IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エクサの特許一覧 ▶ KDDI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-決済支援システム 図1
  • 特許-決済支援システム 図2
  • 特許-決済支援システム 図3
  • 特許-決済支援システム 図4
  • 特許-決済支援システム 図5
  • 特許-決済支援システム 図6
  • 特許-決済支援システム 図7
  • 特許-決済支援システム 図8
  • 特許-決済支援システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】決済支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/32 20120101AFI20230726BHJP
   G06Q 20/34 20120101ALI20230726BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20230726BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230726BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G06Q20/32
G06Q20/34
G06Q30/0207
G06Q30/06
G07G1/12 321L
G07G1/12 321P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020009410
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021117614
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591057256
【氏名又は名称】株式会社エクサ
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肖太
(72)【発明者】
【氏名】木村 塁
(72)【発明者】
【氏名】中菅 章浩
(72)【発明者】
【氏名】小岩 彩友美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼桑 美季
(72)【発明者】
【氏名】田邉 美冬
(72)【発明者】
【氏名】田中 響子
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6624708(JP,B1)
【文献】特開2019-204481(JP,A)
【文献】特開2006-277670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0024724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが決済手段を選択することを支援する決済支援システムであって、
前記ユーザが所有している決済手段を特定する決済手段特定部、
前記ユーザが加入しているポイント付与プログラムを特定するポイント付与プログラム特定部、
前記決済手段と前記ポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントを算出するポイント算出部、
前記ユーザが過去に実施した決済において使用した決済手段、その決済において使用したポイント付与プログラム、およびその決済において取得したポイントの間の対応関係をあらかじめ学習した学習器、
前記ユーザから決済手段を選択するように要求するリクエストを受け取り、そのリクエストに応じて前記ユーザに適した決済手段またはポイント付与プログラムのうち少なくともいずれかを選択する、決済手段選択部、
を備え、
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントを、前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した推定結果を前記学習器の出力として取得し、
前記決済手段選択部は、前記学習器から取得した決済手段を前記リクエストに対するレスポンスとして返信する
ことを特徴とする決済支援システム。
【請求項2】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが所有する決済手段が前記ポイント付与プログラムとは別に提供している決済手段ポイントを取得する決済手段ポイント取得部を備え、
前記学習器は、前記ユーザが過去に実施した決済において使用した決済手段、その決済において使用したポイント付与プログラム、その決済において取得したポイントの間の対応関係に加えて、その決済において使用した決済手段が提供していた決済手段ポイントとの間の対応関係をあらかじめ学習しており、
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントに加えて、前記決済手段ポイントを前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項3】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラムが前記ポイント付与プログラムとは別に提供している追加ポイントを取得する追加ポイント取得部を備え、
前記学習器は、前記ユーザが過去に実施した決済において使用した決済手段、その決済において使用したポイント付与プログラム、その決済において取得したポイントの間の対応関係に加えて、その決済において使用したポイント付与プログラムが提供していた追加ポイントとの間の対応関係をあらかじめ学習しており、
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントに加えて、前記追加ポイントを前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項4】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行する際に利用しようとしている利用店舗を特定する店舗特定部を備え、
前記決済手段特定部は、前記ユーザが所有している決済手段のうち前記利用店舗において使用することができる使用可能決済手段を特定し、
