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特許7319904構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート
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  • 特許-構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート 図1
  • 特許-構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート 図2A
  • 特許-構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート 図2B
  • 特許-構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート 図2C
  • 特許-構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】構成要素を形成する方法、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法および熱交換プレート
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20230726BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230726BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20230726BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230726BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230726BHJP
   B32B 38/08 20060101ALI20230726BHJP
   C23C 16/38 20060101ALI20230726BHJP
   F28F 21/06 20060101ALI20230726BHJP
   F28F 19/00 20060101ALI20230726BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20230726BHJP
   F28F 19/06 20060101ALI20230726BHJP
   F28F 21/04 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C23C16/34
B32B15/08 K
B32B7/027
B32B27/18 Z
B32B5/18 101
B32B38/08
C23C16/38
F28F21/06
F28F19/00 511Z
F28F3/08 311
F28F19/06 Z
F28F21/04
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019225445
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021017647
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】16/515,772
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ハラランボス コルダトス
(72)【発明者】
【氏名】ジョージオス エス.ザフィリス
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103233(JP,A)
【文献】特開2017-047563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0005917(US,A1)
【文献】特開2016-004937(JP,A)
【文献】特開2008-051390(JP,A)
【文献】特開2016-108398(JP,A)
【文献】特表2013-505368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
B32B 1/00-43/00
F28F 3/00- 3/14
F28F 19/06
F28F 21/04
F28F 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素を形成する方法であって、
ポリマー体のオープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させることであって、前記セラミック材料が、前記ポリマー体の第1面から前記ポリマー体の第2面に熱伝導経路を形成し、前記セラミック材料を堆積させることが、
原子層堆積を使用して前記伝導経路の周囲に前記セラミック材料を堆積させて、前記熱伝導経路全体に沿って延在する前記セラミック材料により取り囲まれる開放容積を形成すること、を含む、
前記セラミック材料を堆積させることと、
封止材を前記開放容積に充填することと、
を含む、構成要素を形成する方法。
【請求項2】
前記原子層堆積がプラズマエンハンスト原子層堆積である、請求項1に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項3】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積が、250℃と280℃の間の温度に保持される反応器で実施される、請求項2に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項4】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積は、
前記ポリマー体を含有する反応器内にセラミック前駆体を流すことと、
前記反応器をパージすることと、
前記ポリマー体をプラズマ混合物に暴露することと、
前記反応器を換気することと、
を含む、請求項2に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項5】
前記反応器をパージすることが少なくとも10秒の持続期間を有し、前記ポリマー体を暴露することが少なくとも10秒の持続期間を有する、請求項4に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項6】
前記ポリマー体の前記第1面及び前記第2面を金属被覆することを更に含む、請求項1に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項7】
前記ポリマー体の前記第1面及び前記第2面を金属被覆することが、真空堆積を使用して、前記ポリマー体の前記第1面及び前記第2面に金属の1つまたは複数の層を堆積させることを含む、請求項6に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項8】
