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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】真贋判定用カード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/333 20140101AFI20230726BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20230726BHJP
   B42D 25/465 20140101ALI20230726BHJP
   B42D 25/346 20140101ALI20230726BHJP
【FI】
B42D25/333
B41M3/14
B42D25/465
B42D25/346
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019175114
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021049730
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直孝
(72)【発明者】
【氏名】五十部 慎也
(72)【発明者】
【氏名】高岡 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】進藤 優
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-025176(JP,U)
【文献】特開2010-280079(JP,A)
【文献】特開2004-148636(JP,A)
【文献】実開昭60-012479(JP,U)
【文献】特開昭55-017578(JP,A)
【文献】特開2006-167955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/333
B41M 3/14
B42D 25/43
B42D 25/465
B42D 25/346
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード内に透かしでは目視不能な隠しパターンが設けられ、故意的な光照射による透過光で当該隠しパターンを目視認識させる真贋判定用カードであって、
光透過性の所定色の層であり、少なくとも一方面上の所定位置に当該層の色と異なる色のパターン形成部から形成された前記隠しパターンが設けられたコア層と、
銀色の層であり、前記コア層の前記隠しパターンが形成された一方面上の少なくとも当該隠しパターンを覆う位置に設けられた第1銀隠蔽層と、
銀色の層であり、前記コア層の他方面上の少なくとも前記隠しパターンに対応する位置に設けられた第2銀隠蔽層と、
白色の層であり、少なくとも前記第1銀隠蔽層上に設けられた第1白隠蔽層と、
白色の層であり、少なくとも前記第2銀隠蔽層上に設けられた第2白隠蔽層と、
を有し、
少なくとも前記第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、前記コア層の前記パターン形成部における前記隠しパターン以外の部分が除去されて当該コア層を表出させる形状の穿孔部が形成されており、
前記穿孔部の輪郭と前記隠しパターンの輪郭とが、一部において一致する、
ことを特徴とする真贋判定用カード。
【請求項2】
カード内に透かしでは目視不能な隠しパターンが設けられ、故意的な光照射による透過光で当該隠しパターンを目視認識させる真贋判定用カードの製造方法であって、
全体的に光透過性の所定色のコア層上の少なくとも一方面上の所定位置に前記隠しパターンを形成させるパターン形成部を当該コア層の色と異なる色で設ける工程と、
前記コア層の一方面上の少なくとも前記隠しパターンを覆う位置に銀色の第1銀隠蔽層を形成すると共に、他方面上の少なくとも前記隠しパターンに対応する位置に銀色の第2銀隠蔽層を形成する工程と、
少なくとも前記第1銀隠蔽層上に白色の第1白隠蔽層を形成すると共に、少なくとも前記第2銀隠蔽層上に白色の第2白隠蔽層を形成する工程と、
少なくとも前記第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、前記コア層の前記パターン形成部における前記隠しパターン以外の部分を穿孔と共に除去して当該コア層を表出させる穿孔部を形成する工程と、
を含み、
前記穿孔部の輪郭と前記隠しパターンの輪郭とが、一部において一致する、
ことを特徴とする真贋判定用カードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透かしでは目視不能な隠しパターンを内包する真贋判定用カード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造困難なクレジットカードなどのカードが種々知られている。このようなカードは偽造困難であり、意匠性が高く、高いセキュリティ性を有するものであることが望まれる。
