(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】過敏性腸症候群または炎症性腸疾患の処置での使用のための微生物リゾチーム
(51)【国際特許分類】
A23L 33/195 20160101AFI20230726BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/68 20060101ALI20230726BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230726BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230726BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20230726BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230726BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230726BHJP
C12N 9/42 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A23L33/195
A61K38/47 ZNA
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/107
A61K9/06
A61K9/68
A61K9/08
A61P1/00
A61P1/12
A61P29/00
A61P3/04
C12N9/42
(21)【出願番号】P 2019536139
(86)(22)【出願日】2018-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2018050189
(87)【国際公開番号】W WO2018127532
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】セーアン ケアウルフ
(72)【発明者】
【氏名】マリアネ トーロップ コーン
(72)【発明者】
【氏名】ナナ ニュ クレステンスン
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/076253(WO,A1)
【文献】特開2009-263307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0003235(US,A1)
【文献】国際公開第2012/027282(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/027374(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/081700(WO,A1)
【文献】Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2009, Vol.57, p.2233-2240
【文献】Database GenBank [online], Accession No.CCX31104.1, 23 Sep 2013, [Retrieved on 2022.1.7]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61P
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法での使用のための、微生物リゾチームを含む組成物。
【請求項2】
肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる方法での使用のための、微生物リゾチームを含む組成物であって、前記組成物が、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、組成物。
【請求項3】
前記肥満が食事誘発性肥満である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記微生物リゾチームは、前記GI管中の前記健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、請求項
2に記載の組成物。
【請求項5】
前記微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記微生物リゾチームは
、肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記肥満が食事誘発性肥満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%
の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、前記バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、前記断片は少なくとも170個のアミノ
酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50
%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、前記バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、前記断片は少なくとも210個のアミノ
酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50
%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、前記バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、前記断片は少なくとも170個のアミノ
酸のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記微生物リゾチームは、配列番号1に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記微生物リゾチームは、リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、前記断片は、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片である、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
前記微生物リゾチームは、配列番号4に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドである、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記微生物リゾチームは、リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、前記断片は、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片である、請求項10~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記微生物リゾチームは、配列番号15に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドである、請求項10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記微生物リゾチームは、リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、前記断片は、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片である、請求項10~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
ヒトの処置での使用のための請求項1~
16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は、食品組成物または医薬組成物、または医療デバイスである、請求項1~
17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、請求項1~
18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物を、クローン病および/または潰瘍性大腸炎の処置で使用する、請求項1~
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記微生物リゾチームは、消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させる、請求項1~
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記微生物リゾチームは、ヒトの消化管から死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する、請求項1~
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記微生物リゾチームは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合に、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有する、請求項1~
21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群から選択され
る、請求項
22に記載の組成物。
【請求項25】
前記微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記微生物リゾチームは、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群から選択される、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
前記微生物リゾチームは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドから成る群から選択される、請求項24~26のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表への言及
本出願は、コンピュータ可読形式の配列表を含む。このコンピュータ可読形式は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、消化(GI)管中において、健康な微生物叢を安定化させ且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制するための、ならびに過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防するための、緩和するための、または処置するための、微生物リゾチームおよびそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの腸内細菌叢には、ヒトの腸内健康で重要な役割を果たす多数の細菌が含まれる。回腸遠位部では、内腔内容物1グラム当たり10e7~10e8個の主に嫌気性の細菌が含まれているのに対して、結腸では、1グラム当たり10e11~10e12個の細菌コロニーが含まれており、バクテロイデス(Bacteroides)、クロストリジウム(Clostridium)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の種が優性である。慢性腸炎は、遺伝的に感受性である宿主における共生(正常な内在性)腸内細菌に対する過度に攻撃的な細胞媒介性免疫応答の結果である。
【0004】
炎症性腸疾患(IBD)は、急性発作を伴う断続的な経過に続いて寛解期間を示すことが多い慢性腸炎を特徴とする衰弱性疾病である。急性発作中の臨床症状として、下痢、出血、腹痛、発熱、関節痛、および体重減少が挙げられる。IBDは様々な形で現れ得、その最も一般的なものは、クローン病(消化管全体に影響を及ぼし得る、腸の慢性貫壁性炎症)および潰瘍性大腸炎(結腸に影響を及ぼす慢性の炎症性腸疾患)である。潰瘍性大腸炎およびクローン病は、消化管において内腔細菌の濃度が最も高い領域で生じる。
【0005】
リゾチームは、多くの生物により細菌に対する防御機構として産生されるO-グリコシルヒドロラーゼである。この酵素は、ペプチドグリカンのグリコシド結合を開裂させることにより、細菌の細胞壁の加水分解を引き起こす。リゾチーム作用により細胞壁が弱くなった後、細菌細胞は、不均衡な浸透圧の結果として溶解する。加えて、リゾチームは、細胞外ペプチドグリカンを可溶性断片へと分解し得、これにより炎症が制限されると思われる。
【0006】
リゾチームは、下記の5種の異なるグリコシドヒドロラーゼ(GH)ファミリに分類されている(CAZy,www.cazy.org):ニワトリ卵白リゾチーム(GH22)、ガチョウ卵白リゾチーム(GH23)、バクテリオファージT4リゾチーム(GH24)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)鞭毛タンパク質(GH73)、およびキャラロプシス(Chalaropsis)リゾチーム(GH25)。ファミリGH23およびGH24からのリゾチームはバクテリオファージから主に知られており、最近になって真菌で同定された。リゾチームファミリGH25は、他のリゾチームファミリとは構造的に無関係であることが分かっている。
【0007】
リゾチームは、天然の豊富さに起因して従来はニワトリの卵白から抽出されている。ニワトリの卵白から抽出されたリゾチームは、商業市場で入手可能な主な製品であるが、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)細胞壁中のN,6-O-ジアセチルムラミン酸を開裂せず、そのため、数ある中でもこの重要なヒト病原体を溶解し得ない(Masschalck B,Deckers D,Michiels CW(2002),“Lytic and nonlytic mechanism of inactivation of gram-positive bacteria by lysozyme under atmospheric and high hydrostatic pressure”,J Food Prot.65(12):1916-23)。
【0008】
国際公開第2000/21381号パンフレット、英国特許第2379166号明細書および国際公開第2004/026334号パンフレットそれぞれには、ニワトリの卵白由来のGH22リゾチームを含む組成物が開示されている。国際公開第2013/076253号パンフレットには、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)由来の野生型GH25リゾチームの成熟アミノ酸配列が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
投与時に、微生物叢を、望ましくない微生物叢を有するヒト(例えば、IBDおよび/またはIBSを患っている患者)の利益へと変える組成物が必要とされている。本発明は、そのような変化を得る方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、様々な用途のための、微生物リゾチームおよびそれを含む組成物を提供する。
【0011】
一態様では、本発明は、過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法での使用のための、微生物リゾチームおよびそれを含む組成物を提供する。
【0012】
一態様では、この微生物リゾチームまたはそれを含む組成物は、消化(GI)管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する。さらなる態様では、この微生物リゾチームまたはそれを含む組成物は、炎症を予防し、緩和し、または処置し、さらなる態様では、この微生物リゾチームまたはそれを含む組成物は、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる。
【0013】
同様に本明細書で説明されているのは、過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法である。
【0014】
消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性を有する単離ポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法がさらに説明されている。
【0015】
配列表の概要
配列番号1は、国際公開第2013/076253号パンフレットで説明されている、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)由来の野生型GH25リゾチームの成熟アミノ酸配列である。
配列番号2は、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)から単離されたGH24リゾチームの遺伝子配列である。
配列番号3は、配列番号2から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号4は、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)由来の野生型GH24リゾチームの成熟アミノ酸配列である。
配列番号5は、セキショクヤケイ(Gallus gallus)由来の野生型GH22リゾチーム(ニワトリ卵白リゾチーム)の成熟アミノ酸配列である。
配列番号6は、プライマーF-80470である。
配列番号7は、プライマーR-80470である。
配列番号8は、プライマー8643である。
配列番号9は、プライマー8654である。
配列番号10は、フォワードプライマー27Fである。
配列番号11は、リバースプライマー534Rである。
配列番号12は、Duncan,S.H.et al.,Int.J.Syst.Evol.Microbiol.52(PT6),2141-2146(2002)で説明されており且つHold G.L.により2001年9月19日にGut Microbiology and Immunologyに提出された、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)と分類された16S rRNA遺伝子を表す配列である。
配列番号13は、マイセリオフトラ・フェルグシー(Myceliophthora fergusii)から単離されたGH25リゾチームのゲノムDNA配列である。
配列番号14は、配列番号13から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号15は、マイセリオフトラ・フェルグシー(Myceliophthora fergusii)由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
配列番号16は、レカニシリウム種(Lecanicillium sp.)WMM742から単離されたGH25リゾチームのcDNA配列である。
配列番号17は、配列番号16から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号18は、レカニシリウム種(Lecanicillium sp.)WMM742由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
配列番号19は、接合菌種(Zygomycetes sp.)XZ2655から単離されたGH25リゾチームのcDNA配列である。
配列番号20は、配列番号19から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号21は、接合菌種(Zygomycetes sp.)XZ2655由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
配列番号22は、マルブランケア・フラバ(Malbranchea flava)から単離されたGH25リゾチームのcDNA配列である。
配列番号23は、配列番号22から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号24は、マルブランケア・フラバ(Malbranchea flava)由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
配列番号25は、ハイフォローマ・ポリトリチ(Hypholoma polytrichi)から単離されたGH25リゾチームのコドン最適化DNAである。
配列番号26は、配列番号25から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号27は、ハイフォローマ・ポリトリチ(Hypholoma polytrichi)由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
配列番号28は、エンギオドンチウム・アルブム(Engyodontium album)から単離されたGH25リゾチームのcDNA配列である。
配列番号29は、配列番号28から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号30は、エンギオドンチウム・アルブム(Engyodontium album)由来の成熟GH25リゾチームのアミノ酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例6に関して、高用量、中用量または低用量の配列番号1、配列番号15または配列番号5で処置し、続いてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS、3%)で処置したマウスの生結腸損傷スコア(A)、結腸長(B)および結腸湿重量(C)を、ビヒクルコントロール、DSSなしの配列番号1処置、および疾患コントロール(リゾチーム処置なしのDSS処置)と比較して示すグラフである。各列は、n=10~12の平均を表す。
【
図2】実施例6に関して、高用量の配列番号1、配列番号15および配列番号5による処置後の体重の発達の比較を、コントロールと比較して示すグラフである。-3日目(予防的処置が始まった。DSS負荷を0日目に開始させた)での体重と比較して各群の平均体重の変化を表す折れ線グラフ。各線は、実験の過程全体にわたって、示した処置のそれぞれに対応する(n=10~12)。
【
図3】実施例6に関して、高用量、中用量および低用量の配列番号1(A)、配列番号15(B)または配列番号5(C)による処置後の体重の発達の比較を、コントロールと比較して示すグラフである。3日目の体重と比較して各群の平均体重の変化を表す折れ線グラフ。各線は、実験の経過全体にわたって、示した処置のそれぞれに対応する(n=10~12)。
【
図4】実施例6に関して、DSS負荷の開始後5日目での結腸組織中におけるサイトカインレベルへの配列番号1、配列番号15および配列番号5の効果を示すグラフである。結腸組織1mg当たりのTNFα(A)、IL-1β(B)、IL-6(C)、IL-10(D)、IL-12(E)、IL-17a(F)およびIL-25(G)の濃度を、コントロールと比較して高濃度、中濃度または低濃度で投与した各試験化合物に対応して示す。各列は、n=10~12のマウスの平均を表す。
【
図5】実施例6に関して、DSS負荷の開始後5日目での結腸組織中におけるサイトカインレベルへの配列番号1、配列番号15および配列番号5の効果を示すグラフである。結腸組織1mg当たりのTNFα(A)、IL-1β(B)、IL-6(C)、IL-10(D)、IL-12(E)、IL-17a(F)およびIL-25(G)の濃度を、mol/日で投与した各試験化合物に対応して示す。各点は、n=10~12の平均を表す。
【
図6】食餌開始1週間前から研究の間中の実施例7からのマウスの体重の発達(A)、示した時点で分析した脂肪量(B)、および終了時の組織重量(C)を示すグラフである。各列/点は、n=10~12の平均を表す。
【
図7】実施例7で説明されているように処置したマウスに関して下記を示すグラフである:5時間絶食の血糖(A)、5時間絶食のインスリン(B)、除脂肪量1キロ当たりグルコース2グラムで経口負荷した後の示した時点での血糖値(C)、グルコース負荷に対する内在性インスリン応答の血漿レベル(D)、および腸透過性(E)。全ての測定を、10週間の高脂肪食(HFD)給餌および毎日の強制投与処置後に実施した。各列/点は、n=10~12の平均を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