前記セラミック材料を堆積させることが真空状態で実行される、請求項1に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項9】
前記ポリマー体の前記オープンセル型空洞が、前記ポリマー体から離れるエッチング可能な材料をエッチングすることによって形成される、請求項1に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項10】
前記エッチング可能な材料がポリイミドであり、前記ポリマー体がポリアリールエチルケトン材から形成されており、前記エッチングすることが前記ポリマー体から離れた前記ポリイミドを浸出させることを含む、請求項9に記載の構成要素を形成する方法。
【請求項11】
プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法であって、
請求項1に記載の方法に従って、複数の熱交換プレートを形成することと、
前記複数の熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることであって、前記複数のプレートが第1流体の第1流路及び第2流体の第2流路を画定するように構成されており、前記第1流路及び前記第2流路が前記複数のプレートによって分離されて、前記複数の熱交換プレートのそれぞれが前記第1流路及び前記第2流路と接触している、前記取り付けることと、
を含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【請求項12】
前記第1流路及び前記第2流路が、直交流配置、対向流配置、並流配置、または複合型配置で配向されている、請求項11に記載のプレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【請求項13】
前記第1流体が油であり、前記第2流体が燃料である、請求項11に記載のプレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【請求項14】
乱流状態を形成するように、前記第1流路及び前記第2流路内に複数のインサートを取り付けることを更に含む、請求項11に記載のプレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【請求項15】
前記複数の熱交換プレートを前記熱交換器ハウジングに取り付けることが、前記複数の熱交換プレートを前記熱交換器ハウジングに摩擦溶接することを含む、請求項11に記載のプレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【請求項16】
熱交換プレートであって、
オープンセル型空洞のネットワークを含有するポリマープレートであって、前記オープンセル型空洞のネットワークが、前記ポリマープレートの第1熱交換面から前記ポリマープレートの第2熱交換面まで延在する、前記ポリマープレートと、
前記オープンセル型空洞のネットワーク内に配置されるセラミック材料であって、前記セラミック材料が前記第1熱交換面から前記第2熱交換面まで延在する、複数の熱伝導経路を形成し、前記複数の熱伝導経路のそれぞれが、前記複数の熱伝導経路のそれぞれの全長に沿って延在する前記セラミック材料により取り囲まれた開放容積を画定する、前記セラミック材料と、
前記開放容積内に配置される封止材であって、前記封止材が、前記第1熱交換面と前記第2熱交換面の間の流体連通を防止するように、前記開放容積を満たす、前記封止材と、
を備えた熱交換プレート。
【請求項17】
前記第1熱交換面及び前記第2熱交換面が金属被覆されている、請求項16に記載の熱交換プレート。
【請求項18】
前記封止材がアルミニウムまたは銅である、請求項16に記載の熱交換プレート。
【請求項19】
前記封止材が可撓性封止材である、請求項16に記載の熱交換プレート。
【請求項20】
前記セラミック材料が、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び炭化ケイ素のうちの1つまたは複数である、請求項16に記載の熱交換プレート。
【請求項21】
前記ポリマープレートが熱可塑性材料から形成されている、請求項16に記載の熱交換プレート。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は概ね、熱伝導性ポリマー構成要素を作成する方法に関し、更に具体的には、熱伝導性ポリマー構成要素を利用するアッセンブリに関する。
【0002】
一般に熱伝導性ポリマー材料を生産する現行の方法は、成形の前に充填材料をポリマー内に混ぜ入れる必要がある。ポリマーの熱伝導性を改善するために、充填材料の選択は、ポリマーより高い熱伝導性を備える材料を特定することを含む。成形工程の間、押出もしくは射出成形、またはポリマーの積層または3D印刷は、充填材料を押出方向もしくは射出方向、または印刷方向に整列配置させる。これにより、一般に、個々の充填材粒子(例えば、プレートレット(platelet)、ナノ繊維またはナノリボン)が、ポリマー体の横方向への配向の代わりにポリマー体の外面と平行に配向される。充填材料のこの配向は、ポリマーの横方向または厚さ方向の寸法に沿った熱伝導性を制限する。更に、熱伝導性ポリマー材料を生産する通常の方法は、ポリマーマトリックスによって完全にカプセル封止した、分離された充填材粒子を作成する。横方向寸法に沿った充填材粒子の不連続性は、充填材粒子とポリマーマトリックスの間の境界での非効率的な熱伝達が原因で、ポリマーの熱伝導性を低下させる。
【0003】
更に、セラミック材料を注型成形して、横方向寸法に沿って熱伝導性であるポリマーを形成することは、セラミックスラリーを予め形成されたポリマー体に適用して、続いてセラミック材料を硬化することが必要である。セラミックは、セラミック材料の温度をその焼なまし温度まで上げることによって、堅くなる、または硬化される。しかしながら、いくつかのセラミック材料の焼なまし温度は多くの場合、ポリマー体の温度性能を超え、したがってその意図した用途に不適当にポリマー体を変形させるか、または溶かす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一例にて、構成要素を形成する方法は、ポリマー体のオープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させることを含む。セラミック材料は、ポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで熱伝導経路を形成する。セラミック材料を堆積させることは、原子層堆積を使用して伝導経路の周囲にセラミック材料を堆積させて、熱伝導経路全体に沿って延在するセラミック材料により取り囲まれる開放容積を形成することを含む。前記方法は、開放容積に封止材を充填することを更に含む。
【0005】
別の例で、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法は、構成要素を形成する前述の方法に従って複数のプレートを形成することと、複数の熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることと、を含む。複数のプレートは、第1流体の第1流路及び第2流体の第2流路を画定するように構成される。第1流路及び第2流路は複数のプレートによって分離されて、複数の熱交換プレートのそれぞれは第1流路及び第2流路と接触する。
