃度が第1燃料より大きい燃料を使用した場合に、燃焼装置で使用する燃料の切替えに応じて、排熱回収システムによる排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0017】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
蒸気を生成するためのボイラをさらに備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含む。
【0018】
上記(4)の構成によれば、ボイラの蒸気ドラムには、飽和状態の蒸気及び水が貯留されるので、この蒸気ドラムの圧力に基づいてバルブ開度を調節するようにしたので、上記(1)で述べたように、燃料種に応じて、バルブ開度の調節により排熱回収システムによる排熱回収量を調節することができる。よって、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
また、上記(4)の構成によれば、燃焼装置の排ガスからの排熱回収だけでは蒸気の需要を賄いきれない場合には、ボイラを稼働させることでさらに蒸気を生成することができる。一方、上述の排熱回収システムの構成により排熱回収量を増大でき、蒸気生産量を増やすことができるので、蒸気生成のためのボイラの稼働時間を低減することができる。このため、蒸気の需要を確実に満足させながら、ボイラの運転に使用する燃料を減らすことができる。よって、蒸気生産のためのエネルギー効率を向上させることができる。
【0019】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記ボイラは、バーナで燃焼される燃料に向けて蒸気を噴射するように構成された蒸気噴射部を含み、
前記第2圧力は、該第2圧力の蒸気を前記蒸気噴射部から噴射することによって前記燃料を拡散させることが可能な圧力である。
【0020】
上記(5)の構成によれば、上記(1)で述べたように、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができるとともに、容器内の飽和蒸気を、ボイラで燃料を燃焼させるために有効利用することができる。
【0021】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
燃料油を加熱して前記燃料油の粘性を低減させるための燃料加熱部をさらに備え、
前記第2圧力は、該第2圧力の蒸気を前記燃料加熱部に供給することによって前記燃料油の粘性を低減可能な圧力である。
【0022】
上記(6)の構成によれば、上記(1)で述べたように、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができるとともに、容器内の飽和蒸気を、例えば重油等の粘性の大きな燃料を加熱して粘性を低下させる等の目的で、燃料を加熱するための有効利用することができる。
【0023】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記排ガスラインにおいて前記熱交換器よりも上流側に設けられた過熱器と、
前記過熱器からの過熱蒸気により駆動されるように構成されたタービンと、
をさらに備え、
前記過熱器は、前記飽和蒸気ラインを流れる飽和蒸気の一部を前記排ガスとの熱交換により加熱して前記過熱蒸気を生成するように構成される。
【0024】
上記(7)の構成によれば、熱交換器での排ガスとの熱交換により生成された飽和蒸気の一部を、過熱器においてより高温の排ガスと熱交換することにより過熱蒸気を生成し、該過熱蒸気を用いてタービンを駆動するようにしたので、燃焼装置の排熱を効果的に利用することができる。
【0025】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記排熱回収システムは、
前記燃焼装置に供給される前記第1燃料を貯留するための燃料タンクをさらに備える。
【0026】
上記(8)の構成によれば、燃料タンクへの外部からの自然入熱によって生じるガス(ボイルオフガス)を第1燃料として利用可能であるので、排熱回収システムを効率的に運転することができる。
【0027】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る船舶は、
上記(1)乃至(7)の何れかに記載の排熱回収システムを備える。
【0028】
上記(9)の構成では、例えば、船舶の主機関又は発電装置等の燃焼装置の燃料として低硫黄燃料である第1燃料を使用するときには、第2燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が低い第1圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を低下させるようにしたので、酸露点の低下に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を低下させることができ、すなわち、熱交換器における排熱回収量を増大させることができる。
