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特許7319779作業機械の表示制御装置、作業機械、作業機械の表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】作業機械の表示制御装置、作業機械、作業機械の表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20230726BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
E02F9/26 C
E02F9/26 B
E02F3/43 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018545264
(86)(22)【出願日】2017-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2017032461
(87)【国際公開番号】W WO2019049309
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新谷 了
(72)【発明者】
【氏名】上 義樹
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 祥人
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】佐藤 史彬
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/127912(WO,A1)
【文献】特開平2-47432(JP,A)
【文献】特開2007-85093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F9/26
E02F3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを備える作業機を有し、施工対象を施工するための作業機械の表示制御装置であって、
前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットした線を示す第2の線の少なくとも一方を含む表示信号を生成し、前記作業機械の作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のとき前記第2の線を実線で表示し、前記作業機械の作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のとき前記第2の線を破線で表示する表示制御部と
を備える作業機械の表示制御装置。
【請求項2】
バケットを備える作業機を有し、施工対象を施工するための作業機械の表示制御装置であって、
前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットした線を示す第2の線の少なくとも一方を含む表示信号を生成し、前記作業機械の作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のとき前記第2の線を表示し、前記作業機械の作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のとき前記第2の線を非表示とする表示制御部と
を備える作業機械の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記バケットの進入を抑制する制御線のオフセット距離を取得し、前記作業状態が前記第2の作業状態である場合に、前記オフセット距離に基づいて前記第2の線を前記第1の線からオフセットさせた位置に表示する
請求項1または請求項2に記載の作業機械の表示制御装置。
【請求項4】
前記バケットと、前記第1の線または前記第2の線とのなす角度が所定の値未満である場合に、前記作業機の作業状態が前記第1の作業状態であると判定する作業判定部を備える
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の作業機械の表示制御装置。
【請求項5】
前記第1の作業状態は、転圧モードまたは整地モードを含む、
請求項4に記載の作業機械の表示制御装置。
【請求項6】
前記バケットの進入を抑制する制御線のオフセット機能を設定させるか否かを示すオフセット設定情報の入力を受け付ける設定情報入力部を備え、
前記表示制御部は、前記オフセット設定情報が前記オフセット機能を設定させることを示す場合に前記第2の線を表示し、前記オフセット設定情報が前記オフセット機能を設定させないことを示す場合に前記第2の線を非表示とする、
請求項2に記載の作業機械の表示制御装置。
【請求項7】
前記バケットと前記第1の線とのなす角度に基づき、前記第2の線の表示態様を特定する制御線特定部を備え、
前記表示制御部は、前記バケットと前記第1の線とのなす角度が所定の値以上であった場合に、前記第2の線を表示させる、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の作業機械の表示制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の表示制御装置と、
バケットを備える作業機と、
を備える作業機械。
【請求項9】
バケットを備える作業機を有し施工対象を施工するための作業機械の作業状態によって、前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットした線を示す第2の線の少なくとも一方を異なる態様で表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のとき前記第2の線を実線で表示し、前記作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のとき前記第2の線を破線で表示する
表示装置。
【請求項10】
バケットを備える作業機を有し、施工対象を施工するための作業機械の表示装置の表示制御方法であって、
前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットしたの少なくとも一方を示す第2の線を含む表示信号を生成し、前記作業機械の作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のときの前記第2の線を実線で表示し、前記作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のときの前記第2の線を破線で表示すること
を含む表示制御方法。
【請求項11】
バケットを備える作業機を有し施工対象を施工するための作業機械の作業状態によって、前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットした線を示す第2の線の少なくとも一方を異なる態様で表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のとき前記第2の線を表示し、前記作業機械の作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のとき前記第2の線を非表示とする
表示装置。
【請求項12】
バケットを備える作業機を有し、施工対象を施工するための作業機械の表示装置の表示制御方法であって、
前記施工対象の目標地形を表す第1の線および前記第1の線より上方向に所定距離だけオフセットしたの少なくとも一方を示す第2の線を含む表示信号を生成し、前記作業機械の作業状態が成形作業における第2の作業に係る第2の作業状態のとき前記第2の線を表示し、前記作業機械の作業状態が成形作業において前記第2の作業の後に実行される第1の作業に係る第1の作業状態のとき前記第2の線を非表示とすること
を含む表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機を備える作業機械、当該作業機械に備えられる表示制御装置、表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機を備える建設機械において、作業形態が成形作業であると判定された場合に、掘削対象の目標形状を示す設計面に沿ってバケットを移動させ、作業形態が刃先位置合せ作業であると判定された場合に、設計面を基準とする所定位置でバケットを停止させることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2012/127912号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
法面を形成する場合、法面を目標形状としてバケットを移動させることとなる。この場合、対象の掘削及び掘削した表面の転圧という2つの作業が必要になる。この場合、転圧代を残して対象を掘削し、その後、転圧代の分、目標となる法面の位置までバケットにより対象を転圧する方法等により法面が形成される。作業機が施工する対象の仕上がりの目標となる形状に侵入しないように制御した上で上記の方法により法面が形成される場合、転圧代を残した掘削を行う際には、目標となる法面位置よりも例えば上方にオフセットさせた位置に制御目標を設定して掘削作業を行い、掘削作業を終えた後に、本来の目標となる法面位置に制御目標を設定(オフセットを解除)して転圧作業を行う。そのため、掘削作業と転圧作業を繰り返し行うような場合には、作業機械のオペレータは、作業機の制御目標を設定する位置を何度も切り替える必要がある。このようにすると、作業機械のオペレータは、作業の切り替えの度に制御目標を設定する必要があり、作業が煩雑になる。
【0005】
本発明の態様は、作業機械の制御線のオフセットの有無を切り替える場合に、作業機械のオペレータが混乱することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、表示制御装置は、バケットを備える作業機を有し、施工対象を施工するための作業機械の表示制御装置であって、前記作業機械の作業状態が第1の作業状態のときに前記バケットの侵入を禁止する前記施工対象の目標線および前記目標線と異なる線であって前記作業機械の作業状態が第2の作業状態のときに前記バケットの侵入を禁止する線を示す制御線の少なくとも一方を含む表示信号を生成し、前記作業機械の作業状態が第2の作業状態のときの前記制御線を、第1の作業状態のときの前記制御線より強調させた態様で表示する表示制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、作業機械の制御線のオフセットの有無を切り替える場合に、作業機械のオペレータが混乱することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機の姿勢の例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る油圧ショベルの構成を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る油圧ショベルの制御系の構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る作業機制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
