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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】転写染色装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 3/12 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
D06B3/12 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022505534
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2021087649
(87)【国際公開番号】W WO2022110616
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】202011328833.2
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513007309
【氏名又は名称】長勝紡織科技發展(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Newtech Textile Technology Development(Shanghai) Co., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】鍾博文
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-098430(JP,A)
【文献】特表2019-523832(JP,A)
【文献】特表2007-509251(JP,A)
【文献】特表2019-511639(JP,A)
【文献】特開平02-118164(JP,A)
【文献】特表2009-523200(JP,A)
【文献】特公昭55-029188(JP,B1)
【文献】特表2008-508437(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01971713(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0073192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色ボックスと、浸透ボックスとを備えた転写染色装置であって、
前記染色ボックスは、
前記染色ボックス内に不活性ガスが充填され、
前記染色ボックス内に染色部セット装置が設けられ、
前記染色部セット装置の構造は織物の表面に対して染料による染色を行うために用いられ、
前記浸透ボックスは、
前記浸透ボックスが織物の運動方向に沿って前記染色ボックスの下流側に設けられ、
前記浸透ボックス内には不活性ガスが充填され、
前記浸透ボックス内には浸透装置が設けられ、
前記浸透装置の構造は織物の表面の染料を織物の内部に浸透させるために用いられ、
前記染色ボックスと前記浸透ボックスは不活性ガスと織物の通過を可能とする通路を介して互いに連通し、若しくは前記染色ボックスと前記浸透ボックスは一体的に構成され、
織物は前記染色ボックスと前記浸透ボックスを連続して通過し、
前記染色ボックスと前記浸透ボックスは、前記染色ボックスの織物の入口の箇所と、前記浸透ボックスの織物の出口の箇所に、前記染色ボックスと前記浸透ボックスを環境に対して気密に密封するための密封装置がそれぞれ設けられ
前記密封装置は、ケースと、前記ケース内に設けられた一対のエアバッグを備え、
前記ケースはその側面の壁に織物を供給する孔があけられた織物入口と織物出口を備え、
前記一対のエアバッグは二つの対向するように設けられたエアバッグを含み、織物は二つの前記エアバッグの間を通過することができることを特徴とする、
転写染色装置。
【請求項2】
前記一対のエアバッグの数量は少なくとも2組以上であり、各前記一対のエアバッグは織物の移動方向に沿って連続して設けられ、前記一対のエアバッグの2個のエアバッグは織物と線接触又は面接触し、各前記エアバッグはその両端に固定装置をそれぞれ備え、前記エアバッグは前記固定装置を介して前記ケースの側面の壁に固定されることを特徴とする請求項に記載の転写染色装置。
【請求項3】
前記密封装置は前記エアバッグに設けられた充気装置を備え、前記充気装置は、エアポンプと、前記エアポンプと各前記エアバッグの間を連接する配管システムとを含み、前記エアポンプは前記配管システムを経て空気を各前記エアバッグ中に充填し、各前記エアバッグには自身に気圧指示器が設けられ、各前記エアバッグは前記気圧指示器を経て前記エアバッグ内の気圧が所定の閾値に到達したか否かを判断することができ、前記エアバッグは空気を充満させた後は、前記エアバッグの全長にわたって略均一な円形断面を呈し、前記エアバッグの長さは織物の幅より広く、前記エアバッグは、織物を前記エアバッグによって周方向に囲うように気密に密封することができ、前記エアバッグの表面は、対抗する前記エアバッグの間を織物がスライドできるように形成されることにより、前記不活性ガスが前記エアバッグの間を通過できないようにし、前記エアバッグは前記ケースの側面の壁又は互いに隣り合う前記エアバッグに横方向に押し付けられ、対向する前記エアバッグの間には略気密の状態に密閉される空間が形成され、前記密封装置は前記ケースの側面の壁を貫通するリターンポートを備え、前記密封装置は、前記リターンポートを介して前記ケース内に入った不活性ガスを回収できるようにし、前記染色ボックスと前記浸透ボックスには共通の不活性ガス充填装置が備えられ、前記不活性ガス充填装置は並列のチャージングラインを介して、前記染色ボックスと前記浸透ボックスに不活性ガスを同時に充填することができることを特徴とする請求項に記載の転写染色装置。
【請求項4】
前記浸透装置は少なくとも2列のガイドローラーを備え、前記各列のガイドローラーは互いに間隔を置いて配置され、前記各列のガイドローダーは互いに続くように配置された複数の前記ガイドローラーを備え、且つ、異なる列の前記ガイドローダーとの位置関係は千鳥配置となり、前記浸透ボックス内に進入する織物は前記ガイドローダーを経て複数の織物セクションが曲がりくねりながら略縦方向へ延伸し、互いに隣り合う織物セクションは互いに平行に延伸し、且つ運動方向が反対であることを特徴とする請求項1に記載の転写染色装置。
【請求項5】
前記染色部セット装置は、織物の移動方向に沿って互いに続くように配置された一対の直接染色群と一対の転写染色群を備え、前記一対の直接染色群は織物に対して対称に配置された2つの直接染色群を備え、前記直接染色群は網状ローラーを含み、前記一対の転写染色群は前記織物に対して対称に配置された2つの転写染色群を備え、前記転写染色群はプレートローラーと転写ローラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の転写染色装置。
