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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】圧電振動片、及び圧電振動子
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20230726BHJP
   H03H 9/215 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
H03H9/19 K
H03H9/215
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019030979
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020137021
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】市村 直也
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128267(JP,A)
【文献】特開2011-166324(JP,A)
【文献】特開2017-085341(JP,A)
【文献】特開2011-166325(JP,A)
【文献】特開2003-133895(JP,A)
【文献】特開2005-027264(JP,A)
【文献】特開2016-028537(JP,A)
【文献】特開2012-044235(JP,A)
【文献】特開2011-182024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、
前記振動腕部における前記基部の反対側に、前記振動腕部から延設された、前記振動腕部の幅よりも広く形成された拡幅部と、
前記両振動腕部における両主面のうちの少なくとも一方の主面に、長さ方向に形成されるとともに、前記拡幅部側の端部が前記拡幅部まで伸びて形成された溝部と、
前記溝部の底面における、少なくとも前記拡幅部側の端部において、先端側ほど前記主面からの距離が小さくなるように厚さ方向に傾斜して形成された傾斜底面部と、
前記基部と前記1対の振動腕部の両側面と前記溝部の両内側側面に形成された、前記1対の振動腕部を励振させる2系統の励振電極と、を具備し、
前記溝部は、前記傾斜底面部の開始位置Cまで同一深さに形成され
前記拡幅部は、幅方向の側面が互いに平行する平行部と、前記振動腕部側の開始位置Aから前記平行部に行くほど幅が広がって、軸方向に対する角度が40度以上60度以下(但し、40度は除く)に形成された側面テーパ部とを備える、
ことを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
前記溝部は、前記拡幅部の前記平行部まで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記溝部は、前記拡幅部の前記側面テーパ部まで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項4】
前記傾斜底面部の前記開始位置Cは、前記側面テーパ部の前記開始位置Aと一致し、又は前記開始位置Aよりも前記溝部の先端側に位置している、
ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片。
【請求項5】
前記溝部の前記拡幅部側の端部に形成された前記傾斜底面部の前記開始位置Cは、前記側面テーパ部の前記開始位置Aよりも前記基部側に位置している、
ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片。
【請求項6】
前記2系統の励振電極は、前記基部側から、少なくとも前記側面テーパ部の前記開始位置Aまで形成されている、
ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片。
【請求項7】
前記溝部には、前記基部側の端部にも、先端側ほど前記主面からの距離が小さくなるように厚さ方向に傾斜する基部側傾斜底面部が形成され、
前記溝部は、前記基部側傾斜底面部の開始位置まで同一深さに形成されている、
ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片。
【請求項8】
内側に実装部を備えたパッケージと、
前記実装部に接合材を介して実装された前記請求項1から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載された圧電振動片と、
前記実装部から前記パッケージの外部まで形成された外部電極と、
を有することを特徴とする圧電振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、及び圧電振動子に係り、音叉型の圧電振動片、及び圧電振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話や携帯情報端末機器等の電子機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして、水晶等を利用した音叉型の圧電振動子が広く用いられている。この種の圧電振動子として、パッケージと蓋体で形成されるキャビティ内に圧電振動片を気密封止される。
