(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】取引処理装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
G07G1/00 331A
(21)【出願番号】P 2019223836
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】有川 純一
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-207172(JP,A)
【文献】特開2015-038677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、
を備え
、
前記取引操作装置が備える前記入力受入部は、前記商品又は役務の種別の入力を受け入れ、
前記取引操作装置は、
前記入力受入部が受け入れた種別の入力により、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、
前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに、前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、
を備え、
前記第1現金処理部及び前記第2現金処理部を内部に収容するレジカウンターと、
前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターから露出するように制御する装置制御部と、
を備え、
前記レジカウンターは、
前記第1現金処理部を収容する第1収容部と、
前記第2現金処理部を収容する第2収容部と、
前記第1収容部を封じる第1シャッターと、
前記第2収容部を封じる第2シャッターと、を備え、
前記装置制御部は、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターの外部に現れるように、前記第1シャッター又は前記第2シャッターを開放制御する
取引処理装置。
【請求項2】
商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、
を備え
、
前記取引操作装置は、
記憶部に予め記憶される前記識別情報と当該識別情報に係る商品又は役務の種別とを関連付けた情報と、前記入力受入部が受け入れた前記識別情報とを照らし合わせて、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、
前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、
を備え、
前記第1現金処理部及び前記第2現金処理部を内部に収容するレジカウンターと、
前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターから露出するように制御する装置制御部と、
を備え、
前記レジカウンターは、
前記第1現金処理部を収容する第1収容部と、
前記第2現金処理部を収容する第2収容部と、
前記第1収容部を封じる第1シャッターと、
前記第2収容部を封じる第2シャッターと、を備え、
前記装置制御部は、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターの外部に現れるように、前記第1シャッター又は前記第2シャッターを開放制御する
取引処理装置。
【請求項3】
前記第1現金処理部と前記第2現金処理部とは、それぞれ別個の筐体に設けられる
請求項1
または請求項
2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、
を備え
、
前記取引操作装置が備える前記入力受入部は、前記商品又は役務の種別の入力を受け入れ、
前記取引操作装置は、
前記入力受入部が受け入れた種別の入力により、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、
前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに、前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、
を備え、
外部から現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部を有し、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部とを収容する筐体を備え、
前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものへ、前記開口部から受け入れられた現金を移送し、又は前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものから前記開口部へ現金を移送する現金移送部と
を備える取引処理装置。
【請求項5】
商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、
前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、
を備え
、
前記取引操作装置は、
記憶部に予め記憶される前記識別情報と当該識別情報に係る商品又は役務の種別とを関連付けた情報と、前記入力受入部が受け入れた前記識別情報とを照らし合わせて、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、