【請求項6】
前記一対の直接染色群のうちのいずれか一つの直接染色群は実装ブロックに設けられ、一方の前記直接染色群を帯同して他方の前記直接染色群に近づけ又は遠ざけるために、前記実装ブロックは前記染色ボックスのガイドレール上を横向きに直線的に移動できることを特徴とする請求項に記載の転写染色装置。
【請求項7】
前記一対の転写染色群の数量は少なくとも2つであり、前記一対の転写染色群のいずれか一つの転写染色群は実装ブロック上に設けられ、一方の前記転写染色群を帯同して他方の前記転写染色群に近づけ又は遠ざけるために、前記実装ブロックは前記染色ボックスのガイドレール上を横向きに直線的に移動でき、前記転写染色群は圧力アセンブリを含み、前記圧力アセンブリの構造は、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスする転写ローラーの圧力を調節可能に提供し、前記プレートローラーはプレス位置と静止位置との間で選択可能に移動させることができ、前記プレス位置で、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスすることにより、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスする圧力を生成し、前記静止位置では、前記プレートローラーは前記転写ローラーをプレスせず、前記転写染色群は交換装置を備え、前記交換装置によって前記プレートローラーを交換することができ、前記転写染色群は傾斜版装置を含み、前記傾斜版装置によって前記転写ローラーの位置と角度に対して微調整を行うことができ、前記転写染色群は、前記プレートローラーに割り当てられた軸方向延伸装置を含み、前記軸方向延伸装置は、前記プレートローラーの軸方向に対する位置を調整することを特徴とする請求項に記載の転写染色装置。
【請求項8】
前記染色ボックスは引き戸を備え、前記引き戸は気密に密封されたクローズ位置とオープン位置の間を移動することができ、前記引き戸がオープン位置の場合には、前記染色ボックスの外部から前記染色ボックスの内部へ到達することができ、前記織物はデニムであり、前記不活性ガスは窒素であることを特徴とする請求項1に記載の転写染色装置。
【請求項9】
前記浸透装置は少なくとも2列のガイドローダーを備え、各前記ガイドローーは互いに間隔をあけて配置され、前記各列のガイドローダーは互いに続くように配置された複数のガイドローダーを含み、異なる列の前記ガイドローダーは千鳥配置され、前記浸透ボックス内に進入した織物は前記ガイドローダーを経て、複数の織物セクションが曲がりくねりながら略横方向へ延伸することを特徴とする請求項1に記載の転写染色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維産業における印刷、染色機に関し、特に、転写染色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デニム(Denim)はデニムビブとも呼ばれており、比較的粗くて厚さのある太い糸を染めた生地で作られており、生地は一般には藍色等の濃い色に染められ、且つ、その緯糸は淡い色(精練後は一般的に薄い灰色又は白糸)であり、労働をする際に着用するのに適している。
ここで、現在では、デニムの製造方法は大きく2種類に分けられる。第1の製造方法としては、染色後に経糸を織り上げる方法が挙げられ、製造プロセスは次のとおりである。
すなわち、白糸→染色した糸→糸染め生地(生地処理)→裁断→縫製→手洗い仕上げ→仕上げ→包装という手順で行われる。中でも、経糸の工程は染色・サイジングとワンステップ染色を組み合わせることにより染色している。
第2の方法としては白い布をデニムに染める方法が挙げられ、この方法の伝統的な生産手順としては、白等の色付けしていない布→染色→色を付けた布(生地処理)→裁断→縫製→手洗い整理→仕上げ→梱包といった順序で行われる。中でも、白い布(白等の色付けしていない布)は主に高温、且つ高圧のオーバーフロージェットの染色機で染色するという特徴がある。
ここで、染色機は、体循環ポンプヒーター、ノズル、リフト装置、供給シリンダー等から構成されている。そして、織物(布)は、染色するために、染色機の内部でロープのように弛んだ状態で繰り返し循環されることにより、染料溶液が絶え間なく織物に対して接触して、織物の内部にまで浸食させることが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、現在のデニムの製造方法では、洗浄廃水に大量の無機塩や廃棄すべき染料が発生してしまうので、下水のCOD(化学的酸素要求量)が増加してしまう。また、そのCODcr(COD クロム)は2200-2800mg/Lと高く、浮遊物質の濃度は300-400mg/Lにまで至り、pH値は11-13となり、色度は1500-1800倍にまで達するため、その製造プロセスは環境に重大な悪影響を与えてしまう。
また、環境保護政策が厳しくなるにつれて、環境対策基準に準拠するために、デニムの生産コストが増加してしまうことが考えられる。そこで、近年では、環境対策基準に準拠すべく、デニムの染色と仕上げによる汚染を減らし、染料の消費を抑えることにより、仕上げ処理時の汚染を減らしながらデニムの表面に着色できる技術が提案されている。
また、現在のデニム生地の着色には塗料や反応染料が使われている。実際の用途において、出願人は、例えば、インディゴ染料と硫黄染料は、水に対して不溶性を示すので、繊維に対して親和性がないことを発見した。
そのため、インディゴ染料と硫黄染料を直接染色に使用することはできないが、アルカリ性の条件の下で強力な還元剤を利用して還元すれば、こららは水溶性のロイコ体(ロイコ染料)となり、水溶性のロイコ体は淡い色の物質であり、水に対して僅かではあるが溶けるため、染色に使用することができる。
しかし、藍染料や硫黄染料が空気中の酸素に広範囲に晒されてしまうと、ロイコ体に色を付けることができない。そのため、インディゴ染料と硫黄染料によってデニムに対して染色をする場合には、現在の技術としては、ロープ染色、縦糸シートの染色、懸濁液染色、又は生地の浸色等が使用される。
しかし、これらの技術を使用した場合には上述した環境汚染の原因となると共にとコストも増大してしまう。そのため、インディゴ染料と硫黄染料ロイコ体の染色メカニズムに適合すると共に、環境的にもインディゴ染料と硫黄染料ロイコ体の染色に適した染色装置の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みて以下の構成を備える。
