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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】窒素酸化物低減装置及びガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/56 20060101AFI20230726BHJP
   B01D 53/32 20060101ALI20230726BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20230726BHJP
   B01D 53/70 20060101ALI20230726BHJP
   B01D 53/76 20060101ALI20230726BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20230726BHJP
   H05H 1/40 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B01D53/56
B01D53/32
B01D53/68 100
B01D53/68 200
B01D53/70
B01D53/76
B01J19/08 E
H05H1/40 ZAB
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019560612
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2017015694
(87)【国際公開番号】W WO2018135772
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-10-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0010394
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519268193
【氏名又は名称】エドワーズ コリア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】チェ ユン ス
(72)【発明者】
【氏名】コー チャン キョー
(72)【発明者】
【氏名】マグニ シモーネ
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】立木 林
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-251146(JP,A)
【文献】特開2008-194674(JP,A)
【文献】特開平3-89920(JP,A)
【文献】国際公開第2006/031075(WO,A1)
【文献】特開昭51-117977(JP,A)
【文献】特開昭63-40299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/56
B01D 53/32
B01D 53/68
B01D 53/70
B01D 53/76
B01J 19/08
H05H 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマによって外部から供給されるガスを処理するよう構成され、前記処理されたガスが窒素酸化物を含有する反応チャンバと、
前記反応チャンバに接続された窒素酸化物低減装置と、
を備えているガス処理装置であって、
前記窒素酸化物低減装置が、前記処理されたガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで冷却するよう構成された冷却ユニットを有し、
前記冷却ユニットが、前記反応チャンバ内の前記処理されたガスを前記窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで急速に冷却するために十分に低い温度の冷却ガスを注入するよう構成された2以上のガス注入ノズルを有し、
前記ガス注入ノズルが、前記窒素酸化物低減装置の複数の位置に設けられ、前記冷却ガスが不活性ガスであり、
前記ガス注入ノズルは、異なる高さを有する複数のレベルに形成されている、
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
前記窒素酸化物低減装置が更に、円筒ハウジングと、前記円筒ハウジングの内部に設けられた環状ガス供給リングと、を有し、前記1又は2以上のガス注入ノズルが、前記環状ガス供給リング上に設けられている、
請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記不活性ガスが、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1つを含有する、
請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項4】
前記冷却ユニットが熱交換器を含む、
請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項5】
プラズマによって処理されたガスに含有される窒素酸化物を低減するための窒素酸化物低減装置であって、前記処理されたガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで冷却するよう構成された冷却ユニットを備え、