図6】作業モードが掘削モードであるときに入出力装置に表示される画面の例である。
図7】作業モードが転圧モードであるときに入出力装置に表示される画面の例である。
図8】第1の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。
図10】第1の実施形態に係る表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
図11】第2の実施形態に係る作業機制御装置の構成を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
図13】第2の実施形態において入出力装置に表示される画面の例である。
図14】第2の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。
図15】第2の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。
図16】第2の実施形態に係る表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
図17】オフセット機能が有効であるときに他の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の例である。
図18】オフセット機能が無効であるときに他の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の第1の例である。
図19】オフセット機能が無効であるときに他の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の第2の例である。
図20】制御線の表示切替におけるヒステリシスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0010】
〈座標系〉
図1は、作業機の姿勢の例を示す図である。
以下の説明においては、三次元の現場座標系(Xg、Yg、Zg)および三次元の車体座標系(Xm、Ym、Zm)を規定して、これらに基づいて位置関係を説明する。
【0011】
現場座標系は、施工現場に設けられたGNSS基準局の位置を基準点として南北に伸びるXg軸、東西に伸びるYg軸、鉛直方向に伸びるZg軸から構成される座標系である。GNSSの例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。
【0012】
車体座標系は、後述する油圧ショベル100の旋回体120に規定された代表点Oを基準として前後に伸びるXm軸、左右に伸びるYm軸、上下に伸びるZm軸から構成される座標系である。旋回体120の代表点Oを基準として前方を+Xm方向、後方を-Xm方向、左方を+Ym方向、右方を-Ym方向、上方向を+Zm方向、下方向を-Zm方向とよぶ。
【0013】
後述する油圧ショベル100の作業機制御装置126は、演算により、ある座標系における位置を、他の座標系における位置に変換することができる。例えば、作業機制御装置126は、車体座標系における位置を現場座標系における位置に変換することができ、その逆の座標系にも変換することができる。
【0014】
〈第1の実施形態〉
《油圧ショベル》
図2は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの構成を示す斜視図である。第1の実施形態では、作業機械の一例として油圧ショベル100について説明する。なお、他の実施形態に係る作業機械は、必ずしも油圧ショベル100でなくてもよい。
油圧ショベル100は、油圧により作動する作業機110と、作業機110を支持する旋回体120と、旋回体120を支持する走行体130とを備える。
【0015】
作業機110は、ブーム111と、アーム112と、バケット113と、ブームシリンダ114と、アームシリンダ115と、バケットシリンダ116とを備える。
【0016】
ブーム111は、旋回体120に取り付けられ、アーム112を支持する。ブーム111の基端部は、旋回体120の前部にブームピンP1を介して取り付けられる。
アーム112は、ブーム111とバケット113とを連結する。アーム112の基端部は、ブーム111の先端部にアームピンP2を介して取り付けられる。
バケット113は、土砂などを掘削するための刃と掘削した土砂を搬送するための容器とを備える。バケット113は、刃の後端側に延長するバケット底面113Aを備える。バケット113の基端部は、アーム112の先端部にバケットピンP3を介して取り付けられる。なお、バケット113は、例えば法面バケットのように整地を目的としたバケットでもよいし、容器を備えないバケットでもよい。
【0017】
ブームシリンダ114は、ブーム111を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ114の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ114の先端部は、ブーム111に取り付けられる。
アームシリンダ115は、アーム112を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ115の基端部は、ブーム111に取り付けられる。アームシリンダ115の先端部は、アーム112に取り付けられる。
バケットシリンダ116は、バケット113を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ116の基端部は、アーム112に取り付けられる。バケットシリンダ116の先端部は、バケット113に取り付けられる。
【0018】
旋回体120には、オペレータが搭乗する運転室121が備えられる。運転室121は、旋回体120の前方かつ作業機110の左側(+Ym側)に備えられる。運転室121の内部には、作業機110を操作するための操作装置1211が設けられる。操作装置1211の操作量に応じて、ブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116に作動油が供給され、作業機110が駆動する。
【0019】
《油圧ショベルの制御系》
図3は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの制御系の構成を示す概略ブロック図である。
油圧ショベル100は、ストローク検出器117、操作装置1211、位置方位演算器123、傾斜検出器124、油圧装置125、作業機制御装置126、表示制御装置127、入出力装置128を備える。
【0020】
ストローク検出器117は、ブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116のそれぞれのストローク長を検出する。これにより、作業機制御装置126は、ブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116のそれぞれのストローク長に基づいて作業機110の車体座標系における位置および姿勢角を検出することができる。
【0021】
操作装置1211は、運転室121の右側に設けられる操作レバー1212と、運転室121の左側に設けられる操作レバー1213とを備える。操作装置1211は、操作レバー1212の前後方向および左右方向の操作量、ならびに操作レバー1213の前後方向および左右方向の操作量を検出し、検出された操作量に応じた操作信号を作業機制御装置126に出力する。第1の実施形態に係る操作装置1211による操作信号の生成方式は、PPC(Pressure Proportional Control)方式である。PPC方式とは、操作レバー1212および操作レバー1213の操作によって生成されるパイロット油圧を圧力センサにより検出し、操作信号を生成する方式である。操作レバー1212と操作レバー1213によってブーム111の操作、アーム112の操作、バケット113の操作、および旋回体120の旋回操作が行われる。
【0022】
位置方位演算器123は、旋回体120の位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器123は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する第1受信器1231および第2受信器1232を備える。第1受信器1231および第2受信器1232は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器123は、第1受信器1231が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点O(車体座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器123は、第1受信器1231が受信した測位信号と、第2受信器1232が受信した測位信号とを用いて、検出された第1受信器1231の設置位置に対する第2受信器1232の設置位置の関係として、旋回体120の方位を演算する。
【0023】
傾斜検出器124は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、Xm軸に対する回転を表すロール、Ym軸に対する回転を表すピッチ、およびZm軸に対する回転を表すヨー)を検出する。傾斜検出器124は、例えば運転室121の下面に設置される。傾斜検出器124の例としては、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)が挙げられる。
【0024】
油圧装置125は、作動油タンク、油圧ポンプ、流量制御弁、および電磁比例制御弁を備える。油圧ポンプは、図示しないエンジンの動力で駆動し、流量調整弁を介してブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116に作動油を供給する。電磁比例制御弁は、作業機制御装置126から受信する制御指令に基づいて、操作装置1211から供給されるパイロット油圧を制限する。流量制御弁はロッド状のスプールを有し、スプールの位置によってブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116に供給する作動油の流量を調整する。スプールは、電磁比例制御弁にて調整されたパイロット油圧によって駆動される。
【0025】
作業機制御装置126は、位置方位演算器123が演算した位置および方位、傾斜検出器124が検出した旋回体120の傾斜角、ならびにストローク検出器117が検出したストローク長に基づいて、バケット113の位置を特定する。また、作業機制御装置126は、特定したバケット113の姿勢および目標面に基づいて作業機110の作業モードを決定する。作業機制御装置126は、決定した作業モードに基づいて油圧装置125の電磁比例制御弁にブームシリンダ114の制御指令、アームシリンダ115の制御指令、およびバケットシリンダ116の制御指令を出力する。
