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特許7319895適用素導体間隔可変式2導体用アシスト宙乗機
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  • 特許-適用素導体間隔可変式2導体用アシスト宙乗機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】適用素導体間隔可変式2導体用アシスト宙乗機
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
H02G1/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019211846
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021078331
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】505312730
【氏名又は名称】株式会社電力機材サービス
(73)【特許権者】
【識別番号】591020412
【氏名又は名称】佐藤建設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505272618
【氏名又は名称】株式会社タワーライン・ソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】000139702
【氏名又は名称】株式会社安田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光徳
(72)【発明者】
【氏名】石田 広樹
(72)【発明者】
【氏名】袴塚 功男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 教昌
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲二
(72)【発明者】
【氏名】石塚 康浩
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-003319(JP,U)
【文献】実開昭58-121114(JP,U)
【文献】特開2000-228809(JP,A)
【文献】特開2014-131385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2導体式の架空送電線の工事に使用する宙乗機において、
適用する素導体間隔に合わせ右の素導体の上面に載り宙乗機を吊架する右の前後2個のローラと、同じく左の素導体の上面に載り宙乗機を吊架する左の前後2個のローラの間隔を変更可能とする前後に設けられた機構として、
前記左右一対のローラと作業員が搭乗して踏みしめる床面部材との間を接続する左右一対の第1の部材及び第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とをヒンジ結合する左右一対の第1のヒンジと、前記第2の部材と前記床面部材とをヒンジ結合する左右一対の第2のヒンジと、前記左右一対の第1のヒンジ間を接続する第1の接続部材と、前記左右一対の一方の第1のヒンジと前記左右一対の他方の第2のヒンジ間、及び前記左右一対の他方の第1のヒンジと前記左右一対の一方の第2のヒンジ間を接続する一対の第2の接続部材と、前記左右一対のローラ間を接続する第3の接続部材とを備え、
前記左右一対の第1のヒンジは、宙乗機の外側方向に一定角度だけ傾斜し、その角度を保持する構造を有し、
前記左右一対のローラの間隔を広げて前記ローラを前記導体に載せる際に、前記第1の接続部材、前記一対の第2の接続部材、及び前記第3の接続部材をそれぞれ別の接続部材に交換可能であることを特徴とした、2導体用宙乗機。
【請求項2】
請求項1に記載の2導体用宙乗機に、電動アシスト機能を付加したことを特徴とする2導体用アシスト宙乗機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2導体式の架空送電線で電線に宙乗りして作業する際に使用する2導体用アシスト宙乗機の素導体間隔可変機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超高圧架空送電線では、電線を複数本束ねて1相の電線とする場合があり、その1本1本の電線を素導体と呼んでいる。一般的に、素導体には鋼心アルミより線が用いられ、素導体を2本束ねた電線を2導体と称している。
素導体と素導体の間は、スペーサと称する金具で連結し、束ねた電線の離散と素導体同士の接触を防止している。これら素導体間隔は数種類が実用化されている。
【0003】
スペーサの取り付け、並びに、電線やスペーサの点検にあたっては、作業員が宙乗機を操縦して電線上を走行する必要があり、電動インホイールモータを活用した電動アシスト宙乗機が実用化されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに市販化されている2導体用アシスト宙乗機は、素導体間隔を可変させる装置の部材が直角に曲がった片持ち梁構造となっており、厚い板材で構成されていることから、躯体部の重量も重くなっていた。
【0005】
また、2導体用宙乗機を電線にセットする作業において、ローラ部の開口機能が不十分なために苦労していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