前記冷却ユニットが、前記反応チャンバ内の前記処理されたガスを前記窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで急速に冷却するために十分に低い温度の冷却ガスを注入するよう構成された2以上のガス注入ノズルを有し、
前記ガス注入ノズルが、前記窒素酸化物低減装置の複数の位置に設けられ、前記冷却ガスが不活性ガスであり、
前記ガス注入ノズルは、異なる高さを有する複数のレベルに形成されている、
窒素酸化物低減装置。
【請求項6】
円筒ハウジングと、該円筒ハウジングの内部に設けられた環状ガス供給リングと、を更に備え、前記1又は2以上のガス注入ノズルが、前記環状ガス供給リング上に設けられている、
請求項5に記載の窒素酸化物低減装置。
【請求項7】
前記冷却ユニットが熱交換器を含む、
請求項5に記載の窒素酸化物低減装置。
【請求項8】
ガス処理装置であって、
プラズマを生成するよう構成されたプラズマ発生装置と、
前記プラズマ発生装置に接続され、プラズマによって外部から供給されるガスを処理するよう構成され、前記処理されたガスが窒素酸化物を含有する、反応チャンバと、
前記反応チャンバに接続された窒素酸化物低減装置と、を備え、
前記窒素酸化物低減装置は、前記処理されたガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで冷却するよう構成された冷却ユニットを有し、
前記冷却ユニットが、前記反応チャンバ内の前記処理されたガスを前記窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで急速に冷却するために十分に低い温度の冷却ガスを注入するよう構成された2以上のガス注入ノズルを有し、
前記ガス注入ノズルが、前記窒素酸化物低減装置の複数の位置に設けられ、前記冷却ガスが不活性ガスであり、
前記ガス注入ノズルは、異なる高さを有する複数のレベルに形成されている、
ことを特徴とするガス処理装置。
【請求項9】
水注入ノズルを有するパイプを更に備え、前記窒素酸化物低減装置が、前記反応チャンバと前記パイプとの間に設けられている、
請求項8に記載のガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素酸化物低減装置及び窒素酸化物低減装置を含むガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ発生装置を用いて有害ガスを分解する場合、有害ガスは、高温で処理され、これは窒素酸化物を発生する可能性がある。詳細には、約800°C又はそれを上回る高温では、酸素を含有する反応ガスとの反応によって生成されるサーマルNOxの量が増大する。窒素酸化物は、酸性雨及び光化学スモッグを引き起こすので、これは主要な空気汚染物質の1つとみなされる。従って、窒素酸化物を低減することができる技術が必要とされる。
【0003】
従来では、窒素酸化物を処理するために触媒装置を使用していていた。しかしながら、これら触媒装置は、コスト効率がよくない。別の解決策として、窒素酸化物の生成を防ぐために、酸素含有材料の使用を回避してきた。しかしながら、酸素を含有しない材料を用いて有害ガスを分解する場合には、別の有毒物質又は他の副生成物が生成され、装置の内面上に堆積される。また、有害ガス処理効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許出願公開第10-2008-0105377(2008年12月04日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のことを鑑みて、本開示の目的は、ガス処理装置及び窒素酸化物を低減することができる窒素酸化物低減装置を提供することである。
【0006】
本開示の別の目的は、ガス処理装置及びプラズマ発生装置の安定性及び耐久性を改善する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの実施形態において、ガス処理装置は、プラズマによって外部から供給されるガスを処理するよう構成され、処理されたガスが窒素酸化物を含有する、反応チャンバと、反応チャンバに接続された窒素酸化物低減装置と、を備える。窒素酸化物低減装置は、処理されたガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで冷却するよう構成された冷却ユニットを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の1つの実施形態による窒素低減装置及びガス処理装置は、冷却ユニットを用いてプラズマ処理ガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで急速に冷却することによって、有害ガスの処理効率を低下させることなく窒素酸化物を効果的に低減するという利点を提供する。
【0009】
本開示の1つの実施形態によるガス処理装置に含まれるプラズマ発生装置は、プラズマ生成空間にて生成されたプラズマ生成ガスの渦の回転方向と反対の力を生成するように磁力発生器を構成することによって、プラズマを安定的に生成し、電極の耐用年数を増大させることができるという利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つの実施形態によるプラズマ発生装置の概略図である。
図2図1のII-II線に沿ったプラズマ発生装置の断面図である。