また、上記(9)の構成では、燃焼装置である主機関の燃料として高硫黄燃料である第2燃料を使用するときには、第1燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が高い第2圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を上昇させるようにしたので、酸露点の上昇に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を上昇させることで、熱交換器や配管等の機器を酸腐食から保護することができる。
よって、上記(9)の構成によれば、燃料種に応じて、バルブ開度の調節により排熱回収システムによる排熱回収量を調節することができ、これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0029】
また、上記(9)の構成によれば、飽和状態の水及び蒸気が貯留される容器の圧力(即ち、飽和温度に対応する飽和圧力)に基づきバルブ開度を調節することで排熱回収量を調節するようにしたので、正確性の高い圧力検出値により制御のばらつきを抑制することができるとともに、該容器内の温度(即ち飽和温度)を迅速に調節することができる。
【0030】
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係る排熱回収装置の運転方法は、
2種類以上の燃料を切替えて使用可能な燃焼装置と、
前記燃焼装置からの排ガスが流れる排ガスラインと、
飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器と、
前記容器へ水を供給するための給水ラインと、
前記容器からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ラインと、
前記排ガスラインに設けられ、前記排ガスとの熱交換により前記給水ラインの前記水を加熱するための熱交換器と、
前記飽和蒸気ラインに設けられ、前記容器の圧力を調節するためのバルブと、
を含む排熱回収装置の運転方法であって、
前記燃焼装置に供給される燃料が切り替えられたとき、前記バルブの開度を調節することにより前記容器の圧力を変更するステップを備え、
前記圧力を変更するステップでは、前記燃料が第2燃料であるときは、前記容器の圧力が第2圧力となるように前記バルブの開度を調節し、前記燃料が前記第2燃料よりも硫黄分濃度の低い第1燃料であるときは、前記容器の圧力が前記第2圧力よりも高い第1圧力となるように前記バルブの開度を調節する。
【0031】
上記(10)の方法では、燃焼装置の燃料として低硫黄燃料である第1燃料を使用するときには、第2燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が低い第1圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を低下させるようにしたので、酸露点の低下に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を低下させることができ、すなわち、熱交換器における排熱回収量を増大させることができる。
また、上記(10)の方法では、燃焼装置の燃料として高硫黄燃料である第2燃料を使用するときには、第1燃料使用時に比べて上述の容器内の圧力(即ち飽和圧力)が高い第2圧力となるようにバルブの開度を調節して、容器内の温度(即ち飽和温度)を上昇させるようにしたので、酸露点の上昇に応じた分だけ、熱交換器出口における排ガス温度を上昇させることで、熱交換器や配管等の機器を酸腐食から保護することができる。
よって、上記(10)の方法によれば、燃料種に応じて、バルブ開度の調節により排熱回収システムによる排熱回収量を調節することができ、これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0032】
また、上記(10)の方法によれば、飽和状態の水及び蒸気が貯留される容器の圧力(即ち、飽和温度に対応する飽和圧力)に基づきバルブ開度を調節することで排熱回収量を調節するようにしたので、正確性の高い圧力検出値により制御のばらつきを抑制することができるとともに、該容器内の温度(即ち飽和温度)を迅速に調節することができる。
【0033】
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の方法において、