すなわち、染色ボックスと、浸透ボックスとを備えた転写染色装置であって、前記染色ボックスは、前記染色ボックス内に不活性ガスが充填され、前記染色ボックス内に染色部セット装置が設けられ、前記染色部セット装置の構造は織物の表面に対して染料による染色を行うために用いられ、前記浸透ボックスは、前記浸透ボックスが織物の運動方向に沿って前記染色ボックスの下流側に設けられ、前記浸透ボックス内には不活性ガスが充填され、前記浸透ボックス内には浸透装置が設けられ、前記浸透装置の構造は織物の表面の染料を織物の内部に浸透させるために用いられ、前記染色ボックスと前記浸透ボックスは互いに連通し、織物は前記染色ボックスと前記浸透ボックスを連続して通過し、前記染色ボックスと前記浸透ボックスは、前記染色ボックスの織物の入口の箇所と、前記浸透ボックスの織物の出口の箇所に、前記染色ボックスと前記浸透ボックスを環境に対して気密に密封するための密封装置がそれぞれ設けられる。
また、前記染色ボックスと前記浸透ボックスは不活性ガスと織物の通過を可能とする通路を介して連通する。
また、前記染色ボックスと前記浸透ボックスは一体的に構成される。
また、前記密封装置はケースと、前記ケース内に設けられた一対のエアバッグを備え、前記ケースはその側面の壁に織物を供給する孔があけられた織物入口と織物出口を備え、前記一対のエアバッグは二つの対向するように設けられたエアバッグを含み、織物は二つの前記エアバッグの間を通過することができる。
また、前記一対のエアバッグの数量は少なくとも2組以上であり、各前記一対のエアバッグは織物の移動方向に沿って連続して設けられる。
また、前記一対のエアバッグの2個のエアバッグは織物と線接触又は面接触する。
また、各前記エアバッグはその両端に固定装置をそれぞれ備え、前記エアバッグは前記固定装置を介して前記ケースの側面の壁に固定される。
また、前記密封装置は前記エアバッグに設けられた充気装置を備え、前記充気装置は、エアポンプと、前記エアポンプと各前記エアバッグの間を連接する配管システムとを含み、前記エアポンプは前記配管システムを経て空気を各前記エアバッグ中に充填する。
また、各前記エアバッグには自身に気圧指示器が設けられ、各前記エアバッグは前記気圧指示器を経て前記エアバッグ内の気圧が所定の閾値に到達したか否かを判断することができる。
また、前記エアバッグは空気を充満させた後は、前記エアバッグの全長にわたって略均一な円形断面を呈する。
更に、前記エアバッグの長さは織物の幅より広く、前記エアバッグは、織物を前記エアバッグによって周方向に囲うように気密に密封することができる。
また、前記エアバッグの表面は、対抗する前記エアバッグの間を織物がスライドできるように形成されることにより、前記不活性ガスが前記エアバッグの間を通過できない。
また、前記エアバッグは前記ケースの側面の壁又は互いに隣り合う前記エアバッグに横方向に押し付けられ、対向する前記エアバッグの間には略気密の状態に密閉される空間が形成される。
また、前記密封装置は前記ケースの側面の壁を貫通するリターンポートを備え、前記密封装置は、前記リターンポートを介して前記ケース内に入った不活性ガスを回収できるようにする。
更に、前記染色ボックスと前記浸透ボックスには共通の前記不活性ガス充填装置が備えられ、前記不活性ガス充填装置は並列のチャージングラインを介して、前記染色ボックスと前記浸透ボックスに不活性ガスを同時に充填することができる。
また、前記浸透装置は少なくとも2列のガイドローラーを備え、前記各列のガイドローラーは互いに間隔を置いて配置される。
また、前記各列のガイドローダーは互いに続くように配置された複数の前記ガイドローラーを備え、且つ、異なる列の前記ガイドローダーとの位置関係は千鳥配置となる。
また、前記浸透ボックス内に進入する織物は前記ガイドローダーを経て複数の織物ムセクションが曲がりくねりながら略縦方向へ延伸する。ここで、織物セクションはデニムセクションの上位概念である。
また、互いに隣り合う織物セクションは互いに平行に延伸し、且つ運動方向が反対である。
更に、前記染色部セット装置は、織物の移動方向に沿って互いに続くように配置された一対の直接染色群と一対の転写染色群を備え、前記一対の直接染色群は織物に対して対称に配置された2つの直接染色群を備え、前記直接染色群は網状ローラーを含み、前記一対の転写染色群は前記織物に対して対称に配置された2つの転写染色群を備え、前記転写染色群はプレートローラーと転写ローラーを含む。
また、前記一対の転写染色群の数量は少なくとも2つである。
また、前記一対の直接染色群のうちのいずれか一つの直接染色群は実装ブロックに設けられ、一方の前記直接染色群を帯同して他方の前記直接染色群に近づけ又は遠ざけるために、前記実装ブロックは前記染色ボックスのガイドレール上を横向きに直線的に移動できる。
また、前記一対の転写染色群のいずれか一つの転写染色群は実装ブロック上に設けられ、一方の前記転写染色群を帯同して他方の前記転写染色群に近づけ又は遠ざけるために、前記実装ブロックは前記染色ボックスのガイドレール上を横向きに直線的に移動できる。
また、前記転写染色群は圧力アセンブリを含み、前記圧力アセンブリの構造は、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスする転写ローラーの圧力を調節可能に提供し、前記プレートローラーはプレス位置と静止位置との間で選択可能に移動させることができ、前記プレス位置で、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスすることにより、前記プレートローラーが前記転写ローラーをプレスする圧力を生成し、前記静止位置では、前記プレスローラーは前記転写ローラーをプレスしない。
また、前記転写染色群は交換装置を備え、前記交換装置によって前記プレートローラーを交換することができる。
更に、前記転写染色群は傾斜版装置を含み、前記傾斜版装置によって前記転写ローラーの位置と角度に対して微調整を行うことができる。
また、前記転写染色群は、前記プレートローラーに割り当てられた軸方向延伸装置を含み、前記軸方向延伸装置は、前記プレートローラーの軸方向に対する位置を調整する。
更に、前記染色ボックスは引き戸を備え、前記引き戸は気密に密封されたクローズ位置とオープン位置の間を移動することができ、前記引き戸がオープン位置の場合には、前記染色ボックスの外部から前記染色ボックスの内部へ到達することができる。
また、前記織物はデニムである。
また、前記不活性ガスは窒素である。
更に、前記浸透装置は少なくとも2列のガイドローダーを備え、各前記ガイドローラーは互いに間隔をあけて配置される。
また、前記各列のガイドローダーは互いに続くように配置された複数のガイドローダーを含み、異なる列の前記ガイドローダーは千鳥配置されている。
