(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】第VIII因子組成物、ならびに組成物の作製方法および用途
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230726BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230726BHJP
C07K 14/755 20060101ALI20230726BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230726BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230726BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230726BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230726BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230726BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230726BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230726BHJP
A61K 38/37 20060101ALI20230726BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230726BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K19/00 ZNA
C07K14/755
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/37
A61K47/64
A61P7/04
(21)【出願番号】P 2022008583
(22)【出願日】2022-01-24
(62)【分割の表示】P 2019148815の分割
【原出願日】2012-07-11
【審査請求日】2022-01-24
(32)【優先日】2012-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505007364
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー シェレンバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ペイ-ユン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ファトバルダ ヴァルファイ
(72)【発明者】
【氏名】ディン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】チア-ウェイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スピンク
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム ピー. ステマー
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ギーティング
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クルマン
(72)【発明者】
【氏名】トンヤオ リウ
(72)【発明者】
【氏名】ギャラベット ジー. トビー
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ピーターズ
(72)【発明者】
【氏名】デピン ワン
(72)【発明者】
【氏名】バイソン メイ
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-512768(JP,A)
【文献】国際公開第2011/069164(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 14/00
A61K 38/00
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え第VIII因子融合タンパク質をコードする核酸であって、前記組換え第VIII因子融合タンパク質は、伸長組換えポリペプチド(XTEN)に融合された第VIII因子ポリペプチドを含み、
前記第VIII因子ポリペプチドが、成熟型天然ヒト第VIII因子(配列番号2)のアミノ酸1~745を含み、
前記XTENは、成熟型天然ヒト第VIII因子(配列番号2)のアミノ酸745に相当するアミノ酸のすぐ下流で前記第VIII因子ポリペプチドに挿入されており、
前記XTENは、配列番号23、24、25、26、50、52、67、または78で示されるアミノ酸配列を含む、核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年2月15日に出願された米国仮特許出願番号第61/599,400号の優先権の利益を主張し、当該出願は参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願には、EFS-Webを介し、ASCIIのフォーマットで提出された配列表が包含され、その全体が、参照により本明細書に援用される。2012年7月11日に作成された、前記ASCIIのコピーは、32887346.txtという名称であり、サイズは、13,344,768バイトである。
【背景技術】
【0003】
第VIII因子は、血液凝固カスケードの内因性経路における、重要な成分である。血液循環において、第VIII因子は主に、von Willebrand因子と複合体を形成する。トロンビン(第IIa因子)による活性化が起こると、第VIII因子は複合体から解離し、内因性凝固カスケードの第IXa因子と相互作用し、次いで、第X因子を活性化する。いったんvon Willebrand因子複合体から離れると、活性化第VIII因子は活性化プロテインC(APC)、第Xa因子および第IXa因子によって、タンパク質分解により不活化され、速やかに血流から除去される。正常なvon Willebrand因子タンパク質と複合体を形成した場合、第VIII因子の半減期はおよそ12時間であるが、von Willebrand因子が無い場合では、第VIII因子の半減期は2時間にまで減少する(Tuddenham EG, et al., Br J Haematol. (1982) 52(2):259-267)。
【0004】
血友病では、ある血漿血液凝固因子の欠失によって、血液凝固が障害されている。血友病Aは、第VIII因子の欠失症であり、血友病の事例の80%を占める、X染色体異常の劣性伴性遺伝病である。血友病Aの標準的な管理ケアは、組み換え第VIII因子濃縮物の補充療法である。重篤な血友病Aの患者では、循環凝血促進第VIII因子レベルは正常の1~2%未満であり、多くの場合、投与間の第VIII因子レベルを1%超に保つことを目的とした予防的療法を受け、通常、それは1週間に2~3回の第VIII因子の投与によって得ることができる。中程度の血友病患者(第VIII因子のレベルが正常の2~5%)は、血友病の事例の25~30%を占め、軽度外傷で出血症が発現する。軽度の血友病A患者(第VIII因子のレベルが正常の5~40%)は、血友病の事例の15~20%を占め、重度外傷または手術の後でのみ、出血症を発症する。
【0005】
外因的に補充された第VIII因子のin vivo活性は、短いタンパク質半減期と、第VIII因子に結合し、止血機能を減少させる、または破壊する阻害物質の両方により制限される。
【0006】
外因的に補充された第VIII因子の投与を受けている血友病A患者の30%までが、第VIII因子に対するIgG免疫応答を惹起させ(Towfighi, F., et
al. Comparative measurement of anti-factor VIII antibody by Bethesda assay and ELISA reveals restricted isotype profile
and epitope specificity. Acta Haematol (2005) 114:84-90)、それによって、凝固促進活性が完全に阻害され、および/または、第VIII因子のより急速な排除がもたらされる(Briet E et al. High titer inhibitors in severe haemophilia A. A meta-analysis based on eight long-term follow-up studies concerning inhibitors associated with crude or intermediate purity factor VIII products.
Throm. Haemost. (1994) 72: 162-164)。FVIII阻害物質と呼ばれるIgG抗体は、主に、A2、A3およびC2ドメインに指向する(Scandella D et al. Localization of epitopes for human factor VIII inhibitor antibodies by immunoblotting and antibody neutralization. Blood (1989) 74:1618-1626)が、A1、BおよびC1ドメインに対しても同様に、発生しうる。そのため、FVIII阻害物質を伴う患者の治療の選択肢は限定されている。
【0007】
たとえば第VIII因子のような大きなタンパク質は、血流中に直接薬剤が作用するように、通常は静脈内投与が行われる。静脈内注射された非改変の第VIII因子が、正常血漿レベルのわずか1.4%の最大循環レベルしかもたらさなかったことが以前に示されている(Pool et al, Ineffectiveness of Intramuscularly Injected Factor VIII Concentrate in Two Hemophilic Patients. New England J. Medicine (1966) 275(10):547-548)。静脈内経路以外の投与が可能な製剤があれば、使用が大幅にシンプルになり、安全性が増し、そして、コストの大幅削減へとつながるであろう。
治療用タンパク質への化学的改変によって、そのin vivoクリアランス率および、その結果として血清半減期を改変することができる。普遍的な改変の1つの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)部分の付加があり、典型的には、アミン基(たとえば、リジン側鎖またはN末端)に反応するPEG上のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)またはアルデヒドを介して、タンパク質に連結されている。しかしながら、その結合ステップによって、抽出、精製および/または他のさらなる処理を必要とする、異種産物の混合物の形成がもたらされ、それらすべてが、必然的に、製品の生産量およびクオリティ制御に影響を与えうる。また、もし結合部位近辺のアミノ酸側鎖が、PEG化処理によって改変された場合、凝固因子の薬理学的な機能が障害される可能性がある。他のアプローチとしては、治療用タンパク質へのFcドメインの遺伝的な融合があり、それにより治療用タンパク質のサイズが増加し、腎臓を通じたクリアランス率が低下する。いくつかの例においては、Fcドメインにより、FcRn受容体へと結合する能力、および、FcRn受容体によってリソソームからリサイクルされる能力が付与され、それにより、薬物動態的な半減期が延長される。残念ながら、Fcドメインは組換え発現の間に効率的にはフォールディングされず、封入体として知られる、不溶性の沈殿物を形成する傾向にある。これらの封入体は、必ず可溶化しなければならず、そして、機能的なタンパク質を、誤ったフォールディングがなされた凝集体から復元しなければならないが、これらは時間がかかり、非効率的で、費用もかかるプロセスである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Towfighi, F., et al. Comparative measurement of anti-factor VIII antibody by Bethesda assay and ELISA reveals restricted isotype profile and epitope specificity. Acta Haematol (2005) 114:84-90
【文献】Briet E et al. High titer inhibitors in severe haemophilia A. A meta-analysis based on eight long-term follow-up studies concerning inhibitors associated with crude or intermediate purity factor VIII products. Throm. Haemost. (1994) 72: 162-164
【文献】Scandella D et al. Localization of epitopes for human factor VIII inhibitor antibodies by immunoblotting and antibody neutralization. Blood (1989) 74:1618-1626
【文献】Pool et al, Ineffectiveness of Intramuscularly Injected Factor VIII Concentrate in Two Hemophilic Patients. New England J. Medicine (1966) 275(10):547-548
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、新規凝固第VIII因子融合タンパク質組成物および、その使用に関する。具体的には、本明細書に提示される組成物は、血友病A、第VIII因子の欠落、出血性疾患および凝固障害に関連した状態の治療または改善に特に用いられる。1つの態様において、本発明により、第VIII因子(FVIII)および1以上の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する単離融合タンパク質の組成物が提示され、ここで、当該融合タンパク質は、凝固促進活性を示す。そのような融合タンパク質の構築に有用な対象のXTENは、典型的には、非反復配列および不定形の立体構造を有するポリペプチドである。一実施形態では、1以上のXTENが、天然型ヒト第VIII因子、第VIII因子Bドメイン欠失配列(FVIII BDD)およびそれらの配列変異型から選択される第FVIII凝固因子(CF)に連結されており(前述のものはすべて、「FVIII」または「CF」と総称される)、その結果として、組み換え第VIII‐XTEN因子融合タンパク質が得られる(CFXTEN)。CFXTENの第VIII因子ポリペプチドの成分には、A1ドメイン、A2ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および任意選択的にBドメインまたはその一部が含有される。いくつかの実施形態において、第FVIII因子はさらに、酸性a1、a2およびa3スペーサーを含有する、前述のドメインの描写により特徴付けられる。他の実施形態において、本開示は、当該融合タンパク質を含有する医薬組成物および、第VIII因子関連疾患の治療のための方法およびレジメンにおける、その使用を目的とする。CFXTEN組成物は、XTENに連結されていない第FVIII因子と比較して、薬物動態的な特性および薬理学的な特性が増強されており、それによって、投薬がより簡便になり、効率が改善されうる。
【0010】
第一の態様において、本発明は、第VIII因子ポリペプチドおよび、第VIII因子に連結された1以上の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する、組み換え第VIII因子融合タンパク質に関する。いくつかの実施形態において、本発明により、第VIII因子ポリペプチドおよび、少なくとも1つの伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質が開示され、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、前記少なくとも1つのXTENは、(i)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で;(ii)もしBドメインの一部またはすべてが存在する場合には、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインの内で;(iii)前記第VIII因子ポリペプチドのA1ドメインの内で;(iv)前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインの内で;(v)前記第VIII因子ポリペプチドのA3ドメインの内で;(vi)前記第VIII因子ポリペプチドのC1ドメインの内で;(vii)前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインの内で;(viii)前記第VIII因子ポリペプチドのN末端で、または、(ix)前記第VIII因子ポリペプチドの2つのドメインの間で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、ここで、当該融合タンパク質は、in vitroの凝固アッセイにより測定した場合に、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または、500%の凝固促進活性を維持する。一実施形態では、前述の組換え第VIII因子融合タンパク質中、少なくとも1つのXTENは、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の1~6アミノ酸で、または、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の1~6アミノ酸の内で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている。他の実施形態において、本発明により、第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも1つの第一の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、ここで、前記第一のXTENは、(i)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で;(ii)もしBドメインの一部またはすべてが存在する場合には、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインの内で;(iii)前記第VIII因子ポリペプチドのA1ドメインの内で;(iv)前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインの内で;(v)前記第VIII因子ポリペプチドのA3ドメインの内で;(vi)前記第VIII因子ポリペプチドのC1ドメインの内で;または、(vii)前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインの内で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、ならびに、(a)本明細書に記述されるin vitroの凝固アッセイまたは当分野公知の他のそのようなアッセイにおいて、XTENに連結されていない対応する第VIII因子タンパク質と比較した場合に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または500%の凝固促進活性を維持しており、および/または、(b)本明細書に記述されるin vitroの結合アッセイもしくは当分野公知のそのような他のアッセイにおいて抗第VIII因子抗体への減少した結合を示す。一実施形態では、前述の組換え第VIII因子融合タンパク質中、少なくとも1つのXTENは、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の1~6アミノ酸で、または、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の1~6アミノ酸の内で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている。他の実施形態において、本発明により、第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも1つの第一の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、ここで、前記第一のXTENは、表6および表7から選択される挿入部位で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、ならびに、ここで、当該融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子タンパク質と比較した場合に、本明細書に記述されるin vitroの凝固アッセイまたは当分野公知の他のそのようなアッセイにより測定された場合に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または500%の凝固促進活性を維持している。XTENに連結されていない第VIII因子タンパク質の非限定的な例としては、天然FVIII、BDD FVIII、pBC100および表1の配列が挙げられる。組換え第VIII因子融合タンパク質の他の実施形態において、第VIIIポリペプチド因子は、表1の配列、
図3に図示される配列、および
図4に図示される配列からなる群から選択される配列に対し、最適整列した場合に、少なくとも約80%の配列同一性、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%~約100%の配列同一性を有している。さらに他の実施形態において、当該融合タンパク質は、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインの内の、または任意選択的に前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインを置換する、前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている、少なくとも1つの他のXTENを含有する。特定の実施形態において、当該融合タンパク質は、前記第VIIIポリペプチドのBドメインの内に位置される、または、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインを置換する、少なくとも1つのXTEN配列を含有する。他の特定の実施形態において、当該融合タンパク質は、前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結される少なくとも1つのXTEN配列を含有する。一実施形態では、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、ヒト第VIII因子のBドメイン欠失変異体を含有し、ここで、当該Bドメイン欠失は、
図3に記述される、全長ヒト第VIII因子配列に準拠し、およそ、アミノ酸残基番号741~750の第一の位置から始まり、アミノ酸残基番号1635~約1648の第二の位置に終わる。他の実施形態において、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結される第一のXTEN配列、および前記第VIII因子ポリペプチドBドメインの内にある、または前記第VIII因子ポリペプチドBドメインを置換する、少なくとも第二のXTENを含有し、ここで、第二のXTENは、
図3に表記される、全長ヒト第VIII因子配列に準拠し、およそアミノ酸残基番号741~750のC末端、および、アミノ酸残基番号1635~約1648のN末端に連結され、ここで、XTENの累積的な長さは、少なくとも約100アミノ酸残基である。一実施形態では、前述の融合タンパク質中、第二のXTENは、N745~P1640の間、またはS743~Q1638の間、またはP747~V1642の間、またはN745~Q1656の間、またはN745~S1657の間、またはN745~T1667の間、またはN745~Q1686の間、またはR747~V1642の間、またはT751~T1667の間の第VIII因子アミノ酸に連結する。一実施形態では、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、最適整列した場合に、表21から選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%~約100%の配列同一性を有している配列を含有する。
他の実施形態において、当該組み換え第VIII因子融合タンパク質は、少なくとも第二のXTEN、任意選択的に第三のXTEN、任意選択的に第四のXTEN、任意選択的に第五のXTENおよび任意選択的に第六のXTENを含有し、ここで、第二、第三、第四、第五または第六のXTENの各々は、表5、表6、表7、表8および表9からの挿入部位からなる群から選択される、第二、第三、第四、第五または第六の部位で前記第VIII因子ポリペプチドに連結される;成熟第VIII因子のアミノ酸残基32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910の6アミノ酸以内の位置で前記第VIII因子ポリペプチドに連結される;前記第VIII因子ポリペプチドの任意の2つの隣接するドメインの間の位置(ここで、前記2つの隣接するドメインは、A1およびA2ドメイン、A2およびBドメイン、BおよびA3ドメイン、A3およびC1ドメイン、ならびに、C1およびC2ドメインからなる群から選択される)で前記第VIII因子ポリペプチドに連結される;
前記第VIII因子ポリペプチドのBドメイン以内の位置(ここで、前記第二のXTENは、天然第VIII因子配列の、およそアミノ酸残基番号741~約750のC末端および、アミノ酸残基番号1635~約1648のN末端に連結される)で前記第VIII因子ポリペプチドに連結される;および、前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結される。一実施形態では、第一のXTENは、少なくとも10アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、または少なくとも400アミノ酸で、第二のXTENから分離される。少なくとも第二のXTENを、任意選択的に第三のXTENを、任意選択的に第四のXTENを、任意選択的に第五のXTENを、および任意選択的に第六のXTENを含有する組換え第VIII因子融合タンパク質の一実施形態では、各XTENは、最適整列した場合に、表4、表13、表14、表15、表16および表17の配列からなる群から選択される、同等の長さのXTENと比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有している。組換え第VIII因子融合タンパク質のさらに他の実施形態においては、少なくとも第二のXTENを、任意選択的に第三のXTENを、任意選択的に第四のXTENを、任意選択的に第五のXTENを、および任意選択的に第六のXTENを含有する。好ましい実施形態において、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、対象に投与された際に、少なくとも約3時間、または4時間、または6時間、または12時間、または13時間、または14時間、または16時間、または24時間、または48時間、または72時間、または96時間、または120時間、または144時間、または7日、または14日、または21日の終末相半減期を示し、ここで、前記対象は、ヒトおよび第VIII/von Willebrand因子の二重欠損マウスから選択される。さらに、この段落の実施形態において、融合タンパク質は、XTENに連結されていない対照第VIII因子と比較して、抗第VIII因子抗体への減少した結合、もしくは、より強く維持された凝固促進活性、またはその両方を示す。一実施形態では、組み換え第VIII因子融合タンパク質の凝固促進活性は、in vitroの凝固アッセイで各々を分析した場合に、XTENに連結されていない対照第VIII因子と比較して、抗FVIII抗体の存在下で、少なくとも30%、または40%、50%、80%、100%、200%、300%、400%または500%、より強い凝固促進活性である。一実施形態では、減少した抗第VIII因子抗体への融合タンパク質の結合は、表10の抗体、および第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体からなる群から選択される抗第VIII因子抗体を用いたBethesdaアッセイを用いて測定され、ここで、減少した融合タンパク質の結合および維持された凝固促進活性は、XTENに連結されていない第VIII因子に対するものと比較して、融合タンパク質に対し、少なくとも約2、4、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、100または200Bethesda単位の、低いBethesda価により、明らかとなる。
【0011】
一実施形態では、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、たとえば、1以上のXTENを含有することができ、ここで、当該XTENは、最適整列した場合に、表4、表13、表14、表15、表16および表17から選択される同等の長さの1以上のXTENと比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%~約100%の配列同一性を有している。
【0012】
他の態様において、本発明は、FVIIIおよび、特定のN末端~C末端構造にあるXTENを1以上含有する、組換え第VIII因子融合タンパク質に関する。CFXTEN組成の一実施形態では、本発明により、式I:
(XTEN)x-CF-(XTEN)y I
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、CFは、表1からの配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される第VIII因子であり;xは、0または1のいずれかであり、yは、0または1のいずれかであり、ここで、x+y≧1であり;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。従い、CFXTEN融合組成は、XTEN-CF、XTEN-CF-XTEN、またはCF-XTENの構造を有することができる。
【0013】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式II:
(XTEN)x-(S)x-(CF)-(XTEN)y II
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、CFは、表1に記述される配列に対して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される第VIII因子であり;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;xは、0または1のいずれかであり、yは、0または1のいずれかであり、ここで、x+y≧1であり;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。
【0014】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式III:
(XTEN)x-(S)x-(CF)-(S)y-(XTEN)y III
の融合タンパク質である、組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、CFは、表1に記述される配列に対して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される第VIII因子であり;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;xは、0または1のいずれかであり、yは、0または1のいずれかであり、ここで、x+y≧1であり;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。
【0015】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式IV:
(A1)-(XTEN)u-(A2)-(XTEN)v-(B)-(XTEN)w-(A3)-(XTEN)x-(C1)-(XTEN)y-(C2)-(XTEN)z
IV
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、A1は、FVIIIのA1ドメインであり;A2は、FVIIIのA2ドメインであり;A3は、FVIIIのA3ドメインであり;Bは、Bドメインの断片またはスプライス変異体である可能性がある、FVIIIのBドメインであり;C1は、FVIIIのC1ドメインであり;C2は、FVIIIのC2ドメインであり;vは、0または1のいずれかであり;wは、0または1のいずれかであり;xは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであって、u+v+x+y+z≧1であることを条件とし;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。
【0016】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式V:
(XTEN)t-(S)a -(A1)-(S)b-(XTEN)u-(S)b-(A2)-(S)c-(XTEN)v-(S)c-(B)-(S)d-(XTEN)w-(S)d-(A3)-(S)e-(XTEN)x-(S)e-(C1)-(S)f-(XTEN)y-(S)f-(C2)-(S)g-(XTEN)z V
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、A1は、FVIIIのA1ドメインであり;A2は、FVIIIのA2ドメインであり;A3は、FVIIIのA3ドメインであり;Bは、Bドメインの断片またはスプライス変異体である可能性がある、FVIIIのBドメインであり;C1は、FVIIIのC1ドメインであり;C2は、FVIIIのC2ドメインであり;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは、0または1のいずれかであり;bは、0または1のいずれかであり;cは、0または1のいずれかであり;dは、0または1のいずれかであり;eは、0または1のいずれかであり;fは、0または1のいずれかであり;gは、0または1のいずれかであり;tは、0または1のいずれかであり;uは、0または1のいずれかであり;vは、0または1のいずれかであり;wは、0または1であり;xは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであり;zは、0または1のいずれかであって、t+u+v+w+x+y+z≧1であることを条件とし;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。式Vの他の実施形態において、当該スペーサー配列は、グリシンまたは、表11および12から選択される配列である。
【0017】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式VI:
(XTEN)u-(S)a-(A1)-(S)b-(XTEN)v-(S)b-(A2)-(S)c-(XTEN)w-(S)c-(A3)-(S)d-(XTEN)x-(S)d-(C1)-(S)e-(XTEN)y-(S)e-(C2)-(S)f-(XTEN)z VI
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、A1は、FVIIIのA1ドメインであり;A2は、FVIIIのA2ドメインであり;A3は、FVIIIのA3ドメインであり;Bは、Bドメインの断片またはスプライス変異体である可能性がある、FVIIIのBドメインであり;C1は、FVIIIのC1ドメインであり;C2は、FVIIIのC2ドメインであり;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは、0または1のいずれかであり;bは、0または1のいずれかであり;cは、0または1のいずれかであり;dは、0または1のいずれかであり;eは、0または1のいずれかであり;fは、0または1のいずれかであり;uは、0または1のいずれかであり;vは、0または1のいずれかであり;wは、0または1であり;xは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであり;zは、0または1のいずれかであって、u+v+w+x+y+z≧1であることを条件とし;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。式Vの他の実施形態において、当該スペーサー配列は、グリシンまたは、表11および12から選択される配列である。
【0018】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式VII:
(SP)-(XTEN)x-(CS)x-(S)x-(FVIII_1-745)-(S)y-(XTEN)y-(S)y-(FVIII_1640-2332)-(S)z-(CS)z-(XTEN)z VII
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、SPは、シグナルペプチド、好ましくはMQIELSTCFFLCLLRFCFS(配列番号1611)を有するものであり;CSは、表12に列挙される開裂配列であり、Sは、任意選択的に制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり、「FVIII_1-745」は、第FVIII因子の残基1~745であり、および、「FVIII_1640-2332」は、FVIIIの残基1640~2332であり、xは、0または1のいずれかであり、yは、0または1のいずれかであり、および、zは、0または1のいずれかであり、ここで、x+y+z>2であり;ならびに、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。式VIIの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式Vの他の実施形態において、当該スペーサー配列は、グリシンまたは、表11および12から選択される配列である。
【0019】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式VIII:
(A1)-(S)a-(XTEN)v-(S)a-(A2)-(B1)-(S)b-(XTEN)w-(S)b-(B2)-(A3)-(S)c-(XTEN)x-(S)c-(C1)-(S)d-(XTEN)y-(S)d-(C2)-(S)e-(XTEN)z
VIII
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、A1は、FVIIIのA1ドメインであり;A2は、FVIIIのA2ドメインであり;B1は、FVIIIの残基741から743~750あるいは、FVIIIの残基約741から残基約745を有する可能性のある、Bドメインの断片であり;B2は、FVIIIの残基1635~1686から1689あるいは、FVIIIの残基約1640から残基約1689を有する可能性のある、Bドメインの断片であり;A3は、FVIIIのA3ドメインであり;C1は、FVIIIのC1ドメインであり;C2は、FVIIIのC2ドメインであり;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは、0または1のいずれかであり;bは、0または1のいずれかであり;cは、0または1のいずれかであり;dは、0または1のいずれかであり;eは、0または1のいずれかであり;fは、0または1のいずれかであり;uは、0または1のいずれかであり;vは、0または1のいずれかであり;wは、0または1であり;xは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであり;zは、0または1のいずれかであって、u+v+w+x+y+z≧1であることを条件とし;および、XTENは、限定されないが、表4に記述される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。式VIIIの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式V(VIでは?)の他の実施形態において、当該スペーサー配列は、グリシンまたは、表11および12から選択される配列である。
【0020】
CFXTEN組成の他の実施形態において、本発明により、式IX:
(A1
N)-(S)
a-(XTEN)
t-(S)
b-(A1
C)-(A2
N)-(S)
c-(XTEN)
u-(S)
d-(A2
C)-(B
N)-(S)
e-(XTEN)
v-(S)
f-(B
C)-(A3
N)-(S)
g-(XTEN)
w-(S)
h-(A3
C)-(C1
N)-(S)
i-(XTEN)
x-(S)
j-(C1
C)-(C2
N)-(S)
k-(XTEN)
y-(S)
l-(C2
C)-(S)
m-(XTEN)
z IX
の組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、
ここで、独立して、各出現に対し、A1
Nは、少なくとも残基番号1(天然型で成熟型のFVIIIに対して付番された)から残基番号371を超えないA1ドメインの断片であり、A1
Cは、少なくとも残基番号2から残基番号372を超えないA1ドメインの断片であるが、いかなるA1
N断片の配列もA1
C断片内で重複していないということを条件とし;A2
Nは、少なくとも残基番号373から残基番号739を超えないA2ドメインの断片であり、A2
Cは、少なくとも残基番号374から残基番号740を超えないA2ドメインの断片であるが、いかなるA2
N断片の配列もA2
C断片内で重複していないということを条件とし;B
Nは、少なくとも残基番号741から残基番号1647を超えないBドメインの断片であり、B
Cは、少なくとも残基番号742から残基番号1648を超えないBドメインの断片であるが、いかなるB
N断片の配列もB
C断片内で重複していないということを条件とし;A3
Nは、少なくとも残基番号1649から残基番号2019を超えないA3ドメインの断片であり、A3
Cは、少なくとも残基番号1650から残基番号2019を超えないA3ドメインの断片であるが、いかなるA3
N断片の配列もA3
C断片内で重複していないということを条件下とし、;C1
Nは、少なくとも残基番号2020から残基番号2171を超えないC1ドメインの断片であり、C1
Cは、少なくとも残基番号2021から残基番号2172を超えないC1ドメインの断片であるが、いかなるC1
N断片の配列もC1
C断片内で重複していないということを条件下とし、;C2
Nは、少なくとも残基番号2173から残基番号2331を超えないC1ドメインの断片であり、C2
Cは、少なくとも残基番号2174から残基番号2332を超えないC2ドメインの断片であるが、いかなるC2
N断片の配列もC2
C断片内で重複していないということを条件とし、;Sは、任意選択的に開裂配列または制限酵素部位に適合するアミノ酸を含むことができる1~約50アミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは、0または1のいずれかであり;bは、0または1のいずれかであり;cは、0または1のいずれかであり;dは、0または1のいずれかであり;eは、0または1のいずれかであり;fは、0または1のいずれかであり;gは、0または1のいずれかであり;hは、0または1のいずれかであり;iは、0または1のいずれかであり;jは、0または1のいずれかであり;kは、0または1のいずれかであり;lは、0または1のいずれかであり;mは、0または1のいずれかであり;tは、0または1のいずれかであり;uは、0または1のいずれかであり;vは、0または1のいずれかであり;wは、0または1であり;xは、0または1のいずれかであり;yは、0または1のいずれかであり;zは、0または1のいずれかであって、t+u+v+w+x+y+z≧1ということを条件とし;および、XTENは、限定されないが、表4から選択される、同等の長さの1以上のXTENと比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する配列を含む、本明細書に定義される伸長組換えポリペプチドである。式IXの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式Vの他の実施形態において、当該スペーサー配列は、グリシンまたは、表11および12から選択される配列である。式IXの他の実施形態において、Zは1である。式IXの融合タンパク質の他の実施形態において、Vは1であり、XTENは、
図3に表記される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~約750のC末端およびアミノ酸残基番号1635~約1648のN末端へと連結されている。式IXの他の実施形態において、t、u、v、w、x、yおよびzの総和は2、3、4、5または6である。式IXの融合タンパク質の他の実施形態において、t、u、v、w、x、yおよびzの合計は2であり、ならびに、vは1であり、および、zは1である。式IXの融合タンパク質の他の実施形態において、t、u、v、w、x、yおよびzの合計は3であり、ならびに、vおよびzのそれぞれは1であり、および、t、u、w、xまたはyのいずれかが1である。式IXの他の実施形態において、t、u、v、w、x、yおよびzの合計は4であり、ならびに、vおよびwおよびzのそれぞれは1であり、および、t、u、xまたはyのうちの2つが1である。式IXの融合タンパク質の他の実施形態において、XTENの累積的な長さは、約84~約3000アミノ酸残基の間である。式IXの他の実施形態において、少なくとも1つのXTENが、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910からなる群から選択される、成熟型天然ヒト第VIII因子中のアミノ酸に対応する、アミノ酸のすぐ下流に挿入される。式IX融合タンパク質の他の実施形態において、各XTENは、表5、表6、表7、表8および表9から選択される位置で、前記融合タンパク質に連結される。式IX融合タンパク質の他の実施形態において、各XTENは、表4、表13、表14、表15、表16および表17の配列からなる群から選択される、同等の長さのXTENと比較して、最適整列した場合に、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%もしくは100%の配列同一性を有する。
【0021】
CFXTEN組成の他の実施形態において、式X:
(A1)‐a1‐(A2)‐a2‐[B] X
の第一の組換え第VIII因子ポリペプチド、および、式XI:
a3‐(A3)‐(C1)‐(C2) XI
を含有する第二のポリペプチドが提示され、
ここで、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは融合され、またはヘテロ二量体として存在し;ここで、A1は第VIII因子のA1ドメインであり;A2は第VIII因子のA2ドメインであり;[B]は、第VIII因子のBドメイン、その断片、または欠落されており;A3は第VIII因子のA3ドメインであり;C1は第VIII因子のC1ドメインであり;C2は第VIII因子のC2ドメインであり;a1、a2およびa3は、酸性スペーサー領域であり;ここで、A1ドメインは、XTEN許容ループ1(A1-1)領域およびXTEN許容ループ2(A1-2)領域を含有し;ここで、A2ドメインは、XTEN許容ループ1(A2-1)領域およびXTEN許容ループ2(A2-2)領域を含有し;ここで、A3ドメインは、XTEN許容ループ1(A3-1)領域およびXTEN許容ループ2(A3-2)領域を含有し;ここで、XTEN配列が、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1、またはA3-2領域のうちの少なくとも1つへと挿入され;および、ここで、組み換え第VIII因子タンパク質は、凝固促進活性を示す。ヘテロ二量体の一実施形態では、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは、式(A1)‐a1‐(A2)‐a2‐[B]‐[a3]‐(A3)‐(C1)‐(C2)を含有する単一ポリペプチド鎖を形成する。前述の一実施形態では、「融合される」とは、ペプチド結合を意味する。
【0022】
CFXTEN組成の他の実施形態において、式X:
(A1)‐a1‐(A2)‐a2‐[B] X
の第一の組換え第VIII因子ポリペプチド、および、式XI:
a3‐(A3)‐(C1)‐(C2) XI
を含有する第二のポリペプチドが提示され、
ここで、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは融合され、またはヘテロ二量体として存在し;ここで、A1は第VIII因子のA1ドメインであり;A2は第VIII因子のA2ドメインであり;[B]は、第VIII因子のBドメイン、その断片、または欠落されており;A3は第VIII因子のA3ドメインであり;C1は第VIII因子のC1ドメインであり;C2は第VIII因子のC2ドメインであり;a1、a2およびa3は、酸性スペーサー領域であり;ここで、XTEN配列は、a3へと挿入され;および、ここで、組み換え第VIII因子タンパク質は、凝固促進活性を示す。ヘテロ二量体の一実施形態では、第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドは、式(A1)‐a1‐(A2)‐a2‐[B]‐[a3]‐(A3)‐(C1)‐(C2)を含有する単一ポリペプチド鎖を形成する。前述の一実施形態では、「融合される」とは、ペプチド結合を意味する。
【0023】
前述の式Xおよび式XIポリペプチドの実施形態において、XTEN許容ループは、表面に露出された、フレキシブルなループ構造の中に含有され、ここで、A1-1は、βストランド1およびβストランド2の間に位置し、A1-2は、βストランド11およびβストランド12の間に位置し、A2-1は、βストランド22およびβストランド23の間に位置し、A2-2は、βストランド32およびβストランド33の間に位置し、A3-1は、βストランド38およびβストランド39の間に位置し、ならびに、A3-2は、βストランド45およびβストランド46の間に位置する(DSSPデータベースのアクセッション番号2R7Eとして保存される、成熟型第VIII因子の二次構造に従う)。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A1-1を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約15~アミノ酸約45の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A1-1は、アミノ酸約18~アミノ酸約41の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A1-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約201~アミノ酸約232の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A1-2は、アミノ酸約218~アミノ酸約229の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A2-1を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約395~アミノ酸約421の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A2-1は、アミノ酸約397~アミノ酸約418の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A2-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約577~アミノ酸約635の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A2-2は、アミノ酸約595~アミノ酸約607の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A3-1を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約1705~アミノ酸約1732の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A3-1は、アミノ酸約1711~アミノ酸約1725の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A3-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造は、アミノ酸約1884~アミノ酸約1917の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A3-2は、アミノ酸約1899~アミノ酸約1911の成熟型天然ヒト第VIII因子の領域に対応する。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、XTEN配列は、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1またはA3-2領域のうちの少なくとも2つへと挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、XTEN配列は、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910からなる群から選択される、成熟型天然ヒト第VIII因子中のアミノ酸に対応する、アミノ酸のすぐ下流に挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、追加のXTEN配列が、a3酸性スペーサー領域へと挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、追加のXTEN配列が、アミノ酸1656に対応するアミノ酸のすぐ下流のa3酸性スペーサー領域へと挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、A1ドメインは、XTEN許容ループ1(A1-1)領域およびXTEN許容ループ2(A1-2)領域を含有し、ここで、A2ドメインは、XTEN許容ループ1(A2-1)領域およびXTEN許容ループ2(A2-2)領域を含有し、ここで、A3ドメインは、XTEN許容ループ1(A3-1)領域およびXTEN許容ループ2(A3-2)領域を含有し、および、ここで、追加のXTEN配列は、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1またはA3-2領域のうちの少なくとも1つへと挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、追加のXTEN配列は、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910からなる群から選択される、成熟型天然ヒト第VIII因子中のアミノ酸に対応する、アミノ酸のすぐ下流に挿入される。前述の式Xおよび式XIポリペプチドの他の実施形態において、融合タンパク質は、XTENに連結されていない対照第VIII因子の、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、または80%または90%の凝固促進活性を示し、ここで、当該凝固促進活性は、in vitroの凝固アッセイにより分析される。
【0024】
すべての実施形態において、当該ポリペプチドは、たとえば、細胞培養培地中で発現され、in vitroの凝固アッセイにより分析された場合に、0.5IU/ml、または1.0、または1.5、または2.0IU/mlを超えるin vitro凝固促進活性を示しうる。凝固促進活性は、発色アッセイ、1段階凝固アッセイ(たとえば、aPTT)または両方により測定されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、第VIII因子ならびに、少なくとも第一および第二のXTENを含有し、少なくとも第一のXTENは、少なくとも第二のXTENから、少なくとも10アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、または少なくとも400アミノ酸により、分離されている。
【0026】
好ましい実施形態において、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、第VIII因子および少なくとも第一のXTEN、ならびに、任意選択的に少なくとも第二の、または任意選択的に少なくとも第三の、または任意選択的に少なくとも第四のXTENを含有し、当該融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、抗第VIII因子抗体への減少した結合を示す。減少した結合は、in vivoまたはin vitroアッセイのいずれかにより分析することができる。一実施形態では、in vitroアッセイは、ELISAアッセイであり、ここで、当該融合タンパク質への抗FVIII抗体の結合は、XTENに連結されていないFVIIIと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または少なくとも約40%、またはそれ以上、減少している。他の実施形態において、in vitroアッセイは、Bethesdaアッセイであり、ここで、当該融合タンパク質の減少した結合は、XTENに連結されていない第VIII因子のものと比較して、融合タンパク質に対して、少なくとも約2、4、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、100または200Bethesda単位低いBethesda価により立証される。in vitroアッセイにおいて、抗第VIII因子抗体は、表10の抗体および、第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体から選択される。第VIII因子阻害抗体に対する減少した結合を示す、少なくとも第一および第二のXTEN、ならびに第VIII因子を含有する、組み換え第VIII因子融合タンパク質の特定の実施形態において、第一のXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドに、前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメイン内で連結され、および、第二のXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドのA1またはA2ドメイン内で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結され、ここで、前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、第VIII因子阻害抗体に対する減少した結合を示し、ここで、第VIII因子阻害抗体は、A1、A2またはC2ドメイン内に位置するエピトープに結合することができ、および、さらに、ここで、当該融合タンパク質は、凝固促進活性を示す。前述の融合タンパク質の一実施形態では、第二のXTENは、第VIII因子ポリペプチドのA2ドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結され、および、第VIII因子阻害抗体は、第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインへ結合する。前述の融合タンパク質の他の実施形態において、第二のXTENは、第VIII因子ポリペプチドのC2ドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結し、および、第VIII因子阻害抗体は、第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインへ結合する。融合タンパク質への抗第VIII因子抗体の結合は、ELISAアッセイにより分析された場合、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または40%まで減少しており、ここで、当該抗VIII因子抗体は、表10の抗体または、第VIII阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体からなる群から選択される。前述の融合タンパク質は、少なくとも3つのXTENをさらに含有することができ、ここで、少なくとも第三のXTENは、C末端で、Bドメイン内から選択される部位もしくはBドメインを置換する部位で、または、表7もしくは表9から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくは6アミノ酸で、または、表7もしくは表9から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくはは6アミノ酸内で、第VIII因子に連結される。抗第VIII因子抗体に対する減少した結合を伴う実施形態において、当該融合タンパク質は、in vitroの凝固アッセイ(たとえば、発色アッセイまたは1段階凝固アッセイ)により分析された場合、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、抗FVIII抗体の存在下で、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、80%、100%、200%、300%、400%または500%以上大きい、凝固促進活性を有する。
【0027】
すべての実施形態において、融合タンパク質のXTENは、たとえば、以下の点で特徴付けられる:XTENは、少なくとも36、または少なくとも42、または少なくとも72、または少なくとも96、または少なくとも144、または少なくとも288、または少なくとも400、または少なくとも500、または少なくとも576、または少なくとも600、または少なくとも700、または少なくとも800、または少なくとも864、または少なくとも900、または少なくとも1000、または少なくとも2000~約3000アミノ酸残基、またはさらに多くの残基を含有する;グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)の残基の総和が、XTENのトータルのアミノ酸残基の少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%を占める;XTENは実質的に、以下のように非反復配列である:(i)アミノ酸がセリンである場合を除き、XTENは、同一である3つの連続したアミノ酸残基を含有しない;(ii)XTEN配列の少なくとも約80%は、非重複配列モチーフからなり、当該各配列モチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択される4~6アミノ酸からなる、約9~約14、または約12アミノ酸残基を含有し、ここで、いずれの2連続アミノ酸残基も、非重複配列モチーフのそれぞれで、2回をこえて存在しない;または(iii)XTEN配列は、10未満の部分配列スコアを有する、ような非反復配列ではない;XTENは90%超、または95%超、または99%超長のランダムコイル構造を有している(GORアルゴリズムにより測定);XTENは、2%未満のαヘリックスおよび2%のβソートを有する(Chou-Fasmanアルゴリズムにより測定);XTENは、TEPITOPEアルゴリズムにより分析された場合に、推定T細胞エピトープを欠落しており、ここで、前記アルゴリズムによる前記予測に対するTEPITOPE閾値スコアは、-9の閾値を有し、および、ここで、前記融合タンパク質は、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間、または少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約120時間、または少なくとも約144時間を超える、または少なくとも約21日以上の長さの終末相半減期を示す。一実施形態では、組み換え第VIII因子融合タンパク質は、少なくとも第二の、または少なくとも第三の、または少なくとも第四のXTENを含有し、それらは、同一であってもよく、または他のXTENとは異なっても良い。異なる方法に依ると、少なくとも1つ、少なくとも第二、または少なくとも第三、または少なくとも第四のCFXTEN融合タンパク質のXTENはそれぞれ、最適整列した場合に、表4、表13、表14、表15、表16および表17から選択される、同等の長さの1以上のXTENと比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%~約100の配列同一性を有している。さらに他の異なる方法において、少なくとも1つ、少なくとも第二、または少なくとも第三、または少なくとも第四のCFXTEN融合タンパク質のXTENはそれぞれ、AE42_1、AE42_2、AE42_3、AG42_1、AG42_2、AG42_3、AG42_4、AE144_1A、AE144_2A、AE144_2B、AE144_3A、AE144_3B、AE144_4A、AE144_4B、AE144_5A、AE144_6B、AG144_1、AG144_2、AG144_A、AG144_B、AG144_C、AG144_F、AG144_3、AG144_4、AE288_1、AE288_2、AG288_1および、AG288_2から選択される配列と比較して、少なくとも90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%~約100%の配列同一性を有している。
【0028】
一実施形態では、CFXTEN組換え第VIII因子融合タンパク質の第VIII因子の成分は、残基R1648、Y1680および、R1689(成熟ヒト第VIII因子に対して付番された)から選択される、1、2または3のアミノ酸置換を含有し、ここで、当該置換は、アラニン、グリシン、およびフェニルアラニンから選択される。前記置換の非限定的な例としては、R1648A、Y1680Fおよび、R1689Aが挙げられる。
【0029】
他の実施形態において、CFXTEN融合タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーまたは同等の方法により測定した場合、少なくとも約1.3、または少なくとも約2、または少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6、または少なくとも約7、または少なくとも約8、または少なくとも約9、または少なくとも約10の見かけの分子量係数を示す。
【0030】
CFXTEN融合タンパク質のいくつかの実施形態において、XTENのうちの1以上が、各々が、第XIa因子、第XIIa因子、カリクレイン(kallikrein)、第VIIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第IIa因子(トロンビン)、エラスターゼ-2、MMP-12、MMP13、MMP-17およびMMP-20からなる群から選択される哺乳類プロテアーゼにより開裂可能である、1または2の開裂配列を介して、FVIIIに融合し、ここで、哺乳類プロテアーゼによる開裂配列での開裂により、XTEN配列から第VIII因子配列が放出され、ここで、当該放出された第VIII因子配列は、非開裂の融合タンパク質と比較して、凝固促進活性の増加を示す。一実施形態では、開裂配列(複数含む)は、第XIa因子により開裂される。
【0031】
異なる方法に依ると、CFXTEN融合タンパク質は、第VIII因子ポリペプチドの異なる位置にある少なくとも3つのXTENを含有し、ここで、前記異なる位置は、以下から選択される:表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位から、1~6アミノ酸での挿入位置、または表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位から1~6アミノ酸内の挿入位置;成熟第VIII因子のアミノ酸残基32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910の1~6アミノ酸での位置、または、成熟第VIII因子のアミノ酸残基32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910の1~6アミノ酸内の位置;第VIII因子配列の任意の2つの隣接するドメインの間の位置であり、ここで、前記2つの隣接するドメインは、A1およびA2、A2およびB、BおよびA3、A3およびC1、ならびに、C1およびC2からなる群から選択される;
図3に記述される、全長ヒト第VIII因子配列に準拠し、およそアミノ酸残基番号741~750の第一の位置から始まり、アミノ酸残基番号1635~約1648の第二の位置に終わる、内在性Bドメイン欠失内の位置、および第VIII因子のC末端の位置であり、ここで、複数のXTENの累積的な長さは、少なくとも約100~約3000アミノ酸残基であり、およびここで、当該融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%の凝固促進活性を維持しており、ここで、当該凝固促進活性は、in vitroの凝固アッセイにより分析される。前述の一実施形態では、融合タンパク質は、前記XTENを欠く対照第VIII因子ポリペプチドと比較して、対象に投与された際、終末相半減期の延長を示し、ここで、前記融合タンパク質は、対象に投与された際、少なくとも約3時間、または4時間、または6時間、または12時間、または13時間、または14時間、または16時間、または24時間、または48時間、または72時間、または96時間、または120時間、または144時間、または7日、または14日、または21日の終末相半減期を示す。一実施形態では、対象は、第VIII因子/von Willebrand因子の二重欠損マウス、およびヒトからなる群から選択される。前述の一実施形態では、融合タンパク質は、GTPGSGTASSSP(配列番号31)、GSSTPSGATGSP(配列番号32)、GSSPSASTGTGP(配列番号33)、GASPGTSSTGSP(配列番号34)、およびGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)から選択される配列を含まない。前述の他の実施形態において、融合タンパク質は、GSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)、PGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSS(配列番号71)、または、PGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGS(配列番号80)からなるXTEN配列を含まない。
【0032】
さらなる態様において、本発明は、XTENに連結されていないFVIIIと比較して、パラメーターが増強されていることを含む、薬物動態的特性が増強されたCFXTEN融合タンパク質に関連し、ここで、当該増強された特性とは、限定されないが、XTENに連結されていないFVIIIと比較し、終末相半減期の延長、曲線下面積の増加、治療濃度域内に血中濃度が維持される時間の増加、治療濃度域内の血中濃度がもたらされる継続的な投与の間の時間の増加、および、投与されうる投与量(IU)の経時的な減少、が挙げられ、それでも依然として、凝固促進効果に必要な閾値濃度を超える血中濃度がもたらされるものである。いくつかの実施形態において、CFXTEN融合タンパク質は、前記XTENを欠く対照第VIII因子ポリペプチドと比較して、対象に投与された際に、終末相半減期の延長を示す。対象は、ヒトまたは、たとえば第VIII因子/von Willebrand因子の二重欠損マウス等のマウスであっても良い。前述の一実施形態では、CFXTENは、XTENに連結されていない対照第VIII因子と比較して、対象に投与された際に、少なくとも約2倍、または約3倍、または約4倍、または約5倍、または約10倍、または約20倍長い終末相半減期を示す。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、対象に投与された際に、少なくとも約3時間、または4時間、または6時間、または12時間、または13時間、または14時間、または16時間、または24時間、または48時間、または72時間、または96時間、または120時間、または144時間、または7日、または14日、または21日の終末相半減期を示す。他の実施形態において、本実施形態の融合タンパク質の増強された薬物動態的な特性は、それを必要とする患者における、凝固促進融合タンパク質の循環血中濃度が、XTENに連結されていない対照FVIIIが同等の投与量で対象に投与された場合と比較して、少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍、または少なくとも約8倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約40倍、または少なくとも約60倍長い期間、0.01 IU/ml、または0.05 IU/ml、または0.1 IU/ml、または0.2 IU/ml、または0.3 IU/ml、または0.4 IU/ml または0.5 IU/mlの閾値濃度を超えて維持される特性である。閾値濃度を超える時間および半減期の増加により、XTENに連結されていない対照FVIIIと比較して、投与頻度が減少し、患者に投与される融合タンパク質の量(モル当量)が減少する。一実施形態では、治療有効投与レジメンを用いた、対象への主題融合タンパク質の投与により、XTENに連結されていない対照FVIIIの、同等の投与レジメンを用いた対象への投与と比較して、融合タンパク質の血中レベルに対する、少なくとも2つの連続的なCmaxピークおよび/またはCminトラフの間が、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも4倍、または少なくとも5倍、または少なくとも6倍、または少なくとも8倍、または少なくとも10倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約40倍、または少なくとも約60倍以上高い、時間が得られる。
【0033】
好ましい実施形態において、CFXTEN融合タンパク質は、XTENに連結されていない対照第VIII因子と比較して、少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の凝固促進活性を維持しており、ここで、当該凝固促進活性は、たとえば、限定されないが、発色分析または1段階もしくは2段階凝固アッセイ等のin vitro凝固アッセイにより分析される。
【0034】
異なる方法に依ると、本発明により、第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも1つの伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII融合タンパク質が提示され、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、A1ドメイン、A2ドメイン、A3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメインおよび、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、前記少なくとも1つのXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドに、残基番号18-32、または40、または211-224、または336-403、または599、または745-1640、または1656-1728、または1796-1804、または1900-1912、または2171-2332から選択される挿入部位で、連結される;ならびに、ここで、前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%の凝固促進活性を維持している。前述の一実施形態では、融合タンパク質は、少なくとも第二のXTEN、または少なくとも第三の、または少なくとも第四のXTENを含有し、ここで、当該XTENは、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の、1~6アミノ酸での部位で、または、表5、表6、表7、表8および表9から選択される部位の、1~6アミノ酸内の部位で、第VIII因子に連結される。他の実施形態において、本発明により、表5、表6、表7、表8、表9から選択される挿入部位で、
図8からの1以上の挿入位置での挿入位置のN末端部位またはC末端部位への6アミノ酸で、または、6アミノ酸内で、および、
図9からの1以上の挿入範囲内で、前記FVIIIポリペプチドに連結される、少なくとも第二のXTEN、または少なくとも第三の、または少なくとも第四のXTENをさらに含有する組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、ここで、少なくとも2つのXTENは、少なくとも100~約400アミノ酸のアミノ酸配列により分離される。
【0035】
本発明により、CFXTENが開示され、ここで、XTENは、少なくとも2.3または少なくとも2.5のXTEN半径比を有し、および、少なくとも約20アミノ酸残基、または少なくとも約50、または少なくとも約100、または少なくとも約200、または少なくとも約300、または少なくとも約400アミノ酸残基の配列により、分離される。他の実施形態において、CFXTENは、少なくとも4つのXTENを含有し、ここで、当該XTENは、少なくとも2.3、または少なくとも2.5、または少なくとも2.8のXTEN半径比を有し、および、ここで、融合タンパク質に連結されているXTENの4つのうち少なくとも3つは、少なくとも約20アミノ酸残基、または少なくとも約50、または少なくとも約100、または少なくとも約200、または少なくとも約300、または少なくとも約400アミノ酸残基のアミノ酸配列により分離され、および第四のXTENは、Bドメイン内(またはその断片)、または、Cドメイン内(またはその末端)に連結される。
【0036】
いくつかの実施形態において、主題の組成物は、XTENに連結されていない対照のFVIIIと比較して、対象で、クリアランス受容体に対し、結合親和性が減少するように構成される。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、XTENに連結されていない対照のFVIIIの結合親和性の、約0.01%~30%、または約0.1%~約20%、または約1%~約15%、または約2%~約10%の範囲にある、FVIIIのクリアランス受容体に対する結合親和性を示す。他の実施形態において、クリアランス受容体に対するアフィニティが減少した融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応するFVIIIと比較して、能動的クリアランスが減少しており、付随して、少なくとも約2倍、または3倍、または少なくとも4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍、または少なくとも約7倍、または少なくとも約8倍、または少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約12倍、または少なくとも約15倍、または少なくとも約17倍、または少なくとも約20倍長い、半減期の増加がある。
【0037】
一実施形態では、本発明により、FVIIIおよび1以上のXTENを含有する組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、ここで、当該融合タンパク質は、XTENに連結されていないFVIIIと比較して、生理学的条件で、少なくとも3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約6倍、または少なくとも約7倍、または少なくとも約8倍、または少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍、または少なくとも約20倍、または少なくとも約40倍、または少なくとも約60倍の増加した溶解度を示す。
【0038】
さらなる態様において、本発明により、本明細書に記載される任意の実施形態の融合タンパク質および薬学的に受容可能な担体を含有する医薬組成物が提示される。
【0039】
他の実施形態において、本発明により、対象における凝固障害を治療する方法が提示され、当該方法は、前記対象に、本医薬組成物の凝固有効量を含有する組成物を投与することを含む。本方法の一実施形態では、前記投与の後、凝固促進第VIII因子の血中濃度は、前記投与の後、少なくとも48時間の間、約0.05、または1または1.5IU/mlに維持される。他の実施形態において、本発明により、対象における血液凝固方法が提示され、当該方法は、血液と、本医薬組成物の凝固有効量とを接触させることを含む。
【0040】
他の実施形態において、本発明により、第VIII因子の循環阻害物質を伴う対象における凝固障害を治療する方法が提示され、当該方法は、前記対象に、CFXTENの本医薬組成物の治療有効量を含有する組成物を投与することを含み、ここで、当該組成物は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子を含有し、同等の量を用いて投与された組成物と比較して、前記対象において高い凝固促進活性を示す。本方法の1つの実施形態において、凝固障害は、血友病Aである。他の実施形態において、凝固障害は、外傷または外科手術または感染症の結果として生じるものである。
【0041】
本発明により、対象における出血症状を治療する方法が提示され、当該方法は、本CFXTEN医薬組成物の凝固有効量を含有する組成物を前記対象に投与することを含み、ここで、当該融合タンパク質の凝固有効量は、XTENに連結されておらず、同等の量を用いて投与された対応する第VIII因子と比較して、少なくとも3倍、または少なくとも4倍、または少なくとも5倍長い期間、出血症状を止めるものである。XTENに連結されていない対象の第VIIIの非限定的な例としては、天然型FVIII因子、表1の配列、BDD-FVIIIおよび、pCB0114 FVIIIが挙げられる。
【0042】
他の実施形態において、本発明により、血友病A患者を治療するための医薬レジメンにおいて用いるための、CFXTEN組換え第VIII因子融合タンパク質が提示され、前記レジメンは、CFXTEN融合タンパク質を含有する医薬組成物を含む。本医薬レジメンの一実施形態では、当該レジメンはさらに、血友病A患者を止血するために必要となる、CFXTENを含有する医薬組成物の量を決定するステップが含まれる。他の実施形態において、血友病A患者を治療するための医薬レジメンは、当該対象へと2回以上の連続的投与において、有効量で、当該医薬組成物を投与することを含み、ここで、当該投与により、XTENに連結されておらず、同等の量を用いて投与された第VIII因子と比較して、血友病A疾患に関連した少なくとも1つ、2つまたは3つのパラメーターの、少なくとも10%または20%または30%または40%または50%または60%または70%または80%または90%大きい改善がもたらされる。改善されるパラメーターの非限定的な例としては、凝固促進FVIIIの血中濃度、減少した活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ時間、減少した1段階または2段階凝固アッセイ時間、遅延した出血症状の発生、減少した発色アッセイ時間、減少した出血アッセイ時間、出血イベントの消散、または天然FVIIIに対する減少したBethesda価が挙げられる。
【0043】
他の態様において、本発明により、CFXTEN融合タンパク質の任意の1つの実施形態の融合タンパク質をコードする単離核酸配列が提示される。一実施形態では、当該単離核酸は、本実施形態のCFXTEN融合タンパク質をコードする配列の相補鎖である。一実施形態では、当該単離核酸はさらに、シグナルペプチドをコードする配列を含有し、ここで、前記配列は、ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT(配列番号1613)、またはその相補鎖である。他の実施形態において、本発明により、融合タンパク質をコードする核酸、またはその相補鎖を含有する発現ベクターが提示される。他の実施形態において、前述の発現ベクターを含有する単離宿主細胞が提示される。他の実施形態において、本発明により、任意の本実施形態の融合タンパク質を製造する方法が提示され、当該方法は、発現ベクターを含有する宿主細胞を提供すること;当該宿主細胞を培養して、融合タンパク質の産生させること;および当該融合タンパク質を回収することを含む。
【0044】
一実施形態では、本発明により、最適整列した場合に、表21から選択される同等の長さの配列と比較し、少なくとも約80%の配列同一性、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%~約100%の配列同一性を有するポリペプチドを含有する単離融合タンパク質が提示される。
【0045】
他の実施形態において、本発明により、(a)最適整列した場合に、表21から選択される同等の長さの配列と比較し、少なくとも約80%の配列同一性、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%~約100%の配列同一性を有する配列、または、(b)(a)のポリヌクレオチドの相補鎖、から選択されるポリヌクレオチド配列を含有する単離核酸が提示される。他の実施形態において、単離核酸は、(a)の核酸の5´末端に連結された、配列ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT(配列番号1613)、または(b)の3´末端に連結された配列の相補鎖を含有する。
【0046】
組換え第VIII因子融合タンパク質は、本明細書に開示される特性の1以上または任意の組み合わせを示しうることが明確に企図される。
一つの実施形態において、本発明は例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
第VIII因子ポリペプチドおよび、少なくとも第一の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組み換え第VIII融合タンパク質であって、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、前記第一XTENは、(i)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で;(ii)もしBドメインの一部またはすべてが存在する場合には、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインの内で;(iii)前記第VIII因子ポリペプチドのA1ドメインの内で;(iv)前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインの内で;(v)前記第VIII因子ポリペプチドのA3ドメインの内で;(vi)前記第VIII因子ポリペプチドのC1ドメインの内で;(vii)前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインの内で;(viii)前記第VIII因子ポリペプチドのN末端で、(ix)前記第VIII因子ポリペプチドの2つのドメインの間で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており;ならびに、ここで、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較した場合、前記融合タンパク質は、(a)in vitroの凝固アッセイにおいて、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または、500%の凝固促進活性を維持しているか、または、(b)in vitroの結合アッセイにおいて、抗第VIII因子抗体に対する減少した結合を示す、組み換え第VIII融合タンパク質。
(項目2)
第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも第一の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する、項目1に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質であって、ここ
で、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、ここで、前記第一のXTENは、(i)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で;(ii)もしBドメインの一部またはすべてが存在する場合には、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインの内で;(iii)前記第VIII因子ポリペプチドのA1ドメインの内で;(iv)前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインの内で;(v)前記第VIII因子ポリペプチドのA3ドメインの内で;(vi)前記第VIII因子ポリペプチドのC1ドメインの内で;(vii)前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインの内で;または、(viii)前記第VIII因子ポリペプチドの2つのドメインの間で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており;ならびに、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較した場合、前記融合タンパク質は、(a)in vitroの凝固アッセイにおいて、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または、500%の凝固促進活性を維持しており、および、(b)in vitroの結合アッセイにおいて、抗第VIII因子抗体に対する減少した結合を示す、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目3)
前記第一のXTENが、表5、表6、表7、表8または表9から選択される挿入部位で、前記第VIIIポリペプチドに連結されている、項目1または2に記載の組換え第V
III因子融合タンパク質。
(項目4)
第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも第一の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ならびに、ここで、前記第一のXTENは、表6および表7から選択される挿入部位で、前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、ならびに、ここで、前記融合タンパク質は、in vitro凝固アッセイにより計測した場合、XTENに連結されていない対応する第VIII因子タンパク質と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%または、500%の凝固促進活性を維持している、組み換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目5)
前記第VIIIポリペプチド因子は、表1の配列、
図3に図示される配列、および
図4に図示される配列からなる群から選択される配列に対し、最適整列した場合に、少なくとも約80%の配列同一性、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有している、項目1~4のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目6)
前記第VIII因子位ポリペプチドのC末端で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている、または前記第VIII因子ポリペプチドのBドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている、または任意選択的に前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインを置換する、少なくとも第二のXTENを含有する、項目1~5のいずれ
か1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目7)
前記第VIII因子ポリペプチドのBドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている、または任意選択的に前記第VIII因子ポリペプチドのBドメインを置換する、少なくとも第二のXTENを含有する、項目1~5のいずれか1項に記載の組
換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目8)
前記第VIII因子ポリペプチドがヒト第VIII因子のBドメイン欠失変異体を含有し、ここで、前記Bドメイン欠失は、
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~約750での第一の位置から始まり、アミノ酸残基番号約1635~約1648での第二の位置で終わる、項目1~7のいずれか1項に記
載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目9)
前記第一のXTEN配列が、前記第VIII因子ポリペプチドのC末端で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、そして、第二のXTENが、前記第VIII因子ポリペプチドのBドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されており、ここで、前記第二のXTENは、
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~約750のC末端に連結されており、そして、アミノ酸残基番号約1635~約1648のN末端に連結されており、ここで、すべてのXTENの累積的な長さは、少なくとも約84アミノ酸残基である、項目6~8のいずれか1項に記
載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目10)
前記融合タンパク質は、最適整列した場合に、表21の配列からなる群から選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%~少なくとも約100%の配列同一性を有している、項目1~9のいずれか1項に記載の組換え第VI
II因子融合タンパク質。
(項目11)
少なくとも第二のXTEN、任意選択的に第三のXTEN、任意選択的に第四のXTEN、任意選択的に第五のXTEN、および任意選択的に第六のXTENを含有し、ここで、第二、第三、第四、第五、または第六のXTENのそれぞれは、前記第VIII因子ポリペプチドに、以下からなる群から選択される第二、第三、第四、第五、または第六の部位で連結されている、項目1~10のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合
タンパク質:
(a)表5、表6、表7、表8および表9由来の挿入部位;
(b)
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905または1910の6アミノ酸以内の挿入部位;
(c)前記第VIII因子ポリペプチドの任意の2つの隣接するドメインの間の挿入部位であって、ここで、前記2つの隣接するドメインは、A1およびA2ドメイン、A2およびBドメイン、BおよびA3ドメイン、A3およびC1ドメイン、ならびに、C1およびC2ドメインからなる群から選択される、挿入部位;
(d)前記第VIII因子ポリペプチドのBドメイン内であって、ここで、前記第二XTENは、
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~750のC末端およびアミノ酸残基番号約1635~約1648のN末端に連結されている;
(e)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端;および、
(f)前記第VIII因子ポリペプチドのN末端。
(項目12)
前記第一のXTEは、少なくとも10アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、または少なくとも400アミノ酸で、第二のXTENから分離されている、項目11に記載の組換え
第VIII因子融合タンパク質。
(項目13)
対象に投与された場合に、前記融合タンパク質が、少なくとも約3時間、または少なくとも約4時間、または少なくとも約6時間、または少なくとも約12時間、または少なくとも約13時間、または少なくとも約14時間、または少なくとも約16時間、または少なくとも約24時間、または少なくとも約48時間、または少なくとも約72時間、または少なくとも約96時間、または少なくとも約120時間、または少なくとも約144時間、または少なくとも約7日、または少なくとも約14日、または少なくとも約21日の終末相半減期を示し、ここで、前記対象は、ヒトおよび第VIII因子/von Willebrand因子二重欠損マウスから選択される、項目1~12のいずれか1項に記
載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目14)
表4、表13、表14、表15、表16および表17の配列からなる群から選択される、同等の長さのXTENと比較して、各XTENが、最適整列した場合に、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する、項目1~13
のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目15)
前記融合タンパク質が、XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリペプチドと比較して、抗第VIII因子ポリペプチド抗体への前記融合タンパク質の減少した結合、および増加した凝固促進活性を示す、項目1~14のいずれか1項に記載の組換
え第VIII因子融合タンパク質
(項目16)
in vitroの凝固アッセイにより凝固促進活性が分析される場合、前XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリペプチドと比較して、記融合タンパク質が、抗FVIII抗体の存在下で、少なくとも30%、40%、50%、80%、100%、200%、300%、400%、または500%大きい凝固促進活性を有している、項目15に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目17)
表10の抗体および第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体からなる群から選択される、抗第VIII因子抗体を用いたBethesdaアッセイを用いて、XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリペプチドと比較して、抗第VIII因子抗体への融合タンパク質の減少した結合が測定される、項目15に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目18)
抗第VIII因子抗体に対する減少した結合、および、前記維持された融合タンパク質の凝固促進活性が、XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリぺプチドに対するそれと比較して、融合タンパク質に対する、少なくとも約2、4、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、100または、200Bethesda単位のより低いBethesda価により立証される、項目17に記載の組
換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目19)
少なくとも1つの伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、以下の式IX:(A1
N)-(S)
a-(XTEN)
t-(S)
b-(A1
C)-(A2
N)-(S)
c-(XTEN)
u-(S)
d-(A2
C)-(B
N)-(S)
e-(XTEN)
v-(S)
f-(B
C)-(A3
N)-(S)
g-(XTEN)
w-(S)
h-(A3
C)-(C1
N)-(S)
i-(XTEN)
x-(S)
j-(C1
C)-(C2
N)-(S)
k-(XTEN)
y-(S)
l-(C2
C)-(S)
m-(XTEN)
z IX、
の構造を有し、ここで、各出現に対し、独立して、
a)A1
Nは、
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、少なくともアミノ酸残基番号1から、アミノ酸残基番号371を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA1ドメインの断片である;
b)いかなるA1
N断片の配列もA1
C断片において重複していないという条件下で、A1
Cは、少なくともアミノ酸残基番号2から、アミノ酸残基番号372を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA1ドメインの断片である;
c)A2
Nは、少なくともアミノ酸残基番号373から、アミノ酸残基番号739を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA2ドメインの断片である;
d)いかなるA2
N断片の配列もA2
C断片において重複していないという条件下で、A2
Cは、少なくともアミノ酸残基番号374から、アミノ酸残基番号740を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA2ドメインの断片である;
e)B
Nは、少なくともアミノ酸残基番号741から、アミノ酸残基番号1647を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のBドメインの断片である;
f)いかなるB
N断片の配列もB
C断片において重複していないという条件下で、B
Cは、少なくともアミノ酸残基番号742から、アミノ酸残基番号1648を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のBドメインの断片である;
g)A3
Nは、少なくともアミノ酸残基番号1649から、アミノ酸残基番号2018を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA3ドメインの断片である;
h)いかなるA3
N断片の配列もA3
C断片において重複していないという条件下で、A3
Cは、少なくともアミノ酸残基番号1650から、アミノ酸残基番号2019を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のA3ドメインの断片である;
i)C1
Nは、少なくともアミノ酸残基番号2020から、アミノ酸残基番号2171を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のC1ドメインの断片である;
j)いかなるC1
N断片の配列もC1
C断片において重複していないという条件下で、C1
Cは、少なくともアミノ酸残基番号2021から、アミノ酸残基番号2172を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のC1ドメインの断片である;
k)C2
Nは、少なくともアミノ酸残基番号2173から、アミノ酸残基番号2331を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のC2ドメインの断片である;
l)いかなるC2
N断片の配列もC2
C断片において重複していないという条件下で、C2
Cは、少なくともアミノ酸残基番号2174から、アミノ酸残基番号2332を超えない範囲にある配列を有する、第VIII因子のC2ドメインの断片である;
m)Sは、任意選択的に開裂配列、または制限酵素部位と互換性のあるアミノ酸を含むことができる、1~約50アミノ酸残基を有する、スペーサー配列である;
n)aは、0または1のいずれかである、
o)bは、0または1のいずれかである、
p)cは、0または1のいずれかである、
q)dは、0または1のいずれかである、
r)eは、0または1のいずれかである、
s)fは、0または1のいずれかである、
t)gは、0または1のいずれかである、
u)hは、0または1のいずれかである、
v)iは、0または1のいずれかである、
w)jは、0または1のいずれかである、
x)kは、0または1のいずれかである、
y)lは、0または1のいずれかである、
z)mは、0または1のいずれかである、
aa)tは、0または1のいずれかである、
bb)uは、0または1のいずれかである、
cc)vは、0または1のいずれかである、
dd)wは、0または1のいずれかである、
ee)xは、0または1のいずれかである、
ff)yは、0または1のいずれかである、
gg)zは、0または1のいずれかであるが、t+u+v+w+x+y+z≧1であることを条件とする、
hh)各XTENは、独立して、伸長組換えタンパク質である;および、
ここで、前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリペプチドの凝固促進活性の少なくとも約10%、20%、30%、40%、0%、60%、70%、80%、90%または100%を有しており、または、
ここで、前記融合タンパク質は、ELISAまたはBethesdaアッセイであるin
vitroアッセイにより測定された場合、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、抗第VIII因子抗体への減少した結合を示す、
組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目20)
zが1である、項目19に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目21)
vが1であり、ここで、(XTEN)
V が、
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~約750のC末端およびアミノ酸残基番号1635~約1648のN末端に連結されている、項目19に記載の組換え第VII
I因子融合タンパク質。
(項目22)
t、u、v、w、x、yおよびzの総和が、2、3、4、5または6である、項目1
9に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目23)
t、u、v、w、x、yおよびzの総和が2であり、および、vが1であり、および、zが1である、項目22に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目24)
t、u、v、w、x、yおよびzの総和が3であり、ならびに、vおよびzがそれぞれ1であり、ならびに、t、u、w、xまたはyのうちの1つが1である、項目22に記
載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目25)
t、u、v、w、x、yおよびzの総和が4であり、ならびに、vおよびwおよびzがそれぞれ1であり、ならびに、t、u、xまたはyのうちの1つが1である、項目22
に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目26)
すべてのXTENの累積の長さが、約84~約3000の間、または約144~約2000の間、または約288~約1000アミノ酸残基である、項目1~25のいずれか
1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目27)
最適整列した場合に、表4、表13、表14、表15、表16および表17の配列からなる群から選択される、同等の長さのXTENと比較して、各XTENが、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する、項目19~2
6のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目28)
各XTENが、独立して、表5、表6、表7、表8、および表9から選択される挿入部位で、前記融合タンパク質に連結されている、項目19~27のいずれか1項に記載の
組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目29)
XTENが、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、399、416、603、1656、1711、1725、1905および1910からなる群から選択される、成熟天然型ヒト第VIII因子のアミノ酸に対応する、アミノ酸のすぐ下流に挿入される、項目19~28のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパ
ク質。
(項目30)
式X:(A1)‐a1-(A2)‐a2-[B]を含有する第一のポリペプチド;および、式XI:a3-(A3)‐(C1)‐(C2)を含有する第二のポリペプチド、を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって;
ここで、前記第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドが融合している、またはヘテロ二量体として存在しており;
ここで、a)A1は、第VIII因子のA1ドメインであり;b)A2は、第VIII因子のA2ドメインであり;c)[B]は、第VIII因子のBドメイン、その断片、または欠失されており;d)A3は、第VIII因子のA3ドメインであり;e)C1は、第VIII因子のC1ドメインであり;f)C2は、第VIII因子のC2ドメインであり;g)a1、a2およびa3は、酸性スペーサー領域であり;
ここで、前記A1ドメインは、XTEN許容ループ-1(A1-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A1-2)を含有し;
ここで、前記A2ドメインは、XTEN許容ループ-1(A2-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A2-2)を含有し;
ここで、前記A3ドメインは、XTEN許容ループ-1(A3-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A3-2)を含有し;
ここで、XTEN配列が、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1またはA3-2領域のうちの少なくとも1つへ挿入され;および、
ここで、前記組換え第VIII因子タンパク質は、凝固促進活性を示す、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目31)
式X:(A1)‐a1-(A2)‐a2-[B]を含有する第一のポリペプチド;および、式XI:a3-(A3)‐(C1)‐(C2)を含有する第二のポリペプチド、を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって;
ここで、前記第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドが融合している、またはヘテロ二量体として存在しており;
ここで、a)A1は、第VIII因子のA1ドメインであり;b)A2は、第VIII因子のA2ドメインであり;c)[B]は、第VIII因子のBドメイン、その断片、または、欠失されており、もしくは任意選択的に存在しておらず;d)A3は、第VIII因子のA3ドメインであり;e)C1は、第VIII因子のC1ドメインであり;f)C2は、第VIII因子のC2ドメインであり;g)a1、a2およびa3は、酸性スペーサー領域であり;
ここで、XTENが、a3に挿入されており;および、
ここで、前記融合タンパク質は凝固促進活性を示す、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目32)
前記第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチドが、式(A1)‐a1‐(A2)‐a2‐[B]‐[a3]‐(A3)‐(C1)‐(C2)を含有する単一ポリペプチド鎖を形成する、項目30または31に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目33)
前記XTEN許容ループが、表面に露出された、フレキシブルなループ構造内に包含され、および、ここで、DSSPデータベースのアクセッション番号2R7Eとして保存されている成熟第VIII因子の二次構造に従い、A1-1はβストランド1およびβストランド2の間に位置し、ならびに、A1-2はβストランド11およびβストランド12の間に位置し、A2-1はβストランド22およびβストランド23の間に位置し、A2-2はβストランド32およびβストランド33の間に位置し、A3-1はβストランド38およびβストランド39の間に位置し、A3-4はβストランド45およびβストランド46の間に位置している、項目30に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質
。
(項目34)
A1-1を含有する、前記表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約15~アミノ酸約45の領域に対応する、項目33
に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目35)
A1-1が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約18~アミノ酸約41における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目36)
A1-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約201~アミノ酸約232における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目37)
A1-2が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約218~アミノ酸約229における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目38)
A2-1を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約395~アミノ酸約421における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目39)
