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特許7320176開位置を規定する逆止弁インサートおよび当該逆止弁インサートを有する逆止弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】開位置を規定する逆止弁インサートおよび当該逆止弁インサートを有する逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/02 20060101AFI20230727BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20230727BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
F16K15/02
F16K27/02
F02M35/10 311Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020558977
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019028726
(87)【国際公開番号】W WO2019209828
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】62/661,165
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
【住所又は居所原語表記】16000 Common Road,Roseville MI 48066 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・イー・フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・シー・ギルマー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・スノー
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・イー・ダフィールド・ザ・サード
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517686(JP,A)
【文献】特開2017-110687(JP,A)
【文献】特開2016-23723(JP,A)
【文献】特表2017-503128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0186151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
F16K 27/00-27/12
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁ユニット(500,600)の開位置のための第1の座(524)を画定する逆止弁インサート(505)であって、
外側支持体(570)であって、逆止弁ユニット(500,600)の内部チャンバー内に着座可能であり、かつ、上面(571)および下面(572)を有する外側支持体(570)と、
内側環状リング(574)であって、この内側環状リング(574)の上面(575)を、前記外側支持体(570)の上面(570)を軸線方向にある距離だけ越えて配置するために、中心長手方向軸線(C)に向かって軸線方向に傾斜したリブによって前記外側支持体(570)から半径方向内向きに離間させられた内側環状リング(574)
を具備し、
前記内側環状リング(574)の360度のうちの20度から170度の範囲の劣弧に沿った前記内側環状リング(574)の前記上面(575)は、前記外側支持体(570)に向かって軸方向下向きにかつ半径方向外向きに傾斜させられ、これによって前記上面(575)の傾斜面部分(580)が画定されている、逆止弁インサート(505)
【請求項2】
前記外側支持体(570)は環状リングまたは多角形リングである、請求項1に記載の逆止弁インサート。
【請求項3】
前記内側環状リング(574)が円形または楕円形である、請求項1に記載の逆止弁インサート。
【請求項4】
逆止弁ユニット(500,600)であって、
入口ポート(508,608)を画定する第1のハウジング部と、出口ポート(512,612)を画定する第2のハウジング部とを備えた二部分ハウジング(506および507;602aおよび602b)であって、気密接続された際に、前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部は、前記入口ポートおよび前記出口ポートと流体連通するチャンバー(556または566;606)を集合的に画定し、これによって前記入口ポートから前記チャンバーを通って前記出口ポートに至る流路を画定、前記チャンバー(556または566;606)は、閉位置のためのシール座(626)を画定すると共に、前記第1のハウジング部または前記第2のハウジング部のいずれかが前記チャンバー内に内向きに突出するショルダー(530;630)を有する二部分ハウジング(506および507;602aおよび602b)と、
前記チャンバー内で前記ショルダー(530;630)に着座させられた逆止弁インサート(505)であって、
上面(571)および下面(572)を有する外側支持体(570)であって、前記外側支持体(570)の前記下面(572)は前記チャンバー(556または566;606)内で前記ショルダー(530;630)に着座させられる外側支持体(570)と
内側環状リング(574)であって、この内側環状リング(574)の上面(575)を、前記外側支持体(570)の上面(571)を軸線方向にある距離だけ越えて配置するために、中心長手方向軸線(C)に向かって軸線方向に傾斜したリブ(576)によって前記外側支持体(570)から半径方向内向きに離間させられた内側環状リング(574)
を具備し、
前記内側環状リング(574)の360度のうちの20度から170度の範囲の劣弧に沿った前記内側環状リング(574)の前記上面(575)は、前記外側支持体(570)に向かって軸方向下向きにかつ半径方向外向きに傾斜させられ、これによって前記上面(575)の傾斜面部分(580)が画定されている逆止弁インサート(505)と、
シールディスク(511;611)であって、前記逆止弁インサート(505)の前記内側環状リング(574)の上面(575)に着座させられる開位置から、専ら前記チャンバーの前記シール座(626)に着座させられる前記閉位置へと前記シールディスクを移動させるために前記シールディスク(511;611)自体を横切る圧力差に応答して、前記チャンバー(556または566;606)内で直線的に平行移動可能なシールディスク(511;611)