このような圧電振動片や圧電振動子は、搭載される電子機器の小型化に伴って小型化が求められ、その対策として振動腕部の先端に幅の広い錘部を設けることで、全体の長さを短くした圧電振動片も広く使用されている(特許文献1、2)。
特許文献1では、振動腕部と錘部との結合部にテーパ部を設けることで、結合部に応力が集中することを回避している。
特許文献2では、振動腕部を中間錘部と先端錘部の2段階で拡幅している。
【0003】
特許文献1では、振動腕部と錘部との結合部における応力集中を緩和することができるが、振動腕部と錘部との接続部において断面積が大きく変化するため、錘部が振動腕部の振動(振幅)に追従できず、振動が不安定になるという問題がある。
特許文献2では、錘部を2段階で拡幅することで、振動腕部に対する錘部の振動追従性は向上しているが、中間錘部の幅を先端錘部よりも狭くすることで、錘部全体の重量が減少してしまうため充分に小型化することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4356366号公報
【文献】特許第5434712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、振動腕部の先端に設けた拡幅部の重さを充分確保しつつ、振動腕部に対する拡幅部の振動追従性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に記載の発明では、基部と、前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、前記振動腕部における前記基部の反対側に、前記振動腕部から延設された、前記振動腕部の幅よりも広く形成された拡幅部と、前記両振動腕部における両主面のうちの少なくとも一方の主面に、長さ方向に形成されるとともに、前記拡幅部側の端部が前記拡幅部まで伸びて形成された溝部と、前記溝部の底面における、少なくとも前記拡幅部側の端部において、先端側ほど前記主面からの距離が小さくなるように厚さ方向に傾斜して形成された傾斜底面部と、前記基部と前記1対の振動腕部の両側面と前記溝部の両内側側面に形成された、前記1対の振動腕部を励振させる2系統の励振電極と、を具備し、前記溝部は、前記傾斜底面部の開始位置Cまで同一深さに形成され、前記拡幅部は、幅方向の側面が互いに平行する平行部と、前記振動腕部側の開始位置Aから前記平行部に行くほど幅が広がって、軸方向に対する角度が40度以上60度以下(但し、40度は除く)に形成された側面テーパ部とを備える、ことを特徴とする圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記溝部は、前記拡幅部の前記平行部まで形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記溝部は、前記拡幅部の前記側面テーパ部まで形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記傾斜底面部の前記開始位置Cは、前記側面テーパ部の前記開始位置Aと一致し、又は前記開始位置Aよりも前記溝部の先端側に位置している、ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記溝部の前記拡幅部側の端部に形成された前記傾斜底面部の前記開始位置Cは、前記側面テーパ部の前記開始位置Aよりも前記基部側に位置している、ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記2系統の励振電極は、前記基部側から、少なくとも前記側面テーパ部の前記開始位置Aまで形成されている、ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記溝部には、前記基部側の端部にも、先端側ほど前記主面からの距離が小さくなるように厚さ方向に傾斜する基部側傾斜底面部が形成され、前記溝部は、前記基部側傾斜底面部の開始位置まで同一深さに形成されている、ことを特徴とする請求項から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、内側に実装部を備えたパッケージと、前記実装部に接合材を介して実装された前記請求項1から請求項のうちのいずれか1の請求項に記載された圧電振動片と、前記実装部から前記パッケージの外部まで形成された外部電極と、を有することを特徴とする圧電振動子を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、両振動腕部が形成された溝部の底面における、拡幅部側の端部に厚さ方向に傾斜する傾斜底面部が形成されているので、拡幅部の重さを確保しつつ、振動腕部に対する拡幅部の振動追従性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】圧電振動片の構成と、長手方向、幅方向の一部断面を表した模式図である。
図2】振動腕部の長手方向における幅方向の断面積の変化について、傾斜底面部の有無による比較をした説明図である。
図3】圧電振動片における、側面テーパ部と傾斜底面部との、他の位置関係を表した説明図である。
図4】圧電振動子の分解斜視図である。
