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特許7319982アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する焼成品
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  • 特許-アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する焼成品 図1
  • 特許-アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する焼成品 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する焼成品
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/043 20170101AFI20230726BHJP
   A21D 13/066 20170101ALI20230726BHJP
   A21D 2/36 20060101ALI20230726BHJP
   A21D 2/18 20060101ALI20230726BHJP
   A21D 15/02 20060101ALI20230726BHJP
   A21D 13/80 20170101ALI20230726BHJP
【FI】
A21D13/043
A21D13/066
A21D2/36
A21D2/18
A21D15/02
A21D13/80
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020536613
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 US2018067903
(87)【国際公開番号】W WO2019133836
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】62/611,665
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】バハモー、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】デラペーニャ、エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ウズナリオグル、ディレク
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、ジェフリー
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-165777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D、A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%のアルファ化されているが他は未加工であるワキシーキャッサバデンプンと、
(ii)ワキシーキャッサバデンプンではない第2のデンプン又は粉と、
(iii)別の従来のベーカリー成分と、を含む、凍結したグルテンフリーの焼成品であって、
前記第2のデンプン又は粉が、非ワキシーキャッサバ、米、ジャガイモ及びこれらの混合物からなる群から選択される、凍結したグルテンフリーの焼成品
【請求項2】
前記焼成品は、20℃~25℃に解凍された際に、300g~500g(重量グラム)、350g~450g(重量グラム)、又は375g~425g(重量グラム)のクラム硬度を有する、請求項1に記載の凍結したグルテンフリーの焼成品。
【請求項3】
前記焼成品が、クッキー、ケーキ、又はパンである、請求項1又は2に記載の凍結したグルテンフリーの焼成品。
【請求項4】
凍結したグルテンフリーの焼成品を作製する方法であって、
(i)アルファ化されているが他は未加工であるワキシーキャッサバデンプンを、ワキシーキャッサバデンプンではない第2のデンプン又は粉、及び別の従来のベーカリー成分と混合して混合物を形成することと、
(ii)前記混合物を焼成してグルテンフリーの焼成品を形成することと、
(iii)前記焼成品を凍結して前記凍結したグルテンフリーの焼成品を形成することと、を含み、
前記アルファ化されているが他は未加工であるワキシーキャッサバデンプンが、前記混合物の1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%の量で前記混合物に添加され
前記第2のデンプン又は粉が、非ワキシーキャッサバ、米、ジャガイモ及びこれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
前記焼成品が、クッキー、パン、又はケーキである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のデンプン又は粉が、未加工デンプン及び/又は粉である、請求項又はに記載の方法。
【請求項7】