を具備する逆止弁ユニット(500,600)
【請求項5】
前記外側支持体(570)は環状リングまたは多角形リングである、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項6】
前記内側環状リング(574)は円形または楕円形である、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項7】
周方向に離間した複数のリブが、前記内側環状リング(574)を前記外側支持体(570)から離間させる、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項8】
前記出口ポートはベンチュリーデバイス(500)のベンチュリーギャップ(552)である、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項9】
前記出口ポートはベンチュリーデバイス(500)のバイパスポート(514a)である、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項10】
前記バイパスポート(114a,114b)はベンチュリーギャップ(552)の下流に配置される、請求項に記載の逆止弁ユニット。
【請求項11】
ベンチュリーデバイス(500)であって、
ベンチュリーギャップ(552)を形成するために互いに距離を置いて離間させられ、そのいずれもが前記ベンチュリーギャップ(552)に向かって収束する原動セクション(116)および排出セクション(146)を有する通路を画定し、かつ、前記ベンチュリーギャップ(552)を収容すると共に前記ベンチュリーギャップ(552)と流体連通する第1の吸引ポート(510a)を有するチャンバー(556)を画定する本体(506)であって、前記チャンバー(556)は、内向きに突出すると共に前記ベンチュリーギャップ(552)と前記第1の吸引ポート(510a)との間に予め選択された距離で配置された第1のショルダー(530)を有する本体(506)と、
前記チャンバー(556)内で前記第1のショルダー(530)に着座させられた第1の逆止弁インサート(505)であって、
前記チャンバー(556)内に着座可能であり、かつ、上面(571)および下面(572)を有する外側支持体と、
内側環状リング(574)であって、前記内側環状リング(574)の上面(571)を、前記外側支持体(570)の上面(571)をある距離だけ軸線方向に越えて配置するために、中心長手方向軸線に向かって軸線方向に傾斜したリブによって前記外側支持体(570)から半径方向内向きに離間させられた内側環状リング(574)
を具備し、
前記内側環状リング(574)の360度のうちの20度から170度の範囲の劣弧に沿った前記内側環状リング(574)の前記上面(575)は、前記外側支持体(570)に向かって軸方向下向きにかつ半径方向外向きに傾斜させられ、これによって前記上面(575)の傾斜面部分(580)が画定されている第1の逆止弁インサート(505)と、
前記第1の逆止弁インサート(505)の前記内側環状リング(574)の上面(575)に着座させられる開位置と閉位置との間で前記チャンバー(556)内において移動可能な第1のシールディスク(511)であって、第1のシールディスク(511)自体を横切る圧力差に応答して平行移動可能である第1のシールディスク(511)と、
第1の逆止弁(520)を集合的に形成するために前記第1の吸引ポート(510a)に気密接続された第1の吸引ハウジング(507)であって、前記閉位置のための弁座を画定する第1の吸引ハウジング(507)
を具備するベンチュリーデバイス(500)
【請求項12】
前記本体(106)は、前記ベンチュリーギャップ(552)と流体連通する第2の吸引ポート(510b)をさらに有する、請求項11に記載のベンチュリーデバイス。
【請求項13】
前記本体(106)の前記第2の吸引ポート(510b)に気密接続されたキャップ(409b)をさらに備える、請求項12に記載のベンチュリーデバイス。
【請求項14】
前記本体の前記第2の吸引ポート(510b)に気密接続されて、第2の逆止弁(521)を集合的に形成する第2の吸引ハウジング(107b)をさらに備える、請求項12に記載のベンチュリーデバイス。
【請求項15】
前記チャンバー(556)は、内向きに突出すると共に前記ベンチュリーギャップ(552)と第2の吸引ポート(510b)との間に予め選択された距離に配置された第2のショルダーと、前記チャンバー(556)内で前記第2のショルダーに着座させられる第2の逆止弁インサート(505)と、を有し、前記第2の逆止弁インサート(505)は、
前記チャンバー(556)内に着座可能でありかつ上面(571)および下面(572)を有する外側支持体(570)と、
内側環状リング(574)であって、この内側環状リング(524)の上面(575)を、前記外側支持体(570)の上面(571)を軸線方向にある距離だけ越えて配置するために、中心長手方向軸線(C)に向かって軸線方向に傾斜したリブ(576)によって前記外側支持体(570)から半径方向内向きに離間させられた内側環状リング(574)
を具備する、請求項11に記載のベンチュリーデバイス。
【請求項16】
前記第2の逆止弁インサート(505)の前記内側環状リング(524)の上面(577)に着座させられる開位置と閉位置との間で、第2の逆止弁チャンバー(566)内で移動可能な第2のシールディスク(511)をさらに具備し、前記第2のシールディスク(511)は、前記第2のシールディスク自体を横切る圧力差に応答して平行移動可能である、請求項15に記載のベンチュリーデバイス。
【請求項17】
前記原動セクションの出口端部(532)は、前記チャンバーが前記出口端部の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置で、前記本体(106)によって画定される前記チャンバー(556)内へと延在し、かつ、前記排出セクションの入口端部(534)は、前記チャンバーが前記排出セクションの前記入口端部の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置で、前記チャンバー(556)内へと延在する、請求項11に記載のベンチュリーデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、シールディスクを横切る圧力差にのみ応答して平行移動可能な平行移動可能シールディスクの開位置のための弁座を画定するインサートを有する逆止弁に関する。逆止弁は独立型ユニットであってもよく、あるいはベンチュリーギャップおよび/またはバイパスポート用の逆止弁としてベンチュリーデバイスと一体化されてもよい。