前記ポイント付与プログラム特定部は、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラムのうち前記利用店舗において使用することができる使用可能ポイント付与プログラムを特定し、
前記決済手段選択部は、前記学習器に対する入力として、前記使用可能決済手段、前記使用可能ポイント付与プログラム、および、前記使用可能決済手段と前記使用可能ポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントを入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項5】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行する際に利用しようとしている利用店舗を特定する店舗特定部を備え、
前記決済手段ポイント取得部は、前記決済手段ポイントのうち前記利用店舗において使用することができる使用可能決済手段ポイントを特定し、
前記決済手段選択部は、前記決済手段ポイントとして、前記使用可能決済手段ポイントを前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項2記載の決済支援システム。
【請求項6】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行する際に利用しようとしている利用店舗を特定する店舗特定部を備え、
前記追加ポイント取得部は、前記追加ポイントのうち前記利用店舗において使用することができる使用可能追加ポイントを特定し、
前記決済手段選択部は、前記追加ポイントとして、前記使用可能追加ポイントを前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項3記載の決済支援システム。
【請求項7】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが所有する決済手段の決済事業者が前記ポイント付与プログラムとは別に提供する決済事業者ポイントを設定する決済事業者ポイント設定部を備え、
前記決済手段ポイント取得部は、前記決済手段ポイントと前記決済事業者ポイントを合算した結果を、新たな前記決済手段ポイントとして特定し、
前記決済手段選択部は、前記新たな決済手段ポイントを前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項2記載の決済支援システム。
【請求項8】
前記決済支援システムはさらに、前記決済事業者ポイントを設定する条件を記述した決済事業者ポイント条件データを格納する記憶部を備え、
前記決済事業者ポイント条件データは、前記決済事業者が提供する決済手段が前記学習器から出力する推定結果において位置する順位にしたがって、前記決済事業者ポイントを付与する量を記述しており、
前記決済事業者ポイント設定部は、前記決済事業者ポイント条件データの記述にしたがって、前記決済事業者ポイントを付与する量を設定する
ことを特徴とする請求項7記載の決済支援システム。
【請求項9】
前記学習器は、前記ユーザが過去に実施した決済において使用した決済手段、その決済において使用したポイント付与プログラム、その決済において取得したポイントの間の対応関係に加えて、その決済の日時との間の対応関係をあらかじめ学習しており、
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントに加えて、前記リクエストが発行された日時を前記学習器に対して入力することにより、その日時において前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項10】
前記学習器は、前記ユーザが過去に実施した決済において使用した決済手段、その決済において使用したポイント付与プログラム、その決済において取得したポイントの間の対応関係に加えて、前記ユーザがその決済において使用した決済手段の前記推定結果上における順位との間の対応関係をあらかじめ学習しており、
前記ポイント算出部は、前記算出したポイントの量にしたがって、前記決済手段と前記ポイント付与プログラムの組み合わせを順位付けし、
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントに加えて、前記ポイント算出部による順位付けの結果を前記学習器に対して入力することにより、前記ユーザに適した決済手段を推定した結果を前記学習器の出力として取得する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項11】
前記決済手段選択部は、前記ユーザが所有している決済手段、前記ユーザが加入しているポイント付与プログラム、および、その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントによって構成される入力値セットを、前記学習器に対して複数入力し、
前記学習器は、前記ユーザに適した決済手段であるか否かの確信度を、前記入力値セットごとに出力し、
前記決済手段選択部は、前記レスポンスにおいて、前記学習器から取得した決済手段に加えて、前記入力値セットごとの前記確信度を返信する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項12】
前記決済手段選択部は、前記レスポンスの内容として、前記決済手段と前記ポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントが前記ユーザに対して提供する利益額を返信する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項13】
前記決済手段選択部は、前記レスポンスの内容として、前記決済手段と前記ポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントが、前記決済手段を使用せず現金決済する場合と比較してどの程度の利益額を前記ユーザに対して提供するのかを表す値を返信する
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項14】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行する際に利用しようとしている利用店舗を特定する店舗特定部を備え、
