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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】包装材原反の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/18 20060101AFI20230726BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20230726BHJP
   B65D 65/10 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B65B61/18
B65D85/50 140
B65D65/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019138679
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021020706
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-279114(JP,A)
【文献】登録実用新案第3072028(JP,U)
【文献】実開昭61-005764(JP,U)
【文献】特開2005-333802(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0100342(KR,A)
【文献】特表平09-512768(JP,A)
【文献】特開2020-183266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/18
B65D 85/50
B65D 65/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、シートへの切込線の形成により形成され、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、シートの内面に配置され、遊離片から所定方向に延びる開封用条体とを備える包装材が前記所定方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に、切込線を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、遊離片から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシート原反の外面側に移動させ、切込線からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程とを備える
包装材原反の製造方法。
【請求項2】
シートと、シートに形成される開口と、シートの内面に配置され、開口から所定方向に延びる開封用条体とを備える包装材が前記所定方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に開口を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、開口から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシート原反の外面側に移動させ、開口からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程とを備える
包装材原反の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材原反の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正面形状が三角形状(主として正三角形状)で、所定の厚みを有する立体形状に仕上げられた三角おにぎり等の米飯加工食品等の食品を包装するための食品用包装材は、幅方向の中央部に長手方向の一端から他端にかけてカットテープ等の開封用条体を有し、開封用条体によって一対の外シート片に分断される外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、内側部同士の重ね合わせ部を有する一対の内シート片で構成される内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される形態が一般的である(特許文献1)。
【0003】
かかる食品用包装材は、食品を挟んで長手方向に二つ折りにし、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状にし、折った部分をポイントシールしたり、ラベルを貼付する工程を経て、食品を包装するものである。
【0004】
開封に際しては、食品包装体の頂部に設けられた摘み部を摘んで開封用条体を縦回りに引き回し、外シートを長手方向に開裂した後、分断された一対の包装体片をそれぞれ側方へ引っ張ることにより、食品をシート状食品と一体化させた状態で取り出し、食品を食する。
【0005】
しかしながら、包装材製造装置の精度等(接合条件のバラツキ等)の影響により、外シートと開封用条体が十分に接合されない場合がある。そのような食品用包装材においては、開封時に摘み片を引く際、摘み片ないしそれに続く外シートの部分が開封用条体から剥離して外シートだけが引っ張られて、適切に開封することができないという問題が生じ得る。
【0006】
これらの問題を解決する観点からいえば、特許文献2に記載された食品用包装材は、開封用条体の一端部がシートの外面側に突出し、この一端部を摘んで開封するものであり、開封用条体を直接引っ張って開封するため、適切かつ確実に開封することができるという点で、上記従来の食品用包装材よりも優れているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-166968号公報
【文献】登録実用新案第3072028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載された食品用包装材は、シートにどのような加工を施して開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させることができるようにしているのか、そして、どのような方法で開封用条体の一端部をシートの外面側に突出させるのかが不明である。そのため、大量に消費される包装材を量産することは不可能である。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、開封用条体の一端部が突出して開封用の摘み片となる開封手段を備えるものであって、量産性に優れた包装材原反の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明に係る包装材原反の製造方法は、
