(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-25
(45)【発行日】2023-08-02
(54)【発明の名称】仮想集会システムおよび通信端末
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20230726BHJP
【FI】
G06T19/00 300B
(21)【出願番号】P 2023004873
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2022555740の分割
【原出願日】2022-06-06
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2021099135
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021131546
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501209047
【氏名又は名称】石井 至
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】石井 至
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007828(JP,A)
【文献】特開2019-139672(JP,A)
【文献】特開2011-215701(JP,A)
【文献】特開平11-134084(JP,A)
【文献】国際公開第2022/114055(WO,A1)
【文献】中尾太郎, 外4名,“W@nderland:参加者によるWWW上での構築が可能な画像ベースの仮想空間”,情報処理学会論文誌,社団法人情報処理学会,2002年,第43巻, 第9号,p.2903-2913
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
H04N 21/00 - 21/858
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内における集会である仮想集会についてあらかじめ定められた開催スケジュールを参照し、ユーザの通信端末から前記仮想集会への参加要求を受け付ける参加要求受信部と、
前記仮想集会に対して参加要求を行ったユーザを前記仮想集会の参加者として登録する登録処理部と、
前記仮想集会の複数の参加者に対して、共通の集会体験を提供する集会体験提供部と、を備え、
前記登録処理部は、
ユーザに対応するアバターが所定の装飾品を着用していることを条件として、前記ユーザを前記仮想集会の参加者として登録することを特徴とする仮想集会システム。
【請求項2】
前記複数の参加者が有する複数の通信端末を対象として、参加者間の会話を中継する会話処理部、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の仮想集会システム。
【請求項3】
前記会話処理部は、前記仮想集会が開催される仮想空間内において、第1のユーザのアバターと第2のユーザのアバターの距離が所定範囲以内であることを条件として、前記第1のユーザと前記第2のユーザの間の会話を中継することを特徴とする請求項2に記載の仮想集会システム。
【請求項4】
仮想集会の開催者から、仮想集会の開催日時および指定商品を含む開催要求を受信する開催要求受信部と、
前記仮想集会の指定商品であるアバターの装飾品をユーザの通信端末に通知するとともに、ユーザからの指定商品の取得指示を受け付けることによりユーザに指定商品を付与する指定商品処理部と、を更に備えることを特徴とする
請求項1に記載の仮想集会システム。
【請求項5】
前記仮想集会は、実存空間内における集会である実存集会の開催スケジュールと同時並行にて開催され、
前記会話処理部は、前記実存集会の参加者の発言を前記仮想集会の参加者それぞれの通信端末に中継し、前記仮想集会の参加者の発言を前記実存集会の会場または前記実存集会の参加者が有する視聴機器に中継することを特徴とする請求項2に記載の仮想集会システム。
【請求項6】
仮想空間内における集会である仮想集会について、開催日時および指定商品を含む開催要項を受信する要項受信部と、
ユーザが保有するアバターに対して指定商品としての装飾品の着用指示を受け付ける着用指示入力部と、
前記仮想集会への参加要求を受け付ける参加指示入力部と、
前記参加要求を受付けたとき、外部の集会サーバに対して、ユーザIDとともに参加要求を送信する送信部と、
前記集会サーバから、前記仮想集会の参加許可を受信したあと、前記仮想集会の会場を表現する仮想空間の画像を受信する画像受信部と、
前記仮想空間の画像を画面表示させる表示部と、を備え、
前記表示部は、前記仮想集会の会場内に他のユーザに対応する前記指定商品を着用したアバターを表示させることを特徴とする通信端末。
【請求項7】
ユーザの通信端末から、仮想空間内における集会である仮想集会への参加要求を受け付ける参加要求受信部と、
前記仮想集会に対して参加要求を行ったユーザを前記仮想集会の参加者として登録する登録処理部と、
前記仮想集会の複数の参加者に対して、共通の集会体験を提供する集会体験提供部と、を備え、
前記登録処理部は、ユーザに対応するアバターが所定の装飾品を着用していることを条件として、前記ユーザを前記仮想集会の参加者として登録することを特徴とする仮想集会システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想現実感技術、特に、仮想の旅行体験あるいは集会体験を提供するための技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
旅行の楽しみは、日常とは違う経験を得られることにある。航空旅行の場合、旅行客は、旅客機の座席を予約し、出発時刻前に空港に行って搭乗手続きを行い、旅客機に搭乗し、離陸・飛行・着陸するという一連の流れを経て目的地に到着する。また、決められた時間に出発する旅客機において、多数の旅行客と同じ時間、同じ空間を共有することは旅行の興趣を深める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、旅行需要が急減している。旅行需要の急減は、航空業界だけでなく、空港販売店の経営者にとっても大きな打撃となっている。
【0005】
また、旅行に限らず、集会の開催も難しくなっている。
【0006】
本発明は、上記背景に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、仮想現実感技術により旅行体験あるいは集会体験を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における仮想旅行システムは、仮想の乗り物についてあらかじめ定められた運航スケジュールを参照し、乗り物の出発時刻の前に、ユーザの通信端末から乗り物への搭乗要求を受け付ける搭乗要求受信部と、乗り物に対して搭乗要求を行ったユーザを乗り物の搭乗客として登録する搭乗処理部と、乗り物の複数の搭乗客に対して、共通の搭乗体験を提供する搭乗体験提供部と、を備える。
【0008】
本発明のある態様における通信端末は、運行スケジュールをあらかじめ定められている仮想旅客機に対して、ユーザから仮想旅客機の出発時刻前であることを条件として搭乗手続を受付ける入力部と、搭乗手続を受付けたとき、外部の航空管理サーバに対して、ユーザIDとともに搭乗要求を送信する送信部と、航空管理サーバから、仮想旅客機の搭乗許可を受信したあと、仮想旅客機の機内を表現する仮想空間の画像を受信する受信部と、
仮想空間の画像を画面表示させる表示部と、を備える。
表示部は、仮想旅客機の機内に仮想旅客機に搭乗手続きを行った他のユーザに対応するキャラクタであるアバターを表示させる。
【0009】
本発明のある態様における仮想集会システムは、仮想空間内における集会であって、あらかじめ定められた開催スケジュールに基づいて開催される仮想集会に対し、ユーザの通信端末から参加要求を受け付ける参加要求受信部と、仮想集会に対して参加要求を行ったユーザを仮想集会の参加者として登録する登録処理部と、仮想集会の複数の参加者に対して、共通の集会体験を提供する集会体験提供部と、を備える。
登録処理部は、仮想集会についてあらかじめ定められている参加資格をユーザに対応するキャラクタであるアバターが満たしていることを条件として、ユーザを仮想集会の参加者として登録する。
【0010】
本発明の別の態様における通信端末は、仮想空間内における集会である仮想集会について、開催日時および指定商品を含む開催要項を受信する要項受信部と、ユーザが保有するアバターに対して指定商品としての装飾品の着用指示を受け付ける着用指示入力部と、仮想集会への参加要求を受け付ける参加指示入力部と、参加要求を受付けたとき、外部の集会サーバに対して、ユーザIDとともに参加要求を送信する送信部と、集会サーバから、仮想集会の参加許可を受信したあと、仮想集会の会場を表現する仮想空間の画像を受信する画像受信部と、仮想空間の画像を画面表示させる表示部と、を備える。
表示部は、仮想集会の会場内に他のユーザに対応する指定商品を着用したアバターを表示させる。
【0011】
本発明の別の態様における仮想集会システムは、ユーザの通信端末から、仮想空間内における集会である仮想集会への参加要求を受け付ける参加要求受信部と、仮想集会に対して参加要求を行ったユーザを仮想集会の参加者として登録する登録処理部と、仮想集会の複数の参加者に対して、共通の集会体験を提供する集会体験提供部と、を備える。
登録処理部は、ユーザに対応するアバターが所定の装飾品を着用していることを条件として、ユーザを仮想集会の参加者として登録する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮想現実感技術により、実際の旅行あるいは集会に類似した体験をユーザに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】仮想旅行の概要を説明するための模式図である。
【
図2】羽田空港から新千歳空港を経由して時計台に至るまでの旅程を説明するための模式図である。
【
図3】仮想航空サービスシステムのハードウェア構成図である。
【
図4】航空管理サーバおよびユーザ端末の機能ブロック図である。
【
図10】新千歳空港の仮想店舗付近を示す画面図である。
【
図12】仮想集会システムのハードウェア構成図である。
【
図13】集会サーバおよびユーザ端末の機能ブロック図である。
【
図17】アバター間の会話可能範囲を説明するための模式図である。
【
図18】仮想集会と実在集会の同時開催方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下においては、旅行体験および集会体験に分けて説明する。第1実施形態においては仮想旅行を中心として説明し、第2実施形態においては仮想集会を中心として説明する。また、第1実施形態および第2実施形態を特に区別しないときやまとめていうときには単に「本実施形態」とよぶ。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、仮想旅行の概要を説明するための模式図である。
第1実施形態においては、仮想現実感技術を応用した旅行体験(以下、「仮想旅行」ともよぶ)をユーザに提供する。具体的には、空港、旅客機、観光地を模した仮想空間を三次元のコンピュータグラフィックスにより生成する。以下、特に断らない限り、空港を模した仮想空間のことを「空港空間」「仮想空港」または単に「空港」とよぶ。旅客機、観光地についても同様である。また、実際に存在する空港であることを明示するときには適宜「実在空港」のように称する。旅客機、観光地などについても同様である。
【0016】