【0006】
更なる例にて、熱交換プレートは、オープンセル型空洞のネットワークと、オープンセル型空洞のネットワーク内に配置されるセラミック材料と、開放容積内に配置される封止材と、を含有するポリマープレートを含む。オープンセル型空洞のネットワークは、ポリマープレートの第1熱交換面からポリマープレートの第2熱交換面まで延在する。セラミック材料は、第1熱交換面から第2熱交換面まで延在する、複数の熱伝導経路を形成する。複数の熱伝導経路のそれぞれは開放容積を画定し、それは、セラミック材料により取り囲まれて、複数の熱伝導経路のそれぞれの全長に沿って延在する。封止材は、第1熱交換面と第2熱交換面の間の流体連通を防止するように、開放容積を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】熱伝導性ポリマー構成要素を作成する代表的な方法の流れ図である。
図2A】オープンセル型空洞のネットワークを有するポリマー体の例を示す断面図である。
図2B】熱伝導経路を含有するオープンセル型空洞のネットワークを有するポリマー体の例を示す断面図である。
図2C】熱伝導経路が封止材で満たされる開放容積を取り囲む、熱伝導経路を含有する、オープンセル型空洞のネットワークを有するポリマー体の例を示す断面図である。
図3】熱交換器を製造する例示の方法を示す流れ図である。
図4図3に記載されている方法を用いて製造されることができる、プレート及びフレーム熱交換器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、オープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させて、ポリマー体の表面の間に延在する熱伝導性セラミック経路を形成することを含む、熱伝導性ポリマー構成要素を作成する方法に関する。前記方法は、セラミック材料が開放容積を取り囲むようにセラミック材料を堆積させることと、開放容積に封止材を充填することと、を更に含む。セラミック材料を堆積させることは、熱伝導チャネルがポリマー体のオープンセル型空洞内内に形成されるのを可能にする任意の方法、例えば、原子層堆積(ALD)またはプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD(plasma-enhanced atomic layer deposition))によっても実行され得る。都合のよいことに、これらの技術によって構築される熱伝導経路は、比較的低い熱伝導性のポリマーマトリックス内に散在する分離した充填材粒子の層の代わりに、ポリマー体の横方向寸法に沿って配向されるセラミック材料の連続層を形成する。したがって、熱伝導チャネルは、従来の方法によって得られることができるものよりも、ポリマー体の横方向または厚さ方向寸法の効果的な熱伝導経路を提供する。
【0009】
いくつかの例で、熱伝導性ポリマー構成要素は、航空機で利用されるプレート及びフレーム熱交換器の構成要素を形成し、これにより、潤滑油、燃料、作動液または他の流体からの熱負荷を排斥する。いくつかの先行出願にて、従来の航空機用熱交換器の設計は、エンジンが過熱するのを防ぐために、プレート及びフレーム熱交換器に配置される、アルミニウム板を利用する。しかし、より軽量な代替物の代わりにアルミニウム板を使用することは、航空機の全重量を増加させて、それにより、エンジンの燃料消費効率を低下させ、航空機の飛行距離(range)を減少させる。そのうえ、アルミニウムは腐食しやすく、特別な措置、例えば、腐食防止コーティングの塗布及び表面処理を使用する必要があり、場合によっては、ポリマー材料と比較して耐用年数の延長に役立つ限定的な効果により、そのコストを増加させる。都合のよいことに、本明細書に開示される方法により作成される熱伝導性ポリマー熱交換プレートは、従来のアルミニウムプレートより少ない重量であり、従来のアルミニウムプレートより多種多様な形状及び設計で製造されることができ、かつ腐食しづらい。更に、本明細書で開示される方法により作成される熱伝導性ポリマー熱交換プレートは、従来の方法を使用して作成される熱伝導性ポリマープレートより良好な熱伝達特性を有する。これらの熱伝導性ポリマープレートは、並列流、交差流または並列流と交差流を組み合わせた配置を含む、様々なプレート及びフレーム熱交換器構成を形成するように使用できる。
【0010】
本明細書で使用されるように、ポリマー体の「横方向寸法」とは、ポリマー体の第1面及び第2面のうちの一方とポリマー体の第1面及び第2面の他方との間を流れる熱流束の経路に沿った寸法を意味する。ポリマー体がプレートの形態をとるとき、「横方向寸法」はプレートの厚さ方向の寸法を指す。いくつかのポリマー体は、熱伝達のために利用される3つ以上の表面を有することができる。これらのポリマー体において、「横方向寸法」は、ポリマー体の任意の2つの表面の間に流れる、熱流束経路に関連する。以下の例示的実施形態は、ポリマー体の2つの表面に言及して、熱伝導性ポリマー体の利点を説明する。しかしながら、以下の方法の態様が、任意の数の表面を有するポリマー体に適用されることができることを理解されたい。
【0011】
図1は、強化した熱伝導性を有するポリマー構成要素を作成する方法を記載する流れ図である。一般に、方法100は、ポリマー体のオープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させて、開放容積を取り囲む熱伝導経路を画定することを含む。熱伝導経路及び開放容積は、ポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで延在する。方法100は、流体が熱伝導経路に沿って第1面から第2面まで移動できないように、開放容積に封止材を充填することを更に含む。更に、方法100は、ポリマー体の第1面、第2面または第1面と第2面の両方の上に金属層を堆積させて、ポリマー体を通過する熱伝導性を強化することを含むことができる。
【0012】
方法100に適したポリマー体は、1つまたは複数のオープンセル型空洞により画定されるオープンセル型多孔性を有する。オープンセル型空洞の少なくとも一部、いくつかの例ではオープンセル型空洞のすべては、ポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで連続経路を形成する。ポリマー体が2つ以上のオープンセル型空洞を含むとき、オープンセル型空洞は、ポリマー体内の空洞のネットワークを形成するように接続されることができ、空洞のネットワークは分枝状または樹枝状構造を有する。他の例で、オープンセル型多孔性の各空洞経路は、それぞれの空洞は接続されておらず、ポリマー体内で交差しないように、他の空洞のすべてから分離してもよい。更に他の例で、オープンセル型空洞のいくつかは、オープンセル型空洞のいくつかはポリマー体内に空洞ネットワークを形成し、かつオープンセル型空洞のいくつかは残りの空洞から分離するように、部分的に接続されることができる。