食事誘発性肥満:食事誘発性肥満(DIO)とは、高脂肪および/または高密度の食事を食べる(ヒト)または食餌する(動物モデル)ことにより引き起こされる肥満のことである。
【0018】
異所性脂質沈着:用語「脂質沈着」は、体脂肪の沈着に使用される。異所性脂肪とは、通常は脂肪を少量しか含まない非脂肪組織(例えば、肝臓、骨格筋、心臓、および膵臓)の細胞内でのトリグリセリドの貯蔵のことである。そのため、用語「異所性脂質沈着」は、肝臓、骨格筋、心臓、および膵臓等の組織中に貯蔵されている脂肪を意味する。
【0019】
フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium):16S rRNA遺伝子配列の同一性が属内で異なることが知られている(Vetrovsky T,Baldrian P(2013)The Variability of the 16S rRNA Gene in Bacterial Genomes and Its Consequences for Bacterial Community Analyses.PLoS ONE 8(2):e57923.doi:10.1371/journal.pone.0057923)。平均同一性は95.56であり標準偏差は3.68であることが分かっている。また、属の12.2%が、平均ペアワイズ16S rRNA遺伝子類似性が90%未満である種を含むことも分かった。
【0020】
配列番号12は、Duncan,S.H.et al.,Int.J.Syst.Evol.Microbiol.52(PT 6),2141-2146(2002)で説明されており且つHold G.L.により2001年9月19日にGut Microbiology and Immunologyに提出された、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)属と分類された16S rRNA遺伝子配列を含む。その結果、株は、前記株の16S rRNA遺伝子のV1~V3領域の配列同一性が配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)と定義される。
【0021】
食品組成物:「食品組成物」とは、食品としてヒトに投与され得るあらゆる組成物のことである。本明細書で使用される場合、食品組成物は「食事組成物」と同一である。
【0022】
断片:用語「断片」は、成熟ポリペプチドまたは成熟ドメインのアミノ末端および/またはカルボキシル末端に存在しない1個または複数個(例えばいくつかの)アミノ酸を有するポリペプチドまたは触媒ドメインを意味し、この断片はリゾチームを有する。一態様では、断片は、配列番号1の少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、配列番号1の少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含み、且つリゾチーム活性を有する。
【0023】
別の態様では、断片は、配列番号4の少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、配列番号4の少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含み、且つリゾチーム活性を有する。
【0024】
別の態様では、断片は、配列番号15の少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、配列番号15の少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含み、且つリゾチーム活性を有する。
【0025】
グルコース調節不全:用語「グルコース調節不全」とは、代謝と血糖値の調節とにおける障害のことである。グルコース調節不全により主に引き起こされる状態の例として、低血糖、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、X症候群、メタボリックシンドローム、および糖尿病が挙げられる。
【0026】
GI管の微生物叢中におけるxの細菌の割合を増加させる:用語「GI管の微生物叢中におけるxの細菌の割合を増加させる」は、特定の分類学的ランク(例えば、目または属)の細菌の量がコントロールサンプルと比較して増加していることを意味する。微生物叢のサンプルを腸(即ち消化管)から採取して、このサンプル中の16S rRNA遺伝子の配列(読み取り)を調べることにより分析し得る。16S rRNA遺伝子の読み取りを、配列同一性に基づいて一緒にクラスター化し得、各クラスターを16S rRNA遺伝子の既知の配列のデータベースと比較して、このクラスター中の細菌の種類を同定し得る。このクラスターを、様々な分類学的レベル(門、網、目、科、属、または種)で統合して、サンプル全体にわたる各分類学的レベル内の細菌の量の定量分析を行ない得る。
【0027】
コントロールの人由来のクラスターを、本発明のリゾチームを投与した人と比較することにより、微生物叢の差異を決定し得る。そのような決定の例として、例えば、リゾチームを投与していないコントロールと比較した、リゾチームを投与した動物またはヒトから採取した微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合の差異、またはコントロールと比較した、リゾチームを投与した動物またはヒトから採取した微生物叢中におけるクロストリジウム(Clostridiales)目の細菌の割合の差異が挙げられる。
【0028】
単離された:用語「単離された」は、天然には存在しない形態または環境中の物質を意味する。単離された物質の非限定的な例として、下記が挙げられる:(1)あらゆる天然には存在しない物質、(2)自然界で関連している天然に存在する成分のうちの1つもしくは複数もしくは全てから少なくとも部分的に取り出されているあらゆる物質(例えば、限定されないが、あらゆる酵素、バリアント、核酸、タンパク質、ペプチド、もしくは補助因子)、(3)あらゆる物質であって、自然界で見られるこの物質と比べて人の手により改変されている物質、または(4)あらゆる物質であって、この物質が自然界で関連している他の成分と比べてこの物質の量を増加させることにより改変されている物質(例えば、この物質をコードする遺伝子の複数のコピー;この物質をコードする遺伝子と自然界で関連するプロモーターと比べて強いプロモーターの使用)。単離された物質は、発酵ブロスサンプル中に存在していてもよい。
【0029】
リゾチーム活性:用語「リゾチーム活性」は、浸透圧に起因する溶菌を引き起こす、ペプチドグリカン中のN-アセチルムラミン酸とN-アセチル-D-グルコサミン残基との間のまたはキトデキシトリン(chitodextrin)中のN-アセチル-D-グルコサミン残基間の1,4-ベータ-結合の酵素的加水分解を意味する。リゾチームは、酵素クラスEC 3.2.1.17に属する。リゾチーム活性は概して、比濁測定により測定される。この方法は、リゾチームの溶解作用により引き起こされるミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)ATCC 4698の懸濁液の濁度の変化に基づく。適切な実験条件では、この変化は培地中のリゾチームの量に比例する(Combined Compendium of Food Additive Specifications of the Food and Agriculture Organisation of the UN(www.fao.org)のINS 1105を参照されたい)。本発明の目的のために、リゾチーム活性を、実施例5(「リゾチーム活性の決定」)で説明されている濁度アッセイに従って決定する。一態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号1のリゾチーム活性の少なくとも20%を有し、例えば、配列番号1のリゾチーム活性の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%を有する。一態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号4のリゾチーム活性の少なくとも20%を有し、例えば、配列番号4のリゾチーム活性の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%を有する。一態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号15のリゾチーム活性の少なくとも20%を有し、例えば、配列番号15のリゾチーム活性の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%を有する。
【0030】
成熟ポリペプチド:用語「成熟ポリペプチド」は、翻訳および任意の翻訳後改変(例えば、N末端プロセシング、C末端トランケーション、グリコシル化、リン酸化等)の後の最終形態のポリペプチドを意味する。
【0031】
医療デバイス:医療デバイスは、本明細書において、US Federal Food Drug & Cosmetic(FD&C)Actのセクション201(h)での医療デバイスの定義を満たす製品と理解され、この製品として、ヒトもしくは他の動物における疾患の治癒、緩和、処置もしくは予防での使用を意図された、またはヒトもしくは他の動物の身体の構造もしくは任意の機能に影響を及ぼすことを意図された、機器、装置(apparatus)、道具、機械、装置(contrivance)、移植片、インビトロ試薬、または他の類似のもしくは関連する物品(例えば構成部品)、またはofficial National FormularyもしくはUnited States Pharmacopoeiaで認められたアクセサリー、またはこれらへのあらゆる付属品が挙げられ、この製品は、ヒトまたは他の動物の体内または身体上での化学作用を通してこの製品の主に意図された目的を達成せず、この製品の主に意図された目的のいずれかの達成のために代謝されることに依存しない。
【0032】
微生物リゾチーム:用語「微生物リゾチーム」は、微生物源から得られるまたは入手可能である、リゾチーム活性を有するポリペプチドを意味する。微生物源の例は真菌であり、即ち、リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られ、または入手可能であり、ここで、用語界は分類学的ランクである。具体的には、微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門等の子嚢菌(Ascomycota)門から得られ、または入手可能であり、ここで、用語門および亜門は分類学的ランクである。
【0033】
ポリペプチドの分類学的ランクが未知である場合、(例えば、National Center for Biotechnology Information(NCIB)ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を使用して)このポリペプチドのBLASTP検索を実施し、次いで最も近い相同体と比較することにより、分類学的ランクは当業者により容易に決定され得る。既知のポリペプチドの断片である未知のポリペプチドは、同一の分類学的種であると考えられる。最大10箇所の位置で置換、欠失および/または挿入を含む未知の天然ポリペプチドまたは人工バリアントは、既知のポリペプチドと同一の分類学的種に由来すると考えられる。
【0034】
から得られる、または入手可能である:用語「から得られる、または入手可能である」は、ポリペプチドが、特定の分類学的ランクに由来する生物中で見出され得ることを意味する。一実施形態では、ポリペプチドは真菌(Fungi)界から得られ、または入手可能であり、ここで、用語界は分類学的ランクである。好ましい実施形態では、ポリペプチドは子嚢菌(Ascomycota)門から得られ、または入手可能であり、ここで、用語門は分類学的ランクである。別の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られ、または入手可能であり、ここで、用語亜門は分類学的ランクである。別の好ましい実施形態では、ポリペプチドはユーロチウム菌(Eurotiomycetes)綱から得られ、または入手可能であり、ここで、用語網は分類学的ランクである。
【0035】
ポリペプチドの分類学的ランクが未知である場合、(例えば、National Center for Biotechnology Information(NCIB)ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を使用して)このポリペプチドのBLASTP検索を実施し、次いで最も近い相同体と比較することにより、分類学的ランクは当業者により容易に決定され得る。既知のポリペプチドの断片である未知のポリペプチドは、同一の分類学的種であると考えられる。最大10箇所の位置で置換、欠失および/または挿入を含む未知の天然ポリペプチドまたは人工バリアントは、既知のポリペプチドと同一の分類学的種に由来すると考えられる。
【0036】
操作的分類単位(operational taxonomic unit)(OTU):用語「操作的分類単位」は、ある程度の類似性を有する配列のクラスターを意味する。この場合、16S rRNA遺伝子の配列を異なるOTUに割り当てるための閾値として97パーセントが選択され、このことは、単一のOTU内の全ての配列が少なくとも97パーセントの配列同一性を有することを意味する。この同一性レベルでは、各OTUは単一の細菌種を表すと見なされる(または想定される)ことが多い。
【0037】
手術後再発:手術後の疾患または状態の増悪を意味する。そのため、語句「IBSおよび/またはIBDの手術後再発を予防する、緩和する、または処置する」は、IBSおよび/またはIBDが手術後に現れるリスクを予防する、緩和するまたは処置することを意味する。
【0038】
予防する:何らかの行動を通して、疾患、障害、または疾患もしくは状態の症状を停止させるまたは妨げることを意味する。
【0039】
(状態の)寛解:症状があまり重度でなくなる疾患の経過の期間を意味する。そのため、語句「IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する」は、IBSおよび/またはIBDが再発するリスクが予防されるまたは緩和されることを意味する。
【0040】
配列同一性:2つのアミノ酸配列の間のまたは2つのヌクレオチド配列の間の関連性は、パラメータ「配列同一性」により説明される。
【0041】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラム(好ましくは、バージョン5.0.0以降)により実行されるNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を使用して決定される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換行列である。「最長同一性」と標識されたNeedleの出力(-nobriefオプションを使用して得られる)は同一性パーセントとして使用され、下記のように算出される:
(同一残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)。
【0042】
実質的に純粋なポリペプチド:用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、このポリペプチドが天然にまたは組換えにより会合している他のポリペプチド物質の含有が最大10重量%、最大8重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%および最大0.5重量%である調製物を意味する。好ましくは、このポリペプチドは、この調製物中に存在する全ポリペプチド物質の少なくとも92重量%純粋であり、例えば、少なくとも94重量%純粋であり、少なくとも95重量%純粋であり、少なくとも96重量%純粋であり、少なくとも97重量%純粋であり、少なくとも98重量%純粋であり、少なくとも99重量%であり、少なくとも99.5重量%純粋であり、および100%純粋である。本発明のポリペプチドは、好ましくは実質的に純粋な形態である。これは、例えば公知の組換え方法でこのポリペプチドを調製することにより、または従来の精製方法により達成され得る。
【0043】
治療用組成物:「治療用組成物」とは、疾患を予防するために、緩和するためにまたは処置するために使用される、ヒトへの投与用の薬学的に活性な成分を含むあらゆる非食品組成物のことである。治療用組成物の例として、下記が挙げられるがこれらに限定されない:散剤、錠剤、例えばロゼンジ剤もしくは発泡錠剤、カプセル剤、乳剤もしくはペースト剤の成分、個々のサシェ剤、チューインガム、またはオイルドロップ等のより一般的な組成物中のもしくは微生物に有効な担体であることが当業者により決定されているあらゆる他の適切な担体中のもの。
【0044】
バリアント:用語「バリアント」は、変更(即ち、1箇所または複数箇所(例えば数カ所)の位置での1個または複数個(数個)のアミノ酸残基の置換、挿入および/または欠失)を含む、リゾチーム活性を有するポリペプチドを意味する。置換は、ある位置を占めるアミノ酸の異なるアミノ酸による置き換えを意味し、欠失は、ある位置を占めるアミノ酸の除去を意味し、挿入は、この位置を占めるアミノ酸に隣接した且つ直後への1個、2個または3個のアミノ酸の付加を意味する。
【0045】
一態様では、本発明に係るリゾチームバリアントは、1~5個、1~10個、1~15個、1~20個、1~25個、1~30個、1~35個、1~40個、1~45個、または1~50個の変更を含み得、即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50個の変更を含み得、且つ親リゾチーム(例えば、配列番号1、配列番号4または配列番号15)のリゾチーム活性の少なくとも20%を有し得、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%を有し得る。
【0046】
本発明の詳細な説明
微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)は、ヒトに与えられた場合には微生物叢に変化をもたらし、このことはヒトの健康の改善にとって有益であり得ることを発見した。
【0047】
一実施形態では、本明細書において、過敏性腸症候群(IBS)および/または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法が説明されている。一実施形態では、この方法は、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス等)を準備して投与することを含む。一実施形態では、この微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である。
【0048】
そのため、微生物リゾチームは、過敏性腸症候群(IBS)および/または炎症性腸疾患(IBD)に罹患している患者への投与に適していることが、本発明者らにより発見されている。
【0049】
一実施形態では、この方法は、寛解期間中に、過敏性腸症候群(IBS)および/または炎症性腸疾患(IBD)に罹患している患者を予防する、緩和するまたは処置するためであり、ここで、この寛解期間とは、IBSおよび/またはIBDの症状の重症度が一時的に軽減されている期間のことである。一実施形態は、寛解期間中に、クローン病または潰瘍性大腸炎に罹患している患者を予防する、緩和するまたは処置するためであり、ここで、寛解期間とは、IBSおよび/またはIBDの症状の重症度が一時的に軽減されている期間のことである。
【0050】
本明細書で説明されている微生物リゾチームを、例えば入院している高齢者等の人の体重増加を得るためにも投与し得る。一実施形態では、この方法は、手術後に患者に1種または複数種の微生物リゾチームを投与することを含む。一実施形態では、この方法は体重管理のためであり、例えば所望されるレベルへの体重の保持のためである。一実施形態では、この方法は、概して手術後または入院中に体重が減少するリスクがある入院患者の体重管理のためである。
【0051】
一実施形態では、本発明は、人間の体重増加を得るための、微生物リゾチームを含む組成物の使用であって、食品または食品添加物は、1種または複数種の微生物リゾチームを含む、使用に関する。
【0052】
一実施形態では、体重は、微生物リゾチームを含む組成物を投与していないコントロールと比較して少なくとも1%増加しており、例えば、少なくとも1.5%、少なくとも2.0%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、または少なくとも5%増加している。別の実施形態では、体重は、このコントロールと比較して1%~15%増加しており、例えば、1%~12%、1%~10%、1.5%~8%、2.0%~7%増加している、またはこれらの区間の任意の組合せである。
【0053】
本発明はさらに、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有するポリペプチドの使用に関する。ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)は、ヒトの腸内細菌叢の重要な細菌である。特定の理論に拘束されることなく、部分的に分解された細菌の細胞壁の酵素的溶解による、腸内細菌叢からの死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞の除去は、ヒトの腸内健康にとって重要な貢献であると考えられる。
【0054】
本発明の一実施形態では、本発明のポリペプチドは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合に、ニワトリ卵白リゾチーム(配列番号5)のリゾチーム活性と比較してリゾチーム活性が改善されている。
【0055】
本発明のある態様は、消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、ヒトに、本発明により定義されたポリペプチドを与えることを含む方法を対象とする。
【0056】
本発明のある態様は、消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを与えることを含む方法を対象とする。
【0057】
本発明のある態様は、消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドもしくはポリペプチドの供給源、または配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドもしくはポリペプチドの供給源をヒトに与えることを含む方法を対象とする。
【0058】
過去数年にわたり、健康なヒトの微生物叢の構成成分としてのフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)の重要性を明確に説明している研究の数が増えている。例えば、F.プラウスニッツイ(F.prausnitzii)は、多くの腸障害(特にIBD患者)において蔓延が低い(Current Opinion in Microbiology 16(3),pp1-7,July 2013)。
【0059】
一実施形態では、本発明の組成物、方法および使用は、GI管中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)の低い存在量と関連する状態の処置または予防において効率が高い。さらなる実施形態では、本発明の組成物、方法および使用は、GI管中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)の増加をもたらす。
【0060】
一態様では、本発明は、リゾチーム活性を有する1種もしくは複数種のポリペプチド、またはリゾチーム活性を有する1種もしくは複数種のポリペプチドを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)であって、このポリペプチドは、グリコシルヒドロリアーゼファミリ24(GH24)またはグリコシルヒドロリアーゼファミリ25(GH25)に由来し、且つ真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、ポリペプチドまたは組成物に関する。
【0061】
