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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】対象を撮像する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
A61B6/00 320R
A61B6/00 350A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022143388
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2018521566の分割
【原出願日】2016-11-02
(65)【公開番号】P2022173271
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】15192891.8
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ルンツ ベルント
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-526231(JP,A)
【文献】特開2003-310592(JP,A)
【文献】特表2009-545358(JP,A)
【文献】特表2010-512915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0228071(US,A1)
【文献】特許第7165053(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を撮像する装置において、
提供ユニットと、
処理ユニットと、
を有し、
前記提供ユニットが、撮像される前記対象の位置及び向きデータを提供し、
前記提供ユニットが、前記対象の解剖学的モデルを提供し、前記解剖学的モデル及び前記対象の1以上の解剖学的ランドマークを組み合わせることにより前記対象の位置及び向きデータを提供し、
前記提供ユニットが、撮像ユニットの位置及び向きデータを提供し、
前記処理ユニットが、前記対象の位置及び向きデータと前記撮像ユニットの位置及び向きデータとを組み合わせて、次に撮像される領域を決定し、
前記処理ユニットが、前記決定された次に撮像される領域に基づいて前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータを設定し、
前記解剖学的モデルが、前記次に撮像される領域の以前の画像に基づいて更新される、
装置。
【請求項2】
前記撮像される対象が、患者であり、前記次に撮像される領域が、解剖学的領域である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記提供ユニットが、前記撮像される対象の領域に対する前記撮像ユニットの位置及び/又は向きデータを提供する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記提供ユニットが、2D及び/又は3Dの光学的、ビデオ、赤外及び/又は超音波手段により取得された患者データ内の前記解剖学的ランドマークの位置及び/又は向きを検出する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記解剖学的モデルが、患者データに基づいて解剖学的モデルのグループから予め選択される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記解剖学的モデルが、患者データに基づいて及び/又は前記次に撮像される領域の以前の画像に基づいて適合されて、適合された解剖学的モデルになる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットの位置及び向きデータが、X線管、X線検出器又はコリメータの位置及び向きを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記処理ユニットが、決定された前記次に撮像される領域に基づいて前記撮像ユニットの照射パラメータを設定する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
対象を撮像するシステムにおいて、
撮像ユニットと、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の対象を撮像する装置と、
を有し、
前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータが、前記撮像装置により決定される、次に撮像される領域に基づいて設定される、
システム。
【請求項10】
対象を撮像する方法において、
撮像される前記対象の位置及び向きデータを提供するステップと、
次に撮像される領域の以前の画像に基づいて解剖学的モデルを更新するステップと、
前記解剖学的モデル及び前記対象の1以上の解剖学的ランドマークを組み合わせることにより前記対象の位置及び向きデータを提供するステップと、
撮像ユニットの位置及び向きデータを提供するステップと、
前記対象の位置及び向きデータと前記撮像ユニットの位置及び向きデータとを組み合わせて、前記次に撮像される領域を決定するステップと、
前記決定された次に撮像される領域に基づいて前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータを設定するステップと、