前記焼成品は、20℃~25℃に解凍された際に、300g~500g(重量グラム)、350g~450g(重量グラム)、又は375g~425g(重量グラム)のクラム硬度を有する、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する改善された特性を有する焼成品及びかかる焼成品を作製する方法が本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0002】
当該技術分野は、焼成品の貯蔵寿命及び凍結/解凍安定性が、例えば、架橋デンプン及び/又はエーテル化デンプンなどの化学加工デンプンを添加することによって改善され得ることを示す。かかる化学加工デンプンは、経時的に増加した焼成品の硬度の低減によって測定される、貯蔵寿命及び凍結/解凍安定性を改善する。しかしながら、化学加工デンプンは、健康によくないと消費者に認識されている。したがって、焼成品中の化学加工デンプンを置き換えることができ、同様に経時的な焼成品の硬化を防止することができる、より健康的であると消費者に理解されるデンプンが当該技術分野で必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製されたクッキーの例示的実施形態の、周囲温度で1週間の保存及び10週間の保存後の硬度を、アルファ化化学加工ワキシーキャッサバデンプン、アルファ化ワキシートウモロコシデンプン、及びアルファ化化学加工ワキシートウモロコシデンプンで作製されたクッキーと比較する。
図2】アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製された解凍グルテンフリーパンの例示的実施形態の、-18℃で1日間の保存及び1週間の保存後に解凍した後に測定されたクラム硬度を、アルファ化非ワキシーキャッサバデンプン及びアルファ化化学加工ワキシーキャッサバデンプンで作製された解凍グルテンフリーパンと比較する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
一態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを第2の従来のベーカリー成分と混合して混合物を形成することと、混合物を焼成して焼成品を形成することと、を含む、焼成品を作製する方法を対象とする。別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプン及び未加工粉を第2の従来のベーカリー成分と混合して混合物を形成することと、混合物を焼成して焼成品を形成することと、を含む、焼成品を作製する方法を対象とする。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプン及び/又は第2のデンプンを第2の従来のベーカリー成分と混合して混合物を形成することと、混合物を焼成して焼成品を形成することと、を含む、焼成品を作製する方法を対象とする。本明細書に記載される1つ以上の方法では、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンは、老化防止剤として作用するのに十分な量で添加される。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンが、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製されていない焼成品と比較して、当該アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製された焼成品の湿潤性、凍結/解凍安定性、及び/又は貯蔵寿命を増加させる、1つ以上の方法を対象とする。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製された焼成品の硬度が、周囲温度(例えば、20℃~25℃)で10週間の保存後、ワキシーキャッサバデンプンで作製されていない焼成品と比較して低い方法を対象とする。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製された焼成品の硬度が、周囲温度(例えば、20℃~25℃)で10週間の保存後、アルファ化加工ワキシーキャッサバデンプンで作製された焼成品と比較して同等又は低い方法を対象とする。更なる態様は、焼成品の硬度が、周囲温度(例えば、20℃~25℃)で10週間の保存後、100%未満、200%未満、又は300%未満増加するか、又は硬度増加が、1週間の保存後の焼成品の硬度を10週間の保存後の焼成品の硬度と比較することによって決定される、焼成品をアルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製するための1つ以上の方法を対象とする。なお更なる態様は、焼成品をアルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製するための1つ以上の方法であって、当該方法が、冷凍及び解凍された後にアルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製されていない焼成品の硬度よりも低い焼成品を製造し、焼成品の硬度が、-18℃で7日間の保存後に測定される、方法を対象とする。なお更なる態様は、焼成品をアルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製するための1つ以上の方法であって、当該方法が、アルファ化加工ワキシーキャッサバデンプンで作製された焼成品の硬度と同等又はそれよりも低い焼成品を製造し、焼成品の硬さが、-18℃で7日間の保存後に測定される、方法を対象とする。追加の実施形態は、解凍焼成品を提供するために冷凍及び解凍される焼成品であって、解凍焼成品が、-18℃で7日間の保存中に100%、90%、80%、又は70%未満の硬度増加を有するか、又は-18℃で1日間の保存後の解凍焼成品の硬度を-18℃で7日間の保存後の解凍焼成品の硬度と比較したときに硬度増加を有する、焼成品を対象とする。