前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、
を備え、
外部から現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部を有し、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部とを収容する筐体を備え、
前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものへ、前記開口部から受け入れられた現金を移送し、又は前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものから前記開口部へ現金を移送する現金移送部と
を備える取引処理装置。
【請求項6】
商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える複数の取引操作装置と、
前記複数の取引操作装置に対応して設けられた複数の第1現金処理部であって、対応する取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する複数の第1現金処理部と、
前記複数の取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、
を備える取引処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、商品に表示されたバーコードを読み取って金額を算出した後、受け入れた貨幣を算出して、上記金額と上記貨幣との差額を算出し、当該差額を払い戻す販売精算装置により、POS(Point Of Sale)システムにおいて、受け入れた貨幣の入力ミスを減らす技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、投入された複数の硬貨を種類別に仕分けて収納し、払い出し指示を受けて、仕分けられた硬貨を出金口に払い出す自動釣銭払出機能を備えた電子式キャッシュレジスタにより、釣銭を自動的に払い出す技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、レジ担当者側からの紙幣を受け入れる第1紙幣投入口と、顧客側からの紙幣を受け入れる第2紙幣投入口を備え、第1紙幣投入口及び第2紙幣投入口から投入された紙幣をセンサにより鑑別した上で収納する紙幣処理装置により、公共料金の代行収納など高額紙幣が取り扱われる取引の処理時間を短くする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭63-307598号公報
【文献】特開平06-314376号公報
【文献】特開2016-081142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンビニエンスストアなどの店舗においては、当該店舗で提供される商品の取引だけでなく、通信販売や公共料金等の代行取引も行っている。そのため、このような店舗に設けられる現金処理装置は、店舗で提供される商品の取引だけでなく、代行取引に係る現金も処理する。これにより、代行取引に係る現金とが代行取引ではない取引に係る現金と現金処理装置において混在することになる。そのため、売上集計や回収の際には、混在されている現金を改めて分けて、それぞれの取引総計と突合する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する取引処理装置および取引処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る取引処理装置は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、取引操作装置によって識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、取引操作装置によって識別情報が受け入れられた第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、を備え、前記取引操作装置が備える前記入力受入部は、前記商品又は役務の種別の入力を受け入れ、前記取引操作装置は、前記入力受入部が受け入れた種別の入力により、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに、前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、を備え、前記第1現金処理部及び前記第2現金処理部を内部に収容するレジカウンターと、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターから露出するように制御する装置制御部と、を備え、前記レジカウンターは、前記第1現金処理部を収容する第1収容部と、前記第2現金処理部を収容する第2収容部と、前記第1収容部を封じる第1シャッターと、前記第2収容部を封じる第2シャッターと、を備え、前記装置制御部は、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターの外部に現れるように、前記第1シャッター又は前記第2シャッターを開放制御する。