前記第1圧力は2bar以上4bar以下であり、
前記第2圧力は5bar以上7bar以下である。
【0034】
上記(11)の方法によれば、第1圧力が2bar以上4bar以下となり、かつ、第2圧力が5bar以上7bar以下となるようにバルブ開度を調節するようにしたので、例えば、第1燃料として硫黄分濃度が0.5%以下の燃料を使用し、第2燃料として硫黄分濃度が0.5%より大きい燃料を使用した場合に、燃焼装置で使用する燃料の切替えに応じて、排熱回収システムによる排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0035】
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)の方法において、
前記第1圧力は2bar以上4bar未満であり、
前記第2圧力は4bar以上5bar以下である。
上記(12)の方法によれば、第1圧力が2bar以上4bar未満となり、かつ、第2圧力が4bar以上5bar以下となるようにバルブ開度を調節するようにしたので、例えば、第1燃料として硫黄分をほぼ含まない燃料を使用し、第2燃料として硫黄分濃度が第1燃料より大きい燃料を使用した場合に、燃焼装置で使用する燃料の切替えに応じて、排熱回収システムによる排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0036】
(13)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(12)の何れかの方法において、
前記排熱回収装置は、蒸気を生成するためのボイラを備え、
前記ボイラは、
水を貯留するための水ドラムと、
前記水の蒸発により生成した蒸気を貯留するための蒸気ドラムと、
前記水ドラムと前記蒸気ドラムとを接続する蒸発管と、を含み、
前記排熱回収装置の前記容器は、前記ボイラの前記蒸気ドラムを含む。
【0037】
上記(13)の方法によれば、ボイラの蒸気ドラムには、飽和状態の蒸気及び水が貯留されるので、この蒸気ドラムの圧力に基づいてバルブ開度を調節するようにしたので、上記(10)で述べたように、燃料種に応じて、バルブ開度の調節により排熱回収システムによる排熱回収量を調節することができる。よって、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
また、上記(13)の方法によれば、燃焼装置の排ガスからの排熱回収だけでは蒸気の需要を賄いきれない場合には、ボイラを稼働させることでさらに蒸気を生成することができる。一方、上述の排熱回収システムの構成により排熱回収量を増大でき、蒸気生産量を増やすことができるので、蒸気生成のためのボイラの稼働時間を低減することができる。このため、蒸気の需要を確実に満足させながら、ボイラの運転に使用する燃料を減らすことができる。よって、蒸気生産のためのエネルギー効率を向上させることができる。
【0038】
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)乃至(13)の何れかの方法において、
前記排熱回収装置は、
前記排ガスラインにおいて前記熱交換器よりも上流側に設けられた過熱器と、
前記過熱器からの過熱蒸気により駆動されるように構成されたタービンと、
をさらに備え、
前記過熱器は、前記飽和蒸気ラインを流れる飽和蒸気の一部を前記排ガスとの熱交換により加熱して前記過熱蒸気を生成するように構成される。
【0039】
上記(14)の方法によれば、熱交換器での排ガスとの熱交換により生成された飽和蒸気の一部を、過熱器においてより高温の排ガスと熱交換することにより過熱蒸気を生成し、該過熱蒸気を用いてタービンを駆動するようにしたので、燃焼装置の排熱を効果的に利用することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることが可能な排熱回収システム及びこれを備えた船舶、並びに排熱回収方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一実施形態に係る排熱回収システムの構成図である。
図2】一実施形態に係る排熱回収システムの構成図である。
図3】一実施形態に係る排熱回収システムの構成図である。
図4】一実施形態に係る排熱回収システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0043】
まず、幾つかの実施形態に係る排熱回収システムの全体構成について説明する。
図1~4は、それぞれ、一実施形態に係る排熱回収システムの構成図である。図1~4に示す排熱回収システム1は、船舶(不図示)に搭載されたものであり、該船舶の推進用の主機関としてのエンジン3(燃焼装置)からの排ガスの熱を回収するための排熱回収装置2と、該排熱回収装置2を制御するための制御装置100(制御部)と、を備えている。