図5】圧電振動子の側断面を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の圧電振動片、及び圧電振動子における好適な実施形態について、図1から図5を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の圧電振動片6は、音叉型の圧電振動片であり、基部8の一端側から1対の振動腕部7が長手方向に延設(接続)されると共に、基部8の他端側から、接続部81を介して振動腕部7の外側に一対の支持腕部9が形成されている。
振動腕部7の先端には、振動腕部7よりも幅が広い拡幅部71が延設されている。拡幅部71は、幅方向の側面が互いに並行する平行部710と、振動腕部7から平行部710に向って幅が広がる側面テーパ部711で構成されている。
1対の振動腕部7の長手方向には、その主面(表裏面)に、平行部710まで伸びる溝部72が形成され、この溝部72の平行部710側端部の底面は主面に向けて傾斜する傾斜底面部721が形成されている。側面テーパ部711と傾斜底面部721は、長さ方向の位置が、少なくとも一部が重複するように形成される。
本実施形態の圧電振動片6によれば、拡幅部71の側面テーパ部711(幅方向のテーパ)に加えて、溝部72の傾斜底面部721(厚さ方向のテーパ)を形成しているので、振動腕部7と拡幅部71の長手方向と直交する断面積が大きく変化することが抑制され、これにより振動腕部7と拡幅部71(錘部)間の振動の追従をスムーズにし、振動を安定化することができる。
なお、拡幅部71の重さを充分に確保するためには、長手方向に対する側面テーパ部の角度が30度以上60度以下の角度、好ましくは45度に形成される。
【0010】
(2)実施形態の詳細
図1は、実施形態に係る圧電振動片6の構成と断面を表した模式図である。
圧電振動片6は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された、いわゆる音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。本実施形態では、圧電材料として水晶を使用して形成した圧電振動片を例に説明する。
【0011】
図1(a)に示すように、圧電振動片6は、一対の振動腕部7a、7bと、基部8と、一対の支持腕部9a、9bと、基部8と両支持腕部9a、9bとを連結する接続部81a、81bを備えている。
以下、振動腕部7a、7bの長さ方向(図1(a)の左右方向)を長手方向、振動腕部7a、7bが対向する方向(図1(a)の上下方向)を幅方向、圧電振動片6の厚さの方向(図1(b)の上下方向)を厚さ方向という。
【0012】
基部8の一端側(図面右側)には、平行して長手方向に延びる一対の振動腕部7a、7bが接続されている。
一方、基部8の他端側には、幅方向に基部8の外側まで延びる接続部81a、81bが接続されている。
接続部81a、81bにおける基部8の反対側端部には、長手方向に延びる一対の支持腕部9a、9bが接続されている。一対の支持腕部9a、9bは、幅方向において、振動腕部7a、7bの両外側に配置されている。
【0013】
一対の振動腕部7a、7bは、互いに平行となるように配置されており、基部8の反対側の端部には拡幅部71a、71bが接続されている。一対の振動腕部7a、7bは、基部8側の端部を固定端とし、拡幅部71a、71bを自由端として振動する。
拡幅部71a、71bは、振動腕部7a、7bにおける長手方向のほぼ中央部分の幅を基準幅とした場合、この基準幅よりも両側(幅方向)に広くなるように形成されている。
この拡幅部71a、71bは、振動腕部7a、7bと合わせた総重量及び振動時の慣性モーメントを増大する機能を有している。これにより、振動腕部7a、7bは振動し易くなり、振動部分(振動腕部7a、7bと拡幅部71a、71b)の長さを短くすることができ、小型化が図られている。
【0014】
拡幅部71a、71bは、幅方向の側面が互いに並行する平行部710a、710bと、振動腕部7a、7bから平行部710a、710bに向って幅が広がる側面テーパ部711a、711bで構成されている。
側面テーパ部711a、711bは、後述する傾斜底面部721a、721bと共に、長手方向と直交する方向の断面積が、振動腕部7a、7bの先端と拡幅部71a、71bとの境界面で急変することを抑制するために形成されている。
側面テーパ部711a、711bの長手方向に対する角度は、拡幅部71a、71bの重さを充分に確保するために、45度に形成されているが、40度以上60度以下であればよい。
【0015】
また、本実施形態の圧電振動片6では、図示しないが、拡幅部71a、71bに、所定周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)するための重り金属膜(粗調膜及び微調膜からなる)が形成されている。この重り金属膜を、例えばレーザ光を照射して適量だけ取り除くことで、周波数調整を行い、一対の振動腕部7a、7bの周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができるようになっている。この重り金属膜は形成しないことも可能である。
【0016】
図1(b)は、図1(a)に示すP-P線に沿った断面を矢印の方向に見た圧電振動片6の断面図である。
