IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フレニ・ブレンボ エス・ピー・エーの特許一覧

特許7320171改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ
<>
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図1A
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図1B
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図2
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図3
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図4
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図5
  • 特許-改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】改良されたブレーキ用電気油圧式アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20230727BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20230727BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20230727BHJP
   F16H 1/46 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B60T13/74 Z
B60T13/138 A
B60T8/17 B
F16H1/46
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020566783
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 IB2019054324
(87)【国際公開番号】W WO2019229604
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102018000005888
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】501016696
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・カッラーラ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・サーラ
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521324(JP,A)
【文献】特開2018-44636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030445(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0345934(US,A1)
【文献】国際公開第2013/121358(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0114770(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00 - 13/74
B60T 7/12 - 8/1769
8/32 - 8/96
F16H 1/28 - 1/48
48/00 - 48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキキャリパ、特に、2つ又はそれ以上の車輪を有する乗物のディスクブレーキを作動する電気油圧式アクチュエータ(100)であって、
ドライブシャフト(2)を有する電気モータ(1)と、
前記ドライブシャフトの回転運動を、前記ディスクブレーキの油圧マスタシリンダに作用させるように構成された並進可能部(4)の並進運動に変換するように、前記ドライブシャフト(2)に連結された変換機構(3)と、
前記変換機構(3)を収容するとともに前記電気モータ(1)の第2ハウジング(21)を支持するように構成された第1ハウジング(5)であって、前記変換機構は、前記ドライブシャフト(2)の回転運動を減速するように構成された減速ギヤ(6;36)を有し、前記減速ギヤ(6;36)は一つの部品として回転しないように固定された内歯付クラウン(12;32)を有する、第1ハウジング(5)を備えた電気油圧式アクチュエータにおいて、
前記ドライブシャフト(2)のに対して及び前記減速ギヤ(6;36)の中心軸(X)に対して前記電気モータ(1)と前記減速ギヤ(6;36)を正確に中心合わせするように、前記内歯付クラウン(12;32)は、前記電気モータ(1)の前記第2ハウジングに直接連結されて挿入された前部(42;62)と、前記変換機構(3)の前記第1ハウジング(5)に一体化された連結部とを有することを特徴とする、電気油圧式アクチュエータ。
【請求項2】
前記一体化された連結部は、前記内歯クラウン(12)の後部(43)と前記変換機構(3)の前記第1ハウジング(5)との間に直接結合されて挿入される、請求項1に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項3】
前記一体化された連結部は、前記内歯付クラウン(32)と前記第1ハウジングが一つの部品となった材料の連続性によって作られている、請求項1に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項4】
前記内歯付クラウン(12)は鋼で作られている、請求項2に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項5】
前記内歯付クラウン(32)は、熱可塑性ポリマー材料で作られている、請求項3に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項6】
前記内歯クラウン(12;32)は、前記変換機構(3)の前記第1ハウジング(5)に対して、及び/又は、前記電気モータ(1)の前記第2ハウジング(21)に対して、前記クラウン(12;32)が回転するのを防止するように構成された手段(44;65)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項7】
前記内歯付クラウン(12)の回転を防止する上述の手段は、ギザギザの付いた帯部(44)を有し、
前記帯部(44)は、前記クラウンの外周面(45)に設けられ、前記変換機構(3)の前記第1ハウジング(5)と干渉するように構成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項8】