【0005】
別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを使用して、グルテンフリー又はグルテン含有焼成品を作製するための方法を対象とする。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを使用して、クッキー、グルテンフリークッキー、パン、グルテンフリーパン、黄色ケーキ(yellow cake)、及びグルテンフリー黄色ケーキから選択される焼成品を作製するための方法を対象とする。別の態様は、焼成品をアルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製する方法であって、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンがドラム乾燥によってアルファ化される、方法を対象とする。別の態様は、焼成品の0.1重量%~50重量%、1重量%~10重量%、又は1重量%~5重量%の量でアルファ化ワキシーキャッサバデンプンを使用して焼成品を作製するための方法を対象とする。別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、ワキシーキャッサバデンプンではない第2のデンプンとを含むデンプン混合物から焼成品を作製するための方法を対象とする。更に別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、第2のデンプンとを含むデンプン混合物から焼成品を作製するための方法であって、任意に、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンが、デンプン混合物の0.1%~10%の量で使用される、方法を対象とする。
【0006】
本明細書において、ワキシーキャッサバデンプン(タピオカデンプンとも呼ばれる)は、天然低アミロースデンプンである。実施形態では、ワキシーキャッサバデンプンは、10重量%未満のアミロース、又は5重量%未満のアミロース、又は3重量%未満のアミロース、又は本質的に0重量%のアミロースを有する。
【0007】
アルファ化は、当該技術分野で周知の用語である。この用語の完全な理解を狭めることなく、一態様では、アルファ化デンプンは、デンプン顆粒の内部構造を分解するのに十分な水の存在下で十分に加熱されたデンプンである。別の態様では、この分解は、デンプンが偏光下で見られたときに明らかなマルタ十字回折パターンの破壊によって測定され得る。本明細書において使用される場合、アルファ化デンプンは、具体的に示されない限り別段加工されない。加えて、本出願における加工デンプンへの参照は、例えば、ベースのデンプンへの化学的、酵素的、又は物理的加工を意味するが、これらに限定されない。例示的な加工としては、酸化、酵素、又は酸によるデンプン変換、例えば、プロピレンオキシド/オキシ塩化リン、無水酢酸/アジピン酸無水物、又はSTMP/STPPを使用したデンプン安定化及び/又は架橋、熱阻害又は熱アニーリング又はいわゆる熱水分処理などの熱処理が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
一実施形態では、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンは、噴霧乾燥、ドラム乾燥、及び押出を含むが、これらに限定されない任意の非化学的手段を使用してアルファ化され得る。ドラム乾燥を使用してデンプンをアルファ化するための例示的なプロセスは以下のとおりである。デンプンスラリー(固形分30~40%w/w)が、加熱された単一ドラムのアプリケーターローラー上に供給される(単一ドラムプロセス)。スラリーがドラム上にフィルムを形成し、フィルムがブレードを使用してドラムから除去される。その後、フィルムが所望の粒径に粉砕される。アルファ化の量は、例えば、スラリーの固形分、ドラムの温度、ドラムの回転速度、及び調理時間に影響される。一般に、ドラムは、50℃~150℃の温度まで加熱され、15~30rpmの速度で回転する。デンプンは、15~30分間調理される。
【0009】
いくつかの実施形態では、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンは、本明細書に記載される1つ以上の焼成品中の唯一のデンプン成分として使用され、使用されるアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの量は、焼成品の0.1重量%~50重量%、10重量%~40重量%、又は20重量%~30重量%である。