【0013】
ポリマー体は、少なくともポリマー体の第1面から少なくともポリマー体の第2面まで熱を伝達するように成形される。しかし、いくつかの例では、ポリマー体は、複数のポリマー体表面の間に熱を伝達する。ポリマー体の表面の1つまたは複数は、いくつかの例で実質的に平坦または平らであり得る。他の例で、表面のうちの1つまたは複数は湾曲形状を有する。更に他の例で、ポリマー体の表面は、平坦面及び湾曲面を含むことができる。ポリマー体がプレートのとき、表面は直線状プレートの両側の面でもよい。
【0014】
排他的ではないが一般的には、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリアリールエーテルケトン材(PAEK)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、方法100で使用するのに十分な温度性能を得るように選択される。他の例で、他のポリマー、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニルスルフィド(PPS)及びポリマーのポリフッ化ビニリデン(PVDF)ファミリーは、堆積の間に得られる最大処理温度に応じて、使用することができる。他の例で、熱硬化性ポリマーを使用できる。いくつかのポリマー材料は、注型成形工程の結果として、オープンセル型多孔性を有することができる。他の例で、ポリマー材料は、ポリマー体を形成する前に、犠牲材料、例えば、ポリイミドと結合されることができる。これらの例にて、オープンセル型多孔性は、エッチング、加熱、浸出または他の適合する除去工程を介して犠牲材料を除去した後に残る、空洞により作成されることができる。
【0015】
一旦適切なオープンセル型ポリマー体が選択されると、セラミック材料は,方法100のステップ102のポリマー体のオープンセル型空洞内に堆積する。オープンセル型空洞構造によって、堆積するセラミック材料は、少なくともポリマー体の第1面から少なくともポリマー体の第2面まで延在する連続熱伝導経路を形成する。都合のよいことに、この構造は、ポリマー体が第1面から第2面までポリマー体の横方向寸法に沿って熱を伝導するのを可能にする。このプロセスのための適切なセラミック材料は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、または窒化ホウ素と窒化アルミニウムの組み合わせを含むが、他のセラミック材料、例えば、炭化ケイ素をポリマー体の温度性能に応じて使用できる。
【0016】
熱伝導性セラミックポリマー体を製造する従来のプロセスが、ポリマーマトリックスによってカプセル封止したセラミックスラリーまたはセラミック充填材粒子をオープンセル型多孔性に完全に充填する場合、熱伝導経路は、ポリマー体のオープンセル型空洞の周囲に沿って、本開示のセラミック材料を堆積させる方法によって形成される。層ごとにオープンセル型空洞構造の周囲にセラミック材料を堆積させることは、セラミック材料、したがって、熱伝導経路がオープンセル型空洞の境界に整合するのを可能にする。したがって、セラミック材料の標的厚さがオープンセル型空洞の境界周囲に形をなすまで、連続する堆積ステップは、堆積したセラミック材料を増大させる。セラミック材料によって取り囲まれる開放容積が残存するように、標的厚さは十分に小さい。
【0017】
いくつかの例で、セラミック材料は、オープンセル型空洞の周囲に類似の形状を有して、オープンセル型空洞の断面切片の中央に向かって均一な厚さまたは実質的に均一な厚さで延在する。他の例で、セラミック材料は、オープンセル型空洞の断面切片の中央に向かって不均一な厚さで延在するように、オープンセル型空洞の周囲と異なる形状を有する。更に他の例で、オープンセル型空洞に沿った任意の位置のセラミック材料の厚さは、第1面または第2面からの距離の関数として変化する。いずれの場合でも、開放容積はポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで熱伝導経路の全長に沿って延在して、オープンセル型空洞の任意の断面切片に熱伝導経路により取り囲まれる開放容積があるように、セラミック材料は堆積する。
【0018】
セラミック材料が任意の適当な技術を使用してポリマー体のオープンセル型空洞内に堆積できる一方で、セラミック材料を堆積させる1つの好適な方法は、原子層堆積(ALD)を使用する。方法100に適用されるように、原子層堆積技術は、堆積チャンバ(反応器と呼ばれる場合もある)内で、ポリマー体(すなわち、基材)を第1前駆体に暴露することと、ポリマー体を第2前駆体に暴露することと、を交互に行うステップを含む。各前駆体は、ポリマー体と化学的に反応するように選択されるガス、および堆積工程の間に使用される他の前駆体ガスである。例えば、第1前駆体はセラミック前駆体であることができて、第2前駆体はセラミック前駆体によって反応して、それによりポリマー体上にセラミック材料層を形成するのに適している物質であり得る。前駆体は、非オーバーラッピングパルスの形で、連続的に多孔質ポリマー材料に導入される。各パルスで、前駆体分子は、自己限定的にポリマー体の露出面に反応して、一旦、露出面のすべての反応部位が消費されると、終了する。したがって、各パルスの後、基材面上に堆積する材料の最大量は、前駆体化学物質とポリマー基材面の間の相互作用の性質により制限かつ制御される。この方法に従って、セラミック材料の均一な厚さまたは実質的に均一な厚さは、オープンセル型空洞の曲折、経路または形状の複雑さにかかわらず、オープンセル型空洞または複数のオープンセル型空洞の露出面を含む、前駆体ガスにアクセス可能なすべての露出面の全長上に堆積できる。更に具体的には、ポリマー体が堆積チャンバ内に配置された後、チャンバは不活性ガス、例えば、窒素でパージされる。堆積チャンバ内に不活性雰囲気を維持する一方で、ポリマー体は、予め選択された処理温度まで加熱される。予め選択された処理温度は、前駆体物質とポリマー体との間の反応を誘発するのに必要な温度及びポリマー材料の温度性能に基づいて選択される。次に、堆積チャンバ内への第1前駆体の導入は、第1前駆体の分子を、オープンセル型空洞または複数のオープンセル型空洞の露出面を含む、ポリマー体の露出面に拡散させる。期間が経過した後、および第2前駆体ガスの導入の前に、堆積チャンバは、過剰な第1前駆体ガスを除去するように通気される。予め選択された処理温度でポリマー体が保持される間、第2前駆体ガスの導入は、第2前駆体ガスの分子を、ポリマー体及びオープンセル型空洞並びに複数のオープンセル型空洞の露出面に沿って第1前駆体ガスの分子と化学的に反応させる。化学反応の結果、堆積層は、ポリマー体及びオープンセル型空洞並びに複数のオープンセル型空洞の露出面に沿って形をなし、また、堆積層は第1及び第2前駆体ガスの生成物である。その後、不活性ガスで第2前駆体ガスをパージすることにより、堆積ステップを完了させて、次の堆積ステップのための堆積チャンバを準備する。第1及び第2前駆体ガスにポリマー体を繰り返しかつ連続的に暴露することで、連続する堆積層を生成する。このように、熱伝導経路は、ポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで形成されることができる。オープンセル型空洞内のセラミック材料の厚さは、実行される堆積ステップの数の変化により制御され得る。