一態様では、本発明の方法で使用される、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、微生物リゾチームである。一実施形態では、例えば、本発明で使用される組成物(例えば、1種または複数種の微生物リゾチームを含む食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)を使用して、細菌性病原体の増殖/腸内コロニー形成を抑制することによりヒトの健康な微生物叢を安定化させ得、この細菌性病原体として、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、大腸菌(Escherichia coli)、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)、およびカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エルシニア(Yersinia)種、シゲラ(Shigella)種、ならびにサルモネラ(Salmonella)種、例えばサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)およびサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エンテロコッカス種(Enterococcus spp.)、ならびにヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)が挙げられる。さらなる実施形態では、本発明のリゾチームは、消化管の微生物バランスに好ましい効果をもたらす。
【0062】
一実施形態では、本発明で使用される組成物は、GI管の微生物叢中におけるクロストリジウム(Clostridiales)目の細菌の割合を増加させる。ある実施形態では、クロストリジウム(Clostridiales)目の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも5%、または少なくとも7.5%増加する。代替実施形態では、クロストリジウム(Clostridiales)目の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する。
【0063】
一実施形態では、この微生物リゾチームは真菌起源である。一実施形態では、この微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である。ある実施形態では、この微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門等の子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である。一実施形態では、この微生物リゾチームは、ユーロチウム菌(Eurotiomycetes)綱から得られる、または入手可能である。さらなる実施形態では、この微生物リゾチームは、ユーロチウム(Eurotiales)目から得られる、または入手可能である。さらなる実施形態では、この微生物リゾチームは、アスペルギルス(Aspergillaceae)科から得られる、または入手可能である。さらなる実施形態では、微生物リゾチームは、アスペルギルス(Aspergillus)属から得られる、または入手可能である。
【0064】
一実施形態では、この微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む。一実施形態では、この微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む。一実施形態では、この微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む。
【0065】
一実施形態では、本発明は、GI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)の投与を含む方法に関する。一実施形態では、この微生物リゾチームを、組成物1kg当たり酵素タンパク質8~250ppmのレベルで投与する。一実施形態では、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する。代替実施形態では、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する。
【0066】
一実施形態では、この方法は、GI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させ、このフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌は、配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有する16S rRNAを含み、例えば、配列番号12に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する16S rRNAを含む。ある実施形態では、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、または少なくとも5%増加する。代替実施形態では、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明は、患者に、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス等)を投与することを含む、過敏性腸症候群(IBS)および/または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む微生物リゾチームであり、
(b)任意選択で、この微生物リゾチームを少なくとも5日にわたり毎日投与する、
方法に関する。
【0068】
別の好ましい実施形態では、本発明は、患者に、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス等)を投与することを含む、過敏性腸症候群(IBS)および/または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む微生物リゾチームであり、
(b)この微生物リゾチームを寛解期間中に投与し、
(c)任意選択で、この微生物リゾチームを少なくとも5日にわたり毎日投与し、
この寛解期間は、IBSおよび/またはIBDの症状の重症度が一時的に軽減されている期間である、
方法に関する。
【0069】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス等)を投与することを含む、GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門(好ましくはチャワンタケ(Pezizomycotina)亜門)から得られるまたは入手可能であるGH24リゾチームであり、
(b)動物のGI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加する、
方法に関する。
【0070】
別の好ましい実施形態では、本発明は、1種または複数種のリゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)を投与することを含む、GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門(好ましくはチャワンタケ(Pezizomycotina)亜門)から得られるまたは入手可能であるGH25リゾチームであり、
(b)動物のGI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加する、
方法に関する。
【0071】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)を投与することを含む、GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門(好ましくはチャワンタケ(Pezizomycotina)亜門)から得られるまたは入手可能であるGH24リゾチームであり、
(b)動物のGI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、
(c)フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌は、配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有する16S rRNAを含み、例えば、配列番号12に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する16S rRNAを含む、
方法に関する。
【0072】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、1種または複数種の微生物リゾチームを含む組成物(例えば、食品組成物もしくは医薬組成物または医療デバイス)を投与することを含む、GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、
(a)この微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門(好ましくはチャワンタケ(Pezizomycotina)亜門)から得られるまたは入手可能であるGH25リゾチームであり、
(b)動物のGI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、
(c)フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌は、配列番号12に対して少なくとも90%の配列同一性を有する16S rRNAを含み、例えば、配列番号12に対して少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する16S rRNAを含む、
方法に関する。
【0073】
一実施形態では、本発明で使用される微生物リゾチームを、食品1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与し、例えば、食品1kg当たり酵素タンパク質1~1000ppm、もしくは0.1~500ppm、1~500ppm、10~500ppm、10~300ppm、もしくは10~200ppmのレベルで投与し、またはこれらの区間の任意の組合せで投与する。一実施形態では、この微生物リゾチームを、食品1kg当たり酵素タンパク質11~125ppmのレベルで投与し、例えば、食品1kg当たり酵素タンパク質12~100ppm、13~75ppm、15~50ppm、17.5~40ppm、25~75ppm、もしくは30~60ppmのレベルで投与し、またはこれらの区間の任意の組合せで投与する。
【0074】
一実施形態では、この微生物リゾチームは真菌起源である。ある実施形態では、この微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門等の子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である。
【0075】
一実施形態では、この微生物リゾチームは、配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0076】
一実施形態では、この微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸配列もしくはその対立遺伝子バリアントを含み、もしくはからなり、または、リゾチーム活性を有する、このアミノ酸配列もしくはその対立遺伝子バリアントの断片であり、この断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む。別の実施形態では、この微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸配列またはその対立遺伝子バリアントと、N末端および/またはC末端のHisタグおよび/またはHQタグとを含む、またはからなる。別の態様では、このポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1~208を含む、またはからなる。
【0077】
別の実施形態では、この微生物リゾチームは配列番号1のバリアントであり、このバリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個の置換、および/または1個もしくは複数個の欠失、および/または1個もしくは複数個の挿入、またはこれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、配列番号1中における、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む位置の数は1~45箇所の位置であり、例えば、1~40箇所、1~35箇所、1~30箇所、1~25箇所、1~20箇所、1~15箇所、1~10箇所、または1~5箇所の位置である。ある実施形態では、配列番号1中における、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む位置の数は10箇所以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10箇所である。他の実施形態では、配列番号1中における、置換、欠失、および/または挿入の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。さらなる実施形態では、配列番号1中における置換(好ましくは保存的置換)の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。さらなる実施形態では、配列番号1中における保存的置換の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。
【0078】
このアミノ酸の変更は軽度であり得、即ち下記であり得る:タンパク質の折り畳みおよび/もしくは活性に顕著な影響を及ぼさない保存的なアミノ酸置換もしくはアミノ酸挿入;概して1~30個のアミノ酸の小さい欠失;小さいアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基;最大20~25個の残基の小さいリンカーペプチド;または正味電荷もしくは別の機能を変更することにより精製を容易にする小さい伸長、例えば、ポリヒスチジントラクト(poly-histidine tract)、抗原性エピトープ、もしくは結合ドメイン。
【0079】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン、およびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸、およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、およびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、およびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン)、ならびに低分子アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、およびメチオニン)の群内である。一般に特異的活性を変更しないアミノ酸置換は当分野で既知であり、例えばH.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkにより説明されている。一般的な置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、およびAsp/Glyである。保存的置換の他の例は下記である:GからAへ;AからG、Sへ;VからI、L、A、T、Sへ;IからV、L、Mへ;LからI、M、Vへ;MからL、I、Vへ;PからA、S、Nへ;FからY、W、Hへ;YからF、W、Hへ;WからY、F、Hへ;RからK、E、Dへ;KからR、E、Dへ;HからQ、N、Sへ;DからN、E、K、R、Qへ;EからQ、D、K、R、Nへ;SからT、Aへ;TからS、V、Aへ;CからS、T、Aへ;NからD、Q、H、Sへ;QからE、N、H、K、Rへ。
【0080】
ポリペプチド中の必須アミノ酸を、当分野で既知の手順(例えば、部位特異的変異誘発、またはアラニンスキャニング変異誘発)に従って同定し得る(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)。後者の技術では、分子中の全ての残基で単一のアラニン変異を導入し、得られた変異体分子をリゾチーム活性に関して試験し、この分子の活性にとって不可欠なアミノ酸残基を同定する。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708も参照されたい。推定上の接触部位アミノ酸の変異と組み合わせた、核磁気共鳴、結晶構造解析、電子回折、または光親和性標識のような技術により決定されるように、構造の物理的解析により、酵素の活性部位、または他の生物学的相互作用も決定し得る。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照されたい。必須アミノ酸の同定も、関連するポリペプチドとのアラインメントから推論し得る。
【0081】
国際公開第2013/076253号パンフレットで開示されているように、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92リゾチームの結晶構造を、1.3Åの分解能で解析した。この原子座標を使用して、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92リゾチームの構造または相同構造(例えば、本発明のバリアント)を示す三次元モデルを作成し得る。x線構造を使用して、アミノ酸残基D95およびE97(ナンバリングに関して配列番号1を使用する)を触媒残基として同定した。
【0082】
一実施形態では、本微生物リゾチームは、配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0083】
一実施形態では、本発明で使用される微生物リゾチームは、配列番号4のアミノ酸配列もしくはその対立遺伝子バリアントを含み、もしくはからなり、または、リゾチーム活性を有する、このアミノ酸配列もしくはその対立遺伝子バリアントの断片であり、この断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む。別の実施形態では、この微生物リゾチームは、配列番号4のアミノ酸配列またはその対立遺伝子バリアントと、N末端および/またはC末端のHisタグおよび/またはHQタグとを含む、またはからなる。別の態様では、このポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸1~245を含む、またはからなる。
【0084】
別の実施形態では、この微生物リゾチームは配列番号4のバリアントであり、このバリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個の置換、および/または1個もしくは複数個の欠失、および/または1個もしくは複数個の挿入、またはこれらの任意の組合せを含む。別の実施形態では、配列番号4中における、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む位置の数は1~45箇所の間であり、例えば、1~40箇所、1~35箇所、1~30箇所、1~25箇所、1~20箇所、1~15箇所、1~10箇所、または1~5箇所の位置である。ある実施形態では、配列番号4中における、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む位置の数は10箇所以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10箇所である。他の実施形態では、配列番号4中における、置換、欠失、および/または挿入の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。さらなる実施形態では、配列番号4中における置換(好ましくは保存的置換)の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。さらなる実施形態では、配列番号4中における保存的置換の数は10個以下であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個である。
【0085】
このアミノ酸の変更は軽度であり得、即ち下記であり得る:タンパク質の折り畳みおよび/もしくは活性に顕著な影響を及ぼさない保存的なアミノ酸置換もしくはアミノ酸挿入;概して1~30個のアミノ酸の小さい欠失;小さいアミノ末端もしくはカルボキシル末端の伸長、例えば、アミノ末端メチオニン残基;最大20~25個の残基の小さいリンカーペプチド;または正味電荷もしくは別の機能を変更することにより精製を容易にする小さい伸長、例えば、ポリヒスチジントラクト、抗原性エピトープ、もしくは結合ドメイン。
【0086】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン、およびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸、およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、およびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、およびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン)、ならびに低分子アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、およびメチオニン)の群内である。一般に特異的活性を変更しないアミノ酸置換は当分野で既知であり、例えばH.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkにより説明されている。一般的な置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、およびAsp/Glyである。保存的置換の他の例は下記である:GからAへ;AからG、Sへ;VからI、L、A、T、Sへ;IからV、L、Mへ;LからI、M、Vへ;MからL、I、Vへ;PからA、S、Nへ;FからY、W、Hへ;YからF、W、Hへ;WからY、F、Hへ;RからK、E、Dへ;KからR、E、Dへ;HからQ、N、Sへ;DからN、E、K、R、Qへ;EからQ、D、K、R、Nへ;SからT、Aへ;TからS、V、Aへ;CからS、T、Aへ;NからD、Q、H、Sへ;QからE、N、H、K、Rへ。
【0087】
ポリペプチド中の必須アミノ酸を、当分野で既知の手順(例えば、部位特異的変異誘発、またはアラニンスキャニング変異誘発)に従って同定し得る(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)。後者の技術では、分子中の全ての残基で単一のアラニン変異を導入し、得られた変異体分子をリゾチーム活性に関して試験し、この分子の活性にとって不可欠なアミノ酸残基を同定する。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708も参照されたい。推定上の接触部位アミノ酸の変異と組み合わせた、核磁気共鳴、結晶構造解析、電子回折、または光親和性標識のような技術により決定されるように、構造の物理的解析により、酵素の活性部位、または他の生物学的相互作用も決定し得る。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照されたい。必須アミノ酸の同定も、関連するポリペプチドとのアラインメントから推論し得る。
【0088】
国際公開第2013/076253号パンフレットで開示されているように、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92リゾチームの結晶構造を、1.3Åの分解能で解析した。この原子座標を使用して、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92リゾチームの構造または相同構造(例えば、本発明のバリアント)を示す三次元モデルを作成し得る。x線構造を使用して、アミノ酸残基D95およびE97(ナンバリングに関して配列番号1を使用する)を触媒残基として同定した。