【0044】
排熱回収装置2は、エンジン3からの排ガスが流れる排ガスライン18に設けられ、排ガスの熱を回収するためのエコノマイザ6と、飽和状態の水及び蒸気を貯留するための容器8と、容器8からの飽和蒸気が流れる飽和蒸気ライン38と、飽和蒸気ライン38に設けられたバルブ42と、を備えている。また、排熱回収システム1は、エンジン3に供給される燃料であるLNG5を貯留するためのLNGタンク4(燃料タンク)を備えている。
【0045】
エンジン3は、2種類以上の燃料を切替えて使用可能なエンジンであり、第1燃料と、第1燃料よりも硫黄分濃度の高い第2燃料とを切替えて使用可能になっている。
【0046】
ここで、本明細書では、第1燃料と第2燃料のうち、硫黄分濃度の比較的低い第1燃料を「低硫黄燃料」ということがあり、また、硫黄分濃度の比較的高い第2燃料を「高硫黄燃料」ということがある。なお、「低硫黄燃料」及び「高硫黄燃料」との用語は、硫黄分濃度の相対的な大小関係を示すものである。つまり、「低硫黄燃料」の硫黄分濃度が0%であることもあり得、この場合、「高硫黄燃料」は硫黄分が0%よりも大きい。
【0047】
図示する実施形態に係るエンジン3では、第1燃料として、硫黄分を実質的に含まない燃料、例えばLNGを使用可能であるとともに、第2燃料として、硫黄分を含む燃料を使用可能であり、これらの第1燃料と第2燃料とを切替えて使用可能になっている。即ち、図1図4に示す実施形態では、LNGタンク4に貯留された第1燃料としてのLNG5が、LNG供給ライン14を介してエンジン3の各シリンダに供給可能であるとともに、第2燃料としての液体燃料が、液体燃料供給ライン16を介して各シリンダに供給可能である。また、エンジン3に供給する燃料の切り替えは、エンジン制御装置(不図示)により制御されるようになっている。
なお、LNG5は、LNGタンク4内での気化により生成したボイルオフガスや、強制的に気化されたガスとして、エンジン3に供給されるようになっていてもよい。
【0048】
エンジン3で燃料を燃焼させることにより生成した燃焼ガスは、エンジン3の各シリンダから排ガスライン18に導かれる。
【0049】
排ガスライン18にはエコノマイザ6が設けられている。エコノマイザ6は、ケーシング20を含み、該ケーシング20は、排ガスライン18の一部である煙道を形成している。エンジン3から排ガスライン18に排出された排ガスは入口22を介して煙道に導入され、この煙道を出口24へ向けて流れる。出口24を介して煙道から排出された排ガスは、煙突(不図示)を介して外部に排出されるようになっていてもよい。
【0050】
エコノマイザ6は、入口ヘッダ26と、出口ヘッダ28と、入口ヘッダ26と出口ヘッダ28との間において煙道を通るように設けられる伝熱管(不図示)とを含み、これらは、蒸発器7(熱交換器)を構成している。蒸発器7は、伝熱管を流れる水と、煙道を流れる高温の排ガスとの熱交換により、蒸気を生成するように構成されている。
蒸発器7の出口ヘッダ28は、入口ヘッダ26よりも、煙道内の排ガス流れにおける下流側に設けられていてもよい。
【0051】
容器8は、汽水分離を行うためのものであり、内部に飽和状態の水及び蒸気が貯留されるようになっている。この容器8には、循環ライン30a、30b(給水ライン)を介して水(液体の水又は水蒸気を含む)が循環され、供給されるようになっている。
【0052】
図1に示す例示的な実施形態では、上述の容器8は汽水分離器10を含み、汽水分離器10の下部と蒸発器7の入口ヘッダ26とが上流側の循環ライン30aを介して接続され、汽水分離器10の上部と蒸発器7の出口ヘッダ28とが下流側の循環ライン30bを介して接続されている。また、上流側の循環ライン30aには、水を圧送するためのポンプ32が設けられている。
【0053】
なお、本明細書では、容器8に水を供給するための一連の経路を給水ラインという。本実施形態では、該給水ラインは、上流側の循環ライン30a、下流側の循環ライン30b、及び、これらの循環ライン30a、30bの間に設けられる蒸発器7の伝熱管を含む。
【0054】
汽水分離器10の内部には飽和蒸気が充満するとともに、凝縮水(飽和水)が下部に溜まるようになっている。汽水分離器10の下部に溜まっている水は、上流側の循環ライン30aを介して、ポンプ32により、蒸発器7の入口ヘッダ26に送り込まれるようになっている。そして、蒸発器7において排ガスとの熱交換により生成された蒸気は、出口ヘッダ28を介して蒸発器7から排出され、下流側の循環ライン30bを介して汽水分離器10に導入されるようになっている。
【0055】