A2-1が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約397~アミノ酸約418における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目40)
A2-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約577~アミノ酸約635における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目41)
A2-2が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約595~アミノ酸約607における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目42)
A3-1を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約1705~アミノ酸約1732における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目43)
A3-1が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約1711~アミノ酸約1725における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目44)
A3-2を含有する、表面に露出された、フレキシブルなループ構造が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約1884~アミノ酸約1917における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目45)
A3-2が、天然型成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸約1899~アミノ酸約1911における領域に対応する、項目33に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目46)
XTENが、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1またはA3-2領域の内の少なくとも2つに挿入されている、項目30および項目32~45のいずれか
1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目47)
XTENが、アミノ酸残基番号32、220、224、399、416、603、1711、1725、1905および1910からなる群から選択される、成熟天然型ヒト第VIII因子のアミノ酸に対応する、アミノ酸のすぐ下流に挿入される、項目30およ
び項目32~46のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目48)
追加のXTEN配列が、a3酸性スペーサー領域に挿入される、項目30および請求
項32~47のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目49)
前記追加のXTEN配列が、成熟天然型ヒト第VIII因子のアミノ酸1656に対応するアミノ酸のすぐ下流のa3酸性スペーサーに挿入される、項目48に記載の組換え
第VIII因子融合タンパク質。
(項目50)
前記A1ドメインは、XTEN許容ループ-1(A1-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A1-2)を含有し;
前記A2ドメインは、XTEN許容ループ-1(A2-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A2-2)を含有し;
前記A3ドメインは、XTEN許容ループ-1(A3-1)領域およびXTEN許容ループ-2(A3-2)を含有し;
ここで、追加のXTEN配列が、A1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1またはA3-2領域のうちの少なくとも1つへ挿入される、項目31に記載の組換え第
VIII因子融合タンパク質。
(項目51)
追加のXTEは、アミノ酸残基番号32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905または1910からなる群から選択される、成熟天然型ヒト第VIII因子に対応するアミノ酸のすぐ下流に挿入される、項目31に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目52)
前記融合タンパク質が、XTENに連結されていない対応する第VIII因子の凝固促進活性の、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を示し、ここで、前記凝固促進活性は、in vitro凝固アッセイにより分析される、項目15~51のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目53)
前記凝固促進活性は、発色分析、1段階凝固アッセイ、またはその両方により測定される、項目52に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目54)
前記融合タンパク質が、細胞培養培地中で発現され、in vitro凝固アッセイにより分析された場合、約0.5IU/ml、または約1.0、または約1.5、または約2.0IU/mlを超えるin vitro凝固促進活性を示す、項目1~53のいず
れか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目55)
前記融合タンパク質が、対象に投与された場合に、少なくとも約3時間、または4時間、または6時間、または12時間、または13時間、または14時間、または16時間、または24時間、または48時間、または72時間、または96時間、または120時間、または144時間、または7日、または14日、または21日の終末相半減期を示す、項目30~54のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目56)
前記対象がヒトである、項目55に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目57)
前記対象が、VIII/von Willebrand因子二重欠損マウスである、項目55に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目58)
前記融合タンパク質が、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、抗第VIII因子抗体への減少した結合を示す、項目30~57のいずれか1項に
記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目59)
前記第VIII因子融合タンパク質が、表10の抗体および第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体からなる群から選択される、抗第VIII因子抗体を用いたBethesdaアッセイにおいて分析された場合に、XTENに連結されていない第VIII因子と比較して、少なくとも約2、4、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、100または200Bethesda単位だけ低いBethesda価を有する、項目58に記載の組換え第VIII因子融
合タンパク質。
(項目60)
第VIII因子ポリペプチドならびに、少なくとも第一および第二の伸長組換えポリペプチド(XTEN)を含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって、ここで、前記第一のXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結され、前記第二のXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドのA1またはA2ドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結され;
ここで、(a)前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、A1、A2またはC2ドメイン内に位置するエピトープへ結合することができる第VIII因子阻害抗体である、抗第VIII因子抗体への減少した結合を示し;および/または、(b)ここで、前記融合タンパク質は、凝固促進活性を示す、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目61)
前記第二のXTENは、前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメイン内で前記第VIII因子ポリペプチドに連結されている、項目60に記載の組換え第VIII因子融
合タンパク質。
(項目62)
前記抗第VIII因子抗体は、前記第VIII因子ポリペプチドのA2ドメインに結合する、項目60に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目63)
前記抗第VIII因子抗体は、前記第VIII因子ポリペプチドのC2ドメインに結合する、項目60に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目64)
前記組換え第VIII因子融合タンパク質は、第三のXTENをさらに含有し、ここで、前記第三のXTENは、Bドメイン内にある挿入部位、もしくはBドメインを置換する挿入部位で、またはC末端で、前記第VIII因子に連結されている、項目60に記載
の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目65)
表7の部位からなる群から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくは6アミノ酸で、または、表7の部位からなる群から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくは6アミノ酸以内で、前記第VIII因子ポリペプチド内に連結される、第三のXTENを含有する項目60に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目66)
表9の部位からなる群から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくは6アミノ酸で、または、表9の部位からなる群から選択される挿入部位の1、2、3、4、5もしくは6アミノ酸以内で、前記第VIII因子ポリペプチド内に連結される、第三のXTENを含有する項目60に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目67)
抗第VIII因子抗体の、前記融合タンパク質への結合が、ELISAアッセイにより分析された場合に、XTENに連結されていない対応する第VIII因子ポリペプチドと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または40%だけ減少している、項目60~66のいずれか1項に記載の組換え第VIII因
子融合タンパク質。
(項目68)
前記抗第VIII因子抗体が、表10の抗体および第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者由来のポリクローナル抗体からなる群から選択される、項目60~67のい
ずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目69)
前記融合タンパク質が、抗第VIII因子抗体の存在下で、in vitro凝固アッセイにより分析された場合に、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、80%、100%、200%、300%、400%または500%の凝固促進活性を維持している、項目60~
68のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目70)
前記分析が、発色分析である、項目69に記載の組換え第VIII因子融合タンパク
質。
(項目71)
各XTENが、以下の点で特徴付けられる配列を有する、項目1~70のいずれか1
項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質:
(a)前記XTENは、少なくとも36アミノ酸残基を含有する;
(b)グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)の総和が、前記XTENの総アミノ酸残基の約80%超を占める;
(c)実質的に非反復であり、(i)前記XTENが、アミノ酸がセリンでない限り、同一である3つの連続したアミノ酸を含有しない;(ii)XTEN配列の少なくとも約80%が、非重複配列モチーフから構成され、前記配列モチーフのそれぞれは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択される4~6つのアミノ酸からなる、約9~約14アミノ酸残基を含有し、ここで、任意の2つの連続するアミノ酸残基は、各配列モチーフ内で2回より多くは存在しない;または(iii)前記XTENは、10未満の部分配列スコアを有する;
(d)前記XTENは、GORアルゴリズムによる決定で、90%超のランダムコイル構造を有している;
(e)前記XTENは、Chou-Fasmanアルゴリズムによる決定で、2%未満のαヘリックスおよび2%未満のβシートを有している;および、
(f)前記XTENは、TEPITOPEアルゴリズムにより分析された場合に、推定T細胞エピトープを欠失しており、ここで、前記アルゴリズムによる前記推定に対する前記TEPITOPEの閾値スコアは、-9の閾値を有している、。
(項目72)
各XTENが、最適整列した場合に、独立して、表4、表13、表14、表15、表16および表17からなる群から選択される、同等の長さの1以上のXTEN配列と比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する、項目1~71のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目73)
少なくとも1つのXTENが、AE42_1、AE42_2、AE42_3、AG42_1、AG42_2、AG42_3、AG42_4、AE144_1A、AE144_2A、AE144_2B、AE144_3A、AE144_3B、AE144_4A、AE144_4B、AE144_5A、AE144_6B、AG144_1、AG144_2、AG144_A、AG144_B、AG144_C、AG144_F、AG144_3、AG144_4、AE288_1、AE288_2、AG288_1およびAG288_2から選択される配列と比較して、少なくとも90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する、項目1~72のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目74)
成熟ヒト第VIII因子に対して付番された、残基R1645、R1648、Y1680、R1689およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される前記第VIII因子配列中に、1、2または3のアミノ酸置換を含有し、ここで、各置換は独立して、アラニン、グリシンまたはフェニルアラニンであるアミノ酸へのものである、項目1~
73のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目75)
前記融合タンパク質が、少なくとも約1.3、または少なくとも約2、または少なくとも約3、または少なくとも約4、または少なくとも約5、または少なくとも約6、または少なくとも約7、または少なくとも約8、または少なくとも約9、または少なくとも約10の見かけ分子量係数を示す、項目1~74のいずれか1項に記載の組換え第VIII
因子
(項目76)
少なくとも1つのXTENが、1または2の開裂配列(各々が、第XIa因子、第XIIa因子、カリクレイン(kallikrein)、第VIIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第IIa因子(トロンビン)、エラスターゼ-2、MMP-12、MMP13、MMP-17およびMMP-20からなる群から選択される哺乳類プロテアーゼにより開裂可能である)を介して、第VIII因子ポリペプチドに連結され、ここで、前記哺乳類プロテアーゼによる、前記開裂配列での開裂により、前記XTENから前記第VIII因子配列が放出され、ここで、前記放出された第VIII因子配列は、非開裂の融合タンパク質と比較して、凝固促進活性の増加を示す、項目1~75のいずれか1項に記載の
組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目77)
前記開裂配列(複数含む)は、第XIa因子により開裂可能である、項目76に記載
の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目78)
少なくとも3つの独立したXTENを含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、a1酸性スペーサー領域を含有するA1ドメイン、a2酸性スペーサー領域を含有するA2ドメイン、a3酸性スペーサー領域を含有するA3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメイン、および、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、および、ここで、前記少なくとも3つのXTENのそれぞれは、第VIII因子ポリペプチドの異なる挿入部位で位置し、ここで、前記異なる挿入部位のそれぞれは、独立して、以下からなる群から選択される、組換え第VIII因子融合タンパク質:
(a)表5、表6、表7、表8および表9由来の挿入部位;
(b)
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905または1910の6アミノ酸以内の挿入部位;
(c)前記第VIII因子配列の任意の2つの隣接するドメインの間の挿入部位であって、ここで、前記2つの隣接するドメインは、A1およびA2、A2およびB、BおよびA3、A3およびC1、ならびに、C1およびC2からなる群から選択される、挿入部位;(d)
図3に記述される全長ヒト第VIII因子配列に準拠して、アミノ酸残基番号約741~約750での第一の位置から始まり、アミノ酸残基番号約1635~約1648での第二の位置で終わる、内部Bドメイン欠失を有する挿入部位;
(e)前記第VIII因子ポリペプチドのC末端;
(f)前記第VIII因子ポリペプチドのN末端;
(g)前記第VIII因子ポリペプチドの2つの隣接するドメインの間;
ここで、前記すべてのXTENの累積の長さは少なくとも約84~約3000アミノ酸残基である。
(項目79)
前記融合タンパク質は、GTPGSGTASSSP(配列番号31)、GSSTPSGATGSP(配列番号32)、GSSPSASTGTGP(配列番号33)GASPGTSSTGSP(配列番号34)および、GSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)から選択される配列を含有しない、項目78に記載の組換え第V
III因子融合タンパク質。
(項目80)
前記融合タンパク質は、GSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)、PGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSS(配列番号71)、または、PGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGS(配列番号80)からなるXTEN配列を含有しない、項目78
または79に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目81)
前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%の凝固促進活性を維持している、項目78~
80のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目82)
前記融合タンパク質は、前記XTENを欠落している対応する第VIII因子ポリペプチドと比較して、対象に投与された場合に、延長された終末相半減期を示す、項目78
~80のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目83)
前記融合タンパク質は、対象に投与された場合に、少なくとも約3時間、または4時間、または6時間、または12時間、または13時間、または14時間、または16時間、または24時間、または48時間、または72時間、または96時間、または120時間、または144時間、または7日、または14日、または21日の終末相半減期を示す、項目82に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目84)
前記対象がヒトである、項目83に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目85)
前記対象が、第VIII因子/von Willebrand因子二重欠損マウスである、項目83に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目86)
第VIII因子ポリペプチドおよび少なくとも1つのXTENを含有する組換え第VIII因子融合タンパク質であって、ここで、前記第VIII因子ポリペプチドは、A1ドメイン、A2ドメイン、A3ドメイン、C1ドメイン、C2ドメインおよび、任意選択的にBドメインの一部またはすべてを含有し、ここで、前記少なくとも1つのXTEN(複数含む)のそれぞれは、前記第VIII因子ポリペプチドに、残基番号18~32、または40、または211~224、または336~403、または599、または745~1640、または1656~1728、または1796~1804、または1900~1912、または2171~2332から選択される挿入部位で、連結され、;および、ここで、前記融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子と比較して、少なくとも約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%の凝固促進活性を有している、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目87)
項目1~86のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質および薬
学的に受容可能な担体を含有する、医薬組成物。
(項目88)
対象における凝固障害を治療する方法であって、前記対象に項目87に記載の医薬組
成物の凝固有効量を含有する組成物を投与することを含む、方法。
(項目89)
XTENが連結されていない対応する第VIII因子を含有し、同等の投与量で対象に投与される組成物と比較して、前記投与の後の凝固促進第VIII因子の血液濃度がより高いレベルに維持されている、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記血液濃度が、前記投与後の少なくとも48時間の間、約0.05IU/ml、または約0.1IU/ml、または約1.5IU/ml以上に維持されている、項目89に記載の方法。
(項目91)
項目87に記載の医薬組成物の凝固有効量を、血液と接触させることを含む、対象に
おいて、血液を凝固させる方法。
(項目92)
第VIII因子の循環阻害物質を有する対象における、凝固障害を治療する方法であって、前記対象に、項目87に記載の医薬組成物の凝固有効量を投与することを含み、こ
こで、前記組成物は、XTENに連結されていない対照の第VIIIを含有し、前記対象に同等の量を用いて投与される組成物と比較して、前記対象においてより高い凝固促進活性を示す、方法。
(項目93)
対照における出血症状を治療する方法であって、項目87に記載の医薬組成物の凝固
有効量を前記対象に投与することを含み、ここで、XTENに連結されておらず、および前記対象に同等の量を用いて投与される対応する第VIII因子と比較して、前記融合タンパク質の前記凝固有効量により、少なくとも2倍、または少なくとも3倍長い期間、出血症状が止められる、方法。
(項目94)
前記凝固障害が、血友病Aである、項目88~93のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
血友病A患者の治療のための医薬レジメンにおける使用のための組換え第VIII因子融合タンパク質であって、前記レジメンは、項目1~86のいずれか1項に記載の前記
組換え第VIII因子融合タンパク質を含有する医薬組成物を含有する、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目96)
前記医薬レジメンに、前記血友病A患者に止血をもたらすために必要とされる医薬組成物の量を決定するステップがさらに含まれる、項目95に記載の組換え第VIII因子
融合タンパク質。
(項目97)
血友病A患者の治療のための前記医薬レジメンに、前記対象に、2回以上の連続投与で、医薬組成物を有効量で投与することが含まれる、項目95の組換え第VIII因子融
合タンパク質であって、ここで、XTENに連結されておらず、同等の投与量を用いて投与される第VIII因子と比較して、前記投与により、前記血友病A疾患に関連する少なくとも1、2または3つのパラメータの、少なくとも10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%大きい改善がもたらされる、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目98)
前記改善されるパラメータが、凝固促進第VIII因子の血液濃度、減少した活性化部分プロトンビン(aPTT)アッセイ時間、減少した1段階または2段階凝固アッセイ時間、出血症状の発生の遅延、減少した発色分析時間、減少した出血アッセイ時間、出血イベントの消散、または天然FVIIIに対する減少したBethesda価、から選択される、項目97に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目99)
項目1~86のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質を含有す
る、血友病Aの治療に用いられる組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目100)
項目1~86のいずれか1項に記載の組換え第VIII因子融合タンパク質、または
その相補物をコードする核酸。
(項目101)
シグナルペプチドをコードする配列をさらに含有する、項目100に記載の核酸であ
って、前記配列は、以下である、核酸:
ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT(配列番号1613)またはその相補体。
(項目102)
項目100または項目101に記載の核酸を含有する、発現ベクター。
(項目103)
項目102に記載の発現ベクターを含有する、単離された宿主細胞。
(項目104)
(a)項目102の発現ベクターを含有する宿主細胞を提供すること、
(b)前記宿主細胞を、前記融合タンパク質の産生をもたらす条件下で培養すること、および、
(c)前記融合タンパク質を回収すること、
を含む、項目1~86のいずれか1項に記載の融合タンパク質を製造する方法。
(項目105)
最適整列した場合に、表21から選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%の配列同一性を有するポリペプチドを含有する、組換え第VIII因子融合タンパク質。
(項目106)
(a)最適整列した場合に、表21から選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約100%の配列同一性を有する配列、または、
(b)(a)のポリヌクレオチドの相補体、
から選択されるポリヌクレオチド配列を含有する単離された核酸。
(項目107)
(a)の核酸の5´末端に連結される、配列ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT、または、(b)の3´末端に連結される配列の相補体、をさらに含有する、項目106に
記載の単離された核酸。
【0047】
参照による援用
本明細書に言及されるすべての公表文献、特許および特許出願は、それぞれ個別の公表文献、特許または特許出願が、具体的および個々に、参照により援用されるものとして示されたと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0048】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な記述および付随する、例示説明となる実施形態を示す図面への参照によりさらに解説されうる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】FVIII構造の略図、ならびに、プロセッシングおよび凝固の間のドメインの空間的配置を示し、および天然型FVIIIおよびBドメイン欠失変異体の両方を表すことが意図される。A1ドメインは、残基1~372(成熟型のFVIII配列 NCBI Protein RefSeq NP_000123に対して付番され、a1残基を包含する)の範囲にわたり、A2ドメインは、残基373~740の範囲にわたり、Bドメインは、残基741~1648の範囲にわたり、A3ドメインは、残基1649~2019(a3酸性領域を包含する)の範囲にわたり、C1ドメインは、2020~2172の範囲にわたり、そしてC2ドメインは、残基2173~2332の範囲にわたる。BDD変異体は、741~1648の範囲の間に欠失を含んで、いくつかの残留残基を残し、または残留残基を残さず、非限定的なBDD残留残基の配列は、SFSQNPPVLKRHQR(配列番号1614)である。
図1Aは、プロセッシング前の、単鎖FVIIIのドメイン構造を示す。矢印は、FVIIIのプロセッシングおよびFVIIIaへの変換において開裂される残基R372、R740、R1648および、R1689での部位を示す。
図1Bは、R1648残基で開裂されることによりヘテロ二量体へとプロセッシングされているFVIII分子を示し、A3ドメインのa3酸性領域が、A3のN末端上に表示される。
図1Cは、R372、R740、およびR1689残基で開裂されることによりFVIIIaヘテロ二量体へとプロセッシングされるFVIII分子を示す。
【
図2】共通の経路へと導かれる、内因性経路および外因性経路を示す、凝固カスケードの概略図である。
【
図3】成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸配列(配列番号1592)を表す。
【
図4】Bドメインの一部欠失を伴う第VIII因子配列(配列番号1593)を表す。
【
図5】FVIIIがXTENに連結されたCFXTEN構造のいくつかの例を図示する(後者(XTEN)は太い波線で示される)。全ての事例において、FVIIIは、天然型のFVIIIもしくはBDD型のFVIII、または、Bドメイン全体(天然型開裂部位を含む)が除去された単鎖形態のいずれかでありうる。
図5Aは、左から右に向かって、N末端に連結されたXTENを有する単鎖第VIII因子、C末端に連結されたXTENを有する単鎖第VIII因子、ならびに、NおよびC末端に連結された2つのXTENを有する単鎖第VIII因子の3つの変形を示す。
図5Bは、左から右に向かって、A1ドメインのN末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;C2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A1ドメインのN末端およびC2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;XTENがA1ドメインのN末端およびA3ドメインのN末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;C2ドメインのC末端および、Bドメインアミノ酸残基を介してA3ドメインのN末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A1ドメインのN末端に、Bドメインのアミノ酸残基を介してA2ドメインのC末端に、およびC2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIIIの、6つの変形を示す。
図5Cは、左から右に向かって、単鎖第VIII因子の3つの変形を示す:A1ドメインのN末端に連結されたXTEN、A1ドメインの表面ループ内に連結されたXTENおよびA3ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN;A2ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、C2ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、およびC2ドメインのC末端に連結されたXTEN;CドメインのC末端およびC1ドメインの表面ループ内およびA1ドメインのN末端に連結されたXTEN。
図5Dは、左から右に向かって、A1ドメインのN末端に連結されたXTEN、A1ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、およびA3ドメインの表面ループ内に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A2ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、およびC1ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、およびC2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A1ドメインのN末端に連結されたXTEN、A1ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、A3ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、およびC2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A1ドメインのN末端に連結されたXTEN、Bドメインのアミノ酸残基を介してA3ドメインのN末端に連結されたXTEN、およびC2ドメインの表面ループ内に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;A2ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN、Bドメインのアミノ酸残基を介してA3ドメインのN末端に連結されたXTEN、C1ドメインの表面ループ内に連結されたXTEN,およびC2ドメインのC末端に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIII;ならびに、BDD変異体のBドメイン内または残留Bドメイン残基の間に連結されたXTENを有する成熟ヘテロ二量体FVIIIの6つの変異体を示す(ならびに本発明はまた、XTENがBドメイン全体(A2およびA3ドメインを連結し、第VIII因子の単鎖形態をもたらすすべての天然型開裂部位を含む)を置換する変異もまた企図される)。この図はまた、1以上のXTEN配列が、Bドメイン内に挿入され、それにより得られた融合体が細胞内プロセッシングの間に1以上の部位(たとえば、R1648位)で開裂される、全ての変異型を具体的に表現している。
【
図6】Bドメイン内に挿入され、C2ドメインのC末端に連結されたXTENを有するCFXTEN構築物の描写であり、XTENの近傍にある第VIII因子の部分に及ぶことができるランダムコイル構造をもたらすXTENの体系化されていない特性を図示する。下のパネルにおいて、図は、XTENがランダムコイルの状態にあるとき、そうでない場合XTEN挿入部位の近傍にあるエピトープに対する親和性を有するであろう第VIII因子阻害抗体の結合を阻害する、立体障害をもたらす立体構造となることができることを示す図である。
【
図7】FVIII配列内のXTENに対する挿入部位を特定するための配列が欠失されたFVIIIのBドメイン上で実施された様々な分析をの描写である。A~Hの各ラインは、低い値がXTEN挿入に対する高い推測耐容を有する領域を表すようにFVIII BDD配列のいたるところでY軸値の恣意的な尺度で描かれており、X軸は残基番号である。ラインAは、ドメインの境界を表し;このラインのすべての中断は、XTENを受容する可能性が高い境界を表す。ラインBは、エクソン境界を示す;すなわち、ラインの各ステップは、新たなエクソンを表す。ラインCは結晶の秩序が欠落しているために、X線構造が可視化されなかった領域を示す。Dとラベルが付けられたラインは、ウェブサイト(bip.weizmann.ac.il/fldbin/findex (最後にアクセスされたのは、2011年2月23日)、 (Jaime Prilusky, Clifford E. Felder, Tzviya Zeev-Ben-Mordehai, Edwin Rydberg, Orna Man, Jacques S. Beckmann, Israel Silman, and Joel L. Sussman, 2005, Bioinformatics based on the Kyte & Doolitlle algorithm を参照のこと)で見いだされる各プログラムFoldIndex、ならびに、 ウェブサイト(strubi.ox.ac.uk/RONN(最後にアクセスされたのは、2011年2月23日))で見いだされるRONN(Yang,Z.R., Thomson, R., McMeil, P. and Esnouf, R.M. (2005) RONN: the bio-basis function neural network technique applied to the detection of natively disordered regions in proteins Bioinformatics 21: 3369-3376を参照のこと)を用いて算出された、複合的な予測順位を表す。ラインEおよびFは、GenBankで入手可能な11の哺乳類由来のFVIII遺伝子の複合的な配列アライメントに基づき算出された。ラインEは、個々の残基の保存を表す。ラインFは、FVIIIの3アミノ酸セグメントの保存を表す。ラインGおよびHは、11の哺乳類FVIII遺伝子の複合的な配列アライメントに見られるギャップおよび挿入を表す。ラインJは、上述の複合的な計測を組み合わせることにより得られた、アミノ酸数による、XTEN挿入点を列挙する。
【
図8】
図8に示される情報を用いて、XTENに対する活性挿入点として特定され、実施例34の分析において確認された、FVIIIのBドメイン欠失配列(配列番号1594)中の部位を表す。
【
図9】
図8および、または実施例34に示される情報を用いて、XTENの挿入に対して特定される、FVIIIのBドメイン欠失配列(配列番号1595)中の部位の範囲、ならびにXTENの挿入に適しているとみなされる各挿入部位周辺のアミノ酸の広がりを示す。
【
図10】
図7に記述される挿入部位の特定、次いで、分子生物技術を用いた様々な挿入部位での単一XTENの挿入(黒いバー)により創出されたCFXTENライブラリの組み立ての概略図である。当該構築物は、発現および回収され、次いで、FVIII活性および薬物動態的特性を評価され、特性の増強がもたらされるそれらCFXTEN構造を特定する。
【
図11】FVIII BDDドメイン(単一であるか、または様々な長さのXTEN(黒いバー)に連結されているかのいずれか)のセグメントが、組み合わせの様式でCFXTENをコードする遺伝子ライブラリへと組み立てられている、CFXTEN成分ライブラリの組み立ての概略図であり、次いで、それらはFVIII活性および薬物動態的特性を評価され、特性の増強がもたらされるそれらCFXTEN構造を特定されることができる。
【
図12】凝固促進プロテアーゼにより開裂される開裂配列(黒い三角により示される)の挿入により放出可能なあるXTENを伴う、XTEN(太い波線として示される)を有するCFXTENの構造のいくつかの例を図示する。
図12Aは、2つの末端放出可能なXTENを有するscFVIIIを図示する。
図12Bは、
図12Aと同じ構造を図示するが、A3およびC1ドメインを連結している放出不可能な追加のXTENが付随している。
図12Cは、2つの末端放出可能なXTENを伴う成熟ヘテロ二量体FVIIIを図示する。
図12Dは、10Cと同じ構造を図示するが、A3およびC1ドメインを連結している放出不可能な追加のXTENが付随している。
【
図13】XTENの組み立て、製造および評価における、代表的なステップのフローチャート図である。
【
図14】融合タンパク質をコードするCFXTENポリヌクレオチド構築物の組み立てにおける代表的なステップのフローチャート図である。個々のオリゴヌクレオチド501は、配列モチーフ502(たとえば、12アミノ酸モチーフ(12-mer))にアニールされ、ライブラリ由来のさらなる配列モチーフにライゲートされ、所望の長さのXTEN504を包含するプールを創出し、ならびに、より小さな濃度のオリゴ(BbsIおよびKpnI制限酵素部位503を含有)にライゲートされる。得られたライゲーション産物のプールは、ゲル精製され、所望の長さのXTENを有するバンドを切り出し、ストッパー配列505を有する単離XTEN遺伝子を得る。XTEN遺伝子は、スタッファー(stuffer)ベクターへとクローニングされる。この場合において、ベクターは、任意選択のCBD配列506およびGFP遺伝子508をコードする。次いで、BbsI/HindIIIで消化を実施し、507および508を除去し、ストップコドンを配置する。得られた産物を、次いで、BsaI/HindIII制限酵素消化されたベクター(FVIIIをコードする遺伝子を含有)へとクローニングし、FVIII-XTEN融合タンパク質をコードする遺伝子500を得る。
【
図15】CFおよびXTENを含有する融合タンパク質をコードする遺伝子の組み立て、融合タンパク質としてのその発現および回収、ならびに、CFXTEN産物候補としての評価における代表的なステップのフローチャート図である。
【
図16A】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図16B】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図16C】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図16D】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図16E】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図16F】切断型XTENを生成するためのドナーXTEN配列の使用を図示する。
図16Aは、AG864(配列番号1596)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1597)を生成するために用いられた。
図16Bは、AG864(配列番号1598)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1599)を生成するために用いられた。
図16Cは、G864(配列番号1600)の配列を提示し、下線の配列は、144の長さの配列(配列番号1601)を生成するために用いられた。
図16Dは、AG864(配列番号1602)の配列を提示し、下線の配列は、576の長さの配列(配列番号1603)を生成するために用いられた。
図16Eは、AG864(配列番号1604)の配列を提示し、下線の配列は、288の長さの配列(配列番号1605)を生成するために用いられた。
図16Fは、144の長さの4つの配列(出現順に、それぞれ、配列番号1607~1610)を生成するために用いられた、AG864(配列番号1606)の配列を提示する(二重下線は、144長の配列中の第一のアミノ酸を示し、一重下線は、その配列の残りを表す)。
【
図17】FVIIIをコードする配列への、異なるXTEN因子導入戦略を伴う、第VIII因子-XTEN発現ベクターの設計の概略図である。
図17Aは、FVIIIをコードする配列の3´末端に融合されたXTENをコードする発現ベクターを示す。
図17Bは、単一FVIIIをコードするコード配列の中間に挿入されたXTEN因子をコードする発現ベクターを示す。
図17Cは、2つのXTEN因子(1つはFVIIIコード配列内部へと挿入され、他方は、FVIIIコード配列の3´末端に融合された)をコードする発現ベクターを表す。
【
図18】XTENをコードする遺伝子の組み合わせ遺伝子組み立てのプロセスを図示する。この場合において、遺伝子は、6塩基断片から組み立てられ、各断片は、4つの異なるコドンバージョン(A、B、CおよびD)で使用可能である。これにより、理論上、組み立て中に4096の多様な12アミノ酸モチーフが生じる。
【
図19】実施例41に記述されるように、様々な長さの非構造性ポリペプチドに連結されたGFPの異なる組成物を、皮下投与、または静脈内投与で単回投与された後のカニクイザルの薬物動態プロファイル(血漿濃度)を示す。組成物は、GFP-L288、GFP-L576、GFP-XTEN_AF576、GFP-Y576およびXTEN_AD836-GFPであった。血液試料を、注射後の様々な時点で分析し、血漿中のGFP濃度を、捕捉用の抗GFPポリクローナル抗体、および検出のための同ポリクローナル抗体のビオチニル化製剤を用いるELISAにより測定した。結果は、投与後の時間に対する血漿濃度として表され、特に、最も長い配列のXTENを有する組成物である、XTEN_AD836-GFPに対する半減期において著しい増加が認められる。最も短い配列長を有する構築物である、GFP-L288は、最も短い半減期を有した。
【
図20】GFPのN末端に融合されたXTEN_AE864融合タンパク質の安定性実験試料の、SDS-PAGEゲルを示す(実施例42を参照のこと)。GFP-XTENを、カニクイザルの血漿およびラット腎臓溶解物中で、37℃、7日間までインキュベートした。さらに、カニクイザルに投与されたGFP-XTENもまた評価した。試料を、0、1および7日で取り出し、SDS PAGEにより分析し、次いで、抗GFP抗体を用いたウェスタン分析により検出した。
【
図21】実施例40に記述される、分子量既知のタンパク質標準に対して測定されたグルカゴン-XTEN構築物試料のサイズ排除クロマトグラフィー分析の結果を、保持容量に対する吸光度として出力したグラフと共に示す。グルカゴン-XTEN構築物は、1)グルカゴン-Y288;2)グルカゴンY-144;3)グルカゴン-Y72;および、4)グルカゴン-Y36である。結果から、XTEN部分の長さが増加するにつれ、明らかに分子量が増加していることが示唆される(データは実施例40を参照のこと)。
【
図22】指定された構築物で形質転換された細胞の細胞培養により発現されたタンパク質のウェスタンブロットの結果を示す(実施例25)。レーン1~12の試料はそれぞれ:MW標準、FVIII(42.5ng)、pBC0100B、pBC0114A、pBC0100、pBC0114、pBC0135、pBC0136、pBC0137、pBC0145、pBC0149および、pBC0146であった。レーン8、9および12は、95kDaの推定MWを有するC末端XTEN288を伴うFVIIIと一致するバンドを示している。レーン7および11は、175kDaの推定MWを有するC末端XTEN42を伴うFVIIIと一致するバンドを示している。レーン2~6は、FVIIIおよび重鎖と一致するバンドを示している。レーン10および23は、重鎖と一致するバンドを示している。レーン7は、重鎖および付着XTEN42と一致するバンドを示している。
【
図23】実施例36に記述される、流体力学プラスミドDNA注射を受けた、FVIIIおよびWillebrand因子の二重欠損マウスから得た試料に対するFVIII分析の結果を示す。
【
図24】実施例30に記述される、HemAまたはFVIII/VWF二重欠損マウスのいずれかに投与された、rBDD-FVIIIおよび精製CFXTEN融合タンパク質pBC0145およびpBC0146(C末端XTENを有する)の薬物動態特性の図表であり、両マウス系統における、CFXTENの半減期の増加が示されている。
【
図25】HemAマウスにおける細胞培養薬物動態アッセイを用いた、HemA(
図25A)またはFVIII/VWF二重欠損マウス(
図25B)のいずれかに投与された、rBDD-FVIIIならびに、CFXTEN融合タンパク質pSD0050およびpSD0062(内部挿入されたXTENを有する)の薬物動態特性の図表である。実施例32に記述されるように、投与量、5分回収および半減期(T1/2)が、両系統のマウスにおいて、陽性対照のFVIIIと比較し、CFXTENの半減期および回収が増強されたことが強調されて示されている。
【
図26】残基18、745および2332で3つの144アミノ酸XTEN挿入を有する、pBC0114 BDD-FVIII AND CFXTEN構築物LSD0049.002を用いた、GMA8021 FVIII阻害物質滴定のグラフ図である。データから、陽性対照FVIIIと比較して、CFXTENを50%レベルまで阻害するために必要とされる抗体の量(μg/ml)において、およそ0.7桁、右方にシフトしていることが示される。
【
図27】アルゴリズムSegScoreの論理フローチャートの図である。図中、以下の解説が適用される:i、j‐配列全体にわたって制御ループで用いられるカウンター;HitCount‐この変数は、部分配列(subesequence)がどのくらい多く、ブロック内で同一の部分配列に出遭うかを記録するカウンターである;SubSeqX‐この変数は、冗長性に対してチェックされる部分配列を維持する;SubSeqY‐この変数は、SubSeqXに対してチェックされた部分配列を維持する;BlockLen‐この変数は、ユーザーが決定したブロック長を維持する;SegLen‐この変数は、セグメントの長さを維持する。プログラムは、長さ3、4、5、6、7、8、9および10の部分配列に対してスコアを作成するようにハードコードされている;Block-この変数は、長さBlockLenのストリングを維持する。ストリングは、入力XTEN配列からの文字から構成されており、iカウンターの位置により決定される;SubSeqList‐これは、すべての作成された部分配列スコアを維持するリストである。
【
図28】反復性を測定するために、11アミノ酸の仮想XTEN(配列番号1591)へのアルゴリズムSegScoreの適用を表す。Nアミノ酸からなるXTEN配列は、長さS(この場合、S=3)の、N-3+1個の部分配列へと分割される。すべての部分配列のペアワイズ比較を実施し、同一の部分配列の平均数を算出して、部分配列スコア1.89を得る。
【
図29】FVIIIに対するGMA8021抗体への暴露の後の、pBC114 FVIII陽性対照に対する、分析されたCFXTENにおけるFVIII活性の、個々の構築物の比の値のグラフであり、構築物融合タンパク質中のXTENの数に従い、グループ化されている(実施例28を参照のこと)。結果から、FVIII活性を保持するCFXTENの能力は、組み込まれたXTENの数の増加と、実質的に直線的な関係にあることが示される。
【
図30A】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30B】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30C】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30D】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30E】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30F】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30G-1】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図30G-2】ヒトFVIII構築物の成熟Bドメイン欠失(BDD)の基本配列およびドメイン構造を示す(実施例46)。導入されたNheIおよびClaI制限酵素部位の位置を示す。アミノ酸の番号は、成熟FVIIIの基本配列におけるアミノ酸の位置に対応していることに注意されたい(
図30)。個々のドメインは、グレーの線/ボックスにより境界がつけられており、ドメイン識別がグレーの文字でなされている。酸性領域(a1、a2、a3)は、点線のボックスで示されている。黒色のくさび型/三角は、FVIIIaへのFVIIIの活性化における、トロンビン開裂の部位を示す。白いくさび型/三角は、2連鎖型のFVIIIへの、細胞内タンパク質分解プロセッシングの部位を示す。六角形は、N結合型グリコシル化の部位を示す。円は、Tyr硫酸化の部位を示す。XTEN挿入/組換えを促進するためにcDNAへと導入された固有の非天然型制限酵素部位(NheI、GCTAG;ClaI、ATCGAT)は、二重下線で、グレーで強調されている。
【
図31】
図30に記述されるFVIII構築物の図を提示し、ドメインの構造ならびに、天然型制限酵素部位および非天然型制限酵素部位の位置を示す。
【
図32】構造データセット2R7E、3CDZおよびPM0076106に対するASAViewアウトプットの図を示す。ドメインA1、A2、A3、C1およびC2におけるアミノ酸に対する露出溶媒面積(ASA)を示す。分析は、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics(RCSB;http://www.rcsb.org/pdb)により維持される、Protein Data Bankに預託された、X線結晶座標3CDZ(Ngo et al., Structure 16: 597-606 (2008))および、2R7E(Shen et al., Blood 111:1240-1247 (2008))で実施され、ならびに、Consorzio Interuniversitario per le Applicazioni di Supercalcolo per Universita e Riserca (CASPUR)および、the Department of Biochemical Sciences of the University of Romeで維持されているProtein Model Database (http://mi.caspur.it/PMDB/main.php)に預託された、分子動力学シミュレーション実験から得られた予測精密FVIII構造(Venkateswarlu, BMC Struct. Biol. 10:7 (2010))に対する原子座標PM0076106で実施された。
【
図33】XTEN挿入部位の位置を示す構造図である。FVIII(PDB:2R7E)の結晶構造に対応する中心の図は、ドメインA1、A2、A3、C1およびC2の詳細化された図により囲まれている。βストランドおよびαヘリックスが、リボン表示として示されている。ループは、α炭素パイプとして示されている。XTEN挿入部位のアミノ酸は、CPK球体表示として示されている。各グラフの数字は、XTEN挿入部位の位置(
図30の付番に従う)を示している。
【
図34】
図33に示されるXTENの挿入部位の位置の構造図を示すものであり、得られる組換えFVIIIタンパク質はFVIII活性を示す。
【
図35】
図34に示されるXTENの挿入部位の位置の構造図を示すものであり、得られる組換えFVIIIタンパク質はFVIII活性を示す。
【
図36】
図35に示されるXTENの挿入部位の位置の構造図を示すものであり、得られる組換えFVIIIタンパク質はFVIII活性を示す。
【
図37】FVIII活性を示す組換えFVIIIタンパク質(黒色ボックス、白文字)またはFVIII活性を示さない組換えFVIIIタンパク質(グレーボックス、太文字)をもたらす、XTEN挿入の位置を示す、FVIIIのドメインA1、A2、A3、C1およびC2のClustalW多重配列アライメントを示す。
【
図38】Protein Data Bankで、識別子2R7Eとして預託されている天然型活性ヒトFVIII結晶構造における、2つのポリペプチド鎖の二次構造のDSSP図面を示す(実施例47を参照のこと)。アミノ酸配列の付番は、
図30のタンパク質配列と同じものである。βシート領域は、黒色の矢印として示され、β1~β66と指定される。XTEN許容ループの位置は、平行線模様のボックスにより示されている。ドメインA1 XTEN許容ループは、ループA1-1およびループA1-2と指定される。ドメインA2 XTEN許容ループは、ループA2-1およびループA2-2と指定される。ドメインA3 XTEN許容ループはループA3-1およびループA3-2と指定される。
【
図39】Protein Data Bankで、識別子2R7Eとして預託されている天然型活性ヒトFVIII結晶構造における、2つのポリペプチド鎖の二次構造のDSSP図面を示す(実施例47を参照のこと)。アミノ酸配列の付番は、
図30のタンパク質配列と同じものである。βシート領域は、黒色の矢印として示され、β1~β66と指定される。XTEN許容ループの位置は、平行線模様のボックスにより示されている。ドメインA1 XTEN許容ループは、ループA1-1およびループA1-2と指定される。ドメインA2 XTEN許容ループは、ループA2-1およびループA2-2と指定される。ドメインA3 XTEN許容ループはループA3-1およびループA3-2と指定される。
【
図40】FVIII活性を示す組換えFVIIIタンパク質(黒色ボックス、白文字)またはFVIII活性を示さない組換えFVIIIタンパク質(グレーボックス、太文字)をもたらす、XTEN挿入の位置を示す、FVIIIのドメインA1、A2、A3、C1およびC2のClustalW多重配列アライメントを示す。XTEN許容ループの位置は、破線の三角により示される(実施例47を参照のこと)。
【
図41】
図41Aは、ドメインA1、A2、A3、C1およびC2の位置(破線の円)、およびXTEN許容ループA1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1およびA3-2(CPK球体表示として強調される)の位置を示すヒトFVIII(PDB:2R7E)の正面構造図を表す。
図41Bは、ドメインA1、A2、A3、C1およびC2の位置(破線の円)、および、XTEN許容ループA1-1、A1-2、A2-1、A2-2、A3-1およびA3-2(CPK球体表示として強調される)の位置を示すヒトFVIII(PDB:2R7E)の側面構造図を表す。
【
図42】XTEN許容ループの位置(CPK球体表示として強調される)を示す、単離ヒトFVIII(PDB:2R7E)Aドメインの頂点面構造図を示す。
図42B、42Dおよび42Fは、XTEN許容ループの位置(CPK球体表示として強調される)を示す、単離ヒトFVIII(PDB:2R7E)Aドメインの側面構造図を示す。
【
図43】様々な第VIII因子Bドメイン欠失および個々の変異を示す。ライン4~10は、様々なBドメイン欠失とともに、隣接Bドメイン残留部分またはA3ドメイン残基を連結するXTENを示す。R1648A変異は、ライン5および8において、矢印により示され、Y1680F変異は、ライン8~10において矢印により示される。
【
図44】単一XTEN挿入を有する様々なCFXTENの発色アッセイおよびaPTT活性分析の棒グラフである(実施例49)。
【
図45】2つのXTEN挿入を有する様々なCFXTENの発色アッセイおよびaPTT活性分析の棒グラフである(実施例49)。
【
図46】3つのXTEN挿入を有する様々なCFXTENの発色アッセイおよびaPTT活性分析の棒グラフである(実施例49)。
【
図47】BDD-FVIII対象と比較した、様々な、単一XTEN挿入を有するCFXTENを投与されたDKOマウスにおける血漿レベルのグラフであり、様々な位置でのXTEN挿入により、10~20倍高い半減期が得られることが示されている(実施例50)。
【
図48】BDD-FVIII対象と比較した、様々な、1、2および3つのXTEN挿入を有するCFXTENを投与されたDKOマウスにおける血漿レベルのグラフであり、単一または2つの挿入と比較して、さらなるXTEN挿入を含むことにより、半減期の増加が得られることが示されている(実施例51)。
【
図49-1】実施例52に記述される、3人の血友病患者血清(
図49A~C)またはヒツジ抗FVII(
図49D)でのBethesda分析において分析された試料における、残存第VIII因子凝固促進活性に対する阻害曲線プロットのグラフであり、XTENに連結されていないFVIIIと比較して、2つのCFXTEN分子に対する阻害曲線の明らかな左方移動が示される。
【
図49-2】実施例52に記述される、3人の血友病患者血清(
図49A~C)またはヒツジ抗FVII(
図49D)でのBethesda分析において分析された試料における、残存第VIII因子凝固促進活性に対する阻害曲線プロットのグラフであり、XTENに連結されていないFVIIIと比較して、2つのCFXTEN分子に対する阻害曲線の明らかな左方移動が示される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施形態が記載される前に、このような実施形態は例としてのみ提供されること、および本明細書に記載される発明の実施形態に対する種々の代替が、本発明を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換が、直ちに当業者に対して生じるであろう。
【0051】
別途定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料が以下に記載される。矛盾が生じる場合には、定義を含み、本特許明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例示説明であって限定することを意図としない。本発明から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換が、直ちに当業者に対して生じるであろう。
【0052】
定義
本出願の文脈において、以下の用語は、別途の特定がない限り、それらに帰する意味を有する。
【0053】
明細書および請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途に明らかに述べていない限り、複数形の参照を含む。例えば、「1つの細胞」という用語は、その混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0054】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを指すために、本明細書では互換的に使用される。ポリマーは、直線状または分岐であってもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、および非アミノ酸により中断されていてもよい。また、本用語は、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または、標識成分との結合のようなあらゆる他の操作により修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。
【0055】
本明細書で用いられる場合、「アミノ酸」という用語は、DまたはL光学異性体、並びに、アミノ酸類似体およびペプチド模倣体の両方を含むがこれらに限定されない、天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸のいずれをも指す。標準的な1つのまたは3つの文字コードがアミノ酸を示すために使用される。
【0056】
「ドメイン」という用語は、第VIII因子ポリペプチドに関して用いられる場合、全長ドメインまたはその機能的断片のいずれかを指し、例えば、第VIII因子のA1ドメイン、A2ドメイン、A3ドメイン、Bドメイン、C1ドメイン、および/またはC2ドメインの全長または機能的断片を指す。
【0057】
「天然Lアミノ酸」という用語は、グリシン(G)、プロリン(P)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、およびスレオニン(T)のL光学異性体の形態を意味する。
【0058】
配列に対して適用され、本明細書で用いられる場合、「非天然の」という用語は、哺乳類にみられる天然の配列または野生型と、対にならない、相補性を有しない、または、高い程度の相同性を有しない、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、非天然のポリペプチドまたは断片は、適切に配列された場合の天然の配列と比較して、99%、98%、95%、90%、80%、70%、60%、50%を超えない、またはそれ未満のアミノ酸の配列同一性を共有し得る。
【0059】
「親水性」および「疎水性」という用語は、物質が水と有する親和性の程度を指す。親水性の物質は水に関して強い親和性を有し、水に溶解し、水と混ざりまたは水で湿る傾向があるが、疎水性の物質は実質的に水に関する親和性が欠如し、水をはじいて吸収しない傾向があり、水に溶解せず、または、水と混ざらずまたは水で湿らない傾向がある。アミノ酸をそれらの疎水性に基づいて特徴付けることができる。多くの尺度が開発されている。一例は、Hopp, TP, et al., Proc Natl Acad Sci U S A (1981) 78:3824 に挙げられている、Levitt, M, et al., J Mol Biol (1976) 104:59により開発された尺度である。「親水性アミノ酸」の例は、アルギニン、リジン、スレオニン、アラニン、アスパラギン、およびグルタミンである。特に注目されるのは、親水性アミノ酸であるアスパルテート、グルタメート、およびセリン、およびグリシンである。「疎水性アミノ酸」の例は、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、およびバリンである。
【0060】
タンパク質に適用される場合、「断片」は、治療上および/または生物学上の活性の少なくとも一部を保持する天然の生物学的に活性なタンパク質の切断型である。タンパク質に適用される場合、「変異体」は、治療上および/または生物学上の活性の少なくとも一部を保持する天然の生物学的に活性なタンパク質に対する配列相同性を有するタンパク質である。例えば、変異体タンパク質は、参照生物学的に活性なタンパク質と比較して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を共有しうる。本明細書で用いられる場合、「生物学的に活性なタンパク質部分」という用語は、例えば、部位特異的突然変異誘発、コード遺伝子の合成、挿入により計画的に、または、突然変異により偶発的に修飾された、タンパク質を含む。
【0061】
「配列変異体」という用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸挿入、欠失、または置換により、それらの天然のまたは元の配列と比較して修飾されているポリペプチドを意味する。挿入は、タンパク質の一方または両方の末端に位置し得、および/またはアミノ酸配列の内部領域内に位置し得る。非限定的な例は、生物学的に活性なペイロードタンパク質の配列内へのXTEN配列の挿入である。欠失変異体においては、本明細書に記載されるポリペプチドにおける1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が除去される。よって、欠失変異体は、ペイロードポリペプチド配列の断片を全て含む。置換変異体においては、ポリペプチドの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、除去され、代替の残基で置換される。一態様では、置換は保存的性質のものであり、この種の保存的置換は当該技術分野でよく知られている。
【0062】
本明細書で用いられる場合、「内部XTEN」は、凝固因子の配列内に挿入されたXTEN配列を指す。内部XTENは、ドメイン内の2つの隣り合うアミノ酸の間(「内部ドメイン」)、もしくは、凝固因子の2つのドメインの間(「ドメイン間」)のいずれかの挿入により、または、XTENが凝固因子の部分的な内部配列を置換し、FVIIIのような凝固因子の配列内へのXTEN配列の挿入により構成され得る。
【0063】
本明細書で用いられる場合、「末端XTEN」は、凝固因子のNもしくはC末端に対してもしくはこれらにおいて、または、凝固因子のNもしくはC末端でタンパク質切断配列もしくはリンカーに対して融合されたXTEN配列を指す。末端XTENは、凝固因子の天然の末端に融合され得る。代替的には、末端XTENは、凝固因子の末端配列の一部を置換し得る。
【0064】
「XTEN放出部位」という用語は、哺乳類のプロテアーゼにより認識されて切断され得、CFXTEN融合タンパク質からXTENまたはXTENの一部の放出を行う、CFXTEN融合タンパク質における切断配列を指す。本明細書で用いられる場合、「哺乳類のプロテアーゼ」は、哺乳類の体液、細胞、または組織に通常存在するプロテアーゼを意味する。XTEN放出部位は、種々の哺乳類のプロテアーゼ(別名「XTEN放出プロテアーゼ」)、例えば、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIIa、FVIIIa、FXa、FIIa(トロンビン)、エラスターゼ2、MMP12、MMP13、MMP17、MMP20、または凝固事象中に存在するあらゆるプロテアーゼにより切断されるために設計され得る。定義された切断部位の認識ができる他の同等のプロテアーゼ(内因性または外因性)が利用され得る。切断部位は、利用されるプロテアーゼに対して調節されて、適合され得る。
【0065】
「内に」という用語は、第2のポリペプチドに連結される第1のポリペプチドを指す場合、第2のまたは第1のポリペプチドのC末端に対して、第1のまたは第2のポリペプチドのN末端にそれぞれ結合する連結、並びに、第2のポリペプチドの配列内への第1のポリペプチドの挿入を包含する。例えば、XTENが第VIII因子ポリペプチドのドメイン「内に」連結する場合、XTENはN末端、C末端に連結され得、上記ドメインに挿入され得る。
【0066】
本明細書で用いられる場合、「部位」という用語は、第VIII因子のような生物学的ポリペプチド内のまたはこれに対するXTENの挿入部位を指すために用いられる場合、XTENが連結されるアミノ酸の位置を表す。第VIII因子内のまたはこれに対するXTENの挿入のために、第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、または第6の部位のような、番号を付けた部位が記載される場合、各部位は、第VIII因子における別個の部位を表すことが理解されるであろう。例えば、第2の部位は、第1の部位とは異なる第VIII因子の位置であり、第3の部位は、第2のおよび第1の部位とは異なる等である。
【0067】
本明細書で提供されるCFXTENポリペプチドの形態に適用される「活性」または「凝固促進活性」は、in vitro、ex vivo、またはin vivo分析で測定されるかどうかに関わらず、標的凝固タンパク質基質もしくは補助因子に結合する、または、凝固現象を促進する性能を指す。このような分析は、1段階凝固アッセイ、2段階凝固アッセイ、発色アッセイ、およびELISAアッセイを含むが、これらに限定されない。「生物学的に活性な」は、レセプターもしくはリガンド結合、またはFVIII凝固因子に関して当該技術分野で一般的に知られる凝固の効能、または出血事象の停止を含む、細胞の、生理的な、もしくは臨床反応のいずれかを含むがこれらに限定されない、in
vitroまたはin vivoの生物学的機能または効能を指す。
【0068】
本明細書で用いられる場合、「ELISA」という用語は、本明細書に記載される、または、さもなければ当該技術分野で知られている酵素結合免疫吸着測定法を指す。
【0069】
「宿主細胞」は、主題のベクターに関しレシピエントとなり得るまたはレシピエントである個々の細胞または細胞培養を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含む。天然の、偶発的な、または計画的な突然変異に起因し、後代は、元の親細胞に対して(形態において、または、ゲノムの総DNA補体において)完全に同一であるわけではない場合がある。宿主細胞は、本発明のベクターによりin vivoで遺伝子導入された細胞を含む。
【0070】
「単離された」は、本明細書に記載される種々のポリペプチドを記載するために使用される場合、その自然環境の成分から識別され、分離され、および/または回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の混入成分は、ポリペプチドに関し、診断上または治療上の使用により一般的に干渉するであろう物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性のまたは非タンパク質性の溶質を含み得る。当業者にとって明白であるように、非天然のポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはその断片は、その天然の対応物とそれを区別するために「単離」を必要としない。さらに、「濃縮された」、「分離された」、または「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはその断片は、その濃度または体積あたりの分子の数がその天然の対応物よりも一般的に高いという理由で、その天然の対応物と区別できる。一般に、組換え手段により作成され、宿主細胞で発現されたポリペプチドは、「単離された」とみなされる。
【0071】
「単離された」ポリヌクレオチドまたはポリペプチドをコードする核酸または他のポリペプチドをコードする核酸は、天然源のポリペプチドをコードする核酸に通常は伴う、少なくとも1つの混入核酸分子から識別および分離された核酸分子である。単離されたポリペプチドをコードする核酸分子は、自然状態で発見される形態または設定以外のものである。よって、単離されたポリペプチドをコードする核酸分子は、天然の細胞の中に存在する、特定のポリペプチドをコードする核酸分子と区別される。しかしながら、単離されたポリペプチドをコードする核酸分子は、例えば、核酸分子が天然の細胞とは異なる染色体または染色体外の位置にある場合に、通常はポリペプチドを発現する細胞に含まれるポリペプチドをコードする核酸分子を含む。
【0072】
「キメラ」タンパク質は、自然状態で生じるものと、配列が異なる位置にある少なくとも1つの領域を含む、少なくとも1つの融合ポリペプチドを含む。その領域は、通常、別のタンパク質中に存在し得、融合ポリペプチドにて結合され、または、通常、同じタンパク質に存在得るが、融合ポリペプチドにおける新たな変更にて配置される。キメラタンパク質は、例えば、化学合成により、または、ペプチド領域が所望の関係でコードされているポリヌクレオチドを作成して翻訳することにより作成され得る。
【0073】
「接合された」、「連結された」、「融合された」、および「融合」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、化学結合または組換え手段を含むあらゆる手段により、2つまたはそれ以上の化学元素、配列、または成分がともに結合することを指す。例えば、促進剤または増強剤が、それが配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列に対して操作可能に連結される。一般に、「操作可能に連結された」は、連結されたDNA配列が連続的であって、リーディングフェイズ(reading phase)におけるまたはインフレーム(in‐frame)におけるものであることを意味する。「インフレーム融合」は、2つまたはそれ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)を結合し、元のORFの正しいリーディングフレームを維持する様態で、連続したより長いORFを形成することを指す。このように、結果として生じる組換え融合タンパク質は、元のORF(通常それらのセグメントは、自然状態ではそのように結合されていない)によりコードされるポリペプチドに対応する2つまたはそれ以上のセグメントを含む単一のタンパク質である。
【0074】
ポリペプチドの文脈において、「直線状の配列」または「配列」は、配列において互いに隣り合う残基がポリペプチドの一次構造において連続的である、アミノ末端からカルボキシル末端への方向での、ポリペプチドにおけるアミノ酸の順序である。「部分配列」は、1つまたは両方の方向において追加の残基を含むことが知られる、ポリペプチドの一部の直線的な配列である。
【0075】
「異種」は、比較される残りの実体とは遺伝子型で別個の実体に由来することを意味する。例えば、その天然のコード配列から取り出され、天然の配列以外のコード配列に操作可能に連結されたグリシンリッチ配列は、異種グリシンリッチ配列である。「異種」という用語は、ポリヌクレオチド、ポリペプチドに適用される場合、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、それが対比される残りの実体のそれとは遺伝子型で別個の実体に由来するということを意味する。
【0076】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「ヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはその類似体のいずれかの、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドはあらゆる三次元構造を有していてもよく、既知または未知のあらゆる機能を行い得る。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連結分析から定義される遺伝子座(複数形を含む)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、あらゆる配列の単離されたDNA、あらゆる配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体のような修飾されたヌクレオチドを含み得る。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立て前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、ポリメリゼーション後に、標識成分との結合によって等、さらに修飾され得る。
【0077】
「ポリヌクレオチドの補体」という用語は、完全な適合性で参照配列とハイブリダイズ可能なように、相補性の塩基配列および参照配列と比較して逆の配向を有するポリヌクレオチド分子を意味する。
【0078】
ポリヌクレオチドに適用される「組換え」は、ポリヌクレオチドが、宿主細胞において組換えタンパク質を潜在的に発現し得る構成をもたらす、in vitroクローニング、制限(restriction)、および/またはライゲーションステップ、並びに他の手順の種々の組み合わせの産生物であることを意味する。
【0079】
「遺伝子」および「遺伝子断片」という用語は、本明細書では互換的に使用される。それらは、転写および翻訳された後に、特定のタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指す。遺伝子または遺伝子断片は、ポリヌクレオチドが少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含む限り、ゲノムまたはcDNAであり得、コード領域全体またはそのセグメントに及び得る。「融合遺伝子」は、互いに連結する少なくとも2つの異種ポリヌクレオチドから構成される遺伝子である。
【0080】
「相同性」または「相同」または「配列同一性」は、2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列、または、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列間の配列相似性または互換性を指す。2つの異なるアミノ酸配列間の配列同一性、相似性、または相同性を測定するために、BestFitのようなプログラムを用いる場合、デフォルトの設定が使用され得、または、blosum45またはblosum80のような、適切なスコアリングマトリクスが同一性、相似性、または相同性スコアを最適化するために選択され得る。好ましくは、相同であるポリヌクレオチドは、本明細書で定義されるようにストリンジェントな条件下でハイブリダイズされるものであり、それらの配列と比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、およびさらにより好ましくは99%の配列同一性を有する。相同であるポリヌクレオチドは、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95~99%、および最も好ましくは100%同一の配列同一性を有することが好ましい。
【0081】
「ライゲーション」は、2つの核酸断片または遺伝子間にリン酸ジエステル結合を形成して、互いに連結するプロセスを指す。DNA断片または遺伝子をともにライゲートするためには、DNAの末端が互いに適合性がなければならない。いくつかの場合には、それらの末端は、エンドヌクレアーゼ消化後に直接的に適合性があるであろう。しかしながら、ライゲーションに適合させるために、平滑末端に対するエンドヌクレアーゼ消化後に通常産生される付着末端をまず変換することが必要である場合がある。
【0082】
「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、ポリヌクレオチドが他の配列よりも検出可能な程度に大きく(例えば、バックグラウンドを超えて少なくとも2倍)、その標的配列にハイブリダイズするであろう条件に対する参照を含む。一般的に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、部分的に、洗浄ステップが行われる塩濃度および温度に関して表される。典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3で、約1.5M Naイオン未満、典型的には約0.01~1.0M Naイオン濃度(または他の塩)、並びに、温度は、短いポリヌクレオチドについては少なくとも約30℃(例えば、10~50ヌクレオチド)および長いポリヌクレオチドについては少なくとも約60℃(例えば、50より多いヌクレオチド)であるものであり、例えば、「ストリンジェントな条件」は、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS、37℃でのハイブリダイゼーション、および、0.1×SSC/1%SDS、60℃から65℃で各15分間の3回の洗浄を含むことができる。代替的に、約65℃、60℃、55℃、または42℃の温度が使用され得る。SSC濃度は、SDSが約0.1%で存在しながら、約0.1から2×SSCまで変化させることができる。そのような洗浄温度は、典型的には、定義されたイオン強度およびpHでの特定の配列の熱溶融点よりも約5℃から20℃低くなるように選択される。Tmは、(定義されたイオン強度およびpH下で)標的配列の50%が完全に一致するプローブに対してハイブリダイズする温度である。Tmを算出するための数式および核酸ハイブリダイゼーションに関する条件はよく知られており、Sambrook, J. et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001に見出すことができる。典型的には、非特異的なハイブリダイゼーションをブロックするために、ブロッキング試薬が使用される。このようなブロッキング試薬は、例えば、剪断されて変性された約100~200μg/mlのサケ精子DNAを含む。また、約35~50%v/vの濃度のホルムアミドのような有機溶剤が、RNA:DNAハイブリダイゼーションのような特定の環境下で使用され得る。これらの洗浄条件の有用な変形は、当業者にとって容易に明らかとなるであろう。
【0083】
ポリヌクレオチド配列に適用される、「同一性パーセント」、「配列同一性のパーセンテージ」、および「同一性%」という用語は、標準化されたアルゴリズムを用いて配置された少なくとも2つのポリヌクレオチド配列間で一致する残基のパーセンテージを指す。このようなアルゴリズムは、標準化され、再現性のある方法にて、2つの配列間の整列を最適にするために、比較される配列においてギャップを挿入し得、それにより2つの配列のより有意義な比較を達成し得る。同一性パーセントは、定義されたポリヌクレオチド配列全体の長さにわたって測定され得、または、より短い長さの、例えば、より長い、定義されたポリヌクレオチド配列から取得された断片の長さ、例えば、少なくとも45、少なくとも60、少なくとも90、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも210、または少なくとも450の連続的な残基の断片にわたって測定され得る。そのような長さは単に例示であって、表、図、または配列表において本明細書に示される配列により支持されるあらゆる断片の長さが、同一性のパーセンテージが測定され得る長さを記載するために用いられ得ることが理解される。配列同一性のパーセンテージは、比較のウインドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較し、一致する位置の数を決定し(同じ残基が両方のポリペプチド配列で生じる)、ウインドウの比較における(つまり、ウインドウのサイズ)位置の合計数で一致した位置の数を除算し、配列同一性のパーセンテージを出すために、得られたものに100を掛けることにより算出される。異なる長さの配列が比較される場合には、最も短い配列が比較するウインドウの長さを定義する。保存的置換は、配列同一性を算出する場合に考慮されない。
【0084】
本明細書で特定されるポリペプチド配列に関する「配列同一性パーセント(%)」は、配列を配置して、必要であれば、ギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを達成した後、配列同一性の一部としていかなる保存的置換をも考慮せずに、第2の参照ポリペプチド配列またはその一部のアミノ酸残基と同一であるクエリー配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸の配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術分野の範囲内で種々の方法により、例えば、BLAST、BLAST‐2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような、一般的に使用可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大の整列を達成するために必要とされるあらゆるアルゴリズムを含む、配列を決定するための、適切なパラメータを決定することができる。同一性パーセントは定義されたポリペプチド配列の全体の長さにわたって測定され得、または、より短い長さの、例えば、より長い、定義されたポリペプチド配列から取得された断片の長さ、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70、または少なくとも150の連続的な残基の断片にわたって測定され得る。このような長さは単なる例示であって、表、図、または配列表において本明細書に示される配列により支持されるあらゆる断片の長さが、同一性のパーセンテージが測定され得る長さを記載するために用いられ得ることが理解される。
【0085】
ポリペプチドの文脈において本明細書で用いられる場合、「非反復性」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドの配列における内部相同性の欠如または制限された程度を指す。「本質的に非反復」という用語は、例えば、配列において、同一であるアミノ酸のタイプである4つの連続するアミノ酸の事例がほとんどない、またはないということ、または、ポリペプチドが10またはそれ以下の部分配列スコア(下記に定義される)を有するということ、または、ポリペプチド配列を構成する配列モチーフのNからC末端までの順序においてパターンがないということを意味し得る。ポリペプチドの文脈において本明細書で用いられる場合、「反復性」という用語は、ペプチドまたはポリペプチド配列における内部相同性の程度を指す。対照的に、「反復」配列は、短いアミノ酸配列の複数の同一の複製を含み得る。例えば、関心ポリペプチド配列は、n量体の配列に分割され得、同一の配列の数が計数され得る。高度に反復する配列は大きな区画の同一の配列を含むが、非反復配列は同一の配列をほとんど含まない。ポリペプチドの文脈において、配列は、定義されたもしくは種々の長さのより短い配列またはモチーフの複数の複製を含み得、そこでモチーフ自体は非反復配列を有し、全長ポリペプチドを実質的に非反復にする。内部で非反復性が測定されるポリペプチドの長さは、3アミノ酸から約200アミノ酸、約6から約50アミノ酸、または約9から約14アミノ酸の間で変動し得る。ポリヌクレオチド配列の文脈において使用される「反復性」は、例えば、所与の長さにおける同一のヌクレオチド配列の頻度のような、配列における内部相同性の程度を指す。反復性は、例えば、同一の配列の頻度を分析することにより測定され得る。
【0086】
「ベクター」は、核酸分子であり、好ましくは、宿主細胞内でおよび/または宿主細胞間で、挿入された核酸分子を転写する、適切な宿主において自己複製するものである。この用語は、細胞内へのDNAまたはRNAの挿入に関して主として機能するベクター、DNAまたはRNAの複製に関して主として機能するベクターの複製、およびDNAまたはRNAの転写および/または翻訳に関して機能する発現ベクターを含む。上記のうちの1つより多い機能を提供するベクターもまた含まれる。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞内に導入される際に、ポリペプチド(複数を含む)に転写および翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」は、通常、所望の発現産物を得るために機能し得る発現ベクターを含む適切な宿主細胞を含む。
【0087】
ポリペプチドに適用される「血清分解耐性」は、血清または血漿におけるプロテアーゼを典型的に含む、血液またはその成分における分解に抵抗するポリペプチドの性能を指す。血清分解耐性は、典型的には約37℃で、典型的にはある日数の範囲(例えば0.25、0.5、1、2、4、8、16日)の間、タンパク質とヒト(または適切なマウス、ラット、サル)血清または血漿を組み合わせることにより測定され得る。これらの時点に関するサンプルは、ウエスタンブロットアッセイで処理され得、タンパク質は抗体により検出される。抗体は、タンパク質におけるタグに対するものであり得る。タンパク質がウェスタン上の単一のバンドを示す(タンパク質のサイズが注入されたタンパク質のそれと同一である)場合、分解は発生していない。この例となる方法においては、ウエスタンブロットまたは同等の技術により判断される、タンパク質の50%が分解される時点が、タンパク質の血清分解半減期または「血清半減期」である。
【0088】
本明細書で用いられる場合、「t1/2」という用語は、ln(2)/Kelとして算出された終末相半減期を意味する。Kelは、ログ濃度対時間曲線の末端の直線部の線形回帰により算出される末端の消失速度定数である。半減期は、典型的には、生体に蓄積された投与物質の半分量が、通常の生物学的プロセスにより代謝されまたは排泄されるのに必要とされる時間を指す。「t1/2」、「終末相半減期」、「排泄半減期」、および「循環半減期」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0089】
「能動的クリアランス」は、細胞、レセプター、代謝、またはタンパク質の分解により媒介される循環からの除去を含む、タンパク質が濾過または凝固以外により循環から除去されるメカニズムを意味する。
【0090】
「見かけの分子量係数」および「見かけの分子量」は、特定のアミノ酸配列により示される見かけの分子量における相対的な増加または減少の尺度に言及する、関連する用語である。見かけの分子量は、球状タンパク質標準と比較することによりサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)または同様の方法を用いて決定され、「見かけkD」単位で計測される。見かけの分子量係数は、見かけの分子量と実際の分子量との間の比率であり、後者は、アミノ酸組成に基づいて、組成物における各タイプのアミノ酸の算出された分子量を加算することにより、またはSDS電気泳動ゲルにおける分子量標準との比較からの推定によ予測される。
【0091】
「流体力学半径」または「ストークス半径」という用語は、溶液を通して移動する物体であること、および溶液の粘度により抵抗されるということを仮定することにより測定された溶液における分子の効力半径(nm単位のRh)である。本発明の実施形態では、XTEN融合タンパク質の流体力学半径の測定値は、より直観的な測定値である「見かけの分子量係数」と相関する。タンパク質の「流体力学半径」は、水溶液における拡散の速度、並びに、高分子のゲル中で移動する能力に影響を及ぼす。タンパク質の流体力学半径は、分子量により、並びに、形状およびコンパクト性を含む、その構造により決定される。流体力学半径を決定する方法は、米国特許第6,406,632号および第7,294,513号に記載される、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)の使用による等、当該技術分野でよく知られている。ほとんどのタンパク質は、最も小さい流体力学半径で、タンパク質が有し得る最もコンパクトな三次元構造である球状の構造を有する。いくつかのタンパク質は、ランダムでオープンな、不定形の、または「直線状の」立体構造をとり、その結果、類似の分子量の典型的な球状タンパク質と比較して非常に大きな流体力学半径を有する。
【0092】
「生理的条件」は、生きている宿主における1組の条件、並びに、生きている対象のこれらの条件を模倣する温度、塩濃度、pHを含む、in vitroの条件を指す。in
vitroの分析における使用のための生理学的に適切な条件の宿主が確立されている。一般に、生理的緩衝溶液は、塩の生理的濃度を含み、約6.5から約7.8、好ましくは約7.0から約7.5の範囲の中性のpHに調節される。種々の生理的緩衝溶液がSambrook et al. (2001)に列挙されている。生理学的に適切な温度の範囲は、約25℃から約38℃および好ましくは約35℃から約37℃の範囲である。
【0093】
「反応基」は、第2の反応基に結合され得る化学構造である。反応基の例は、アミノ基、カルボキシル基、スルフィドリル基、水酸基、アルデヒド基、アジド基である。いくつかの反応基は、第2の反応基との結合を促進するために活性化され得る。活性化のための非限定的な例は、カルボジイミドとのカルボキシル基の反応、カルボキシル基の、活性化したエステルへの変換、またはカルボキシル基のアジド官能基への変換である。
【0094】
「制御放出剤」、「徐放剤」、「デポ製剤」、および「持続性放出剤」は、ポリペプチドが薬剤なしで投与される場合の放出の持続に対して相対的に、本発明のポリペプチドの放出の持続を拡張できる薬剤を指すために互換的に使用される。本発明の異なる実施形態は、異なる放出速度を有し得、異なる治療量をもたらす。
【0095】
「抗原」、「標的抗原」、および「免疫原」という用語は、抗体断片または抗体断片に基づく治療が特定の薬剤と結合するまたはこれを有する、結合決定基または構造を指すために本明細書で互換的に使用される。
【0096】
本明細書で用いられる場合、「ペイロード」という用語は、生物学的または治療上の活性を有するタンパク質またはペプチド配列;小分子のファルマコフォアへの対応物を指す。ペイロードの例は、凝固因子、サイトカイン、酵素、ホルモン、並びに、血液および成長因子を含むがこれらに限定されない。
【0097】
本明細書で用いられる場合、「拮抗物質」という用語は、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物学的に活性なを部分的または全部をブロックし、阻害し、または中和するあらゆる分子を含む。ポリペプチドの拮抗物質を特定する方法は、候補拮抗物質分子と天然のポリペプチドを接触させることと、天然のポリペプチドと通常関連する1つまたはそれ以上の生物学的活性における検出可能な変化を測定することを含み得る。本発明の文脈において、拮抗物質は、タンパク質、核酸、炭水化物、抗体、または生物学的に活性なタンパク質の効果を減少させるあらゆる他の分子を含み得る。
【0098】
「アゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、本明細書に開示される天然のポリペプチドの生物学的に活性なを模倣するあらゆる分子を含む。適切なアゴニスト分子は、具体的には、アゴニスト抗体または抗体断片、天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列変異体、ペプチド、小有機分子等を含む。天然ポリペプチドのアゴニストを特定する方法は、候補アゴニスト分子と天然のポリペプチドを接触させることと、天然のポリペプチドと通常関連する1つまたはそれ以上の生物学的活性における検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0099】
本明細書で用いられる場合、「治療する」、または「治療」、または「軽減」、または「寛解」は互換的に使用され、治療上の利益を達成し、現在の状態の重症度を治癒または軽減するために、または状態の出現の重症度または発症の可能性を防止または低減して予防的利益を達成するために、薬剤または生物を投与することを意味する。治療上の利益は、治療されている基礎疾患、または、対象が基礎疾患にまだかかっているものの、対象において改善が観察されるように、基礎疾患に関連する1つまたはそれ以上の生理的兆候を根絶することまたは寛解することを意味する。
【0100】
本明細書で用いられる場合、「治療上の効果」または「治療上の利益」は、ヒトまたは他の動物における病気の緩和、寛解、もしくは防止を含むがこれらに限定されない生理学的効果、または、その他の点では、生物学的に活性なタンパク質により所有される抗原エピトープに対する抗体の産生を誘導する能力以外の本発明の融合タンパク質の投与からもたらされる、ヒトまたは動物の身体と精神の健康の増強を指す。予防的利益に関し、組成物は、特定の病気、病気の状態または兆候(例えば、血友病Aと診断された対象における出血)を発生させるリスクのある対象に、または、その病気の診断はなされていないとしても、1つまたはそれ以上のその病気の生理的徴候を報告する対象に投与され得る。
【0101】
本明細書で用いられる場合、「治療上効果のある量」および「治療上効果のある投与量」という用語は、対象に1回または繰り返し投与される際に、病気の任意の症状、様態、病状または状態の測定されたパラメータまたは特性に、検出可能で有益な効果を有することができる、融合タンパク質組成物の一部としてまたは単体でのいずれかでの、薬剤または生物学的に活性なタンパク質の量を指す。このような効果は、絶対的に有益であることを要しない。治療上効果のある量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0102】
本明細書で用いられる場合、「治療上効果のある投与量計画」という用語は、融合タンパク質組成物の一部としてまたは単体でのいずれかでの、生物学的に活性なタンパク質の連続的な複数回投与(つまり、少なくとも2回またはそれ以上)での投与のためのスケジュールを指し、そこで投与は、任意の症状、様態、病状または状態の測定されたパラメーターもしくは特性に対して持続された有益な効果をもたらすために、治療上効果のある量で与えられる。
【0103】
I).一般技術
本発明の実施は、別途の表示がない限り、当該技術分野の範囲内である、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクスおよび組換えDNAの従来の技術を採用する。Sambrook, J. et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press,
2001; “Current protocols in molecular biology”, F. M. Ausubel, et al. eds.,1987; the series “Methods in Enzymology,” Academic Press, San Diego, CA.; “PCR 2: a practical approach”, M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds., Oxford University Press, 1995; “Antibodies, a laboratory manual” Harlow, E. and Lane, D. eds., Cold Spring Harbor Laboratory,1988; “Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,” 11th Edition, McGraw-Hill, 2005; および Freshney, R.I., “Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique,” 4th edition, John Wiley &
Sons, Somerset, NJ, 2000,参照のこと。それらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0104】
II).凝固第VIII因子
本発明は、CFXTEN融合タンパク質組成物をもたらす、1つまたはそれ以上の伸長された組換えタンパク質(XTEN)に連結された、第VIII因子凝固因子(CF)を含む組成物に部分的に関連する。本明細書で用いられる場合、「CF」は、以下に記載される、第VIII因子(FVIII)または模倣体、配列変異体および切断されたバージョンのFVIIIを指す。
【0105】
「第VIII因子」または「FVIII」または「FVIIIタンパク質」は、それぞれが模式的に
図1に示される、2351アミノ酸単鎖前駆体タンパク質(19のアミノ酸疎水性シグナルペプチドを有する)、ドメイン構造A1-A2-B-A3-C1-C2を有する約270~330kDaの成熟2332アミノ酸第VIII因子補助因子タンパク質、並びに、A1-A2-B(90~220kDの範囲で)のアミノ酸1~1648(成熟FVIII形態に対して付番される)およびアミノ酸1649~2232の80kDaの軽鎖A3-C1-C2で構成される、R1648の重鎖形態後のタンパク質切断の結果として形成する2つの鎖の循環ヘテロダイマーである非酵素的「活性」または補助因子形態のFVIII(FVIIIa)を含むがこれらに限定されない、血液凝固因子タンパク質および種(ヒト、ブタ、イヌ、ラット、およびマウスFVIIIタンパク質を含む)およびその配列変異体を意味する。さらに、本明細書で用いられる場合、A1、A2、およびA3ドメインのそれぞれは、酸性スペーサー領域;a1、a2、およびa3酸性領域をそれぞれ包含する。このように、A1、A2、A3、B、C1、およびC2ドメインを有するように記載されたCFXTEN構成は、a1、a2、およびa3酸性領域を含むことが理解されるであろう。本明細書で用いられる場合、「第VIII因子」または「FVIII」または「FVIII ポリペプチド」は、凝固促進活性のような所望の生物活性を変異体が保持する限り、置換、追加、および/または欠失を有するタンパク質をを含む変異体形態をも含む。無数の機能的なFVIII変異体が構成されており、本明細書に記載されるように組換えFVIIIタンパク質として使用され得る。全体が参照により本明細書に全てが組み込まれる、国際公開第2011/069164号、国際公開第2012/006623号、国際公開第2012/006635号、または国際公開第2012/006633号を参照のこと。非常に多くの機能的なFVIII変異体が知られている。さらに、FVIIIにおける数百の非機能的な突然変異が血友病患者において特定されている。参照により全体が本明細書に組み込まれる、Cutler et al., Hum. Mutat. 19:274-8 (2002)を参照のこと。加えて、ヒト由来のFVIIIと他の種間の比較により、機能に必要である可能性の高い保存残基がされている。参照により全体が本明細書に組み込まれる、Cameron et al., Thromb. Haemost. 79:317-22 (1998)および米国特許第6,251,632号を参照のこと。
【0106】
一実施形態では、ヒト第VIII因子ドメインは、以下のアミノ酸残基により定義される:A1,残基Ala1-Arg372;A2,残基Ser373-Arg740;B,残基Ser741-Arg1648;A3,残基Ser1649-Asn2019;C1,残基Lys2020-Asn2172;C2,残基Ser2173-Tyr2332。A3-C1-C2配列は、残基Ser1649-Tyr2332を含む。他の実施形態では、残基Arg336-Arg372は、通常a1領域と称され、Arg372はトロンビンにより切断される。ある特定の実施形態では、a2領域はA1ドメインの一部である。他の実施形態では、残基Glu1649-Arg1689は、a3酸性領域と称される。ある特定の実施形態では、a3酸性領域は、A3ドメインの一部である。他の実施形態では、天然のFVIIIタンパク質は、以下の式を有する:A1-a1-A2-a2-B-a3-A3-C1-C2であって、A1、A2、およびA3は構造的に関連する「Aドメイン」、Bは「Bドメイン」、C1およびC2は構造的に関連する「Cドメイン」、およびa1、a2、およびa3は酸性スペーサー領域である。前述の式においておよび
図30における一次アミノ酸配列位置を参照すると、ヒトFVIIIのA1ドメインはAla1から約Arg336に伸長し、a1スペーサー領域は約Met337から約Arg372に伸長し、A2ドメインは約Ser373から約Tyr719に伸長し、a2スペーサー領域は約Glu720から約Arg740に伸長し、Bドメインは約Ser741から約Arg1648に伸長し、a3スペーサー領域は約Glu1649から約Arg1689に伸長し、A3ドメインは約Ser1690から約Asn2019に伸長し、C1ドメインは約Lys2020から約Asn2172に伸長し、およびC2ドメインは約Ser2173からTyr2332に伸長する(Saenko et al., 2005, J Thromb Hemostasis, 1, 922-930)。特定のタンパク質切断部位以外に、FVIIIのドメインと領域間の境界の位置の表示は、異なる文献の参照において異なり得る。本明細書に記載される境界は、よって、「約」という用語の使用によりおおよそのものとして表示される。
【0107】
このような第VIII因子は、(米国特許第6,818,439号および米国特許第7,632,921号に開示または参照されているBDD配列のように)Bドメイン配列の一部または大部分が欠失されている、B-ドメイン欠失「BDD」配列のような切断された配列を含む。BDD FVIIIの例は、
図30のアミノ酸1638から2332に対応する第2のポリペプチドに融合される、
図30のアミノ酸1から743に対応する第1のポリペプチドを含む、REFACTO(登録商標)またはXYNTHA(登録商標)(組換えBDD FVIII)である。本発明の組換えタンパク質を産生するために使用され得る例となるBDD FVIII構成は、成熟ヒトFVIIIのアミノ酸747~1638に対応するアミノ酸の欠失を有するFVIII(
図30)(全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hoeben R.C., et al. J. Biol. Chem. 265 (13): 7318-7323 (1990))、および成熟ヒトFVIIIのアミノ酸771~1666またはアミノ酸868~1562に対応するアミノ酸の欠失を有するFVIII(
図30)(全体が参照により本明細書に組み込まれる、Meulien P., et al. Protein Eng. 2(4): 301-6 (1988))を含むがこれらに限定されない。
【0108】
さらに、配列は、(位置75でのバリンのアスパラギン酸への置換のような)異種アミノ酸の挿入または置換、または重鎖および軽鎖がリンカーにより共有結合される単鎖FVIII(scFVIII)を含む。本明細書で用いられる場合、「FVIII」は、例えば、血友病Aを有する対象のような対象に投与する場合に、ヒト第VIII因子欠失を修正することができる血液凝固第VIII因子の典型的な特徴を有する第VIII因子分子のあらゆる機能的な形態とする。FVIIIまたは配列変異体が、米国特許第4,757,006号;米国特許第4,965,199号;米国特許第5,004,804号;米国特許第5,198,349号,米国特許第5,250,421号;米国特許第5,919,766号;米国特許第6,228,620号;米国特許第6,818,439号;米国特許第7,138,505号;米国特許第7,632,921号;および米国特許出願公開第20100081615号に記載されているように、単離され、特徴づけられ、およびクローニングされている。
【0109】
ヒト第VIII因子は、X染色体(q28)の長腕の先端に存在する単一コピー遺伝子によりコードされる。それは、186,000近くの塩基対(bp)を含み、X染色体の約0.1%を構成する(White, G.C. and Shoemaker, C.B., Blood (1989) 73:1-12)。ヒトFVIIIアミノ酸配列は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,965,199号に示されるようにcDNAから推定される。cDNA配列由来の天然の成熟ヒトFVIII(つまり、分泌性のシグナルペプチドを有しないが、他の翻訳後プロセシングの前に)が
図3に示される。
【0110】
成熟第VIII因子のmRNAをコードするDNAは、69から3,106bpのサイズ範囲の26の別個のエクソンにおいてみられる。25の介在イントロン領域は、207から32,400bpのサイズにおける範囲でエクソンを分ける。完全な遺伝子は、約9kbのエクソンと177kbのイントロンからなる。3つの繰り返しAドメインは、約30%の配列相同性を有する。Bドメインは約25の予測されたグリコシル化部位を19含み、A3ドメインは、フォンヴィルブランド因子に関する結合部位を含むと考えられている。タンデムCドメインはA3ドメインに続き、互いに約37%の相同性を有する(White, G.C. and Shoemaker, C.B., Blood (1989) 73:1-12)。
【0111】
Bドメインは、新たに合成された前駆単鎖分子において天然の第FVIII因子のA2およびA3ドメインを分ける。Bドメインの正確な境界は、前駆配列のアミノ酸712から1648までの伸長(Wood et al., Nature (1984) 312:330-337)、またはアミノ酸741~1648(Pipe, SW, Haemophilia (2009) 15:1187-1196 および米国特許第7,560,107号)、またはアミノ酸740~1689(Toole, JJ. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1986) 83:5939-5942)のように種々に報告されている。本明細書で用いられる場合、「Bドメイン」は、成熟第VIII因子のアミノ酸741~1648を意味する。本明細書で用いられる場合、「FVIII Bドメイン欠失」または「FVIII BDD」は、あらゆる、断片のまたは全てのアミノ酸741~1648欠失を有するFVIII配列を意味する。一実施形態では、FVIII BDD変異体は、N末端(本明細書で用いられる場合、「B1」)およびC末端(本明細書で用いられる場合、「B2」)からのBドメインの残留アミノ酸を保持する。1つのFVIII BDD変異体においては、Bドメイン残留アミノ酸は、SFSQNPPVLKRHQR(配列番号1614)である。1つのFVIII BDD変異体においては、B1残留部はSFSであり、B2残留部はQNPPVLKRHQR(配列番号1615)である。他のFVIII BDD変異体においては、B1残留部はSFSQN(配列番号1616)であり、B2残留部はPPVLKRHQR(配列番号1617)である。「Bドメイン欠失第VIII因子」、「FVIII BDD」、または「BDD FVIII」は、それぞれが全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,316,226号、米国特許第6,346,513号、米国特許第7,041,635号、米国特許第5,789,203号、米国特許第6,060,447号、米国特許第5,595,886号、米国特許第6,228,620号、米国特許第5,972,885号、米国特許第6,048,720号、米国特許第5,543,502号、米国特許第5,610,278号、米国特許第5,171,844号、米国特許第5,112,950号、米国特許第4,868,112号、および米国特許第6,458,563号に開示される全部または部分的な欠失を有し得る。いくつかの実施形態において、本発明のBドメイン欠失第VIII因子配列は、米国特許第6,316,226号の第4欄4行目から第5欄28行目および実施例1~5(また、米国特許第6,346,513号)に記載されるあらゆる1つの欠失を含む。他の実施形態では、Bドメイン欠失第VIII因子は、S743/Q1638Bドメイン欠失第VIII因子(SQバージョンの第VIII因子)(例えば、アミノ酸744からアミノ酸1637までの欠失を有する第VIII因子、例えば、アミノ酸1~743およびアミノ酸1638~2332の全長第VIII因子を有する第VIII因子)である。いくつかの実施形態において、本発明のBドメイン欠失第VIII因子は、米国特許第5,789,203号の第2欄26~51行目および実施例5~8(また、米国特許第6,060,447号、米国特許第5,595,886号、および米国特許第6,228,620号)に記載される欠失を有する。いくつかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、米国特許第5,972,885号の第1欄25行目から第2欄40行目;米国特許第6,048,720号の第6欄1~22行目および実施例1;米国特許第5,543,502号の第2欄17~46行目;米国特許第5,171,844号の第4欄22行目から第5欄36行目;米国特許第5,112,950号の第2欄55~68行目、
図2、および例1;米国特許第4,868,112号の第2欄2行目から第19欄21行目および表2;米国特許第7,041,635号の第2欄1行目から第3欄19行目、第3欄40行目から第4欄67行目、第7欄43行目から第8欄26行目、および第11欄5行目から第13欄39行目;または米国特許第6,458,563号の第4欄25~53行目に記載される欠失を有する。いくつかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、ほとんどのBドメインの欠失を有するが、全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第91/09122号に記載されているように、2つのポリペプチド鎖への一次翻訳産物のin vivoタンパク質分解プロセシングに必須であるBドメインのアミノ末端配列をまだ含んでいる。いくつかの実施形態において、Bドメイン欠失第VIII因子は、アミノ酸747~1638の欠失、つまり、実質的にBドメインの完全な欠失により構成されている。全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hoeben R.C., et al. J. Biol.
