(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】試料中の粒子濃度を決定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20230726BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230726BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20230726BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230726BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/53 Y
G01N33/569 B
G01N35/08 A
G01N37/00 101
(21)【出願番号】P 2020563648
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2019061902
(87)【国際公開番号】W WO2019215273
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】520433827
【氏名又は名称】サンドストーン ダイアグノスティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エパーソン
(72)【発明者】
【氏名】ローラ フレドリクセン
(72)【発明者】
【氏名】キョンチン ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェンク-サン リー
(72)【発明者】
【氏名】バイラビ ラジーブ パリック
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ シャフ
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518276(JP,A)
【文献】特開平04-212037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0212992(US,A1)
【文献】特表2016-507065(JP,A)
【文献】特表2012-525850(JP,A)
【文献】特開2014-103966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-35/10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料(302)中の標的細胞の濃度を決定する方法を実行するためのキットであって、
カートリッジを回転軸の周りで回転させ、試料中の複数の標的細胞を検出するように構成された機器に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジ(101;1100;2100;3100;4100)であって、前記カートリッジは、
前記試料を収容するように構成された入口リザーバ(102;4122)を画定する入口部分(4120)と、
分離チャンバ(104;2143;4143)を画定する第1の表面(2141;3141;4141)および第2の表面(2142;3142;4142)を含む分離部分(2140;3140;4140)であって、前記分離チャンバは、前記カートリッジが回転する際に前記試料の少なくとも一部が前記入口リザーバから前記分離チャンバに通過できるように、前記入口リザーバに流体的に結合されるように構成された、分離部分と、
検出チャンバ(105;2163;3163;4163)を画定する検出部分(1160;2160;3160;4160)であって、前記検出部分は、前記検出チャンバの境界を形成する検出表面(401;1162;2161;3161;4161)を含み、前記検出チャンバは、少なくとも前記複数の標的細胞が前記分離チャンバを通過して前記検出チャンバ内に入れるように前記分離チャンバに流体的に結合されており、前記検出表面および前記分離部分の前記第1の表面が非ゼロの検出角度を形成し、前記検出表面は、前記複数の標的細胞を捕捉するように構成されている、検出部分と、を有する、カートリッジと、
1.01g/cm
3~1.13g/cm
3の間の密度を有する、汚染物質から標的細胞を分離するように処方された密度媒体(301)と、
前記複数の標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方された染色試薬と、
を備えたキット。
【請求項2】
前記検出表面と前記分離部分の前記第1の表面との間の
非ゼロの検出角度
が1度
~8度の間であり、前記検出表面は、前記複数の標的細胞の付着を増強するための表面修飾(407)を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記分離部分の第1の表面および前記検出表面がモノリシックに構築されており、前記
非ゼロの検出角度
は2度である、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記密度媒体が、前記カートリッジとは別であり、前記カートリッジの体積の50パーセント未満の体積を有する、事前に充填された密封された容器内に保管されており、そして/あるいは
前記密度媒体が、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
希釈試薬をさらに含み、前記希釈試薬が、前記カートリッジとは別の事前に充填された容器により保管され、前記希釈試薬が、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
試料(302)中の複数の標的細胞の濃度を検出する方法であって、前記方法は、
汚染物質から標的細胞を分離するように処方された密度媒体(301)を容器からカートリッジ(101;1100;2100;3100;4100)内に移送することであって、前記カートリッジは、入口部分(4120)、分離部分(2140;3140;4140)および検出部分(1160;2160;3160;4160)を含み、前記入口部分は、入口リザーバ(102;4122)を画定し、前記分離部分は、分離チャンバ(104;2143;4143)を画定する第1の表面(2141;3141;4141)および第2の表面(2142;3142;4142)を含み、前記分離チャンバは、前記入口リザーバに流体的に結合され、前記検出部分は、検出チャンバ(105;2163;3163;4163)の境界を形成する検出表面(401;1162;2161;3161;4161)を含み、前記検出チャンバは、前記分離チャンバに流体的に結合され、前記検出表面および前記分離部分の前記第1の表面は、非ゼロの検出角度を形成し、前記検出表面は前記複数の標的細胞を捕捉するように構成され、前記移送は、前記密度媒体が前記分離チャンバ内に含まれるように行われ、前記密度媒体は、前記試料の第1の部分の密度よりも大きく、かつ前記試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有し、前記試料の前記第2の部分は、前記複数の標的細胞を含む、密度媒体を容器からカートリッジ内に移送することと、
前記試料を前記入口リザーバ内に輸送することと、
機器内で前記カートリッジを、a)前記試料の前記第2の部分が前記入口リザーバから前記分離チャンバ内の前記密度媒体を通って前記検出チャンバに通過し、b)前記複数の標的細胞が前記検出表面に捕捉される、のに十分な回転速度および回転時間で回転させることと、
前記機器の検出器を介して、前記検出表面に捕捉された前記複数の標的細胞の量を示す信号を受信することと、
前記信号に基づいて、前記試料中における前記複数の標的細胞の濃度を決定することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記カートリッジ内に希釈試薬を輸送することであって、前記希釈試薬または前記密度媒体のうちの少なくとも1つは、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む、前記カートリッジ内に希釈試薬を輸送することをさらに含み、そして、前記希釈試薬を輸送することは、前記希釈試薬を前記試料と混合し、前記希釈試薬と前記試料とを同じ操作で前記カートリッジの前記入口リザーバ内に輸送することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記密度媒体が1.01g/cm
3~1.13g/cm
3の間の密度を有する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
治療プロトコルに対する複数の標的細胞の感受性を決定する方法であって、前記方法は、
前記複数の標的細胞を含む試料の第1の部分をカートリッジ(101;1100;2100;3100;4100)内に輸送することであって、前記カートリッジは、分離部分(2140;3140;4140)および検出部分(1160;2160;3160;4160)を含み、前記分離部分は、分離チャンバ(104;2143;4143)を画定する第1の表面(2141;3141;4141)および第2の表面(2142;3142;4142)を含み、前記検出部分は、検出チャンバ(105;2163;3163;4163)を画定する境界を形成する検出表面(401;1162;2161;3161;4161を含み、前記検出チャンバは前記分離チャンバに流体的に結合されており、前記検出表面および前記分離部分の前記第1の表面は非ゼロの検出角度を形成し、前記検出表面は、前記複数の標的細胞を捕捉するように構成されている、試料の第1の部分をカートリッジ内に輸送することと、
第1の機器を作動させることであって、これにより前記第1の機器に、
前記カートリッジを、a)前記試料の前記第1の部分が前記分離チャンバを通って前記検出チャンバ内に輸送され、b)前記複数の標的細胞が前記検出表面上に捕捉される、のに十分な回転速度で回転させ、
前記第1の機器の検出器を介して、前記検出表面上に捕捉された前記複数の標的細胞の量を示す信号を受信させ、
前記信号に基づいて、前記試料の前記第1の部分における前記複数の標的細胞の濃度を決定させる、第1の機器を作動させることと、
前記試料の前記第1の部分における前記複数の標的細胞の濃度に基づいて前記試料の第2の部分を処理することと、
前記処理後、前記試料の前記第2の部分を反応チャンバ内に輸送することと、
前記
治療プロトコルに対する前記複数の標的細胞の感受性を決定するために、前記試料の前記第2の部分に対して感受性分析を実行するために第2の機器を作動させることと、を含む、方法。
【請求項10】
装置であって、
試料中の複数の標的細胞を捕捉するためにカートリッジを回転軸の周りで回転させるように構成された回転要素に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジ(101;1100;2100;3100;4100)であって、前記カートリッジは、
前記
試料を収容するように構成された入口リザーバ(102;4122)を画定する入口部分(4120)と、
分離チャンバ(104;2143;4143)を画定する第1の表面(2141;3141;4141)および第2の表面(2142;3142;4142)を含む分離部分(2140;3140;4140)であって、前記分離部分は、汚染物質から標的細胞を分離するように処方され、かつ前記試料の第1の部分の密度よりも大きく、かつ前記試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体(301)を含むように構成され、前記第2の部分は前記複数の標的細胞を含み、前記分離チャンバは、前記カートリッジが回転する際に前記試料の少なくとも前記第2の部分が前記入口リザーバから前記分離チャンバに通過できるように、前記入口リザーバに流体的に結合されるように構成されている、分離部分と、
検出チャンバ(105;2163;3163;4163)の境界を形成する検出表面(401;1162;2161;3161;4161)を含む検出部分(1160;2160;3160;4160)であって、前記検出チャンバは、少なくとも前記複数の標的細胞が前記密度媒体を通過して前記検出チャンバに入ることができるように前記分離チャンバに流体的に結合され、前記検出表面は、前記複数の標的細胞が前記検出チャンバに入るときに前記検出表面に衝突するように、前記第1の表面または前記第2の表面の少なくとも1つに非平行であり、前記検出表面は、前記複数の標的細胞を捕捉するように構成されている、検出部分と、を含む、カートリッジと、
希釈試薬であって、前記希釈試薬または前記密度媒体のうちの少なくとも1つが、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む、希釈試薬と、
を備えた、装置。
【請求項11】
前記分離部分の前記第1の表面および前記検出表面が
、1度
~8度の間の検出角度を形成する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記分離部分の前記第1の表面および前記検出表面がモノリシックに構築されている、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記カートリッジが、前記回転軸と交差する半径方向軸を規定し、前記分離部分の前記第1の表面および前記検出表面がモノリシックに構築されており、前記検出角度が、前記半径方向軸に沿っており、かつ前記半径方向軸と前記回転軸とによって規定される断面内にある、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記入口部分は、そこを通して前記試料が前記入口リザーバ内に輸送され得る開口部を画定し、前記検出表面は、前記開口部に対して下向きに傾斜している、請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記分離チャンバの容積と前記検出チャンバの容積との比が少なくと
も2.0である、請求項10~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記分離部分の前記第1の表面と前記分離部分の前記第2の表面との間の距離が前記分離チャンバの厚さを規定し、前記厚さ
が0.6mm未満である、請求項10~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
密度媒体をさらに含み、前記密度媒体が1.01g/cm
3~1.13g/cm
3の間の密度を有する、請求項10~16のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2018年5月9日に出願された「細菌分析のための装置および方法」と題された米国仮出願番号第62/669、357号および2018年12月28日に提出された「試料中の粒子濃度を決定するための装置および方法」と題された米国仮出願番号第62/785、752号に対する優先権の利益を主張し、そのそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、既知または疑わしい微生物含有量を有する生物学的試料中の標的細胞を列挙するために使用される装置および方法に関する。具体的には、本明細書に記載の実施形態は、検出表面への細胞の遠心プレーティング、サイズおよび/または密度に基づく細胞の分離、および捕捉された細胞から生成された信号に基づく粒子の列挙を含むカートリッジおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血液感染症、または敗血症は、入院の1~2%で発生する血液中の微生物感染症である。米国では年間20万人以上が死亡している。敗血症の治療経路は主にブルートフォースに依存しており、多くの場合、確定診断が下される前に始まる。感染の性質に関するさらなる情報は、医療提供者に的を絞った治療計画を作成するためのより大きな能力を与えることができる。さらに、医療従事者または研究者は、試料中の細胞の濃度に応じて有効性が変化する可能性のある既知の分析法を使用して、感染の性質を分析することを望む場合がある。たとえば、標的細菌が既知の抗生物質を使用する治療に感受性であるかどうかを決定するための試験(すなわち、抗生物質感受性試験またはAST:antibiotic susceptibility test)では、試料中の細菌が所望の濃度範囲内にあることがしばしば必要とされる。たとえば、試料中の細菌の濃度が目的の範囲を下回っている場合、ASTの結果により、細菌が感受性であると誤って識別される可能性がある。逆に、試料中の細菌の濃度が望ましい範囲を超えている場合、ASTの結果により、細菌が抗生物質に耐性があると誤って識別される可能性がある。したがって、いくつかの既知の分析法は、最初に試料中の細菌を数えることを含む。
【0004】
細菌を数えるための現在の方法には、定量的培養、最も可能性の高い数分析(most probable number analysisMPN:)、直接血球計算盤、および光学密度の直接測光測定が含まれる。敗血症試料では、細菌を数えるために使用される主な方法は、培養寒天上に細胞の連続希釈液をプレーティングし、その後、菌株の同一性または菌株混合物の同一性に応じて16時間以上かかる培養期間を伴う定量培養である。細胞は、プレート上にコロニーが形成されるまでの培養時間後に、コロニー形成単位(CFU)として計数される。実用的な情報は、血球計算盤または光学密度測定を使用してより早く取得される可能性があるが、既知の方法からの結果は、血液試料の不均一な性質によって難読化される可能性がある。血球計算盤は、グリッドを含む、または顕微鏡のレチクルを通して結像された、固定深度のスライド上の細胞を直接計数することである。赤血球(RBC)や白血球(WBC)の場合のように隠れたり、明視野結像で同様の見かけのサイズ(血小板)を持ったりする他の細胞が存在する場合、この手法は機能しない可能性がある。光学密度は光の散乱を測定する。これは一般に細胞密度と相関するが、この手法では試料マトリックスとひずみの同一性に関して相関曲線が変化し、光を散乱させる他の非分析物細胞が存在するためにエラーが発生しやすくなる。別の言い方をすれば、粒子の標的分析物集団の測定は、粒子状汚染物質の存在によってしばしば悩まされる。たとえば、既知の装置および方法を使用して全血中に懸濁された細菌の濃度を測定することは、血小板および血球のアポトーシス断片などの同様のサイズの粒子の存在のために問題がある。全血の粒子汚染は、血球の分解とタンパク質の凝固が実際の細菌の濃度を大幅に超える可能性のある細菌サイズの粒子を大量に生成する血液培養での測定の場合に悪化する。フローサイトメトリーまたは吸収分光法などの他の従来技術の粒子計数方法もまた、汚染粒子による干渉に悩まされている。
【0005】
さらに、MPNなどの既知の方法では、試料の段階希釈と統計式を使用して元の量を決定し、結果を決定するのに24~48時間かかる場合がある。
【0006】