【0010】
別の態様は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含むデンプン混合物を対象とする。更に別の態様は、0.1重量%~50重量%、1重量%~25重量%、1重量%~10重量%、1重量%~5重量%、又は2重量%~7.5重量%のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含むデンプン混合物を対象とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のデンプン混合物は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、未加工、アルファ化、及び/又は加工であり得る少なくとも1つの他のデンプン又は粉とを含む。別の実施形態では、少なくとも1つの他のデンプン又は粉成分には、非ワキシーキャッサバデンプン(約10重量%のアミロースを天然に有する、より典型的には、15重量%~25重量%のアミロースを天然に有するキャッサバデンプン)、並びに他のワキシーデンプン(約10%未満のアミロース含有量)又は高アミロースデンプン(約40%超のアミロース)が含まれるが、これらに限定されず、例示的なスターチベース(高、低、又は標準アミロース含有量を有するかにかかわらず)には、小麦、米、ジャガイモ、トウモロコシ、オート麦、サゴ、クズウコン、エンドウマメ、ソラマメ、レンズマメ、及び他の豆類が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデンプン混合物は、グルテンフリーである。他の実施形態では、本明細書に記載されるデンプン混合物は、非ワキシーキャッサバデンプン、米粉、及びジャガイモデンプンを更に含む。更に他の実施形態では、本明細書に記載されるデンプン混合物は、小麦粉を含む。
【0011】
更に別の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のグルテンフリー焼成品(例えば、グルテンフリーパン)は、未加工デンプン及び/又は粉成分と、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンとを含むデンプン混合物から作製される。別の実施形態では、未加工デンプン及び/又は粉成分は、複数の未加工デンプン及び/又は粉成分を含む。別の実施形態では、未加工デンプン及び/又は粉成分は、未加工キャッサバデンプン(非ワキシー)、未加工米粉、及び未加工ジャガイモデンプンを含む。別の実施形態では、未加工キャッサバデンプン、未加工米粉、及び未加工ジャガイモデンプンは、約1:1:1の比率で混合される。別の実施形態では、これらの3つの成分のうちのいずれか1つは、未加工デンプン及び/又は粉成分の20%~40%を占め得る。
【0012】
別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品を対象とする。更なる実施形態は、1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品を対象とする。更に別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、第2の従来のベーカリー成分とを含む焼成品を対象とする。更なる実施形態は、1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、第2の従来のベーカリー成分とを含む焼成品を対象とする。更に別の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の焼成品は、ドラム乾燥によってアルファ化されたアルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有する。
【0013】
更に別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含むデンプン混合物を含む焼成品を対象とする。なお更なる実施形態では、焼成品は、グルテンフリー又はグルテン含有焼成品である。なお更なる実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の焼成品は、デンプン及び/又はデンプンを含む粉混合物を更に含むグルテンフリーパンであり、当該デンプンは、未加工であり、ワキシーキャッサバデンプンではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の焼成品は、パン、ピザ生地、クッキー、ケーキ、ブラウニー、パイクラスト、及びマフィンから選択される。いくつかの実施形態では、焼成品は、クッキーである。
【0014】