Chem. 265 (13): 7318-7323 (1990)。また、Bドメイン欠失第VIII因子は、第VIII因子のアミノ酸771~1666またはアミノ酸868~1562の欠失を含み得る。全体が参照により本明細書に組み込まれる、Meulien P., et al. Protein Eng. 2(4): 301-6
(1988)。本発明の一部である追加のBドメイン欠失は、それぞれが全体が参照により本明細書に組み込まれる、982~1562または760~1639のアミノ酸の欠失(Toole et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1986) 83, 5939-5942))、797~1562(Eaton, et al. Biochemistry (1986) 25:8343-8347))、741~1646(Kaufman (国際出願第87/04187号))、747~1560(Sarver, et al., DNA (1987) 6:553-564))、741~1648(Pasek(国際出願第88/00831号))、または816~1598または741~1648(Lagner (Behring
Inst. Mitt. (1988) No 82:16-25, 欧州特許第295597号))を含む。前述の欠失のそれぞれは、本発明の実施形態に利用されるあらゆる第VIII因子配列において作成され得る。
【0112】
凝固に関与するタンパク質は、第I因子、第II因子、第III因子、第IV因子、第V因子、第VI因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、タンパク質C、および組織因子(集団的にまたは個々に「凝固タンパク質(複数形を含む)」である)を含む。内因性および外因性の凝固経路における主要な凝固タンパク質の相互作用が
図2に示される。大部分の凝固タンパク質は、チモーゲンの形態で存在するが、活性化した場合には、凝固促進プロテアーゼ活性を示し、その活性では、他の凝固タンパク質を活性化させ、内因性または外因性の凝固経路および血餅形成に寄与する。凝固カスケードの内因性経路において、FVIIIは、活性化した第IX因子、第X因子、カルシウム、およびリン脂質の複合体と会合する。第VIII因子ヘテロダイマーは酵素活性を有していないが、当該ヘテロダイマーは、トロンビンまたは第Xa因子によるタンパク質分解活性後に酵素第IXa因子の補助因子として活性であり、第VIII因子aの活性は、第IXa因子による第X因子の活性に適する立体構造で第IXa因子およびXに関する膜結合部位を形成するその能力により特徴づけられる。トロンビンにより切断されると、活性化されたFVIII(FVIIIa)は、フォンヴィルブランド因子から解離され、負に帯電したリン脂質PLに結合し、結果として生じる複合体は、第X因子活性化(テナーゼ)複合体における第IXa因子に対する補助因子として関与する。C2ドメイン、およびA3ドメインにおけるアミノ酸残基1649~1689内に、フォンヴィルブランド因子により複合体に作用するフォンヴィルブランド因子(vWF)結合部位があり、得られる循環複合体は、血液における急速な分解からFVIIIを保護する(Weiss HJ, et al. Stabilization
of factor VIII in plasma by the von Willebrand factor. Studies on posttransfusion and dissociated factor VIII and in patients with von Willebrand’s disease. J Clin Invest (1977) 60:390)。
【0113】
活性化した第VIII因子は、A1ドメインおよびA2ドメインおよびドメインA3-C1-C2を含む軽鎖から構成されるヘテロトリマーである。第IX因子の活性化は、分子からの活性ペプチド(Ala146-Arg180)の2ステップの除去により達成される(Bajaj et al., Human Factor IX and Factor IXa, in METHODS IN ENZYMOLOGY. 1993)。第1の切断は、第XIa因子または第VIIa因子/組織因子のいずれかによりArg145-Ala146部位でなされる。第2のおよび律速である切断は、Arg180-Val181でなされる。活性化は35の残基を除去する。活性化されたヒト第IX因子は、Glaドメインに酵素を付着している1つのジスルフィド架橋により結合されている、C末端の重鎖(28kDa)およびN末端の軽鎖(18kDa)のヘテロダイマーとして存在する。第IXa因子は、次いで、活性化された第VIII因子と協働して第X因子を活性化する。代替的に、第IX因子およびXは、共に、外因性経路を介して生成された、脂質付加された組織因子と複合化された第VIIa因子により活性化され得る。第Xa因子は、その後、最後の共通の経路に関与し、これにより、プロトロンビンがトロンビンに変換され、トロンビンは、次いで、血餅を形成するように、フィブリノーゲンをフィブリンに変換する。
【0114】
凝固過程の欠陥は、血餅形成にかかる時間が延長される、出血性疾患(凝固障害)をもたらし得る。そのような欠陥は先天的または後天的であり得る。例えば、血友病AおよびBは、それぞれFVIIIおよびFIXにおける欠損により特徴づけられる遺伝病である。言葉を変えて述べると、生物学的に活性な第VIII因子は、血友病Aにかかっている個体由来の血漿における凝固欠陥を是正する。組換えFVIIIが有効であることが示され、成人および小児患者における血友病Aの治療に認可されており、また外傷および/または手術に関連する出血を防止するためまたは出血事象をとめるために使用される。第VIII因子の現在の治療上の使用は、第VIII因子における欠損を示す個体並びにフォンヴィルブランド病を有する個体の治療において問題がある。また、補充療法において第VIII因子を受けている個体は、結合されたFVIIIの凝固促進活性をしばしば低減または除去するこれらのタンパク質に対する抗体を頻繁に発生する。治療の効果を低減または無効にするこれらの抗体の存在のため、継続治療は非常に難しい。
【0115】
一態様では、本発明は、CFXTEN融合タンパク質組成物において、ヒトFVIIIと同一のFVIII配列、FVIII配列と相同性を有する配列、ヒト、非ヒト霊長類、哺乳類(家畜を含む)由来のような天然の配列、または切断されたバージョンのFVIIIを含むことを企図し、これらの全てが天然のFVIIIの凝固促進活性の少なくとも一部を保持し、血友病A、または外傷、手術、または凝固第VIII因子の欠損に関連する出血事象の予防、治療、調節、もしくは寛解に有用である。FVIIIに対する相同性を有する配列は、NCBI BLASTのような標準的な相同性サーチ技術またはケミカルアブストラクツサービス(Chemical Abstracts Service)のデータベース(例えば、CAS Registry)、GenBankのようなパブリックデータベース、ユニバーサルタンパク質リソース(UniProt)、およびGenSeq(例えば、Derwent)のような定期サービス契約によるデータベースにより見出され得る。
【0116】
一実施形態では、主題のCFXTEN組成物に組み込まれるFVIIIは、自然で見出されるFVIIIタンパク質に対応する配列を有する組換えポリペプチドである。他の実施形態では、FVIIIは、非天然FVIII配列変異体、断片、相同体、または天然のFVIIIに対応する凝固促進活性の少なくとも一部を保持する天然配列の模倣体である。他の実施形態では、FVIIIは、Bドメイン欠失(「FVIII BDD」)の全部または一部を有する切断された変異体であって、ヘテロダイマー形態であり得、または、単鎖(「scFVIII」)として残存し得、後者は、Meulien et al.,
Protein Eng. (1988) 2(4):301-306に記載される。FVIII BDDの非限定的な例は、アミノ酸が、(天然の成熟FVIIIに対して付番された)残基番号741と残基番号1640の間、または残基番号745と残基番号1640の間、または残基番号745と残基番号1640の間、または残基番号741と残基番号1690の間、または残基番号745と残基番号1667の間、または残基番号745と残基番号1657の間、または残基番号747と残基番号1642の間、または残基番号751と残基番号1667の間で欠失される、第VIII因子配列である。
【0117】
他の実施形態では、異種配列がFVIIIに組み込まれ、それは、より詳細に以下で説明されるように、XTENを含み得る。表1は、本発明のCFXTEN融合タンパク質により包含される、FVIIIのアミノ酸配列の非限定的なリストを提供する。いくつかの実施形態において、CFXTEN融合タンパク質に組み込まれるFVIIIは、表1から選択される同等の長さのアミノ酸配列と比較して、少なくとも約70%の配列同一性、または、代替的に80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するタンパク質を含む。
【0118】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【0119】
また、本発明は、凝固促進活性を保持する表1のFVIII配列でなされる種々のアミノ酸欠失、挿入、および置換を有するFVIIIを含むCFXTENを企図する。ポリペプチド配列におけるアミノ酸に関する保存的置換の例が表2に示される。FVIIIの配列同一性が本明細書に開示される特定の配列と比較して100%未満である、CFXTENの実施形態では、本発明は、アミノ酸残基の調節を含むFVIIIの配列内のあらゆる位置であり得る、所与のFVIIIの所与のアミノ酸残基に関するあらゆる他の19の天然Lアミノ酸の置換が企図される。任意の1つの置換が凝固促進活性における望ましくない変化をもたらす場合、代替のアミノ酸の1つが採用され得、構成タンパク質が本明細書に記載される方法(例えば、表49の分析)により、または、例えば、全体が参照によりその内容が組み込まれる、米国特許第5,364,934号に述べられる保存的および非保存的な変異に関する任意の技術およびガイドラインを用いて、または当該技術分野で知られる一般的な方法を用いて評価される。好ましい置換において、CFXTEN実施形態のFVIII成分は、ヘテロダイマー形態へのタンパク質分解プロセシングを防止するために、(FVIIIの天然の成熟形態に対応して付番された)R1648残基をグリシンまたはアラニンで置換することにより修飾される。他の置換において、CFXTEN実施形態のFVIII成分は、(FVIIIの天然の成熟形態に対応して付番された)Y1680残基をフェニルアラニンで置換することにより修飾される。他の実施形態では、FVIII成分のCFXTENの実施形態は、(FVIIIの天然の成熟形態に対応して付番された)Y1680残基をフェニルアラニンで、および(FVIIIの天然の成熟形態に対応して付番された)R1648残基をグリシンまたはアラニンで置換することにより修飾される。
【0120】
一実施形態では、融合タンパク質組成物のFVIIIは、Lys(377)、Lys(466)、Lys(380)、Ser(488)、Arg(489)、Arg(490)、Leu(491)、Lys(493)、Lys(496)、His(497)、Lys(499)、Lys(512)、Lys(523)、Lys(556)、Met(2199)、Phe(2200)、Leu(2252)、Val(2223)、およびLys(2227)での置換を含むがこれらに限定されない、表9の抗体により認識されるエピトープでのFVIII阻害物質の結合を低減するために設計された1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有する。また、変異体は、例えば、ポリペプチドを含み得、そこでは1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、変異体が天然のペプチドの凝固促進活性の全てではないにしても、いくつかを保持する限り、全長の天然アミノ酸配列、またはFVIIIのドメインのNまたはC末端の付近で追加または欠失される。天然の循環FVIIIと比較して、凝固促進活性の少なくとも一部(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または少なくとも95%、またはそれ以上)を保持する、結果として生じるFVIII配列は、本発明の融合タンパク質融合タンパク質質組成物に関して有用であるとみなされる。FVIII変異体の例は当該技術分野で知られており、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,316,226号、米国特許第6,818,439号、米国特許第7,632,921号、米国特許出願公開第20080227691号に記載されるものを含む。一実施形態では、FVIII配列変異体は、(FVIIIの天然の成熟形態に対応して付番された)アミノ酸位置75にて、バリンを置き換えるアスパラギン酸を有する。
【0121】
【0122】
III).伸長された組換えポリペプチド
一態様では、本発明は、FVIIIポリペプチドに連結するためおよび/またはFVIIIポリペプチド内に組み込まれて、CFXTEN融合タンパク質を得るための融合タンパク質のパートナー(複数形を含む)として有用であるXTENポリペプチド組成物を提供する。XTENは、一般的には、生理的条件下で低度の二次または三次構造を有するまたはこれらを有しない、非天然の、実質的に非繰り返し配列を有するポリペプチドである。XTENは、典型的には、大部分または全体が小さな親水性アミノ酸である、約36から約3000のアミノ酸を有する。本明細書で用いられる場合、「XTEN」は、全抗体または抗体断片(例えば、単鎖抗体およびFc断片)を特定的に排除する。XTENポリペプチドは、FVIIIタンパク質に連結してCFXTEN融合タンパク質を作成する場合、所定の所望の薬物動態学的、物理化学的、薬理学的、および薬学的性質を付与する種々の役割を果たす、融合タンパク質パートナーとしての有用性を有する。このようなCFXTEN融合タンパク質組成物は、以下により十分に記載するように、FVIII欠損または出血性疾患に関連する所定の状態の治療において有用にする、XTENに連結しない対応するFVIIIと比較して増強された性質を有する。
【0123】
本発明の融合タンパク質組成物を作成するために用いられる、FVIIIタンパク質に融合されるXTENに関する選択基準は、一般的に、XTENの物理的/化学的性質および立体的な構造の属性に関し、それらは、次いで、FVIII融合タンパク質組成物に対して増強された薬学的、薬理学的、および薬物動態学的性質を付与するために用いられる。XTENの不定形の特性および物理的/化学的性質は、不釣合に4~6親水性アミノ酸に制限された、アミノ酸組成物全体、定量化できる非繰り返し設計のアミノ酸の連結、およびXTENポリペプチドの長さから、部分的にもたらされる。XTENに共通するがポリペプチドに共通しない有利な特徴において、本明細書に開示されるXTENの性質は、長さの変化する範囲内で、その多くが実施例に記載されている、類似の性質を有する、表4の配列の多様性により証明されているように、絶対的な一次アミノ酸配列に縛られない。本発明のXTENは、以下の性質の1つもしくはそれ以上、または全てを示し得る:不定形の立体構造、立体構造的可撓性、増強された水溶解度、高度のプロテアーゼ耐性、低免疫原性、哺乳類のレセプターに対する低結合性、定義された帯電の程度、および水力学的(またはストークス)半径の増加;融合タンパク質パートナーとして特にそれらを有用にし得る性質。XTENに連結していないFVIIIと比較して、XTENに融合されたFVIIIを含む融合タンパク質に、XTENが付与する増強された性質の非限定的な例は、全体的な溶解性および/または代謝安定性の増加、タンパク質分解に対する感受性の低減、免疫原性の低減、皮下にまたは筋肉内に投与した場合の吸収率の低減、FVIIIクリアランスレセプターへの結合の低減、抗ペイロード抗体に対する反応性の低減、基質との相互作用の増強、および/または対象に投与した場合の薬物動態学的性質の増強を含む。XTENに連結しないFVIIIと比較した、CFXTEN組成物の増強された薬物動態学的性質は、より長い終末相半減期(例えば、2倍、3倍、4倍、またはそれ以上)、曲線下面積(AUC)の増加(例えば、25%、50%、100%、またはそれ以上)、分布量の低下、および皮下または筋肉内注射後の吸収の増強(静脈内に投与されなければならない市販の形態のFVIIIと比較した利点)を含む。また、切断配列(以下により十分に記載されている)を含むCFXTEN組成物は、生物学的に活性なFVIIIの持続性放出を許容して、投与されたCFXTENが徐放性製剤として作用するようにすると考えられる。具体的には、本発明のCFXTEN融合タンパク質は、本明細書に記載される向上した性質の1つもしくはそれ以上またはあらゆる組み合わせを示し得ることが企図される。これらの向上した性質の結果として、CFXTEN組成物は、同等の投与量で投与された場合に、XTENに連結されないFVIIIと比較して、より少ない頻度の投与を許容すると考えられる。このようなCFXTEN融合タンパク質組成物は、本明細書に記載されるように、所定の第VIII因子に関連する状態を治療するための有用性を有する。
【0124】
XTENを含むCFXTEN組成物のような、タンパク質の物理的/化学的性質を測定するための、種々の方法および分析が当該技術分野で知られている。このような性質は、二次または三次構造、溶解性、タンパク質凝集、安定性、絶対および見かけの分子量、純度および均一性、溶融性、混入および含水率を含むがこれらに限定されない。これらの性質を測定する方法は、分析用遠心法、EPR、HPLC-イオン交換、HPLC-サイズ排除、HPLC-逆相、光散乱、キャピラリー電気泳動、円二色性、示差走査熱量測定、蛍光、HPLC-イオン交換、HPLC-サイズ排除、IR、NMR、ラマン分光法、屈折率測定、およびUV/可視分光法を含む。追加の方法は、Arnau, et al., Prot Expr and Purif (2006) 48, 1-13に開示される。
【0125】
CFXTENのXTEN成分(複数を含む)は、伸長されたポリマーの長さに関わらず、生理的条件下で変性したペプチド配列と同様に機能するように設計される。「変性した」は、ペプチド主鎖の大きな構造的自由度により特徴づけられる、溶液におけるペプチドの状態を記載する。ほとんどのペプチドおよびタンパク質は、高い濃度の変性剤の存在下で、または、上昇した温度において、変性した立体構造を取り入れる。変性した立体構造におけるペプチドは、例えば、特徴的な円二色性(CD)スペクトルを有し、NMRにより測定される長期的相互作用の欠如により特徴づけられる。「変性した立体構造」および「不定形の立体構造」は、本明細書では同義的に用いられる。いくつかの実施形態において、本発明は、生理的条件下で、大部分が二次構造を欠く、XTEN配列を提供する。他の場合には、XTEN配列は、XTENがランダムコイル立体構造を取り得るような生理的条件下で、実質的に、二次構造を欠く。本文脈で用いられる「大部分が欠く」とは、XTEN配列のXTENアミノ酸残基の少なくとも50%が、本明細書に記載される手段により測定されまたは決定される二次構造に関与しない、ということを意味する。本文脈で用いられる「実質的に欠く」とは、XTEN配列の少なくとも約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または少なくとも約99%のXTENアミノ酸残基が、本明細書に記載される方法により測定されまたは決定される二次構造に関与しない、ということを意味する。
【0126】
種々の方法が、所与のポリペプチドにおける二次および三次構造の存在または不存在を識別するために、当該技術分野で確立されている。特に、二次構造は、例えば、「遠紫外線」スペクトル領域(190~250nm)における円二色性分光法により、分光光度的に測定され得る。二次構造の要素、例えば、アルファヘリックスおよびベータシートは、それぞれ、CDスペクトルの特徴的な形状と大きさをもたらし、これらの構造要素の欠失も同様である。また、二次構造は米国特許出願公開第20030228309号に記載されているように、よく知られるチョウ・ファスマン(Chou-Fasman)アルゴリズム(Chou, P. Y., et al. (1974) Biochemistry, 13: 222-45)およびGarnier-Osguthorpe-Robson(「GOR」)アルゴリズム(Garnier J, Gibrat JF, Robson B. (1996), GOR method for predicting protein secondary structure from amno
acid sequence. Methods Enzymol 266:540-553)のようなある種のコンピュータプログラムまたはアルゴリズムを介して、ポリペプチド配列を予測し得る。所与の配列に関し、アルゴリズムは、例えば、アルファヘリックスまたはベータシートを形成する配列の残基の合計および/もしくはパーセンテージとして、または、(二次構造を欠く)ランダムコイル形成をもたらすために予測される配列の残基のパーセンテージとして表示される、二次構造のいくつかが存在するか、または、全く存在しないかどうかを予測し得る。
【0127】
一実施形態では、主題融合タンパク質組成物において用いられるXTEN配列は、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより決定される、0%から約5%未満の範囲のアルファヘリックスのパーセンテージを有する。他の実施形態では、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより決定して、0%から約5%未満の範囲のベータシートのパーセンテージを有する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより決定して、0%から約5%未満の範囲のアルファヘリックスのパーセンテージおよび0%から約5%未満の範囲のベータシートのパーセンテージを有する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、約2%未満のアルファヘリックスのパーセンテージおよび約2%未満のベータシートのパーセンテージを有する。融合タンパク質組成物のXTEN配列は、GORアルゴリズムにより決定して、高い程度のランダムコイルのパーセンテージを有する。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、GORアルゴリズムにより決定して、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、および最も好ましくは少なくとも約99%のランダムコイルを有する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより決定して、0%から約5%未満の範囲のアルファヘリックスのパーセンテージおよび0%から約5%未満の範囲のベータシートのパーセンテージ、並びに、GORアルゴリズムにより決定して、少なくとも約90%のランダムコイルを有する。他の実施形態では、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、約2%未満のアルファヘリックスのパーセンテージおよび約2%未満のベータシートのパーセンテージ、GORアルゴリズムにより決定して、少なくとも約90%のランダムコイルを有する。
【0128】
1. 非繰り返し配列
CFXTENの実施形態のXTEN配列は、実質的に非繰り返しであることが企図される。一般的に、繰り返しアミノ酸配列は、コラーゲンおよびロイシンジッパーのような、天然の繰り返し配列により例示される、凝集する、または高次構造を形成する傾向を有する。これらの繰り返しアミノ酸は、また、結晶性または擬似結晶性構造をもたらす接触を形成する傾向がある。対照的に、非繰り返し配列の低い凝集傾向は、そうではなく、配列が繰り返しであった場合に、凝集しやすい、比較的低頻度で帯電したアミノ酸を有する、長い配列のXTENの設計を可能にする。対象XTENの非反復性は、以下の特徴の1つまたはそれ以上を評価することにより観察され得る。一実施形態では、「実質的に非繰り返し」XTEN配列は、約36、もしくは少なくとも72、もしくは少なくとも96、もしくは少なくとも144、もしくは少なくとも288、もしくは少なくとも400、もしくは少なくとも500、もしくは少なくとも600、もしくは少なくとも700、もしくは少なくとも800、もしくは少なくとも864、もしくは少なくとも900、もしくは少なくとも1000、もしくは少なくとも2000から約3000もしくはそれ以上のアミノ酸残基を有し、または、約36~約3000、約100~約500、約500~約1000、約1000~約3000アミノ酸および残基の範囲の長さを有し、そこではアミノ酸がセリンでない限り、配列における3つの連続したアミノ酸が同一のアミノ酸のタイプであるものはなく、アミノ酸がセリンである場合、3つを超える連続したアミノ酸がセリン残基であることはない。他の実施形態では、以下により十分に記載するように、「実質的に非繰り返し」XTEN配列は、9~14アミノ酸残基のモチーフを含み、そのモチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、およびプロリン(P)から選択される4から6種のアミノ酸からなり、いかなる1つのモチーフにおけるいかなる2つの連続したアミノ酸残基の配列も、配列モチーフにおいて2回よりも多く繰り返されることはない。
【0129】
ポリペプチドまたは遺伝子の繰り返しの程度は、コンピュータプログラムもしくはアルゴリズムにより、または、当該技術分野で知られる他の手段により、測定され得る。本発明によれば、XTENのような特定のポリペプチドの繰り返しの程度の算出に用いられるアルゴリズムが本明細書に開示され、アルゴリズムにより分析される配列の例が提供される(以下の実施例参照)。一態様では、所定の長さのポリペプチドの繰り返しは、数式1により与えられる式に従って算出され得る(以後、「部分配列スコア」と称する):
部分配列スコア
【数1】
ここで、
m=(ポリペプチドのアミノ酸長)-(部分配列のアミノ酸長)+1;Count
iは、配列内の各固有の部分配列出現率の積算回数である。
【0130】
「SegScore」と称されるアルゴリズムは、前述の数式に適用して、XTENのようなポリペプチドの繰り返し度を定量して、部分配列スコアを提供するように開発され、所定のアミノ酸長「n」の配列が、長さ「s」の固有の部分配列が設定された長さに現れる回数(「カウント」)を決定し、配列の所定の長さの中の部分配列の絶対数で除することにより繰り返し度に関して分析される。
図27は、SegScoreアルゴリズムの理論フローチャート示し、一方、
図28は、どのように部分配列スコアが11アミノ酸を有する仮想のXTENおよび3アミノ酸残基の部分配列長に関して得られるかの概要を表す。例えば、所定の200アミノ酸残基のポリペプチドの長さは、192の重複する9アミノ酸部分配列および198の三量体部分配列を有するが、あらゆる所与のポリペプチドの部分配列スコアは、特有の部分配列の絶対数、およびどのような頻度で固有の部分配列(異なるアミノ酸配列を意味している)のそれぞれが配列の所定の長さに現れるのかによるものであろう。
【0131】
本発明の文脈において、「部分配列スコア」は、200アミノ酸配列内の固有の三量体部分配列の絶対数で除した、累積的なXTENポリペプチドの200の連続するアミノ酸にわたる固有の三量体フレームのそれぞれの出現の合計を意味する。繰り返しおよび非繰り返しポリペプチドの200の連続するアミノ酸から得られる、このような部分配列スコアの実施例が、実施例45に示される。一実施形態では、本発明は、1つのXTENを含むCFXTENを提供し、XTENは、12未満、より好ましくは10未満、より好ましくは9未満、より好ましくは8未満、より好ましくは7未満、より好ましくは6未満、および最も好ましくは5未満の部分配列スコアを有する。他の実施形態では、本発明は、少なくとも約2から6のXTENを含むCFXTENを提供し、XTENの200アミノ酸は、10未満、より好ましくは9未満、より好ましくは8未満、より好ましくは7未満、より好ましくは6未満、および最も好ましくは5未満の部分配列スコアを有する。本明細書に記載されるCFXTEN融合タンパク質組成物の実施形態では、10またはそれ未満(つまり、9、8、7等)部分配列スコアを有する融合タンパク質のXTEN成分は、また、実質的に非繰り返しである。
【0132】
完全な一次配列ではなく、本発明のXTENの非繰り返し特性は、XTENにおいて優勢であるアミノ酸の特定の種類とともに、CFXTEN融合タンパク質の増強された物理化学的および生物学的性質の多くを付与すると考えられる。これらの増強された性質は、繰り返し配列を有するポリペプチドを含む融合タンパク質と比較して、宿主細胞における融合タンパク質のより高い程度の発現、XTENをコードする遺伝子のより大きな遺伝子的安定性、より大きな程度の溶解性、より少ない凝集傾向、および結果として生じるCFXTENの増強された薬物動態を含む。これらの増強された性質は、より効率的な製造、低コストの商品、および、場合によっては100mg/mlを超える、非常極めて高いタンパク質濃度を含むXTENを含む薬学的調製物の製剤の促進を可能とする。さらに、これらの実施形態のXTENポリペプチド配列は、哺乳類に投与される場合に、免疫原性を低減または実質的に排除するために、低い程度の内部の繰り返しを有するように設計される。グリシン、セリン、およびグルタメートのような、3つのアミノ酸のみに大きく制限される、短い、繰り返しのモチーフで構成されるポリペプチド配列は、これらの配列における予測されるT細胞エピトープの欠損に関わらず、哺乳類に投与される場合に、比較的高い抗体力価をもたらし得る。このことは、タンパク質凝集物、架橋された免疫原、および繰り返しの炭水化物を含む、繰り返されるエピトープを有する免疫原が高い免疫原性であり、例えば、B細胞の活性化を引き起こすB細胞レセプターの架橋をもたらし得ることが示されているように、ポリペプチドの繰り返しの性質により引き起こされ得る。(Johansson, J., et al. (2007) Vaccine, 25:1676-82; Yankai, Z., et al. (2006) Biochem Biophys Res Commun, 345:1365-71; Hsu, C. T., et al. (2000) Cancer Res, 60:3701-5); Bachmann MF, et al. Eur J Immunol. (1995) 25(12):3445-3451)。
【0133】
2. 例示的な配列モチーフ
本発明は、より短い配列またはモチーフの複数単位を含む融合パートナーとして用いられるXTENを包含し、そのモチーフのアミノ酸配列は非繰り返しである。非繰り返しの特性は、XTEN配列を作成するために多量体化される配列モチーフのライブラリを用いる「基礎的要素」アプローチの使用にも関わらず達成される。よって、XTEN配列が4つの異なるタイプの配列モチーフという少ない複合ユニットからなり得るが、モチーフ自体が一般的に非繰り返しアミノ酸配列からなるため、配列が実質的に非繰り返しとなるようにXTEN配列全体が設計される。
【0134】
一実施形態では、XTENが実質的に、約36~約3000、または約100~約2000、または約144~約1000のアミノ酸残基よりも多い、または、少なくとも約80%、もしくは少なくとも約85%、もしくは少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは約100%のXTEN配列が非重複配列モチーフからなるさらにより長い、およびモチーフのそれぞれが約9~36のアミノ酸残基を有する、非繰り返し配列を有する。他の実施形態では、少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または約100%のXTEN配列が、モチーフのそれぞれが9~14のアミノ酸残基を有する、非重複配列のモチーフからなる。さらに他の実施形態では、少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約97%、または約100%のXTEN配列が、モチーフのそれぞれが12のアミノ酸残基を有する、非重複配列のモチーフからなる。これらの実施形態において、配列のモチーフは、配列の全体が不定形な、可撓的特性を有するように、実質的に(例えば、90%またはそれ以上)またはもっぱら小さな親水性アミノ酸で構成されることが好ましい。XTENが含まれるアミノ酸の例は、例えば、アルギニン,リジン、スレオニン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、アスパルテート、グルタミン酸、セリン、およびグリシンである。コドンの最適化、配列モチーフをコードする組み立てポリヌクレオチド、タンパク質の発現、発現したタンパク質の電荷分布および溶解性、並びに二次および三次構造のような、試験された変量の結果として、本明細書に開示される増強された特性を有するXTEN組成物は、配列が実質的に非繰り返しとなるように設計されている、主にまたはもっぱらグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)残基を含むことが発見された。一実施形態では、XTEN配列は、約36~約3000、または約100~約2000、または約144~約1000のアミノ酸残基よりも長さが大きい、実質的に非繰り返し配列で配列される、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、またはプロリン(P)から選択される4から6のタイプのアミノ酸を主に有する。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、またはプロリン(P)からなる群から選択される4、5、または6タイプのアミノ酸で作られる。いくつかの実施形態において、XTENは、約36~約1000、または約100~約2000、または約400~約3000のアミノ酸残基よりも多い配列を有し、少なくとも約80%の配列は非重複配列モチーフからなり、モチーフのそれぞれは9~36のアミノ酸残基を有し、少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または100%の各モチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4~6タイプのアミノ酸からなり、全長XTENにおけるあらゆる1つのアミノ酸タイプの含有量は30%を超えない。他の実施形態では、少なくとも約90%のXTEN配列は、非重複配列モチーフからなり、モチーフのそれぞれは9~36のアミノ酸残基を有し、モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4~6タイプのアミノ酸からなり、全長XTENにおけるあらゆる1つのアミノ酸タイプの含有量は40%、または約30%、または25%、または約17%を超えない。他の実施形態では、少なくとも約90%のXTEN配列は、非重複配列モチーフからなり、モチーフのそれぞれは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4~6タイプのアミノ酸からなる12のアミノ酸残基を有し、全長XTENにおけるあらゆる1つのアミノ酸タイプの含有量は、40%、または30%、または約25%を超えない。さらに他の実施形態では少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%から約100%のXTEN配列が非重複配列モチーフからなり、モチーフのそれぞれはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)からなる12のアミノ酸残基を有する。
【0135】
さらに他の実施形態では、XTENは、約36~約3000アミノ酸残基よりも多い実質的に非繰り返し配列を含み、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列が9~14アミノ酸残基の非重複配列モチーフからなり、モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4~6種のアミノ酸からなり、いかなる1つのモチーフにおけるあらゆる2つの連続的なアミノ酸残基の配列も、配列モチーフにおいて2回より多く繰り返されることはない。他の実施形態では、少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%のXTEN配列は、12のアミノ酸残基の非重複配列モチーフからなり、モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4~6タイプのアミノ酸からなり、いかなる1つの配列モチーフにおけるあらゆる2つの連続的なアミノ酸残基の配列も、配列モチーフにおいて2回より多く繰り返されることはない。他の実施形態では、少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%のXTEN配列は、12のアミノ酸残基の非重複配列モチーフからなり、モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)からなり、いかなる1つの配列モチーフにおけるあらゆる2つの連続的なアミノ酸残基の配列も、配列モチーフにおいて2回より多く繰り返されることはない。さらに他の実施形態では、XTENは12のアミノ酸配列モチーフからなり、アミノ酸はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択され、いかなる1つの配列モチーフにおけるあらゆる2つの連続的なアミノ酸残基の配列も、配列モチーフにおいて2回より多く繰り返されることはなく、全長XTENにおけるいかなる1つのアミノ酸タイプの含有量も30%を超えることはない。前述の実施形態は、実質的に非繰り返しのXTEN配列の例である。追加の実施例が以下に記載される。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明は、約36~約1000のアミノ酸残基の1、または2、または3、または4、5、6、またはそれ以上の非繰り返しXTEN配列(複数を含む)または累積的に約100~約3000のアミノ酸残基を含むCFXTEN組成物を提供し、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%から約100%の配列が、表3のアミノ酸配列から選択される4またはそれ以上の非重複配列モチーフの複合ユニットからなり、配列全体が実質的に非繰り返しを保持する。いくつかの実施形態において、XTENは、非重複配列モチーフを含み、約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%、または約100%の配列が、表3から選択されるシングルモチーフファミリーから選択される非重複配列の複合ユニットからなり、ファミリー配列をもたらす。本明細書で用いられる場合、「ファミリー」は、XTENが表3からのシングルモチーフカテゴリーからのみ、つまりAD、AE、AF、AG、AM、AQ、BC、またはBD XTENから選択されるモチーフを有すること、および、XTENにおける、ファミリーモチーフに由来しないあらゆる他のアミノ酸が、コードヌクレオチドによる制限部位の組み入れ、切断配列の組み入れを許容するような、必要な特性を達成するため、または、CFXTENのFVIII凝固因子成分に対するよりよい連結を達成するために選択されるということを意味する。XTENファミリーのいくつかの実施形態において、XTEN配列は、上記相同性の範囲を示す、結果として生じるXTENを有する、ADモチーフファミリーの、またはAEモチーフファミリーの、またはAFモチーフファミリーの、またはAGモチーフファミリーの、またはAMモチーフファミリーの、またはAQモチーフファミリーの、またはBCファミリーの、またはBDファミリーの非重複配列モチーフの複合ユニットを含む。他の実施形態では、XTENは、表3の2つまたはそれ以上のモチーフファミリーからのモチーフ配列の複合ユニットを含む。これらの配列は、以下により十分に記載される、モチーフのアミノ酸組成物により付与される、実効電荷、親水性、二次構造の欠如、または繰り返しの欠如のような性質を含む、所望の物理的/化学的特性を達成するために選択され得る。この段落で上述の実施形態において、XTENに組み込まれるモチーフは、約36~約3000のアミノ酸残基のXTENを達成するために、本明細書に記載される方法を用いて選択されて組み立てられ得る。
【0137】
【表3-1】
【表3-2】
・種々の順列とともに使用される場合に、「ファミリー配列」をもたらす個々のモチーフ配列を表示する
【0138】
いくつかの実施形態において、XTENファミリーのXTEN配列は、上記相同性の範囲を示す、結果として生じるXTENを有する、ADモチーフファミリー、AEモチーフファミリー、またはAFモチーフファミリー、またはAGモチーフファミリー、またはAMモチーフファミリー、またはAQモチーフファミリー、またはBCファミリー、またはBDファミリーの非重複配列モチーフの複合ユニットを含む。他の実施形態では、XTENは、以下により十分に記載される、モチーフのアミノ酸組成物により付与される、実効電荷、二次構造の欠如、または繰り返しの欠如のような性質を含む、所望の物理的特性を達成するために選択される、表3の2つまたはそれ以上のモチーフファミリーからのモチーフ配列の複合ユニットを含む。この段落で上述の実施形態において、XTENに組み込まれるモチーフまたはモチーフの一部は、約36、約42、約72、約144、約288、約576、約864、約1000、約2000~約3000のアミノ酸残基またはあらゆる中間の長さのXTENを達成するために、本明細書に記載される方法を用いて選択されて組み立てられ得る。対象CFXTENへの組み込みに有用なXTENファミリー配列の非限定的な例が、表4に示される。表4に関連して述べれらる特定の配列は表4に示される配列を有することが意図されるが、AE144配列に対する全般的な参照は、例えば、144アミノ酸残基、例えば、AE144_1A、AE144_2A等を有するあらゆるAE配列を包含することが意図され、または、AG144配列に対する全般的な参照は、例えば、144アミノ酸残基、例えば、AG144_1、AG144_2、AG144_A、AG144_B、AG144_C等を有するあらゆるAG配列を包含することが意図される。
【0139】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【表4-12】
【表4-13】
【表4-14】
【表4-15】
【表4-16】
【表4-17】
【表4-18】
【表4-19】
【表4-20】
【表4-21】
【表4-22】
【表4-23】
【表4-24】
【表4-25】
【表4-26】
【表4-27】
【表4-28】
【表4-29】
【表4-30】
【表4-31】
【表4-32】
【表4-33】
【表4-34】
【表4-35】
【表4-36】
【表4-37】
【表4-38】
【表4-39】
【表4-40】
【表4-41】
【表4-42】
【表4-43】
【0140】
他の実施形態では、CFXTEN組成物は、約36~約3000のアミノ酸残基の範囲の長さの1つまたはそれ以上の非繰り返しXTEN配列を含み、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%から約100%の配列が、ファミリー配列として、表13~17の1つまはたそれ以上のポリペプチド配列から選択される非重複の36アミノ酸配列モチーフからなり、または、モチーフの2つまたはそれ以上のファミリーからモチーフが選択される。
【0141】
これらの実施形態において、CFXTEN融合タンパク質のXTEN成分は、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される4、5、または6タイプのアミノ酸からなるそのアミノ酸の100%未満、または、表3からの配列モチーフもしくは表4のXTEN配列からなる配列の100%未満を有し、および13~17の、XTENの他のアミノ酸残基は、任意の他の14の天然Lアミノ酸から選択されるが、XTEN配列が少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%の親水性アミノ酸を含むように、親水性アミノ酸から優先的に選択される。グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)ではないXTENアミノ酸は、XTEN配列を通じて分散され、配列モチーフ内にもしくは配列モチーフ間に配置され、または、例えば、XTENとFVIII成分との間にリンカーを作成するために、1つまたはそれ以上の短く伸展するXTEN配列に集中させられる。CFXTENのXTEN成分がグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)以外のアミノ酸を含む、そのような場合に、本明細書で開示される方法により測定されるように、得られる配列が一般的に二次構造を欠失し、例えば、2%アルファへリックスまたは2%ベータシートより多くを有しないように、約2%未満または約1%未満のアミノ酸が疎水性残基であることが好ましい。XTENの構成における、あまり支持されない疎水性残基は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、およびメチオニンを含む。さらに、以下のアミノ酸:システイン(ジスルフィド構造および酸化を避けるため)、メチオニン(酸化を避けるため)、アスパラギンおよびグルタミン(脱アミド化(desamidation)を避けるため)を5%未満、または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満含むように、または全く含まないようにXTEN配列を設計し得る。このように、いくつかの実施形態において、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)に加えて、他のアミノ酸を含むCFXTEN融合タンパク質のXTEN成分は、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより測定して、アルファへリックスおよびベータシートに寄与する残基の5%未満を有する配列を有し、GORアルゴリズムにより測定される、少なくとも90%、または少なくとも約95%、またはそれ以上のランダムコイル形成を有する。
【0142】
3. 配列の長さ
他の態様においては、本発明は、CFXTEN組成物に組み込まれる種々異なる長さのXTENを提供し、XTEN配列(複数を含む)の長さは、融合タンパク質で達成される特性または機能に基づいて選択される。意図される特性または機能に応じて、本明細書に記載されるように、CFXTEN組成物は、FVIII配列に対する内部にもしくはFVIIIドメイン間に配置される短いまたは中間の長さのXTEN、および/または融合タンパク質に配置される、担体として供されるより長いXTEN配列を含む。限定することを意図しないが、XTENまたはXTENの断片は、約6~約99のアミノ酸残基の短いセグメント、約100~約399アミノ酸残基の中間の長さのセグメント、並びに約400~約1000および約3000までのアミノ酸残基のより長い長さのセグメントを含む。よって、対象のCFXTEN内への組み込みに関するXTENは、長さが、約6、または約12、または約36、または約40、または約42、または約72、または約96、または約144、または約288、または約400、または約500、または約576、または約600、または約700、または約800、または約864、または約900、または約1000、または約1500、または約2000、または約2500、または約3000までのアミノ酸残基の長さを有するXTENまたはXTENの断片を包含する。代替的に、XTEN配列は、長さが、約6~約50、約50~約100、約100~150、約150~250、約250~400、約400~約500、約500~約900、約900~1500、約1500~2000、または約2000~約3000アミノ酸残基であり得る。対象のCFXTEN内に組み込まれるXTENの正確な長さは、CFXTEN組成物の活性に有害な影響を及ぼすことなく変化し得る。一実施形態では、本明細書に開示されるCFXTENで使用される1つまたはそれ以上のXTENは、長さが36アミノ酸、42アミノ酸、144アミノ酸、288アミノ酸、576アミノ酸、および864アミノ酸を有し、XTENファミリー配列、つまり、AD、AE、AF、AG、AM、AQ、BC、またはBDの1つから選択され得る。他の実施形態では、本明細書に開示されるCFXTENにおいて使用される2つまたはそれ以上のXTENは、長さが36アミノ酸、42アミノ酸、144アミノ酸、288アミノ酸、576アミノ酸、または864アミノ酸を有し、好ましいとされるAEおよびAGファミリー配列の組み合わせを有する、XTENファミリー配列、つまり、AD、AE、AF、AG、AM、AQ、BC、またはBDの2つから選択され得る。いくつかの実施形態において、本明細書で使用される、1つまたはそれ以上のXTENを含むCFXTENは、表4におけるあらゆる1つの配列から選択されるXTENを含み、本明細書に開示されるFVIII成分に直接的にまたはスペーサー配列を介して連結され得る。
【0143】
特定のCFXTEN構成の設計において、XTENは、可撓的リンカーとして供され、もしくは領域のかさ(bulk)、可撓性、もしくは親水性を増加させるためにFVIII配列の外部ループもしくは無秩序の領域に挿入され、もしくは薬物動態学的性質を増強するためにFVIIIに関するクリアランスレセプターに干渉するためもしくはFVIII阻害物質もしくは他の抗FVIII抗体の結合に干渉するために設計され、または短いもしくは中間の長さのXTENが、組織浸透を促進するため、もしくは、その標的によるCFXTEN融合タンパク質の相互作用の強度を変化させるために使用され、または短いもしくは中間の長さのセグメントにおける累積的な長さのXTENを、FVIII配列内の複数の位置に配置することが望ましく、本発明は、1つまたはそれ以上のFVIIIドメイン間もしくはFVIIIドメイン内もしくは外部ループ内、または、FVIII配列、例えば、
図8~9に示されるように、もしくは、表5、表6、表7、表8、および表9で特定される挿入部位もしくはこれに対する基部であるがこれらに限定されない位置における他の部位で挿入される、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の短いもしくは中間の長さのXTEN配列を有するCFXTEN組成物を企図する。前述の一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、本明細書に開示される分析の1つにより分析される場合に、例えば、少なくとも2つ、または少なくとも3つ、または少なくとも4つ、または少なくとも5つ、またはそれ以上のXTENセグメントのような、複数のXTENセグメントを含み、XTENセグメントは同一であり得もしくはそれらは異なり得、CFXTENは天然のFVIIIの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、またはそれ以上の凝固促進活性を保持する。他の特定のCFXTEN構成の設計において、XTENは、融合タンパク質のかさを増加させるために、またはその標的によるCFXTEN融合タンパク質の相互作用の強度を変化させるために、または融合タンパク質の薬物動態学的性質を増強するために担体として供され、本発明は、C末端で、1つまたはそれ以上のFVIIIドメイン間もしくはFVIIIドメイン内のBドメイン(またはBDD配列の残余)内、外部ループ内、またはFVIII配列、例えば、これらに限定されないが、
図8~9に示されるように、もしくは、表5、表6、表7、表8、および表9で特定される挿入部位における他の部位で、挿入される1つまたはそれ以上の中間もしくはより長い長さのXTEN配列を有するCFXTEN組成物を企図する。しかしながら、CFXTEN組成物内への短い長さから中間の長さの複数のXTENの組み込みは、少ないがより長い長さのXTENにおいて、同じ数のアミノ酸を有するCFXTEN融合タンパク質と比較して融合タンパク質の増強された性質を付与し、凝固促進活性と延長された半減期を有する組成物を、まだなおもたらすことが考えられ、その理論的根拠は、複数のXTEN由来の範囲に関し、本明細書に詳述される。
【0144】
CFXTEN融合タンパク質が複数のXTEN配列を有する実施形態においては、XTEN配列における総残基の累積的な長さは、約100~約3000、または約200~約2000、または約400~約1000のアミノ酸残基より大きく、配列、実効電荷、または長さにおいて、XTENは同じであり得、またはそれらは異なり得る。複数のXTENを含むCFXTENの一実施形態では、個々のXTEN配列はそれぞれ、同等の長さの配列で最適に整列される場合に、モチーフ、または、表3、4、および13~17から選択されるXTENまたはその断片と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的には81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を示す。
【0145】
以下により十分に記載されるように、CFXTENが、CFXTEN融合タンパク質の標的半減期、凝固促進活性の保持、FVIII阻害物質への結合の低下、または増強された物理化学的特性(例えば、安定性または溶解性)を付与するために、XTENの長さおよびCFXTEN内への組み込みの部位を選択することにより設計され、コードする構成が作成されて発現され、および組換えCFXTEN融合タンパク質が単離されて回収される方法が開示される。一般に、CFXTEN組成物内に組み込まれる約400残基よりも長いXTENの累積的な長さは、より短い累積的な長さ、例えば約280残基よりも短い長さと比較して、より長い半減期をもたらす。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質の設計は、少なくとも約400、または少なくとも約600、または少なくとも約800、または少なくとも約900、または少なくとも約1000、またはそれ以上のアミノ酸の長い配列長さを有する、担体のような単一のXTENを含むことが企図される。他の実施形態では、複数のXTENは、少なくとも約400、または少なくとも約600、または少なくとも約800、または少なくとも約900、または少なくとも約1000、またはそれ以上のアミノ酸の累積的な長さを達成するために、融合タンパク質内に組み込まれ、XTENは同一であり得、またはそれらは配列もしくは長さにおいて異なり得る。本明細書で用いられる場合、「累積的な長さ」は、1つより多いXTENがCFXTEN融合タンパク質に組み込まれる際のアミノ酸残基における全体の長さを包含することが意図される。前述の実施形態の両方は、より短い累積的なXTEN長さを含むCFXTENと比較して、バイオアベイラベリティの増加並びに/または対象への投与後の終末相半減期の増加を付与し、凝固促進活性および止血効果をまだなおもたらすように設計される。皮下にまたは筋肉内に投与される場合に、Cmaxは低減されるが、曲線下面積(AUC)は、より短い累積的な長さのXTENまたはXTENに連結しないFVIIIを有するCFXTENの比較可能な投与量と比較して増加し、これにより、以下により十分に記載するように、より長い期間CFXTEN組成物の効果的なレベルを維持する性能に寄与し、投与の間を2、4、7、10、14、または21日の期間に増加することを許容する。このように、XTENは、本明細書に記載される他の物理化学的性質に加えて、投与されたCFXTENに対して、徐放性製剤の特性を付与する。
【0146】
XTENが担体として使用される場合、本発明は、非繰り返しの、不定形のポリペプチドの長さを増加させることにより、XTENの不定形の性質を増強させ、それに対応して、XTEN担体を含む融合タンパク質の物理的/化学的および薬物動態学的性質を増強させる、という発見を利用する。実施例により十分に記載されているように、単一ファミリー配列モチーフの繰り返しの順序により作成される場合であっても(例えば、表3の4つのAEモチーフ)、より短いXTENの長さと比較して、XTENの長さにおける比率が増加し、GORアルゴリズムにより測定されるランダムコイル形成のより高いパーセンテージ(たとえば、90%またはそれ以上)、または、チョウ・ファスマンアルゴリズムにより測定される、アルファへリックスまたはベータシート(例えば、2%未満)の含有量の低減を有する配列がもたらされる。さらに、不定形のポリペプチド融合パートナーの長さの増加は、実施例に記載されているように、より短い配列長さの不定形のポリペプチドパートナーを有する融合タンパク質と比較して、終末相半減期(例えば、50、100、200、またはそれ以上の時間と同じだけ)における長さの増加の割合を超えた増加を有する融合タンパク質をもたらす。XTENに連結していないFVIIIと比較して、CFXTENの増強された薬物動態学的性質は、以下に、より十分に記載される。
【0147】
別の態様では、本発明は、より長い「ドナー」XTEN配列からの短いまたは中間の長さのXTENを作成する方法を提供し、より長いドナーXTEN配列はN末端またはC末端で切断され、ドナー配列の内部から断片が作成され、これにより短いまたは中間の長さのXTENをもたらす。
図16のA~Cに模式的に示される非限定的な例において、864アミノ酸残基のAG配列は、144残基を有するAG配列、288残基を有するAG配列、576残基を有するAG配列、または他の中間の長さを得るために切断され得るが、(
図16のD、Eに示されるように)864残基のAE配列は、144残基の複数のAE配列、288もしくは576残基を有するAE配列、または他のより短いもしくは中間の長さを得るために切断され得る。そのようなアプローチが、所望の長さのXTENを得るために、本明細書に記載されるあらゆるXTENの実施形態を用いて、または、表4または表13~17に挙げられるあらゆる配列を用いて利用され得ることが具体的に企図される。好ましい実施形態では、複数のXTENを含むCFXTENは、AE42_1、AE42_2、AE42_3、AG42_1、AG42_2、AG42_3、AG42_4、AE144_1A、AE144_2A、AE144_2B、AE144_3A、AE144_3B、AE144_4A、AE144_4B、AE144_5A、AE144_6B、AG144_1、AG144_2、AG144_A、AG144_B、AG144_C、AG144_F、AG144_3、AG144_4、AE288_1、AE288_2、AG288_1、AG288_2、およびAG288_DEから選択される配列に対して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を示すXTENを有する。
【0148】
4. 実効電荷
他の実施形態では、XTENポリペプチドの不定形の特性は、実効電荷を有するアミノ酸残基の組み込みおよび/またはXTEN配列における疎水性アミノ酸の全体のパーセンテージの低減(例えば、5%、または4%、または3%、または2%、または1%未満)により増強され得る。全体の実効電荷および実効電荷密度は、反対の電荷を有する残基により打ち消される、これらの残基を超える帯電状態に寄与する、ポリペプチドにおけるアミノ酸のパーセンテージとして典型的に表された実効電荷を有する、XTEN配列において正または負のいずれかに帯電されたアミノ酸の含有量を変更することにより制御される。いくつかの実施形態において、組成物のXTENの実効電荷密度は、+0.1を上回るまたは-0.1を下回る電荷/残基であることとしてもよい。本明細書のタンパク質またはペプチドの「実効電荷密度」は、実効電荷をタンパク質またはプロペプチドにおけるアミノ酸の全体の数により除したものを意味する。他の実施形態では、XTENの実効電荷は、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%、またはそれ以上であり得る。実効電荷に基づいて、いくつかのXTENは、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、または6.5ほどの等電点(pI)を有する。好ましい実施形態においては、XTENは、1.5から4.5の間の等電点を有し、生理的条件下で負の実効電荷を保有するであろう。
【0149】
ヒトまたは動物におけるほとんどの組織および表面は負の実効電荷を有しているので、いくつかの実施形態において、XTEN配列は、組成物を含むXTENと、血管、健康な組織、または種々のレセプターのような種々の表面との間の非特異的な相互作用を最小にするために、負の実効電荷を有するように設計される。特定の理論に拘束されないが、XTENは、負の実効電荷を個々に保有し、XTENポリペプチドの配列にわたって分布される、XTENポリペプチドの個々のアミノ酸間の静電反発力に起因するオープン構造を取り入れ得る。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、セリン、アラニン、スレオニン、プロリン、またはグリシンのような、他の残基により分離され、それがより均一な電荷の分布、よりよい発現または精製の作用を導く、少なくとも90%または95%の帯電された残基の少なくともを有して設計される。XTENの伸長された配列長さにおける負の実効電荷のこのような分布は、不定形の立体構造を導き得、次に、流体力学半径における有効な増加をもたらし得る。好ましい実施形態においては、対象XTENにおける負の電荷は、グルタミン酸残基の組み込みにより付与される。一般に、グルタミン酸残基はXTEN配列にわたって均一に間隔が置かれる。いくつかの場合において、非常に類似するpKaを有する帯電した残基を有するXTENをもたらし得る、20kDのXTENあたり約10~80、または約15~60、または約20~50のグルタミン酸残基をXTENは含み得、産生物の帯電の均一性およびその等電点の鋭化を増加させ得、得られるCFXTEN融合タンパク質の物理化学的性質を増強させ得て、これにより精製手順を簡素化する。例えば、負の電荷を有するXTENが所望される場合、XTENは、組み込まれたグルタミン酸に起因する、約17%の実効電荷を有する、AEファミリー配列から単独で選択され得、または、所望の程度の実効電荷を提供するために、表3のグルタミン酸含有モチーフの比率の変化を含み得る。AE XTENの非限定的な例は、表4および14の36、42、144、288、576、624、864、および912のAEファミリー配列またはその断片を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、表4または表13~17のXTEN配列が、所望の負の実効電荷を達成するために、追加のグルタミン酸残基を含むように変更され得る。従って、一実施形態では、本発明は、XTEN配列が約1%、2%、4%、8%、10%、15%、17%、20%、25%、または約30%までものグルタミン酸を含むXTENを提供する。一実施形態では、本発明は、負の実効電荷を達成するために、グルタミン酸に加えて、5%までのアスパラギン酸残基のXTENへの組み込みが企図される。
【0150】
実効電荷が所望されない他の実施形態では、XTENは、例えば、表3のAGモチーフまたは実効電荷を有しない表3のこれらのAMモチーフのような、AG XTEN成分から選択され得る。AG XTENの非限定的な例は、表4および16の36、42、144、288、576、および864のAGファミリー配列、またはその断片を含むがこれらに限定されない。他の実施形態では、XTENが、(所与の使用に関して最適であるとみなされる実効電荷を有するため、または所与の物理化学的特性を維持するために、AEおよびAGモチーフの比率の変化を含み得る。
【0151】
特定の理論に拘束されないが、より高い実効電荷を有するCFXTEN組成物のXTENは、血管、組織、または種々のレセプターのような種々の負に帯電した表面より少ない非特異的相互作用を有することが予想され、このことは低減された活性クリアランスにさらに寄与するであろう。逆にいうと、低い実効電荷を有する(または全く有しない)CFXTEN組成物のXTENは、凝固過程および凝固因子の活性化の強度に対する、細胞(例えば、血小板)および血管の表面の既知の貢献を考慮すると、関連する凝固因子の活性を増強し得る表面とより高い程度の相互作用を有すると考えられる(Zhou, R.,
et al., Biomaterials (2005) 26(16):2965-2973; London, F., et al. Biochemistry (2000) 39(32):9850-9858)。
【0152】
本発明の組成物のXTENは、一般に、正に帯電したアミノ酸を全く有しないか、または低い含有量で有する。いくつかの実施形態において、XTENは、正の帯電を有する約10%未満のアミノ酸残基、または正の帯電を有する約7%未満、もしくは約5%未満、もしくは約2%未満、もしくは約1%未満のアミノ残基を有し得る。しかしながら、本発明は、例えばリジンのような正の帯電を有する制限された数のアミノ酸が、リジンのイプシロンアミンと、XTENの主鎖と接合される、ペプチド上の反応基、リンカーブリッジ、または薬物もしくは小分子上の反応基との間の結合を許容するために、XTEN内に組み込まれる構成を企図する。前述の一実施形態では、対象CFXTENのXTENは、約1から約100の間のリジン残基、もしくは約1から約70の間のリジン残基、もしくは約1から約50の間のリジン残基、もしくは約1から約30の間のリジン残基、もしくは約1から約20の間のリジン残基、もしくは約1から約10の間のリジン残基、もしくは約1から約5の間のリジン残基、または代替的には単一のリジン残基のみを有する。前述のリジン含有XTENを用いて、XTEN、FVIII凝固因子、ならびに化学療法の薬剤または他の凝固因子もしくは凝固障害状態の治療に有用な補助因子を含む融合タンパク質が構成され得、XTEN成分内に組み込まれる薬剤の分子の最大数は、XTENに組み込まれる反応側鎖(例えば、システイン)を有するリジンまたは他のアミノ酸の数により決定される。
【0153】
疎水性アミノ酸がポリペプチドに構造を付与するので、本発明は、XTENにおける疎水性アミノ酸の含有量が、典型的に5%未満、または2%未満、または1%未満の疎水性アミノ酸含有量であることを提供する。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質のXTEN成分におけるメチオニンおよびトリプトファンのアミノ酸の含有量は、典型的には5%未満、または2%未満、および最も好ましくは1%未満である。他の実施形態では、対象CFXTEN組成物のXTENは、10%未満の正の帯電を有するアミノ酸残基、または約7%未満正の帯電を有する、もしくは約5%未満、もしくは約2%未満のアミノ酸残基を有する配列を有し、メチオニンとトリプトファン残基の合計はXTEN配列の2%未満であり、アスパラギンとグルタミン残基の合計はXTEN配列の5%未満であろう。
【0154】
5. 低免疫原性
他の態様では、本明細書で提供されるXTEN配列は、低い程度の免疫原性を有し、または実質的に非免疫原性である。いくつかの要素がXTENの低免疫原性に貢献し得、それらの要因は、例えば、非繰り返し配列、不定形の立体構造、高い程度の溶解性、低い程度の自己凝集またはその欠如、配列内における低い程度のタンパク質分解性部位またはその欠如、およびXTEN配列における低い程度のエピトープまたはその欠如である。
【0155】
立体構造のエピトープは、タンパク質抗原の多数の不連続なアミノ酸配列から構成されるタンパク質表面の領域により形成される。タンパク質の正確な折り曲げは、宿主の体液性免疫システムにより「外来性」として認識され得る、詳細に明らかにされた、安定した空間形状、またはエピトープ内にこれらの配列をもたらし、タンパク質に対する抗体の産生または細胞性の免疫応答の活性化をもたらす。後者の場合には、個々におけるタンパク質に対する免疫応答が、その個体のHLA-DRアロタイプのペプチド結合特異性に左右されるT細胞エピトープ認識により大いに影響を受ける。CD4分子のような所定の他の補助受容体の交差連結とともに、T細胞の表面上の同族のT細胞レセプターによるMHCクラスIIペプチド複合体の結合は、T細胞内の活性化状態を誘導し得る。活性化は、サイトカインの放出を導き、B細胞のような他のリンパ球をさらに活性化させて抗体を産生する、または、十分な細胞の免疫応答としてのTキラー細胞を活性化させる。
【0156】
APC(抗原を示す細胞)の表面の呈示に関する所与のMHCクラスII分子に結合するペプチドの能力は、いくつかの因子、もっとも著しくは、その一次配列に依存する。一実施形態では、低い程度の免疫原性が、抗原を示す細胞における抗原プロセシングに抵抗するXTEN配列を設計することにより、および/またはMHCレセプターに良好に連結しない配列を選択することにより達成される。本発明は、MHCIIレセプターとの結合を減少させるために設計され、並びに、T細胞レセプターまたは抗体結合に関するエピトープの形成を避け、低い程度の免疫原性をもたらす、実質的に非繰り返しXTENポリペプチドを有するCFXTEN融合タンパク質を提供する。免疫原性の回避は、XTEN配列の立体構造の可撓性の結果、つまり、アミノ酸残基の選択および順序に起因する二次構造の欠如に、少なくとも部分的に帰し得る。例えば、特に注目されるのは、水溶液においてまたは立体構造のエピトープをもたらし得る生理的条件下で、緻密に折り曲げられた立体構造を適合するのに低い傾向を有する配列である。従来の治療上の手順及び投薬を用いる、XTENを含む融合タンパク質の投与は、一般的に、XTEN配列に対する抗体を中和する形態をもたらさず、また、CFXTEN組成物におけるFVIII融合パートナーの免疫原性を低減するであろう。
【0157】
一実施形態では、主題融合タンパク質に利用されるXTEN配列は、ヒトT細胞により認識されるエピトープを実質的に有し得ない。より少ない免疫原タンパク質を生成する目的に関するこのようなエピトープの排除はこれまでに記載されている;例えば、本明細書で参照により組み込まれる、国際出願第98/52976号、国際出願第02/079232号、および国際出願第00/3317号参照のこと。ヒトT細胞エピトープに関する分析が記載されている(Stickler, M., et al. (2003) J
Immunol Methods, 281: 95-108)。特に注目されるのは、T細胞エピトープまたは非ヒト配列を生成することなく、オリゴマー形成し得るペプチド配列である。このことは、T細胞のエピトープの存在に関し、並びに、6から15量体の出現に関し、および特にヒトではない9量体の配列において、これらの配列の直接の繰り返しを試験、その後、エピトープ配列を排除または崩壊させるためにXTEN配列の設計を変更するすることにより達成される。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、MHCレセプターに結合することが予測されるXTENのエピトープの数の制限により実質的に非免疫原である。MHCレセプターへの結合を可能にするエピトープの数における減少とともに、T細胞活性並びにT細胞ヘルパー機能、低減されたB細胞の活性化または上方制御および低減された抗体産生に関する可能性における付随する低減がある。予測されるT細胞エピトープの低い程度は、実施例46に示されるような、例えば、TEPITOPEのような、エピトープ予測アルゴリズムにより決定され得る(Sturniolo, T., et al. (1999) Nat Biotechnol, 17:
555-61)。タンパク質内の所与のペプチドフレームのTEPITOPEスコアは、Sturniolo, T. et al. (1999) Nature Biotechnology 17:555)に記載されるように、最も一般的なヒトMHC対立遺伝子の多重(multiple)に対するそのペプチドフレームの結合のKd(解離定数、親和性、オフレート(off-rate))の対数である。スコアは、少なくとも20logを上回る、(10e10Kd~10e-10Kdの結合の制約に対応する)約10から約-10の範囲であり、M、I、L、V、FのようなMHCにペプチドが示される間にアンカー残基として供する疎水性アミノ酸を避けることにより低減され得る。いくつかの実施形態において、CFXTENに組み込まれるXTEN成分は、約-5、または-6、または-7、または-8、または-9のTEPITOPE閾値スコアで、または、-10のTEPITOPEスコアで予測されるT細胞エピトープを有しない。本明細書で用いられる場合、「-9」のスコアは、-5のスコアよりも、よりストリンジェントなTEPITOPEの閾値である。
【0158】
他の実施形態では、対象のCFXTEN融合タンパク質内に組み込まれるものを含む本発明のXTEN配列は、XTENの配列からの既知のタンパク質分解性部位の制限により、実質的に非免疫原性が付与され、MHCIIレセプターに結合し得る小さなペプチドへのXTENのプロセシングを低減する。他の実施形態では、XTEN配列は、二次構造を実質的に欠く配列の使用により実質的に非免疫原性が付与され、高いエントロピーの構造に起因する多くのプロテアーゼに対する抵抗性を与える。従って、低減されたTEPITOPEスコアおよびXTENからの既知のタンパク質分解性部位の除去は、CFXTEN融合タンパク質組成物のXTENを含むXTEN組成物を、FVIIIを標的とする免疫系のもの、または能動的クリアランスレセプターを含む、哺乳類のレセプターにより実質的に結合され得ないようにする。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質のXTENは、哺乳類レセプターに対する>100nM Kdの結合、または、循環ポリペプチドレセプターまたは哺乳類の細胞表面レセプターに対する500nM Kdより大きいもしくは1μM Kdより大きいものを有し得る。
【0159】
さらに、非繰り返し配列および対応するXTENのエピトープの欠如は、XTEN結合する、または、XTENにより活性化されるB細胞の能力を制限する。繰り返し配列が認識され、少ないB細胞とさえ多価の接触を形成し得、複数のT細胞の独立したレセプターの架橋の結果、B細胞の増殖と抗体産生を刺激し得る。対照的に、XTENが、その伸長する配列にわたって多くの異なるB細胞と接触し得るが、個別の各B細胞は、配列の繰り返しの欠如に起因して個々のXTENと1つまたは少ない数の接触のみを作成し得る。理論に拘束されるものではないが、XTENは、典型的には、非常に低いB細胞の増殖を刺激する傾向を有し、よって免疫応答に対する、非常に低い傾向を有する。一実施形態では、CFXTENは、XTENに融合しない、対応するFVIIIと比較して低減された免疫原性を有する。一実施形態では、哺乳類へのCFXTENの3回までの非経口用量の投与は、1:100の血清希釈において、検出可能な抗CFXTEN IgGをもたらすが、1:1000の希釈ではもたらさない。他の実施形態では、哺乳類へのCFXTENの3回までの非経口用量の投与は、1:100の血清希釈において、、検出可能な抗FVIII IgGをもたらすが、1:1000の希釈ではもたらさない。他の実施形態では、哺乳類へのCFXTENの3回までの非経口用量の投与は、1:100の血清希釈は、検出可能な抗XTEN IgGをもたらすが、1:1000の希釈においてはもたらさない。前述の実施形態では、哺乳類はマウス、ラット、ウサギ、またはカニクイザルであり得る。
【0160】
高い程度の繰り返しを有する配列にと比較した非繰り返し配列を有するXTENの追加の特徴は、抗体とより弱い接触を形成する非繰り返しXTENである。抗体は多価の分子である。例えば、IgGは、2つの等しい結合部位を有し、IgMは10の同じ結合部位を含む。よって、繰り返し配列に対する抗体は、高い結合活性で、このような繰り返し配列と、多価の接触を形成し得、それは、そのような繰り返し配列の効力および/または除去に影響を及ぼし得る。対照的に、非繰り返しXTENに対する抗体は、一価の相互作用を産み出し得、CFXTEN組成物が、増加した期間に関する循環に残存し得るように免疫クリアランスのより少ない見込みをもたらす。さらに、
図6に模式的に描かれるように、XTENの可撓的な不定形の性質が、XTEN部位の挿入の近位にFVIII領域の立体遮蔽を提供し、FVIII阻害物質による結合に対する立体障害を提供すると考えられる。
【0161】
他の態様では、融合パートナーとして有用な対象のXTENは、高い流体力学半径を有し;それは、いくつかの実施形態において、XTENを組み込むCFXTEN融合タンパク質に対応する増加した見かけの分子量を付与する特質であり、一方、他の形態では、FVIII阻害物質に対するおよび抗FVIII抗体に対する立体障害を増強し、CFXTENに結合するそれらの性能を低減する特質である。実施例26に詳述されるように、治療タンパク質配列に対するXTENの連結は、XTENに連結しない治療タンパク質と比較して、増加した水力学的半径、増加した見かけの分子量、および増加した見かけの分子量係数を有し得るCFXTEN組成物をもたらす。例えば、延長された半減期が所望される治療上の適用において、高い流体力学半径を有するXTENが、治療タンパク質を含む融合タンパク質に組み込まれる組成物は、約3~5nmの糸球体のポアサイズ(約70kDaの見かけの分子量に対応する)を超えて組成物の流体力学半径を有効に拡大し得(Caliceti. 2003. Pharmacokinetic and biodistribution properties of poly(ethylene glycol)-protein conjugates. Adv Drug Deliv Rev 55:1261-1277)、終末相半減期における対応する増加による循環タンパク質の腎クリアランスの低減および他の薬物動態学的性質の増強をもたらす。タンパク質の流体力学半径は、その分子量により、並びに、形状および緻密性を含むその構造により付与される。理論に拘束されるものではないが、XTENは、ペプチドの個々の電荷間の静電反発力、または、二次構造を付与するための潜在性を欠く配列における特定のアミノ酸により付与された固有の可撓性に起因して、開いた立体構造を取り入れ得る。XTENポリペプチドの開いた、伸長された、不定形の立体構造は、典型的な球状タンパク質のような、二次および/または三次構造を有する同等の配列長さおよび/または分子量のポリペプチドと比較して、より高い比率の流体力学半径を有し得る。流体力学半径を決定する方法は、米国特許第6,406,632号および米国特許第7,294,513号に記載される、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)の使用によるように、当該技術分野でよく知られている。実施例26は、XTEN長の増加が流体力学半径、見かけの分子量、および/または見かけの分子量係数における比率の増加をもたらし、これにより見かけの分子量または水力学的半径の所望のカットオフ値に対するCFXTENの適合を可能にすることを実証する。従って、ある特定の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質が、少なくとも約5nm、または少なくとも約8nm、または少なくとも約10nm、または約12nm、または約15nm、または約20nm、または約30nm、またはそれ以上の流体力学半径を有し得るようにXTENにより構成され得る。前述の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質におけるXTENにより付与された大きな流体力学半径は、結果として得られる融合タンパク質のクリアランスの低減、終末相半減期における増加、および平均滞留時間における増加を導き得る。
【0162】
一般に、FVIII成分の成熟形態の実際の分子量は約265kDaであるが、FVIII BDDの場合には、約165kDaである。1つまたはそれ以上のXTENに加えてFVIII BDDを含むCFXTEN融合タンパク質の実際の分子量は、XTEN成分の長さに応じて約200~約270kDaの範囲である。実施例に記載されるように、CFXTEN融合タンパク質の分子量がサイズ排除クロマトグラフィ分析から導出される場合、低い程度の二次構造に起因するXTENの開いた立体構造は、それらが組み込まれる融合タンパク質の見かけの分子量の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、FVIIIを含むCFXTENおよび少なくとも1つまたはそれ以上のXTENは、少なくとも約400kD、または少なくとも約500kD、または少なくとも約700kD、または少なくとも約1000kD、または少なくとも約1400kD、または少なくとも約1600kD、または少なくとも約1800kD、または少なくとも約2000kDの見かけの分子量を示す。従って、1つまたはそれ以上のXTENを含むCFXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質の実際の分子量よりも、約1.3倍大きい、または約2倍大きい、または約3倍大きい、または約4倍大きい、または約8倍大きい、または約10倍大きい、または約12倍大きい、または約15倍大きい、見かけの分子量を示す。一実施形態では、本明細書に開示される任意の実施形態の単離されたCFXTEN融合タンパク質は、生理的条件下で、約1.3、または約2、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または約10より大きい、または約15より大きい見かけの分子量係数を示す。他の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、生理的条件下で、融合タンパク質の実際の分子量に対して、約3~約20である、または約5~約15である、または約8~約12である、または約9~約10である見かけの分子量係数を有する。対象CFXTEN組成物の増加した見かけの分子量は、能動的クリアランスの低減、FVIII阻害物質による結合の低減、並びに毛細血管および静脈出血におけるロスの低減を含む、要因の組み合わせにより、融合タンパク質の薬物動態学的性質を増強すると考えられる。
【0163】
IV).CFXTEN組成物
本発明は、1つまたはそれ以上のXTEN配列に連結された第VIII因子を有する融合タンパク質を含む組成物を提供し、融合タンパク質は、対象内に投与された場合に、内因性または接触活性化された凝固経路に存在するFVIIIの量の増大または置換するように作用する。本発明は、それを必要とする対象に外因的に投与された第VIII因子の終末相半減期の増加における長年の要望に対処する。治療タンパク質の循環半減期を増加させるための1つの方法は、腎クリアランスまたはタンパク質の代謝が低減されることを確実にすることである。終末相半減期を増加させるための他の方法は、レセプター、タンパク質の活性代謝、または他の内因性のメカニズムにより媒介されるかどうかにかかわらず、治療タンパク質の能動的クリアランスを低減することである。一方では、タンパク質に対する増加した分子量サイズ(または流体力学半径)、ゆえに低減された腎クリアランスを付与し得、他方では、代謝またはクリアランスに寄与するクリアランスレセプターまたは他のタンパク質に対するタンパク質の結合と干渉する、ポリマーに対して、タンパク質を結合することにより、両方が達成され得る。このように、本発明のある特定の目的は、より長い循環または終末相半減期を有する向上したFVIII分子を提供すること、FVIII組成物の必要な投与の数または頻度を低減すること、天然の凝固第VIII因子と比較して活性の少なくとも一部を保持すること、および/または凝固欠損および制御できない出血をより効率的に、より有効に、より経済的に、および/または現在利用可能な第VIII因子製剤と比較してより大きな安全性を有する、治療するための性能の増強を含むが、これらに限定されない。
【0164】
従って、本発明は、1つまたはそれ以上の伸長した組換えポリペプチド(「XTEN」)に対して、共有結合的に連結するFVIIIを含み、CFXTEN融合タンパク質組成物をもたらす、組換え第VIII因子融合タンパク質組成物を提供する。本明細書で用いられる場合、「CFXTEN」という用語は、FVIIIを含む少なくとも1つのペイロード領域を含む融合ポリペプチド、または、FVIII凝固因子に関連する凝固促進活性を可能にするFVIIIの一部、並びにペイロード領域内で分散され得るおよび/または末端に付着される1つまたはそれ以上のXTENポリペプチドを含む少なくとも1つの他の領域を包含することを意味する。一実施形態では、FVIIIは天然のFVIIIである。他の実施形態では、FVIIIは、本明細書に記載されるように、天然のFVIIIの凝固促進活性の少なくとも一部を保持する天然の配列の配列変異体、断片、相同体、または模倣体である。組成物の含有物に適切なFVIIIの非限定的な例は、表1の配列または表1の配列と少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも91%、もしくは少なくとも92%、もしくは少なくとも93%、もしくは少なくとも94%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも96%、もしくは少なくとも97%、もしくは少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。好ましい実施形態においては、FVIIIは、表1のこれらのBDD配列または当該技術分野で知られる他の配列のような、Bドメイン欠失(BDD)FVIII配列変異体である。他の好ましい実施形態では、CFXTENは、タンパク質の成熟化中に切断される、天然の19のアミノ酸シグナル配列により発現される、Bドメイン欠失(BDD)FVIII配列変異体を含む。
【0165】
本発明の組成物は、内因的に産生されたFVIIIにおける第VIII因子欠損もしくは欠陥に関連する状態、または、外傷、手術、第VIII因子欠損もしくは欠陥に関連する出血性疾患を媒介または防止または寛解するために、それを必要とする対象に投与される場合に、有用である融合タンパク質を含む。特に注目されるのは、天然のFVIIIと比較して、増加した薬物動態学的パラメータ、増加した溶解性、増加した安定性、もしくはいくつかの他の増強された薬学的特性が求められる、または、終末相半減期の増加が有効性、安全性を向上させ、もしくは投薬頻度の低減をもたらし、および/または患者のマネージメントを向上させる、CFXTEN融合タンパク質組成物である。本明細書に開示される実施形態のCFXTEN融合タンパク質は、本明細書に記載される実施形態および/または向上した性質の1つまたはそれ以上のまたはあらゆる組み合わせを示す。いくつかの実施形態において、CFXTEN融合組成物は、XTENに連結しないFVIIIと比較して、それを必要とする対象に(例えば、血友病Aを有するヒトまたはマウスまたはサルのような対象)比較可能な投与量で投与される場合に、より長い期間対象に投与されるとき、少なくとも0.01~0.05、または0.05~0.1、または0.1~0.4IU/mlの閾値を上回るレベルに留まる。
【0166】
主題組成物のFVIII、特に、それらの対応する核酸およびアミノ酸配列とともに表1に開示されているものは、ケミカルアブストラクツサービスのデータベース(例えば、CAS Registry)、GenBank、ユニバーサル蛋白質リソース(UniProt)、GenSeq(例えば、Derwent)のような定期サービス契約により提供されるデータベースのような、公共データベースにおいて、並びに、特許および一次文献において入手可能である。対象のCFXTEN配列を発現するために適用可能なポリヌクレオチド配列は、所与のFVIII(例えば、全長または成熟のいずれか)をコードする野生型ポリヌクレオチド配列であり得、またはいくつかの例では、配列は、野生型ポリヌクレオチド配列(例えば、野生型の生物学的に活性なタンパク質をコードするポリヌクレオチド)であって、ポリヌクレオチドのDNA配列は、例えば、特定の種における発現に関して最適化されているもの、の変異体、または、部位特異的突然変異もしくは対立遺伝子変異体のような野生型タンパク質の変異体をコードするポリヌクレオチドであり得る。当該技術分野において知られる方法を用いておよび/または本明細書で提供されるガイダンスおよび方法と合わせて、本発明により考慮されるCFXTEN構造を作成するために、FVIIIの野生型もしくはコンセンサスなcDNA配列またはコドン最適化変異体を使用することは十分に当業者の能力の範囲内であり、実施例において十分に記載される。
【0167】
一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、表4に示される、42、144、288、576、または864のアミノ酸を有するAEまたはAGファミリーの配列を含むが、これらに限定されない、単一のXTEN(例えば、上記のようなXTEN)に連結される表1の配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を示す単一のFVIII分子を含む。他の実施形態では、CFXTENは、2つのXTENに結合する単一のFVIII連結を含み、XTENは同じであり得、またはそれらは異なり得る。他の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上のXTEN配列に連結する単一のFVIII分子を含み、FVIIIは、最適に整列される場合、表1から選択されるタンパク質配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列であり、1つまたはそれ以上のXTENはそれぞれ、最適に整列される場合、表3、4、および13~17のいずれか1つから選択される1つまたはそれ以上の配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有している。CFXTENが2つまたはそれ以上のXTENを有する、前述の実施形態では、XTENは同じであり得、またはそれらは異なる配列であり得る。さらに他の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、同じであり得または異なることとしてもよい3、4、5、6、またはそれ以上のXTEN配列で分散されおよび連結される部分を有し、最適に整列される場合、表1から選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%,98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を示す単一のFVIIIを含み、それぞれが、最適に整列される場合、表3、4、および13~17、またはその断片のいずれか1つから選択される配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する。さらに他の実施形態では、本発明は、最適に整列される場合、表21からの配列に対して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むCFXTEN融合タンパク質を提供する。
【0168】
1. CFXTEN融合タンパク質の構造
本発明は、特定のNからC末端構造で連結するCFおよびXTEN成分を有するCFXTEN融合タンパク質組成物を提供する。
【0169】
CFXTEN組成物の一実施形態では、本発明は、式Iの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)x‐CF‐(XTEN)y I
それぞれの出現につき独立して、CFは表1で配列される少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む本明細書に定義される第VIII因子であり;xは0または1のいずれかであってyは0または1のいずれかであって、x+y≧1であり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。従って、CFXTEN融合組成物は、XTEN-CF、XTEN-CF-XTEN、またはCF-XTEN構造を有し得る。
【0170】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式IIの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)x‐(S)x‐(CF)‐(XTEN)y II
それぞれの出現につき独立して、CFは表1に記載される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む本明細書に定義される第VIII因子であり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;xは0または1のいずれかであってyは0または1のいずれかであって、x+y≧1であり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。
【0171】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、融合タンパク質は式IIIのものであって、
(XTEN)x‐(S)x‐(CF)‐(S)y‐(XTEN)y III
それぞれの出現につき独立して、CFは表1に記載される配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む本明細書に定義される第VIII因子であり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;xは0または1のいずれかであってyは0または1のいずれかであって、x+y≧1であり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。
【0172】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式IVの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(A1)‐(XTEN)u‐(A2)‐(XTEN)v‐(B)‐(XTEN)w‐(A3)‐(XTEN)x‐(C1)‐(XTEN)y‐(C2)‐(XTEN)z IV
それぞれの出現につき独立して、A1はFVIIIのA1ドメインであり;A2はFVIIIのA2ドメインであり;A3はFVIIIのA3ドメインであり;BはBドメインの断片またはスプライス変異体であり得るFVIIIのBドメインであり;C1はFVIIIのC1ドメインであり;C2はFVIIIのC2ドメインであり;vは0または1のいずれかであり;wは0または1のいずれかであり;xは0または1のいずれかであり;yは0または1のいずれかであり;yはu+v+x+y+z≧1という条件で0または1のいずれかであり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。
【0173】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式Vの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(XTEN)t‐(S)a‐(A1)‐(S)b‐(XTEN)u‐(S)b‐(A2)‐(S)c‐(XTEN)v‐(S)c‐(B)‐(S)d‐(XTEN)w‐(S)d‐(A3)‐(S)e‐(XTEN)x‐(S)e‐(C1)‐(S)f‐(XTEN)y‐(S)f‐(C2)‐(S)g‐(XTEN)z V
それぞれの出現につき独立して、A1はFVIIIのA1ドメインであり;A2はFVIIIのA2ドメインであり;A3はFVIIIのA3ドメインであり;BはBドメインの断片またはスプライス変異体であり得るFVIIIのBドメインであり;C1はFVIIIのC1ドメインであり;C2はFVIIIのC2ドメインであり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは0または1のいずれかであり;bは0または1のいずれかであり;cは0または1のいずれかであり;dは0または1のいずれかであり;eは0または1のいずれかであり;fは0または1のいずれかであり;gは0または1のいずれかであり;tは0または1のいずれかであり;uは0または1のいずれかであり;vは0または1のいずれかであり;wは0または1であり;xは0または1のいずれかであり;yは0または1のいずれかであり;zはt+u+v+w+x+y+z≧1という条件で0または1のいずれかであり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。式Vの他の実施形態では、スペーサー配列は、グリシンまたは表11および12から選択される配列である。
【0174】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式VIの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(XTEN)u‐(S)a‐(A1)‐(S)b‐(XTEN)v‐(S)b‐(A2)‐(S)c‐(XTEN)w‐(S)c‐(A3)‐(S)d‐(XTEN)x‐(S)d‐(C1)‐(S)e‐(XTEN)y‐(S)e‐(C2)‐(S)f‐(XTEN)z VI
それぞれの出現につき独立して、A1はFVIIIのA1ドメインであり;A2はFVIIIのA2ドメインであり;A3はFVIIIのA3ドメインであり;C1はFVIIIのC1ドメインであり;C2はFVIIIのC2ドメインであり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは0または1のいずれかであり;bは0または1のいずれかであり;cは0または1のいずれかであり;dは0または1のいずれかであり;eは0または1のいずれかであり;fは0または1のいずれかであり;uは0または1のいずれかであり;vは0または1のいずれかであり;wは0または1であり;xは0または1のいずれかであり;yは0または1のいずれかであり;zはu+v+w+x+y+z≧1という条件で0または1のいずれかであり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。式Vの他の実施形態では、スペーサー配列は、グリシンまたは表11および12から選択される配列である。
【0175】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式VIIの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(SP)‐(XTEN)x‐(CS)x‐(S)x‐(FVIII_1‐745)‐(S)y‐(XTEN)y‐(S)y‐(FVIII_1635-2332)‐(S)z‐(CS)z‐(XTEN)z VII
それぞれの出現につき独立して、SPは好ましくは配列MQIELSTCFFLCLLRFCFS(配列番号1611)を有するシグナルペプチドであり、CSは表12に挙げられる切断配列であり、Sは制限部位と適合性のあるアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり、「FVIII_1‐745」は残基1~745の第FVIII因子であり「FVIII_1635‐2332」は残基1635~2332のFVIIIであり、xは0または1のいずれかであり、yは0または1のいずれかであり、およびzは0または1のいずれかであって、x+y+z>2であり;並びにXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。式VIIの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式Vの他の実施形態では、スペーサー配列は、グリシンまたは表11および12から選択される配列である。
【0176】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式VIIIの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(A1)‐(S)a‐(XTEN)v‐(S)a‐(A2)‐(B1)‐(S)b‐(XTEN)w‐(S)b‐(B2)‐(A3)‐(S)c‐(XTEN)x‐(S)c‐(C1)‐(S)d‐(XTEN)y‐(S)d‐(C2)‐(S)e‐(XTEN)z
VIII
それぞれの出現につき独立して、A1はFVIIIのA1ドメインであり;A2はFVIIIのA2ドメインであり;B1は、残基741から743~750のFVIIIまたは代替的に約残基741から約残基745のFVIIIから有し得るBドメインの断片であり;B2は、残基1635~1686から1689のFVIIIまたは代替的に約残基1640から約残基1689のFVIIIから有し得るBドメインの断片であり;A3はFVIIIのA3ドメインであり;C1はFVIIIのC1ドメインであり;C2はFVIIIのC2ドメインであり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは0または1のいずれかであり;bは0または1のいずれかであり;cは0または1のいずれかであり;dは0または1のいずれかであり;eは0または1のいずれかであり;fは0または1のいずれかであり;uは0または1のいずれかであり;vは0または1のいずれかであり;wは0または1であり;xは0または1のいずれかであり;yは0または1のいずれかであり;zはu+v+w+x+y+z≧1という条件で0または1のいずれかであり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。式VIIIの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式Vの他の実施形態では、スペーサー配列は、グリシンまたは表11および12から選択される配列である。
【0177】
CFXTEN組成物の他の実施形態では、本発明は、式IXの組換え第VIII因子融合タンパク質を提供し、
(A1N)‐(S)a‐(XTEN)t‐(S)b‐(A1C)‐(A2N)‐(S)c‐(XTEN)u‐(S)d‐(A2C)‐(BN)‐(S)e‐(XTEN)v‐(S)f‐(BC)‐(A3N)‐(S)g‐(XTEN)w‐(S)h‐(A3C)‐(C1N)‐(S)i‐(XTEN)x‐(S)j‐(C1C)‐(C2N)‐(S)k‐(XTEN)y‐(S)l‐(C2C)‐(S)m‐(XTEN)z IX
それぞれの出現につき独立して、A1Nは少なくとも残基番号1(天然の成熟FVIIIに対して付番された)から残基番号371を超えないA1ドメインの断片であり、A1cは少なくとも残基番号2から残基番号372を超えないA1ドメインの断片であり;A2Nは少なくとも残基番号373から残基番号739を超えないA2ドメインの断片であり、A2cは少なくとも残基番号374から残基番号740を超えないA2ドメインの断片であり;BNは少なくとも残基番号741から残基番号1647を超えないBドメインの断片であり、Bcは少なくとも残基番号742から残基番号1648を超えないBドメインの断片であり、A3Nは少なくとも残基番号1649から残基番号2019を超えないA3ドメインの断片であり、A3cは少なくとも残基番号1650から残基番号2019を超えないA3ドメインの断片であり;C1Nは少なくとも残基番号2020から残基番号2171を超えないC1ドメインの断片であり、C1cは少なくとも残基番号2021から残基番号2172を超えないC1ドメインの断片であり;C2Nは少なくとも残基番号2173から残基番号2331を超えないC2ドメインの断片であり、C2cは少なくとも残基番号2174から残基番号2332を超えないC2ドメインの断片であり;Sは制限部位と適合性のある切断配列またはアミノ酸を任意に含み得る、1から約50の間のアミノ酸残基を有するスペーサー配列であり;aは0または1のいずれかであり;bは0または1のいずれかであり;cは0または1のいずれかであり;dは0または1のいずれかであり;eは0または1のいずれかであり;fは0または1のいずれかであり;gは0または1のいずれかであり;hは0または1のいずれかであり;iは0または1のいずれかであり;jは0または1のいずれかであり;kは0または1のいずれかであり;lは0または1のいずれかであり;mは0または1のいずれかであり;tは0または1のいずれかであり;uは0または1のいずれかであり;vは0または1のいずれかであり;wは0または1であり;xは0または1のいずれかであり;yは0または1のいずれかであり;zはt+u+v+w+x+y+z≧1という条件で0または1のいずれかであり;およびXTENは、本明細書に記載される、表4に述べられる配列と、少なくとも約90%の同一性を有する配列を含むがこれらに限定されない、伸長された組換えポリペプチドである。式IXの一実施形態では、スペーサー配列は、GPEGPS(配列番号1612)である。式IXの他の実施形態では、スペーサー配列は、グリシンまたは表11および12から選択される配列である。
【0178】
式IV~VIIIの実施形態は、約6アミノ酸から1000以下までのアミノ酸の範囲の長さの1つまたはそれ以上のXTEN(例えば、表3、4、および13~17もしくはその断片のいずれか1つから選択される配列、または、それに対して少なくとも約90~99%またはそれ以上の配列同一性を示す配列)が、第VIII因子の隣接するドメイン間に挿入されて連結され、または、FVIIIのNまたはC末端に連結されるCFXTEN構造を包含する。式V~VIIIの他の実施形態では、本発明は、XTENをコードする配列が、制限部位である場合に、CFXTEN構造に組み込まれ得るように、および切断配列である場合に、XTENが切断配列に適切なプロテアーゼの作用により融合タンパク質から放出され得るように、XTENが制限部位と適合性のあるアミノ酸を任意に含み得るまたは切断配列(例えば、以下により十分に記載される、表11および12の配列)を含み得る、スペーサー配列を介してFVIIIドメインに連結される構造をさらに提供する。
【0179】
式VI~VIIIの実施形態は、式VI~VIIIのFVIII成分がBドメインの短い残基配列、表1に提供される配列の非限定的な例を保持する第VIII因子のBドメイン欠失形態(「FVIII BDD」)のみである点で、式Vのものとは異なり、1つまたはそれ以上のXTENまたは約6アミノ酸から1000以下までのアミノ酸(例えば、表3、4、および13~17のいずれか1つから選択される配列)の範囲の長さのXTENの断片が、第VIII因子の隣接するドメイン間および/または表8のもののようにBドメイン残基の残留物間に挿入されて連結される。式IXの実施形態は、一般的に、1つまたはそれ以上のXTENがドメイン間よりもむしろFVIIIのドメイン内にそれぞれ挿入される、他の式のものとは異なり、および/またはFVIIIのC末端に連結される(または、FVIIIのC末端に対するスペーサー配列を介して連結される)XTENを有する。
【0180】
CFXTENのいくつかの実施形態において、融合タンパク質は、FVIIIのBドメイン欠失形態を含み、Bドメイン欠失は約アミノ酸残基番号745の第1の位置から開始し、全長ヒト第VIII因子配列を参照してアミノ酸残基番号1635から約1690の第2の位置で終了し、XTENはBドメイン欠失の第1の位置と第2の位置を連結する。前述の一実施形態では、Bドメイン欠失の第1の位置と第2の位置が表8の位置から選択される。前述の他の実施形態では、少なくとも1つのXTENは第1のおよび第2の位置と連結し、少なくとも1つのXTENは、第VIII因子アミノ酸残基745およびアミノ酸残基1640、またはアミノ酸残基741およびアミノ酸残基1640、またはアミノ酸残基741およびアミノ酸残基1690、またはアミノ酸残基745およびアミノ酸残基1667、またはアミノ酸残基745およびアミノ酸残基1657、またはアミノ酸残基745およびアミノ酸残基1657、またはアミノ酸残基747およびアミノ酸残基1642、またはアミノ酸残基751およびアミノ酸残基1667と連結する。CFXTENの一実施形態では、第VIII因子は、このパラグラフの実施形態に記載されるBドメイン欠失の第1の位置と第2の位置を連結するXTENを含み、XTENは、最適に整列される場合、表4、表13、表14、表15、表16、および表17のいずれか1つから選択される同等の長さの配列と比較して、少なくとも80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%または100%の配列同一性を有する配列であり、CFXTENは、天然のFVIIIの少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の凝固促進活性を保持する。
【0181】
本発明は、FVIIIのドメイン間もしくはドメイン内、または、表5、表6、表7、表8、および表9または
図8~9に示されるものの挿入位置もしくはその近位のXTENの挿入の全ての可能な置換が企図され、表12から選択される追加の切断配列を介して任意に連結されてCFXTEN組成物をもたらす、FVIIIのNまたはC末端に対する追加のXTENの任意の連結を有し、その非限定的な例が
図5および12に描かれる。一実施形態では、CFXTENは、表3、4、および13~17またはその断片のいずれか1つからの配列と比較して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、またはそれ以上の配列同一性をそれぞれが有する1つまたはそれ以上のXTENがFVIII BDD配列の残基Bドメインアミノ酸のいずれか2つの間に挿入される表1のFVIII BDD配列を含んで単鎖FVIII融合タンパク質をもたらし、CFXTENは、天然のFVIIIの少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の凝固促進活性を保持する。前述の実施形態において、CFXTENは、融合タンパク質のNまたはC末端に連結される表4および13~17のいずれか1つの追加のXTEN配列を有し得る。他の実施形態では、CFXTENは、表8に記載される部位で挿入される少なくとも第1のXTENを含み、CFXTENは、天然のFVIIIの少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の凝固促進活性を保持する。式VIIの融合タンパク質の一実施形態では、CFXTENは表1のFVIII BDD配列を含み、表3、4、および13~17またはその断片のいずれか1つからの配列と比較して、それぞれが少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を有する、2つまたはそれ以上のXTENは、少なくとも1つのXTENが、約3~約20アミノ酸残基からFVIII切断部位アミノ酸R740のC末端側までおよび約3~約20アミノ酸残基からFVIII BDD配列の残基Bドメインアミノ酸のFVIII切断部位アミノ酸R1689のN末端側まで挿入されて単鎖FVIII融合タンパク質をもたらす、FVIII-BDD配列に連結され、および1つまたは2つのXTENは、FVIII-BDD配列のNおよび/またはC末端に対する切断配列により連結され、CFXTENは、切断配列の切断によるXTENの放出後の、天然のFVIIIの少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の凝固促進活性を示す。
【0182】