一例として、羽田空港、新千歳空港および京都空港を仮想空間として構築する。羽田空港および新千歳空港については、実在空港の構内をコンピュータグラフィックスによる三次元の仮想空間として再現する。ただし、仮想空港内にある空港販売店は実在空港にある空港販売店と同一である必要はない。京都空港は実在しない。したがって、仮想京都空港は、設計者が任意にデザインすればよい。
【0017】
ユーザは、自分の分身となるキャラクタ(以下、「アバター」とよぶ)をゲームと同様の操作感にて仮想空間内で移動させることにより、仮想空港の構内を散策できる。以下、ユーザのアバターを通した仮想空港の体験のことを「空港体験」とよぶ。
【0018】
詳細は後述するが、ユーザはスマートフォン等の通信端末から、航空管理サーバにアクセスし、航空管理サーバから羽田空港の空港体験を提供される。ユーザは、仮想羽田空港にてアバターを通して搭乗手続きを行うことで、仮想旅客機に搭乗する。搭乗中は、仮想旅客機空間において「搭乗体験」が提供される。
【0019】
仮想旅客機による20分程度の搭乗体験(飛行)のあと、仮想旅客機は、仮想新千歳空港などの他の仮想空港に着陸する。航空管理サーバにより、仮想新千歳空港の空港体験が提供される。ユーザは、アバターを操作して仮想空港内に出店される仮想店舗で買い物を楽しむこともできる。
【0020】
仮想空港には、あらかじめ複数の仮想観光地が対応づけられている。仮想新千歳空港には、北海道で有名なクラーク博士像、札幌市時計台、五稜郭などの観光地が対応づけられている。また、仮想京都空港には、京都で有名な金閣寺、銀閣寺、伏見稲荷などが対応づけられている。これらの観光地にも仮想空間があらかじめ構築されている。ユーザは、仮想札幌市時計台(以下、「仮想時計台」または単に「時計台」とよぶ)に移動することにより、仮想時計台の散策を楽しむことができる。以下、ユーザのアバターを通した観光地の体験のことを「観光体験」とよぶ。
【0021】
たとえば、ユーザは、羽田空港から搭乗手続きを行って、飛行機で新千歳空港に着陸しなければ、時計台観光を楽しむことはできない。いいかえれば、「東京から北海道に行く」という手続きを行うことが時計台観光を楽しむための条件となる。旅行のプロセス(流れ)を仮想空間で順番に体験させることにより、ユーザは仮想空間内において旅行気分を楽しむことができる。
【0022】
図2は、羽田空港から新千歳空港を経由して時計台に至るまでの旅程を説明するための模式図である。
ユーザは、まず、複数種類のキャラクタから自分のアバターとなるキャラクタを選択する。複数のユーザそれぞれがアバターを選択し、共通の仮想空間において複数のユーザがアバターを通して交流する。アバターは、実際の人間を忠実に再現するキャラクタであってもよいし、人間の特徴を簡略、省略、強調したキャラクタであってもよいし、あるいは、ロボットや動物などの人間以外の生物・非生物を模したキャラクタであってもよい。
【0023】
ユーザは、航空管理サーバにアクセスし、出発日程を決めて仮想旅客機のチケット(航空券)を購入する。第1実施形態における仮想旅客機は、実在の旅客機と同様、運行スケジュール(出発となる空港(以下、「出発空港」とよぶ)、出発時刻、到着時刻、目的地となる空港(以下、「到着空港」とよぶ))と搭乗定員が決められている。ユーザは事前にユーザ登録を行う必要がある。航空管理サーバは、ユーザID、氏名、住所、クレジットカード番号、銀行口座情報等、ユーザに関する情報をあらかじめ登録しておく。ユーザがチケットを購入したとき、航空管理サーバはユーザの銀行口座からチケット代を引き落とす。
【0024】
チケットを手に入れたユーザは、仮想旅客機の出発時刻が近づくと、再び、航空管理サーバにアクセスし、出発空港である羽田空港の仮想空間に入る。羽田空港空間では、ユーザはアバターをマウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボールなどの操作デバイスをつかって散策させることができる。羽田空港内には仮想店舗もあり、有料にて商品を購入することもできる。
図2の購入マーク102は商品購入機会が存在することを示す。
【0025】
ユーザは、羽田空港空間内にある搭乗口へアバターを移動させ、チケットを提示することで仮想旅客機の搭乗手続きを行う。アバターは、旅客機空間に移動して着席する。仮想旅客機は、決められた出発時刻に離陸する。このとき、ユーザの通信端末には、仮想旅客機の離陸シーンがアニメーション表示される。
【0026】
搭乗後、ユーザはアバターを通して、20分間のフライトを楽しむ。旅客機空間においては、ユーザは客室乗務員(Flight Attendant)として行動するキャラクタ(以下、「乗務員キャラクタ」とよぶ)からさまざまなサービスを受けることができる。乗務員キャラクタは機内販売も行う。ユーザは、乗務員キャラクタが持参する商品オブジェクトから購入対象となる商品オブジェクトを選択する。このとき、航空管理サーバは商品代金の決済を行うとともに、選択された商品オブジェクト(仮想物体)にあらかじめ対応づけられる商品(実在物体)をユーザの自宅に配送するように手配する。たとえば、ユーザは、乗務員キャラクタから「ぬいぐるみ(仮想物体)」を購入したとき、後日、同型の「ぬいぐるみ(実在物体)」が自宅に配送される。
【0027】
到着予定時刻が近づくと、仮想旅客機は着陸態勢に入る。このとき、ユーザの通信端末には仮想旅客機の着陸シーンがアニメーション表示される。
【0028】
着陸後、アバターは新千歳空港空間に入る。新千歳空港空間にも多数の仮想店舗が存在する。新千歳空港の仮想店舗には、北海道の地元業者からさまざまな北海道特有の商品が出品されている。いいかえれば、新千歳空港の仮想店舗においては、他の地域、たとえば、羽田空港の仮想店舗には販売していない「北海道固有」の商品が販売されている。
【0029】
アバターは、新千歳空港にあらかじめ対応づけられている観光地のうち、仮想時計台に移動する。仮想時計台においても、実際の札幌市時計台と同様の仮想空間が構築されており、ユーザはアバターを通して仮想空間内にて時計台観光を楽しむことができる。また、時計台周辺にも、多数の仮想店舗が存在する。
【0030】
店舗運営者は、羽田空港、旅客機、新千歳空港あるいは時計台にある仮想店舗の商品出品権を購入し、自社商品をユーザに販売できる。ユーザが商品を購入したときには、ユーザの銀行口座から店舗運営者の銀行口座への商品代金の振り込みが実行される。店舗運営者は、仮想空間で自社商品が売れたときには、ユーザに対して実際に商品を発送する。
【0031】
仮想空間には、あらかじめ広告スペースが設けられる。航空管理サービスの運営者は、仮想空間内にある広告スペースを販売する。羽田空港等の仮想空間には、多数のアバターが集まる。ユーザはアバターを通して、仮想空間内にある多数の広告を視認する。広告出稿者は、広告スペースを購入し、ここに自社広告の画像を貼り付けることができる。
【0032】
広告料は、航空管理サービスを運営するための収益となる。たとえば、実在の新千歳空港に広告を出すことのできない零細事業者であっても、仮想の新千歳空港であればより低額にて広告を出すことができるかもしれない。このように、仮想の空港、観光地あるいは旅客機などで低額にて広告スペースを販売することにより、一般のユーザには知られていない地場産業にも幅広く宣伝機会を提供しやすくなる。
【0033】
図3は、仮想航空サービスシステム100のハードウェア構成図である。
仮想航空サービスシステム100は、航空管理サーバ200、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104および店舗端末110を含む。航空管理サーバ200、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104および店舗端末110は、インターネット106を介して相互に接続される。ユーザ端末300は、仮想航空サービスを受けるユーザにより使用される通信端末であり、スマートフォン、タブレットコンピュータ、デスクトップPC、ラップトップPC、VR(Virtual Reality)ゴーグルなど通信機能と表示機能を有する任意のコンピュータであればよい。また、ユーザ端末300は、ゲームセンダーなどに設置される専用装置であってもよい。
【0034】
航空管理サーバ200は、ユーザ端末300に対して仮想旅行に関する各種サービスを提供する。上述したように、ユーザは航空管理サーバ200に対してあらかじめユーザ登録をしておく。このとき、ユーザは、氏名、住所、銀行口座情報、クレジットカード番号等を航空管理サーバ200に登録し、航空管理サーバ200はユーザIDを各ユーザに付与する。
【0035】
決済システム108は、金融機関が運営するサーバである。航空管理サーバ200は、ユーザが仮想旅客機のチケットを購入したとき、あるいは、機内または仮想店舗で買い物をしたときに決済システム108に決済指示を送信し、決済システム108は料金の決済を行う。広告主端末104は、広告出稿者により使用される通信端末である。広告出稿者は、広告主端末104から航空管理サーバ200に対して、広告データ(画像)、広告を出したい場所、広告主体に関する情報を送信し、航空管理サーバ200は仮想空間内における指定の広告スペースに広告画像を貼付する。
【0036】
広告出稿者は、航空管理サーバ200に対して広告出稿者としてユーザ登録する。航空管理サーバ200は、広告スペースごとに掲載期間、掲載料金、支払い方法、掲載資格などの広告スペース情報を設定し、これを広告出稿希望者に通知する。掲載資格としては、たとえば、新千歳空港の広告スペースには、北海道在住者でなければ広告を掲載できない、といった指定方法が考えられる。
【0037】
航空管理サーバ200は、新千歳空港(仮想空港)への広告出稿希望者に対しては、北海道在住者であることを証明する情報の提示を求めてもよい。たとえば、広告出稿希望者は、出稿希望時において、運転免許証など、住所が記載された公的書類の画像を航空管理サーバ200に送信し、航空管理サーバ200はこの画像を画像分析することで広告出稿希望者が北海道在住者か否か、いいかえれば、掲載資格があるか否かを判定してもよい。
【0038】
広告出稿者は、広告スペース情報を参照しながら、広告を出したい広告スペースを航空管理サーバ200に通知する。航空管理サーバ200は、広告出稿者の銀行口座から広告料を引き落とすとともに、広告出稿者が提供する広告画像データを指定された広告スペースに貼り付けることで仮想空間内に広告を掲載する。
【0039】
店舗端末110は、店舗運営者により利用される通信端末である。店舗運営者は、店舗端末110から、商品を出品したい仮想店舗、商品リスト、店舗運営者の情報を送信する。航空管理サーバ200は、指定された仮想店舗において商品リストに対応する商品オブジェクト(仮想物体)を設置する。なお、店舗運営者は、仮想店舗の一部のスペースについて商品出品権を買ってもよいし、仮想店舗全体をまるごと買い取ってもよい。
【0040】
店舗運営者は、商品を機内販売することもできる。具体的には、店舗運営者は、店舗端末110から、自社商品を出品したい仮想旅客機、出品対象となる商品を指定する商品リスト、店舗運営者の情報を航空管理サーバ200に送信する。指定された仮想旅客機において、乗務員キャラクタは商品リストに対応する商品オブジェクト(仮想物体)を保有して機内を巡回する。あるいは、乗務員キャラクタは商品リストに対応する商品メニューを示すオブジェクトを保有してもよい。
【0041】
仮想店舗においては、ユーザは商品オブジェクトを選択し、購入を指示する。航空管理サーバ200は、ユーザの銀行口座から商品代金を引き落とすとともに、店舗運営者の銀行口座に商品代金を入金する。また、同時に、航空管理サーバ200は店舗運営者にユーザの住所および購入商品名を通知し、店舗運営者はユーザの住所に実際の商品を配送する。すなわち、ユーザは、仮想空間で買い物を楽しみ、実際の商品は数日後に自宅に届く。なお、商品配送は、航空管理サーバ200の運営業者がエスクローとなり、店舗運営者に購入者の個人情報を通知しない匿名配送方式であってもよい。
【0042】