【0089】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0090】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号18に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号18に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0091】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号21に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号21に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0092】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号24に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号24に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0093】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号27に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号27に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0094】
一実施形態では、リゾチーム活性を有するポリペプチドは、配列番号30に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号30に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0095】
アミノ酸の変更、保存的置換、ならびにN末端および/またはC末端のリンカーの例は上記で説明されている。
【0096】
World Health Organizationにより「適切な量で投与された場合には宿主に利益をもたらす、生きている生物(live organisms which when administered in adequate amounts confer a benefit on the host)」と定義されたプロバイオティクスの投与は、一般に健康な集団における安全な栄養介入である。プロバイオティクスはヒトの腸管中で見出され、通常はヨーグルトならびに他の栄養製品および/または食品(例えば、飲料、シリアル、およびチョコレートキャンディバー)中に存在する。
【0097】
組成物:
本発明に従って調製された組成物は、食品または栄養補助食品の形態で投与され得、且つあらゆる液体、固体、または半固体の形態であり得る。この組成物は、例えば、任意選択で他の細菌(例えば、ヨーグルト発酵物もしくはチーズ、または他の食品(例えば、スナックバー、チョコレート、もしくはジュース等の飲料))と組み合わせて少なくとも前記微生物リゾチームを含む乳製品(例えば、発酵乳製品)であり得る。食品組成物の非限定的な例として、全乳、脱脂乳、調製乳、フレーバーミルク、ヨーグルト、例えば、天然ヨーグルト、フレーバーヨーグルト、フローズンヨーグルト、または飲むヨーグルト(drinking yoghurt)、トニック、およびスポーツドリンク、他の乳製品、例えば、カスタード、チーズ、およびコテージチーズ配合物、およびアイスクリームが挙げられる。半固形の食品組成物を、ペーストおよびスプレッドから選択し得る。固形の組成物として、食品バー、ビスケット、シリアル、食物繊維、またはあらゆる他の食品が挙げられ得る。
【0098】
本微生物リゾチームを、散剤、錠剤、例えばロゼンジ剤もしくは発泡錠剤の形態の栄養補助食品として、カプセル形態で、乳剤もしくはペースト剤の成分として、または生きている生物に有効な担体であることが当業者に決定されたあらゆる他の適切な担体中でも与え得る。微生物リゾチームを含む組成物は、個々のサシェ剤、カプセル剤、チューインガム、またはオイルドロップ等のより一般的な組成物中であり得る。
【0099】
一実施形態では、本食品組成物は、消費者による消費の準備ができている最終製品である。そのため、この食品組成物は、消費者により購入され得る、または他の方法で入手され得る。しかしながら、この食品組成物はまた、他の食品の製造の基本成分でもあり得る。
【0100】
本明細書で説明された食品組成物は担体を含み得る。用語「担体」は、本微生物リゾチームが担体全体にわたり分布していることを示唆しており、且つ当業者に既知である。本発明での使用のための担体として、限定されないが、例えば、天然小麦粉、予備乾燥小麦粉、デンプン、加工デンプン、植物性タンパク質、乳タンパク質、変性タンパク質、および糖アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ズルシトール、キシリトール、またはアラビトールが挙げられる。そのため、担体は、この食品組成物の主成分である。好ましくは、担体中における微生物リゾチームの総量は、担体と微生物リゾチームとの合計量を基準として、5%(重量/重量)未満であり、より好ましくは2%(重量/重量)未満または0.5%(重量/重量)未満である。具体的な実施形態では、この食品組成物は、本微生物リゾチームと担体とからなる。しかしながら、この組成物は添加剤を含み得る。好ましくは、そのような添加剤はまた、担体全体にわたり分布している。
【0101】
好ましい実施形態
1.過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防する、緩和するまたは処置する方法であって、微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物を投与することを含む方法。
【0102】
2.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態1に記載の方法。
【0103】
3.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態1または2に記載の方法。
【0104】
4.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
5.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
6.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
7.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
8.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
9.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
10.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
11.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
12.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
13.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
14.微生物リゾチームは、配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有するポリペプチドであり、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドである、実施形態13に記載の方法。
【0115】
15.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連するグルコース調節不全を改善する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
16.微生物リゾチームは、配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有するポリペプチドであり、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドである、実施形態15に記載の方法。
【0117】
17.組成物は、GI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
18.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する、実施形態17に記載の方法。
【0119】
19.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態17に記載の方法。
【0120】
20.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
21.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
22.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
23.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
24.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
25.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
26.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
27.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
28.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
29.ヒトの処置での使用のための実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
30.組成物は液体製剤である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
31.組成物は固体製剤である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
32.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
33.組成物は食品組成物である、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
34.組成物は医薬組成物である、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
35.組成物は医療デバイスである、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
36.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
37.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
38.消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合にラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有する単離GH25ポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0139】
39.消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含み、好ましくは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含み、より好ましくは、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含み、さらにより好ましくは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドまたは配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0140】
40.消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0141】
41.消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0142】
42.消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させることを含む、ヒトの腸内健康を改善する方法であって、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0143】
43.ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合にラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有する単離GH25ポリペプチドを前記ヒトに与えることを含む方法。
【0144】
44.ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含み、好ましくは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含み、より好ましくは、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含み、さらにより好ましくは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドまたは配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含む方法。
【0145】
45.ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含む方法。
【0146】
46.ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含む方法。
【0147】
47.ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する方法であって、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドの供給源を前記ヒトに与えることを含む方法。
【0148】
48.ポリペプチドは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合に、405nmでの光学密度(OD)測定値を少なくとも0.20増加させる、5ppmでのラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性を有する、実施形態38~47のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
49.リゾチーム活性を有するポリペプチドは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態38~48のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
50.リゾチーム活性を有するポリペプチドは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態38~48のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
51.リゾチーム活性を有するポリペプチドは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態38~48のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
52.リゾチーム活性を有するポリペプチドは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態38~48のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
53.GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法であって、患者に、微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物を投与することを含む方法。
【0154】
54.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態53に記載の方法。
【0155】
55.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態53または54に記載の方法。
【0156】
56.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
57.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態53~56のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
58.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態53~57のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
59.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
60.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
61.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
62.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態53~58のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
63.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態53~62のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
64.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態53~63のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
65.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態53~64のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
66.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態53~65のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
67.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態53~66のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
68.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態53~66のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
69.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態53~68のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
70.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態53~68のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
71.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態53~68のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
72.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態53~71のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
73.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態53~71のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
74.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態53~72のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
75.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態53~73のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
76.ヒトの処置での使用のための実施形態53~75のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
77.組成物は液体製剤である、実施形態53~76のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
78.組成物は固体製剤である、実施形態53~76のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
79.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態53~78のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
80.組成物は食品組成物である、実施形態53~79のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
81.組成物は医薬組成物である、実施形態53~79のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
82.組成物は医療デバイスである、実施形態53~79のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
83.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態53~82のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
84.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態53~83のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
85.方法をクローン病および/または潰瘍性大腸炎の処置で使用する、実施形態1~84のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
86.過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防するための、緩和するためのまたは処置するための薬物の製造における、微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物の使用。
【0187】
87.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態86に記載の使用。
【0188】
88.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態86または87に記載の使用。
【0189】
89.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態86~88のいずれか1つに記載の使用。
【0190】
90.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態86~89のいずれか1つに記載の使用。
【0191】
91.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態86~90のいずれか1つに記載の使用。
【0192】
92.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態86~91のいずれか1つに記載の使用。