本発明に係る取引処理装置は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、を備え、前記取引操作装置は、記憶部に予め記憶される前記識別情報と当該識別情報に係る商品又は役務の種別とを関連付けた情報と、前記入力受入部が受け入れた前記識別情報とを照らし合わせて、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、を備え、前記第1現金処理部及び前記第2現金処理部を内部に収容するレジカウンターと、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターから露出するように制御する装置制御部と、を備え、前記レジカウンターは、前記第1現金処理部を収容する第1収容部と、前記第2現金処理部を収容する第2収容部と、前記第1収容部を封じる第1シャッターと、前記第2収容部を封じる第2シャッターと、を備え、前記装置制御部は、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものの現金投入口が、前記レジカウンターの外部に現れるように、前記第1シャッター又は前記第2シャッターを開放制御する。
本発明に係る取引処理装置は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、を備え、前記取引操作装置が備える前記入力受入部は、前記商品又は役務の種別の入力を受け入れ、前記取引操作装置は、前記入力受入部が受け入れた種別の入力により、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに、前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、を備え、外部から現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部を有し、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部とを収容する筐体を備え、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものへ、前記開口部から受け入れられた現金を移送し、又は前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものから前記開口部へ現金を移送する現金移送部とを備える。
本発明に係る取引処理装置は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部と、前記取引操作装置によって前記識別情報が受け入れられた前記第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、を備え、前記取引操作装置は、記憶部に予め記憶される前記識別情報と当該識別情報に係る商品又は役務の種別とを関連付けた情報と、前記入力受入部が受け入れた前記識別情報とを照らし合わせて、前記入力受入部が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部と、前記種別特定部が特定した種別に基づいて、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部の何れに前記商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部と、を備え、外部から現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部を有し、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部とを収容する筐体を備え、前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものへ、前記開口部から受け入れられた現金を移送し、又は前記第1現金処理部と前記第2現金処理部のうち前記処理制御部によって決定されたものから前記開口部へ現金を移送する現金移送部とを備える。
【0009】
本発明に係る取引処理装置は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える複数の取引操作装置と、複数の取引操作装置に対応して設けられた複数の第1現金処理部であって、対応する取引操作装置によって識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する複数の第1現金処理部と、複数の取引操作装置によって識別情報が受け入れられた第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、現金処理装置が処理する取引の種類別に売上集計や回収を行う際の手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る取引処理装置を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る取引制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る現金処理部の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るPOS装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る取引処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】一実施形態に係る現金処理機の一例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る取引処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る取引処理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈第1の実施形態〉