【背景技術】
【0002】
エンジン、例えば車両エンジンは、真空を生成するためのアスピレーターまたは排出器、および/または逆止弁を含んでいる。通常、アスピレーターは、エンジンの空気の一部をそれがベンチュリーギャップを通って移動するように誘導することにより、エンジンマニホールドの真空よりも低い真空を生成するために使用される。アスピレーターは、その中に逆止弁を含むことがあり、あるいはシステムが別個の逆止弁を含むことがある。2017年1月3日に発行された共同所有の米国特許第9,534,704号および2017年2月28日に発行された米国特許第9,581,258号に示されるように、各逆止弁は、ベンチュリーデバイスに組み込まれるか、個別の逆止弁ユニットとして組み込まれるかにかかわらず、逆止弁の開位置を規定する平行移動可能なシールディスクのための支持体/席を形成するために半径方向に離間した複数のフィンガーによって形成される第1の弁座および逆止弁の閉位置を規定する第2の弁座を含む。こうした逆止弁ユニットでは、第1および第2の弁座は、逆止弁ユニットの内部チャンバーを画定するハウジングの一体成形コンポーネントであり、成形コンポーネントとして、ハウジングと同じ耐久性のある材料から形成される。
【0003】
上記の逆止弁ユニットは、本明細書に開示されるように、平行移動可能なシールディスクへの応力を低減するように改善することができるが、これは、半径方向に離間した複数のフィンガーの形状、間隔および材料ならびにシステム内の圧力差によってシールディスクに加えられる圧力の結果である。したがって、シールディスクへの応力を低減するために第1の弁座を改善する必要があり、逆止弁ユニットの容易な製造および組み立てを改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9,534,704号明細書
【文献】米国特許第9,581,258号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
全ての態様において、逆止弁ユニットのチャンバー内に挿入可能かつ着座可能な逆止弁インサートが本明細書で開示される。各逆止弁インサートは、逆止弁ユニットの内部チャンバー内に着座可能でありかつ上面および下面を有する外側支持体と、内側環状リングの上面を外側支持体の上面をある距離だけ軸線方向に越えて配置するために中心長手方向軸線に向かって軸線方向に傾斜したリブによって外側支持体から半径方向内向きに離間させられた内側環状リングとを有する。内側環状リングは、逆止弁ユニットの開位置のための第1の座座を画定する。
【0006】
全ての態様において、外側支持体は環状リングまたは多角形リングであり、内側環状リングは円形または楕円形である。また、内側環状リングの上面は、中心長手方向軸線に垂直な一つの平面内の連続面であるか、二つの対向するトラフを伴って起伏するか、または20度から170度の範囲の劣弧上で外側支持体に向かって下向きにかつ半径方向外向きに傾斜させられる。さらに、周方向に離間した複数のリブが内側環状リングを外側支持体から離間させる。
【0007】
別の態様では、上記の逆止弁インサートのいずれかは、逆止弁ユニットのチャンバー内に着座させられる。逆止弁ユニットは、入口ポートと、出口ポートと、入口ポートおよび出口ポートと流体連通するチャンバーとを画定するハウジングを有し、これによって、入口ポートからチャンバーを通って出口ポートに至る流路を画定する。チャンバーは閉位置のためのシール座を画定し、内向きに突出するショルダーを有する。逆止弁インサートはチャンバー内のショルダーに着座させられ、かつ、逆止弁インサートの内側環状リングの上面に着座させられた開位置と閉位置との間でシールディスク自体を横切る圧力差に応答して平行移動する、チャンバー内で平行移動可能なシールディスクが存在する。
【0008】
一実施形態では、逆止弁ユニットの出口ポートは、ベンチュリーデバイスのベンチュリーギャップまたはベンチュリーデバイスのバイパスポートである。バイパスポートはベンチュリーギャップの下流に配置されてもよい。
【0009】
別の態様では、上記の逆止弁インサートのいずれかは、ベンチュリーデバイスのチャンバー内に着座させられる。ベンチュリーデバイスは、そのいずれもがベンチュリーギャップに向かって収束する、ベンチュリーギャップを形成するために互いに距離を置いて配置された原動セクションおよび排出セクションを有する通路を画定し、かつ、ベンチュリーギャップを収容すると共にベンチュリーギャップと流体連通する第1の吸引ポートを有するチャンバーを画定する本体を有する。チャンバーは、内向きに突出すると共に、ベンチュリーギャップと第1の吸引ポートとの間に予め選択された距離に配置された第1のショルダーを有する。逆止弁インサートはチャンバーのショルダーに着座させられ、シールディスク自体を横切る圧力差に応答して、逆止弁インサートの内側環状リングの上面に着座させられた開位置と閉位置との間で平行移動する、チャンバー内で平行移動可能なシールディスクが存在する。ベンチュリーデバイスは、第1の吸引ポートに気密接続されて第1の逆止弁チャンバーを集合的に画定する第1の吸引ハウジングを含み、吸引ハウジングは閉位置のための弁座を画定する。
【0010】
全ての態様において、ベンチュリーデバイスの本体は、ベンチュリーギャップと流体連通する第2の吸引ポートと、第2の吸引ポートに気密接続されたキャップまたは第2の逆止弁チャンバーを集合的に形成するために第2の吸引ポートに気密接続された第2の吸引ハウジングのいずれかをさらに画定する。第2の吸引ハウジングが存在する場合、本体のチャンバーは、内向きに突出すると共に、ベンチュリーギャップと第2の吸引ポートとの間に予め選択された距離をおいて配置された第2のショルダーを有し、第2の逆止弁インサートはチャンバー内の第2のショルダーに着座させられる。第2の逆止弁インサートは上記の逆止弁インサートのいずれかである。さらに、第2のシールディスクを横切る圧力差に応答して平行移動可能な第2のシールディスクが第2の逆止弁チャンバー内に存在し、第2の逆止弁インサートの内側環状リングの上面に着座させられた開位置と閉位置との間を平行移動する。
【0011】
ベンチュリーデバイスの全ての態様において、原動セクションの出口端部は、チャンバーが出口端部の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置で、本体によって画定されるチャンバー内へと延在し、排出セクションの入口端部は、チャンバーが排出セクションの入口端部の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置でチャンバー内へと延在する。また本体は、第1の吸引ポートの下流にバイパスポートを画定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ベンチュリーデバイスの一形態の側面図である。
