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特許7320201電子機器の制御装置、制御方法及び制御プログラムと、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】電子機器の制御装置、制御方法及び制御プログラムと、電子機器
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/02 20100101AFI20230727BHJP
   G04B 47/06 20060101ALI20230727BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G04G21/02 H
G04B47/06 F
A61B5/02 310A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021137865
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032020
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】野村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】川口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】及川 宗飛
(72)【発明者】
【氏名】中村 光喜
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-197237(JP,A)
【文献】特開2008-129429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部を備え
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする電子機器の制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、情報を前記受光素子に取得させるための前記光とは異なる輝度で前記発光素子に前記報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項記載の電子機器の制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記電子機器が使用者に装着されているか否かを判別し、前記電子機器が使用者に装着されていない非装着状態であることを条件として前記発光素子に前記報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項又は記載の電子機器の制御装置。
【請求項4】
前記電子機器の使用者に対して行われる報知には前記電子機器が充電中である旨を示すための報知が含まれる、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
【請求項5】
前記電子機器の使用者に対して行われる報知には、特定のタイミングで一時的に行われる報知が含まれる、ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記発光素子に、前記電子機器が使用者に対して行う報知の種類に対応する発光パターンで前記発光素子に報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記発光素子に、前記電子機器が使用者に対して行う報知の種類に対応するとともに、点滅形態又は発光色のいずれかが異なる発光パターンで報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項16のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
【請求項8】
電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させ、
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項9】
電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる制御機能、をコンピュータに実現させ
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子が設けられた機器本体と、
前記発光素子に、使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部と、
を備え