《取引処理装置の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る取引処理装置100を示す図である。
【0013】
取引処理装置100は、取引の種類別に、現金を異なる現金処理部で処理する装置である。
図1に示すように、取引処理装置100は、レジカウンター60と、取引操作装置200と、第1現金処理部300と、第2現金処理部500と、カウンター制御装置700と、POS(Point Of Sales)装置800と、を備える。
【0014】
レジカウンター60は、取引に係る商品を置くための台である。レジカウンター60の内部には、第1現金処理部300を収容するための第1収容部である第1空間301および第2現金処理部500を収容するための第2収容部である第2空間501がそれぞれ形成される。レジカウンター60には、第1空間301と外部を仕切るための第1シャッター400と、第2空間501と外部を仕切るための第2シャッター600とがそれぞれ設けられる。第1シャッター400および第2シャッター600には、それぞれ開閉のためのサーボモータが設けられる。また、第1空間301および第2空間501のうち現金処理部の接地面は、前後方向(B方向)に移動可能なスライドテーブルとして構成されており、当該スライドテーブルを前後方向に駆動させるアクチュエータが設けられる。
【0015】
取引操作装置200は、従業員20によって操作され、顧客30との取引に係る商品又は役務の識別情報の入力を受け付ける。従業員20は、取引処理装置100を備える店舗の従業員であり、取引処理装置100を操作する者である。顧客30は、取引処理装置100を備える店舗において、取引処理装置100を備える店舗が提供する商品又は役務を購入する取引をし、公共料金などを納付することにより代行取引を行う者である。
【0016】
レジカウンター60には、スキャナ40及び表示部50が設けられる。スキャナ40は、商品又は役務に係るバーコードをスキャニングすることにより、当該商品又は役務の識別情報を受け入れる装置である。なお、
図1におけるスキャナ40は固定型スキャナであるが、ハンディ型スキャナであっても良い。表示部50は、取引する商品又は役務の取引に係る単価及び合計金額と、商品又は役務の取引に係る釣銭の金額を表示する。表示部50の例としては、ディスプレイ装置が挙げられる。
【0017】
第1シャッター400は、第1現金処理部300をレジカウンター60の外部から封じ込める板である。第1シャッター400は、装置制御部710により、
図1のA方向に開放するように制御され、A方向の逆方向に閉まるように制御される。第2シャッター600は、第2現金処理部500をレジカウンター60の外部から封じ込める板である。第2シャッター600は、装置制御部710により、
図1のA方向に開放するように制御され、A方向の逆方向に閉まるように制御される。
【0018】
カウンター制御装置700は、第1現金処理部300又は第2現金処理部500がレジカウンター60の外部に現れるように制御し、レジカウンター60の外部に現れた第1現金処理部300又は第2現金処理部500をレジカウンター60の外部に現れないように制御する。カウンター制御装置700は、図示しない装置制御部710をカウンター制御装置700の内部に備える。
【0019】
装置制御部710は、取引操作装置200が特定した種別に基づいて、第1シャッター400又は第2シャッター600を開放するように制御する。この後、装置制御部710は、取引操作装置200が特定した種別に基づいて、第1現金処理部300と第2現金処理部500の何れかの1つを、
図1に示すB方向(レジカウンター60の前面方向)に突出するように制御する。上記の制御により、第1現金処理部300又は第2現金処理部500は、レジカウンター60の外部に現れる。なお、第1現金処理部300又は第2現金処理部500の、レジカウンター60の前面方向への突出量は、後述する第1現金処理部300又は第2現金処理部500のそれぞれの紙幣および硬貨の入出金口がレジカウンター60の前面から突出して、紙幣および硬貨の投入・取り出しが可能である程度であれば良く、第1現金処理部300又は第2現金処理部500本体すべてが突出する必要は全くない。加えて、カウンター制御装置700が音発生装置及び発光装置を備え、装置制御部710は、第1現金処理部300又は第2現金処理部500の突出の際に、音発生装置がアラーム音を発するとともに、発光装置が警告発光するようにしても良い。これにより、装置制御部710は、第1現金処理部300又は第2現金処理部500の突出について、顧客30に注意を喚起することができる。
【0020】
また、装置制御部710は、レジカウンター60の外部に現れた第1現金処理部300又は第2現金処理部500を、レジカウンター60の外部に現れないように