一実施形態では、A3ドメインはa3酸性領域またはその一部を含む。他の実施形態では、少なくとも1つのXTENは、a3酸性領域もしくはその一部、a3酸性領域のN末端もしくはその一部、a3酸性領域のC末端もしくはその一部、またはその組み合わせ内に挿入される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのXTENが、C2ドメイン、C2ドメインのN末端、C2ドメインのC末端またはその組み合わせ内に挿入される。さらに他の実施形態では、第VIII因子は、Bドメインの全てまたは一部を含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのXTENは、Bドメイン、BドメインのN末端、BドメインのC末端、またはその組み合わせの全てまたは一部内に挿入される。
【0183】
2. 内部XTENを有するCFXTEN融合タンパク質構造
他の態様では、本発明は、FVIII配列の内部に位置される1つまたはそれ以上のXTEN配列で構成されるCFXTENを提供する。一実施形態では、本発明は、組み込まれたXTENを有しないFVIIIと比較して、限定されないが、安定性の増加、プロテアーゼに対する耐性の増加、クリアランスレセプターまたはFVIII阻害物質との相互作用を含むがこれに限定されないクリアランス機序に対する耐性の増加、および親水性の増加、のような性質を付与するための、FVIII配列の内部に位置される1つまたはそれ以上のXTEN配列で構成されるCFXTENを提供する。
【0184】
本発明は、FVIIIの異なる構造または配列変異体は、その中に1つまたはそれ以上のXTENが挿入されるプラットフォームとして利用され得ることを企図する。これらの構造は、天然のFVIII、FVIII BDD、および単鎖FVIII(scFVIII)、およびこれらの構造の変異体を含むがこれらに限定されない。scFVIIIの場合には、本発明は、FVIIIのプロセシング部位の1つまたは複数のアミノ酸を置換することにより構成され得るCFXTENを提供する。一実施形態では、CFXTENで利用されるscFVIIIは、ヘテロダイマー形態に対するタンパク質分解プロセシングを防止するために、FVIII配列RHQREITR(配列番号1698)におけるR1648をグリシンまたはアラニンで置換することにより作成される。特に、1648FVIII残基を有する本明細書に記載されるCFXTEN実施形態のいずれも、位置1648でのアルギニンに関するグリシンまたはアラニン置換を有し得ることが企図される。いくつかの実施形態において、本発明は、scFVIIIを含むCFXTENを提供し、R1648プロセシング部位を囲む配列の一部が
図10Aおよび
図10Bに示されるように、XTENで置換される。一実施形態では、少なくとも約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%、またはそれ以上のBドメインは、1つまたはそれ以上のR740、R1648、またはR1689切断部位を含む、本明細書に記載されるXTEN配列で置換される。他の実施形態では、CFXTENは、XTENで置換される(切断部位間でも保持される少なくとも1~5の隣接するBドメインアミノ酸および切断部位にアクセスするプロテアーゼを許容するXTENの開始で)R740およびR1689でのFXIa切断部位間のBドメインのFVIII配列を有する。他の実施形態では、CFXTENは、XTENで置換されるN745およびP1640でのFXIa切断部位間のBドメインのFVIII配列を有する。他の実施形態では、本発明は、Bドメインの一部が欠失するが、FXI R740またはR1689活性部位(および1~5の隣接するBドメインのアミノ酸)の1つのみが構造内に残され、XTENが
図5Bおよび
図5Dに示されるように、FXIaによる切断後の軽鎖または重鎖のいずれか1つの端部に付着されて残存する、CFXTEN FVIII BDD配列変異体を提供する。前述の一実施形態では、CFXTENは、N745からP1640の間またはS743からQ1638の間またはP747からV1642の間またはN745からQ1656の間またはN745からS1657の間またはN745からT1667の間またはN745からQ1686の間またはR747からV1642の間またはT751からT1667のアミノ酸が欠失され、XTEN配列が、これらのアミノ酸の間に連結されて重鎖および軽鎖と結合し、表5、表6、表7、表8、および表9、または
図8~9に示されるものからの1つまたはそれ以上の挿入部位のような、外表面ループで、FVIIIドメインの間で、またはFVIII BDD配列のNまたはC末端で、のいずれかで挿入される追加のXTENをさらに含み得る、FVIII BDD配列を含む。前述の他の実施形態では、CFXTENは、K713からQ1686の間または残基741から1648の間のアミノ酸が欠失され、2つのアミノ酸間に連結されるXTENおよび追加のXTENが、表5、表6、表7、表8、および表9、または
図8~9に示されるものからの1つまたはそれ以上の挿入部位を含むがこれらに限定されない、表面ループで、FVIIIドメインの間で、またはFVIII BDD配列のNもしくはC末端で、のいずれかで挿入され得る、FVIII BDD配列を含む。いくつかの実施形態において、このようなCFXTEN配列は、表4および表13~17のいずれか1つからのXTEN配列に対して、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の配列同一性を示す1つまたはそれ以上のXTENを有し得る。
【0185】
本発明は、種々の構造での、内部XTENを有する他のCFXTENを企図し、例示的な構造の概略は
図5および
図10に示される。XTEN挿入部位に関して適切な領域は、FVIIIの既知のドメイン境界、エクソン境界、X線結晶解析により識別される既知の表面(外部)ループおよび溶媒露出面積部位、並びにFVIIIの分子力学シミュレーション、(
図7凡例に記載されるプログラムにより評価される)低い程度の秩序の領域、異なるスピーシーズにわたる保護の低い相同性/欠如の領域、および親水性領域由来の構造モデルを含む。他の実施形態では、XTEN挿入部位は、FVIIIの推定のクリアランスレセプター結合部位に基づいて選択された。他の実施形態では、CFXTENは、Haemophilia A Mutation, Search, Test and Resource Site (HAMSTeRS)データベースに挙げられる、除去された血友病Aに関係する突然変異に対する近位内ではない位置で挿入されるXTENを含む(Kemball-Cook G, et al. The factor VIII Structure and Mutation Resource Site: HAMSTeRS version 4. Nucleic Acids Res. (1998) 26(1):216-219)。他の実施形態では、XTEN挿入の可能性がある部位は、感作した血友病で出現する抗FVIII抗体により結合されることができる、および、そうでなければタンパク質相互作用部位として供されない、FVIIIエピトープ内の残基を含む。XTEN挿入部位として排除される領域および/または部位は、他の凝固タンパク質、プロテアーゼトロンビンにより作用される各アルギニン活性化/不活性化切断部位を取り囲む残基、第Xa因子、活性化タンパク質C、構造がシグナルペプチドを含む場合にシグナルペプチドプロセシング部位(残基1)を取り囲む残基、FIXa、FX/FXa、トロンビン、活性タンパク質C、タンパク質Cに対するタンパク質S補助因子、フォンヴィルブランド因子のような他のタンパク質と相互に作用するための既知の領域、凝固においてリン脂質補助因子と相互に作用することが知られる部位、ドメインの相互作用に関与する残基、Ca
++またはCu
++イオンと調和する残基、S-S分子内結合に関与するシステイン残基、記載されるアミノ酸挿入および凝固促進活性に影響を及ぼす血友病A対象にて産生されるFVIIIにおけるポイント突然変異部位、並びに凝固促進活性に影響を及ぼす研究室で作成されるFVIIIにおける突然変異部位を含む、種々の相互作用において重要である、第VIII因子の残基/領域を含む。いずれかの(半減期を延長するための)挿入に関しまたは(使用後のFVIIIaまたはFXaを取り除くために必要とされる)排除に関して考慮される部位は、ヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)または低密度のリポタンパク質レセプター関連タンパク質(LPR)と相互に作用するために知られる領域を含む。
【0186】
前述の基準の分析により、実施例34に記載されるように、FVIII BDD配列にわたる異なる挿入部位または挿入部位の範囲が、XTENの挿入に関する候補として識別されおよび/または確認され、その非限定的な例が、表5、表6、表7、表8、および表9で挙げられ、模式的に
図8および
図9に示される。一実施形態では、CFXTENは、FVIIIの個々のドメイン間、つまり、A1とA2ドメインの間、またはA2とBドメインの間、またはBとA3ドメインの間、またはA3とC1ドメインの間、またはC1とC2ドメインの間、のXTEN挿入を含む。他の実施形態では、CFXTENは、BDD配列のBドメイン内にまたは残留残基間に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、エクソンが他のタンパク質上で高い確率で機能を有する進化的に保護された配列モジュールを表すので、コードFVIII遺伝子の既知のエクソン境界で挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、FVIIIのx線構造により識別される表面ループ内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、X線構造解析により低い電子密度を有するまたは全く有しないと識別される低い秩序の領域内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、これらに限定されないFoldIndex、RONN、およびKyte&Doolitllアルゴリズムのような、構造予測アルゴリズムにより予測される、低い秩序の領域内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、高い頻度の親水性アミノ酸の配列領域内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、感作した血友病における天然に発生している抗FVIII抗体により結合されることのできるエピトープ内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、異なる種からFVIII配列にわたる、低い配列保護の配列領域内および/または配列セグメント長さにおける差異内に挿入されるXTENを含む。他の実施形態では、CFXTENは、N末端および/またはC末端に連結されるXTENを含む。他の実施形態では、本発明は、上記で挙げられる実施形態からの2つまたはそれ以上の基準から選択される、挿入されたXTENを有するCFXTEN構造を提供する。他の実施形態では、本発明は、第VIII因子配列内に挿入される、少なくとも1つの、代替的に少なくとも2つの、代替的に少なくとも3つの、代替的に少なくとも4つの、代替的に少なくとも5つまたはそれ以上のXTENを有するCFXTEN構造を提供し、挿入の位置は、表5、表6、表7、表8、および表9、もしくは
図8~9に示されているものの挿入残基アミノ酸から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、もしくは6つもしくはそれ以上のアミノ酸のNまたはC末端側でまたはその近位であり、または、代替的には、表5、表6、表7、表8、および表9からの挿入残基アミノ酸の1つ、もしくは2つ以内、もしくは3つ以内、もしくは4つ以内、もしくは5つ以内、もしくは6つ以内のアミノ酸内、または、
図9における例示的なFVIII BDD配列に関して模式的に描かれる、種々の広がりの挿入残基アミノ酸内である。
【0187】
上記のように、1つまたはそれ以上の内部に配置されるXTENまたはXTENの断片は、6から1000またはそれ以上のアミノ酸残基の配列長さを有し得る。いくつかの実施形態において、CFXTENは、FVIIIにの内部に1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたはそれ以上のXTEN配列を有し、XTEN配列は、同じであり得または異なり得る。一実施形態では、各内部に配置されるXTENは、最適に整列される場合、表3、4、および13~17のいずれか1つから選択される、同等の長さまたはXTENの断片またはモチーフと比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的には81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する。他の実施形態では、本発明は、表1の配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有するFVIII BDD配列に対する内部に挿入される1つまたはそれ以上のXTENで構成されるCFXTENを提供し、挿入は、表5、表6、表7、表8、および表9、
図8に示される挿入位置もしくは挿入位置の範囲、または
図9に示される挿入の範囲内に配置される。表5、表6、表7、表8、および表9の挿入位置でFVIII配列内に挿入されるXTENは、フランキングFVIIIアミノ酸に対するそのNおよびC末端により(または、上述のように、連結スペーサまたは切断配列を介して)連結されるが、FVIIIのNまたはC末端に連結するXTENは、単一のFVIIIアミノ酸に(または、上述のように、連結スペーサまたは切断配列アミノ酸に)連結されるのみであることが当業者により理解されるであろう。単なる例示として、3つの内部XTENを有するCFXTENの変形は、FVIII BDD残基741と1640間、残基18と19間、および残基1656と1657間に組み込まれるXTEN(本明細書に記載される);またはFVIII
BDD残基741と1640間、残基1900と1901間、および残基2332でのC末端に組み込まれるXTEN;またはFVIII BDD残基26と27間、残基1656と1657間、および残基1900と1901間に組み込まれるXTEN;またはFVIII BDD残基741と1640間、残基1900と1901間、および残基2332でのC末端に組み込まれるXTENを有し得る。
【0188】
表5からの位置で挿入されるXTENを有するCFXTEN融合タンパク質を評価した際、FVIII配列のある領域における挿入は、凝固促進活性の良好な発現および保持を有するCFXTENをもたらしたことが発見された。従って、好ましい実施形態では、本発明は、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、またはそれ以上のXTENで構成され、表1の配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有してFVIII BDD配列に対して内部に挿入されもしくは連結される、表4、および表13~17のいずれか1つから選択されるXTENと比較して、それぞれが少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCFXTEN融合タンパク質を提供し、挿入は、表7に記載される、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、またはそれ以上の範囲内の挿入位置で配置される。前述の実施形態では、XTEN挿入を有するCFXTEN融合タンパク質は、XTENに連結しない対応するFVIIIと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%またはそれ以上の凝固促進活性を保持する。
【0189】
表5からの1つまたはそれ以上の位置で挿入されるXTENを有するCFXTEN融合タンパク質を評価した際、XTEN挿入により高いパーセンテージの融合タンパク質が実施例25に記載される凝固促進活性を保持したということが驚くべきことに発見された。よって、本発明は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のXTENで構成されるCFXTEN融合タンパク質を提供し、結果として得られる融合タンパク質は、本明細書に記載される凝固分析により分析される場合、XTENに連結されない対応するFVIIIと比較して、少なくとも約10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%、またはそれ以上の凝固促進活性を示す。好ましい実施形態では、本発明は、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、またはそれ以上のXTENを含み、表1の配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有してFVIII BDD配列に連結される、表4、および表13~17のいずれか1つから選択されるXTENと比較して、それぞれが少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCFXTEN融合タンパク質を提供し、挿入は、表5、表6、表7、表8、および表9から選択される、1つまたはそれ以上の挿入位置で配置され、結果として得られる融合タンパク質は、本明細書に記載される分析(例えば、化学発色法)によりin vitroで分析される場合、XTENに連結しない対応するFVIIIと比較して、少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、またはそれ以上の凝固促進活性を示す。主題CFXTEN融合タンパク質が、天然のFVIIIと比較して、典型的に終末相半減期の増加を示すので、当モル量の天然のFVIIIに対して、より低い凝固促進活性を有するCFXTENは、それを必要とする対象に治療組成物として投与される際に、それでも許容されることが当業者により理解されるであろう。他の実施形態では、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、またはそれ以上のXTENを含むCFXTEN融合タンパク質は、表1の配列と比較して、少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有してFVIII BDD配列に連結される、表4、および表13~17のいずれか1つから選択されるXTENと比較して、それぞれが少なくとも約80%の配列同一性、または代替的に81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し、挿入は、表5、表6、表7、表8、および表9から選択される、1つまたはそれ以上の挿入位置または挿入位置の範囲で配置され、結果として得られる融合タンパク質は、細胞培養培地で発現されて化学発色法で分析される場合に、約0.5IU/ml、または少なくとも約0.75IU/ml、または少なくとも約1.0IU/ml、または少なくとも約1.5IU/ml、または少なくとも約2.0IU/ml、または少なくとも約2.5IU/ml、または少なくとも約3IU/ml、または少なくとも約4IU/ml、または少なくとも約5IU/ml、または少なくとも約7IU/ml、または少なくとも約10IU/ml、または少なくとも約20IU/ml、または少なくとも約30IU/mlのFVIII活性を示し、培養および発現は、本明細書に記載される方法、例えば、実施例25の方法による。
【0190】
FVIIIがその凝固促進活性の少なくとも一部を保持する挿入部位の発見は、1つまたはそれ以上のこれらの同じ部位でFVIIIタンパク質に融合される場合に、半減期の延長に関連づけられる、不定形のまたは構造化された特性のいずれかを有する他のペプチドおよびポリペプチドの挿入をも許容することが考えられる。非限定的な例は、アルブミン、アルブミン断片、免疫グロブリンのFc断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端のペプチド(CTP)のβサブユニット、HAP配列、トランスフェリン、米国特許出願公開第20100292130号のPASポリペプチド、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、ペプチドを含み、50%未満から50%より多く等、二次構造の程度を変化させる、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタメート(E)、およびプロリン(P)から選択される2つのタイプのアミノ酸の6~40のアミノ酸の短いポリペプチドは、FVIIIの識別された活性化挿入部位での挿入に適するであろう。
【0191】
本明細書に記載される融合タンパク質の実施形態において、CFXTEN融合タンパク質は、表12または当該技術分野で知られる他の配列からの1つまたはそれ以上の切断配列をさらに含み得、切断配列は、所与の内部XTEN配列に2つの切断配列を含み得る、FVIIIおよびXTEN配列の交差の6アミノ酸残基間または6アミノ酸残基内に配置される。一実施形態では、切断配列を含むCFXTENは2つの同じ切断配列を有し、それぞれは、その配列を結合してその配列を切断するプロテアーゼにより切断されるときにXTENが融合タンパク質から放出されるように、1つまたはそれ以上の内部XTENの各端部にまたはその近くに配置された。切断され得る配列は以下により十分に記載され、例示的な配列が表12に提供される。
【0192】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【0193】
成熟全長ヒトFVIIIのアミノ酸番号に基づいてXTENの挿入位置を示し、挿入は示されるアミノ酸のNまたはC末端側のいずれかでなされ得る。
746~1639欠失を有するFVIII BDDにおける下流配列。
【0194】
【0195】
挿入残基からの距離は、挿入がなされ得る指定された挿入残基(残基「0」)のN末端(負の数)またはC末端(正の数)から離れているアミノ酸の相対数を指す。記号「-x」は、指定された挿入残基のN末端側にxアミノ酸離れている挿入部位を指す。同様に、記号「+x」は、指定された挿入残基のC末端側にxアミノ酸離れている挿入部位を指す。
例えば、「-1,+2」は、挿入が、-1,0,+1または+2と表示される、アミノ酸残基のN末端またはC末端でなされるということを示す。
【0196】
【0197】
成熟ヒトFVIIIのアミノ酸番号に対して番号づけられる挿入部位の範囲を示す。
【0198】
【0199】
成熟ヒトFVIIIのアミノ酸番号に対して付番されたアミノ酸で、Bドメイン欠失変異体および隣接するA3ドメイン内に連結されたアミノ酸を示す。
BDD‐FVIIIで挿入されるXTENにより連結されるアミノ酸を示す。
【0200】
【表9-1】
【表9-2】
746~1639欠失を有するFVIII BDDにおける下流配列
【0201】
他の態様において、本発明は、成分のライフラリー、並びに、対象CFXTENをコードする遺伝子の調製に有用であるFVIIIセグメントをコードするヌクレオチド、XTEN、およびXTENに連結されるFVIIIセグメント由来のライブラリーを作成するための方法を提供する。第1のステップでは、種々の単一の部位中に、表5で識別される、または
図8~9で示される挿入部位の1~6のアミノ酸でまたはそれ以内で挿入される、FVIIIおよびXTENをコードする遺伝子のライブラリーが作成されて発現され、およびCFXTENが回収されて、
図15に示されるように活性および薬物動態に関して評価された。増強された性質を示すこれらのCFXTENは、その後、
図11に示されるように、ライブラリーに表されるそれぞれの増強された挿入由来の成分を有する、挿入部位およびFVIIIセグメントをコードする遺伝子に加えてXTENを作成するために使用される。一実施形態では、ライブラリーの成分は、
図11に示されるような組み合わせの様式で、標準的な組換え技術を用いて組み立てられ、表5、表6、表7、表8、および表9、または
図8~9に示されるものまたはこれらの近位の挿入部位を含み得る、複数の内部並びにNおよびC末端XTENを有するCFXTENの置換をもたらす。結果として生じる構造は、その後、活性および薬物動態の増強に関して評価され、増強された性質、例えば、XTENに連結しないFVIIIと比較して、活性化クリアランスの低減、プロテアーゼに対する耐性、免疫原性の低減、および薬物動態の増強を有するCFXTENをもたらすこれらの候補が、さらに評価される。
【0202】
3. XTEN許容ループ(Permissive Loop)
本明細書の他の箇所で詳細に記載されるように、および
図33~
図36に示されるように、発明者は各FVIII「A」ドメインが、XTEN配列が、組換えタンパク質の凝固促進活性またはin vivoまたは宿主細胞のin vitroで発現される組換えタンパク質の性能を排除することなく挿入され得る、少なくとも2つの「XTEN許容ループ」を含むことを認識した。発明者は、XTEN許容ループを、属性の中でも、高い表面または溶媒暴露および高い立体構造の可撓性を有する領域として識別した。A1ドメインは、XTEN許容ループ1(A1‐1)領域およびXTEN許容ループ2(A1‐2)領域を含み、A2ドメインは、XTEN許容ループ1(A2‐1)領域およびXTEN許容ループ2(A2‐2)領域を含み、A3ドメインは、XTEN許容ループ1(A3‐1)領域およびXTEN許容ループ2(A3‐2)領域を含む。
【0203】
ある態様において、上記のような組換えFVIIIタンパク質は、XTEN許容ループA1‐1、A1‐2、A2‐1、A2‐2、A3‐1、またはA3‐2の少なくとも1つに挿入される少なくとも1つのXTEN配列を含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。ある態様では、上記のような組換えFVIIIタンパク質は、例えば、2つの異なるXTEN許容ループA1‐1、A1‐2、A2‐1、A2‐2、A3‐1、またはA3‐2内のような、FVIII内に挿入される少なくとも2つのXTEN配列を含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。代替的に、上記のような組換えFVIIIタンパク質は、他のXTEN許容ループ内に挿入されるXTEN配列を有するまたは有しない、単一のXTEN許容ループ内に挿入される2つまたはそれ以上のXTEN配列を含み得、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。ある態様では、上記のような組換えFVIIIタンパク質は、上記のようなXTEN許容ループの少なくとも1つ内に挿入される少なくとも1つのXTEN配列を含み得、a3内に挿入される1つまたはそれ以上のXTEN配列をさらに含み得、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、1つもしくはそれ以上のXTEN許容ループ内にまたはa3内に挿入される3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のXTEN配列を含み得、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。
【0204】
ある態様では、上記のような組換えFVIIIタンパク質は、a3内に挿入される少なくとも1つのXTEN配列を含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、a3内に挿入される少なくとも1つのXTEN配列を含み、上記のような1つまたはそれ以上のXTEN許容ループ内に挿入される1つまたはそれ以上のXTEN配列をさらに含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。
【0205】
発明者は、本発明の組換えFVIIIタンパク質が、凝固促進活性を有しながら、in
vivoまたは宿主細胞におけるin vitroでなお発現され得る、XTEN配列の挿入を可能にするFVIII Aドメイン領域のそれぞれにおける少なくとも2つのXTEN許容ループを含むことを認識した。FVIIIの種々の結晶構造が、解像度の程度を変化させて測定された。X線結晶学および分子力学シミュレーションにより決定されるFVIIIおよびFVIIIaのこれらの構造は、FVIIIに関する立体構造の可撓性および接触面積(accessible surface area)のモデルを生成するために使用された。例えば、ヒトFVIIIの結晶構造は、Shen et al. Blood 111: 1240-1247 (2008)およびNgo et al.
Structure 16: 597-606 (2008)により測定された。これらの構造のデータは、受け入れ番号2R7Eおよび3CDZのそれぞれのもとで、プロテインデータバンク(pdb.org)から利用可能である。
【0206】
Shen et al.の結晶構造に従ってヒトFVIIIの重鎖および軽鎖の予測される二次構造は、
図37Aおよび
図37Bに再現される。Shen et al.の結晶構造から予測される種々のベータ鎖は、
図8Aおよび
図8Bで連続的に番号づけられる。ある特定の実施形態では、XTEN許容ループA1‐1、A1‐2、A2‐1、A2‐2、A3‐1、およびA3‐2は、FVIIIのAドメインにおける、表面が露出された、可撓的なループ構造内に含まれる。PDBデータベースの受け入れ番号2R7E(PDB:2R7E)として保存される並びに
図8Aおよび
図8Bに示されるように、成熟FVIIIの二次構造に従って、A1‐1はベータ鎖1とベータ鎖2間に配置され、A1‐2はベータ鎖11とベータ鎖12間に配置され、A2‐1はベータ鎖22とベータ鎖23間に配置され、A2‐2はベータ鎖32とベータ鎖33間に配置され、A3‐1はベータ鎖38とベータ鎖39間に配置され、およびA3‐2はベータ鎖45とベータ鎖46間に配置される。
図8Aおよび
図8Bに示されるPDB受け入れ番号2R7Eの二次構造は、DSSPプログラムに従って標準化された二次構造の配置に対応する(Kabsch and
Sander, Biopolmers, 22:2577-2637 (1983))。PDB受け入れ番号2R7Eとして保存される成熟FVIIIのDSSP二次構造は、ワールドワイドウェブサイトswift.cmbi.ru.nl/gv/dssp/(2012年2月9日に最後にアクセスされた)(Joosten et al., 39(Suppl. 1): D411-D419 (2010))で利用可能なDSSPデータベースでアクセスされ得る。
【0207】
ある態様では、表面が露出された、A1‐1を含む可撓的なループ構造は、
図30の約アミノ酸15から約アミノ酸45までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A1‐1は、
図30の約アミノ酸18から約アミノ酸41までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、表面が露出された、A1‐2を含む可撓的なループ構造は、
図30の約アミノ酸201から約アミノ酸232までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A1‐2は、
図30の約アミノ酸218から約アミノ酸229までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、表面が露出された、A2‐1を含む可撓的なループ構造は、
図30の約アミノ酸395から約アミノ酸421までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A2‐1は、
図30の約アミノ酸397から約アミノ酸418までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、表面が露出された、A2‐2を含む可撓的なループ構造は、
図30の約アミノ酸577から約アミノ酸635までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A2‐2は、
図30の約アミノ酸595から約アミノ酸607までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、表面が露出された、A3‐1を含む可撓的なループ構造は、
図30の約アミノ酸1705から約アミノ酸1732までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A3‐1は、
図30の約アミノ酸1711から約アミノ酸1725までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、表面が露出された、A3‐2を含む可撓的なループ構造は、
図3の約アミノ酸1884から約アミノ酸1917までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。ある態様では、A3‐2は、
図30の約アミノ酸1899から約アミノ酸1911までの天然の成熟ヒトFVIIIにおける領域に対応する。
【0208】
ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、FVIIIの1つまたはそれ以上のXTEN許容ループ内またはa3領域内に挿入される1つまたはそれ以上のXTEN配列を含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。挿入されるXTEN配列は、FVIIIのin vivoの半減期またはin vivoもしくはin vitroの安定性を増加させるものを含む。
【0209】
ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、
図30のアミノ酸18、
図30のアミノ酸26、
図30のアミノ酸40、
図30のアミノ酸220、
図30のアミノ酸224、
図30のアミノ酸399、
図30のアミノ酸403、
図30のアミノ酸599、
図30のアミノ酸603、
図30のアミノ酸1711、
図30のアミノ酸1720、
図30のアミノ酸1725、
図30のアミノ酸1900、
図30のアミノ酸1905、
図30のアミノ酸1910、または、本明細書に記載されるFVIIIのBDD変異体における対応する挿入を含む、これらのあらゆる組み合わせを含むがこれらに限定されない成熟天然ヒトFVIIIにおける1つまたはそれ以上のアミノ酸に対応する、1つまたはそれ以上のアミノ酸のすぐ下流に挿入されるXTEN配列を含む。
【0210】
ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、単体でまたはAドメイン(例えば、上述のような、A1‐1、A1‐2、A2‐1、A2‐2、A3‐1、またはA3‐2)のXTEN許容ループ内に挿入される1つもしくはそれ以上のXTEN配列と組み合わせて、FVIIIのa3領域内に挿入される少なくとも1つのXTEN配列を含み、組換えFVIIIタンパク質は凝固促進活性を有して、in vivoまたは宿主細胞におけるin vitroで発現され得る。ある態様では、少なくとも1つのXTEN配列は、
図30のアミノ酸1656に対応するアミノ酸のすぐ下流のa3領域内に挿入される。ある態様では、本発明の組換えFVIIIタンパク質は、上記のようにa3領域内に挿入されるXTEN配列を含み、
図30のアミノ酸18、
図30のアミノ酸26、
図30のアミノ酸40、
図30のアミノ酸220、
図30のアミノ酸224、
図30のアミノ酸399、
図30のアミノ酸403、
図30のアミノ酸599、
図30のアミノ酸603、
図30のアミノ酸1711、
図30のアミノ酸1720、
図30のアミノ酸1725、
図30のアミノ酸1900、
図30のミノ酸1905、
図30のアミノ酸1910、またはこれらのあらゆる組み合わせ、を含むがこれらに限定されない、成熟天然ヒトFVIIIにおける1つまたはそれ以上のアミノ酸に対応する、1つまたはそれ以上のアミノ酸のすぐ下流に挿入される1つまたはそれ以上のXTEN配列をさらに含む。
【0211】
異種タンパク質がその中に挿入され得る、天然のFVIIIタンパク質の許容ループの前述の態様は、例えば、表1に記載される配列のような、本明細書に記載されるBドメイン欠失FVIII変異体に適用可能であることも当業者により理解されるであろう。本発明を実施する際に、表1のBDD‐FVIII配列は、上記の種々の実施形態の組換えFVIIIタンパク質を置き換え得、結果として得られる構成は同様に凝固促進活性を保持することが考えられることが理解されるであろう。
【0212】
4.FVIII結合物質による妨害
本発明の目的は、血友病Aのような凝固障害を患っているヒト患者で使用するための凝固促進剤CFXTEN融合タンパク質組成物を提供することであり、患者はCFXTEN融合タンパク質の活性又は半減期に影響を及ぼすFVIIIに結合する天然の又は後天性の抗体、阻害物質又は他のタンパク質又は分子を有し、その際、CFXTENはXTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて大量の凝固促進活性を保持する。本明細書で使用されるとき、「FVIII結合物質」は、天然のFVIII、又は天然の、組換えに由来する若しくは組換えで作出される第VIII因子若しくはその断片を含む本発明の組換え第VIII因子融合タンパク質に結合することが可能である任意の分子を意味する。FVIII結合物質は、抗FVIII抗体及びFVIII阻害物質、とりわけ、FVIIIに特異的に結合することが可能であるタンパク質を含むことが特に企図される。態様の1つでは、本発明は、FVIIIの凝固促進活性を妨害する抗FVIII抗体又はFVIII阻害物質に対する低下した結合を示す凝固促進剤CFXTEN融合タンパク質を提供する。本明細書で使用されるとき、「抗FVIII抗体」又は「抗第VIII因子抗体」は、本発明のCFXTENのFVIII又はFVIIIの成分に結合することが可能である抗体を意味し、前記抗体は、表10の抗体又はFVIII阻害物質を持つ血友病A患者に由来するポリクローナル抗体を含むが、これらに限定されない。抗体という用語にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片及び抗体断片のクローンが含まれる。本明細書で使用されるとき、「FVIII阻害物質」又は「抗FVIII阻害抗体」は、本発明のCFXTENのFVIII又はFVIIIの成分を結合することが可能であり、CFXTENのFVIII又はFVIIIの成分の凝固促進活性を何としても低下させる抗体を意味する。別の態様では、本発明はFVIII阻害物質の存在下で凝固促進活性を保持するCFXTEN融合タンパク質を提供する。別の態様では、本発明は、XTENに連結されていないFVIIIに比べてFVIII結合物質の存在下で高い終末相半減期を示すFVIIIを含むCFXTEN融合タンパク質を提供する。
【0213】
ヒトの第VIII因子に対する阻害抗体の大半は、第VIII因子のA2ドメイン又はC2ドメインに位置するエピトープに結合し、これらのドメインに関連する特定の機能を破壊することによって作用する(米国特許第6,770,744号;Fulcher et al. Localization of human factor FVIII
inhibitor epitopes to two polypeptide fragments. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1985) 82:7728-7732; Scandella et al. Epitope mapping of human factor VIII inhibitor antibodies by deletion analysis of fVIII fragments expressed in Escherichia coli. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1988) 85:6152-6156)。阻害抗体の68%がA2及び/又はC2ドメインに向けられることが報告されている一方で、3%はA1ドメインに対して作用し、46%はa3酸性領域に対して作用する(Lavigne-Lissalde, G., et al. Characteristics, mechanisms of action, and epitope mapping of anti-factor VIII antibodies. Clin Rev Allergy Immunol (2009) 37:67-79)。たとえば、特定の重鎖に特異的な阻害物質はA2ドメインの18.3kDのアミノ末端断片と反応する(Scandella D, et al. 1988); Lollar P et al. Inhibition of human factor VIIIa by anti-A2 subunit antibodies. J Clin Invest 1994;93:2497)。FVIIIはアミノ酸2302~2332の間でC2ドメインにてリン脂質結合部位を含有し、A3ドメインにおけるアミノ酸1649~1689と併せて作用するC2ドメインにはvon Willebrand因子結合部位もある。C2ドメインはまた、阻害物質が結合するとトロンビン又は因子XaによるFVIIIの活性化を阻止するエピトープも有する。軽鎖に特異的に結合する阻害物質は、A3ドメインにおけるエピトープ又はC2ドメインにおける主要な抗原性領域を認識し、リン脂質に対するFVIIIの結合を妨げること又はvon Willebrand因子からのFVIIIの解離速度を低下させることによって凝固促進活性の低下を生じることができる(Gilles JG, et al. Anti-factor VIII antibodies of hemophiliac
patients are frequently directed towards nonfunctional determinants and do not exhibit isotypic restriction. Blood (1993) 82:2452; Shima M, et al. A factor VIII neutralizing monoclonal antibody and a
human inhibitor alloantibody recognizing epitopes in the C2 domain inhibit factor VIII binding to von Willebrand factor
and to phosphatidylserine. Thromb Haemost (1993) 69:240)。モノクローナルFVIII阻害物質の非限定例を表9に列記する。高い力価の阻害物質を持つ患者では、特定の関節における再発性出血を生じる高いリスクがあり、それは最終的に生活の質の低下、身体障害又は過剰失血による死亡をもたらし得る(米国特許出願番号20120065077; Zhang et al., Clinic. Rev. Allerg. Immunol., 37:114-124 (2009); Gouw and van den Berg, Semin. Thromb. Hemost., 35:723-734 (2009))。
【0214】
特定の理論に束縛されることを意図しないで、CFXTEN融合タンパク質に組み入れられたXTENの組織化されていない特徴によってXTENが、さもなければFVIIIエピトープに結合する阻害物質に対して立体障害を生じる立体構造を採用するのが可能になると考えられる。
図6で説明するように、組み入れられたXTENは種々のランダムコイル構造を想定するので、それは融合タンパク質のFVIII成分の領域を空間的に覆い、阻害物質のFVIIIエピトープに結合する能力を立体的に妨害する。
【0215】
一実施形態では、本発明は、凝固促進活性を示し、XTENに連結されていない対応する第VIII因子及び/又は天然のFVIIIに比べて第VIII因子のC2ドメインに結合する抗体の存在下で低下した結合を示すCFXTENを提供する。別の実施形態では、本発明は、凝固促進活性を示し、XTENに連結されていない対応する第VIII因子及び/又は天然のFVIIIに比べて第VIII因子のA2ドメインに結合する抗体の存在下で低下した結合を示すCFXTENを提供する。別の実施形態では、本発明は、XTENに連結されていない対応する第VIII因子及び/又は天然のFVIIIに比べて第VIII因子のA2ドメイン及びC2ドメインに結合する抗体の存在下で低下した結合を示すCFXTENを提供する。一実施形態では、本発明は、凝固促進活性を示し、表10の抗体から成る群から選択される抗体の存在下でXTENに連結されていない対応する第FVIII因子に比べて低下した結合を示すCFXTENを提供する。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は抗体GMA8021に対する低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は抗体GMA8008に対する低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は抗体ESH4に対する低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は抗体ESH8に対する低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は抗体B02C11に対する低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、ポリクローナル抗体FVIII阻害物質を持つ血友病Aの対象に由来する血漿の存在下で、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて、低下した結合及び程度の大きい凝固促進活性をし、その際、程度の大きい凝固促進活性はBethesdaアッセイのような生体内のアッセイ又は本明細書で記載される他のアッセイによって決定される。
【0216】
FVIII阻害物質によって低下した結合を示すCFXTENは1又は2又は3又は4又は5又は6以上の個々のXTENを有し、その実施形態が本明細書で開示される。この段落の前述の実施形態では、CFXTENは、たとえば、本明細書で記載されるアッセイ又は当該技術で既知のもののような抗体のFVIIIへの結合をアッセイすることが可能であるアッセイにて試験管内で評価した場合、抗体に対する少なくとも5%又は10%又は15%又は20%又は30%又は40%、又は50%又は60%又は70%以下の結合を示す。或いは、FVIII結合抗体に対する主題のCFXTENの低下した結合は、実施例にて記載されるように、XTENに連結されていないFVIIIに比べて抗体の存在下で凝固促進活性の高い程度を保持することによって評価することができる。従って、本明細書で記載されるFVIII阻害物質によって低下した結合に関する実施形態では、CFXTENは、抗FVIII抗体と反応すると、XTENに連結されず、抗体と反応させた対応するFVIIIに比べて凝固アッセイ(たとえば、本明細書の以下で記載される)において少なくとも5%、又は10%、又は15%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は100%、又は200%、又は300%、又は400%、又は500%以上の活性を示す。前述では、抗FVIII抗体は、表9からの抗体又は血友病Aの対象に由来する循環する抗FVIII抗体であり得る。別の実施形態では、Bethesdaアッセイ及び表10から選択される抗FVIII抗体又は、たとえば、FVIII阻害物質を持つ血友病Aの対象に由来する血漿のような、しかしこれに限定されないポリクローナル抗FVIII抗体製剤を利用してアッセイされると、本発明は、アッセイされた融合タンパク質が、XTENに連結されず、同程度の条件下でアッセイされたFVIIIに比べて少なくとも約2、4、6、8、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、100、又は200少ないBethesda単位を生じるCFXTENを提供する。別の実施形態では、Bethesdaアッセイ及びFVIII阻害物質を持つ血友病Aの対象に由来する血漿のような、しかしこれに限定されないポリクローナル抗FVIII抗体製剤を利用して同程度の条件下でアッセイされると、本発明は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて、アッセイされた融合タンパク質が50%未満、又は40%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は14%未満、又は13%未満、又は12%未満、又は11%未満、又は10%未満のBethesda単位を生じるCFXTENを提供する。
【0217】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
American Diagnostica社、インターネットサイト、2012年1月12日に存在するようなamericandiagnostica.com/html/Product_Detail.asp?idCategory=5&idSubCategory=104&idpro=ESH-8でのWorld Wide Webに位置するURL。
Green Mountain Antibodiesインターネットサイト、2012年1月12日に存在するようなgreenmoab.com/product_details/16316/21582.htmlでのWorld Wide Webに位置するURL。
【0218】
阻害物質及び抗体の結合に関するアッセイ
当該技術で既知の方法を用いて本発明の融合タンパク質をアッセイしてFVIII阻害物質によって低下した結合を確認し得る。使用することができるアッセイには、ほんの数例を挙げれば、ウエスタンブロット、放射性免疫アッセイ、ELISA、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、免疫放射測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、凝固アッセイ、第VIII因子阻害物質アッセイのような技法を用いた競合アッセイ系及び非競合アッセイ系が挙げることができるが、これらに限定されない。そのようなアッセイは当該技術で日常的であり、周知である(たとえば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるAusubel et al, eds, 1994, Current Protocols
in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照のこと)。例示は以下で手短に記載されるが、決して限定を意図するものではない。
【0219】
Bethesdaアッセイ及びBethesdaアッセイのNijmegen改変はFVIII阻害物質を検出する方法として周知の第VIII因子阻害物質のアッセイである(Kasper CK, et al. Proceedings: A more uniform measurement of factor VIII inhibitors. Thromb Diath Haemorrh. (1975) 34(2):612)。しかしながら、アッセイを改変して、表10の抗体を含むポリクローナル又はモノクローナルの抗FVIII抗体及び実施例52で記載されるような方法を用いてFVIII組成物に対する阻害物質の結合をアッセイすることができる。手短には、改変されたBethesdaアッセイには、滴定した体積の試験試料を設定された濃度での等容量の阻害物質と混合することが関与する。たとえば、比色アッセイのような凝固アッセイによる因子濃度の解析に先立って混合物を37℃で2時間インキュベートする。同様に、天然の第VIII因子のレベルを持つ参照血漿をインキュベートし、その後陽性対照としてアッセイする。終点は、Bethesda単位で報告される陽性対照のFVIII活性の50%を生じる力価である。BethesdaアッセイのNijimegen改変では、アッセイ試料は、イミダゾール緩衝液で安定化され、対照試料は緩衝液の代わりに欠損血漿と混合される(Verbruggen B, et al. The Nijmegen modification of the Bethesda assay for factor VIII:C inhibitors: improved specificity and reliability. Thromb Haemost. (1995) 73(2):247-251)。
【0220】
ウエスタンブロット解析は一般に、タンパク質試料を調製することと、ポリアクリルアミドゲル(たとえば、抗原の分子量に応じて8%~20%のSDS-PAGE)におけるタンパク質試料の電気泳動と、ニトロセルロース、PVDF又はナイロンのような膜へポリアクリルアミドゲルからタンパク質試料を転写することと、ブロッキング溶液(たとえば、3%BSA又は無脂肪乳を伴ったPBS)にて膜をブロッキングすることと、洗浄緩衝液(たとえば、PBS/Tween20)で膜を洗浄することと、ブロッキング緩衝液で希釈した一次抗体(当該抗体)で膜をブロッキングすることと、洗浄緩衝液で膜を洗浄することと、酵素基質(たとえば、西洋ワサビのペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)又は放射性分子(たとえば、32P又は125I)に結合し、ブロッキング緩衝液で希釈した二次抗体(一次抗体、たとえば、抗ヒト抗体を認識する)で膜をブロッキングすることと、洗浄緩衝液で膜を洗浄することと、抗原の存在を検出することとを含む。当業者は、検出されるシグナルを増やし、背景のノイズを減らすように改変することができるパラメータに関して博識である。ウエスタンブロットのプロトコールに関するさらなる議論については、たとえば、Ausubelら編、1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New York at 10.8.1を参照のこと。
【0221】
ELISAアッセイは、FVIIIの凝固促進活性を阻止するその能力とは無関係にFVIIIに対する抗体を検出することができ、血友病Aの患者で発生する抗FVIIIの検出に利用されている。阻害物質を持つ131人の血友病A患者の集団にて、ELISA法は97.7%の感度及び78.8%の特異性を生じ、高い陰性的中率(98.6%)を有した[Martin, P. G., et al. Evaluation of a novel ELISA screening test for detection of factor VIII inhibitory antibodies in haemophiliacs. Clin Lab Haematol (1999) 21:125-128]。他の研究者は、非阻害性の抗FVIII抗体を検出する能力の追加の利点と共に、Bethesda力価と抗FVIII抗体を検出するためのELISAアッセイにおける吸光度値との間で高度に有意な相関を見いだしている(Towfighi, F., et al. Comparative measurement of anti-factor VIII antibody by Bethesda assay and ELISA reveals restricted isotype profile and epitope specificity. Acta Haematol (2005) 114:84-90)。アッセイのプロトコールは、第VIII因子ポリペプチド又はCFXTEN融合タンパク質のいずれかを含む試料を含み得る結合リガンドを調製することと、96穴マイクロタイタープレートのウェルを抗体でコーティングすることと、リガンド試験試料を加え、インキュベーすることと、次いで検出抗体を加え、インキュベーし、その後、洗浄し、アルカリホスファターゼ又はペルオキシダーゼを結合した二次抗体を加え、追加の時間インキュベーすることと、その後、TMB基質を加え、分光光度計による450nmでの読み取りのために処理をすることとを含む。ELISAでは、当該抗体又は当該阻害物質は検出可能な化合物に結合されなくてもよく;代わりに、検出可能な化合物に結合された二次抗体(当該抗体又は当該阻害物質を認識する)をウェルに添加し得る。さらに、抗体でウェルをコーティングする代わりに、リガンドをウェルにコーティングし得る。当業者は、検出されるシグナルを増やすように改変することができるパラメータと同様に当該技術で既知のELISAの他の変種に関して博識である(たとえば、Ausubel et al, eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York at 11.2.1を参照)。
【0222】
標準の又は改変された凝固アッセイを用いてFVIII結合物質の低下した結合を測定する。例となる方法の1つ(実施例28にてさらに記載される)では、アッセイに利用するための所与のFVIII阻害物質の最適濃度が先ず、His/Myc二重タグを含有する野生型FVIIIを発現する基本ベクターと共に37℃で2時間インキュベートした種々の量の阻害抗体を用いた滴定実験によって決定される。FVIII活性は、本明細書で記載されるCoatestアッセイ手順によって測定される。FVIII活性の最適な阻害を生じる最低濃度をアッセイで採用する。アッセイでは、最適濃度でのFVIII阻害抗体を個々の試験試料と混合し、37℃で2時間インキュベートする。次いで、得られた試験試料を回収し、各試験試料についての残留の及びベースラインのFVIII活性を評価するために、CFXTENの未処理のアリコート及び陽性対照とともに、Coatest活性のアッセイで利用する。
【0223】
本発明は、FVIII阻害物質を含むFVIII結合物質への低下した結合及び凝固促進活性の保持を示すCFXTENを作製する方法を提供する。一実施形態では、FVIII阻害物質に対する低下した結合を伴ったCFXTENを作製する方法は、表1の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を持つFVIII配列を選択するステップと、表4からの同程度の長さのXTEN配列に対してそれぞれ少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95~99%の配列同一性を持つ1、2、3、4、5又は6以上のXTENを選択するステップと、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される位置にて又はその近傍で前記XTENを位置付けるように設計された発現構築物を創るステップと、得られたCFXTENを発現させ、回収するステップと、CFXTENの低下した結合を確認するために本明細書に記載されるアッセイにて、得られた融合タンパク質をアッセイするステップとを含む。本発明の方法によって、CFXTENは、表10の抗体又は血友病Aの対象に由来する抗FVIII抗体を含むが、これらに限定されないFVIII結合物質に対する少なくとも5%低下した、又は少なくとも10%低下した、又は少なくとも15%低下した、又は少なくとも20%低下した、又は少なくとも25%低下した、又は少なくとも40%低下した、又は少なくとも50%低下した、又は少なくとも60%低下した、又は少なくとも70%低下した、又は少なくとも80%低下した結合を示し、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%の凝固促進活性を保持する。
【0224】
血友病A患者の8~10%までは、その凝固促進活性に影響することなくFVIIIを結合する抗体を有するので、それらはFVIII阻害物質としては分類されない。しかしながら、FVIIIへの抗体の結合は、先天性の免疫応答によって一掃される又はタンパク質分解性の分解にさらに感受性である免疫複合体をもたらすと考えられている((Kazatchkine MD. Circulating immune complexes containing anti-VIII antibodies in multi-transfused patients with haemophilia
A. Clin Exp Immunol. (1980) 39(2):315-320)。従って、本発明の目的は、阻害物質ではないFVIIIに対する抗体の低下した結合を示す1以上のXTENを含むCFXTEN融合タンパク質を提供することであり、その際、CFXTENの分解又はクリアランスは、XTENに連結されていない対応するFVIII又はそのような抗体が結合した天然のFVIIIに比べて少なくとも5%、又は10%、又は15%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%以下低下する。XTENに連結されていない相当するFVIII又は天然のFVIIIに比べてCFXTENに対する抗体の低下した結合は、試験管内及び生体内の方法によってアッセイすることができる。試験管内の方法には前述のELISA法及びウエスタンブロット法が含まれる。CFXTENの低下した分解又はクリアランスは動物モデルの使用によって又はヒトの臨床試験にて生体内でアッセイすることができる。試験の1種では、治療用のヒト第VIII因子の分解又はクリアランスを促進する抗体を有する第VIII因子欠損を有する患者のコホートに第VIII因子又はCFXTENが別々に、好ましくは静脈内点滴で投与される。投与される被験物質の投与量は、5~50IU/体重kg、好ましくは10~45IU/kgの間、さらに好ましくは40IU/体重kgの範囲内である。各投与のおよそ1時間後、血液試料から回収した第VIII因子又はCFXTENを機能的一段階アッセイ又は発色性の凝固アッセイで測定して活性を評価し、ELISA、HPLC又は類似のアッセイによって無傷の第VIII因子同等物の量を定量する。点滴のおよそ5~10時間後、試料を再び採取し、回収物を測定する。総回収物及び試料からの第VIII因子の消失速度は抗体価を予測し、第VIII因子及びCFXTENからの結果の比較は、CFXTENのクリアランス及び/又は分解の低下した程度を示す。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、クリアランスを促進するが、無傷の天然のFVIIIの凝固促進活性を阻害することはない抗FVIII抗体に対して少なくとも5%低下した、又は少なくとも10%低下した、又は少なくとも15%低下した、又は少なくとも20%低下した、又は少なくとも25%低下した、又は少なくとも40%低下した、又は少なくとも50%低下した、又は少なくとも60%低下した、又は少なくとも70%低下した、又は少なくとも80%低下した結合を示す。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、FVIIIの分解を促進する抗FVIII抗体に対して少なくとも5%低下した、又は少なくとも10%低下した、又は少なくとも15%低下した、又は少なくとも20%低下した、又は少なくとも25%低下した、又は少なくとも40%低下した、又は少なくとも50%低下した、又は少なくとも60%低下した、又は少なくとも70%低下した、又は少なくとも80%低下した結合を示す。この段落の前述の実施形態では、抗FVIII抗体の低下した結合は、或いは、XTENに連結されていない対応するFVIIIへの結合に比べて少なくとも2倍、又は3倍、又は4倍、又は5倍、又は10倍、又は33倍、又は100倍、又は330倍、又は1000倍高い、FVIIIに比べた融合タンパク質に対するFVIII抗体のKD値を特徴とする。一実施形態では、抗FVIII抗体に対する低下した反応性を示す1以上のXTENを含むCFXTEN融合タンパク質は、抗FVIII抗体を持つ対象に投与した場合、XTENに連結されていないFVIIIに比べて、少なくとも48時間、又は少なくとも72時間、又は少なくとも96時間、又は少なくとも120時間、又は少なくとも144時間、又は少なくとも14日、又は少なくとも21日の長い終末相半減期を示す。前述の実施形態では、対象はヒト血友病Aの対象であることができ、又は循環する抗FVIII抗体を持つマウスの血友病Aの対象であることができる。
【0225】
本発明の他の態様は、FVIII阻害物質を持つ対象における凝固障害の特定の治療法のためのCFXTEN融合タンパク質の使用である。本発明は、凝固に有効な量のCFXTEN融合タンパク質を対象に投与するステップを含む、循環するFVIII阻害物質を持つ対象を治療する方法を提供し、融合タンパク質は、同程度の量及び投与経路を用いて投与されたXTENに連結されていない対応するVIIIに比べて又は天然の第VIII因子に比べて高い凝固促進活性及び長い持続時間の凝固に有効な濃度を示す。方法の一実施形態では、対象におけるFVIII阻害物質は抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質は中和する抗FVIII抗体である。一実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのA1ドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのA2ドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのA3ドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのC1ドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのC2ドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIIIのC2及びA2双方のドメインに結合する抗FVIII抗体である。別の実施形態では、FVIII阻害物質は表10の1以上の抗体が結合することが可能であるFVIIIエピトープに結合する。別の実施形態では、FVIII阻害物質はFVIII阻害抗体を持つ血友病Aの対象に由来するポリクローナル抗体である。
【0226】
本発明の目的は、XTENを伴ったCFXTENを創って、さもなければFVIIIに結合して凝固促進活性を中和し、又はFVIIIのクリアランス若しくは分解を生じるFVIII結合物質の立体干渉を最大化することである。従って、アプローチの1つでは、本発明は、XTENがFVIII阻害物質又は抗FVIII抗体の結合部位の近傍に挿入される1以上のXTENを含むCFXTENを提供する。一実施形態では、XTENは、表10の抗体が結合するFVIIIのエピトープの約50、又は約100、又は約150、又は約200、又は約250、又は約300アミノ酸の範囲内である表5、表6、表7、表8、及び表9から選択される位置にてFVIIIに連結される。別の実施形態では、XTENは、表10の抗体が結合するA2又はC2のドメインにおけるFVIIIのエピトープの約50、又は約100、又は約150、又は約200、又は約250、又は約300アミノ酸の範囲内でFVIIIに連結される。従って、本発明は、融合タンパク質のFVIII成分へのFVIII阻害物質の結合がXTENに連結されていない対応するFVIII又は天然のFVIIIに比べて低下し、CFXTENが凝固促進活性を保持する、1以上のXTENを含むCFXTEN融合タンパク質を提供する。この段落の上文で記載された前述の実施形態では、融合タンパク質は本明細書で記載される以下のアッセイ、実施例のアッセイ、又は当該技術で既知の他のアッセイによってアッセイすることができ、阻害物質は表10の抗体であることができ、ポリクローナル抗FVIIIであることができ、又はFVIII阻害物質を持つ血友病Aの対象に由来する血液若しくは血漿であることができる。
【0227】
別の態様では、CFXTENは、XTENが融合タンパク質を覆うランダムコイル構造を採用し、それによってさもなければ、融合タンパク質のFVIII成分におけるエピトープに結合する抗FVIII抗体に対して立体障害を生じることができる領域を最大化するように設計される。複数のXTENのCFXTENへの組み入れは、XTENが少ないが、XTENアミノ酸とほぼ同じアミノ酸を有するCFXTENに比べてXTEN成分の大きな流体力学総半径を提供すると考えられる。経験的に、タンパク質の流体力学半径はサイズ排除クロマトグラフィに基づいて算出することができ、そのような方法を用いた幾つかの融合タンパク質の結果が実施例で記載される。或いは、本明細書で開示される実施形態において組み入れられるもののようなXTENポリペプチドの半径は、利用される限定された種類のアミノ酸が定量できる既知の特徴を有するので、数式によって近似することができる。一実施形態では、単一のXTENポリペプチドの最大半径は方程式IIによって与えられる式に従って算出される(以下、「XTENの半径」):
XTENの半径=(√XTENの長さ0.2037)+3.4627(II)
【0228】
別の実施形態では、CFXTENにおけるXTEN断片すべてについてのXTENの半径の最大の合計は方程式IIIによって与えられる式に従って算出される(以下、「XTENの半径の合計」):
【数3】
式中、n=XTEN断片の数、及びi=反復子
【0229】
別の実施形態では、複数のXTENを含むCFXTENのXTENの半径の合計の、同等の長さ(CFXTENのそれに対する合計アミノ酸残基)の単一XTENのXTEN半径のそれに対する比は、方程式IVによって与えられる式に従って算出される(以下、「XTEN半径比」):
【数4】
式中、n=XTEN断片の数、及びi=反復子
【0230】
XTENに方程式を適用することにおいて、算出された値は、XTENポリペプチドの発現に利用される宿主細胞に応じて変化し得る又は低下し得る最大値を表すことが当業者によって理解されるであろう。大腸菌での発現は算出された値を達成するXTENを生じ、XTENがグリコシル化され得る真核宿主細胞での発現は算出された最大値より小さいポリペプチドの半径を生じ得ると考えられる。そのような差異はサイズ排除クロマトグラフィのような方法によって定量することができ、その方法は実施例で詳述される。
【0231】
XTENがランダムコイル構造を採用することができる領域を最大化するCFXTENを設計するために、2を超えるXTEN半径比を伴ったCFXTENの設計は<2の値を伴った設計よりも融合タンパク質に対して大きな被覆率を提供することが発見された。従って、一実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4、又は2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0、又は3.1、又は3.2、又は3.3、又は3.4、又は3.5以上であるCFXTENを提供する。一部の実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であり、少なくとも42~約288のアミノ酸を有する各XTENを伴った少なくとも3つのXTENを含むCFXTENを提供し、その際、XTENの少なくとも2つが、2つのXTENの間で約100、又は約200、又は約300、又は約400、又は約500以上のアミノ酸の分離を伴って融合タンパク質に連結される。他の実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であり、少なくとも42~約288のアミノ酸を有する各XTENを伴った少なくとも4つのXTENを含むCFXTENを提供し、その際、XTENの少なくとも3つが、3つのうち2つのXTENの間で約100、又は約200、又は約300、又は約400以上のアミノ酸の分離を伴って融合タンパク質に連結される。
【0232】
別の実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供し、CFXTENは少なくとも42~約288のアミノ酸を有する各XTENを伴った少なくとも3つのXTENを含み、その際、融合タンパク質に連結されたXTENの3つのうち少なくとも2つが、少なくとも100、又は約200、又は約300、又は約400のアミノ酸のアミノ酸配列によって分離され、3番目のXTENはBドメイン(又はその断片の)中で又はCドメイン(又はその断片の)中で連結される。別の実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供し、CFXTENは少なくとも42~約288のアミノ酸を有する各XTENを伴った少なくとも4つのXTENを含み、その際、融合タンパク質に連結されたXTENの4つのうち少なくとも3つが、少なくとも300又は約400のアミノ酸のアミノ酸配列によって分離され、4番目のXTENはBドメイン(又はその断片の)中で又はCドメイン(又はその断片の)中で連結される。
【0233】
さらに他の実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供し、CFXTENは少なくとも42~約144のアミノ酸を有する4つのXTENを伴った少なくとも5つのXTENを含み、その際、XTENの少なくとも4つが、4つのうち2つのXTENの間で約100、200、又は約300、又は約400以上のアミノ酸の分離を伴って融合タンパク質に連結され、第5のXTENはBドメイン(又はその断片の)中で又はCドメイン(又はその断片の)中で連結される。一実施形態では、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供し、CFXTENは少なくとも42~約144のアミノ酸を有する4つのXTENを伴った少なくとも5つのXTENを含み、その際、融合タンパク質に連結されたXTENの少なくとも3つが、少なくとも300又は約400のアミノ酸のアミノ酸配列によって分離され、4番目のXTENはBドメイン(又はその断片の)中で連結され、5番目のXTENはCドメイン(又はその断片の)中で連結される。
【0234】
態様の1つでは、本発明は、XTEN半径比が少なくとも2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4、又は2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0、又は3.1、又は3.2、又は3.3、又は3.4、又は3.5以上であるCFXTENを提供し、組成物は特定の配列を含まない。前述の一実施形態では、本発明は、融合タンパク質が表50又は表51のいずれか1つに由来する配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。前述の別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質がAGファミリーのXTEN配列を有する配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。前述の別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質がGTPGSGTASSSP(配列番号31)、GSSTPSGATGSP(配列番号32)、GSSPSASTGTGP(配列番号33)、GASPGTSSTGSP(配列番号34)から選択される配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。前述の別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質がGTPGSGTASSSP(配列番号31)、GSSTPSGATGSP(配列番号32)、GSSPSASTGTGP(配列番号33)、GASPGTSSTGSP(配列番号34)及びGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号:59)から選択される配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。前述の別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質がGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)、
PGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSS(配列番号71)又は
PGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGS(配列番号:80)から選択される配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。前述の別の実施形態では、本発明は、融合タンパク質がGSEPATSGSETPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGSPAGSPTSTEEGTSTEPSEGSAPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAPGTSESATPESGPGSEPATSGSETPGTSTEPSEGSAP(配列番号59)、
PGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSS(配列番号71)、又は
PGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGASPGTSSTGSPGSSTPSGATGSPGSSPSASTGTGPGASPGTSSTGSPGSSPSASTGTGPGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGS(配列番号:80)から成るXTEN配列を含まないという条件で、XTEN半径比が少なくとも2.0~3.5以上であるCFXTENを提供する。
【0235】
態様の1つでは、本発明は、挿入されたXTENを伴ったCFXTENを創って、さもなければFVIIIに結合し、凝固促進活性を中和する又はFVIIIのクリアランス若しくは分解を生じるFVIII結合物質の立体干渉を最大化する方法を提供する。従って、一実施形態では、本発明は、表1の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を持つFVIII配列を選択するステップと、XTEN半径比が少なくとも2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4、又は2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0、又は3.1、又は3.2、又は3.3、又は3.4、又は3.5以上である3以上のXTENを表4から選択するステップと、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される位置にて又はその近傍で3以上のXTENが少なくとも300~400のアミノ酸である前記XTENを位置付けるように設計された発現構築物を創るステップと、得られたCFXTENを発現させ、回収するステップと、CFXTEN融合タンパク質の低下した結合を確認するために本明細書で記載されるアッセイにて得られた融合タンパク質をアッセイするステップとを含む方法を提供する。本発明の方法によって、CFXTENは、表10の抗体を含むが、これらに限定されないFVIII結合物質に対して少なくとも5%低下した、又は少なくとも10%低下した、又は少なくとも15%低下した、又は少なくとも20%低下した、又は少なくとも25%低下した、又は少なくとも40%低下した、又は少なくとも50%低下した、又は少なくとも60%低下した、又は少なくとも70%低下した、又は少なくとも80%低下した結合を示し、且つ凝固促進活性を示す。
【0236】
5.スペーサー及び切断配列を伴うCFXTEN融合タンパク質の構造
別の態様では、本発明は、官能性若しくは特性を高める若しくは組成物に組み入れるように設計される、又は融合タンパク質組成物の組み立て若しくは製造の補助として設計される、XTENに若しくはその近傍に組み入れられる1以上のスペーサー配列と共に構成されるCFXRENを提供する。そのような特性には、成分の放出を可能にする切断配列の包含、XTENをコードするヌクレオチドのFVIIIをコードするヌクレオチドとの結合を可能にする又は発現ベクターの構築を円滑にするヌクレオチド制限部位に適合するアミノ酸の包含、及びCFXTEN融合タンパク質の領域における立体障害を減らすように設計されるリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0237】
実施形態では、スペーサー配列は、FVIII成分がその所望の三次構造をとり得るように及び/又はその標的基質若しくは処理酵素と適宜相互作用しうるように立体障害を減らすためにXTEN配列とFVIII成分との間に導入することができる。スペーサー及び望ましいスペーサーを特定する方法については、たとえば、参照によって特に本明細書に組み入れられるGeorgeら、(2003)Protein Engineering、15:871-879を参照のこと。一実施形態では、スペーサーは長さ1~50アミノ酸残基の間、又は約1~25残基、又は長さ約1~10残基の間である1以上のペプチド配列を含む。切断部位を除いてスペーサー配列は20の天然のLアミノ酸のいずれを含むこともでき、好ましくは、残基の大半が、たとえば、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、プロリン(P)及びアスパラギン酸(D)のような、しかし、これらに限定されない立体的に障害されない親水性アミノ酸であるという点でXTEN様の特性を有するであろう。スペーサーは、単一のグリシン残基、ポリグリシン若しくはポリアラニンであることができ、又は主としてグリシン、セリン及びアラニンの残基の組み合わせの混合物である。一実施形態では、スペーサー配列は切断部位のアミノ酸を除いて、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、及びプロリン(P)から選択されるアミノ酸から成る約1~10のアミノ酸を有し、Chou-Fasman及びGORのアルゴリズムによって決定されるような、たとえば、約10%未満又は約5%未満の二次構造を実質的に欠いている。一実施形態では、スペーサー配列はGPEGPS(配列番号1612)である。別の実施形態では、スペーサー配列は表12の切断配列に連結されたGPEGPS(配列番号1612)である。加えて、スペーサー配列は、スペーサーにて利用される疎水性アミノ酸を回避する又はその数を制限することによって部分的に達成することができるT細胞エピトープの導入を回避するように設計され;エピトープの決定は上記及び実施例に記載される。
【0238】
特定の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、ペイロードFVIII配列と融合タンパク質に組み入れられる1以上のXTENとの間の接合部で連結される1以上のスペーサーを含み、スペーサー配列は制限部位をコードするヌクレオチドに適合するアミノ酸を含む。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、ペイロードFVIII配列と融合タンパク質に組み入れられる1以上のXTENとの間の接合部で連結される1以上のスペーサーを含み、スペーサー配列は制限部位及びアミノ酸をコードするヌクレオチドに適合するアミノ酸を含み、1以上のスペーサー配列のアミノ酸はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)、及びプロリン(P)から選択される。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質は、ペイロードFVIII配列と融合タンパク質に組み入れられる1以上のXTENとの間の接合部で連結される1以上のスペーサーを含み、スペーサー配列は制限部位をコードするヌクレオチドに適合するアミノ酸を含み、1以上のスペーサー配列は表11の配列から選択される。各スペーサー配列の正確な配列は、特定のCFXTEN構築物に使用される発現ベクターにおけるクローニング部位に適合するように選択される。一実施形態では、XTENに適合する特性を有する。一実施形態では、スペーサー配列はGAGSPGAETA(配列番号178)である。FVIII配列に内部で組み入れられるXTEN配列については、各XTENは一般に、制限部位に適合するアミノ酸を含む2つのスペーサー配列によって隣接されるが、N又はC末端に結合したXTENは2つの成分の接合部にて単一のスペーサー配列及びベクターへの組み入れについて反対側の末端の別のスペーサー配列を必要とするに過ぎない。当業者に明らかなように、FVIIIに対して内部である制限部位に適合するアミノ酸を含むスペーサー配列は、CFXTEN遺伝子全体が合成で生成される場合、構築物から除外され得る。
【0239】
【0240】
別の態様では、本発明は、スペーサー配列に組み入れられた切断部位を伴ったCFXTENの構造を提供する。一部の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質組成物におけるスペーサー配列は、1以上の切断配列を含み、それは同一又は異なっており、
図12に示すように、切断配列はプロテアーゼによって作用して融合タンパク質からFVIII、FVIIIの成分(たとえば、Bドメイン)又はXTEN配列を放出し得る。一実施形態では、CFXTENへの切断配列の組み入れは、XTENからの放出の際、活性化する又はさらに活性化する(因子IXa及びXについて膜結合部位として作用する能力に関して)FVIIIの成分の放出を可能にするように設計される。前述の実施形態では、CFXTENのFVIII成分の凝固促進活性は、切断の後、無傷のCFXTENに比べて少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%上昇する。切断配列は、FVIII配列に十分に接近して、一般にFVIII配列の18、又は12、又は6、又は2アミノ酸の範囲内に位置づけされるので、切断後のFVIIIに連結された残りの残基はFVIIIの活性(たとえば、凝固タンパク質への結合のような)を感知できるほど干渉することはないが、切断配列の切断を達成することができるプロテアーゼへの十分なアクセスを提供する。場合によっては、切断配列を含むCFXTENは、FVIIIと切断配列との間又はXTENと切断配列との間に1以上のスペーサー配列アミノ酸も有してプロテアーゼのアクセスを円滑にし;スペーサーアミノ酸は好ましいアミノ酸としてグリシン、セリン及びアラニンを含む天然アミノ酸を含む。一実施形態では、切断部位は、CFXTENが対象に投与の後、切断され得るように哺乳類対象に内在するプロテアーゼによって切断され得る配列である。そのような場合、CFXTENはFVIIIについてのプロドラッグ又は循環デポーとして役立つことができる。前述の特定の構築物では、CFXTENは、活性化された凝固因子によって作用することができる切断配列を介してFVIII-BDDのN末端及び/又はC末端に連結される1又は2のXTENを有し、XTENが放出されて、天然の活性化されたFVIIIに類似するFVIIIの形態を残すようにR740位及びR1689位にてプロセシングアミノ酸の間に位置する追加のXTENを有する。前述の構築物の一実施形態では、切断配列の切断によって融合タンパク質から放出されるFVIIIは、無傷のCFXTEN融合タンパク質に比べて少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約20倍、高い活性を示す。
【0241】
本発明によって企図される切断部位の例には、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIIa、FVIIIa、FXa、FIIa(トロンビン)、エラスターゼ-2、グランザイムB、MMP-12、MMP-13、MMP-17又はMMP-20から選択される哺乳類の内在性のプロテアーゼによって、又はたとえば、TEV、エンテロキナーゼ、PreScission(商標)プロテアーゼ(リノウイルス3Cのプロテアーゼ)、及びソルターゼAのような非哺乳類のプロテアーゼによって切断可能なポリペプチド配列が挙げられるが、これらに限定されない。前述のプロテアーゼによって切断されることが知られた配列及びその他は当該技術で既知である。本発明によって企図される例となる切断配列及び配列内の各切断部位は、その配列変異体と同様に表12に提示する。組み入れられた切断配列を含むCFXTENについては、1以上の切断配列が活性化された凝固タンパク質にとっての基質であることが一般に好まれる。たとえば、トロンビン(活性化された凝固因子II)は配列LTPRSLLV(配列番号1618)[Rawlings N.D., et al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]に作用し、それは配列における4位のアルギニンの後で切断する。活性のあるFIIaはリン脂質及びカルシウムの存在下でFXaによるFIIの切断によって生じ、凝固経路におけるVIIIから下流にある。いったん活性化されると、凝固におけるその天然の役割は、フィブリノーゲンを切断し、次いで順次凝固形成を開始することである。FIIa活性は厳しく制御され、正しい止血に凝固が必要である場合にのみ存在する。FVIIIとXTEN成分との間でFVIIIとXTEN成分を連結するCFXTENにLTPRSLLV配列(配列番号1618)を組み入れることによって、凝固が生理的に必要な場合、外因性の又は内在性の凝固経路の活性化と同時に隣接するFVIIIからXTENが取り外され、それによってFVIIIを選択的に放出する。別の実施形態では、本発明は、FVIIIと内在性の凝固系の開始によってのみ作用するXTEN成分との間に組み入れられたFXIa切断配列をCFXTENに提供し、その際、FXIaによってXTENからFVIIIの凝固促進形態が放出され、凝固カスケードに加わる。特定の理論に束縛されることを意図しないが、前述の実施形態のCFXTENは、活性のある凝固の部位を除いて他の凝固因子からFVIIIを引き離すので、最少の安全性懸念でさらに大きな用量(従ってさらに長い投与間隔)を可能にすると考えられる。
【0242】
従って、切断配列、特に表12に列記する凝固促進剤が活性化した凝固タンパク質に感受性のものは、CFXTENの特定の実施形態では、CFXTENの無傷の形態から放出されるFVIII成分の程度の高い活性を提供すると共に、対象に投与された高用量のCFXTENに対して追加の安全域を提供するFVIIIの持続性放出を提供することができる。一実施形態では、本発明は、切断の際、融合タンパク質からFVIIIを放出するように操作可能に位置づけられた1以上の切断配列を含むCFXTENを提供し、その際、1以上の切断配列は、表12から選択される配列に対して少なくとも約86%又は少なくとも約92%又は100%の配列同一性を有する。
【0243】
一部の実施形態では、切断部位(合計4~6のアミノ酸)の両側に隣接するたった2又は3のアミノ酸が切断配列に組み入れられ、それが今度は実施形態のCFXTENに組み入れられて、たとえば、XTEN放出部位を提供する。他の実施形態では、表12の組み入れられた切断配列は、既知の配列における1又は2又は3のアミノ酸について1以上の欠失又は挿入又は1若しくは2若しくは3のアミノ酸の置換を有することができ、その際、欠失、挿入又は置換はプロテアーゼに対する低下した又は強化された感受性を生じるが、プロテアーゼに対する感受性の欠如を生じることはなく、XTENからのFVIIIの放出速度を誂える能力を生じる。本発明のCFXTENで利用される切断配列の範囲内での例となる置換を表12に示す。
【0244】
【表12】
スラッシュの前、間又は後の複数のアミノ酸のリストはその位置で置換することができる代わりのアミノ酸を示す。「-」は間の欄で示される対応するアミノ酸についてアミノ酸が置換され得ることを示す。
6.例となるCFXTEN融合タンパク質の配列
【0245】
1以上のXTENに連結された単一のFVIIIを含有する融合タンパク質の配列の非限定例を表21に提示する。表21の例となるアミノ酸(及びそれらをコードするDNA配列)は精製目的でHisタグを含有するが、それは当業者に明らかなように、CFXTEN融合タンパク質の凝固促進活性に影響を有ることなく配列から削除することができる。一実施形態では、表21のCFXTENはさらに、天然のヒトFVIIIのそれ(すなわち、MQIELSTCFFLCLLRFCFS(配列番号1611))に対応するN末端にてアミノ酸を含んでCFXTEN融合タンパク質の発現及び分泌に役立つ。一実施形態では、CFXTEN組成物は、最適に並べた場合、表21のCFXTENに比べて少なくとも約80%の配列同一性を有する、或いは、表21のCFXTENに比べて少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%の配列同一性を有する融合タンパク質を含む。別の実施形態では、CFXTEN組成物は、C末端his-his-his-his-his-his配列(配列番号1700)が削除された表21に由来する融合タンパク質を含む。しかしながら、本発明はまた、表21のCFXTENのFVIII成分についての表1のFVIII配列のいずれかの置換、及び/又は表21のCFXTENのXTEN成分についての表3、4及び13~17のいずれか1つの配列の置換も企図する。一般に、前述の例の得られたCFXTENはXTENに連結されていない対応するFVIIIの凝固促進活性の少なくとも一部を保持する。この段落で記載された上文の前述の融合タンパク質では、CFXTEN融合タンパク質はさらに、1以上の切断配列、たとえば、表12の配列を含むことができ、切断配列は、FVIIIとXTEN配列との間、又はXTENに連結された隣接するFVIIIドメイン間に位置する。切断配列を含む一部の実施形態では、無傷のCFXTEN組成物は、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて無傷な形態であまり活性は有さないが長い半減期を有するが、対象に投与された際、内在性のプロテアーゼによる切断配列の切断によってFVIII成分が融合タンパク質から徐々に放出されるように設計され、その際、FVIII成分は凝固促進活性を示す。
【0246】
実施形態のCFXTEN組成物は、本明細書で記載されるアッセイ又は生体内のパラメータ(たとえば、試験管内の凝固アッセイ、表49のアッセイ、又はFVIII活性を評価するための実施例に記載される方法又は当該技術で既知の他の方法を用いた、前臨床血友病モデル又はヒトにおける臨床試験における薬物動態効果)を用いて活性について評価して、構造又はFVIII配列の変異体の好適性を決定することができ、天然のFVIII配列に比べて少なくとも約30%、又は約40%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は約95%以上の活性を保持するCFXTEN組成物(組み入れられたXTENを放出する切断部位の切断後を含む)がFVIIIに関連する状態の治療で使用するために好適であると見なされる。
【0247】
V)本発明のCFXTEN組成物の特性
(a)CFXTENの薬物動態特性
本発明の目的は、CFXTEN融合タンパク質及びXTENに連結されていないFVIIIに比べて強化された薬物動態を伴うCFXTENを含む医薬組成物を提供することである。所与のXTENをFVIIIに連結することによって強化されるFVIIIの薬物動態特性には、終末相半減期、曲線下面積(AUC)、分布のCmax値、XTENに連結されていないFVIIIに比べて長い時間、最低有効血中単位濃度を超えて生物学的に活性なCFXTENを維持することが挙げられるが、これらに限定されない。強化された特性によってXTENに連結されていないFVIIIの同程度の投与に比べて少ない投与回数及び/又は長く続く凝固促進効果が可能になる。1以上のこれらの特性の強化は、第VIII因子に関連する状態の治療に利益を生じることができる。
【0248】
体外から投与された第VIII因子は、正常なvon Willebrand因子タンパク質と複合体形成した場合、およそ12~14時間のヒトでの終末相半減期を有するが、von Willebrand因子の非存在下では第VIII因子の半減期は2時間に低下することが報告されている(Tuddenham EG, et al., Br J Haematol. (1982) 52(2):259-267; Bjorkman, S., et al. Clin Pharmacokinet. (2001) 40:815)。XTENによって付与される強化された特性の結果、CFXTENは、対象及びその原因となっている状態にとって適当であると判定された用量及び投与計画で使用されると、XTENに連結されていない対応するFVIIIの同程度の用量に比べて長い時間にわたる所望の凝固促進効果又は臨床効果を生じる循環濃度を達成することができる。本明細書で使用されるとき、「同程度の用量」は、対象に投与される組成物について同等のモル/kg又は国際単位/kg(IU/kg)の用量を意味する。XTENに連結されていないFVIIIの「同程度の用量」は、低い重量の薬剤を表すが、用量において本質的に同じIU又はモル当量のCFXTENを有することが理解されるであろう。
【0249】
第VIII因子の国際単位(「IU」)は正常なヒト血漿1mLに存在する凝固活性として当該技術で定義される。正常な、血友病ではない個々のヒトは約100IU/dLの第VIII因子活性を有すると予想される。血友病Aでは、治療するのに必要とされる用量は状態に左右される。軽微な出血については、20~40IU/kgの天然の又は組換えの第VIII因子が通常、必要に応じて投与される。中程度の出血については、30~60IU/kgの用量が必要に応じて投与され、深刻な出血については、80~100IU/kgの用量が必要とされ、出血が解消するまで、20~25IU/kgの用量が8~12時間ごとに繰り返し与えられる。重篤な血友病Aの患者における出血に対する予防法については、天然の又は組換えのFVIII製剤の通常の用量は、約2~3日間隔で体重kg当たり20~40IUである。FVIIIを含む組成物の適当な用量を推定する標準の方程式は:
必要とされる用量=体重(kg)×所望の第VIII因子の上昇(IU/dL又は正常の%)×0.5(IU/dL当たりのIU/kg)である。
【0250】
多くの場合、異なる年齢又は疾患の異なる程度の対象におけるFVIIIについての治療レベルが確立されており、公開された文献で利用可能であり、FVIIIを含有する認可された製品の薬剤ラベルで言及される。たとえば、国際血栓止血学会の学術標準化委員会の第VIII因子及び因子IXの部会は、2000年11月29日のISTHウェブサイトにて血友病Aの最も広く使用される尺度は、血漿FVIIIの凝固促進レベルの循環濃度を測定することによって確立し、<1%(<0.01IU/mL)の第VIII因子を重度、1~5%(0.01~0.05IU/mL)の第VIII因子を中程度に重度、>5~40%(<0.05~<0.40IU/mL)の第VIII因子を軽度として定義し、正常は1IU/mLの第VIII因子C(100%)であるという情報を知らせた。治療のレベルは、定法を用いて、それらCFXTEN及び本開示のCFXTENを含む組成物を含む新しい組成物について確立することができる。本発明を実践することにおいて、有効であるCFXTENの任意の投与量を出血症状の発現を治療するのに又は止血を維持するのに使用し得ることが理解されるであろう。所与の組成物についての治療レベル及び投与スケジュールを確立する方法は当業者に既知である(たとえば、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Edition, McGraw-Hill (2005)を参照)。たとえば、有効性又は望ましい薬理効果、有害事象の出現、及び循環血中レベルの測定を判定するための標的状態を持つ対象における用量漸増試験を用いることによって、所与の薬剤又は生物剤について所与の対象又は対象の集団での治療上の血中レベルを測定することができる。用量漸増試験は血友病Aの対象又は血友病Aの対象の集団における試験を介してCFXTENの活性を評価する。試験は、第VIII因子に関連する状態と関連する1以上のパラメータ又は有益な転帰に関連する臨床パラメータについて、観察及び/又は測定されたパラメータと一緒に、凝固促進剤の血中レベルと同様に当該技術で既知のような生理的又は臨床的なパラメータをモニターして効果のない用量、有害事象、最低有効用量などを、測定された又は引き出される循環血中レベルを確立する薬物動態パラメータと一緒に測定する。次いで結果は、前述の測定されたパラメータ又は有効レベルと一致する治療剤の投与された用量及び血中濃度と相関することができる。これらの方法によって用量の範囲及び血中濃度は、所望の効果が生じる又は維持される最高用量及び血中濃度及び維持され得る期間と同様に最低の有効用量に相関することができ、それによって組成物についての治療上の血中レベル及び投与スケジュールを確立することができる。従って、前述の方法によって、それを下回るとCFXTEN融合タンパク質が所望の薬理効果を有さないCmin血中レベルが確立され、それを上回ると血栓症のような副作用が生じるCmax血中レベルが確立され(Brobrow, RS, JABFP (2005) 18(2):147-149)、組成物についての治療濃度域を確立する。
【0251】
本明細書で開示される手段によって又は当該技術で既知の他の方法によって当業者は、投与されたCFXTENが治療上の血中レベルに保たれ、所望の間隔について止血を維持すること又はXTENの用量若しくは長さ若しくは配列における調整を必要することを確認することができる。さらに、治療濃度域の範囲内でCFXTENを保持する適当な用量及び投与回数の決定は、治療上有効な投与計画を確立し;それを必要とする対象への融合タンパク質の治療上有効な用量を用いた複数の連続する用量の投与のスケジュールは、治療上の有効な濃度を上回って保たれ、標的状態に関連する少なくとも1つの測定されたパラメータの改善を生じる連続するCmax及び/又はCminのトラフを生じる。一実施形態では、適当な用量で対象に投与されたCFXTEN又はCFXTENを含む医薬組成物は、XTENに連結されず、同程度の用量で投与された対応するFVIIIに比べて少なくとも約2倍長い;XTENに連結されず、同程度の用量で投与された対応するFVIIIに比べて代わりに少なくとも約4倍長い、代わりに少なくとも約5倍長い、代わりに少なくとも約6倍長い、代わりに少なくとも約7倍長い、代わりに少なくとも約8倍長い、代わりに少なくとも約9倍長い、代わりに少なくとも約10倍長い、又は少なくとも約12倍長い又は大きい期間について止血を維持するように最低有効濃度を上回って保つCFXTEN融合タンパク質の血中濃度を生じる。本明細書で使用されるとき、「適当な用量」は、対象に投与された際、所望の治療上の又は薬理学的な効果(たとえば、止血)及び/又は治療濃度域の範囲内での血中濃度を生じる薬剤又は生物剤の用量を意味する。
【0252】
本発明を実践することにおいて、患者の利便性を改善し、投与の間隔を大きくし、持続する効果を達成するのに必要とされる量を減らすために、長い終末相半減期を持つCFXTENが一般に好まれる。向上した薬物動態パラメータによって、XTENに連結されていないFVIIIに比べて、特に日常の予防法を受けている血友病Aの対象について主題の組成物の投与を減らすことが可能になる。
【0253】
XTENを含む融合タンパク質の薬物動態特性に関する実施例でさらに完全に記載するように、単独で又は組み合わせでXTENの全長を増やすことは、XTENを含む融合タンパク質の終末相半減期にて不均衡な拡大を付与する。従って、本発明は、対象に投与した際、CFXTENが向上した終末相半減期を示す、CFXTEN融合タンパク質及びCFXTENを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は1以上のXTENを含む単量体のCFXTEN融合タンパク質を提供し、その際、XTENの数及び位置はXTENに連結されず、同程度の用量で投与された対応するFVIIIに比べて対象に投与されるCFXTENについての終末相半減期にて拡大を付与するように選択され、拡大は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて、少なくとも約2倍長い、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約15倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍長い終末相半減期おける拡大である。他の実施形態では、本発明はCXTEN組成物及びCFXTENを含む医薬組成物を提供し、その際、それを必要とする対象への組成物の投与は、XTENに連結されていないFVIIIの同程度の用量に比べて、少なくとも12時間長い、又は少なくとも約24時間長い、又は少なくとも約48時間長い、又は少なくとも約96時間長い、又は少なくとも約144時間長い、又は少なくとも約7日間長い、又は少なくとも約14日間長い、又は少なくとも約21日間長い終末相半減期を生じる。別の実施形態では、それを必要とする対象への凝固に有効な用量のCFXTEN融合タンパク質の投与は、XTENに連結されず、同程度の用量で投与されたFVIIIに比べて連続する投与間で、少なくとも48時間、又は少なくとも72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、又は少なくとも約7日間、又は少なくとも約14日間、又は少なくとも約21日間の約0.1IU/mLの血中レベルを維持するのに必要な連続する投与間の時間の増加を生じることができる。
【0254】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に投与された際、XTENに連結されず、同程度の用量で対象に投与された対応するFVIIIに比べて少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約150%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%、又は少なくとも約500%、又は少なくとも約1000%、又は少なくとも約2000%のAUCの増加を示すCFXTEN融合タンパク質及びCFXTENを含む医薬組成物を提供する。CFXTENの薬物動態パラメータは、投与すること、時間を決めた間隔で血液試料を採取すること、及びELISA,HPLC、放射性アッセイ、凝固アッセイ、表49のアッセイ、又は当該技術で既知の若しくは本明細書に記載される他の方法を用いてタンパク質をアッセイすることを含む定法、その後の、半減期及び他の薬物動態パラメータを引き出すためのデータの標準的な計算によって決定することができる。
【0255】
一実施形態では、止血を維持するのに必要な投与計画のもとで、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて、約2倍少ない、又は約3倍少ない、又は約4倍少ない、又は約5倍少ない、又は約6倍少ない、又は約8倍少ない、又は約10倍以上少ないIU量の融合タンパク質が投与され、融合タンパク質は、止血を維持するのに必要な、XTENに連結されていないFVIIIの対応するIU量と同程度の曲線下面積を達成する。別の実施形態では、CFXTEN融合タンパク質又はCFXTENを含む医薬組成物は血友病Aの対象の日常の予防法について少ない回数の投与を必要とし、その際、融合タンパク質の用量が、約4日ごとに、約7日ごとに、約10日ごとに、約14日ごとに、約21日ごとに又は月に1回投与され、融合タンパク質は、XTENに連結されず、対象に投与された対応するFVIIIと同程度の面積下面積を達成する。さらに他の実施形態では、0.1IU/mLの血中濃度を維持するのに必要とされる投与計画のもとでXTENに連結されていないFVIIIの対応するIU量と比較して約5%、又は約10%、又は約20%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%少ない累積する少ないIU量の融合タンパク質を対象に投与するが、融合タンパク質はXTENに連結されていない対応するFVIIIに少なくとも同程度の曲線下面積を達成する。累積する少ないIU量は、少なくとも約1週間、又は約14日間、又は約21日間、又は約1カ月間の期間についての測定値である。
【0256】
態様の1つでは、本発明は、FVIII結合物質による結合を低下させ、それによって対象に投与されるCFXTENの終末相半減期を拡大する一方で、凝固促進活性を保持するように設計されたCFXTEN組成物を提供する。本発明のCFXTENは、構造化されていないXTENのFVIII凝固因子への添加による分子の低下した能動的クリアランスによって達成される比較的高く及び/又は持続する活性を有すると考えられる。循環からFVIIIを取り除くクリアランス機構は未だ完全には解明されていない。凝固タンパク質の取り込み、排除及び不活化は血管外空間と同様に循環系で起こり得る。凝固因子は多数のタンパク質、脂質及び受容体と相互作用する複雑なタンパク質であり、これらの相互作用の多くは循環からのCFの除去に寄与することができる。タンパク質、von Willebrand因子は、FVIIIに結合するFVIII結合物質の例である。第VIII因子及びvon Willebrand因子(VWF)は、VWFが能動的な切断機構からのFVIIIの保護に寄与すると思われる担体として役立つが、それにもかかわらず、FVIIIの終末相半減期の限定を生じる密接な非共有結合の複合体として血中を循環する。たとえば、(i)VWFはFVIIIのヘテロ二量体構造を安定化する;(ii)VWFは活性化されたタンパク質C及び活性化されたFX(FXa)のようなリン脂質結合プロテアーゼによるタンパク質分解からFVIIIを保護する;(iii)VWFは、活性化された血小板の中で露出された負に荷電したリン脂質表面へのFVIIIの結合を妨害する;(iv)VWFは、活性化されたFIX(FIXa)へのFVIIIの結合を阻害し、それによってFXが活性化する複合体にFVIIIがアクセスすることを否定する;及び(v)VWFは、FVIIIの細胞性の取り込みを妨げる(Lenting, P.J., et al., J Thrombosis and Haemostasis (2007) 5(7):1353-1360)。加えて、LDL受容体関連のタンパク質(α2-マクログロビン受容体又はCD91としても知られるLRP1)はFVIIIのクリアランス受容体の候補として特定されており、LRP1結合部位はFVIIIのヘテロ二量体の双方の鎖上で特定されている(Lenting PJ, et
al.,. J Biol Chem (1999) 274: 23734-237
39; Saenko EL, et al., J Biol Chem (1999) 274: 37685-37692)。LRPは、プロテアーゼ、Kunitz型の
阻害物質、プロテアーゼセルピン複合体、リパーゼ及びリポタンパク質を含む多様なリガンドのクリアランスに関与する(Narita, et al., Blood (1998) 2:555-560)。第VIII因子の重鎖ではなく軽鎖が表面に露出したLRP1受容体タンパク質に結合することが示されており(Lentig et al. (J Biol Chem (1999) 274(34):23734-23739;
and U.S. Pat. No. 6,919,311)、それは、LRP1がFVIIIのようなタンパク質の能動的なクリアランスにて本質的な役割を担い得ることを示唆している。VWF/FVIIIの相互作用は高親和性である(<1nM)一方で、複合体はそれにもかかわらず、力学的平衡にあるので、FVIII分子の少ないが、十分な部分(5~8%)が遊離のタンパク質として循環する(Leyte A, et al., Biochem J (1989) 257: 679-683; Noe DA.