図2図1のベンチュリーデバイスの側方から見た長手方向縦面図である。
図3図2のベンチュリーデバイスの本体だけの代替形態の側方から見た斜視図である。
図4】ベンチュリーデバイスの別の形態の側方から見た長手方向断面図である。
図5図4のベンチュリーデバイスの本体だけの側方から見た斜視図である。
図6】ベンチュリーデバイスの改良された実施形態の側方から見た斜視分解図である。
図7】逆止弁インサートの第1実施形態の側面図である。
図8】逆止弁インサートの第2実施形態の側方から見た斜視図である。
図9】逆止弁インサートの第3実施形態の側方から見た斜視図である。
図10】逆止弁インサートの第4実施形態の側方から見た斜視図である。
図11】逆止弁インサートの第5実施形態の側方から見た斜視図である。
図12】逆止弁インサートの第6実施形態の側方から見た斜視図である。
図13】逆止弁インサートを有する独立型逆止弁の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は本発明の一般的な原理を説明し、その例は添付図面において、さらに示されている。図面において、同様の参照符号は同一または機能的に類似した要素を示す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「流体」は、液体、懸濁液、コロイド、ガス、プラズマまたはそれらの組み合わせを意味する。
【0015】
図1は、エンジン、例えば車両のエンジンにおいて使用するための、概して参照符号100によって指し示されるベンチュリーデバイスの外観図である。エンジンは、図2に示される真空を必要とするデバイス102を含む内燃機関であってもよい。逆止弁は、通常、例えば(スロットルの下流の)インテークマニホールドと真空を必要とするデバイスとの間のエアフローライン中の車両システムにおいて使用される。エンジンおよびその全てのコンポーネントおよび/またはサブシステムは、本明細書で識別されるエンジンの特定のコンポーネントを表すために含まれる、いくつかのボックスを除いて、図には示されておいらず、そしてエンジンコンポーネントおよび/またはサブシステムは車両エンジンに一般的に見られるものを含み得ることが理解される。例えば、原動流源はベンチュリーデバイス100の原動セクション116に流体的に接続されており、これは大気圧またはブースト圧力であってもよい。図中の実施形態は、原動セクション116が大気圧に接続されているためアスピレーターと呼ばれるが、実施形態はそれに限定されない。他の実施形態では、原動セクション116は、ターボチャージャーによって生成されたブースト空気に起因する圧力などのブースト圧力に接続されてもよく、したがって「アスピレーター」は、この状況では、好ましくは「エジェクター」と呼ばれる。
【0016】
図1および図2を参照すると、ベンチュリーデバイス100は、真空を必要とするデバイス102に接続され、ベンチュリーデバイス100は、ベンチュリー効果をもたらすように設計された、概ね本体106の長さにわたって延在する通路104を通る空気流によって当該デバイス102のための真空を生成する。通路104は、エンジンまたはそれに接続されたコンポーネントに接続可能な四つ以上のポートを有する。これらのポートには、(1)スロットルの上流に配置された、例えばエンジン吸気クリーナーからの清浄な空気の供給源に接続されてもよい原動ポート108と、(2および3)一対の吸引ポート110a,110bと;(4)エンジンのスロットルの下流でエンジン吸気マニホールドに接続されてもよい排出出口112と、任意選択で(5)一つ以上のバイパスポート114a,114bとが含まれる。通路104を通る原動流体の流れは、原動ポート108(高圧)から排出出口112(低圧)に向かって移動する。図示の実施形態では、吸引ポート110a,110bはそれぞれ、吸引ハウジング107aおよび107bを介して、それぞれポート154およびオプションの補助ポート115と流体連通している。ポート154は、ベンチュリーデバイスを、真空を必要とするデバイス102に接続する入口として機能することができる。一実施形態では、真空を必要とするデバイスは、両方のポート154に接続される一つのデバイスであっても、あるいは図2に示すように、それぞれが一つのポート154に接続される二つの別個のデバイスであってもよい。真空を必要とする追加のデバイスを一つ以上の補助ポート115に接続することができる。それぞれのポート108,112,115および154のそれぞれは、それぞれのポートをホースまたはエンジン内のその他のコンポーネントに接続するためのコネクター機構117をその外面に含むことができる。
【0017】
図1および図2において、本体106は、気密的にしっかりと接続された状態で、上側吸引ハウジング107aおよび下側吸引ハウジング107bに接続されている。図示の実施形態では、上側ハウジング部分107aおよび下側ハウジング部分107bは、本体106に対するそれらの取り付け位置を除いて同一であるが、吸引ハウジング107a,107bは同一である必要はなく、同じコンポーネントの全てを含む必要もない(例えば、一つのバイパスポート114のみを有する実施形態では、吸引ハウジング107a,107bのうちの一つの関連する特徴および本体106の対応する接続機構は省略される)。上側、下側および中央部分の呼称は、説明の目的で、ページ上で方向付けられた図面に関連しており、エンジンシステムで使用される場合には図示された方向に限定されない。上側および下側吸引ハウジングは、例えば、超音波融着、加熱、またはそれらの間に気密または液密シールを形成するためのその他の従来の方法によって本体106に接合される。
【0018】
さらに図1および図2を参照すると、図示の実施形態では、逆止弁120aおよび120bおよび121aおよび121bは、吸引ハウジング107aおよび107bと、それらのそれぞれの吸引ポート110aおよび110bならびにバイパスポート114aおよび114bとの間でベンチュリーデバイス100に組み込まれる。代替的に、逆止弁120a,120b,121a,121bのうちの一つ以上は省略されてもよく、あるいはアスピレーターシステムの外部コンポーネントとして提供されてもよい。逆止弁120a,120bは、流体が吸引ポート110a,110bから作用デバイス102に流れるのを防ぐように配置されることが好ましい。一実施形態では、真空を必要とするデバイス102は、車両ブレーキブーストデバイス、燃料蒸気パージシステム、自動トランスミッションあるいは空気圧または油圧バルブであるが、これらには限定されない。
【0019】