【0019】
セラミック材料の標的厚さがポリマー体のオープンセル型空洞内で形をなすまで、ポリマー体をセラミック前駆体に暴露することと、ポリマー体を反応前駆体に暴露することと、を交互に行うステップが続く。オープンセル型空洞の断面切片がセラミック材料で完全に満たされないので、開放容積は、熱伝導経路により取り囲まれるポリマー体のオープンセル型空洞内に存在する。この開放容積は、ポリマー体の第1面から第2面まで熱伝導経路の全長に延在する。
【0020】
開放容積に封止材を充填することは、方法100のステップ104で起きて、繰り返される堆積工程がステップ102の熱伝導経路を作成した後に実行される。封止材は、セラミック材料により取り囲まれる開放容積を封止して、充填するのに役立つ。いくつかの例にて、封止材は、可撓性封止材、例えば、ケイ素基封止材である。他の例にて、封止材は、従来の金属蒸着技術、例えば、真空下での化学気相堆積処理または金属蒸発堆積によって堆積する、金属層であり得る。都合のよいことに、これは、ポリマー体の第1面と第2面の間の流体連通を防止する。いくつかの例で、封止材は、ポリマー体の第1面から第2面まで熱伝導経路全体に沿って延在するように、セラミック材料により取り囲まれる空洞部全体を充填する。他の例にて、封止材は、熱伝導経路に沿って部分的に延在するだけであるように、セラミック材料により取り囲まれる空隙部を部分的に充填するだけである。これらの例のいくつかで、封止材は、封止プラグの間に1つまたは複数の封止材空洞部を備える、2つ以上の封止プラグを作製するように、熱伝導経路に沿った2つ以上の位置に配置されることができる。
【0021】
任意に、熱伝導セラミック経路がステップ102で形成されて、開放容積がステップ104で封止された後、金属層は、ステップ106でポリマー体の第1面及び第2面上へ堆積して、第1面または第2面と相互作用している流体とポリマー体の熱伝導経路の間の熱伝導性を強化できる。この金属層を形成するのに適している金属材料は、銅及びアルミニウムを含むが、他の金属材料を用いることも可能である。ポリマー体を金属被覆することは、金属層をポリマー体の第1面に適用すること、金属層をポリマー体の第2面に適用すること、または金属層をポリマー体の第1面及び第2面の両方に適用することを含むことができる。金属層は、従来技術を用いて、例えば、真空下で化学気相堆積処理または金属蒸発堆積を使用することを用いて適用することができる。
【0022】
いくつかの例で、方法100は、真空を使用して、オープンセル型空洞のネットワーク内のセラミック材料の原子層堆積を促進することを任意に含む。これらの例にて、原子層堆積は、真空チャンバ内で起きる。通常、真空チャンバは、チャンバ内にセラミック前駆体を流すことができる入口孔と、真空チャンバ内に圧力低下を引き起こすことができる真空孔と、を有する。ポリマー体は、真空孔によって引き起こされる圧力低下が、ポリマー体を通って第1及び第2前駆体の流れを促進して、オープンセル型空洞内のセラミック材料の堆積を高めるように、入口孔と真空孔の間に位置決めされる。
【0023】
ステップ102で説明した原子層堆積(ALD)技術の代わりに、プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)は、方法100のステップ108に記載されているように、ポリマー体のオープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させるように使用できる。プラズマエンハンスト原子層堆積(PEATD)は、原子層堆積(ALD)と類似している。しかし、ポリマー体の露出表面で化学反応を誘発するための処理温度にポリマー体(または、他の基材)を加熱することだけに依存する代わりに、プラズマエンハンスト原子層堆積は、プラズマによって付与したエネルギーを利用して、必要な化学反応を生じさせる。結果として、プラズマエンハンスト原子層堆積は、類似の原子層堆積技術と比べて、低い処理温度で実行することができる。原子層堆積と同様に、プラズマエンハンスト原子層堆積は堆積チャンバ(または、反応器)で起こり、一連の堆積サイクルを続ける。各堆積サイクルは、原子層堆積と同様に、ポリマー体を第1前駆体に暴露することと、ポリマー体を第2前駆体に暴露することと、のステップを含む。しかし、プラズマエンハンスト原子層堆積においては、第1前駆体または第2前駆体はプラズマである。
【0024】
プラズマエンハンスト原子層堆積を使用して、ポリマー体のオープンセル型空洞内に熱伝導セラミック層を形成することは、ステップ110において堆積チャンバ(または、反応器)内にポリマー体を入れることと、ステップ112において真空圧を堆積チャンバに適用することと、を含む。その後、真空圧を維持する一方で、不活性ガス(例えば、窒素ガス)はステップ114で堆積チャンバをパージして、ポリマー体(または、他の基材)はステップ116で予め選択された処理温度まで加熱される。前駆体物質の1つがプラズマであるので、予め選択された処理温度は、類似する原子層堆積処理より低くなることができる。いくつかの例で、プラズマエンハンスト原子層堆積は、250℃~280℃の範囲の温度で実行される。
【0025】
次に、ステップ118の堆積チャンバ内への第1前駆体の導入は、第1前駆体の分子を、ポリマー体の露出表面及びオープンセル型空洞内に拡散させる。いくつかの例にて、セラミック前駆体は、ガス、例えば、トリメチルアルミニウム、トリス(ジメチル)アミドボロン(TDMAB)、または四塩化ハフニウムである。ポリマー体への第1前駆体分子の拡散が閾値速度未満に低下する、所定の時間の後、ステップ120で堆積チャンバをパージすることは、不活性ガスの導入により生じて、過剰な前駆体ガスを抜く。例えば、ポリマー体をセラミック前駆体に暴露するステップは、6秒未満の持続期間を有することができて、チャンバからセラミック前駆体をパージすることは10秒の持続期間を有することができる。他の例にて、セラミック前駆体の暴露は、10秒の持続期間を有することができる。
【0026】
一旦堆積チャンバがパージされると、ポリマー体を予め選択された処理温度に維持することが、化学反応を第1前駆体の分子とプラズマ分子の間に生じさせる一方で、ステップ122は、堆積チャンバ内へのプラズマ前駆体の導入を含む。いくつかの例で、プラズマは、窒素及び水素ガスの混合物を含むことができる。他の例で、プラズマは酸素ガスを含む。化学反応は、化学反応の生成物である材料からなる、ポリマー体及びオープンセル型空洞または複数のオープンセル型空洞の露出表面に沿った堆積層を生成する。その後、予め選択された時間の後、ステップ124において堆積チャンバからプラズマをパージすることは、堆積ステップを完了させて、次の堆積ステップのために堆積チャンバを準備する。これらの例のいくつかで、プラズマにポリマー体を暴露させることは、少なくとも10秒の持続期間を有することができる。これらの例の他で、プラズマ暴露は、少なくとも20秒の持続期間を有することができる。