図3図1のIII-III線に沿ったプラズマ発生装置の別の断面図である。
図4A図1のIVA-IVA線に沿ったプラズマ発生装置の断面図である。
図4B図1のIVB-IVB線に沿ったプラズマ発生装置の断面図である。
図5】本開示の1つの実施形態によるプラズマ発生装置のアノードアークスポットに加えられた力の方向を示す図である。
図6】本開示の1つの実施形態によるプラズマ発生装置のアノードアークスポットに加えられた力の方向を示す図である。
図7】本開示の別の実施形態によるプラズマ発生装置の概略図である。
図8】本開示の更に別の実施形態によるプラズマ発生装置の概略図である。
図9】本開示の1つの実施形態によるアノード組立体の構成を示す図である。
図10】本開示の1つの実施形態によるガス処理装置の概略図である。
図11】本開示の1つの実施形態による窒素酸化物低減装置を示す図である。
図12】本開示の1つの実施形態によるガス供給リングを示す図である。
図13】本開示の別の実施形態による窒素酸化物低減装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示並びにこのようなことを成し遂げる方法の利点及び特徴は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明から明確に理解されるであろう。しかしながら、実施形態は、様々な形態で実装することができるので、記載されるこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の完全な開示を実施するため、また当業者が全ての実施形態を認識できるようにするために提供される点を理解されたい。従って、実施形態は、添付の請求項の範囲によってのみ定義されるものとする。
【0012】
本開示の実施形態の記載において、関連する既知の構成要素又は機能の詳細な説明が、本開示の要点を不必要に曖昧にすると判断される場合には、この詳細な説明は省略されることになる。更に、以下に記載される用語は、本開示の実施形態の機能を鑑みて定義され、ユーザ又はオペレータの意図又は実施に応じて異なる場合がある。従って、これらの用語は、本明細書全体を通じた内容に基づいて定義することができる。
【0013】
図1は、本開示の1つの実施形態によるプラズマ発生装置を概略的に示している。プラズマ発生装置は、プラズマトーチとすることができる。
【0014】
プラズマ発生装置は、印加される高電圧によってアーク放電を発生させるカソード組立体100と、カソード組立体100との間でアーク放電によって形成されるプラズマ生成空間Sにおいて1000°C又はそれを上回る温度のプラズマを生成するアノード組立体200と、プラズマ生成ガスをプラズマ生成空間Sに供給するガス導入管路(プラズマ生成ガス導入管路)300と、プラズマ生成空間Sにおいて磁力を発生する磁力発生器220と、を含む。
【0015】
カソード組立体100について、以下で詳細に説明する。
【0016】
カソード組立体100は、下側部分にて高電圧が印加されるカソード110を有する。更にカソード組立体100は、冷却水が流れる経路を有することができる。冷却水経路は、カソード110に延びて、カソード組立体100の作動中に高温のカソード110を効果的に冷却することができる。従って、カソード110の摩耗を防ぐことができる。
【0017】
好ましくは、カソード110は、トリウム又はイットリウムが添加されたハフニウム又はタングステンから作られる。しかしながら、カソード110は、別の金属を含有することができる。
【0018】
図1に示すように、カソード組立体100の一方の端部は、アノード組立体200の外部に位置付けられ、カソード組立体100の他方の端部(すなわち、カソード100が設けられている側)は、アノード組立体200のプラズマ生成空間Sに配置されてアノード組立体200と結合される。
【0019】
インシュレータ400は、カソード組立体100とアノード組立体200との間に配置される。従って、カソード組立体100及びアノード組立体200は、互いに絶縁される。
【0020】
次に、アノード組立体200について、以下で詳細に説明する。
【0021】
アノード組立体200は、円筒形状で形成され、プラズマ生成空間Sが、カソード組立体100のカソード110を囲みながら形成することができるようになる。アノード組立体200は、アノード210を含み、カソード110に高電圧を印加することにより、アノード210とカソード110との間にプラズマを発生させるようにする。
【0022】
換言すると、アノード組立体200は、アノード組立体200とカソード組立体100との間のDCアーク放電によってプラズマが生成されるプラズマ生成空間Sを有する。カソード組立体100のカソード110は、プラズマ生成空間Sの上側部分に位置決めされる。カソード組立体100に高電圧が印加されることにより、カソード110とアノード210との間にDCアーク放電が生じる。
【0023】
この時点では、アノード組立体200の軸線X1は、カソード組立体100の軸線と一致することができる。
【0024】
外部プラズマ生成ガス供給ユニット(図示せず)からプラズマ生成空間Sに延びるプラズマ生成ガス導入管路300が、アノード組立体200の一方の端部(すなわち、上流側端部)に設けられる。開口230が、アノード組立体200の他方の端部(すなわち、下流側端部)に設けられる。開口230は、「トーチ出口」と呼ぶことができる。プラズマフレームは、開口230を通じて放電される。
【0025】