図1(c)は、図1(a)に示すQ-Q線に沿った断面を矢印の方向に見た振動腕部7a、7bの断面図である。
図1(b)、(c)に示すように、一対の振動腕部7a、7bと拡幅部71a、71bには、一定幅の溝部72a、72bが長手方向に形成されている。
溝部72a、72bは、一対の振動腕部7a、7bと拡幅部71a、71bの両主面(表裏面)上において、厚さ方向に凹むとともに、基部8側から長手方向に沿って延在している。
本実施形態の溝部72a、72bは、振動腕部7a、7bの基端(基部8の先端側の端部)から、振動腕部7a、7bの全体と、拡幅部71a、71bの平行部710a、710b(側面テーパ部711a、711bを通り拡幅部71a、71bの先端側)まで形成されている。
溝部72a、72bにより、一対の振動腕部7a、7bは、それぞれ図1(c)に示すように断面H型となっている。この断面略H形の形状により、溝部72a、72bが形成されない場合に比べて、振動腕部7a、7bの電界効率を大きくすることができる。従って、同じ振動周波数を得る場合、圧電振動片6を小型化しても振動損失が少なくCI値(クリスタルインピーダンスまたは等価直列抵抗)も低く抑えることができる。
【0017】
図1(b)に示すように、溝部72a、72bの両端には、その底面が主面に向けて傾斜することで厚さ方向のテーパ形状となる傾斜底面部721a、721bと傾斜底面部722a、722bが形成されている。本実施形態では、傾斜底面部が溝部72a、72bの両端側に形成されているが、少なくとも拡幅部71a、71b側の傾斜底面部721a、721bが形成されていればよい。
詳細は後述するが、長さ方向に見た場合、本実施形態の傾斜底面部721a、721bの開始位置は側面テーパ部711a、711bの開始位置よりも先端側に位置し、傾斜底面部721a、721bの終了位置は側面テーパ部711a、711bの終了位置よりも先端側に位置している。
【0018】
図1(c)に示すように、一対の振動腕部7a、7bの外表面上(外周面)には、一対の(2系統の)励振電極91、92が形成されている。この励振電極91、92は、電圧が印加されたときに一対の振動腕部7a、7bを互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、電気的に切り離された状態で振動腕部7a、7b上にパターニングされて形成されている。
具体的には、一方の励振電極91が、主に一方の振動腕部7aの溝部72a内と、他方の振動腕部7bの側面上とに互いに電気的に接続された状態で形成されている。
また、他方の励振電極92が、主に他方の振動腕部7bの溝部72b内と、一方の振動腕部7aの側面上とに互いに電気的に接続された状態で形成されている。
【0019】
圧電振動片6の一方の主面側の面(図1(a)の反対側の面)には、点線で示すように、支持腕部9a、9bに2系統のマウント電極99a、99bが形成されている。このマウント電極99a、99bは、図4で後述するパッケージ2に形成された実装部14A、14Bに圧電振動片6をマウントする際に、電極パッド20A、20Bと接合材51a、52a、51b、52bで接続される。
両マウント電極99a、99bと電気的に接続した2系統の引回し電極(図示しない)が接続部81と基部8に形成されている。
そして、支持腕部9aに形成された第1系統のマウント電極99aが引回し電極を介して励振電極92(図1(c)参照)と接続され、支持腕部9bに形成された第2系統のマウント電極99bが引回し電極を介して励振電極91と接続されている。
2系統の励振電極91、92は、一対のマウント電極99a、99bを介して電圧が印加されるようになっている。
【0020】
なお、励振電極91、92、マウント電極99a、99b、及び引回し電極は、例えば、クロム(Cr)と金(Au)との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地として成膜した後に、表面に金の薄膜を施したものである。但し、この場合に限られず、例えば、クロムとニクロム(NiCr)の積層膜の表面にさらに金の薄膜を積層してもよく、また、クロム、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の単層膜でもよい。
【0021】
これら励振電極91、92、マウント電極99a、99b、及び、引回し電極の形成は従来と同様にして行われる。すなわち、各電極を形成する前の圧電振動片6の、溝部72a、72b内を含めた全体に電極材料を成膜する。この成膜は、電極材料の蒸着やスパッタリングによる。
そして、励振電極91、92、マウント電極99a、99b、引回し電極を形成する部分を残し、それ以外の部分をフォトリソグラフにより取り除くことで、2系統の電極ラインが形成される。
【0022】
次に、拡幅部71a、71bの側面テーパ部711a、711bと、溝部72a、72bの傾斜底面部721a、721bとの位置関係について説明する。
図2は、振動腕部7a、7bと拡幅部71a、71bの長手方向における、幅方向の断面積の変化について、傾斜底面部の有無による比較をした説明図である。図2(a)~(c)は、溝部72a、72bに傾斜底面部が無い場合、図2(d)~(f)は溝部72a、72bに傾斜底面部721a、721bが形成された本実施形態の場合を表している。また、図2において、(a)と(d)は図1(a)に対応し、(b)と(e)は図1(b)に対応した拡大図である。また図2(c)、(f)は、それぞれ長さ方向の各位置における断面積の変化を表したものである。