機内販売についても同様である。ユーザは仮想旅客機において乗務員キャラクタが提示する商品から、購入対象となる商品を選択する。具体的には、乗務員キャラクタが保有する複数の商品オブジェクトのうち、欲しい商品オブジェクトを指定する。あるいは、乗務員キャラクタが提示する商品メニューから、ユーザは欲しい商品を選択してもよい。この場合にも、航空管理サーバ200は商品代金の決済を実行するとともに、店舗運営者に対してユーザの住所に実際の商品を配送するように指示する。
【0043】
図4は、航空管理サーバ200およびユーザ端末300の機能ブロック図である。
航空管理サーバ200およびユーザ端末300の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(co-processor)などの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。
以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
図13に示す集会サーバ400およびユーザ端末300についても同様である。
【0044】
(航空管理サーバ200)
航空管理サーバ200は、通信部202、データ処理部204およびデータ格納部206を含む。
通信部202は、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104および店舗端末110との通信処理を担当する。データ格納部206は、仮想空間の画像データ、キャラクタ、ユーザに関する情報、広告出稿者に関する情報、店舗運営者に関する情報など各種のデータを格納する。データ処理部204は、通信部202により取得されるデータおよびデータ格納部206に格納されるデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部204は、通信部202およびデータ格納部206のインタフェースとしても機能する。
【0045】
通信部202は、ユーザ端末300等の外部装置に各種情報を送信する送信部208、外部装置から各種情報を受信する受信部210を含む。
【0046】
受信部210は、搭乗要求受信部212および予約受信部214を含む。
搭乗要求受信部212は、ユーザ端末300から仮想旅客機への搭乗要求を受信する。予約受信部214は、ユーザ端末300から仮想旅客機の搭乗予約を受け付ける。
【0047】
データ処理部204は、搭乗処理部216、予約処理部218、会話処理部220、搭乗体験提供部222、観光体験提供部224、空港体験提供部226、決済処理部228、マイレージ管理部230および広告管理部232を含む。
搭乗処理部216は、アバターが空港空間の搭乗ゲートに来たとき、搭乗手続きに関する処理を実行する。アバターは、仮想旅客機のチケットを事前に購入し、空港空間において搭乗手続きを行ったことを条件として仮想旅客機に搭乗する。
【0048】
予約処理部218は、仮想旅客機の予約処理を実行する。予約処理部218は、ユーザから仮想旅客機が予約されたとき、ユーザに対してチケット(航空券)を発行する。会話処理部220は、ユーザ間での会話処理を行う。第1実施形態においては、ユーザはチャット方式にて会話できる。搭乗体験提供部222は、ユーザに仮想飛行機の搭乗体験を提供する。観光体験提供部224は、ユーザに仮想観光地の観光体験を提供する。空港体験提供部226は、ユーザに仮想空港の空港体験を提供する。
【0049】
決済処理部228は、決済システム108に指示を出すことにより決済処理を実行する。決済処理部228は、仮想旅客機のチケットの購入、仮想店舗あるいは機内販売における商品の購入のほか、広告掲載時における広告料の徴収時に決済処理を実行する。
【0050】
マイレージ管理部230は、ユーザごとのマイレージポイントを管理する。ユーザが仮想旅客機に搭乗するとき、マイレージ管理部230はマイレージポイントをユーザに付与する。ユーザは、マイレージポイントにより、チケット購入あるいは商品購入時における割引サービスを受けることができる。広告管理部232は、仮想空間の広告スペースの管理を行う。広告管理部232は広告スペースID、広告出稿者、広告画像、掲載期間、掲載料を対応づけて管理し、掲載期間が過ぎた広告画像を削除する。また、広告スペースに対して新たな広告を掲載するときには、決済処理部228に指示して掲載料の徴収を実行させる。
【0051】
(ユーザ端末300)
ユーザ端末300は、ユーザインタフェース処理部302、通信部304、データ処理部306およびデータ格納部308を含む。
ユーザインタフェース処理部302は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネル等の入力デバイスを介してユーザからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部304は、航空管理サーバ200との通信処理を担当する。データ格納部308は各種データを格納する。データ処理部306は、ユーザインタフェース処理部302からの入力、通信部304の受信データおよびデータ格納部308に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部306は、通信部304、ユーザインタフェース処理部302およびデータ格納部308のインタフェースとしても機能する。
【0052】
ユーザインタフェース処理部302は、入力部310および出力部312を含む。
入力部310は、ユーザからの各種入力を受け付ける。ユーザは、入力デバイスにより、コンピュータゲームと同様のユーザインタフェースを介して、仮想空間中にいるアバターを操作する。以下、ユーザ本人に対応し、ユーザが操作対象とするアバターであることを明示するときには「本人アバター」とよび、他のユーザが操作するアバターであることを明示するときには「他人アバター」とよぶ。
【0053】
出力部312は、ユーザに対して各種情報を出力する。出力部312は、モニタに各種情報を表示するとともに、各種音声を出力する。
【0054】
通信部304は、各種データを送信する送信部314とデータを受信する受信部316を含む。
【0055】
以下においては、
図2に示した流れと同様にして、アバターが仮想旅客機に搭乗して羽田空港から新千歳空港に到着し、時計台を観光するまでの流れに沿ってユーザインタフェースを中心として説明する。
【0056】
図5は、飛行機検索画面120の画面図である。
第1実施形態においては、複数の仮想旅客機が運行されている。仮想旅客機にはあらかじめ運航スケジュールが設定されている。仮想旅行を希望するユーザは、ユーザ登録を済ませたあと、航空管理サーバ200にアクセスする。このとき、航空管理サーバ200の送信部208は飛行機検索画面120をウェブページとしてユーザ端末300に送信する。
【0057】
仮想旅客機の運航スケジュールは、実在の仮想旅客機の運航スケジュールとは異なり仮想空間内で独自かつ厳格に設定されている。たとえば、ある仮想旅客機A1は、新千歳空港と羽田空港の間を1週間に2回、決まった日時に運航するように運航スケジュールを設定されている。仮想旅客機A1に搭乗できるのは1週間に2回だけであり、仮想旅客機A1に搭乗したいユーザは、実在旅客機に搭乗するときと同様、仮想旅客機A1の運航スケジュールにあわせて自分の予定を調整する必要がある。
【0058】
ユーザは、出発空港欄122において出発空港を選択し、到着空港欄124において到着空港を選択する。
図5においては、出発空港として「羽田空港(東京)」が選択され、到着空港として「新千歳空港(札幌)」が選択されている。
【0059】
ユーザは、次に、出発日欄126において出発希望日を選択する。
図5においては、「2021年1月31日」に出発する仮想旅客機が指定されている。出発空港欄122、到着空港欄124および出発日欄126を設定したあと、検索ボタン128をタッチする。このとき、ユーザ端末300は、飛行機検索画面120の入力情報を含む検索要求を航空管理サーバ200に送信する。
【0060】
図6は、飛行機予約画面130の画面図である。
予約処理部218は、検索要求が受信されたとき、データ格納部206に登録されている仮想旅客機の運行スケジュールを参照し、検索条件に該当する仮想旅客機の一覧を示す飛行機予約画面130を生成する。
図6の飛行機予約画面130によれば、「出発空港:羽田」「到着空港:新千歳」「出発日:2021年1月31日」という検索条件に該当する仮想旅客機は5機存在する。
【0061】
便名欄133は、仮想旅客機の便名を示す。仮想旅客機にも、実在の旅客機と同様に便名が設定されている。便名は仮想旅客機のIDとして機能する。また、仮想旅客機の外観、内装、搭乗定員、乗務員キャラクタの種類と人数も、仮想旅客機ごとに異なる。
【0062】
時刻欄135は、出発時刻と到着予定時刻を示す。搭乗人数欄136は、搭乗人数/搭乗定員を示す。たとえば、仮想旅客機(JBL501)は、1月31日の6時30分に仮想羽田空港を出発し、6時40分に仮想新千歳空港に到着する。定員は180名であり、現在、15名が予約しているのであと165名まで予約可能である。仮想旅客機(JBL501)を予約したユーザは、1月31日の6時30分までに、仮想羽田空港空間に入って後述の搭乗手続きを行わなければならない。
【0063】
仮想旅客機(ANB67)は、搭乗定員200名のところ、満席となっている。このため、予約をしたとしてもキャンセル待ちとなる。
【0064】
仮想旅客機は、物理的な搭乗面積に制約されないので、実際には何人でも搭乗させることができる。しかし、本実施形態における仮想旅客機にはあらかじめ搭乗定員が設定されているため、満席になると新たな搭乗予約が受け付けられることはない。また、後述するように、アバターの座席も決まっている。運航スケジュールおよび搭乗定員により、時間的かつ空間的な制約を敢えて設けることで、仮想旅客機であっても実在旅客機に近い搭乗感覚をユーザに提供できる。
【0065】
ユーザは、仮想旅客機に搭乗したとき、機内空間において他のアバターを視認する。多数の搭乗客が予約している仮想旅客機であれば、機内においても多数の他人アバターが表示される。また、閑散とした仮想旅客機の場合には、機内においては少数の他人アバターが表示される。なお、搭乗客の一部は、NPC(Non-Player Character)であってもよい。搭乗体験提供部222はあらかじめNPCとしての複数のアバターを用意しておき、仮想旅客機の搭乗客として設定してもよい。NPCを用意すれば、仮想航空機の搭乗率を一定値以上に設定可能となる。
【0066】
ユーザは、搭乗したい仮想旅客機に対応する予約ボタン138をタッチする。ここでは、仮想旅客機(JBL527)を予約したとする。仮想旅客機(JBL527)は、18時30分発、搭乗定員210名(空席は残り15席)の仮想旅客機である。ユーザ端末300の入力部310は、予約ボタン138がタッチされたとき、ユーザIDおよび便名を含む予約要求を航空管理サーバ200に送信する。予約受信部214は予約要求を受信する。予約処理部218は、仮想旅客機(JBL527)に空席があることを条件として、ユーザを仮想旅客機(JBL527)の「搭乗客」として登録する。
【0067】
仮想旅客機(JBL527)には、最大210名のユーザが搭乗可能である。ユーザは、友達や家族と同一の仮想旅客機に乗り合わせることもできる。仮想旅客機であるため、搭乗客は物理的に羽田空港に集合する必要はない。たとえば、大阪府にいる家族と福岡県にいる祖父母は、各自のユーザ端末300を介して同一の仮想旅客機に乗り合わせることも可能である。
【0068】
第1実施形態においては、仮想旅客機の予約時に支払いが行われる。具体的には、予約処理部218はユーザ端末300にチケット情報を送信するとともに、あらかじめ登録されているユーザの銀行口座から搭乗料金を引き落とすように決済システム108に指示する。決済システム108はユーザの銀行口座から引き落としを実行し、搭乗料金を仮想航空サービスシステム100の運営者の銀行口座に振り込む。以上により、予約処理が完了する。