プラズマ生成ガス導入管路300は、プラズマ生成空間Sと連通するよう構成される。
【0026】
プラズマ生成ガス、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、酸素、蒸気、アンモニア、並びにこれらのガスの一部の混合物からなるグループから選択されたものは、プラズマ生成ガス導入管路300を通じてプラズマ生成空間Sに導入される。その結果、プラズマ生成ガスは、プラズマ生成空間Sにおいて生じたアーク放電によってイオン化され、これによりプラズマが発生する。
【0027】
プラズマ生成ガス導入管路300は、入口経路310、分配スペース320、及び複数のガス供給通路330を含む。入口経路310を通って分配スペース320に導入されたプラズマ生成ガスは、アノード210の円周方向に沿って形成された分配スペース320おいて分配され、次いで、ガス供給通路330を通ってプラズマ生成空間Sに供給することができる。
【0028】
この時点では、ガス供給通路330は、アノード組立体200の軸線X1の半径方向に対して平行に、又は傾斜して形成される。図2及び3では、ガス供給通路330がアノード組立体200の軸線X1の半径方向に対して所定の角度、例えば、鋭角(90度よりも小さい角度)で傾斜していることが示されている。この構成では、プラズマ生成ガスは、渦又は螺旋流を発生しながら、プラズマ生成空間Sに均一に導入することができる。
【0029】
図2及び図3は、アノード組立体200の開口230からプラズマ生成ガス導入管路300に向かって見たとき(すなわち、アノード組立体200の底部から見たとき)の図1の「II(III)-II(III)」線に沿った断面図である。
【0030】
図2において、プラズマ生成ガスは、傾斜したガス供給通路330によって反時計回り方向で回転しながらプラズマ生成空間Sに導入される。図3において、プラズマ生成ガスは、図2に示したのとは異なる角度で傾斜したガス供給通路330によって時計回り方向で回転しながらプラズマ生成空間Sに導入される。
【0031】
更に、ガス供給通路330は、アノード組立体200の軸線X1の方向に対して傾斜することができる。換言すると、ガス供給通路330は、図2及び3に例示される所定の角度で水平方向に傾斜することができ、又は所定の角度で垂直方向に傾斜することができ、或いは、所定の角度で水平方向及び垂直方向に傾斜することができる。
【0032】
ガス供給通路330の出口が、カソード組立体100、特にカソード110に面する位置にて形成されると、プラズマ生成ガスは、カソード組立体100の回りに回転するように導入される。従って、プラズマは、プラズマ生成空間Sにおいて均一に生成することができる。
【0033】
アノード組立体200は、該アノード組立体200の下側端部から延びるプラズマ保持部(図示せず)を有することができる。プラズマ保持部は、カソード110とアノード210との間に生成されたプラズマを安定状態に維持する。アノード組立体200がプラズマ保持部を有するときには、プラズマ生成空間Sは、プラズマ保持部の内側空間にまで延長される。プラズマ保持部の内側空間にアークを生じさせることができることにより、プラズマは、軸方向で長さを増大させ、水平方向で直径を増大させることができる。プラズマ保持部の内側空間は、発生したプラズマを安定状態に維持して下向きに誘導できる限りは、例えば、内径が、プラズマ保持部の下側部分に向かって階段状の部分を有して漸次的に増大する形状、又はプラズマ生成空間Sの内径が、プラズマ保持部の下側部分に向かって連続的に増大する形状を有することができる。
【0034】
次に、磁力発生器220について、以下で詳細に説明する。
【0035】
磁力発生器220は、アノード組立体200の内部又は外部に設けられる。磁力を発生する磁力発生器220は、永久磁石又は電磁石とすることができる。
【0036】
更に、磁力発生器220は、アノード組立体200の軸線X1の方向に対して半径方向に配置された複数の永久磁石又は電磁石を含むことができ、或いは、単一のリング形永久磁石又は電磁石を含むことができる。
【0037】
図4Aは、磁力発生器220がアノード組立体200に埋め込まれ且つアノード組立体200の軸線X1の方向に対して半径方向に配置された複数の永久磁石220Aを含むことを示した、図1の「IVA-IVA」線に沿ったプラズマ発生装置の断面図である。図4Aにおいて、磁力発生器220は、6つの永久磁石220Aを含む。しかしながら、永久磁石220Aの数は、6つに限定されず、6つよりも少なくても、又は6つよりも多くてもよい。
【0038】
図4Bは、磁力発生器220が、アノード組立体200に埋め込まれた単一の永久磁石220Bを含むことを示した、図1の「IVBB-IVB」線に沿った別のプラズマ発生装置の断面図である。永久磁石220Bの軸線は、アノード組立体200の軸線X1と一致することができる。
【0039】
図7は、アノード組立体200の軸線X1の方向に対して半径方向に配置された複数の永久磁石221、222、223がアノード組立体200の内部で複数のレベルに設けられていることを示した、本開示の別の実施形態によるプラズマ発生装置を概略的に示している。
【0040】
図8は、アノード組立体200の軸線X1の方向に対して半径方向に配置された複数の永久磁石224、225がアノード組立体200の外部で複数のレベルに設けられていることを示した、本開示の更に別の実施形態によるプラズマ発生装置を概略的に示している。アノード組立体200の外部に設けられた磁力発生器220は、アノード組立体200の軸線X1に平行な方向及びアノード組立体200の軸線X1に垂直な方向で移動可能である。