【0193】
93.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態86~92のいずれか1つに記載の使用。
【0194】
94.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態86~92のいずれか1つに記載の使用。
【0195】
95.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態86~92のいずれか1つに記載の使用。
【0196】
96.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態86~95のいずれか1つに記載の使用。
【0197】
97.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態86~96のいずれか1つに記載の使用。
【0198】
98.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態86~97のいずれか1つに記載の使用。
【0199】
99.組成物は、GI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる、実施形態86~98のいずれか1つに記載の使用。
【0200】
100.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する、実施形態99に記載の使用。
【0201】
101.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態99に記載の使用。
【0202】
102.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態86~101のいずれか1つに記載の使用。
【0203】
103.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態86~101のいずれか1つに記載の使用。
【0204】
104.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態86~103のいずれか1つに記載の使用。
【0205】
105.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態86~103のいずれか1つに記載の使用。
【0206】
106.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態86~103のいずれか1つに記載の使用。
【0207】
107.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態86~106のいずれか1つに記載の使用。
【0208】
108.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態86~106のいずれか1つに記載の使用。
【0209】
109.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態86~107のいずれか1つに記載の使用。
【0210】
110.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態86~108のいずれか1つに記載の使用。
【0211】
111.ヒトの処置での使用のための実施形態86~110のいずれか1つに記載の使用。
【0212】
112.組成物は液体製剤である、実施形態86~111のいずれか1つに記載の使用。
【0213】
113.組成物は固体製剤である、実施形態86~111のいずれか1つに記載の使用。
【0214】
114.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態86~113のいずれか1つに記載の使用。
【0215】
115.組成物は食品組成物である、実施形態86~114のいずれか1つに記載の使用。
【0216】
116.組成物は医薬組成物である、実施形態86~114のいずれか1つに記載の使用。
【0217】
117.組成物は医療デバイスである、実施形態86~114のいずれか1つに記載の使用。
【0218】
118.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態86~117のいずれか1つに記載の使用。
【0219】
119.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態86~118のいずれか1つに記載の使用。
【0220】
120.GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させるための薬物の製造における、微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物の使用。
【0221】
121.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態120に記載の使用。
【0222】
122.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態120または121に記載の使用。
【0223】
123.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態120~122のいずれか1つに記載の使用。
【0224】
124.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態120~123のいずれか1つに記載の使用。
【0225】
125.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態120~124のいずれか1つに記載の使用。
【0226】
126.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態120~125のいずれか1つに記載の使用。
【0227】
127.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態120~126のいずれか1つに記載の使用。
【0228】
128.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態120~126いずれか1つに記載の使用。
【0229】
129.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態120~126のいずれか1つに記載の使用。
【0230】
130.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態120~129のいずれか1つに記載の使用。
【0231】
131.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態120~130のいずれか1つに記載の使用。
【0232】
132.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態120~131のいずれか1つに記載の使用。
【0233】
133.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する、実施形態120~132のいずれか1つに記載の使用。
【0234】
134.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態120~132のいずれか1つに記載の使用。
【0235】
135.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態120~134のいずれか1つに記載の使用。
【0236】
136.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態120~135のいずれか1つに記載の使用。
【0237】
137.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の使用。
【0238】
138.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の使用。
【0239】
139.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の使用。
【0240】
140.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態120~139のいずれか1つに記載の使用。
【0241】
141.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態120~139のいずれか1つに記載の使用。
【0242】
142.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態120~140のいずれか1つに記載の使用。
【0243】
143.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態120~141のいずれか1つに記載の使用。
【0244】
144.ヒトの処置での使用のための実施形態120~143のいずれか1つに記載の使用。
【0245】
145.組成物は液体製剤である、実施形態120~144のいずれか1つに記載の使用。
【0246】
146.組成物は固体製剤である、実施形態120~144のいずれか1つに記載の使用。
【0247】
147.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態120~146のいずれか1つに記載の使用。
【0248】
148.組成物は食品組成物である、実施形態120~147のいずれか1つに記載の使用。
【0249】
149.組成物は医薬組成物である、実施形態120~147のいずれか1つに記載の使用。
【0250】
150.組成物は医療デバイスである、実施形態120~147のいずれか1つに記載の使用。
【0251】
151.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態120~150のいずれか1つに記載の使用。
【0252】
152.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態120~151のいずれか1つに記載の使用。
【0253】
153.使用をクローン病および/または潰瘍性大腸炎の処置で使用する、実施形態86~152のいずれか1つに記載の使用。
【0254】
154.過敏性腸症候群(IBS)または炎症性腸疾患(IBD)を予防するための、緩和するためのまたは処置するための方法での使用のための、微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物。
【0255】
155.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態154に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0256】
156.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態154または155に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0257】
157.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態154~156のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0258】
158.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態154~157のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0259】
159.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態154~158のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0260】
160.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態154~159のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0261】
161.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態154~160のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0262】
162.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態154~160のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0263】
163.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態154~160のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0264】
164.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態154~163のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0265】
165.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態154~164のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0266】
166.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態154~165のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0267】
167.組成物は、GI管の微生物叢中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる、実施形態154~166のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0268】
168.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する、実施形態167に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0269】
169.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態167に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0270】
170.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態154~169のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0271】
171.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態154~169のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0272】
172.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態154~171のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0273】
173.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態154~172のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0274】
174.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態154~172のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0275】
175.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態154~174のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0276】
176.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態154~174のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0277】
177.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態154~175のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0278】
178.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態154~176のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0279】
179.ヒトの処置での使用のための実施形態154~178のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0280】
180.組成物は液体製剤である、実施形態154~179のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0281】
181.組成物は固体製剤である、実施形態154~179のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0282】
182.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態154~181のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0283】
183.組成物は食品組成物である、実施形態154~182のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0284】
184.組成物は医薬組成物である、実施形態154~182のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0285】
185.組成物は医療デバイスである、実施形態154~182のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0286】
186.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態154~185のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0287】
187.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態154~186のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0288】
188.GI管のマイクロバイオーム中におけるフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合を増加させる方法での使用のための微生物リゾチーム、または微生物リゾチームを含む組成物。
【0289】
189.リゾチームを含む組成物を、組成物1kg当たり酵素タンパク質0.1~1000ppmのレベルで投与する、実施形態188に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0290】
190.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質1~200mgのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質1~150mg、2~100mg、2~90mg、2~80mg、または10~70mgのレベルで投与する、実施形態188または189に記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0291】
191.リゾチームを含む組成物を、体重1kg当たり酵素タンパク質0.04~11.0μmolのレベルで投与し、例えば、体重1kg当たり酵素タンパク質0.1~6.0μmol、0.2~5.0μmol、0.3~4.0μmol、または0.4~3.0μmolのレベルで投与する、実施形態188~190のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0292】
192.微生物リゾチームは、真菌(Fungi)界から得られる、または入手可能である、実施形態188~191のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0293】
193.微生物リゾチームは、GI管中の健康な微生物叢を安定化させ、且つ細菌性病原体の増殖および/または腸内コロニー形成を抑制する、実施形態188~192のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0294】
194.微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態188~193のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0295】
195.微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態188~194のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0296】
196.微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態188~194のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0297】
197.微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態188~194のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0298】
198.微生物リゾチームは、IBSおよび/またはIBDの寛解を維持する、実施形態188~197のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0299】
199.微生物リゾチームは、手術後再発を予防する、緩和する、または処置する、実施形態188~198のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0300】
200.微生物リゾチームは、例えば食事誘発性肥満等の肥満と関連する異所性脂質沈着を減少させる、実施形態188~199のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0301】
201.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1%増加し、例えば、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%増加する、実施形態188~200のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0302】
202.フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)属の細菌の割合は少なくとも1.25倍増加し、例えば、少なくとも1.50倍、少なくとも1.75倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、または少なくとも3.0倍増加する、実施形態188~200のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0303】