逆止弁120a,120bはそれぞれ、本体106の一部として第1の弁座124,126を含む。第1の弁座124は第1の吸引ポート110aを画定し、第2の弁座126は第2の吸引ポート110bを画定し、これらは両方とも空気通路104との空気流連通を可能にする。図2において、第1の弁座124は、放射状に離間された複数のフィンガー142を含み、第2の弁座126は、シールディスク111a,111bのための支持体/座を形成するために逆止弁120a,120bによって画定されるキャビティ123a,123b内へと延在する放射状に離間された複数のフィンガー144を含む。逆止弁120a,120bはまた、吸引ハウジング107aおよび107bの一部として第2の弁座125,127を含み、それに対して、シールディスク111a,111bは、例えば逆止弁の閉位置において着座することができる。同様に、バイパスポート114a,114bのための逆止弁121a,121bは、概して、逆止弁120aおよび120bと同じコンポーネントを含み、したがって、シールディスク111c,111dの場合を除いて、図中では表示を繰り返されない。
【0020】
本体106は、吸引ポート110a,110bによって二等分された中心長手方向軸線Bに沿って通路104を画定する。内部通路104は、本体106の排出セクション146の第2のテーパー部分129(本明細書では排出コーンとも呼ばれる)に結合された、本体106の原動セクション116内の第1のテーパー部分128(本明細書では原動コーンとも呼ばれる)を含む。ここで、第1のテーパー部分128および第2のテーパー部分129は、原動出口端部132が排出入口端部134に面し、その間にベンチュリーギャップ152が形成されるように、端部同士を突き合わせて整列させられ、これによって、吸引ポート110a,110bを概ね互いに向かい合うように配置すると共に、それぞれをベンチュリーギャップと、したがって原動セクション116および排出セクション146の両方と流体連通させる流体接合部が画定される。本明細書で使用されるとき、ベンチュリーギャップ152は、原動出口端部132と排出入口端部134との間のボイドの直線距離を意味する。原動出口端部132および排出入口端部134の内面は両方とも楕円形であるが、代替的に多角形またはその他の湾曲形状を有することができる。
【0021】
バイパスポート114a,114bは、排出出口端部136に隣接するがその下流にある第2のテーパーセクション129と交差してもよい。本体106は、その後、すなわち、バイパスポート114のこの交差点の下流で、それがアスピレーター出口112において終端部するまで、円筒状に均一な内径を伴って延在してもよい。別の実施形態(図示せず)では、バイパスポート114a,114bおよび/または吸引ポート110a,110bは、軸線Bに対してかつ/または互いに傾斜していてもよい。図1および図2の実施形態では、吸引ポート110a,110bおよびバイパスポート114a,114bは互いに整列させられ、本体の中心長手方向軸線Bに対して同じ向きを有する。別の実施形態(図示せず)では、吸引ポート110a,110bおよびバイパスポート114a,114bは互いにオフセットしていてもよく、接続を容易にするために、それらがつながるエンジン内のコンポーネントに対して配置することができる。ベンチュリーギャップ152のいずれかの側に一対の吸引ポート110a,110bが組み込まれた開示されたシステムはまた、単一の吸引ポート110が組み込まれたシステムと比較して、所与の原動流および排出圧力に関して改善された吸引流量を実現する。なぜなら、開示されたシステムは、通路104を通る原動流によって生成されるベンチュリー効果を利用するための、より大きな能力を提供するからである。
【0022】
ここで図3を参照すると、概して206で示される、ベンチュリーデバイスの本体の代替の実施形態が開示される。本体206は、上記の通路104と概ね同等の通路を画定し、原動ポート208、一対の吸引ポート210a,210b、排出出口212および二重バイパスポート214a,214bを含む、さまざまなポートを有する。図1および図2に示されるように、本体206は、少なくとも一つの逆止弁を一緒に形成するために吸引ハウジング107a,107bに嵌合可能であり、図2に示されるような四つの逆止弁全てを含む、その任意の組み合わせを有していてもよい。本体306はさらに、第1の吸引ポート210aおよび第2の吸引ポート210bが距離D200だけ互いに離間して配置されたチャンバー256を画定する。原動出口端部232は、チャンバー256が原動出口端部232の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置においてチャンバー256内に延在し、排出入口端部234は、チャンバー256が入口端部234の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置する位置においてチャンバー256内に延在する。ベンチュリーギャップ252の幅は、2015年6月9日に提出された共同所有の米国特許出願第14/734,228号明細書に記載されるように、第1の吸引ポート210aおよび第2の吸引ポート210bの概ね近傍(最も幅広な点)から、それらの間の中心点に向かって対称的に漸減する。したがって、ベンチュリーギャップ252は、第1および第2の吸引ポート210a,210b間の略中心点におけるよりも、第1の吸引ポート210aおよび第2の吸引ポート210bの両方の近傍で幅広である。
【0023】
本体306によって画定されるチャンバー256は、本体206の通路から半径方向内向きにかつ軸線方向に離れるように(図では上方に)延びる複数のフィンガー242を含む。複数のフィンガー242は、すぐ近くの隣接するフィンガーが互いにある距離だけ離間させられる配向で、チャンバー256の内壁からの突起として放射状に配置される。複数のフィンガー242は、逆止弁120aなどの逆止弁の一部としてシールディスクのための座を画定する。同様に、逆止弁121aは、バイパスポート214aが存在する場合、シールディスクのための座を集合的に画定する本体206の通路から半径方向内向きにかつ放射状に離れるように(図面では上方に)延びる複数のフィンガー242'を含む本体206によって画定されるチャンバー266を有する。複数のフィンガー242'は、すぐ近くの隣接するフィンガーが互いにある距離だけ離間させられる配向で、チャンバー266の内壁からの突起として放射状に配置される。複数のフィンガー242,242'のそれぞれは、その頂点におけるよりも広い基部を有する。
【0024】