【0027】
第1前駆体ガス及びプラズマに対するポリマー体の繰り返しかつ連続的な暴露は、連続する堆積層を生成して、ポリマー体及びオープンセル型空洞の露出表面に沿って形成する。このように、開放容積を取り囲む熱伝導経路は、ポリマー体の第1面からポリマー体の第2面まで形成されることができる。
【0028】
図2Aは、オープンセル型空洞のネットワークを有する、ポリマー体の断面図である。ポリマー体200は、第1面202、第2面204及びオープンセル型空洞206を有する。オープンセル型空洞206は、第1面202から第2面204まで連続経路のネットワークを形成する。図2Aで示す例で、ポリマー体200は複数の球粒208からなり、オープンセル型空洞206は、複数の球粒208内の空洞部を通って延在するネットワークを形成する。ポリマー体200が熱交換プレートである例にて、第1面202は第1熱交換面であり、第2面204は第2熱交換面である。いくつかの例で、ポリマー体200は、熱可塑性材料、例えば、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)材から形成される。これらの例で、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)でもよい。
【0029】
図2Bは、オープンセル型空洞のネットワークを有し、及び堆積するセラミック材料により形成される熱伝導経路を含有する、ポリマー体の断面図である。図2Bにて、熱伝導経路210は、オープンセル型空洞206の連続経路に沿って、第1面202から第2面204まで延在する。ポリマー体が熱交換プレートである例にて、熱伝導経路210は、第1熱交換面から第2熱交換面まで熱を伝達する。いくつかの例にて、熱伝導経路210はセラミック材料から形成される。いくつかの例にて、セラミック材料は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、または窒化ホウ素と窒化アルミニウムの組み合わせでもよい。通常、熱伝導経路210は、熱伝導経路210の全長に沿って延在する開放容積を取り囲む。
【0030】
図2Cは、熱伝導経路を含有する、オープンセル型空洞のネットワークを有する、ポリマー体の断面図である。図2Cで示す例にて、熱伝導経路210を形成するセラミック材料は、オープンセル型空洞206の周囲に堆積して、熱伝導経路210は封止材212を取り囲む。図2Cで示す例にて、熱伝導経路210を形成するセラミック材料は、中心のオープンセル型空洞206に向かって均一な厚さまたは実質的に均一な厚さで延在する。封止材212は、熱伝導経路210を形成するセラミック材料の堆積により形成される、開放容積を満たす。封止材212は、第1面202と第2面204の間の流体連通を防止するように機能して、また、封止材212は、金属材料、例えば、アルミニウムまたは銅により形成されることができる、または可撓性封止材、例えば、ケイ素基封止材であり得る。熱伝導経路210により取り囲まれる空洞が封止材212で充填される例にて、封止材212は、部分的に熱伝導経路210を通って延在することができる、または熱伝導経路210の全長を通って延在することができる。封止材212が熱伝導経路210の全長を通って延在しない例で、封止材212は、第1面202と第2面204の間の熱伝導経路210に沿った2つ以上の位置に配置されて、封止プラグの間に封止空洞部を有する熱伝導経路210に沿って、2つ以上の封止プラグを作製し得る。
【0031】
いくつかの例で、ポリマー体は、方法100に従って作成される熱伝導性ポリマー材料から製造した、熱交換プレートである。熱交換プレートは、プレート及びフレーム熱交換器での使用のために設計されることができる。図3は、方法300を示す流れ図であり、方法100を使用して、熱伝導性ポリマープレートを製造することを用いて、熱交換器を製造する方法を示している。
【0032】
方法300は、ステップ302で、方法100に従って熱交換プレートを形成することを含む。通常、方法100に従って製造した熱交換プレートは、厚さによって分離した、第1熱交換面及び第2熱交換面を有する。第1熱交換面及び第2熱交換面は実質的に平行であり、厚さは熱伝導チャネルに沿った熱交換に適切である。通常、方法100に従って製造した熱交換プレートは、プレート及びフレーム熱交換器の使用に適しているサイズ及び形状である。
【0033】
ステップ306で、各熱交換プレートは、熱交換器のハウジングに取り付けられる。いくつかの例にて、熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることは、プレートを熱交換器ハウジングに摩擦溶接することを含む。通常、摩擦溶接は、側方圧を印加して、互いの方向にプレート及び熱交換器ハウジングを押圧して、それによりプレートを熱交換器ハウジングに溶接する一方で、熱交換器ハウジングに対してプレートを動かして、機械的摩擦により熱を発生させることによって実行される。ポリマー接合の他の方法、例えば、超音波溶接、接着剤、溶融及び溶媒による接合は更に、熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることにより使用できる。
【0034】
熱交換プレートは、ハウジングを通して第1流路及び第2流路を作成する配置で、ハウジング内に配置されていてもよい。通常、第1流路及び第2流路は、複数の熱交換プレートの間に配置される複数の空間を含む。いくつかの例にて、第1流路及び第2流路は、複数の熱交換プレートの各プレートは第1流路及び第2流路に接触するように、1つおきで空間(alternating gaps)内に配置される。
【0035】
通常、第1及び第2流路は、1つおよび複数の流体を受容することができる。更に、第1及び第2流路は、熱交換プレートにわたって流れる際、第1及び第2流路内を流れている流体が混じらないように、一般に流体連通していない。第1及び第2流路は、直交流配置、対向流配置、並流配置または複合型流配置であるように配向されることができる。
【0036】
いくつかの例にて、プレート及びフレーム熱交換器は、油、例えば、潤滑油が第1流路に沿って流れて、燃料が第2流路に沿って流れるように構成されることができる。このような構成で、熱交換器に入ってくる油は、プレート及びフレーム熱交換器が、第1流路を流れる油を冷却して、第2流路を流れる燃料を加熱するように機能するように、熱交換器に入ってくる燃料より高温であり得る。
【0037】
いくつかの例で、方法300はステップ308を任意に含み、このステップ308は、熱交換器フレーム内に複数のインサートを取り付けることを含む。通常、インサートは、第1流路、第2流路、並びに第1流路および第2流路内に取り付けられる。インサートは、第1流路または第2流路内に乱流状態を形成するように機能する。乱流状態は、第1流路及び第2流路内を流れている流体の間の熱伝達を改善できる。いくつかの例で、インサートは波形状を有する。他の例で、インサートは、乱流状態を形成するのに適している別の形状を有する。
【0038】
図4は、プレート及びフレーム熱交換器の一例の斜視図である。熱交換器400は、複数の熱交換プレート402、フレーム404、第1流路406、第2流路408、及びインサート410a、410bを含む。