シートと、シートへの切込線の形成により形成され、曲げると開いて開口を形成する遊離片と、シートの内面に配置され、遊離片から所定方向に延びる開封用条体とを備える包装材が前記所定方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に、切込線を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が遊離片上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、遊離片から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
遊離片に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、遊離片が形成する開口を介してシート原反の外面側に移動させ、切込線からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程とを備える。
【0013】
また、別の本発明に係る包装材原反の製造方法は、
シートと、シートに形成される開口と、シートの内面に配置され、開口から所定方向に延びる開封用条体とを備える包装材が前記所定方向に連続する包装材原反の製造方法であって、
シート原反に開口を形成する工程と、
シート原反の内面に、開封用条体の一端部よりも内側の部分が開口上に重なるようにして開封用条体を配置するとともに、開口から開封用条体の他端側の所定範囲で開封用条体を接合する工程と、
開口に向けて外力を加えることにより、開封用条体の一端部を、開口を介してシート原反の外面側に移動させ、開口からシート原反の外面側に突出させて、開封用の摘み片とする工程とを備える。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明に係る包装材原反の製造方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法にして、優れた量産性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、第1実施形態に係る食品用包装材の分解斜視図である。
図2図2は、同食品用包装材の外面図である。
図3図3は、同食品用包装材の内面図である。
図4図4(a)は、同食品用包装材の開封手段の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
図5図5(a)ないし(c)は、同食品用包装材を用いて食品を包装する過程の説明図である。
図6図6(a)ないし(c)は、図5の続きの説明図である。
図7図7(a)は、同食品用包装材により包装された食品包装体を斜め前方から見た斜視図であり、図7(b)は、同食品包装体の正面図である。
図8図8(a)及び(b)は、同食品包装体を開封する過程の説明図である。
図9図9は、同食品用包装材を構成する外シートの原反(外シート原反)の製造工程の説明図であって、外シート原反に切込線を形成する工程の説明図である。
図10図10は、同外シート原反の製造工程の説明図であって、外シート原反に開封用条体を配置、接合する工程の説明図である。
図11図11は、図10の工程を実施する装置構成の説明図である。
図12図12は、同外シート原反の製造工程の説明図であって、開封用条体の一端部を切込線から外シート原反の反対面側に突出させる工程の説明図である。
図13図13は、図12の反対面側から見た説明図である。
図14図14は、図12の工程を実施する装置構成の説明図である。
図15図15は、図12の工程を実施する別の装置構成の説明図である。
図16図16は、同外シート原反の製造工程の説明図であって、外シート原反に被覆片を配置、接合する工程の説明図である。
図17図17は、第2実施形態に係る食品用包装材の外面図である。
図18図18(a)は、同食品用包装材により包装された食品包装体を斜め前方から見た斜視図であり、図18(b)は、同食品包装体を斜め後方から見た斜視図である。
図19図19(a)及び(b)は、同食品包装体を開封する過程の説明図である。
図20図20は、第3実施形態に係る食品用包装材の外面図である。
図21図21(a)は、同食品用包装材により包装された食品包装体を斜め前方から見た斜視図であり、図21(b)は、同食品包装体を斜め後方から見た斜視図である。
図22図22(a)及び(b)は、同食品包装体を開封する過程の説明図である。
図23図23は、他の実施形態に係る食品用包装材の外面図である。
図24図24は、同食品用包装材の内面図である。
図25図25(a)は、同食品用包装材により包装された食品包装体を斜め前方から見た斜視図であり、図25(b)は、同食品包装体を開封する過程の説明図である。
図26図26(a)ないし(f)は、それぞれ別の実施形態に係る食品用包装材の開封手段の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態として、三角おにぎりの包装に用いられる食品用包装材について、図1ないし図16を参酌して説明する。
【0022】
図1ないし図4に示す如く、食品用包装材1は、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する一対のシート(外シート2、内シート3)が、三角おにぎりに巻く海苔等のシート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むようにして、長手方向の一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と両側部の側部接合部12,12により四方が封止された本体10を備える。なお、以下では、上記一方(本実施形態においては、シートの流れ方向(搬送方向)、図2及び図3では、上下方向、本発明の「所定方向」に相当)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(図2及び図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0023】
外シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。
【0024】
外シート2の一端10a側であって、一端10aより内側に位置する外シート2の部位には、切込線20が形成される。切込線20は、両端点20a,20aが外シート2の他端10bに向かう形状である。これにより、切込線20を外形線とし、両端点20a,20a間を固定端とし、外シート2の一端10a側を自由端とし、固定端側にて曲げると開いて開口を形成する遊離片21が形成される。本実施形態においては、切込線20は、U字状に形成され、これにより、遊離片21は、外シート2の幅方向に沿った一端縁21aと、外シート2の長手方向に沿った一対の側縁21b,21bとを備え、外シート2の他端10bへの指向性を有する舌片となる。本実施形態においては、切込線20は、外シート2の幅方向の中央部に配置される。
【0025】
外シート2の内面には、遊離片21から外シート2の他端10bに向けて、開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、たとえば幅方向中央部にて長手方向に沿って外シート2の内面にヒートシール、接着等により接合される(接合部50)。一例として、開封用条体5は、内面(外シート2との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、外シート2の内面に接合される。開封用条体5は、たとえばカットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体5は、外シート2の幅方向の中央部に配置される。また、本実施形態においては、開封用条体5は、幅が5mm以上、あるいは10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステルないしポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱溶着性を有するプラスチックシートを細くカットしたものである。
【0026】
開封用条体5の一端部5aは、外シート2には接合されておらず、切込線20から外シート2の外面側に突出しており、開封用の摘み片となる。これにより、開封用条体5の一端部5aを摘んで引くと、開封用条体5が引っ張られて遊離片21を開封起点として所定の幅で外シート2を切断し、外シート2に分断開放部が形成される。突出量は、短いと、摘まみにくく、逆に、長いと、折れやすくなり、製造装置の搬送性に支障を来す懸念がある。このため、突出量は、5mm以上、あるいは10mm以上、あるいは15mm以上であって、25mm以下、あるいは20mm以下の範囲となるように、設定される。
【0027】
開封用条体5は、遊離片21にも接合されて遊離片21と一体化されるものの、遊離片21の一端縁21aまでは接合されない。このため、接合部50の一端縁50aと遊離片21の一端縁21aとの間には、幅G1の非接合部が介在する。非接合部を設けなかったり、幅G1が小さいと、外シート2の原反(外シート原反)の製造装置の精度等(外シート原反の蛇行等)の影響により、接合が切込線20を踏み越えてなされる懸念があり、この場合、開封用条体5の一端部5aがロックして、一端部5aを切込線20から外シート2の外面側に突出させることができなくなる。逆に、幅G1が大きいと、遊離片21を摘むことができるようになるため、ここを摘んで開封しようとする誤開封操作(この場合、開封用条体5が使われず、外シート2だけが引っ張られるため、適切に開封することはほぼ不可能である。)がなされる懸念がある。このため、非接合部の幅G1は、製造誤差に対する振れ幅として、1.0mm以上、あるいは1.5mm以上であって、5mm以下、あるいは3mm以下、あるいは2mm以下の範囲となるように、設定される。
【0028】
また、開封用条体5の一端部5aは、後述する被覆片6の外シート2との接合部60よりも内側の非接合領域に収まる長さとなっている。仮に、開封用条体5の一端部5aが接合部60を超える長さであるとすると、接合部60を形成する際、開封用条体5の一端部5aまでが外シート2に接合されてしまい、ロックして、開封用の摘み片として機能し得なくなるからである。
【0029】
開封用条体5の幅は、遊離片21の固定端の幅(切込線20の両端点20a,20a間の間隔)よりも小さい。このため、開封用条体5の各側縁5bと遊離片21の各側縁21bないし切込線20の各端点20aとの間には、幅G2の間隙部が介在する。間隙部を設けなかったり、幅G2が小さいと、開封用条体5の一端部5aが切込線20に引っ掛かって一端部5aを切込線20から外シート2の外面に突出させることができなくなったり、外シート原反の製造装置の精度等(接合位置ずれ等)の影響により、開封用条体5が切込線20に引っ掛かってしわが寄り、製品不良となる懸念がある。このため、間隙部の幅G2は、製造誤差に対する振れ幅として、1.0mm以上、あるいは1.5mm以上となるように、設定される。
【0030】
外シート2の内面には、外シート2の内面側から切込線20及び遊離片21を覆って封止することで、切込線20及び遊離片21を介して異物等が内部に侵入するのを防止するための封止材として、被覆片6が設けられる。被覆片6は、外シート2と同様、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、切込線20、遊離片21及び開封用条体5の一端部5aを内包する大きさの長方形状(矩形状)を有する。被覆片6は、切込線20、遊離片21及び開封用条体5の一端部5aを囲むように外シート2の内面にヒートシール、接着等により接合される(接合部60)。
【0031】
内シート3は、外シート2と同様、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。内シート3は、長手方向に沿って内側部同士が重ね合わせられた一対の内シート片(第1内シート片30及び第2内シート片31)を備え、内シート片30,31の内側部30a,31a同士が重ね合わせられた状態の大きさが外シート2と同じ大きさである。本実施形態においては、内シート片30,31の内側部30a,31a同士の重ね合わせ部32は、内シート3の幅方向の中央部に配置され、開封用条体5と配置が重なる。
【0032】