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行するために用いるユーザ端末を備え、
前記店舗特定部は、前記利用店舗を推定することにより取得した店舗候補リストをその推定精度とともに記述したデータを、前記ユーザ端末に対して送信し、
前記ユーザ端末は、前記店舗候補リストを前記ユーザに対して提示することにより、前記店舗候補リストのなかから前記利用店舗を選択させる、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【請求項15】
前記決済支援システムはさらに、前記ユーザが前記リクエストを発行するために用いるユーザ端末を備え、
前記ポイント算出部は、前記算出したポイントの量にしたがって、前記決済手段と前記ポイント付与プログラムの組み合わせを順位付けし、
前記ユーザ端末は、前記ポイント算出部による順位付けの結果と前記学習器による推定結果を前記ユーザが比較することができる、ユーザインターフェースを備える
ことを特徴とする請求項1記載の決済支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが決済手段を選択することを支援する決済支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードやQRコード決済のように、現金以外の決済手段が広まっている。このような決済手段は、ポイント還元やキャッシュバックなどの仕組みによって決済者(以下ユーザと呼ぶ)に対して特典を与える場合がある。また決済手段以外にも、ポイントカードなどの形式で様々なポイント付与プログラムが提供されており、ユーザは決済時においてそのポイント付与プログラムを併用することにより、ポイント付与プログラムからも特典を受けることができる。
【0003】
ユーザが決済手段やポイント付与プログラムを複数有している場合、ユーザは決済に際して、どの決済手段やポイント付与プログラムを使うのか、選択することができる。このときユーザは、付与ポイントの多さや決済のし易さなどの観点で決済手段やポイント付与プログラムを評価し、決済時に選択すると考えられる。
【0004】
下記特許文献1は、ユーザに適する支払手段を推薦する技術を記載している。同文献は、『第1機器から、当該ストアで適用可能な第1支払い手段情報を受信し、第1支払い手段情報と、ユーザが活用可能な第2支払い手段情報と、を比較し、比較結果を基に、第2支払い手段を推薦する取引関連サービス提供方法である。』という技術を開示している(要約参照)。
【0005】
下記特許文献2は、ユーザが取得する報酬プログラム等を検索する技術を記載している。同文献は、『本開示はクレジットカード、デビットカード又は他の追跡可能なアカウントのユーザにつき、購入及び報酬を追跡する。ユーザが、アイテム(例えば小売店のアイテム)を購入する用意があるとき、店舗端末は当該ユーザのクレジットカード、デビットカード及び他のアカウントに関する情報についてシステムに問い合わせる。店舗における情報はアイテムのカテゴリ及び価格を明らかにする。次いでシステムは、アイテムの決済に用いられるカード又は他のアカウントに応じて、ユーザに対する潜在的な報酬を算出する。次いで店舗におけるユーザ又は店員は、カード又は他のアカウント(クレジットカード、又は、店舗若しくはアイテムの売主についてのユーザアカウント)を選択して、アイテムに対する決済を行う。オンライン購入、価格情報の取得、及び報酬の確認の際、類似の方法が使用可能である。』という技術を開示している(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2014-522028号公報
【文献】特表2018-511101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、利用可能な支払手段を店舗ごとに特定し、ユーザに適した支払手段を推薦する。どの支払手段が推薦されるのかは、ユーザが取得する特典の多さを基準としていると考えられる。しかしユーザは必ずしも特典の多さのみを基準として支払手段を選択するとは限らず、例えばユーザごとに好みの支払手段があればそれを選択しようとする可能性もある。特許文献1においては、そのようなユーザごとの固有の嗜好を適切に反映することについては、十分考慮していないと考えられる。またユーザは、支払手段以外のポイント付与プログラムを併用する場合もあり、特許文献1においてそのような支払手段とポイント付与プログラムの組み合わせについては十分考慮していないと考えられる。
【0008】
特許文献2は、ユーザが取得することができる報酬プログラムを検索する。ユーザは検索結果のなかから報酬が多い決済手段を選択することができる。同文献において、検索結果は順位付けすることもできる(同文献の請求項10などを参照)。この順位付けは報酬の多さを基準としていると考えられる(同文献の請求項13などを参照)。しかしユーザが好んで使用する決済手段やポイント付与プログラムは、必ずしも報酬の多さのみを基準とするとは限らない。特許文献2は、そのようなユーザごとの固有の嗜好を適切に反映することについては、十分考慮していないと考えられる。
【0009】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが決済手段やポイント付与プログラムを適切に選択することを支援する決済支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る決済支援システムは、ユーザが過去において実施した決済における決済手段やポイント付与プログラムの傾向をあらかじめ学習しておき、その学習結果にしたがって、ユーザに適した決済手段を推定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る決済支援システムによれば、ユーザが過去において実施した決済における決済手段やポイント付与プログラムの傾向をあらかじめ学習しておくことにより、ユーザが決済手段やポイント付与プログラムを適切に選択することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る決済支援システム10の構成図である。
図2】決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。
図3】実施形態2に係る決済支援システム10の構成図である。
図4】実施形態2における決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。