図1のB方向の逆方向(レジカウンター60の後面方向)に動かすように制御する。この後、装置制御部710は、開放されている第1シャッター400又は第2シャッター600を閉めるように制御する。上記の制御により、レジカウンター60の外部に現れた第1現金処理部300又は第2現金処理部500は、レジカウンター60の外部に現れないようになる。
【0021】
第1現金処理部300および第2現金処理部500は、現金の投入を受け容れ、投入された現金の総額を示す信号を取引操作装置200に送信する。また第1現金処理部300および第2現金処理部500は、支払うべき釣銭の額を示す信号を取引操作装置200から受信し、釣銭を払い出す。
【0022】
POS装置800は、取引操作装置200から後述する第1種別に関わる商品又は役務の識別情報を受け取り、当該商品又は役務の価格を特定し、これを取引操作装置200に送信する。また、取引操作装置200は、POS装置800からの後述する第1種別に関わる商品又は役務の価格の合計を算出し、商品又は役務の売上として記憶する。また、代行取引においては、取引操作装置200は、代行取引に関わる伝票類に記載されたバーコード等をスキャンすることなどによって代行取引に関わる第三者情報と後述する第2種別に関わる商品又は役務の識別情報とその徴収すべき所要金額情報等を受け取り、これらを代行取引に関わる商品又は役務の売上として記憶する。
【0023】
《取引操作装置の構成》
取引操作装置200は、第1現金処理部300と、第2現金処理部500との現金の処理を操作し、制御する装置である。取引操作装置200は、入力装置201と、取引制御装置202と、を備える。入力装置201は、従業員20から、商品又は役務の識別情報の入力と、商品又は役務の種別の入力と、小計の入力を受け入れる装置である。入力装置201の例としては、1つ又は複数のボタンにより構成されるキーボードと、タッチパネルと、が挙げられる。
【0024】
取引制御装置202は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れるほか、商品又は役務の種別の特定を行い、第1現金処理部300及び第2現金処理部500に対して、現金を処理するように制御する。
図2は、取引制御装置202の構成を示す概略ブロック図である。取引制御装置202は、入力受入部210と、種別特定部220と、処理制御部230と、価格演算部240と、差分判定部250と、売上送信部260と、差分演算部270と、記憶部280と、を備える。
【0025】
入力受入部210は、スキャナ40および入力装置201から、入力された商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる。また、入力受入部210は、入力装置201が受け入れた商品又は役務の種別の入力を受け入れる。また、入力受入部210は、小計表示の入力を受け入れる。これら、受け入れた識別情報は、記憶部280に記憶される。
【0026】
種別特定部220は、入力受入部210が受け入れた商品又は役務の種別の入力により、入力受入部210が受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う。特定された種別については、記憶部280に記憶される。また、種別特定部220は、商品又は役務の種別の特定を行った後から、当該種別に係る第1現金処理部300又は第2現金処理部500の何れかが現金を処理するまでは、当該種別と異なる種別への特定は行わない。例えば、種別特定部220は、商品又は役務の種別の特定を行った後からは、第1現金処理部300又は第2現金処理部500の何れから、現金を処理した旨の信号を受け取るまでは、商品又は役務の種別の特定の動作を行わない。又は、種別特定部220は、商品又は役務の種別の特定を行った後から、当該種別に係る第1現金処理部300又は第2現金処理部500の何れかが現金を処理するまでは、特定した種別とは異なる種別の商品又は役務の種別の入力があったときには、当該異なる種別の商品又は役務の種別の入力に対して警告(アラームを行う)しつつ、入力受付を行わないようにしても良い。
【0027】
商品又は役務は、第1種別と第2種別とに分類される。第1種別の商品又は役務は、取引処理装置100を備える店舗以外の者への代行取引ではない取引に係る商品又は役務である。第1種別の商品の例としては、取引処理装置100を備える店舗である小売店が販売する商品が挙げられる。また、第1種別の役務の例としては、取引処理装置100を備える店舗である飲食店が販売する飲食の当該販売が挙げられる。上記の役務とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものをいう。第2種別の商品又は役務は、取引処理装置100を備える店舗以外の他者への代行取引に係る商品又は役務である。第2種別の商品又は役務の例としては、通信販売又は公共料金の代行収納が挙げられる。すなわち、第2種別の商品又は役務の売り上げに係る現金は、店舗の手数料を除き、他者へ受け渡す必要がある。上記の第1種別と第2種別とは一例であり、上記とは異なる基準で第1種別と第2種別とを定義しても良い。
【0028】