端部接合部11は、内シート片30,31の重ね合わせ部32を除き、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となる。なお、本実施形態においては、端部接合部11は、それぞれが一端10a及び他端10bに沿って延び、互いに外シート2及び内シート3の長手方向に所定間隔を有して平行する複数の線状(複数条)の接合部で構成される。また、側部接合部12には、幅方向に通気可能なように連通部12aが長手方向に適宜間隔で設けられ、側部接合部12は、連通部12aによって複数に分割された形態となる。
【0033】
食品用包装材1(本体10)の四隅の角部には、切欠部13が形成される。切欠部13は、食品用包装材1を用いて食品を包装する際の、両側の余分なシート片の一部を切欠部13により無くすことにより、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状にするにあたり、シート片の重なりを少なくするためのものである。
【0034】
切欠部13と食品用包装材1の側縁とが交わる部分から食品用包装材1の側縁の所定範囲にかけては、食品用包装材1の側縁に沿って鋸歯状の易破断部14が形成される。すなわち、食品用包装材1の一端10a側の両側部には、切欠部13と隣接して易破断部14が形成される。易破断部14は、開封用条体5に対応して設けられ、易破断部14から幅方向に食品用包装材1を破断しやすくするためのものである。
【0035】
本実施形態に係る食品用包装材1は、以上の構成からなり、次に、この食品用包装材1を用いた食品の包装方法について説明する。
【0036】
まず、図5(a)に示す如く、食品用包装材1の内シート3の上に三角おにぎりFを載せる。このとき、三角おにぎりFが内シート片30,31上に左右均等に載り、かつ、三角おにぎりFの一つの角部(頂角部)が食品用包装材1の一端10aに向くように三角おにぎりFを配置する。
【0037】
次に、同図(b)に示す如く、食品用包装材1を、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにし、折った側の部分は、三角おにぎりFの側面(三角形状の斜面)にも沿うように折る。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が三角おにぎりFの正面を覆い、他端10b側半分が三角おにぎりFの背面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片15,15が食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。
【0038】
そこで、同図(c)に示す如く、両側のいずれか一方の余分なシート片15を折って、食品用包装材1の、三角おにぎりFの背面を覆っている部分の上に重ね、その上に、図6(a)に示す如く、他方の余分なシート片15を折って、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分の上に重ねて、三角形状にする。
【0039】
このとき、三角形状のそれぞれ角部には、食品用包装材1の余分なシート(複数枚のシート2,30,31で構成される)が重なって扁平状となった耳片16が形成される。
【0040】
そして、同図(b)に示す如く、両側の余分なシート片15,15の、切欠部13によって互いに重なっていないそれぞれの部分を、食品用包装材1の、三角おにぎりFの背面を覆っている部分にポイントシール等により接合し(接合部17)、食品用包装材1を、三角おにぎりFを包み込んだ状態に固定する。そして、同図(c)に示す如く、その上に、ラベル8を貼付する。なお、接合部の形状は図示のような円形状に限らず、長円形状、楕円形状、多角形状、線状等の種々の形状とすることができ、接合部の数も、二箇所に限らず、三箇所以上としたり、幅方向に長い大きな接合部を一箇所施すようにしてもよい。
【0041】
これにより、図7に示す如く、食品包装体9は完成する。しかし、三つの角部のそれぞれ耳片16は、耳片16の突出方向の軸回りに余分なシート片が折り畳まれただけである。折り畳まれているので、基本的には開口は生じていないが、折り畳みが不十分であったり、折り畳まれたシートの弾発力により、開口が生じる可能性は否定できない。そして、これにより、食品包装体9の内外が連通した状態となり、ここから異物等が混入する余地が残る。そこで、さらなる工程として、耳片16に封止部18が形成される。封止部18の形成方法は、ヒートシール、接着等の公知の方法を採用できるが、本実施形態においては、耳片16の全幅に亘ってヒートシールすることにより、封止部18が形成される。
【0042】
このようにして製造された食品包装体9において、開封用条体5の一端部5a、切込線20及び遊離片21は、食品包装体9の三角形状の頂角部に位置するとともに、開封用条体5の一端部5aは、遊離片21を固定端とし、一端側を自由端として、切込線20から外シート2の外面側に突出する。しかも、開封用条体5の一端部5aは、食品包装体9の頂角部よりも幅広であるため、頂角部からはみ出て突出する。より詳しくは、開封用条体5の一端部5aの左右の側縁がそれぞれ食品包装体9の頂角部の斜辺から突出することで、開封用条体5の一端部5a(の左右の角部)は、食品包装体9の頂角部からはみ出て突出する。他方、開封用条体5のその他の部分は、遊離片21から外シート2の内面に沿って、食品包装体9の正面部及び背面部を横断する配置となる。
【0043】
三角おにぎりFを食する際には、図8(a)に示す如く、突出している開封用条体5の一端部5aを摘み、一端部5aを引っ張って開封用条体5を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に分断して、外シート2に分断開口22を形成する。このとき、開封用条体5の一端部5aは、外シート2の外面から浮いて離間しているため、視認性が高く、かつ、摘まみやすくなっている。このため、開封操作を円滑に行うことができる。しかも、開封用条体5の一端部5aは、食品包装体9の頂角部に位置することで、頂角部からはみ出て突出するため、視認性及び摘みやすさがさらに向上する。
【0044】
外シート2は、分断された結果、右側の第1外シート片23と左側の第2外シート片24とに分断される。第1外シート片23は、端部接合部11及び側部接合部12を介して第1内シート片30と一体化されており、第1分断包装体片90を構成する。第2外シート片24は、端部接合部11及び側部接合部12を介して第2内シート片31と一体化されており、第2分断包装体片91を構成する。そこで、同図(b)に示す如く、一対の分断包装体片90,91をそれぞれ側方へ引っ張ることにより、三角おにぎりFをシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