を有する方法。
【請求項11】
決定された前記次に撮像される領域を撮像するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
処理ユニットにより実行される場合に、請求項10又は11に記載の方法のステップを実行する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置又はシステムを制御するコンピュータプログラム要素。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を撮像する装置、対象を撮像するシステム、対象を撮像する方法、このような方法を実行するようにこのような装置又はシステムを制御するコンピュータプログラム要素、及びこのようなコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオグラフィにおいて、検査される解剖学的領域は、検査の前に既知である。したがって、ほとんど全ての場合に適切な画像処理を予め選択することが可能である。更に、放射線学において、通常、検査と診断との間に遅延があり、これは、放射線技師に後で画像処理を変更又は適応させる可能性を与える。逆に、蛍光透視法において、検査される解剖学的領域は、検査中に頻繁に変化する。これは、放射線学と比較して、より一般的な画像処理が、異なる解剖学的領域の画像に適用されなければならないことを意味する。このような一般的な画像処理は、特定の解剖学的領域に対して最適ではないかもしれない。
【0003】
US2010/183206(A1)は、ダイナミックCT、MRI又はPET撮像のような動的医療撮像に対する自動調整取得プロトコルを開示している。前記プロトコルは、スカウトスキャンに基づいて各患者に個別化又は適合された解剖学的及び動的モデルに基づいて調整される。前記調整は、シーケンス中に患者の動き(例えば、呼吸又は心拍)又は造影剤若しくはトレース剤の流れによる前記患者の変化を補償することができる。前記動的モデルは、スキャン中の解剖学的/生理学的特徴、典型的には器官の動きを予測するために使用される動きモデル、又はスキャンシーケンスの正確なタイミングを可能にする造影剤の流れを予測するために使用される血行動態モデルであることができる。
【0004】
DE 10 2012 201798A1は、低放射線被ばくで対象の検査領域のX線撮像を計画する方法を開示しており、前記方法は、以下のステップ、すなわち、S1)前記X線撮像装置の設定パラメータを受信するステップと、S2)前記対象の少なくとも一部の位置を決定するステップと、S3)前記X線撮像装置の設定パラメータ及び前記対象の少なくとも一部の位置に依存して、撮像される前記対象の少なくとも1つの照射領域を決定するステップとを有する。更に、本発明は、低放射線被ばくでX線撮像を計画する装置を記載する。
【0005】
WO2014/033614A1は、X線イメージャのコリメータを自動的又は半自動的に制御してイメージャのX線ビームをコリメートし、対象に関する前記X線イメージャのアライメントを調整する装置及び方法を開示している。このコリメーション及びアライメント動作は、撮像対象の3D画像データに基づく。前記3D画像データは、センサによって取得される。前記センサは、非電離放射線に対して動作する。前記3D画像データは、前記対象の3Dにおける形状を記述し、そこから解剖学的ランドマークが、導出されて、関心領域に対するコリメーションウィンドウを規定する。前記コリメーションウィンドウに基づいて、前記コリメータの設定およびイメージャのアライメントが、これに応じて調整される。
【0006】
しかしながら、画像処理は依然として改善され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善された画像処理を可能にする対象を撮像する装置を提供する要望が存在しうる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、独立請求項の対象により解決され、更なる実施例は、従属請求項に組み込まれる。以下に記載される本発明の態様は、撮像装置、撮像システム、撮像方法、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体にも適用されると理解されるべきである。
【0009】
本発明によると、対象を撮像する装置が、提示される。前記撮像装置は、提供ユニット及び処理ユニットを有する。前記提供ユニットは、撮像されるべき前記対象の位置及び向きデータを提供するように構成される。前記提供ユニットは、前記撮像されるべき対象の領域の後の撮像に対して調整された撮像ユニットの位置及び向きデータを提供するように更に構成される。前記処理ユニットは、前記対象の位置及び向きデータと前記撮像ユニットの位置及び向きデータとを組み合わせて、後で撮像される領域を決定し、決定された前記後で撮像される領域に基づいて前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータを設定するように構成される。
【0010】
ここで、位置データ及び向きデータは、二次元(2D)又は三次元(3D)のいずれでありうる。例えば、前記位置データは、それぞれ、2つ又は3つの相互に独立した方向に沿った座標の形で、例えば2D又は3Dデカルト空間において、提供されうる。一例において、前記位置データ及び向きデータは、2D又は3D方向の共通の(サブ)セットを採用する。他の例において、前記位置データ及び向きデータは、2D又は3D方向の相互に異なるセットを採用する。