【0003】
従来、偽造困難なカードとして、特許文献1~3などに記載されているものが知られている。特許文献1には、基板上に多層構造の部分的に欠部を設けた印刷層で部分的に重なる二次元領域の標識を形成させ、入射光及び透過光で当該標識を目視で認識させるカードが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、センターコアシート層A上に印刷によりパターンを白抜きのネガ状にベタ印刷し、その両面にセンターコアシート層B,Cをそれぞれラミネートしてそれぞれに透明オーバーシートをラミネートした構造のものとし、通常の状態では白抜きのパターンは肉眼で見えないが、透かして見ることで識別させるカードが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、コアー層を構成する積層された2枚の白色樹脂層間に透かしとなる模様が暗色インキで印刷され、コアー層の一方の外面に磁気層が形成された透かし入りカードであり、光にかざすことによって当該模様を透かしとして認識させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭55-095595号公報
【文献】特開昭58-168457号公報
【文献】特開2006-167955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のカードでは、多層の層構造で模様を二次元領域で形成させることから偽造困難ではあるが、製造が複雑であり、光にかざすことで標識が認識されることから、特に模様が個人情報に関するものであるとセキュリティ性が十分でないという問題がある。また、特許文献2,3のカードにおいては、層構造が特許文献1に比べると簡易ではあるが、光にかざすことでパターンの模様が認識されることから、意匠性を損ない、また上記同様に模様が個人情報に関するものであるとセキュリティ性が十分でないという問題がある。なお、特許文献3などに設けられている磁気層を隠すための隠蔽層を設けたカードもあるが、磁気層を単に隠蔽するためのものであって真贋判定に用いて認識させるものではない。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、偽造困難であり、意匠性が高く、高いセキュリティ性の真贋判定用カード及びその製造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、カード内に透かしでは目視不能な隠しパターンが設けられ、故意的な光照射による透過光で当該隠しパターンを目視認識させる真贋判定用カードであって、光透過性の所定色の層であり、少なくとも一方面上の所定位置に当該層の色と異なる色のパターン形成部から形成された前記隠しパターンが設けられたコア層と、銀色の層であり、前記コア層の前記隠しパターンが形成された一方面上の少なくとも当該隠しパターンを覆う位置に設けられた第1銀隠蔽層と、銀色の層であり、前記コア層の他方面上の少なくとも前記隠しパターンに対応する位置に設けられた第2銀隠蔽層と、白色の層であり、少なくとも前記第1銀隠蔽層上に設けられた第1白隠蔽層と、白色の層であり、少なくとも前記第2銀隠蔽層上に設けられた第2白隠蔽層と、を有し、少なくとも前記第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、前記コア層の前記パターン形成部における前記隠しパターン以外の部分が除去されて当該コア層を表出させる形状の穿孔部が形成されている構成とする。
【0010】
請求項2の発明では、カード内に透かしでは目視不能な隠しパターンが設けられ、故意的な光照射による透過光で当該隠しパターンを目視認識させる真贋判定用カードの製造方法であって、全体的に光透過性の所定色のコア層上の少なくとも一方面上の所定位置に前記隠しパターンを形成させるパターン形成部を当該コア層の色と異なる色で設ける工程と、前記コア層の一方面上の少なくとも前記隠しパターンを覆う位置に銀色の第1銀隠蔽層を形成すると共に、他方面上の少なくとも前記隠しパターンに対応する位置に銀色の第2銀隠蔽層を形成する工程と、少なくとも前記第1銀隠蔽層上に白色の第1白隠蔽層を形成すると共に、少なくとも前記第2銀隠蔽層上に白色の第2白隠蔽層を形成する工程と、少なくとも前記第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、前記コア層の前記パターン形成部における前記隠しパターン以外の部分を穿孔と共に除去して当該コア層を表出させる穿孔部を形成する工程と、を含む構成とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、光透過性の所定色のコア層の少なくとも一方面上の所定位置に当該層の色と異なる色のパターン形成部から形成された隠しパターンが設けられ、当該コア層の一方面及び他方面の少なくとも隠しパターンに応じた位置に銀