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の制御装置、制御方法及び制御プログラムと、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学式脈波センサを用い、周知の光電脈波法(又は、光学式脈波検出法)によって指や耳朶、手首等の対象から脈波を取得し、それに基づいて脈拍数(心拍数)等を求める電子機器が多数存在する。光学式脈波センサは、主として検出光を対象に照射する発光素子と、検出光が照射された状態の対象からの反射光を受光する受光素子とから構成される。また、例えば下記特許文献1には、光学式脈波センサを備えた電子機器において、ユーザに対して報知を行う場合、それを、光学式脈波センサとは別に構成された発光素子、すなわち報知専用の発光素子を発光させたり、表示デバイスに画像又は文字を表示させたり、音発生部からアラーム音や音声ガイド等を出力させたりすることによって、ユーザに対して報知を行う構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-225881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにユーザに対する報知を、報知専用の発光素子の発光や、音発生部によるアラーム音等の出力や、表示デバイスにおける画像等の表示により行う場合には、電子機器に、報知専用の発光素子や音発生部や表示デバイスを設けることが不可欠である。そのため、電子機器における回路基板のサイズが大きくなるため、電子機器の設計上の自由度が低下したり、部品点数や、基板への部品の実装工数が増加するため、コスト増となったりする問題がある。
【0005】
無論、係る問題は、例えば報知の種類以外の種々の情報を表示する表示デバイスを備えた構成であれば生じないが、表示デバイスの駆動に要する電力が大きい場合には、報知目的のためだけに電力が無駄に消費される。また、その場合、ユーザが表示デバイスの画面に注意を払っていなければ報知動作が機能することがなく、結果的に電力が無駄に消費されることとなるという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、コスト増や、報知動作に伴う消費電力の増大を招くことなく、電子機器に報知機能を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における電子機器の制御装置は、電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部を備え
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明における電子機器の制御方法は、電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させ、
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明における制御プログラムは、電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる制御機能、をコンピュータに実現させ
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明における電子機器は、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子が設けられた機器本体と、前記発光素子に、使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部と、を備え
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コスト増や、報知動作に伴う消費電力の増大を招くことなく、電子機器に報知機能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態における電子機器の外観図である。
図2】電子機器の電気的構成の概略を示すブロック図である。
図3】CPUによるLED制御処理の内容を示すフローチャートである。
図4】CPUによる報知処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態における電子機器1の概観図であって、同図(a)は電子機器1の表面を、同図(b)は電子機器1の裏面を、それぞれ示す図である。本実施例の電子機器1は、光学式脈波センサを備えた腕時計型の装置(スマートウォッチ等)であり、時計本体に相当する機器本体2を備えている。
【0014】
図1(a)に示すように、機器本体2の表面には、そのほぼ全域を占める表示部3が設けられ、機器本体2の外周部には、複数のボタンスイッチ4,5,6が設けられている。表示部3には、時刻や脈拍数(心拍数)を含む各種情報が表示される。複数のボタンスイッチ4,5,6は、ユーザによる電子機器1の操作に用いられる。また、表示部3の表面にはタッチパネルが設けられており、表示部3は、複数のボタンスイッチ4,5,6と共に電子機器1の操作にも使用される。なお、本明細書において、ユーザとは、電子機器11の使用者であれば、電子機器1の所有者に限らず、貸与された者でもよい。
【0015】
また、図1(b)に示すように、機器本体2の裏面は裏蓋2aにより閉鎖されており、この裏蓋2aの中央部には、円形状の突出部7が、電子機器1がユーザの手首に装着された際、手首に密着するように周囲から僅かに突出して設けられている。突出部7の中央には、四角形状の受光窓8が設けられ、この受光窓8の3辺側の周囲には、各々が受光部8より小さな四角形状の発光窓9a,9b,9cが受光窓8から離れて設けられている。これらの受光窓8と発光窓9a,9b,9cは、突出部7に設けられた矩形状の貫通孔が後述する発光素子が照射した光および反射光を透過可能な合成樹脂等で閉鎖されることにより、形成されている。
【0016】