なお、汽水分離器10には、給水管62を介して、外部から水が補充されるようになっていてもよい。
【0056】
図2図4に示す例示的な実施形態では、排熱回収装置2はボイラ12を含み、上述の容器8は、ボイラ12の蒸気ドラム48によって構成されている。すなわち、ボイラ12の蒸気ドラム48が汽水分離の機能を有する。
【0057】
ボイラ12は、バーナ(不図示)を備えた火炉13と、蒸気ドラム48と、蒸気ドラム48の下方に設けられ、水によって満たされた水ドラム50と、蒸気ドラム48と水ドラム50とを接続する蒸発管51と、を含む。
【0058】
図2及び図3に示す例示的な実施形態では、水ドラム50は、上流側の循環ライン30aを介して蒸発器7の入口ヘッダ26に接続されており、蒸気ドラム48は、下流側の循環ライン30bを介してと蒸発器7の出口ヘッダ28に接続されている。また、上流側の循環ライン30aには、水を圧送するためのポンプ32が設けられている。
【0059】
図4に示す例示的な実施形態では、蒸気ドラム48は、上流側の循環ライン30aを介して蒸発器7の入口ヘッダ26に接続されているとともに、下流側の循環ライン30bを介してと蒸発器7の出口ヘッダ28に接続されている。また、上流側の循環ライン30aには、水を圧送するためのポンプ32が設けられている。
このように、蒸気ドラム48と入口ヘッダ28を接続することにより、例えば水ドラム50からの水を入口ヘッダ28に接続する場合に比べ、蒸気ドラム48内の比較的温度の高い水がエコノマイザ6に供給されるため、より効率的に蒸気を生成することができる。
【0060】
また、ボイラ12の火炉13には燃料が供給されるようになっている。図2図4に示す例示的な実施形態では、ボイラ12の火炉13に、燃料供給ライン46を介して、LNGタンク4からのボイルオフガスが供給可能になっている。なお、例えば図2図4に示すように、燃料供給ライン46とは別の燃料供給ライン47を介して、燃料が供給可能になっていてもよい。
【0061】
ボイラ12は、必要に応じて上述のように稼働されるようになっているが、後述するように、本実施形態によれば、ボイラ12を稼働する頻度(ボイラ12による追い炊きの頻度)を低減することができ、燃料等のコストを低減することができる。
【0062】
ボイラ12を稼働しない場合の排熱回収装置2の動作は、以下のようになる。
すなわち、蒸発器7(エコノマイザ6)により生成される蒸気で需要の全てを賄うことができている場合には、ボイラ12を稼働させる必要はなく、ボイラ12に対して燃料は供給されない。
【0063】
この場合、水ドラム50の水が、ポンプ32によって蒸発器7の入口ヘッダ26に向けて送出される。そして、蒸発器7で排ガスとの熱交換により蒸気が生成し、この蒸気が、蒸発器7の出口ヘッダ28から排出され、下流側の循環ライン30bを介して蒸気ドラム48に導入される。蒸気ドラム48は汽水分離器として機能し、蒸気ドラム48内には飽和蒸気が充満するとともに、凝縮水(飽和水)が下部に溜まる。蒸気ドラム48内の水は、降水管(不図示)を介して水ドラム50に降下するようになっている。
【0064】
一方、蒸発器7(エコノマイザ6)により生成される蒸気で需要の全てを賄うことができない場合には、上述した場合と同様に、蒸発器7を用いて水ドラム50からの水と排ガスとの熱交換により蒸気を生成するのに加え、さらに蒸気を生成するためにボイラ12を稼働させる。
【0065】
この場合、火炉13に燃料を供給してバーナで燃焼させ、燃焼熱によりボイラ12内の水を加熱する。ボイラ12内で水が加熱されると、水が下方の水ドラム50から、蒸発管51を通って上方の蒸気ドラム48へと上昇するとともに、加熱により高温となった水の一部が蒸発し、蒸気ドラム48にて気液が分離される。
【0066】
なお、蒸気ドラム48又は水ドラム50には、給水管を介して外部から水が補充されるようになっている。図示する実施形態では、給水管62を介して、蒸気ドラム48に水を供給可能になっている。
【0067】
容器8(図1における汽水分離器10、又は、図2図4における蒸気ドラム48の頂部には、飽和蒸気ライン38が接続されており、容器8内の飽和蒸気が該飽和蒸気ライン38に流入するようになっている。なお、図2図4に示す実施形態では、ボイラ12が稼働しているか否かに関わらず、蒸気ドラム48には飽和状態の蒸気と水が貯留され、飽和蒸気ライン38には、蒸気ドラム48からの飽和蒸気が流れるようになっている。
【0068】
飽和蒸気ライン38には、容器8の圧力を調節するためのバルブ42が設けられている。バルブ42を適切に操作することにより、容器8内の圧力、すなわち容器8内の飽和蒸気圧を規定値に調節することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、バルブ42は、該バルブ42よりも上流側の飽和蒸気ライン38の圧力が設定値で一定となるように作動する圧力調整弁であってもよい。この場合、飽和蒸気ライン38の圧力と容器8の圧力とは同等であるので、容器8の圧力も上述の設定値で一定となる。