色の第1銀隠蔽層及び第2銀隠蔽層を設け、当該第1銀隠蔽層上及び第2銀隠蔽層上に白色の第1白隠蔽層及び第2白隠蔽層を設け、少なくとも第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、コア層のパターン形成部における隠しパターン以外の部分が除去されて当該コア層を表出させる形状の穿孔部が形成されている構成とすることにより、銀色の第1銀隠蔽層及び第2銀隠蔽層が隠しパターンに対して透かしでは目視不能とさせ、故意的な光照射の透過光で目視認識させることができ、偽造困難とさせ、かつ高いセキュリティ性を保持させることができるものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、全体的に光透過性の所定色のコア層上の少なくとも一方面上の所定位置に隠しパターンを形成させるパターン形成部を当該コア層の色と異なる色で形成し、当該コア層の一方面上の少なくとも隠しパターンを覆う位置に銀色の第1銀隠蔽層を形成すると共に、他方面上の少なくとも隠しパターンに対応する位置に銀色の第2銀隠蔽層を形成し、少なくとも第1銀隠蔽層上に白色の第1白隠蔽層を形成すると共に、少なくとも第2銀隠蔽層上に白色の第2白隠蔽層を形成し、少なくとも第1銀隠蔽層及び第1白隠蔽層に、コア層のパターン形成部における隠しパターン以外の部分を穿孔と共に除去して当該コア層を表出させる穿孔部を形成する構成とすることにより、各層の積層後に隠しパターンを形成させることができることから所望の隠しパターンを可変的に形成させることができ、簡易な工程で透かしでは目視不能で故意的な光照射による透過光で隠しパターンを目視認識させる真贋判定用カードを製造させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る真贋判定用カードの第1実施形態の構成図である。
図2図1の真贋判定用カードの製造の工程図である。
図3図2における穿孔部形成の説明図である。
図4図1の真贋判定用カードの真贋判定の説明図である。
図5】本発明に係る真贋判定用カードの第2実施形態の断面構成図である。
図6】本発明に係る真贋判定用カードの他の実施形態の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係る真贋判定用カードの第1実施形態の構成図を示す。図1(A)は真贋判定カードの平面図、図1(B)は真贋判定用カードの断面図、図1(C)はその層構成を示した図である。図1(A)~(C)において、真贋判定用カード11は、光透過性の所定色(この実施形態では白色とするが、光透過で後述の隠しパターンが視認可能であればいずれの色であってもよい)のコア層12が全体的に例えば白色の樹脂を主成分として例えば厚さ560μmのものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PET-G)、ポリカーボネート(PC)などの公知の不透明な白色の樹脂が使用される。この実施形態では白色のPVCを使用する。
【0015】
上記コア層12の一方面の所定位置には、当該コア層12の色と異なる色(例えば黒色)のパターン形成部13B(図2で説明する)から形成された隠しパターン13が、例えばインキで印刷により厚さ2μm以下で設けられている。隠しパターン13は、文字、数字、記号、マークの何れかであって真贋判定用のものであり、個人情報に関するものであってもよい。なお、コア層12にICチップ等を搭載させてもよい。
【0016】
上記コア層12上であって、上記隠しパターン13が形成された面上に、少なくとも当該隠しパターン13を覆う位置に銀色の第1銀隠蔽層14Aが、例えば公知の銀色のインキで印刷により、例えば厚さ2μmで設けられる。ここでは、当該隠しパターン13を覆うように上記コア層12の全面に設けられることとするが、隠しパターン13の領域を覆い、他の部分のコア層12を露出させることとしてもよい(このことは、後述の第2銀隠蔽層14Bも同様である)。
【0017】
上記第1銀隠蔽層14Aには、コア層12の後述のパターン形成部13Bにおける隠しパターン13以外の部分が除去されて当該コア層12を表出させる形状の穿孔部13Aが形成されている。
【0018】
一方、上記コア層12の他方面上であって、少なくとも上記隠しパターン13に対応した位置に上記同様の種類の銀色の第2銀隠蔽層14Bが厚さ2μmで設けられる。ここでは、当該コア層12の他方面の全面に設けられる。
【0019】
上記第1銀隠蔽層14A上であり、当該第1銀隠蔽層14Aを覆うように白色の第1白隠蔽層15Aが、例えば公知の白色の印刷インキにより、例えば厚さ2μmで設けられる。当該第1白隠蔽層15Aには、コア層12の後述のパターン形成部13Bにおける隠しパターン13以外の部分が除去されて当該コア層12を表出させる形状の穿孔部13Aが形成されている。当該第1白隠蔽層15A上に形成される穿孔部13Aは、上記第1銀隠蔽層14Aの穿孔部13Aと同じパターンで層方向上の同位置に形成される。
【0020】