【0026】
表示制御装置127は、作業機制御装置126からの信号に基づいて表示信号を生成し、入出力装置128に出力する。表示制御装置127は、入出力装置128から入力された入力信号を作業機制御装置126に出力する。
入出力装置128は、表示制御装置127から入力した表示信号に従って画面を表示する。入出力装置128は、画面を表示する表示部1281を備える。また入出力装置128は、利用者の操作に従って入力信号を生成し、表示制御装置127に出力する。入出力装置128の例としては、タッチパネル、モニタ、携帯端末などが挙げられる。入出力装置128は、表示装置の一例である。また、入出力装置128は表示制御装置127と一体に構成されてもよい。この場合、表示装置である入出力装置128は、表示制御装置127と表示部1281とを備えることとなる。なお、他の実施形態においては、油圧ショベル100は、入出力装置128に代えて入力装置と出力装置とを別個に備えてもよい。入力装置の例としては、ボタンやスイッチなどが挙げられる。入力装置は運転室121内のオペレータの操作可能な位置に設けられる。例えば、入力装置は操作レバー1212上または操作レバー1213上に設けられてよい。
【0027】
《作業機の姿勢》
ここで、図1を参照しながら作業機110の姿勢について説明する。作業機制御装置126は、作業機110の姿勢を算出し、その姿勢に基づいて作業機110の制御指令を生成する。作業機制御装置126は、作業機110の姿勢として、ブームピンP1を基準としたブーム111の姿勢角α、アームピンP2を基準としたアーム112の姿勢角β、バケットピンP3を基準としたバケット113の姿勢角γ、および車体座標系におけるバケット113の輪郭点の位置を算出する。以下、ブームピンP1を基準としたブーム111の姿勢角αを単にブーム111の姿勢角αともいい、アームピンP2を基準としたアーム112の姿勢角βを単にアーム112の姿勢角βともいい、バケットピンP3を基準としたバケット113の姿勢角γを単にバケット113の姿勢角γともいう。
【0028】
ブーム111の姿勢角αは、ブームピンP1から旋回体120の上方向(+Zm方向)に伸びる半直線と、ブームピンP1からアームピンP2へ伸びる半直線とがなす角によって表される。なお、旋回体120の姿勢(ピッチ角)θによって、旋回体120の上方向(+Zm方向)と鉛直上方向(+Zg方向)は必ずしも一致しない。
アーム112の姿勢角βは、ブームピンP1からアームピンP2へ伸びる半直線と、アームピンP2からバケットピンP3へ伸びる半直線とがなす角によって表される。
バケット113の姿勢角γは、アームピンP2からバケットピンP3へ伸びる半直線と、バケットピンP3からバケット113の刃先Eへ伸びる半直線とがなす角によって表される。
ここで、旋回体120を基準としたバケット113の姿勢角ηは、ブーム111の姿勢角α、アーム112の姿勢角β、およびバケット113の姿勢角γの和と等しい。以下、旋回体120を基準としたバケット113の姿勢角ηを作業機110末端の姿勢角ηともいう。作業機110末端の姿勢角ηは、バケットピンP3から旋回体120の上方向(+Z方向)に伸びる半直線と、バケットピンP3からバケット113の刃先Eへ伸びる半直線とがなす角に等しい。
【0029】
バケット113の刃先Eの位置は、ブーム111の寸法L1、アーム112の寸法L2、バケット113の寸法L3、ブーム111の姿勢角α、アーム112の姿勢角β、バケット113の姿勢角γ、バケット113の輪郭形状、旋回体120の代表点Oの位置、および代表点OとピンP1との位置関係から求められる。ブーム111の寸法L1は、ブームピンP1からアームピンP2までの距離である。アーム112の寸法L2は、アームピンP2からバケットピンP3までの距離である。バケット113の寸法L3は、バケットピンP3から刃先Eまでの距離である。代表点OとブームピンP1との位置関係は、例えば、車体座標系におけるブームピンP1の位置によって表される。また代表点OとブームピンP1との位置関係は、例えば、他の座標系によって表されても良い。例えば、代表点OとブームピンP1との位置関係は、代表点Oを原点とする極座標系によって表されてもよい。例えば、代表点OとブームピンP1との位置関係が、代表点OからブームピンP1までの距離、代表点Oを基準としたブームピンP1のXm軸回りの偏角、および代表点Oを基準としたブームピンP1のYm軸回りの偏角によって表されてもよい。
【0030】
《介入制御》
作業機制御装置126は、バケット113の位置および作業機110末端の姿勢角ηに基づいて作業機110の作業モードを決定する。作業モードの例としては、掘削モード、転圧モードなどが挙げられる。掘削モードとは、作業機110によって土砂を掘削する作業モードをいう。転圧モードとは、作業機110のバケット底面113Aで土砂を叩くことで地盤を締め固める作業モードをいう。なお、他の実施形態において作業モードはこれらに限られない。
【0031】
作業機制御装置126は、作業モードが掘削モードである場合、施工現場において設定された後述する制御線に作業機110が侵入しないように作業機110が施工対象に接近する方向の速度を制限する。制御線とは、作業機110の侵入の抑制対象となる線である。以下、作業機制御装置126が作業機110の速度を制限することを介入制御ともいう。掘削モードにおける制御線の例としては、施工現場の目標地形を表す目標面の位置に設定された線、または目標面より所定距離(オフセット距離)だけ離れた線が挙げられる。制御線を目標面より離しておくことで、作業機110による転圧作業により制御線と目標面との間に地盤を締め固めるための転圧代を残して土砂を掘削することができる。これにより、作業機110は、転圧すべき土砂を均等に残すことができる。
【0032】
作業機制御装置126は、作業モードが転圧モードである場合、施工現場の目標面に作業機110が侵入しないように、作業機110が施工対象に接近する方向の速度を制限する。つまり、転圧モードにおける制御線は、施工現場の目標面と同じ位置に設定される。制御線の位置を目標面の位置と一致させることにより、作業機110のバケット底面113Aにて地盤を叩くことで施工対象を目標面の位置まで締固めることができる。
【0033】
介入制御において作業機制御装置126は、制御線に作業機110が侵入しないように、ブームシリンダ114の制御指令を生成して油圧装置125の電磁比例制御弁に当該制御指令を出力する。これにより、バケット113の速度がバケット113と制御線との距離に応じた速度となるように、ブーム111が駆動する。つまり作業機制御装置126は、ブームシリンダ114の制御指令によってブーム111を上昇させることでバケット113の速度を制限する。
なお、他の実施形態においては、介入制御においてアームシリンダ115の制御指令またはバケットシリンダ116の制御指令を出力しても良い。つまり、他の実施形態においては、介入制御においてアーム112を上昇させることでバケット113の速度を制限してもよいし、バケット113の速度を直接制限してもよい。
【0034】
《作業機制御装置》
作業機制御装置126は、プロセッサ1261、メインメモリ1262、ストレージ1263、インタフェース1264を備える。
【0035】
ストレージ1263には、作業機110を制御するためのプログラムが記憶されている。ストレージ1263の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、不揮発性メモリ等が挙げられる。ストレージ1263は、作業機制御装置126のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1264または通信回線を介して作業機制御装置126に接続される外部メディアであってもよい。
【0036】
プロセッサ1261は、ストレージ1263からプログラムを読み出してメインメモリ1262に展開し、プログラムに従って処理を実行する。またプロセッサ1261は、プログラムに従ってメインメモリ1262に記憶領域を確保する。インタフェース1264は、ストローク検出器117、操作装置1211、位置方位演算器123、傾斜検出器124、油圧装置125の電磁比例制御弁、表示制御装置127、およびその他の周辺機器と接続され、信号の授受を行う。
【0037】
プログラムは、作業機制御装置126に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1263に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係る作業機制御装置の構成を示すブロック図である。
作業機制御装置126は、作業機械情報記憶部200、操作量取得部201、操作量記憶部202、検出情報取得部203、姿勢特定部204、目標施工データ記憶部205、目標面特定部206、オフセット取得部207、オフセット記憶部208、作業モード決定部209、制御線決定部210、距離特定部211、目標速度決定部212、作業機制御部213、制御指令出力部214を備える。
【0039】
作業機械情報記憶部200は、ブーム111の寸法L1、アーム112の寸法L2、バケット113の寸法L3、バケット113の形状、および旋回体120の代表点Oの位置とブームピンP1との位置関係を記憶する。
【0040】
操作量取得部201は、操作装置1211から操作量(パイロット油圧または電気レバーの角度)を示す操作信号を取得する。例えば、操作量取得部201は、ブーム111に係る操作量、アーム112に係る操作量、バケット113に係る操作量、および旋回に係る操作量を取得する。
【0041】
操作量記憶部202は、ブーム111に係る操作量、アーム112に係る操作量、バケット113に係る操作量、および旋回に係る操作量を記憶する。
【0042】
検出情報取得部203は、位置方位演算器123、傾斜検出器124、ストローク検出器117のそれぞれが検出した情報を取得する。例えば、検出情報取得部203は、旋回体120の現場座標系における位置情報、旋回体120が向く方位、旋回体120の姿勢、ブームシリンダ114のストローク長、アームシリンダ115のストローク長、およびバケットシリンダ116のストローク長を取得する。
【0043】
姿勢特定部204は、検出情報取得部203が取得した情報に基づいて、作業機110末端の姿勢角ηを特定する。姿勢特定部204は、以下の手順で作業機110末端の姿勢角ηを特定する。姿勢特定部204は、ブームシリンダ114のストローク長から、ブーム111の姿勢角αを算出する。姿勢特定部204は、アームシリンダ115のストローク長から、アーム112の姿勢角βを算出する。姿勢特定部204は、バケットシリンダ116のストローク長から、バケット113の姿勢角γを算出する。そして、姿勢特定部204は、ブーム111の姿勢角α、アーム112の姿勢角β、およびバケット113の姿勢角γを加算することで、作業機110末端の姿勢角ηを算出する。
【0044】