【0041】
本開示の実施形態は、磁力発生器220の構成を制御することにより、プラズマ生成空間Sにて発生されたアークのアノードアークスポットに力を加えることで安定性及び耐久性を改善することができるプラズマ発生装置を提供することを意図している。ここで、図5に関して詳細に説明する。
【0042】
図5は、本開示の1つの実施形態による、カソード組立体100及びアノード組立体200の部分的構成を示す。カソード組立体100及びアノード組立体200に高電圧が印加されると、プラズマ生成空間Sにおいてカソード110とアノード210との間にアーク500が生じ、アーク500の一部であるアノードアークスポットPがアノード210上に位置決めされる。
【0043】
この時点で、プラズマ生成ガスがプラズマ生成ガス導入管路300を通じてプラズマ生成空間Sに導入されると、プラズマ生成ガスの流れにより、アノードアークスポットPの位置が変化する。例えば、プラズマ生成ガスが、プラズマ生成ガス導入管路300に向けてアノード組立体200の開口230から見たとき(すなわち、アノード組立体200の底部から見たとき)に反時計回り方向(図2を参照)に導入されると、アノードアークスポットPは、プラズマ生成ガスにより反時計回り方向に回転される。図5において、プラズマ生成ガスの渦の方向が「g」で示されている。
【0044】
プラズマ発生装置が高電圧で動作すると、アノードアークスポットPは、アノード組立体200の開口230付近に位置決めされる。プラズマ生成ガスの渦に起因して、アノードアークスポットPは、アノード組立体200の端部から逸脱することができる。その場合、プラズマは、大きく不安定になる。プラズマを安定状態に維持するためには、電流を増大させるか、低電圧でプラズマ発生装置を動作させることが必要とされる。しかしながら、本開示の実施形態によれば、電流を増大させるか又は低電圧でプラズマ発生装置を動作させることなく、アノードアークスポットPがアノード組立体200の端部から逸脱するのを阻止することが意図される。このため、磁力発生器220は、プラズマ生成ガスの回転方向gとは反対方向にアノードアークスポットPに力が加えられるように構成することが必要である。
【0045】
図5において、磁力発生器220は、磁力発生器220の両極性がアノード組立体200の軸線X1の方向で互いに反対になるように配置される。図5では、プラズマ生成ガスは、上述のように反時計回り方向で導入される。この時点では、磁力発生器220のN極は、アノード組立体200の開口230に向けて(すなわち、アノード組立体200の下側部分に向けて)配向され、磁力発生器220のS極は、カソード110に向けて(すなわち、アノード組立体200の上側部分に向けて)配向される。
【0046】
磁力発生器220のこの構成に関して、アノード組立体200の底部から上部に向けられた磁場Bは、プラズマ生成空間Sにて誘起される。電流は、アノード210からカソード110に向けて流れ、アノードアークスポットPの位置近傍では、電流Iは、アノード210の内壁からアノード組立体200の軸線X1に向けて流れる。その場合、フレミングの左手の法則によれば、力Fは、アノードアークスポットPの位置にてグラウンドに向かう方向に生成される。換言すると、プラズマ生成ガスの回転方向gが反時計回り方向であるときには、磁力発生器220のN極は、アノード組立体200の開口230に向かって配向され、アノードアークスポットPに対して時計回り方向の力Fを加えるようにする。この時点では、時計回り方向の力Fは、アノード組立体200の底部から上部に向けられる成分を含むことができる。
【0047】
従って、プラズマ発生装置が高電圧で動作するときでも、アノードアークスポットPは、アノード組立体200の端部から逸脱することはなく、更に、プラズマは、プラズマ生成空間Sにて安定的に発生することができる。加えて、磁力発生器220により誘起された磁場Bにより発生した力によってアノードアークスポットPを移動させることにより、アノード組立体200の特定の部分にてアークが集中したときに生じるアノード組立体200の摩耗及び損失を回避することができる。結果として、アノード組立体200の耐用年数を延長することができる。
【0048】
図6は、プラズマ生成ガスの回転方向が図5に示すのとは異なることを示した、本開示の実施形態によるカソード組立体100及びアノード組立体200の部分的構成を示している。例えば、プラズマ生成ガスが、アノード組立体200の開口230からプラズマ生成ガス導入管路300に向かって見たとき(すなわち、アノード組立体200の底部から上部に見たとき)に時計回り方向(図3を参照)に導入されると、アノードアークスポットPは、プラズマ生成ガスにより時計回り方向に回転される。
【0049】
この時点では、磁力発生器220のS極は、アノード組立体200の開口230に向けて(すなわち、アノード組立体200の下側部分に向けて)配向され、磁力発生器220のN極は、カソード110に向けて(すなわち、アノード組立体200の上側部分に向けて)配向される。
【0050】