さらに、細菌を数えるためのいくつかの既知の方法は、分析される細菌の菌株(たとえば、細菌がグラム陽性であるかグラム陰性であるか)に応じて変化する可能性がある。血液検査室での菌株の同定は、現在、選択培地と顕微鏡を利用できる訓練を受けた技術者によって行われる高度な微生物学的作業を通じて達成されている。細菌のグラム同一性を識別するためにグラム染色が使用される。選択培地(特定の栄養素のみを含む増殖培地を含む寒天プレート。特定のカテゴリの細菌は、特定の不足または含まれる栄養素で増殖できる場合とできない場合がある)は、特定の細菌類または遺伝子に絞り込むためによく使用される。高度な研究環境では、菌株の同定は16S-rRNAシーケンスまたはMALD-TOFの使用によって行われる。これらの技術はそれぞれ最低16時間必要であり、細胞培養プレートを増殖させて、結像または増殖培地の複数のプレートに播種できる細菌の量を分離する必要がある。
【0007】
したがって、試料中の標的細胞(たとえば、細菌)の濃度を決定するための改善された装置および方法の必要性が存在する。特に、細菌濃度の広いダイナミックレンジにわたって正確な結果を提供することができる細菌を列挙するための改善された装置および方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
試料中の標的細胞(たとえば、細菌)の濃度を決定するための装置、システム、キット、および方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を決定するためのシステム、キット、または方法は、回転軸を中心にカートリッジを回転させて試料中の標的細胞を捕捉する回転要素に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジを含む。カートリッジは、試料を含むように構成された入口リザーバを画定する入口部分、分離部分、および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。分離部分は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体を含むことができる。試料の第2の部分には、標的細胞が含まれている。分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも第2の部分が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成される。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、少なくとも標的細胞が密度媒体を通過して検出チャンバに入ることができるように、分離チャンバに流体的に結合されている。検出表面は、第1の表面または第2の表面のうちの少なくとも1つに対して非平行であり、その結果、標的細胞は、検出チャンバに入るときに表面に衝突する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。
【0009】
本明細書に開示されるカートリッジは、試料を収容するように構成された入口リザーバを画定する入口部分と、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成される分離部分と、検出チャンバを画定する検出部分であって、検出チャンバは、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、少なくとも複数の標的細胞が分離チャンバを通過できるように、分離チャンバに流体的に結合され、検出チャンバ内に、検出表面および分離部分の第1の表面がゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される検出部分と、を含み得る。
【0010】
一態様では、カートリッジを回転軸の周りで回転させ、試料中の複数の標的細胞を検出するように構成された器具に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジを含むキットが提供され、カートリッジは、試料を収容するように構成された入口リザーバを画定する入口部分と、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成される、分離部分と、検出チャンバを画定する検出部分であって、検出チャンバは、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、少なくとも複数の標的細胞が分離チャンバを通過できるように、分離チャンバに流体的に結合されており、検出チャンバ内に、検出表面および分離部分の第1の表面がゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される、検出部分と、1.01g/cm3~1.13g/cm3の間の密度を有する密度媒体;複数の標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方された染色試薬と、を含む。このようなキットは、試料中の複数の標的細胞の濃度を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態では、キットは、希釈試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出表面と分離部分の第1の表面との間の検出角度は、約1度~約8度の間であり、検出表面は、複数の標的細胞の接着を増強するための表面修飾を含む。いくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面および検出表面は、モノリシックに構築されており、検出角度は約2度である。いくつかの実施形態では、検出表面は、複数の標的細胞の接着を増強するための化学修飾を含む。特定の実施形態では、表面修飾は、帯電したポリマーを含むコーティングを含む。いくつかの実施形態では、密度媒体は、カートリッジとは別であり、カートリッジの容積の50パーセント未満の容積を有する、事前に充填された密封された容器内に保管される。いくつかの実施形態では、密度媒体は、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、希釈試薬は、カートリッジとは別の事前に充填された容器とともに保管され、希釈試薬は、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。
【0011】
別の態様では、試料中の複数の標的細胞の濃度を検出する方法が提供される。この方法は、試料をカートリッジの入口リザーバ内に輸送することであって、カートリッジは、分離部分および検出部分をさらに含み、分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含み、分離チャンバは、流体的に構成されるように構成され、入口リザーバに結合され、検出部分は、検出チャンバを画定し、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合され、検出表面、および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成されている、輸送することと、カートリッジを機器の回転要素に結合することと、機器を作動させることであって、これにより、機器に、a)試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送され、b)複数の標的細胞が検出表面上に捕捉されるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させ、機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された複数の標的細胞の量を示す信号を受信させ、信号に基づいて、試料中の複数の標的細胞の濃度を、ミリリットル(mL)あたり10^3コロニー形成単位(CFU)の下限およびmLあたり10^9CFUの上限内で決定させる、作動させることとを含む。
【0012】
別の態様では、試料をカートリッジの入口リザーバ内に輸送することを含む、試料中の複数の標的細胞の濃度を検出する方法が提供される。カートリッジは、分離部分および検出部分を含む。分離部分は、入口リザーバに流体的に結合することができる分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合されており、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。カートリッジは、機器の回転要素に結合されている。次に、計測器が作動して、計測器に次の動作をさせる。(1)試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送され、標的細胞が検出表面に捕捉されるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させる。(2)機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信する。(3)信号に基づいて、試料中の複数の標的細胞の濃度を決定する。
【0013】
別の態様では、試料中の複数の標的細胞の濃度を検出する方法が提供される。この方法は、密度媒体を容器からカートリッジに移送することであって、カートリッジは、入口部分、分離部分および検出部分を含み、入口部分は、入口リザーバを画定し、分離部分は、第1の表面および第2の表面を含み、分離チャンバ、分離チャンバは入口リザーバに流体的に結合され、検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、分離チャンバ、検出表面、および第1の表面に流体的に結合され、ゼロ以外の検出角度を形成する分離部分であって、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成され、密度媒体が分離チャンバ内に含まれるように移送が行われ、密度媒体は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有し、試料の第2の部分は複数の標的細胞を含む、移送することと、試料を入口リザーバに移送することと、機器内で、a)試料の第2の部分が入口リザーバから分離チャンバ内の密度媒体を通って検出チャンバに通過し、b)複数の標的細胞が検出表面に捕捉される、のに十分な回転速度、回転時間の間カートリッジを回転させることと、機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された複数の標的細胞の量を示す信号を受信することと、信号に基づいて、試料中の複数の標的細胞の濃度を決定することとを含む。
【0014】
別の態様では、治療プロトコルに対する複数の標的細胞の感受性を決定する方法が提供される。この方法は、複数の標的細胞を含む試料の第1の部分をカートリッジ内に輸送することであって、カートリッジは、分離部分および検出部分を含み、分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含み、検出部分は、検出チャンバを画定する境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合され、検出表面および分離部分の第1の表面はゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成されている、輸送することと、第1の機器を作動させることであって、これにより、第1の機器に、a)試料の第1の部分が分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送され、b)複数の標的細胞が検出表面にキャプチャされるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させ、第1の機器の検出器を介して、検出表面上に捕捉された複数の標的細胞の量を示す信号を受信させ、信号に基づいて、試料の第1の部分における複数の標的細胞の濃度を決定させる、作動させることと、試料の第1の部分内の複数の標的細胞の濃度に基づいて、試料の第2の部分を処理することと、処理後、試料の第2の部分を反応チャンバ内に輸送することと、第2の機器を作動させて、試料の第2の部分に対して感受性分析を実行して、治療プロトコルに対する複数の標的細胞の感受性を決定することとを含む。いくつかの実施形態では、方法処理は、試料の第2の部分内の複数の標的細胞の濃度が所定の範囲内になるまで、試料の第2の部分を希釈することを含む。
【0015】
上記および本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、複数の標的細胞の濃度は、ミリリットル(mL)あたり10^3コロニー形成単位(CFU)の下限およびmLあたり10^9CFUの上限内である。この濃度は、機器によって決定される場合がある。いくつかの実施形態では、下限は1mLあたり約10^5CFUである。いくつかの実施形態では、入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送される試料の一部は、第2の部分であり、カートリッジは、分離チャンバ内に密度媒体を含み、密度媒体は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有し、試料の第1の部分は、カートリッジを回転させた後分離チャンバ内に維持される。いくつかの実施形態では、入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送される試料の一部は第2の部分であり、この方法は、試料が入口リザーバ内に輸送される前に、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体をカートリッジ内に輸送することをさらに含み、カートリッジが回転された後、試料の第1の部分が分離チャンバ内に維持される。いくつかの実施形態では、この方法は、希釈試薬をカートリッジ内に輸送することをさらに含み、希釈試薬、または密度媒体のうちの少なくとも1つは、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、希釈試薬の輸送は、希釈試薬を試料と混合し、希釈試薬および試料を同じ操作でカートリッジの入口リザーバ内に輸送することを含む。いくつかの実施形態において、希釈試薬は、密度媒体と共にカートリッジ内に輸送され、希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、密度媒体は、1.05g/cm3~1.09g/cm3の間の密度を有する。いくつかの実施形態において、希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、ポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍試料である。特定の実施形態では、試料は、血液試料または尿試料のいずれか1つである。特定の実施形態では、血液試料は培養血液試料であり、複数の標的細胞は、複数の細菌細胞である。特定の実施形態では、複数の細菌細胞は、腸内細菌科、シュードモナス属、アシネトバクター属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、または腸球菌属のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、培養血液試料をカートリッジの入口リザーバ内に輸送する前に、生の培養血液試料を処理して培養血液試料を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、染色試薬を試料と混合することをさらに含み、染色試薬は、複数の標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方される。特定の実施形態では、染色試薬は、複数の標的細胞を染色するように処方された蛍光染色試薬である。いくつかの実施形態では、機器は、カートリッジを約3000rpm~15,000rpmの間の回転速度で少なくとも1分間回転させる。特定の実施形態では、回転速度は、約6000rpm~7000rpmの間である。いくつかの実施形態では、容器およびカートリッジは、キット内に一緒に包装される。
【0016】
別の態様では、回転軸を中心にカートリッジを回転させて試料中の複数の標的細胞を捕捉するように構成された回転要素に取り外し可能に結合するように構成されたカートリッジを含む装置が提供され、カートリッジは、試料を含むように構成されている入口リザーバを画定する入口部分と、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、分離部分は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体を含むように構成され、第2の部分は複数の標的細胞を含み、分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも第2の部分が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成された、分離部分と、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む検出部分であって、検出チャンバは、少なくとも複数の標的細胞が密度媒体を通過して検出チャンバに入ることができるように分離チャンバに流体的に結合され、検出表面は、複数の標的細胞が検出チャンバに入るときに検出表面に衝突するように、第1の表面または第2の表面のうちの少なくとも1つに非平行であり、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される、検出部分と、希釈試薬であって、希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つが、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む、希釈試薬と、を含む。
【0017】
別の態様では、回転軸を中心にカートリッジを回転させて試料中の複数の標的細胞を捕捉するように構成された回転要素に取り外し可能に結合するように構成されたカートリッジを含む装置が提供され、カートリッジは、試料を含むように構成されている入口リザーバを画定する入口部分と、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、分離チャンバは、カートリッジが回転する際に、試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバ内に輸送され得るように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成された、分離部分と、検出チャンバを画定する検出部分であって、検出部分は検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、少なくとも複数の標的細胞が分離チャンバを通って検出チャンバに内輸送されることができるように分離チャンバに流体的に結合され、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は複数の標的細胞の接着を増強するための表面修飾を含み、分離チャンバの容積および検出チャンバの容積の比は、少なくとも約2.0である、検出部分とを含む。