一方、上記第2銀隠蔽層14B上であり、当該第2銀隠蔽層14Bを覆うように白色の第2白隠蔽層15Bが、例えば公知の白色の印刷インキにより、例えば厚さ2μmで設けられる。なお、上記第1白隠蔽層15A及び第2白隠蔽層15B上には適宜絵柄や文字情報等を、例えば印刷により設けてもよい。
【0021】
上記第1白隠蔽層15A上に最表層となる例えば透明な第1保護層16Aが例えば厚さ100μmで設けられると共に、第2白隠蔽層15B上に最表層となる例えば透明な第2保護層16Bが例えば厚さ100μmで設けられる。当該第1保護層16A及び第2保護層16Bは、例えばPET、PVC、PET-G、PCなどの透明な公知の樹脂が使用される。この実施形態ではPVCを使用する。
【0022】
上記第1保護層16Aには、コア層12の後述のパターン形成部13Bにおける隠しパターン13以外の部分が除去されて当該コア層12を表出させる形状の穿孔部13Aが形成されている。当該第1保護層16A上に形成される穿孔部13Aは、上記第1銀隠蔽層14Aの穿孔部13A及び第1白隠蔽層15Aの穿孔部13Aと同じパターンで層方向上の同位置に形成される。なお、第1保護層16Aにおいても穿孔部13Aを形成させた場合を示したが、第1銀隠蔽層14A及び第1白隠蔽層15A上のみに穿孔部13Aを形成させることでもよい。
【0023】
上記各穿孔部13Aによって、コア層12の後述のパターン形成部13Bにおける隠しパターン13以外の部分が除去されて当該コア層12が表出させるもので目視可能ではあるが、この形状は隠しパターン13と意味合的に合致しない形状となる。
【0024】
続いて、図2図1の真贋判定用カードの製造の工程図を示すと共に、図3図2における穿孔部形成の説明図を示す。ここでは、図1の真贋判定用カード11の構造の製造方法として説明する。図2において、まず、図2(A)に示すように、上記白色のコア層12上の一方面の所定位置に当該コア層12と異なる色(黒色)のパターン形成部13Bが例えば印刷により形成される。当該パターン形成部13Bは例えばベタ塗パターンで、隠しパターン13を形成し得る面積で形成される。
【0025】
上記コア層12上の一方面のパターン形成部13Bを覆う全面に、図2(B)に示すように、銀色のインキを用いて印刷により例えば2μmの厚さで第1銀隠蔽層14Aを形成すると共に、図2(C)に示すように、当該コア層12の他方面上のパターン形成部13Bに対応する位置を含むものとしての全面に第1銀隠蔽層14Aと同様に銀色のインキを用いて印刷により例えば2μmの厚さで第2銀隠蔽層14Bを形成する。
【0026】
続いて、図2(D)に示すように、第1銀隠蔽層14A上に白色の印刷インキを用いて印刷により例えば2μmの厚さで第1白隠蔽層15Aを形成すると共に、図2(E)に示すように、第2銀隠蔽層14B上に白色の印刷インキを用いて印刷により例えば2μmの厚さで第2白隠蔽層15Bを形成する。
【0027】
続いて、図2(F)に示すように、第1白隠蔽層15A上に上述の第1保護層16Aが例えば接着により形成される。接着剤は樹脂材を接着するためのものとして公知のもので十分である。また、図2(G)に示すように、第2白隠蔽層15B上に上記第2保護層16Bが上記同様の接着剤を用いて接着により形成される。
【0028】
そして、図2(H)に示すように、第1保護層16Aのコア層12上に形成されたパターン形成部13Bの位置に応じて、例えばレーザ加工装置によりレーザ光20を照射して、当該第1保護層16A、第1白隠蔽層15A及び第1銀隠蔽層14Aを介して当該パターン形成部13Bにおける隠しパターン13となる部分以外の部分を順次除去していき、パターン形成部13B上で隠しパターン13のみを残すように除去することで当該コア層12上に隠しパターン13を形成する。
【0029】
具体的には、コア層12の表面上として図示した図3(B)に示すコア層12上のパターン形成部13Bに対し、図3(A)に示すように第1保護層16A側からレーザ光20を照射し、後に隠しパターン13となる部分以外の部分を、図3(C)~(E)に示すように除去していく。図上ではパターン形成部13Bで除去された部分を梨地としてパターン除去部13Cとしているが、目視上はコア層12の表面が表れた形態となる。
【0030】
そして、パターン形成部13Bに対して隠しパターン13を残すレーザ加工した後には、図3(F)に示すように、第1保護層16A側から穿孔部13Aとなり、当該穿孔部13Aではコア層12が表出して目視されることとなるものである。
【0031】
なお、隠しパターン13とは関係のない個所を他の色としてレーザ加工してコア層12の加工部分を表出させて所望の文字、記号、図等を形成させてもよい。また、上記パターン形成部13Bをベタ塗パターンとしたが、隠しパターン13の形状(文字、図形等)を形成し得る例えば網目などのパターンで形成してもよい。
【0032】