種別特定部220は、例えば、入力受入部210が受け入れた商品又は役務の種別の入力が第1種別である場合、その後に入力受入部210が受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別を第1種別と特定する。特定した種別情報は、記憶部280に記憶される。また、第1種別と特定された商品又は役務の識別情報はPOS装置800に送られ、POS装置800においては、送られてきた識別情報に基づいて、POS装置800において記憶されている価格情報を特定して、この特定した価格情報を取引制御装置202に送り返す。そして、取引制御装置202では、特定した識別情報に関連付けて価格情報を記憶部280に記憶する。種別特定部220は、このように特定を行った後から、第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部300が現金を処理するまでは、第1種別とは異なる種別である第2種別への特定は行わない。種別特定部220は、商品又は役務の種別の特定を行った後から、当該種別に係る第1現金処理部300又は第2現金処理部500の何れかが現金を処理するまでに、異なる種別を入力受入部210受け入れた場合、従業員20又は顧客30に対して、取引を種別毎に区分するように警告を発するようにしても良い。
【0029】
処理制御部230は、種別特定部220が特定した種別に基づいて、すなわち、記憶部280に記憶した種別情報に基づいて、第1現金処理部300と第2現金処理部500の何れかに対し、商品又は役務の取引に係る現金を処理するように制御する。例えば、処理制御部230は、種別特定部220が特定した種別が第1種別である場合は、第1現金処理部300に対し、商品又は役務の取引に係る現金を処理するように制御し、種別特定部220が特定した種別が第2種別である場合は、第2現金処理部500に対し、商品又は役務の取引に係る現金を処理するように制御する。
【0030】
価格演算部240は、POS装置800から送信されて記憶部280に記憶した価格情報を累積して加算することにより、小計を演算する。演算された小計は、記憶部280に記憶される。また、価格演算部240は、従業員20又は顧客30が入力装置201の小計の入力を行った場合は、当該入力を受け入れて、当該入力の前までの累計の値を小計として、表示部50に当該小計を表示する。これにより、従業員20又は顧客30は、取引する現金の額を認知できる。なお、個別の価格表示と並行して、常に小計表示を行うものであっても良い。
【0031】
差分判定部250は、価格演算部240からの小計を受信し、第1現金処理部300又は第2現金処理部500から入金された現金の額を受信して、上記小計と照らし合わせて、上記入金された現金が小計以上であるか否かを判定する。
【0032】
売上送信部260は、差分判定部250が、入金された現金が小計以上であると判定した場合は、当該小計に係る商品又は役務と、価格とを関連付けた情報である売上情報をPOS装置800に送信する。
【0033】
差分演算部270は、差分判定部250が、入金された現金が小計以上であると判定した場合、当該入金された現金から小計を減算した値である釣銭の値を算出する。また、差分演算部270は、釣銭の値を第1現金処理部300又は第2現金処理部500に送信し、表示部50と、に送信する。当該送信を受けた第1現金処理部300又は第2現金処理部500は、当該釣銭の値に係る現金である釣銭を、紙幣入出金口又は硬貨出金口から放出して、顧客30が当該釣銭を取り出せるようにする。表示部50は、釣銭の値を表示する。また、顧客30から受け取った現金情報や釣銭発生の有無および釣銭発生時の釣銭支払情報、さらには、これらが正常に終了した情報が、一連の一つの取引情報として、POS装置800に送信される。
【0034】
記憶部280は、上記した各構成において特定した情報を都度記憶するものであり、POS装置800から送られた価格情報を関連付けて記憶し、また、第1現金処理部300又は第2現金処理部500から入金された現金の額を受信して記憶し、釣銭が発生する場合には、差分判定部250が算出した釣銭の値を記憶する。そして、一つの取引が正常に終了した場合には、一つの取引に関わる情報はすべてPOS装置800に送信されている状態となるため、取引制御装置202は、次の取引に備えて、記憶部280に記憶したこれらの情報を消去するようにしても良い。あるいは、取引制御装置202個々の履歴情報として、消去指令を受けるまでの間、記憶するようにしても良い。
【0035】
《現金処理部の構成》
第1現金処理部300は、入力受入部210によって識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する。上記現金の例としては、紙幣と、硬貨とが挙げられる。第1現金処理部300は、第2現金処理部500とはそれぞれ別個の筐体に設けられる。
【0036】
図3は、第1現金処理部300の一例を示す図である。第1現金処理部300は、紙幣釣銭機310と、硬貨釣銭機320と、を備える。紙幣釣銭機310は、商品又は役務の取引に係る紙幣を処理する。硬貨釣銭機320は、商品又は役務の取引に係る硬貨を処理する。
【0037】
紙幣釣銭機310は、紙幣入出金口311と、図示しない紙幣計数部と、を備える。紙幣入出金口311は、従業員20又は顧客30から紙幣を受け入れる口であり、紙幣釣銭機310から紙幣を払い出す口である。紙幣計数部は、紙幣入出金口311から受け入れられた紙幣を計数する。紙幣釣銭機310は、硬貨釣銭機320の上部に位置する。
【0038】