【0018】
さらに別の態様では、試料中の複数の標的細胞を捕捉するためにカートリッジを回転軸の周りで回転させるように構成された回転要素に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジを含む装置が提供され、カートリッジは、入口を画定する入口部分を含む。試料を収容するように構成されたリザーバ。分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体を含むように構成された分離部分。試料、複数の標的細胞を含む第2の部分、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも第2の部分が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成された分離チャンバ。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合され、その結果、少なくとも複数の標的細胞は、密度媒体を通過して、検出チャンバ、検出表面に入ることができる。複数の標的細胞が検出チャンバに入るときに検出表面に衝突するように、第1の表面または第2の表面のうちの少なくとも1つに非平行であり、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。
【0019】
別の態様では、回転軸を中心にカートリッジを回転させて試料中の複数の標的細胞を捕捉するように構成された回転要素に取り外し可能に結合するように構成されたカートリッジを含む装置が提供され、カートリッジは、試料を含むように構成されている入口リザーバを画定する入口部分と、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む分離部分であって、分離チャンバは、カートリッジが回転する際に、試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバ内に輸送され得るように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成された、分離部分と、検出チャンバを画定する検出部分であって、検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含み、検出チャンバは、少なくとも複数の標的細胞が分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送されることができるように分離チャンバに流体的に結合され、検出表面および分離部分の第1の表面はゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は複数の標的細胞を捕捉するように構成され、分離チャンバの容積および検出チャンバの容積の比は、少なくとも約2.0である、検出部分とを含む。
【0020】
上記および本明細書に記載の装置のいくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面および検出表面は、約1度~約8度の間の検出角度を形成する。特定の実施形態では、検出角度は約2度である。いくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面と検出表面との間の遷移領域は、0.1mm未満の最大曲率半径を規定する。いくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面と分離部分の第2の表面との間の距離は、分離チャンバの厚さを規定し、その厚さは、約0.6mm未満である。特定の実施形態では、分離チャンバの厚さは約0.3mm未満である。いくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面および検出表面は、モノリシックに構築される。いくつかの実施形態では、カートリッジは、回転軸と交差する半径方向軸を規定し、分離部分の第1の表面および検出表面はモノリシックに構築されており、検出角度は、半径方向軸に沿っており、半径方向軸と回転軸によって規定される断面内にある。いくつかの実施形態では、入口部分は、そこを通して試料が入口リザーバ内に輸送されることができる開口部を画定し、検出表面は、開口部に対して下向きに傾斜している。いくつかの実施形態では、分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は、少なくとも約2.0である。いくつかの実施形態では、分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は、約2.0~5.0の間である。特定の実施形態では、分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は、少なくとも約2.5である。いくつかの実施形態では、装置は、密度媒体をさらに含み、密度媒体は、1.01g/cm3~1.13g/cm3の間の密度を有する。特定の実施形態では、密度媒体は、1.05g/cm3~1.09g/cm3の間の密度を有する。いくつかの実施形態では、分離部分は、密度媒体が含まれる密度媒体リザーバを画定する。いくつかの実施形態において、希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、ポロキサマーを含む。特定の実施形態では、ポロキサマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびポリ(プロピレンオキシド)(PPO)を含む。いくつかの実施形態では、装置は、染色試薬、複数の標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方された染色試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出表面は、複数の標的細胞の接着を増強するための表面修飾を含む。特定の実施形態では、表面修飾は、帯電したポリマーを含むコーティングを含む。特定の実施形態では、コーティングは、(-NH3
+)で帯電したポリ-L-リジンである。いくつかの実施形態では、カートリッジは、検出表面に捕捉された複数の標的細胞を集中させるように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記の装置のカートリッジは、密度媒体および/またはカートリッジ内の1つまたは複数の非プラスチック構成要素を含む遠心分離カートリッジである。いくつかの実施形態では、カートリッジを使用して、生物学的試料に元々含まれていた標的粒子(たとえば、細胞)を、異なる密度およびサイズの汚染物質から分離することができる。これは、カートリッジ内の密度媒体を介して生体試料から粒子を遠心分離することによって実現される。密度媒体は、生物学的試料よりも密度が高く、標的粒子よりも密度が低い。いくつかの実施形態では、密度媒体は、生物学的試料の添加前に結像カートリッジに含まれ得、カートリッジの角度の付いた結像面の領域を占めるであろう。いくつかの実施形態では、汚染物質粒子が生物学的試料に保持されるか(小さいまたは低密度の汚染物質の場合)、または密度媒体を通過して角度のある画像表面から離れて遠心分離されている間(より大きいおよび高密度汚染物質)。所与の結像領域あたりの標的粒子の数は、生物学的試料に懸濁された標的粒子の元の濃度と相関する。いくつかの実施形態では、(汚染物質とは対照的に)結像標的粒子の特異性は、標的粒子を特異的に標識する色素を添加することによって改善することができる。
【0022】
カートリッジまたは標的細胞の濃度を決定する方法は、生物学的分析の一部として使用することができる。たとえば、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定する方法は、標的細胞を含む試料の第1の部分をカートリッジ内に輸送することを含み得る。次に、第1の機器が作動して、第1の機器が、A)試料の第1の部分が分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送され、B)標的細胞がカートリッジ内の検出表面に捕捉される、のに十分な回転速度でカートリッジを回転させる。次に、第1の機器は、検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信し、信号に基づいて、試料の第1の部分における標的細胞の濃度を決定する。次に、試料の第2の部分は、試料の第1の部分内の複数の標的細胞の濃度に基づいて処理される。たとえば、特定の状況下では、試料の第2の部分を希釈することができる。この方法は、試料の第2の部分が処理された後、試料の第2の部分を反応チャンバ内に輸送することをさらに含み得る。次に、第2の機器を作動させて、試料の第2の部分に対して感受性分析を実施して、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定する。
【0023】
また、試料中の標的細胞の濃度を決定するためのシステムは、遠心分離カートリッジ、モータ、モータを介してカートリッジを回転させるための接続、および遠心分離操作を制御するためのコントローラを含む。本明細書では、システムは、カートリッジ内またはカートリッジを介して結像するための結像ハードウェアを含み得、その中に任意のソフトウェアまたはファームウェアを含む。
【0024】
密度媒体をカートリッジ内に輸送することを含むカートリッジを製造する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態による、カートリッジの一部の上面図である。
【
図2】
図1の線X-Xに沿って取られた、
図1に示すカートリッジの断面図である。
【
図3A】回転前の試料を含む、
図1に示されるカートリッジの部分の上面図を示す。
【
図3B】回転後の試料を含む、
図1に示されるカートリッジの部分の上面図を示す。
【
図4A】回転サイクルの開始時に試料および密度媒体を含む実施形態によるカートリッジの一部の断面図を示す。
【
図4B】回転サイクルの回転後に試料および密度媒体を含む実施形態によるカートリッジの一部の断面図を示す。
【
図5A】一実施形態による、カートリッジの一部の上面図である。
【
図5C】一実施形態による、カートリッジの断面概略図である。
【
図6】一実施形態による、カートリッジの断面概略図である。
【
図7】一実施形態による、カートリッジの断面概略図である。
【
図8A】
図7の領域Zによって識別される、
図7に示されるカートリッジの一部の拡大図である。
【
図8B】一実施形態によるカートリッジの一部の拡大図であり、
図7の領域Zによって識別される領域と同様の領域を示している。
【
図9】一実施形態による、カートリッジの斜視図である。
【
図10】一実施形態による、カートリッジの斜視図である。
【
図11】
図9の線X-Xに沿って取られた、
図9および
図10に示されるカートリッジの一部の断面図である。
【
図12】
図9および10に示されるカートリッジの上部部材の外面を示す斜視図である。
【
図13】
図9および10に示されるカートリッジの上部部材の内面を示す斜視図である。
【
図17】分離部分および結像部分を示す、
図9および
図10に示されるカートリッジの底部部材の上面図である。
【
図18】検出表面の表面処理を示す、
図9および
図10に示されるカートリッジの上部部材の概略図である。
【
図19】一実施形態による、検出表面の表面処理に関連する実験データを示すグラフである。
【
図20】一実施形態による、検出表面の表面処理に関連する実験データを示すグラフである。
【
図21】一実施形態による、カートリッジ内の密度媒体に関連する実験データを示すグラフである。
【
図22】一実施形態による、方法で使用される染色試薬に関連する実験データを示すグラフである。
【
図23】一実施形態による、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法のフローチャートである。
【
図24A】実施形態による、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法を示す概略図である。
【
図24B】実施形態による、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法を示す概略図である。
【
図25】一実施形態による、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定する方法のフローチャートである。
【
図26A】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する細胞濃度の実験データを示すグラフである。
【
図26B】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する細胞濃度の実験データを示すグラフである。
【
図27】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する粒子濃度の実験データを示すグラフである。
【
図28】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する細菌細胞濃度の実験データを示すグラフである。
【
図29A】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する細菌細胞濃度の実験データを示すグラフである。
【
図29B】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する細菌細胞濃度の実験データを示すグラフである。
【
図30A】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連するビリルビンの干渉の実験データを示すグラフである。
【
図30B】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連する脂質の干渉の実験データを示すグラフである。
【
図30C】様々な実施形態による、カートリッジおよび方法に関連するヘモグロビンの干渉の実験データを示すグラフである。
【
図31】一実施形態による、カートリッジの斜視図である。
【
図32A】様々な実施形態によるカートリッジの概略図である。
【
図32B】様々な実施形態によるカートリッジの概略図である。[発明を実施するための形態]
【0026】
試料中の標的細胞(たとえば、細菌)の濃度を決定するための装置および方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置は、血液または尿などの生物学的試料中の細菌または細胞などの粒子の迅速な自動または半自動の定量化に使用される。本明細書に記載の実施形態は、細胞濃度の広いダイナミックレンジにわたって正確な結果を提供することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、装置および/または方法は、ミリリットル(mL)あたり1000(すなわち、10^3)のコロニー形成単位(CFU)の検出下限で細胞濃度を決定することができる。いくつかの実施形態では、装置および/または方法は、10^3CFU/mLおよび10^9CFU/mLの範囲内の試料の細胞濃度を決定することができる。さらに、本明細書に記載の実施形態は、広範囲の汚染物質を有する試料において正確な粒子または細胞濃度の結果を生み出すことができる。したがって、本明細書に記載の実施形態は、培養血液試料を含む様々な試料での使用に適している。
【0027】
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を決定するためのシステムまたは方法は、回転軸の周りでカートリッジを回転させて試料中の標的細胞を捕捉する回転要素に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジを含む。カートリッジは、試料を含むように構成された入口リザーバを画定する入口部分、分離部分、および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。分離部分は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体を含むことができる。試料の第2の部分には、標的細胞が含まれている。分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも第2の部分が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合されるように構成される。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、少なくとも標的細胞が回転中に密度媒体を通過して検出チャンバに入ることができるように、分離チャンバに流体的に結合されている。検出表面は、第1の表面または第2の表面のうちの少なくとも1つに対して非平行であり、その結果、標的細胞は、密度媒体を通過して検出チャンバに入るときに表面に衝突する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、カートリッジ内で試料を遠心分離して、試料に元々含まれていた標的粒子(たとえば、細胞)を異なる密度およびサイズの汚染物質から分離することを含む。いくつかの実施形態では、試料は、試料の密度よりも高いが個々の標的粒子の密度よりも低い密度を有するカートリッジ内の密度媒体または密度勾配を通して遠心分離される。密度媒体は、試料を追加する前にカートリッジに入れることができ、角度の付いた検出(または結像)表面の領域を占めることができる。このようにして、汚染物質粒子が分離チャンバ内の試料に保持される(小さなまたは低密度の汚染物質の場合)か、密度媒体を通過して遠心分離される(大きなおよび高密度の汚染物質の場合)一方で、標的粒子を角度の付いた検出表面で捕捉できる。既知の検出(または結像)領域内の標的粒子の数は、試料に懸濁された標的粒子の元の濃度と相関させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、カートリッジまたはキットは、汚染物質から標的粒子を分離するのに役立つ密度媒体を含む。密度媒体は、1.01g/cm3~1.13g/cm3の間の質量密度を有する水溶液または懸濁液から処方することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、標的粒子が細菌である場合、密度媒体の質量密度は、1.03g/cm3~1.09g/cm3の間である。他の実施形態では、密度媒体の質量密度は、1.06g/cm3~1.08g/cm3の間である。