図5】実施形態3に係る決済支援システム10の構成図である。
図6】実施形態3における決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。
図7】ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する画面例である。
図8】ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する別画面例である。
図9】ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する別画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る決済支援システム10の構成図である。決済支援システム10は、ユーザ300が商品やサービスを購入する際に用いる決済手段を選択することを支援するシステムである。ここでいう決済手段とは、例えばクレジットカード、QRコード決済、デビットカード、キャリア決済(携帯電話事業者の携帯端末を用いた決済)、その他の現金以外の決済手段である。
【0014】
決済支援システム10は、サーバ100とユーザ端末200を備える。ユーザ300は、決済手段を選択する際に、ユーザ端末200に対して、適切な決済手段を提示するように指示する。ユーザ端末200はサーバ100に対して、ユーザ300に適した決済手段を提示するように要求するリクエスト(決済手段提示リクエスト)を発信する。サーバ100はそのリクエストを受け取ると、ユーザ300に適した決済手段を選択してその結果を応答する。
【0015】
サーバ100は、決済手段選択部110、決済手段特定部121、ポイント付与プログラム特定部122、ポイント算出部130、店舗特定部150、学習器170、記憶部180を備える。記憶部180は、サーバ100が用いる各データを格納する記憶装置である。
【0016】
決済手段選択部110は、ユーザ300に適した決済手段を提示するように要求するリクエストをユーザ端末200から受け取る。決済手段選択部110は、その他機能部および学習器170を用いて、ユーザ300に適した決済手段を選択し、その結果をユーザ端末200に対して応答する。
【0017】
店舗特定部150は、ユーザ300が決済手段を使用しようとしている店舗を特定する。例えばユーザ端末200が決済手段提示リクエストを発信する際に、ユーザ端末200が備えるGPS(Global Positioning System)の位置情報を併せて発信する。店舗特定部150は、その位置情報と、あらかじめ保持している各店舗の位置情報とを比較することにより、店舗を特定できる。店舗がチェーン展開しているものである場合、店舗に代えてまたは店舗と併用して、チェーン名(例えばコンビニエンスストアチェーンの企業名)を特定してもよい。以下では記載の便宜上、店舗のみ特定するものとする。
【0018】
決済手段特定部121は、ユーザ300が所有している決済手段のリストを取得する。例えばユーザ300自身があらかじめユーザ端末200内にその決済手段のリストを登録しておき、ユーザ端末200がサーバ100に対して決済手段提示リクエストを発行する際に、その登録内容を併せて送信することにより、ユーザ300が所有する決済手段を取得できる。あるいはユーザ300のIDとそのIDに対応する決済手段のリスト(当該ユーザが所有する決済手段のリスト)をあらかじめ記憶部180内に保持しておき、ユーザ300のIDをユーザ端末200からサーバ100に対して送信することにより、ユーザ300が所有する決済手段を取得できる。その他適当な手法を用いてもよい。
【0019】
決済手段特定部121は、ユーザ300が所有している決済手段のうち、店舗特定部150が特定した店舗において使用できるもののみを絞り込んでもよい。例えば店舗の位置情報と併せて、当該店舗において使用できる決済手段をあらかじめ記録しておけばよい。これにより、決済手段選択部110が決済手段提示リクエストに対して選択結果を返信する際に、当該店舗において使用できる決済手段についての選択結果のみを絞り込んだ上で提示することができる。以下の説明においては、当該店舗において使用できる決済手段を絞り込むこととする。
【0020】
ポイント付与プログラム特定部122は、ユーザ300が加入しているポイント付与プログラムのリストを取得する。取得手順は、ユーザ300が所有している決済手段を取得する手順と同様である。ポイント付与プログラム特定部122も、決済手段と同様に、店舗特定部150が特定した店舗において使用できるもののみを絞り込んでもよい。ポイント付与プログラムは、典型的にはユーザ300が所持するポイントカードとともに提供されるが、これに限るものではなく、決済手段と併せて提示することによってポイントその他蓄積可能な特典を取得できる任意のサービスであってもよい。
【0021】
ポイント算出部130は、ユーザ300が所有する決済手段(決済手段特定部121が特定したもの)と、ユーザ300が加入しているポイント付与プログラム(ポイント付与プログラム特定部122が特定したもの)との組み合わせによってユーザ300が取得することができるポイント数を算出する。決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせごとのポイント数は、あらかじめ記憶部180に格納しておけばよい。例えば基準単価ごとのポイント数(例:100円ごとに1ポイント)を組み合わせごとに格納しておき、これを用いてポイント数を算出すればよい。
【0022】
ユーザ300が取得するポイント数が決済金額によって変動する場合、決済手段提示リクエストとともに決済金額をサーバ100へ送信する必要がある。したがってユーザ300は決済金額をユーザ端末200へ入力する必要がある。この手間を省略したい場合、例えば決済金額1円あたりの取得ポイント数(上記例であれば0.01ポイント/円)を、ポイント数と等価なものとして取りつかうことができる。この場合もユーザ300が獲得するポイント数を表していることに変わりないからである。以下の説明においてはこれらを区別せずポイント数と呼ぶことにする。
【0023】