【0011】
前記処理ユニットは、前記対象及び前記撮像ユニットの両方の位置データ及び向きデータの組み合わせに基づいて、前記後で撮像される領域を決定、すなわち予測することができる。そうする間に、前記処理ユニットは、目前の医療撮像プロトコルに関する情報に依存する必要がない(それにもかかわらず、組み込んでもよい)。例えば、前記処理ユニットは、前記対象の向きデータと前記撮像ユニットの向きデータとの組み合わせに基づいて後前方向(PA)被ばくと前後方向(AP)被ばくとを区別することができる。更に、例えば、前記処理ユニットは、前記対象の位置データと前記撮像ユニットの位置データとの組み合わせに基づいてスキャン方向、例えば頭から足先又はその逆を決定することができる。更に、例えば、前記処理ユニットは、前記撮像ユニットの位置データ及びこのようなスキャン方向に基づいて前記後で撮像される領域を決定することができる。
【0012】
動的X線システム、例えば蛍光透視システムは、非静止領域を撮像するように構成され、すなわち、前記撮像される領域が、時間に対して一定ではない。本発明による対象を撮像する装置は、特に、診断又は介入使用のいずれかで、このような動的X線システムにおいて成功した臨床的応用を可能にする。すなわち、本発明による装置は、後で撮像される領域を予測し、このような予測に基づいて少なくとも1つの撮像パラメータを設定する能力のおかげで、有利には、前記後に撮像される領域に依存して、前記少なくとも1つの撮像パラメータに対する最適な、すなわち最も適切な値を自動的に選択及び設定することができる。したがって、本発明による対象を撮像する装置は、有利には、前記対象全体に適用可能な前記少なくとも1つの撮像パラメータに対する準最適な値を選択及び/又は設定することを避ける。したがって、撮像パラメータは、画像処理に関するパラメータ及び撮像自体に関するパラメータ、例えば前記撮像ユニットがX線源を有する場合に発電電圧、線管の事前ろ過及び線量のような照射に関するパラメータを含む。
【0013】
一例において、前記撮像される対象は、患者であり、前記後で撮像される領域は、解剖学的領域である。
【0014】
一例において、前記提供ユニットは、前記撮像される対象の領域に対する前記対象及び/又は前記撮像ユニットの位置及び/又は向きデータを提供するように構成される。他の例において、前記提供ユニットは、前記対象及び/又は前記撮像ユニットの絶対的な位置及び/又は向きデータを提供するように構成される。この情報に基づいて、前記処理ユニットは、前記対象及び/又は前記撮像ユニットの相対的な位置及び/又は向きデータを計算するように構成されてもよい。
【0015】
前記撮像ユニットは、X線システムであってもよい。一例において、前記撮像ユニットの位置及び向きデータは、X線管、X線検出器及び/又はコリメータの位置及び向きを有する。
【0016】
一例において、前記提供ユニットは、1以上の解剖学的ランドマークを持つ前記対象の解剖学的モデルを提供し、前記解剖学的モデル及び前記1以上の解剖学的ランドマークを組み合わせることにより前記対象の位置及び向きデータを提供するように更に構成される。好適には、少なくとも3つのランドマークが、3D空間の位置及び向きを推定するのに使用される。
【0017】
一例において、前記解剖学的モデルは、患者データに基づいて及び/又は前記対象又は前記後で撮像される領域の以前の画像又はプレスキャンに基づいて解剖学的モデルのグループから予め選択される。これにより、例えば子供若しくは大人、又は痩せた、通常の又は太り過ぎの患者に対する前記解剖学的モデルが、予め選択されることができる。
【0018】
一例において、前記解剖学的モデルは、患者データに基づいて及び/又は前記後で撮像される領域の以前の画像に基づいて適合されて、適合された解剖学的モデルになる。これにより、前記解剖学的モデルは、目前の前記患者、例えば子供若しくは大人、又は痩せた、通常の又は太り過ぎの患者に適合されることができる。
【0019】
一例において、前記提供ユニットは、2D及び/又は3Dの光学的、ビデオ、赤外及び/又は超音波手段により取得された患者データ内の解剖学的ランドマークの位置を検出するように更に構成される。例示的に、前記撮像される対象の位置及び向きが、前記撮像ユニットに対して静止している場合に、X線検出器に対するX線管の向きが既知であるという条件で、前記解剖学的ランドマークの二次元推定が、十分でありうる。この推定は、前記撮像される対象の外形を検出する単純なビデオ画像に基づきうる。
【0020】
例示的に、本発明による対象を撮像する装置は、撮像パラメータが次に撮像される領域に基づいて自動的に選択される動的X線システム、すなわち、蛍光透視システムの一部であってもよい。ここで、前記後で撮像される領域は、前記撮像ユニットの位置及び向きデータと、解剖学的ランドマークを持つ解剖学的モデルから算出された前記対象の位置及び向きデータとを組み合わせることにより識別され、前記ランドマークは、例えば光学的、赤外及び/又は超音波手段を使用して、以前の画像又はプレスキャンから計算される。
【0021】
前記対象を撮像する装置が動的X線システムの一部である一例において、前記処理ユニットは、前記動的X線システムにより取得された以前の画像に基づいて前記解剖学的モデル、したがって前記解剖学的ランドマークを更新するように構成される。すなわち、動的X線システムは、典型的には、前記解剖学的ランドマークの位置が前記処理ユニットにより決定される精度及び/又は品質を改善することを可能にする範囲の画像を生成する。