また、前記浸透ボックス内に進入した織物は前記ガイドローラーを経て、複数の織物セクションが曲がりくねりながら略横方向へ延伸する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、藍染料と硫黄染料ロイコ体の染色に適した転写染色装置を提供することができる。また、本発明は、環境的にも、藍染料や硫黄染料ロイコ体の染色に適しており、環境汚染を低減すると共に製造コストを大幅に削減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の転写染色装置の全体の構成を示した図である。
図2】本発明の直接染色群を示した図である。
図3】本発明の一対の転写染色群を示した図である。
図4】本発明の実施形態による織物の運動方向に対して垂直に観た場合の密封装置に関する図である。
図5図4の織物の運動方向に沿って観た密封装置に関する図である。
図6】本発明の他の実施形態の浸透装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態によれば、本発明の目的、特徴、及び詳細な内容を理解することができる。また、当業者であれば、以下の実施形態を図面を参照しながら確認することにより、本発明に対応する実施形態の詳細な理解に加え、本発明の優れた効果をも理解できる。
なお、図面においては必ずしも縮尺どおりに描かれている訳ではなく、機能、構成についても全ての機能、構成を図示している訳ではなく、適宜省略している。以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
また、本明細書は説明することを目的として、種々のシステム、構造、及び装置(デバイス)を概略的に示している。
ただし、実際のシステム、構造、デバイスの全ての機能を説明しているわけではなく、例えば、本発明の理解に不必要な構成、周知の機能又は構造については、寧ろ理解するのに支障をきたしてしまうことを避けるために、適宜説明を簡略化又は省略している。
もちろん、本発明を利用した実際の製品を設計、開発する場合には、開発者又はユーザー毎の都合に応じて、適宜構成を付け加える必要があることは言うまでもない。
また、システム関連、及び業界関連の制限に準拠すべく、場合によっては、本発明の実施形態に対して適宜構成を変更し又は追加する必要がある。
また、これらの特定の要求があるものについては、時には実装に複雑な検討が必要で多くの時間が割かれる場合があるが、当業者にとっては一般的に行われる作業に過ぎないことを理解されたい。
また、本願の明細書において使用される用語又は語句は、関連する技術分野の当業者が一般に使用する用語又は語句の意味内容と一致し、又は完全に一致しなくても当業者であれば本明細書で使用する用語又は語句の意味内容を推測し得る範囲のものとして理解すべきである。
本明細書において使用した用語又は語句の意味内容は、当業者によって理解される通常の意味内容の定義とは異なる意味内容のものを定義する主旨ではない。
ただし、本明細書において、特別な意味を持つことを意図した用語や語句については、それらの用語や語句の意味は当業者が理解しているものとは異なる。このような場合には、特別な定義を行い、定義によってその用語や語句の意味内容を明確に定義することにより、特別な定義の意味内容を明確化する。
また、以下の明細書及び特許請求の範囲において、「含む」、又は「備える」との表現形式は、当該構成要素を含むことを要するが、それ以外のものを含んだものを排除しないというオープン形式の記載方式である。すなわち、「含む」、「備える」と記載されたものについては、「のみを含む」又は「のみを備える」との解釈をするものではない。
本願の明細書の全ての実施形態において、一実施例、一つの実施例、これらの実施例、例示、具体例、或いはこれらの例示等の意味内容としては、実施形態又は実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態又は実施例に含まれることを意味する。
したがって、本明細書全体を通して異なる場所に現れる「一実施形態において」または「実施形態において」という表現は、必ずしも全てが同一の実施形態を意味するとは限らない。
さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の1つ又は複数の実施形態又は実施例において適切な方法で組み合わせることができる。
そして、本明細書で使用されているように、明示的に規定され、別段の制限がない限り、単数形の不定冠詞「一つの」と定冠詞「前記」、「該」、「当該」には1つ或いは複数の指定対象が含まれる。
なお、「或いは」、「又は」、「若しくは」の意味は、例えば構成A或いは構成Bのうちの少なくとも一つの構成を含むという趣旨で使用しており、構成Aのみを含む場合、構成Bのみを含む場合に加えて、構成Aと構成Bの両方を含む場合を意味する。
説明の目的で、「A、B、又はCにおける少なくとも1つ」との表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみに加え、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、或いは、AとBとCの全て、の意味の中のいずれか一つである。
また、「第1」、「第2」等の用語は説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり、技術的特徴の数を示したりするものではない。
したがって、「第1」、「第2」等で定義された技術的特徴には、これらの機能の1つ以上が明示的又は暗黙的に含まれる場合がある。本発明の説明において、「複数」とは、特に明記しない限り、2つ又は2つより多いことを意味する。
本発明において、「設けられた」、「設置された」、「互いに接続された」、「連接された」、「接続された」、「固定された」等の用語の意味は、他に明確に定義されない限り、広い意味に理解されるべきである。たとえば、固定されることにより接続する、取り外し可能に接続する、又は一体的に接続にするという具合に理解されるべきである。
また、接続等には、機械的に接続されている場合に加えて電気的に接続されている場合も含まれる。更に、特に断りがない限り、両者を直接接続することに加え、中間媒体を介して間接的に接続する場合も含まれ、2つの部品間の内部で連通することも含まれる。
また、当業者にとって、本発明における上記の用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。本明細書で説明される装置(デバイス)は、情報を受信し、受信した情報を変換して出力を生成するための1又は複数のコントローラを利用することができる。