【0069】
予約完了後、予約処理部218は搭乗人数欄136に示す搭乗客数をインクリメントする。ユーザは、飛行機予約画面130を見ることで仮想旅客機の残席が徐々に減っていく様子を確認できる。また、ユーザは搭乗予約をキャンセルすることもできる。この場合、予約処理部218は搭乗人数欄136に示す搭乗客数をデクリメントする。予約がキャンセルされたときには、予約処理部218は徴収済みの搭乗料金の全部または一部を返金するように決済システム108に指示する。
【0070】
図7は、搭乗客情報140のデータ構造図である。
搭乗客情報140は、航空管理サーバ200のデータ格納部206に格納される。搭乗客情報140は、仮想旅客機ごとの搭乗客リストである。予約処理部218は、予約を受け付けるごとに搭乗客情報140を更新する。
図7に示す搭乗客情報140は、仮想旅客機(JBL527)の搭乗客リストを示す。仮想旅客機の座席には座席番号が設定される。
【0071】
ユーザは、予約時において複数のユーザをまとめて「グループ」として登録することもできる。予約処理部218は、グループに対してはグループIDを付与する。予約処理部218は、家族などの同一グループに属するメンバーは近い席となるように搭乗席を設定してもよい。あるいは、ユーザは予約時に、実在の旅客機の予約時と同様にして、空席表の中から搭乗席を選択するとしてもよい。
【0072】
図7の搭乗客情報140においては、座席(1A)に着席する「志文優子(ユーザID:004)」と座席(1B)に着席する「滝川道子(ユーザID:017)」は同一グループである。一方、座席(1C)に着席する「江部清志(ユーザID:126)」は一人旅行客である。
【0073】
仮想旅客機内においては、本人アバターから見たときの機内空間がユーザのユーザ端末300に表示される。したがって、本人アバターの座席位置によって機内空間の見え方が異なる。なお、座席にはファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスの種別が設けられてもよい。この場合には、座席のクラスによっても機内空間の見え方が異なる。
【0074】
図8は、羽田空港の搭乗口を示す画面図である。
仮想旅客機(JBL527)を予約したユーザは、出発時刻(2021年1月31日の18時30分)より前に、航空管理サーバ200にログインする。空港体験提供部226は、ユーザ端末300に羽田空港空間の三次元画像を送信する。ユーザは本人アバターを操作して羽田空港空間を移動する。予約済みなので、本人アバターはチケットを所持している。羽田空港空間には多数の他人アバターも存在する。ユーザは、他人アバターとチャット方式にて会話することも可能である。
【0075】
ユーザは、羽田空港空間内にある搭乗口までアバターを移動させる。アバターが搭乗口に到着したとき、ユーザ端末300はチケット情報を含む搭乗要求を航空管理サーバ200に送信する。搭乗要求受信部212は、搭乗要求を受信し、搭乗処理部216は搭乗処理を実行する。具体的には、搭乗処理部216はユーザのチケット情報(便名、出発時刻等)と搭乗客情報140を確認し、仮想旅客機(JBL527)にアバターを案内する。アバターは、仮想旅客機(JBL527)の機内を示す仮想空間に移動する。
【0076】
なお、仮想旅客機(JBL527)の出発時刻である18時30分までに搭乗手続きを行わなかったときには搭乗はキャンセルとなる。このときには、搭乗処理部216は航空代の全部または一部をユーザに払い戻すように決済システム108に指示する。このように、ユーザは、実際の搭乗手続きと同様にして、仮想旅客機の出発時刻に遅れないように、仮想羽田空港の搭乗口にて搭乗手続きを行わなければならない。
【0077】
図9は、仮想旅客機の機内を示す画面図である。
仮想旅客機(JBL527)に搭乗したあとは、搭乗体験提供部222はユーザに搭乗体験を提供する。搭乗体験提供部222は、仮想旅客機の機内空間の三次元画像を送信する。ユーザは本人アバターを操作して自分の座席に移動して着席する。出発時刻に至ると、仮想旅客機は自動的に離陸し、到着空港である新千歳空港に向けて出発する。出発から20分後に、仮想旅客機は新千歳空港に着陸する。搭乗体験提供部222は、この20分間においてユーザにさまざまな搭乗体験を提供する。
【0078】
仮想旅客機においては他の搭乗客の他人アバター148も表示される。仮想旅客機(JBL527)の場合、200名前後のユーザが同一の機内空間において同一時間帯における搭乗体験を共有することになる。
上述したように、ユーザ端末300には本人アバターの視野を基準とした機内空間の三次元画像が表示される。200名前後の搭乗客がいる場合には、この三次元画像には多数の他人アバターが映るため、ユーザは機内空間において「満席の雰囲気」を感じ取ることができる。
【0079】
搭乗体験提供部222は、機内の三次元画像である機内空間画面144と、会話画面142を重ねて表示させる。ユーザは、会話画面142において他人アバターとテキストにて会話できる。たとえば、ユーザは、同一グループに所属する他のユーザと会話してもよい。会話処理部220は、ユーザから入力されるテキストメッセージを同一グループに所属する他のユーザの会話画面142に転送することで会話を中継する。
【0080】
なお、ユーザはマイクおよびイヤホン等の入出力デバイスを介して音声により他のユーザと会話してもよい。具体的には、ユーザP1(搭乗客)がマイクにおいて発話したとする。このとき、会話処理部220はマイクから入力された音声を他のユーザP2(搭乗客)のユーザ端末300において出力する。このような制御方法により、同じ仮想旅客機に乗り合わせているユーザ間の音声会話が実現される。
【0081】
ユーザは、同一グループに属していない他のユーザ(他人アバター)と会話することもできる。たとえば、本人アバターと他人アバターの距離が所定範囲以内となるとき、本人アバターから他人アバターに声をかけ、相手がそれに応えたとき、会話処理部220は二人の間で会話が可能となるように制御してもよい。
【0082】
より具体的には、会話処理部220は、ユーザP1のアバターQ1と、ユーザP2のアバターQ2の仮想空間内における直線距離を計算する。ユーザP1(アバターQ1)がテキストまたは音声にて発話したとき、会話処理部220はアバターQ1とアバターQ2の直線距離が所定の閾値TX以内であるとき、ユーザP2(アバターQ2)のユーザ端末300からユーザP1(アバターQ1)の発話情報を出力させる。このように、アバターQ1から閾値TX以内にいるすべてのアバターを対象として、会話処理部220はユーザP1の発話を伝達する。一方、ユーザP1の発話情報は、アバターQ1から閾値TXよりも離れた位置にいるアバター(ユーザ)には伝達されない。会話処理部220は、アバター間の距離に応じて、会話の伝達可否を判定することにより、仮想空間であっても「近くにいるときだけ会話できる」という実在空間に近い状況を再現できる。
【0083】
なお、音声会話のときには、会話処理部220は発話者の声の大きさに応じて閾値TXを変化させてもよい。たとえば、ユーザP1(アバターQ1)が小さな音声にて発話したときには、会話処理部220はアバターQ1から閾値TX1以内にいるユーザのユーザ端末300にしか音声を伝達しない。一方、ユーザP1(アバターQ2)が大きな音声にて発話したときには、会話処理部220はアバターQ1から閾値T1よりも遠い閾値TX2以内にいるアバターに対応するユーザにも音声を伝達するとしてもよい。このような制御方法によれば、ユーザは大きな声で発話すれば多くのユーザに自分の音声を伝達できるが、大きな声を出すことは多くのユーザに音声が届くことでもあるので迷惑となる可能性もある。
【0084】
機内空間画面144においては、1以上の乗務員キャラクタ146も表示される。搭乗体験提供部222は、乗務員キャラクタ146を機内空間画面144内において巡回させる。また、乗務員キャラクタ146は、チャットボットとしての機能を備え、ユーザとの会話を楽しむこともできる。乗務員キャラクタ146と本人アバターとの距離が所定範囲以内であるとき、乗務員キャラクタ146と会話可能となる。乗務員キャラクタ146もアバターの一種であるため、乗務員キャラクタ146と本人アバターの会話方法と、本人アバターと他人アバターの会話方法は基本的には同じである。
【0085】
ユーザは乗務員キャラクタ146に「記念撮影」を頼むことができる。乗務員キャラクタ146が了承すれば、搭乗体験提供部222は、本人アバターおよび乗務員キャラクタ146が映る記念写真データを生成し、これをユーザ端末300に送信する。記念撮影に際しては、複数のアバターと乗務員キャラクタ146を同時に撮影することもできる。
【0086】
より具体的には、本人アバターと乗務員キャラクタ146が所定距離以内にあるとき、ユーザは「記念撮影をお願いします」のように記念撮影を頼むための発話をする。搭乗体験提供部222は記念撮影を了承すべきか否かを判定する。搭乗体験提供部222は記念撮影の可否をランダムに判定してもよいし、離陸中あるいは着陸中でなければ記念撮影を許可するとしてもよいし、常に許可するとしてもよい。許可判定のときには、乗務員キャラクタ146は「いいですよ」など記念撮影を許可する旨のメッセージをユーザに伝える。
【0087】
続いて、搭乗体験提供部222は、機内空間を背景として本人アバターおよび乗務員キャラクタ146を含む画像を生成する。搭乗体験提供部222はこの画像、すなわち、二人の記念撮影を示す画像をユーザのユーザ端末300に送信する。
【0088】
航空管理サーバ200のデータ格納部206には、あらかじめ複数種類の乗務員キャラクタ146のデータが格納されている。搭乗体験提供部222は、各乗務員キャラクタ146を複数の仮想旅客機のうち、どの仮想旅客機にいつ添乗させるかをスケジューリングする。このため、ユーザは、仮想旅客機に乗るまではどの乗務員キャラクタ146に出会えるかはわからない。仮想旅客機に乗るとき、ユーザにはさまざまな乗務員キャラクタ146に出会う楽しみが提供される。いいかえれば、多数の仮想旅客機に搭乗し、多数の乗務員キャラクタ146との記念写真を集めるというコレクション(蒐集)の楽しみが提供される。記念撮影機能により、さまざまな仮想旅客機へのユーザの搭乗意欲を高めることができる。
【0089】
乗務員キャラクタ146は、到着空港周辺の観光地について案内をしてもよい。案内はテキストメッセージであってもよいし、音声によるアナウンスであってもよい。また、広告出稿者は、乗務員キャラクタ146に自社商品を紹介してもらう権利を広告の一種として購入してもよい。乗務員キャラクタ146は、商品を機内販売する。
【0090】
具体的には、乗務員キャラクタ146は店舗運営者からあらかじめ設定された商品リストに含まれる商品を模した商品オブジェクトを運搬する。乗務員キャラクタ146は商品オブジェクトを搭載した台車あるいはバスケットを運搬してもよい。本人アバターと乗務員キャラクタ146が所定距離以内にあるとき、ユーザは「飛行機のプラモデルを下さい」のように商品購入を頼むための発話をする。あるいは、乗務員キャラクタ146が保有する商品オブジェクトを参照し、購入したい商品オブジェクトを選んでもよい。搭乗体験提供部222は、選ばれた商品を提供している店舗運営者の店舗端末110に対して、購入者のユーザID、住所、商品IDを含む注文情報を送信する。店舗運営者は注文情報にしたがって、指定された商品をユーザの住所に配送手配する。また、搭乗体験提供部222は決済システム108に指示して商品代金の決済を行う。機内販売と後述の仮想店舗における商品購入手続きは基本的には同じである。
【0091】
搭乗体験提供部222は、搭乗体験として、さまざまなサプライズイベントを提供する。たとえば、乗務員キャラクタ146はビンゴゲームを主催してもよい。ビンゴゲームには賞品が用意されてもよい。決済処理部228は、賞品当選者の自宅に、後日、賞品発送をするように運営者に手配指示する。賞品はマイレージポイントであってもよい。