図2は、電子機器1の電気的構成の概略を示すブロック図である。図2に示すように電子機器1は、処理部としてのCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、時計部14、表示装置15、入力操作部16、通信部17、加速度センサ18、磁気センサ19、脈波センサ20、電源部23を備えている。
【0017】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムに従い機器本体2の全体を制御する。ROM12は、フラッシュメモリ等の記憶内容が書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。RAM13は、CPU11が必要に応じて各種のデータを一時記憶するための作業用のメモリである。表示装置15は、前記表示部3に配置された液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネル、及びそれらを駆動する駆動回路を含む。入力操作部16は、前記複数のボタンスイッチ4,5,6や表示部3の表面に設けられたタッチパネルを含み、それらに対するユーザの操作を検出し、操作情報としてCPU11に供給する。
【0018】
通信部17は、例えばアンテナや、無線周波数(RF:Radio Frequency)回路、ベースバンド(BB:Baseband)回路、メモリ回路を含み、例えばBLE(Bluetooth(登録商標)Low Energy)に基づく無線信号の送信及び受信を行う。通信部17は、受信した無線信号を復調、復号等してCPU11へ送る一方、CPU11から送られた信号を符号化、変調等して、外部へ送信することにより、電子機器1における他の外部機器との間のデータ通信を可能とする。外部機器は、スマートフォンやタブレット端末やパーソナルコンピュータ等である。
【0019】
電源部23は、リチウムイオン電池等の二次電池、充電回路、及び電圧変換回路を備え、外部電源による二次電池の充電を制御するとともに、電子機器1内の各部へ、各々が必要とする動作電圧で電力を供給する。二次電池への充電は、例えば機器本体2に接続される充電ケーブルによるものや、電磁誘導方式によるワイヤレス充電である。加速度センサ18は、例えば3軸加速度センサにより構成され、電子機器1に加わる、互いに直交する3つの軸の方向の各々の加速度を検出して、加速度データとしてCPU11に供給する。磁気センサ19は、例えば3軸地磁気センサにより構成され、電子機器1に加わる、互いに直交する3つの軸の方向の各々の地磁気を検出して、地磁気データとしてCPU11に供給する。
【0020】
脈波センサ20は、光学式脈波センサであって、機器本体2の裏面側に設けられた前記受光部9a,9b,9cの内側にそれぞれ配置された発光素子である複数のLED(Light emitting diode)、すなわち第1のLED21a、第2のLED21b、第3のLED21cと、前記受光部8の内側に配置された受光素子であるフォトダイオード22とを有している。なお、以下の説明においては、第1のLED21a、第2のLED21b、第3のLED21cを必要に応じ各LED21a、21b、21cと略称する。脈波センサ20は、主として電子機器1がユーザの手首に装着されている間、各LED21a、21b、21cから検出光をユーザの手首に照射し、検出光が照射された状態のユーザの手首からの反射光をフォトダイオード22で受光し、フォトダイオード22で受光した受光量に応じた検出信号を脈波データとしてCPU11に供給し、CPU11による周知の手法での脈拍数(心拍数)の測定を可能とする。本実施形態において、各LED21a、21b、21cが発する検出光は、血液中のヘモクロビンに吸収され易い緑色の光、例えば520nm~530nmの波長の可視光である。
【0021】
以上の構成からなる本実施形態の電子機器1においては、用途別に複数の動作モードが設けられており、それらがユーザにより選択的に設定可能である。そして、電子機器1がいずれかの動作モードで動作している間、CPU11がROM12に記憶されているプログラムに基づき設定中の動作モードに応じた種々の処理を実行する。これにより、電子機器1がユーザの腕に装着されている間には、加速度センサ18や磁気センサ19や脈波センサ20を用いてユーザの運動情報や生体情報を含む種々の情報が取得されてRAM13に記録される。また、それらの情報の一部が表示装置15に表示される。また、電子機器1には、一定時間毎(例えば1分毎)にユーザの心拍数を測定し、その測定結果、すなわちユーザの生体情報を逐次記録するとともに表示する動作モードが設けられている。
【0022】
また、電子機器1の動作中には、CPU11が、電子機器1がユーザの腕に装着されている状態か否かを定常的に判定する。この判定は、前述した加速度センサ18を用いて行われる。より具体的には、予め電子機器1が腕に装着された時点、及び腕から取り外され時点における機器本体2の加速度の遷移データと、それ以外の使用時における機器本体2の加速度の遷移データとの各々を多数、取得し、取得したこれらの加速度の遷移データを用いた教師ありの機械学習により、識別器(例えばサポート・ベクター・マシンやニューラルネットワークなど)が生成されている。そして、識別器は、入力された機器本体2の加速度の遷移データが、電子機器1が腕に装着されたとき、または腕から取り外されたときの加速度の遷移データであるか否かを識別できるように、機械学習されている。