学習器170は、(a)ユーザ300が過去に実施した決済において使用した決済手段、ユーザ300がその決済において決済手段と併用したポイント付与プログラム、(c)その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって取得したポイント数、の間の対応関係をあらかじめ学習しておく。学習器170は、入力として新たに、決済手段/ポイント付与プログラム/ポイント数の組み合わせを受け取ると、あらかじめ学習した結果に基づき、ユーザ300がその組み合わせを選択する確率(または確信度、以下同様)を推定するように構成されている。
【0024】
決済手段選択部110は、(a)ユーザ300が所有する決済手段(決済手段特定部121が特定したもの)、(b)ユーザ300が加入しているポイント付与プログラム(ポイント付与プログラム特定部122が特定したもの)、(c)これらの組み合わせによって得られるポイント数(ポイント算出部130が算出したもの)を、学習器170に対して入力する。(a)~(c)の組み合わせ(入力値セット)が複数ある場合は、組み合わせごとに入力する。学習器170は、あらかじめ学習した結果にしたがって、入力値セットに対応する組み合わせをユーザ300が選択する確率を推定し、その推定結果を出力する。決済手段選択部110は、学習器170から取得した推定結果を、決済手段提示リクエストに対するレスポンスとして返信する。具体的には、入力値セットごとに、その組み合わせをユーザ300が選択する確率を返信する。
【0025】
ユーザ端末200は、決済手段選択部110からのレスポンスをユーザ300に対して提示する。例えばユーザ300が選択する確率が高い順に、決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせを整列し、画面表示することができる。その他適当な手段によってユーザ300へレスポンス内容を提示してもよい。
【0026】
図2は、決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。以下図2にしたがって、決済支援システム10の各機能部とユーザ端末200が決済手段提示リクエストを処理する際の動作手順を説明する。
【0027】
ユーザ300は、ユーザ端末200上で、決済支援システム10を利用するために用いるアプリケーションを起動する。アプリケーションは店舗特定部150に対して、ユーザ300が決済手段を使用しようとしている店舗についての情報を要求する(図2:(1)店舗データ取得)。例えばユーザ端末200の現在位置をリクエストパラメータとすることができる。店舗特定部150はその現在位置に対応する店舗のIDを返信する。店舗を1つに特定できない場合は、候補店舗のIDリストを返信してもよい。
【0028】
ユーザ端末200は、店舗IDに対応する店舗名を画面表示する。店舗候補が複数ある場合は、ユーザ300が選択できるようにしてもよい。ユーザ300は、利用しようとしている店舗が画面上の店舗名と合致しない場合は、その他の店舗候補のなかから正しいものを選択する。
【0029】
店舗特定部150によって店舗を特定する処理は、必ずしも本フローの最初に実施する必要はなく、決済手段提示リクエストを処理するなかで併せて店舗を特定することもできる。ただしユーザ端末200上で正しい店舗をユーザ300が選択するためには、決済手段提示リクエストを発行する前に店舗を特定する必要がある。図2においてはその例を示した。
【0030】
ユーザ300は、アプリケーション上で、ユーザ300に適した決済手段を提示するように指示する。ユーザ端末200はその指示にしたがって、決済手段提示リクエストをサーバ100に対して発信する(図2:(2)決済手段提示リクエスト)。このときリクエストパラメータとして、ユーザ300が決済手段を使用しようとしている店舗のIDを含めることとする。
【0031】
決済手段選択部110は、決済手段提示リクエストを受け取る。決済手段特定部121は、リクエストのなかで指定されている店舗IDを用いて、ユーザ300がその店舗において利用できる決済手段を取得する(図2:(3)決済手段取得)。同様にポイント付与プログラム特定部122は、その店舗において利用できるポイント付与プログラムを取得する(図2:(4)ポイント付与プログラム取得)。決済手段選択部110は、利用できる決済手段とポイント付与プログラムの全ての組み合わせを取得する。
【0032】
ポイント算出部130は、決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせごとに、ユーザ300が取得できるポイント数を算出する(図2:(5)ポイント算出)。決済手段選択部110は、決済手段/ポイント付与プログラム/ポイント数の組み合わせ(入力値セット)を学習器170に対して入力することにより、ユーザ300がその組み合わせを選択する確率を取得する(図2:(6)推定結果取得)。決済手段選択部110は、学習器170から取得した推定結果を、ユーザ端末200に対して返信する(図2:(7)レスポンス)。
【0033】
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る決済支援システム10は、ユーザ300が過去に実施した決済における決済手段/ポイント付与プログラム/取得ポイント数の履歴をあらかじめ学習しておき、その学習結果にしたがって、ユーザ300にとって適した決済手段を提示する。これにより、決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイント数のみに依拠することなく、ユーザ300の嗜好に合致した決済手段をユーザ300が選択することを支援できる。
【0034】
本実施形態1に係る決済支援システム10は、ユーザ300が決済手段を使用しようとしている店舗において利用可能な決済手段とポイント付与プログラムをあらかじめ特定しておき、その組み合わせをユーザ300が選択する確率を推定する。これにより、ユーザ300に対して提示する決済手段とポイント付与プログラムの候補をあらかじめ絞り込むことができる。したがってユーザ300は、自身に適したこれらの組み合わせを適切に選択することができる。
【0035】
<実施の形態2>
ユーザ300は典型的にはポイントカードを所持することによりポイント付与プログラムに加入しているが、決済手段を提供する決済事業者も独自のポイント付与プログラムを提供する場合もある。また決済事業者とポイント付与プログラム事業者はいずれも、これらのポイントとは別に、キャンペーンなどの形式で一時的な追加ポイントを提供する場合がある。本発明の実施形態2では、これらが提供される場合において、ユーザ300に対して決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせを提示する構成例を説明する。