他の実施形態では、第2の従来のベーカリー成分は、甘味料(例えば、スクロース、コーンシロップ、レバウジオシド、及びアルルロースを含むが、これらに限定されない)、塩、膨張剤(例えば、重曹又はベーキングパウダー)、着香料、ヒドロコロイド、油又はショートニング又は他の脂肪、卵、水、ナッツ、果実、及びキャンディ(例えば、チョコレートチップ)から選択される。いくつかの実施形態では、焼成品は、黄色ケーキである。一実施形態では、黄色ケーキは、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、甘味料(例えば、スクロース、コーンシロップ、レバウジオシド、及びアルルロースを含むが、これらに限定されない)、塩、膨張剤(例えば、重曹又はベーキングパウダー)、着香料、ヒドロコロイド、油又はショートニング又は他の脂肪、卵、及び水又は他の液体(例えば、果汁、牛乳、及び油)から選択される第2の従来のベーカリー成分とを含む。別の実施形態では、焼成品は、グルテンフリーパンである。別の実施形態では、グルテンフリーパンは、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、甘味料(例えば、スクロース、コーンシロップ、レバウジオシド、及びアルロースを含むが、これらに限定されない)、塩、酵母又は他の膨張剤、着香料、ヒドロコロイド、油又はショートニング又は他の脂肪、卵、及び水から選択される第2の従来のベーカリー成分とを含む。
【0015】
別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品であって、ワキシーキャッサバデンプンではないデンプンで作製された焼成品の凍結/解凍安定性よりも良好な凍結/解凍安定性を有する、焼成品を対象とする。更に別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含むグルテンフリーパンであって、アルファ化加工ワキシーキャッサバデンプンを含むグルテンフリーパンの凍結/解凍安定性と同等の又はそれよりも良好な凍結/解凍安定性を有する、グルテンフリーパンを対象とする。他の実施形態では、-18℃で7日間保存された本明細書に記載される焼成品又はグルテンフリーパンは、20℃~25℃の温度で解凍した後、300g~500g(重量グラム)、350g~450g(重量グラム)、又は375g~425g(重量グラム)のクラム硬度を有する。別の実施形態では、-18℃で1日間保存された本明細書に記載される焼成品又はグルテンフリーパンは、20℃~25℃の温度で解凍した後、100g~300g(重量グラム)、150g~250g(重量グラム)、又は125g~225g(重量グラム)のクラム硬度を有する。別の実施形態では、本明細書に記載される焼成品又はグルテンフリーパンの-18℃で7日間の保存にわたるクラム硬度増加率は、100%未満、90%未満、80%未満、70%~90%、又は70%~80%であり、比較焼成品又はローフは、-18℃で1日間及び7日間保存され、クラム硬度は、焼成品又はローフが20℃~25℃の温度で解凍された後に測定される。
【0016】
別の実施形態は、アルファ化されたワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品であって、アルファ化非ワキシーキャッサバデンプン(化学加工のものか否かにかかわらず)を含む焼成品(グルテンフリーのもの又はグルテンフリーではないもの)の貯蔵寿命よりも良好な貯蔵寿命を有する、焼成品を対象とする。更に別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品(グルテンフリーのもの又はグルテンフリーではないもの)であって、アルファ化された化学加工ワキシーキャッサバデンプンを含む焼成品の貯蔵寿命と同等又はそれよりも良好な貯蔵寿命を有する、焼成品を対象とする。更に別の実施形態は、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含むクッキー又はケーキであって、アルファ化された化学加工ワキシーキャッサバデンプンを含むクッキー又はケーキの貯蔵寿命と同等又はそれよりも良好な貯蔵寿命を有する、クッキー又はケーキを対象とする。別の実施形態では、貯蔵寿命は、焼成品の硬度を経時的に測定することによって評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の焼成品又はクッキーは、周囲温度又は20℃~25℃の温度で1週間保存した後、250g~1500g(重量グラム)、500g~1000g(重量グラム)、又は500g~900g(重量グラム)の硬度を有する。別の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の焼成品又はクッキーは、周囲温度又は20℃~25℃の温度で10週間保存した後、1500g~3000g(重量グラム)、2000g~2500g(重量グラム)、又は2100g~2400g(重量グラム)の硬度を有する。なお更なる実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のクッキー又は焼成品の10週間を超える保存での硬度増加率は、400%未満、300%未満、200%未満、又は100%~400%とその間の全ての間隔であり、比較焼成品又はクッキーは、周囲温度又は20℃~25℃の温度で1週間又は10週間保存され、当該硬度は、20℃~25℃で測定される。
【0017】