また、幾つかの実施形態では、バルブ42は、飽和蒸気ライン38又は容器8内の圧力を検出するための圧力センサからの信号に基づいて、飽和蒸気ライン38又は容器8内の圧力が規定値となるように、飽和蒸気ライン38における飽和蒸気の流量を調節するように構成されていてもよい。
【0070】
飽和蒸気ライン38には、上述のバルブ42の下流側に復水器44が設けられている。復水器44では、飽和蒸気ライン38を流れる飽和蒸気を冷却水等で冷却することにより、凝縮水が生成される。この凝縮水は、例えば、給水管62を介して容器8に返送されるようになっている。
【0071】
図1図4に示すように、飽和蒸気ライン38からは分岐ライン40が分岐しており、この分岐ライン40を介して需要先に飽和蒸気が供給されるようになっていてもよい。需要先に供給される飽和蒸気は、例えば、エンジン3等の燃料として使用される重油を加熱するために用いられてもよく、あるいは、船内雑用蒸気として用いられてもよい。
【0072】
図3に示す例示的な実施形態では、排熱回収装置2は、過熱器9及びタービン60をさらに備えている。
【0073】
図3に示す例示的な実施形態では、過熱器9は、エコノマイザ6の一部として設けられている。過熱器9は、排ガスライン18において蒸発器7(熱交換器)よりも上流側に設けられており、入口ヘッダ52と、出口ヘッダ54と、入口ヘッダ52と出口ヘッダ54との間において煙道(ケーシング20内部)を通るように設けられる伝熱管(不図示)と、を含む。過熱器9の出口ヘッダ54は、入口ヘッダ52よりも、煙道内の排ガス流れにおける上流側に設けられている。
【0074】
過熱器9の入口ヘッダ52は、バルブ42よりも上流側において飽和蒸気ライン38から分岐して設けられる過熱器入口側ライン39aと接続されている。また、過熱器9の出口ヘッダ54は、バルブ42よりも下流側かつ復水器44よりも上流側において飽和蒸気ライン38から分岐して設けられる過熱器出口側ライン39bと接続されている。また、過熱器出口側ライン39bには、タービン60が設けられている。
【0075】
過熱器入口側ライン39aには、飽和蒸気ライン38を流れる飽和蒸気の一部が流れこむようになっている。過熱器入口側ライン39aの飽和蒸気は、入口ヘッダ52を介して過熱器9に導入され、伝熱管を流れる。この際、飽和蒸気と煙道を流れる高温の排ガスとの熱交換により、過熱蒸気が生成される。過熱器9で生成した過熱蒸気は、出口ヘッダ54を介して過熱器9から排出され、過熱器出口側ライン39bへと導かれ、過熱器出口側ライン39bに設けられたタービン60に供給されて該タービン60を駆動するようになっている。
タービン60で仕事を終えた過熱蒸気は、飽和蒸気ライン38に合流し、復水器44に導かれるようになっている。
【0076】
なお、タービン60のロータには発電機が接続されていてもよい。この場合、タービン60によって発電機を駆動することで電力を生成することができる。
【0077】
制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工や演算処理を実行することにより、各種機能が実現されるようになっている。
【0078】
制御装置100は、エンジン3に供給される燃料が切り替えられたことを示す信号を、エンジン3又はエンジン制御装置(不図示)から受け取るようになっている。
エンジン3又はエンジン制御装置は、エンジン3に供給される燃料が、第1燃料から第2燃料に、又は、第2燃料から第1燃料に切り替えられたことを示す信号を制御装置100に送るようになっていてもよい。あるいは、エンジン3又はエンジン制御装置は、エンジン3にて現在使用されている燃料の種類(第1燃料又は第2燃料)を示す信号を所定期間毎に制御装置100に送るようになっており、制御装置100は、受け取った上述の信号に基づいて、エンジン3に供給されている燃料の種類が切替えられたことを特定できるようになっていてもよい。
【0079】
また、制御装置100は、上述の信号に基づいて、バルブ42の設定圧力(即ち、容器8の圧力の目標値)を示す信号を、バルブ42に出力するようになっていてもよい。
【0080】
また、制御装置100は、飽和蒸気ライン40に設けられた圧力センサ64による計測結果を示す信号を受け取るように構成されており、この計測結果に基づいて、飽和蒸気ライン40の圧力を調整するように、バルブ42を作動させるようになっていてもよい。
【0081】
次に、幾つかの実施形態に係る制御装置100を含む排熱回収システム1の動作について説明する。
【0082】