【0022】
本発明によると、対象を撮像するシステムも、提示される。前記撮像システムは、撮像ユニットと、上記の撮像装置とを有する。前記撮像ユニットは、X線源及びX線検出器を有してもよい。このようなX線源は、高電圧発生器により駆動されるX線管を有してもよい。前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータは、後で撮像される前記撮像装置により決定された領域に基づいて設定される。
【0023】
本発明によると、対象を撮像する方法も、提示される。これは、以下のステップ、すなわち、
a)撮像される対象の位置及び向きデータを提供するステップと、
b)前記対象の領域に対する撮像ユニットの位置及び向きデータであって、前記領域の後の撮像に対して調節された当該データを提供するステップと、
c)後で撮像される領域を決定するように前記対象の位置及び向きデータを前記撮像ユニットの位置及び向きデータと組み合わせるステップと、
d)決定された前記後で撮像される領域に基づいて前記撮像ユニットの少なくとも1つの撮像パラメータを設定するステップと、
を有するが、必ずしもこの順序ではない。
【0024】
一例において、前記方法は、決定された前記後で撮像される領域を撮像するステップeを更に有する。
【0025】
換言すると、本発明による対象を撮像する方法は、
‐解剖学的ランドマークの位置を推定するように患者位置情報を取得するステップと、
‐解剖学的領域の位置を推定するように解剖学的モデルをこれらのランドマークとマッチさせるステップと、
‐次の画像取得の間に照射される特定の解剖学的領域を決定するようにX線管、検出器及び/又はコリメーションの位置及び向きに関するシステム情報を使用するステップと、
‐この解剖学的領域に対して最も適切な画像処理を選択するステップと、
‐次に取得される画像にこの画像処理を適用するステップと、
を有してもよい。
【0026】
本発明によると、コンピュータプログラム要素も、提示され、前記コンピュータプログラム要素は、前記コンピュータプログラムが、独立請求項に規定された撮像システムを制御するコンピュータ上で実行される場合に、前記撮像システムに、独立請求項で規定された撮像方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する。
【0027】
独立請求項による撮像装置、撮像システム、撮像方法、このような装置を制御するコンピュータプログラム要素、及びこのようなコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体は、特に従属請求項に規定される、同様の及び/又は同一の好適な実施例を持つと理解されるべきである。本発明の好適な実施例は、従属請求項とそれぞれの独立請求項とのいかなる組み合わせであることもできると更に理解されるべきである。
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになるだろう。
【0029】
本発明の例示的な実施例は、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による対象を撮像するシステムの一例の概略図を示す。
図2】対象を撮像する方法の一例の基本的なステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による対象30を撮像するシステム1の一実施例を概略的かつ例示的に示す。撮像される対象30は、患者であってもよく、後で撮像される領域は、解剖学的領域であってもよい。撮像システム1は、撮像ユニット20と、撮像される対象30に対する撮像装置10とを有する。撮像ユニット20は、X線管を有してもよい。撮像ユニット20の少なくとも1つの撮像パラメータは、後で撮像される撮像装置10により決定された領域に基づいて設定される。撮像装置10は、提供ユニット11及び処理ユニット12を有する。
【0032】
提供ユニット11は、撮像される対象30の位置及び向きデータ並びに対象30の領域に対する撮像ユニット20の位置及び向きデータを提供する。撮像ユニット20は、前記領域の後の撮像に対して調整される。
【0033】
対象30の位置及び向きデータは、対象30の解剖学的ランドマークの位置を有してもよく、提供ユニット11は、解剖学的モデルを提供し、対象30の位置及び向きデータを提供するように前記解剖学的モデルと前記対象の解剖学的ランドマークの位置とを組み合わせるように構成されてもよい。前記提供ユニットは、2D及び/又は3Dの光学的、ビデオ、赤外及び/又は超音波手段により取得された患者データ内の解剖学的ランドマークの位置を更に検出してもよい。
【0034】
撮像ユニット20の位置及び向きデータは、X線管、X線検出器及びコリメータの位置及び向きを有してもよい。処理ユニット12は、対象30の位置及び向きデータと撮像ユニット20の位置及び向きデータとを組み合わせて、前記後で撮像される領域を決定し、決定された前記後で撮像される領域に基づいて撮像ユニット20の少なくとも1つの撮像パラメータを設定する。
【0035】
これにより、本発明による撮像装置10は、最も適切な撮像パラメータ、これにより次に対する最も適切な撮像処理、これによりこの後の撮像される全ての解剖学的領域を自動的に設定する。
【0036】