【0030】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、使用前および使用中に密度媒体が含まれる密度媒体リザーバを画定する。密度媒体リザーバは、所望の量の密度媒体がカートリッジ内にあることを確実にして、所望の性能を確実にすることができる。遠心分離中、試料は密度媒体と接触し、密度媒体から回転して内側に向かって別個の層を形成する。使用中、試料と密度媒体の混合は、汚染物質が検出(または結像)表面に導入される可能性を制限するために、測定技術中に制限される。
【0031】
いくつかの実施形態では、カートリッジの検出(または結像)表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面は、標的粒子(または細胞)の検出表面への接着を増強するための表面処理または修飾を含むことができる。特に、そのような表面修飾は、(分離チャンバの壁に対して)浅い角度を有する検出表面による粒子捕捉を強化することができる。そのような表面修飾は、標的粒子が表面に沿って移動してカートリッジの遠位端にペレットを形成するのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、検出表面の接着力は、カートリッジの回転によって引き起こされる有効な遠心力よりも大きくなり得る。したがって、検出表面角度が浅いほど、所与のスピン速度で標的粒子の移動を防ぐために、より大きな接着力が必要である。
【0032】
いくつかの実施形態では、検出表面は、帯電したポリマーを有するコーティングを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面は、正電荷を有するポリ-L-リジンを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、試料(標的粒子を含む)と密度媒体との望ましくない混合を制限するように構成することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、決定のチャンバ(またはチャネル)の深さを選択して、混合を最小限に抑えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、カートリッジは、0.60mm未満、0.40mm未満、または0.30mm未満の深さ(または厚さ)を有する分離チャンバを含むことができる。他の実施形態では、分離チャンバは、0.3mm未満、または0.2mm未満、または0.1mm未満の厚さを有することができ、結像のための時間を可能にする。角度の付いた検出(または結像)チャネルおよび検出(または結像)表面が下向きに角度を付けられるようにカートリッジを構造化することによって、試料中の層およびカートリッジに含まれる流体も安定化することができる。この下向きの角度により、密度媒体は、自然の重力下で、角度の付いた結像チャネルを含むカートリッジの遠位領域に自然にとどまる。
【0034】
いくつかの実施形態では、装置またはキットは、回転軸を中心にカートリッジを回転させて試料中の標的細胞を捕捉する回転要素に取り外し可能に結合されるように構成されたカートリッジを含む。カートリッジは、試料を含む入口リザーバを画定する入口部分、分離部分、および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバ(またはチャネル)を画定する第1の表面および第2の表面を含む。分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバ内に輸送されることができるように、入口リザーバに流体的に結合することができる。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、少なくとも標的細胞が分離チャンバを通過して検出チャンバに入ることができるように、分離チャンバに流体的に結合されている。検出表面と分離部分の第1の表面とは、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、標的細胞を捕捉するように構成され、コーティング、正に帯電した処理などを含むことができる。分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は、少なくとも約2.0である。容積比を所望の範囲内に維持することにより、カートリッジ内の密度媒体に対する試料の比を所望の範囲内に維持して、検出(または結像)容積が密度媒体で適切に満たされることを確実にすることができる。
いくつかの実施形態では、分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は、約2.0~5.0の間である。いくつかの実施形態では、分離チャンバの容積と検出チャンバの容積との比は約2.5である。いくつかの実施形態では、ゼロ以外の検出角度は、標的細胞を捕捉する際の検出表面の有効性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、検出表面と分離部分の第1の表面との間の検出角度は、約1度~約8度の間である。いくつかの実施形態では、分離部分の第1の表面および検出表面はモノリシックに構築され、検出角度は約2度である。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、カートリッジ、および/またはキットは、標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方された染色試薬を含み、および/または使用することができる。染色試薬を使用すると、汚染物質を含む試料中の標的粒子の検出(たとえば、結像)の特異性を向上させることができる。いくつかの実施形態において、染色試薬は、血小板(DNAを含まない)を未染色のままにしながら、標的細胞(たとえば、細菌粒子)内のDNAを標識するために使用されるSyto、DAPI、またはヘキスト(Hoechst)33258などのDNA色素を含み得る。いくつかの実施形態では、結合していない色素(小分子)は、生物学的試料に保持され、検出(たとえば、結像)表面に移動しない。ラベル付けの違いに加えて、標的粒子は、サイズまたは形状によって残留汚染物質に対しても識別できる。
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を決定する方法を実行するためのキットは、カートリッジ、密度媒体、および染色試薬を含む。カートリッジは、回転軸を中心にカートリッジを回転させ、試料中の標的細胞を検出するように構成された機器に取り外し可能に結合することができる。カートリッジは、試料を含むように構成された入口リザーバを画定する入口部分、分離部分、および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。分離チャンバは、カートリッジが回転する際に試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバに通過できるように、入口リザーバに流体的に結合することができる。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、少なくとも標的細胞が分離チャンバを通過して検出チャンバに入ることができるように、分離チャンバに流体的に結合されている。検出(たとえば、結像)面および分離部分の第1の表面はゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、標的細胞を捕捉するように構成されている。密度媒体は、カートリッジに事前に装填するか、または本明細書に記載の方法のいずれかで使用するために別個の容器に含めることができる。密度媒体の密度は、1.01g/cm3~1.13g/cm3である。染色試薬は、複数の標的細胞に結合し、その検出を強化するように処方されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、キットは、使用前および/または使用中に試料と混合される希釈試薬をさらに含む。
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を決定する方法は、標的細胞が捕捉される検出表面を結像することを含むことができる。いくつかの実施形態では、試料中の複数の標的細胞の濃度を検出する方法は、試料をカートリッジの入口リザーバ内に輸送することを含む。カートリッジは、分離部分および検出部分を含む。分離部分は、入口リザーバに流体的に結合することができる分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合されており、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。カートリッジは、機器の回転要素に結合されている。次に、計測器が作動して、計測器に次の動作をさせる。(1)試料の少なくとも一部が入口リザーバから分離チャンバ輸送され、標的細胞が検出チャンバ内に輸送され、検出表面に捕捉されるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させる。(2)機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信する。(3)信号に基づいて、試料中の標的細胞の濃度を決定する。
【0037】
いくつかの実施形態において、機器は、10^3CFU/mLの下限および10^9CFU/mLの上限内の標的細胞の濃度を決定する。
【0038】
いくつかの実施形態では、入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送される試料の一部は第2の部分であり、この方法は、試料が入口リザーバ内に輸送される前に密度媒体をカートリッジ内に輸送することをさらに含むことができる。密度媒体は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する。試料の第1の部分は、カートリッジが回転した後、分離チャンバ内に維持される。密度媒体は、任意の密度媒体組成物であり得、本明細書に記載の任意の特性(たとえば、密度値)を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、密度媒体は、カートリッジと一緒に包装されるキットに含まれ得る。そのような実施形態では、所定量の密度媒体(たとえば、過剰充填することなくカートリッジを所望のレベルまで充填するのに十分な量)を、カートリッジとは別の容器に包装することができる。いくつかの実施形態では、密度媒体の容積は、カートリッジの容積の50パーセント未満であり得る。密度媒体とカートリッジを別々に包装することにより、キットの保管寿命を延ばすことができる。さらに、特定の分析で1つの密度媒体が必要で、他の分析で2つ目の異なる密度媒体が必要な場合は、密度媒体とカートリッジを別々に包装すると、同じカートリッジを異なるキット(それぞれ異なる試薬、密度媒体など)で使用することができる。
【0039】
しかしながら、他の実施形態では、この方法は、密度媒体が事前に充填されたカートリッジを使用して実行することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、試料が入口リザーバ内に輸送される前に、希釈試薬をカートリッジ内に輸送することをさらに含む。いくつかの実施形態では、希釈試薬は、カートリッジ内に輸送される密度媒体の一部として含まれ得る。他の実施形態では、希釈試薬は、密度媒体を加えることとは別の操作でカートリッジに加えることができる。希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。本明細書で使用される場合、分散剤は、粒子の分離を改善する(たとえば、凝集または凝集を防ぐために)任意の物質であり得る。分散剤は、界面活性剤であるか、または界面活性剤を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、希釈試薬(または密度媒体)は、粒子(たとえば、標的細胞、廃棄物粒子など)の分離を改善するための界面活性剤として機能することができるポロキサマーを含むことができる。いくつかの実施形態において、希釈試薬は、カートリッジと共にパッケージされるキットに含まれ得る。そのような実施形態では、所定量の希釈試薬(たとえば、過剰充填することなくカートリッジを所望のレベルまで充填するのに十分な量)を、カートリッジとは別の容器に包装することができる。希釈試薬とカートリッジを別々に包装することにより、キットの貯蔵寿命を延ばすことができる。さらに、決定の分析で1つの希釈試薬が必要で、他の分析で2つ目の異なる希釈試薬が必要な場合は、希釈試薬とカートリッジを別々に包装することで、同じカートリッジを異なるキット(それぞれ異なる試薬、密度媒体など)で使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、希釈試薬を試料と混合することができ、次に、試料と希釈試薬の混合物をカートリッジの入口リザーバ内に輸送することができる。同様に述べられるように、いくつかの実施形態では、希釈試薬および試料は、同じ操作で入口リザーバ内に輸送されることができる。
【0042】
しかしながら、他の実施形態では、この方法は、希釈試薬が事前に充填されたカートリッジを使用して実行され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、信号は、機器の結像サブシステムの光検出器によって受信される光信号であり得る。そのような結像技術は、たとえば、カートリッジの検出部分から生成された光に基づいて対象の粒子を識別および計数することを含むことができる。そのような結像技術は、明視野、暗視野を含むことができ、および/または本明細書に記載の染色試薬のいずれかによって増強され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、測定技術の全部または一部は、自動化されたステップ(すなわち、機器を作動させた後にさらなる人間の介入を必要としないステップ)を介して行われ得る。いくつかの実施形態では、粒子濃度を決定するためのシステムは、識別アルゴリズムによって標的粒子を自動的に識別し(たとえば、標的細胞を汚染物質から区別するために)、生物学的試料中の標的粒子の元の濃度を計算することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法は、器具内でカートリッジを回転させることを含む。カートリッジは、入口部分、分離部分、および検出部分を含む。入口部分は、回転前の試料を含む入口リザーバを画定する。分離部分は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する密度媒体を含む分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。試料の第2の部分には、標的細胞が含まれている。分離チャンバは、回転中に入口リザーバに流体的に結合される。検出部分は、分離チャンバに流体的に結合された検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出表面と分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。回転は、A)試料の第2の部分が入口リザーバから分離チャンバ内の密度媒体を通過してから検出チャンバに通過し、B)検出表面に捕捉される標的細胞を通過させる、のに十分な回転速度と回転時間で実行される。この方法は、機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信することをさらに含む。次に、信号に基づいて、試料中の標的細胞の濃度が決定される。
【0046】
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法は、密度媒体を容器からカートリッジに移送することを含む。カートリッジは、入口部分、分離部分、および検出部分を含む。入口部分は、入口リザーバを画定する。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。密度媒体は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有し、分離チャンバ内に輸送される。試料の第2の部分には、標的細胞が含まれている。分離チャンバは、入口リザーバに流体的に結合されている。検出部分は、分離チャンバに流体的に結合された検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出表面と分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成し、検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。試料は入口リザーバ内に輸送される。次に、カートリッジは、A)試料の第2の部分が入口リザーバから分離チャンバ内の密度媒体を通過し、次に検出チャンバに通過し、B)標的細胞が検出表面に捕捉される、のに十分な回転速度および回転時間の間、機器内で回転される。この方法は、機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信することをさらに含む。次に、信号に基づいて、試料中の標的細胞の濃度が決定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、容器(密度媒体を含む)およびカートリッジは、キット内に一緒に包装される。
【0048】
いくつかの実施形態では、この方法は、希釈試薬をカートリッジ内に輸送することをさらに含む。希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、希釈試薬または密度媒体のうちの少なくとも1つは、ポロキサマーを含む。いくつかの実施形態では、希釈試薬の輸送は、希釈試薬を試料と混合し、希釈試薬および試料を同じ操作でカートリッジの入口リザーバ内に輸送することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を検出するための方法、カートリッジ、およびキットのいずれかを、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定するための分析法の一部として使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、標的細胞の濃度を検出するための方法、カートリッジ、およびキットのいずれかを、抗生物質感受性試験(AST)の一部として使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、方法は、試料の第1の部分をカートリッジ内に輸送することを含む。カートリッジは、分離部分および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合されており、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。カートリッジは、第1の機器内で結合される。第1の機器は、機器に次のことをさせるように作動する。(1)試料の第1の部分が分離チャンバを通って検出チャンバ内に輸送され、標的細胞が検出表面に捕捉されるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させる。(2)機器の検出器を介して、検出表面に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信する。(3)信号に基づいて、試料中の標的細胞の濃度を決定する。この方法は、試料の第1の部分内の標的細胞の濃度に基づいて、試料の第2の部分を処理することをさらに含む。次に、試料の第2の部分が反応チャンバ内に輸送される。次に、この方法は、第2の機器を作動させて、試料の第2の部分に対して感受性分析を実行して、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定することを含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「部材」という用語は、単一の部材または部材の組み合わせを意味することを意図し、「材料」は、1つまたは複数の材料、またはそれらの組み合わせを意味することを意図する。