素導体間隔を可変させる装置の構造を見直し、新たに棒状の連結部材をヒンジ構造で連結し、当該連結部材には曲げ力が掛からない構造とすることで、連結部材の軽量化をはかった。なお、素導体間隔に合わせて可変させる左右のローラ間隔は、複数本の別の棒状間隔固定部材で固定する構造に変更した。
【発明の効果】
【0007】
素導体の上を走行するローラと作業員が搭乗する宙乗機床面との間を連結する部材の断面積が小さくなり、宙乗機躯体部の重量が大幅に減少できた。
【0008】
躯体部が軽量化できたため、ブレーキの大型化などの制動能力の向上や、電動アシスト装置の高出力化と後進機能の追加などが、全体重量の増加を抑えた状態で可能となり、急峻山岳地に建設される送電線工事での安全性の向上と、作業効率の向上に寄与できた。また、左側と右側で各々2個のローラを固定している連結部材が宙乗機外側方向に一定角度傾斜し、保持することで、宙乗器を電線に取り付ける作業の容易性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 2導体用アシスト宙乗機を素導体間隔W1の電線に取付けた状態の正面図である。なお、ブレーキ装置、電気装置、後部ローラ、その他付属品は省略している。
図2】 2導体用アシスト宙乗機の側面図である。なお、ブレーキ装置はゴムパッドのみ記載し、電気装置その他の付属品は省略している。
図3】 2導体用アシスト宙乗機を素導体間隔W2の電線に取付けた状態の正面図である。なお、ブレーキ装置、電気装置、後部ローラ、その他付属品は省略している。
図4】 2導体用アシスト宙乗機を素導体間隔W1の電線に取付けるために、上部を開口している状態の図である。なお、ブレーキ装置、電気装置、後部ローラ、その他付属品は省略している。
図5】 従来の2導体用宙乗機の素導体間隔可変寄稿を説明している図である。なお、ブレーキ装置、電気装置、後部ローラ、その他付属品は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
2導体用宙乗器は、搭乗者が乗り込む床が付いた四角形の駕籠状の下部躯体と、2本の素導体の上面に載る左右2個ずつ計4個のローラと、ローラと下部躯体を連結する上部躯体と、上部躯体に取り付けられて素導体にゴム製パッドを押付けて宙乗機を停止させるブレーキとからなる。
【0011】
4個のローラのうち2個にインホイールモータを組み込み、宙乗機を前進走行させるための搭乗員の腕力を電動力で補助している宙乗機を電動アシスト宙乗機と称し、素導体の数により単導体用、2導体用、4導体用などが実用化されている。
なお、本件の実施に当たり、アシスト可能な走行方向を前進だけでなく後退も可能としたほか、インホイールモータへの電力供給と制御のための配線が、搭乗員の身体や積載した工具機材の意図しない接触等による破損を防止するため、新しい考え方で制御回路を工夫し、更に、配線の位置・防護を工夫した。
【0012】
従来の2導体用宙乗機の素導体間隔可変機構の概要を図5に示す。下部躯体22は溶接又はボルトにより四角形の駕籠状に成型され、上部に片持ち梁状で適用素導体間隔に合わせて取り付け位置を可変できる構造の上部躯体取付金具23を有し、上部躯体21はローラとブレーキを有する右上部躯体と左上部躯体とで構成されていた。
適用素導体間隔を変更する場合は、左右の上部躯体21を上部躯体取付金具23から一旦分離し、次に、所定の間隔の位置で上部躯体取付金具に連結する。
【0013】
本発明の概要を図1に示す。先ず、上部躯体1は左右の上部側面躯体12と補強バー15で構成し、次に、下部躯体2は左右の下部側面躯体13と床面14とフレーム16と筋交い17に分割可能に構成している。
上部側面躯体12と下部側面躯体13は、上部躯体・下部躯体連結装置3でヒンジ結合し第1のヒンジを構成している。
下部側面躯体13は床面14とヒンジ結合し第2のヒンジを構成している。
【0014】
図3に適用素導体間隔W2の場合の正面図を示す。適用素導体間隔W1を適用素導体間隔W2に変更する場合は、適用素導体間隔W1用の補強バー15、フレーム16、筋交い17を外し、第2のヒンジを少し外側に傾けて適用素導体間隔W2用のフレーム16、筋交い17を装着し、第1のヒンジを過去し内側に傾け上部側面躯体が垂直になるように調整し適用素導体間隔W2用の補強バー15を取付ける。
これにより、上部側面躯体が垂直を保ったまま適用素導体間隔を変更できるので、ローラやブレーキと電線との位置関係が変わらず、適用素導体間隔を変更しても、それぞれの機能が最適な状態を保てる。
【0015】
図4には、素導体10への取り付け時の2導体用宙乗機の様子を示している。鉄塔の上部で碍子を介して固定された素導体10の位置までは、図には記載していないロープ等により吊り上げ、開口していた上部側面躯体12を戻し、ローラ11a、11bを素導体10の上面に載せて、補強バー15を取付ける。この時、上部側面躯体12が図4の如く傾斜していると、ローラ11a、11bを素導体10に載せ、補強バー15を取付ける作業が容易になるので、作業の安全性と効率が向上する。
【0016】
図2には2導体用宙乗機の側面図を示している。上部側面躯体12は前部ローラ11aを取付けた部材と後部ローラ11bを取付けた部材とを前後連結部材で連結して一体構造としている。下部側面躯体13も同様に前後を連結する部材で一体構造としている。
【符号の説明】
【0017】
1 上部躯体
2 下部躯体
3 上部躯体・下部躯体連結装置
4 下部躯体・床連結装置
10 素導体
11a 前部ローラ
11b 後部ローラ
12 上部側面躯体
13 下部側面躯体
14 床面
15 補強バー
16 フレーム
17 筋交い
18 ブレーキパッド
21 上部躯体
22 下部躯体(床面含む)
23 上部躯体取付金具
W1、W2 素導体間隔
図1
図2
図3
図4
図5