なお更なる実施形態では、本明細書に記載される硬度は、20g(g)の印加力で、15mmの距離にわたって4mm/sの速度で前進させたプローブを使用したTA.XTテクスチャアナライザーで測定される。なお更なる実施形態では、硬度は、硬度を提供するために少なくとも10回測定されて平均される。
【0018】
本発明は、例示目的のために提供され、いかなる方法でも限定されない、以下の実施例を参照して更に説明される。当業者であれば、特許請求の範囲内である変形を実施例に加えることができることを理解するであろう。
手順
【0019】
硬度測定を、20g(g)の印加力で、15mmの距離にわたって4mm/sの速度で前進させたプローブを使用したTA.XTテクスチャアナライザーを使用して行った。試料当たり10回の測定を行った。
【実施例1】
【0020】
チョコレートチップクッキー
チョコレートチップクッキーを、表1に提供されるレシピを使用して作製した。
【表1】
【0021】
クッキーを、表1の成分を一緒に混合し、375°Fで8~10分間焼成することによって作製した。クッキーを冷却し、周囲温度で保存した。クッキーの硬度を、1週間及び10週間保存した後に測定した。
【0022】
クッキーを、表2に列記したデンプンを使用して調製した。
【表2】
【0023】
クラム力によって測定されるクッキーの貯蔵寿命を図1に報告し、これは、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを使用して作製したクッキーが、10週間保存した後、表2の他のデンプンのうちのいずれかで作製したクッキーよりも柔らかくなったことを示す。注目すべきことには、低速ドラム乾燥及び高速ドラム乾燥に供されたアルファ化ワキシーキャッサバデンプンから作製したクッキーが互いに同様の硬度を呈し、アルファ化加工ワキシーキャッサバデンプンと比較して改善された硬度を呈したため、この効果はドラム乾燥量とは無関係に観察された。ワキシーキャッサバデンプンを使用して作製した全てのクッキーが周囲温度で1週間保存した後に同様の硬度であったが、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを使用して作成したクッキーが、周囲温度で10週間保存した後、表2のルファ化加工ワキシーキャッサバデンプンで作製したクッキーよりも硬度が低かったことに更に注目すべきである。
【実施例2】
【0024】
グルテンフリーパン
グルテンフリーパンを、表3に提供したレシピを使用して作製した。
【表3】
【0025】
グルテンフリーパンを、(酵母を活性化するために)コーンシロップ、水(77°F)、及び酵母を一緒に混合することによって作製した。乾燥成分を混合し、酵母混合物を添加した。全ての成分を混合して、生地を形成した。生地を95°F(相対湿度85%)で60~80分間膨らませた。その後、生地を400°F~425°Fで45分間焼成してパン一斤を作製し、冷却させた。冷却したパン一斤をプラスチック袋に移し、凍結し、-18℃で保存した。24時間保存した後、及び1週間保存した後、パン一斤を解凍し、クラム硬度を測定した。
【0026】
グルテンフリーのパン一斤を、表4に列記したデンプンを使用して作製した。
【表4】
【0027】
結果を図2に示し、これは、アルファ化ワキシーキャッサバデンプンで作製した解凍パンが、パンを-18℃で1日間及び7日間保存した後、アルファ化非ワキシーキャッサバデンプン及びアルファ化化学加工ワキシーキャッサバデンプンで作製したパンと比較して、より柔らかいクラムを有し、クラム硬度増加率がより低いことを示す。
本開示は以下も包含する。
[項目1]
1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、第2の従来のベーカリー成分と、を含む、焼成品。
[項目2]
前記焼成品が、ワキシーキャッサバデンプンではない第2のデンプン又は粉を更に含むグルテンフリー焼成品である、項目1に記載の焼成品。
[項目3]
前記焼成品が、グルテンフリーパンである、項目1又は2に記載の焼成品。
[項目4]
前記焼成品は、焼成品が-18℃で7日間保存された場合、300g~500g(重量グラム)、350g~450g(重量グラム)、又は375g~425g(重量グラム)のクラム硬度を有し、前記クラム硬度が、前記焼成品を20℃~25℃で解凍した後に測定される、項目3に記載の焼成品。
[項目5]
前記焼成品が、1日以上保存された後に70%~90%のクラム硬度増加率を有する、項目4に記載の焼成品。
[項目6]
-18℃で1日間保存された後の前記焼成品のクラム硬度が、-18℃で7日間保存された後のクラム硬度と比較され、前記クラム硬度は、前記焼成品が20℃~25℃で解凍された後に測定される、項目5に記載の焼成品。
[項目7]
前記焼成品が、20℃~25℃で10週間保存された場合、2,000g~2,500g(重量グラム)の硬度を有する、項目1又は2に記載の焼成品。
[項目8]
前記焼成品が、100%~400%の硬度増加率を有し、比較焼成品が、20℃~25℃で1週間又は10週間保存され、前記硬度が、20℃~25℃で測定される、項目7に記載の焼成品。
[項目9]
前記焼成品が、クッキーである、項目1、2、7、又は8のいずれか一項に記載の焼成品。
[項目10]
前記硬度が、20g(gf)の印加力で、15mmの距離にわたって4mm/sの速度で前進させたプローブを使用したTA.XTテクスチャアナライザーを使用して測定される、項目4~9のいずれか一項に記載の焼成品。