【0051】
本明細書で使用される場合、参照される数値表示に関連して使用される場合の「約」および「概算」という用語は、参照される数値表示に記載された値のプラスマイナス10パーセントを意味する。たとえば、約0.5には0.45と0.55が含まれ、約10には9~11が含まれ、約1000には900~1100が含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、複数の構成要素またはその一部を指す用語は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、第1の構成要素またはその第1の部分、および/または第2の構成要素またはその第2の部分を指すことを意図する。したがって、たとえば、「試薬」という用語は、「第1の試薬」および/または「第2の試薬」を指すことを意図している。
【0053】
本明細書で使用される場合、「セット」は、複数の特徴または複数の部分を有する単一の特徴を指すことができる。たとえば、壁のセットを参照する場合、壁のセットは別個の部分を持つ1つの壁と見なすことができ、壁のセットは複数の壁と見なすことができる。
【0054】
1つまたは複数の実施形態を説明するために選択された特定の単語は、本発明を限定することを意図するものではない。たとえば、空間的に相対的な用語(「下」、「下方」、「低い」、「上」、「上方」、「近位」、「遠位」など)を使用して、1つの関係を説明することができる。図に示すように、要素または機能を別の要素または機能に変換する。これらの空間的に相対的な用語は、図に示されている位置と向きに加えて、使用中または操作中の装置の様々な位置(つまり、並進配置)と向き(つまり、回転配置)を包含することを意図している。たとえば、図の装置が裏返されている場合、他の要素または機能の「下」または「下方」として記述されている要素は、他の要素または機能の「上」または「上方」になる。したがって、「下」という用語は、上と下の位置と方向の両方を包含することができる。装置は、他の方法で方向付けられ(たとえば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈され得る。同様に、様々な軸に沿った(平行移動)および周りの(回転)動きの説明には、様々な空間装置の位置と方向が含まれる。
【0055】
同様に、「平行」、「垂直」、「円形」、「正方形」などの幾何学的用語は、文脈で別段の指示がない限り、絶対的な数学的精度を要求することを意図していない。代わりに、そのような幾何学的用語は、製造または同等の機能による変動を考慮に入れている。たとえば、要素が「丸い」または「一般的に丸い」と記述されている場合でも、正確に円形ではない構成要素(たとえば、わずかに長方形または多面ポリゴンである構成要素)は、この記述に含まれる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「試薬」という用語は、本明細書に記載の方法のいずれかに関連して使用される任意の物質を含む。たとえば、試薬は、試料の希釈用の組成物、洗浄溶液、抗凝固溶液、染料、染色溶液などを含むことができる。試薬は、1つまたは複数の成分の混合物を含むことができる。試薬は、物質の状態(固体、液体、気体など)に関係なく、このような成分を含むことができる。さらに、試薬は、混合状態、非混合状態、および/または部分的に混合された状態の物質に含まれ得る複数の成分を含み得る。試薬は、有効成分と不活性成分の両方を含むことができる。したがって、本明細書で使用される場合、試薬は、水、着色剤などの非活性および/または不活性成分を含むことができる。
【0057】
図1は、画像カートリッジ101の一部の俯瞰図を示している。ここに示される構造は、結像カートリッジ101によって囲まれた内部構造であり得る。結像カートリッジ101は、臨床試料がその中に堆積され得る密閉された入口リザーバ102を備える。入口リザーバ102は、弁103と流体連絡しており、弁103は、次に、分離チャネル104と流体連絡している。分離チャネル(本明細書では分離チャンバとも呼ばれる)は、任意の適切な厚さまたはチャネル深さを有することができる。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、0.40mm~0.02mmの間の厚さである。他の実施形態では、分離チャネルは、0.05mm~0.20mmの間の厚さである。分離チャンバは、結像チャネル105と連続している。任意選択で、結像チャネル105は、廃棄物チャンバ106で終端する。カートリッジ101は、カートリッジが回転する周りのハブ107をさらに備える。任意選択で、カートリッジ101は、分離チャネル105または結像チャネル106よりも深い深さの1つまたは複数の媒体リザーバ108を含み得る。図示されていない結像カートリッジの部分は、ハブ107を二等分する平面を横切って対称である、この図に示される構造102~106および108のミラーコピーを含み得ることを理解されたい。
【0058】
図2は、
図1の線X-Xに沿って取られた画像カートリッジ101の一部の断面図を示す。カートリッジは、底部201と上部202の2つの部分から構成され得る。下部201および上部202は、超音波溶接またはレーザ溶接などの本明細書に記載のプロセスのいずれかによって結合されて、一体型検出(または結像)カートリッジ101を形成することができる。結像カートリッジ101は、臨床試料がその中に堆積され得る密閉された入口リザーバ102を備える。囲まれた入口リザーバ102は、入口穴203によって外部に接続され得、より遠位に配置されたチャネル(たとえば、分離チャネルまたは検出チャネル)よりも深い深さを有し得る。入口リザーバ102は、入口リザーバ102よりも小さい複数のチャネル深さを含み得る弁103と流体連絡している。弁は、第1の深さ、続いて第1よりも大きい第2の深さ、続いて第1に等しい第3の深さを含み得る。この構造は、十分な圧力が流体に加えられない限り(たとえば、カートリッジ遠心分離中)、弁103を通る液体の流れを抑制するのに役立つ。弁103は、分離チャネル104と流体連絡している。
【0059】
分離チャンバ104は、角度検出(または結像)チャネル105と連続しており、チャネル105は、分離チャンバ104に対して垂直角度204で継続している。角度204の適切な値は、0.25~20度、または好ましくは0.5~10度を含み得る。任意選択で、結像チャネル105は、傾斜した結像チャネル105と同じ角度204を共有しなくてもよい廃棄物チャンバ106で終端する。分離チャネル104および角度付き結像チャネル105は、上部および下部の囲い面に垂直に測定されて、同じ深さを有することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ(および本明細書に記載のカートリッジのいずれか)は、カートリッジの重心がハブ107内にあるようなバランス機能を含むことができる。
【0060】
図3は、意図された動作中の2つの異なる動作状態にある結像カートリッジ101の一部の上面図を示している。結像カートリッジ101は、最初に流体密度媒体301を含む。密度媒体301は、廃棄物チャンバ106、角度の付いた結像チャンバ105、および分離チャネル104の一部および媒体リザーバ108を充填することができる。密度媒体301は、試料の第1の部分の密度よりも大きく、試料の第2の部分の密度よりも小さい密度を有する、本明細書に記載のタイプの任意の適切な媒体であり得る。具体的には、密度媒体301(および本明細書に記載の密度媒体のいずれか)は、低密度血小板、非結合染料などの試料中の特定の汚染物質の密度よりも高い密度を有することができる。密度媒体301(および本明細書に記載の密度媒体のいずれか)は、標的細胞、血球、高密度血小板などの試料中の特定の粒子の密度よりも低い密度を有することができる。このようにして、以下に説明するように、使用中、標的細胞は、密度媒体301を通って結像チャネル105内に輸送され得、一方、他の(たとえば、より軽い)汚染物質は、検出領域に入るのを阻止される。
【0061】
臨床試料302は、(
図2に記載されるように)入口穴203を介して入口チャンバ102に導入され得る。臨床試料302(および本明細書に記載の試料のいずれか)は、細菌または他の細胞などの粒子303を含み得る。臨床試料302は、弁103によって一定期間、入口リザーバに保持され得る。この間、試薬を臨床試料302に導入して反応させることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、Syto83、DAPI、またはHoechst33258などの膜透過性DNA色素を導入して、DNA含有細胞を蛍光標識することができる。遠心分離(すなわち、カートリッジの回転)時に、臨床試料302は、弁103および分離チャンバ104に入り、回転の中心に関して密度媒体から内側に、そして密度媒体と流体接触する別個の層を形成する。遠心分離の間、臨床試料301はまた、培地リザーバ108の一部を占有し得る。臨床試料301の一部はまた、入口リザーバ102内に留まり得る。
【0062】
図4Aおよび
図4Bは、回転サイクル(「スピン」とも呼ばれる)の開始(
図4A)および終了(
図4B)における結像カートリッジ101の遠位端の断面を示す。示されるように、結像チャネル105の上面は、検出(または結像)表面401を含む。初期状態では、臨床試料302は、密度媒体301の回転の中心から内側に層を形成している。臨床試料は、標的粒子303(細菌または細胞など)、低密度汚染物質403、および高密度汚染物質404(赤血球、白血球、結晶、または大きなタンパク質凝集体など)を含む。「低密度汚染物質」403は、粒子303よりも実質的に小さいため、紡糸中に適時に臨床試料302または密度媒体301を通って移動しない高密度物体によって置き換えることができることを理解されたい。低密度汚染物質403は、臨床試料302内の非結合色素、細胞フラグメント、タンパク質、または他のマトリックス成分を含み得る。有効な遠心力により、標的粒子303および高密度汚染物質404が半径方向外向き方向402に移動する(密度媒体を通過する)。
【0063】
図4Bを参照すると、スピンが完了すると、標的粒子303は、それらが結像面401に接触するまで移動する。しかしながら、低密度汚染物質403は、密度媒体301を移動(または通過)せず、したがって、結像チャンバ105から遠ざけられるであろう。高密度汚染物質404は、標的粒子303よりも速くそしてより強力に移動し、したがって、スピンの完了時に廃棄物チャンバ106内に存在するであろう。結像面401によるすべての粒子303の捕捉は、廃棄物チャンバ106の上面を分離チャンバ104の底面と同一平面上にあるか、またはそれよりも低くすることによって容易になる。たとえば、
図6に示されるカートリッジ2100は、下部分離部分表面2142および上部廃棄物部分表面2181(これらは平面Pと整列している)の同一平面上の配置を示している。この配置は、有効な遠心力が自然重力よりもはるかに高いと仮定して、臨床試料302に最初に分散された粒子303が結像面401と接触することを確実にする。
【0064】
いくつかの実施形態では、検出(または結像)表面401(および本明細書に記載の検出表面のいずれか)は、標的粒子303を捕捉するように構成することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出(または結像)表面401は、粒子303を引き付けるかまたは結合する表面修飾407で処理される。さらに、表面修飾は、高密度汚染物質404が検出表面401に容易に結合しないように選択され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、化学修飾407は、密度媒体のpHで正または負の電荷を保持する化学部分を含む帯電コーティングを含み得る。表面を使用してバクテリアを捕獲する場合、電荷は正でなければならない。適切なコーティングの例は、ポリ-L-リジンやポリエチレンイミンなどの中性+/-3pHで正に帯電したポリマーで、バクテリアなどの負に帯電した粒子に結合する。表面改質は、結像技術の干渉または混乱を最小限に抑えるように選択され得る。さらに、標的粒子303の結像は、結像チャンバ105の上部外面408、および結像チャンバ105の下部外面409を結像面401と平行にすることによって容易にされ得る。
【0065】
使用中、カートリッジ101(および本明細書に記載のカートリッジのいずれか)は、光学システム410で使用することができ、光学システム410は、検出表面401に捕捉された標的粒子303の量に関連する信号を受信することができる。
図4Bを参照すると、光学システムは、結像面401に垂直な軸411に対して、結像チャンバ105と同じ角度204で構成され得る。他の実施形態では、角度は、歪んだがおそらく許容可能な画像をもたらす光学システム410に含まれなくてもよい。結像面401は、光学系410による撮像を容易にするために、光源412によって放出される光413によって照明され得る。光412は、粒子303の蛍光結像を可能にする波長のものであり得る。光412はまた、結像面401の非蛍光明視野または暗視野照明を提供するように構成され得る。光源は、光学システム410と同軸に配置することができ、または粒子303を照明する他の任意の方向に向けられることができる。光源412は、落射蛍光システムなどを用いて光学システム410に統合されることができる。光学システム410は、結像面401に結合された粒子303の画像をキャプチャすることができ、粒子303の定量化を可能にする。結像面401の所与の画像内の粒子303の数は、臨床試料302に懸濁された粒子303の元の濃度と相関するであろう。
【0066】
いくつかの実施形態では、分析精度を改善するために、方法は、画像あたりの粒子の平均数を得るために、角度の付いた画像チャネル105の異なる領域から複数の画像をキャプチャすることを含み得る。この目標を達成するための1つの方法は、角度の付いた画像チャネル105の異なる部分が光学システム410の画像経路に配置されるように、ハブ107の周りでカートリッジ101をゆっくりと回転させることである。そのような実施形態では、結像面401は、カートリッジが回転するときにカートリッジの各半径方向セクションで一定の断面角204を維持するために、平坦な表面ではなく曲面を含む。この曲率は、角度204の増加とともに増加し、任意の所与の画像に対して焦点を合わせることができる領域を減少させる(いくつかの領域は光学系に近く、いくつかはより遠くなる)。
【0067】
示されるように、検出(または結像)表面401および分離チャネル104を画定する表面は、検出角度204を画定する。検出角度204は、カートリッジ101の半径方向軸、すなわち、カートリッジの回転軸(または中心点)と半径方向に交差する軸に沿っている。具体的には、検出角度204は、
図2、
図4A、および
図4Bの断面図に示されるように、回転軸および半径方向軸によって規定される断面内にある。さらに、カートリッジ101の検出角度204は、下方向(開口部102および/または重力の方向に対して)である。別の言い方をすれば、検出角度204は、廃棄物チャンバ106が開口部102に対して分離チャネル104の下にあるようなものである。このようにして、結像面401は、カートリッジを形成する上部202の上面(または最上面)上にある。この配置は、(下部結像システムと比較して)上部からの有利な結像を提供することができる。そのような配置はまた、チャネル内の改善された液体安定性を提供することができ、それは、上向きの検出角度を有するカートリッジの場合よりも深い深さ(または厚さ)を有するチャンバ(またはチャネル)の包含を容易にすることができる。標的粒子303の捕捉を強化するための表面処理を含めることにより、回転の完了後および結像中の重力の沈降効果を最小限に抑えることができる。
【0068】
しかしながら、他の実施形態では、検出角度は、上向きの方向(開口部および/または重力の方向に関して)であり得る。このような配置は、重力の悪影響を制限することができる。たとえば、
図5Aおよび5Bは、
図1~
図4Bに示されるカートリッジ101の代替の実施形態である結像カートリッジ101’を示す。この実施形態では、結像カートリッジ101’は、試料入口チャンバ102’、弁103’、分離チャネル104’、角度付き結像チャンバ105’、および廃棄物チャンバ106’を封入している。この実施形態では、結像面401’は、自然重力の助けを借りて結像面上に任意の粒子を保持するという利点を備えた底部201’上にある。この実施形態では、分離チャンバ104’の厚さは、廃棄物チャンバ106’の厚さよりも大きく、結像チャンバ105’の底部は、分離チャンバ104’を廃棄物チャンバ106’に接続するように角度が付けられている。いくつかの実施形態では、結像カートリッジ101’は、カートリッジ101’の外部の回転軸501の周りを回転する。カートリッジ101’は、回転中にカートリッジを所定の位置に保持、ロック、または拘束する回転子502によって回転して保持することができる。回転子502は、回転子502上の突起504と連動するカートリッジ101’上の突起503によってカートリッジ101’とインターフェースすることができる。他の実施形態では、カートリッジは、任意の適切な機構によって回転子または回転ハブに取り付けることができる。回転中、カートリッジ101’は、回転子502上の突起504からの反力によって所定の位置に保持される。突起503および504のインターフェース面は、好ましくは、回転軸501に対して垂直である。この実施形態は、本明細書に記載されるように、造影剤および結像面401への化学修飾を含み得る。この実施形態はまた、
図4Aおよび
図4Bに関連して説明されるように、光学システムおよび照明器によって評価され得る。
【0069】