前記内歯付クラウン(12)の回転を防止する上述の手段は、前記クラウンの外周面(64)から突出する少なくとも3つの固定部(65)を有し、
前記固定部は、前記クラウン(32)を前記変換機構の前記第1ハウジング(5)に固定するために、それぞれねじが係合するように構成されている、ことを特徴とする請求項6に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項9】
前記内歯クラウン(32)は、少なくとも3つの窪み(63)を有し、
前記3つの窪み(63)は、前記クラウンの前記前部(62)の縁に沿って、120°等間隔に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項10】
前記減速ギヤ(6;36)は、遊星ギヤで、第1減速部(10)を有し、
前記第1減速部(10)は、前記内歯付クラウン(12;32)と動作上関係する第1減速段と第2減速段を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項11】
前記減速ギヤ(6;36)は第2減速部(11)を有し、
前記第2減速部(11)は第3減速段を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の電気油圧式アクチュエータ(100)。
【請求項12】
油圧スラストユニットと請求項1~11のいずれかの電気油圧式アクチュエータ(100)を有する、乗物用の油圧ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に減速ギヤを含む自動車・モータサイクル・商業用又は産業用の乗物のための特にディスクブレーキ用ブレーキキャリパを作動するための電気油圧式アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
BBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)式の車用ブレーキシステムが知られて使用されている。このブレーキシステムでは、ブレーキペダルに連結された線形変換器が、ブレーキペダルの動きを検出し、ブレーキトルクに対するユーザの要求を示す電気信号を制御ユニットに送信するように構成されている。
【0003】
そのような制御ユニットは、変換器の信号を処理して、ブレーキトルク要求に応じて、油圧ポンプの電気モータを制御する。電気モータによって動作される油圧ポンプは、油圧油を加圧して車両ブレーキの油圧アセンブリに運ぶ。
【0004】
ペダルブレーキが油圧回路に直接作用する従来のブレーキシステムに関して、ブレーキ・バイ・ワイヤシステムの利点は、ブレーキペダルによって加えられる力の助けを借りずに、ブレーキシステムの油圧を生成し制御できることである。また、油圧回路の少なくとも一部を電気回路に置き換えることで、油圧流体を節約し、重量を減らし、ブレーキシステムの環境への影響を減らすことができる。
【0005】
公知の油圧ブレーキ用電気油圧式アクチュエータの課題解決策が、出願人によるイタリア特許IT1411578号に記載されている。そこに記載された電気油圧式アクチュエータは、ドライブシャフトと、該ドライブシャフトに連結されてドライブシャフトの回転を油圧ポンプに作用するに構成された可動部の並進運動に変換する変換機構を備えている。
【0006】
さらに詳細に説明すると、アクチュエータハウジングは、変換機構を収容し、電気モータを支持するように構成されている。
【0007】
このような公知のアクチュエータは、2カ所でセンタリングされる。第1のセンタリングは、電気モータと変換機構のハウジングとの間である。第2のセンタリングは、同ハウジングと、変換機構に含まれている遊星減速ギヤ(特に、2段の遊星減速ギヤ)に関連した内歯付クラウンとの間である。
【0008】
そのような、公知の解決策で示唆された二重センタリングは、大型のアクチュエータを製造するにあたって構造上の制約や、必要な高耐久性による効率損失や、アクチュエータ部品の組立が複雑である、という課題がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、従来技術に関して説明した問題を解消する特徴を備えたブレーキキャリパを作動するための電気流体式アクチュエータを利用できるようにすることである。
【0010】
特に、本発明は、ブレーキキャリパ、特に2つまたはそれ以上の車輪を備えた乗物のディスクブレーキを作動する電気油圧式アクチュエータに関し、
ドライブシャフトを有する電気モータと、
前記ドライブシャフトの回転運動を、前記ブレーキの油圧マスタシリンダに作用させるように構成された並進可能部の並進運動に変換するように、前記駆動シャフトに連結された変換機構と、
前記変換機構を収容するとともに前記電気モータの第2ハウジングを支持するように構成された第1ハウジングであって、前記変換機構は、前記ドライブシャフトの回転運動を減速するように構成された減速ギヤを有し、前記減速ギヤは一つの部品として回転しないように固定された内歯付クラウンを有する、第1ハウジング(5)、を備えている。
前記ドライブシャフトの前記軸に対して及び前記減速ギヤの中心軸に対して前記電気モータと前記減速ギヤを正確に中心合わせするように、前記内歯付クラウンは、前記電気モータの前記第2ハウジングに直接連結されて挿入された前部と、前記変換機構の前記第1ハウジングに一体化された連結部とを有する。
【0011】
前記リングの外周面と前記変換機構の前記ハウジングとの間の連結は、好ましくは干渉型式のものである。
【0012】
この種の連結は、リングギヤと変換機構のハウジングとの間のセンタリングと、電気モータハウジングと変換機構ハウジングとの間への正確なOリングの組み付けを保証する。
【0013】
内歯付クラウンと電気モータハウジングとの間の連結と、クラウン自身の変換機構の第1ハウジングへの一体的連結により、該クラウンが軸方向ガイドとして機能し、クラウンギヤの第1段の遊星ギヤに対して電気モータのピニオンを正確に同期させる(すなわち、センタリングに関して電気モータを正確に組み付けることをできる。言い換えると、公知の解決策に関して、アクチュエータ部品の組立工程が、簡素化される。
【0014】
本発明の他の目的は、減速ギヤの内歯付クラウンが、変換機構の第1ハウジングに対して、及び/又は、電気モータの第2ハウジングに対して、クラウンの回転を防止する手段を有する電気油圧式アクチュエータを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、減速ギヤの内歯付クラウンが変換機構のハウジングの材料とは異なる材料(例えば、熱可塑性材料)で作ることができる、電気油圧式アクチュエータを提供することである。この形態は、アクチュエータの全体重量と製造コストが減少するという利点がある.