複数のフィンガー242の頂点は、集合的に、開位置のためのシールディスク用の座を画定し、フィンガー242'の頂点は、開位置のための第2のシールディスク用の座を画定する。図2の実施形態では、逆止弁120bおよび121bが存在するので、図3の実施形態における複数のフィンガー242のそれぞれは、その基部を起点とし、基部から離れるように放射状に突出し、頂点で終端部する鏡像フィンガー244を含む。鏡像フィンガー244はフィンガー242と一体である。鏡像フィンガー244の頂点は、集合的に、別のシールディスク111bの座を画定する。同様に、鏡像フィンガー244'は(フィンガー242'が存在する場合)、複数のフィンガー242'と一体であり、その基部を起点として、その基部から離れるように放射状に(図では下向きに)延在する。複数の鏡像フィンガー244'の頂点はシールディスク111d用の座を画定する。
【0025】
ここで、図4および図5を参照すると、概して400で指し示されるベンチュリーデバイスの代替実施形態が開示されている。ベンチュリーデバイス400は真空を必要とするデバイス102に接続され、通路404を画定すると共に、原動ポート408、一対の吸引ポート410a,410b、アスピレーター出口412、例えば超音波融着、加熱またはそれらの間に液密/気密シールを形成するためのその他の従来の方法によって液密/気密シールを伴って本体406に接続される吸引ハウジング407、そして任意選択で二重バイパスポート414a,414bを含む、さまざまなポートを有する本体406を含む。吸引ハウジング407および本体406は、協働で、逆止弁420および/または421を形成し、これらは、存在する場合、それぞれシールディスク411,411'を含む。さらにベンチュリーデバイス400は、チャンバー456の端部およびチャンバー466の端部をそれぞれ画定する第1のキャップ409aおよび第2のキャップ409bを含む。第1および第2のキャップ409a,409bは、例えば超音波溶着、加熱または液密/気密シールを形成するためのその他の従来の方法によって、液密/気密シールを伴って、それに接続されている。以下で説明されていないベンチュリーデバイス400のコンポーネントは、他の実施形態に関して先に説明したものに類似していると理解される。
【0026】
本体406は、吸引ポート410a,410bによって二等分された中心長手方向軸線に沿って通路404を画定する。内部通路404は、端部を突き合わせて整列させられた第1のテーパー部分428および第2のテーパー部分429を含み、原動出口端部432は排出入口端部434に面し、それらの間にはベンチュリーギャップ452が形成されている。本体406はさらに、第1の吸引ポート410aおよび第2の吸引ポート410bを、図5に示された距離D400だけ互いに離間させるチャンバー456を画定する。原動出口端部432は、チャンバー456が原動出口端部432の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置でチャンバー456内に延在し、かつ、排出入口端部434は、チャンバー456が入口端部434の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置でチャンバー456内に延在する。
【0027】
本体406によって画定されるチャンバー456は、半径方向内向きにかつ本体406の通路404から離れるように放射状に(図では上方に)延在する複数のフィンガー442を含む。複数のフィンガー442は、すぐ近くの隣接するフィンガーが互いにある距離だけ離間させられる配向で、チャンバー456の内壁からの突起として放射状に配置される。複数のフィンガー442は、逆止弁420の一部として、シールディスク411用の座を画定する。同様に、逆止弁421は、バイパスポート414a,414bが存在する場合、本体406によって画定されるチャンバー466を有し、これは、シールディスク411'用の座を集合的に画定する、半径方向内向きにかつ本体406の通路404から離れるように放射状に(図面では上方に)延在する複数のフィンガー442'を含む。複数のフィンガー442'は、すぐ近くの隣接するフィンガーが互いにある距離だけ離間させられる配向で、チャンバー466の内壁からの突起として放射状に配置される。複数のフィンガー442,442'のそれぞれは、その頂点におけるよりも広い基部を有する。複数のフィンガー442の頂点は、集合的に、開位置のためのシールディスク411用の座を画定し、フィンガー442'の頂点は、開位置のためのシールディスク411'用の座を画定する。
【0028】
上記のベンチュリーデバイスは、非常に耐久性があり、エンジンのための真空を生成するのに効果的である。ただし、特に改善がデバイスのコンポーネントの寿命を延ばすことができる場合には、改善は常に望まれる。多くの試験および試行の結果、複数のフィンガー142,242,244および442がシールディスク111,411用の第1の弁座として画定する不連続または断続面は、ベンチュリーデバイスの寿命にわたって、シールディスク111に対する応力の原因となることが見出された。したがって、図6ないし図13に示されるように、それに対してシールディスク511が逆止弁の開位置において着座する第1の弁座524としての連続面を提供することによりシールディスク511への応力を低減する改善がなされた。この改善により、ベンチュリーデバイスの寿命全体にわたってシールディスクへの応力が軽減されるだけでなく、空気が逆止弁を通って流れるときの空気流抵抗または制限が軽減される。
【0029】
さらに、逆止弁インサート505の第1の弁座524部分を作ることによって、追加の利点が実現される。逆止弁インサート505は、本体506および/または吸引ハウジング507とは異なる材料から製造することができる。逆止弁インサート505用に選択された材料は、本体506および/または吸引ハウジング507用に選択された材料よりも耐摩耗性および/または剛性が低い。例えば、本体506および/または吸引ハウジング507は、高ガラス繊維充填プラスチックまたは鉱物充填プラスチックから製造されてもよい。対照的に、逆止弁インサート505は、純粋なプラスチック(非充填プラスチック)またはEPDMなどのゴムから製造されてもよい。別の利点は、ベンチュリーデバイスの性能特性をそれが動作するシステムに合うように調整するために、複数の構成(図6~12参照)から逆止弁インサート505を選択する能力である。
【0030】