図2に示すように、長手方向における、側面テーパ部711a、711bの開始位置を位置A、終了位置を位置B、傾斜底面部721a、721bの開始位置(主面と平行な溝部72a、72bの底面との境界部)を位置C、傾斜底面部721a、721bの終了位置(拡幅部側端部)又は傾斜底面部を形成しない場合の溝部72a、72bの端部を位置Dとして、各々の位置関係を表すものとする。
【0023】
なお、以下図2図3の説明では、振動腕部7a、7bや拡幅部71a、71b等は幅方向の中心に対して対称に形成されているため、a、bの区別をせずに説明する。
図2(c)に示すように、傾斜底面部が無い溝部72が拡幅部71の平行部710まで形成されている場合、側面テーパ部711と平行部710との境界部である位置Bと、溝部72の先端部729の位置Dにおいて、断面積が急変している。このため、振動腕部7と拡幅部71(錘部)間の振動の追従がスムーズに行われず、振動が安定化しない。
【0024】
なお、図2(a)~(c)に示すように、位置Bにおける断面積の急変は、側面テーパ部711の平行部710側の端部の幅が、平行部710の幅よりも狭いことが原因である。そこで、図2(a)に示す、側面テーパ部711を長手方向に延長し、側面テーパ部711の最大幅を平行部710の幅と同一幅にすることで、断面積の急変の程度を下げることができる。
しかし、平行部710の基部8側端部の角を(図2(a)参照)、側面テーパ部711の延長線上でカットすることになり、拡幅部71の重さを充分に確保するという観点から避けることが好ましい。
【0025】
これに対して、本実施形態では、図2(d)、(e)に示すように、位置Bの長手方向の前後にわたって、傾斜底面部721が形成されているため、図2(f)に示すように、位置Bにおける断面積の急変が抑制されている。
また、傾斜底面部721の平行部710側の先端位置(テーパの終了位置)が主面と一致しているため、位置Dにおいても断面積の急変が抑制されている。
但し、傾斜底面部721の先端位置が主面よりも低い位置で終了していてもよい。この場合には、溝部72の先端部、すなわち位置Dでの断面積が変化するが、溝部72の幅が平行部710の幅よりも狭いため、傾斜底面部が無い場合の位置Bや位置D(図2(c)参照)に比べて僅かである。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の圧電振動片6によれば、溝部72に傾斜底面部が無い場合(図2(c))に比べ、傾斜底面部721を形成することで、拡幅部71による充分な重量を確保したうえで、長手方向に沿った各断面積が大きく変化することが抑制され(図2(f))、これにより振動腕部7と拡幅部71(錘部)間の振動の追従をスムーズにし、振動を安定化することができる。
また、傾斜底面部721の開始位置Cが、側面テーパ部711の開始位置Aよりも位置B側に位置している。すなわち、傾斜底面部721による傾斜が開始する位置C(以下、開始位置Cという。他も同様。)が、振動腕部7よりも拡幅部71側に位置している。これにより、振動腕部7の全長にわたって、図1(c)に示す溝部72の深さを確保することができる。その結果、振動腕部7の振動に寄与する、溝部72の内側側面の励振電極91、92の面積を減すことがない。なお、傾斜底面部721の開始位置Cを、側面テーパ部711の開始位置Aと一致させても、同様の効果を得ることができる。
【0027】
次に、傾斜底面部721の形成位置に関する変形例について説明する。
図3は、圧電振動片6における、側面テーパ部711に対する傾斜底面部721の他の位置関係を表した断面拡大図による説明図である。この図3では、図2で説明したと同様に、側面テーパ部711の開始位置を位置A、終了位置を位置B、傾斜底面部721の開始位置を位置C、終了位置を位置Dとして表示している。
図3(a)は第1変形例について表したものである。図2で説明した実施形態では、傾斜底面部721の開始位置Cが、側面テーパ部711の領域A~B内に位置するのに対し、第1変形例では、開始位置Cを、側面テーパ部711の開始位置Aよりも基部8側としたものである。すなわち、第1変形例では、振動腕部7から、溝部72の側面テーパ部711が開始するようにしたものである。
傾斜底面部721の終了位置Dは実施形態と同じ位置である。
この第1変形例によれば、実施形態に比べて傾斜底面部721の間隔(位置C~位置Dの距離)を長くし、その傾斜を緩やかにすることができる。また、側面テーパ部711の開始位置A前後における断面積の変化を緩やかにすることができる。
但し、第1変形例における、位置Cが位置Aから大きく離れると、振動腕部7先端(拡幅部71側端部)における溝部72の深さが浅くなるので、位置Cから位置Aまでの距離は、側面テーパ部711の長さ(位置Aと位置B間の距離)の5割以下、好ましくは1割以下の範囲で選択される。
【0028】
図3(b)は第2変形例について表したものである。
この第2変形例では、傾斜底面部721の開始位置Cが位置Aよりも手前(基部8側)に位置し、終了位置Dが位置Bよりも手前側に位置する場合である。すなわち、傾斜底面部721による傾斜が、側面テーパ部711の開始位置Aよりも手前(基部8側)で開始し、側面テーパ部711の終了位置Bよりも手前で終了するようにしている場合である。