図5Cは、実施形態によるカートリッジ1100の断面概略図である。カートリッジ101’と同様に、カートリッジ1100もまた、上向きの検出角度を有することを特徴とし、その結果、標的粒子TPがカートリッジ1100の底面に捕捉される。具体的には、カートリッジ1100は、少なくとも検出部分1160および廃棄物部分1180を含む。検出部分1160は、検出チャンバを画定する第1の(または上部)表面1161および第2の(または下部)表面1162を含む。使用中、カートリッジ1100の回転は、矢印Rによって示されるように、試料が流れ、輸送され、および/またはさもなければ分離部分から検出部分1160に半径方向に移動することを引き起こす。いくつかの実施形態では、カートリッジ1100は、本明細書に記載のタイプの密度媒体を含むことができる。試料の遠心分離により、標的粒子TPが接触し、第2の表面1162によって捕捉される。いくつかの実施形態では、第2の表面1162は、それに対する標的粒子TPの接着を増強するように構成することができる。
図5Cに示すように、より大きなおよび/またはより高密度の汚染物質は、廃棄物部分1180内に輸送され、したがって、第2の表面1162上に捕捉された標的粒子TPの検出(すなわち、計数および/または結像)に望ましくない干渉を引き起こさない。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカートリッジのいずれかの部分の寸法および幾何学的関係を選択して、特定の標的粒子および/または特定の試料の収集性能および検出を最適化することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、より高い検出角度は、決定の粒子捕捉特性を増加させることができる(すなわち、標的粒子のより大きな衝突のために)が、カートリッジの回転中および回転後のより大きな不安定性をもたらす可能性もある。具体的には、いくつかの実施形態では、125μm(0.125mm)の深さを有する分離チャンバおよび/または検出チャンバは、5度の検出角度で適切な混合安定性を示すことができる。逆に、他の実施形態では、250μm(0.25mm)の深さを有する分離チャンバおよび/または検出チャンバは、5度の検出角度で望ましくない混合安定性を示し得る。さらに、いくつかの実施形態では、廃棄物チャンバの上面が分離チャンバの底面と同一平面上にあるか、またはそれよりも低いことにより、検出表面の捕捉効率を改善することができる。たとえば、
図6は、実施形態によるカートリッジ2100の断面概略図である。カートリッジ2100は、第1(または上部)部材2101および第2(または下部)部材2102から構成されて、分離部分2140、検出(または結像)部分2160、および廃棄物(または収集)部分2180を形成する。分離部分2140は、(第1の部材2101の)第1の表面2141および(第2の部材2102の)第2の表面2142によって境界が定められた分離チャンバ(またはチャネル)を画定する。分離チャンバは、第1の表面2141および第2の表面2142に垂直な深さD1(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。深さD1も半径方向Rに垂直である。
【0071】
検出部分2160は、(第1の部材2101の)第1の表面2161および(第2の部材2102の)第2の表面2162によって境界付けられる検出チャンバ(またはチャネル)2163を画定する。本明細書に詳細に記載されているように、第1の表面2161(検出表面または結像面とも呼ばれる)は、第1の表面2141または第2の表面2142のうちの少なくとも1つと非平行であり、これにより、標的粒子(または細胞)が検出表面2161に衝突することができる。同様に、検出表面2161および分離部分2160の第1の表面2141は、ゼロ以外の検出角度Θを形成する。検出角度Θは、カートリッジ2100の半径方向軸(半径方向は矢印Rによって識別される)、すなわち、カートリッジの回転軸(または中心点)と半径方向に交差する軸に沿っている。具体的には、検出角度Θは、回転軸と半径方向軸によって規定される断面内にある。また、検出角度Θは下方向である。このようにして、検出表面2161は、カートリッジ2100を形成する第1の部材2101上にある。いくつかの実施形態では、検出角度Θは、約1度~約8度の間である。他の実施形態では、検出角度Θは、約1.5度~約5度の間である。さらに他の実施形態では、検出角度Θは約2度である。いくつかの実施形態では、検出表面2161および第1の表面2141はモノリシックに構築され、検出角度は表面間の「屈曲」である。
【0072】
いくつかの実施形態では、検出表面2161(および以下に説明する検出表面4161を含む、本明細書に記載の検出表面のいずれか)は、標的粒子TPを捕捉するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面2161は、標的粒子TPの接着を増強するように改変され得る。そのような修飾には、たとえば、化学修飾、表面コーティング、検出表面2161の帯電、またはこれらの修飾の組み合わせが含まれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面2161(および以下に説明する検出表面4161を含む、本明細書に記載の検出表面のいずれか)は、結像のための境界の識別を支援することができるマーキングまたはテクスチャを含むことができる。他の実施形態では、検出表面2161は、コロナ処理(空気プラズマ処理とも呼ばれる)によって改変され得る。このプロセスは、表面のポリマー鎖を破壊し、それにより、検出表面2161の表面エネルギーを増加させることができ、それにより、検出表面2161の表面接着特性の改善を改善する。他の実施形態では、表面修飾は、負に帯電した粒子(たとえば、細菌)に結合するポリ-L-リジン(PLL)またはポリエチレンイミンなどの帯電したコーティングを適用することを含むことができる。いくつかの実施形態では、帯電したポリマーは、正の表面電荷を生成するための(-NH
3
+)を含むことができる。帯電したコーティングは、任意の適切な方法で適用され得る。いくつかの実施形態において、荷電ポリマーコーティングは、カルボジイミド化合物を使用する接着によって適用され得る。カルボジイミド化合物は、PLLなどの帯電したポリマーコーティングの塗布を促進できる架橋化合物である。他の実施形態では、帯電したポリマーコーティングは、光化学的に誘発された重合および所望のコーティングのグラフト化によって適用され得る。さらに、検出表面2161は、表面の接着特性を強化するために任意の適切な手順の組み合わせを使用して修正され得る。たとえば、
図18(検出表面4161を参照する)に示すように、検出表面2161を含む本明細書に記載の検出表面のいずれも、コロナ処理およびPLLコーティングの組み合わせを使用して変更され得る。再び
図6を参照すると、検出表面2161の正電荷は、(+)によって示され、これは、その中の標的粒子TP(たとえば、細菌)を捕捉するための接着特性を改善する。
【0073】
いくつかの実施形態では、検出表面2161は、標的粒子TPを捕捉するのに役立つ表面仕上げ(または粗さ)を有するように変更され得る。表面仕上げ(または粗さ)を選択して、結像手順に干渉しない識別および/またはマーキング特性を提供することもできる。このようにして、カートリッジの検出表面および他の部分は、結像データの収集および評価を支援するためのマーキングを含むことができる。
【0074】
検出チャンバ2163は、第1の(検出)表面2161および第2の表面2162に垂直な深さD2(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、深さD2は、分離チャンバの深さD1と同じであり得る。他の実施形態では、深さD2は、分離チャンバの深さD1とは異なっていてもよい。
【0075】
廃棄物部分2180は、(第1の部材2101の)第1の表面2181および(第2の部材2102の)第2の表面2182によって境界が定められた廃棄物チャンバ(またはチャネル)2183を画定する。廃棄物部分2180の第1の表面2181および分離部分2140の第2の表面2142は、平面P内で同一平面上にある。上記のように、この配置は、検出チャンバ2163内の改善された捕捉効率を提供する。他の実施形態では、廃棄物部分2180の第1の表面2181は、分離部分2140の第2の表面2142よりも低い。廃棄物チャンバ2183は、第1の表面2181および第2の表面2182に垂直な深さD3(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、深さD3は、分離チャンバの深さD1および/または検出チャンバ2163の深さD2と同じであり得る。他の実施形態では、深さD3は、分離チャンバの深さD1および/または検出チャンバ2163の深さD2のいずれかまたは両方とは異なっていてもよい。深さD1、深さD2、および/または深さD3は、本明細書に記載される任意の適切な値であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、深さD1、深さD2、および/または深さD3は、約0.6mm未満であり得る。他の実施形態では、深さD1、深さD2、および/または深さD3は、約0.3mm未満であり得る。さらに他の実施形態では、深さD1、深さD2、および/または深さD3は、約0.250mmであり得る。さらに他の実施形態では、深さD1、深さD2、および/または深さD3は、約0.125mmであり得る。
【0076】
示されるように、試料は、第1の部分(
図6においてS1として識別される)、標的粒子TP、および第2の部分(
図6においてS2として識別される)を含むことができる。第1の部分S1は、非結合色素、細胞断片、タンパク質、または他のマトリックス成分などの低密度汚染物質を含み得る。第2の部分S2は、最初に、標的粒子TP、ならびに赤血球、白血球、結晶、または大きなタンパク質凝集体などの他の高密度汚染物質を含むことができる。使用中、有効な遠心力により、矢印Rで示すように、標的粒子TPと高密度汚染物質S2が半径方向外向きに移動する。標的粒子TPは、検出表面2161に接触するまで移動する。しかしながら、低密度汚染物質S1は、分離部分2140に保持され(たとえば、密度媒体または他のメカニズムによって遮断される)、したがって、検出表面2161に到達するのが防止される。
【0077】
カートリッジ2100は、深さD1が深さD2に実質的に等しいものとして示されているが、他の実施形態では、カートリッジは、分離チャンバの深さ(または厚さ)よりも大きい検出チャンバを含むことができる。同様に、いくつかの実施形態では、カートリッジは、分離部分から検出部分に発散する(すなわち、断面積の増加)連続チャネル(経路またはチャンバとも呼ばれる)を含むことができる。たとえば、
図7は、実施形態によるカートリッジ3100の断面概略図を示す。カートリッジ3100は、分離部分3140、検出(または結像)部分3160、および廃棄物(または収集)部分3180を含む。分離部分3140は、(第2の部材2102の)第1の表面3141および第2の表面3142によって境界が定められた分離チャンバ(またはチャネル)を画定する。分離チャンバは、第1の表面3141および第2の表面3142に垂直な深さD1(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。深さD1も半径方向Rに垂直である。
【0078】
検出部分3160は、第1の表面3161および第2の表面3162によって境界が定められた検出チャンバ(またはチャネル)を画定する。第1の表面3161(検出表面または結像面とも呼ばれる)は、第1の表面3141または第2の表面3142のうちの少なくとも1つと非平行であり、これにより、本明細書に詳細に記載されているように、標的粒子(または細胞)が検出表面3161に衝突することができる。同様に述べられるように、検出表面3161および分離部分3160の第1の表面3141は、ゼロ以外の検出角度を形成する(
図7では識別されていない)。検出チャンバは、少なくとも第1の(検出)表面3161に垂直である深さD2(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。示されているように、深さD2は、分離チャンバの深さD1よりも大きい。したがって、分離チャンバから検出チャンバまでのチャンバ全体の面積は発散する。第1の表面3161は、第2の表面3162に平行でないものとして示されているが、他の実施形態では、第1の表面3161は、第2の表面3162に平行であり得る。同様に、検出チャンバは、発散する断面積を有するものとして示されているが、他の実施形態では、検出チャンバは、実質的に一定の断面積を有することができる。
【0079】
廃棄物部分3180は、第1の表面3181および第2の表面3182によって境界が定められた廃棄物チャンバ(またはチャネル)を画定する。廃棄物チャンバ3183は、第1の表面3181および第2の表面3182に垂直な深さD3(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、深さD3は、検出チャンバ3163の深さD2と同じであり得る。他の実施形態では、深さD3は、分離チャンバの深さD1および/または検出チャンバ2163の深さD2のいずれかまたは両方とは異なっていてもよい。深さD1、深さD2、および/または深さD3は、本明細書に記載される任意の適切な値であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカートリッジのいずれかの分離部分の第1の表面および隣接する検出表面は、モノリシックに構築され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、カートリッジ3100は、カートリッジ4100に関して示される第1の(または上部)部材4101および第2の(または下部)部材4102と同様に、2つの別個の部品から形成され得る。さらに、そのような実施形態では、第1の表面と検出表面との間の領域は、回転サイクル中に所望の流れを生成するために所望の幾何学的寸法を有することができる。たとえば、
図8Aおよび
図8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、カートリッジ3100(および本明細書に記載のカートリッジのいずれか)は、分離部分3140、検出部分3160、および廃棄物部分3180の間の境界を形成する任意の表面間の遷移領域を含むことができる。遷移領域を制御して、回転サイクル中にカートリッジ部分間の所望の流動性能を確保することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、遷移領域は、「突然の膨張」を生成するように、またはカートリッジ3100内の粒子および/または流体の望ましくない動きを生成する可能性がある滑らかな遷移を制限するように規定することができる。一例として、
図8Aは、曲率半径R1を規定する、分離部分の第2の表面3142と検出部分の第2の表面3162との間の遷移領域を示す。示されるように、曲率半径R1は比較的小さく、それは比較的鋭いエッジ遷移を生成する(
図8Bのカートリッジ3100’と比較して)。いくつかの実施形態では、曲率半径R1は、約0.100mm未満である。他の実施形態では、曲率半径R1は、約0.050mm未満である。さらに他の実施形態では、曲率半径R1は約0.025mm未満である。逆に、
図8Bは、曲率半径R2を規定する、分離部分の第2の表面3142と検出部分の第2の表面3162との間の遷移領域を示す。示されるように、曲率半径R2は比較的大きく、それは比較的滑らかな遷移を生成する(
図8Aのカートリッジ3100と比較して)。いくつかの実施形態では、曲率半径R2は、約0.100mmより大きい。
【0081】
図9~
図17は、一実施形態によるカートリッジ4100の様々な図を示している。カートリッジ4100は、任意のシステム内に含めることができ、本明細書に記載の任意の方法に関連して使用することができる。たとえば、本明細書に記載されるように、カートリッジ4100を回転させて、試料(たとえば、血液、尿、または任意の他の適切な生物学的試料)の遠心分離を生成して、標的粒子(たとえば、細菌)を検出表面によって捕捉させることができる。カートリッジ4100は、試料中の標的粒子の濃度を決定するために、本明細書に記載の光学システム410などの光学システムと共に使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジ4100は、抗生物質感受性試験などの追加の方法に関連して使用することができる。
【0082】
カートリッジ4100は、本明細書で説明されるチャンバおよび特徴を画定するために一緒に結合された第1の(または上部)部材4101および第2の(または下部)部材4102から構成される。第1の部材4101は、一対の位置合わせ開口部4106を画定し、第2の部材4102は、2つの部材を一緒に結合するのを助けるための対応する一対の位置合わせピン4105を含む。第1の部材4101および第2の部材4102は、超音波溶接(たとえば、
図14の溶接突起4108を参照)、接着接合、または他の適切な方法を含む、本明細書に記載の任意の適切な技術を使用して一緒に接合することができる。他の実施形態では、カートリッジ4100(または本明細書に記載の他の任意のカートリッジ)は、モノリシックに構築することができる。カートリッジ4100は、中央ハブ(または接続開口部)4110を含む(または画定する)。カートリッジ4100は、中央ハブ4110を介して器具の回転要素(図示せず)に結合することができる。カートリッジ4100は、回転要素によって回転軸Arotを中心に回転して、本明細書に記載の方法のいずれかを実行することができる。
【0083】
示されるように、カートリッジ4100は、回転軸Arotに関して対称であり、その結果、カートリッジは、2つの入口部分4120、2つの分離部分4140、2つの検出(または結像)部分4160、および2つの廃棄物(または収集)部分4180を含む。カートリッジ4100は、回転軸Arotに関して対称であるため、これらの部分のそれぞれのうちの1つのみが識別され、以下に説明される。他の実施形態では、カートリッジは、カートリッジ4100と同様であり得るが、対称である必要はなく、1つの入口部分、分離部分、検出部分、および廃棄物部分のみを含むことができる。
図9に示すように、カートリッジ4100は、回転軸Arotに垂直な半径方向軸Aradを規定する。
【0084】
入口部分4120は、入口リザーバ4122(第2の部材4102によって画定される)および開口部4121(第1の部材4101によって画定される)を画定し、それを通して試料を入口リザーバ4122内に輸送することができる。
図15に示すように、入口リザーバは突起4123を含む。突起4123は、試料が入口リザーバ内に輸送されている間、通気を強化することができる構造を提供することができる。いくつかの実施形態では、突起4123(またはリザーバ内の他の構造、図示せず)は、回転サイクル中の混合(たとえば、試料および入口リザーバに追加された他の構成要素)または他の流動性能を高めることができる。第2の部材4102は、内面を一緒に結合するのに役立つ溶接突起4124を含む。第2の部材はまた、入口リザーバ4122を分離チャンバ4143に流体的に結合する一対の弁開口部4125を画定する。弁開口部4125は、カートリッジ4100の回転の前に、入口リザーバ4122から分離チャンバ4143への試料の流れを制限するように構成される。同様に述べられるように、弁開口部4125は、試料を半径軸アラドに沿って分離チャネル4143(