【0039】
図4に示す例で、熱交換プレート402のそれぞれは、矩形体として示されている。他の例で、熱交換プレート402は、熱交換器の使用に適している円筒形または別の形状を有する可能性がある。通常、熱交換プレート402は、第1流路406及び第2流路408を形成するように、フレーム404内に配置される。
【0040】
通常、第1流路406及び第2流路408は、複数の熱交換プレート402の間に配置される複数の空間を含んで、流体の流れをそれぞれ受容することができる。いくつかの例にて、第1流路406及び第2流路408は、複数の熱交換プレート402のプレートのそれぞれが、第1流路406及び第2流路408に接触するように、熱交換プレートの間に交互に配置される。いくつかの例において、複数の熱交換プレート402は、第1流路406及び第2流路408が、直交流配置、対向流配置、または並流配置であるように配置されてもよい。図4で示す例にて、第1流路406及び第2流路408は流体連通していない。
【0041】
いくつかの例で、熱交換器400の作動状態は、第1流路406内に配置される油及び第2流路408内に配置される燃料を含む。油は、例えばガスタービンエンジン油でもよい。燃料は、例えば航空機燃料でもよい。これらの例で、熱交換器400の作動状態は、第1流路406内を流れている油を冷却して、第2流路408内に配置される燃料を加熱するように構成される。
【0042】
図4で示す例で、インサート410aは第1流路406内に配置されて、インサート410bは第2流路408内に配置される。通常、インサート410a、410bは、それぞれ、第1流路406及び第2流路408内に乱流状態を形成するように機能する。乱流状態は、第1流路406及び第2流路408内を流れている流体の間の熱伝達を改善できる。図示した例で、インサート410a、410bは波形状を有する。他の例で、インサート410a、410bのいずれかは、乱流状態を形成するのに適している別の形状を有してよい。
【0043】
可能な実施形態の説明
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0044】
ポリマー体のオープンセル型空洞内にセラミック材料を堆積させることを含む、構成要素を形成する方法であって、前記セラミック材料が、前記ポリマー体の第1面から前記ポリマー体の第2面まで熱伝導経路を形成し、そこで、前記セラミック材料を堆積させることが、前記伝導経路の周囲に前記セラミック材料を堆積させて、前記熱伝導経路全体に沿って延在する前記セラミック材料により取り囲まれる開放容積を形成することと、封止材を前記開放容積に充填することと、を含む、前記方法。
【0045】
前項の構成要素を形成する方法は、追加的に及び/または代替的に、以下の工程、特徴、構成及び/または追加構成要素のうちの任意の1つまたは複数を所望により含むことができる。
【0046】
前記伝導経路の周囲に前記セラミック材料を堆積させることが、原子層堆積を使用して実行される、構成要素を形成する前述の方法の更なる実施形態。
【0047】
前記原子層堆積がプラズマエンハンスト原子層堆積である、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0048】
前記プラズマ原子層堆積が反応器で実行される、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0049】
前記反応器が250℃と280℃の間の温度に保持される、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0050】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積が、前記ポリマー体を含有する前記反応器内にセラミック前駆体を流すことを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0051】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積が前記反応器をパージすることを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0052】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積が前記ポリマー体をプラズマ混合物に暴露することを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0053】
前記プラズマエンハンスト原子層堆積が前記反応器を換気することを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0054】
前記反応器をパージすることが少なくとも10秒の持続期間を有し、前記ポリマー体を暴露することが少なくとも10秒の持続期間を有する、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0055】
前記ポリマー体の前記第1面を金属被覆することを更に含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0056】
前記ポリマー体の前記第2面を金属被覆することを更に含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0057】
前記ポリマー体の前記第1面を金属被覆することが、真空堆積を使用して、前記ポリマー体の前記第1面上に金属の1つ以上の層を堆積させることを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0058】
前記ポリマー体の前記第2面を金属被覆することが、真空堆積を使用して、前記ポリマー体の前記第2面上に金属の1つまたは複数の層を堆積させることを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0059】
前記セラミック材料を堆積させることが真空状態で実行される、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0060】
前記ポリマー体の前記オープンセル型空洞が、前記ポリマー体から離れるエッチング可能な材料をエッチングすることによって作成される、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0061】
前記エッチング可能な材料がポリイミドである、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0062】
前記ポリマー体が、ポリアリールエチルケトン材から形成される、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0063】
前記エッチングすることが、ポリマー体から離れたポリイミドを浸出させることを含む、構成要素を形成する前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0064】