また、姿勢特定部204は、検出情報取得部203が取得した情報と作業機械情報記憶部200が記憶する情報とに基づいて、作業機110の刃先Eの現場座標系における位置を特定する。姿勢特定部204は、以下の手順で作業機110の刃先Eの現場座標系における位置を特定する。姿勢特定部204は、ブーム111の姿勢角αと作業機械情報記憶部200が記憶するブーム111の寸法L1とに基づいて、車体座標系におけるアームピンP2の位置を特定する。姿勢特定部204は、アームピンP2の位置と、アーム112の姿勢角βと作業機械情報記憶部200が記憶するアーム112の寸法L2とに基づいて、車体座標系におけるバケットピンP3の位置を特定する。姿勢特定部204は、バケットピンP3の位置と、バケット113の姿勢角γと作業機械情報記憶部200が記憶するバケット113の寸法L3とに基づいて、車体座標系における刃先Eの位置を特定する。そして、姿勢特定部204は、検出情報取得部203が取得した旋回体120の現場座標系における位置情報、旋回体120が向く方位、および旋回体120の姿勢に基づいて、車体座標系における刃先Eの位置を、現場座標系における位置に変換する。
【0045】
また、姿勢特定部204は、算出した姿勢角ηと、作業機械情報記憶部200が記憶するバケット113の形状と、検出情報取得部203が検出した旋回体120の姿勢とに基づいて、現場座標系におけるバケット底面113Aの傾きを求める。現場座標系におけるバケット底面113Aの傾きとは、例えばバケット底面113AとZg軸とがなす角をいう。姿勢特定部204は、以下の手順で現場座標系におけるバケット底面113Aの傾きを特定する。姿勢特定部204は、作業機械情報記憶部200が記憶するバケット113の形状に基づいて、車体座標系のZm-Xm平面においてバケットピンP3と刃先Eとを結ぶ直線と、バケット底面113Aを表す線分とがなす角μを求める。姿勢特定部204は、作業機110末端の姿勢角ηに、バケットピンP3と刃先Eとを結ぶ直線と、バケット底面113Aを表す線分とがなす角μを加算することで、車体座標系におけるバケット底面113Aの傾きを算出する。車体座標系におけるバケット底面113Aの傾きとは、バケット底面113AとZm軸とがなす角をいう。そして姿勢特定部204は、車体座標系におけるバケット底面113Aの傾きに、検出情報取得部203が検出した旋回体120の傾きを加算することで、現場座標系におけるバケット底面113Aの傾きを特定する。
姿勢特定部204は、作業機110の刃先Eの位置、およびバケット底面113Aの傾きを表示制御装置127に出力する。
【0046】
目標施工データ記憶部205は、施工現場における掘削対象の目標形状を表す目標施工データを記憶する。目標施工データは、現場座標系で表される三次元データであって、目標面を表す複数の三角形ポリゴンからなる立体地形データ等である。目標施工データを構成する三角形ポリゴンは、それぞれ隣接する他の三角形ポリゴンと共通の辺を有する。つまり、目標施工データは、複数の平面から構成される連続した平面を表す。目標施工データは、外部記憶媒体から読み込まれることで、またはネットワークを介して外部サーバから受信されることで、目標施工データ記憶部205に記憶される。
【0047】
目標面特定部206は、目標施工データ記憶部205が記憶する目標施工データと、姿勢特定部204が特定したバケット113の刃先Eの位置とに基づいて、目標面を特定する。例えば、目標面特定部206は、目標施工データのうち、バケット113の刃先Eの鉛直下方に位置する面または刃先Eに最も近い面を目標面として特定する。また、目標面特定部206は、目標面の現場座標系における傾きを特定する。
【0048】
オフセット取得部207は、表示制御装置127に設定された、目標面に対する制御線のオフセット距離を取得する。
【0049】
オフセット記憶部208は、オフセット取得部207が取得したオフセット距離を記憶する。
【0050】
作業モード決定部209は、姿勢特定部204が特定したバケット底面113Aの傾きと、目標面特定部206が特定した目標面の傾きとに基づいて、作業機110の作業モードを決定する。例えば、作業モード決定部209は、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとの差、すなわちバケット底面113Aと目標面とのなす角度θが所定角度以上である場合に、転圧モードではない作業モード、すなわち非転圧モードであると決定する。非転圧モードの一例として掘削モードが挙げられるため、以後は掘削モードとして説明する。また、作業モード決定部209は、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが所定角度未満である場合に、作業モードを転圧モードに決定する。例えば、掘削作業時には刃先Eを目標面に向けながら作業機110を施工対象に下ろすため、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが大きくなる。一方、転圧作業時にはバケット底面113Aを目標面に向けながら作業機110を施工対象に下ろすため、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが小さくなる。
作業モード決定部209は、決定した作業モードを表示制御装置127に出力する。
【0051】
制御線決定部210は、オフセット記憶部208が記憶するオフセット距離と作業モード決定部209が決定した作業モードとに基づいて、バケット底面113Aの制御目標を示す制御線を決定する。制御線決定部210は、作業モードが掘削モードである場合、目標面特定部206が特定した目標面の位置より上方向(+Zg方向)にオフセット距離だけ移動した位置に、制御線を設定する。また、制御線決定部210は、作業モードが転圧モードである場合、目標面特定部206が特定した目標面の位置に、制御線を設定する。なお、他の実施形態において、制御線決定部210は、作業モードが転圧モードである場合に、制御線を設定せずに作業機制御装置126が介入制御をしないものであってもよい。また、制御線決定部210は、作業モード決定部209が決定した作業モードに基づいて、制御線の表示の要否を示すオフセットビットを表示制御装置127に出力する。オフセットビットは、制御線の表示が必要な場合に1を示し、制御線の表示が不要な場合に0を示す。
【0052】
距離特定部211は、バケット113の刃先Eと制御線との距離を特定する。
【0053】
目標速度決定部212は、操作量取得部201が取得した操作レバー1212および操作レバー1213の操作量に基づいて、旋回体120を基準としたブーム111の目標速度、ブーム111を基準としたアーム112の目標速度、およびアーム112を基準としたバケット113の目標速度を決定する。以下、旋回体120を基準としたブーム111の速度を単にブーム111の速度ともいい、ブーム111を基準としたアーム112を単にアーム112の速度ともいい、アーム112を基準としたバケット113の速度を単にバケット113の速度ともいう。また、以下、旋回体120を基準としたバケット113の速度を作業機110末端の速度ともいう。
【0054】
作業機制御部213は、距離特定部211が特定したバケット113の刃先Eと制御線との距離に基づいて、バケット113が制御線より下方に侵入しないように作業機110を制御する介入制御を行う。作業機制御部213は、バケット113の刃先Eと制御線との間の距離と作業機110末端の制限速度との関係を示す制限速度テーブルにより、ブーム111の垂直方向の制限速度を決定する。制限速度テーブルの例としては、バケット113の刃先Eと制御線との距離が0に近づくほど作業機110末端の垂直方向成分の速度が0に近づくテーブルが挙げられる。以下、垂直方向下向きの速度を正数で表し、垂直方向上向きの速度を負数で表す。なお、本実施形態においては、作業機制御部213が、ブーム111の垂直方向の制限速度を決定するが、これに限られず、例えば法線方向の制限速度を決定してもよい。
作業機制御部213は、ブーム111とアーム112とバケット113の目標速度の垂直方向成分の和より作業機110末端の垂直方向における制限速度が小さい場合、作業機110末端の垂直方向における制限速度からアーム112の目標速度の垂直方向成分とバケット113の目標速度の垂直方向成分とを減算することで、ブーム111の垂直方向の制限速度を算出する。作業機制御部213は、ブーム111の垂直方向の制限速度から、ブーム111の制限速度を算出する。
【0055】
制御指令出力部214は、作業機制御部213が生成したブーム111の制御指令、アーム112の制御指令、およびバケット113の制御指令を油圧装置125の電磁比例制御弁に出力する。
【0056】
《表示制御装置》
表示制御装置127は、プロセッサ1271、メインメモリ1272、ストレージ1273、インタフェース1274を備える。
【0057】
ストレージ1273には、入出力装置128の表示を制御するためのプログラムが記憶されている。ストレージ1273の例としては、HDD、不揮発性メモリ等が挙げられる。ストレージ1273は、表示制御装置127のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1274または通信回線を介して表示制御装置127に接続される外部メディアであってもよい。
【0058】
プロセッサ1271は、ストレージ1273からプログラムを読み出してメインメモリ1272に展開し、プログラムに従って処理を実行する。またプロセッサ1271は、プログラムに従ってメインメモリ1272に記憶領域を確保する。インタフェース1274は、作業機制御装置126および入出力装置128と接続され、信号の授受を行う。
【0059】
プログラムは、表示制御装置127に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1273に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0060】
図5は、第1の実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
表示制御装置127は、オフセット入力部300、オフセット記憶部301、作業モード取得部302、オフセットビット取得部303、姿勢取得部304、目標施工データ記憶部305、目標線特定部306、制御線特定部307、表示制御部308を備える。
【0061】
オフセット入力部300は、油圧ショベル100のオペレータから、入出力装置128を介して、目標面に対する制御線のオフセット距離の入力を受け付ける。オフセット入力部300は、入力されたオフセット距離を作業機制御装置126に出力する。
【0062】
オフセット記憶部301は、オフセット入力部300に入力されたオフセット距離を記憶する。
【0063】
作業モード取得部302は、作業機制御装置126から作業機110の作業モードを取得する。
【0064】
オフセットビット取得部303は、作業機制御装置126から制御線の表示の要否を示すオフセットビットを取得する。
【0065】
姿勢取得部304は、作業機110の刃先Eの現場座標系における位置、およびバケット底面113Aの現場座標系における傾きを、作業機制御装置126から取得する。
【0066】