Haemostasis (1996) 26: 289-303)。そのようなもの
として、天然のFVIIIの一部はVWFによって保護されず、保護されないFVIIIを循環から取り除く能動的なクリアランス機構を可能にする。
【0257】
一実施形態では、本発明は、VWFと会合するが、FVIII分子内の1以上の位置(たとえば、表5、表6、表7、表8及び表9、
図8~9から選択される位置)でさらに2つのXTENを組み入れることによって付与される能動的なクリアランス受容体からの向上した保護を有するCFXTENを提供し、その際、XTENは、CFXTENの薬物動態特性がXTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて向上するという結果と共に、得られたCFXTENのそれらクリアランス受容体との相互作用を妨害する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも5%低い、又は約10%、又は約20%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%低いVWFとの低下した結合親和性を有するが、それにもかかわらず、FVIII分子内の1以上の位置でのXTENの組み入れによって付与される能動的なクリアランス受容体からの向上した保護を有するように構成されるCFXTENを提供し、その際、XTENは、第VIII因子のそれら受容体との相互作用を妨害する。前述の実施形態では、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIIIに比べて少なくとも約12時間、又は24時間、又は48時間、又は72時間、又は96時間、又は120時間、又は144時間、又は7日間、又は10日間、又は14日間、又は21日間、長い終末相半減期を有する。本発明は、本明細書に記載される試験管内の結合アッセイ若しくは生体内の薬物動態モデル又は当該技術で既知の他のアッセイを用いて、低下した結合示すが、凝固促進FVIII活性を保持するものを選択して、低下したクリアランスを伴うCFXTENを創る方法を提供し、その際、複数の挿入によって創られたCFXTEN融合タンパク質はXTENに連結されていないFVIIIに比べてクリアランス受容体の結合の阻害について評価される。加えて、前述の融合タンパク質は、さらに強化された薬物動態特性を達成するために少なくとも2.0~3.5のXTENの半径の高い比を有するように最適化することができる。表5、表6、表7、表8及び表9及び
図8~9は、第VIII因子配列の中でのXTENの挿入点の非限定例を提供する。そのような挿入点を用いて、本発明は、少なくとも3つのXTENを分離する約100、又は約200、又は約300、又は約400、又は約500のアミノ酸を伴って挿入された複数のXTENを伴って、さらに能動的なクリアランス機構に対する保護を高めるので、CFXTENの終末相半減期を拡大する構造を有するCFXTEN組成物を企図する。特定の理論に束縛されずに、高い正味電荷を持つCFXTEN組成物(たとえば、AEファミリーのXTENを含むCFXTEN)のXTENは、上述のように、たとえば、血管、組織、又は種々の受容体のような種々の負に荷電した表面とのさほど非特異的ではない相互作用を有すると予想され、それはさらに、低下した能動的なクリアランスに寄与する。逆に、低い正味電荷の又は電荷を持たないCFXTEN組成物(AGファミリーのXTENを含むCFXTEN)のXTENは、細胞(たとえば、血小板)及び血管表面の凝固過程及び凝固因子の活性化の強度に対する既知の寄与を考えると、能動的なクリアランスに寄与しながら、関連する凝固因子の活性を強化することができる表面との程度の高い相互作用を有すると予想される(Zhou, R., et al., Biomaterials (2005) 26(16): 2965-2973; London, F., et al. Biochemistry (2000) 39(32):9850-9858)。本発明は部分的には、挿入されたXTENが形成するランダ
ムコイルによる受容体部位の妨害によって、低下したオン速度又は増加したオフ速度の結果、クリアランス受容体への低下した結合が達成され得る特定のリガンドが低下した結合を生じるという事実を利用する。CFXTEN融合タンパク質の特定の構造の選択は、能動的なクリアランスの低下した速度が達成されるようにクリアランス受容体への結合の程度を低下させるそれらの構造を確認する本明細書開示される方法によって調べることができる。一実施形態では、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIIIに比べてCFXTENの終末相半減期が少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍拡大される、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される位置で挿入される1以上のXTENを有するFVIII-XTENの配列を含む。別の実施形態では、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIIIに比べてCFXTENの終末相半減期が少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍拡大される、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される第1及び第2の位置で挿入される第1及び少なくとも第2のXTENを有するFVIII-XTENの配列を含む。さらに別の実施形態では、CFXTENは、約100、又は約200、又は約300、又は約400、又は約500のアミノ酸によって分離される、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択されるさらに多くのXTENの挿入位置のうち3つを用いて複数のXTEN配列を組み入れるFVIII-XTENの配列を含み、その際、CFXTENの終末相半減期は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍拡大される。この段落の上文で記載された前述の実施形態では、CFXTEN構造に組み入れられたXTENは、同一であることができ、又はそれらは異なることができ、表3、4及び13~17のいずれか1つに由来する配列に対して少なくとも約80%、又は90%、又は91%、又は92%、又は93%、又は94%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%又は99%の配列同一性を有することができ、任意で表12に由来する1以上の切断配列を含んで、CFXTEN融合タンパク質からの1以上のXTENの放出を円滑にすることができる。
【0258】
一実施形態では、本発明は、融合タンパク質のFVIII成分に1以上のXTENを連結することによって融合タンパク質の薬物動態を向上させ強化するCFXTENを提供し、その際、融合タンパク質は、少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍、又は少なくとも約15倍の見かけの分子量係数における増加を有し、対象に投与された際のCFXTENの終末相半減期は、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて少なくとも約2倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍拡大される。前述の実施形態では、少なくとも2つのXTENがCFXTENに組み入れられ、XTENは同一であることができ、又はそれらは、配列組成、正味の電荷又は長さが異なってもよい。XTENは、表3、4及び13~17のいずれか1つに由来する配列に対して少なくとも約80%、又は90%、又は91%、又は92%、又は93%、又は94%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%又は99%の配列同一性を有することができ、任意で表12に由来する1以上の切断配列を含んで、CFXTEN融合タンパク質からの1以上のXTENの放出を円滑にすることができる。
【0259】
従って、本発明は、CFXTEN組成物におけるXTENの種類及び長さの選択及び置き換えによって融合タンパク質の活性の程度、生体利用効率、半減期又は物理化学的な特徴を誂えることができるCFXTEN組成物を提供する。従って、本発明は、表1のFVIII及び表3、4又は13~17のXTEN若しくはXTEN断片が、たとえば、式I~VIIIのいずれか1つから選択される構成にて作出される、又は構築物が所望の特性を有するように表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される位置にてXTENが挿入される組成物を企図する。
【0260】
本発明は、XTENに連結されていない対応するFVIIIの同程度の投与量に比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、又は少なくとも5倍長い時間、それを必要とする対象にて治療上のレベルでFVIII成分を維持することができるCFXTEN組成物を製造する方法を提供する。方法の一実施形態では、対象は日常的な予防法を受けて出血症状の発現を防いでいる。方法の別の実施形態では、対象は、出血症状の発現の治療を受けている。方法の一実施形態では、対象は、正常な血漿におけるFVIII濃度に比べて1%を超える、又は1~5%を超える、又は5~40%を超える凝固促進FVIIIの循環血中濃度を上げる治療を受けている。「凝固促進」は本明細書で使用されるとき、当該技術における一般的な意味を有し、一般に試験管内でのアッセイにおける又は生体内での血塊形成を促進する活性を指す。治療上のレベルでFVIII成分を維持することができる組成物を製造する方法には、FVIIIへの結合に適当な1以上のXTENを選択して所与の用量及び投与計画を考慮して所望の薬物動態特性を提供するステップと、本明細書で開示される構成の1つにおけるCFXTENをコードする遺伝子構築物を創るステップと、コードする遺伝子を含む発現ベクターで適当な宿主細胞を形質転換するステップと、好適な培養条件下で融合タンパク質を発現させるステップと、CFXTENを回収するステップと、CFXTENを哺乳類に投与するステップと、その後、薬物動態特性及びCFXTEN融合タンパク質の活性(たとえば、止血を維持する又は凝固促進剤として役立つ能力)及び投与された組成物の安全性を検証するためにアッセイするステップが含まれる。所望の特性を示すそれら組成物がさらなる使用のために選択される。本明細書で提供される方法によって創られたCFXTENは、いくつかある特性の中で特に、長い時間、治療上のレベルで凝固促進FVIII成分の循環濃度を維持することによって投与された組成物の高い有効性を生じることができる。
【0261】
本発明は、所望の程度の凝固促進及び治療活性及び薬物動態特性、同様に十分な安全性特性を持つCFXTENを提供するために異なる組成又は構成のCFXTEN融合タンパク質をアッセイする方法を提供する。実施例のアッセイ、表49のアッセイ、同様に以下のアッセイ又はFVIIIの特性及び効果をアッセイする当該技術で既知のアッセイを含むが、これらに限定されない特定の試験管内及び生体内のアッセイ又は動物モデルを用いて各構成のCFXTEN及び/又はCFXTENに組み入れるFVIII成分の活性及び機能的特性を評価する。たとえば、とりわけ、一段階凝固アッセイ及び二段階凝固アッセイ(Barrowcliffe TW, Semin Thromb Hemost. (2002) 28(3):247-256)、活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ(Belaaouaj AA et al., J. Biol. Chem.
(2000) 275:27123-8; Diaz-Collier JA. Haemost (1994) 71:339-46)、発色性FVIIIアッセイ(Lethagen, S., et al., Scandinavian J Haematology (1986) 37:448-453)、又は出血時間若しくはトロンボエ
ラストグラフィ(TEG又はROTEM)を用いた動物モデルの薬物力学アッセイのような、凝固促進活性の測定を可能にする機能的なアッセイを実施する。他のアッセイには、結合アッセイ又は競合結合アッセイを用いて標的基質に対するCFXTENの結合親和性を測定すること、たとえば、米国特許第5,534,617号に記載されたようなチップに結合する受容体若しくは結合タンパク質によるBiacoreアッセイ又はELISAアッセイ、本明細書の実施例に記載されるアッセイ、放射性受容体アッセイ、又は当該技術で既知の他のアッセイが挙げられる。CFXTENへのFVIII阻害物質の結合を測定する他のアッセイには、Bethesdaアッセイ又はBethesdaのNijmegen改変が挙げられる。前述のアッセイを使用してFVIIIの配列変異体(単一成分として又はCFXTEN融合タンパク質としてアッセイされる)を評価することができ、天然のFVIIIと比較して、それらが天然のCFと同程度の凝固促進活性を有するのか、又はそれらがCFXTENに含められるのに好適であるように、たとえば、天然のFVIIIに比べて少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%の活性でその一部の分画を有するのかを決定することができる。
【0262】
用量の最適化はあらゆる薬剤にとって重要である。CFXTENの治療上有効な用量又は量は、たとえば、個体の疾患の状態、年齢、性別及び体重、並びに個体にて所望の応答を引き出す投与された融合タンパク質の能力のような因子に従って変化する。たとえば、多様な出血状態又は異常な臨床パラメータ(たとえば、中和抗体)を呈する患者すべてにとってFVIIIの標準単回用量が常に有効であるとは限らない。手術を受け、外傷のある又は高い力価のFVIII阻害抗体を有する血友病Aの患者は一般にさらに多くの及びさらに頻繁な投与を必要とするであろう。一般に、投与量レベルは、各患者の出血症状の発現の重症度及び持続時間と調和する頻度、持続時間及び単位で調整される。従って、CFXTENは、標準の凝固アッセイによって測定したとき、治療上有効な量の融合タンパク質を患者に送達して出血を止めるのに十分な量で、薬学的に受容可能な担体、送達ビヒクル又は安定剤に含まれる。これらの因子の考慮は、臨床的な改善又は出血の停止が達成されないような不十分な効能を生じる量に比べて、CFXTENの治療上又は薬理学的に有効な量及び適当な投与スケジュールを決定する目的で、十分に、当業者の視野の範囲内である。
【0263】
本発明は、本発明のCFXTEN医薬組成物の投与計画を確立する方法を提供する。方法には、投与間の様々な時間を用いて治療上有効な量のCFXTEN医薬組成物を連続用量で投与して所望のパラメータ、血中レベル又は臨床効果を達成する及び/又は維持するのに十分な投与の間隔を決定することが含まれ;有効な間隔での治療上有効な量のそのような連続用量は、第VIII因子に関連する疾患の状態又は症状のためのCFXTENについての治療上有効な投与計画を確立する。予防上有効な量は、生理的な若しくは臨床的な結果若しくは事象;たとえば、出血症状の発現の遅延発症を防ぐのに必要な時間で必要とされる、又は閾値(たとえば、正常の1~5%から5~40%)を超える凝固促進FVIII若しくは同等物の血中濃度を維持するのに必要とされるCFXTENの量を指す。治療の方法では、対象に投与されるCFXTENの投与量は、対象にとって約5~300IU/kg/投与、又は約10~100IU/kg/投与、又は約20~約65IU/kg/投与、又は約20~約40IU/kg/投与の範囲である。好適な投与量は、薬剤への応答に影響し得る他の因子にも左右され得るが、たとえば、出血症状の発現は一般に予防に比べてさらに頻繁な間隔でさらに高い用量を必要とする。
【0264】
一部の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、CFXTEN融合タンパク質組成物及び少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含み、その際、投与は、FVIII欠乏症又は凝固障害に関連する少なくとも1つのパラメータ又は生理的状態のさらに大きな改善を生じ、又は、XTENに連結されていないFVIIIを含み、同程度の用量で投与された医薬組成物の投与が介在するパラメータ、状態若しくは臨床転帰に対する効果に比べてCFXTENのFVIII成分が介在するさらに有利な臨床転帰を生じる。改善されるパラメータの非限定例には、凝固促進FVIIIの血中濃度、低下した活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ時間、低下した一段階又は二段階凝固アッセイ時間、出血症状の発現の遅延発症、低下した発色性FVIIIアッセイ時間、低下した出血時間、出血事象の解消、又は天然のFVIIIに比べてCFXTENに対する低下したBethesda力価が挙げられる。前述の一実施形態では、改善は、閾値(たとえば、正常のFVIIIレベルの1~5%から5~40%)を超える凝固促進FVIII(又は同等物)の循環濃度を達成する用量でのCFXTEN医薬組成物の投与によって達成され、それによって治療上有効な用量を確立する。前述の別の実施形態では、投与期間の長さについて閾値(たとえば、正常のFVIIIレベルの1~5%から5~40%)を超える凝固促進FVIII(又は同等物)の循環濃度を維持する治療上有効な用量を用いたCFXTEN医薬組成物の複数回連続用量の投与によって改善が達成される。方法の別の実施形態では、治療上有効な投与計画を用いたCFXTEN医薬組成物の少なくとも2回の連続用量の投与は、XTENに連結されず、治療上有効な投与計画を用い投与されたFVIIIに比べて、少なくとも約3倍長い;代わりに少なくとも約4倍長い;代わりに少なくとも約5倍長い;代わりに少なくとも約6倍長い;代わりに少なくとも約7倍長い;代わりに少なくとも約8倍長い;代わりに少なくとも約9倍長い又は少なくとも約10倍長い期間について正常なFVIIIレベルの約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、30%又は40%を超える凝固促進FVIII(又は同等物)の循環濃度を維持する。
【0265】
一実施形態では、治療上有効な投与計画を用いて投与されたCFXTEN又はCFXTENを含む医薬組成物は、XTENに連結されず、同程度の投与計画で投与された融合タンパク質の対応する生物学的に活性なタンパク質に比べて、融合タンパク質の血中レベルについて少なくとも2つの連続するCmaxピーク及び/又はCminトラフの間で少なくとも約3倍長い;代わりに少なくとも約4倍長い;代わりに少なくとも約5倍長い;代わりに少なくとも約6倍長い;代わりに少なくとも約7倍長い;代わりに少なくとも約8倍長い;代わりに少なくとも約9倍長い又は少なくとも約10倍長い時間の上昇を生じる。別の実施形態では、治療上有効な投与計画で投与されたCFXTENは、XTENに連結されず、FVIIIについて治療上有効な投与計画を用いて対象に投与された対応する生物学的に活性なタンパク質成分に比べて、医薬組成物の融合タンパク質の少ない回数の投与又はIUで低い総投与量を用いて1又は2又は3以上の測定されたパラメータにて同程度の改善を生じる。測定されるパラメータには、本明細書で開示される臨床的な、生化学的な又は生理的なパラメータのいずれか、又は第VIII因子に関連する状態を持つ対象を評価するための当該技術で既知のその他が挙げられる。
【0266】
(b)CFXTENの薬理学特性及び薬学特性
本発明は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて向上した薬学特性及び薬理学特性を有するXTENに共有結合したFVIIIを含むCFXTEN組成物を提供すると共に、組成物のFVIII成分の治療効果及び/又は凝固促進効果を高める方法を提供する。加えて、本発明は、アルブミン、免疫グロブリンポリペプチドパートナー、短い長さのポリペプチド及び/又は反復配列を持つポリペプチドパートナーを含有するそれら当該技術で既知の融合タンパク質に比べて向上した特性を持つCFXTEN組成物を提供する。加えて、CFXTEN融合タンパク質は、FVIIIのペグ化構築物のような化学結合体に対する十分な利点を提供し、特に組換えCFXTEN融合タンパク質が宿主細胞の発現系で作製され得るという事実を提供し、それは、研究開発段階及び製造段階の双方で時間及びコストを軽減することができると共に、ペグ化された結合体に比べてCFXTENの生成物及び代謝体の双方に由来する毒性の低いさらに均質な定義された生成物を生じる。
【0267】
治療剤として、CFXTENは、以下の非限定の特性:高い溶解性、増大した熱安定性、低下した免疫原性、増加した見かけの分子量、低下した腎クリアランス、低下したタンパク質分解、低下した代謝、向上した治療有効性、血友病Aの対象にて止血を維持することが可能である投与間の長い時間を伴う少ない回数の投与の計画、CFXTEN組成物を皮下に又は筋肉内に投与する能力、皮下に又は筋肉内に投与された場合の吸収の「誂えられた」速度、向上した凍結乾燥安定性、向上した血清/血漿安定性、長い終末相半減期、血流における高い溶解性、中和抗体による低下した結合、低下した能動的なクリアランス、誂えられた基質結合親和性、分解に対する安定性、凍結乾燥に対する安定性、プロテアーゼ対する安定性、ユビキチン化対する安定性、投与の容易さ、他の医薬賦形剤又は担体との相溶性、対象における持続性、保存における高い安定性(たとえば、長い保存可能期間)、等の1以上を含む、XTENを含まない治療剤に勝る多数の利点を持つ。向上した特性の正味の効果は、CFXTEN組成物の使用が、XTENに連結されていないFVIIIに比べて全体的に向上した治療効果を生じることができ、少ない投与回数と関連する経済的な利益を生じることができ、及び/又は第VIII因子に関連する状態を持つ対象に投与した際、改善された患者のコンプライアンスを生じることができることである。
【0268】
本発明は、組成物の投与が、対象の疾患、状態又は障害を評価するのに有用であるとして本明細書で開示される臨床的な又は生化学的なパラメータの少なくとも1つで改善を生じるCFXTEN組成物及びCFXTENを含む医薬組成物を提供する。改善されるパラメータの非限定例には、凝固促進FVIIIの血中濃度、低下した活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ時間、低下した一段階又は二段階凝固アッセイ時間、出血症状の発現の遅延発症、低下した発色性FVIIIアッセイ時間、低下した出血時間、出血事象の解消、又は天然のFVIIIに比べてCFXTENに対する低下したBethesda力価が挙げられる。主題のCFXTENの向上した薬物動態特性は、XTENに連結されていない対応するFVIII成分に比べて融合タンパク質の累積的に低いIU用量を用いてパラメータを維持することを可能にする。一実施形態では、約2~7日間、少なくとも1つのパラメータで改善を達成し、維持するのに必要とされる実施形態のCFXTENのIUでの総用量は、XTENに連結されていない対応するFVIII成分に比べて少なくとも約3倍低く、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍低い。別の実施形態では、2、3又は4回の連続する投与にわたって少なくとも1つのパラメータで改善を達成し、維持するのに必要とされる主題のCFXTENのIUでの総用量は、XTENに連結されていない対応するFVIII成分に比べて少なくとも約3倍低く、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍低い。或いは、本発明は、CFXTENの特定の実施形態を提供し、その際、少なくとも1つのパラメータで改善の達成及び維持を生じる連続する投与間の時間は、XTENに連結されず、同程度のIU用量で投与された対応するFVIII成分に比べて、少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍長い。或いは、本発明は、CFXTENの特定の実施形態を提供し、その際、25IU/kgの投与は、投与の約2~7日後にアッセイした場合、XTENに連結されていない対応するFVIIIの25IU/kgに比べて血友病Aの対象におけるaPTTアッセイ(又は類似の凝固アッセイ)時間にて30%の改善を生じる。さらに別の実施形態では、本発明はCFXTENを提供し、その際、25IU/kgの投与は、投与の約2~7日後にアッセイした場合、XTENに連結されていない対応するFVIIIの25IU/kgに比べて血友病Aの対象における出血時間アッセイの時間で30%の改善を生じる。
【0269】
一実施形態では、融合相手としてのXTENはFVIIIペイロードの溶解性を高める。従って、FVIIIのたとえば、水溶性又は安定性の程度のような薬学特性又は物理化学的特性の向上が望ましい場合、融合タンパク質に組み入れられるXTEN配列の長さ及び/又はモチーフファミリーの組成をそれぞれ選択してCFXTEN組成物の薬学特性全体が向上するように、各融合タンパク質にて異なる程度の溶解性及び/又は安定性を付与し得る。本明細書に記載される方法用いてCFXTEN融合タンパク質を構築し、アッセイし、必要に応じて、物理化学的特性及び調整されたXTENの長さ配列又は位置の選択を確認し、所望の特性を生じることができる。一実施形態では、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIIIに比べて少なくとも約25%高い、又はXTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%、又は少なくとも約400%、又は少なくとも約500%、又は少なくとも約1000%高い水溶性を有する。
【0270】
本発明は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて向上した溶解性及び回収の容易さを伴って発現されたCFXTENを作出し、宿主細胞から回収する方法を提供する。一実施形態では、方法は、約100、又は約200を超える、又は約400を超える、又は約600を超える、又は約800を超える、又は約1000を超える、又は約2000を超える、又は約3000を超えるアミノ酸残基の累積配列長さの1以上のXTENを伴ったCFXTENをコードするポリヌクレオチドで真核宿主細胞を形質転換するステップと、好適な培養及び誘導の条件下で宿主細胞にてCFXTEN融合タンパク質を発現させるステップと、可溶性形態で発現された融合タンパク質を回収するステップを含む。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質の1以上のXTENはそれぞれ、表4及び13~17のいずれか1つから選択される1以上のXTEN又はその断片に比べて少なくとも約80%の配列同一性、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、約100%までの配列同一性を有し、FVIIIは、表1から選択されるFVIIIに比べて少なくとも約80%の配列同一性、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は100%の配列同一性を有し、CFXTEN成分は、本明細書で開示される構成の実施形態のいずれか1つから選択されるN末端からC末端の構成に存在する。
【0271】
VI)CFXTEN組成物の使用
本発明は、CFXTENを含む組成物の投与によって第VIII因子に関連する状態にて有益な効果を達成する方法及び投薬計画を提供する。本明細書で使用されるとき、「第VIII因子に関連する状態」は、第VIII因子欠乏症、第VIII因子欠乏症に関連する出血障害、血友病A、抗FVIII抗体又は他の第VIII因子阻害物質による第VIII因子の中和、及び外傷又は手術又は血管損傷及び対象にFVIIIを投与することによって改善され得る又は是正され得る他のそのような状態から生じる出血症状の発現を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、相対的に短い終末相半減期を有する、頻繁な投与を必要とする、阻害物質によって中和される、又は不都合な医薬品の経済性評価を有する第VIII因子製剤を用いた他の治療方法の短所及び/又は限界に対処しながら、有益な効果を達成する。
【0272】
止血は複数のタンパク質因子によって調節され、そのようなタンパク質は、その類似体と同様に第VIII因子に関連する状態の治療にて有用性を見いだしている。しかしながら、市販のFVIIIはそのような状態を患う対象の管理にて最適な成功には遇えていない。特に、止血と同様に血友病Aの対象における出血症状の発現の治療又は予防に必要とされる閾値レベルを超えて循環するFVIII濃度を維持することで使用されるFVIIIにとっては、用量の最適化及び投与の頻度が重要である。市販のFVIII製品が短い半減期を有するという事実は臨床的な利益を達成するために頻繁な投与を必要とし、それはそのような患者における管理に困難さを生じる。
【0273】
国際血栓止血学会の学術標準化委員会の第VIII因子及び因子IXの部会(2000年11月29日のISTHウェブサイトにて提示された)によって確立されたように、血友病Aの重症度の最も広く使用される尺度は、血漿FVIIIの凝固促進レベルの循環濃度を測定することによって確立し、1%未満(0.01IU/mL未満)の第VIII因子を持つヒトを重度、1~5%(0.01~0.05IU/mL)の第VIII因子を中程度に重度、5%超~40%(0.05IU/mL超~0.40IU/mL未満)の第VIII因子を軽度として定義し、正常は1IU/mLの第VIII因子C(100%)である。
【0274】
本発明は、第VIII因子に関連する状態を患う対象又はそれを発症するリスクにある対象を治療する方法を提供する。さらに詳しくは、本発明は、対象における制御出血を治療する又は予防する方法を提供する。対象は任意の動物であることができるが、好ましくはヒトである。一実施形態では、方法は、それを必要とする対象に凝固に有効な量のCFXTEN組成物を投与することを含む。別の実施形態では、方法は出血のある対象にCFXTENを含む凝固に有効な量の医薬組成物を投与するステップを含み、その際、投与は出血の停止又は減衰を生じる。本明細書で使用されるとき、「凝固に有効な量」は、対象に投与した場合、止血又は他の有益な若しくは所望の治療(予防を含む)成績を達成するのに十分であるFVIII組成物の量である。本発明を実践することにおいて、1以上の投与において凝固に有効な量を投与することができることが理解されるであろう。投与される医薬組成物の正確な凝固に有効な量は実行者の判断によって導かれるであろうが、単位用量は一般に出血の重症度又は原因及び対象における既存のFVIIIの量に左右されるであろう。出血を治療する方法の特定の実施形態では、出血症状の発現を患う対象にCFXTENを含む凝固に有効な量の医薬組成物が投与され、その際、投与は、XTENに連結されず、同程度の用量で同程度の出血のある同程度の対象に投与されたFVIIIに比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも4倍長い時速時間の間、出血の解消を生じる。
【0275】
別の実施形態では、第VIII因子に関連する状態を伴う対象への凝固に有効な量のCFXTEN組成物の投与は、投与後2~7日の間で測定した場合、XTENに連結されていないFVIIIに比べてFVIIIの状態に関連する1以上の生化学的な、生理学的な、又は臨床的なパラメータの10%、又は20%、又は30%」、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%以上の改善を生じる。別の実施形態では、それを必要とする対象への凝固に有効な量のCFXTEN組成物の投与は、XTENに連結されず、同程度の用量で投与されたFVIIIによって達成される期間に比べて、少なくとも2倍長い、又は少なくとも4倍長い、又は少なくとも5倍長い、又は少なくとも6倍長い期間の間、FVIIIの状態に関連する1以上の生化学的な、生理学的な、又は臨床的なパラメータの改善を生じる。長い持続時間の間、改善されるパラメータの非限定例には、凝固促進FVIIIの血中濃度、低下した活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ時間、低下した一段階又は二段階凝固アッセイ時間、出血症状の発現の遅延発症、低下した発色性FVIIIアッセイ時間、低下した出血時間、とりわけ、当該技術で既知のFVIII関連のパラメータが挙げられる。段落の前述の実施形態では、投与されたCFXTENは、表1の第VIII因子に対して少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の配列同一性を持つFVIIIと、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される又は
図8~9に描かれるような1以上の位置でFVIIIに挿入される表4のXTENに対して少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の配列同一性を持つ1以上のXTENを含む。特定の実施形態では、CFXTENの少なくとも1つのXTENの挿入部位は、アミノ酸32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905及び1910(天然の成熟ヒトFVIIIに対して番号付けされた)から選択される。
【0276】
治療方法の特定の実施形態では、血友病Aを患う対象に投与される凝固に有効な量のCFXTEN融合タンパク質は、循環するFVIII凝固促進剤の濃度を0.05IU/mLより高く高めるのに、及び少なくとも約24時間、又は少なくとも約48時間、又は少なくとも約72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、又は少なくとも約144時間、又は少なくとも約168時間以上、止血を維持するのに十分である。別の実施形態では、それを必要とする対象へのCFXTENを含む凝固に有効な量の医薬組成物の投与は、XTENに連結されていない同程度の量の対応するFVIIIの投与後の対象におけるアッセイ時間に比べて、投与の2~7日後での対象に由来する血液試料にて少なくとも約5%、又は約10%、又は約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%以上の、一段階凝固アッセイ時間における大きな低下を生じる。別の実施形態では、それを必要とする対象への治療上有効な量のCFXTEN又はCFXTENを含む医薬組成物の投与は、XTENに連結されていない同程度の量の対応するFVIIIの投与後の対象における活性化部分プロトロンビン時間に比べて、投与の2~7日後での対象に由来する血液試料にて少なくとも約5%、又は約10%、又は約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%以上の、活性化部分プロトロンビン時間における大きな低下を生じる。別の実施形態では、治療上有効な量を用いたそれを必要とする対象へのCFXTEN又はCFXTENを含む医薬組成物の投与は、XTENに連結されず、同程度の用量を用いて対象に投与されたFVIIIのそれに比べて、少なくとも2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍長い時間の間、対象に由来する血液試料にて正常の30%以内での活性化部分プロトロンビン時間の維持を生じる。
【0277】
治療方法の一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質が製剤化され、薬学的に受容可能な賦形剤との混合物にてCFXTENを含む医薬組成物として投与される。医薬製剤を作製する方法は当該技術で周知である。技法及び製剤化は一般にRemingtonのPharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.1990(Wang and Hanson,
Parenteral Formulations of Proteins and
Peptides: Stability and Stabilizers, Journal of Parenteral Science and Technology , Technical Report No. 10, Supp. 42-2S (1988)も参照のこと)にて見いだされ得る。
【0278】
別の態様では、本発明は、血友病Aの患者を治療する投薬計画を提供し、前記投薬計画はCFXTEN融合タンパク質を含む組成物を含む。血友病Aの患者を治療する投薬計画の一実施形態では、投薬計画はさらに、患者にて止血を達成するのに必要とされるCFXTENを含む医薬組成物の量を決定するステップを含む。投薬計画の一実施形態では、(i)さもなければ同じ用量の投薬計画のもとでのXTENに連結されていない対応する凝固因子に比べて、約2倍少ない、又は約3倍少ない、又は約4倍少ない、又は約5倍少ない、又は約6倍少ない、又は約8倍少ない、又は約10倍少ない、少ないIU量の、CFXTENを含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与し、融合タンパク質は、XTENに連結されていない対応するFVIIIと同程度の曲線下面積(IU/mLに基づいて)及び/又は同程度の治療効果を達成し;(ii)さもなければ同じ投与量のもとでXTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて少ない頻度で(たとえば、3日ごとに、約7日ごとに、約10日ごとに、約14日ごとに、約21日ごとに、又は毎月)医薬組成物が投与され、融合タンパク質は、同程度の曲線下面積及び/又はXTENに連結されていない対応する凝固因子と同程度の治療効果を達成し;又は(iii)さもなければ同じスケジュールのもとでXTENに連結されていない対応するFVIIIに比べて少なくとも約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%少ない累積した少ないIU量の医薬組成物が投与され、CFXTEN融合タンパク質はXTENに連結されていない対応するFVIIIと同程度の治療効果を達成する。累積した少ないIU量は、少なくとも約1週間、又は約14日間、又は約21日間、又は約1ヵ月間の期間、測定される。前述の実施形態では、治療効果は、凝固促進FVIIIの血中濃度、低下した活性化部分プロトロンビン(aPTT)アッセイ時間、低下した一段階又は二段階凝固アッセイ時間、出血症状の発現の遅延発症、低下した発色性FVIIIアッセイ時間、低下した出血時間、出血事象の解消、又は天然のFVIIIに比べてCFXTENに対する低下したBethesda力価、フィブリノーゲンのレベル、又はFVIIIの凝固障害を評価するための当該技術で既知の他のアッセイを含む、本明細書で記載される測定されたパラメータのいずれかによって判定することができる。別の実施形態では、本発明は、有効量にて2回以上の連続用量でCFXTEN組成物を対象に投与することを含む血友病Aの対象を治療するための投薬計画にて使用するCFXTENを提供し、その際、投与は、XTENに連結されず、同程度の用量を用いて投与されたFVIIIに比べて、少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%大きい、疾患に関連する少なくとも1、2又は3のパラメータの改善を生じる。
【0279】
態様の1つでは、本発明は、FVIIIに対する既存の阻害物質を有する患者、任意で血友病Aの患者における出血を防ぐ又は治療する方法に関する。FVIIIに対する阻害抗体は一般に血友病患者にて発生し、阻害物質を発生する全体的な発生率は、FVIII濃縮物に強度に暴露される特に血友病患者にて15~30%である(Algiman et al. Natural antibodies to factor VIII (anti-hemophilic factor) in healthy individuals. PNAS USA (1992) 89: 3795-3799)。しかしながら、阻害抗体は、自己免疫疾患、悪性腫瘍(たとえば、リンパ球増殖性疾患、リンパ腫及び固形腫瘍)、妊娠中及び分娩後の状態でも生じる。抗体がFVIIIのFIX及びFXへの結合を妨害する場合も阻害が生じ得る。同時に又は代わりに、抗FVIII抗体がvon Willebrand因子及び/又はリン脂質のFVIIIへの結合を妨害し、凝固及び/又はFVIIIの半減期に影響を及ぼすことができる。阻害抗体の存在は、痣のでき易さ及び制御されない出血のような症状によって最初に検出されることが多く、普通、後天性の血友病と呼ばれる。抗FVIII抗体は、凝固アッセイにおける抗FVIII活性の定量、FVIII阻害物質のためにELISA及びクロマトグラフィと免疫吸収を用いた精製を含む様々な方法によって測定することができる(Algiman
et al., 1992)。従って、本発明の方法は、FVIIIに対する阻害抗体の存在に関連する又はそれを特徴とする状態の治療及び予防で使用される。一実施形態では、本発明は、FVIIIに対する既存の阻害物質を有する患者を治療する方法を提供し、該方法は、投与されて止血を達成しなければならない凝固に有効な量のCFXTEN融合タンパク質を患者に投与するステップを含み、投与された融合タンパク質の凝固に有効な量は、投与されて止血を達成しなければならないXTENに連結されていないFVIII(又は天然のFVIII)の量に比べて低下する。方法では、CFXTENの低下した量は、XTENに連結されていない対応するFVIIIに比べてIU/kgで約2倍、又は3倍、又は4倍、又は5倍少ない。方法の別の実施形態では、止血を達成するための用量として投与されるCFXTENの量は、止血を達成するのに必要とされるXTENに連結されていない対応するFVIII又は天然のFVIIIに比べて、少なくとも20~40IU/kg少なく、又は30~60IU/kg少なく、又は40~80IU/kg少なく、又は60~100IU/kg少なく、又は100~140IU/kg少なく、又は120~180IU/kg少なく、又は140~200IU/kg少ない。別の実施形態では、本発明は、XTENに連結されていないFVIIIに対して少なくとも10、又は20、又は30、又は40、又は50、又は75、又は100、又は150、又は200多いBetheasda単位の力価を有する血友病Aの対象における出血症状の発現を治療する方法を提供し、その際、出血症状の発現を停止するのに必要とされるCFXTEN融合タンパク質の用量は、同程度の対象にて投与されて止血を達成しなければならないXTENに連結されていないFVIII(又は天然のFVIII)の量に比べて、少なくとも2倍、又は3倍、又は4倍、又は5倍、又は6倍、又は7倍、又は8倍、又は9倍、又は10倍少ない。止血を維持するために投与される凝固促進剤の量はFVIII欠乏症の重症度及び/又は出血の頻度若しくは持続時間に左右されることが当業者によって理解されるであろう。
【0280】
本発明の特定の目的は、薬剤としての第VIII因子のA2ドメイン及び/又はC2ドメインを結合するFVIII阻害物質によって結合が低下したCFXTENの使用に関する。そのような薬剤は、血友病を患う患者における止血を維持するのに有利に使用され、その際、そのような患者は第VIII因子のA2ドメイン及び/又はC2ドメインに対して向けられた循環するFVIII阻害物質を有する。一実施形態では、本発明は、治療する方法を提供し、該方法は、A2ドメイン結合阻害物質を伴う患者に、凝固に有効な量のCFXTEN融合タンパク質を投与するステップを含み、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIII又は天然のFVIIIに比べて少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%以下の、FVIIIのA2ドメインを結合する阻害物質への結合を示し、投与は止血を生じる。別の実施形態では、本発明は、治療する方法を提供し、該方法は、C2ドメイン結合阻害物質を伴う患者に、凝固に有効な量のCFXTEN融合タンパク質を投与するステップを含み、CFXTENは、XTENに連結されていないFVIII又は天然のFVIIIに比べて少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%以下の、FVIIIのC2ドメインを結合する阻害物質への結合を示し、投与は止血を生じる。主題のCFXTENの低下した結合は、FVIII阻害物質を検出するELISAによって直接アッセイすることができ、又は本明細書で記載されるような第VIII因子発色性試験若しくは一ステップアッセイによって測定されるように阻害物質の存在下で天然のFVIIIに比べたCFXTENのFVIII活性の低下した阻害を示すことによって、又は当該技術で既知の他の好適な凝固法によって間接的に測定することができる。或いは、主題のCFXTENは、改変したBethesdaアッセイの使用によって既知の阻害物質の存在下で低下した阻害(又はその非存在)について測定することができる。本発明の特定の態様によれば、方法にて有用なCFXTENは、血友病患者で見いだされる天然に存在する抗体と同様に表10からの1以上の抗体に対して低下した反応性を有する。試験目的で、そのような及び他の阻害抗体をヒト患者から(たとえば、阻害抗体を有する患者の血清から)得ることができ、又はFVIII若しくはその断片、さらに詳しくはA2ドメイン若しくはC2ドメインのすべて若しくは一部を含む断片によって免疫されたマウス、モルモット、ウマ、ヤギ、非ヒト霊長類、及び他の哺乳類から、ポリクローナル又はモノクローナルのいずれかの形態で得ることができる。
【0281】
本発明はさらに、本明細書で提供される方法に従って使用されるCFXTENを、第VIII因子に関連する状態、又は凝固因子が補助療法である状態、たとえば、外傷又は手術による出血症状の発現を治療するのに有用な他の治療方法及び組成物(たとえば、他の凝固タンパク質)と併せて投与することができることを企図する。
【0282】
別の態様では、本発明は、表1から選択される第VIII因子の配列を表5、表6、表7、表8及び表9から選択される1以上の挿入部位に挿入される表4から選択される1以上のXTENと組み合わせて天然のFVIIIの活性の少なくとも一部を保持する薬剤を生じることを含む、第VIII因子に関連する状態のための薬剤を調製する方法を提供する。本発明は、前述の実施形態の薬剤を少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体と組み合わせるステップを含む医薬組成物を調製する方法を提供する。第VIII因子に関連する状態のための薬剤を調製する方法の一実施形態では、第VIII因子は、表1から選択される配列に比べて少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の配列同一性を持つ配列を有し、1以上のXTENは、表3、4及び13~17のいずれか1つから選択される配列、又はその断片に比べて少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の配列同一性を持つ配列を有し、その際、1以上のXTENは、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される1以上の挿入部位に挿入される。前述の特定の実施形態では、少なくとも1つのXTENの挿入部位がアミノ酸32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905及び1910(天然の成熟ヒトFVIIIに対して番号付けされた)から選択される。方法の別の実施形態では、CFXTENは、表21のいずれか1つから選択される配列と比較して少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の配列同一性を持つ配列を含む。
【0283】
態様の1つでは、本発明は、CFXTEN組成物を作製する方法を提供して所望の薬物動態特性、薬理学特性又は薬学特性を達成する。一般に、本発明の融合タンパク質組成物の設計及び製造におけるステップには、
図11~13で説明するように、(1)特定の状態を治療するためのFVIII(たとえば、天然のタンパク質、表1の配列、活性を持つ類似体又は誘導体)の選択と;(2)得られたCFXTENにて所望の薬物動態特性及び物理化学的特性を付与する1以上のXTEN(たとえば、表4で示される配列に対して少なくとも80%の同一性を持つ配列)を選択すること(たとえば、CFXTEN組成物の対象への投与は、XTENに連結されていないFVIIIに比べて長い期間、0.05~0.4IU/mLを上回って維持される融合タンパク質を生じる)と;(3)CFXTENの所望のN~C末端の構成を確立して所望の有効性を又は薬物動態パラメータを達成すること(たとえば、表5、表6、表7、表8及び表9から1以上の挿入部位を選択すること)と;(4)構成されたCFXTENをコードする発現ベクターの設計を達成することと;(5)発現ベクターで好適な宿主を形質転換することと;(6)得られた単離されたCFXTEN融合タンパク質を発現させ、回収することが含まれる。CFXTENを作製する方法の一実施形態では、挿入するためのXTENは、方程式IVを適用して融合タンパク質構築物のためのXTEN半径の比を最大化することによって評価され、2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4、又は2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0を超える値を生じるXTENが好まれる。半減期の拡大又は最少の凝固に有効な濃度を超えて費やす時間の増加が所望されるそれらCFXTENについては、組み入れのために選択されるXTENは一般に、単一のXTENがCFXTENに組み入れられるべきである少なくとも約144、又約288、又は約432、又は約576、又は約864、又は約875、又は約912、又は約923アミノ酸残基を有する。別の実施形態では、CFXTENは、前述の長さの第1のXTENと、約36、又は約42、又は約72、又は約144、又は約288、又は約576、又は約864、又は約875、又は約912、又は約923、又は約1000以上のアミノ酸残基の第2のXTENを含む。融合タンパク質内でのXTENの位置は、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される1、2、3、4、5以上の位置を含むことができる。一実施形態では、設計の方法には、アミノ酸32、220、224、336、339、390、399、416、603、1656、1711、1725、1905及び1910(天然の成熟ヒトFVIIIに対して番号付けされた)から選択される少なくとも1つの部位でのFVIIIへのXTENの挿入が含まれる。
【0284】
別の態様では、本発明は、天然のFVIIIに比べて製造の容易さ、高い安定性における結果、高い水溶性、及び/又は製剤化の容易さを改善するためのCFXTENを作製する方法を提供する。一実施形態では、本発明には、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される1、2、3、4、5以上の位置における1以上のXTENに、表1からの配列に少なくとも約80%、又は約90%、又は約95%の同一性を持つFVIIIを連結するステップを含む、FVIIIの水溶性を高める方法が含まれ、その際、XTENは、融合されない状態でのFVIIIに比べて、生理的な条件下で得られたCFXTENの可溶性形態での高い濃度を達成することができるように、表3、4及び13~17のいずれか1つに由来する配列に比べて少なくとも約80%、又は約90%、又は約95%の配列同一性を持つ配列である。特定の実施形態では、CFXTENは、表5、表6、表7、表8及び表9又は
図8~9から選択される部位にて挿入される少なくとも約24、又は約36、又は約48、又は約60、又は約72、又は約84、又は約96、又は約144、又は約288アミノ酸残基を有する2、3、4、又は5のXTENに連結されたFVIIIを含み、その際、生理的な条件下での融合タンパク質の溶解性は、XTENに連結されていない対応するFVIIIよりも少なくとも3倍高く、又は代わりに、XTENに連結されていない対応するFVIIIよりも少なくとも4倍、又は5倍、又は6倍、又は7倍、又は8倍、又は9倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍以上である。融合タンパク質に組み入れた際、XTENの特性に寄与して高い水溶性を付与する因子には、XTENの融合相手の高い溶解性及び溶液におけるXTENの分子間での程度の低い自己凝集、同様にXTENが挿入されるFVIIIの外部ループの親水性の拡張が挙げられる。一部の実施形態では、方法は、生理的な条件下で融合されていないFVIIIに比べて水溶性が、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%大きい、又は少なくとも約50%大きい、又は少なくとも約75%大きい、又は少なくとも約90%大きい、又は少なくとも約100%大きい、又は少なくとも約150%大きい、又は少なくとも約200%大きい、又は少なくとも約400%大きい、又は少なくとも約600%大きい、又は少なくとも約800%大きい、又は少なくとも約1000%大きい、又は少なくとも約2000%大きいCFXTEN融合タンパク質を生じる。一実施形態では、CFXTEN融合タンパク質のXTENは、表3、4及び13~17のいずれか1つに由来する配列に比べて少なくとも約80%、又は約90%、又は約95%の配列同一性を持つ配列である。別の実施形態では、本発明には、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される1以上の部位にて1以上のXTENとFVIIIを連結するステップを含むFVIIIの保存可能期間を増やす方法が含まれ、その際、得られたCFXTENの保存可能期間は融合されていない状態でのFVIIIに比べて延長される。本明細書で使用されるとき、保存可能期間は、溶液中にある、凍結乾燥された又は他の保存製剤中にあるFVIII又はCFXTENの凝固促進活性が活性の過度な喪失を伴わずに安定のままである又は医薬組成物について確立された放出仕様の範囲内でそのままである期間を指す。分解する又は凝集するFVIIIは一般に溶液のままであるものに比べて低下した機能的活性又は低下した生体利用効率を有する。融合タンパク質に組み入れられる際、FVIIIの保存可能期間を延長する方法の能力に寄与する要因には、高い水溶性、溶液における低い自己凝集及びXTEN融合相手の高い熱安定性が挙げられる。特に、XTENの凝集する傾向の低さは、CFの高い薬剤濃度を含有する医薬製剤を製剤化する方法を円滑にし、XTENの熱安定性は、可溶性のままであり、長い期間機能的に活性があるCFXTEN融合タンパク質の特性に寄与する。方法は、同じ保存及び取り扱い条件に供されているFVIII標準品に比べて大きな活性を示す延長された又は拡張された保存可能期間を持つCFXTENを生じる。標準品は、融合されていない完全長のFVIII又は市販のFVIII医薬組成物であり得る。一実施形態では、方法は、その不定形の立体構造を保持するXTENの能力を高め、CFXTENについては、対応する融合されないFVIIIのそれよりも長い時間製剤中で可溶性のままである能力を高める1以上の薬学的に受容可能な賦形剤と共に単離されたCFXTENを製剤化するステップを含む。一実施形態では、方法は、表5、表6、表7、表8及び表9から選択される1以上の部位にて表3、4及び13~17のいずれか1つから選択される1以上のXTENに表1から選択されるFVIIIを連結し、少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤と混合して、少なくとも90日、又は少なくとも6ヵ月、又は少なくとも12ヵ月の時点で比較した場合、同じ保存及び取り扱い条件に供されたFVIIIの標準品の凝固促進活性の約100%を超える凝固促進活性、又は約105%、110%、120%、130%、150%又は200%を超える凝固促進活性を保持する医薬組成物を創ることを含む。保存可能期間はまた保存後残っている機能的な活性という点でも評価してもよく、保存が始まった時の機能的な活性に対して標準化されてもよい。一部の実施形態では、本発明のCFXTEN医薬組成物は、種々の温度条件下で2週間、又は4週間、又は6週間以上までの同じ期間、同じ条件に供された場合、FVIII標準品の凝固促進活性の約50%多い凝固促進活性、又は約60%、70%、80%又は90%多い凝固促進活性を保持する。一実施形態では、CFXTEN医薬組成物は、80℃で10分間加熱した場合、溶液における元々の活性の少なくとも約50%、又は約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%以上を保持する。別の実施形態では、CFXTEN医薬組成物は、37℃で約7日間加熱又は維持した場合、溶液における元々の活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は代わりに少なくとも約90%以上を保持する。別の実施形態では、CFXTEN医薬組成物は、約1時間~約18時間の時間にわたって約30℃~約70℃の温度に暴露した後、その機能的な活性の少なくとも約80%以上を保持する。この段落にて上文で記載された前述の実施形態では、CFXTEN医薬組成物の保持された活性は、XTENに連結されていないFVIIIを含む対応する医薬組成物のそれよりも所与の時点で少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍高い。
【0285】
VII)本発明の核酸配列
本発明は、CFXTENキメラ融合タンパク質をコードするポリ核酸及びその相同性の変異体を含む、CFXTENキメラ融合タンパク質をコードするポリ核酸分子に相補性の配列を提供する。別の態様では、本発明は、CFXTENキメラ融合タンパク質をコードするポリ核酸及びその相同性の変異体を含む、CFXTENキメラ融合タンパク質をコードするポリ核酸分子に相補性の配列を製造する方法を包含する。一般に及び
図11~13で説明するように、CFXTEN融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を作出し、得られた遺伝子産物を発現させる方法には、FVIII及びXTENをコードするヌクレオチドを組み立てることと、成分をインフレームで連結することと、宿主細胞に適する発現ベクターにコードする遺伝子を組み入れることと、発現ベクターで適当な宿主細胞を形質転換することと、形質転換された宿主細胞で融合タンパク質を発現させる又は融合タンパク質が発現するのを可能にする条件下で宿主細胞を培養することと、それによって生物学的に活性なCFXTENポリペプチドを産生することが含まれ、それは当該技術で既知の標準的なタンパク質精製法によって単離された融合タンパク質として回収される。分子生物学における標準の組換え法を用いて本発明のポリヌクレオチド及び発現ベクターを作製する。
【0286】
本発明によれば、CFXTEN(又はその相補体)をコードする核酸配列を使用して適当な宿主細胞でのCFXTEN融合タンパク質の発現を指図する組換えDNA分子を生成する。本発明の目的で、天然のヒトFVIIIのそれに対応するシグナルペプチドをコードする核酸(MQIELSTCFFLCLLRFCFS(配列番号1611)をコードする)を、本明細書で記載されるコードしている構築物のいずれかに加え、CFXTEN融合タンパク質の発現及び分泌に役立てることができる。一実施形態では、添加される核酸は、ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT(配列番号1613)又はその相補体である。
【0287】
本発明を実施するのに幾つかのクローニング戦略が好適であり、その多くを用いて本発明のCFXTEN組成物の融合タンパク質をコードする遺伝子を含む構築物を生成する。一部の実施形態では、クローニング戦略を用いて少なくとも第1のFVIII及び少なくとも第1のXTENポリペプチドを含む単量体CFXTENをコードする遺伝子又はその相補体を創る。前述の一実施形態では、遺伝子は、FVIIIをコードする配列又は配列変異体を含む。他の実施形態では、クローニング戦略を用いて、FVIIIの少なくとも第1の分子又はその相補体並びに第1の及び少なくとも第2のXTEN又はそれらの相補体をコードするヌクレオチドを含み、CFXTEN組成物の融合タンパク質の発現のために宿主細胞を形質転換するのに使用される、単量体CFXTENをコードする遺伝子を創る。この段落にて上文で記載された前述の実施形態では、遺伝子はさらに、切断配列もコードするスペーサー配列をコードする分子を含むことができる。
【0288】
所望のXTEN配列を設計することにおいて、XTENをコードする配列の創製における「構成要素」分子アプローチの使用にもかかわらず、本発明の組成物のXTENの非反復性の性質が達成されることが発見された。これは、上述されたペプチド配列のモチーフをコードするポリヌクレオチドのライブラリを使用し、次いで連結し、多量体化してXTEN配列をコードする遺伝子を創ることによって達成された(
図11及び12及び実施例を参照)。従って、発現された融合タンパク質のXTENはわずか4つの異なる配列モチーフの複数の単位から成り得る一方で、モチーフ自体が非反復性のアミノ酸配列から成るので、全体のXTEN配列は非反復性になる。従って、一実施形態では、XTENをコードするポリヌクレオチドは、非反復性の配列又はモチーフをコードし、インフレームで操作可能に連結され、得られた発現されたXTENアミノ酸配列が非反復性である複数のポリヌクレオチドを含む。
【0289】
アプローチの1つでは、CFXTEN融合タンパク質に対応するDNA配列を含有する構築物を先ず調製する。組成物のFVIIIをコードするDNAは合成で得られ、商業的供給源から得られ、又はFVIIIのmRNAを持ち、検出可能なレベルで発現すると考えられる組織又は単離された細胞から定法を用いて調製されたcDNAライブラリから得られる。必要に応じて、コーディング配列を、上記、Sambrookらで記載されたような従来のプライマー伸長手順を用いて得て、cDNAに転写され得なかったmRNAの前駆体及びプロセシング中間体を検出することができる。次いでポリメラーゼ鎖反応(PCR)の方法論を用いて標的のDNA又はRNAがコードする配列を増幅してFVIII遺伝子を含有するCFXTEN構築物の調製に十分な材料を得ることができる。次いでアッセイを行ってハイブリッド形成している完全長の遺伝子が所望のFVIII遺伝子であることを確認することができる。これら従来の方法によって、そのような供給源から調製されたcDNAライブラリからDNAを都合よく得ることができる。公的に利用可能なデータベース、特許又は文献から得られるDNA配列を用いて、当該技術で既知の標準の合成手順(たとえば、Engelsら(Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 28:716-734 1989)で記載された方法の、たとえば、1つを用いた自動核酸合成)によってFVIIIをコードする遺伝子を創ることができる。そのような手順は当該技術で周知であり、科学文献及び特許文献に十分に記載されている。たとえば、当該タンパク質又はタンパク質の断片又は変異体のアミノ酸配列を含有するCAS登録又はGenBankデータベースにおける登録に対応するncbi.nlm.nih.govでのワールドワイドウエブにて利用可能な、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のウエブページを介して利用可能なケミカルアブストラクトサービス(CAS)登録番号(米国化学会によって公開された)及び/又はGenBank受入番号(たとえば、遺伝子座ID、NP_XXXXX及びXP_XXXXX)モデルタンパク質鑑別子から配列を得ることができる。一実施形態では、FVIIIをコードする遺伝子は表1に由来するタンパク質配列又はその断片又は変異体をコードする。
【0290】
主題のCFXTENタンパク質のFVIII部分をコードする遺伝子又はポリヌクレオチドは、単一のFVIIIを含む発現された融合タンパク質の場合、次いで構築物にクローニングされ、それは生物系における高レベルのタンパク質の発現に適した転写配列及び翻訳配列の制御下でのプラスミド又は他のベクターである。後のステップでは、XTENをコードする第2の遺伝子又はポリヌクレオチドが、FVIIIをコードする遺伝子に隣接して、それとインフレームで構築物にそれをクローニングすることによってFVIII遺伝子のN末端及び/又はC末端をコードするヌクレオチドに遺伝的に融合される。この第2のステップは、連結ステップ又は多量体化ステップを介して生じる。この段落にて上文で記載された前述の実施形態では、創られる遺伝子構築物は代わりに、各融合タンパク質をコードする各遺伝子の相補体であり得ることが理解されるべきである。
【0291】
XTENをコードする遺伝子は、完全に合成で、又は実施例にさらに完全に記載される方法を含む、たとえば、制限酵素が介在するクローニング、PCR及び重複伸長のような酵素法を組み合わせた合成によって1以上のステップで作製することができる。本明細書で開示される方法を用いて、たとえば、XTENをコードするポリヌクレオチドの短い配列を所望の長さ及び配列のさらに長いXTEN遺伝子に連結することができる。一実施形態では、方法は、約9~14アミノ酸、又は約12~20アミノ酸、又は約18~42アミノ酸、又は約42~約144アミノ酸、又は約144~約288アミノ酸、又は288~約864アミノ酸以上、又はモチーフ若しくは断片の長さの前述の範囲の組み合わせのXTENモチーフ又は断片の配列をコードする2以上のコドン最適化オリゴヌクレオチドを連結する。
【0292】
或いは、開示される方法を用いてXTENをコードする配列をさらに長い配列に多量体化する、たとえば、XTENの36アミノ酸をコードする遺伝子を、72アミノ酸をコードする遺伝子に二量体化することができ、次いで144、次いで288等に二量体化することができる。多量体化しても、使用される最短単位のモチーフについて選択されるコドンの設計を介してXTENをコードする遺伝子の反復性が低くなるように又は事実上反復性を有さないようにXTENポリペプチドを構築することができ、それは形質転換された宿主にてコードする遺伝子の組換えを減らし、安定性を高めることができる。
【0293】
反復配列のないXTENをコードする遺伝子を遺伝子合成の定法を用いてオリゴヌクレオチドから組み立てる。遺伝子の設計はコドン使用頻度及びアミノ酸組成を最適化するアルゴリズムを用いて実施することができる。本発明の方法の1つでは、比較的短いXTENをコードするポリヌクレオチドの構築物のライブラリを創り、次いで上述のように組み立てる。次いで得られた遺伝子を
図11及び12で説明されるようにFVIII又はFVIIIの領域をコードする遺伝子と共に組み立て、本明細書で記載されるように、得られた遺伝子を用いて宿主細胞を形質転換し、その特性を評価するためにCFXTENを作出し、回収する。
【0294】
別の態様では、本発明は、本明細書で記載されるCFXTEN融合タンパク質の実施形態をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。一実施形態では、単離された核酸は、(a)最適に並べると表21から選択される同程度の長さの配列に比べて少なくとも約80%配列同一性、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、約100%までの配列同一性を有する配列、又は(b)(a)のポリヌクレオチドの相補体から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、単離された核酸は、(a)の核酸の5’末端に連結される配列ATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGT(配列番号1613)又は(b)の3’末端に連結されるその配列の相補体を含む。
【0295】
ポリヌクレオチドのライブラリ
別の態様では、本発明は、所望の長さ及び配列のXTENをコードする遺伝子を組み立てるのに使用されるXTEN配列をコードするポリヌクレオチドのライブラリを提供する。
【0296】
特定の実施形態では、XTENをコードするライブラリの構築物は固定した長さのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドを含む。最初のステップとして、9~14アミノ酸残基のモチーフをコードするポリヌクレオチドのライブラリを組み立てることができる。好ましい実施形態では、12アミノ酸残基のモチーフをコードするオリゴヌクレオチドのライブラリを組み立てる。
【0297】
図13で模式的に示すように、XTENをコードする配列断片をさらに長いコーディング配列に二量体化又は多量体化することができる。二量体化又は多量体化は当該技術で既知のライゲーション、重複伸長、PCR組み立て又は類似のクローニング法によって行うことができる。得られるXTENをコードする配列が配列の組織化及び所望の長さに達するまでこの過程を複数回繰り返し、XTENをコードする遺伝子を提供する。理解されるように、たとえば、12アミノ酸のモチーフをコードするポリヌクレオチドのライブラリを、36アミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリに二量体化する及び/又は連結することができる。異なる長さのモチーフ、たとえば、27~42アミノ酸をコードするライブラリをもたらす9~14アミノ酸のモチーフをコードするライブラリが本発明によって企図される。同様に、27~42アミノ酸、好ましくは36アミノ酸(実施例で記載されるように)をコードするポリヌクレオチドのライブラリを、本明細書で記載されるように、CFXTEN融合タンパク質をコードする遺伝子への組み入れのための所望の長さのXTEN配列をコードする連続してさらに長い長さのポリヌクレオチドを含有するライブラリに順次二量体化することができる。
【0298】
XTENをコードするDNA配列を最適化するさらに効率的な方法は組み合わせライブラリに基づく。XTENをコードする遺伝子は、複数のコドン型が各断片について得られるように断片で設計し、合成することができる。各ライブラリのメンバーが同じアミノ酸配列をコードするが、ライブラリのメンバーは多数のコドン型を含むように、これらの断片を無作為に遺伝子のライブラリに組み立てることができる。高レベルの発現を生じ及び/切り詰め産物が少ない遺伝子についてそのようなライブラリをスクリーニングすることができる。組み合わせ遺伝子組み立ての過程を
図18で説明する。
図18における遺伝子は6つの断片から組み立てられ、各断片は4つの異なるコドン型で利用可能である。これによって4096の理論上の多様性が可能である。
【0299】
一部の実施形態では、ライブラリは、特定の配列XTENファミリー;たとえば、表4のAD、AE、AF、AG、AM、又はAQの配列に限定されるアミノ酸をコードするポリヌクレオチドから組み立てられる。他の実施形態では、ライブラリは、表3に由来するモチーフファミリーの配列の2以上をコードする配列を含む。36量体をコードするライブラリの代表的な、非限定のポリヌクレオチド配列の名称及び配列を表13~17に提示し、それらを創るのに使用した方法を各実施例にてさらに完全に記載する。他の実施形態では、XTENをコードするライブラリは、アミノ酸をコードする無作為化配列にて連結されたポリヌクレオチドのコドンの断片から構築され、その際、コドンの少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%は、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)アミノ酸のコドンから成る群から選択される。同様にライブラリを連続二量体化又はライゲーションを用いて、たとえば、42、48、72、144、288、576、864、875、912、923、1318アミノ酸、又は約3000アミノ酸の全長までの、同様に中間の長さのXTEN配列をコードするポリヌクレオチド配列のライブラリを達成し、その際、コードされるXTENは、CFXTEN融合タンパク質の成分として発現されると本明細書で開示される特性の1以上を有することができる。場合によっては、ポリヌクレオチドライブラリの配列は以下でさらに完全に記載されるような「配列決定の島」として使用される追加の塩基も含み得る。
【0300】
図14は、本発明の実施形態におけるXTENポリヌクレオチド構築物とCFXTENポリヌクレオチド構築物の集合体での代表的な、非限定のステップの模式的なフローチャートである。個々のオリゴヌクレオチド501を12アミノ酸モチーフ(「12量体」)のような配列モチーフ502にアニーリングし、ライブラリからの追加の配列モチーフに連結して所望の長さのXTEN504を含むプールを創ると共に、BbsI及びKpnI制限部位503を含有するさらに薄い濃度のオリゴに連結する。ライゲーション産物の得られたプールをゲル精製し、所望の長さのXTENを伴ったバンドを切り出し、停止配列505を持つ単離されたXTEN遺伝子を生じる。XTEN遺伝子はスタッファーベクターにクローニングされる。この場合、ベクターは任意のCBD配列506及びGFP遺伝子508をコードする。BbsI/HindIIIによって消化を行って507及び508を取り除き、停止コドンを入れる。次いで、BsaI/HindIIIで消化し、FVIIIをコードする遺伝子を含有するベクターに得られた生成物をクローニングし、FVIII/XTENの融合タンパク質をコードする遺伝子500を生じる。
【0301】
XTENをコードする遺伝子のライブラリを当該技術で既知の1以上のベクターにクローニングしてもよい。上手く発現するライブラリのメンバーの特定を円滑にするために、レポータータンパク質への融合としてライブラリを構築することができる。好適なレポーター遺伝子の非限定例は、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及びβ-ガラクトシダーゼである。スクリーニングによって、選択した宿主生物にて高濃度で発現することができる短いXTEN配列を特定することができる。その後、無作為なXTEN二量体のライブラリを生成し、高レベルの発現のスクリーニングを繰り返すことができる。その後、たとえば、発現のレベル、プロテアーゼの安定性、又は抗血清への結合のような多数の特性について得られた構築物をスクリーニングすることができる。
【0302】
本発明の態様の1つは、配列の創製がコドン最適化を受けている融合タンパク質の成分をコードするポリヌクレオチド配列を提供することである。特に関心があるのは、ポリペプチド組成物の発現を改善して産生宿主にてコードしている遺伝子の遺伝的安定性を改善する目標を持つコドンの最適化である。コドンの最適化は、グリシンが豊富な又は非常に反復するアミノ酸配列を有するXTEN配列にとって特に重要である。コドンの最適化はコンピュータプログラムを用いて行われ(Gustafsson, C., et al. (2004) Trends Biotechnol, 22: 346-53)、その一部はリボソーム停止を最少化する(Coda Genomics Inc.)。一実施形態では、ライブラリのメンバーはすべて同じアミノ酸配列をコードするが、コドン使用頻度が異なるコドンライブラリを構築することによってコドンの最適化を実施することができる。XTENを含有する産物の大規模生産に特に好適である高度に発現し、遺伝的に安定であるメンバーについてそのようなライブラリをスクリーニングすることができる。XTEN配列を設計する際、多数の特性を考慮することができる。コードしているDNA配列にて反復性を最少化することができる。加えて、産生宿主によって稀にしか使用されないコドンの使用を回避する又は最少化することができる(たとえば、大腸菌におけるAGG及びAGAアルギニンコドン及びロイシンのコドン1つ)。大腸菌の場合、2つのグリシンコドン、GGA及びGGGは、高度に発現されたタンパク質では稀にしか使用されない。従って、XTEN配列をコードする遺伝子のコドンの最適化は非常に望ましい。高レベルのグリシンを有するDNA配列は、不安定性又は低い発現レベルをもたらし得る高いGC含量を有する傾向がある。従って、可能な場合、XTENをコードする配列のGC含量がXTENを製造するのに使用される産生生物にとって好適であるようにコドンを選択することが好まれる。
【0303】
一実施形態では、ライブラリのメンバーすべてが同じアミノ酸配列をコードするが、配列における各アミノ酸についてのコドン使用頻度が異なる又は意図される宿主細胞について最適化される開示される方法を用いて、ポリヌクレオチドのライブラリが構築される。XTENを含有する産物の大規模生産に特に好適である高度に発現し、遺伝的に安定であるメンバーについてそのようなライブラリをスクリーニングすることができる。一実施形態では、ライブラリは真核宿主細胞における発現について最適化される。
【0304】
任意で、ライブラリにおけるクローンの配列を決定して望ましくない配列を含有する単離物を排除することができる。短いXTEN配列の最初のライブラリはアミノ酸配列にて若干の変動を可能にする。たとえば、多数の親水性アミノ酸が特定の位置に存在し得るように一部のコドンを無作為化することができる。反復多量体化の過程の間、高レベルの発現についてのスクリーニングに加えて、溶解性又はプロテアーゼ耐性のような他の特徴について得られたライブラリのメンバーをスクリーニングすることができる。
【0305】
所望の長さ及び特性のXTENをコードする遺伝子をいったん選択すると、FVIIIをコードする遺伝子に隣接してインフレームで、又は代わりにFVIIIの隣接ドメインをコードするヌクレオチド間にて、又は代わりに末端XTENに連結されたスペーサー/切断配列をコードするヌクレオチドとインフレームでそれを構築物にクローニングすることによってFVIII遺伝子をコードするヌクレオチドに所望の位置でそれが融合される。本発明は、コードされるCFXTENに応じて前述の種々の並べ替えを提供する。たとえば、式VIで具現化され、上記で描かれたようなFVIIIと2つのXTENを含むCFXTEN融合タンパク質をコードする遺伝子、遺伝子はFVIIIをコードするポリヌクレオチド、組成及び配列の長さが同一であり得る又は異なり得る2つのXTENをコードするポリヌクレオチドを有する。前述の非限定の一実施形態では、FVIIIポリヌクレオチドは第VIII因子をコードし、C末端のXTENをコードするポリヌクレオチドは288アミノ酸のXTENをコードし、A2ドメインのC末端に隣接する内部XTENをコードするポリヌクレオチドは144アミノ酸のXTENをコードする。FVIII遺伝子をXTEN構築物にクローニングするステップは
図14に示すようにライゲーション又は多量体化のステップを介して存在することができる。CFXTEN融合タンパク質をコードする構築物は、式I~VIIIの構成のように、成分XTEN、CF、スペーサー配列の異なる構成で設計することができる。一実施形態では、構築物は、以下の順(5’から3’)のFVIII、XTEN内部からBドメイン及びC末端XTENでの成分の単量体ポリペプチドに相補性のポリヌクレオチド配列又はそれをコードするものを含む。別の実施形態では、構築物は、以下の順(5’から3’)のFVIII、C末端に連結されたスペーサー配列及びXTENでの成分の単量体ポリペプチドに相補性のポリヌクレオチド配列又はそれをコードするものを含む。スペーサーポリヌクレオチドは任意で切断配列をコードする配列を含むことができる。当業者に明らかなように、FVIIIドメイン及び挿入されるXTENの複数の並べ替えが可能である。
【0306】
ヌクレオチド又はアミノ酸の配列の相同性、配列類似性又は配列同一性も、たとえば、BestFit又はGap一対比較プログラム (GCG Wisconsin Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wis. 53711)のような既知のソフトウエア又はコンピュータプログラムを用いて従来通り決定し得る。BestfitはSmith及びWaterman(Advances in Applied Mathematics. 1981. 2: 482-489)の局所相同性アルゴリズムを用いて2つの配列間の同一性又は類似性の最良の断片を見つける。Gapは、Needleman及びWunsch(Journal of Molecular Biology. 1970. 48:443-453)の方法を用いて1つの配列のすべてと別の類似の配列のすべての広範囲のアルゴリズムを行う。Bestfitのような配列比較プログラムを用いる場合、配列の相同性、類似性又は同一性を決定するには、初期設定を使用してもよく、又は適当なスコア化マトリクスを用いて同一性、類似性又は相同性のスコアを最適化してもよい。
【0307】
「相補性」である核酸配列は、標準のワトソン/クリックの相補性規則に従って塩基対形成をすることが可能であるものである。本明細書で使用されるとき、「相補性の配列」という用語は、上述された同一ヌクレオチド比較によって評価され得るとき、又は本明細書で記載されるもののような、ストリンジェントな条件下でCFXTEN配列をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリッド形成することが可能であるとして定義されるとき、実質的に相補性である核酸配列を意味する。
【0308】
CFXTENキメラ融合タンパク質をコードする得られたポリヌクレオチドは次いで個々に発現ベクターにクローニングされる。種々の手順によって核酸配列がベクターに挿入される。一般に、当該技術で既知の技法を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位にDNAが挿入される。ベクターの成分には一般にシグナル配列、複製開始点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサ要素、プロモータ及び転写終結配列の1以上が含まれるが、これらに限定されない。これらの成分の1以上を含有する好適なベクターの構築は、技量のある熟練者に既知の標準の連結法を採用する。そのような技法は当該技術で既知であり、科学文献及び特許文献に十分に記載されている。
【0309】
種々のベクターが公的に利用可能である。ベクターは、たとえば、組換えDNA手順に都合よく供され得るプラスミド、コスミド、ウイルス粒子又はファージの形態であってもよく、ベクターの選択はそれが導入されるべきである宿主細胞に左右されることが多いであろう。従って、ベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実体として存在し、その複製が染色体の複製と無関係であるベクター、たとえば、プラスミドであり得る。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入された際、宿主細胞のゲノムに統合され、それが統合されている染色体と一緒に複製するものであり得る。代表的なプラスミドを、描かれたFVIII及びXTENの異なる構成についてのコードする領域と共に
図17にて説明する。
【0310】
本発明は、宿主細胞に適合性であり、それによって認識され、CFXTEN融合タンパク質の制御された発現のためにCFXTEN遺伝子に操作可能に連結される複製及び制御の配列を含有するプラスミドベクターの使用を提供する。ベクターは普通、複製部位と同様に形質転換された細胞にて表現型選択を提供することが可能であるタンパク質をコードする配列を運ぶ。そのようなベクターの配列は種々の細菌、酵母及びウイルスについて周知である。使用することができる有用な発現ベクターには、たとえば、染色体の、非染色体の、及び合成DNAの配列の断片が含まれる。「発現ベクター」は、好適な宿主にて融合タンパク質をコードするDNAの発現を達成することが可能である好適な制御配列に操作可能に連結されるDNA配列を含有するDNA構築物を指す。必要条件はベクターが複製可能であり、選択した宿主細胞で生存可能であることである。所望のように、低コピー数又は高コピー数のベクターが使用され得る。
【0311】
他の好適なベクターには、SV40の誘導体及びpcDNA及びたとえば、Smithら、Gene、57:31-40(1988)にて記載されたようなcolEI、pCRl、pBR322、pMal-C2、pET、pGEXのような既知の細菌のプラスミド、pMB9及びその誘導体、RP4のようなプラスミド、NM989のようなファージIの多数の誘導体のようなファージDNA、同様にM13及び線維状一本鎖ファージDNAのような他のファージDNA;2ミクロンプラスミド又は2ミクロンプラスミドの誘導体のような酵母プラスミド、同様に動原体の及び統合性の酵母シャトルベクター;昆虫又は哺乳類の細胞で有用なベクターのような真核細胞で有用なベクター;プラスミドとファージDNAの組み合わせに由来するベクター、たとえば、ファージDNA又は発現制御配列を採用するように改変されているプラスミド;等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用することができる酵母発現系には、非融合pYES2ベクター(Invitrogen)、融合pYESHisA、B、C(Invitrogen)、及びpRSベクター等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
ベクターの制御配列には、転写を達成するプロモータ、そのような転写を制御する任意のオペレータ配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写や翻訳の終結を制御する配列が含まれる。プロモータは、選択した宿主細胞にて転写活性を示し、宿主細胞に対して相同性又は非相同性のタンパク質をコードする遺伝子に由来し得るDNA配列であってもよい。
【0313】
哺乳類細胞にてFVIIIポリペプチドの変異体をコードするDNAの転写を指図するのに好適なプロモータの例は、SV40プロモータ(Subramani et al., Mol. Cell. Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ(Palmiter et al., Science 222 (1983), 809-814)、CMVプロモータ(Boshart et al., Cell 41:521-530, 1985)又はアデノウイルス2主要後期プロモータ(Kaufman and Sharp, Mol. Cell. Biol, 2:1304-1319, 1982)である。ベクターはUCOE(普遍性クロマチン開放要素)のような配列も運び得る。
【0314】
線維状真菌宿主細胞で使用するのに好適なプロモータの例は、たとえば、ADH3プロモータ又はtpiAプロモータである。他の有用なプロモータの例は、A.oryzaeのTAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiのアスパラギン酸プロテイナーゼ、A.nigerの中性α-アミラーゼ、A.nigerの酸性安定性α-アミラーゼ、A.niger又はA.awamoriのグルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiのリパーゼ、A.oryzaeのアルカリプロテアーゼ、A.oryzaeのトリオースリン酸イソメラーゼ又はA.nidulansのアセタミダーゼをコードする遺伝子に由来するものである。好まれるのはTAKA-アミラーゼ及びgluAのプロモータである。
【0315】
原核宿主での発現ベクターで使用するのに好適なプロモータには、β-ラクタマーゼ及びラクトースのプロモータ系[Chang et al., Nature, 275:615 (1978); Goeddel et al., Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)のプロモータ系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); EP 36,776]、及びtacプロモータのようなハイブリッドプロモータ[deBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25 (1983)]が挙げられ、すべてCFXTENポリペプチドをコードするDNAに操作可能に連結される。細菌系で使用されるプロモータは、CFXTENポリペプチドをコードするDNAに操作可能に連結されるShine-Dalgarno(S.D.)配列も含有することができる。
【0316】
本発明は、たとえば、pVL941、Summersら、Virology、84:390-402(1978))、pVL1393(Invitrogen)、pVL1392(Summersら、Virology、84:390-402(1978)及びInvitrogen)及びpBlueBacIII(Invitrogen)のような、しかし、これらに限定されない非融合導入ベクターによる、たとえば、バキュロウイルス発現系を含む他の発現系の使用を企図し、たとえば、pAc700(Summersら、Virology、84:390-402(1978))、pAc701及びpAc70-2(pAc700と同じで、読み取りフレームが異なる)、pAc360(Invitrogen)及びpBlueBacHisA、B、C(Invitrogen)のような、しかし、これらに限定されない融合導入ベクターを使用することができる。
【0317】
哺乳類細胞にてFVIIIポリペプチドの変異体をコードするDNAの転写を指図するのに好適なプロモータの例はCMVプロモータ(Boshart et al.、 Cell 41:521-530、 1985)、SV40プロモータ(Subramani
et al.、 Mol. Cell. Biol. 1 (1981)、 854-864)、MT-1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ(Palmiter et al.、 Science 222 (1983)、 809-814)、アデノウイルス2主要後期プロモータ (Kaufman and Sharp、 Mol. Cell. Biol、 2:1304-1319、 1982)である。ベクターはUCOE(普遍性クロマチン開放要素)のような配列も運び得る。
【0318】
CFXTENをコードするDNA配列はまた、必要に応じて、たとえば、hGHターミネータ(Palmiter et al., Science 222, 1983, pp. 809-814)又はTPI1ターミネータ(Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 1982, pp. 419-434)又はADH3(McKnight et al., The EMBO J.