【0045】
ところで、この種の食品用包装材1は、量産性の観点から、長尺な外シート原反及び内シート原反を包装材製造装置に供給し、搬送しながら、搬送過程で種々の工程(内シート片原反の重ね合わせ工程、外シート原反及び内シート原反の重ね合わせ工程、接合部11,12の形成工程等)が加えられて、連続的に製造される。これらの工程は、既に公知であるので、ここでは詳細な説明を割愛するとし、次に、本実施形態に係る外シート原反の製造方法について説明する。
【0046】
製造工程は、i)図9に示す、外シート原反2Xに切込線20を形成する工程、より詳しくは、外シート原反2Xに、切込線20を形成するとともに、切込線20の形成により、曲げると開いて開口を形成する遊離片21を形成する工程(第1工程)、ii)図10及び図11に示す、外シート原反2Xの内面に、開封用条体5の一端部5aよりも内側の部分が遊離片21上に重なるようにして開封用条体5を配置するとともに、遊離片21から開封用条体5の他端側の所定範囲で開封用条体5を接合する工程(第2工程)、iii)図12ないし図15に示す、遊離片21に向けて外力を加えることにより、より詳しくは、遊離片21における開封用条体5の部分に向けて外力を加えることにより、開封用条体5の一端部5aを、遊離片21が形成する開口を介して外シート原反2Xの反対面(外面)側に移動させ(押し出し)、開封用条体5の一端部5aを、切込線20から外シート原反2Xの反対面側に突出させる工程(第3工程)、図16に示す、外シート原反2Xの内面に、切込線20及び遊離片21を覆うように被覆片6を配置するとともに、切込線20及び遊離片21を囲むように被覆片6を接合する工程(第4工程)からなる。
【0047】
第1の工程では、外シート原反2Xが間欠的に搬送され、搬送経路上に配置された切込機構(図示せず)が外シート原反2Xの間欠搬送に同期して作動することにより、図9に示す如く、切込線20が形成される。
【0048】
切込機構は、一例として、受けローラと工具とを備え、工具を受けローラに往復動させ、工具の表面に設けられたノッチ刃を受けローラに当接させることにより、外シート原反2Xに切込線20を形成する構成となっている。ただし、切込機構は、かかる構成に限定されるものではなく、要は、外シート原反2Xに切込線20を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0049】
第2の工程では、外シート原反2Xが間欠的に搬送され、図10及び図11に示す如く、搬送経路上に配置された切断・搬送・接合機構100,101が外シート原反2Xの間欠搬送に同期して作動することにより、開封用条体5が開封用条体原反5Xから分離され、搬送されて外シート原反2Xの内面に配置され、接合(接合部50)される。
【0050】
切断機構100は、一例として、一対の切断刃を備え、ロール体から外シート原反2Xの搬送方向に沿って繰り出された開封用条体原反5Xを所定幅で切断して開封用条体5を形成する構成となっている。ただし、切断機構は、かかる構成に限定されるものではなく、要は、所定幅の開封用条体5を形成することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0051】
搬送・接合機構101は、一例として、開封用条体5をたとえば長手方向に沿って吸引することにより保持し、開封用条体5を切断位置から外シート原反2Xへの配置位置へと搬送する保持バー102と、開封用条体5の外シート原反2Xへの配置位置において、外シート原反2Xの反対面側に配置されるたとえばヒートシールバーからなる接合バー103とを備え、切断により形成された開封用条体5を、保持バー102で保持し、保持バー102の移動(図11の例では、昇降)により搬送して外シート原反2Xの内面に配置し、しかる後、保持バー102と接合バー103とで外シート原反2X及びこの内面に配置された開封用条体5を挟んでヒートシールすることにより接合部50を形成する構成となっている。
【0052】
ここで、接合バー103は、一端側にて、保持バー102よりも短くなっている。このため、保持バー102で保持されるが、接合バー103との間に挟まれない開封用条体5の部分は、外シート原反2Xに接合されず、一端部5a及び一端部5aに隣接する非接合部となる。
【0053】
ただし、搬送・接合機構は、これらの構成に限定されるものではなく、要は、開封用条体5を、一端部5a及び非接合部を残しつつ、外シート原反2Xの内面に接合することができるもの、すなわち、遊離片21から開封用条体5の他端側の所定範囲で開封用条体5を外シート原反2Xの内面に接合することができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。
【0054】
第3の工程では、外シート原反2Xが間欠的に搬送され、図12ないし図15図13は、図12の搬送工程を反対面側から見た図)に示す如く、搬送経路上に配置された外力付加機構104,105が外シート原反2Xの間欠搬送に同期して作動することにより、開封用条体5の一端部5aが外シート原反2Xの反対面側に押し出される。
【0055】
外力付加機構は、一例として、エアノズル104(図14)を備え、遊離片21及び遊離片21における開封用条体5の部分に向けてエアを吹き付けることにより、遊離片21を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを外シート原反2Xの反対面側に移動させる構成となっている。あるいは、外力付加手段は、一例として、昇降動作するロッド105(図15)を備え、遊離片21及び遊離片21における開封用条体5の部分にロッド105の先端を当て、さらにロッド105を押し込むことにより、遊離片21を曲げて開口を形成し、この開口を介して開封用条体5の一端部5aを外シート原反2Xの反対面側に移動させる構成となっている。
【0056】
ただし、外力付加機構は、これらの構成に限定されるものではなく、要は、開封用条体5の一端部5aを外シート原反2Xの反対面側に移動させることができるものであれば、他の構成からなる機構であってもよい。たとえば、外シート原反2Xの反対面側に、吸引ないし吸着機構を配置し、反対面側から遊離片21を吸引ないし吸着して、開封用条体5の一端部5aを外シート原反2Xの反対面側に移動させるようにしてもよい。