目標施工データ記憶部305は、施工現場における掘削対象の目標形状を表す目標施工データを記憶する。目標施工データは、外部記憶媒体から読み込まれることで、またはネットワークを介して外部サーバから受信されることで、目標施工データ記憶部305に記憶される。目標施工データ記憶部305が記憶する目標施工データは、目標施工データ記憶部205が記憶するものと同じものである。
【0067】
目標線特定部306は、目標施工データ記憶部305が記憶する目標施工データと、姿勢取得部304が取得したバケット113の刃先Eの位置とに基づいて、入出力装置128の画面に表示される目標線を特定する。目標線は、作業機110の駆動面(バケット113を通りYm軸に直交する面)と目標施工データとの交線によって表される。目標線特定部306は、以下の手順で目標線を特定する。目標線特定部306は、目標施工データから、バケット113の刃先Eの鉛直下方に位置する面または刃先Eに最も近い面を目標面として特定する。そして、目標線特定部306は、目標面を通る作業機110の駆動面と目標施工データとの交線を、目標線として特定する。
【0068】
制御線特定部307は、オフセット記憶部301が記憶するオフセット距離とオフセットビット取得部303が取得したオフセットビットとに基づいて、入出力装置128の画面に表示される制御線の表示の有無及び表示の位置を決定する。制御線特定部307は、オフセットビットが1を示す場合、制御線を表示することを決定する。このとき、制御線特定部307は、目標線特定部306が特定した目標線より上方向(+Zg方向)に、オフセット記憶部301が記憶するオフセット距離に相当する距離だけ移動した位置に制御線を設定する。また、制御線特定部307は、オフセットビットが0を示す場合、制御線の表示態様を非表示とすることを決定する。オフセットビットは、作業モードが転圧モードである場合に0を示すため、制御線特定部307がオフセットビットが1を示すか0を示すかを判定することは、作業機110の作業が所定作業であるか否かを判定することの一例である。なお、オフセット距離が0である場合、オフセットビットの値に関わらず(バケット底面113Aと目標面とのなす角度θに関わらず)、制御線の表示態様は非表示となる。
【0069】
表示制御部308は、作業モード取得部302が取得した作業モードと、姿勢取得部304が取得した情報と、目標施工データ記憶部305が記憶する目標施工データと、目標線特定部306が特定した目標線と、制御線特定部307が決定した制御線の表示の有無とに基づいて、入出力装置128に表示させる画面を示す表示信号を生成する。表示制御部308は、オフセットビットが1である場合に、目標線と、制御線と、バケット113の位置とを表示させる表示信号を生成する。表示制御部308は、オフセットビットが0である場合に、目標線と、バケット113の位置とを表示させる表示信号を生成する。すなわち、オフセットビットが0である場合、表示制御部308は、制御線を非表示とする。なお、他の実施形態においては、表示制御部308は、オフセットビットが0である場合に、目標線と同じ位置に制御線を表示させてもよい。目標線と同じ位置に制御線を表示させることは、制御線を非表示とすることの一例である。なお、制御線を非表示とすることの他の例としては、制御線を消去すること、制御線の色を背景色と同じ色にする、制御線の線種を、制御線がその位置には存在しないことを意味する線種(例えば一点鎖線)に切り替えることなどが挙げられる。
【0070】
図6は、作業モードが掘削モードであるときに入出力装置に表示される画面の例である。
表示制御部308は、作業モードが掘削モードである場合(オフセットビットが1である場合)に、目標線と、制御線と、バケット113の位置とを表示させる表示信号を生成することで、入出力装置128には、図6に示すような画像が表示される。すなわち入出力装置128には、目標線G1、制御線G2、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、作業モードが転圧モードであるか否かを示す転圧アイコンG5、制御線のオフセット機能が設定されているか否か、およびオフセット機能が設定されている場合には有効であるか否かを示すオフセットアイコンG6を含む画面が表示される。「オフセット機能が設定されている」とは、作業機制御装置126がオフセットビットに基づいてオフセット機能を有効とするか無効とするかを決定する状態をいう。「オフセット機能が非設定である」とは、作業機制御装置126が作業モードに関わらずオフセット機能を無効とする状態をいう。「オフセット機能が有効である」とは、オフセット機能が設定された上で作業機制御装置126が作業モードに基づいて制御面を目標面より所定のオフセット距離だけ離れた位置に設定している状態をいう。「オフセット機能が無効である」とは、オフセット機能が設定された上で作業機制御装置126が作業モードに基づいて制御面を目標面と同じ位置に設定している状態をいう。このとき、目標線G1と制御線G2とは異なる態様で表示される。例えば、目標線G1が実線で表示され、制御線G2が破線で表示される。また、イラストG3の位置は、姿勢取得部304が取得した刃先Eの位置に基づいて決定され、イラストG3の傾きは、姿勢取得部304が取得したバケット底面113Aの傾きに基づいて決定される。また、転圧アイコンG5は、転圧モードでないことを表す態様で表示される。また、オフセットアイコンG6は、制御線のオフセット機能が設定されており、かつオフセット機能が有効になっていることを表す態様で表示される。なお、図6においてバケット底面113Aと目標面とのなす角度をθとして記載しているが、角度θは入出力装置に表示される画面に表示されてもされなくてもよい。
【0071】
図7は、作業モードが転圧モードであるときに入出力装置に表示される画面の例である。
表示制御部308は、作業モードが転圧モードである場合(オフセットビットが0である場合)に、目標線と、バケット113の位置とを表示させる表示信号を生成することで、入出力装置128には、図7に示すような画像が表示される。すなわち入出力装置128には、目標線G1、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、オフセットアイコンG6を含み、制御線G2を含まない画面が表示される。このとき、転圧アイコンG5は、転圧モードであることを表す態様で表示される。また、オフセットアイコンG6は、制御線のオフセット機能が設定されているが、オフセット機能が無効になっていることを表す態様で表示される。
つまり、入出力装置128の表示部1281は、油圧ショベル100の作業状態が転圧モードであるか否かによって、目標線および制御線の少なくとも一方を異なる態様で表示する。なお、表示制御部308は、作業モードが転圧モードである場合に、制御線G2と、バケット113の位置とを表示させる表示信号を生成することで、入出力装置128に、図7における目標線G1の位置に制御線G2を表示する画像を表示させてもよい。
【0072】
《作業機制御装置の動作》
ここで、第1の実施形態に係る油圧ショベル100の作業機制御装置126の動作の概略について説明する。まず油圧ショベル100の作業機制御装置126は、作業機110の駆動面と目標面との交線を目標線として特定する。作業機制御装置126は、目標線の位置に制御線を設定する。オペレータ等によりオフセット距離が設定されている場合、作業機制御装置126は、制御線を目標線の位置からオフセット距離だけ離れた位置に設定する。作業機制御装置126は、作業モードの判定などに基づいてオフセット機能が無効であると判断した場合には、オペレータによるオフセット距離の設定にかかわらず、制御線の位置を目標線の位置に設定し直す。
【0073】
以下、第1の実施形態に係る油圧ショベル100の制御方法について説明する。
以下に示す油圧ショベル100の制御の前に、油圧ショベル100のオペレータは、入出力装置128を介して、表示制御装置127に制御線の目標面に対するオフセット距離を入力する。表示制御装置127のオフセット入力部300は、入力されたオフセット距離をオフセット記憶部301に記憶させ、また当該オフセット距離を作業機制御装置126に出力する。作業機制御装置126のオフセット取得部207は、表示制御装置127からオフセット距離を取得し、取得したオフセット距離をオフセット記憶部208に記憶させる。以後、オペレータによってオフセット距離が入力されると、作業機制御装置126は、オフセット記憶部208に記憶されるオフセット距離を更新し、表示制御装置127は、オフセット記憶部301に記憶されるオフセット距離を更新する。
【0074】
図8および図9は、第1の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。作業機制御装置126は、所定の制御周期ごとに以下に示す制御を実行する。
操作量取得部201は、操作装置1211からブーム111に係る操作量、アーム112に係る操作量、バケット113に係る操作量、および旋回に係る操作量を取得し、操作量記憶部202に記憶させる(ステップS1)。検出情報取得部203は、位置方位演算器123、傾斜検出器124、ストローク検出器117のそれぞれが検出した情報を取得する(ステップS2)。
【0075】
姿勢特定部204は、各油圧シリンダのストローク長からブーム111の姿勢角α、アーム112の姿勢角β、およびバケット113の姿勢角γを算出する(ステップS3)。また姿勢特定部204は、算出した姿勢角α、β、γと、作業機械情報記憶部200が記憶するブーム111の寸法L1、アーム112の寸法L2、バケット113の寸法L3およびバケット113の形状と、検出情報取得部203が取得した旋回体120の位置、方位および姿勢とに基づいて、作業機110末端の姿勢角η、現場座標系におけるバケット底面113Aの傾き、および刃先Eの位置を算出する(ステップS4)。
【0076】
目標面特定部206は、目標施工データ記憶部205が記憶する目標施工データのうち刃先Eの鉛直下方に位置する面または刃先Eに最も近い面を目標面として特定する(ステップS5)。目標面特定部206は、特定した目標面の現場座標系における傾きを算出する(ステップS6)。
【0077】
次に、作業モード決定部209は、バケット底面113Aと目標面とのなす角度が所定角度以上であるか否かを判定する(ステップS7)。バケット底面113Aと目標面とのなす角度が所定角度以上である場合(ステップS7:YES)、作業モード決定部209は、作業モードを非転圧モードに決定する(ステップS8)。他方、バケット底面113Aと目標面とのなす角度が所定角度未満である場合(ステップS7:NO)、作業モード決定部209は、作業モードを転圧モードに決定する(ステップS9)。
【0078】
作業モード決定部209は、ステップS8またはステップS9で作業モードを決定すると、決定した作業モードを表示制御装置127に出力する(ステップS10)。
【0079】
制御線決定部210は、作業モード決定部209が決定した作業モードが非転圧モードであるか否かを判定する(ステップS11)。作業モードが非転圧モードである場合(ステップS11:YES)、入出力装置128に制御線を表示させることを決定し、オフセットビットに1をセットする(ステップS12)。また、制御線決定部210は、目標面特定部206が特定した目標面を、オフセット記憶部208が記憶するオフセット距離だけ上方向に移動させた位置に制御線を設定する(ステップS13)。