4, 1985, pp. 2093-2099)のような好適なターミネータに操作可能に接続され得る。発現ベクターはまた、プロモータから下流でCFXTEN配列自体の挿入部位から上流に位置する、アデノウイルスから得られるスプライス部位を含むRNAスプライス部位のセットも含有し得る。発現ベクターに含有されるのはまた、挿入部位の下流に位置するポリアデニル化シグナルである。特に好ましいポリアデニル化シグナルには、SV40由来の早期又は後期ポリアデニル化シグナル(上記Kaufman and Sharp)、アデノウイルス5Elb領域に由来するポリアデニル化シグナル、hGHターミネータ(DeNoto et al. Nucl. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)が挙げられる。発現ベクターはまた、プロモータとRNAスプライス部位の間に位置するアデノウイルス2三連リーダーのような非コーディングウイルスリーダー配列;及びSV40のエンハンサのようなエンハンサ配列も含み得る。
【0319】
本発明のCFXTENを宿主細胞の分泌経路に向かわせるには、分泌シグナル配列(a.k.aリーダー配列、prepro配列、又はpro配列)が組換えベクターに含められ得る。分泌シグナル配列はCFXTENをコードするDNA配列に操作可能に連結され、通常、CFXTEN融合タンパク質をコードするDNA配列に対して5’に位置する。分泌シグナル配列は、天然のFVIIIタンパク質と普通に会合したものであってもよく、又は別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来してもよい。非限定例には、大腸菌での発現のためのOmpA、PhoA、及びDsbA、酵母での発現のためのppL-alpha、DEX4、インベルターゼシグナルペプチド、酸性ホスファターゼシグナルペプチド、CPY、又はINU1、並びに哺乳類での発現のためのIL2L、SV40、IgGκ及びIgGλが挙げられる。シグナル配列は通常、転位過程及び分泌過程の間にタンパク質からタンパク質分解で取り外され、規定されたN末端を生成する。方法は、Arnauら、Protein Expression and Purification、48:1-13(2006)にて開示されている。
【0320】
CFXTEN、プロモータ及び任意でターミネータ及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれコードするDNA配列を連結し、複製に必要な情報を含有する好適なベクターにそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者に周知である(たとえば、Sambrook, J. et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” 3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001を参照)。この方法にて、単量体CFXTEN融合タンパク質をコードするキメラDNA分子が構築物の中で生成される。任意で、さらに適した発現ベクターである別の構築物にキメラDNA分子を移し得る又はクローニングし得る。この点で、キメラDNA分子を発現することが可能である宿主細胞をキメラDNA分子で形質転換することができる。
【0321】
本発明で使用するための哺乳類細胞株の非限定例は、COS-1(ATCC CRL1650)、COS-7(ATCC CRL1651)、BHK-21(ATCC CCL10))及びBHK-293(ATCC CRL1573;Grahamら、J.Gen.Virol.36:59-72、1977)、BHK-570細胞(ATCC CRL10314)、CHO-K1(ATCC CCL61)、CHO-S(Invitrogen、11619-012)、及び293-F(Invitrogen、R790-7)、及びFVIIIの発現に有用な当該技術で既知の親細胞株及び誘導体細胞株である。tk-ts13BHK細胞も受入番号CRL1632にもとでATCCから入手可能である。加えて、ラットHepI(ラット肝癌;ATCC CRL1600)、ラットHepII (ラット肝癌;ATCC CRL1548)、TCMK(ATCC CCL139)、ヒト肺(ATCC HB8065)、NCTC1469(ATCC CCL9.1)、CHO (ATCC CCL61)及びDUKX細胞(Urlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216-4220、1980)含む多数の他の細胞株が本発明の範囲内で使用され得る。
【0322】
好適な酵母細胞には、Saccharomyces spp.又はSchizosaccharomyces spp.、特に、Saccharomyces cerevisiae又はSaccharomyces kluyveriの株の細胞が挙げられる。非相同のDNAで酵母細胞を形質転換し、そこから非相同のポリペプチドを産生する方法は、そのすべてが参照によって本明細書に組み入れられる、たとえば、米国特許第4,599,311号、同第4,931,373号、同第4,870,008号、同第5,037,743号、及び同第4,845,075号に記載されている。一般に薬剤耐性又は特定の栄養、たとえば、ロイシンの非存在下で増殖する能力である、選択可能なマーカーにより決定される表現型によって形質転換された細胞を選択する。酵母で使用するのに好まれるベクターは、米国特許第4,931,373号にて開示されたPOT1ベクターである。CFXTENをコードするDNA配列には、たとえば、上述のようにシグナル配列及び任意でリーダー配列が先行する。好適な酵母細胞のさらなる例は、K.lactis、Hansenula、たとえば、H.polymorpha又はPichia、たとえば、P.pastorisのようなKluyveromycesの株(Gleeson et
al., J. Gen. Microbiol. 132, 1986, pp. 3459-3465; 米国特許第4,882,279を参照)である。他の真菌細胞の例は、繊維状真菌、たとえば、Aspergillus spp.、Neurospora spp.、Fusarium spp.又はTrichoderma spp.、特にA.oryzae、A.nidulans又はA.nigerの株である。タンパク質の発現へのAspergillus spp.の使用は、たとえば、EP272277、EP238023、EP184438に記載されている。F.oxysporumの形質転換は、たとえば、Malardierら、1989,Gene、78:147-156に記載されたように実施され得る。Trichoderma spp.の形質転換は、たとえば、EP244234に記載されたように実施され得る。
【0323】
本発明で使用することができる他の好適な細胞には、たとえば、Escherichia coli、(たとえば、株DH5-α)、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、又はPseudomonas、Streptomyces及びStaphylococcusの属の株のような原核宿主細胞株があげられるが、これらに限定されない。好適な原核細胞の非限定例には、属:Actinoplanes;Archaeoglobus;Bdellovibrio;Borrelia;Chloroflexus;Enterococcus;Escherichia;Lactobacillus;Listeria;Oceanobacillus;Paracoccus;Pseudomonas;Staphylococcus;Streptococcus;Streptomyces;Thermoplasma;及びVibrioに由来するものが挙げられる。
【0324】
哺乳類細胞を形質転換し、細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法は、たとえば、Kaufman及びSharp,J.Mol.Biol.159(1982),601-621;Southern及びBerg,J.Mol.Appl.Genet.1(1982),327-341;Loyterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79(1982),422-426;Wiglerら、Cell、14(1978),725;Corsaro及びPearson,Somatic Cell Genetics、7(1981),603,Graham及びvan der Eb,Virology、52(1973),456;並びにNeumannら、EMBO J.1(1982),841-845に記載されている。
【0325】
クローニングされたDNA配列を、たとえば、リン酸カルシウム介在性の形質移入(Wigler et al., Cell 14:725-732, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7:603-616, 1981; Graham and Van der Eb, Virology 52d:456-467, 1973)、FuGENEG(ドイツ、マンハイムのRoche Diagnostics)のような多数の市販の試薬による形質移入、又はリポフェクトアミン(Invitrogen)又はエレクトロポレーション(Neumann et al., EMBO J. 1:841-845, 1982)によって培養された哺乳類細胞に導入する。外来DNAを発現する細胞を特定し、選択するために、選択可能な表現型を付与する遺伝子(選択可能なマーカー)を一般に、当該遺伝子又は当該DNAと共に細胞に導入する。好まれる選択可能なマーカーには、ネオマイシン、ハイグロマイシン、プロマイシン、ゼオシン及びメソトレキセートのような薬剤に対する耐性を付与する遺伝子が挙げられる。選択可能なマーカーは増幅可能な選択可能なマーカーであってもよい。好まれる増幅可能な選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の配列である。選択可能なマーカーのさらなる例は当業者に周知であり、強化された緑色蛍光タンパク質(EGFP)、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)、又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなレポーターが挙げられる。選択可能なマーカーは、Thilly(参照によって本明細書に組み入れられるMammalian Cell Technology, Butterworth Publishers, Stoneham, Mass.,)によって概説されている。当業者は容易に好適な選択可能なマーカーを選択することができるであろう。遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現させることが可能である限り、任意の既知の選択可能なマーカーが採用され得る。
【0326】
選択可能なマーカーは、当該遺伝子と同時に別のプラスミドで細胞に導入されてもよいし、又は同じプラスミドで導入されてもよい。同じプラスミドにて選択可能なマーカーと当該遺伝子が異なるプロモータの制御下又は同じプロモータの制御下にあるのであれば、後者の配置は2シストロン性のメッセージを生じる。この種の構築物は当該技術で既知である(たとえば、Levinson及びSimonsen,米国特許第4,713,339号)。「担体DNA」として知られる追加のDNAを細胞に導入される混合物に加えることも有利であり得る。
【0327】
細胞がDNAを取り込んだ後、それらは、適当な増殖培地で通常1~2日間増殖し、当該遺伝子を発現し始める。本明細書で使用されるとき、「適当な増殖培地」という用語は、細胞の増殖及び当該CFXTENの発現に必要とされる栄養及び他の成分を含有する培地を意味する。培地は一般に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、必須糖類、ビタミン類、塩類、リン脂質、タンパク質及び増殖因子を含む。γ-カルボキシル化タンパク質の産生については、培地は、好ましくは約0.1μg/mL~約5μg/mLの濃度でのビタミンKを含有するであろう。次いで薬物選択を適用して安定な様態で選択可能なマーカーを発現している細胞の増殖について選択する。増幅可能な選択可能なマーカーと共に形質移入されている細胞については、薬剤の濃度を高めて高いコピー数のクローニングされた配列について選択し、それによって発現レベルを高める得る。次いで、当該FVIIIポリペプチドの変異体の発現について安定して形質移入された細胞のクローンをスクリーニングする。
【0328】
次いで、CFXTENポリペプチドの発現を可能にする条件下で好適な栄養培地にて形質転換された又は形質移入された細胞を培養し、その後、得られたペプチドを単離された融合タンパク質として培養物から回収し得る。細胞を培養するのに使用する培地は、宿主細胞を増殖させるのに好適な従来の培地、たとえば、適当な補完剤を含有する最低限の培地又は複雑な培地であり得る。好適な培地は業者から入手可能であり、又は公開されたレシピ(たとえば、アメリカンタイプカルチャーコレクションのカタログ)に従って調製され得る。温度、pH等のような培養条件は発現について選択された宿主細胞と共に以前使用されたものであり、当業者に明らかであろう。
【0329】
遺伝子の発現は、本明細書で提供される配列に基づいて適宜、標識プローブを用い、従来のサザンブロット、mRNAの転写を定量するノーザンブロット[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201-5205 (1980)]、ドットブロット(DNA解析)、又はその場でのハイブリッド形成によって試料にて直接測定され得る。或いは、DNA二本鎖、RNA二本鎖、及びDNA/RNA二本鎖又はDNA/タンパク質二本鎖を含む特定の二本鎖を認識することができる抗体を採用し得る。同様に抗体を標識してもよく、二本鎖が表面に結合するアッセイを実施してもよいので、表面上での二本鎖の形成の際、二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0330】
遺伝子の発現は或いは、免疫蛍光法、たとえば、細胞若しくは組織切片の免疫組織化学染色及び細胞培養若しくは体液のアッセイ又は選択可能なマーカーの検出によって測定し、遺伝子産物の発現を直接定量し得る。免疫組織化学染色及び/又は試料液のアッセイに有用な抗体はモノクローナル又はポリクローナルであってもよく、哺乳類にて調製され得る。好都合なことに、抗体は、天然の配列FVIIIポリペプチドに対して、又は本明細書で提供されるDNA配列に基づいた合成ペプチドに対して、又はFVIIIに融合され、特異的な抗体エピトープをコードする外来配列に対して調製され得る。選択可能なマーカーの例は当業者に周知であり、強化された緑色蛍光タンパク質(EGFP)、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)、又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のようなレポーターが挙げられる。
【0331】
発現されたCFXTENポリペプチド産物は、本明細書で開示される方法によって当該技術で既知の方法を介して精製され得る。たとえば、ゲル濾過、アフィニティ精製(たとえば、抗FVIII抗体カラムを用いて)、塩分別、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト吸収クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、及びゲル電気泳動のような手順を使用してもよく;それぞれ、各宿主細胞によって産生される融合タンパク質を回収し、精製するように誂えられる。従来の化学精製手段、たとえば、高速液体クロマトグラフィによって追加の精製が達成される。一部の発現したCFXTENは単離及び精製の間に畳み直しを必要とし得る。精製の方法は、Robert K.Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Charles R.Castor(ed.),Springer-Verlag、1994及びSambrookら、上記に記載されている。多重ステップの精製分離はBaronら、Crit.Rev.Biotechnol.10:179-90(1990)及びBelowら、J.Chromatogr.A.679:67-83(1994)に記載されている。治療目的では、本発明のCFXTEN融合タンパク質は実質的に純粋であることが好まれる。従って、本発明の好まれる実施形態では、本発明のCFXTENは少なくとも約90~95%均一に、好ましくは少なくとも約98%均一に精製される。純度は、たとえば、ゲル電気泳動、HPLC、及びアミノ末端アミノ酸配列決定によって評価され得る。
【0332】
VIII)医薬組成物
本発明は、CFXTENを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体と混合された本明細書で開示されるCFXTEN融合タンパク質を含む。本発明のCFXTENポリペプチドは、既知の方法に従って製剤化されて薬学上有用な組成物を調製し、それによってポリペプチドは、薬学的に受容可能な担体ビヒクル、たとえば、水溶液、緩衝液、溶媒及び/又は薬学的に受容可能な懸濁液、エマルジョン、安定剤又は賦形剤との混合物にて組み合わせられる。非水性溶媒の例には、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコール及び植物油が挙げられる。医薬組成物の製剤は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、RemingtonのPharmaceutical Sciences、第16版,Osol,A.Ed.(1980)に記載されたように、所望の程度の純度を有する活性のあるCFXTEN成分を任意の生理学的に許容可能な担体、賦形剤(たとえば、塩化ナトリウム、カルシウム塩、スクロース又はポリソルベート)又は安定剤(たとえば、スクロース、トレハロース、ラフィノース、アルギニン、カルシウム塩、グリシン又はヒスチジン)と混合することによって保存用に調製される。
【0333】
医薬組成物は、投与に先立って再構成される凍結乾燥粉末として供給され得る。別の実施形態では、医薬組成物は、その内容物が患者に直接投与され得るバイアルにおける液体の形態で供給され得る。或いは、組成物は、組成物の投与のために事前に注射器に充填された液体として供給される。別の実施形態では、組成物は、ポンプに組み入れることができる事前にバイアルに充填された液体として供給される。
【0334】
医薬組成物は、皮下に、注入ポンプによって皮下に、筋肉内に及び静脈内に、を含む好適な手段又は経路によって投与することができる。好まれる経路は、受入者の疾患及び年齢、並びに治療される状態の重症度によって変化することが十分に理解されるであろう。
【0335】
一実施形態では、液体形態の又は再構成後(凍結乾燥粉末として供給された場合)のCFXTEN医薬組成物は、少なくとも50IU/mlの活性、又は少なくとも100IU/ml、又は少なくとも200IU/ml、又は少なくとも300IU/ml、又は少なくとも400IU/ml、又は少なくとも500IU/mlの活性、又は少なくとも600IU/mlの活性を持つ凝固第VIII因子含み、組成物は、日常の予防法を必要とする対象に第VIII因子の医薬組成物を投与した後、少なくとも約12時間、又は少なくとも約24時間、又は少なくとも約48時間、又は少なくとも約72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、血中にて正常の血漿レベルの少なくとも1.5%まで第VIII因子の活性を高めることが可能である。別の実施形態では、液体形態の又は再構成後(凍結乾燥粉末として供給された場合)のCFXTEN医薬組成物は、少なくとも50IU/mlの活性、又は少なくとも100IU/ml、又は少なくとも200IU/ml、又は少なくとも300IU/ml、又は少なくとも400IU/ml、又は少なくとも500IU/mlの活性、又は少なくとも600IU/mlの活性を持つ凝固第VIII因子含み、組成物は、日常の予防法を必要とする対象に投与した後、少なくとも約12時間、又は少なくとも約24時間、又は少なくとも約48時間、又は少なくとも約72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、血中にて正常の血漿レベルの少なくとも2.5%まで第VIII因子の活性を高めることが可能である。前述の医薬組成物は、静脈内経路又は皮下経路又は筋肉内経路による投与に適合する1以上の賦形剤、緩衝液又は当該技術で既知の他の成分を含むように製剤化され得ることが特に企図される。従って、この段落の上文で記載された実施形態では、医薬組成物は、皮下に、筋肉内に、又は静脈内に投与される。
【0336】
本発明の組成物は種々の賦形剤を用いて製剤化され得る。好適な賦形剤には、微細結晶性セルロース(たとえば、Avicel PH102、Avicel PH101)、ポリメタクリレート、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、塩化トリメチルアンモニオエチルメタクリレート)(たとえば、Eudragit RS-30D)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K100M、Premium CR
Methocel K100M、Methocel E5、Opadry(登録商標)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、クエン酸トリエチル、エチルセルロース水性分散液(Surelease(登録商標))及び硫酸プロタミンが挙げられる。徐放性の剤は担体を含んでもよく、それは、たとえば、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含むことができる。薬学的に受容可能な塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩のような無機塩、同様に酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、又は安息香酸塩のような有機酸の塩もこれらの徐放性の剤で使用することができる。組成物はまた、液体、たとえば、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノール、同様にたとえば、湿潤剤、乳化剤又はpH緩衝化剤のような物質も含有し得る。リポソームも担体として使用され得る。
【0337】
別の実施形態では、本発明の組成物は、リポソームに被包され、それは、長い時間にわたって制御された方法で有益な活性剤を送達することにおいて有用性を実証している。リポソームは、封入した水性容量を含有する閉鎖二層膜である。リポソームはまた、単一の膜二重層を持つ単層小胞又は複数の膜二重層を持つ多層小胞であってもよく、それぞれ水性層によって次から分離される。得られる膜二重層の構造は、脂質の疎水性の尾部(非極性)が二重層の中央に向かって配向する一方で、親水性の頭部(極性)が水性相に向かって配向するようになる。一実施形態では、リポソームは、単核貪食系の臓器、主として肝臓及び脾臓による取り込みを回避する柔軟性の水溶性ポリマーによって被覆され得る。リポソームを取り囲む好適な親水性ポリマーには、限定しないで、その内容が全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,316,024号;同第6,126,966号;同第6,056,973号;同第6,043,094号に記載されたようなPEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパルトアミド及び親水性ペプチド配列が挙げられる。追加のリポソーム技法は、その内容が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,759,057号;同第6,406,713号;同第6,352,716号;同第6,316,024号;同第6,294,191号;同第6,126,966号;同第6,056,973号;同第6,043,094号;同第5,965,156号;同第5,916,588号;同第5,874,104号;同第5,215,680号;及び同第4,684,479に記載されている。これらは、リポソーム及び脂質を被覆した微小気泡、及びそれらの製造法を記載している。従って、当業者は、本発明の開示及びこれら他の特許の開示の双方を考慮して、本発明のポリペプチドの延長した放出のためのリポソームを製造すればよい。
【0338】
液体製剤については、所望の特性は、製剤が、静脈内、筋肉内、動脈内又は皮下の投与のための25、28、30、31、32ゲージの針を介して通すことができる形態で供給されることである。
【0339】
注射器ポンプも徐放性の剤として使用され得る。そのような用具は、その内容が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第4,976,696号;同第4,933,185号;同第5,017,378号;同第6,309,370号;同第6,254,573号;同第4,435,173号;同第4,398,908号;同第6,572,585号;同第5,298,022号;同第5,176,502号;同第5,492,534号;同第5,318,540号;及び同第4,988,337にて記載されている。当業者は、本発明の開示及びこれら他の特許の開示の双方を考慮して、本発明の組成物の延長した放出のための注射器ポンプを製造すればよい。
【0340】
IX)医薬キット
別の態様では、本発明は、キットを提供してCFXTENポリペプチドの使用を円滑にする。キットは、本明細書で提供される医薬組成物と、容器と、容器上の又は容器に関連するラベル又は添付文書とを含む。好適な容器には、たとえば、ガラス又はプラスチックのような種々の材料から形成されるビン、バイアル、注射器等が挙げられる。容器は、FVIIIに関連する状態を治療するのに有効である製剤としての医薬組成物を保持し、無菌のアクセスポートを有し得る(たとえば、容器は、皮下注射針によって穴を開けることが可能なストッパーを有する静脈内溶液用のバッグ又はバイアルであり得る)。添付文書は、薬剤について認可された適応、認可された適応での使用のための薬剤の再構成及び/又は投与についての指示、適切な投与量及び安全性情報、及び薬剤のロット及び使用期限を特定する情報を記載する。前述の別の実施形態では、キットは、医薬組成物の好適な希釈剤を運ぶことができる第2の容器を含むことができ、その使用は対象に送達する適当な濃度をユーザーに提供する。
【実施例】
【0341】
実施例1:XTEN_AD36モチーフセグメントの構築
以下の実施例により、36アミノ酸のモチーフ配列をコードするコドン最適化遺伝子のコレクションの構築が記述される。第一のステップとして、スタッファーベクターpCW0359を、T7プロモーターを含有するpETベクターを元にして構築した。pCW0359は、セルロース結合ドメイン(CBD)および、TEVプロテアーゼ認識部位(BsaI、BbsIおよびKpnI部位に隣接するスタッファー配列が後に続く)をコードする。BsaIおよびBbs部位は、消化の後、互換性のあるオーバーハングを形成するように挿入された。スタッファー配列の後に、トランケートされたGFP遺伝子およびHisタグが続く。スタッファー配列は、ストップコドンを含有し、そのため、スタッファープラスミドpCW0359を保有する大腸菌細胞は、非蛍光コロニーを形成する。スタッファーベクターpCW0359をBsaIおよびKpnIで消化してスタッファーセグメントを除去し、得られたベクター断片を、アガロースゲル生成により単離した。配列を、XTEN_AD36と呼び、ADファミリーのモチーフを示していた。そのセグメントは、アミノ酸配列[X]3を有し、ここで、Xは、以下の配列を有する12merのペプチドである:GESPGGSSGSES(配列番号19)、GSEGSSGPGESS(配列番号20)、GSSESGSSEGGP(配列番号21)または、GSGGEPSESGSS(配列番号22)。挿入は、以下のリン酸化合成オリゴヌクレオチド対をアニーリングすることにより得られた:
AD1フォワード:AGGTGAATCTCCDGGTGGYTCYAGCGGTTCYGARTC (配列番号1619)
AD1リバース:ACCTGAYTCRGAACCGCTRGARCCACCHGGAGATTC (配列番号1620)
AD2フォワード:AGGTAGCGAAGGTTCTTCYGGTCCDGGYGARTCYTC (配列番号1621)
AD2リバース:ACCTGARGAYTCRCCHGGACCRGAAGAACCTTCGCT (配列番号1622)
AD3フォワード:AGGTTCYTCYGAAAGCGGTTCTTCYGARGGYGGTCC (配列番号1623)
AD3リバース:ACCTGGACCRCCYTCRGAAGAACCGCTTTCRGARGA (配列番号1624)
AD4フォワード:AGGTTCYGGTGGYGAACCDTCYGARTCTGGTAGCTC (配列番号1625)
【0342】
また、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1626)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号1627)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた、様々な数の12merリピートを示す、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに対応する産物を、分取アガロースゲル電気泳動により混合物から単離し、BsaI/KpnIで消化されたスタッファーベクターpCW0359へとライゲーションした。得られたライブラリ(LCW0401と指定される)中のほとんどのクローンは、導入の後、緑色蛍光を示し、このことから、XTEN_AD36の配列は、GFP遺伝子を有するフレーム内にライゲートされたこと、およびXTEN_AD36のほとんどの配列は十分な発現レベルにあることが示される。
【0343】
IPTG含有アガープレート上でスタンピングすることにより、高レベルの蛍光を有するライブラリLCW0401由来の96の単離株をスクリーニングした。同じ単離株を、PCRにより評価し、48の単離株を、36アミノ酸を有するセグメント、ならびに、強い蛍光を有するものとして特定した。これらの単離株を配列解析し、39のクローンを、正確なXTEN_AD36セグメントを含有するものとして特定した。ヌクレオチド構築物およびアミノ酸構築物のファイル名称、ならびにこれらのセグメントに対する配列を、表13に列挙する。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【表13-4】
【表13-5】
【表13-6】
【0344】
実施例2:XTEN_AE36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードするコドンライブラリを構築した。XTEN配列は、XTEN_AE36と指定された。そのセグメントは、アミノ酸配列[X]3を有し、Xは、以下の配列を有する12merのペプチドである:GSPAGSPTSTEE(配列番号23)、GSEPATSGSETP(配列番号24)、GTSESATPESGP(配列番号25)、またはGTSTEPSEGSAP(配列番号26)。挿入は、リン酸化合成オリゴヌクレオチド対の以下の対をアニーリングすることにより得た:
AE1フォワード:AGGTAGCCCDGCWGGYTCTCCDACYTCYACYGARGA(配列番号1628)
AE1リバース:ACCTTCYTCRGTRGARGTHGGAGARCCWGCHGGGCT(配列番号1629)
AE2フォワード:AGGTAGCGAACCKGCWACYTCYGGYTCTGARACYCC(配列番号1630)
AE2リバース:ACCTGGRGTYTCAGARCCRGARGTWGCMGGTTCGCT(配列番号1631)
AE3フォワード:AGGTACYTCTGAAAGCGCWACYCCKGARTCYGGYCC(配列番号1632)
AE3リバース:ACCTGGRCCRGAYTCMGGRGTWGCGCTTTCAGARGT(配列番号1633)
AE4フォワード:AGGTACYTCTACYGAACCKTCYGARGGYAGCGCWCC(配列番号1634)
AE4リバース:ACCTGGWGCGCTRCCYTCRGAMGGTTCRGTAGARGT(配列番号1635)
【0345】
また、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1626)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号1627)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた、様々な数の12merリピートを示す、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに対応する産物を、分取アガロースゲル電気泳動により混合物から単離し、BsaI/KpnIで消化されたスタッファーベクターpCW0359へとライゲーションした。得られたライブラリ(LCW0402と指定される)中のほとんどのクローンは、導入の後、緑色蛍光を示し、このことから、XTEN_AE36の配列は、GFP遺伝子を有するフレーム内にライゲートされたこと、およびXTEN_AE36のほとんどの配列は十分な発現を示すことが明らかになった。
【0346】
IPTG含有アガープレート上でスタンピングすることにより、高レベルの蛍光を有するライブラリLCW0402由来の96の単離株をスクリーニングした。同じ単離株を、PCRにより評価し、48の単離株を、36アミノ酸を有するセグメント、ならびに、強い蛍光を有するものとして特定した。これらの単離株を配列解析し、37のクローンを、正確なXTEN_AE36セグメントを含有するものとして特定した。ヌクレオチド構築物およびアミノ酸構築物のファイル名称、ならびにこれらのセグメントに対する配列を、表14に列挙する。
【表14-1】
【表14-2】
【表14-3】
【表14-4】
【表14-5】
【0347】
実施例3:XTEN_AF36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードするコドンライブラリを構築した。XTEN配列は、XTEN_AF36と指定された。そのセグメントは、アミノ酸配列[X]3を有し、Xは、以下の配列を有する12merのペプチドである:GSTSESPSGTAP(配列番号27)、GTSTPESGSASP(配列番号28)、GTSPSGESSTAP(配列番号29)、またはGSTSSTAESPGP(配列番号30)。挿入は、リン酸化合成オリゴヌクレオチド対の以下の対をアニーリングすることにより得た:
AF1フォワード: AGGTTCTACYAGCGAATCYCCKTCTGGYACYGCWCC (配列番号1636)
AF1リバース: ACCTGGWGCRGTRCCAGAMGGRGATTCGCTRGTAGA (配列番号1637)
AF2フォワード: AGGTACYTCTACYCCKGAAAGCGGYTCYGCWTCTCC (配列番号1638)
AF2リバース: ACCTGGAGAWGCRGARCCGCTTTCMGGRGTAGARGT (配列番号1639)
AF3フォワード: AGGTACYTCYCCKAGCGGYGAATCTTCTACYGCWCC (配列番号1640)
AF3リバース: ACCTGGWGCRGTAGAAGATTCRCCGCTMGGRGARGT (配列番号1641)
AF4フォワード: AGGTTCYACYAGCTCTACYGCWGAATCTCCKGGYCC (配列番号1642)
AF4リバース: ACCTGGRCCMGGAGATTCWGCRGTAGAGCTRGTRGA (配列番号1643)
【0348】
また、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1626)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号1627)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた、様々な数の12merリピートを示す、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに対応する産物を、分取アガロースゲル電気泳動により混合物から単離し、BsaI/KpnIで消化されたスタッファーベクターpCW0359へとライゲーションした。得られたライブラリ(LCW0403と指定される)中のほとんどのクローンは、導入の後、緑色蛍光を示し、このことから、XTEN_AF36の配列は、GFP遺伝子を有するフレーム内にライゲートされたこと、およびXTEN_AF36のほとんどの配列は十分な発現を示すことが明らかになった。
【0349】
IPTG含有アガープレート上でスタンピングすることにより、高レベルの蛍光を有するライブラリLCW0403由来の96の単離株をスクリーニングした。同じ単離株を、PCRにより評価し、48の単離株を、36アミノ酸を有するセグメント、ならびに、強い蛍光を有するものとして特定した。これらの単離株を配列解析し、44のクローンを、正確なXTEN_AF36セグメントを含有するものとして特定した。ヌクレオチド構築物およびアミノ酸構築物のファイル名称、ならびにこれらのセグメントに対する配列を、表15に列挙する。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【表15-6】
【表15-7】
【0350】
実施例4:XTEN_AG36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードするコドンライブラリを構築した。XTEN配列は、XTEN_AG36と指定された。そのセグメントは、アミノ酸配列[X]3を有し、Xは、以下の配列を有する12merのペプチドである:GTPGSGTASSSP(配列番号31)、GSSTPSGATGSP(配列番号32)、GSSPSASTGTGP(配列番号33)、またはGASPGTSSTGSP(配列番号34)。挿入は、リン酸化合成オリゴヌクレオチド対の以下の対をアニーリングすることにより得た:
AG1フォワード:AGGTACYCCKGGYAGCGGTACYGCWTCTTCYTCTCC (配列番号1644)
AG1リバース:ACCTGGAGARGAAGAWGCRGTACCGCTRCCMGGRGT (配列番号1645)
AG2フォワード:AGGTAGCTCTACYCCKTCTGGTGCWACYGGYTCYCC (配列番号1646)
AG2リバース:ACCTGGRGARCCRGTWGCACCAGAMGGRGTAGAGCT (配列番号1647)
AG3フォワード:AGGTTCTAGCCCKTCTGCWTCYACYGGTACYGGYCC (配列番号1648)
AG3リバース:ACCTGGRCCRGTACCRGTRGAWGCAGAMGGGCTAGA (配列番号1649)
AG4フォワード:AGGTGCWTCYCCKGGYACYAGCTCTACYGGTTCTCC (配列番号1650)
AG4リバース:ACCTGGAGAACCRGTAGAGCTRGTRCCMGGRGAWGC (配列番号1651)
【0351】
また、リン酸化オリゴヌクレオチド3KpnIstopperFor:AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1626)および非リン酸化オリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev:CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号1627)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントにライゲーションされた、様々な数の12merリピートを示す、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに対応する産物を、分取アガロースゲル電気泳動により混合物から単離し、BsaI/KpnIで消化されたスタッファーベクターpCW0359へとライゲーションした。得られたライブラリ(LCW0404と指定される)中のほとんどのクローンは、導入の後、緑色蛍光を示し、このことから、XTEN_AG36の配列は、GFP遺伝子を有するフレーム内にライゲートされたこと、およびXTEN_AG36のほとんどの配列は十分な発現を示すことが明らかになった。
【0352】
IPTG含有アガープレート上でスタンピングすることにより、高レベルの蛍光を有するライブラリLCW0404由来の96の単離株をスクリーニングした。同じ単離株を、PCRにより評価し、48の単離株を、36アミノ酸を有するセグメント、ならびに、強い蛍光を有するものとして特定した。これらの単離株を配列解析し、44のクローンを、正確なXTEN_AG36セグメントを含有するものとして特定した。ヌクレオチド構築物およびアミノ酸構築物のファイル名称、ならびにこれらのセグメントに対する配列を、表16に列挙する。
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【表16-4】
【表16-5】
【表16-6】
【0353】
実施例5:XTEN_AE864の構築
XTEN_AE864を、一連のXTEN_AE36の、AE72、144、288、576および864への二量体化から構築した。XTEN_AE72セグメントのコレクションは、37の異なるXTEN_AE36セグメントから構築した。37のすべての異なる36アミノ酸セグメントを有する大腸菌の培養物を混合し、プラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/NcoIで消化して、挿入物としての小断片を作製した。同じプラスミドプールをBbsI/NcoIで消化して、ベクターとしての大きな断片を作製した。挿入物およびベクター断片をライゲートして2倍の長さとなり、ライゲーション混合物をBL21Gold(DE3)細胞へと形質転換して、XTEN_AE72のコロニーを得た。
【0354】
XTEN_AE72セグメントのこのライブラリを、LCW0406と指定する。LCW0406由来のすべてのクローンを組み合わせ、上述と同じプロセスを用いて、再び二量体化させ、XTEN_AE144のライブラリLCW0410を得た。LCW0410由来の全てのクローンを組み合わせ、上述と同じプロセスを用いて、再び二量体化させ、XTEN_AE288のライブラリLCW0414を得た。2つの単離株、LCW0414.001およびLCW0414.002を、ライブラリからランダムにピックアップし、配列解析を行って、同一性を検証した。LCW0414由来のすべてのクローンを組み合わせ、上述と同じプロセスを用いて、再び二量体化させ、XTEN_AE576のライブラリLCW0418を得た。高いGFP蛍光レベルを有する、ライブラリLCW0418由来の96の単離株をスクリーニングした。PCRおよび強蛍光により、挿入の正しいサイズを有する8の単離株を配列解析して、2つの単離株(LCW0418.018およびLCW0418.052)を、配列解析データおよび発現データに基づき、さらなる使用のために選択した。
【0355】
XTEN_AE864の具体的なクローン、pCW0432を、上述と同じ二量体化プロセスを用いて、XTEN_AE576のLCW0418.018および、XTEN_AE288のLCW0414.002を組み合わせることにより構築した。
【0356】
実施例6:XTEN_AM144の構築
XTEN_AM144セグメントのコレクションを、XTEN_AE36の37の異なるセグメント、XTEN_AF36の44のセグメント、およびXTEN_AG36の44のセグメントから開始して構築した。
【0357】
125のすべての異なる36アミノ酸セグメントを有する大腸菌の培養物を混合し、プラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/NcoIで消化して、挿入物としての小断片を作製した。同じプラスミドプールをBbsI/NcoIで消化して、ベクターとしての大きな断片を作製した。挿入物およびベクター断片をライゲートして2倍の長さとなり、ライゲーション混合物をBL21Gold(DE3)細胞へと形質転換して、XTEN_AM72のコロニーを得た。
【0358】
XTEN_AM72セグメントのこのライブラリを、LCW0461と指定する。LCW0461由来のすべてのクローンを組み合わせ、上述と同じプロセスを用いて、再び二量体化させ、LCW0462を得た。ライブラリLCW0462由来の1512の単離株をタンパク質発現についてスクリーニングした。個々のコロニーを96ウェルプレートへと移し、開始培養物として一晩、培養した。これらの開始培養物を新しい自己誘導培地中で希釈し、20~30時間培養した。395nmの励起、510nmの発光で、蛍光プレートリーダーを用いて発現を測定した。192の単離株が高レベルの発現を示し、それらをDNA配列解析へと供した。ライブラリLCW0462中のほとんどのコロニーは十分な発現を示し、そして類似の物理化学的特性を示したことから、XTEN_AM36セグメントの組み合わせの大部分から、有用なXTEN配列が生み出されることが示唆される。複数のXTENセグメントを含有する多機能タンパク質の構築のための、好ましいXTEN_AM144セグメントのコレクションとして、LCW0462から、30の単離株を選択した。ヌクレオチド構築物およびアミノ酸構築物のファイル名称および、これらのセグメントの配列を、表17に列挙する。
【表17-1】
【表17-2】
【表17-3】
【表17-4】
【表17-5】
【表17-6】
【表17-7】
【表17-8】
【表17-9】
【表17-10】
【表17-11】
【表17-12】
【表17-13】
【0359】
実施例7:XTEN_AM288の構築
ライブラリLCW0462全体を、実施例6に記述されるように二量体化し、XTEN_AM288クローンのライブラリを得て、LCW0463と指定した。ライブラリLCW0463由来の1512の単離株を、実施例6に記述されるプロトコールを用いてスクリーニングした。176の高発現クローンを配列解析し、40の好ましいXTEN_AM288セグメントを、288アミノ酸残基を有する複合XTENセグメントを含有する多機能タンパク質の構築のために選択した。
【0360】
実施例8:XTEN_AM432の構築 XTEN_AM144セグメントのライブラリLCW0462由来のセグメント、およびXTEN_AM288セグメントのライブラリLCW0463由来のセグメントを組換えることにより、XTEN_AM432セグメントのライブラリを作製した。このXTEN_AM432セグメントの新しいライブラリを、LCW0464と指定した。プラスミドはLCW0462及びLCW0463を有する大腸菌の培養物からそれぞれ単離した。ライブラリLCW0464由来の1512の単離株を、実施例6に記述されるプロトコールを用いてスクリーニングした。176の高発現クローンを配列解析し、39の好ましいXTEN_AM432セグメントを、より長いXTENの構築、および432アミノ酸残基を有する複合XTENセグメントを含有する多機能タンパク質の構築のために選択した。
【0361】
並行して、好ましいXTEN_AM144のセグメントおよびXTEN_AM288のセグメントを用いて、XTEN_AM432セグメントのライブラリLMS0100を構築した。このライブラリのスクリーニングにより、4つの単離株を得て、さらなる構築のために選択した。
【0362】
実施例9:XTEN_AM875の構築
スタッファーベクターpCW0359を、BsaIおよびKpnIで消化し、スタッファーセグメントを除去し、得られたベクター断片を、アガロースゲル精製により単離した。
【0363】
アミノ酸GASASGAPSTG(配列番号1654)をコードし、制限酵素AscI認識ヌクレオチド配列GGCGCGCCを中に有する、シークエンシングアイランドA(island A、SI-A)を導入するために、リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI-AscI-KpnIforP:AGGTGCAAGCGCAAGCGGCGCGCCAAGCACGGGAGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1652)および非リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI-AscI-KpnIrev:CCTCGAGTGAAGACGAACCTCCCGTGCTTGGCGCGCCGCTTGCGCTTGC(配列番号1653)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対を、上述で調製されたBsaIおよびKpnI消化スタッファーベクターpCW0359とライゲーションし、SI-Aを含有するpCW0466を得た。次いで、実施例5に記述されるものと同じ二量体化プロセスを用いて、実施例8由来の43の好ましいXTEN_AM432とpCW0466由来のSI-Aセグメントとを、C末端で組み換えることにより、XTEN_AM443セグメントのライブラリを作製した。この新しいXTEN_AM443セグメントのライブラリを、LCW0479と指定した。
【0364】
実施例5に記述されるものと同じ二量体化プロセスを用いて、実施例8由来の43の好ましいXTEN_AM432セグメントと、XTEN_AM443セグメントのライブラリLCW0479由来のセグメントを組み替えることにより、XTEN_AM875セグメントのライブラリを作製した。XTEN_AM875セグメントのこの新しいライブラリをLCW0481と指定した。
【0365】
実施例10:XTEN_AM1318の構築
アミノ酸GPEPTGPAPSG(配列番号1657)をコードし、制限酵素FseI認識ヌクレオチド配列GGCCGGCCを中に有する、シークエンシングアイランドB(island B、SI-B)を導入するために、リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI-FseI-KpnIforP: AGGTCCAGAACCAACGGGGCCGGCCCCAAGCGGAGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号1655)および非リン酸化オリゴヌクレオチドBsaI-FseI-KpnIrev:CCTCGAGTGAAGACGAACCTCCGCTTGGGGCCGGCCCCGTTGGTTCTGG(配列番号1656)をアニーリングした。アニーリングされたオリゴヌクレオチド対を、実施例9において用いられたように、BsaIおよびKpnI消化スタッファーベクターpCW0359とライゲーションし、SI-Bを含有するpCW0467を得た。次いで、実施例5に記述されるものと同じ二量体化プロセスを用いて、実施例8由来の43の好ましいXTEN_AM432とpCW0467由来のSI-Bセグメントとを、C末端で組み換えることにより、XTEN_AM443セグメントのライブラリを作製した。この新しいXTEN_AM443セグメントのライブラリを、LCW0480と指定した。
【0366】
実施例5に記述されるものと同じ二量体化プロセスを用いて、XTEN_AM875セグメントのライブラリLCW0481由来のセグメントと、XTEN_AM443セグメントのライブラリLCW048ライブラリ由来のセグメントを組み替えることにより、XTEN_AM1318セグメントのライブラリを作製した。XTEN_AM1318セグメントのこの新しいライブラリをLCW0487と指定した。
【0367】
実施例11:XTEN_AD864の構築
何度かの連続した二量体化ラウンドを行って、実施例1に列挙されるXTEN_AD36のセグメントから開始するXTEN_AD864配列のコレクションを組み立てた。これらの配列を、実施例5に記述されるように組み立てた。XTEN_AD864由来のいくつかの単離株を評価し、十分な発現および生理学的条件下での優れた可溶性があることを見出した。XTEN_AD576のある中間体構築物を配列解析した。このクローンを、カニクイザルの薬物動態実験において評価し、約20時間の半減期を計測した。
【0368】
実施例12:XTEN_AF864の構築
何度かの連続した二量体化ラウンドを行って、実施例3に列挙されるXTEN_AF36のセグメントから開始するXTEN_AF864配列のコレクションを組み立てた。これらの配列を、実施例5に記述されるように組み立てた。XTEN_AF864由来のいくつかの単離株を評価し、十分な発現および生理学的条件下での優れた可溶性があることを見出した。XTEN_AF540のある中間体構築物を配列解析した。このクローンを、カニクイザルの薬物動態実験において評価し、約20時間の半減期を計測した。XTEN_AF864の全長クローンは、優れた可溶性を有し、カニクイザルにおいて60時間を超える半減期を示した。実施例9に記述されるシークエンシングアイランドを含むXTEN_AF配列の第二のセットを組み立てた。
【0369】
実施例13:XTEN_AG864の構築
何度かの連続した二量体化ラウンドを行って、実施例1に列挙されるXTEN_AD36のセグメントから開始するXTEN_AG864配列のコレクションを組み立てた。これらの配列を、実施例5に記述されるように組み立てた。XTEN_AG864由来のいくつかの単離株を評価し、十分な発現および生理学的条件下での優れた可溶性があることを見出した。XTEN_AG864の全長クローンは、優れた可溶性を有し、カニクイザルにおいて60時間を超える半減期を示した。
【0370】
実施例14:内部XTENおよび末端XTENを有するCFXTENの製造方法および評価方法
FVIIIおよび1以上のXTENを含有するCFXTENの設計、構築および評価は、体系化された方法を用いて行う。XTEN挿入部位に適した領域としては、FVIIIの既知のドメイン境界での領域、またはそれに隣接する領域、エクソン境界、既知の表面ループ、低い秩序度の領域、および親水性領域に限定される。前述の分析により、FVIII Bドメイン欠失(BDD)配列の配列全体にわたる異なる領域が、XTENに対する挿入部位として特定されており、それらの非限定的な例を表5~8に列挙し、
図8および
図9に概略的に示す。最初に、6~2004アミノ酸残基の範囲にある長さの単一XTENまたはXTEN断片をコードするDNAが、表5、表6、表7、表8および表9に特定される単一挿入部位に対応するFVIII配列、またはそれらの近く(たとえば、6アミノ酸以内に)のFVIII配列へと挿入される個々の構築物を創出し(以下に記述される方法を用いる)、得られた構築物を発現させ、次いで、回収されたタンパク質を、たとえば表49のin vitroアッセイのうちの一つを用いて、凝固促進活性の維持に対する効果について評価する。たとえば、以下に記述される方法を用いて、XTEN配列が、FVIII配列のA1、A2、A3、C1およびC2ドメイン内に挿入され、ならびにC末端に連結される構築物を作製し、そして得られた発現融合タンパク質を表49の発色アッセイにおいてXTENに連結されていないFVIIIと比較して評価する。CFXTEN融合タンパク質はさらに、それらが示す活性に基づき、高、中、低作用カテゴリーへと分類することができる。FVIIIと比較して同等またはやや減少した活性を示すCFXTENの場合、その挿入部位は好ましいものであると判断される。活性が中間である場合、その挿入部位を、挿入部位のN末端またはC末端へ、1~6アミノ酸、調節することができ、または、XTENの長さもしくは実効電荷を変化させても良く、得られた構築物(複数含む)を、活性が改善されたかどうかを測定するために再評価しても良い。あるいは、XTENは、開裂部位に隣接する構築物へと挿入される;XTENがFVIII成分の活性化の間に放出され、それによって融合タンパク質中のXTEN挿入部位の適合性に関するさらなる情報がもたらされるように、好ましくは凝固アッセイに使用されるプロテアーゼによる開裂に感受性のある部位に隣接する構築物へと挿入される。
【0371】
個々の挿入部位のすべてが評価された時点で、好ましい挿入部位が特定され、好ましい部位の配列中に挿入された2、3、4、5以上のXTENと共に作製される。XTENの長さおよび実効電荷(たとえば、AEファミリーのXTEN対AGファミリーのXTEN)を変化させ、FVIII活性および融合タンパク質の物理化学的特性に対するこれらの変化の効果を確認する。次いで、望ましい程度のin vitro凝固促進FVIII活性を維持しているCFXTEN構築物を、以下の実施例に記述されるように、血友病Aのモデルマウスおよび/もしくは犬、または当分野公知の他のモデルを用いて、in vivoで評価する。さらに、構築物を、FVIII阻害物質および他の抗FVIII抗体の存在下で分析し、構築物が活性を維持しているかを測定する。さらに、XTENを放出するように設計されたFVIIIおよびXTEN(たとえば、表8の配列)のジャンクション(複数含む)に、またはその近傍に開裂配列が組み込まれたCFXTEN構築物を作製して、FVIII活性の増強および終末相半減期に対する効果を評価する。異なる挿入部位、XTENの様々な長さおよび組成の質(たとえば、異なるXTENファミリー)を組み合わせた構築物を作製するプロセスおよび評価を繰り返すことにより、当業者は、前述の方法により、所望の特性(たとえば、限定されないが、凝固促進FVIII活性、FVIII阻害物質との減少した結合、薬物動態的特性の増強、異なる投与経路による対象への投与、および/または製剤特性の増強等)を有するCFXTENを得る。
【0372】
実施例15:FVIIIおよびAE_XTENを含有するCFXTENの製造方法および評価方法
CFXTEN組成物を製造および評価するための概略的なスキームを
図15に示し、実施例の概略的な記述に対するベースを形成する。開示される方法および当業者公知の方法を、図示される実施例に提示されるガイダンスとともに用いることにより、当業者は、XTENおよびFVIIIまたは当分野公知のFVIIIの変異体を含有するCFXTEN融合タンパク質を作製および評価することができる。実施例は、それゆえ、単に例示説明のためのみであり、いかなる場合においても、当該方法を限定するものとはみなされず、多くの改変が、当業者には明らかである。この実施例において、AEファミリーのモチーフのXTENに連結された、第VIII因子BDDのCFXTENが作製される
【0373】
XTENをコードするポリヌクレオチドを製造するための概略的なスキームが
図11および
図12において提示される。
図14は、本発明の実施形態の内の一つにおけるXTENポリヌクレオチド構築物の組み立てにおける代表的なステップのフローチャート図である。個々のオリゴヌクレオチド501は、たとえば12アミノ酸モチーフ(12-mer)等の配列モチーフ502へとアニールされ、所望の長さのXTEN504を包含するプールを創出するために多量体化することができるライブラリ由来のさらなる配列モチーフにライゲートされ、ならびに、より小さな濃度のオリゴ(BbsIおよびKpnI制限酵素部位503を含有)にライゲートされる。モチーフライブラリには、特定の配列XTENファミリー(たとえば、表3のAD、AE、AF、AG、AM、またはAQ配列)が含まれる。
図14に図示されるように、この場合において、XTENの長さは36アミノ酸残基であるが、より長いものでも、この概略的なプロセスにより達成される。たとえば、ライゲーション、オーバーラップ伸長、PCR組み立てまたは当分野公知の同様のクローニング技術(この場合においては、288アミノ酸残基を有する構築物をもたらすもの)により多量体化が行われる。得られたライゲーション産物のプールは、ゲル精製され、所望の長さのXTENを有するバンドを切り出し、ストッパー配列505を有する単離XTEN遺伝子を得る。XTEN遺伝子は、スタッファー(stuffer)ベクターへとクローニングされる。この場合において、ベクターは、任意選択のCBD配列506およびGFP遺伝子508をコードする。次いで、BbsI/HindIIIで消化を実施し、507および508を除去し、ストップコドンを配置する。得られた産物を、次いで、BsaI/HindIII制限酵素消化されたベクター(FVIIIをコードする遺伝子を含有)へとクローニングし、第VIII因子のC末端に連結された288アミノ酸XTENを有するCFXTEN融合タンパク質をコードする遺伝子500を得る。当業者には明らかなように、本方法は、別の構造の構築物および様々な長さのXTENを有する構築物または多数の位置にある様々なXTENを有する構築物の作製にも適用される。
【0374】
FVIIIをコードするDNA配列は、公的に利用可能なデータベース、患者または公表文献から得られるDNA配列を用いて、適切な細胞源から、またはゲノムライブラリから調製されるcDNAライブラリより、当分野公知の標準的な手順により簡便に得られ、または合成的に生成してもよい(たとえば、自動化核酸合成)。本実施例において、FVIII Bドメイン欠失(BDD)変異体は、実施例17に記述されるように調製される。本タンパク質のFVIII部分をコードする遺伝子もしくはポリヌクレオチド、またはその相補物を、次いで、たとえば本明細書に記述される構築物(生物学的システム中での高レベルのタンパク質発現のために、適切な配列転写および翻訳の制御下にあるプラスミドまたは他のベクターであってもよい)へとクローニングする。XTEN部分をコードする第二の遺伝子もしくはポリヌクレオチド、またはその相補物を、ライゲーションまたは多量体化ステップを介して、CFをコードする遺伝子に隣接し、およびフレーム内にある構築物へとクローニングすることにより、FVIII遺伝子の末端をコードするヌクレオチドへと遺伝子的に融合させる。この方法において、CFXTEN融合タンパク質をコードするキメラDNA分子、またはCFXTEN融合タンパク質に相補的なキメラDNA分子を、構築物内に作製する。任意選択的に、第二のXTENをコードする遺伝子を挿入し、FVIIIコード領域をコードするヌクレオチドへ、インフレーム内部にライゲートする。その構築武具は、FVIII配列(表5、表6、表7、表8および表9、または
図8~9に図示されるものを含む)におけるXTENの様々な挿入部位をコードするために、異なる構造で設計されている。任意選択的に、このキメラDNA分子を、より適切な発現ベクター(たとえば、CHO、BHK等の哺乳類宿主細胞に適切なベクター)である他の構築物へと移す、またはクローニングする。この点で、キメラDNA分子を発現することができる宿主細胞は、細胞宿主の方に応じて、以下により詳細に記述される、または良く知られた方法により、上述のように、キメラDNA分子で形質転換される。
【0375】
XTEN-FVIII発現ベクターを含有する宿主細胞を、プロモーターの活性化に適するように改変された、通常の栄養培地中で、培養する。培養条件(たとえば、温度、pH等)は、発現のために選択された宿主細胞に従来から用いられていたものであり、当業者には公知である。融合タンパク質の発現の後、培養液を回収して、細胞塊から分離し、融合タンパク質の精製のために、得られた粗抽出物を保管する。
【0376】
遺伝子発現は、たとえば、mRNAの転写を定量するための従来法のサザンブロッティング、ノーザンブロッティング[Thomas, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 77:5201-5205 (1980)]、ドットブロッティング(DNA分析)、または、本明細書に提示される配列基づく適切な標識プローブを用いたin situハイブリダイゼーションにより試料中で直接計測される。あるいは、遺伝子発現は、遺伝子産物の発現を直接定量するための、細胞の免疫組織染色法等の免疫蛍光法により、測定される。免疫組織染色法および/または試料液の分析に有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれであっても良く、および、任意の哺乳類中で調製されてもよい。便利なことに、抗体は、本明細書に提示される配列に基づく合成ペプチドを用いたFVIII配列ポリペプチドに対して、またはFVIIIに融合され、特異的な抗体エピトープをコードする外因性配列に対して、調製されてもよい。選択可能なマーカーの例は、当業者に公知であり、たとえば増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、βガラクトシダーゼ(β-gal)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)等のレポーターが挙げられる。
【0377】
CFXTENポリペプチド産物は、当分野公知の方法により精製される。たとえばゲルろ過、アフィニティ精製、塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、またはゲル電気泳動等の方法は、すべて精製に用いられうる技術である。精製の具体的な方法は、Robert K. Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Charles
R. Castor, ed., Springer-Verlag 1994, and Sambrook等、上記に記述されている。多ステップ精製分離法はまた、Baron, et al., Crit. Rev. Biotechnol. 10:179-90 (1990) and Below, et al., J. Chromatogr. A. 679:67-83 (1994)に記述されている。
【0378】
図15に図示されるように、単離されたCFXTEN融合タンパク質は、その化学的および活性特性に対して特徴付けられる。たとえば配列、純度、見かけ分子量、可溶性および安定性等について、当分野に標準的な方法を用いて、単離融合タンパク質は特徴付けられる。期待標準に合致する融合タンパク質は、活性(実施例または表49のアッセイを用いて、または本明細書に記述される1以上のアッセイを用いて、本明細書に記述される第VIII因子関連パラメーターの内の1つを測定することにより、in vitroまたはin vivoで測定することができる)について評価される。
【0379】
さらに、CFXTEN FVIII融合タンパク質を、1以上の動物種に投与して、実施例25および26に記述されるように、標準的な薬物動態パラメーターおよび薬力学特性を測定する。
【0380】
CFXTEN構築物の製造、発現および回収プロセスを繰り返し、次いで、本明細書に記述される方法または当分野公知の方法を用いてその特徴を明らかにすることにより、CFおよびXTENを含有するCFXTEN組成物が製造され、および、たとえば可溶性の増強、安定性の増強、薬物動態の改善、および免疫原性の減少等の期待される特性を確認するための評価が行われ、そしてそれによって、FVIIIに融合されていない対象物と比較して、全体的な治療効果が増強される。望ましい特性と有していない融合タンパク質に対しては、これらの方法によって異なる配列または構造を、構築、発現、単離および評価し、そのような特性を有する組成物を得る。
【0381】
実施例16:BDD FVIIIに対する発現プラスミドの構築
I.Bドメイン欠失FVIII(BDD FVIII)発現ベクターの構築
BDD FVIIIをコードする発現ベクターを、BDD FVIIIオープンリーディングフレームをpcDNA4ベクター(Invitrogen、CA)(polyA tailを含有)へとクローニングすることにより作製し、FVIII遺伝子の哺乳類発現に最適化させ、pBC0100と指定される構築物を得る。クローニングでの使用のための、いくつかの天然部位がこの構築物内で特定された(BsiWI 48、AflII
381、PshAI 1098、KpnI 1873、BamHI 1931、PflMI 3094、ApaI 3574、XbaI 4325、NotI 4437、XhoI 4444、BstEII 4449、AgeI 4500、PmeI 4527を含む)。アッセイ開発を促進するために、MycおよびHisタグをコードするヌクレオチドを、FVIIIオープンリーディングフレーム内に導入した。pBC0100を、以下のプライマーを用いてPCR増幅して、適切な位置にあるBsiWIおよびXhoIに導入した:1)F8-BsiWI-F:tattccCGTACGgccgccaccATGCAAATAGAGCTCTCCACCT(配列番号1658);2)F8-nostop-XhoI-R1:GGTGACCTCGAGcgtagaggtcctgtgcctcg(配列番号1659)。PCR産物をBsiWIおよびXhoIで消化した。PcDNA4-Myc-His/Cを、Acc65IおよびXhoIで消化し、それにより5003bpsおよび68bpsの2つの産物が作製された。5003bpsの産物を、消化されたPCR処理FVIII断片とライゲートし、DH5アルファ形質転換に用いた。酵素Acc65IおよびBsiWIは、互換可能な末端を生成するが、このライゲーションにより、さらなる消化のための部位が破壊される。得られた構築物は、pBC0102と指定された(pcDNA4-FVIII_3-Myc-His)。さらなるクローニング戦略、特に複数のXTEN挿入を含有するBDD FVIII発現構築物の作製を含む戦略の設計および実行を促進するために、BsiWI 908、NheI 1829およびClaI 3281を含む、組込のためのさらなる固有制限酵素部位を選択した。これらの部位の導入は、個々に、QuikChange法(Agilent, CA)を介して行われた。得られた構築物は、pBC0112(pcDNA4-FVIII_4-Myc-His)と指定された。Myc/HisおよびFVIII/Myc間を連結するリンカーペプチドから生じ得る問題を避け、そして今後のXTEN挿入に好ましい制限酵素部位を取り除くために、ペプチド配列をコードする配列を、QuickChange法を介して、以下のように変異させた:ARGHPF(配列番号1660)から、GAGSPGAETA(配列番号178)(FVIIIおよびMycの間)へ、NMHTG(配列番号1661)から、SPATG(配列番号1662)(MycおよびHisの間)へ。その構築物を、pBC0114(pcDNA4-FVIII_4-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His(「GAGSPGAETA」および「SPATG」。それぞれ配列番号178および1662として開示される))(表21の配列)と指定し、XTEN配列を組み込む他の発現ベクターのデザインおよび製造のベースとなるベクターとして用いた。この構築物の発現およびFVIII活性は、提示されている。
【0382】
II.Bドメイン欠失FVIII(BDD FVIII)発現ベクターの構築
BDD FVIIIをコードする遺伝子を、クローニングベクターpMK(pMK-BDD FVIII)において、GeneArts(Regensburg、 Germany)により合成する。BDD FVIIIタンパク質は、1457アミノ酸、総分子量167539.66を含有する。野生型FVIIIの内には6つのドメイン(A1、A2、B、A3、C1およびC2ドメイン)が存在する。BDD FVIIIタンパク質において、Bドメインのほとんどが、非構造性ドメインとして示されたように欠失されており、そのドメインの除去により、このタンパク質の重要な機能は変化していない。GeneArtsにより用いられたpMKベクターはプロモーターを有しておらず、発現ベクターとしては用いることができない。5´末端上の制限酵素部位NheIおよび、3´末端上のSfiI、SalIおよびXhoIは、BDD FVIIIをコードするDNA配列の、発現ベクター(たとえば、CET1019-HS(Millipore)等)へのサブクローニングを促進するために導入される。また、いくつかの固有制限酵素部位をさらにFVIII配列へと導入し、DNA配列のさらなる操作(たとえば、挿入、突然変異誘発等)を行うことを可能とさせる。切断部位を伴い列挙される固有の部位としては、限定されないが、以下が挙げられる:SacI 391、AfiII 700、SpeI 966、PshAI 1417、Acc65I 2192、KpnI 2192、BamHI
2250、HindIII 2658、PfoI 2960、PflMI 3413、ApaI 3893、Bsp1201 3893、SwaI 4265、OliI 4626、XbaI 4644、およびBstBI 4673。HindIII部位はA2ドメインのまさに末端に存在し、Bドメインの改変に用いることが出来る可能性がある。GeneArtsから合成されたpMK-BDD FVIIIは、ストップコドンを有していない。ストップコドンは、以下のプライマーを使用して、FVIIIの127bpの断片を増幅することにより導入される:5’-GTGAACTCTCTAGACCCACCG-3’(配列番号1663);5’-CTCCTCGAGGTCGACTCAGTAGAGGTCCTGTGCCTCG-3’(配列番号1664)。断片を、XbaIおよびSalIを用いて消化し、XbaI /SalIで消化されたpMK-BDD FVIIIへとライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングし、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。pBC0027(pMK-BDD FVIII-STOP)と名付けられた構築物は、BDD FVIIIタンパク質をコードするコード配列を含有している。次いでpBC0027構築物を、NheI/SalIで消化し、NheI/SalIで消化されたCET1019-HSベクター(Millipore)とライゲートした。CET1019-HSベクターは、遺伝子発現を促進するためのヒトCMVプロモーターおよびUCOE配列を含有する。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体を、DNAミニプレップによりスクリーニングし、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。ヒトCMVプロモーターの制御下にあるBDD FVIIIタンパク質をコードする、最終的な構築物を、pBC0025(CET1019-HS-BDD FVIII-STOP)と指定する。pBC0025構築物の哺乳類細胞への導入により、凝固促進活性を有するBDD FVIIIタンパク質の発現が可能になると予期される。
【0383】
実施例17:XTENを含有するBDD FVIIIに対する発現プラスミドの構築
1.BドメインAE42挿入
2度のPCR反応を平衡して実施し、XTEN_AE42をBDD FVIII構築物の残留Bドメイン領域へと挿入した。以下のプライマーをPCR反応に用いた:cgaaagcgctacgcctgagaGTGGCCCTGGCTCTGAGCCAGCCACCTCCGGCTCTGAAACCCCTGCCTCGAGCccaccagtcttgaaacgcc(配列番号1665);TGATATGGTATCATCATAATCGATTTCCTCTTGATCTGACTG(配列番号1666);agcttgaggatccagagttc(配列番号1667);tctcaggcgtagcgctttcgCTTGTCCCCTCTTCTGTTGAGGTGGGGGAGCCAGCAGGAGAACCTGGCGCGCCgttttgagagaagcttcttggt(配列番号1668)。次いで、PCR産物を鋳型として使用し、2度目のPCRを実施して、XTEN_AE42を、BamHIおよびClaIが隣接する、FVIIIをコードするヌクレオチド配列へと導入した。このPCR産物を、BamHIおよびClaIで消化し、同時に、PBC0114を同じ2つの酵素で消化した。PCR産物を、消化したベクターにライゲートした。この構築物は、pBC0135(pcDNA4-FVIII_4XTEN_AE42-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His)(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)と指定され、残留Bドメイン内に組み込まれたAE42 XTENを有するBDD FVIIIをコードする。
【0384】
2.AE42挿入およびR1648A変異
QuickChange法(Agilent、CA)を用いて、R1648A変異をPBC0135へと導入した。この構築物を、pBC0149(pcDNA4-FVIII_4XTEN_AE42-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His_R1648A)(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)と指定し、そのFVIIIプロセッシング部位を排除した。
【0385】
3.BドメインAE288挿入
XTEN_AE288を、以下のプライマーを用いてPCR増幅した:tctcaaaacGGCGCGCCAggtacctcagagtctgctacc(配列番号1669)およびtggtggGCTCGAGGCtggcgcactgccttc(配列番号1670)。PBC0075をこのPCR反応の鋳型として用いた。PCR産物をAscIおよびXhoIで消化し、PBC0135も、同じ酵素で消化した。PCR産物を、PBC0135断片へとライゲートした。この構築物は、pBC0136(pcDNA4-FVIII_4XTEN_AE288-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His)(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)と指定され、残留Bドメイン内に組み込まれたAE288 XTENを有するBDD FVIIIをコードする。
【0386】
4.AE288挿入およびR1648A変異
XTEN_AE288を、以下のプライマーを用いてPCR増幅した:tctcaaaacGGCGCGCCAggtacctcagagtctgctacc(配列番号1671)およびtggtggGCTCGAGGCtggcgcactgccttc(配列番号1672)。pBC0075構築物をこのPCR反応の鋳型として用いた。PCR産物をAscIおよびXhoIで消化し、pBC0149も同じ酵素で消化した。PCR産物を、pBC0149断片へとライゲートした。この構築物は、pBC0137(pcDNA4-FVIII_4XTEN_AE288-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His R1648A)(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)と指定され、そのFVIIIプロセッシング部位を排除するR1648A変異を有する、Bドメインの内部のAE288 XTEN配列を含有する。
【0387】
3.R1648A変異を有する、または有しない、BドメインAE144、AG144、AG288挿入
選択XTEN断片を、PCR増幅し、AscIおよびXhoI部位を、それぞれ5´末端および3´末端へと導入した。PCR産物をAscIおよびXhoIで消化し、pBC0135(R1648に対して)またはpBC0149(A1648に対して)も同じ酵素で消化した。PCR産物を、pBC0135またはpBC0149ベクターへとライゲートした。これらの構築物を、pSD0005、6、7、8、17および18と指定した。
【0388】
C末端でXTEN挿入を有するBDD FVIIIのための発現プラスミドの構築
1.C末端AE288挿入
XTEN_AE288を以下のプライマーを用いてPCR増幅した:ggggccgaaacggccggtacctcagagtctgctacc(配列番号1673)および、tgttcggccgtttcggcccctggcgcactgccttc(配列番号1674)。pBC0075構築物を、このPCR反応の鋳型として用いた。PCR産物をSfiIで消化し、pBC0114も同じ酵素で消化した。PCR産物を、消化されたpBC0114断片へとライゲートした。この構築物は、pBC0145(pcDNA4-FVIII_4-XTEN_AE288-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His)と指定され、(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)、BDD FVIIIのC末端でAE288配列をコードする。
【0389】
2.C末端AG288挿入
XTEN_AG288を、DNA2.0(Menlo Park、CA)により設計および合成した。合成された遺伝子を、以下のプライマーを用いてPCR増幅した:ggggccgaaacggccccgggagcgtcacc(配列番号1675)および、tgttcggccgtttcggcccctgacccggttgcccc(配列番号1676)。PCR産物をSfiIで消化し、pBC0114をベースにしたベクターも同じ酵素で消化した。PCR産物を、消化されたpBC0114断片へとライゲートした。この構築物は、pBC0146 (pcDNA4-FVIII_4-XTEN_AG288-GAGSPGAETA-Myc-SPATG-His)と指定され、(それぞれ、配列番号178および1662として開示される、「GAGSPGAETA」および「SPATG」)、BDD FVIIIのC末端でAG288配列をコードする。
【0390】
3.Cmattan AE/AG144、288、864挿入
AscIおよびXhoI部位を、以下のプライマーを用いて、QuickChange法を介して、pBC0114を元にしたベクターに導入した:5O37-PBC0114-AscI-XhoI-F:CAGGACCTCTACGGCGCgccagcctcgaGCGAACAAAAACTCATCTCAGAAGAGG(配列番号1677); 5O38-PBC0114-AscI-XhoI-R:CCTCTTCTGAGATGAGTTTTTGTTCGCtcgaggctggcGCGCCGTAGAGGTCCTG(配列番号1678)。様々なXTEN断片を、5´末端および3´末端にそれぞれAscIおよびXhoIを導入しながら、PCR増幅した。PCR産物を、消化されたPBC0114ベクターへとライゲートした。これらの構築物は、pSD0013、pSD0014、pSD0015、pSD0016、pSD0019およびpSD0020と指定された。
【0391】
ドメイン間、およびドメイン内XTEN挿入を有するBDD FVIIIのための発現プラスミドの構築
1.AE7、AE42およびAE144挿入
4つの異なる戦略を、BDD FVIIIコード配列内の、指定された部位(たとえば、天然制限酵素部位または導入制限酵素部位BsiWI 48、AflII 381、PshAI 1098、KpnI 1873、BamHI 1931、PflMI 3094、ApaI 3574、XbaI 4325、NotI 4437、XhoI 4444、BstEII 4449、AgeI 4500、PmeI 4527、BsiWI 908、NheI 1829およびClaI 3281)(各々が、数種の構築物の製造に寄与する)へのAE42の挿入に用いる。設計に関しては、これらのAE42の挿入により、挿入の両側に隣接するAscIおよびXhoI部位が作られ、このことにより、より長いXTEN、ならびに異なる配列を有するXTEN、または必要に応じて開裂配列が組み込まれたXTENの導入/置換が可能となる。特に、XTEN_144挿入を含有する構築物を、表21に列挙する。これらの挿入は、AscIおよびXhoI部位に隣接される、PCR増幅されたXTEN_144を有するAE7またはAE42のいずれかを置換することにより作製された。
【0392】
2.ダブルPCR介在法
2度のPCR反応を並行して実施して、指定された部位へXTEN_AE42を挿入する。XTENの一部を含有する長いプライマーの使用を介して、2度のPCR反応により、3´末端または5´末端のいずれかにXTENを導入する。次いで、PCR産物を鋳型として使用し、2度目のPCRを実施して、選択された制限酵素部位に隣接するヌクレオチド配列をコードするFVIIIへとXTEN_AE42を導入する。このPCR産物を、適切な酵素で消化し、同時に、同じ2つの酵素を用いてPBC0114も消化する。PCR産物を、その消化されたベクターへとライゲートする。この方法を用いて、pBC0126、pBC0127、pBC0128およびpBC0129と指定される構築物を作製し、それぞれ、R3、R3、P130、L216の位置でAE42の挿入を得る。配列を表21に列挙する。次いで、選択されたXTEN_144配列をPCR増幅して、断片のいずれか末端上にAscIおよびXhoI部位を導入し、消化されたFVIII-XTEN_AE42構築物へとライゲートする。たとえば、pSD0053は、pBC0129のAE42を、XTEN_AE144と置換することにより作製された。他のXTEN_144構築物も同じ戦略を介して作製され、表21に列挙される。
【0393】
QuickChange介在性2ステップクローニング法
QuickChange法を用いて、AscIおよびXhoIに隣接するXTEN_AE7コード配列を、消化された部位へと導入する。得られた中間構築物を、次いで、AscIおよびXhoIで消化する。XTEN_AE42またはXTEN_AE144をPCR増幅して、2つの部位を導入し、そして消化する。次いで、ベクターおよび挿入物をライゲートして、最終的な構築物を作製する。配列を表21に列挙する。
【0394】
4.3度のPCR II型制限酵素介在性ライゲーション法
3度のPCR反応を実施して、1つのI型制限酵素(FVIII_4遺伝子内の固有の部位と関連する)に隣接する断片をコードするFVIIIの小片、および1つのII型酵素(たとえば、BsaI、BbsI、BfuAI等)に隣接する断片をコードするFVIIIの小片の2つの小片を生成し、第三のPCR反応は、2つのII型制限酵素部位に隣接するXTEN_AE42を生成した。3つのPCR断片を、適切な酵素で消化し、TEN_AE42挿入を、配列をコードするFVIIIの断片内に含有する1つの直線的な小片へとライゲートした。この産物を、次いで、配列をコードするFVIII内の適切な固有の酵素で消化し、同じ酵素で消化されたPBC0114構築物へとライゲートし、pBC0130(P333残基でのXTEN挿入を有する)、pBC0132(D403残基でのXTEN挿入を有する)、pBC0133(R490残基でのXTEN挿入を有する)と指定される構築物を得た。配列を表21に列挙する。次いで、選択されたXTEN_A144配列をPCR増幅して、断片のいずれか末端にAscIおよびXhoI部位を導入し、消化されたFVIII‐XTEN_AE42構築物へとライゲートすることができる。たとえば、pSD0001およびpSD0003は、pBC0132のAE42を、それぞれXTEN_AE144およびXTEN_AG144と置換することにより作製される。表21に列挙される他のXTEN_144構築物も、同じ戦略で作製された。
【0395】
5.カスタム遺伝子合成