【0016】
これらの目的及びその他の目的は、請求項1に係るブレーキキャリパを作動する電気油圧式アクチュエータによって達成される。
【0017】
そのような電気油圧式アクチュエータの好ましい実施形態又有利な実施形態が従属請求項の対象である。
【0018】
本発明に係るブレーキキャリパを作動する電気流体式アクチュエータの特徴と利点は、添付図面を参照した例示の非限定的な実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、本発明に係る油圧ブレーキ用の電気油圧式アクチュエータの斜視図である。
図1B図1Bは、本発明に係る油圧ブレーキ用の電気油圧式アクチュエータの斜視図である。
【0020】
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る図1A及び1Bにおけるアクチュエータの一部の長軸に沿った拡大断面図である。
【0021】
図3図3は、図2に示すアクチュエータの減速ギヤの部分斜視図である。
【0022】
図4図4は、第1実施形態に係る図2,3の減速ギヤの内歯付きクラウンの斜視図である。
【0023】
図5図5は、第2実施形態に係る本発明のアクチュエータの一部の中心軸に沿った拡大断面図である。
【0024】
図6図6は、本発明の第2実施例の形態に係る図5の減速ギヤの内歯付クラウンの斜視図である。
【詳細な説明】
【0025】
上述の図における同じ要素又は同等の要素は同じ符号で示される。
【0026】
本発明に係る電気油圧式アクチュエータが図面に示されており、全体が符号100で示されている。
【0027】
このような電気油圧式アクチュエータ100(単に「アクチュエータ」という。)は、油圧スラストアセンブリを備えたディスクブレーキのブレーキキャリパを作動するように構成されている。アクチュエータ100は電気モータ1を有する。電気モータ1はドライブシャフト2を有する。アクチュエータ100は変換機構3を有する。変換機構3は、ドライブシャフト2に連結されており、モータシャフト2の回転運動を、アクチュエータの可動部の並進運動に変換するように構成されている。アクチュエータの可動部は、アクチュエータ100からドライブシャフト2に対して直角に延在するアクチュエータ100の一部4に収容されている。
【0028】
特に、油圧ポンプ(図示せず)は、運動変換機構3と動作上関連付けされており、上述の並進動作に応答して油圧の圧力を増加する。
【0029】
図1A,1B,2,及び5を参照すると、アクチュエータ100は、第1ハウジング5を有する。第1ハウジング5は、変換機構3を収容し、電気モータ1の第2ハウジング21を支持するように構成されている。
【0030】
図2,5の実施例を参照してより詳細に説明すると、変換機構3は減速ギヤ6、36を有する。減速ギヤは、ドライブシャフト2と変換アセンブリの回転運動を減速し、回転運動を並進運動に変換するように、構成されている。
【0031】
このような減速ギヤ6,36は、クラウン12,32を有する。クラウン12,32は、一体的に内歯を有し、回転しないように固定されている。
【0032】
実施形態において、減速ギヤ6,36は、遊星ギヤであって、第1減速部10を有する。第1減速部は、内歯を有するクラウン12,32と動作上関連している。特に、上述した第1減速部10は、第1減速段と第2減速段を含む。
【0033】
さらに、遊星減速ギヤ6,36は第2減速部11を有する。第2減速部11は第3減速段を含む。
【0034】
変換機構3は、ドライブシャフト2の回転運動を遊星減速ギヤ6,36に伝える伝達手段7を有する。
【0035】
本発明の実施形態によれば、伝達手段7は、外歯を有するモータシャフト2の端部に形成された連結部を有する。外歯は、遊星減速ギヤ6,36の第1遊星ギヤセットの遊星ギヤ9に噛み合っている。これにより、ドライブシャフト2は、遊星減速機6,36の第1減速部10における第1段の中央ピニオンを形成している。
【0036】
第1減速部10は、第1減速段を備えており、ドライブシャフト2の端部によって形成された上述の中央ピニオンと、第1遊星キャリアプレート13によって支持された第1遊星ギヤセットの第1の遊星ギヤ9と、内歯を有し且つ回転が規制されたクラウン12,32とを含み、上述の遊星ギヤ9がドライブシャフトとクラウン12,32の両方に噛み合っている。
【0037】
上述の第1遊星キャリアプレート13は、第1減速部10における第2減速段の中央ピニオン(サンギヤ)を構成する中央歯部を有する。
【0038】
そのような第2減速段は、第1遊星キャリアプレート13の中央歯部によって形成された第2中央ピニオン(サンギヤ)に加えて、歯付きクラウン12,32と、第2遊星ギヤセットの遊星ギヤ14を有する。第2遊星ギヤ14は、第2中央ピニオンと内歯付クラウン12の両方に噛み合っている。
【0039】
そのような第2遊星ギヤ14は第2遊星キャリアプレート15によって支持されている。第2遊星キャリアプレート15は、第2減速部11に対する連結部を形成する。
【0040】