【0080】
他方、作業モードが非転圧モードでない場合(ステップS11:NO)、入出力装置128に制御線を表示させないことを決定し、オフセットビットに0をセットする(ステップS14)。また、制御線決定部210は、目標面特定部206が特定した目標面の位置に制御線を設定する(ステップS15)。
【0081】
制御線決定部210がステップS13またはステップS15で制御線を決定すると、目標速度決定部212は、ステップS1で操作量取得部201が取得した操作量に基づいて、ブーム111、アーム112およびバケット113の目標速度を算出する(ステップS16)。
【0082】
距離特定部211は、制御線決定部210が決定した制御線とバケット113の刃先Eとの距離を特定する(ステップS17)。次に、作業機制御部213は、距離特定部211が特定した距離に基づいて作業機110末端の制限速度を特定する(ステップS18)。次に、作業機制御部213は、アーム112およびバケット113の目標速度と作業機110末端の制限速度とに基づいてブーム111の制限速度を算出する(ステップS19)。作業機制御部213は、ブーム111の制限速度およびブーム111の目標速度に基づいて、ブーム111の制御指令を生成する(ステップS20)。例えば、作業機制御部213は、ブーム111の目標速度がブーム111の制限速度より大きい場合、ブーム111の制限速度に基づいてブーム111の制御指令を生成し、ブーム111の目標速度がブーム111の制限速度以下である場合、ブーム111の目標速度に基づいてブーム111の制御指令を生成する。また、作業機制御部213は、アーム112の目標速度に基づいてアーム112の制御指令を生成し、バケット113の目標速度に基づいてバケット113の制御指令を生成する(ステップS21)。
【0083】
作業機制御部213がブーム111、アーム112およびバケット113の制御指令を生成すると、制御指令出力部214は、当該制御指令を油圧装置125の電磁比例制御弁に出力する(ステップS22)。これにより、油圧装置125は、ブームシリンダ114、アームシリンダ115、およびバケットシリンダ116を駆動させる。
【0084】
図10は、第1の実施形態に係る表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
作業機制御装置126は、上述したステップS1からステップS22の動作を実行すると、作業機110の作業モード、オフセットビット、および作業機110の刃先Eの現場座標系における位置、およびバケット底面113Aの現場座標系における傾きを表示制御装置127に出力する。
【0085】
表示制御装置127の作業モード取得部302は、作業機制御装置126から作業機110の作業モードを取得する(ステップS51)。オフセットビット取得部303は、作業機制御装置126からオフセットビットを取得する(ステップS52)。また姿勢取得部304は、作業機制御装置126から、作業機110の刃先Eの現場座標系における位置およびバケット底面113Aの現場座標系における傾きを取得する(ステップS53)。
【0086】
次に、表示制御部308は、姿勢取得部304が取得した刃先Eの位置およびバケット底面113Aの傾きに基づいて、バケット113のイラストG3の位置および傾き、ならびにバケット底面113Aを表す線分G4の位置および傾きを決定する(ステップS54)。
【0087】
次に、目標線特定部306は、目標施工データ記憶部305が記憶する目標施工データから、姿勢取得部304が取得したバケット113の刃先Eの鉛直下方に位置する面または刃先Eに最も近い面を目標面として特定する(ステップS55)。目標線特定部306は、目標面を通る作業機110の駆動面と目標施工データとの交線を、目標線G1として特定する(ステップS56)。
【0088】
次に、表示制御部308は、作業モード取得部302が取得した作業モードが転圧モードであるか否かを判定する(ステップS57)。作業モードが転圧モードである場合(ステップS57:YES)、表示制御部308は、転圧アイコンG5を、転圧モードであることを表す態様で表示することを決定する(ステップS58)。他方、作業モードが転圧モードでない場合(ステップS57:NO)、表示制御部308は、転圧アイコンG5を、転圧モードでないことを表す態様で表示することを決定する(ステップS59)。
【0089】
表示制御部308が転圧アイコンG5の態様を決定すると、制御線特定部307は、オフセットビット取得部303が取得したオフセットビットが1を示すか否かを判定する(ステップS60)。オフセットビットが1を示す場合(ステップS60:YES)、制御線特定部307は、目標線特定部306が特定した目標線G1より上方向に、オフセット記憶部301が記憶するオフセット距離に相当する距離だけ移動した位置に、制御線G2を設定する(ステップS61)。次に、表示制御部308は、オフセットアイコンG6を、オフセット機能が有効であることを表す態様で表示することを決定する(ステップS62)。そして、表示制御部308は、目標線G1、制御線G2、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、およびオフセットアイコンG6を表示させる表示信号(第1表示信号)を生成する(ステップS63)。
【0090】
他方、オフセットビットが0を示す場合(ステップS60:NO)、制御線特定部307は、制御線G2を非表示とすることを決定する(ステップS64)。次に、表示制御部308は、オフセットアイコンG6を、オフセット機能が無効であることを表す態様で表示することを決定する(ステップS65)。そして、表示制御部308は、目標線G1、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、およびオフセットアイコンG6を表示させる表示信号(第2表示信号)を生成する(ステップS66)。
【0091】
表示制御部308は、ステップS63またはステップS66で表示信号を生成すると、当該表示信号を入出力装置128に出力する(ステップS67)。これにより、図6または図7に示すような画面が入出力装置128に表示される。
【0092】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る作業機制御装置126は、作業機110による作業が転圧作業でないと判定した場合に、施工対象の目標面と異なる位置であってバケット113の侵入の抑制対象となる線を示す制御線に侵入しないようにバケット113を制御する。他方、作業機制御装置126は、作業が転圧作業であると判定した場合に、目標面に侵入しないようにバケット113を制御する。
これにより、掘削作業から転圧作業に移行する際に、オペレータによって手動で制御線のオフセット機能を非設定状態としなくても、作業機制御装置126が自動的に制御線のオフセット機能を無効にする。したがって、第1の実施形態によれば、作業機制御装置126は、オペレータの操作の手間を省くことができる。
【0093】
また、第1の実施形態に係る表示制御装置127は、作業機110による作業が転圧作業であるか否かを判定し、転圧作業でないと判定された場合に、施工対象の目標線と異なる線であってバケット113の侵入の抑制対象となる線を示す制御線G2と、バケット113のイラストG3とを少なくとも含む画面を表示させる第1表示信号を生成する。他方、表示制御装置127は、作業が転圧作業であると判定された場合に、目標線G1とバケット113のイラストG3とを表示させる第2表示信号を生成する。このとき、第2表示信号には、目標線と異なる線を表す制御線G2は非表示とされる。
これにより、作業機制御装置126が制御線のオフセット機能を一時的に無効にしたとしても、当該無効化に合わせて入出力装置128の表示が切り替わる。そのため、作業機制御装置126が作業モードに応じて自動的に制御線を切り替えても、オペレータを混乱させることを防ぐことができる。
【0094】
また、第1の実施形態に係る表示制御装置127は、制御線のオフセット機能が無効にされているか否かを示すオフセットアイコンG6を表示させる。これにより、オペレータは、制御線G2の表示の有無に加え、オフセットアイコンG6を確認することで、制御線のオフセット機能が無効にされているか否かを視覚的に認識することができる。
【0095】
また、第1の実施形態に係る表示制御装置127は、作業機110による作業が転圧作業であるか否かを示す転圧アイコンG5を表示させる。これにより、オペレータは、転圧作業のためにオフセット機能が無効にされたことを視覚的に認識することができる。
【0096】
また、第1の実施形態に係る作業機制御装置126は、作業モードが掘削モードである場合に、制御線を目標面から上方に離れた位置に設定する。これにより、作業機110による転圧作業により制御線と目標面との間に地盤を締め固めるための転圧代を残して土砂を整形することが容易になる。また、第1の実施形態に係る作業機制御装置126は、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが所定値より大きい場合に、作業モードが掘削モードであると判定する。これにより、作業機制御装置126は、オペレータに操作させることなく作業モードを特定することができる。
【0097】
また、第1の実施形態に係る作業機制御装置126は、作業モードが転圧モードである場合、制御線を目標面の位置に設定する。これにより、作業機110は、締固めの際に目標面の位置で地盤を叩くことができる。また、第1の実施形態に係る作業機制御装置126は、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが所定値より小さい場合に、作業モードが転圧モードであると判定する。これにより、作業機制御装置126は、オペレータに操作させることなく作業モードを特定することができる。
【0098】
〈第2の実施形態〉
作業機110による掘削作業中に、法面から突き出た岩などの障害物が見つかることがある。障害物が突き出ている場合、転圧などの作業ができないため、バケット113の刃先Eで障害物を地中に押し込めたり、法面よりも下方にバケット113の刃先Eを食い込ませて障害物を掘り出したりすることが想定される。このような場合、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θの大小に関わらず、一時的に制御線のオフセット機能を非設定にする必要がある。第2の実施形態では、バケット底面113Aの傾きに加え、オペレータの判断で手動によりオフセット機能を設定するか非設定にするかを切り替えることができる油圧ショベル100について説明する。オフセット機能は、オペレータが手動でオフセット機能を設定し、または非設定にすることができる。オフセット機能が非設定とされている場合、作業機制御装置126は、制御線をオフセットしない。他方、オフセット機能が設定されている場合、作業機制御装置126は、第1の実施形態のようにバケット底面113Aと目標面とのなす角度θに基づいてオフセット機能を有効とするか無効とするかを決定する。すなわち、オフセット機能が設定されており、かつバケット底面113Aと目標面とのなす角度θに基づいてオフセット機能が有効であると判定された場合に、作業機制御装置126は、制御線をオフセットする。