203.微生物リゾチームは、子嚢菌(Ascomycota)門から得られる、または入手可能である、実施形態188~202のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0304】
204.微生物リゾチームは、チャワンタケ(Pezizomycotina)亜門から得られる、または入手可能である、実施形態188~203のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0305】
205.微生物リゾチームは、GH24およびGH25からなるリストから選択される1個または複数個のドメインを含む、実施形態188~204のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0306】
206.微生物リゾチームは、GH24由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態188~205のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0307】
207.微生物リゾチームは、GH25由来の1個または複数個のドメインを含む、実施形態188~205のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0308】
208.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号4に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号4に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号4のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも210個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも215個のアミノ酸、少なくとも220個のアミノ酸、少なくとも225個のアミノ酸、少なくとも230個のアミノ酸、少なくとも235個のアミノ酸、または少なくとも240個のアミノ酸を含む、断片、
(g)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(h)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(i)リゾチーム活性を有する、(g)または(h)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態188~207のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0309】
209.微生物リゾチームは、
(a)配列番号1に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号1に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号1のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
(c)リゾチーム活性を有する、(a)または(b)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片、
(d)配列番号15に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、例えば、配列番号15に対して少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチド、
(e)配列番号15のバリアントであって、バリアントはリゾチーム活性を有し、且つ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50箇所の位置で、1個もしくは複数個のアミノ酸置換、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸欠失、および/または1個もしくは複数個のアミノ酸挿入、またはこれらの任意の組合せを含む、バリアント、
ならびに
(f)リゾチーム活性を有する、(d)または(e)のポリペプチドの断片であって、断片は少なくとも170個のアミノ酸を含み、例えば、少なくとも175個のアミノ酸、少なくとも177個のアミノ酸、少なくとも180個のアミノ酸、少なくとも185個のアミノ酸、少なくとも190個のアミノ酸、少なくとも195個のアミノ酸、または少なくとも200個のアミノ酸を含む、断片
からなる群から選択される、実施形態188~207のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0310】
210.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、配列番号4のアミノ酸1~245、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態188~208のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0311】
211.微生物リゾチームは、配列番号1のアミノ酸1~208、および配列番号15のアミノ酸1~207からなる群から選択される、実施形態188~209のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0312】
212.ヒトの処置での使用のための実施形態188~211のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0313】
213.組成物は液体製剤である、実施形態188~212のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0314】
214.組成物は固体製剤である、実施形態188~212のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0315】
215.組成物は、食品組成物もしくは医薬組成物、または医療デバイスである、実施形態188~214のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0316】
216.組成物は食品組成物および/または栄養補助剤である、実施形態188~215のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0317】
217.組成物は医薬組成物である、実施形態188~215のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0318】
218.組成物は医療デバイスである、実施形態188~215のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0319】
219.組成物は、散剤、錠剤、ロゼンジ剤、発泡錠剤、カプセル剤、乳剤、ペースト剤、個々のサシェ剤、チューインガムまたはオイルドロップの形態である、実施形態188~218のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0320】
220.組成物を、可能な限り経口投与または直腸投与により投与する、実施形態188~219のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0321】
221.微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物を、クローン病および/または潰瘍性大腸炎の処置で使用する、実施形態154~220のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0322】
222.微生物リゾチームは、消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させる、実施形態1~153のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0323】
223.微生物リゾチームは、ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する、実施形態1~153のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0324】
224.微生物リゾチームは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合にラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有する、実施形態1~153、222または223のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0325】
225.微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、好ましくは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、より好ましくは、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、さらにより好ましくは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドまたは配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドである、実施形態222~224のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0326】
226.微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態222~224のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0327】
227.微生物リゾチームは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態222~224のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0328】
228.微生物リゾチームは、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態222~224のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0329】
229.微生物リゾチームは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合に、405nmでの光学密度(OD)測定値を少なくとも0.20増加させる、5ppmでのラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性を有する、実施形態222~228のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0330】
230.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態222~229のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0331】
231.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態222~230のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0332】
232.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態222~230のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0333】
233.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態222~230のいずれか1つに記載の方法または使用。
【0334】
234.微生物リゾチームは、消化管中における死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の量を減少させる、実施形態154~221のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0335】
235.微生物リゾチームは、ヒトの消化管からの、死んだラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)細胞またはこの細胞由来の細胞壁細片の除去を促進する、実施形態154~221のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0336】
236.微生物リゾチームは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合にラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対してリゾチーム活性を有する、実施形態154~221、234または235のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0337】
237.微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、好ましくは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号15のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、より好ましくは、配列番号18のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチド、および配列番号30のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択され、さらにより好ましくは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドまたは配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドである、実施形態234~236のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0338】
238.微生物リゾチームは、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態234~236のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0339】
239.微生物リゾチームは、配列番号21のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態234~236のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0340】
240.微生物リゾチームは、配列番号27のポリペプチドに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するポリペプチドからなる群から選択される、実施形態234~236のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0341】
241.微生物リゾチームは、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法により決定した場合に、405nmでの光学密度(OD)測定値を少なくとも0.20増加させる、5ppmでのラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性を有する、実施形態234~240のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0342】
242.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、炎症を予防する、緩和する、または処置する、実施形態234~241のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0343】
243.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態234~242のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0344】
244.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、上位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態234~242のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【0345】
245.リゾチーム活性を有する微生物リゾチームは、下位GI管中の炎症を予防する、緩和する、および処置する、実施形態234~242のいずれか1つに記載の微生物リゾチーム、またはそれを含む組成物。
【実施例】
【0346】
株
トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)CBS804.70を、Centraalbureau voor Schimmelcultures(Utrecht,the Netherlands)から購入した。Central Bureau vor Schnimmelkultureによると、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)CBS804.70は、1968年5月に英国Staffordshireの石炭廃さいの頂上土壌から単離された。
【0347】
Central Bureau vor Schnimmelkultureによると、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92は、日本の津久井湖(Tsukui Lake)付近のブタ糞便堆肥のスラッジから1984年にA.Yonedaにより単離された。
【0348】
培地および溶液
YP+2%グルコース培地は、1%酵母抽出物、2%ペプトン、および2%グルコースで構成された。
【0349】
YP+2%マルトデキストリン培地は、1%酵母抽出物、2%ペプトン、および2%マルトデキストリンで構成された。
【0350】
PDA寒天プレートはジャガイモ浸出液で構成され、ジャガイモ浸出を、30分にわたり水中において、スライスされた(洗浄されたが皮はむかれていない)ジャガイモ300gを沸騰させ、次いでこのブロスをデカントしてチーズクロスに通して濾すことにより行なった。次いで、この懸濁液の全量が1リットルになるまで蒸留水を添加し、続いてデキストロース20gおよび寒天粉末20gを添加した。この培地を、15分にわたり15psiでオートクレーブ処理することにより滅菌した(Bacteriological Analytical Manual,8th Edition,Revision A,1998)。
【0351】
LBプレートは、バクトトリプトン10g、酵母抽出物5g、塩化ナトリウム10g、バクト寒天15g、および1リットルまで脱イオン水で構成された。
【0352】
LB培地は、バクトトリプトン10g、酵母抽出物5g、塩化ナトリウム10g、および1リットルまで脱イオン水で構成された。
【0353】
COVEスクロースプレートは、スクロース342g、寒天粉末20g、COVE塩溶液20ml、および1リットルまで脱イオン水で構成された。この培地を、15分にわたり15psiでオートクレーブ処理することにより滅菌した(Bacteriological Analytical Manual,8th Edition,Revision A,1998)。この培地を60℃まで冷却し、10mMアセトアミド、15mM CsCl、TRITON(登録商標)X-100(50μl/500ml)を添加した。
【0354】
COVE塩溶液は、MgSO4・7H2O 26g、KCL 26g、KH2PO4 26g、COVE微量金属溶液50ml、および1リットルまで脱イオン水で構成された。
【0355】
COVE微量金属溶液は、Na2B4O7・10H2O 0.04g、CuSO4・5H2O 0.4g、FeSO4・7H2O 1.2g、MnSO4・H2O 0.7g、Na2MoO4・2H2O 0.8g、ZnSO4・7H2O 10g、および1リットルまで脱イオン水で構成された。
【0356】
実施例1:アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92由来のGH25リゾチームのクローニング、発現、および精製
国際公開第2013/076253号パンフレットの実施例2で説明されているように、アクレモニウム・アルカロフィルム(Acremonium alcalophilum)CBS114.92(配列番号1)からGH25リゾチームをクローニングして発現させ、実施例5で説明されているように精製した。
【0357】
実施例2:トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)由来のGH24リゾチームの発現
この真菌株を、20℃で5日にわたり、1000mlのErlenmeyer振とうフラスコ中において、YP+2%グルコース培地100ml中で培養した。MIRACLOTH(登録商標)(EMD Millipore,Billerica,MA,USA)で裏打ちされたBuchner吸引漏斗に通した、この培地のろ過により、このフラスコから菌糸を回収した。菌糸を液体窒素で凍結させ、さらなる使用まで-80℃で貯蔵した。製造業者の指示に従って、DNEASY(登録商標)Plant Maxi Kit(QIAGEN GMBH,Hilden Germany)を使用してゲノムDNAを単離した。
【0358】
ゲノム配列情報を、Illumina MySeq(Illumina Inc.,San Diego,CA)により作成した。製造業者の指示に従い、単離されたトリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)ゲノムDNA 5μgを使用して、ライブラリを調製して分析した。200~500bpのライブラリインサートサイズと共に100bpの対末端戦略(paired end strategy)を用いた。HiSeqランの半分を合計95,744,298に使用し、100bpの生読み取りデータを得た。その後、この読み取りデータを25%に分画し、続いてトリミングした(10以上のPhredスコアを有する最長の部分配列を抽出する)。これらの読み取りデータを、Idbaバージョン0.19を使用して組み立てた。400bpよりも短いコンティグを廃棄し、10,035のN-50で8,954,791,030bpを得た。遺伝子を、GeneMark.hmm ESバージョン2.3cを使用して呼び出し、触媒ドメインの同定を、Pfamにより提供される「Phage lysozyme PF00959」Hidden Markov Modelを使用して行なった。全コード領域のポリペプチドコード配列を、下記で説明するプライマーF-80470およびR-80470(それぞれ配列番号6および配列番号7)を使用するPCRにより、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)CBS804.70ゲノムDNAからクローニングした。
【化1】
【0359】
太字は、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)酵素コード領域を表す。制限部位に下線を引いている。この制限部位の左側の配列はpDau109の挿入部位と相同である(国際公開第2005/042735号パンフレット)。
【0360】
実験には、Extensor HIFI PCRミックス,2倍濃度(Thermo Scientificカタログ番号AB-0795)を使用した。
【0361】
増幅反応(25μl)を、下記の最終濃度と共に製造業者の指示(Thermo Scientificカタログ番号AB-0795)に従って実施した:
PCR混合物:
0.5μM プライマーF-80470
0.5μM プライマーR-80470
12.5μl Extensor HIFI PCRミックス,2倍濃度
11.0μl H2O
トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)CBS804.70ゲノムDNA 10ng。
【0362】