また、当該コントローラは、任意のタイプのコンピューティングデバイス、コンピューティング回路、又はメモリに格納された一連の命令を実行することができる任意のタイプのプロセッサ若しくは処理回路を含む。また、コントローラは、複数のプロセッサ又はマルチコア中央処理装置(CPU)の少なくとも何れかを含むことができ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ等のような任意のタイプのプロセッサをも含む。
また、コントローラは、一連の命令を実行するためのデータ、アルゴリズムの少なくとも何れか一つを格納するためのメモリを含む。
【0008】
本発明の実施形態を以下に詳細に説明する。本発明の一実施形態によれば、全体として図1に示すような転写染色装置が提供される。
転写染色装置1は以下の部品を含む。すなわち、転写染色装置1は、布車等からなる織物供給ユニット2、線拡大ユニット3、テンションユニット4、修正ユニット5、布牽引ユニット6、染色部セット装置7、浸透装置8、密封装置9、不活性ガス充填装置(図示せず)を含む。そして、これらの構成要素は上流側の織物供給ユニット2から始まり、布牽引ユニット6等を介して下流側へ移動し、浸透装置8、密封装置9の順に運搬される。
オペレータは、ヒューマンコンピュータインタラクションユニット(図示せず)を介して中央制御ユニット(図示せず)に指示を出し、各ユニット及び装置(デバイス)を一括して管理し制御することができ、このようにして自動制御を行う。
本発明の転写染色装置1に使用可能な染色される織物(布)は、デニム10又は不活性ガスで満たされた環境下で着色される他の布である。なお、本実施形態ではデニム10を例として挙げて説明するが、生地をデニム10に限定する主旨ではない。
図1から明らかなように、転写染色装置1の染色部セット装置7は染色ボックス11内に配置される。また、転写染色装置1の浸透装置8は浸透ボックス12に設置される。また、デニム10の移動方向から見ると、浸透ボックス12は、染色ボックス11の下流に配置され、通路13を介して気密に染色ボックス11と連通する。
通路13は、染色ボックス11と浸透ボックス12の上部に配置される。なお、他の実施形態としては、染色ボックス11と浸透ボックス12は一体的に形成されていても差し支えない。つまり、染色ボックス11と浸透ボックス12を同一のボックスとして構成することができ、染色部セット装置7と浸透装置8を同一のボックスに配置しても良い。
不活性ガス充填装置(図示せず)は、不活性ガス充填入口14を介して、染色ボックス11と浸透ボックス12に窒素等の不活性ガスを充填することができる。
不活性ガスは、並列接続されたチャージングライン15を介して、不活性ガス充填入口14から染色ボックス11と浸透ボックス12に同時に充填することができる。よって、並列して同時に充填するので、不活性ガスを速やかに充填することができる。
なお、染色ボックス11と浸透ボックス12との間が連通していることを利用して、染色ボックス11と浸透ボックス12のうちの一方のみに不活性ガスを充填するもできる。ただし、充填速度については染色ボックス11と浸透ボックス12に同時に充填するときよりも多くの時間が必要となる。
動作状態にある染色ボックス11と浸透ボックス12から不活性ガスが外部環境に漏れてしまうことを防ぐために、染色ボックス11と浸透ボックス12は、少なくとも動作状態にある場合には気密に密閉できるように設計することが望まれる。
したがって、染色ボックス11は、そのデニム入口16にシール装置9を備えることができ、透過ボックス12は、そのデニム出口17に密封装置9を備える。したがって、少なくとも転写染色装置1が動作している状態では、染色ボックス11と浸透ボックス12内のデニム10は酸素と接触せずに、常に不活性ガスの雰囲気の中に滞在することとなる。
図1から分かるように、染色ボックス11は、引き戸18を備えていても差し支えなく、引き戸18は、ラックアンドピニオン伝達機構等の伝達機構(図示せず)を介してモーターによって駆動される。
転写染色装置1が動作している状態では、引き戸18は実線で示すクローズ位置にある。例えば、染色ボックス11内の部品をオーバーホール又は交換する必要がある場合、引き戸18は、モーターを利用することにより破線で示すオープン位置に移動することができる。
もちろん、引き戸18の移動は手動で行うこともできる。さらに、浸透ボックス12には、同様の引き戸18に相当する部品を設けることもできる。
【0009】
次に、本発明の転写染色装置1の染色部セット装置7、密封装置9、及び浸透装置8の例示的な実施形態を詳細に説明する。図1から明らかなように、染色部セット装置7は、下流から上流に連続的に接続するように配置された1対の直接染色群19と3対の転写染色群20を備える。一対の直接染色群19は、垂直線又は織物の反対側にある2つの直接染色群19を含むことができ、一対の転写染色群20は、同じ垂直線又は織物の反対側にある2つの転写染色群20を含む。
なお、図1の直接染色群19と転写染色群20の対(つい)の数と配列の順序は単なる例示であり、実際の染色したい条件に基づいて適宜調整することができる。
一般に、直接染色群19と転写染色群20は、ロケット状の構造に配置されており、この場合、転写染色装置1は、ロケット型転写染色装置1とも呼ばれる。なお、他の実施形態としては、直接染色群19と転写染色群20の他の配置方法も考えられる。
図2から明らかなように、一対の直接染色群19は2個の対象となるように配置された網状ローラー21と、それぞれ網状ローラー21の外側にそれぞれ設けられた2つの閉鎖式ブレードアセンブリ22を備える。各直接染色群19はこのような構成をしていることから、一つの網状ローラー21と一つの閉鎖式ブレードアセンブリ22を備える。
作業位置では、閉鎖式ブレードアセンブリ22を対応する網状ローラー21に押し付けることができる。したがって、閉鎖式ブレードアセンブリ22の2つのブレードヘッド23は、2つのブレードヘッド23の間の網状ローラー21の表面、及びエンドシール部材(図示せず)と一体となって閉鎖式液体収容チャンバーを形成する。
一方、非作動位置では、ブレードヘッド23を網状ローラー21から分離することができる。
図1に示されるように、一対の直接染色群19の右側の直接染色群19と、右側の網状ローラー21と、これらと共に提供される閉鎖式ブレードアセンブリ22は、実装ブロック24に設置することができる。実装ブロック24は、染色ボックス11上のガイドレール(図示せず)に沿って横向きに、且つ直線的に移動することができる。
染色ボックス11に固定されたサーボモーター25は、実装ブロック24を駆動することにより、実装ブロック24の右側の網状ローラー21が反対側に位置する左側の網状ローラー21に近づき又は離れるように、実装された伝達機構(図示せず)を利用して直線的に移動することができる。
また、図1に示すサーボモーター25と関連する伝達機構は、実装ブロック24の推進機構を形成することができる。左側の直接染色群19、左側の網状ローラー21、及びこれらと共に提供される閉鎖式ブレードアセンブリ22を染色ボックス11に取り付けることができる。