【0092】
より具体的には、搭乗中に、搭乗体験提供部222は乗務員キャラクタ146に「ビンゴゲームをやりませんか」と発話させる。会話処理部220はこの発話情報をすべてのユーザのユーザ端末300から出力させる。ユーザはビンゴゲームに参加するか否かを入力する。搭乗体験提供部222は、参加可否を示す情報を各ユーザから集めて、参加者を確定させる。続いて、会話処理部220は参加者に対してビンゴゲームのシートをランダムに配布する。ビンゴゲームのシートはあらかじめ複数種類が用意されており、シートには「1」から「99」までの数字のうちの24個の数字が配列されている。シートはシートIDにより識別される。
【0093】
搭乗体験提供部222はどのユーザにどのシートを配ったかを登録しておく。この結果、参加者のユーザIDとシートIDが対応づけられる。参加者のユーザ端末300は、自分に配られたシートを画面表示させる。次に、搭乗体験提供部222は参加者に発言順を設定する。発言の順番が来た参加者は、任意の数字を発話する。たとえば、ユーザP1が「1」と発話したときには、搭乗体験提供部222は、シートにおいて「1」に対応する数字を無効化表示するように各ユーザ端末300に指示する。保有するシートにおいて無効化数字がタテ、ヨコ、斜めのいずれか一列にて最初に揃えたユーザが「勝者」となる。決済処理部228は、ビンゴゲームにあらかじめ対応づけられていた賞品を勝者の登録住所に配送するように指示する。
【0094】
搭乗客同士でじゃんけんの勝ち抜き戦をしてもよい。あるいは、搭乗客と乗務員キャラクタ146がじゃんけんをしてもよい。乗務員キャラクタ146は、搭乗客にクイズを出してもよい。このように、第1実施形態における仮想旅客機においては、実際の旅客機内ではできないさまざまなイベントを実行できる。このようなイベントを通して、搭乗客同士の交流を促すことができる。
【0095】
具体的には、搭乗体験提供部222は複数の搭乗客から2名ずつを選んで対戦相手として設定する。ユーザ端末300にはグー、チョキ、パーの3種類の画像が表示され、ユーザはいずれかを選択する。搭乗体験提供部222は、対戦する2人のユーザが選んだ手に基づいて勝敗を決定する。1回戦が終了したあと、搭乗体験提供部222は勝者から2名ずつを選んで2回戦の対戦を決める。このようなじゃんけんを繰り返し、最終的に勝利したユーザが「勝者」となる。じゃんけん大会のときにも、決済処理部228は所定の賞品を勝者の登録住所に配送するように指示する。
【0096】
図10は、新千歳空港の仮想店舗付近を示す画面図である。
仮想旅客機(JBL527)が新千歳空港に着陸したあとは、空港体験提供部226はユーザに空港体験を提供する。空港体験提供部226は、新千歳空港内部の仮想空間の三次元画像をユーザ端末300に送信する。ユーザは、アバターを操作して新千歳空港空間を散策する。新千歳空港空間には、多数の仮想店舗が設置されている。また、壁面等には広告画像が表示される。
【0097】
ユーザは、アバターを移動させ、興味のある仮想店舗に入る。仮想店舗には、多数の商品オブジェクトがある。商品オブジェクトとは、実際の商品と同一の形状を有し、実際の商品と同様のデザイン画像を貼付された三次元仮想物体である。商品オブジェクトにはあらかじめ商品説明情報が対応づけられている。商品説明情報には、商品名、メーカー名、内容物、内容量、価格、など商品に関する任意の情報が含まれる。アバターが商品オブジェクトを選択したとき、航空管理サーバ200の送信部208は商品説明情報をユーザ端末300に送信する。ユーザ端末300は商品説明情報を画面表示させ、ユーザは商品説明情報を参照して購入可否を判断する。
【0098】
ユーザは、購入したい商品オブジェクトを仮想店舗内に設置される精算領域にもっていく。精算領域にアバターが移動すると、決済処理部228は商品の購入および配送を実行する。決済処理部228は、まず、ユーザIDおよび商品オブジェクトに対応づけられている商品IDと、商品IDに対応づけられている店舗運営者を特定する。次に、決済処理部228は、決済システム108に指示して、ユーザ(購入者)の銀行口座から、店舗運営者の銀行口座に商品代金を振り込むように指示する。決済システム108は、振り込みの完了後、航空管理サーバ200に決済完了通知を送信する。
【0099】
決済処理部228は、決済完了通知を受信したとき、店舗端末110に商品の配送指示を送信する。配送指示には、ユーザ(購入者)の住所と商品IDが含まれる。店舗運営者は、店舗端末110において配送指示を受信したとき、自社倉庫から該当商品を取り出し、梱包し、ユーザの住所に商品を郵送する。
【0100】
このように、ユーザは新千歳空港空間内にある仮想店舗において、商品オブジェクトを選んで精算領域に持ち込むことにより、いいかえれば、購入意思を示すことにより、航空管理サーバ200により商品代金の決済が行われるとともに、商品オブジェクトに対応する実在の商品の配送を受けることができる。
【0101】
なお、商品オブジェクトの購入に際してはマイレージポイントを使うことで割引サービスを受けることもできる。この場合、マイレージ管理部230は、ユーザの保有するマイレージポイントに基づいて商品代金を割引し、仮想航空サービスシステム100の運営者は割引分を自ら補填すればよい。
【0102】
図11は、時計台付近を示す画面図である。
ユーザは、新千歳空港に対応づけられる観光地から、行き先を選択できる。ユーザは、時計台を選択したとする。観光体験提供部224はユーザに時計台の観光体験を提供する。具体的には、観光体験提供部224は、時計台周辺を再現した仮想空間の三次元画像をユーザ端末300に送信する。ユーザは、アバターを操作して時計台周辺を散策する。時計台周辺には、多数の仮想店舗が設置されている。また、時計台周辺の塀などにも広告画像が表示される。
【0103】
観光地では、記念撮影も可能である。たとえば、家族4人(アバター4体)で時計台を観光し、時計台を背景として記念撮影をすることもできる。記念写真には、4人の分身である4体のアバターと時計台(仮想画像)が映り込む。このように、仮想空間であっても、4人揃って仮想時計台に行かなければ得られない記念写真を提供することにより、ユーザは、実在の時計台を観光するときと同じような観光体験を堪能できる。
【0104】
時計台周辺の仮想店舗にも、北海道特有の店舗運営者によりさまざまな商品オブジェクトが陳列されている。仮想時計台周辺の仮想店舗でしか買うことのできない限定商品(商品オブジェクト)を用意することにより、観光の楽しさをいっそう盛り上げることができる。
【0105】
[第2実施形態]
第2実施形態においては、仮想現実感技術を応用した集会体験(以下、「仮想集会」ともよぶ)をユーザに提供する。具体的には、会議室、コンサートホール、野外集会場を模した仮想空間を三次元のコンピュータグラフィックスにより生成する。以下、特に断らない限り、集会場を模した仮想空間のことを「集会空間」とよぶ。
【0106】
第2実施形態においても、ユーザは、自分の分身となるアバターをゲームと同様の操作感にて仮想空間内で移動させることにより、集会空間を散策できる。以下、ユーザのアバターを通した仮想集会の体験のことを「集会体験」とよぶ。
【0107】
ユーザは、集会サーバにアクセスし、仮想集会に参加予約する。仮想集会は、実在の集会と同様、開催スケジュールが決められている。第1実施形態と同様、ユーザは事前にユーザ登録を行う必要がある。集会サーバは、ユーザID、氏名、住所、クレジットカード番号、銀行口座情報等、ユーザに関する情報をあらかじめ登録しておく。ユーザがアバターの装飾品(後述)となる商品オブジェクトを購入したとき、集会サーバはユーザの銀行口座から購入代金を引き落とす。
【0108】
集会空間には、あらかじめ広告スペースが設けられる。集会サービスの運営者は、集会空間内にある広告スペースを販売する。広告出稿者は、広告スペースを購入し、ここに自社広告の画像を貼り付けることができる。
【0109】
図12は、仮想集会システム404のハードウェア構成図である。
仮想集会システム404は、集会サーバ400、航空管理サーバ200、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104、仮想集会システム404および実在集会402を含む。実在集会402は、仮想空間ではなく実在空間で開催される一般的な集会である。第2実施形態においては仮想集会と実在集会を同時並行開催することもできるが、詳細は
図18に関連して後述する。
【0110】
集会サーバ400、航空管理サーバ200、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104、仮想集会システム404および実在集会402は、インターネット106を介して相互に接続される。
【0111】
集会サーバ400は、ユーザ端末300に対して仮想集会に関する各種サービスを提供する。上述したように、ユーザは集会サーバ400に対してあらかじめユーザ登録をしておく。集会サーバ400はユーザIDを各ユーザに付与する。航空管理サーバ200と集会サーバ400は単一の装置であってもよい。また、航空管理サーバ200と集会サーバ400は仮想旅行サービスのためのユーザ情報と仮想集会サービスのためのユーザ情報を統一的に管理してもよい。
【0112】
仮想集会の開催者は、仮想集会システム404から仮想集会の開催要項を集会サーバ400に登録しておく。また、開催者もあらかじめ集会サーバ400に対してユーザ登録する。このとき、開催者も、氏名、住所、銀行口座情報等を集会サーバ400に登録する。
【0113】
集会サーバ400は、ユーザが仮想空間内で商品オブジェクトを購入したとき、決済システム108に決済指示を送信し、決済システム108は料金の決済を行う。広告出稿者は、広告主端末104から集会サーバ400に対して、広告データ(画像)、広告を出したい場所、広告主体に関する情報を送信し、集会サーバ400は仮想空間内における指定の広告スペースに広告画像を貼付する。
【0114】
広告出稿者も、集会サーバ400に対してユーザ登録する。集会サーバ400は、広告スペースごとに掲載期間、掲載料金、支払い方法、掲載資格などの広告スペース情報を設定し、これを広告出稿希望者に通知する。
【0115】
図13は、集会サーバ400およびユーザ端末300の機能ブロック図である。
(集会サーバ400)
集会サーバ400は、通信部406、データ処理部408およびデータ格納部410を含む。
通信部406は、航空管理サーバ200、ユーザ端末300、決済システム108、広告主端末104、仮想集会システム404および実在集会402において設置される各種機器との通信処理を担当する。データ格納部410は、仮想空間の画像データ、キャラクタ、商品オブジェクト、ユーザに関する情報、広告出稿者に関する情報、開催者に関する情報、仮想集会の開催スケジュールなど各種のデータを格納する。データ処理部408は、通信部406により取得されるデータおよびデータ格納部410に格納されるデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部408は、通信部406およびデータ格納部410のインタフェースとしても機能する。
【0116】
通信部406は、ユーザ端末300等の外部装置に各種情報を送信する送信部412と、外部装置から各種情報を受信する受信部414を含む。
【0117】
受信部414は、参加要求受信部416、開催要求受信部418および予約受付部420を含む。
予約受付部420は、ユーザ端末300(ユーザ)から仮想集会への参加予約を受け付ける。参加要求受信部416は、予約済みのユーザから仮想集会への参加要求を受信する。参加要求には、ユーザIDおよびアバター情報が含まれる。ここでいうアバター情報とは、アバターID、アバターの性別、アバターが着用する装飾品、アバターの活動履歴、アバターの所持品に関する情報などである。開催要求受信部418は、仮想集会システム404(開催者)から仮想集会の開催要求を受信する。開催要求には開催要項が含まれる。