【0023】
そして、電子機器1の動作中には、CPU11が、上記の処理と並行して、決められたサイクルの動作タイミングで図3に示した処理を繰り返し実行する。すなわち図3は、CPU11による、主として脈波センサ20の各LED21a、21b、21cの発光に係るLED制御処理を示すフローチャートである。
【0024】
係る処理に際してCPU11は、先ず電子機器1がユーザの腕に装着されている状態か否かを判別する(ステップSA1)。この判別は、先に説明したように定常的に行われている判定動作の結果に基づき行われる。つまり、直前の判定結果において電子機器1が装着状態であったか否かを判別する。そして、電子機器1が装着状態であれば(ステップSA1:YES)、CPU11は、その時点が心拍測定タイミングであるか否かを判別する(ステップSA2)。心拍測定タイミングは、先に述べた一定時間毎(例えば1分毎)の心拍測定の実行タイミングである。ここで、その時点が心拍測定タイミングでなければ(ステップSA2:YES)、CPU11は処理を終了する。
【0025】
これに対し、その時点が心拍測定タイミングである場合(ステップSA2:YES)、CPU11は、各LED21a、21b、21cを、脈波を取得するための検出用パターンで一定時間発光させ(ステップSA3)、処理を終了する。ステップSA3では、CPU11は、各LED21a、21b、21cを脈波の取得に適した所定の輝度で一定時間発光させる。なお、各LED21a、21b、21cを発光させている間、ユーザの手首からの反射光はフォトダイオード22で受光され、CPU11は、受光された受光量に応じた脈波センサ20からの検出信号を脈波データとして取得する。そして、脈波データに基づいて心拍数を計算してRAM13に記憶するとともに、表示装置15に表示させる。
【0026】
一方、電子機器1が装着状態でない場合(ステップSA1:NO)、CPU11は、電源部23の動作状態を判別することにより、電子機器1が充電中であるか否かを判別する(ステップSA4)。そして、電子機器1が充電中であれば(ステップSA4:YES)、CPU11は、各LED21a、21b、21cを、電子機器1が充電中である旨を示す充電報知用パターンで点灯させ(ステップSA5)、処理を終了する。CPU11は、ステップSA5では、各LED21a、21b、21cに、充電中である旨を報知するための発光パターンでの発光を開始させる。この場合における各LED21a、21b、21cの発光パターンは、電子機器1が充電中である旨の報知に足る程度の輝度での点灯であり、この場合の輝度はステップAS3の処理で各LED21a、21b、21cを発させる時よりも低い輝度である。
【0027】
また、電子機器1が装着状態でなく(ステップSA1:NO)、かつ充電中でない場合(ステップSA4:NO)、CPU11は、各LED21a、21b、21cを消灯し(ステップSA5)、処理を終了する。すなわち、CPU11は、これ以前に各LED21a、21b、21cを点灯させていたときには、それらの発光を終了し、各LED21a、21b、21cを点灯させていないときには、その状態を維持する。
【0028】
以上のように、本実施形態の電子機器1においては、それが充電状態にあるときには、CPU11が、脈波センサ20が有する各LED21a、21b、21cを点灯させる。これにより、各LED21a、21b、21cを、充電状態を報知するインジケータとして機能させることができる。そのため、電子機器1においては、充電状態を報知するための専用のLEDを設ける必要がなく、回路基板のサイズを縮小することができ、設計上の自由度を拡げることができる。同時に、回路基板への電子部品の実装工数が減少するため、電子機器1の低コスト化が可能となる。しかも、インジケータとして機能させるときの各LED21a、21b、21cの輝度が、心拍測定時よりも遙かに低い輝度であるため、例えば充電状態を表示装置15に表示させる場合のような無駄な電力消費がない。したがって、充電状態を報知する報知動作に伴う消費電力の増大を招くことなく、電子機器1に報知機能を確保することができる。
【0029】
次に、電子機器1において、ユーザに対する報知が必要な特定のタイミングで、CPU11が実行する報知処理を図4のフローチャートに従い説明する。この報知処理は、特定のタイミングにおいて一時的な報知を行う処理であり、具体的な報知の種類は、例えば電子機器1がスマートフォンとBLEにより接続(ペアリング)されているときには、スマートフォンにおける電話着信の報知や、SNS(Social Networking Service)におけるメッセージの受信の報知である。
【0030】
上記特定のタイミングにおいてCPU11は、まず、電源部23の動作状態を判別することにより、電子機器1が充電中であるか否かを判別し、充電中であれば(ステップSB1:YES)、表示装置15の画面上、つまり表示部3に報知の種類を示す文字情報や図形等を表示させて(ステップSB2)、処理を終了する。これによりユーザは、電話着信やメッセージの通知等を知ることができる。なお、このように充電中であるときには、前述したLED制御処理に伴い、脈波センサ20が有する各LED21a、21b、21cが充電報知用パターンで点灯された状態にある。
【0031】