なお、オフセット機能が非設定である場合、作業機制御装置126は、オフセット機能が無効である場合と同様に、制御線を目標面の位置に設定する。したがって、オフセット機能が非設定である場合、表示制御装置127は、オフセット機能が無効である場合と同様に、制御線を非表示とする。
【0099】
《作業機制御装置》
図11は、第2の実施形態に係る作業機制御装置の構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る作業機制御装置126は、第1の実施形態に係る構成に加え、さらに切替ビット取得部215および切替ビット記憶部216を備える。切替ビット取得部215は、表示制御装置127からオフセット機能を設定するか非設定にするかを示すオフセット切替ビットを取得する。オフセット切替ビットが0である場合、オフセット機能が非設定になる。他方、オフセット切替ビットが1である場合、オフセット機能が設定される。切替ビット記憶部216は、切替ビット取得部215が取得したオフセット切替ビットを記憶する。切替ビット取得部215は、設定情報入力部の一例である。
【0100】
《表示制御装置》
図12は、第2の実施形態に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る表示制御装置127は、第1の実施形態に係る構成に加え、さらに切替ビット入力部309および切替ビット記憶部310を備える。切替ビット入力部309は、入出力装置128を介して、オペレータから、オフセット機能を設定するか非設定にするかを示すオフセット切替ビットの入力を受け付ける。例えば、オペレータが入出力装置128に表示されたオフセットアイコンG6を押下することで、オフセット切替ビットが切り替わる。切替ビット入力部309は、オフセット切替ビットを作業機制御装置126に出力する。切替ビット記憶部310は、切替ビット入力部309に入力されたオフセット切替ビットを記憶する。なお、オフセット切替ビットは、制御線を目標面の位置からオフセットさせた位置に設定するか否かを示すオフセット設定情報の一例である。
【0101】
図13は、第2の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の例である。
切替ビット記憶部310が記憶するオフセット切替ビットが0を示す場合、図13に示すように、オフセットアイコンG6が、オフセット機能が手動で非設定にされていることを表す態様で表示される。すなわち、オフセット機能が手動により非設定になっているため、図7におけるオフセットアイコンG6(オフセットが無効になっていることを表す態様)と異なる態様で表示される。このときオペレータがオフセットアイコンG6を押下すると、切替ビット入力部309は、オフセット切替ビットを1に切り替える。図13に示す例においては、オフセット機能が非設定であるため、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θが所定角度以上であるか否かによらず、制御線が目標面の位置に設定される。
他方、切替ビット記憶部310が記憶するオフセット切替ビットが1を示す場合、図6または図7に示すように、オフセットアイコンG6が、オフセット機能が有効になっていることを表す態様またはオフセット機能が無効になっていることを表す態様で表示される。このときオペレータがオフセットアイコンG6を押下すると、切替ビット入力部309は、オフセット切替ビットを0に切り替える。
【0102】
《作業機制御装置の動作》
ここで、第2の実施形態に係る油圧ショベル100の制御方法について説明する。
以下に示す油圧ショベル100の制御の前に、油圧ショベル100のオペレータは、入出力装置128を介して、表示制御装置127に制御線の目標面に対するオフセット距離を入力する。表示制御装置127のオフセット入力部300は、入力されたオフセット距離をオフセット記憶部301に記憶させ、また当該オフセット距離を作業機制御装置126に出力する。作業機制御装置126のオフセット取得部207は、表示制御装置127からオフセット距離を取得し、取得したオフセット距離をオフセット記憶部208に記憶させる。
【0103】
図14および図15は、第2の実施形態に係る作業機制御装置の動作を示すフローチャートである。作業機制御装置126は、所定の制御周期ごとに以下に示す制御を実行する。
なお、図14におけるステップS101からステップS110までの処理は、それぞれ図8のステップS1からステップS10の処理と同じ内容である。
【0104】
作業機制御装置126は、ステップS110の処理を実行すると、制御線決定部210は、作業モード決定部209が決定した作業モードが非転圧モードであり、かつ切替ビット記憶部216が記憶するオフセット切替ビットが1であるか否かを判定する(ステップS111)。作業モードが非転圧モードであり、かつオフセット切替ビットが1である場合(ステップS111:YES)、入出力装置128に制御線を表示させることを決定し、オフセットビットに1をセットする(ステップS112)。また、制御線決定部210は、目標面特定部206が特定した目標面を、オフセット記憶部208が記憶するオフセット距離だけ上方向に移動させた面を制御線に決定する(ステップS113)。
【0105】
他方、作業モードが非転圧モードでない場合、またはオフセット切替ビットが0である場合(ステップS111:NO)、入出力装置128に制御線を表示させないことを決定し、オフセットビットに0をセットする(ステップS114)。また、制御線決定部210は、目標面特定部206が特定した目標面を制御線に決定する(ステップS115)。そして、作業機制御装置126は、ステップS116からステップS122までの処理を実行する。図15におけるステップS116からステップS122までの処理は、それぞれ図9のステップS16からステップS22の処理と同じ内容である。
【0106】
図16は、第2の実施形態に係る表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
作業機制御装置126は、上述したステップS101からステップS126の動作を実行すると、作業機110の作業モード、オフセットビット、および作業機110の刃先Eの現場座標系における位置、およびバケット底面113Aの現場座標系における傾きを表示制御装置127に出力する。表示制御装置127は、図16に示す制御を実行する。
なお、図16におけるステップS151からステップS159までの処理は、それぞれ図10のステップS51からステップS159の処理と同じ内容である。
【0107】
ステップS158またはステップS159で表示制御部308が転圧アイコンG5の態様を決定すると、制御線特定部307は、切替ビット記憶部310が記憶するオフセット切替ビットが1であるか否かを判定する(ステップS160)。オフセット切替ビットが1である場合(ステップS160:YES)、制御線特定部307は、オフセットビット取得部303が取得したオフセットビットが1を示すか否かを判定する(ステップS161)。オフセットビットが1を示す場合(ステップS161:YES)、制御線特定部307は、目標線特定部306が特定した目標線G1より上方向に、オフセット記憶部301が記憶するオフセット距離に相当する距離だけ移動した位置に制御線G2を設定する(ステップS162)。次に、表示制御部308は、オフセットアイコンG6を、オフセット機能が有効であることを表す態様で表示することを決定する(ステップS163)。そして、表示制御部308は、目標線G1、制御線G2、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、およびオフセットアイコンG6を表示させる表示信号(第1表示信号)を生成する(ステップS164)。
【0108】
他方、オフセットビットが0を示す場合(ステップS161:NO)、制御線特定部307は、制御線G2を非表示とすることを決定する(ステップS165)。次に、表示制御部308は、オフセットアイコンG6を、オフセット機能が無効であることを表す態様で表示することを決定する(ステップS166)。そして、表示制御部308は、目標線G1、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、およびオフセットアイコンG6を表示させる表示信号(第2表示信号)を生成する(ステップS167)。
【0109】
また、オフセット切替ビットが0を示す場合(ステップS160:NO)、制御線特定部307は、制御線G2を非表示とすることを決定する(ステップS168)。次に、表示制御部308は、オフセットアイコンG6を、オフセット機能が非設定となっていることを表す態様で表示することを決定する(ステップS169)。そして、表示制御部308は、目標線G1、バケット113のイラストG3、バケット底面113Aを表す線分G4、転圧アイコンG5、およびオフセットアイコンG6を表示させる表示信号(第2表示信号)を生成する(ステップS170)。
【0110】
表示制御部308は、ステップS164、ステップS167またはステップS170で表示信号を生成すると、当該表示信号を入出力装置128に出力する(ステップS171)。これにより、図6図7、または図13に示すような画面が入出力装置128に表示される。
【0111】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態によれば、作業機制御装置126および表示制御装置127は、オペレータからの入力に基づいて、オフセット機能を設定するか、または非設定にするかを切り替える。これにより、法面に障害物が存在する場合など、オペレータの判断でオフセット機能を一時的に非設定としたいときに、オペレータは、手動でオフセット機能を設定するか、または非設定とするかを切り替えることができ、またその状態を視覚的に認識することができる。
【0112】
また、第2の実施形態によれば、表示制御装置127は、制御線のオフセット機能が設定されているか非設定となっているかを示すオフセットアイコンG6を表示させる。これにより、オペレータは、オフセットアイコンG6を確認することで、制御線のオフセット機能が設定されているか非設定となっているかを視覚的に認識することができる。