【0118】
データ処理部408は、登録処理部422、予約処理部424、会話処理部426、集会体験提供部428、広告管理部436、指定商品処理部438および決済処理部440を含む。
登録処理部422は、予約済みのユーザから仮想集会への参加要求を受信したとき、仮想集会への参加可否を判定して、アバター(ユーザ)を仮想集会の参加者として登録する。参加可否の判定方法については後述する。ユーザは、参加許可されたとき、仮想集会の集会空間にアバターを入室させることができる。
【0119】
予約処理部424は、仮想集会の予約処理を実行する。予約処理部424は、仮想集会への参加予約されたとき、ユーザに対して予約チケットを発行する。予約チケットを有するユーザのみが仮想集会に参加できる。会話処理部426は、ユーザ間での会話処理を行う。第2実施形態においては、ユーザはチャット方式または音声にて会話できる。集会体験提供部428は、ユーザに集会体験を提供する。
【0120】
決済処理部440は、決済システム108に指示を出すことにより決済処理を実行する。決済処理部440は、ユーザによる商品の購入のほか、広告掲載時における広告料の徴収時に決済処理を実行する。
【0121】
広告管理部436は、仮想空間の広告スペースの管理を行う。広告管理部436は広告スペースID、広告出稿者、広告画像、掲載期間、掲載料を対応づけて管理し、掲載期間が過ぎた広告画像を削除する。また、広告スペースに対して新たな広告を掲載するときには、決済処理部440に指示して掲載料の徴収を実行させる。
【0122】
指定商品処理部438は、仮想空間においてアバターが着用または保有可能な商品オブジェクトをユーザに提示する。ユーザから商品オブジェクトが選択されたときには、商品オブジェクトをユーザに提供する。たとえば、ユーザP1が商品オブジェクトM1を購入したときには、指定商品処理部438はデータ格納部410においてユーザP1のユーザID、アバターIDおよび商品オブジェクトM1を対応づけて登録する。商品オブジェクトが有料のときには、指定商品処理部438は決済処理部440に指示して商品代金をユーザの銀行口座から徴収させる。
以下、ユーザP1のアバターのことを「アバター(P1)」のように表記する。
【0123】
(ユーザ端末300)
第2実施形態におけるユーザ端末300も、ユーザインタフェース処理部302、通信部304、データ処理部306およびデータ格納部308を含む。
【0124】
ユーザインタフェース処理部302は、入力部310と出力部312を含む。入力部310は、着用指示入力部450と参加指示入力部452を含む。着用指示入力部450は、ユーザからアバターに着脱させる装飾品(商品オブジェクト)の選択を受け付ける。たとえば、ユーザP1がスーツM2(商品オブジェクト)を選択したとき、データ処理部306はスーツM2を着用したアバター(P1)の画像を生成する。集会体験提供部428は、このようにして生成されたアバターのデータに基づいて集会空間を生成する。参加指示入力部452は、ユーザから仮想集会への参加要求を受け付ける。このほか、入力部310はユーザから仮想集会への予約も受け付ける。
【0125】
通信部304は、各種データを送信する送信部314とデータを受信する受信部316を含む。受信部316は、要項受信部454および画像受信部456を含む。要項受信部454は、仮想集会について開催要項を受信する。開催要項により仮想集会の開催スケジュールが定義される。画像受信部456は、集会体験提供部428から集会空間の仮想画像を取得する。
【0126】
図14は、仮想集会予約画面460の画面図である。
ユーザは、集会サーバ400にアクセスすることで、仮想集会についての開催要項を受信する。出力部312は開催要項にしたがって仮想集会予約画面460を画面表示させる。開催要項とは、仮想集会の主催者、開催日時、開催場所、参加資格等を含む。
【0127】
図14によれば、A社による「新作発表会」、B社による「研修旅行」、C社による「学会」、D社による「コンサート」などの各種の仮想集会が予定されている。
図14では4種類の仮想集会について開催要項が表示されている。ユーザは、ロールボタン464にタッチすることで別の仮想集会についての開催要項も表示させることができる。ユーザは、仮想集会予約画面460において仮想集会への参加を予約する。
【0128】
A社の新作発表会(以下、「仮想集会A」のように表記する)には「V(Virtual)」マークのみが付与されている。これは、仮想集会Aは仮想空間(集会空間)でのみで開催され、実在集会Aは同時開催されないことを意味する。
【0129】
仮想集会Aの開催日時は「2021年8月6日の10:00~11:00」であり、開催場所は指定されていない。したがって、仮想集会Aの参加者は、開催日時前に集会サーバ400にアクセスすることで仮想集会Aに参加できる。仮想集会Aでは、A社の新作商品が発表される。新作商品は、仮想空間内でアバターが使用可能な商品オブジェクト(仮想商品)であってもよいし、実在空間においてユーザが使用可能な実在商品であってもよい。
【0130】
仮想集会Aの参加資格は、A社製のスーツとネクタイをアバターに着用させることである。すなわち、ユーザP1は、アバター(P1)にA社製のスーツとネクタイを着用させなければ、アバター(P1)を仮想集会Aに参加させることはできない。ユーザは、仮想集会Aへ参加したいときには、予約ボタン462をタッチすることで参加予約をする。
【0131】
ユーザP1が予約ボタン462をタッチすると、送信部314はユーザIDおよび仮想集会AのIDを集会サーバ400に送信する。集会サーバ400の予約処理部424はユーザIDと仮想集会Aを対応づけて登録する。このような制御方法により、ユーザP1は仮想集会Aの参加予定者として登録される。予約処理部424は予約チケットを示す電子データをユーザ端末300に送信する。ユーザP1のアバター(P1)は仮想集会Aの予約チケットを保有する。まとめると、ユーザP1は、仮想集会Aに参加予約を行い、かつ、仮想集会Aの参加資格を満たすようにアバター(P1)をドレスアップすることで、仮想集会Aにアバター(P1)を参加させることができる。
【0132】
仮想集会Bは、B社が主催する研修旅行である。仮想集会Bの開催場所は「尾道」である。仮想集会BにはVマークと「R(Real)」マークが付与されている。すなわち、実在の尾道においても実在集会Bが行われる一方、仮想空間内の仮想尾道においても仮想集会Bが行われる。すなわち、仮想集会Bと実在集会Bは同時開催される。
【0133】
仮想集会Bの参加資格は、B社のバッジをアバターに着用させることである。ユーザP1は、まず、アバター(P1)にB社のバッジを着用させる。次に、ユーザP1は、仮想旅客機により開催日時までに仮想空間内の尾道に移動し、仮想集会Bに参加する。なお、ユーザP1は、実際に尾道(実在地点)に移動して実在集会Bに参加してもよい。このように、ユーザP1は実在集会Bに参加してもよいし、仮想集会Bにアバター(P1)を参加させてもよい。仮想集会と実在集会の連携については後述する。
【0134】
仮想集会Cは、C社が主催する学会である。仮想集会Cの開催場所は「宇治」である。仮想集会CにはVマークのみが付与されているので、実在集会Cは開催されていない。ユーザは、仮想集会Cの開催時刻に間に合うように仮想旅客機にて仮想宇治に到着する必要がある。
【0135】
仮想集会Cの参加資格は、スーツとネクタイを着用することである。すなわち、ユーザP1は、銘柄指定はないもののアバター(P1)にスーツとネクタイを着用させなければ仮想集会Cに参加できない。登録処理部422は、ユーザが仮想集会への参加要求をしたとき、アバターが参加資格を満たしているか否かにより参加可否を判定する。
【0136】
仮想集会Dは、D社が主催するコンサートである。仮想集会Dでは、参加者は歌や演奏をアーティストのアバターを通して楽しむことができる。アーティストのアバターはアーティストの声で歌う。参加者はアーティストのアバターの歌声を集会空間にて聞くことができる。仮想集会Dは開催場所の指定がないので、ユーザは開催日時に集会サーバ400にアクセスすれば仮想集会Dに参加できる。このときも、登録処理部422により参加資格がチェックされる。
【0137】
仮想集会Dの参加資格は、ペンライトを持参することと、女性アバターであること、である。したがって、ユーザは、アバターにペンライトを持たせる必要がある。仮想集会Dでは、参加者のアバターたちは音楽に合わせてペンライトを揺らすことで一体感が醸成される。また、ユーザ本人は男性であってもよいが、アバターは女性でなければならない。仮想集会Dは女性限定、より厳密にいえば、女性アバター限定のコンサートである。
【0138】
図15は、商品購入画面470の画面図である。
ユーザは、集会サーバ400にアクセスすることで、商品オブジェクトのリストを受信する。付与対象となる商品オブジェクトのリストは、指定商品処理部438から提供される。出力部312は指定商品処理部438から提供される商品オブジェクトのリストにしたがって商品購入画面470を表示させる。
【0139】
図15によれば、A社が提供する「スーツ」、E社が提供する「スーツ」、F社が提供する「腕時計」、H社が提供する「ペンライト」などの各種の仮想商品が表示される。
図15の商品購入画面470では4種類の商品オブジェクトが表示されているが、ユーザは、ロールボタン474にタッチすることで別の商品オブジェクトを表示させることができる。
【0140】
スーツ(A社)は「28,000円」で販売されている。ユーザがプレビューボタン472をタッチすると、指定商品処理部438はスーツAの三次元画像をユーザ端末300に送信し、出力部312はスーツ(A社)の三次元画像を表示させる。ユーザはスーツ(A社)の三次元画像を見ながら購入するか否かを考える。
【0141】
ユーザP1が購入ボタン476をタッチすると、送信部314はユーザIDおよび商品IDを含む購入指示を集会サーバ400に送信する。指定商品処理部438はこのユーザP1(ユーザID)とスーツ(A社)を対応づけて登録する。これにより、アバター(P1)はスーツ(A社)をいつでも着用可能となる。指定商品処理部438は、決済処理部440に指示して、ユーザP1の銀行口座を対象としてスーツ(A社)の代金決済を行う。購入代金はA社の銀行口座に振込まれる。
【0142】
上述したように、仮想集会Aに参加するためにはアバターはA社のスーツを着用しなければならない。したがって、ユーザP1が仮想集会Aに参加したい場合には、仮想集会Aの開催前に商品購入画面470においてスーツ(A社)を購入しておく必要がある。A社は、事前にスーツ(商品オブジェクト)を集会サーバ400に登録しておく。A社は、魅力的な仮想集会Aを開催することにより、アバターのスーツという商品オブジェクトを通して収益を得ることができる。ユーザは、着用指示により保有する商品オブジェクト(装飾品)の中からスーツ(A社)を選んで仮想集会Aに参加する。
【0143】
仮想集会Aには、A社製のスーツを着用したアバターだけが参加できる。アバターの姿に共通性・統一性をもたせることで、仮想集会Aの参加者は会場の一体感を味わうことができる。また、A社製のさまざまなスーツをアバターに着用させることで、アバター同士でファッションセンスを競う楽しさを提供できる。
【0144】
商品オブジェクトは無料であってもよい。たとえば、
図15に示すペンライト(H社)は無料で購入(取得)できる。ペンライト(H社)は総数500本の限定品である。このように商品オブジェクト(仮想商品)であっても在庫個数に制限を設けてもよい。指定商品処理部438はペンライト(商品オブジェクト)の販売個数をカウントし、ペンライトが500本売れたときには売り切れとしてもよい。商品オブジェクトの在庫数に制限を設けることで、商品オブジェクトの価値を高めることができる。
【0145】
図16は、集会空間480の画面図である。