PCR反応物を、下記のようにプログラムされたDYAD(登録商標)Dual-Block Thermal Cycler(BioRad,USA)中でインキュベートした:30秒にわたる94℃で1サイクル、それぞれ30秒にわたる94℃、30秒にわたる52℃および60秒にわたる68℃で30サイクル、続いて6分にわたる68℃で1サイクル。試料を、取り出してさらに処理する前に10℃まで冷却した。
【0363】
このPCR反応物3μlを、40mM トリス塩基、20mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA二ナトリウム(TAE)緩衝液を使用する1%アガロースゲル電気泳動で分析した。約946bpの主要バンドを観察した。残りのPCR反応物を、製造業者の指示に従って、ILLUSTRA(商標)GFX(商標)PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GE Healthcare,Piscataway,NJ,USA)で直接精製した。
【0364】
プラスミドpDau109 2μgをBam HIおよびHind IIIで消化し、この消化されたプラスミドを、50mM トリス塩基-50mM ホウ酸-1mM EDTA二ナトリウム(TBE)緩衝液を使用して1%アガロースゲル上で泳動させて、この制限プラスミドからスタッファー断片を除去した。SYBR(登録商標)Safe DNAゲル染色剤(Life Technologies Corporation,Grand Island,NY,USA)の添加、および470nm波長トランスイルミネーターの使用により、バンドを可視化した。この制限プラスミドに対応するバンドを切り取り、ILLUSTRA(商標)GFX(商標)PCR DNA and Gel Band Purification Kitを使用して精製した。このプラスミドを10mM トリスpH8.0に溶出させ、このプラスミドの濃度を、1μl当たり20ngに調整した。IN-FUSION(登録商標)PCR Cloning Kit(Clontech Laboratories,Inc.,Mountain View,CA,USA)を使用して、983bpのPCR断片を、Bam HIおよびHind IIIで消化されたpDau109(20ng)にクローニングした。IN-FUSION(登録商標)総反応物体積は10μlであった。IN-FUSION(登録商標)総反応物体積は10μlであった。IN-FUSION(登録商標)反応物で、製造業者のプロトコルに従って、FUSION-BLUE(商標)大腸菌(E.coli)細胞(Clontech Laboratories,Inc.,Mountain View,CA,USA)を形質転換させ、1ml当たりアンピシリン50μgを補充したLB寒天プレート上に蒔いた。37℃での一晩のインキュベーション後、1ml当たりアンピシリン50μgを補充したLBプレートによる選択下で、形質転換コロニーが増殖するのを観察した。
【0365】
下記で説明するpDau109ベクタープライマーを使用するコロニーPCRによる分析のために、いくつかのコロニーを選択した。4つのコロニーを、黄色接種ピン(Nunc A/S,Denmark)により、1ml当たりアンピシリン50μgを補充したLBプレートから、1ml当たりアンピシリン50μgを補充した新規のLBプレートに移し、37℃で一晩インキュベートした。
プライマー8653:5’-GCAAGGGATGCCATGCTTGG-3’(配列番号8)
プライマー8654:5’-CATATAACCAATTGCCCTC-3’(配列番号9)
【0366】
3つのコロニーそれぞれを、2×Extensor HIFI PCRミックス(Thermo Fisher Scientific,Rockford,IL,USA)5μl、プライマー8653(10pm/μl)0.5μl、プライマー8654(10pm/μl)0.5μl、および脱イオン水4μlが入った、200μlのPCRチューブに直接移した。各コロニーPCRを、下記のようにプログラムされたDYAD(登録商標)Dual-Block Thermal Cycler中でインキュベートした:60秒にわたる94℃で1サイクル、それぞれ30秒にわたる95℃、45秒にわたる60℃、60秒にわたる72℃で30サイクル、10分にわたる68℃、および10分にわたる10℃。
【0367】
完了した各PCR反応物3μlを、TAE緩衝液を使用して1%アガロースゲル電気泳動にかけた。4種全ての大腸菌(E,coli)形質転換体は、約980bpのPCRバンドを示した。QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN GMBH,Hilden Germany)を使用して、4つのコロニーのそれぞれからプラスミドDNAを単離した。得られたプラスミドDNAを、バージョン3.1 BIG-DYE(商標)ターミネーターケミストリを使用するApplied Biosystems Model 3730 Automated DNA Sequencer(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA,USA)を使用して、プライマー8653および8654(配列番号NO:8および配列番号9)で配列決定した。pKKSC0312-2と命名した1種のプラスミドを、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)MT3568を形質転換させるために選択した。A.オリゼー(A.oryzae)MT3568は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)JaL355のamdS(アセトアミダーゼ)破壊遺伝子誘導体であり(国際公開第2002/40694号パンフレット)、この誘導体では、A.オリゼー(A.oryzae)amdS遺伝子を不活性化させることによりpyrG栄養要求性が回復した。A.オリゼー(A.oryzae)MT3568のプロトプラストを、欧州特許第0238023号明細書第14~15頁で説明されている方法に従って調製した。
【0368】
pKKSC0312-2を含む大腸菌(E,coli)3701を、製造業者(Genomed)の指示に従って一晩増殖させ、製造業者の指示に従ってPlasmid Midi Kit(Genomed JETquickキット、カタログ番号400250、GENOMED GmbH,Germany)を使用して、pKKSC0312-2のプラスミドDNAを単離した。精製したプラスミドDNAで、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)MT3568を形質転換させた。A.オリゼー(A.oryzae)MT3568プロトプラストを、Christensen et al.,1988,Bio/Technology 6:1419-1422の方法に従って調製した。選択プレートは、+10mM アセトアミド+15mM CsCl+TRITON(登録商標)X-100(50μl/500ml)を含むCOVEスクロースからなる。このプレートを37℃でインキュベートした。簡単に説明すると、DNA 3ugsを表すプラスミドDNA 8μlをMT3568プロトプラスト100μlに添加した。60%PEG溶液250μlを添加し、チューブを穏やかに混合し、30分にわたり37°でインキュベートした。この混合物を、予め融解させたCoveトップアガロース(このトップアガロースを融解させ、次いで、プロトプラスト混合物に添加する前に温水浴中で温度を40℃に平衡化した)10mlに添加した。次いで、組み合わせた混合物を、10mM アセトアミドが入った2枚のCove-スクロース選択ペトリ皿上に蒔いた。このプレートを、4日にわたり37℃でインキュベートした。炭素源として選択アセトアミドを使用するプレート上での増殖により、単一のアスペルギルス(Aspergillus)形質転換コロニーを同定した。4種のA.オリゼー(A.oryzae)形質転換体それぞれを、96ウェルディーププレート中において、2%グルコースを補充したYP培地750μl、および2%マルトデキストリン750μl、およびDAP4Cに接種し、4日にわたり37℃静止でインキュベートした。同時に、4種の形質転換体を、COVE-2スクロース寒天培地上で再画線した。
【0369】
次いで、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)形質転換体からの培養ブロスを、製造業者の推奨に従って、NUPAGE(登録商標)10% Bis-Tris SDSゲル(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を使用するSDS-PAGEにより、GH24ポリペプチドの産生に関して分析した。アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)形質転換体のそれぞれに関して、約27kDaでタンパク質バンドを観察した。1種のA.オリゼー(A.oryzae)形質転換体を、85rpmで撹拌しつつ、4日にわたり26℃で、DAP4C培地100mlが入った1000mlのErlenmeyer振とうフラスコ中で培養した。
【0370】
実施例3:トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)由来のGH24リゾチームの精製
実施例3からのGHリゾチームを含む発酵上清を、カットオフが0.22μmであるFast PES Bottleトップフィルタに通してろ過した。得られた溶液を、5mM酢酸Na、pH4.5で透析ろ過し、10kDaのカットオフ膜を備えたUltra Filtration Unit(Sartorius)で濃縮した(10分の1に減量した)。
【0371】
前処理後、リゾチーム含有溶液約275mLを、10カラム容量を超える緩衝液A(50mM 酢酸Na pH4.5)および緩衝液B(50mM 酢酸Na+1M NaCl pH4.5)の0から100%勾配で結合リゾチームを溶出させるXK26カラム中のSP Sepharose(約60mL)によるクロマトグラフィーで精製した。このカラムからの画分を、クロマトグラム(280nmおよび254nmでの吸収)ならびにSDS-PAGE分析に基づいてプールした。
【0372】
SDS-PAGEから推定される分子量は約27kDaであり、純度は>90%であった。
【0373】
実施例4:トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)由来のGH24リゾチームの他の特性
決定されたN末端配列は、YPVKTDLであった。
【0374】
この成熟配列から算出される分子量は、26205.5Da(M+H)+である。
【0375】
インタクトな分子量分析により決定される分子量は、26205.3Da(M+H)+であった。
【0376】
この成熟配列(EDMAN N末端配列決定データ、インタクトな分子量分析、およびププロテオーム分析から):
【化2】
【0377】
実施例5:リゾチーム活性の決定
540nmにて分光光度計で測定した、再懸濁させたマイクロコッカス・リゾデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)ATTC No.4698(Sigma-Aldrich M3770)またはエクシグオバクテリウム・ウンダエ(Exiguobacterium undae)(DSM14481)の溶液の吸光度/光学密度の減少(低下)を測定することにより、リゾチーム活性を決定した。
【0378】
マイクロコッカス・リゾデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)基質の調製
使用前に、細胞を、クエン酸-リン酸緩衝液pH6.5に細胞0.5mg/mLの濃度まで再懸濁させ、540nmでの光学密度(OD)を測定した。次いで、この細胞懸濁液を、細胞濃度がOD540=1.0と等しくなるように調整した。調整した細胞懸濁液を、使用前に低温貯蔵した。再懸濁細胞を4時間以内に使用した。
【0379】
エクシグオバクテリウム・ウンダエ(Exiguobacterium undae)基質の乾燥細胞の調製
E.ウンデア(E.undae)(DSM14481)の培養物を、30℃、250rpmで一晩にて、500mLの振とうフラスコ中において、LB培地(Fluka 51208、25g/L)100mL中で増殖させた。次いで、一晩培養物を10分にわたり20℃および5000gで遠心分離し、次いで、ペレットを滅菌milliQ水で2回洗浄し、milliQに再懸濁させた。洗浄した細胞を13000rpmで1分にわたり遠心分離し、可能な限り上清をデカントした。洗浄した細胞を、1時間にわたり真空遠心機で乾燥させた。540nmでの光学密度(OD)=1となるように、細胞ペレットをクエン酸-リン酸緩衝液pH4、5または6に再懸濁させた。
【0380】
濁度アッセイにおけるリゾチーム抗菌活性の測定
測定するリゾチーム試料を、クエン酸-リン酸緩衝液pH4、5または6で酵素タンパク質100~200mg/Lの濃度まで希釈し、使用まで氷上で保持した。96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)中において、各ウェルに基質200μLを添加し、このプレートを、VERSAmaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices)中で5分にわたり37℃でインキュベートした。インキュベーション後、各ウェルの吸光度を540nmで測定した(開始値)。活性測定を開始するために、各基質(200μL)に希釈リゾチーム試料20μLを添加し、540nmでの吸光度の動力学的測定を、37℃で30分~24時間にわたり開始した。540nmで測定した吸光度を各ウェルに関してモニタリングし、リゾチームがリゾチーム活性を有する場合には、経時的に吸光度の低下が見られる。結果を下記の表1に示す。
【0381】
【0382】
このデータから、セキショクヤケイ(Gallus gallus)由来のGH22リゾチーム、トリコフェア・サッカタ(Trichophaea saccata)由来のGH24リゾチーム、およびA.アルカロフィルム(A.alcalophilum)由来のGH25リゾチームが全てリゾチーム活性を有することを確認する。
【0383】
実施例6:マウスでのインビボ試験-大腸炎マウスモデルにおける免疫調節特性
動物および飼育
雌のBalbCマウス(到着時に6週齢、Charles Rivers UK Limited)を、到着時に体重に基づいて3つのケージで無作為に飼育し、12時間明暗周期で飼育した。
【0384】
実験手順の開始前に、14日の順化期間を許容した。
【0385】
給餌および処置
マウスは、標準固形飼料(維持FM1P食餌、Special Diet Services,UK)に自由にアクセスした。水はボトルから自由に摂取可能であった。
【0386】
このマウスを12匹の数の群に分けた。表2に従って、試験化合物またはビヒクルで、動物を1日に1回強制投与(<20mL/kg)により処置した。最初の投与はデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)処置の2日前であり、研究終了前日まで続けた(合計7日の処置)。
【0387】
【0388】
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による大腸炎の誘発
大腸炎を誘発するために、飲料水にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を添加した(3重量/体積%)。DSSの投与から5日後に動物を処分し、下記で詳述するようにエンドポイント分析を実施した。0日目に試験化合物を投与した直後に、飲料水にDSSを添加した。
【0389】
実験パラメータおよび分析
慎重な臨床検査を毎日実行し、この臨床検査は、皮膚、毛皮、目、粘膜の変化、分泌物および排泄物の発生(例えば下痢)、ならびに自律神経性活動(例えば、流涙、唾液分泌、立毛、瞳孔径、異常な呼吸パターン)の観察を含んだ。歩行、姿勢、および取扱いに対する反応の変化、ならびに奇妙な挙動、振戦、痙攣、睡眠、および昏睡の存在も記述した。各動物の体重をさらに毎日記録した。
【0390】
全てのマウスからの糞便サンプリングを、-3日目(試験化合物による最初の処置前)、および0日目(飲料水へのDSS添加の直前)に行なった。サンプルを、個々のマウスからの自然な排便を通して新たに集めた。これらを滅菌/DNアーゼフリーエッペンドルフチューブに集め、-80℃で貯蔵した。
【0391】
飲料水へのDSSの添加の5日後、動物を安楽死させ、下記で説明するエンドポイント手順を実行した。
【0392】
結腸を摘出し、洗浄し、そして開いた。結腸の炎症等級付けを、光学顕微鏡を使用して肉眼的に実施し、Wallaceスコアリング方法に基づいて2人の盲検観察者により行なった。結腸損傷のスコアリング基準は下記であった:
0-損傷なし。
1-充血。潰瘍なし。
2-充血、および腸管壁の肥厚。潰瘍なし。
3-腸管壁が肥厚することなく1つの潰瘍。
4-潰瘍または炎症の2つ以上の部位。
5-潰瘍および炎症の2つ以上の主要な部位、または結腸の長さに沿って>1cm延びる潰瘍/炎症の1つの部位。
6~10-損傷が結腸の長さに沿って>2cmカバーする場合には、スコアは、さらなるセンチメートル毎に1増加した。
【0393】
盲腸および結腸の内容物を処分時に取り出し、別々の試験管中で急速凍結し、出荷するまで-80℃で貯蔵した。
【0394】
結腸の近位半分を、Wallaceスコアリングの後に取り出して秤量した。各サンプルをエッペンドルフチューブに入れ、急速凍結した後、サイトカイン分析に使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0395】
近位結腸の切片を、溶解溶液(溶解溶液5mLに対して結腸組織1gの比でのプロテアーゼ阻害剤および組織タンパク質抽出試薬)が入った溶解チューブに入れた。この組織を、30秒にわたり6800rpmで3回ホモジナイズした。次に、ホモジナイズしたサンプルを遠心分離(4℃で5分にわたり1000rpm)してタンパク質を抽出し、得られた上清をサイトカイン分析のために等分した。
【0396】
ホモジナイズした結腸切片からの上清を、Magpixシステム(Luminex)を使用して、様々なTh1特異的サイトカインおよびTh17特異的サイトカイン(IL-10、TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-12、IL-17a、IL-25)に関して多重アッセイ(Merck Millipore)を使用してサイトカインレベルについて評価した。
【0397】
結果:
5日にわたる飲料水のDSS(3重量/体積%)による処置により、平均Wallaceスコアの増加により示されるように、通常の飲料水に曝露されたコントロール動物と比較した場合にマウスの結腸中で炎症作用が引き起こされた(
図1A)。
【0398】
配列番号1による処置により、DSSにより誘発される炎症作用が用量依存的に阻害された。Wallaceスコアへの同様の結果が、配列番号5による処置後に見られた。配列番号15も、DSSにより誘発される炎症を阻害したが、配列番号1および配列番号5ほど効果的ではなかった(
図1A)。
【0399】
結腸の長さは損傷の重症度の指標であり、なぜならば、大腸炎は浮腫を増加させて結腸全体の長さを短くするからである。現在の研究では、全ての群において結腸長は同等であり、そのため、DSSにより誘発された炎症は軽度のみであることが確認された(
図1B)。
【0400】
炎症に起因して、DSS(3重量/体積%)に曝露された動物およびビヒクル緩衝液で処置された動物での結腸重量は、通常の飲料水に曝露されたコントロール動物と比較して増加した。しかしながら、DSS曝露動物における配列番号1による処置により、疾患コントロール群で見られた結腸湿重量の増加に対する用量依存的な減少が引き起こされた。結腸重量を減少させる用量依存的傾向も、配列番号5による処置後に見られたが、このことは配列番号1の場合ほど顕著ではなく、このことは、配列番号5と比較して配列番号1のより良好な性能を示す。配列番号15による処置は、DSSにより誘発される結腸湿重量の増加に影響を及ぼさなかった(
図1C)。
【0401】
マウスの体重を、コントロール、または配列番号1、配列番号15、もしくは配列番号5のいずれかによる予防的処置が開始される-3日目からモニタリングした。体重増加(-3~0日目)は群の間で同等であり(
図2および
図3)、この年齢のマウスから予想されるように、この期間にわたり全群で体重が増加し続けた。DSS負荷を開始した0日目から4日目まで、約2または3g体重の飲料水中のDSSを投与した全ての群の動物において、明らかな体重の緩やかな減少があった(
図2および
図3)。この大腸炎に関連する体重減少の用量依存的阻害は、配列番号1、配列番号15、または配列番号5のいずれかによる処置後に見られ得(
図3)、試験した全ての最高用量で、配列番号1が最も効果的である(
図5)。
【0402】
腫瘍壊死因子-α(TNF-α)は、単球/マクロファージ、好中球、およびT-リンパ球等の多種多様な細胞により分泌される多機能炎症誘発性サイトカインである。
【0403】
予想されているように、疾患コントロール群は、健康コントロール動物と比較して結腸中において高レベルの炎症誘発性サイトカイン(TNF-α、IL-β、IL-6、IL-17a、およびIL-25)を発現する。加えて、炎症誘発性サイトカインIL-12および調節性サイトカインIL-10が誘発されるが、DSS負荷後の程度はより低い(
図4)。
【0404】
配列番号1、配列番号15、および配列番号5による処置によって、DSSにより誘発されたサイトカインレベルが用量依存的に低下する。配列番号15は、配列番号1および配列番号5と比較して結腸中のサイトカインレベルに対する小さい効果のみを有した。驚くべきことに、配列番号1は、サイトカインレベルの低下において全体的に最も効果的であった。特に、炎症の重要な駆動体TNF-α、IL-1b、およびIL-6の場合(
図4)。
【0405】
タンパク質のサイズが異なることを考慮すると、配列番号5に対する配列番号1の優位性がさらにより明確に見られ、そのため、配列番号1、配列番号15、および配列番号5はそれぞれ、分子サイズが23.0、24.0、および14.3kDaである。
図5では、結腸中のサイトカインレベルを、試験化合物のmol/マウス/日の関数として示す。配列番号1は配列番号5と比べて効果的にサイトカインレベルを全体的に低下させることを明確に見ることができる。
【0406】
現在の研究では、マウスに同様の濃度(mg/マウス/日)の各試験化合物を投与したが、異なる分子サイズに起因して、このことは、配列番号1および配列番号15により配列番号5と比較して約40%少ない分子が投与されていることを意味し、驚くべきことにこれにもかかわらず、配列番号1の免疫調節性能は配列番号5と比べて良好であった。
【0407】
要約すると、5日にわたり飲料水にDSS(3重量/体積%)を添加すると、予想されたように結腸に炎症作用が生じた。このことは、炎症の指標としてのWallaceスコアリング、および結腸重量の増加の両方に関して明らかであった。評価したTh1サイトカインおよびTh17サイトカインも、DSSにより誘発される炎症作用を支持した。
【0408】
配列番号1、配列番号15、または配列番号5による処置(-3日目~5日目)により、結腸中において、DSSによる誘発される炎症作用の減少で一貫した阻害効果が生じた。このことを、炎症性サイトカインレベルの低下、および結果として生じる炎症の観察(Wallaceスコアリングにより示される)の両方で観察した。配列番号1は、動物の炎症の低減および健康の改善で最も効果的な化合物であり、このことは、配列番号1による処置はヒトでの大腸炎の予防において潜在的な保護効果を有することを示す。
【0409】
実施例7 マウスでのインビボ試験-食餌誘発性肥満および耐糖能への腸微生物調節の有効性
動物および飼育
到着時に6週齢の36匹の雄のC57BL/6Jマウス(Jackson Lab,Bar Harbor,Maine,USA)を、登録時に体重に基づいて実験群に無作為に割り当て、全ての群で等しい標準偏差および平均体重を確保した。マウスを、1つの群当たり12匹のマウス/4つのケージにて1つのケージ当たり3匹で飼育し、実験開始前に、12日にわたり低脂肪参照食餌(LFD)に順応させた。
【0410】
給餌および処置
マウスに、餌摂取量を測定しつつペレット状の非染色餌を1週間に3回自由に交換して給餌した。マウスに、高脂肪高スクロース食餌(HFD、D12451、Research Diet)または低脂肪参照食餌(LFD、D12450H、Research Diet)を給餌した。餌を、(製造業者の指示に従って)使用まで4℃で貯蔵した
【0411】
滅菌水はボトルから自由に摂取可能であり、毎週交換した。
【0412】
実験パラメータおよび分析
試験化合物またはビヒクル(PBS pH 7.4,Ref:10010-023,Gibco)を、毎日午前10時に100μLの強制投与(25G針)により投与した。約5mg/mLの配列番号1を、使用まで-20度で貯蔵した。