【0057】
第4の工程では、外シート原反2Xが間欠的に搬送され、搬送経路上に配置された切断・搬送・接合機構が外シート原反2Xの間欠搬送に同期して作動することにより、被覆片6が被覆片原反から分離され、搬送されて、図16に示す如く、外シート原反2Xの内面に配置され、接合(接合部60)される。第4の工程における切断・搬送・接合機構は、第2の工程における切断・搬送・接合機構100,101と同様の仕組みなので、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0058】
外シート原反2Xは、以上のようにして製造される。そして、外シート原反2Xは、一旦ロール状に巻回された後、包装材製造装置にロールがセットされる。あるいは、外シート原反2Xは、引き続き搬送されて、包装材製造工程に移行する。いずれの場合でも、外シート原反2Xは、最終的には、1つ単位に切断されて分離され、食品用包装材1を構成する枚葉状の外シート2となる。
【0059】
このように、本実施形態に係る、開封用条体5の一端部5aが食品用包装材1の外面側に突出して開封用の摘み片となる開封手段を備える食品用包装材1及び外シート原反2Xの製造方法によれば、簡潔な構成及び簡潔な方法にして、優れた量産性を実現することができる。
【0060】
また、この場合、開封用条体5の一端部5aが延びる方向と、遊離片21が延びる方向とが一致しているため(両方とも外シート2の一端10a側に凸となるため)、開封用条体5の一端部5aを小さい力で確実に他方の端部側に移動させることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る、三角形状の頂角部に開封手段が位置する食品包装体9によれば、開封用条体5の一端部5aが食品包装体9の頂角部からはみ出て突出するため、視認性が高く、かつ、摘まみやすくなり、これにより、食品包装体9の開封性を向上することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る、開封用条体5の一端部5aを突出させるための切込線20及び遊離片21を被覆片6で覆って封止する食品用包装材1によれば、開封手段に高い密封性を付与することができ、ここから異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた食品包装体9とすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る、三角形状の耳片16に開封手段が位置せず、食品収容部に開封手段が位置する食品包装体9によれば、全ての耳片16を封止部18によって完全に密閉することができ、ここから異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた食品包装体9とすることができる。しかも、封止部18をヒートシールで形成する場合、耳片16に開封用条体5がないため、封止部18のシール性が向上し、ひいては、耳片16の密閉性が向上するという効果もある。
【0064】
<第2実施形態>
図17ないし図19に示す如く、第2実施形態に係る食品用包装材1は、第1実施形態に係る食品用包装材1に係る食品用包装材1よりも、開封手段の位置を食品用包装材1の一端10aから離間させた形態である。また、これに伴い、切込線20に加え、切込線20から外シート2の一端10a側に延びる切込線20bが形成される。さらに、被覆片6のうち、外シート2の他端10b側の端縁には、切込線やノッチ等の切込61が形成される。
【0065】
開封手段の位置が食品用包装材1の一端10aから離間することで、食品包装体9において、開封手段の位置は下がる。そうすると、開封用条体5で外シート2を分断しても、切込線20よりも上方の食品包装体9の頂角部には、まだ外シート2が分断されていない部分が残る。そこで、開封用条体5による外シート2の分断操作後に、図19(b)に示す如く、一対の分断包装体片90,91を、食品包装体9の頂角部を中心としてそれぞれ側方へ引っ張り上げれば、切込線20bを開封起点として外シート2の未分断部が分断されて、三角おにぎりFをシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。しかも、被覆片6には、下端縁に切込61が形成されているため、一対の分断包装体片90,91の引っ張り上げ操作に伴い、被覆片6も分断される。これにより、一対の分断包装体片90,91を大きく開くことができて、三角おにぎりFをより取り出しやすくすることができる。
【0066】
その他の構成は、第1実施形態に係る食品用包装材1と同じである。また、外シート原反の製造方法も、第1実施形態に係る外シート原反2Xの製造方法と同じである。
【0067】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1、食品包装体9及び外シート原反の製造方法によっても、第1実施形態に係る食品用包装材1、食品包装体9及び外シート原反2Xの製造方法と同様の作用効果を奏する。
【0068】
<第3実施形態>
図20ないし図22に示す如く、第3実施形態に係る食品用包装材1は、第1実施形態及び第2実施形態に係る食品用包装材1のように、切込線20及び遊離片21を覆って封止する封止材としての被覆片6が外シート2の内面に設けられるのではなく、封止材としての被覆片7が外シート2の外面に設けられる形態である。
【0069】
被覆片7は、外シート2に剥離自在に粘着ないし接着する粘着面ないし接着面を有する本体部70と、本体部70から延出する摘み部71とを備える。本体部70は、切込線20、遊離片21及び開封用条体5の一端部5aを覆うように外シート2の外面に貼着される。摘み部71は、非粘着性ないし非接着性であり、本体部70から外フィルム2の一端10a側に延び、遊離端となる。
【0070】
三角おにぎりFを食する際には、図22(a)に示す如く、被覆片7の摘み部71を摘み、摘み部71を引っ張る。そうすると、被覆片71の本体部70には開封用条体5の一端部5aが貼着されているため、被覆片7の開封操作によって、開封用条体5を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に分断して、外シート2に分断開口22を形成することができる。開封用条体5による外シート2の分断操作後は、同図(b)に示す如く、一対の分断包装体片90,91を、食品包装体9の頂角部を中心としてそれぞれ側方へ引っ張り上げれば、切込線20bを開封起点として外シート2の未分断部が分断されて、三角おにぎりFをシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