仮想集会への参加予約をしたユーザは、仮想集会の開催日時の前に集会サーバ400にログインする。仮想集会の開催場所が指定されているときには、仮想旅客機で仮想の開催場所にアバターを移動させる必要がある。登録処理部422により参加許可をされたら、アバターは集会空間480に入ることができる。集会空間480の壁面には広告画像が貼付されてもよい。集会体験提供部428は、参加者のユーザ端末300に集会空間480の三次元画像を送信する。ユーザは本人アバターを操作して集会空間480を移動できる。集会空間480には多数の他人アバターも存在する。ユーザは、他人アバターとチャット方式にて会話することも可能である。
【0146】
たとえば、仮想集会Cの参加資格は、アバターにスーツとネクタイを着用させることである(
図14参照)。したがって、集会空間480においてはスーツとネクタイを着用したアバターが多数動き回る。ユーザは本人アバターを操作して空席に移動して着席させる。開催時刻になると、仮想集会Cが開催される。
図16に示す集会空間480においては司会者のアバターと複数のパネリストのアバターによる議論が始まる。集会体験提供部428は、集会空間480を各ユーザ端末300に提供することで、数十名前後のユーザは同一の集会空間480において同一の時間帯における集会体験を共有する。
【0147】
第1実施形態と同様、ユーザは会話画面(不図示)において他人アバターとテキストで会話できる。会話処理部220はアバター間の会話を中継する。ユーザはマイクおよびイヤホン等の入出力デバイスを介して音声により他のユーザと会話してもよい。
【0148】
図17は、アバター間の会話可能範囲を説明するための模式図である。
アバター(P1)は本人アバター、アバター(P2)~アバター(P4)は他人アバターであるとする。会話処理部426は、アバター(P1)を中心として会話範囲490を設定する。ここでは音声会話を想定して説明する。ユーザP1が発話したとき、会話処理部426はアバター(P1)についての会話範囲490内にいるアバター(P2),アバター(P3)、いいかえれば、ユーザP2,P3のユーザ端末300に発話音声を送信する。ユーザP2,P3のユーザ端末300の出力部312は発話音声を出力する。一方、会話範囲490外にいるアバター(P4)、いいかえれば、ユーザP4のユーザ端末300には発話音声は送信されない。
【0149】
このように、ユーザP1の発言は、ユーザP2,P3には伝わるが、会話範囲490の外にいるユーザ(アバターP4)には伝わらない。同様にして、ユーザP2,P3の発言はユーザP1に伝わるが、ユーザP4の発言はユーザP1には伝わらない。したがって、ユーザP1は集会空間480において本人アバターの近くにいる他人アバター(他人)とだけ会話できる。
【0150】
集会空間480において司会者およびパネリストのアバターはマイクオブジェクトを保有する。会話処理部426は、マイクオブジェクトを保有するアバター(ユーザ)の発言音声を、集会空間480内に存在するすべてのアバター(ユーザ)に送信する。したがって、仮想集会において一般参加者とパネリストが質疑応答するときには、実在集会と同様、一般参加者のアバターにマイクオブジェクトを渡す必要がある。参加者は、発言許可を求め、司会者から指名を受けたとき、マイクオブジェクトを借りることができる。
【0151】
音声対話ではなく、テキスト対話であっても同様である。すなわち、ユーザP1が発話したとき、会話処理部426はユーザP2,P3に発話テキストを送信する。ユーザP2,P3のユーザ端末300の出力部312は発話テキストを画面表示させる。また、アバターP1がマイクオブジェクトを保有しているときには、会話処理部426は集会空間480におけるすべての参加者にアバターP1の発話テキストを送信する。
【0152】
図18は、仮想集会498と実在集会402の同時開催方法を説明するための模式図である。
実在集会402は、実在の人間が実在の会場に集合して開催される通常の集会である。実在集会402の会場には、巨大なモニタ492、スピーカ494および集音マイク496が設置される。仮想集会498においてマイクオブジェクトをもっているアバターが発話したときには、会話処理部426は発話音声を実在集会402のスピーカ494から出力させる。アバターがテキスト入力で発言したときにも、会話処理部426は音声読み上げ機能によりスピーカ494から発話内容を出力してもよい。一方、実在集会402の音声は集音マイク496によって集音され、会話処理部426は実在集会402の音声を仮想集会に参加している各ユーザ端末300に送信する。また、集会体験提供部428は集会空間480の画像をモニタ492に表示させ、実在集会402の映像を仮想集会498に参加しているユーザ端末300に表示させてもよい。
【0153】
仮想集会498と実在集会402の一方の音声が他方に転送されるため、仮想集会498の参加者であっても実在集会402との一体感ともつことができる。同様に、実在集会402の参加者も仮想集会498の参加者の存在をモニタ492およびスピーカ494を通して感じることができる。
【0154】
実在集会402の参加者には音声出力機能を有するヘッドセットを配ってもよい。この場合、会話処理部426は仮想集会498における発話音声を実在集会402の参加者の各ヘッドセットから出力させてもよい。
【0155】
[総括]
以上、実施形態に基づいて仮想航空サービスシステム100および仮想集会システム404を説明した。
第1実施形態によれば、航空管理サーバ200が提供する三次元モデルとしての仮想空間を多数のユーザがアバターを介して共有できる。航空管理サーバ200は、仮想空間の画像を立体画像として提供してもよい。ユーザはVRゴーグルなどの立体視可能な通信端末を利用することにより、仮想空間へのいっそうの没入感を楽しむこともできる。
【0156】
第1実施形態に示した仮想旅行は、実際の旅行よりも手軽に楽しめつつも、チケット購入、搭乗手続、20分間のフライトなど、ユーザにある程度の「手間」を負担させるように設計されている。このような手間をかけさせることにより、旅行にともなう煩わしさやそれを乗り越えたことで得られる非日常体験という旅行特有の情緒をユーザに提供できる。
【0157】
特に、第1実施形態における仮想旅客機は、実在の旅客機と同様にして、運行スケジュールが決められている。ユーザは、運行スケジュールに合わせて旅程を決める。運行スケジュールを設定することにより、仮想旅客機において、複数のユーザが場所と時間を共有する感覚をもたせることができる。いいかえれば、物理的には同一地点に存在しない複数のユーザに「場の共有」感覚をもたせることができる。このため、遠隔地に住む人同士であっても、仮想旅客機によりいっしょに旅行する感覚を楽しむことができる。仮想航空サービスシステム100により、旅行はもっと身近になる。
【0158】
仮想店舗により、店舗運営者は収益機会を拡大できる。また、商品の提供あるいは広告により、商品の認知機会を増やすことができる。ユーザは、アバターを通して、仮想旅客機の機内販売、あるいは、仮想店舗におけるショッピングにより、さまざまな商品を買うことができる。
【0159】
いわゆるネットショッピングは、コンピュータに慣れていない高齢者にとっては敷居が高い。また、北海道に特有の商品を販売する業者にとって、商品をインターネットで簡単に提供することは商品のブランド低下を招く恐れもある。北海道でしか買えない地域限定商品であるからこそ守られる価値もある。第1実施形態においては、ユーザは仮想旅客機で時間をかけて北海道へ行くという手間をかけた上で、仮想千歳空港等の仮想店舗でアバターを動かしながら実際の買い物と同じような感覚で商品を選んで買うことができる。ユーザは、北海道の商品を「旅先で買ったもの」「旅先でしか買えないもの」と認識するので、商品のブランドを維持しやすくなる。仮想航空サービスシステム100によれば、さまざまな商品の希少性を確保しつつ、その収益機会を拡大できる。
【0160】
実在の店舗に比べると、仮想店舗は運営コストが低いため、出店料を低額化あるいは無料化できる可能性もある。北海道の一部で知られているのみで、実際に新千歳空港の空港販売店に出店できるほどの資力をもたない小規模店であっても、仮想店舗であれば出店しやすくなる。仮想店舗を通じて、一般には知られていない北海道の魅力を多数のユーザに届けやすくなる。
【0161】
仮想航空サービスシステム100により、ユーザは実際よりも気軽に仮想の北海道に旅行できる。北海道を仮想体験することで、ユーザは本物の北海道に行ってみたいと思うかもしれない。仮想航空サービスが提供する体験を通して、旅行需要を盛り上げることが可能となる。
【0162】
北海道ほど有名ではない観光地であっても、仮想旅行により認知を高めることができる可能性がある。たとえば、秋田市は札幌市に比べると観光客が少ないが、仮想航空サービスシステム100により秋田市の観光体験を提供することにより、より多くのユーザに秋田市の魅力を知ってもらうことができる。また、特に、日本についてよく知らない外国人にも仮想航空サービスシステム100により観光体験を提供することで、訪日観光客の増加とともにリピート率の向上にも寄与すると考えられる。
【0163】
第2実施形態においても集会サーバ400が提供する三次元モデルとしての仮想空間を多数のユーザがアバターを介して共有できる。集会サーバ400は、仮想空間の画像を立体画像として提供してもよい。
【0164】
ユーザは、開催スケジュールが決まっている仮想集会にアバターを参加させることにより、仮想集会において他人アバターたちとの一体感、時間と場所の共有感覚をもつことができる。また、仮想集会に参加資格を設定することで、参加者たちに共通性をもたせることができる。たとえば、同じ装飾品を保有している、女性アバター限定、子どもアバター限定など、アバターについての参加資格を設定することで、仮想集会に集合するアバターたちによって特有の雰囲気をつくることが可能となる。
【0165】
仮想空間において、ユーザはアバター同士で会話できる。実在空間においては見知らぬ参加者に話しかけることは難しいが、仮想空間においてはアバターが仮面としての役割を果たすので声をかけやすくなる。また、会話処理部426はアバターの発言が会話範囲490の外に伝わらないように制御するため、アバター間の私語が他のアバターの迷惑になりにくい。会話範囲490はいわば「私語空間」であり、アバター同士の会話を促す効果がある。
【0166】
仮想集会の参加資格として、アバターに装飾品としての商品オブジェクトの着用を促すことにより、仮想集会を開催者の収益機会とすることができる。また、ユーザもアバターをドレスアップさせることで仮想集会を楽しむことができる。更に、仮想旅行と仮想集会を組み合わせることにより、旅行と集会という2種類の楽しみを提供できる。たとえば、ホノルル(仮想)で婚活パーティ(仮想集会)を行えば、ホノルル観光(観光体験)をスケジュールに組み込むことができるのでユーザ同士の親近感を高めやすくなる。
【0167】
第2実施形態においては、実在集会と仮想集会を同時開催させることもできる。実在集会の音声あるいは映像を仮想集会に中継し、仮想集会の音声あるいは画像を実在集会に中継することにより、実在集会の参加者と仮想集会の参加者に双方の存在を意識させることができる。また、実在の尾道と仮想の尾道それぞれについて集会を同時開催させることにより「実在と仮想の違いはあっても同じ場所にいるという共通性」を演出できるので、いっそうの一体感をもたせることが可能となる。
【0168】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0169】
[変形例]
空港にインフォメーションセンターを設置してもよい。ユーザは、アバターをインフォメーションセンターに移動させることで、空港体験提供部226は空港の構内地図をユーザ端末300に送信してもよい。構内地図には、仮想店舗の場所あるいは商品リストを付加してもよい。同様にして、観光地にインフォメーションセンターを設置してもよい。観光体験提供部224は、観光地の地図をユーザ端末300に送信してもよい。この地図にも、仮想店舗あるいは観光スポットに関する情報が含まれてもよい。