【0413】
実験プロトコルの0、4、8、および12週目に、磁気共鳴(MR)スキャン(Minispec LF90,Bruker、使用時に毎日較正した)の3回の測定の平均により、個々のマウスの身体組成を評価した。新鮮な糞便を、毎日の強制投与前の光周期の開始時(8AM±1時間)に、MRスキャンと同時に集めた。このサンプルをすぐにドライアイス上で凍結させ、さらなる処理まで-80℃で貯蔵した。
【0414】
グルコースにより刺激されるインスリン分泌、および腸透過性と共に、経口グルコース負荷試験を、実験プロトコルの10週目に評価した。マウスを午前8時に5時間にわたり絶食させ、午前10時に強制投与した。除脂肪量1g当たり4μLの50%デキストロース溶液およびスルホン酸溶液150μLによる経口強制投与の前に、5時間絶食血糖測定(OneTouch Vario Flex,LifeScan)、および尾静脈からの血液のサンプリングを実行した。スルホン酸溶液は、0.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)(Medium viscosity,Sigma)蒸留水懸濁液150μLに溶解させたフルオレセイン-5(6)-スルホン酸(Invitrogen)1.5mgからなった。ブドウ糖負荷から0、15、30、60、90、および120分後の時点で尾静脈穿刺から血糖を測定し、負荷後0、15、30、60、および120分の時点で、インスリンおよび腸透過性に関する血液サンプルを、EDTAにより調製された毛細管チューブ(Microvette CB300,Sarstedt)に採取した。この手順後にマウスに生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム、Hospira)0.5mLを投与して、このマウスに水分補給した。血液サンプルを、室温にて1000rcfで10分にわたり遠心分離した。インスリン測定のために、最初の5μLの血漿をドライアイス上で96ウェルPCRプレートに移し、下流処理まで-80℃で保持した。次の5μLの血漿(腸透過性試験に使用する)を、黒色の96ウェル光学ボタンプレート(Nunc)に移し、蒸留水中の0.5%CMC 150μLを添加するまで湿った氷上で保持し、且つ十分に混合した。このプレートを、励起/発光485/528nmの波長でSynergy HT Microplateリーダー(BioTek)により読み取った。製造業者のプロトコルに従って、Mouse ultrasensitive Insulin ELISA(Ref:80-INDMSU-E10、ロット:06489、Alpco)によりインスリンレベルを測定し、EnSpire 2300マルチラベルリーダー(PerkinElmer)で定量した。
【0415】
実験プロトコルの12週目に剖検を実行した。マウスを午前7.15時±15分から絶食させ、午前10時に強制投与した。交互の順で安楽死を行なった。マウスを、イソフルラン(65%N2中に3%、35%O2、Fresenius Kabi)で麻酔した。3つのうちの各ケージ中の最初のおよび最後のマウスに、安楽死の5分前に、体重1g当たり2μLのインスリン(1.9mU/μLまで希釈したHumulin 100mU/mL、Lilly)を静脈内注射した。3匹のうちの1匹(2匹目のマウス)に、体重1g当たり2μLの生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム、Hospira)を注射した。心臓穿刺を、25G針、およびEDTAで被覆された1mLシリジンを使用して行なった。血液を、DPP IV阻害剤(Millipore)1μLおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル(P8340、Sigma)1μLが入ったエッペンドルフチューブに移した。このサンプルを10分にわたり1000rcfで遠心分離し、血漿を三重に等分し、ドライアイス上に置き、さらなる処理まで-80℃の貯蔵庫に移した。
【0416】
組織採取:肝臓、腎臓、eWAT、iWAT、rpWAT、iBAT、心臓、四頭筋、腓腹筋、脳、および結腸の重量を測定し、これらの組織を液体窒素で直ちに凍結し、-80℃で貯蔵した。同じオペレータにより組織を解剖し、全てのマウスに関して同じ順序で取った。脳を、死後<60秒で液体窒素により凍結した。小腸(胃から盲腸まで)および結腸(盲腸から直腸まで)の長さを測定し、取扱い時間全体を通して、下部の湿った氷により冷却したPlexiglasプレート上で保持した。十二指腸は小腸の最初の5cmであると考え、残りの小腸組織を、長さが等しい3つの部分に分けた。最初の3cmを廃棄し、小腸の近位2/3の残りを空腸と分類した。小腸の遠位1/3の最初の3cmを廃棄し、残りの組織を回腸と分類した。十二指腸、空腸、回腸、および結腸の最も近位のcmは、腸組織を空にする前に、60%メタノール、30%クロロホルム、および10%氷酢酸からなるCarnoyの溶液(粘膜層を完全に保つため)中で組織診断用に保存した。小腸、盲腸、および結腸の内容物を機械的圧力により単離し、ドライアイス上で凍結させ、続いて-80℃で貯蔵した。十二指腸、空腸、回腸、結腸、および盲腸に由来する組織を液体窒素で急速冷凍し、-80℃で貯蔵した。肝臓、eWAT、iWAT、およびiBATからの組織検診用の代謝組織を、72時間にわたり4%パラホルムアルデヒド溶液中で保存し、続いて70%エタノール中で保存した。組織学的Oil Red O脂質染色を可能とするために、肝臓組織を、Tissue-Tek O.C.T Compound(Sakura Finetek)中でさらに保存した。
【0417】
結果
HFD給餌により、2週目から実験全体を通して重度の食餌誘発性肥満が誘発された。配列番号1による処置は、体重の増加を防がなかった(
図1A)。しかしながら、磁気共鳴スキャニングにより身体組成を分析すると、配列番号1で処置されたマウスは12週目に脂肪量が減少したように見えたが、それまでのいずれの週でも減少せず(
図1B)、このことは、配列番号1処置は、体重の発達に影響を及ぼすことなく(
図1A)、食餌誘発性肥満マウスでの脂肪蓄積を改善し得る(
図1C)ことを示唆する。
【0418】
グルコース調節障害は、様々な生活習慣病と密接に関係している。従って、本発明者らは、配列番号1による処置が、食餌誘発性肥満とは無関係にHFD誘発性血糖調節異常を改善し得るかどうかを試験した。空腹時インスリン(高インスリン血症)および空腹時血糖(高血糖症)の増加はインスリン耐性の生物学的マーカーであり、両方のパラメータは、HFD給餌コントロールマウスと比較して、配列番号1で処置されたマウスで改善された(
図2A、
図2B)。増強されたグルコース調節は耐糖能試験により強化され、配列番号1で処置されたマウスは、HFD給餌コントロールマウスと比べて効率的にグルコース負荷を除去した(
図2C)。改善された耐糖能は、ベータ細胞のインスリン分泌能力の増加によっては説明されず(
図2D)、従って、配列番号1で処置されたマウスの代謝組織におけるインスリン感受性の改善を示唆する。まとめると、これらのデータは、配列番号1が、2型糖尿病および循環器疾患の共通点である肥満関連インスリン耐性から保護することを示す。
【0419】
HFDにより誘発される代謝性炎症は、ほとんどの場合、細菌の細胞壁成分であるリポ多糖(LPS)の循環レベルの増加を可能にする腸バリア機能の低下(漏出性腸)により引き起こされる。腸バリア機能を試験するために、本発明者らは、0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC)、1%フルオレセイン-5(6)-スルホン酸溶液150μlをマウスに経口的に負荷し、負荷から0、15、30、60および120分後に尾静脈から採取した血漿サンプル中の蛍光を測定した。配列番号1で処置されたマウスはバリア機能の増加を示し、このことは、配列番号1が、HFDにより誘発される代謝性炎症を軽減することを示す。
【0420】
実施例8 ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法(A)
PGN抽出:
ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)の培養:
【0421】
材料
MRSブロス、製品番号BD 288130、pH6.3~6.7。
MRS寒天プレート、BD 288130;Agar Oxoid LP0011;pH6.3~6.7。
0.9% NaCl、Merck 106404、カタログ番号7647145
ジャー、supplier Merck 116387、Anaerocult嫌気ジャー2.5L
Anaerogen 2.5L、ThermoScientific、カタログ番号AN0025A
ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、DSM10533
【0422】
手順
L.ジョンソニー(L.johnsonii)を凍結ストックからMRS寒天プレートに画線し、30°Cで、Anaerogen 2.5Lが入った嫌気ジャー中で2日にわたり嫌気性条件下にてインキュベートした。いくつかのコロニーを、500mlの青色キャップボトル中のMRSブロス500mlに接種し、30℃で72時間にわたり、Anaerogen 2.5Lが入った嫌気ジャーに入れた。
【0423】
培養物を遠心沈殿させ(6000rpm、10分)、上清を捨てた後に遠心分離を再度実施した。ペレットを0.9%NaCl 100mlで洗浄し、懸濁液をよく混合して10分にわたり6000rpmで遠心分離した。上清を捨て、0.9%NaClでの洗浄手順を合計3回繰り返した。ペレットに0.9%NaCl約40mlを添加し、溶液を50mlのファルコンチューブに移した。この溶液を10分にわたり6000rpmで遠心分離し、上清を捨てた。ペレットを、ペプチドグリカンの抽出を行なうまで-18℃で貯蔵した。
【0424】
抽出手順:
材料
ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)由来のプロテアーゼ、Sigma-Aldrich P5147、CAS 9036-06-0
PBS pH7.3:
・ NaCl:8g、Sigma-Aldrich 31434、CAS 7647-14-5
・ KCl:0.2g、Sigma-Aldrich P9333、CAS 7447-40-7
・ KH2PO4:0.24g、Sigma-Aldrich P5655、CAS 7778-77-0
・ Na2HPO4.2H2O:1.44g、Sigma-Aldrich 30412、CAS 10028-24-7
・ 1000mLまでMilli-Q水を添加
1%Triton-X100溶液:
・ 1mL Triton X100、Sigma-Aldrich X100、CAS 9002-93-1
・ 100mLまでMilli Q水を添加
500mM 炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.3:
・ 500mM 炭酸ナトリウムを、MQ水500mL中のNa2CO3(Sigma-Aldrich S7795、CAS 497-19-8)21gから作製し、500mM 重炭酸ナトリウムを、MW水500mL中のNaHCO3(Sigma-Aldrich S6014、CAS 144-55-8)72gから作製する。
・ pH9.3緩衝液を、NaHCO3 320mLおよびNa2CO3 80mLから作製し、HClでpHを調整する。
10mM Tris HCl、pH8.0、1mM EDTAを含むフェノール溶液、Sigma-Aldrich P4557、CAS 108-95-2
アセトン、Sigma-Aldrich 32201-M、CAS 67-64-1
エタノール、96%、CCS Healthcare 1680643、CAS 64-17-5
【0425】
手順
L.ジョンソニー(L.johnsonii)細胞材料を凍結乾燥させた。この凍結乾燥材料(525mg)を、50mLのファルコンチューブ中のPBS(40mL)に懸濁させた。この懸濁液を、室温でサーモシェーカー中にて700rpmで2時間にわたり振とうした。次いで、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)プロテアーゼ(55mg)を添加し、この懸濁液を、サーモシェーカー中にて37℃で6時間インキュベートした。次いで、この懸濁液を室温にて1900gで20分遠心分離し、上清をデカントした。ペレットを、1%Triton X-100(40mL)に再懸濁させ、37℃で一晩振とうした。さらなる遠心分離およびデカンテーションの後、このペレットをPBS(40mL)に再懸濁させ、プロテーアーゼ(55mg)を再度添加した。この懸濁液を37℃で6時間にわたり再度インキュベートし、遠心分離し、次いでデカントした。ペレットをPBS(40mL)に再懸濁させ、37℃で一晩振とうした。この洗浄手順を、PBS(40mL、30分の撹拌)で再度繰り返し、次いで50%エタノール/水(40mL、30分の撹拌)で繰り返した。次いで、ペレットを2つのファルコンチューブに分けた。各チューブに、40℃まで予め加熱したフェノール溶液(15mL)を添加した。懸濁液を40℃で10分振とうし、次いで96%エタノール(各チューブに25mL)を添加し、遠心分離し、次いでデカントした。乾燥凍結させる前に、ペレットをアセトン(各チューブにて40mL)および96%エタノール(各チューブにて40mL)でさらに洗浄した。2つのチューブからのペレットを組み合わせることにより、精製済ペプチドグリカン80mgを白色粉体として得た。
【0426】
減少エンドアッセイ(reducing end assay)
利用可能なストック溶液の強度に応じて、リゾチームを、ポリプロピレンチューブ中において、リン酸希釈緩衝液(5mM クエン酸塩、5mM K2HPO4、0.01%TritonX-100、pH5.0)で50μg/mLまで希釈した。希釈したリゾチームを、リン酸希釈緩衝液(5mM クエン酸塩、5mM K2HPO4、0.01%TritonX-100、pH5.0)で6.3μg/mLの濃度までの2倍希釈系列を調製することにより、96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート中でさらに希釈した。MillQ中のL.ジョンソニー(L.johnsonii)基質の50mg/mlストック溶液を調製し、リン酸緩衝液(50mM クエン酸塩、50mM K2HPO4、pH5.0)で250μg/mlまで希釈した。ポリプロピレンディープウェルプレート中において、このリゾチーム希釈液50μLをL.ジョンソニー(L.johnsonii)溶液450μLと混合し、45分にわたり振とうしつつ(500rpm)40℃でインキュベートした。インキュベーション後、このディープウェルプレートを遠心分離して(3200rpm、7分)不溶性物質をペレット化し、96ウェルPCRプレート中において、上清100μLを、3.2M HCl 50μLと混合し、80分にわたり95℃でインキュベートした。このPCRプレートの各ウェルに3.5M NaOH 50μLを添加し、各試料150μLを、4-ヒドロキシベンズヒドラジド(PAHBAH)のK-Na酒石酸塩/NaOH緩衝液(50g/L K-Na酒石酸塩+20g/L NaOH)溶液が1つのウェル当たり75μL入った新たなPCRプレートに移した。このプレートを10分にわたり95℃でインキュベートした後、100μL/試料を、405nmでの光学密度(OD)測定のための透明平底マイクロタイタープレートに移した。OD測定を、3倍希釈した試料(Milli-Q水100μLで希釈した試料50μL)で実施した。OD測定値は、元々の(バックグラウンド)読み取り値を引いた後の差を表し、且つ2つのOD測定値の平均を表す。
【0427】
結果を表3に示す。
【0428】
【0429】
この結果は、リゾチーム配列番号1、18、21、24、27および30が、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)の細胞壁中で見出されたペプチドグリカンに対する優れたリゾチーム活性を有することを示すが、このペプチドグリカンに対して、配列番号5によるリゾチームの活性はないことが示された。
【0430】
実施例9 ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)に対するリゾチーム活性の決定方法(B)
PGN抽出:
ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)の培養:
【0431】
材料
MRSブロス、製品番号BD 288130、pH6.3~6.7。
MRS寒天プレート、BD 288130;Agar Oxoid LP0011;pH6.3~6.7。
0.9% NaCl、Merck 106404、カタログ番号7647145
ジャー、supplier Merck 116387、Anaerocult嫌気ジャー2.5L
Anaerogen 2.5L、ThermoScientific、カタログ番号AN0025A
ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、DSM10533
【0432】
手順
L.ジョンソニー(L.johnsonii)を凍結ストックからMRS寒天プレートに画線し、30°Cで、Anaerogen 2.5Lが入った嫌気ジャー中で2日にわたり嫌気性条件下にてインキュベートした。いくつかのコロニーを、500mLの青色キャップボトル中のMRSブロス500mLに接種し、30℃で72時間にわたり、Anaerogen 2.5Lが入った嫌気ジャーに入れた。
【0433】
培養物を遠心沈殿させ(6000rpm、10分)、上清を捨てた後に遠心分離を再度実施した。ペレットを0.9%NaCl 100mlで洗浄し、懸濁液をよく混合して10分にわたり6000rpmで遠心分離した。上清を捨て、0.9%NaClでの洗浄手順を合計3回繰り返した。ペレットに0.9%NaCl約40mLを添加し、溶液を50mLのファルコンチューブに移した。この溶液を10分にわたり6000rpmで遠心分離し、上清を捨てた。ペレットを、ペプチドグリカンの抽出を行なうまで-18℃で貯蔵した。
【0434】
抽出手順:
材料
ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)由来のプロテアーゼ、Sigma-Aldrich P5147、CAS 9036-06-0
PBS pH7.3:
・ NaCl:8g、Sigma-Aldrich 31434、CAS 7647-14-5
・ KCl:0.2g、Sigma-Aldrich P9333、CAS 7447-40-7
・ KH2PO4:0.24g、Sigma-Aldrich P5655、CAS 7778-77-0
・ Na2HPO4.2H2O:1.44g、Sigma-Aldrich 30412、CAS 10028-24-7
・ 1000mLまでMilli-Q水を添加
1%Triton-X100溶液:
・ 1mL Triton X100、Sigma-Aldrich X100、CAS 9002-93-1
・ 100mLまでMilli Q水を添加
500mM 炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.3:
・ 500mM 炭酸ナトリウムを、MQ水500mL中のNa2CO3(Sigma-Aldrich S7795、CAS 497-19-8)21gから作製する
・ 500mM 重炭酸ナトリウムを、MW水500mL中のNaHCO3(Sigma-Aldrich S6014、CAS 144-55-8)72gから作製する。
・ pH9.3緩衝液を、NaHCO3 320mLおよびNa2CO3 80mLから作製し、HClでpHを調整する。
10mM Tris HCl、pH8.0、1mM EDTAを含むフェノール溶液、Sigma-Aldrich P4557、CAS 108-95-2
アセトン、Sigma-Aldrich 32201-M、CAS 67-64-1
エタノール、96%、CCS Healthcare 1680643、CAS 64-17-5
【0435】
手順
L.ジョンソニー(L.johnsonii)細胞材料を凍結乾燥させた。この凍結乾燥材料(525mg)を、50mLのファルコンチューブ中のPBS(40mL)に懸濁させた。この懸濁液を、室温でサーモシェーカー中にて700rpmで2時間にわたり振とうした。次いで、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)プロテアーゼ(55mg)を添加し、この懸濁液を、サーモシェーカー中にて37℃で6時間インキュベートした。次いで、この懸濁液を室温にて1900gで20分遠心分離し、上清をデカントした。ペレットを、1%Triton X-100(40mL)に再懸濁させ、37℃で一晩振とうした。さらなる遠心分離およびデカンテーションの後、このペレットをPBS(40mL)に再懸濁させ、プロテーアーゼ(55mg)を再度添加した。この懸濁液を37℃で6時間にわたり再度インキュベートし、遠心分離し、次いでデカントした。ペレットをPBS(40mL)に再懸濁させ、37℃で一晩振とうした。この洗浄手順を、PBS(40mL、30分の撹拌)で再度繰り返し、次いで50%エタノール/水(40mL、30分の撹拌)で繰り返した。次いで、ペレットを2つのファルコンチューブに分けた。各チューブに、40℃まで予め加熱したフェノール溶液(15mL)を添加した。懸濁液を40℃で10分振とうし、次いで96%エタノール(各チューブに25mL)を添加し、遠心分離し、次いでデカントした。乾燥凍結させる前に、ペレットをアセトン(各チューブにて40mL)および96%エタノール(各チューブにて40mL)でさらに洗浄した。2つのチューブからのペレットを組み合わせることにより、精製済ペプチドグリカン80mgを白色粉体として得た。
【0436】
減少エンドアッセイ
リゾチームを、ポリプロピレンチューブ中において、リン酸希釈緩衝液(5mM クエン酸塩、5mM K2HPO4、0.01%TritonX-100、pH5.0)で200μg/mLまで希釈した。希釈したリゾチームを、リン酸希釈緩衝液(5mM クエン酸塩、5mM K2HPO4、0.01%TritonX-100、pH5.0)で6.3μg/mLの濃度までの2倍希釈系列を調製することにより、96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート中でさらに希釈した。MillQ中のL.ジョンソニー(L.johnsonii)基質の50mg/mlストック溶液を調製し、リン酸緩衝液(50mM クエン酸塩、50mM K2HPO4、pH5.0)で250μg/mlまで希釈した。ポリプロピレンディープウェルプレート中において、このリゾチーム希釈液50μLをL.ジョンソニー(L.johnsonii)溶液450μLと混合し、45分にわたり振とうしつつ(500rpm)40℃でインキュベートした。インキュベーション後、このディープウェルプレートを遠心分離して(3200rpm、7分)不溶性物質をペレット化し、96ウェルPCRプレート中において、上清100μLを、3.2M HCl 50μLと混合し、80分にわたり95℃でインキュベートした。このPCRプレートの各ウェルに3.5M NaOH 50μLを添加し、各試料150μLを、4-ヒドロキシベンズヒドラジド(PAHBAH)のK-Na酒石酸塩/NaOH緩衝液(50g/L K-Na酒石酸塩+20g/L NaOH)溶液が1つのウェル当たり75μL入った新たなPCRプレートに移した。このプレートを10分にわたり95℃でインキュベートした後、100μL/試料を、405nmでの光学密度(OD)測定のための透明平底マイクロタイタープレートに移した。OD測定を、3倍希釈した試料(Milli-Q水100μLで希釈した試料50μL)で実施した。OD測定値は、元々の(バックグラウンド)読み取り値を引いた後の差を表し、且つ2つのOD測定値の平均を表す。
【0437】
結果を表4に示す。
【0438】
【0439】
この結果は、2種のリゾチーム(配列番号1および15)が、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)の細胞壁中で見出されたペプチドグリカンに対する優れたリゾチーム活性を有することを示すが、このペプチドグリカンに対して、配列番号5によるリゾチームの活性はないことが示された。
【0440】
本明細書で説明され且つ特許請求された本発明は、本明細書で開示された特定の態様により範囲が限定されるべきではなく、なぜならば、この態様は、本発明のいくつかの態様の例証といて意図されているからである。あらゆる同等の態様が本発明の範囲内であることが意図されている。実際には、本明細書で示されたものおよび説明されたものに加えて、本発明の様々な改変が、上述の説明から当業者に明らかになるだろう。そのような改変も添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。矛盾する場合には、定義を含む本開示が優先するだろう。
【配列表】