もちろん、左側の直接染色群19を実装ブロック24に設置し、右側の直接染色群19を染色ボックス11に設置することも考えられる。網状ローラー21をデニム10に隣接させるために実装ブロック24に作用するプッシュ機構(図示せず)によって提供される圧力は、独立して調整可能である。
また、該圧力は制御システムによって調整設定され、プログラムに応じて徐々に上げることも、プログラムに応じて徐々に下げることもできる。図1では、右側の直接染色群19全体がプッシュ機構によって押されることにより、左側の直接染色群19に接近し、この際接近する際の幅は2cm~5cmとすることができる。
各網状ローラー21は、それを個別に駆動するためにそれ自身のサーボモーター(図示せず)を備えていてもよい。
もちろん、2つの網状ローラー21は、サーボモーターと適切な伝達機構によって同時に駆動されることも考えられる。デニム10は、2つの網状ローラー21の間を移動し、サイズを決めることができる。
したがって、染色促進剤等の前処理液を、一対の直接染色群19を介してデニム10に塗布して、その後の染色速度と染色効果を改善することができる。
【0010】
図3から明らかなように、各一対の転写染色群20は、2つの対向する転写ローラー26、それぞれ転写ローラー26の外側に配置された2つのプレートローラー27、及びそれぞれプレートローラー27の外側に配置された2つの密閉式ブレードアセンブリ22を含む。
したがって、各転写染色群20は、転写ローラー26、プレートローラー27、及び閉鎖式ブレードアセンブリ22を含む。プレートローラー27は、グラビア印刷プレートローラー、フレキソ印刷プレートローラー、ロータリースクリーン印刷プレートローラー、オフセット印刷プレートローラー等であっても差し支えない。
作業位置では、閉鎖式ブレードアセンブリ22をプレートローラー27に押し付けることができる。したがって、閉鎖式ブレードアセンブリ22の2つのブレードヘッド23と、2つのブレードヘッド23とエンドシール部材(図示せず)との間のプレートローラー27の表面は、共同して閉鎖式液体含有チャンバーを形成する。
一方、非作動位置では、ブレードヘッド23をプレートローラー27から分離することができる。図3を参照すると、一対の転写染色群20のうちの左側の転写染色群20、具体的には、左側のプレートローラー27と閉鎖式ブレードアセンブリ22、及び転写ローラー26は実装ブロック24に取り付けることができる。実装ブロック24は、染色ボックス11上のガイドレール上で水平かつ直線的に移動することができる。
また、染色ボックス11に固定されたサーボモーター25は、実装ブロック24を駆動して、伝達機構を介して直線的に移動させることができ、その結果、実装ブロック24上の左側の転写ローラー26は、反対側の右側の転写ローラー26に接近し又は離れることができる。
サーボモーター25と、これ用に合わせて設けられた伝達機構は、これらにて実装ブロック24の推進機構を形成することができる。右側の転写染色群20、具体的には右側のプレートローラー27と、このプレートローラー27に合わせて設けられた閉鎖式ブレードアセンブリ22と、転写ローラー26を、染色ボックス11に取り付けることができる。
もちろん、図1に示すように、転写染色群20を実装ブロック24の右側に設置し、転写染色群20を染色ボックス11の左側に設置しても差し支えない。図1に示す実施形態では、3対の転写染色群20のうちの右側の転写染色群20が、それぞれ、実装ブロック24に取り付けられている。
同様に、転写ローラー26をデニム10に隣接させるための実装ブロック24に対して押出し機構が提供する圧力は、独立して調整可能である。なお、この押出し機構による圧力は制御システムによって調整し又は設定され、プログラムの内容に基づいて徐々に上げることもでき、プログラムの内容に基づいて徐々に下げることもできる。
また、図3の左側の転写染色群20全体が、押出し機構によって押されて右側の転写染色群20に対して分離と結合が行われる。分離と結合のストロークは2cm~5cmであっても差し支えない。転写ローラー26は、表面がゴムで覆われている硬質材料ローラーであっても差し支えない。
その表面は、シームレスのゴムで覆うことができる。ゴムは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリウレタンゴム、又は水性インクとの親和性が良好なその他のゴムが好ましい。好ましくは、転写ローラー26の表面のゴムは、85度~90度のショア硬さ(ショア硬度)を有する。
各転写染色群20の転写ローラー26は、ゴムで覆われた硬質材料ローラーであるため、転写ローラー26の外径は、プレートローラー27の外径よりも僅かに大きい。これにより、所定の許容空間が提供される。
転写印刷工程において、ゴム製の転写ローラー26がプレートローラー27と接触すると、ゴム製の転写ローラー26のゴムが所定の圧力で変形する。プレートローラー27の前面がゴム転写ローラー26のゴム表面を離れると、ゴム表面はすぐに元の形状に戻ることができる。なお、好ましくは、プレートローラー27の外径は2つの端部を有する。
【0011】
スイングアーム31の第1の端部は、ピンを介してアクチュエータ29のピストンロッドの突出端部に枢動可能に接続されている。スイングアーム31の第2の端部は、ピンを介してリンク機構32の一端に枢動可能に接続されている。
リンク機構32の他端は、偏心ブッシング30に枢動可能に接続されている。従って、偏心ブッシング30をプレートローラー27に割り当てることができ、アクチュエータ29によって偏心ブッシング30を回転させることにより、プレートローラー27を転写ローラー26に近づけたり遠ざけたりすることができる。
もちろん、当業者にとって、本明細書で説明されるスイングアームリンク法の他にも、他の任意の伝達方法を使用して、偏心ブッシング30上でアクチュエータ29の回転動作を実施することができる。
オプションとして、スイングアームピボット33の端部にハンドルを設けることができ、その結果、偏心ブッシング30の回転は、デバッグ段階中にオペレータによって手動で調整することができる。
偏心ブッシング30が回転してプレートローラー27をプレス位置に移動させると、プレートローラー27と転写ローラー26との間の距離が減少し、両者が接近するように押され、この動作により、転写ローラー26に対してプレートローラー27の圧力が発生する。
偏心ブッシング30が回転してプレートローラー27を静止位置に移動させると、プレートローラー27と転写ローラー26との間の距離が増加し、この状態では両者の間には大きな圧力がかからず(なお、接触している場合と接触していない場合の両方があり得る)、プレートローラー27は、転写ローラー26に圧力を提供しない。