図11を参照)に向かって外向きに促す遠心力(または試料中の圧力)が所定の値を超えるまで、試料がリザーバ4122内に保持されるようなサイズである。このようにして、弁開口部4125は、毛細管弁として機能し、回転サイクル中に流体接着力が超過するまで、試料の流れを制限する。この配置は、試料が、希釈試薬、染色試薬(または染料)、および他の任意の適切な試薬などの、入口リザーバ4122内の試薬と混合されることを可能にする。弁開口部4125は、使用中に構成を変更しない「受動」弁であるが、他の実施形態では、カートリッジ4100は、入口リザーバ4122と分離チャンバ4143との間の流れを制限するための任意の適切なタイプの弁または流れ制限を含むことができる。そのような弁は、たとえば、遠心力によって作動される逆止弁装置などの能動弁(たとえば、カートリッジが所定の回転速度を超えるとき)、使用中に破裂または穿刺される壊れやすい弁などを含むことができる。
【0085】
分離部分4140は、(第1の部材4101の)第1の表面4141および(第2の部材4102の)第2の表面4142によって境界が定められる分離チャンバ(またはチャネル)4143を画定する。第2の部材4102は、密度媒体をカートリッジ内に保持することができる2つのリザーバ4144を画定する。この配置は、十分な量の密度媒体がカートリッジ4100内に存在することを確実にして、検出表面4161上の標的細胞の正確な収集および/または捕捉を確実にすることができる。たとえば、リザーバ4144は、約25μL~約75μLの間の追加の容量を提供して、長期間(たとえば、最大約1年または最大約2年)の貯蔵後に十分な量の密度媒体が利用可能であることを保証することができる。この追加の容量は、密度媒体の潜在的な蒸発を説明することができる。分離部分4140は、2つの別個の(すなわち、非隣接の)リザーバ4144を含むものとして示されているが、他の実施形態では、密度媒体を維持するためのリザーバの任意の配置を使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、分離部分4140は、単一のリザーバを含むことができる。
【0086】
密度媒体は、本明細書に示され、説明されるタイプの任意の密度媒体であり得る。たとえば、
図21は、E.coli細菌で試験された低密度汚染物質のフィルタリングにおける密度媒体の有効性を示している。いくつかの実施形態では、密度媒体は、約1.01g/cm
3~約1.13g/cm
3の間の密度を有することができる。他の実施形態では、密度媒体は、約1.06g/cm
3~約1.09g/cm
3の間の密度を有することができる。さらに他の実施形態では、密度媒体は、約1.07g/cm
3~約1.08g/cm
3の間の密度を有することができる。分離チャンバ4143は、本明細書に開示されるような任意の適切な深さを有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、分離チャンバ4143は、0.250mmまたは0.125、あるいはその間の任意の値の深さ(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有することができる。
【0087】
図11に示すように、検出部分4160は、(第1の部材4101の)第1の表面4161および(第2の部材4102の)第2の表面4162によって境界付けられる検出チャンバ(またはチャネル)4163を画定する。いくつかの実施形態では、第2の表面4162は、回転サイクル中の試料の一部のバルクフローを制限または防止することができるリブ4107を含むことができる。他の実施形態では、第2の表面4162は、そのようなリブを含まない。第1の表面4161(検出表面または結像面とも呼ばれる)は、第1の表面4141または第2の表面4142のうちの少なくとも1つと非平行であり、これにより、本明細書に詳細に記載されているように、標的粒子(または細胞)が検出表面4161に衝突することができる。同様に、
図11を参照すると、検出表面4161および分離部分4160の第1の表面4141は、ゼロ以外の検出角度Θを形成する。検出角度Θは、カートリッジ4100の半径方向軸(半径方向は矢印Rによって識別される)、すなわち、カートリッジの回転軸Arotと半径方向に交差する軸に沿っている。具体的には、検出角Θは、回転軸Arotと半径軸Aradによって規定される断面内にある。いくつかの実施形態では、検出角度Θは、約1度~約8度の間である。他の実施形態では、検出角度Θは、約1.5度~約5度の間である。さらに他の実施形態では、検出角度Θは約2度である。いくつかの実施形態では、検出表面4161および第1の表面4141はモノリシックに構築され、検出角度は表面間の「屈曲」である。
【0088】
いくつかの実施形態では、検出表面4161(および以下に説明する検出表面4161を含む、本明細書に記載の検出表面のいずれか)は、標的粒子TPを捕捉するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面4161は、標的粒子TPの接着を増強するように改変され得る。そのような修飾には、たとえば、化学修飾、表面コーティング、検出表面4161の帯電、またはこれらの修飾の組み合わせが含まれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、検出表面4161(および以下に説明する検出表面4161を含む、本明細書に記載の検出表面のいずれか)は、結像のための境界の識別を支援することができるマーキングまたはテクスチャを含むことができる。他の実施形態では、検出表面4161は、コロナ処理(空気プラズマ処理とも呼ばれる)によって変更することができる。このプロセスは、表面のポリマー鎖を破壊し、それにより、検出表面4161の表面エネルギーを増加させることができ、それにより、検出表面4161の表面接着特性の改善を改善する。他の実施形態では、表面修飾は、負に帯電した粒子(たとえば、細菌)に結合するポリ-L-リジン(PLL)またはポリエチレンイミンなどの帯電したコーティングを適用することを含むことができる。いくつかの実施形態では、帯電したポリマーは、正の表面電荷を生成するための(-NH
3
+)を含むことができる。帯電したコーティングは、任意の適切な方法で適用することができる。いくつかの実施形態において、荷電ポリマーコーティングは、カルボジイミド化合物を使用する接着によって適用され得る。カルボジイミド化合物は、PLLなどの帯電したポリマーコーティングの塗布を促進できる架橋化合物である。他の実施形態では、帯電したポリマーコーティングは、光化学的に誘発された重合および所望のコーティングのグラフト化によって適用することができる。さらに、検出表面4161は、表面の接着特性を強化するために任意の適切な手順の組み合わせを使用して修正され得る。たとえば、(検出表面4161を参照する)
図18に示すように、検出表面4161を含む本明細書に記載の検出表面のいずれも、コロナ処理およびPLLコーティングの組み合わせを使用して改変され得る。検出表面4161の正電荷は、(+)によって示され、これは、その中の標的粒子(たとえば、細菌)を捕捉するための接着特性を改善する。
【0089】
いくつかの実施形態では、検出表面4161は、標的粒子TPを捕捉するのに役立つ表面仕上げ(または粗さ)を有するように変更され得る。表面仕上げ(または粗さ)を選択して、結像手順に干渉しない識別および/またはマーキング特性を提供することもできる。このようにして、カートリッジの検出表面および他の部分は、結像データの収集および評価を支援するためのマーキングを含むことができる。
【0090】
示されているように、検出角度Θは下方向である。このようにして、検出表面4161は、カートリッジ4100を形成する第1の部材4101上にある。再び
図11を参照すると、第1の部材4101の外面4171はまた、検出表面4161とともに、第1の部材4101を通る結像(または光学)経路を規定する傾斜面4172を含む。表面4172の角度は、検出角度Θと同じである。同様に、外面4172は、検出表面4161に平行である。
【0091】
検出チャンバ4163(
図11を参照)は、本明細書に開示される任意の適切な深さを有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出チャンバ4163は、0.250mmまたは0.125、あるいはその間の任意の値の深さ(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有することができる。いくつかの実施形態では、検出チャンバ4163の深さは、分離チャンバ4143の深さと同じであり得る。他の実施形態では、検出チャンバ4163の深さは、分離チャンバ4143の深さとは異なっていてもよい。
【0092】
図11に示されるように、廃棄物部分4180は、(第1の部材4101の)第1の表面4181および(第2の部材4102の)第2の表面4182によって境界付けられる廃棄物チャンバ(またはチャネル)4183を画定する。いくつかの実施形態では、廃棄物部分4180の第1の表面4181および分離部分4140の第2の表面4142は同一平面上にある。他の実施形態では、廃棄物部分4180の第1の表面4181は、分離部分4140の第2の表面4142よりも低い。廃棄物チャンバ4183は、0.250mmまたは0.125、あるいはその間の任意の値の深さ(本明細書では厚さとも呼ばれる)を有する。
【0093】
図17を参照すると、検出チャンバ4163のサイズ(すなわち、表面積または容積)および分離チャンバ4143のサイズ(すなわち、表面積または容積)は、検出表面4161で捕捉された標的粒子の濃度が、初期試料の標的粒子の濃度よりも大きくなるように選択され得る。同様に述べられるように、検出チャンバ4163のサイズ(すなわち、表面積または容積)および分離チャンバ4143のサイズ(すなわち、表面積または容積)は、検出チャンバ4163内の標的粒子の「濃縮アップ」を生成するように選択され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、分離チャンバ4143の容積と検出チャンバ4163の容積との比は、少なくとも約2.0である。他の実施形態では、分離チャンバ4143の容積と検出チャンバ4163の容積との比は、少なくとも約2.5である。さらに、チャンバの容積は、カートリッジ4100内の密度媒体に対する初期試料の所望の容積比を容易にすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、密度媒体の容積に対する試料容積の比は、約100:45である。具体的には、100マイクロリットルの試料量の場合、カートリッジ4100は、約45マイクロリットルの密度媒体を含むことができ、検出チャンバ4163が密度媒体で完全に満たされることを確実にする。入口試料に対する密度媒体の比率はまた、検出チャンバ4163内の標的粒子の「濃縮アップ」を生み出すことができる。
【0094】
第1の部材4101および第2の部材4102を含むカートリッジ4100は、任意の適切な材料から構築することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、カートリッジ4100は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から構築することができる。他の実施形態では、カートリッジ4100は、トパス(登録商標)アドバンストポリマーによって製造されたそのようなポリマーを含む環状オレフィンコポリマー(COC)から構築することができる。さらに、カートリッジ4100が形成される材料のいずれも、上記の検出表面4161への表面修飾を含むことができる。
図19および
図20は、PMMAおよびCOCの両方から形成されたカートリッジの検出表面4161上の表面処理に関連する実験データを示すグラフである。示されているように、帯電コーティングを検出表面4161に適用するための多くの異なる可能な方法があり、これらの方法のいくつかは、PMMAおよびCOCのいずれか(または両方)に有効である。ただし、非イオン性界面活性剤F68による表面処理では、検出表面への細菌の接着は促進されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、カートリッジ4100は、入口リザーバ4122内またはカートリッジの他の部分に染色試薬を含むことができる。染色試薬は、標的細胞に結合して検出を強化するように処方されている。このようにして、染色試薬は、汚染物質を含む試料中の標的粒子を検出する(たとえば、結像する)特異性を改善することができる。具体的には、標的粒子の同様のサイズ、密度、および/または形状を有する特定の汚染物質も検出表面4161に捕捉される場合、染色試薬の使用により、そのような汚染物質を標的粒子から区別することができる。いくつかの実施形態において、染色試薬は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対して有効であるDNA色素を含み得る。このような染色試薬には、グラム陰性菌の細胞壁の破壊を促進し、それによって結果の均等化を促進するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含めることができる。いくつかの実施形態では、染色試薬は、
図22に示されるものを含む、任意の適切なSyto(商標)核酸染色物を含むことができる。
図22は、様々な染色試薬に関連する実験データのプロットである。他の実施形態では、染色試薬は、DAPI蛍光染色またはヘキスト33258を含むことができる。このような染色試薬は、血小板(DNAを含まない)を染色せずに、標的細胞(細菌粒子など)内のDNAを標識するために使用できる。
【0096】
いくつかの実施形態では、染色試薬は、カートリッジ4100内に事前に包装され得、試料が入口リザーバ4122に導入された後に試料に混合され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、染色試薬は、乾燥状態(たとえば、粉末化または凍結乾燥)で入口リザーバ内に保存され得、試料が入口リザーバに追加されるときに試料によって再構成され得る。他の実施形態では、染色試薬は、液体状態で入口リザーバ内に貯蔵され得、開口部4121は、使用前の貯蔵および出荷中のこぼれを防ぐために覆われることができる。さらに他の実施形態では、カートリッジ4100は、染色試薬を収容することができる1つまたは複数の別個の試薬リザーバ(図示せず)を含むことができる。使用中、試薬リザーバは、染色試薬を生物学的試料と混合することを可能にするために、入口リザーバ4122と流体連絡(たとえば、弁を介して、壊れやすいシールが穿刺されるなど)に配置され得る。
【0097】
他の実施形態では、染色試薬は、カートリッジ4100(または本明細書に記載のカートリッジのいずれか)および本明細書に記載の方法のいずれかを完了するために必要なすべてのアイテムを含むキットの一部として含めることができる。このようなキットについては、以下で詳しく説明する。
【0098】
いくつかの実施形態では、カートリッジ4100は、入口リザーバ4122内またはカートリッジの他の部分に希釈試薬を含むことができる。希釈試薬は、生物学的試料の特性を改善して、本明細書に記載の方法による検出を容易にするように処方される。たとえば、いくつかの実施形態では、希釈試薬は、消泡剤、湿潤剤、分散剤、または乳化剤のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、希釈試薬は、F-68プルロニックなどのポロキサマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびポリ(プロピレンオキシド)(PPO)を含むことができる。いくつかの実施形態において、希釈試薬は、アジ化ナトリウムを含み得る。いくつかの実施形態では、希釈試薬は、カートリッジ4100内に事前に包装され得、試料が入口リザーバ4122に導入された後に試料に混合され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、希釈試薬は、液体状態で入口リザーバ内に貯蔵され得、開口部4121は、使用前の貯蔵および出荷中のこぼれを防ぐために覆われ得る。他の実施形態では、カートリッジ4100は、希釈試薬を収容することができる1つまたは複数の別個の試薬リザーバ(図示せず)を含むことができる。使用中、試薬リザーバは、希釈試薬を生物学的試料と混合することを可能にするために、入口リザーバ4122と流体連絡(たとえば、弁を介して、壊れやすいシールが穿刺されるなど)に配置され得る。
【0099】
他の実施形態では、希釈試薬は、カートリッジ4100(または本明細書に記載のカートリッジのいずれか)および本明細書に記載の方法のいずれかを完了するために必要なすべてのアイテムを含むキットの一部として含めることができる。このようなキットについては、以下で詳しく説明する。
染色試薬、希釈試薬、および密度媒体などの別個の試薬および/または構成要素を含むと記載されているが、いくつかの実施形態では、これらの構成要素の1つの決定の組成物および/または機能は、他の構成要素のいずれかによって実行され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、密度媒体は、上記のタイプなどのポロキサマーを含むことができる。
【0100】
カートリッジ2100に関して上で説明したように、試料は、第1の低密度部分および第2の高密度部分を含むことができる。第1の部分には、非結合色素(染色試薬)、細胞断片、タンパク質、またはその他のマトリックス成分などの低密度汚染物質を含めることができる。第2の部分には、最初に標的粒子と、赤血球、白血球、結晶、または大きなタンパク質凝集体などの他の高密度汚染物質を含めることができる。使用中、有効な遠心力により、標的粒子と高密度汚染物質が半径方向外向きに移動する。標的粒子は、検出表面4161に接触するまで移動する。しかしながら、低密度汚染物質は、分離部分4140に保持され(たとえば、密度媒体によって遮断される)、したがって、検出表面4161に到達するのが妨げられる。
【0101】
図23は、一実施形態による、試料中の標的細胞の濃度を検出する方法10のフローチャートである。いくつかの実施形態では、方法10(および本明細書に記載のカートリッジ)は、ミリリットル(mL)あたり10^3コロニー形成単位(CFU)の下限およびmLあたり10^9CFUの上限内の標的細胞の濃度を決定することができる。他の実施形態では、下限は、ミリリットル(mL)あたり10^3個のコロニー形成単位(CFU)である。カートリッジ4100に関連して説明されているが、方法10は、本明細書に記載されているカートリッジ、システム、および/または構成要素のいずれかを使用して実行することができる。さらに、方法10は、治療プロトコルなどを決定するための他の方法の一部として含めることができる。いくつかの実施形態では、方法は、任意選択で、生の生物学的試料を処理して、カートリッジ4100内での使用に適した試料を生成することを含むことができる。具体的には、方法10は、操作12で、生の培養血液試料を処理して、カートリッジ4100の入口リザーバ4122への入力に適した試料を生成することを任意選択で含むことができる。適切な試料調製の例は、最初の遠心分離を含む試料調製方法20および30を示している