図3(c)は第3変形例について表したものである。
この第3変形例では、傾斜底面部721の開始位置C、終了位置Dと、側面テーパ部711の開始位置A、終了位置Bとが一致するように傾斜底面部721を形成した場合である。
図3(d)は、第4変形例について表したものである。
この第4変形例では、傾斜底面部721の開始位置Cが実施形態と同様に位置Aよりも先端側(拡幅部71側)に位置し、終了位置Dが側面テーパ部711の終了位置Bよりも基部8側に位置する場合である。
【0029】
これら第2変形例から第4変形例によれば、傾斜底面部721の傾斜により断面積が徐々に増加するため、傾斜底面部が形成されずに同一深さの溝部72が位置Dまで形成される場合に比べて、側面テーパ部711の終了位置B前後における断面積の変化量を小さくすることができる。
【0030】
以上説明した各実施形態及び変形例の圧電振動片6は、従来と同様にエッチング処理により形成する。そして、エッチング処理を行う際に形成するマスクの位置により傾斜底面部721の開始位置Cと終了位置Dを調整する。
【0031】
次に、圧電振動片6を実装した圧電振動子1について説明する。
図4は、上述した実施形態又は変形例に係るサイドアーム型の圧電振動片6を備えた圧電振動子1の分解斜視図である。
図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティCを有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片6と、を備えたセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。
パッケージ2は、概略直方体状に形成され、パッケージ本体3と封口板4とを備えている。封口板4は、パッケージ本体3に接合されることで、パッケージ本体3との間にキャビティCを形成する。
パッケージ本体3は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板10および第2ベース基板11と、第2ベース基板11上に接合されたシールリング12と、を備えている。
【0032】
第1ベース基板10および第2ベース基板11の四隅には、平面視1/4円弧状の切欠部15が、両ベース基板10、11の厚み方向の全体にわたって形成されている。これら第1ベース基板10および第2ベース基板11は、例えばウエハ状のセラミック基板を2枚重ねて接合した後、両セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながら両セラミック基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、切欠部15となる。
【0033】
なお、第1ベース基板10および第2ベース基板11はセラミック製としたが、その具体的なセラミック材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)や、ガラスセラミック製のLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0034】
第1ベース基板10の上面は、キャビティCの底面に相当する。
第2ベース基板11は、第1ベース基板10に重ねられており、第1ベース基板10に対して焼結などにより結合されている。すなわち、第2ベース基板11は、第1ベース基板10と一体化されている。
なお、後述するように第1ベース基板10と第2ベース基板11の間には、両ベース基板10、11に挟まれた状態で接続電極(図示せず)が形成されている。
【0035】
第2ベース基板11には、貫通部11aが形成されている。貫通部11aは、四隅が丸みを帯びた平面視長方形状に形成されている。貫通部11aの内側面は、キャビティCの側壁の一部を構成している。貫通部11aの幅方向で対向する両側の内側面には、内方に突出する実装部14A、14Bが設けられている。実装部14A、14Bは、貫通部11aの長手方向略中央に形成されている。実装部14A、14Bは、貫通部11aの長手方向の長さの1/3以上の長さに形成されている。
【0036】
シールリング12は、第1ベース基板10および第2ベース基板11の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材であり、第2ベース基板11の上面に接合されている。具体的には、シールリング12は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって第2ベース基板11上に接合、あるいは、第2ベース基板11上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタ等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0037】