カスタム遺伝子合成は、GeneArt(Regensburg、Germany)により実施する。遺伝子は、指定された部位(複数含む)中にXTEN_AE42をコードするヌクレオチドが含まれ、そしてその遺伝子が、FVIII_4遺伝子内に選択された2つの固有制限酵素部位に隣接するように設計される。合成された遺伝子およびPBC0114は、適切な酵素で消化され、そしてライゲートされて、制限酵素部位の間にXTEN_AE42を組み込むBDD FVIIIを有する最終産物が生成される。次いで、選択されたXTEN_144をPCR増幅し、断片のいずれか末端にAscIおよびXhoI部位を導入し、消化されたFVIII-XTEN_AE42構築物へとライゲートすることができる。
【0396】
BドメインおよびC末端にデュアルXTEN挿入を有する発現プラスミドの構築
残留Bドメイン内に組み込まれたAE288 XTENを有するBDD FVIIIをコードするpBC0136構築物を、BamHIおよびClaIで消化し、この消化から得られた1372bpsの断片を挿入物とする。pBC0146構築物を、BamHIおよびClaIで消化し、この消化から得られた9791bpsの小片を、ベクターとする。そのベクターと挿入物を共にライゲートして、Bドメイン内にAE288挿入を、C末端上にAG288を含有するpBC0209を生成する。同じ戦略を用いて、それぞれ、BドメインおよびC末端に2つのAE288挿入を含有する構築物を、ベクターとしてPBC0145を用いて生成する。
【0397】
複合的なXTEN挿入を有する発現プラスミドの構築
FVIIIのR3位でAE42 XTENをコードするpBC0127構築物を、BsiWIおよびAflIIで消化し、この消化から得られる468bpsの断片を挿入物とする。pBC0209構築物をBsiWIおよびAflIIで消化し、この消化から得られる10830bpsの小片をベクターとする。そのベクターと挿入物を共にライゲートして、A1ドメイン内にAE42挿入を、シグナル開裂配列を回復するための追加の3ATRアミノ酸を、Bドメイン内にAE288 XTEN挿入を、および、C末端にAG288を含有する、pBC0210と指定される構築物を生成する。同じ技法を用いて、天然制限酵素部位および導入制限酵素部位(たとえば、BsiWI 48、AflII 381、PshAI 1098、KpnI 1873、BamHI 1931、PflMI
3094、ApaI 3574、XbaI 4325、NotI 4437、XhoI
4444、BstEII 4449、AgeI 4500、PmeI 4527、BsiWI 908、NheI 1829およびClaI 3281)で複数のXTENをコードする構築物を生成する。
【0398】
BDD FVIII内部XTEN_AE288発現ベクターの構築
メーカー(Agilent Technologies, CA)のプロトコールに従い、QuickChange法を用いて、2673塩基対および2674塩基対の間に、PBC0027 pMK-BDD FVIII構築物へと、2つのBsaI制限酵素部位を導入する。挿入されたDNA配列は、gggtctcccgcgccagggtctcccであり、得られた構築物は、pBC205と指定される(配列は表21)。次いで、AE288(または、AE42、AG42、AG288、AM288等のXTENの他の長さおよび他の変異体)をコードするDNA配列を、5´および3´の両方にBsaI部位を導入するプライマーでPCRを行う。次いで、pBC0205ベクターおよび挿入物(XTEN_288)を、BsaIで消化して、ライゲートし、Bドメイン内にXTEN_AE288挿入を有するFVIII遺伝子をコードする、pBC0206を作製する(配列は表21)。次いで、pBC0206公知k部鬱をNheI/SalIで消化して、NheI/SalIで消化したCET1019-HSベクター(Millipore)とライゲートする。CET1019-HSベクターは、遺伝子発現を促進するためのヒトCMVプロモーターおよびUCOE配列を含有する。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。ヒトCMVプロモーターの制御下にあるBDD FVIIIタンパク質をコードする、最終的な構築物を、pBC0207(CET1019-HS-BDD FVIII-STOP)と指定する(配列は表21)。pBC0207構築物の哺乳類細胞への導入により、内部XTEN_AE288を有するBDD FVIIIタンパク質の発現が可能となると予測される。同じプロトコールを用いて、XTENの他の変異体および他の長さ(たとえば、AE42、AG42、AG288、AM288、AE864、AG864または表4の他のXTEN等)を含有する構築物の作製、形質転換および発現を行う。
【0399】
BDD FVIII‐/‐XTEN_AE864発現ベクターの構築
5´末端および3´末端に隣接するNheIおよびSfiIを有するBDD FVIII断片を、pBC0025構築物を消化することにより作製する。この消化された断片を、次いで、FVIII、次いでXTEN_AE864配列をコードする、NheI/SfiIで消化されたpSecTagベクター(pBC0048 pSecTag-FVIII-/-XTEN_AE864)にライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終的な構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にあるBDD FVIII-/-XTEN_AE864タンパク質をコードする、pBC0060となる。哺乳類細胞へのpBC0060構築物の導入により、凝固促進活性を有するC末端XTEN融合(BDD FVIII-/-XTEN_AE864)を伴うFVIIIタンパク質の発現が予期される。
【0400】
BDD FVIII-/FXI/-XTEN_AE864発現ベクターの構築
5´末端および3´末端に隣接するNheIおよびSfiIを有するBDD FVIII断片を、pBC0025構築物を消化することにより作製する。この消化された断片を、次いで、FVIII、次いでFXI開裂配列(/FXI/)およびXTEN_AE864をコードする、NheI/SfiIで消化されたpSecTagベクター(pBC0047 pSecTag-FVIII-/FXI/-XTEN_AE864)にライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終的な構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にあるBDD FVIII-/FXI/-XTEN_AE864タンパク質をコードする、pBC0051となる。哺乳類細胞へのpBC0051構築物の導入により、次いでFXIにより開裂することができ、そして凝固促進活性を有するBDD FVIIIを放出する、C末端XTEN融合を伴うFVIIIタンパク質(BDD FVIII-/FXI/-XTEN_AE864)の発現が予期される。
【0401】
AE288またはAG288を含有するBDD FVIII-/FXI/-XTEN発現ベクターの構築
pBC006の融合AE864XTEN配列を、BsaIおよびHindIIIで、XTEN配列AE288およびAG288を消化することにより、置換する。次の、各AE288またはAG288XTEN断片、およびBsaI/HindIIIで消化されたpBC0051を用いたライゲーションステップにより、BDD FVIII発現ベクターへの、AE288またはAG288配列の交換が可能となる。得られる最終構築物は、BDD FVIII‐AE288に対してはpBC0061、BDD FVIII-AG288に対してはpBC0062である。哺乳類細胞へのpBC0061の導入により、凝固促進活性を有するC末端AE288XTEN融合を有するFVIIIタンパク質(BDD FVIII-/-XTEN_AE288)の発現が予期される。哺乳類細胞へのpBC0062の導入により、凝固促進活性を有するC末端AG288XTEN融合を有するFVIIIタンパク質(BDD FVIII-/-XTEN_AG288)の発現が予期される。
【0402】
別のXTENを有する、BDD FVIII-/FXI/-XTEN発現ベクターの構築
他のXTEN配列(たとえば、AE42、AG42、AG288、AM288等の他のXTEN変異体および他の長さのXTEN等)をコードするDNAを、BsaIおよびHindIIIで消化することにより、pBC0051の融合XTEN配列を置換する。XTEN断片およびBsaI/HindIIIで消化されたpBC0051を用いたライゲーションにより、様々なXTENをコードする配列を、BDD FVIII発現ベクターへと交換することが可能となり、それにより別の構築物が得られる。別の構築物の哺乳類細胞への導入により、次いでFXIにより開裂され、FVIIIを放出することができる、C末端XTENを有するFVIIIタンパク質(BDD FVIII-/FXI/-XTEN)が予期され、これにより凝固促進活性を有する凝固促進FVIII融合物が得られる。
【0403】
実施例18:シグナルペプチド-XTEN-/FXI/-BDD FVIIIのための発現プラスミドの構築
FVIIIシグナルペプチド-XTEN_AE864のための発現ベクターの構築
以下の2つのオリゴをアニーリングすることにより、FVIIIシグナルペプチドをコードする配列を作製する:5’-CTAGCATGCAAATAGAGCTCTCCACCTGCTTCTTTCTGTGCCTTTTGCGATTCTGCTTTAGTGGGTCTCC-3’(配列番号1679);5’-ACCTGGAGACCCACTAAAGCAGAATCGCAAAAGGCACAGAAAGAAGCAGGTGGAGAGCTCTATTTGCATG-3’(配列番号1680)。アニーリングされたオリゴは、NheIおよびBsaI制限酵素部位に、いずれか末端で隣接し、FVII-XTEN_AE864をコードする、NheI/BsaIで消化されたpCW0645ベクターへとライゲートされる。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にあるシグナルペプチド-XTEN_AE864をコードする、pBC0029と指定される。FVIIIタンパク質のN末端上に融合されたXTENを有する発現構築物を作製するための中間構築物として、この構築物を用いる。また、この構築物は、選択されたタンパク質のN末端上のXTEN融合を可能とする、発現構築物の作製のためのマスタープラスミドとして用いることもできる。
【0404】
シグナルペプチド-XTEN_AE864-/FXI/-BDD FVIII発現ベクターの構築
FVIIIコード領域内の1800bpsの断片を、5´末端上にNheI-BbsI-/FXI/-AgeIを導入するプライマー、および、3´末端上に内因性KpnI制限酵素部位を導入するためのプライマーを用いて増幅する。NheI/KpnIで消化されたFVIII断片を、NheI/KpnIで消化されたpBC0027ベクターとライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。得られた構築物は、FVIIIシグナルペプチドを有していない、/FXI/‐FVIIIタンパク質をコードする配列を含有する、pBC0052と指定される。この構築物を、FVIIIタンパク質のN末端上に融合されたXTENを有する発現構築物を作製するための中間構築物として用いる。
【0405】
pBC0052ベクターを、BbsI/XhoI酵素で消化し、BbsI/XhoIで消化されたpBC0029とのライゲートのために用いる。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にあるシグナルペプチド-XTEN_AE864-/FXI/-BDD FVIIIタンパク質をコードする、pBC0053と指定される。pBC0052構築物の哺乳類細胞への導入により、次いで、FXIにより開裂することができ、そしてBDD FVIIIタンパク質を放出することができる、N末端XTEN融合FVIIIタンパク質(シグナルペプチド-XTEN_AE864-/FXI/-BDD
FVIII)の発現が予期される。
【0406】
シグナルペプチド-XTEN-/FXI/-BDD FVIII発現ベクターの構築
pBC0053の融合XTEN配列は、他のXTEN断片(たとえば、AM、AF、AG等)をBsaIおよびBbsIで消化することにより置換することができる。XTEN断片およびBsaI/BbsIで消化されたpBC0053を用いたライゲーションにより、BDD FVIII発現ベクターへの様々なXTEN小片(たとえば、AM、AF、AG等)の交換が可能となる。様々なXTEN融合により、これらのタンパク質の半減期を別々に増加させることができ、それにより、これらのタンパク質の特性(たとえば、有効性、効能等)を改変することができる。これらの融合構築物のうちの任意のものを哺乳類細胞へと導入することにより、N末端XTEN融合を有するFVIIIタンパク質(シグナルペプチド-XTEN-/FXI/-BDD FVIII)の発現が予期され、そこで、融合XTENペプチドは、次いで、FXIにより開裂され、BDD FVIIIタンパク質を生成することができる。
【0407】
実施例19:ドメイン間XTEN挿入を伴うBDD FVIIIの構築
A2-Bドメイン境界でのXTEN挿入を有する、BDD FVIII発現ベクターの構築
pBC0027構築物(pMK-BDD FVIII-STOP)は、BDD FVIIIタンパク質コード配列を含有するように設計されたクローニングベクターであるが、BDD FVIIIの発現を開始するように位置づけされたプロモーターは無い。ベクターのバックボーンには、ほとんど制限酵素部位が含まれていないため、この構築物を、BDD FVIIIのコード配列の操作のために用いて、クローニング戦略を容易化する。BDD FVIIIタンパク質は、総分子量167539.66で、1457アミノ酸を含有する。野生型FVIIIタンパク質内には6つのドメイン(A1、A2、B、A3、C1およびC2ドメイン)がある。BDD FVIIIタンパク質において、Bドメインのほとんどは欠失されており、非構造性ドメインであり、そのドメインの除去によってこのタンパク質の重要な機能は変化しないと考えられている。しかしながら、Bドメイン境界は、タンパク質半減期を延長させる、XTEN融合物生成のためのすぐれた位置であると思われる。
【0408】
pBC0027内に、A2-B接点の境界に、固有のHindIII制限酵素部位がある。XTENコード配列のいずれか末端上にHindIIIおよびFXI開裂部位を導入するプライマーを用いて、XTEN(たとえば、表4、または13~17の配列)を増幅する。融合XTEN配列は、様々なXTEN断片を増幅することにより変化させることができる。様々なXTEN融合物は、これらのタンパク質の半減期を別々に延長させ、それによって、これらのタンパク質の特性(たとえば、有効性、効能等)の改変を可能とする。HindIII-/FXI/-XTEN-/FXI/-HindIII断片を、HindIIIで消化し、HindIIIで消化されたpBC0027とライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップによりスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ドメイン間XTEN融合物を有するが、遺伝子発現を開始するためのプロモーターを有しないBDD FVIIIタンパク質(FVIII(A1-A2)-/FXI/-XTEN-/FXI/-FVIII(C1-C2))をコードする、pBC0054と指定される。
【0409】
pBC0054構築物を、NheI/SalIで消化して、NheI/SalIで消化されたCET1019-HSベクター(Millipore)とライゲートする。CET1019-HSベクターは、遺伝子発現を促進するためのヒトCMVプロモーターおよびUCOE配列を含有する。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にある、ドメイン間(A2/Bドメイン間)XTEN融合物を有するBDD FVIIIタンパク質(FVIII(A1-A2)-/FXI/-XTEN-/FXI/-FVIII(C1-C2))をコードする、pBC0055と指定される。哺乳類細胞へのpBC0055構築物の導入により、ドメイン間XTEN融合を有するBDD FVIIIタンパク質(FVIII(A1-A2)-/FXI/-XTEN-/FXI/-FVIII(C1-C2))の発現が予期され、それらは次いで、FXIにより開裂され、BDD FVIIIタンパク質を放出することができる。
【0410】
A1-A2ドメイン境界でのXTEN挿入を伴う、BDD FVIII発現ベクターの構築
以下の4つのプライマーを用いて、2度のPCR反応に対する鋳型として、pBC0027構築物を設計する:(反応I)5’-ATGATGGCATGGAAGCCTAT-3’(配列番号1681);5’-ATCCCTCACCTTCGCCAGAACCTTCAGAACCCTCACCTTCAGAACCTTCACCAGAACCTTCACCATCTTCCGCTTCTTCATTATTTTTCAT-3’(配列番号1682)、(反応II)5’-TTCTGGCGAAGGTGAGGGATCTGAAGGCGGTTCTGAAGGTGAAGGTGGCTCTGAGGGTTCCGAATATGATGATGATCTTACTGATTCTGAAAT-3’(配列番号1683);5’-
TATTCTCTGTGAGGTACCAGC-3’(配列番号1684)。
【0411】
作製されたPCR産物はそれぞれ、150bpsと800bpsである。800bpの産物を、次のPCR反応ラウンドの鋳型として用いて、150bpの産物を1つのプライマーとして用いて、他方のプライマーとして、5’- TATTCTCTGTGAGGTACCAGC-3’(配列番号1685)を用いる。第二のPCRラウンドの産物は930bpであり、PshAIおよびACC65I制限酵素で消化する。このPshAI/ACC65I隣接DNA断片を、PshAI/ACC65Iで消化されたpBC0027とライゲートする。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、D345残基の後に、ドメイン間(A1/A2ドメイン間)XTEN融合を有するBDD FVIIIタンパク質をコードするpBC0058(pMK-BDD FVIII-D345-XTEN_Y36)と指定される。
【0412】
pBC0058構築物を、NheI/SalIで消化して、NheI/SalIで消化されたCET1019-HSベクター(Millipore)とライゲートする。CET1019-HSベクターは、遺伝子発現を促進するためのヒトCMVプロモーターおよびUCOE配列を含有する。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にある、D345残基の後でドメイン間(A1/A2ドメイン間)XTEN融合を有するBDD
FVIIIタンパク質をコードするpBC0059(CET1019-HS-BDD FVIII D345-XTEN_Y36)と指定される。pBC0059構築物の哺乳類細胞への導入により、ドメイン間XTEN融合を有するBDD FVIIIタンパク質(BDD FVIII D345-XTEN_Y36)の発現が予期される。
【0413】
実施例20:ドメイン内XTEN挿入を有するFVIIIの構築
P598の後(A2ドメイン内)のXTEN挿入を伴う、BDD FVIII発現ベクターの構築
以下のプライマーを伴うPCR法を用いて、XTEN_Y36に対するコード配列を増幅する:5’-GAAGCTGGTACCTCACAGAGAATATACAACGCTTTCTCCCCAATCCAGGTGAAGGTTCTGGTGAAGG-3’(配列番号1686)、5’-AACTCTGGATCCTCAAGCTGCACTCCAGCTTCGGAACCCTCAGAGCC-3’(配列番号1687)。
【0414】
184bpのPCR産物は、いずれか末端上でKpnIおよびBamHI制限酵素部位に隣接しており、BDD FVIII遺伝子をコードするpBC0027ベクター(KpnI/BamHIで消化されている)にライゲートされる。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、P598残基の後に、XTEN_Y36融合を有するFVIIIタンパク質をコードするDNA配列を含有する、pBC0056と指定される。このクローニング戦略を用いて、様々な形態のXTENを、PCR反応の鋳型を変え、そしてそれに伴うプライマーを変えることにより、BDD FVIIIタンパク質へと導入する。
【0415】
pBC0056構築物を、NheI/SalIで消化して、NheI/SalIで消化されたCET1019-HSベクター(Millipore)とライゲートする。CET1019-HSベクターは、遺伝子発現を促進するためのヒトCMVプロモーターおよびUCOE配列を含有する。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5a細菌細胞を形質転換する。形質転換体をDNAミニプレップでスクリーニングして、所望の構築物をDNA配列解析により確認する。最終構築物は、ヒトCMVプロモーターの制御下にある、ドメイン内(A2ドメイン内)XTEN融合物を有するBDD FVIIIタンパク質をコードする、pBC0057(CET1019-HS- FVIII P598-XTEN_Y32)と指定される。pBC0057構築物の哺乳類細胞への導入により、ドメイン内XTEN融合を有するBDD FVIIIタンパク質(FVIII P598-XTEN_Y32)の発現が予期される。
【0416】
他のドメイン内XTEN挿入を伴う、BDD FVIII発現ベクターの構築
BDD FVIII内の他のドメイン内の部位へと様々なXTENセグメント(たとえば、表4、または13~17のXTEN)を挿入するために、BDD FVIIIとアニールできるオーバーハングを伴うXTENを増幅するように、プライマーを設計する。FVIIIのコード配列(pMK-BDD FVIII)を、様々な制限酵素部位と共に設計し、これらの特異的な挿入を可能とする。固有制限酵素は、切断部位と共に、以下に列挙する:NheI 376、SacI 391、AfiII 700、SpeI 966、PshAI 1417、Acc65I 2192、KpnI 2192、BamHI 2250、HindIII 2658、PfoI 2960、PflMI 3413、ApaI 3893、Bsp1201 3893、SwaI 4265、OliI 4626、XbaI 4644、BstBI 4673、SalI4756およびXhoI 4762。コード配列のいずれか末端上にあるNheIおよびSalI部位を用いて、ヒトCMVプロモーター駆動ベクターである、哺乳類細胞における発現用のCET1019-HS(Millipore)へとDNA断片を挿入する。これらの構築物は、表21に列挙される配列を有するXTEN融合物を伴うBDD FVIIIタンパク質を発現する。
【0417】
実施例21:XTEN挿入を伴うFVIIIの構築
2つのXTENを伴うCFXTEN
様々な領域(N末端からC末端:A1-R1、A1-R2、A2-R1、A2-R2、Bドメイン、a3、A3-R1、A3-R2、C末端)において2つのXTEN挿入を伴うCFXTENを得るために、単一XTEN挿入(FVIII活性を維持している)を有する融合物を発現した構築物を利用した。FVIIIのコード配列(pBC0114 pcDNA4-FVIII_4-X10-Myc-SPATG-His extra RE)(配列番号1662として開示される「SPATG」)を、様々な固有制限酵素部位で消化して、これらの具体的な組み合わせを行った。固有制限酵素は、異なる領域間の関連部位と共に、以下の表18に列挙する:BsiWI(N末端およびA1-R1の間)、AflII(A1-R1およびA1-R2の間)、NheI(A1-R2およびA2-R1の間)、KpnI(A2-R1およびA2-R2の間)、BamHI(A2-R2およびBドメインの間)、ClaI(a3およびA3-R1の間)、PflMI(A3-R1およびA3-R2の間)、XbaI(A3-R2およびC末端の間)、AgeI(FVIII C末端およびストップコドンの間)。以下の表に列挙されるようにライブラリのクローニングのための基礎的要素と制限酵素を選択した。各領域において選択された成分は、モル比1:1で混合され、DNA混合物の2つのセットを、固有制限酵素で消化した。DNA断片を、1%アガロースゲルで分離させ、Qiagenゲル抽出キットにより精製した。第一の所望される領域にXTEN挿入を有するDNAを、挿入物とみなした(アガロースゲル中のより小さなDNA断片)一方で、第二の所望される領域にXTEN挿入を有するDNAを、ベクターと見なした(アガロースゲル中のより大きなDNA断片)。挿入物およびベクターを、プラスミドの再構築のためにライゲートした。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5α大腸菌コンピテント宿主細胞を形質転換した。可能性のあるライブラリーサイズのおよそ3~4倍をカバーするために、形質転換体を、ローリングサイクル増幅(RCA)およびサンガーシークエンシング法によりスクリーニングした。固有のクローンを特定し、ミニプレップを行った。次いで、2つの異なる制限酵素消化物を用いて、さらに各領域におけるXTENの完全性を確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列は、表21に列挙される。
【0418】
B/a3ドメインおよびC末端内に1または2つのXTEN挿入を有するCFXTEN
FVIIIのB/a3ドメインおよびC末端は、XTEN挿入にかなり耐容性である非構造領域である。B/a3ドメインはさらに、他の補因子(von Willibrand因子を含む)との相互作用を調節した。B/a3ドメインでの最適なXTEN挿入を調べるために、当該領域の選択欠失および変異を、PCRベースの突然変異生成法を用いて作製した。選択PCR反応およびベクターを、表18に列挙される固有制限酵素で消化した。DNA断片を、1%アガロースゲルで分離し、Qiagenゲル抽出キットにより精製した。第一の所望される領域にXTEN挿入を有するDNAを、挿入物(アガロースゲルでより小さいDNA断片)としてみなす一方で、第二の所望される領域でXTEN挿入を有するDNAを、ベクター(アガロースゲルで、より大きなDNA断片)としてみなした。その挿入物とベクターを、プラスミドの再構築のためにライゲートした。ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5α大腸菌コンピテント宿主細胞を形質転換した。形質転換体を、可能性のあるライブラリーサイズのおよそ8Xをカバーするために、コロニーPCRおよびサンガーシークエンシング法によりスクリーニングした。固有のコロニーを特定し、ミニプレップを行った。次いで、1つの3-制限酵素消化を用いて、各領域におけるXTENの完全性をさらに確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列は、表21に列挙される。
【表18-1】
【表18-2】
【表18-3】
【0419】
実施例22:18/26、403、745/1656、1720、1900または2332の部位での3~5のXTEN挿入を伴う、BDD FVIII発現ベクターの構築
18/26、403、745/1656、1720、1900または2332の部位でのXTEN挿入を伴うFVIII融合構築物を選択し、再結合させ、3、4、5または6のXTEN挿入を伴う構築物を作製した。
【0420】
26、403、1656、1720または、1900の部位での3~5のXTEN挿入を伴う、BDD FVIII発現ベクターの構築
所望される部位での単一XTENを伴う選択構築物は、pSD0050、pSD0001、pSD0039、pSD0010、およびpSD0062であった。所望される部位で二重のXTENを有する構築物としては、LSD0005.002、LSD0038.001、LSD0040.002、LSD0042.013、LSD0039.010、LSD0041.008、LSD0043.008、LSD0045.002、LSD0046.002、およびLSD0044.002が含まれる。構築物をクローニングするための基礎的要素および制限酵素を、以下の表19に列挙されるように選択した。選択された成分は、固有制限酵素で消化された。挿入物およびベクターのDNAを、1%アガロースゲルで分離して、Qiagen抽出キットにより精製した。挿入物とベクターをライゲートし、次いで、DH5α大腸菌コンピテント宿主細胞へと形質転換した。各構築物に対する4つのコロニーをRCAおよびDNA配列解析により分析した。所望されるXTEN挿入を有するクローンにミニプレップを行った。次いで、制限酵素消化を用いて、各領域におけるXTENの完全性をさらに確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列を、表21に列挙する。得られた構築物は、pSD0077~pSD0092と付番された。
【0421】
18、403、1656、1720、1900または2332位で4~6のXTEN挿入を有するBDD FVIII発現ベクターの構築
pSD0077~pSD0092の構築物を、18、403、1656、1720、1900または、2332位で挿入を有する、4~6XTEN構築物を作製するための基礎的要素として用いた。基礎的要素の構築物および構築物をクローニングするための制限酵素は、以下の表19に列挙されるように選択した。選択された成分は、固有制限酵素で消化された。挿入物およびベクターのDNAを、1%アガロースゲルで分離して、Qiagen抽出キットにより精製した。挿入物とベクターをライゲートし、次いで、DH5α大腸菌コンピテント宿主細胞へと形質転換した。各構築物に対する8つのコロニーを、コロニーPCRおよびDNA配列解析により分析した。所望されるXTEN挿入を有するクローンにミニプレップを行った。次いで、制限酵素消化を用いて、各領域におけるXTENの完全性をさらに確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列を、表21に列挙する。得られた構築物は、pBC0247~pBC0257、pNL0022、23、24、25および30と付番された。
【0422】
18、403、745、1720、1900または2332位で4~6のXTEN挿入を有するBDD FVIII発現ベクターの構築
pBC0247~pBC0252、pBC0255、pNL0022~pNL0025の構築物を、18、403、745、1720、1900または、2332位で挿入を有する、4~6XTEN構築物を作製するための基礎的要素として用いた。基礎的要素の構築物および構築物をクローニングするための制限酵素は、以下の表19に列挙されるように選択した。選択された成分は、固有制限酵素で消化された。挿入物およびベクターのDNAを、1%アガロースゲルで分離して、Qiagen抽出キットにより精製した。挿入物とベクターをライゲートし、次いで、DH5α大腸菌コンピテント宿主細胞へと形質転換した。各構築物に対する8つのコロニーを、コロニーPCRおよびDNA配列解析により分析した。所望されるXTEN挿入を有するクローンにミニプレップを行った。次いで、制限酵素消化を用いて、各領域におけるXTENの完全性をさらに確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列を、表21に列挙する。得られた構築物は、pBC0258~pBC0268と付番された。
【表19-1】
【表19-2】
【0423】
実施例23:3または4のXTENを有するCFXTEN発現ベクターの構築:Bドメインにおける第一のXTEN、C末端での第二のXTEN、およびA1もしくはA2もしくはA3ドメイン内での第三または第四のXTEN挿入
A1、A2またはA3ドメイン内にXTENを有する凝固活性クローンおよび、Bドメイン内およびC末端でXTEN挿入を有するクローンを組み合わせることにより、3つのXTEN挿入を有するCFXTEN融合タンパク質のライブラリを構築した。3XTENライブラリのメンバーを選択するために、A1、A2またはA3ドメインに加えられた第四のXTENを有するさらなるライブラリを構築した。クローニングスキームの設計を、以下の表に要約する。挿入物およびベクターのために、制限酵素消化およびアガロースゲル精製により、DNAを調製した。挿入物と対応するベクターとをライゲートした後、ライゲートされたDNA混合物を用いて、DH5αコンピテント大腸菌宿主細胞を形質転換した。形質転換体を、可能性のあるライブラリーサイズのおよそ3~4倍をカバーするために、RCAおよび配列解析によりスクリーニングした。固有のクローンを特定し、ミニプレップを行った。次いで、これらの異なる制限酵素消化を用いて、各XTENの完全性をさらに確認した。得られたCFXTEN融合タンパク質に対するアミノ酸配列およびコードDNA配列を表21に列挙する。
【表20-1】
【表20-2】
【表20-3】
【表20-4】
【表20-5】
【表20-6】
【0424】
【表21-1】
【表21-2】
【表21-3】
【表21-4】
【表21-5】
【表21-6】
【表21-7】
【表21-8】
【表21-9】
【表21-10】
【表21-11】
【表21-12】
【表21-13】
【表21-14】
【表21-15】
【表21-16】
【表21-17】
【表21-18】
【0425】
実施例24:哺乳類細胞のトランスフェクション、FVIII-XTENの発現、およびFVIII活性の評価
限定されないが、CHO、BHK、COSおよびHEK293を含む哺乳類細胞が、FVIII-XTEN融合タンパク質を発現および回収するための、上述の実施例のベクターとの形質転換に適している。以下は、一過性のトランスフェクションによりBDD FVIIIおよびFVIII-XTEN融合タンパク質構築物pBC0114、pBC0135、pBC0136、pBC0137、pBC0145、pBC0146および、pBC0149を発現するために用いられる方法に関する詳細であり、エレクトロポレーションおよび化学的(PEI)トランスフェクション法が含まれる。
【0426】
ATCCから購入した付着性HEK293細胞を、ベンダーの推奨の培地中で回復させ、数世代、継代した後で、複数のバイアルを、5%DMSOを添加した培地中で凍結させた。1つのバイアルを回復させ、もう一度継代し、その後、トランスフェクションを行った。HEK293細胞を1~2日静置し、トランスフェクションごとに、1つのT175中、35mlの培地を用いて、およそ7x105/mlの密度でトランスフェクションを行った。細胞のトランスフェクションを行った日にトリプシン処理を行い、剥離、および計数を行い、次いで、均一な細胞懸濁液が得られるまで培地中でリンスした。細胞を計測し、適切な量の細胞(前述の細胞数計測に基づく)を、トランスフェクションごとに、およそ4x106細胞となるよう、50mLの遠心管に移した。細胞を5分間、500RCFで遠心し、上清を棄て、細胞を10mlのD-PBSに再懸濁した。
【0427】
エレクトロポレーション:エレクトロポレーションについては、適切な量の再懸濁緩衝液を、マイクロピペッター(Neon(登録商標)Transfection System 100μLキット中に備えられている)を用いて、トランスフェクションごとに110μlの緩衝液が利用できるように、添加した。別個の細胞懸濁液110μl量を、個々のFVIII-XTEN構築物(トータルで6μg)のそれぞれに対して、11μlのプラスミドDNA(DNAの量は、滅菌H2Oで、11μl以下であっても良い)を含有する各エッペンドルフチューブに添加した。Neon(登録商標)Transfection Deviceを、トランスフェクションに用いた。プログラムは、20msのパルス幅に対し1100vで、トータルで2度のパルスでエレクトロぽレートするよう設定した。Neon(登録商標)Tube(Neon(登録商標)Transfection System 100μLキット中に備えられている)をNeon(登録商標)Pipette Station内へ置いた。Electrolytic Buffer E2(Neon(登録商標)Transfection System 100μLキット中に備えられている)の3mL量を、Neon(登録商標)Tubeへ添加した。Neon(登録商標)および100μlのNeon(登録商標)Tipsを用いて、100μlの細胞-プラスミドDNA混合物を、Neon(登録商標)Pipette Stationを用いてエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションを行い、完了した際に、Neon(登録商標)PipetteをStationから除去し、トランスフェクトされた細胞を有するピペットを用いて細胞を、円運動で、100mm x 20mmのペトリプレート(10mlのOpti-MEM I Reduced Serum Medium(1X、Invitrogen)を含有)へと、プレート上にトランスフェクトされた細胞が均一に分布するように、移した。各トランスフェクションに対する細胞を、発現のために37℃でインキュベートした。トランスフェクションの3日後に、10mL Hepes、5mL CaCl2、および4M NaClの塩溶液の10%量を各細胞培養物へと添加し、30分間、ゆっくりと混合した。各細胞培養物を、50mlのコニカル遠心管へと移し、4℃で10分間、3000rpmで遠心した。各培養物の上清を、新しい50mlのコニカル管へと入れ、次いで、アッセイのために、エッペンドルフで5x1ml、コニカル管で2x15mlのアリコートへ分注し、または、急速冷凍して、本明細書に記述されるように、ELISAでのFVIII-XTENの発現の検証、およびFVIII活性の分析の実施を行った。
【0428】
化学的トランスフェクション:化学的トランスフェクションは、当分野に公知の標準的な方法を用いて行うことができる。本実施例においては、記述されるように、PEIを利用する。
【0429】
トランスフェクションの前日に、293細胞の懸濁液を、十分なFreestyle293(Invitrogen)の培地中、7x105細胞/mLで播種して、少なくとも30mlのワーキングボリュームを得、37℃でインキュベートした。トランスフェクションの当日、トランスフェクション培地の1.5mlのアリコートを室温で維持し、1mg/mlのPEIを90μL、添加して、短時間、ボルテックスを行った。FVIII-XTEN_AE288構築物をコードするDNAの30μl量(濃度は1mg/ml)を、PEI溶液へと添加して、30秒間、ボルテックスを行う。混合物を、5~15分間、室温で維持する。DNA/PEI混合物をHEK293細胞に添加して、懸濁液を、前もって確立させた振とうフラスコ条件を用いて、37℃でインキュベートする。DNA/PEI混合物の添加の約4時間後、1x量の拡張培地を添加し、細胞を5日間、37℃でインキュベートする。回収の日、10mL Hepes、5mL CaCl2、および4M
NaClの塩溶液の10%量を細胞培養物へ添加し、30分間、ゆっくりと混合する。細胞培養物を、50mlのコニカル遠心管へと移し、4℃で10分間、4000rpmで遠心する。上清を、新しい50mlのコニカル管へと入れ、次いで、アッセイのために、エッペンドルフで5x1ml、コニカル管で2x15mlのアリコートへ分注し、または、急速冷凍して、本明細書に記述されるように、ELISAでのFVIII-XTENの発現の検証、および/または、FVIII活性の分析の実施を行った。
【0430】
FVIII-XTENを産生する安定プールおよび細胞株の生成
安定プールは、たとえばピューロマイシン等の選択抗体を含有する培地中で、3~5週間、2~3日毎に培地を変えながら、トランスフェクトした細胞を培養することにより生成される。安定細胞は、安定クローンの生成または産生のいずれかに用いることができる。初代スクリーニングの間の安定細胞株の選択のために、継代培養中のもの、または凍結バイアルから回復させたもの、いずれか由来の安定プールからの細胞を、標的密度(0.5細胞/ウェル)で96ウェルプレートに播種する。播種の約1週間後、顕微鏡観察下で、単一細胞塊のあるウェル由来の、培養後の培地を、活性アッセイまたは抗原測定により、FVIIIの発現を検証する。
【0431】
スクリーニングのさらなるラウンドのために、細胞の標準数を、マルチウェルのプレートに播種する。培養後の培地を回収し、ELISAによりFVIIIの濃度、およびFVIII活性分析を検証する。また、細胞をプレートから回収して、Vi-Cellを用いて計数する。クローンを、(1)ELISAによるFVIII価および活性;(2)ELISA価/細胞数および、活性価/細胞数の比率;ならびに(3)ウェスタンブロットで計測した、クローンにより産生された産物の完全性および均一性、によりランク付けする。各構築物に対する多くのクローンを、さらなるスクリーニングのラウンドのために、初代スクリーニングから選択する。
【0432】
スクリーニングの第二のラウンドのために、初代スクリーニングから選択されたトップクローンについて、96ウェルプレート中の細胞をT25フラスコ中で最初に増殖させ、次いで、二重で、24ウェルプレートに播種する。培養後の培地を、FVIII活性および抗原定量のためにプレートから回収し、そして細胞を回収し、Vi-Cellで計数する。クローンをランク付けし、次いで、ELISAによる力価および活性アッセイ、ELISA価/細胞および活性価/細胞数の比率に従い選択する。凍結バイアルを、少なくとも5~10クローンに対して調製し、再度、これらクローンをスクリーニングし、ELISAおよび活性、ならびにELISA価/細胞数および活性価/細胞数の比率、ウェスタンブロットによる産物の完全性および均一性に従い、ランク付けし、そして2~3のクローンを、振とうフラスコ中での生産性評価で選択する。最終的なクローンは、具体的な生産性および産物のクオリティに基づき選択される。
【0433】
293安定クローン懸濁液により、細胞培養培地中に分泌されるFVIII-XTENの産生
前述の方法により選択されたHEK293安定細胞クローンを、発現培地中、1~2X105細胞/mlで、振とうフラスコ中に播種する。細胞数、細胞の生存能力、FVIII活性および抗原発現価を毎日モニターする。FVIII活性および抗原価および産物のクオリティが最適となった日に、培養物を遠心/ろ過滅菌、または深層ろ過/滅菌ろ過のいずれかにより回収する。ろ過物を、ただちにタンジェント流ろ過(TFF)処理および精製に用いるか、または後でTFF処理および精製を行うために-80℃で保存、のいずれかを行う。
【0434】
実施例25:CFXTEN構築物の生成および特徴
1以上のXTENを有するCFXTEN構築物の精製および特徴付けの方法例は以下である。
【0435】
FVIIIアフィニティクロマトグラフィーによる、FVII‐XTEN AE864の精製
上清を含有するCFXTENを、Cuno ZetaPlus Biocapフィルターおよび、Cuno BioAssureカプセルを用いてろ過し、次いで、30,000Da MWCOを有するMillipore Pellicon 2 Miniカートリッジを用いたタンジェント流ろ過により濃縮する。同じタンジェント流ろ過カートリッジを用いて、試料は、10mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、300mM塩化ナトリウム、および0.02%Tween80(pH7.0)へ透析ろ過を行う。FVIIISelect樹脂(GE 17-5450-01)は、クロマトグラフィー樹脂に連結された13kDaの組換えタンパク質リガンドを用いて、FVIIIまたはBドメイン欠失FVIIIを選択的に結合させる。その樹脂を、10mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、300mM塩化ナトリウム、および0.02%Tween80(pH7.0)で平衡化し、上清をロードする。カラムを20mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、300mM塩化ナトリウムおよび0.02%Tween80(pH7.0)で洗浄し、次いで、20mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、1.0M塩化ナトリウムおよび0.02%Tween80(pH7.0)で洗浄し、そして、20mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、1.5M塩化ナトリウムおよび0.02%Tween80(50%エチレングリコールに溶解、pH7.0)で溶出する。
【0436】
タンジェント流ろ過および透析ろ過による、濃縮および緩衝液交換
CFXTENを発現する安定CHO細胞株由来の、総量で、少なくとも10L量のの上清バッチを、Cuno ZetaPlus Biocapろ過およびCuno BioAssureカプセルを用いてろ過する。次いで、それらを、30,000Da MWCOを有するMillipore Pellicon 2 Miniカートリッジを用いたタンジェント流ろ過により、およそ20倍に濃縮する。同じタンジェント流ろ過を用いて、試料を、10mMヒスチジン、20mM塩化カルシウム、300mM塩化ナトリウム、および0.02%Tween80(pH7.0)、10mMトリス(pH7.5)、1mM
EDTAで、緩衝液交換相当の5体積を用いて、透析ろ過する。試料を、50mlのアリコートに分け、-80℃で凍結する。
【0437】
陰イオン交換クロマトグラフィーによるCFXTENの精製
Akta FPLCシステムを用いて、試料を、SuperQ-650Mカラムを用いて精製する。カラムを、緩衝液A(0.02mol/Lのイミダゾール、0.02mol/Lのグリシンエチルエステル塩酸塩、0.15mol/LのNaCl、2.5%のグリセロール(pH 6.9))で平衡化し、試料をロードする。試料を、緩衝液B(5mmol/LのヒスチジンHCl(His/HCI)、1.15mol/LのNaCl(pH7.0))を用いて溶出する。215nmのクロマトグラムを用いて、溶出プロファイルをモニターする。溶出されたフラクションを、ELISA、SDS-PAGEまたは活性分析によりFVIIIについて分析する。ピークフラクションをプールし、保存または、ただちにトロンビン活性化(O’Brien et al., Blood (1990) 75:1664-1672)に供する。フラクションを、aPTTベースの因子分析を用いて、FVIII活性について分析する。Bradford分析を実施し、ロードしたフラクションおよび溶出フラクション中のタンパク質の総量を測定する。
【0438】
疎水相互作用クロマトグラフィーによるCFXTENの精製
緩衝液A(50mmol/lのヒスチジン、1mmol/lのCaCl2、1MのNaClおよび、0.2g/lのTween80(登録商標)、pH 7.0)に溶解したCFXTEN試料を、緩衝液Aで平衡化したtoyopearlエーテル650M樹脂上にロードする。カラムを、10カラム体積の緩衝液Aで洗浄し、不正確にフォールディングされた形態のDNAおよびFVIII、ならびに他の混入タンパク質を除去する。CFXTENを、緩衝液B(25mmol/lのヒスチジン、0.5mmol/lのCaCl2および、0.4mol/lのNaCl、pH 7.0)で、シングスステップ溶出として、溶出する(米国特許第6005082号)。フラクションを、aPTTをベースとした因子分析を用いて、FVIII活性を分析する。Bradford分析を実施し、ロードしたフラクションおよび溶出フラクション中のタンパク質の総量を測定する。
【0439】
陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた、単量体CFXTEN由来の凝集タンパク質の除去
Akta FPLCシステムを使用し、マクロキャップQカラムを用いて、試料を精製する。カラムは、緩衝液A(20mMのMES、1mMのCaCl2、pH7.0)へと平衡化し、試料をロードする。試料は、20カラム体積を超える、30%~80%緩衝液B(20mMのMES、1mMのCaCl2、pH7.0+500mMのNaCl)の直線勾配を用いて溶出する。215nmのクロマトグラムを用いて、溶出プロファイルをモニターする。溶出の早期部分にあたるフラクションでは、主に単量体タンパク質が含有される一方で、溶出の後期部分では、主に凝集した種類のものが含有されている。macrocapQカラム由来のフラクションを、サイズ排除クロマトグラフィー(60cmのBioSep G4000カラムを備える)を介して分析し、凝集物が無い試料を生成するためには、どれをプールするべきかを決定する。
【0440】
トロンビンによるFVIIIの活性化
5mmol/LのヒスチジンHCl(His/HCI)、1.15mol/LのNaCl(pH 7.0)に溶解した精製FVIIIを、FVIIIユニットに対してヒトトロンビン単位が1:4の比率で、トロンビンで処理し、試料を2時間まで、37℃でインキュベートする。活性化プロセスをモニターするために、次いで、この試料のアリコートを抜き取り、4.5量の氷冷アセトンを添加することにより、アセトン沈殿する。試料を、氷上で10分間インキュベートし、沈殿物を、3分間、微量遠心管中、13,000gで遠心することにより、回収する。アセトンを除去し、沈殿物を30μLのSDS-PAGE還元試料緩衝液中に再懸濁し、2分間、沸騰させる。次いで、試料をSDS-PAGEまたはウェスタンブロットにより分析する。FVIIIのFVIIIaへの転換は、重鎖の40および50kDa断片への転換および、軽鎖の70kDa断片への転換を探索することにより検証する(O’Brien et al., Blood (1990) 75:1664-1672)。
【0441】
CFXTENのSEC分析
アフィニティおよび陰イオン交換クロマトグラフィにより精製されたFVII-XTENを、サイズ排除クロマトグラフィー(60cm BioSep G4000カラムを備える)により分析する。流体力学半径が約10nm/見かけ分子量が約1.7MDa(XTEN-288融合)、または、12nm/見かけ分子量が5.3MDa(XTEN-864融合)の単分散個体群は、凝集物が無い試料を示唆する。CFXTENは、約8以下(FVIIIとXTEN-288の融合に対して)、または、約15以下(FVIIIとXTEN-864の融合に対して)の見かけ分子量係数を有すると予測される。
【0442】
ELISAに基づくCFXTENの濃度測定
二重抗体酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)を用いた第VIII因子/CFXTEN抗原濃度の定量的測定を、実績のある抗体ペア(VisuLize(登録商標)FVIII Antigen kit、Affinity Biologicals、Ontario Canada)を使用して実施する。ストリップウェルを、ヒトFVIIIに対するヒツジのポリクローナル抗体であらかじめコートする。血漿試料を希釈し、ウェルに入れる。FVIII抗原が存在すれば、コートされた抗体に結合する。未結合の物質を洗浄で流した後、ペルオキシダーゼ標識したヒツジ検出抗体を入れ、捕捉されたFVIIIに結合させる。ウェルを再度洗浄し、TMB溶液(ペルオキシダーゼ基質テトラメチルベンジジン)を入れ、既定時間の間、反応させる。青色が発色し、これは酸との反応をクエンチすることで黄色に変化する。現れた色を、マイクロプレートリーダー(450nm)で、分光光度測定する。450nmでの吸収は、ウェル上に捕捉されたFVIIIの抗原量に直接比例する。アッセイは、キットに付属する較正用の血漿または、適切な物質中のCFXTEN標準の代替のいずれかを用いて、修正する。
【0443】
FXa連結発色基質アッセイを介したCFXTEN活性の分析
Chromogenix Coamatic Factor VIII (Chromogenix, cat# 82258563)を用いて、FVIIIまたは、FVIIIを含有するCFXTENの活性を以下のように分析する。カルシウムイオンおよびリン脂質の存在下、第X因子は、第IXa因子により第Xa因子へと活性化される。この活性化は、この反応の補因子として働く第VIII因子により、大きく刺激される。Ca2+、リン脂質および第XIa因子の最適量、および過剰量の第X因子を用いることにより、第X因子の活性化の比率は、第VIII因子の量に直線的に関連する。第Xa因子は、発色基質S-2765を加水分解し、それにより発色基のpNAを放出させる。次いで、色を、405nmで、分光度的に計測する。生成された第Xa因子および、それによる色の強度は、試料中の第VIII因子の活性に比例する。形成されたトロンビンによるS-2765の加水分解は、合成トロンビン阻害物質I-2581を、基質と共に添加することにより阻害される。未知試料の活性は、その試料の最終A405と、FVIII量が既知のものから作図された標準曲線からのものとを比較することにより、測定される。また、(A280またはELISAにより)試料中に存在するFVIII抗原の量を測定することにより、試料の特有の活性が、FVIIIの特定の製剤の相対的効力を理解するために測定される。これにより、CFXTEN融合物の異なる単離戦略、または構築設計の相対的効率が、活性および順位付けを分析されることが可能となる。
【0444】
CFXTEN活性の測定のためのaPTTベースの分析
CFXTENは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路におけるFVIIIを置換するために作用する。この凝固経路の活性は、活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイ(aPTT)を用いて分析される。FVIII活性は、以下のように特異的に計測される:標準曲線を、正常な対照血漿(Pacific Hemostasis cat# 100595)を、FVIII欠失血漿(cat# 100800)で2倍に希釈することにより調製され、次いで、第VIII因子欠失血漿で再度、6、4-倍連続希釈を行う。これにより、500、130、31、7.8、2.0、0.5および0.1IU/mlの活性でのポイントで標準曲線が作成され、活性の1単位は、正常ヒト血漿1ml中のFVIIIC活性の量として定義される。また、FVIII欠失血漿を含めて、ヌル血漿中の活性のバックグラウンドレベルを測定する。試料は、CFXTENを、FVIII欠失血漿に、1:10の体積での比率で添加することにより調製される。試料は、以下のようにaPTTアッセイを用いて検証される。試料を、2分間、分子デバイスプレートリーダー分光光度計中、37℃でインキュベートし、その時点で、aPTT試薬(Pacific Hemostasis cat# 100402)の等量が添加され、さらに3分間、37℃のインキュベーションが実施される。インキュベーションの後、アッセイは、1体積の塩化カルシウム(Pacific Hemostasis cat# 100304)を添加することにより活性化される。濁度を5分間、450nmでモニターし、反応プロファイルを作成する。aPTT時間、または凝固活性が開始される時間は、ベースラインを超えて、OD405nmが0.06までに増加された最初の時間として定義される。log‐線形標準曲線は、aPTT時間に直線的に関連する活性のlogで作成される。これより、プレートウェル中の試料の活性が測定され、次いで、試料中の活性が、FVIII欠失血漿への希釈を計算するために、11を乗じることにより、決定される。また、試料中に存在するFVIII抗原の量を測定することにより、試料の比活性を測定し、FVIIIの特定の調製法の相対的効力を理解することができる。これにより、異なる単離戦略、またはCFXTEN融合物の構築設計の相対的効力をランクづけることが出来る。
【0445】
FVIII/FVIII-XTEN発現タンパク質のウェスタンブロット分析
試料を、8%の均質SDSゲルで泳動し、次いで、PVDF膜へと移した。レーン1~15の試料は、それぞれ以下である:MW標準、FVIII(42.5ng)、pBC0100B、pBC0114A、pBC0100、pBC0114、pBC0126、pBC0127(8/5/11;#9)、pBC0128、pBC0135、pBC0136、pBC0137、pBC0145、pBC0149および、pBC0146。その膜を、最初に5%ミルクでブロックし、次いで、抗FVIIIモノクローナル抗体(GMA-012、重鎖のA2ドメインに特異的)(Ansong C, Miles SM, Fay PJ.J Thromb Haemost. 2006 Apr;4(4):842-7)でプローブした。Bドメイン中のXTEN288の挿入は、pBC0136(レーン8、
図22)およびpBC0137(レーン9、
図22)で観察された一方、C末端のXTEN288の挿入は、pBC0146(レーン12、
図22)で観察された。分析したすべてのFVIII-XTENタンパク質で、pBC0114ベースの構築物またはFVIII標準よりも少なくとも21kDa高い分子量を有する単鎖タンパク質の存在が明らかとなった。さらに、AE42挿入は、pBC0135(レーン7、
図22)およびpBC0149(レーン11、
図22)で観察され、単鎖は、pBC0114ベースのタンパク質よりも約5kDa高く泳動され、重鎖は、ベースタンパク質の90kDaのバンドよりも約5kDa高く泳動された。
【0446】
ELISAによる発現FVIIIの分析
細胞培養による、構築物のFVIII-XTEN融合タンパク質の発現を確認および定量するために、ELISA分析を確立させた。捕捉抗体(SAF8C-AP(Affinity Biologicals)もしくはGMA-8002(Green Mountain Antibodies)のいずれか、またはGMA011抗体(Green Mountain Antibodies)(FVIII‐LC ELISAに対して)、またはGMA016抗体による、をELISAプレートのウェル上に固定した。次いで、ウェルをブロッキング緩衝液(1xPBS/3%BSA)でインキュベートし、他のタンパク質の抗FVIII抗体への非特異結合を阻害した。FVIII標準希釈(約50ng~0.024ngの範囲)、クオリティ制御、および細胞培養培地試料を、次いで、ウェル中で1.5時間インキュベートし、発現されたFVIIIタンパク質を、コートされた抗体へ結合させた。次いで、ウェルをしっかりと洗浄し、結合タンパク質を抗FVIII検出抗体(SAF8C-Biotinylated (Affinity Biologicals))とインキュベートさせる。次いで、FVIII検出抗体に接合されたビオチンに結合する、ビオチンストレプトアビジン-HRPをウェルに添加し、1時間インキュベートする。最後に、OPD基質をウェルに添加し、HRP酵素によるその加水分解を、490nmの波長で、プレートリーダーを用いてモニターする。FVIII含有試料の濃度を、次いで、標準曲線に対する各培養希釈での比色反応を比較することにより算出した。以下の表22の結果より、様々な構築物のFVIII‐XTENは、細胞培養培地中、0.4~1μg/mlで発現されていることが示される。ELISAにより得られた結果および、活性データより、FVIII‐XTEN融合タンパク質は、記述されるトランスフェクション法を用いて非常によく発現されていたことが示される。さらに、実験条件下において、結果から、FVIII-XTENタンパク質の比活性価は、pBC0114のベース構築物(BDD FVIIIを発現)と同じ、またはより大きいことが示され、このことから、FVIIIのC末端またはBドメインへのXTENの挿入により、FVIIIタンパク質機能は維持されていることが立証される。
【0447】
CFXTEN融合タンパク質に対する発色活性アッセイ
FVIII BDD配列のC末端で挿入されたXTEN AE288およびAG288、ならびに、Bドメインの残基745(または残基743)の後、残基1640(または残基1638)の前に挿入されたAE42およびAE288とのFVIII-XTEN融合タンパク質(P1648プロセッシング部位がアラニンに変異した構築物を含む)を含む、および様々な構成の、BDD FVIIIおよびCFXTEN融合タンパク質構築物pBC0114、pBC0135、pBC0136、pBC0137、pBC0145、pBC0146および、pBC0149、を、上述のように一過性にトランスフェクトされたFreestyle293細胞中で発現させ、凝固促進活性を検証した。細胞培養培地中に存在するFVIII-XTENタンパク質のそれぞれの凝固促進活性は、Chromogenix Camatic(登録商標)Factor VIIIアッセイ(そのアッセイは、第X因子の活性化が、試料中の第VIII因子の量と直線的に関連する)を用いて、分析された。エンドポイント法を用いて、メーカーの説明書に従いアッセイを実施し、OD405nmで分光光度測定を行った。標準曲線は、精製FVIIIタンパク質(250、200、150、100、75、50、37.5、25、12.5、6.25、3.125および1.56mU/mlの濃度)を用いて作成した。第VIII因子標準の希釈、クオリティ制御、および試料は、アッセイ実行における培地の効果を参酌するために、アッセイ緩衝液およびPEI培養培地で調製された。陽性対照は、精製された第VIII因子タンパク質(20、40および80mU/mlの濃度)およびXTEN挿入を欠失しているpBC0114 FVIIIベース構築物の細胞培養培地から構成される。陰性対照は、アッセイ緩衝液またはPEI培養培地単独から構成された。FVIII-XTEN構築物の細胞培養培地を上述のように得て、1:50、1:150および1:450希釈で反復して検証し、各活性をU/mlで算出した。各FVIII-XTEN構築物は、陽性対照のベース構築物と同等か、一部のケースではより大きな凝固促進活性をしたことから、実験条件下においては、AE288またはAG288を含むXTENの、FVIIIのC末端での連結、またはBドメイン内にAE42またはAE288を含むXTENの挿入により、FVIII凝固促進活性が維持、またはさらに増強されることが立証される。
【表22】
【0448】
CFXTEN融合タンパク質を含有する細胞培養試料活性分析のためのCoatestアッセイ
Coatestアッセイを用いて、FVIII、またはFVIIIを含有するCFXTENの活性を、以下のように分析する。
【0449】
アッセイ原料:原料効果を制御するために、同じプレートの同じウェルを、同じ割合の培地に調節した。OD405の側定値が標準試料の直線範囲内に収まるように、検証試料を希釈した。FVIII標準の濃度範囲は、100mU/mL~0.78mU/mLであり、予め決められた割合の培養培地を加えた1XのCoastest緩衝液(DiaPharma)でのFVIIIの4倍連続希釈により調製された。
【0450】
Coatest SP FVIII(DiaPharma)試薬パッケージには、10xCoatest緩衝液ストック溶液、第IXa因子+第X因子、リン脂質、CaCl2および基質が含まれている。1xCoatest溶液は、1X体積のストックに、冷却ddH2Oの9X体積を加えることにより調製された。次いで、細胞培養培地を、予め決められた割合で調製された1X溶液に加え、全ての検証ウェル中の原料割合を正規化した。第IXa因子+第X因子、リン脂質、および基質は、メーカーの推奨に従い、再構成された。
【0451】
Coatestアッセイ手順:
アッセイ試薬を調製し、使用するまで氷上に置いた。25μlの希釈検証試料および標準試料を、二重で、96ウェルプレートに添加した。50μlのリン脂質/第IXa因子/第X因子を各ウェルに添加し、プレートの側面をゆっくりとタッピングしながら混合した。プレートを5分、37℃のプレートヒーター上で、37℃でインキュベートした。25μlのCaCl2を各ウェルに添加し、混合した。プレートを、プレートヒーター上で5分間、37℃でインキュベートした。次いで、50μlの基質を各ウェルに添加、混合し、トップの標準試料が、約1.5のOD405測定値を発色するまで、さらに5~10分間、37℃でインキュベートした。反応を止めるために、25μlの20%酢酸を混合しながら各ウェルに加え、ウェルを、SpectraMAX(登録商標)plus(Molecular Devices)分光光度計を用いて、OD405で測定した。データ分析は、SoftMaxプログラム(第5.2版)を用いて実施した。LLOQは、アッセイごとに変化したが、およそ0.0039IU/mlであった。
【0452】
結果:データを、表23~26に示す。本明細書に記述される基準(実施例34を含む)に基づき選択された単一部位に挿入されたXTENを有するCFXTEN融合タンパク質からの結果を表23に示す。pBC00114 FVIII陽性対照は、十分な発現およびFVIII活性を示した。凝固アッセイにおいて、分析された106の単一‐XTEN融合タンパク質の内、68%が測定可能な程度のFVIII活性を維持し、30%が、3+~4+の活性を示した。分析された融合タンパク質のうち31%が、定量限界を下回る結果であった(おそらく、発現が乏しく、それが対応する発現ELISAの結果に反映されたものと思われる)。C末端連結構築物と同様、4つのBドメイン挿入構築物すべてが、十分な活性を示し、このことから、これらは好ましい挿入部位である可能性が示される。
【0453】
単一挿入部位データの結果から、2つのXTEN挿入を伴うXTEN構築物の生成が導かれ、その結果は表24に示される。全体として、凝固アッセイにおいて陽性率は67%であり、融合タンパク質の31%が、3+~4+の活性を示した。
【0454】
表25に示される、前述のデータの結果から、3つのXTEN挿入を伴うXTEN構築物の生成が導かれた。全体として、凝固アッセイにおいて試料の92%が測定可能な程度のFVIII活性を有し、全体の79%が3+~4+の活性を示した。
【0455】
限られた数の、A1、A2およびA3ドメインに挿入された4つのXTENを伴う構築物を生成および分析し、5つのうち4つが、FVIII活性を示したことから(表26)、複数のXTENの挿入は、得られた融合タンパク質の、FVIII活性を維持する能力を損なわないことが示唆された。
【0456】
xxxxxxx
結論:実験の条件下では、結果から、XTEN挿入を選択するために用いられた基準が有効であり、1以上のXTENの、FVIIIの選択部位への挿入は、得られたCFXTEN分子の凝固促進活性の維持をもたらす可能性があることが立証され、および3つのXTENの挿入により、単一、または二重のXTEN挿入構築物と比較して、高レベルのFVIII凝固促進活性を維持する融合タンパク質の割合が高くなると考えられる。
【表23-1】
【表23-2】
【表23-3】
【表23-4】
【表23-5】
【0457】
【表24-1】
【表24-2】
【表24-3】
【表24-4】
【表24-5】
【0458】
【表25-1】
【表25-2】
【表25-3】
【表25-4】
【0459】
【表26-1】
【表26-2】
【表26-3】
【表26-4】
【0460】
実施例26:XTEN半径および関連パラメーターの測定
CFXTEN融合タンパク質のXTEN成分の流体力学半径を定量するため、および、単一XTENに対して、複合体なXTENの値がどの程度変化するかを定量するため、一連の化学式を、1以上のXTENを含有する様々な融合タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィー分析から実験的にに導かれたデータを基にして生成した。CFXTENに複数のXTENを組み込むことにより、より少ないXTEN(しかし、ほぼ同じXTEN総アミノ酸を有している)を有するCFXTENと比較して、XTEN成分の総流体力学半径が大きくなると考えられている。単一XTENポリペプチドの最大半径は、式IIにより得られた化学式に従い、算出する(以後、「XTEN半径」)。
式II:
XTEN半径=(√XTENの長さ 0.2037)+3.4627 II
【0461】
CFXTENのXTENセグメントすべてに対するXTEN半径の最大値の合計は、式IIIにより得られた化学式に従い、算出される(以後、「XTEN半径の合計」)。
【数6】
ここで、n=XTENセグメントの数であり、および、iは、反復子である。
【0462】
等しい長さ(CFXTENの総アミノ酸残基数に対する、総アミノ酸残残基数において)の単一XTENに対するXTEN半径の合計に対する、複数のXTENを含有するCFXTENのXTEN半径の合計の比率は、式IVにより得られる化学式に従い、算出される(以後、「XTEN半径の比率」)。
【数7】
ここで、n=XTENセグメントの数であり、および、iは、反復子である。
【0463】
結果:式IIを、長さ144、288、576および864のXTENに適用した。結果を表27に示す。式IVを、2、3または4つのXTENを有する、本明細書に記述される様々なCFXTEN融合タンパク質に適用した。XTEN半径の比率は、単一のXTENを含有するCFXTENすべてに対して、1の値である。XTEN半径の比率は、表28に示す。5つのXTEN挿入を含有するpSD0092に対するXTEN半径の比率は、3.31の値である。総合すると、結果より、複数のXTENの含有により、XTEN半径の比率は、2より大きい値まで増加し、3つの挿入よりも、4つの挿入により高い値が得られる。
【表27】
【0464】
【表28-1】
【表28-2】
【表28-3】
【表28-4】
【表28-5】
【表28-6】
【表28-7】
【表28-8】
【表28-9】
【表28-10】
【表28-11】
【表28-12】
【表28-13】
【表28-14】
【0465】
実施例27:抗FVIII抗体に対するFVIII-XTENの結合干渉
CFXTEN融合タンパク質の異なる位置に挿入されたXTENの、抗FVIII抗体の結合に影響を与える能力を、サンドイッチELISA分析により測定した。2つの抗FVIII抗体;すなわち、GMA-8021(Green Mountain Antibodies, Burlington, VT)および、ESH8(American
Diagnostica Inc., Stamford, CT)(それぞれ、A2ドメインおよびC2ドメインに結合する)を、捕捉抗体として利用した。非XTEN含有FVIII-His-Mycタンパク質を、較正標準物およびすべてのELISAに対する陽性対照として用いた。A1、A2またはA3ドメインのいずれかに単一XTEN挿入を有し、さらにHisおよびMycアフィニティタグを含有する10のCFXTEN融合タンパク質を生成した。各検証試料のタンパク質濃度は、抗His捕捉‐抗Myc検出ELISA(抗FVIII抗体捕捉-抗Myc検出ELISAと同じプレートで同時に行われた)に基づき100%に正規化された。
【0466】
簡潔に述べると、96ウェルプレートの適切なウェルを、GMA-8021、ESH8または抗His抗体で、一晩、4℃でコートし、次いで、洗浄し、BSAでブロックした。各対照または融合タンパク質の等量を、二重で、ウェルに入れ、コートされたGMA-8021、ESH8または抗His抗体と、室温で2時間、相互作用させた。インキュベーションの後、未結合の物質を洗い流し、ウサギ抗Myc検出抗体を添加し、さらに室温で1時間、インキュベートした。次いで、プレートを洗浄し、ペルオキシダーゼ接合ロバ抗ウサギ二次抗体を入れ、室温で1時間インキュベートした。再度プレートを洗浄し、次いで、TMB基質を添加し、5~20分間、反応を継続させた。H2SO4を入れて反応を止め、吸光光度計(450nm)により吸収を測定した。
【0467】
結果:結果を表29に示す。まとめると、結果から、抗FVIII捕捉抗体がGMA-8021(A2ドメインへの結合親和性を有する)であった場合に、A2ドメインに挿入されたXTENを有するCFXTEN融合タンパク質に対する2つの抗体が、A1またはA3ドメインに挿入されたXTENを有するCFXTENと比較して、FVIIIの結合が減少していたことが示された。対照的に、抗FVIII捕捉抗体がESH8(C2ドメインへの結合親和性を有する)であった場合、いずれのCFXTENによる結合も、認識できるような阻害または増強パターン示さなかった。
【表29】
【0468】
実施例28:FVIII阻害物質存在下でのCFXTEN融合タンパク質の活性分析
阻害物質検証の滴定手順
FVIII凝固促進活性を阻害する選択抗体は、市販のものから購入した。抗体は、FVIIIの選択ドメイン(たとえば、A2、A3、C1,C2)を標的とし、FVIII依存性凝固促進活性を阻害する。分析で用いるための最適なFVIII阻害物質濃度を確立するために、最初の滴定実験を、野生型FVIII(His/Mycの二重のタグを有する)を発現する基礎ベクターと共に、2時間、37℃でインキュベートされた様々な量の各阻害抗体、ならびに、抗体および少なくとも1つのCFXTEN融合タンパク質を有する第二の試料を用いて行った。次いで、試料を凝固アッセイに用いて、FVIII活性を測定した。活性は、本明細書に記述されるCoatestアッセイ手順により測定された。FVIII活性の最適な阻害をもたらす濃度が、各抗体の個々に対して決定された。
【0469】
阻害物質検証手順:
次いで、FVIII阻害抗体を、検証試料の分析に最適な濃度で用いた。CFXTENおよび陽性対照試料を、個々に、2時間、37℃で各抗体と共にインキュベートし、次いで試料を回収して、未処置のCFXTENアリコートおよび陽性対照と共に、Coatestアッセイに用いた。一部の例では、R1648A変異を有するCFXTEN構築物が、その影響(もしあれば、FVIII活性の維持力により測定される、阻害物質への抵抗性に対するこの変異の影響)を測定するために検証された。
【0470】
結果:
滴定実験の結果を、
図26に示す。データから、FVIII陽性対照と比較して、CFXTEN LSD0049.002の凝固促進活性の50%レベルまでの阻害に必要とされる抗体の量において、およそ0.7桁、右方に移動していることが示唆され、このことから、3つのXTEN挿入(BDD-FVIIIの18、745、および2332のアミノ酸残基に対応する挿入点での挿入)を有するCFXTENは、FVIIIと比較して抗体との結合が低いことが示唆され、これは凝固活性の維持力に反映されている。
【0471】
Coatestアッセイの結果を表30および31(それぞれ、FVIII阻害抗体GMA8008およびGMA8021)に示す。検証された未処置のCFXTEN融合タンパク質構築物のすべてで、pBC00114FVIII陽性対照と同じように、凝固促進活性が示された。FVIII阻害物質と前もってインキュベートされた陽性対照試料では、未処理の試料と比較して、0.05~0.15(5~15%)までの測定凝固活性の著しい減少が認められ、C2ドメインに対するGMA8008抗体と処置したCFXTEN構築物のほとんども同様であった。しかしながら、3つのCFXTEN融合タンパク質(LSD0049.020、LSD0053.024、およびLSD0056.025。各々3つのXTEN挿入を有する)は、FVIII対照と比較して、相対的な残留活性が少なくとも2倍、維持されていた。
【0472】
CFXTEN試料は、未処理の試料(いずれかの追加の数のXTEN挿入により、さらに減少される)と比較して、A2ドメインに対するGMA8021抗体での低度の阻害を示した(表形式データを、表30に示す)。
図29において、FVIII対照の阻害と比較して、挿入されたXTENの数と、GMA8021抗体への阻害の減少との間に直線的な関係性を示す、対照の維持活性に対する比率のメジアン値のグラフを示す。同様に、対照値との比率に対する平均±標準誤差は、1XTEN挿入に対しては、2.26±0.12、2XTEN挿入に対しては、3.48±0.26、および3XTEN挿入に対しては、5.70±0.29であった。少なくとも3つのXTEN挿入を有する、GMA8021抗体で処置されたCFXTENは、FVIII対照と比較して、少なくとも4.5~9.2倍大きい、FVIIIの維持活性を有していた。さらに、3つのXTEN挿入を有するそれらCFXTENにおいて、任意の2つの挿入の間に、より高度の分離(アミノ酸残基の数における)を有する構築物は、凝固促進活性が高度となり、ゆえに、より近くで塊状に挿入されたもの(たとえば、BドメインのC末端部位上)と比較して、FVIII阻害抗体による結合が少なくなったと思われる。R1648A変異を有する構築物の分析結果より、変異が無いものと同等であると思われた。
【0473】
結論:結果から、実験の条件下において、XTENのFVIIIへの挿入により、凝固促進活性を維持しながら、FVIII阻害物質による結合に対して保護されたこと、および、複数のXTEN挿入を含有することにより、特に、A2ドメイン阻害抗体に対する抵抗性が増加したことが立証された。最後に、XTEN挿入の間を空間的に分離させることは、有効であると思われる。
【0474】
【表30-1】
【表30-2】
【表30-3】
【表30-4】
未処理の対照試料と比較した、残留活性の割合
FVIII pBC0114陽性対照と比較した、相対的な残留活性の比率(それ自身の対照と比較)
【0475】
【表31-1】
【表31-2】
【表31-3】
【表31-4】
【0476】
実施例29:CFXTEN融合タンパク質pBC0145およびpBC0146のタンパク質精製
C末端XTENを有する2つのCFXTEN構築物を用いて、精製法を確立した。AEファミリーの288アミノ酸のC末端XTENを有するpBC0145(配列は表21を参照のこと)、およびAGファミリーの288アミノ酸のC末端XTENを有するpBC0146(配列は表21を参照のこと)の両方に対して、タンジェント流ろ過(TFF)ステップを用いて、細胞培養物から、浄化された馴化培地を緩衝液交換した。次いで、強陰イオン交換クロマトグラフィー樹脂を用いて、産物を捕捉し、次いで、VIIISelectアフィニティクロマトグラフィー(GE Healthcare)を用いてさらに精製した。さらにサイズ排除クロマトグラフィー(GE Healthcare)を、高分子量片の除去のための第三の精製ステップとして、FVIII-pBC0146に用いた。両融合タンパク質の純度は、HPLC-SECにより受容可能と判断され、さらに、2つのCFXTEN構築物のSDS-PAGE分析で、CFXTEN産物の予測サイズを示したことにより、さらに確認された。両分子の比活性は、aPTT凝固アッセイによる測定およびFVIII濃度のELISA測定によると、Bドメイン欠失FVIIIと同等であった。
【0477】
実施例30:HemAおよびFVIII/VWF DKOマウスにおける、CFXTEN融合タンパク質pBC0145およびpBC0146の薬物動態
8~12週齢の、オスのFVIIIノックアウト(HemA)マウス、またはFVIII/VWF二重欠損マウス(DKO)マウスを、組み換えBDD FVIII、CFXTEN pBC0145、またはpBC0146融合生成タンパク質(実施例23より)のいずれかを、200IU/kg用量で、単回静脈内投与で処置した(n=4/時点)。選択された時点で、血液試料は、大静脈サンプリングを介して採取した。HemAマウスにおいては、血液試料は、rBDD-FVIIIに対しては、投与後5分、1、4、8、16、20、24、32、および48時間後に採取し、pBC0145およびpBC0146融合タンパク質に対しては、投与後5分、8、16、24、32、48、55および72時間後に採取した。FVIII/VWF DKOマウスにおいては、血液試料は、rBDD-FVIIIに対しては、投与後5分、30分および1時間で採取し、pBC0145およびpBC0146融合タンパク質に対しては、投与後5分、4、8、16、および24時間で採取した。血漿FVIII活性は、FVIII発色分析により測定し、薬物動態プロファイルは、WinNonlinプログラムにより分析した。
【0478】
結果:表32および
図24に示されるように、AE C末端XTEN挿入を有するCFXTEN(pBC0145)は、HemAマウスおよびFVIII/VWF DKOマウスのそれぞれにおいて、rBDD FVIIIと比較して、1.6倍および14.1倍のFVIII半減期(T1/2)延長を示した。AG C末端XTEN挿入を有するCFXTEN(pBC0146)は、HemAマウスおよびFVIII/VWF DKOマウスのそれぞれにおいて、rBDD FVIIIと比較して、1.4倍および14.4倍の延長半減期があった。XTEN挿入によりもたらされたFVIII半減期延長の程度は、rBDD‐FVIIIと比較して、FVIII‐AE-XTENおよびFVIII-AG-XTENの両方から14倍長いFVIII半減期が得られたことかrア示されるように、HemAマウスと比較して、FVIII/VWF DKOマウスにおいてより明らかであった。さらに、rBDD-FVIIIとの比較において、C末端AEまたはAG-XTEN挿入を有するFVIIIはまた、DKOマウスにおいて、5分間でのFVIII回復、クリアランスおよび分布量の低下、およびAUCの増加が著しく改善されていた。本実験の条件下では、C末端XTEN挿入を有するCFXTENは、FVIII半減期延長において大きな可能性を秘めていること、そして、他のFVIIIドメイン内挿入と組み合わせた場合に、さらにFVIII半減期が延長される可能性が示された。
【表32】
【0479】
実施例31:CFXTEN融合タンパク質pSD0050およびpSD062に対する細胞培養および細胞培養培地の濃度
BDD FVIIIの26アミノ酸残基後に挿入された144アミノ酸のドメイン内AG XTENを有するCFXTEN構築物変異体pSD0050、BDD FVIIIの1900残基後に挿入された144アミノ酸のドメイン内AE XTENを有するpSD0062(注記:アミノ酸番号は、全長FVIIIに基づく)、ならびに、rBDD-FVIIIをコードする構築物を、ポリエチレンイミン(PEI, Polysciences Inc. Warrington, PA)を用いて、HEK293F細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)にトランスフェクトした。一過性にトランスフェクトされた細胞を、4日間、293 Free Styleメディウム培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)で増殖させ、次いで、50~100mlの細胞培養培地を、Centricon Spin Column(100kDa MWでカットオフ)で10~20倍に濃縮し、10~30IU/ml FVIII活性を得た。次いで、濃縮物質を急速冷凍して、さらなるin vitro分析およびin vivo薬物動態実験のために-80℃で保存した。
【0480】
実施例32:HemAマウスおよびFVIII/VWF DKOマウスにおける、CFXTEN融合タンパク質pSD0050およびpSD0062の薬物動態
8~12週齢のHemAマウスおよびFVIII/VWF(DKO)マウスを、組み換えBDD-FVIII、CFXTEN pBD0050またはpBD0062のいずれかを含有する、実施例31の細胞培養濃縮物を、100~300IU/kgで、単回静脈内投与で処置した(n=3/群)。選択された時点で、血液試料を、同じマウスセット由来の後眼窩静脈叢を介して採取した。HemAマウスにおいては、血液試料は、投与後5分、24時間および48時間で採取され、一方、FVIII/VWF DKOマウスでは、血液試料は、5分、8時間、16時間で採取された。血漿試料のFVIII活性および細胞培養培養物のFVIII活性は、FVIII発色アッセイにより分析され、rBDD FVIIIおよびFVIII-XTEN変異体の薬物動態プロファイルは、WinNonlinプログラムを用いて分析された。
【0481】
結果:2つのCFXTENドメイン内挿入変異体pSD0050およびpSD0062、ならびにHemAマウスにおけるrBDD-FVIIIならびにDKOマウスにおけるFVIII/VWFの薬物動態プロファイルを
図25および表33に示す。HemAマウスにおいて、3つの検証FVIII分子に対する、5分間隔での初期回復は同等であったことが観察された。野生型BDD-FVIIIと比較して、両方のCFXTEN融合タンパク質は、2倍長い半減期を示した。FVIII-VWF DKOマウスにおいては、VWF保護の消失のために、rBDD-FVIIIはわずか15分の血漿半減期であった。しかしながら、2つのCFXTENのケースにおいては、半減期は、それぞれ、3.15時間および3.83時間まで延長された;この値は288C末端XTEN挿入を有するCFXTENと同等であり(実施例24)、このことから、所与の挿入点での、XTENの長さのさらなる延長は必要ない可能性がある。本実験条件下では、144アミノ酸残基のXTENのドメイン内挿入は、FVIII活性を維持したのみならず、C末端288アミノ酸XTEN挿入変異体と同じようなFVIII半減期の利益をもたらしたことが実験結果からはっきりと示されており、このことから、FVIIIドメイン内挿入とC末端挿入の組み合わせにより、さらにFVIII半減期が延長される可能性がある。
【表33】
【0482】
実施例33:ラットにおけるCFXTEN融合ポリペプチドの薬物動態分析
FVIII単独と比較した、様々なCFXTEN融合タンパク質の薬物動態を、Sprague-Dawleyラットにおいて検証する。CFXTENおよびFVIIIを、メスのSprague-Dawleyラット(n=3)に経静脈カテーテル経由でIV投与(3~10μg/ラット)する。血液試料(0.2mL)を、投与前、0.08、0.5、1、2、4、8、24、48、72時間の時点で、あらかじめ冷やしておいたヘパリン処置管へと採取し、血漿へと処理する。検証試料の定量は、抗FVIII抗体を捕捉および検出の両方に用いたELISA分析により実施する。非コンパートメント分析を、フィットしているものを含む、すべての時点で、WinNonLinで実施し、薬物動態パラメーターを測定する。結果は、FVIII単独と比較して、CFXTENの終末相半減期および曲線下面積の増加、ならびに分布量の減少を示すと予測され、その結果を凝固アッセイおよび薬力学分析からの結果と併せて、所望される特性を有するそれら融合タンパク質の構造を選択する。
【0483】
実施例34:XTEN挿入部位に対するFVIIIの分析
第VIII因子分子内のXTEN挿入部位の選択を、ループ構造内の許容部位の位置、または、可塑性の表面露出構造要素を予測することにより、実施した。これらの分析のために、FVIIIのX線結晶構造により独立して決定された2つの原子座標(Shen BW, et al. The tertiary structure and domain organization of coagulation factor VIII. Blood. (2008) Feb 1;111(3):1240-1247; Ngo JC, et al. Crystal structure of
human factor VIII: implications for the
formation of the factor IXa-factor VIIIa complex. Structure (2008)16(4):597-606)、ならびに、分子動力学シミュレーション(MDS)(Venkateswarlu,
D. Structural investigation of zymogenic and activated forms of human blood coagulation factor VIII: a computational molecular dynamics study. BMC Struct Biol.