[項目11]
前記硬度が、前記硬度を提供するために少なくとも10回測定されて平均される、項目10に記載の焼成品。
[項目12]
前記アルファ化ワキシーキャッサバデンプンが、ドラム乾燥によってアルファ化される、項目11に記載の焼成品。
[項目13]
焼成品を作製する方法であって、
アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを第2の従来のベーカリー成分と混合して混合物を形成することと、前記混合物を焼成して焼成品を形成することと、を含む、方法。
[項目14]
前記アルファ化ワキシーキャッサバデンプンが、1重量%~10重量%又は1重量%~5重量%の量で前記混合物に添加される、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記焼成品を20℃~25℃で10週間保存することを更に含み、保存中、前記焼成品の硬度が、100%、200%、又は300%未満増加する、項目13又は14に記載の方法。
[項目16]
前記硬度増加が、1週間の保存後の前記焼成品の硬度を10週間の保存後の前記焼成品の硬度と比較することによって決定される、項目15に記載の方法。
[項目17]
前記焼成品が、クッキー、パン、又はケーキである、項目13~16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
未加工デンプン及び/又は粉を前記混合物に添加することを更に含む、項目13~17のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
前記焼成品が、グルテンフリー焼成品である、項目13~18のいずれか一項に記載の方法。
[項目20]
前記焼成品が、解凍焼成品を提供するために凍結及び解凍され、前記解凍焼成品が、-18℃で7日間の保存中に100%、90%、80%、又は70%未満の硬度増加を有する、項目13~19のいずれか一項に記載の方法。
[項目21]
前記硬度増加が、-18℃で1日間の保存後の前記解凍焼成品の硬度を、-18℃で7日間の保存後の前記解凍焼成品の硬度と比較することによって決定される、項目20に記載の方法。
[項目22]
前記硬度が、20g(gf)の印加力で、15mmの距離にわたって4mm/sの速度で前進させたプローブを使用したTA.XTテクスチャアナライザーを使用して測定される、項目15~21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
前記硬度が、前記硬度を提供するために少なくとも10回測定されて平均される、項目22に記載の方法。
[項目24]
焼成品中での1%~10%又は1~5%の量のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの使用。
[項目25]
前記焼成品が、グルテンフリーパンである、項目24に記載のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの使用。
[項目26]
前記アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有しない焼成品と比較して周囲温度で測定される前記焼成品のクラム硬度増加率を低減するための、項目24又は25に記載のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの使用であって、前記クラム硬度は、前記焼成品が-18℃で1日間保存された後の前記解凍焼成品のクラム硬度を、前記焼成品が-18℃で7日間保存された後の前記解凍焼成品のクラム硬度と比較することによって決定される、使用。
[項目27]
前記焼成品が、クッキーである、項目24に記載のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの使用。
[項目28]
前記クッキーが周囲温度で1週間及び10週間保存された後に前記アルファ化ワキシーキャッサバデンプンを含有しないクッキーと比較して前記クッキーの硬度増加率を低減するための、項目27に記載のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンの使用。
[項目29]
前記硬度が、20g(gf)の印加力で、15mmの距離にわたって4mm/sの速度で前進させたプローブを使用したTA.XTテクスチャアナライザーを使用して測定される、項目26~28のいずれか一項に記載の使用。
[項目30]
前記硬度が、前記硬度を提供するために少なくとも10回測定されて平均される、項目29に記載の使用。
[項目31]
0.1%~10%重量のアルファ化ワキシーキャッサバデンプンと、第2のデンプン又は粉と、を含む、デンプン混合物。
[項目32]
前記混合物が、グルテンフリーである、項目31に記載のデンプン混合物。
[項目33]
前記第2のデンプン又は粉が、非ワキシーキャッサバデンプン、米粉、及びジャガイモデンプンを含む、項目31又は32に記載のデンプン混合物。
[項目34]
前記第2のデンプン又は粉が、小麦粉である、項目31又は33に記載のデンプン混合物。
図1
図2