シールリング12の材料としては、例えばニッケル基合金等が挙げられ、具体的にはコバール、エリンバー、インバー、42-アロイ等から選択すれば良い。特に、シールリング12の材料としては、セラミック製とされている第1ベース基板10および第2ベース基板11に対して熱膨張係数が近いものを選択することが好ましい。例えば、第1ベース基板10および第2ベース基板11として、熱膨張係数6.8×10-6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング12としては、熱膨張係数5.2×10-6/℃のコバールや、熱膨張係数4.5~6.5×10-6/℃の42-アロイを用いることが好ましい。
【0038】
封口板4は、シールリング12上に重ねられた導電性基板であり、シールリング12に対する接合によってパッケージ本体3に対して気密に接合されている。そして、封口板4、シールリング12、第2ベース基板11の貫通部11a、および第1ベース基板10の上面により画成された空間が、気密に封止されたキャビティCとして機能する。
【0039】
封口板4の溶接方法としては、例えばローラ電極を接触させることによるシーム溶接や、レーザ溶接、超音波溶接等が挙げられる。また、封口板4とシールリング12との溶接をより確実なものとするため、互いになじみの良いニッケルや金等の接合層を、少なくとも封口板4の下面と、シールリング12の上面とにそれぞれ形成することが好ましい。
【0040】
第2ベース基板11の実装部14A、14Bの上面には、圧電振動片6との接続電極である一対の電極パッド20A、20Bが形成されている。また、第1ベース基板10の下面には、一対の外部電極21A、21Bがパッケージ2の長手方向に間隔をあけて形成されている。電極パッド20A、20Bおよび外部電極21A、21Bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜である。
電極パッド20A、20Bと外部電極21A、21Bとは、第2ベース基板11の実装部14A、14Bに形成された第2貫通電極22A、22B、第1ベース基板10と第2ベース基板11の間に形成された接続電極(図示せず)、及び、第1ベース基板10に形成された第1貫通電極(図示せず)を介して互いにそれぞれ導通している。
【0041】
圧電振動片6は、一対の支持腕部9a、9bにより実装部14A、14B上に実装された状態で、気密封止されたパッケージ2のキャビティC内に収容されている。
すなわち、図4に示すように、圧電振動片6は、支持腕部9a、9bに設けられた各マウント電極99a、99b(図1(a)参照)が、実装部14A、14B上の電極パッド20A、20B(上面にメタライズ層が形成されている場合は該メタライズ層)にそれぞれ接合材51a、51bを介して電気的および機械的に接合されている。
このように、本実施形態の圧電振動片6は、支持腕部9a、9bのそれぞれが、その長さ方向(長手方向)の2箇所で実装部14A、14B上に接合保持(2点支持)される。
【0042】
接合材51a、51bは、導電性を有し、かつ接合初期の段階において流動性を持ち、接合後期の段階において固化して接合強度を発現する性質を有するものが使用され、例えば、銀ペースト等の導電性接着剤や、金属バンプ等の使用が好適である。
接合材51a、51bが導電性接着剤により構成されている場合、塗布装置の移動ヘッドに支持されたディスペンサノズルにより塗布される。
本実施形態では、各接合材のサイズは圧電振動子1のサイズによるが、例えば、幅1.0mm×長さ1.2mmの小型の圧電振動子1の場合、半径0.1mm程度に塗布される。
【0043】
図5は、図4に示すパッケージ2に圧電振動片6を実装した圧電振動子1の、長手方向に沿った断面図で、図1(a)のV-V線に沿った断面を矢印の方向に見た断面図である。但し、第1貫通電極23Bを表すため、当該部分での断面位置をずらしている。
第2ベース基板11の実装部14A、14Bの実装面(封口板4に対向する側の面)には、ほぼ全面にわたって電極パッド20A、20Bが形成されている。
一方、第1ベース基板10の外側底面には、長手方向(Y方向)の両端側に、短手方向(X方向)に延びる外部電極21A、21Bが形成されている。
これら電極パッド20A、20B、及び外部電極21A、21Bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜であり、電極パッド20Aと外部電極21Aが互いに導通し、電極パッド20Bと外部電極21Bが互いに導通している。
【0044】
すなわち、図5に示すように、第1ベース基板10には、外部電極21Bに導通し、第1ベース基板10を厚さ方向に貫通する第1貫通電極23Bが形成されている。さらに、第2ベース基板11の実装部14Bの略中央(図4参照)には、電極パッド20Bに導通し、実装部14Bを厚さ方向に貫通する第2貫通電極22Bが形成されている。そして、第1ベース基板10と第2ベース基板11(実装部14B)との間には、第1貫通電極23Bと第2貫通電極22Bとを接続する接続電極24Bが形成されている。
このように、電極パッド20Bと外部電極21Bとは、第2貫通電極22B、接続電極24B、及び第1貫通電極23Bを介して互いに導通している。
【0045】
一方、図5に点線で示すように、第1ベース基板10には外部電極21Aに導通し、第1ベース基板10を厚さ方向に貫通する第1貫通電極23Aが形成され、第2ベース基板11の実装部14Aの略中央(図4参照)には、電極パッド20Aに導通し、実装部14Aを厚さ方向に貫通する第2貫通電極22Aが形成されている。そして、第1ベース基板10と第2ベース基板11(実装部14A)との間には、第1貫通電極23Aと第2貫通電極22Aとを接続する接続電極24Aが形成されている。