本発明による撮像装置10は、前記撮像処理を適合させるだけでなく、撮像ユニット20による照射を改善するためにも使用されうる。撮像ユニット20は、X線管を有してもよく、処理ユニット12は、決定された前記後で撮像される領域に基づいて撮像ユニット20の照射パラメータを設定してもよい。これにより、X線ビーム品質(例えば発生器kv、線管事前ろ過)及び線量(発生器mAs)設定は、次の画像取得の間に照射される生体構造に関する情報に基づいて設定されてもよい。
【0037】
図2は、対象30を撮像する方法のステップの概観を示す。前記方法は、以下のステップを有するが、必ずしもこの順序ではない。
‐第1のステップS1において、撮像される対象30の位置及び向きデータを提供する。
‐第2のステップS2において、対象30の領域の後の撮像に対して調整された、前記領域に対する撮像ユニット20の位置及び向きデータを提供する。
‐第3のステップS3において、対象30の位置及び向きデータと、撮像ユニット20の位置及び向きデータとを組み合わせて、後で撮像される領域を決定する。
‐第4のステップS4において、決定された前記後で撮像される領域に基づいて撮像ユニット20の少なくとも1つの撮像パラメータを設定する。
‐オプションの第5のステップS5において、決定された前記後で撮像される領域を撮像する。
【0038】
本発明の他の例示的な実施例において、適切なシステム上で先述の実施例の1つによる方法の方法ステップを実行するように構成されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が、提供される。
【0039】
前記コンピュータプログラム要素は、したがって、本発明の一実施例の一部であってもよいコンピュータユニットに記憶されてもよい。この計算ユニットは、上記の方法のステップを実行する又はその実行を誘導するように構成されてもよい。更に、これは、上記の装置のコンポーネントを動作するように構成されてもよい。前記計算ユニットは、自動的に動作する及び/又はユーザのオーダを実行することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリ内にロードされてもよい。前記データプロセッサは、本発明の方法を実行するように備えられてもよい。
【0040】
本発明のこの例示的な実施例は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、及び更新を用いて、既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムにするコンピュータプログラムの両方をカバーする。
【0041】
更に、前記コンピュータプログラム要素は、上記の方法の例示的な実施例の手順を満たすのに必要な全てのステップを提供することができてもよい。
【0042】
本発明の更なる例示的な実施例によると、CD-ROMのようなコンピュータ可読媒体が、提示され、前記コンピュータ可読媒体は、先行する段落により記載されたコンピュータプログラム要素が記憶されている。
【0043】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として提供される光記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体に記憶及び/又は分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムのような他の形式で分配されてもよい。
【0044】
しかしながら、前記コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されてもよく、このようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされることができる。本発明の他の例示的な実施例によると、コンピュータプログラムをダウンロード可能にする媒体が、提供され、前記コンピュータプログラム要素は、本発明の先述の実施例の1つによる方法を実行するように構成される。
【0045】
本発明の実施例が、異なる対象を参照して記載されることに注意すべきである。特に、いくつかの実施例は、方法型請求項を参照して記載されるのに対し、他の実施例は、装置型請求項を参照して記載される。しかしながら、当業者は、上の及び下の記載から、他に指摘されない限り、1つのタイプの対象に属するフィーチャのいかなる組み合わせに加えて、異なる対象に関するフィーチャ間のいかなる組み合わせも、本明細書とともに開示されると見なされると推測する。しかしながら、全てのフィーチャは、組み合わせられることができ、前記フィーチャの単純な合計以上の相乗効果を提供することができる。
【0046】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、このような図示及び説明は、実例的又は例示的であって限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施例に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。
【0047】
特許請求の範囲において、「有する(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙されたいくつかのアイテムの機能を満たしてもよい。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2