【0036】
図3は、本実施形態2に係る決済支援システム10の構成図である。本実施形態2においてサーバ100は、実施形態1で説明した構成に加えて、決済手段ポイント取得部141、追加ポイント取得部142、を備える。その他構成は実施形態1と同様であるので、以下ではこれらに関する差異点について主に説明する。
【0037】
決済手段ポイント取得部141は、ユーザ300が所有している決済手段の決済事業者が提供しているポイント(決済手段ポイント)を取得する。このとき、店舗特定部150が特定した店舗において使用できるポイントのみを絞り込んで特定してもよい。決済手段ポイント取得部141はさらに、決済事業者が提供している一時的ポイント(例:決済手段のキャンペーンポイント)を取得する。同様にその店舗において利用できるもののみを絞り込んでもよい。これらはいずれも決済事業者が提供するので、まとめて決済手段ポイントとして処理することもできる。
【0038】
追加ポイント取得部142は、ユーザ300が加入しているポイント付与プログラムが通常のポイントとは別に一時的に提供している追加ポイント(例:ポイント付与プログラムのキャンペーンポイント)を取得する。このとき、店舗特定部150が特定した店舗において使用できるポイントのみを絞り込んで特定してもよい。
【0039】
決済手段が提供するポイント、決済手段がさらに一時的に提供するポイント、ポイント付与プログラムが一時的に提供するポイントについては、例えば店舗ごとに利用可能な組み合わせを記述したデータをあらかじめ記憶部180内に格納しておき、決済手段ポイント取得部141と追加ポイント取得部142はそのデータを参照することにより、各ポイントを取得すればよい。
【0040】
ポイント算出部130は、ユーザ300が所有している決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって得られるポイントに加えて、決済手段ポイント取得部141と追加ポイント取得部142が取得したポイントを合算する。ユーザ300はその合算したポイント数を取得できることになる。
【0041】
学習器170は、(a)ユーザ300が過去に実施した決済において使用した決済手段、ユーザ300がその決済において決済手段と併用したポイント付与プログラム、(c)その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって取得したポイント数、に加えて、(d)その決済において使用した決済手段が提供していた決済手段ポイント数(キャンペーンポイントがあった場合はさらにその一時的ポイント数)、(e)その決済において決済手段と併用したポイント付与プログラムが一時的に提供していた追加ポイント数、の間の対応関係をあらかじめ学習しておく。
【0042】
図4は、本実施形態2における決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。ステップ(4)と(5)の間に、新たにステップ(4-1)と(4-2)が追加されている。決済手段ポイント取得部141は、決済手段提示リクエストのなかで指定されている店舗IDを用いて、ユーザ300がその店舗において利用できる決済手段ポイントを取得する(図4:(4-1)決済手段ポイント取得)。このとき、決済手段が一時的に提供しているキャンペーンポイントなども併せて取得する。同様に追加ポイント取得部142は、その店舗において利用できるポイント付与プログラムが一時的に提供する追加ポイントを取得する(図4:(4-2)追加ポイント取得)。
【0043】
決済手段選択部110は、決済手段/ポイント付与プログラム/ポイント数/決済手段ポイント/追加ポイントの組み合わせを学習器170に対して入力することにより、ユーザ300がその組み合わせを選択する確率を取得する(図4:(6)推定結果取得)。以後は実施形態1と同様である。
【0044】
<実施の形態2:まとめ>
本実施形態2に係る決済支援システム10は、ユーザ300が所有している決済手段の決済事業者が提供する決済手段ポイントを利用可能店舗ごとに取得する。学習器170はユーザ300が過去に実施した決済において使用した決済手段ポイントをあらかじめ学習しておき、その学習結果にしたがって、ユーザ300にとって適した決済手段を提示する。これにより、決済事業者がその決済手段の利用を促すキャンペーンなどを提供している場合において、そのキャンペーンに対するユーザ300の嗜好を反映することができる。ポイント加入プログラムが提供するキャンペーンについても同様に、ユーザ300の嗜好を反映することができる。
【0045】
<実施の形態3>
決済事業者は、自社の決済手段を利用することを促すために、キャンペーンなどによって一時的ポイントを提供する場合がある。しかしそのキャンペーンポイントを追加したとしても、ユーザ300がその決済手段を選択する確率が十分高まらない場合もある。この場合、決済事業者としては、自社の決済手段のランキングを上げるために、さらなる追加ポイントを提供することを希望する可能性がある。そこで本発明の実施形態3では、決済事業者がその追加ポイントを提供するための構成例を説明する。その他構成は実施形態1~2と同様であるので、以下ではこれらに関する差異点について主に説明する。
【0046】
図5は、本実施形態3に係る決済支援システム10の構成図である。本実施形態3においてサーバ100は、実施形態1~2で説明した構成に加えて、決済事業者ポイント設定部160を備える。図5においては実施形態2の構成に対して決済事業者ポイント設定部160を追加した例を示した。
【0047】
決済事業者ポイント設定部160は、学習器170による推定結果があらかじめ定めた条件を満たすとき、あらかじめ定めておいた決済事業者ポイントを自社の決済手段に対して追加的に付与する。典型的には、学習器170が出力する推定結果のなかで、自社の決済手段が選択される確率の順位が低いとき(例:組み合わせ10通りのなかで6位以下)、決済事業者ポイントを付与する。その他適当な条件を定めてもよい。例えば順位に応じて追加ポイント量を可変にすることができる。決済事業者ポイントを無限に付与し続けることがないように、決済事業者ポイントを追加付与できる上限回数(例えば1回)を定めておくことが望ましい。
【0048】