磁力発生器220のこの構成に関して、アノード組立体200の上部から底部に向けられた磁場Bは、プラズマ生成空間Sにて誘起される。電流は、アノード210からカソード110に向けて流れ、アノードアークスポットPの位置近傍では、電流Iは、アノード210の内壁からアノード組立体200の軸線X1に向けて流れる。その場合、フレミングの左手の法則によれば、力Fは、アノードアークスポットPの位置にてグラウンドから上向きの方向に生成される。換言すると、プラズマ生成ガスの回転方向gが時計回り方向であるときには、磁力発生器220のS極は、アノード組立体200の開口230に向かって配向され、アノードアークスポットPに対して反時計回り方向の力Fを加えるようにする。この時点では、反時計回り方向の力Fは、アノード組立体200の底部から上部に向けられる成分を含むことができる。
【0051】
従って、プラズマ発生装置が高電圧で動作するときでも、プラズマが安定的に発生することができ、アノード組立体200の耐用年数を延長することができる。
【0052】
図5及び図6において、例として、単一の磁力発生器の両極性の構成が例示されている。図5及び図6に示す事例と同様に、図4Aに示される複数の永久磁石220Aの両極性、図7に示される複数の磁力発生器221~223の両極性、及び図8に示される複数の磁力発生器224、225の両極性はまた、プラズマ生成ガスの回転方向と反対の方向に力が発生するように構成することができる。同様に、図4Bに示すリング形永久磁石220Bは、その両極性がアノード組立体200の軸線X1の方向で互いに反対方向となり、これによりプラズマ生成ガスの回転方向と反対の方向に力を生成するように磁化することができる。
【0053】
図5及び図6において、磁力発生器220は、プラズマ生成ガスの回転方向gと反対方向に力がアノードアークスポットPに加えられるように構成される。しかしながら、磁力発生器220の構成は、これに限定されない。目的に応じて、磁力発生器220は、プラズマ生成ガスの回転方向gと同じ方向に力がアノードアークスポットPに加えられるように構成されてもよい。例えば、プラズマ生成ガスが図5に示すように反時計回り方向に導入されるときには、磁力発生器220のS極は、アノード組立体200の開口230に向かって配向することができ、磁力発生器220のN極は、カソード110に向かって配向することができる。この場合、アノード組立体200の上部から底部に配向される磁場がプラズマ生成空間Sに誘起され、反時計回り方向の力が、アノードアークスポットPに加えられる。プラズマ生成ガスが図6に示すように時計回り方向で導入されるときには、磁力発生器220のN極は、アノード組立体200の開口230に向かって配向することができ、磁力発生器220のS極は、カソード110に向かって配向することができる。この場合、アノード組立体200の上部から底部に配向される磁場がプラズマ生成空間Sに誘起され、時計回り方向の力が、アノードアークスポットPに加えられる。
【0054】
アノード組立体200の耐用年数を延長するために、アノード組立体200に含まれるガイド部材用に様々な材料を用いることができる。このことについて、図9を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図9は、本開示の別の実施形態によるアノード組立体201の構成を示している。図9に示されるアノード組立体201は、図1のプラズマ発生装置においてアノード組立体200の代わりに用いることができる。図1図9において同じ構成要素についての冗長的な説明は省略する。
【0056】
アノード組立体201は、カソード110に高電圧を印加することによってカソード110との間にプラズマを発生させるアノード210と、アノード210を囲むガイド部材240と、ガイド部材240を囲むハウジング250と、を含む。アノード210、ガイド部材240及びハウジング250は、円筒形状を有することができる。磁力発生器220は、ガイド部材240の内部に設けることができる。
【0057】
ガイド部材240は、金属又はプラスチックから作ることができる。好ましくは、ガイド部材240は、プラスチックから作られる。ガイド部材240がプラスチックから作られるときには、磁力発生器220によって誘起された磁場が変化しないようにすることができ、磁場に干渉又は影響を及ぼす可能性がある寄生電流の発生を防ぐことができる。更に、ガイド部材240がプラスチックから作られるときには、磁力発生器220には熱が伝達されず、従って、磁力発生器220の磁気特性が影響を受けない。
【0058】
ガイド部材240は、上側部分(すなわち、図1のプラズマ生成ガス導入管路300側)に設けられた第1のガイド241と、下側部分(すなわち、図1の開口230側)に設けられた第2のガイド242とを含む。第2のガイド242は、第1のガイド241よりも高い熱抵抗を有するプラスチックから作られる。第1のガイド部材241は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)及びナイロンのうちの少なくとも1つなど、低い熱抵抗を有するプラスチックから作ることができる。第2のガイド部材は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びPEEK(ポリテトラフルオロエチレン)のうちの少なくとも1つなど、高い熱抵抗を有するプラスチックから作ることができる。開口230付近(すなわち、トーチ出口付近)のアノード組立体201は、アノード組立体201の他の部分よりも相対的に高い温度を有する。しかしながら、ガイド部材240用にこれらの材料を用いることにより、高コストを招くことなく、開口230付近のアノード組立体201の劣化又は溶融を阻止することができる。
【0059】