そして、動作状態のとき、プレートローラー27は、要求に基づいて圧力アセンブリ28によって偏心ブッシング30を回転させ、異なるプレス位置に移動させることができる。
偏心ブッシング30を回転させることによって、プレートローラー27は、異なるプレス位置に移動させ、プレートローラー27と転写ローラー26との間の距離を調整することができ、それにより、転写ローラー26に対するプレートローラー27の結果として生じる圧力を調整することができる。
また、ゴムは柔軟性、弾力性、低硬度の特性を有しているため、発生する圧力を調整することにより、転写ローラー26の変形を細かく制御することができる。偏心ブッシング30は、初期位置が静止位置となるように設定することができる
圧力が加えられると、アクチュエータ29が動作してピストンロッドを伸ばす。スイングアーム31を駆動することで、スイングアームピボット33の中心軸を中心に旋回させ、それにより、スイングアーム31に接続されたリンク機構32を駆動して動作させ、このリンク機構32の動作により、偏心ブッシング30を回転させ、この偏心ブッシング30の回転を利用することにより、プレートローラー27をプレス位置に移動させる(図3を参照)。
プレートローラー27と転写ローラー26の間の距離が減少し、両者が互いに押し付けられることにより、プレートローラー27が転写ローラー26をプレスする圧力を提供する。
これに対し、圧力を加える必要がない場合、アクチュエータ29は、ピストンロッド(図示せず)を引き込むように作動し、スイングアーム31を駆動して、スイングアームピボット33の中心軸の周りを旋回させる。これにより、スイングアーム31に接続されたリンク機構32を駆動して移動させる。
そして、リンク機構32の移動によって偏心ブッシング30を回転させるように駆動し、偏心ブッシング30は、プレートローラー27を静止位置に動かすために回転し、プレートローラー27と転写ローラー26との間の距離が増加し、両者は圧力から解放されるので、プレートローラー27はこの時点では転写ローラー26に圧力を加えない。
【0012】
アクチュエータ29のピストンロッドのストロークは、80mm~200mm、好ましくは100mmに設定することができる。各転写染色群20は、必要に応じてプレートローラー27を交換することができるプレート用の交換装置34(入れ替え装置)を含むことができる。
各転写染色群20は、転写ローラー26と隣接するローラーとの間の正確な位置合わせを達成するために、転写ローラー26の位置と角度を微調整することができる傾斜版装置35を含む。
各転写染色群20は、プレートローラー27に割り当てられた軸方向延伸装置36を含む。この軸方向延伸装置36は、プレートローラー27の軸方向位置を調整するための軸方向プレート牽引モーター(図示せず)と、対応する伝達機構(図示せず)とを含む。
各プレートローラー27、各転写ローラー26は、プレートローラー27と転写ローラー26を個別に駆動するために、それぞれそれ自体のサーボモーター25を備えていてもよい。
勿論、転写ローラー26のみが独自のサーボモーター25を備えており、プレートローラー27と転写ローラー26は、同期ギア等の同期装置によって同期するように駆動しても良い。
一対の直接染色群20からのデニム10は、各一対の転写染色群20の2つの転写ローラー26の間を移動し、インディゴ染料や硫黄染料等の染料を塗布することができる。複数(ここでは3つ)の転写染色群20を連続して配置することにより、デニム10の表面を十分な染料で均一にコーティングすることができる。
デニム10への染料コーティングは、染色ボックス11内の不活性ガスの雰囲気の下で行うことができ、インディゴ染料と硫黄染料をロイコ体に還元することにより、デニム10をより確実に着色することができる。
染色ボックス11は、その下部のデニム入口16に密封装置9を備えてもよく、浸透ボックス12はその底面側に形成されたデニム出口17に密封装置9を備えていてもよい。2つの密封装置9は同じであっても異なっていても良い。
密封装置9は、染色ボックス11と浸透ボックス12を気密にシールして、不活性ガスがこれらから漏れるのを防ぐ。図1の各密封装置9は、図4では円筒形の断面を有する一対のエアバッグ37として簡単に示されている。
【0013】
密封装置9の好ましい実施形態を、図4図5を参照して説明する。密封装置9は、ケース38と、その中に連続して配置された一対のエアバッグ37を複数個有する。
ケース38は、染色ボックス11のデニム入口16と浸透ボックス12のデニム出口17に固定して配置することができる。さらに、ケース38は、その反対側の側壁に布入口と布出口を有することができ、これらは、デニム10の断面構造に概ね対応する。
各一対のエアバッグ37は、上側と下側で一対となるエアバッグ37を含む。各エアバッグ37は、その両端にそれぞれ固定装置39を備える。各エアバッグ37は、両端の固定装置39を介して、ケース38の側壁に(好ましくは回転不可能に)固定することができる。
密封装置9はエアバッグ37に提供されるインフレータ(充填装置)を有する。インフレータ(充填装置)は、エアポンプ40と、図5に示すエアポンプ40と各エアバッグ37との間に接続された配管システム41とを含む。配管システム41は、配管システム41を通過させることにより、エアポンプ40が各エアバッグ37に対してガス、例えば空気を充填することができる。
図4図5に示される実施形態では、インフレータ(充填装置)は、エアポンプ40と各エアバッグ37に図4に示すように平行に接続された配管システム41を有する。この設計の利点は、部品の数が少なく、全てのエアバッグ37を同時に膨張させることができることである。
しかしながら、各エアバッグ37に別個のエアポンプ40と配管システム41を装備することも考えられる。これらの設計は、各エアバッグ37の個々の膨張を容易にする。なお、エアバッグ37を膨張させることができれば、エアポンプ40と配管システム41の他の配置方式も考えられる。
また、配管システム41には、対応するスイッチ又はバルブも設けられて、1つ又は複数のエアバッグ37を膨張させ、又は膨張しないように遮断することができる。各エアバッグ37は、それ自体の気圧指示器(図示せず)を備えていても良く、当該気圧指示器によってエアバッグ37内の空気圧が所定の閾値に到達させるかを決定することができる。
そして、気圧指示器が、エアバッグ37内の空気圧が所定の閾値よりも低いことを検出すると、エアバッグ37は、エアポンプ40によって空気を充填することができる。そして、閾値を超えたら、エアバッグ37への空気の充填を停止する。
また、これらのプロセスは手動でも行うことができる。勿論、対応する制御デバイス(図示せず)を使用して自動化することもできる。エアバッグ37は、ガスで満たされた後、実質的に全長にわたって均一な円形断面を有する(図4を参照)。なお、断面の形状は他の形状でも差し支えない。