ここでいう決済事業者ポイントは、実施形態2において決済手段ポイント取得部141が取得するポイントとは別のものであり、推定結果が条件を満たしたときのみ付与されるものである。決済事業者ポイントをさらに付与することにより、その決済手段の順位が上昇し、ユーザ300が選択する可能性も上昇すると考えられる。決済事業者ポイント設定部160は、決済事業者ポイントを付与することを希望する決済事業者ごとに設けることもできる。以下では記載の便宜上、これを希望する決済事業者は1社のみとする。
【0049】
図6は、本実施形態3における決済支援システム10の動作手順を説明する処理フロー図である。ステップ(1)~(6)は実施形態1~2と同様である。ステップ(6)と(7)の間に、新たにステップ(6-1)~(6-3)が追加されている。
【0050】
決済事業者ポイント設定部160は、学習器170による推定結果を取得し、その推定結果があらかじめ定めた条件(例:自社の決済手段の順位が低い)を満たすか否かを判断する。満たす場合は規定ルールにしたがって決済事業者ポイントを追加付与する(図6:(6-1)決済事業者ポイント付与)。
【0051】
ポイント算出部130は、決済事業者ポイントを付与した上で、決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせごとに、ユーザ300が取得するポイント数を改めて算出する(図6:(6-2)ポイント再算出)。決済手段選択部110は、ステップ(6)において学習器170に対して入力したポイント数を、再算出したポイントによって置き換えた上で、改めて学習器170に対して決済手段等を入力することにより、推定結果を取得する(図6:(6-3)推定結果再取得)。以後は実施形態1と同様である。
【0052】
<実施の形態3:まとめ>
本実施形態3に係る決済支援システム10は、学習器170による推定結果が条件を充足するとき、その条件にしたがって、決済事業者固有の決済事業者ポイントを追加的に付与する。これにより決済事業者は、ユーザ300が自社の決済手段を選択する確率を高めることができる。
【0053】
<実施の形態4>
実施形態1~3においては、学習器170が学習する学習項目として、(a)ユーザ300が過去に実施した決済において使用した決済手段、ユーザ300がその決済において決済手段と併用したポイント付与プログラム、(c)その決済手段とポイント付与プログラムの組み合わせによって取得したポイント数(以上実施形態1)、(d)その決済において使用した決済手段が提供していた決済手段ポイント数(キャンペーンポイントがあった場合はさらにその一時的ポイント数)、(e)その決済において決済手段と併用したポイント付与プログラムが一時的に提供していた追加ポイント数(以上実施形態2)、を例示した。本発明の実施形態4では、その他考えられる学習項目の例と、その項目を学習することによって実施できる動作を説明する。その他構成は実施形態1~3と同様であるので、以下ではこれらに関する差異点について主に説明する。
【0054】
ユーザ300がどの決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせを選択するかは、決済日時によって影響される可能性がある。例えば特定の月や時間帯において特定の決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせを使用する傾向があることが考えられる。あるいは決済手段やポイント付与プログラムが提供するキャンペーンなどの追加ポイントが特定日時などに依拠する場合がある。例えば「毎月5がつく日(5日、15日、25日)のみポイント付与」などのキャンペーンがあり得る。そこで学習器170は、ユーザ300が過去に実施した決済の日時(年月日、曜日、時刻など)をあらかじめ学習してもよい。決済手段選択部110は、決済手段選択リクエストの受信日時を学習器170に対して入力する。これにより、現在日時においてユーザ300が選択する可能性が高い組み合わせを提示することができる。
【0055】
ユーザ300が過去に実施した決済手段提示リクエストにおいて提示した決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせのなかで、選択確率の順位が高かったものは、以後の決済においても選択する可能性が高いと考えられる。また選択確率の順位が低くとも選択された組み合わせについては、以後の決済手段提示リクエストにおける推定結果のなかで順位が低くとも、選択される可能性がある。すなわち過去に実施した決済手段提示リクエストにおける推定結果のなかの順位は、以後の決済においてユーザ300が選択する決済手段/ポイント付与プログラムと何らかの相関があると考えられる。そこで学習器170は、ユーザ300が過去に実施した決済手段提示リクエストにおいて提示した決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせの順位を、あらかじめ学習してもよい。
【0056】
この場合、決済手段選択部110は、まず決済手段特定部121/ポイント付与プログラム特定部122/決済手段ポイント取得部141/追加ポイント取得部142によって得られる、決済手段/ポイント付与プログラム/ポイント数の全組み合わせを取得し、その組み合わせをポイント数にしたがって(すなわちポイントが多い順に)並び替える。決済手段選択部110は、その並び替えによって得られる順位を、学習器170に対して入力する。これにより学習器170は、あらかじめ学習した過去の決済手段提示リクエストにおける順位にしたがって、推定結果を出力することができる。
【0057】
ユーザ300が決済時において取得するポイント数は、決済金額によって変動する場合がある。そこで学習器170は、ユーザ300が過去に実施した決済における決済金額をあらかじめ学習してもよい。決済手段選択部110は、ユーザ300が決済しようとしている金額を学習器170に対して入力することにより、あらかじめ学習した決済金額にしたがって、推定結果を取得することができる。ただしこの場合、ユーザ300は決済手段提示リクエストを発行する際に、決済金額をユーザ端末200に対して入力し、ユーザ端末200はその入力金額を決済手段提示リクエストとともに送信する必要がある。
【0058】
<実施の形態5>
実施形態1~4において、ユーザ端末200は、決済手段提示リクエストに対するレスポンスをユーザ300に対して提示する。このときどのような情報を提示するのかによって、ユーザ300に対して様々な便宜を供与することができる。そこで本発明の実施形態5では、ユーザ端末200がユーザ300に対して提示する画面例を説明する。その他構成は実施形態1~4と同様であるので、以下ではユーザ端末200上の画面について主に説明する。