磁力発生器220は、ガイド部材240の内部に設けることができる。この時点では、磁力発生器220は、第1のガイド241の内部に設けられた第1の磁力発生器226と、第2のガイド242の内部に設けられた第2の磁力発生器227とに分割することができる。第1のガイド241及び第2のガイド242は、スクリュー又は接着剤によって結合することができる。他方、第1のガイド241及び第2のガイド242は、第1の磁力発生器226及び第2の磁力発生器227の両極性によって生成された磁力によって結合することができる。
【0060】
ハウジング250は、ステンレス鋼から作ることができる。クーラント経路270が、ハウジング250とガイド部材240との間及びガイド部材240とアノード210との間に形成される。クーラント供給源260から供給されたクーラント(例えば、冷却水)は、クーラント経路270を通って流れ、これによりアノード組立体201を冷却する。
【0061】
より具体的には、クーラントは、ハウジング250とガイド部材240との間に形成されたクーラント経路270を通って下方に流れて、ガイド部材240の底面の下に形成されたクーラント経路270を通って流れ、次いで、ガイド部材240とアノード210との間に形成されたクーラント経路270を通って上方に流れる。
【0062】
この時点で、フィン280が、ガイド部材240の底面の下に形成されたクーラント経路270に設けられる。フィン280は、クーラントをより効率的に循環させる。従って、比較的高温である、開口230付近(すなわち、トーチ出口付近)のアノード組立体201の温度は、効果的に低下させることができる。
【0063】
上述のプラズマ発生装置は、ペルフルオロ化合物、クロロフルオロカーボン(フロン)、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(代替フロン)、ダイオキシン、フラン、揮発性有機化合物、ポリ塩化ビフェニル、及びその化合物からなるグループから選択された材料を処理する装置とすることができる。
【0064】
安定性及び耐久性が改善されたプラズマ発生装置の構成について説明してきた。
【0065】
プラズマ発生装置を用いて有害ガスを分解する場合、有害ガスは、高温で処理され、これにより窒素酸化物を発生する可能性がある。詳細には、約800°C又はそれを上回る高温では、酸素を含有する反応ガスとの反応によって生成されるサーマルNOxの量が増大する。窒素酸化物は、酸性雨及び光化学スモッグを引き起こすので、これは主要な空気汚染物質の1つとみなされる。従って、窒素酸化物を低減することができる技術が必要とされる。
【0066】
従来、窒素酸化物を処理するために触媒装置を使用していていた。しかしながら、これら触媒装置は、コスト効率がよくない。別の解決策として、窒素酸化物の生成を防ぐために、酸素含有材料の使用を回避してきた。しかしながら、酸素を含有しない材料を用いて有害ガスを分解する場合には、別の有毒物質又は他の副生成物が生成され、装置の内面上に堆積される。また、有害ガス処理効率が低下する。
【0067】
上記の欠点を解消するために、本開示の1つの実施形態は、有害ガスの処理効率を低下させることなく窒素酸化物を効果的に低減することができる窒素酸化物低減装置、並びに窒素酸化物低減装置を含むガス処理装置を提供することを意図している。
【0068】
以下では、窒素酸化物を低減することができる窒素酸化物低減装置を含むガス処理装置について、詳細に説明する。
【0069】
図10は、本開示の1つの実施形態によるガス処理装置を概略的に示す。ガス処理装置の一例として、プラズマスクラバーが例示されている。
【0070】
半導体製造プロセスにおいて、ウェーハの表面をエッチング処理するのに、BCl3,Cl2,F2,HBr,HCl,HF及び同様のものなどの酸性ガス並びにCF4,CHF3,C26,C38,C46,C48,C58,SF6及び同様のものなどのPFCガスが使用される。CVD(化学蒸着)プロセスにおいて、ウェーハ表面の堆積ステップでは、AsH3,NH3,PH3,SiH4,Si22Cl2及び同様のものなどのガスが使用され、クリーニングステップでは、NF3,C26,C38及び同様のものなどのPFCガスが使用される。これらのガスを処理するのに、プラズマスクラバーが使用される。
【0071】
プラズマスクラバーは、反応チャンバ30と、窒素酸化物低減装置(窒素酸化物低減チャンバ)40とを含む。プラズマスクラバーは更に、プラズマトーチ10、パイプ50、水タンク60、及び後処理ユニット70を含むことができる。
【0072】
プラズマトーチ10は、高温でのエッチング及びCVDプロセス後に生成されたガスを熱分解するためにプラズマ火炎を発生させるプラズマ発生装置である。図1~9を参照して記載されるプラズマ発生装置は、プラズマトーチ10として用いることができる。
【0073】
反応チャンバ30は、プラズマトーチ10に接続され、ガス供給管路20を通って供給されるガスが高温プラズマによって熱分解されるスペースを提供する。反応チャンバの温度が約800°C又はそれ以上に達すると、サーマルNOxが大幅に生成される。サーマルNOxの生成を抑制するために、窒素酸化物低減装置40が反応チャンバ30の後端に接続される。窒素酸化物低減装置40について、以下で詳細に説明する。
【0074】
パイプ50は、窒素酸化物低減装置40の後端に接続される。パイプ50は、その側壁に水注入ノズル51が形成されている。水注入ノズル51は、微細ミスト状態で水を噴霧し、これにより反応チャンバ30において処理されるガスを迅速に冷却する。
【0075】