制御装置100は、エンジン3に供給される燃料が切り替えられたことを示す信号を受け取ったとき、該信号に基づいてバルブ42の開度を調節することにより、容器8の圧力を変更するように構成されている。
【0083】
より具体的には、制御装置100は、エンジン3に供給される燃料が低硫黄燃料である第1燃料であるときは、容器8の圧力が第1圧力となるようにバルブ42の開度を調節し、上述の燃料が高硫黄燃料である第2燃料であるときは、容器8の圧力が第1圧力よりも高い第2圧力となるようにバルブ42の開度を調節するように構成される。
【0084】
言い換えると、エンジン3に供給される燃料が第2燃料(高硫黄燃料)から第第1燃料(低硫黄燃料)に切り替えられたとき、容器8の圧力が第2圧力から第1圧力に減少するようにバルブ42の設定圧力を変更し、バルブ42の開度を大きくする。また、エンジン3に供給される第1燃料(低硫黄燃料)から第2燃料(高硫黄燃料)に切り替えられたとき、容器8の圧力が第1圧力から第2圧力に増加するようにバルブ42の設定圧力を変更し、バルブ42の開度を小さくする。
【0085】
エンジン3等において燃料の燃焼により生じる排ガスは、燃料の硫黄分濃度に応じた酸露点を有し、硫黄分濃度が高い燃料ほど、その燃料から生成される排ガスの酸露点が高い。また、排ガスが流れる排ガスライン18や蒸発器7及び過熱器9(エコノマイザ6)等を構成する配管等の機器を酸腐食から保護するためには、これらの機器内における排ガス温度を、排ガスの酸露点よりも高い温度に維持する必要がある。
【0086】
この点、上述の実施形態では、エンジン3の燃料として低硫黄燃料である第1燃料を使用するときには、第2燃料使用時に比べて上述の容器8内の圧力(即ち飽和圧力)が低い第1圧力となるようにバルブ42の開度を調節して、容器8内の温度(即ち飽和温度)を低下させる。これにより、酸露点の低下に応じた分だけ、蒸発器7(熱交換器)の出口(すなわちエコノマイザ6の出口)における排ガス温度を低下させることができる。すなわち、蒸発器7(熱交換器)を含むエコノマイザ6における排熱回収量を増大させることができる。
また、このように排熱回収量を増大させることで、回収した熱による蒸気生成量も増大させることができる。そして、これにより、例えば図2図4に示すような、ボイラ12を含む構成では、ボイラ12で賄うべき蒸気生成量を低減させることができるので、ボイラ12の稼働時間を低減させるとともに、ボイラ12に供給する燃料を低減させることができる。すなわち、ボイラ12を用いた追い焚きの頻度を減らすことができるため、追い焚きに必要な燃料などのコストを低減できる。
【0087】
また、上述の実施形態では、エンジン3の燃料として高硫黄燃料である第2燃料を使用するときには、第1燃料使用時に比べて上述の容器8内の圧力(即ち飽和圧力)が高い第2圧力となるようにバルブ42の開度を調節して、容器8内の温度(即ち飽和温度)を上昇させる。これにより、酸露点の上昇に応じた分だけ、蒸発器7(熱交換器)の出口(すなわちエコノマイザ6の出口)における排ガス温度を上昇させることで、排ガスライン18や蒸発器7(エコノマイザ6)を構成する配管等の機器を酸腐食から保護することができる。
【0088】
よって、上述の実施形態によれば、燃料種に応じて、バルブ42の開度の調節により排熱回収システム1による排熱回収量を調節することができ、これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0089】
ところで、上述のように、バルブ42の開度の調節により排熱回収量を調節しようとする場合、例えば、蒸発器7の出口(あるいはエコノマイザ6の出口)における排ガス温度に基づきバルブ42の開度を調節することも考えられる。しかしながら、排ガス温度は、該排ガスの流れに直交する面内で分布があるため、温度検出点に応じて制御にばらつきが生じる可能性がある。また、温度に基づく制御では、制御応答が遅くなる可能性がある。
これに対し、容器8内の圧力は場所によらずほぼ同じであることから、容器8内の圧力の検出値は、蒸発器7の出口(あるいはエコノマイザ6の出口)における排ガスの温度の検出値よりも正確性が高い。また、圧力に基づく制御は、温度に基づく制御に比べて制御応答が速い傾向がある。
【0090】
この点、上述の実施形態によれば、飽和状態の水及び蒸気が貯留される容器8の圧力(即ち、飽和温度に対応する飽和圧力)に基づきバルブ42の開度を調節することで排熱回収量を調節するようにしたので、正確性の高い圧力検出値により制御のばらつきを抑制することができるとともに、該容器8内の温度(即ち飽和温度)を迅速に調節することができる。
【0091】
図1図4に示す実施形態において、第1燃料(低硫黄燃料)は硫黄分を実質的に含まないLNG5(液化天然ガス)であり、第2燃料(高硫黄燃料)は、硫黄分を含む燃料である。そして、上述の第1圧力は2bar以上4bar以下に設定され、上述の第2圧力は5bar以上7bar以下に設定される。