図7~12を参照すると、逆止弁インサート505の変形例が示されている。逆止弁インサート505a~505fのそれぞれは、本明細書に開示されるベンチュリーデバイス内の逆止弁ユニットのいずれかのような逆止弁ユニットの、あるいは図13に示されるもののような独立型の逆止弁の開位置のための第1の座524を画定する。各逆止弁インサート505a~505fは、逆止弁ユニット500,600の内部チャンバー556,566,606(図6および13)内に着座可能な外側支持体570を有する。外側支持体570は上面571および下面572を有する。各逆止弁インサート505a~505fは、内側環状リング574の上面575を、(図7に示された)ある距離Dだけ外側支持体の上面571を軸線方向に越えて配置するために、中心長手方向軸線Cに向かって軸線方向に傾斜したリブ576によって外側支持体570から半径方向内向きに離間させられた内側環状リング574を有する。図7および図8に示されるように、逆止弁インサート505は、内側環状リング574を外側支持体570に接続する10個のリブを有していてもよい。図9~11に示されるように、逆止弁インサート505は、内側環状リング574を外側支持体570に接続する四つのリブ576を有していてもよい。図12に示されるように、逆止弁インサート505は、内側環状リング574を外側支持体570に接続する二つのリブ576を有していてもよい。これらは単なる例示的な実施形態であり、単一のリブを含む任意の数のリブが可能である。
【0031】
外側支持体570は、円形であるがそれには限定されない環状リングとして図6~13に示されている。他の実施形態では、外側支持体570は楕円形であってもよく、あるいは多角形リングであってもよい。内側環状リング574は、典型的には、図6図8図9図11および図12に示されるように円形であり、あるいは図10に示されるように楕円形である。形状が円形または楕円形であることに加えて、内側環状リング574は、上面575に関して、さまざまな形態を有することができる。図6図8および図11に示される実施形態では、上面575は、中心長手方向軸線Cに対して直交する一つの平面内の連続面である。図9図10および図12に示される実施形態では、上面575は、二つの対向するトラフ579を伴って起伏している。図7に示される実施形態では、上面575は、内側環状リング574に沿った20度から170度の範囲の劣弧上で、外側支持体570に向かって下向きにかつ半径方向外向きに傾斜させられており、これにより上面の傾斜面部分580が画定されている。
【0032】
ここで図6を参照すると、概して500で指し示されるベンチュリーデバイスが開示されており、これは上記逆止弁インサート505を含む。ベンチュリーデバイス500は、真空を必要とするデバイス、特にエンジンシステム内のデバイスに接続することができ、原動ポート508から排出ポート512までの延在範囲を画定する本体506を含む。本体506の追加のポートは、一対の吸引ポート510a,510bおよび任意選択でデュアルバイパスポート514a,514bを含む。吸引ポート510aおよびバイパスポート514a(存在する場合)は、例えば、超音波融着、加熱または液密/気密シールを形成するためのその他の従来の方法によって、液密/気密シールを伴って吸引ハウジング407に接続される。吸引ハウジング507および本体506は協働で逆止弁520および/または521を形成し、これらは、存在する場合、それぞれがシールディスク511を含む。吸引ポート510bおよびバイパスポート514bは、図2に示されるように、第2の吸引ハウジングに接続されてもよく、もしそうである場合、それぞれが逆止弁520および521と同じ様式で逆止弁インサート505およびシールディスク511を含んでいてもよく、あるいは図4に示されるように、(逆止弁または逆止弁インサートを存在させることなく)一体型の底部またはキャップによって気密的に閉鎖されてもよい。以下で説明されていないベンチュリーデバイス500のコンポーネントは、他の実施形態に関して先に説明したものに類似していると理解される。
【0033】
本体506は、端部同士を突き合わせて整列させられた第1のテーパー部分および第2のテーパー部分を有し、原動出口端部532は排出入口端部534に面し、それらの間にはベンチュリーギャップ552が形成されている。本体506はさらに、第1の吸引ポート510aと第2の吸引ポート510bとを、概ね互いに反対であるが両方ともベンチュリーギャップと流体連通する位置で、距離Dだけ互いに離間させるチャンバー556を画定する。原動出口端部532は、チャンバー556が原動出口端部532の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置でチャンバー556内に延在し、排出入口端部534は、チャンバー556が入口端部534の外面全体の周りに流体の流れを提供する位置でチャンバー556内に延在する。
【0034】
チャンバー556およびチャンバー566はそれぞれ、逆止弁インサート505a~505fの一つを受け入れて保持するための座を画定するために内向きに突出する第1のショルダー530を有する。逆止弁インサート505の下面572は、シールディスク511のための開位置を予め選択された位置に置くために、ベンチュリーギャップ552と第1の吸引ポート510aまたはバイパスポート514aそれぞれとの間に予め選択された距離をおいて、逆止弁インサート505を適所にて保持するために、ショルダー530に対して着座させられる。第1の逆止弁インサート505の内側環状リング575によって画定される第1の弁座524に着座させられた開位置と閉位置との間をチャンバー内で移動可能なシールディスク511もまた、両方が存在する場合、チャンバー556および566のそれぞれによって収容される。各シールディスク511は、各シールディスク自体の対向する主面を横切る圧力差に応答して平行移動可能である。
【0035】
ここで図13を参照すると、独立型の逆止弁600が分解図で示されている。逆止弁600はハウジング602a,602bを含み、これらハウジング602a,602bは、(液密/気密シールと共に組み立てられた)組み立て状態において、その上にシールディスク611が着座させられるピン664をその内部に有する内部キャビティ606を画定すると共に、内部キャビティ606と流体連通する第1のポート608および内部キャビティ606と流体連通する第2のポート612を画定し、これによって第1のポートからチャンバーを通って第2のポートへ至るかまたはその逆の流路を画定する。内部キャビティ606は、典型的には、第1のポート608および第2のポート612よりも大きな寸法を有する。図示される実施形態では、第1のポート608および第2のポート612は、シールディスク611が存在しない場合、逆止弁600を通る略線形の流路を画定するために互いに向かい合って配置されるが、この構成には限定されない。内部キャビティ606を画定するハウジングの部分は、逆止弁が開いているとき、その上にシールディスクが着座する内部の第1の座524と、逆止弁が開いているとき、その上にシールディスクが着座する第2の座626とを含む。ここで、第1の座524は、本明細書に記載の逆止弁インサート505のいずれかによって画定され、第2の座626は、内部キャビティ606の内面上の一つ以上の特徴である。