後処理ユニット70は、水注入ノズルを用いて、水溶性又は酸性ガス及び分解後に生成された粒子材料を処理する。水タンク60は、パイプ50及び後処理ユニット70から導入された水及び粒子材料を貯蔵及び排出するよう構成される。
【0076】
以下では、窒素酸化物低減装置40について、図11を参照して詳細に説明する。窒素酸化物低減装置40は、円筒ハウジング(管体)47を含む。ハウジング47の一方端にある開口は、反応チャンバ30の後端に接続される。ハウジング47の他方端にある開口は、パイプ50の前端に接続される。反応チャンバ30においてプラズマにより処理されるガスは、反応チャンバ30、窒素酸化物低減装置40、及び管路50をこの順番に通って流れる。窒素酸化物低減装置40は、反応チャンバ30において処理されたガスを窒素酸化物の生成温度よりも低い温度まで急速に冷却するための冷却ユニットを含む。
【0077】
図11は、冷却ユニットの一例として複数のガス注入ノズル44を示している。ガス注入ノズル44は、ハウジング47の軸線に対して半径方向に配置することができる。ガス注入ノズル44は、ハウジング47にて形成することができ、或いは、ハウジング47における別個の部材であるガス供給リング45にて形成することができる。ガス供給リング45は、環状形状で形成され、窒素酸化物低減装置40のハウジング47の内部に位置付けることができる。
【0078】
図12は、複数のガス注入ノズル44を有する環状ガス供給リング45を示す。ガス注入ノズル44は、ガス供給リング45上で規則的な間隔で互いから離間して配置することができる。
【0079】
低温ガスは、ガス注入ノズル44を通じて窒素酸化物低減装置40の内側スペースに注入される。この時点では、低温ガスとして反応性のない又は低反応性のガスが使用される。例えば、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1つを含有する不活性ガスは、低温ガスとして用いることができる。
【0080】
低温ガスの温度は、反応チャンバ30において処理されたガスを窒素酸化物生成温度よりも低い温度まで急速に冷却するのに十分に低い。例えば、低温ガスは、約300°C又はそれよりも低い温度を有する。
【0081】
反応チャンバ30において処理された高温ガスが、窒素酸化物低減装置40に到達すると、ガス注入ノズル44から注入された低温ガスは、高温ガスを急速に冷却する。従って、窒素酸化物の生成が低減される。
【0082】
ガス注入ノズル44は、窒素酸化物低減装置40のハウジング47の軸方向に沿った何れかの位置にて形成することができる。ガス注入ノズル44は、異なる高さを有する複数のレベルにて形成することができる。ガス注入ノズル44が反応チャンバ30に近接していると、有害ガスの処理効率が低下する可能性があり、ガス注入ノズル44が反応チャンバ30から離れていると、窒素酸化物低減作用が低下する。従って、ガス注入ノズル44は、所望の有害ガス処理効率及び所望の窒素酸化物低減作用を達成することができる位置に配置される必要がある。
【0083】
例えば、窒素酸化物低減装置40の温度は、反応チャンバ30から離れた位置に向かって段々と低くなる。窒素酸化物低減装置40が約800°Cに達する位置にガス注入ノズル44を設けた場合、窒素酸化物の生成は、有害ガス処理効率を低下させることなく、効果的に抑制することができる。
【0084】
加えて、冷却水経路43は、窒素酸化物低減装置40の外壁と内壁との間に形成することができる。冷却水は、窒素酸化物低減装置40の下側端部に接続された冷却水入口管路41から導入される。次いで、冷却水は、冷却水経路43の底部から上部に流れ、窒素酸化物低減装置40の上側端部に接続された冷却水出口管路42から放出される。従って、窒素酸化物低減装置40は、冷却水によって冷却され、窒素酸化物の生成がより効果的に低減される。
【0085】
図13は、本開示の別の実施形態による窒素酸化物低減装置40を示す。図1図13における同じ構成要素についての冗長的な説明は省略する。
【0086】
図13に示される窒素酸化物低減装置40は、冷却ユニットとして熱交換器46を含む。熱交換器46は、液体水素又はBOG(ボイルオフガス)の流れが通過する複数の熱交換パイプを含むことができる。他方、熱交換器46は、熱交換を行うプレート、管体、又は同様のものを含むことができる。反応チャンバ30において処理された高温ガスが窒素酸化物低減装置40に到達すると、熱交換器46は、高温ガスを迅速に冷却する。従って、窒素酸化物の生成が低減される。
【0087】
窒素酸化物低減装置40に設置される冷却ユニットは、ガス注入ノズル44又は熱交換器46に限定されない。反応チャンバ30からのガスを迅速に冷却できる限り、冷却ユニットとして他の何れかのユニットを用いることができる。冷却ユニットに関しては、ガス注入ノズル44及び熱交換器46の両方を用いてもよい。
【0088】
本開示の実施形態は、有害ガスの処理効率を低下させることなく、冷却ユニットを用いることによりプラズマ処理ガスを冷却することで窒素酸化物を効果的に低減することができる。
【0089】
本開示の実施形態について、添付図面に例示された実施形態に基づいて説明してきた。しかしながら、上述の記載は、単に一例に過ぎず、様々な変更及び修正を行うことができることは、当業者には理解されるであろう。従って、本開示の技術的保護範囲は、添付の請求項の技術的思想によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13