図24Aおよび
図24Bに示されている。
【0102】
この方法はまた、任意選択で、操作13で、染色試薬を試料と混合することを含む。染色試薬は、本明細書に記載の染色試薬のいずれかであり得、標的細胞に結合し、その検出を増強するように処方される。上記のように、いくつかの実施形態では、染色試薬はカートリッジ内に保存することができ、混合は、試料がリザーバ内に輸送された後、入口リザーバ内で起こり得る。他の実施形態では、染色試薬は、カートリッジとは別に保管することができ、カートリッジの外側で、または試料が入口リザーバに入った後に、試料に加えられることができる。
【0103】
この方法は、操作14で、試料をカートリッジの入口リザーバ内に輸送することを含む。カートリッジは、カートリッジ4100と同様であり得、分離部分および検出部分を含む。分離部分は、(たとえば、受動弁または能動弁のいずれかを介して)入口リザーバに流体的に結合することができる分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合されており、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、標的細胞を捕捉するように構成されている。
【0104】
カートリッジは、16で機器の回転要素に結合される。機器は、本明細書に記載の機器のいずれかであり得る。次に、機器は、操作18で作動されて、機器に分離および検出機能を実行させる。具体的には、作動後、機器は、試料の少なくとも一部を流し、輸送し、またはさもなければ入口リザーバから分離チャンバを通って検出チャンバに移動させ、および操作18Aで、標的細胞が検出表面上に捕捉される、のに十分な回転速度でカートリッジを回転させる。いくつかの実施形態では、カートリッジは、標的細胞を単離するための試料の分離を容易にするために、本明細書に記載のタイプの密度媒体を含むことができる。
【0105】
回転速度および時間は、標的細胞が検出表面によって捕捉されるようにするための任意の適切な時間であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、回転速度は、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、および少なくとも5分間維持することができる。いくつかの実施形態では、回転速度は少なくとも3000RPMであり得る。他の実施形態では、回転速度は、約3000RPM~約15,000RPMの間であり得る。他の実施形態では、回転速度は、約5000RPM~約9000RPMの間であり得る。さらに他の実施形態では、回転速度は、約6000RPM~約7000RPMの間であり得る。
【0106】
次に、機器は、機器の検出器を介して、操作18Bで、検出表面上に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信する。検出器は、任意の適切な検出器にすることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、検出器は光検出器であり、信号は光(光)信号である。次に、機器は、信号に基づいて、操作18Cで、試料中の標的細胞の濃度を決定する。
【0107】
いくつかの実施形態では、機器は、方法10(および本明細書に記載の他の方法)の任意の部分を実行するためのプロセッサ、メモリ、および他の電子部品を含むことができる。機器のプロセッサは、機器に関連するアプリケーションモジュール、プロセス、および/または機能を実行および/または実行するように構成することができる。たとえば、プロセッサは、方法10の間に生成された画像のキャプチャおよび処理を容易にする画像キャプチャモジュールを実行および/または実行するように構成することができる。プロセッサは、たとえば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などであり得る。プロセッサは、メモリ装置(図示せず)からデータを取得したり、メモリ装置にデータを書き込んだりするように構成することができる。
【0108】
メモリ(図示せず)は、たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、フロッピーディスク、クラウドストレージなどであってもよい。いくつかの実施形態では、メモリは、プロセッサに、機器に関連するモジュール、プロセス、および/または機能を実行させるための命令を格納する。たとえば、メモリは、プロセッサに画像キャプチャモジュールを実行させる命令を格納できる。
【0109】
いくつかの実施形態では、試料中の標的細胞の濃度を検出するための方法、カートリッジ、およびキットのいずれかを、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定するための分析法の一部として使用することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、標的細胞の濃度を検出するための方法、カートリッジ、およびキットのいずれかを、抗生物質感受性試験(AST)の一部として使用することができる。たとえば、
図25は、一実施形態による、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定する方法40のフローチャートである。この方法は、操作41で、試料の第1の部分をカートリッジ内に輸送することを含む。カートリッジは、カートリッジ4100と同様であり得、分離部分および検出部分を含む。分離部分は、分離チャンバを画定する第1の表面および第2の表面を含む。検出部分は、検出チャンバの境界を形成する検出表面を含む。検出チャンバは、分離チャンバに流体的に結合されており、検出表面および分離部分の第1の表面は、ゼロ以外の検出角度を形成する。検出表面は、複数の標的細胞を捕捉するように構成される。
【0110】
次に、カートリッジは第1の機器内で結合される。第1の計器は、操作42で作動され、計器にいくつかの機能を実行させる。第1の機器は、試料の第1の部分を流動、輸送、またはその他の方法で分離チャンバを通って検出チャンバに移動させるのに十分な回転速度でカートリッジを回転させ、操作42Aで標的細胞を検出表面に捕捉する。次に、機器は、機器の検出器を介して、操作42Bで、検出表面上に捕捉された標的細胞の量を示す信号を受信する。最後に、第1の機器は、次に、信号に基づいて、操作42Cで、試料中の標的細胞の濃度を決定する。この方法は、操作43において、試料の第1の部分、試料の第2の部分内の標的細胞の濃度に基づいて処理することをさらに含む。処理は、たとえば、標的細胞の濃度が所望の範囲内にあることを確実にするために試料の第2の部分を希釈することを含み得る。次に、試料の第2の部分は、44で反応チャンバ内に輸送される。次に、この方法は、操作45で、第2の機器を作動させて、試料の第2の部分に対して感受性分析を実行して、治療プロトコルに対する標的細胞の感受性を決定することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に示され、説明されるタイプのカートリッジ、ならびに本明細書に記載される方法のいずれかを実行するための他の材料を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、キットは、カートリッジ(たとえば、カートリッジ4100)、ならびに本明細書に記載の試薬および/または密度媒体のいずれかを含むことができる。いくつかの実施形態では、所定量の密度媒体(たとえば、過剰充填することなくカートリッジを所望のレベルまで充填するのに十分な量)を、カートリッジとは別の容器に包装することができる。いくつかの実施形態では、密度媒体の容積は、カートリッジの容積の50パーセント未満であり得る。いくつかの実施形態では、希釈試薬(たとえば、過剰充填することなくカートリッジを所望のレベルまで充填するのに十分な量)または染色試薬(たとえば、標的粒子の所望の染色を生成するのに十分な量)のいずれかまたは両方の所定量は、カートリッジとは別の容器に梱包できる。いくつかの実施形態では、染色試薬および希釈試薬は、単一の試薬容器に一緒に保存することができる。他の実施形態では、各組成物(たとえば、密度媒体、希釈試薬、染色試薬)は、別個の容器に保存することができる。密度媒体、試薬、およびカートリッジを別々に包装することにより、キットの保管寿命を延ばすことができる。さらに、特定の分析が1つの密度媒体または試薬を必要とし、他の分析が第2の異なる密度媒体または第2の異なる試薬を必要とする場合、密度媒体、試薬、およびカートリッジを別々に包装すると、同じカートリッジを異なるキット(それぞれ異なる試薬、密度媒体などを使用)で使用できる。
【0112】
いくつかの実施形態では、キットは、試料移送装置(たとえば、ピペット)および/または試料処理のための他のアイテムを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、キットは、ピペットおよび混合または試料処理容器を含むことができる。使用中、試料は、混合容器内で希釈試薬および染色試薬のいずれかまたは両方と混合することができる。ピペットを使用して、所定量の所望の試薬を貯蔵容器から混合容器内に輸送することができる。ピペットを使用して、試料を混合容器に移し、成分を吸引または混合することもできる。最後に、ピペットは試料と試薬の混合物を混合容器からカートリッジに移すことができる。
【0113】
いくつかの実施形態における追加の要素は、入口穴上の接着箔などの耐蒸気性材料を含む。カートリッジは、二次密封ポーチに保管されることにより、保管寿命を延ばすことができる。生物学的安全性のために、紡糸中に入口穴を覆うことができる。
しかしながら、他の実施形態では、キットは、密度媒体および/または本明細書に記載の試薬のいずれかが事前に充填されたカートリッジを含むことができる。
【0114】
図26Aおよび
図26Bは、本明細書に記載されるように、カートリッジおよび方法に関連する細胞濃度の実験データを示すグラフである。これらのデータは、参照試料と2次元プロトタイプカートリッジ(2Dカートリッジ)で実行されたテスト結果との相関関係を示している。2Dカートリッジには、回転サイクル中に試料が輸送される単一の並列チャネルが含まれている。角度の付いた検出表面の効果は、2Dカートリッジで、カートリッジを半径軸に対してゼロ以外の角度に向けることによってシミュレートされる。これらのテストでは、参照試料には、血液培養上清(血液と培地を含む)にスパイクされた細菌(黄色ブドウ球菌または大腸菌)が含まれていた。参照結果は、血球計算盤を使用して得られた。これらの結果は、検出下限が約10^5CFU/mLおよび上限が約10^9CFU/mLの細胞濃度を決定するための本明細書に記載のカートリッジおよび方法の実現可能性を示している。
【0115】
図27は、本明細書に記載されるようなカートリッジおよび方法に関連する粒子濃度の実験データを示すグラフである。具体的には、
図27は、本明細書に示され記載されたタイプのカートリッジで実施された試験からの異なる粒子を用いた粒子濃度の実験データを示す。具体的には、テストカートリッジは、ゼロ以外の検出角度を形成する分離面および検出表面を含んでいた。
図27に示される結果の参照試料には、低濃度範囲のシミュレーションビーズ(1μm、蛍光ビーズ)と高濃度範囲のバクテリアの両方が含まれている。これらの結果は、検出下限が約10^3CFU/mLおよび上限が約10^9CFU/mLの細胞濃度を決定するための本明細書に記載のカートリッジおよび方法の実現可能性を示している。
【0116】
図28は、本明細書に記載されるように、カートリッジおよび方法に関連するブドウ球菌(黄色ブドウ球菌)および大腸菌濃度の両方の実験データを示すグラフである。
【0117】
図29Aおよび
図29Bは、本明細書に記載されるように、カートリッジおよび方法に関連する粒子濃度の実験データを示すグラフである。具体的には、
図29Aは、アシネトバクター・バウマンニ(Abiとして示される)、大腸菌(Ecoとして示される)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Kpnとして示される)、および緑膿菌(Paeとして示される)を含むグラム陰性種の相関曲線を示す。
図29Bは、エンテロコッカス・フェカーリス(Efsとして示される)およびスタフィロコッカス・エピダーミディス(Sepとして示される)を含むグラム陽性種の相関曲線を示す。これらの結果は、1:4全血および血液培養培地混合物に細菌を接種することを含む一晩培養手順を使用して生成された。試料を振とうしながら37℃で一晩培養した。次に、一晩培養物を血清分離器で3000rpmで10分間遠心分離した。次に、血清分離管をボルテックスして細菌を再懸濁してから、試料をカートリッジ(カートリッジ4100と同様)内に輸送する。
【0118】
【0119】
図31は、一実施形態による、カートリッジの斜視図である。
【0120】
図32Aおよび
図32Bは、様々な実施形態による、概略図のカートリッジである。
様々な実施形態が上で説明されてきたが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。上記の方法および/または概略図が、特定のイベントおよび/または特定の順序で発生するフローパターンを示す場合、特定のイベントおよび/または操作の順序を変更することができる。実施形態が特に示され、説明されているが、形態および詳細に様々な変更を加えることができることが理解されよう。
【0121】
本明細書に記載のカートリッジのいずれも、任意の適切なプロセスに従って製造することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、カートリッジの上部プレートおよび下部プレートは、超音波溶接、接着剤、圧入、または他の手段を使用して組み立てることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカートリッジのいずれかは、取り外し可能または永久的なシール、マーキング、取り扱いアクセサリなどを含むことができる。
【0123】
いくつかの実施形態は、必ずしも同一ではないが、カートリッジの両端が機能的である対称カートリッジを含む。たとえば、カートリッジの異なる端部は、異なる密度の媒体、異なる染料、異なる帯電した表面などを含み得る。実施形態はまた、単一の機能的端部のみを有するカートリッジを含む。これらの場合、もう一方の端は主にカウンターウェイトと見なすことができる。カートリッジ内の重量バランスは、回転前、回転中、または回転後にカートリッジのバランスがとれるように選択できる。一実施形態では、カートリッジは、スピン後のためにバランスがとられている。
【0124】
いくつかの実施形態は、同じモータを使用してカートリッジを回転させ、結像システム内にカートリッジを配置して、結像システムがカートリッジの端部の複数の異なる位置を結像できるようにする機器を含む。つまり、システムの結像段階でのスピンとカートリッジの位置決めの両方に、単一のモータのみが使用される。
【0125】
本明細書に記載の方法のいずれも、任意の適切な生物学的試料に対して実施することができる。生物学的試料は、血液、尿、鼻腔スワブ、膣スワブなどの体液を含むことができる。いくつかの実施形態では、試料は、末梢血試料であり得る。
【0126】
本明細書に記載の方法のいずれかを実行して、任意の適切な標的粒子を検出することができる。いくつかの実施形態では、標的粒子は細胞を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、標的細胞は細菌細胞を含むことができる。したがって、本明細書に記載の方法は、抗生物質の経過による治療に対する細菌細胞の感受性を決定するための分析法と組み合わせて使用することができる。標的細菌には、たとえば、腸内細菌科、シュードモナス属、アシネトバクター属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、または腸球菌属が含まれ得る。
【0127】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装操作を実行するための命令またはコンピュータコードをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれる)を備えたコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝搬信号(たとえば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードとも呼ばれる)は、特定の目的のために設計および構築されたものである場合がある。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体。コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM)、ホログラフィック装置などの光ストレージ媒体。光ディスクなどの磁気光学記憶媒体。搬送波信号処理モジュール;特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック装置(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置など、プログラムコードを格納および実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるようなマシン命令、Webサービスの生成に使用されるコード、および通訳を使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイル、が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、命令型プログラミング言語(C、Fortranなど)、関数型プログラミング言語(Haskell、Erlangなど)、論理プログラミング言語(Prologなど)、オブジェクト指向プログラミング言語(たとえば、Java、C++)または他の適切なプログラミング言語および/または開発ツールなど)を使用して実装できる。コンピュータコードの追加の例には、制御信号、暗号化されたコード、および圧縮されたコードが含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
様々な実施形態が特定の特徴および/または構成要素の組み合わせを有するものとして説明されてきたが、他の実施形態は、上記の実施形態のいずれかからの任意の特徴および/または構成要素の組み合わせを有することが可能である。態様は、細胞、特に細菌細胞の濃度を決定するという一般的な文脈で説明されてきたが、本発明の態様は、必ずしも分子診断、ヘルスケア、および/または医療機器での使用に限定されない。