構成要素を形成する前述の方法のいずれかに従って、複数の熱交換プレートを形成することと、前記複数の熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることと、を含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法。
【0065】
前項のプレート及びフレーム熱交換器を形成する方法は、追加的に及び/または代替的に、以下の工程、特徴、構成及び/または追加構成要素のうちの任意の1つ以上を所望により含むことができる。
【0066】
前記複数の熱交換プレートを熱交換器ハウジングに取り付けることを更に含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0067】
前記複数のプレートが第1流体の第1流路を画定するように構成される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0068】
前記複数のプレートが第2流体の第2流路を画定するように構成される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0069】
前記第1流路及び前記第2流路が前記複数のプレートによって分離される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0070】
前記複数の熱交換プレートのそれぞれが前記第1流路及び前記第2流路と接触している、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0071】
前記第1流路及び前記第2流路が、直交流配置で配向される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0072】
前記第1流路及び前記第2流路が、対向流配置で配向される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0073】
前記第1流路及び前記第2流路が、並流配置で配向される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0074】
前記第1流路及び前記第2流路が、複合型流配置で配向される、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0075】
前記第1流体が油である、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0076】
前記第2流体が燃料である、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0077】
乱流状態を作成するために、前記第1流路内に複数のインサートを取り付けることを更に含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0078】
乱流状態を作成するために、前記第2流路内に複数のインサートを取り付けることを更に含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0079】
前記複数の熱交換プレートを前記熱交換器ハウジングに取り付けることが、前記複数の熱交換プレートを前記熱交換器ハウジングに摩擦溶接することを含む、プレート及びフレーム熱交換器を形成する方法の前述の方法のいずれかの更なる実施形態。
【0080】
オープンセル型空洞のネットワークと、前記オープンセル型空洞のネットワーク内に配置されるセラミック材料であって、前記セラミック材料が開放容積を取り囲む、前記セラミック材料と、前記開放容積内に配置される封止材と、を含有するポリマープレートを含む、熱交換プレート。
【0081】
前項の熱交換プレートは、追加的に及び/または代替的に、以下の特徴、構成及び/または追加構成要素のうちの任意の1つ以上を所望により含むことができる。
【0082】
前記オープンセル型空洞のネットワークが、前記ポリマープレートの第1熱交換面から前記ポリマープレートの第2熱交換面まで延在する、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0083】
前記セラミック材料が、前記第1熱交換面から前記第2熱交換面まで延在する、複数の熱伝導経路を形成する、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0084】
前記複数の熱伝導経路のそれぞれが、前記複数の熱伝導経路のそれぞれの全長に沿って延在する、前記セラミック材料により取り囲まれた前記開放容積を画定する、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0085】
前記封止材が前記開放容積を満たして、前記第1熱交換面と前記第2熱交換面の間の流体連通を防止する、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0086】
前記第1熱交換面が金属被覆されている、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0087】
前記第2熱交換面が金属被覆されている、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0088】
前記封止材がアルミニウムである、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0089】
前記封止材が銅である、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0090】
前記封止材が可撓性封止材である、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0091】
前記セラミック材料が窒化ホウ素である、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0092】
前記セラミック材料が窒化アルミニウムである、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0093】
前記セラミック材料が、窒化ホウ素と窒化アルミニウムの組み合わせである、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0094】
前記ポリマープレートが、熱可塑性材料により形成される、前述の熱交換プレートのいずれかの更なる実施形態。
【0095】
例示的な実施形態を参照して本発明が記載されたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、種々の変更をなすことができ、その実施形態の要素を均等物で置き換えることができるということを理解するであろう。加えて、特定の状況または物質を適合させるために、本発明の本質的範囲から逸脱せずに、本発明の教示に対して多くの改変をなすことができる。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4