【0059】
図7は、ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する画面例である。決済手段選択部110は、決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせとともに、ユーザ300がその組み合わせを選択する確率を返信する。ユーザ端末200はその確率が高い順に組み合わせを画面表示することができる。
【0060】
ユーザ端末200はその組み合わせに加えて、ユーザ300にとって有用な情報を併せて提示してもよい。例えばユーザ300がその組み合わせによって取得するポイントを金額に換算すると何円になるのかを提示することができる。図7においては、第2位の組み合わせについて、1000円決済することによって取得するポイントを金額に換算した例を示した。全ての組み合わせについて同様の情報を提示してもよいし、例えばユーザが図7の矢印を選択すると換算額を提示するようにしてもよい。
【0061】
ポイント数を金額換算した額は、例えばポイント算出部130がポイント数を算出する際に用いる情報(例:基準単価ごとのポイント数)に基づき算出することができる。この場合、決済手段選択部110はレスポンスと併せて、その情報をユーザ端末200に対して送信する。ユーザ端末200はその情報を用いて、図7のような情報を提示することができる。
【0062】
店舗特定部150が特定した店舗候補が複数ある場合、ユーザ端末200はその店舗候補を図7上部の選択欄のなかに表示することができる。ユーザ300はその選択欄が表示している店舗のなかから正しいものを選択することができる。ユーザ端末200は、選択された店舗のIDを、決済手段提示リクエストにおいてサーバ100に対して通知することができる。
【0063】
図8は、ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する別画面例である。決済手段選択部110は、決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせとともに、現金/ポイント付与プログラムの組み合わせについても、ユーザ300が取得するポイント数をレスポンスとともに返信してもよい。ユーザ端末200は、現金/ポイント付与プログラムの組み合わせについても、画面上で提示することができる。例えば基準単価ごとのポイント数にしたがって順位付けした上で、その他組み合わせの順位のなかに現金/ポイント付与プログラムの組み合わせを提示することができる。現金決済のみでポイント付与プログラムを用いない場合も同様に、併せて提示することができる。これによりユーザ300は、現金決済する場合とその他決済手段を用いる場合を比較して、どの程度の利益を得られるのか容易に把握することができる。
【0064】
図9は、ユーザ端末200が決済手段提示リクエストに対するレスポンスを表示する別画面例である。決済手段選択部110は、学習器170が推定した結果を、決済手段提示リクエストに対するレスポンスとして返信するが、これと併せて、ポイント算出部130が算出したポイント数にしたがって順位付けした結果を返信してもよい(またはポイント数のみを返信して順位付けはユーザ端末200が実施してもよい)。この場合ユーザ端末200は、ポイント数の大小にしたがって順位付けした結果と、学習器170による推定結果とを取得することになる。ユーザ端末200は、これら2つの結果をユーザ300に対して併せて提示してもよい。
【0065】
図9においては、2つの結果を同じ表示形式(決済手段/ポイント付与プログラムの組み合わせごとの順位)で提示した例を示したが、これに限るものではない。例えばポイント数による順位付け結果についてはアイコン画像などの視覚的情報によって結果提示することが考えられる。その他適当な手法により、2つの結果を並列提示してもよい。2つの結果を併せて提示することにより、ユーザ300は、決済支援システム10が提示する結果の妥当性を検証することができる。
【0066】
<本発明の変形例について>
以上の実施形態において、決済手段選択部110、決済手段特定部121、ポイント付与プログラム特定部122、ポイント算出部130、店舗特定部150、決済手段ポイント取得部141、追加ポイント取得部142、決済事業者ポイント設定部160は、これらの機能を実装した回路デバイスなどのハードウェアによって構成することもできるし、これらの機能を実装したソフトウェアをCPU(Central Processing Unit)などの演算装置が実行することによって構成することもできる。
【0067】
以上の実施形態において、学習器170は、学習結果を記述したデータと、そのデータにしたがってユーザ300に適した決済手段等を推定するプログラムとによって構成することができる。学習器170の学習アルゴリズムとしては、例えばニューラルネットワークその他の機械学習方式など、任意の学習方式を用いることができる。
【0068】
以上の実施形態において、学習器170は、ユーザごとに過去の決済履歴を学習してユーザごとの学習モデルを生成してもよいし、複数ユーザの決済履歴をまとめて学習して1つの学習モデルを生成してもよい。ユーザが好む決済手段の傾向は類似している可能性があるので、複数ユーザの決済履歴をまとめて1つの学習モデルとする場合であっても、相応の効果を得ることができる。ユーザごとに学習モデルを生成する場合、決済手段提示リクエストにおいてユーザ300のIDを併せて送信し、そのユーザIDに対応する学習モデルを用いればよい。
【0069】
以上の実施形態において、サーバ100が各機能部を備える構成例を説明したが、これら機能部は複数のコンピュータに分散して実装することもできる。その場合は各コンピュータが相互に例えば店舗IDなどを送受信することにより、必要なデータを互いに取得することができる。
【符号の説明】
【0070】
10:決済支援システム
100:サーバ
110:決済手段選択部
121:決済手段特定部
122:ポイント付与プログラム特定部
130:ポイント算出部
141:決済手段ポイント取得部
142:追加ポイント取得部
150:店舗特定部
160:決済事業者ポイント設定部
200:ユーザ端末
300:ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9