【0036】
内部キャビティ606は、逆止弁インサート505を受けるための、その他の保持機能のための座を画定する内向きに突出するショルダー630を有する。逆止弁インサート505の下面572は、シールディスク611のための開位置を予め選択された位置に置くために、内部キャビティ606内の予め選択された位置で逆止弁インサート505を保持するためにショルダー630に対して着座させられる。シールディスク611は、逆止弁インサート505の内側環状リング574によって画定される第1の弁座524に着座させられる開位置と、第2の弁座626に着座させられる閉位置との間で、内部キャビティ606内を移動可能である。シールディスク611は、その対向する表面を横切る圧力差に応答して平行移動可能である。
【0037】
全ての実施形態において、逆止弁インサート505は、ハウジング内に圧入されてもよく、あるいはそれに対するスナップフィットを有していてもよい。
【0038】
シールディスク511,611は剛体材料から製造することができ、したがって、中心長手方向軸線Cに対して斜め位置で、逆止弁インサートの第1の弁座524に対して着座させることができる。別の実施形態では、シールディスク511,611は、逆止弁インサート505の内側環状リング574の上面575によって規定される形状に、曲げることによって適合できるようにフレキシブルであってもよい。シールディスク511,611は、エンジンなどのオペレーティングシステムに存在する条件下、すなわちエンジンの温度および圧力下での使用に適したエラストマー材料から形成されても、あるいはそれを含んでいてもよい。一実施形態では、シールディスクは、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、ニトリル、EPDM、PTFEまたはそれらの組み合わせを含むが、これらには限定されない。
【0039】
逆止弁の独立した、そして別個のコンポーネントとしての逆止弁インサートは製造がより容易であり、より頑丈な構造を提供し、逆止弁の構造を変更する(すなわちリブの数または内側環状リングの形状/輪郭を変更する)ためのより容易な手段である。プラスチックの射出成形プロセスに起因するヒケマークを低減することにより、それは逆止弁インサートの成形性を向上させる。ヒケマークは、リブあるいはボスなどの特徴部の領域の材料が、厚さが異なる結果として冷却速度が異なるために、隣接する壁の材料よりも収縮する場合に発生する。また、それは、コアピンを互いにロックするのを困難にしている可能性がある特徴部を本体下部から取り除くことで、本体下部の成形性を向上させる。例えば、コアピンを互いにロックするためにベンチュリーギャップにアクセスするのはより容易であり、これにより原動ポートおよび排出ポートが確実に整列し、これによってベンチュリーデバイスの全体的なパフォーマンスが向上する。さらに逆止弁インサートは、内側環状リングの存在のためにセクション流れ制限が少ない、シーリングディスクのための良好な支持を実現する。内側環状リングはまた、リブを、従来技術において弁座を画定していた個々のフィンガーよりも薄くすることを、そしてその数を少なくすることを可能にする。
【0040】
本発明について、その好ましい実施形態を参照することにより詳細に説明してきたが、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0041】
100 ベンチュリーデバイス
102 作用デバイス
104 空気通路(内部通路)
106 本体
107a 上側吸引ハウジング(上側ハウジング部分)
107b 下側吸引ハウジング(下側ハウジング部分)
108 原動ポート
110 吸引ポート
110a 第1の吸引ポート
110b 第2の吸引ポート
111 シールディスク
111a~111d シールディスク
112 アスピレーター出口
114 バイパスポート
114a,114b バイパスポート
115 補助ポート
116 原動セクション
117 コネクター機構
120a,120b 逆止弁
121a,121b 逆止弁
123a,123b キャビティ
124 第1の弁座
125 第2の弁座
126 第1の弁座
127 第2の弁座
128 第1のテーパー部分
129 第2のテーパー部分
132 原動出口端部
134 排出入口端部
136 排出出口端部
142 フィンガー
144 フィンガー
146 排出セクション
152 ベンチュリーギャップ
154 ポート
206 本体
208 原動ポート
210a 第1の吸引ポート
210b 第2の吸引ポート
212 排出出口
214a,214b 二重バイパスポート
232 原動出口端部
234 排出入口端部
242 フィンガー
242’ フィンガー
244 鏡像フィンガー
244’ 鏡像フィンガー
252 ベンチュリーギャップ
256 チャンバー
266 チャンバー
306 本体
400 ベンチュリーデバイス
404 内部通路
406 本体
407 吸引ハウジング
408 原動ポート
409a 第1のキャップ
409b 第2のキャップ
410a 第1の吸引ポート
410b 第2の吸引ポート
411 シールディスク
411’ シールディスク
412 アスピレーター出口
414a 二重バイパスポート
414b 二重バイパスポート
420 逆止弁
421 逆止弁
428 第1のテーパー部分
429 第2のテーパー部分
432 原動出口端部
434 排出入口端部
442 フィンガー
442’ フィンガー
452 ベンチュリーギャップ
456 チャンバー
466 チャンバー
500 逆止弁ユニット(ベンチュリーデバイス)
505 第1の逆止弁インサート
505a~505f 逆止弁インサート
506 本体
507 吸引ハウジング
508 原動ポート
510a 第1の吸引ポート
510b 第2の吸引ポート
511 シールディスク
512 排出ポート
514a,514b デュアルバイパスポート
520 逆止弁
521 逆止弁
524 第1の弁座
530 第1のショルダー
532 原動出口端部
534 排出入口端部
552 ベンチュリーギャップ
556 内部チャンバー
566 内部チャンバー
570 外側支持体
571 上面
572 下面
574 内側環状リング
575 内側環状リング
575 上面
576 リブ
579 トラフ
580 傾斜面部分
600 逆止弁
602a,602b ハウジング
606 内部チャンバー(内部キャビティ)
608 第1のポート
611 シールディスク
612 第2のポート
626 第2の弁座
630 ショルダー
664 ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13