次に、図4に、図1の真贋判定用カードの真贋判定の説明図を示す。図1に示す真贋判定用カード11は、第1銀隠蔽層14A及び第2銀隠蔽層14Bにより、通常の外光にさらして透かした場合では隠しパターン13は目視不能であるが(図4(B)上段参照)、穿孔部13A及び当該穿孔部13Aで表出されたコア層12の表面は目視可能な状態である。
【0033】
そこで、図4(A)に示すように、真贋判定用カード11の裏面(コア層12上に隠しパターン13が形成された面とは反対の面)より、照射光源21より照射光21Aで故意的に光照射させ、当該真贋判定用カード11の表面側から目視させる。この場合の照射強度は、例えばスマートホンに備えられている照明光の強度を目安とする。
【0034】
上記照射光21により、図4(B)下段に示すように、その透過光で隠しパターン13が出現し、目視で認識されるものである。この場合、隠しパターン13と穿孔部13A(コア層12の表出部分の白色)とが組み合わされた形態で目視されることとなる。
【0035】
すなわち、このような真贋判定用カード11は、銀色の第1銀隠蔽層14A及び第2銀隠蔽層14Bが隠しパターン13に対して通常の透かしでは目視不能とさせ、故意的な光照射の透過光で目視認識させることができ、偽造困難とさせ、かつ高いセキュリティ性を保持させることができるものである。
【0036】
また、各層の積層後に隠しパターン13を形成させることから所望の隠しパターン13を可変的に形成させることができ、簡易な工程で透かしでは目視不能で故意的な光照射による透過光で隠しパターン13を目視認識させる真贋判定用カード11を製造させることができる。例えば、隠しパターン13を形成するためのパターン形成部13Bが形成されて各層を積層させた原カードを多数製造しておき、カード使用団体等の要望に応じて可変的な隠しパターン13を作製することができるものである。
【0037】
次に、図5に、本発明に係る真贋判定用カードの第2実施形態の断面構成図を示す。図5に示す真贋判定用カード11は、図1に示す真贋判定用カード11の第1保護層16A及び第2保護層16Bに使用される樹脂層に替えて、コート材で第1保護層17A及び第2保護層17Bで構成したもので、他の構成は図1と同様である。この場合、強度を確保するために、白色のコア層12の厚みを760μmとしている。
【0038】
上記コート材は、公知のもので、印刷により例えば厚さ2μmで形成されたものである。そして、当該第1保護層17Aとしてのコート材上からレーザ加工により穿孔してコア層12上のパターン形成部13Bのうち、隠しパターン13となる部分以外の部分を除去して穿孔部13Dが形成されたものである。
【0039】
上記のように、コート材を使用した第1保護層17A及び第2保護層17Bとすることにより、図1に示す樹脂層の第1保護層16A及び第2保護層16Bを使用した場合に比べてカード全体を薄くすることができるものである。
【0040】
次に、図6に、本発明に係る真贋判定用カードの他の実施形態の断面構成図を示す。図6(A)は図1に示す真贋判定用カード11の他の実施形態であり、図6(B)は図5に示す真贋判定用カード11の他の実施形態である。
【0041】
上記図1及び図5に示す真贋判定用カード11は、隠しパターン13をコア層12の一方面に形成した場合を示したが、図6(A)に示す真贋判定用カード11では、加えて当該コア層12の他方面の所定位置に別の若しくは同じ隠しパターン13-1をパターン形成部から形成させたもので、当該隠しパターン13-1に応じて第2保護層16B、第2白隠蔽層15B、第2銀隠蔽層14B、(第2白隠蔽層15B、第2銀隠蔽層14Bのみでもよい)に穿孔部13D-1が形成されたものである。
【0042】
また、図6(B)に示す真贋判定用カード11では、加えて当該コア層12の他方面の所定位置に別の若しくは同じ隠しパターン13-1をパターン形成部から形成させたもので、当該隠しパターン13-1に応じて第2保護層17B、第2白隠蔽層15B、第2銀隠蔽層14B(第2白隠蔽層15B、第2銀隠蔽層14Bのみでもよい)に穿孔部13D-1が形成されたものである。
【0043】
すなわち、図6(A)、(B)に示す真贋判定用カード11は、カードの何れの面からの故意的な光照射でも何れかの隠しパターン13,13-1を目視認識させることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の真贋判定用カード及びその製造方法は、真贋判定用の隠しパターンが形成されたカードの製造、使用、販売等の産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
11 真贋判定用カード
12 コア層
13,13-1 隠しパターン
13A,13A-1 穿孔部
13B パターン形成部
13C パターン除去部
13D,13D-1 穿孔部
14A 第1銀隠蔽層
14B 第2銀隠蔽層
15A 第1白隠蔽層
15B 第2白隠蔽層
16A,17A 第1保護層
16B,17B 第2保護層
20 レーザ光
21 照射光源
21A 照射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6