【0071】
なお、このように、被覆片7は、開封操作片として機能するものである。加えて、被覆片7の本体部70をある程度の大きさに形成して、食品包装体の商品名や商品情報やこれに関連する意匠を表示する領域を設ければ、被覆片7は、ラベルとしても機能する。
【0072】
その他の構成は、第1実施形態に係る食品用包装材1と同じである。また、外シート原反の製造方法も、被覆片6,7の設け方を除き、第1実施形態に係る外シート原反2Xの製造方法と同じである。
【0073】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1、食品包装体9及び外シート原反の製造方法によっても、第1実施形態に係る食品用包装材1、食品包装体9及び外シート原反2Xの製造方法や、第2実施形態に係る食品用包装材1、食品包装体9及び外シート原反の製造方法と同様の作用効果を奏する。
【0074】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
たとえば、上記各実施形態においては、食品用包装材1は、食品Fを挟んで長手方向に二つ折りにすること及び両側の余分なシート片15,15を中心側に折ることによって、食品Fを三角形状に包装する、いわゆる三角包装に用いられるものである。しかし、本発明に係る食品用包装材はこれに限定されるものではない。たとえば、本発明に係る食品用包装材は、図23及び図24に示す食品用包装材1であって、図25に示す如く、食品Fを挟んで長手方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を折り重ねて袋状にすること及び開口を封止することによって、食品Fを包装する、いわゆる四角包装にも用いられる。あるいは、本発明に係る食品用包装材は、特開2006-264758号に記載されている、食品を挟んで長手方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を重ねて袋状にすること及び開口を封止することによって、食品を包装する四角包装にも用いられる。この場合、図23ないし図25に示す食品用包装材1の開封手段は、上記第2実施形態に係る食品用包装材1の開封手段と同じであるが、上記第1実施形態又は上記第3実施形態に係る食品用包装材1の開封手段であってもよいことはいうまでもない。なお、四角包装用の食品用包装材1では、切欠部13はなくなり、また、袋状の開口を形成する長さが必要であることから、三角包装用の食品用包装材1よりも長手方向の一端10a側及び他端10b側が長く形成される。
【0076】
また、切込線及び遊離片の形状や構造は、上記各実施形態のものに限定されず、たとえば、図26に示すものであってもよい。
【0077】
図26(a)に示すものは、開封用条体5の一端部5aに、周辺領域から識別可能な表示部51を施したものである。通常、開封用条体5は透明であるため、その一端部5aはそのままであれば目立ちにくく、場合によっては、そこが開封用の摘み片であることが商品購入者にすれば認識しづらいことも考えられる。そこで、開封用条体5の一端部5aに表示部51を印刷等して施すことで、どの商品購入者であっても、容易に開封用の摘み片であることを認識することができる。
【0078】
表示部としては、そこが開封用の摘み片であることを示す情報からなる表示部51に加えて、あるいは表示部51の代わりに、図26(b)に示す、周辺領域から識別可能な単なる色彩や模様等からなる表示部52であってもよい。
【0079】
図26(c)に示すものは、H字状の切込線20、すなわち、外シート2の幅方向に沿った線20cと、線20cの両端点から外シート2の長手方向両方向に沿って延びる線20d,20dとで構成される切込線20が形成されたものである。かかる構成によれば、外シート2の一端10a側に延びる遊離片21に加え、この遊離片21と対向するようにして外シート2の他端10b側に延びる遊離片25も形成することができる。
【0080】
図26(d)に示すものは、外シート2の他端10b側に凸となる切込線20、すなわち、開封用条体5の一端部5aが延びる方向と、遊離片25が延びる方向とが逆となるような切込線20が形成されたものである。
【0081】
また、切込線は、外シート2の幅方向に沿った線や、外シート2の長手方向に対して傾斜する線等の直線ないし略直線あるいは多少湾曲した線であってもよい。
【0082】
また、開封用条体5の一端部5aを外シート2の反対面側に移動させることを可能とするための構造として、切込線20及び遊離片21の組み合わせではなく、図26(e)に示す如く、開口26であってもよい。開口26であっても、開封用条体5の一端部5aを外シート2の反対面側に移動させるための装置及び方法は、上記したものと基本的には同じである。
【0083】
また、外シート2と開封用条体5との接合部60は、図26(f)に示す如く、中心が一致するように形成してもよい。また、接合部は、開封用条体5の幅方向全域に形成してもよいし、あるいは、開封用条体5の幅方向両側縁部だけに形成してもよい。また、接合部は、開封用条体5の他端にまで形成されることは必須ではない。要は、開封用条体5が外シート2から剥離するようなことがなければそれでよい。
【0084】
また、接合部は、外シート2の長手方向に沿って連続的に形成されるものではなく、たとえば、遊離片21における箇所を含め、適宜の箇所に施したポイントシールからなるものであってもよい。
【0085】
また、切込線は、全切線ではなく、外力付加機構によって外力が加えられると、破断するものであれば、半切線(ハーフカット)やミシン目であってもよい。
【0086】
また、開封用条体は、一本物ではなく、たとえば、別体である本体部と一端部とを一体に接合したものであってもよい。また、開封用条体は、直線状ではなく、曲線状等の非直線状のものであってもよい。
【0087】