【0113】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係る表示制御装置127は、オフセットビットに基づいて制御線を表示すべきか否かを判定するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係る表示制御装置127は、作業機制御装置126から取得する作業モードに基づいて、制御線を表示すべきか否かを判定してもよい。また他の実施形態に係る表示制御装置127は、作業機制御装置126からバケット底面113Aの傾きを取得し、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きの差、すなわちバケット底面113Aと目標面とのなす角度θとに基づいて、制御線を表示すべきか否かを判定してもよい。また他の実施形態に係る表示制御装置127は、バケット底面113Aと制御線とのなす角度、目標線とバケット底面113Aを表す線分G4とのなす角度、または制御線とバケット底面113Aを表す線分G4とのなす角度に基づいて、制御線を表示すべきか否かを判定してもよい。なお、オフセットビットが1であるか0であるかを判定すること、作業機制御装置126から取得する作業モードを判定すること、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとを比較すること、バケット底面113Aの傾きと制御線の傾きとを比較すること、バケット底面113Aを表す線分G4の傾きと目標線の傾きとを比較すること、バケット底面113Aを表す線分G4の傾きと制御線の傾きとを比較することは、いずれも作業機110による作業が所定の作業であるか否かを判定することの一例である。なお、他の実施形態においては、表示制御装置127は、所定の作業であるか否かの判定を行わずに、単にバケット底面113Aと目標面とのなす角度に基づいて制御線を表示すべきか否かを判断してもよい。
【0114】
上述した実施形態において、作業機制御装置126が制御線を表示すべきか否かを判定するにあたり、バケット底面113Aまたはバケット底面113Aを表す線分G4を用いていたが、これに限られない。例えば作業機制御装置126は、バケット底面113Aではなく、バケット113の傾きを表すその他の面または線を用いて制御線を表示すべきか否かを判定してもよい。すなわち、作業機制御装置126は、バケット113と目標面とのなす角度、バケット113と目標線とのなす角度、またはバケット113と制御線とのなす角度に基づいて、制御線を表示すべきか否かを判定してもよい。
【0115】
図17は、オフセット機能が有効であるときに他の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の例である。図18は、オフセット機能が無効であるときに他の実施形態に係る入出力装置に表示される画面の第1の例である。
また、上述した実施形態に係る表示制御装置127は、目標線と制御線との表示を切り替える場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る表示制御装置127は、制御線G2を表示せずに目標線G1を表示する形態であってもよい。その場合、オフセット機能が有効であるときに、図17に示すように、目標線G1を元の目標線G1の位置H1からオフセット高さHだけ上方向に移動させた位置H2に表示し、その状態からオフセット機能が無効となったときに、図18に示すように、目標線G1の位置を元の位置H1に戻す(オフセット高さHだけそのまま下方向に移動させる)ようにしてもよい。なお、他の実施形態に係る表示制御装置127は、図17における目標線G1の位置に目標線G1に代えて制御線G2を表示する形態であって、上記と同様にオフセット機能が無効となったときに、図18における目標線G1の位置に目標線G1に代えて制御線G2を表示させることで、制御線G2の表示の位置を変更させるようにしてもよい。
【0116】
また、他の実施形態として、図19は、オフセット機能が有効であった図17の表示状態からオフセット機能に切り替わった場合に入出力装置に表示される画面の第2の例である。図19に示すように、目標線G1の位置を元の位置H1に戻し、さらにオフセット有効時の目標線G1の位置を表す参考線G5を表示してもよい。さらに他の実施形態においては、図19において目標線G1が表示されている位置に制御線G2を表示させるようにしてもよい。
なお、目標線G1および制御線G2の少なくとも一方表示の態様を異ならせる例として、図7図17図18図19に例を挙げたが、これらに限られない。例えば、他の実施形態では、目標線G1または制御線G2の色または透明度を変更してもよい。
【0117】
また、上述した実施形態に係る表示制御装置127は、バケット113の位置を表示するために、バケット113のイラストG3およびバケット底面113Aを表す線分G4を表示するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る表示制御装置127は、バケット113のイラストG3およびバケット底面113Aを表す線分G4の何れか一方を表示してもよい。また他の実施形態に係る表示制御装置127は、イラストG3および線分G4に代えて、バケット113の刃先Eの位置を示す点を表示してもよい。
【0118】
また、上述した実施形態に係る表示制御装置127は、転圧アイコンG5およびオフセットアイコンG6を表示するが、他の実施形態においては、転圧アイコンG5を表示しなくてもよいし、オフセットアイコンG6を表示しなくてもよい。
【0119】
また、上述した実施形態に係る作業機制御装置126は、作業機110の作業モードが転圧モードである場合に、介入制御を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、作業機110の作業モードが転圧モードである場合に、介入制御を行わないこととしてもよい。
【0120】
図20は、制御線の表示切替におけるヒステリシスの例を示す図である。
また、上述した実施形態に係る表示制御装置127は、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとの差が所定角度以上であるか否かに基づいて制御線G2の表示の有無を決定する。他方、他の実施形態においては、表示制御装置127は、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとの差が所定の角度の前後の値を行き来しても制御線G2がちらつかないように、制御線G2の表示の切り替えの判定に用いる角度にヒステリシスを設定してもよい。例えば、図18に示すように、表示制御装置127は、オフセットビットが0である場合、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとの差がTh1以上になったときにオフセットビットを1にし、オフセットビットが1である場合、バケット底面113Aの傾きと目標面の傾きとの差がTh2未満になったときにオフセットビットを0にする。
【0121】
また、上述した実施形態においては、作業機制御装置126が作業機110の作業を判定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、オペレータが手動で作業機制御装置126または表示制御装置127に作業モードを設定してもよい。また、上述した実施形態においては、作業機制御装置126が、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θに基づいて作業モードを判定し、その後当該作業モードに基づいてオフセットビットを決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、作業機制御装置126は、作業モードを判定することなく、または作業モードの判定とは別に、角度θに基づいてオフセットビットを決定してもよい。
【0122】
上記実施形態においては、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θとに基づいて作業モードを決定していたが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、作業機制御装置126は、作業機110が上下方向に反復動作されていると判定した場合に、作業モードが転圧モードであると判定してもよい。その場合、作業モード決定部209は、操作量記憶部202が記憶する操作量の時系列を解析し、所定時間内にアーム112またはブーム111の動作方向を切り替える操作が複数回表れる場合に、作業機110を上下方向に反復動作させる操作がされていると判定してもよい。また他の実施形態においては、作業モード決定部209は、操作量記憶部202が記憶する操作量の時系列を解析し、ブーム111の操作方向が切り替わったタイミングにおけるブーム111の操作量と、当該タイミングにおけるブーム111の操作量をローパスフィルタ処理した値との比が所定値以上である場合に、作業機110を上下方向に反復動作させる操作がされていると判定してもよい。なお、転圧モードの判定は、上記以外の方法によって行われてもよい。そして、表示制御部308は、作業モード決定部209によって作業モードが転圧モードであると判定された場合に、制御線を非表示とするようにしてもよい。
【0123】
上記実施形態においては、転圧モードと判定された場合に制御線を非表示としていたが、その例に限られず、例えば整地モードと判定された場合に制御線を非表示とするようにしてもよい。整地モードとは、バケット底面113Aで土砂を地盤に擦り付けることで地盤を整える作業モードである。整地モード(整地作業)においては、バケット底面113Aを目標面に向けた状態でバケット底面113Aを目標面に擦り付けるため、バケット底面113Aと目標面とのなす角度θとに基づいて整地モードと判定してもよいし、その他の方法に基づき整地モードを判定してもよい。
【0124】
また、他の実施形態においては、複数の装置によって表示制御装置としての機能が実現されてもよい。例えば、他の実施形態において、表示制御装置127の機能の一部または全部が作業機制御装置126に備えられていてもよい。また他の実施形態において、表示制御装置127の機能の一部または全部が、油圧ショベル100内に設けられる他の装置や、ネットワークを介して接続される他の装置(携帯端末やサーバ装置など)に備えられてもよい。このような場合、これらの複数の装置、またはそれらの組み合わせが表示制御装置の一例である。また、他の実施形態においては、表示制御装置127または入出力装置128が、油圧ショベル100の外部に設置される遠隔操作席の周辺に備えられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
上記態様によれば、作業機械の制御線のオフセットの有無を切り替える場合に、作業機械のオペレータが混乱することを抑制できる。
【符号の説明】
【0126】
100…油圧ショベル 110…作業機 111…ブーム 112…アーム 113…バケット 120…旋回体 126…作業機制御装置 127…表示制御装置 128…入出力装置 130…走行体 300…オフセット入力部 301…オフセット記憶部 302…作業モード取得部 303…オフセットビット取得部 304…姿勢取得部 305…目標施工データ記憶部 306…目標線特定部 307…制御線特定部 308…表示制御部 309…切替ビット入力部 310…切替ビット記憶部 G1…目標線 G2…制御線 G3…イラスト G4…線分 G5…転圧アイコン G6…オフセットアイコン
図1
図2
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