【0170】
観光ツアーを行ってもよい。たとえば、新千歳空港においてガイドキャラクタを用意しておき、ガイドキャラクタが時計台ツアーの参加者を募集してもよい。仮想旅客機で乗り合わせたユーザはこのガイドキャラクタにツアーを申し込むことにより、数名にてガイドキャラクタの案内にしたがって時計台周辺を散策してもよい。観光体験提供部224は、ガイドキャラクタにアバターを引率させて観光地案内をしてもよい。
【0171】
ガイドキャラクタは乗務員キャラクタ146が兼任してもよい。乗務員キャラクタ146は、アバターたちといっしょに仮想旅客機から新千歳空港の降り、そのまま搭乗客を時計台等にガイドするとしてもよい。
【0172】
ユーザは、観光地案内あるいは観光地の広告に対して「いいね!」のように「賛意」を示す仕組みを付加してもよい。観光地あるいは広告ごとにこの「いいね!」の数を集約することにより、観光地の人気度を確認しやすくなる。同様にして、ユーザは、観光地案内あるいは観光地の広告に対してコメントを記載してもよい。このような制御方法によれば、観光地に対する人気だけでなくその理由(期待や感想)を知ることができるので観光資源開発に寄与すると考えられる。
【0173】
ユーザ端末300は、百貨店、インターネットカフェ、ゲームセンターなどに設置される専用装置であってもよい。この装置は、コックピットのようにユーザを完全に遮蔽するとともに、座席を傾けることで仮想旅客機の着陸や離陸時における加減速感を表現してもよい。
【0174】
第1実施形態においては、国内旅行を対象として説明したが、海外旅行にも応用可能である。たとえば、ダブリンやアムステルダムなどの都市を仮想空間で再現することにより、仮想の海外旅行を実現してもよい。
【0175】
第1実施形態においては、仮想旅客機の搭乗時間は20分であるとして説明した。仮想旅客機の搭乗時間は任意に設定可能である。実際の距離に関わらず、搭乗時間は一定としてもよいし、距離に応じて搭乗時間を変更してもよい。たとえば、羽田空港から那覇空港までの搭乗時間は30分、羽田空港からチャンギ国際空港(シンガポール)までの搭乗時間を1時間と設定することにより、搭乗時間により飛行距離を表現してもよい。
【0176】
マイレージ管理部230は、ユーザに付与するマイレージポイントを飛行距離あるいは搭乗時間に応じて変化させてもよい。たとえば、マイレージ管理部230は、羽田空港から京都空港までの旅行では10ポイントのマイレージポイントを付与し、羽田空港から岡山空港までの旅行では20ポイントのマイレージポイントを付与するとしてもよい。同様にして、チケットの料金も飛行距離に応じて設定してもよい。
【0177】
ユーザはアバターを自由に選ぶことができる。航空管理サーバ200は、アバターの選択画面(不図示)において、アバターの服や装飾品など有料商品を提供してもよい。ユーザは、自分の分身であるアバターの服装を自由にコーディネートできる。有料商品を購入したときには、決済処理部228は決済処理を実行する。アバターは、仮想旅客機あるいは観光地で記念撮影をすることができる。このため、仮想旅行に際してユーザはアバターを着飾ることで、綺麗な姿で記念写真に映ることができる。また、仮想旅客機において、乗務員キャラクタ146はアバターの服装について話しかけてもよい。たとえば、乗務員キャラクタ146がアバターに対して「かわいいブローチですね!」と褒めてあげれば、ユーザはアバターのコーディネートに対する意欲をいっそう喚起される。
【0178】
必要に応じて、搭乗口における搭乗手続きはスキップしてもよい。たとえば、羽田空港に到着したときに「一発搭乗指示」を入力したときには、搭乗処理部216は搭乗ゲートを経由することなくアバターの搭乗を許可してもよい。同様にして、仮想旅客機の出発時刻に間に合わなかったときには、ユーザは「一発飛行指示」を入力し、搭乗体験提供部222はアバターを、仮想旅客機を経由することなく新千歳空港に移動させてもよい。一発搭乗指示、あるいは、一発飛行指示は有料オプションとしてもよい。
【0179】
空港に「テレポート領域」を設けてもよい。新千歳空港行きのチケットを保有するアバターが、羽田空港のテレポート領域に入ったとき、搭乗処理部216は、搭乗体験させることなく、アバターを新千歳空港の所定領域に瞬間移動させるとしてもよい。
【0180】
同様にして、北海道にある仮想店舗への直接移動を可能としてもよい。たとえば、ユーザが、航空管理サーバ200により提示される仮想店舗リストから「新千歳空港の仮想店舗X」を選んだとき、空港体験提供部226はこのユーザのアバターを仮想店舗Xに導いてもよい。ユーザは仮想旅客機による移動をすることなく、仮想店舗Xでのショッピングを楽しむことができる。観光地にある仮想店舗Yについても観光体験提供部224は同様にして、アバターの直接移動を可能としてもよい。航空管理サーバ200は、ユーザが過去に訪れたことのある仮想店舗のみを選択可能に提示してもよい。
【0181】
実際の現地ガイドを介して実在(リアル)と仮想(バーチャル)の融合サービスを提供してもよい。たとえば、あらかじめ、釧路和商市場(実在)において現地ガイドと契約しておく。ユーザは、仮想羽田空港から仮想新千歳空港、更に、仮想新千歳空港から仮想の釧路和商市場にアバターを移動させるとする。現地ガイド(実在)は、ビデオカメラをつかって実際の釧路和商市場で、ユーザの代理として買い物を行う。ユーザは、現地ガイドにヘッドセット等を通して音声で指示を出す。現地ガイドは、購入品を後日ユーザに発送する。このような制御方法によれば、ユーザは仮想の釧路和商市場に到着したあと、実在の釧路和商市場の雰囲気を現地ガイドのビデオカメラを通して楽しむことができる。
【0182】
仮想集会の参加資格としては、第2実施形態において例示したもののほかにもさまざまなものが考えられる。たとえば、「仮想集会Fに参加した」ことを別の仮想集会Gの参加資格としてもよい。登録処理部422は、アバター(ユーザ)ごとに仮想集会への参加履歴を管理する。「仮想集会への参加回数が所定回数以上である」ことを仮想集会Hへの参加資格としてもよい。このほか、「A社の装飾品(商品オブジェクト)の購入金額が所定金額以上であること」を仮想集会Aへの参加資格としてもよい。このような制御方法によれば、A社は「お得意様」限定の仮想集会を開催できる。また、このような仮想集会を開催することで参加者に優遇されている感覚をもたせることができる。
【0183】
第2実施形態においては、ユーザは仮想集会に参加する前に予約をするものとして説明したが、仮想集会によっては予約を不要としてもよい。すなわち、ユーザは開催中の仮想集会に飛び入り参加できてもよい。
【0184】
ユーザはあらかじめ相互に「友だち」登録をしてもよい。たとえば、ユーザP1がユーザP2と友だち登録しているときには、仮想空間においてアバター(P1)とアバター(P2)の距離が大きくても会話可能としてもよい。
【0185】
仮想集会には参加人数に上限値を設けてもよい。開催者は、開催要項の一部として参加上限人数を設定しておく。登録処理部422は、参加受付をするごとに参加人数をカウントし、参加人数が上限に達したら以降は参加を受け付けない。あるいは、予約人数に制限を設け、予約処理部424は予約人数が上限に達したら以降は予約を受け付けないとしてもよい。本来、仮想集会の会場には物理的な制約がないのでアバターの数に上限はない。しかし、仮想集会ごとに上限人数を設定することにより、開催者は大集会から小集会まで、仮想集会の趣旨に応じてさまざまな規模感を設定できる。また、このような規模感を設定することで、実在集会と同様のリアルさを実現できる。
【0186】
集会体験提供部428は、あらかじめ仮想集会のための仮想会場を複数用意してもよい。開催者は仮想集会を開催したい仮想会場を選んで開催要求を送信してもよい。集会サーバ400の運営者は、開催者から仮想会場の使用料を徴収してもよい。具体的には、開催者は仮想会場を予約したとき、集会体験提供部428は決済処理部440に指示して、開催者の銀行口座から使用料を徴収する。
【0187】
ユーザ同士で商品オブジェクトの購入を楽しんでもよい。たとえば、商品オブジェクトの販売会として仮想集会を開催してもよい。集会体験提供部428は、集会空間において、商品オブジェクトを多数表示させる。ユーザは、アバターを介して、お互いにチャットあるいは音声にて会話をしながら商品オブジェクトの購入体験を楽しんでもよい。具体的には、
図10に関連して説明したように、集会体験提供部428は仮想店舗と同様にして販売会を仮想空間内にて開催してもよい。
【0188】
販売会においては、店員が操作する店員アバターを配置してもよい。店員アバターはチャットボットでもよい。ユーザは、商品オブジェクトについて質問があるときには、店員オブジェクトと会話できる。
【0189】
本実施形態においては、仮想空間はコンピュータグラフィックスにより生成されるとして説明した。変形例として、仮想空間は実在空間の撮像画像により生成されてもよい。たとえば、新千歳空港においてあらかじめ全天球カメラ(360度カメラ)により、各部を撮像することで大量の撮像画像を取得しておく。空港体験提供部226は、こうして得られた新千歳空港内部の撮像画像により、仮想新千歳空港の内部空間を構成してもよい。仮想旅客機の搭乗体験、仮想時計台等の観光体験、仮想集会の集会体験についても同様である。
【0190】
実在集会をカメラで撮像し、集会体験提供部428は集会空間内に設置される大型モニタ(仮想物体)に実在集会の撮像画像を表示してもよい。より具体的には、集会空間にあらかじめ大型モニタに対応する仮想物体を設置しておく。また、実在集会にはカメラを設置しておく。集会体験提供部428は仮想集会の大型モニタの画面領域に、カメラによる撮像画像(実在集会の動画像)を貼付(マッピング)する。このような制御方法によれば、仮想集会にアバターとして参加したユーザは、仮想集会の大型モニタを通して実在空間の様子を見ることができるので、実在集会が遠隔中継されているかのような感覚を楽しむことができる。
【0191】
仮想空間において、アバターは手を挙げることにより発言してもよい。たとえば、ユーザP1が「挙手コマンド」を入力すると、アバター(P1)は挙手する。アバター(P1)が挙手し、司会者アバターなどに指名されたとき、アバター(P1)は発言権を取得する。司会者となるユーザは「選択コマンド」により挙手されているアバターからいずれか1人のアバターを選ぶことで発言者を指名する。会話処理部426は、アバター(P1)が発言権を得たときには、ユーザ(P1)の発言を仮想集会の他のアバターに対しても転送する。同時に、会話処理部426はユーザ(P1)の発言を実在集会のスピーカ494から出力させる。また、このとき、会話処理部426は発言権を得たアバターの画像を実在集会のモニタ492に表示させてもよい。一方、会話処理部426は、実在集会で発言権を得た人の声を仮想集会に参加する各ユーザのユーザ端末300に転送する。また、実在集会の発言者をカメラで撮像し、仮想集会のモニタに表示させてもよい。
【0192】
仮想空間内における移動方法は仮想旅客機に限られない。たとえば、仮想電車、仮想自動車、徒歩、仮想自転車などにより仮想空間内を移動できてもよい。また、登録処理部422は仮想集会の玄関ページをユーザ端末300に表示させ、ユーザはこの玄関ページから参加予定の仮想集会をクリックしてもよい。このとき、集会体験提供部428は仮想集会の会場の扉が開くアニメーションを表示させ、ユーザを仮想集会の会場に導いてもよい。この場合には、仮想旅客機等の移動手段を使うことなく、ユーザは仮想集会に即時参加できる。
【0193】
たとえば、仮想電車は、仮想旅客機と同様に所定の運行スケジュールにしたがって、仮想の駅の間を運航してもよい。仮想の船舶、仮想のバスであっても同様にして仮想空間内を移動する。たとえば、ユーザはアバターを仮想空間内に構成される仮想のバス停に移動させ、仮想のバスが到着したときに乗車することで仮想空間内におけるバスの旅を楽しんでもよい。