これに対し、電子機器1が充電中でない場合(ステップSB1:NO)、CPU11は、さらに、脈波センサ20のLED21a、21b、21cを点灯させずに、フォトダイオード22における受光量に基づいて、電子機器1がユーザの手首に装着されている状態であるか否かを確認する(ステップSB3)。このときCPU11は、フォトダイオード22の受光量が閾値以下であれば、外光がユーザの手首で遮られることでフォトダイオード22にほとんど受光されていないとして、電子機器1が装着されていると判定し、受光量が閾値を超えていれば、外光が手首に遮られずにフォトダイオード22に受光されているとして、電子機器1が装着されていないと判断する。すなわち、前述した定常的に行っている判定時とは異なる情報に基づいて、電子機器1が装着状態であるか否かを再判定する。そして、電子機器1が装着状態であると判定した場合(ステップSB3:YES)、LED21a、21b、21cを点灯して電話着信やメッセージ受信を報知しようとしても、手首に遮られることでユーザが気づかないため、CPU11は、電子機器1が充電中である場合と同様、表示装置15(表示部3)に報知の種類を示す文字情報や図形等を表示させて(ステップSB2)、処理を終了する。
【0032】
一方、CPU11は、電子機器1が装着中でないと判断した場合(ステップSB3:NO)、まず、ユーザに対する報知の種類に応じて、脈波センサ20の各LED21a、21b、21cの発光パターンを予め決定する(ステップSB4)。ここで決定される発光パターンは、予め用意されている複数の発光パターンのいずれかであって、予め複数の報知の種類に対応して決められているパターンである。発光パターンとしては、例えば各LED21a、21b、21cの同時発光または同時点滅や、決められた順序やランダムによる順次発光である。なお、報知の種類と発光パターンとの対応関係は1対1である必要はなく、ある発光パターンが複数の報知の種類に対応していてもよい。
【0033】
そして、CPU11は、ここで決定した発光パターンで、各LED21a、21b、21cを発光させる(ステップSB5)。つまり特定の発光パターンによる各LED21a、21b、21cの発光を開始する。このときの各LED21a、21b、21cの輝度は、心拍測定時における脈波を取得するための検出用パターンの輝度と同等か、あるいは、検出用パターンの輝度よりも高い。これにより、ユーザが電子機器1を装着していないとき、つまり表示部3に注意を払っていないような状況下においても、各LED21a、21b、21cが発する高輝度の光によって電話着信やメッセージの受信等を知らせることができる。
【0034】
その後、CPU11は、ユーザによる報知停止操作、例えば複数のボタンスイッチ4,5,6の操作や表示部3のタッチ操作があるまでの間は(ステップSB6:NO)、決定された発光パターンによる各LED21a、21b、21cの発光を継続し、報知停止操作があった時点で(ステップSB6:YES)、各LED21a,21b,21cの発光を停止して(ステップSB7)、処理を終了する。
【0035】
以上のように、本実施形態の電子機器1においては、特定のタイミングにおける一時的な報知を行う際には、CPU11が、脈波センサ20が有する各LED21a、21b、21cを発光させることにより、ユーザが表示部3に注意を払っていないような状況下においても、より確実に報知を行うことができる。したがって、特定のタイミングにおける一時的な報知を表示装置15によって行う場合のように、報知動作に伴って電力が無駄に消費されるといった事態を高い確率で回避することができる。したがって、特定のタイミングにおける一時的な報知動作に伴う消費電力の増大を招くことなく、電子機器1に報知機能を確保することができる。
【0036】
また、電子機器1においては、脈波センサ20の各LED21a、21b、21cの発光による一時的な報知を、電子機器1がユーザに装着されていない非装着状態であることを条件として行う。したがって、非装着状態における無用な報知動作を無くすことができる。
【0037】
また、電子機器1においては、報知動作時における各LED21a、21b、21cの発光パターンが、報知の種類に対応して決められている特定の発光パターンであることから、発光パターンの違いによって、ユーザに具体的な報知の種類を知らせることができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、各LED21a、21b、21cの発光色が緑色である場合について述べたが、これに限らず、各LED21a、21b、21cの発光色は赤色であってもよい。また、各LED21a、21b、21cを、発光色が緑色のLEDと発光色が赤色のLEDとの2種類としてもよい。その場合には、一時的な報知に際して発光させるLEDを、報知の種類に対応して決められている発光色のLEDとすることにより、発光色によって報知の種類をユーザに識別可能とする構成としてもよい。
【0039】
また、一時的な報知に際して各LED21a、21b、21cを発光させる際には、駆動電流を変化させたり、デューティ比を変えてデューティ駆動したりすることにより、それらの輝度を電子機器1の傾きや、周囲の環境に応じて変化させてもよい。すなわち、電子機器1が非装着状態にあるときには、電子機器1が任意の場所に置かれている場合が多い。その場合、水平面に対する電子機器1の傾きが大きくなるほど、つまり各LED21a、21b、21cが発する光の光軸が鉛直に近づくほど、各LED21a、21b、21cの発する光がユーザに認識されにくくなる。したがって、一時的な報知に際して各LED21a、21b、21cを発光させる際には、水平面に対する電子機器1の傾きを、加速度センサ18等を用いて事前に検出し、電子機器1の傾きが小さいときほど、各LED21a、21b、21cの輝度を高く設定することにより、各LED21a、21b、21cの発する光がユーザに認識されやすくなる。