ただし、形状的にはエアバッグ37の断面を円形とすることは作用効果上有効であり、各対の対向するエアバッグ37は、基本的に、膨張後にデニム10と線接触することができるので、線接触は、例えば点接触よりも大きな圧力を加えることができる。したがって、気密に密封するという観点からは信頼性が高くなる。
さらに、対向するエアバッグ37の接触線の長さは、デニム10の幅よりも長い方が好ましい(図5を参照)。したがって、デニム10は、各一対のエアバッグ37によって気密に封止することができ、封止の効果を大幅に高めることができる。
勿論、エアバッグ37が膨張した後、デニム10の表面に接触することも考えられる。エアバッグ37の表面は滑らかに凸凹がなく形成されているので、デニム10は、対向するエアバッグ37の間を通過又はスライドすることができる。一方、染色ボックス11と浸透ボックス12内の不活性ガスは、エアバッグ37の間を通過することができないので、不活性ガスの漏れを効果的に遮断し得る。
【0014】
図4図5に示される実施形態では、膨張状態にある3対のエアバッグ37が、デニム10の移動方向に沿って例示的に示されている。デニム10は各一対のエアバッグ37の間を次々と通過する。
エアバッグ37は、互いに横方向に押し付けられている。左側と右側のエアバッグは、それぞれ、ケース38の側壁に押し付けられている。各エアバッグ37の両端は、ケース38の側壁に押し付けられる。
その結果、図4の上側に設けられた3つのエアバッグ37と、下側に設けられた3つのエアバッグ37と、ケース38の側壁の間には可能な限り密閉された空間が形成される。
しかしながら、エアバッグ37の両端は、ケース38の側壁に完全に隣接していない可能性があるため(図5を参照)、接触面積は、エアバッグ37の断面積よりも小さい。なお、一般に、不活性ガスは、エアバッグ37の両端の隙間を介して依然としてケース38内の密閉された空間の外側に漏れる。
この課題を解決するために、密封装置9のケース38は、このケース38の上側又は下側のガスを不活性化するためのリターンポート42を備えることが好ましい。リターンポート42はケース38の壁を貫通する。
したがって、リターンポート42を介して、不活性ガスを図示しないパイプラインによって、不活性ガス充填装置に再び戻すことができる。このようにして、不活性ガスが布出口から環境に漏れることを防ぐことができ、不活性ガスの再利用を実現することができる。
【0015】
図1に戻り説明する。本実施形態による浸透装置8は、ガイドローラー43が、上側に1列と下側にも1列、合計2列設けられる。ガイドローラー43の軸端は、例えば、浸透ボックス12の側壁に回転可能に配置されることが好ましい。
ガイドローラー43の各列は、上流側から下流側にかけて順次設けられた複数のガイドローラー43(ここでは9つ)を含み、これらのガイドローラー43の軸は同一平面上に位置する。上側と下側の2列のガイドローラー43の位置関係としては、例えば、一個分のガイドローラー43の幅と同じ幅だけずらしながら、上側と下側が交互にずれるように千鳥配置する。
結果として、浸透ボックス12に入るデニム10は、ガイドローラー43を介して複数のデニムセクション44において上下方向に交互に曲がりくねりながら延伸する。本実施形態では、これらのデニムセクション44は、浸透ボックス12内の浸透装置8を実質的に縦方向に進行する。
この縦方向へ進行するレイアウトは織物に適用できる。例えば、これらのデニムセクション44は互いに平行に延在し、隣接するデニムセクション44への進行方向は反対向きであり、上側に向いて進行した後は、ガイドローラー43によって向きが変更されて下向きに進行する。
なお、隣接するデニムセクション44を所定の角度を持たせながら上下に往復させることもできるが、デニムセクション44の数を最大にするためには、当該所定の角度は可能な限り小さくなければならない。
その結果、浸透ボックス12内でのデニム10の滞留時間を最大化することができ、その結果、染料は表面からデニム10の内部への浸透力を高めることができ、十分に浸透させることができる。
染料は、例えば、染色部セット装置7を介してデニム10上にコーティングされたインディゴ染料と硫黄染料である。このため、デニム10をよりよく着色すべく、不活性ガスの雰囲気の中でロイコ体に還元するのに適した十分な時間がある。浸透ボックス12の布容量は、20メートル~80メートルの範囲である。
【0016】
図6を参照すると、他の実施形態による浸透装置8は、ガイドローラー43の配列方式としては、左側に1列、右側にも一列、合計2列のガイドローラー43が配列されている。なお、図6における浸透装置8の他の構成要素については図1と同様なので、説明を省略する。
図6に示される実施形態では、デニムセクション44は、浸透ボックス12内の浸透デバイス8を実質的に横方向(左右方向)に進行する。なお、このような水平方向へ進行させるレイアウトは、ニット生地に適用できる。
浸透ボックス12は内部に不活性ガス濃度検出装置(図示せず)を備えることができる。不活性ガス濃度検出装置は、浸透ボックス12内の不活性ガスの濃度を検出し、更に制御することができるので、浸透ボックス12内の不活性ガスの濃度は、常に、デニム10の着色に最も有効な範囲となる。
本発明は、複数の例示的な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲を解釈する際は、これらの例示的な実施形態によって限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲に記載した発明特定事項に基づいて解釈される。
【符号の説明】
【0017】
1 転写染色装置
2 織物供給ユニット
3 線拡大ユニット
4 テンションユニット
5 修正ユニット
6 布牽引ユニット
7 染色部セット装置
8 浸透装置
9 密封装置
10 デニム
11 染色ボックス
12 浸透ボックス
13 通路
14 不活性ガス充填入口
15 チャージングライン
16 デニム入口
17 デニム出口
18 引き戸
19 直接染色群
20 転写染色群
21 網状ローラー
22 閉鎖式ブレードアセンブリ
23 ブレードヘッド
24 実装ブロック
25 サーボモーター
26 転写ローラー
27 プレートローラー
28 圧力アセンブリ
29 アクチュエータ
30 偏心ブッシング
31 スイングアーム
32 リンク機構
33 スイングアームピボット
34 交換装置
35 傾斜版装置
36 軸方向延伸装置
37 エアバッグ
38 ケース
39 固定装置
40 エアポンプ
41 配管システム
42 リターンポート
43 ガイドローダー
44 デニムセクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6