【0092】
上述したように、燃料の燃焼生成ガス(排ガス)は、燃料の硫黄分濃度に応じた酸露点を有する。例えば、硫黄分をほぼ含まないLNG由来の排ガスの酸露点は100℃程度であり、硫黄分濃度が0.1%以上0.5%以下程度の燃料油由来の排ガスの酸露点は、120℃~150℃程度である(なお、硫黄分濃度がより高ければ、排ガスの酸露点もより高くなる傾向がある)。
【0093】
この点、上述の実施形態では、第1燃料としてLNGを用い、第2燃料として硫黄分を含む液体燃料を用いるとともに、第1圧力が2bar以上4bar以下となり、かつ、第2圧力が5bar以上7bar以下となるようにバルブ42の開度を調節する。したがって、エンジン3に供給される燃料(第1燃料または第2燃料)の切替えに応じて、排熱回収システム1による排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、第1圧力は2bar以上4bar未満に設定され、第2圧力は4bar以上5bar以下にされてもよい。
【0095】
この場合、例えば、第1燃料として硫黄分をほぼ含まない燃料(例えばLNG)を使用し、第2燃料として硫黄分濃度が第1燃料より大きい燃料を使用した場合に、燃焼装置で使用する燃料の切替えに応じて、排熱回収システムによる排熱回収量を適切に調節することができる。これにより、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができる。
【0096】
幾つかの実施形態では、ボイラ12は、バーナ(不図示)で燃焼される燃料に向けて蒸気を噴射するように構成された蒸気噴射部(不図示)を含んでおり、第2圧力として、該第2圧力の蒸気を上述の蒸気噴射部から噴射することによってバーナの燃料を拡散させることが可能な圧力に設定してもよい。
【0097】
この場合、上述したように、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができるとともに、蒸気ドラム48(容器8)内の飽和蒸気を、ボイラ12で燃料を燃焼させるために有効利用することができる。
【0098】
幾つかの実施形態では、排熱回収システム1は、燃料油を加熱して前記燃料油の粘性を低減させるための燃料加熱部(不図示)をさらに備え、第2圧力として、該第2圧力の蒸気を前記燃料加熱部に供給することによって前記燃料油の粘性を低減可能な圧力を設定してもよい。
【0099】
この場合、上述したように、機器を酸腐食から保護しながら、排熱回収量を増大させることができるとともに、容器8内の飽和蒸気を、例えば重油等の粘性の大きな燃料を加熱して粘性を低下させる等の目的で、燃料を加熱するための有効利用することができる。
【0100】
なお、エンジン3に供給される燃料の切り替えに基づくバルブ42開度の変更の操作は、制御装置100を用いずに、マニュアルで行ってもよい。
すなわち、エンジン3に供給される燃料が切り替えられたとき、オペレータがバルブ42の開度を調節して(例えばバルブ42の設定圧力を変更して)、容器8の圧力を変更するようにしてもよい。
【0101】
使用燃料と、容器8の圧力(目標圧力)は、上述した制御装置100による制御の場合と同様である。
【0102】
すなわち、オペレータが、エンジン3に供給される燃料が低硫黄燃料である第1燃料であるときは、容器8の圧力が第1圧力となるようにバルブ42の開度を調節し、上述の燃料が高硫黄燃料である第2燃料であるときは、容器8の圧力が第1圧力よりも高い第2圧力となるようにバルブ42の開度を調節するようにしてもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0104】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0105】
1 排熱回収システム
2 排熱回収装置
3 エンジン
4 LNGタンク
6 エコノマイザ
7 蒸発器
8 容器
9 過熱器
10 汽水分離器
12 ボイラ
13 火炉
14 LNG供給ライン
16 液体燃料供給ライン
18 排ガスライン
20 ケーシング
22 入口
24 出口
26 入口ヘッダ
28 出口ヘッダ
30a 循環ライン
30b 循環ライン
32 ポンプ
38 飽和蒸気ライン
39a 過熱器入口側ライン
39b 過熱器出口側ライン
40 分岐ライン
42 バルブ
44 復水器
46 燃料供給ライン
47 燃料供給ライン
48 蒸気ドラム
50 水ドラム
51 蒸発管
52 入口ヘッダ
54 出口ヘッダ
60 タービン
62 給水管
64 圧力センサ
100 制御装置
図1
図2
図3
図4