【0040】
また、電子機器1の周囲が暗い場合には、各LED21a、21b、21cの輝度が低くても、それらの発する光はユーザに容易に認識される。したがって、例えばフォトダイオード22における外光の受光量に基づいて周囲の明るさを確認し、電子機器1の周囲が暗いときほど、各LED21a、21b、21cの輝度を低く設定することにより、一時的な報知に伴う消費電力を削減することができる。
【0041】
また、ここでは、各LED21a、21b、21cがフォトダイオード22と共に脈波センサ20、つまりユーザの生体情報を取得する光学式のセンサを構成する電子機器1について説明した。しかし、本発明は、これに限らず、情報取得用の光を発するLED等の発光素子を備えた構成であれば、任意の電子機器に適用することができる。その場合、LED等の発光素子の数や、電子機器の形状、電子機器の用途も任意である。本発明は、例えばバーコード(二次元コード)の読み取りに使用されるバーコード(二次元コード)リーダーにも適用することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、これらは本発明の作用効果が得られる範囲内であれば適宜変更が可能であり、変更後の実施形態も特許請求の範囲に記載された発明、及びその発明と均等の発明の範囲に含まれる。以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
電子機器に設けられている、情報を受光素子に取得させるための光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部を備える、ことを特徴とする電子機器の制御装置。
[請求項2]
前記発光素子は、前記電子機器を装着している使用者の生体情報を検出する光学式センサに前記受光素子と共に含まれ、前記電子機器に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の制御装置。
[請求項3]
前記処理部は、情報を前記受光素子に取得させるための前記光とは異なる輝度で前記発光素子に前記報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器の制御装置。
[請求項4]
前記処理部は、前記電子機器が使用者に装着されているか否かを判別し、前記電子機器が使用者に装着されていない非装着状態であることを条件として前記発光素子に前記報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項2又は3記載の電子機器の制御装置。
[請求項5]
前記電子機器の使用者に対して行われる報知には前記電子機器が充電中である旨を示すための報知が含まれる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
[請求項6]
前記電子機器の使用者に対して行われる報知には、特定のタイミングで一時的に行われる報知が含まれる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器の制御装置。
[請求項7]
前記処理部は、前記発光素子に、前記電子機器が使用者に対して行う報知の種類に対応する発光パターンで前記発光素子に報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子機器の制御装置。
[請求項8]
前記処理部は、前記発光素子に、前記電子機器が使用者に対して行う報知の種類に対応するとともに、点滅形態又は発光色のいずれかが異なる発光パターンで報知用の光を発光させる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電子機器の制御装置。
[請求項9]
電子機器に設けられている、情報取得用の光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる、ことを特徴とする電子機器の制御方法。
[請求項10]
電子機器に設けられている、情報取得用の光を発する発光素子に、前記電子機器の使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる制御機能、をコンピュータに実現させることを特徴とする制御プログラム。
[請求項11]
情報取得用の光を発する発光素子が設けられた機器本体と、
前記発光素子に、使用者に対して報知を行うための報知用の光を発光させる処理部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0043】
1 電子機器
2 機器本体
2a 裏蓋
3 表示部
7 突出部
8 受光部
9a,9b,9c 発光部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 脈波センサ
21a 第1のLED
21b 第2のLED
21c 第3のLED
22 フォトダイオード
23 電源部

図1
図2
図3
図4