また、上記各実施形態においては、開封用条体5は、外シート2の長手方向(第1方向)に沿って配置される。しかし、開封用条体5の配置は、このような態様に限定されるものではない。たとえば、開封用条体5は、外シート2の長手方向(第1方向)に対して斜めに配置するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第1実施形態及び上記第2実施形態においては、被覆片6の接合部60は、切込線20、遊離片21及び開封用条体5の一端部5aを囲むように形成される。開封用条体5の一端部5aまでを含めるのは、接合部が開封用条体5の一端部5aにかかると、上述のとおり、開封用条体5の一端部5aまでが外シート2に接合されてしまい、ロックして、開封用の摘み片として機能し得なくなるからである。しかし、該当箇所にパートコート剤を塗布することや、接合強度を弱く設定することで、開封用条体5の一端部5aが外シート2に接合されてしまうことがない、あるいは、接合されたとしても、容易に引き剥がすことができるのであれば、接合部は、切込線20及び遊離片21を囲むように形成して、開封用条体5の一端部5aにかかるものであってもよい。
【0089】
また、上記第2実施形態及び上記第3実施形態においては、開封用条体5による外シート2の分断操作後の、一対の分断包装体片90,91の引っ張り上げ操作において、被覆片6が分断されやすくなるよう、被覆片6の下端縁に切込61が形成される。しかし、切込61がなくとも、被覆片6が分断される、あるいは、被覆片6が分断されなくとも、接合部60から剥がれる等、一対の分断包装体片90,91を開くことについて、被覆片6が支障とならないのであれば、被覆片6の切込61は設けなくてもよい。
【0090】
また、上記各実施形態においては、内シート3は、内側部30a,31a同士の重ね合わせ部32を有する一対の内シート片30,31で構成されるものである。しかし、内シートは、一枚のシートからなり、ミシン目やハーフカット等を設けることによって、幅方向に分離可能なものや、一対の内シート片を内側部同士を重ね合わせることなく配置するとともに、両内側部を覆うように帯状のシートを設けるものや、一方の内シート片の内側部に帯状シートを設けて二股状に形成し、この二股部に他方の内シート片の内側部を挿入して内シートの内外の気密性を高めたものや、さらには他方の内シート片の内側部にも帯状シートを設けて二股状に形成し、一方の内シート片の二股部と他方の内シート片の二股部の合計4枚のシートが交互に重なり合うようにして内シートの内外の気密性をさらに高めたもの等、種々の形態のものを採用することができる。
【0091】
また、「三角形状」、「長方形状」、「矩形状」、「中央部」、「端部」、「側部」、「均等」、「一致」、「平行」、「垂直」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0092】
また、包装対象の食品は、包装材で包むことができる形であれば、おにぎり以外の米飯加工食品(たとえば、ピラフ、チャーハン、寿司等)や、米飯加工食品以外の食品(たとえば、饅頭等の和菓子、ケーキ等の洋菓子、パン、サンドイッチ、ハンバーガー等)であってもよく、食品の種類は限定されない。また、シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類は限定されない。
【0093】
また、包装対象の食品の形状も特に限定されるものではない。たとえば、正面が三角形状ではなく、正面が円形状や四角形状の扁平な柱状であってもよい。また、ブロック状であってもよい。また、球状等、全面が連続した曲面状のものであってもよい。これらは一例にすぎず、要は、包装材で包むことができる形であれば、どのような形状であってもよい。
【0094】
また、包装材原反は、上記各実施形態に係る、食品とシート状食品を分離した状態で包装する食品用包装材の外シート原反(包装材原反)に限定されるものではない。たとえば、突き上げ包装、ピロー包装といった包装に用いられる包装材原反や、平袋、ガゼット袋等の一般的な袋の製造に用いられるシート原反(包装材原反)等、各種の包装形態に用いられる全ての包装材原反を対象とする。
【0095】
また、包装対象は、食品に限定されず、食品以外の被包装物であってもよい。
【0096】
また、包装材に用いられるシートは、プラスチックシートからなるものに限定されない。たとえば、紙又は紙質シート等、その他の材質のシートであってもよい。また、単一の材質のシートではなく、複数の材質のシートを積層した積層シートであってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシートを端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシートを順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシートを用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は異なるものであってもよい。たとえば、一部のシートには、プラスチックシートではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…食品用包装材、10…本体、10a…一端、10b…他端、11…端部接合部、12…側部接合部、12a…連通部、13…切欠部、14…易破断部、15…余分なシート片、16…耳片、17…接合部、18…封止部、2…外シート、2X…外シート原反、20…切込線、20a…端点、20bないし20d…切込線、21…遊離片、21a…一端縁、21b…側縁、22…分断開口、23…第1外シート片、24…第2外シート片、25…遊離片、26…開口、3…内シート、30…第1内シート片、30a…内側部、31…第2内シート片、31a…内側部、32…重ね合わせ部、4…シート状食品、5…開封用条体、5X…開封用条体原反、5a…一端部、5b…側縁、50…接合部、50a…一端縁、51…表示部、52…表示部、6…被覆片、60…接合部、61…切込、7…被覆片、70…本体部(貼着部)、71…摘み部(非貼着部)、8…ラベル、9…食品包装体、90…第1分断包装体片、91…第2分断包装体片、100…切断機構、101…搬送・接合機構、102…保持バー、103…接合バー、104…エアノズル(外力付加機構)、105…ロッド(外力付加機構)、F…三角おにぎり、L1…開封用条体5及び遊離片21の幅方向の中心線、L2…接合部50の幅方向の中心線、G1…接合部50の一端縁50aと遊離片21の一端縁21aとの間隔(非接合部の幅)、G2…開封用条体5の側縁5bと切込線20の端点20aとの間隔(間隙部の幅)、S1…中心線L1と中心線L2とのずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図19
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図26