図2,5に示されるように、減速ギヤ6,36は中央ピン8を有する。中央ピンは、第1減速部10の第1減速段及び第2減速段のディスクの機能を改善する。
【0041】
第2減速部11は、例えば、第3減速段を有する。第3減速段は、上述の第1減速段及び第2減速段と同様に、第3遊星ギヤセットの遊星ギヤ16を有する。遊星ギヤ16は、遊星キャリアプレートの中央ピニオンと別のクラウン17と噛み合っている。
【0042】
当業者に知られているように、異なる2組の歯は、3つの遊星減速段を有する減速ギヤ6,36に加わる負荷に応じて採用される。
【0043】
本発明の好適な実施例によれば、内歯付クラウン12,32は、電気モータ1の第2ハウジング21に直接的に結合されてそこに挿入された前部42,62と、 変換機構3の第1ハウジング5に結合される剛結合部を有する。
【0044】
これにより、電気モータの回転軸は、減速ギヤ6,36の中央回転軸Xに一致している。したがって、電気モータと減速ギヤのセンタリングを正確に行うことができる。
【0045】
図2,3,4を参照すると、本発明の第1実施形態において、上述の一体型の連結は、減速ギヤ6の内歯付クラウン12の後部43を変換機構3の第1ハウジング5に直接連結するとともにそこに挿入するものである。
【0046】
特に、そのような内歯付クラウン12は鋼で作られる。歯の数は、例えば70~90の範囲である。
【0047】
本発明の第2実施形態における図5,6を参照すると、上述の一体結合は材料の連続性によって行われ、内歯付クラウン32と第1ハウジング5,5’は一つの部品である。
【0048】
特に、クラウン32は、変換機構3の第1ハウジング5の部分5’を有する単一部品である。
【0049】
図6を参照すると、そのような内歯付クラウン32は、複数の固定部65(特に、少なくとも3つのシート)を有する。固定部65は、クラウン32を変換機構の第1ハウジング5に固定するために、それぞれねじが係合するように構成された径方向に伸びる部分を有する。
【0050】
さらに、クラウン32は、円形のクラウン壁66を有する。クラウン壁66は、クラウン32の主中心軸に垂直に延在し、第1減速部10を第2減速部11から分離するように構成されている。
【0051】
特に、実施形態において、減速ギヤ36の内歯付クラウン32は、熱可塑性ポリマー材料で作られている。歯の数は、例えば、70~90の範囲である。
【0052】
本発明のアクチュエータの実施形態において、内歯付クラウン12,32は、変換機構3の第1ハウジング5に対して、及び/又は、電気モータ1の第2ハウジング21に対して、クラウン12,32が回転するのを防止するように構成された手段44,65を有する。
【0053】
図4を参照すると、本発明の第1実施形態において、内歯付クラウン12の回転を防止する上述の手段は、ギザギザの付いた帯部44を有する。帯部44は、クラウンの外周面45に設けられ、変換機構3の第1ハウジング5と干渉するように構成されている。
【0054】
図6を参照すると、本発明の第2実施形態において、内歯付きクラウン32の回転を防止する手段は、クラウン32の外周面64から突出する少なくとも3つの固定部65を有する。
【0055】
特に有利な実施形態において、減速ギヤ36の内歯付クラウ32は、少なくとも3つの窪み63を有する。実施形態において、3つの窪み63は、クラウンの前部62の縁に沿って、120°等間隔に設けられている。そのような窪み63は、電気モータ1の第2ハウジング21に対するモータシム(図示せず)のセンタリングを促進するように構成されている。
【0056】
クラウン32の主中心軸に対して直角に延在する環状クラウン壁66は、クラウンの前部エッジ62の反対側に設けられている。
【0057】
本発明はまた、油圧スラストアセンブリに動力を供給する電気油圧式アクチュエータを有する単一のブレーキに関する。
【0058】
本発明のアクチュエータ100のクラウン12の外側部分は、トランスミッションのハウジング5に対するセンタリングを確実なものとし、それはトランスミッションハウジング3とエンジンハウジングとの間の干渉及びそれらの間へのOリング40,50の正確に取り付けを保証する。
【0059】
また、内歯付クラウン12,32は、センタリングに関して、モータ1を軸方向にガイドしてその正確な取付を行うように構成されている。挿入の際、そのような構成によって、第1減速部10の第1段の遊星ギヤ9に対してピニオン(モータ)を同期させることができる。
【0060】
実施例を通じて他の特徴と一緒に説明した複数の特徴は、独立して単独で記載されたものとして理解すべきで、本発明に係るブレーキ用の電気油圧式アクチュエータの他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0061】
他の実施形態の特徴から独立して又は他の特徴と組み合わせた特徴を有するこれらの実施形態は、明らかに予定されており、簡潔さのために明細書に記載されていない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6