(2010) 10:7)から得られた第VIII因子および第VIIIa因子の原子座標を使用した。Protein Data Bank(PDB)フォーマットの原子座標を分析して、高度の溶媒接触可能表面積を有すると予測されるFVIII/FVIIIaの領域を、アルゴリズムASA View(Ahmad S, et al. ASAView: database and tool for solvent accessibility representation in proteins. BMC Bioinformatics (2004) 5:51)およびGet Area(Rychkov G, Petukhov M. Joint neighbors approximation of macromolecular solvent accessible surface area. J Comput Chem (2007) 28(12):1974-1989)を用いて特定した。次いで、得られた部位のセットを、MDS研究の公表されている結果の基準に基づいた高度予測原子位置変動に基づき、さらに優先順位化した。A1、A2およびA3ドメインに隣接する酸性ペプチド領域内の部位、ならびに、目視により表面露出ループ以外の領域にあると考えられる部位は、優先順位から外した。得られた可能性のある部位のセットを、より良くランク付けされている20の脊椎動物種間の高度保存配列の領域にある部位とともに、種間保存配列を基準に評価した。さらに、推定クリアランス受容体結合部位、他の分子(たとえば、vWF、FIX等)とFVIIIとの相互作用部位、ドメイン、およびエクソン境界をまた、融合部位選択において考慮した。最後に、Haemophilia A Mutation, Search, Test and Resource Site (HAMSTeRS)データベースに列挙されている、血友病Aと関連のある変異の隣接箇所にある部位は、排除した(Kemball-Cook G, et al. The factor VIII Structure and Mutation Resource
Site: HAMSTeRS version 4. Nucleic Acids
Res. (1998) 26(1):216-219)。これらの基準をもとに、XTEN挿入に対して42のFVIII-XTEN変異体の構造が提案された。これらのうち、3つが残留Bドメイン配列内のXTEN挿入を表し、2つが第VIII因子分子のC末端への伸長を表し、そして37が、構造的に定義された、ドメイン間、およびドメイン内構造要素内(すなわち、残基3、18、22、26、40、60、116、130、188、216、230、333、375、403、442、490、518、599、713、745、1720、1796、1802、1827、1861、1896、1900、1904、1937、2019、2068、2111、2120、2171、2188、2227、2277および2332)へのXTEN挿入を表している。
【0484】
実施例35:FVIII-XTEN構築物の機能分析
2つのFVIII-XTEN融合タンパク質、FVIII-AE288(F8X-40)およびFVIII-AG288(F8X-41)は、それぞれ、FVIII C2ドメインのC末端で融合される、AE288_1 XTENまたは、AG288_1 XTENを含有している。FVIII活性が、XTEN融合の後も維持されているかを測定するために、無血清培地中でポリエチレンイミン(PEI)を用いて、HEK293細胞にこれら2つのFVIII-XTEN融合構築物を別々にトランスフェクトした。トランスフェクション後3~5日で、細胞培養上清を、2ステージ発色分析により、FVIII活性を分析した。WHO国際標準に対して較正された、精製された組換えFVIIIを用いて、発色分析の標準極性を確立した。F8X-40およびF8X-41構築物の両方の融合タンパク質産物は、野生型BDD-FVIII構築物と同等のレベルで発現されていた(表34)。
【表34】
【0485】
実施例36.FVIII-XTEN構築物の機能分析:FVIII活性および薬物動態プロファイル
F8X-40およびF8X-41構築物の半減期延長の可能性を、FVIIIおよびvon Willebrand因子の二重欠損マウスにおいて、流体力学的プラスミドDNA注入により、陽性対照としてのFVIIIFc DNA構築物と共に評価した。マウスをランダムに3つの群(1群あたり4匹)に分けた。BDD FVIIIFc融合タンパク質、F8X-40またはF8X-41をコードするプラスミドDNA(すべて、同じDNAベクターのバックボーンを共有する)を、各群のマウスに投与した。適切なプラスミドDNAのおよそ100マイクログラムを、各マウスに、流体力学的注入を介して注入し、血漿試料を、注入後、24時間および48時間で採取した。血漿FVIII活性は、2ステージ発色分析により、標準物質として較正された組換えFVIIIを用いて測定された。
図23に示されるように、F8X-40およびF8X-40群由来の試料は、BDD
FVIIIFc由来のものよりも高い血漿FVIII価を示し、このことから、XTENを有するFVIII融合物は、in vivoにおけるFVIIIの半減期を延長させることが示唆される。まとめると、これらのデータより、FVIII-XTEN融合タンパク質は、一過性のトランスフェクションにおいてFVIII活性を維持し、動物モデルにおける循環半減期の延長を示したという結論が立証される。
【0486】
実施例37:動物モデルにおけるCFXTENの薬力学的評価
CFXTEN融合タンパク質のin vivo薬理活性を、出血症状(限定されないが、血友病、外科手術、外傷、血小板減少症/血小板機能異常症、クロピドグレル/ヘパリン誘導性出血および流体力学的注入が挙げられる)の様々な前臨床モデルを用いて分析する。他のFVIIIアプローチに対して使用および公開されているものと同等の方法を用いて、マウス、ラット、ウサギおよびイヌを含む、複数の種類において、これらのモデルを開発する。CFXTEN組成物は、in vivo投与に合う、水性緩衝液中で提供される(たとえば、リン酸緩衝生理食塩水またはトリス緩衝生理食塩水等)。組成物は、特定のモデルに最適化された適切な投与量、投与頻度、投与スケジュールおよび投与経路で、投与される。有効性の測定には、FVIII活性、1ステージ凝固アッセイ、FVIII発色分析、活性化部分プロトロンビン時間(aPTT)、出血時間、全血凝固時間(WBCT)、トロンボエラストグラフィー(TEGまたはROTEM)等の測定が特に挙げられる。
【0487】
PDモデルの1つの例において、CFXTENおよびFVIIIを、遺伝的欠失、または実験的に誘導されたHemAマウスに投与する。投与後の様々な時点で、FVIIIおよびCFXTENのレベルをELISAにより測定し、FVIIIおよびCFXTENの活性は、市販のFVIII活性キットにより測定し、そして凝固時間はaPTTアッセイにより測定する。概して、CFXTEN構築物は、より少ない頻度またはより簡便な投与間隔で、FVIIIと同等の投与ができる可能性において、FVIIIおよび/または同等物と比較して、出血の阻害に対しより有効的である可能性があることを、結果から示すことができる。
【0488】
マウス出血チャレンジPDモデルにおいて、CFXTENおよびFVIIIを、遺伝的欠失、または実験的に誘導されたHemAマウスに投与し、止血チャレンジに対する効果を測定する。止血チャレンジとしては、とりわけ、尾部処置(tail transaction)チャレンジ、ヘマートロプチーチャレンジ、関節出血、または伏在静脈チャレンジを挙げることができる。投与後の様々な時点で、FVIIIおよびCFXTENのレベルをELISAにより測定し、FVIIIおよびCFXTENの活性は、市販のFVIII活性キットにより測定し、出血時間を測定し、そして凝固時間はaPTTアッセイにより測定する。概して、CFXTEN構築物は、より少ない頻度またはより簡便な投与間隔で、FVIIIと同等の投与ができる可能性において、FVIIIおよび/または同等物と比較して、出血の阻害に対しより有効的であることが示される結果となると予測され、および、その結果を凝固アッセイおよび他の分析からの結果と併せて用いて、所望の特性を有する、それら融合タンパク質の構造を選択する。
【0489】
イヌPDモデルにおいて、CFXTENおよびFVIIIを、遺伝的に欠失された血友病のイヌに投与する。投与後の様々な時点で、FVIIIおよびCFXTENのレベルをELISAにより測定し、FVIIIおよびCFXTENの活性は、市販のFVIII活性キットにより測定し、そして凝固時間はaPTTアッセイにより測定する。概して、CFXTEN構築物は、より少ない頻度またはより簡便な投与間隔で、FVIIIと同等の投与ができる可能性において、FVIIIおよび/または同等物と比較して、出血の阻害に対しより有効的であることが示される結果となると予測され、および、その結果を凝固アッセイおよび他の分析からの結果と併せて用いて、所望の特性を有する、それら融合タンパク質の構造を選択する。
【0490】
イヌ出血チャレンジPDモデルにおいて、CFXTENおよびFVIIIを、遺伝的に欠失された血友病のイヌに投与し、止血チャレンジに対する効果を測定する。止血チャレンジとしては、とりわけ、表皮出血時間が挙げられる。投与後の様々な時点で、FVIIIおよびCFXTENのレベルをELISAにより測定し、FVIIIおよびCFXTENの活性は、市販のFVIII活性キットにより測定し、出血時間を測定し、そして凝固時間はaPTTアッセイにより測定する。概して、CFXTEN構築物は、より少ない頻度またはより簡便な投与間隔で、FVIIIと同等の投与ができる可能性において、FVIIIおよび/または同等物と比較して、出血の阻害に対しより有効的であることが示される結果となると予測され、および、その結果を凝固アッセイおよび他の分析からの結果と併せて用いて、所望の特性を有する、それら融合タンパク質の構造を選択する。
【0491】
出血のさらなる前臨床モデルとしては、限定されないが、血友病、外科手術、外傷、血小板減少症/血小板機能異常症、クロピドグレル/ヘパリン誘導性出血および流体力学的注入が挙げられる。他のFVIIIアプローチに対して使用および公開されているものと同等の方法を用いて、マウス、ラット、ウサギおよびイヌを含む、複数の種類において、これらのモデルを開発する。概して、CFXTEN構築物は、より少ない頻度またはより簡便な投与間隔で、FVIIIと同等の投与ができる可能性において、FVIIIおよび/または同等物と比較して、出血の阻害に対しより有効的であることを示唆する結果となり、および、その結果を凝固アッセイおよび他の分析からの結果と併せて用いて、所望の特性を有する、それら融合タンパク質の構造を選択する。
【0492】
実施例38:開裂配列を有するCFXTEN
FXIaによって放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を、表51に提示する。この場合において、放出部位の開裂配列は、FXIaプロテアーゼ(EC 3.4.21.27、Uniprot P03951)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有するCFXTENへと組み込まれる。具体的には、アミノ酸配列KLTRAET(配列番号1688)は、FXIaプロテアーゼによって、配列のアルギニンの後で、切断される。FXIは、内因性凝固経路または接触活性化凝固経路において、FVIIIのすぐ前に位置する凝固促進プロテアーゼである。活性化FXIaは、FXIIaによる酵素前駆体のタンパク質分解性開裂により、FXIから産生される。FXIaの産生は厳に制御されており、適切な止血のために凝固が必要とされる場合にのみ発生する。それゆえ、KLTRAET開裂配列(配列番号1688)の組み込みにより、XTENドメインは、凝固が生理学的に必要とされる場合に、内因性凝固経路の活性化と同時にFVIIIから除去されるもののみである。これにより、内因性経路の活性化の間の1つの追加方式においてCFXTEN融合タンパク質が処理される状況が生じる。
【0493】
FIIa(トロンビン)によって放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。この場合において、放出部位は、FIIaプロテアーゼ(EC 3.4.21.5、Uniprot P00734)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列LTPRSLLV(配列番号1618)[Rawlings N.D., et al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、配列の第4位のアルギニンの後で切断される。活性FIIaは、リン脂質およびカルシウムの存在下、FXaによるFIIの開裂により産生され、凝固経路において、第XI因子から下流にある。一旦活性化されると、凝固におけるその元来の役割は、フィブリノーゲンを開裂することであり(
図2)、次いで、次々に血栓形成が始まる。FIIa活性は厳に制御されており、適切な止血のために凝固が必要とされる場合にのみ発生する。それゆえ、LTPRSLLV配列(配列番号1618)の組み込みにより、XTENドメインは、凝固が生理学的に必要とされる場合に、外因性または内因性凝固経路のいずれかの活性化と同時にFVIIIから除去されるのみである。これにより、凝固活性化の間の1つの追加方式においてCFXTEN融合タンパク質が処理される状況が生じる。
【0494】
エラスターゼ2により放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を表51に提示する。この場合において、放出部位は、エラスターゼ2プロテアーゼ(EC 3.4.21.37、Uniprot P08246)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列LGPVSGVP(配列番号1689)[Rawlings N.D., et al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、配列の第4位の後で切断される。エラスターゼは好中球により構造的に発現されており、循環流中、常に存在する。その活性はセルピンにより厳密に制御されており、それゆえ、大体の場合、最小限の活性状態である。ゆえに、長期存続するCFXTENが循環すると、そのフラクションが開裂され、凝固に用いられる短期存続のFVIIIのプールが生成される。本発明の組成物の望ましい特性として、これにより、予防量のFVIIIを常に放出する、循環プロドラッグの貯蔵が生成されるということがある。
【0495】
MMP-12により放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を表51に提示する。この場合において、放出部位は、MMP-12プロテアーゼ(EC 3.4.24.65、Uniprot P39900)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列GPAGLGGA(配列番号1690)[Rawlings N.D., et al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、配列の第4位の後で切断される。MMP-12は、全血中に構造的に発現される。ゆえに、長期存続するCFXTENが循環すると、そのフラクションが開裂され、凝固に用いられる、短期生存のFVIIIのプールが生成される。本発明の組成物の望ましい特性として、これにより、予防量のFVIIIを常に放出する、循環プロドラッグの貯蔵が生成されるということがある。
【0496】
MMP-13により放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を表51に提示する。この場合において、放出部位は、MMP-13プロテアーゼ(EC 3.4.24.‐、Uniprot P45452)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列GPAGLRGA(配列番号1691)[Rawlings N.D., et
al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、第4位の後で切断される。MMP-13は、全血中に構造的に発現される。ゆえに、長期存続するCFXTENが循環すると、そのフラクションが開裂され、凝固に用いられる、短期生存のFVIIIのプールが生成される。本発明の組成物の望ましい特性として、これにより、予防量のFVIIIを常に放出する、循環プロドラッグの貯蔵が生成されるということがある。
【0497】
MMP-17により放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を表51に提示する。この場合において、放出部位は、MMP-20プロテアーゼ(EC 3.4.24.‐、Uniprot Q9ULZ9)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列APLGLRLR(配列番号1692)[Rawlings N.D., et
al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、配列の第4位の後で切断される。MMP-17は、全血中に構造的に発現される。ゆえに、長期存続するCFXTENが循環すると、そのフラクションが開裂され、凝固に用いられる、短期生存のFVIIIのプールが生成される。本発明の組成物の望ましい特性として、これにより、予防量のFVIIIを常に放出する、循環プロドラッグの貯蔵が生成されるということがある。
【0498】
MMP-20により放出可能なC末端XTEN
FVIIIのC末端に融合されたXTENタンパク質からなるCFXTEN融合タンパク質は、
図12に示されるように、FVIIIとXTEN成分の間に位置するXTEN放出部位の開裂配列で作製することができる。例示的な配列を表51に提示する。この場合において、放出部位は、MMP-20プロテアーゼ(EC 3.4.24.‐、Uniprot O60882)により認識および開裂されるアミノ酸配列を含有する。具体的には、配列PALPLVAQ(配列番号1693)[Rawlings N.D., et
al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320]は、第4位の後で切断される(矢印により示される)。MMP-20は、全血中に構造的に発現される。ゆえに、長期存続するCFXTENが循環すると、そのフラクションが開裂され、凝固に用いられる、短期生存のFVIIIのプールが生成される。本発明の組成物の望ましい特性として、これにより、予防量のFVIIIを常に放出する、循環プロドラッグの貯蔵が生成されるということがある。
【0499】
XTENの放出率の最適化
C末端、N末端またはXTEN内部に組み込まれたXTENの放出率が変化する、前述の実施例の変異体を生成することができる。XTEN放出プロテアーゼによるXTENの放出率は、XTEN放出部位の配列に依存しているため、XTEN放出部位のアミノ酸配列を変化させることにより、XTEN放出率を制御することができる。多くのプロテアーゼの配列特異性は当分野に公知であり、いくつかのデータベースに記載されている。この場合、プロテアーゼのアミノ酸特異性は、基質の組み合わせライブラリ[Harris,
J. L., et al. (2000) Proc Natl Acad Sci
U S A, 97: 7754]を用いて、または[Schellenberger, V., et al. (1993) Biochemistry, 32: 4344]に図示される基質混合物の開裂に従って配置される。代替手段は、ファージディスプレイによる、最適プロテアーゼ開裂配列の特定である[Matthews, D., et al. (1993) Science, 260: 1113]。構築物は、変異体配列で作製され、XTENポリペプチドの検出のための標準的な分析法を用いて、XTEN放出について分析される。
【0500】
実施例39:FVIIIを含有するCFXTEN評価のための、ヒト臨床試験デザイン
Kogenate(登録商標)FSは、組み換えヒト凝固第VIII因子であり、血友病A患者における止血促進を目的としている。その半減期は短いため、Kogenateは、予防のために1日おきに静脈内投与され、出血の治療においては、止血されるまで、8~12時間ごとに静脈内投与される。1以上のXTENのFVIIIへの融合により、タンパク質の半減期が改善され、そのようなCFXTEN含有融合タンパク質の組成物を使用することにより投与頻度を減らすことが出来ると考えられる。
【0501】
臨床試験は、Kogenateまたは他の市販のFVIII製剤と比較して、ヒトにおけるCFXTENの有効性および利点が立証できるようにデザインされる。そのような試験は、3つの段階を含む。最初に、成人患者における第I相安全性および薬物動態試験が実施され、ヒト(正常な対照または血友病の患者のいずれか)における最大耐用量および薬物動態および薬力学が測定され、ならびに、さらなる試験において追跡される潜在的な毒性および有害事象が定義される。CFXTEN組成物の単回漸増投与量が、投与経路(たとえば、皮下、筋肉内または静脈内)により投与され、生化学、薬物動態および臨床パラメーターが規定の間隔で測定される第I相試験が実施される。これにより、最小有効量および最大耐用量が決定され、および各成分に対する治療濃度域を構成する循環薬物および投薬量における閾値および最大濃度、ならびに筋肉内または皮下経路で投与された場合の生体利用効率が確立される。この情報から、CFXTEN組成物の投与頻度を少なくさせつつ、薬学的応答を維持する投与量および投与スケジュールが得られる。その後、臨床試験は、疾患を有する患者において実施され、たとえばKogenate等の陽性対照との比較で実施することができ、CFXTEN組成物の増強された特性を規定し、その投与条件下でのCFXTEN組成物の有効性が確認される。
【0502】
第II相および第III相臨床試験は、第VIII因子が、臨床的利益をもたらすと期待されうる任意の疾患に罹患している患者において実施される。たとえば、CFXTENは、第VIII因子の使用の治療適用承認のための臨床試験において用いられる;そのような適用としては、血友病Aの出血症状、第VIII因子の阻害物質を有する患者、外科手術の治療介入における出血の予防、第VIII因子に対する阻害物質を有する血友病A患者における侵襲的治療、先天的な第VIII因子欠失症を有する患者における出血症状の治療、先天的な第VIII因子欠失症を有する患者におけるおよび外科手術の治療介入または侵襲的治療における出血の予防が挙げられる。CFXTENはまた、さらなる患者群における使用が適用されてもよい。第II相の投与試験は、血友病A患者において実施され、薬力学、凝集、出血および他の生理的なパラメーター、薬物動態、安全性および臨床パラメーター、ならびに試験に適した臨床エンドポイントが、融合タンパク質組成物の投与の効用として測定され、有害事象に関連する安全性データの収集に加えて、引き続く第III相試験に適した投与量に関する投与範囲の情報が作成される。薬物動態パラメーターは、CFXTEN組成物に対する治療濃度域および治療投与レジメンを確立するための生理学的、臨床的および安全性パラメーターデータに関連し、それにより医師が組成物の適切な投与範囲を決定することができる。1つの試験において、止血状態に達する、および止血状の維持をもたらす、ならびに出血症状を予防または軽減させるCFXTEN医薬組成物の投与量および投与レジメンを確立するために、第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者が評価される。最後に、第III相有効性試験が実施され、ここで、患者は、CFXTEN医薬組成物を投与され、陽性対照(たとえば、市販のKogenate)は、第II相試験結果から導かれた各組成物の薬物動態特性および薬力学特性を考慮して適切と思われる投与スケジュールを用いて投与され、全ての剤は、実験エンドポイントを達成するために適切に伸長された期間、投与される。モニターされるパラメータには、aPTTアッセイ、1ステージまたは2ステージ凝固アッセイ、出血症状の制御、または自発的な出血症状の発生が挙げられる;偽薬群もしくは陽性対照群と比較して追跡されるパラメータが含まれる。有効性の結果は、標準的な統計法を用いて決定される。毒性および有害事象のマーカーも本研究において追跡され、記述される様式で用いる場合に化合物が安全であることを確認する。他の第III相試験において、第VIII因子阻害物質を伴う血友病A患者は、止血状態の達成および維持、ならびに出血症状の予防または軽減における、CFXTEN医薬組成物の有効性を確立するために評価されてもよい。
【0503】
実施例40:多様な負荷量での、XTEN融合タンパク質の分析的サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー分析を、長さが増加している非構造性組換えタンパク質および様々な治療用タンパク質を含有する融合タンパク質に対して実施した。例示的なアッセイにおいて、TSKGel‐G4000 SWXL(7.8mm×30cm)カラムが用いられ、その中に40μgの精製済みグルカゴン融合タンパク質(1mg/mLの濃度)を、0.6mL/分の流速で、20mMリン酸pH6.8、114mM NaCl中で分離した。クロマトグラムのプロファイルは、OD214nmおよびOD280nmを用いてモニターした。すべてのアッセイに対するカラム較正は、BioRad製のサイズ排除較正標準を用いて実施した;マーカーには、チログロブリン(670kDa)、ウシガンマグロブリン(158kDa)、ニワトリ卵白アルブミン(44kDa)、ウマミオグロビン(17kDa)、およびビタミンB12(1.35kDa)が含まれる。グルカゴン‐Y288、グルカゴン‐Y144、グルカゴン‐Y72、グルカゴン‐Y36の代表的なクロマトグラフィープロファイルを、
図21における重ね合わせとして示す。データから、各化合物の見かけの分子量が、付加されたXTEN配列の長さに比例することが示される。しかしながら、本データはまた、各構築物の見かけの分子量が(同じアッセイにおいて分析される標準物質との比較によって示されるように)、球状タンパク質に対して予測されるものよりも有意に大きいことを示している。CFXTEN組成物を含む、評価されるすべての構築物に対するSEC分析に基づいて、見かけの分子量、(算出された分子量に対する見かけの分子量の比として表される)見かけの分子量係数、および流体力学半径(RH(nm))を表35に示す。結果から、576アミノ酸以上の異なるXTENの組み込みにより、およそ339kDa~760の融合タンパク質についての見かけの分子量が与えられ、864アミノ酸以上のXTENがおよそ800kDAよりも大きな見かけの分子量を与えることを示す。実際の分子量に対して、見かけの分子量が比例的に増加するという結果は、少なくとも4倍の増加および約17倍高い比を有する、いくつかの異なるモチーフファミリー(すなわち、AD、AE、AF、AG、およびAM)由来のXTENを用いて作製された融合タンパク質と一致している。さらに、576以上のアミノ酸を有するXTEN融合パートナーの、様々な負荷量(およびY288に融合したグルカゴンの場合においては288残基)を有する融合タンパク質への組み込みは、およそ3~5nmの糸球体の孔サイズを十分に超える7nm以上の流体力学半径をもたらす。したがって、増加およびXTENを含む融合タンパク質により、腎クリアランスが減少し、終末相半減期の増加をもたらし、対応する非融合生物学的負荷タンパク質と比較して、治療効果または生物学的効果が改善されることが予測される。
【表35-1】
【表35-2】
【0504】
実施例41:カニクイザルにおける、GFPに融合された伸長ポリペプチドの薬物動態
GFP-L288、GFP-L576、GFP-XTEN_AF576、GFP-XTEN_Y576およびXTEN_AD836-GFPの薬物動態を、カニクイザルにおいて検証し、薬物動態パラメーターに対する、組成および非構造性ポリペプチドの長さの効果を決定した。血液試料を、注射後の様々な時間で分析し、血漿中のGFPの濃度を、捕捉のための抗GFPポリクローナル抗体、および検出のための同じポリクローナル抗体のビオチニル化製剤を用いて、ELISAにより測定した。結果を
図19に要約する。XTEN配列の長さが増加するにつれ、半減期が著しく増加することが示されている。たとえば、10時間の半減期は、GFP-XTEN_L288(XTEN中に288アミノ酸残基を有する)に対して測定された。非構造性ポリペプチド融合パートナーの長さを576アミノ酸まで倍増させると、複合的な融合タンパク質構築物(すなわち、GFP-L576、GFP-XTEN_AF576、GFP-XTEN_Y576)について、20~22時間まで半減期が増加した。836残基までさらに非構造性ポリペプチド融合パートナーの長さが増加すると、XTEN_AD836-GFPについては、半減期が72~75時間となった。ゆえに、288から576残基までの、288残基までのポリマーの長さの増加により、in vivo半減期が約10時間まで増加した。しかしながら、576から836残基まで、260残基までポリペプチドの長さが増加すると、半減期は50時間超まで、増加した。これらの結果から、in vivo半減期における、比例的な増加よりも大きな増加をもたらす非構造性ポリペプチドの長さの全く意外な閾値が存在することが示される。ゆえに、伸長された、非構造性のポリペプチドを含有する融合タンパク質は、より短い長さのポリペプチドと比較して、薬物動態が強化された特性を有することが期待される。
【0505】
実施例42:XTENの血清安定性
GFPのN末端に融合したXTEN_AE864を含む融合タンパク質を、サル血漿およびラット腎臓溶解物において、37℃で7日間までインキュベートした。試料を0時点、1日目、および7日目に抜き取り、SDS PAGEにより分析した後、ウェスタン分析を用いて検出し、
図20に示すように抗GFP抗体を用いて検出した。XTEN_AE864の配列は、血漿において、7日目を過ぎてから、無視できるほどの分解の兆候を示した。しかしながら、XTEN_AE864は、ラット腎臓溶解物において3日目を過ぎてからは、迅速に分解された。融合タンパク質のin vivoの安定性は、血漿試料において試験し、ここで、GFP_AE864を、上述の通り、免疫沈降させ、SDS PAGEによって分析した。注射後7日目まで抜き取られた試料は、分解の兆候をほとんど示さなかった。結果から、CFXTEN融合タンパク質の薬物動態特性の増強における一因となる、血清プロテアーゼによる分解に対するCFXTENの耐性が示される。
【0506】
実施例43:XTENに連結することによる、ペプチド負荷の可溶性および安定性の増加
溶解度および安定性の物理化学的特性を亢進させるXTENの能力を評価するために、グルカゴンとより短い長さのXTENとの融合タンパク質を調製および評価した。試験品を中性pHで、トリス緩衝生理食塩水中で調製し、Gcg-XTEN溶液の特徴を逆相HPLCおよびサイズ排除クロマトグラフィーによって解析し、当該タンパク質が溶液中で均質かつ非凝集性であったことを確認した。データを表36に示す。比較目的のために、同じ緩衝液中で非改変のグルカゴンの溶解度限界を60μM(0.2mg/mL)で測定したところ、付加したXTENのすべての長さに対して、溶解度における実質的な増加が得られたことが結果から示された。重要なことは、ほとんどの場合において、グルカゴン-XTEN融合タンパク質は標的濃度を得るために調整され、所与の構築物に対する最大溶解度限界を測定するためには評価されなかった、ということである。しかしながら、AF-144XTENに連結されたグルカゴンの場合、溶解度限界が測定され、その結果から、XTENに連結されていないグルカゴンと比較して、溶解度において60倍の増強が達成されたことが示された。さらに、グルカゴン-AF144 CFXTENを安定性について評価し、冷蔵条件下で少なくとも6ヶ月間、および37℃でおよそ1ヶ月間、液体製剤で安定であることが判明した(データは示さない)。
【0507】
データから、たとえばグルカゴン等の生物学的に活性なタンパク質への短い長さのXTENポリペプチドの連結により、得られた融合タンパク質の溶解度特性が著しく増強され、ならびに、より高いタンパク質濃度で安定性が得られることが立証される。
【表36】
【0508】
実施例44:予測アルゴリズムによる二次構造に対する配列分析
アミノ酸配列は、あるコンピュータープログラムまたはアルゴリズム(たとえば、公知のChou-Fasman algorithm (Chou, P. Y., et al. (1974) Biochemistry, 13: 222-45) および、Garnier-Osguthorpe-Robson(またはGOR)法 (Garnier J, Gibrat JF, Robson B. (1996) GOR method for predicting protein secondary structure from amino acid sequence. Methods Enzymol 266:540-553))を介して二次構造に対して分析することができる。所与の配列について、アルゴリズムは、いくつかの二次構造が存在するかまたはまったく存在しないかを推定することができ、例えば、アルファ-ヘリックスまたはベータ-シートを形成する配列の残基の割合および/もしくは残基の総数、または、ランダムコイル形成をもたらすと推定される配列の残基の割合(%)および/もしくは残基の総数として表される。
【0509】
XTEN「ファミリー」由来のいくつかの代表的な配列は、これらの配列における二次構造の程度を分析するためのChou‐Fasman法およびGOR法についての2つのアルゴリズムツールを用いて評価される。Chou‐Fasmanツールは、World
Wide Web上にあるURL、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_www.cgi?rm=misc1(2009年6月19日に確認)、「Biosupport」インターネットサイトにて、バージニア大学およびWilliam R.Pearsonによって提供された。GORツールは、Network Protein Sequence Analysisインターネットサイト、World Wide Web上にあるURL、npsa-pbil.ibcp.fr/cgi-bin/secpred_gor4.pl(2008年6月19日に確認)において、Pole Informatique Lyonnaisによって提供された。
【0510】
分析の第一ステップとして、単一XTEN配列を、2つのアルゴリズムにより分析した。AE864組成物は、アミノ酸G、S、T、E、P、およびAからなる4つの12アミノ酸配列モチーフの複数のコピーから作成された864のアミノ酸残基を有するXTENである。配列モチーフは、モチーフ内に限定された反復性があり、および任意の2つの連続したアミノ酸の配列が任意の1つの12アミノ酸モチーフにおいて2倍を超えて反復されず、および、全長のXTENの3つの連続したアミノ酸が同一ではない全体的な配列内に限定された反復性がある、という事実を特徴とする。N末端からAF864配列の連続的に長い部分を、Chou‐FasmanアルゴリズムおよびGORアルゴリズム(後者は、最小17アミノ酸の長さを必要とする)によって分析した。配列は、FASTAフォーマット配列を予測ツールへ入力し、分析を実行することによって分析した。分析結果を表37に示す。
【0511】
結果から、Chou‐Fasman算出により、AEおよびAGファミリーの短いXTEN(少なくとも288アミノ酸残基まで)が、アルファ-ヘリックスまたはベータシートを全く有さないことを示唆したが、GORアルゴリズムによるランダムコイルの予測割合量は、78~99%で変化することを示唆している。504残基長のXTENが1300超に増加するにつれ、XTENは、Chou-Fasmanアルゴリズムの分析によると、0~約2%のアルファ-ヘリックスまたはベータ-シートの予測割合を有し、一方でランダムコイルの算出割合は94~99%に増加した。アルファ-ヘリックスまたはベータ-シートを有するそれらXTENは、予測ベータ-シート形成をもたらす、3つの連続するセリン残基の1以上の例を有する配列であった。しかしながら、これらの配列でさえ、およそ99%のランダムコイル形成を有していた。
【0512】
本明細書に提示されるデータから、1)連続したアミノ酸に関して限定された反復性を有するG、S、T、E、P、およびAの複数の配列モチーフから作られるXTENは、非常に少量のアルファ-ヘリックスおよびベータ-シートを有すると推定されること;2)XTENの長さを増加させると、アルファ-ヘリックスまたはベータシートの形成の確率をさほど増加しないこと;および、3)アミノ酸G、S、T、E、P、およびAからなる非反復性の12merの添加によるXTEN配列の長さの漸増により、ランダムコイル形成の割合の増加がもたらされることが、示唆される。結果からさらに、本明細書に定義されるXTEN配列(たとえば、アミノ酸G、S、T、E、P、およびAの配列モチーフから作られるXTEN)は、限定された反復性(任意の1つのモチーフにおいて、2を超えない、同一の連続するアミノ酸を有するものを含む)を有し、非常に限定された二次構造を有すると予測されることが示唆される。表3由来の配列モチーフの任意の順序または組み合わせを用いて、二次構造を実質的に欠くXTEN配列をもたらすXTENポリペプチドを作ることが出来るが、3つの連続するセリンは好ましくない。しかしながら、3つの連続するセリンの好ましくない特性は、XTENの長さを増加させることにより改善することができる。そのような配列は、本明細書に開示される発明のCFXTENの実施形態において記述される特徴を有すると期待される。
【表37-1】
【表37-2】
【表37-3】
【表37-4】
【0513】
実施例45:反復性に対するポリペプチド配列分析
本実施例において、ことなるポリペプチド(いくつかのXTEN配列を含有する)を、アミノ酸配列の反復性について分析した。ポリペプチドアミノ酸配列は、ポリペプチド全体の中で、より短い部分配列が何回現れたかを定量することにより、反復性を分析することができる。たとえば、200アミノ酸残基の長さのポリペプチドは、トータルで165の36アミノ酸「ブロック」(または「36mer」)の重複および198の3mer「部分配列」の重複を有しているが、固有の3mer部分配列の数は、配列内の反復量に依存する。分析に関して、以下の式を適用することにより得られる部分配列スコアを測定することにより、異なるポリペプチド配列を反復性について分析した:
【数8】
ここで、m=(ポリペプチドのアミノ酸の長さ)-(部分配列のアミノ酸の長さ)+1;および、Count
i=配列
i内の各固有の部分配列発生の累積数、である。
本実施例の分析において、表38のポリペプチドに対する部分配列スコアは、
図27に示されるアルゴリズムを用いたコンピュータープログラムで、前述の式を用いて決定され、ここで、部分配列の長さは、3アミノ酸で設定された。得られた部分配列スコアは、ポリペプチド内の反復性の程度を反映している。
【0514】
表38に示される結果から、2または3のアミノ酸型からなる非構造のポリペプチドは、高い部分配列スコアを有する一方で、低度の内部反復性を有する6つのアミノ酸G、S、T、E、P、およびAの12アミノ酸モチーフからなるものは、10未満(一部のケースにおいては5未満)の部分配列スコアを有することが示唆される。たとえば、L288配列は2つのアミノ酸型を有し、そして短く、高度な反復配列を有していることから、部分配列スコアは50.0である。ポリペプチドJ288は、3つのアミノ酸型を有しているが、短い反復型配列も有しており、部分配列スコアは33.3である。Y576もまた3つのアミン素案型を有しているが、内部反復は作られていないため、最初の200アミノ酸にわたり、15.7の部分配列スコアとなっている。W576は4つのアミノ酸型からなるが、高度の内部反復性を有し(たとえば、「GGSG」(配列番号1694))、そのため、部分配列スコアは23.4である。AD576は12アミノ酸モチーフの4つの型からなり、各々は4つのアミノ酸型からなる。個々のモチーフの内部反復性は低度であるため、最初の200アミノ酸にわたる全体の部分配列スコアは13.6である。反対に、それぞれ低度の内部反復性を有する、4つのモチーフからなるXTENは6つのアミノ酸型を含有し、低い部分配列スコアとなっている(すなわち、AE864(6.1)、AF864(7.5)、およびAM875(4.5))一方で、5つのアミノ酸型を含有する4つのモチーフからなるXTENは、中程度の7.2のスコアを有する(すなわち、AE864)。
【0515】
結論:結果から、それぞれ非反復性の4~6のアミノ酸型からなる12アミノ酸部分配列モチーフの、より長いXTENポリペプチドへの組み合わせにより、実質的に非反復性である全体配列がもたらされる(10未満の全体部分配列スコア(多くの場合、5未満)により示される)ことが示唆される。これは、各部分配列モチーフが、配列全体にわたり、複数回用いられている可能性があるにもかかわらず、である。反対に、より少数のアミノ酸型から作られたポリマーは、より高い部分配列スコアとなり、2つのアミノ酸型からなるポリペプチドは3つのアミノ酸型からなるものよりも高い部分配列スコアを有する。
【表38】
【0516】
実施例46:TEPITOPEスコアの算出
9merペプチド配列のTEPITOPEスコアは、Sturniolo[Sturniolo, T., et al. (1999) Nat Biotechnol, 17: 555]により記述される、ポケットポテンシャルを加えることにより算出することができる。本実施例において、個々のHLA対立遺伝子に対し、別々のTepitopeスコアを算出した。表39に、HLA0101B(白人集団において高頻度に発生する)に対するポケットポテンシャルの例を示す。配列P1-P2-P3-P4-P5-P6-P7-P8-P9を有するペプチドのTEPITOPEスコアを算出するために、表39の対応する個々のポケットポテンシャルを加えた。配列FDKLPRTSG(配列番号1695)を有する9merのペプチドのHLA0101Bスコアは、0、-1.3、0、0.9、0、-1.8、0.09、0、0の総和である。
【0517】
長いペプチドのTEPITOPEスコアを評価するために、配列の9mer部分配列すべてに対するプロセスを繰り返すことができる。このプロセスは、他のHLA対立遺伝子によりコードされるタンパク質に対して繰り返すことができる。表40~43に、白人集団において高頻度で発生するHLA対立遺伝子のタンパク質産物に対するポケットポテンシャルを提示する。
【0518】
この方法により算出されるTEIPITOPEスコアは、およそ-10~+10の範囲にわたる。しかしながら、P1位に疎水性アミノ酸(FKLMVWY(配列番号1696))を欠く9merのペプチドは、-1009~-989の範囲でTEPITOPEスコアが算出される。この値は生物学的な意味が無く、疎水性アミノ酸がHLA結合に対するアンカー残基としての役割を果たし、P1で疎水性残基を欠くペプチドはHLAに結合しないと考えられる、という事実を示す。ほとんどのXTEN配列は疎水性残基を欠くため、9merの部分配列のすべての組み合わせは、-1009~-989の範囲にあるTEPITOPE範囲となる。この方法により、XTENポリペプチドはT細胞エピトープをわずかしか、またはほとんど有しないであろうことが確認される。
【表39】
【0519】
【0520】
【0521】
【0522】
【0523】
実施例46:XTENの許容ループへの挿入の評価
XTEN AE42-2の挿入
XTEN AE42挿入を有するFVIIIの構築および発現を、実施例17および24に記述した。ゆえに、残基Xは挿入部位を表し、残基Zは天然FVIIIポリペプチド配列中の隣の残基を表し、XTEN挿入から得られるポリペプチドは、以下の配列を含有する:
X-GAPGSPAGSPTSTEEGTSESATPESGPGSEPATSGSETPASS-Z(配列番号1697)
【0524】
XTEN AE42の挿入に対してFVIII配列中の16の異なる部位を選択し、これらをバッチ1と指定した。さらにXTEN AE42の挿入に対し21の部位を選択し、バッチ2と指定した。併せて、バッチ1およびバッチ2の部位は、A1ドメイン中に12部位、A2ドメイン中に7部位、A3ドメイン中に10部位、C1ドメイン中に4部位、そしてC2ドメイン中に3部位、存在する。FVIIIの3D構造中のバッチ1およびバッチ2の位置を、
図32に示す。
【0525】
これらバッチ1およびバッチ2挿入部位の37の位置は、pSD0001、pSD0004、pSD0009、pSD0012、pSD0023、pSD0032、pSD0034、pSD0063[前述の範囲は、同様に、すべての中間数を含む]と指定された37の構築物中にあり、それらの配列は、表21に記述され、それらの挿入部位は表23に記述される。
【0526】
In vitroアッセイ
XTEN AE42-4挿入に対するFVIIIの許容性を分析するため、FVIII-XTEN細胞培養からの培養培地試料中のFVIII活性を、FVIII発色分析を用いて分析した。抗原発現レベルは、FVIII-HC(FVIII重鎖)およびFVIII-LC(FVIII軽鎖)ELISAにより分析された。
【0527】
発色分析によるFVIII活性測定
FVIII活性は、DiaPharmaから入手されるCOATEST(登録商標)SP FVIIIキット(lot# N089019)を用いて測定され、すべてのインキュベーションは、振とうしながら、37℃のプレートリーダー上で行われた。6ウェルプレートからのFVIII-XTEN AE42-4変異体の一過性のトランスフェクション培地から回収した細胞培養物を、1xFVIII COATEST(登録商標)緩衝液を用いて、所望のFVIII活性範囲まで希釈した。FVIII標準は、1xFVIII
COATEST(登録商標)緩衝液(検証試料と培養培地濃度を合致させた、モックトランスフェクション培地を含有)中で調製した。組換え第VIII因子(rFVIII)標準の範囲は、100mIU/mL~0.78mIU/mLであった。細胞培養試料で希釈された標準物およびプールされた健常ヒト血漿分析対照を、二重で、Immulon(登録商標)2HB 96ウェルプレートに添加した(25μL/ウェル)。
【0528】
新しく調製されたIXa/FX/リン脂質混合物(50μL)、25μLの25mM CaCl2および50μLのFXa基質を、各添加の間に5分のインキュベーションを行いながら、各ウェルへ連続して添加した。基質とのインキュベーションの後、25μLの20%酢酸を添加し、発色反応を止め、405nmの吸収を、SpectralMAX(登録商標)plus(Molecular Devices)機器を用いて測定した。
【0529】
データ分析は、SoftMax Proソフトウェア(バージョン5.2)を用いて実施した。最も低いレベルの定量値(LLOQ)は39mIU/mLであった。結果は表22に示す。
【0530】
FVIII-HCおよびFVIII-LC ELISAによる発現測定
変異体の発現は、ELISAにより定量した。FVIIIのA1ドメインおよびA2ドメインにおけるXTEN挿入に対応するDNA構築物のFVIII抗原発現レベルは、FVIII-LC ELISAにより分析した。FVIIIのA3、C1およびC2ドメインにおけるXTEN挿入に対応するDNA構築物のFVIII抗原発現レベルは、FVIII-HC ELISAにより分析した。結果は表22に示す。
【0531】
回収後の細胞培養培地中のFVIII-XTEN抗原は、FVIII-LC ELISAに対しては、GMA011抗体(Green Mountain Antibodies)により捕捉、または、FVIII-HC ELISAに対しては、GMA016抗体(Green Mountain Antibodies)により捕捉された。Immulon(登録商標)2HB 96ウェルプレートを、100μl/ウェルでの抗FVIII抗体(2μg/ml)で、4℃、一晩インキュベートすることによりコートした。次いで、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(Tween-20含有)(PBST)で4回洗浄し、ブロッキング緩衝液(10%熱非働化ウマ血清を含有するPBST)で、1時間室温にてブロッキングした。
【0532】
6ウェルプレート由来のFVIII-XTEN変異体の一過性にトランスフェクト培地からの細胞培養回収物を、1xブロッキング緩衝液を用いて、所望のFVIII抗原範囲に希釈した。FVIII標準は、1xFVIIIブロッキング緩衝液(検証試料と培地濃度を合致させた、モックトランスフェクション培地を含有)中で調製した。rFVIII標準の範囲は、50ng/mL~0.39ng/mLであった。
【0533】
標準物、希釈細胞培養試料、およびプールされた正常ヒト血漿分析対照を、二重で、Immulon(登録商標)2HB 96ウェルプレートに添加し(100μL/ウェル)、2時間、37℃でインキュベートした。PBSTで4回洗浄した後、100μlのHRPヒツジ抗hFVIII抗体(Affinity Biologicals、F8C-EIC-D)を各ウェルに添加し、プレートを1時間、37℃でインキュベートした。さらにPBSTで4回洗浄した後、100μlのTMB Super Sensitive Substrate(BioFX)を各ウェルに添加し、次いで、5~10分、発色させた。発色反応を止めるため、50μLのH2SO4を各ウェルに添加し、450nmでの吸収を、SpectraMAX plus(Molecular Devices)機器で測定した。
【0534】
データ分析は、SoftMax Proソフトウェア(バージョン5.4)を用いて実施した。最も低いレベルの定量値(LLOQ)は0.0039μg/mLであった。結果は表22に示す。
【0535】
組換えタンパク質の凝固促進活性または宿主細胞中で発現される組換えタンパク質の能力を消失させることなく、XTEN配列が挿入される許容部位は、FVIIIの3つのAドメインそれぞれの中のループ内に群れとなっていた。
図36に、ドメインA1、A2およびA3でFVIII活性を示す組換えFVIIIタンパク質内の挿入部位の位置を示す。
図33に、FVIII活性を示す組換えFVIIIタンパク質における挿入部位の位置を描写する構造図を示す。
【0536】
許容部位は、溶媒中に露出され、高度にフレキシブルな表面ループの状態で群となっていた(XTEN許容ループ)。A1ドメインループは、成熟ヒトFVIII配列中、それぞれ、およそ15~45、および201~232のアミノ酸位に対応する領域に位置していた(
図30)。A2ドメインループは、成熟ヒトFVIII配列中、それぞれ、およそ395~421、および577~635のアミノ酸位に対応する領域に位置していた(
図30)。A3ドメインループは、成熟ヒトFVIII配列中、それぞれ、およそ1705~1732、および1884~1917のアミノ酸位に対応する領域に位置していた(
図30)。
図37Aおよび37Bに、FVIIIの3次元構造中の二次構造要素に対するXTEN許容ループの位置を示す。
【0537】
実施例47:144アミノ酸を有するXTENの挿入を伴うCFXTEN
上述(実施例46)の予備データの分析から、XTENの挿入に適応できるFVIII
Aドメインの3-D構造および直線状ポリペプチド配列内の既定領域の存在が提示される。この仮説を検証し、FVIII活性を失うことなくXTEN配列の挿入に適応することができる推定領域の境界をさらに定義するために、バッチ1またはバッチ2のいずれの中にも存在しない23の追加の挿入部位を選択し、バッチ3と指定した。
【0538】
バッチ3構築物は、144残基のXTEN AEポリペプチド(Gly(G)、Ala(A)、Pro(P)、Ser(S)、Thr(T)およびGlu(E)のアミノ酸残基を含有)または、144残基のXTEN AGポリペプチド(Gly(G)、Ala(A)、Pro(P)、Ser(S)およびThr(T)のアミノ酸残基を含有)の挿入により作製された。144残基AEポリペプチドの5つの異なるバージョンを作製し、XTEN-AE144-2A、XTEN-AE144-3B、XTEN-AE144-4A、XTEN-AE144-5A、XTEN-AE144-6Bと指定した。アミノ酸配列は表4に記述される。144残基ポリペプチドの5つの異なるバージョンを作製し、XTEN-AG144-1、XTEN-AG144-A、XTEN-AG144-B、XTEN-AG144-CおよびXTEN-AG144-Fと指定した。アミノ酸配列は表4に記述される。
【0539】
DNA配列をコードする144残基XTENは、DNAセグメントの化学合成(DNA
2.0, Redwood City, CA)により、挿入部位のいずれか側上のベースベクター内の最も近い固有制限酵素部位にわたり、導入された。
【0540】
得られるDNA構築物が、XTEN144タンパク質配列が、選択部位中に示される残基のすぐ後に挿入され、そしてAscIおよびXhoI部位に隣接するFVIIIタンパク質をコードするように、XTEN144ペプチドに対応するDNA配列を挿入した。
【0541】
これらの部位に加えて、制限酵素AscIおよびXhoIを有するDNAセグメントをコードするAE42ポリペプチドの切除、ならびに、同じ部位で配列をコードするXTEN AE144およびXTEN AG144の導入により、バッチ1およびバッチ2由来の部位(XTEN AE42ポリペプチドの挿入によってFVIII凝固促進活性が失われていない)を改変した。これらバッチ1、バッチ2およびバッチ挿入部位の位置を、表IIIに要約する。
図34に、XTEN144挿入部位の位置を示すFVIIIの構造図を提示する。
【0542】
144XTEN挿入を有する構築物をトータルで48個、作製した。構築物は、pSD0001~pSD0004、pSD0009~pSD0012、pSD0023~63と指定され(前述の範囲には、全ての中間の数値も含まれる)、それらの配列を表21に記述し、それらの挿入部位は表22に詳述される。
【0543】
FVIII-XTEN144の変異体の発現
XTEN144挿入を有するFVIII変異体を、ポリエチレンイミン(PEI, Polysciences Inc. Warrington, PA)または、Lipofectamineリポフェクタミントランスフェクション試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、HEK293F細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)にトランスフェクトした。一過性にトランスフェクトされた細胞を、293Free Style培地または293Free StyleとCD
Opti CHO培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)の混合物中で増殖させた。細胞培養培地を、トランスフェクションの3~5日後に回収し、発色FVIII活性分析によってFVIII発現を分析し、FVIII ELISAを本明細書に記述されるように実施した。
【0544】
一過性トランスフェクション由来の細胞培養培地を、Centricon(登録商標)スピンカラム(100kdカットオフ)で10倍に濃縮した。次いで、濃縮された材料を凍結させ、さらなるin vitro分析およびin vivo薬物動態実験のために-80℃で保存した。
【0545】
In vitro分析
挿入に対するFVIII許容性を分析するために、細胞培養由来の培養培地試料中のFVIII活性を、FVIII発色分析を用いて分析した。抗原発現レベルを、FVIII-HC(FVIII重鎖)およびFVIII‐LC(FVIII軽鎖)ELISAにより分析した。
【0546】
発色分析によるFVIII活性測定、ならびに、FVIII-HCおよびFVIII-LC ELISAによる発現測定
発色分析およびELISA分析法を、以下に記述されるように実施した。得られた結果を、表23に要約する。
【0547】
組換えタンパク質の凝固促進活性または宿主細胞中で発現される組換えタンパク質の能力を失うことなくXTENが挿入される許容部位は、FVIIIの3つのAドメインそれぞれの中のループ内に群れとなっていた。短い挿入XTEN配列を耐容できる、同じXTEN許容ループ領域は、より長いXTEN配列の挿入にも耐容であることが見出された。
図38に、ドメインA1、A2およびA3でFVIII活性を示した組換えFVIIIタンパク質内の挿入部位の位置を示す。
図35に、FVIII活性を示した組換えFVIIIタンパク質における挿入部位の位置を描写する構造図を示す。
【0548】
観察結果から、FVIIIの各Aドメイン内の2つの領域が、FVIII補因子活性を失うことなく、XTEN配列の挿入に適応することができることが、示唆される。これらの、いわゆるXTEN許容ループの構造図(
図40および41)から、それらが、各Aドメイン内の構造的に類似の位置にあること、およびFVIII分子の1つの面から突き出ていることが示される。
図37Aおよび37Bに示されるように、特定されたXTEN許容ループは、A1、A2、およびA3ドメインの3次元構造中のβストランドの間に位置する、高度にフレキシブルなループに対応する。
【0549】
薬物動態で測定された、FVIIIの半減期延長に対するXTEN144挿入のin vivo評価は、実施例32に記述される。
【0550】
実施例48:FVIIIのa3酸性ペプチド領域内のXTEN配列の挿入による、FVIII発現のレスキューまたは増強
付着性HEK293細胞を、(実施例24に記述されるように)FVIII-XTEN
DNA構築物(Bドメイン欠失第VIII因子のコード配列に、2~4の、それぞれ144アミノ酸残基のXTEN挿入が含まれる。組成と挿入位置を、以下の表44に示す)でトランスフェクトした。トランスフェクトの5日後、細胞培養上清を、発色分析(実施例25に記述)によりFVIII活性について分析した。結果を表44に示す。
【表44】
【0551】
比較目的のために、すべてのFVIII-XTEN構築物は、A3ドメイン内の1720アミノ酸位(全長第VIII因子に対して番号付け)でAG144 XTEN挿入を有していた。FVIII-XTEN変異体の発現レベルは、発色分析により測定され、mIU/mLの単位で表された。A1ドメインの26位(LSD0040.002)またはA2ドメインの403位(LSD0041.008)のいずれかで単一の追加XTEN挿入を有する構築物の発現レベルは、それぞれ、175および279mIU/mLであった。対照的に、a3酸性ペプチド内での1656位で単一の追加XTEN挿入を有する構築物の発現レベルは、2598mIU/mLであったことから、A1およびA2挿入構築物と比較して、a3XTEN挿入構築物の発現レベルは増強されたことが示された。さらに、A1ドメインの26位およびA3ドメインの1720位でXTEN挿入を有するFVIII-XTEN構築物(LSD0040.002)と比較して、a3酸性ペプチド領域内の1656位で追加のXTEN挿入を有するFVIII-XTEN構築物(PSD080.002)は、明らかに高い発現(それぞれ、175および1081mIU/mL)であった。これらの知見と一致して、A2ドメインの403位およびA3ドメインの1720位でXTEN挿入を有する構築物(LSD0041.008)は、279mIU/mLの発現レベルであった一方で、a3酸性ペプチド領域内の1656位での追加XTEN挿入により、789mIU/mLまで発現レベルの増加がもたらされた。最後に、A1ドメイン内の26位でのXTEN挿入、およびA3ドメイン内の1720位および1900位での2つのXTEN挿入を有するFVIII-XTEN構築物(PSD082.001)は、定量の下限を超える活性をもたなかった。しかしながら、a3酸性ペプチド領域内への追加のXTEN挿入を有するFVIII-XTEN構築物(PSD090.003)は、検出可能な活性を有していたことから、a3ドメイン内にXTEN配列を含むことによって、定量の下限以下のレベルでしか発現しないFVIII-XTEN構築物の発現の回復(活性による測定)がもたらされることが示される。本実験の条件下においては、結果から、a3領域内の、伸長による、1656位でのXTENの挿入により、凝固促進FVIII-XTEN組成物発現の増強がもたらされるという結論が立証される。
【0552】
実施例49:aPTTにより測定される、FVIII活性に対するXTEN挿入の効果
発色分析(実施例25に記述)に加えて、一段階活性化部分プロトロンビン(aPTT)凝固アッセイを実施し、様々なFVIII‐XTEN融合タンパク質のFVIII活性を測定した。
【0553】
方法:FVIII-XTEN aPTT活性を、Sysmex CA-1500機器(Siemens Healthcare Diagnostics Inc.,Tarrytown, NY)を用いて測定した。分析に対する標準曲線を作成するために、WHO第VIII因子標準を、2%のモックトランスフェクション培地で100mU/mLまで希釈し、次いで、2倍連続希釈を行い、最終的に標準は0.78mU/mLとした。最初に、FVIII-XTEN細胞試料をaPTTアッセイ緩衝液で1:50に希釈し、必要な場合には、2%モックトランスフェクション培地でさらに希釈した。希釈後、aPTTアッセイを、Sysmex機器を用いて以下のように実施した:50μlの希釈標準および試料を、50μlのヒトFVIII欠失血漿と混合し、次いで、50μlのaPTT試薬と混合した。混合物を4分間、37℃でインキュベートし、インキュベートの後に、50μlのCaCl2を混合物に添加し、凝固時間を直ちに測定した。検証試料FVIII活性を測定するために、標準物の凝固時間を、半対数スケールを用いてプロットし(凝固時間:線形;標準濃度:対数)、凝固時間とFVIII活性との間の方程式を外挿し、次いで、FVIII-XTEN活性を、標準曲線に対して算出した。アッセイの感度は、40mU/mL第VIII因子であった。
【0554】
結果:結果を
図44~46に要約する。144または288アミノ酸の単一XTENがFVIIIに挿入された場合、発色分析において活性を示す全てのFVIII-XTEN融合タンパク質がまた、aPTTアッセイにおいても活性であった。aPTT活性は、発色分析の傾向に従っており、たとえば、発色分析において低いFVIII活性を示した分子は、aPTT値もまた低かった。全体的に、融合タンパク質に対するaPTTの結果は、発色分析で得られたものよりも低く、
図44に図示されるように、単一XTEN挿入に対して、aPTTに対する発色分析の比率は1.1~2.2以下であった。複数のXTEN挿入を有するFVIII-XTEN融合タンパク質では、多くの場合、発色分析と比較して、aPTT活性がさらに減少した。2つのXTEN挿入を有するFVIII-XTENの分析では、すべての構築物で活性が示されたが、一部の例においては、発色/aPTTの比率は4に達した(
図45)。いくつかの3つのXTEN挿入を有するFVIII-XTENの分析でも、両分析で活性が示されたが、一部の例においては発色/aPTTの比率は5に達し(
図46)、一方で、BDD-FVIII対照に対する比率は、より同等のものであった(
図46の右側)。さらに、XTEN挿入部位によって、aPTTと発色活性の間に見られる差異が発生すると思われた。たとえば、2つのXTEN挿入を有する一部の分子では、発色値よりも4倍以下の低い活性となったが、他の2つのXTENを有するFVIII分子のaPTTアッセイでは、発色活性とほとんど同等であった(
図45)。3つのXTEN挿入を有する一部の分子は、発色活性より5倍以下の低い活性を示し、他の3つのXTENを有するFVIII分子は、発色活性より2倍未満の低いaPTT活性を有している(
図45)。本実験の条件下では、結果から、FVIII-XTEN融合タンパク質構築物は、凝固促進活性を維持しているが、発色分析では多くの場合、本実験で用いられたaPTTアッセイシステムにおけるものよりも高い活性レベルをもたらすという結論が立証される。
【0555】
実施例50:FVIII半減期延長に対するXTEN挿入部位の効果に関する評価
方法:既定の位置で単一XTEN AG144挿入を有するFVIII-XTEN融合タンパク質の6つを、FVIII/VWF DKOマウス(実施例32に概要を記述)において検証し、FVIII半減期に対するXTEN挿入部位の効果を評価した。A1、A2、a3、A3領域1(A3-R1)、A3領域2(A3-R2)内、またはC末端のいずれかに挿入されたXTENを有する6つの代表的なXTEN変異体(表1に列挙される)を、本実験のために選択し、ベースベクターから作製されたBDD-FVIIIを対照として用いた。FVIII/VWF DKOマウスに、6つのFVIII-XTEN構築物から濃縮された一過性トランスフェクト細胞培養培地(または陽性対照培地)を、100~200IU/kgで、単回静脈内投与で処置し、次いで、血漿試料を投与後5分、7時間および16時間で採取した。血漿FVIII活性は、FVIII発色分析を用いて検証し、FVIII-XTEN半減期は、WinNonlinプログラムを用いて推定した。実験データを、表45および
図47に要約する。
【0556】
結果:BDD-FVIII対照と比較して、検証されたFVIII-XTENすべてに対し、明らかな半減期の延長が認められたが、半減期延長の程度は様々であり、403挿入部位でXTENを有する変異体は(対照と比較して)最も少ない10倍の半減期延長をもたらし、一方で、1900挿入変異体は、最も高い18倍の半減期延長をもたらした。FVIII半減期延長に対するXTEN挿入部位の差異は、in vivoのFVIIIクリアランスにおける、異なるFVIIIドメインの役割を反映している可能性がある。
表45:FVIII/VWF DKOマウスにおける、FVIII-XTEN
【表45】
【0557】
実施例51.FVIII半減期延長に対するXTEN挿入の相加効果の評価
方法:FVIII融合タンパク質の半減期に対する複数のXTEN挿入の効果を評価するために、1~3のXTEN挿入を有するFVIII変異体の半減期を、FVIII-XTE DKOマウスにおいて、5つの構築物由来の細胞培養濃縮物を用いて測定した(実施例32に概要を記述)。5つのFVIII-XTEN変異体を本実験で評価した:1900位でAE144挿入を有する、pSD-062(全長第VIII因子に関連して番号付け);FVIII BドメインにAE144を有するpSD-0005(Bドメインアミノ酸745位);FVIIIC末端(CT)でAE288を有するpSD-0019;Bドメインに挿入されたAE144、およびC末端で挿入されたAE288を有するLSD0003.006、ならびに、1900位、Bドメイン、およびC末端で挿入されたAE144、AE144およびAE288の3つのXTENを有するLSD0055.021。FVIII-XTEN半減期の値は、WinNonlinプログラムを用いて推定された。
【0558】
結果:本実験結果は表46に要約され、薬物動態曲線は
図48に示す。実験結果より、FVIII半減期延長に対する複数のXTEN挿入の相加効果がはっきりと示された。単一XTEN挿入では、FVIIIの半減期は、0.25時間から3.2~4.0時間、延長され、13~16倍、増加した。BおよびCT XTEN挿入が共に組み合わされた場合は、FVIII半減期はさらに10.6時間、42倍、さらに延長された。最終的に、B/CT構築物へ1900位で追加された第三のXTEN挿入の場合は、半減期は、FVIII-VWF DKOマウスにおいて16時間、64倍の増加にまで達した。
【表46】
【0559】
実施例52:Bethesdaアッセイを用いた、抗FVIII抗体の結合に対するFVIII-XTENの妨害の評価
FVIII分子中のXTEN挿入の、従前から存在する抗FVIII抗体のFVIII-XTEN融合タンパク質への結合を妨害する能力を、抗FVIII阻害抗体を有する患者の治療における有用性を決定するために評価した。
【0560】
方法:抗FVIII抗体の結合を分析するために、2つのFVIII-XTEN変異体(26/403/1656/1900の位置で挿入される144XTENを有するPSD088;26/1656/1720/1900の位置で挿入される144XTENを有するPSD-090)を、第VIII因子阻害物質を有する3名の血友病A患者由来の血漿試料(04-483、05-505、およびGK1838-2079と指定される)ならびに、Affinity Biologicals Incから入手されたヒツジ抗FVIIIポリクローナル抗体(F8C-EIA-C)に対する、Refacto(市販rFVIII)との比較で検証した。2つのFVIII-XTEN変異体(pSD-088およびpSD-090)およびRefacto対照に対する4つの抗FVIII抗体のBethesda価は、改変Bethesdaアッセイ法(以下に詳述)を用いて測定された。様々に希釈された熱非働化抗FVIII抗体試料を、1IU/mLの各FVIII変異体(FVIII発色分析緩衝液で、1Xに希釈されている)と、1:1の比率でインキュベートした。次いで、FVIII/抗体混合物を、2時間、37℃のインキュベーター中でインキュベートした。インキュベーションの後、試料を、1xFVIII発色分析緩衝液で10倍に希釈し、次いで、25μLの希釈混合物をFVIII発色分析に用いた。残留FVIII活性の割合は、既知の非中性化試料のインキュベーション後活性に対して算出された。Bethesda値は、以下の式を用いて算出された:BU=希釈第X因子((LN(残留活性のパーセント)+6.6438)。
【0561】
結果:結果を表47に列挙する。Refactoとの比較で、2つのFVIII-XTEN変異体に対して検証が行われた場合、4つ全ての抗体に対してBethesda単位(BU)価の減少が観察された。それぞれ、PSD-088に対しては、5~8倍の減少、pSD-099に対しては3~5倍の減少があった。各抗体について、FVIII変異体に対する阻害曲線をプロットし(
図49)、そしてRefactoと比較したところ、2つのFVIII-XTEN分子に対する阻害曲線の明らかな左方移動が示され、pSD-088 FVIII-XTEN変異体は、pSD-090と比較してさらに左方移動していた。これらの結果は以下のことをはっきりと示している:1)両方のFVIII-XTEN変異体融合タンパク質は、従前から存在する抗FVIII阻害抗体に対し、Refactoよりも抵抗性であること;および2)PSD-088は、抗FVIII抗体に対し、PSD-090よりも抵抗性であり、このことから、抗FVIII抗体の結合妨害における、XTEN挿入部位の差異の測定における有用な情報が得られる可能性がある。本実験の条件下においては、第VIII因子阻害物質を有する血友病A患者の治療に対する、FVIII-XTEN組成物の潜在的使用可能性に対するいくつかの立証が本結果より提示される。
【表47】
【0562】
実施例53:血友病Aマウスにおける、4つのXTEN挿入を含有するFVIII XTEN融合分子の半減期評価
方法:それぞれ、既定の位置で4つのXTEN挿入を有する8つのFVIII-XTEN融合タンパク質を、FVIII/VWF DKOマウスにおいて検証し、FVIII半減期延長に対するXTEN挿入の効果を評価した:LSD0071.001は、403-AG144、1900-AE144、745(B)-AE144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している(FVIIIアミノ酸数および挿入されたXTENとして指定されている);LSD0071.002は、403-AE144、1900-AE144、745(B)-AE144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している; LSD0072.001は、403-AG144、1900-AG144、745(B)-AE144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している;LSD0072.002は、403-AE144、1900-AG144、745(B)-AE144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している;pBC0247.004は、18-AG144、403-AE144、1656-AG144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している;pBC0251.002は、18-AG144、1656-AG144、1900-AE144、2332(CT)-AE288 XTEN挿入を有している;pSD088は、26-AG144、403-AE144、1656)-AG144、1900-AE144 XTEN挿入を有し、ならびに、pSD090は26-AG144、1656-Ag144、1720-AG144、1900-AE144 XTEN挿入を有している。FVIII/VWF DKOマウスに、実施例32に概要を記述されるように、8つの構築物のFVIII-XTENトランスフェクション細胞培地濃縮物を、100~200IU/kgで、単回静脈内投与を処置し、次いで、血漿試料を、投与後5分、8時間、24時間、48時間、72時間および96時間で採取した。血漿FVIII活性は、FVIII発色分析を用いて検証し、FVIII-XTEN半減期は、WinNonlinプログラムを用いて推定した。
【0563】
結果:4つのXTEN挿入を含有する、8つのFVIII XTEN融合分子はすべて、非改変のFVIIIよりも長い半減期を示した(結果は表48)。403位、1900位、BドメインおよびC末端でXTEN挿入を有する3つの分子は、16.3時間まで半減期が達し、非改変のBDD FVIIIと比較して65倍の改善である。しかしながら、26/403/1656/1900 (pSD088)またはat 26/1656/1720/1900(pSD090)でXTEN挿入を有する、検証分子はそれぞれ、9.1時間および9.5時間の半減期を示し、これは、BDD FVIIIと比較して、それぞれ36倍、および38倍の増加を表す。pBC247.004(18/403/1656/CTでのXTEN挿入)およびpBC251.002(18/1900/1656/CTでのXTEN挿入)は、それぞれ、14.1時間および13時間の半減期に達した。この結果から、複数のXTEN挿入により(この場合、各FVIII分子に対し4つのXTEN挿入)、FVIII半減期を著しく改善できることが立証される。さらに、FVIII半減期に対するXTENの効果は、複数のXTEN挿入の場合でさえ、挿入部位に依存することが示される。
【表48】
【0564】
【0565】
【表50-1】
【表50-2】
【表50-3】
【表50-4】
【表50-5】
【表50-6】
【表50-7】
【表50-8】
【表50-9】
【表50-10】
【表50-11】
【表50-12】
【表50-13】
【表50-14】
【表50-15】
【表50-16】
【表50-17】
【表50-18】
【表50-19】
【表50-20】
【表50-21】
【表50-22】
【表50-23】
【表50-24】
【表50-25】
【0566】
【表51-1】
【表51-2】
【表51-3】
【表51-4】
【表51-5】
【表51-6】
【表51-7】
【表51-8】
【表51-9】
【表51-10】
【表51-11】
【表51-12】
【表51-13】
【表51-14】
【表51-15】
【表51-16】
【表51-17】
【表51-18】
【表51-19】
【表51-20】
【表51-21】
【表51-22】
【表51-23】
【表51-24】
【表51-25】
【表51-26】
【表51-27】
【表51-28】
【表51-29】
【表51-30】
【表51-31】
【表51-32】
【表51-33】
【表51-34】
【表51-35】
【表51-36】
【表51-37】
【表51-38】
【表51-39】
【表51-40】
【表51-41】
【表51-42】
【表51-43】
【表51-44】
【表51-45】
【表51-46】
【表51-47】
【表51-48】
【表51-49】
【表51-50】
【表51-51】
【表51-52】
【表51-53】
配列の名称は、FVIII変異体およびXTEN成分のN末端~C末端の構造を反映している:シグナルペプチド(SP);リンカー(L);開裂配列(CS)は、その配列上で活性となるプロテアーゼの名称で示されている。XTEN成分は、その挿入配列に隣接するFVIIIアミノ酸および付番された位置、またはFVIIIのN末端であるA1およびC末端であるY2332により示されている、成分の挿入点とともに、ファミリーの名称および長さで示されている。
【配列表】