このように、電極パッド20Aと外部電極21Aとは、第2貫通電極22A、接続電極24A、及び第1貫通電極23Aを介して互いに導通している。
【0046】
なお、両接続電極24A、24Bは、第1貫通電極23A、23Bと、第2貫通電極22A、22Bを直線的に接続させる形状ではなく、キャビティC内での露出を避けるため、第2ベース基板11と第1ベース基板10とが当接する領域に沿って形成されている。
【0047】
圧電振動片6は、一対の支持腕部9a、9bにより実装部14A、14B上に実装された状態で、気密封止されたパッケージ2のキャビティC内に収容されている。
すなわち、図5図1(a)に示すように、圧電振動片6は、支持腕部9a、9bに形成された各マウント電極99a、99bが、実装部14A、14B上の電極パッド20A、20B(上面にメタライズ層が形成されている場合は該メタライズ層)にそれぞれ接合材51a、51b、52a、52bによって、電気的および機械的に接合されている。
このように、本実施形態の圧電振動片6は、支持腕部9a、9bのそれぞれが、その長さ方向の2箇所で実装部14A、14B上に接合保持(2点支持)される。但し、支持腕部9a、9bは、それぞれ2箇所で実装部14A、14B上に接合される必要がなく、中央の1箇所でもよい。この場合の接合材は、図4図5と同一サイズとして中央に形成する場合、中央に楕円形で形成する場合、接合材51aと52a、51bと52bを繋げた長円形に形成する場合等、各種方法が考えられる。また、3箇所以上に塗布接着してもよい。
接合材51a、51b、52a、52bは、シリコーン系の導電性接着剤が使用され、塗布装置の移動ヘッドに支持されたディスペンサノズルにより電極パッド20A、20B上に塗布される。
【0048】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、外部電極21A、21Bに所定の電圧を印加する。外部電極21A、21Bに所定の電圧が印加されると、2系統の励振電極91、92に電流が流れ、2系統の励振電極91、92間に発生する電界による逆圧電効果によって、一対の振動腕部7a、7bは、例えば互いに接近、離間する方向(幅方向)に所定の共振周波数で振動する。一対の振動腕部7a、7bの振動は、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源などとして用いられる。
【0049】
以上説明した圧電振動子1は、電波時計、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として、また、ジャイロセンサなどの計測機器等として使用される。
【0050】
本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、圧電振動片6を用いた圧電振動子1として、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子について説明したが、圧電振動片6を、ガラス材によって形成されるベース基板およびリッド基板が陽極接合によって接合されるガラスパッケージタイプの圧電振動子1に適用することも可能である。
また、説明した実施形態の電極パッド20は、実装部14のほぼ全面に形成されているが、接合材(導電性接着剤)に対応する領域に形成されていればよい。
また説明した実施形態では、いわゆるサイドアーム型の圧電振動片6を例に説明したが、基部8に直接接続される1本の支持腕部を、振動腕部7aと振動腕部7bの間に形成した、いわゆるセンターアーム型の圧電振動片に適用することも可能である。すなわち、センターアーム型の圧電振動片においても、実施形態及び各変形例で説明したように、振動腕部7a、7b先端の拡幅部71a、71bに側面テーパ部711を形成すると共に、溝部72a、72bに傾斜底面部721a、721bを形成する。
【0051】
また、本実施形態では、圧電振動片6のサイズとして、幅0.6mm、長さ1.0mmを例に説明したが、他のサイズでもよい。すなわち、圧電振動子1のサイズに応じたサイズの圧電振動子6が使用される。
例えば、幅0.8mm×長さ1.0mmサイズの圧電振動子1に使用する圧電振動片6の場合には、サイドアーム型であれば、例えば幅0.5mm、長さ0.7mmの圧電振動片6が使用される。
【0052】
また、説明した実施形態では、溝部72a、72bが両主面に形成される場合について説明したが、何れか一方の主面に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 圧電振動子
2 パッケージ
3 パッケージ本体
4 封口板
6 圧電振動片
7 振動腕部
71 拡幅部
710 平行部
711 側面テーパ部
8 基部
9 支持腕部
10 第1ベース基板
11 第2ベース基板
12 シールリング
14 実装部
20 電極パッド
21 外部電極
22 第2貫通電極
23 第1貫通電極
24 接続電極
51、52 接合材
72 溝部
721、722 傾斜底面部
81 接続部
91、92 励振電極
99 マウント電極
図1
図2
図3
図4
図5