硬貨釣銭機320は、硬貨入金口321と、硬貨出金口322と、処理表示部323と、図示しない硬貨計数部と、図示しない現金演算部と、を備える。硬貨入金口321は、従業員20又は顧客30から硬貨を受け入れる口である。硬貨出金口322は、硬貨釣銭機320から硬貨を払い出す口である。硬貨計数部は、硬貨入金口321から受け入れた硬貨を計数する。現金演算部は、紙幣計数部と、硬貨計数部が計数した紙幣と硬貨の金額を加算することにより、紙幣入出金口311と硬貨入金口321から受け入れられた現金の合計を算出する。処理表示部323は、現金演算部が算出した合計を表示する。処理表示部323の例としては、ディスプレイ装置が挙げられる。また、硬貨釣銭機320は、図示しない送受信部を備える。送受信部は、取引操作装置200に現金演算部が算出した合計を送信し、また、取引操作装置200が算出した釣銭の金額を受信する。
【0039】
なお、
図3に示す第1現金処理部300の一例では、硬貨の入金口と硬貨の出金口が分かれているが、硬貨の入金と出金を1つの共通口で行われるようにしても良い。なお、
図3に示す第1現金処理部300の一例では、紙幣の入金と出金が1つの共通口である紙幣入出金口311で行われるが、紙幣の入金口と、紙幣の出金口が別々に設けられても良い。加えて、
図3に示す第1現金処理部300の一例では、硬貨釣銭機320に、処理表示部323と図示しない現金演算部、送受信部を備えると説明したが、処理表示部323と図示しない現金演算部、送受信部は紙幣釣銭機310が備えても良い。さらには、処理表示部323は、いずれにもなくても良い。
【0040】
なお、第1現金処理部300が図示しない第1現金処理制御部と第1現金処理発光装置を備え、当該第1現金処理制御部が、顧客30が紙幣又は硬貨を第1現金処理部300に入金する際に、当該第1現金処理発光装置を発光するようにしても良い。これにより、顧客30は、入金すべき入金口を明確に理解できる。なお、第1現金処理部300が、紙幣又は硬貨を顧客30に出金する際に、紙幣入出金口311又は硬貨出金口322が発光するようにしても良い。これにより、顧客30は、出金口からの出金を明確に認識することができ、第1現金処理部300からの釣銭の取り忘れを防止することができる。
【0041】
第2現金処理部500は、入力受入部210によって識別情報が受け入れられた第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する。第2現金処理部500は、レジカウンター60に内蔵され、第1現金処理部300と物理的に独立する。第2現金処理部500の構成及び動作は、第1現金処理部の構成及び動作と同様である。
【0042】
《POS装置の構成》
POS装置800は、取引処理装置100から第1種別に関わる商品又は役務の識別情報を受け取り、取引処理装置100に価格の情報を送信し、店舗全体の商品又は役務の売上を記憶する。POS装置800は、記憶装置810と、価格特定部820と、を備える。
【0043】
記憶装置810は、第1種別に関わる商品又は役務の識別情報と価格とを関連付けた情報である価格情報を記憶し、店舗全体の商品又は役務の売上を記憶する装置である。記憶装置810の例としては、オンプレミスストレージと、クラウドストレージと、が挙げられる。記憶装置810は、取引操作装置200から売上情報を受信して、売上を記憶する。なお、本発明にあっては、記憶装置810は、第2種別に関わる売上についても記憶するものであっても良い。
【0044】
価格特定部820は、取引処理装置100から第1種別に関わる商品又は役務の識別情報を受け入れ、記憶装置810が記憶している価格情報を参照して、当該商品又は役務に係る価格を特定し、その価格情報を取引処理装置100に送信する。
【0045】
なお、上記の実施形態の種別特定部220は、入力受入部210が受け入れた商品又は役務の種別の入力により、入力受入部210が受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行うが、以下の方法で種別を特定しても良い。POS装置800の記憶装置810に、商品又は役務の識別情報と種別とを関連付けた情報である種別特定情報を記憶させて、種別特定部220は、入力受入部210が受け入れた商品又は役務の識別情報を、種別特定情報に参照して、当該商品又は役務の種別を特定しても良い。これにより、従業員20が入力装置201に種別を入力しなくても、種別特定部220は、商品又は役務の種別を特定することができる。
【0046】
また、一般的に、POS装置800の記憶装置810に記憶される商品又は役務の識別情報は、店舗が提供する商品又は役務であることを考え、取引の最初で入力された商品又は役務の識別情報に対する価格情報がPOS装置800より送信されたときには、第1種別の取引開始と自動判断し、他方、POS装置800の記憶装置810に記憶されない商品又は役務の識別情報であるときには、価格情報に代わる該当商品又は役務無し情報に基づいて、代行取引の可能性が高いと判断して、第2種別の取引開始と自動判断するようにしても良い。あるいは、当該店舗で取引可能な代行取引の種類としてPOS装置800の記憶装置810に記憶された識別情報であるときには、第2種別の取引開始と自動判断するようにしても良い。これらによっても、従業員20が入力装置201に種別を入力しなくても、種別特定部220は、商品又は役務の種別を特定することができる。
【0047】
《取引処理装置の動作》
以下、図面を参照しながら取引処理装置100の動作を説明する。
図5は、第1の実施形態に係る取引処理装置100の動作を示すフローチャートである。
【0048】
従業員20は、顧客30がレジカウンター60に持って来た商品を視認して、若しくは顧客30から取引しようとする商品又は役務の内容を聞いて、入力装置201に商品又は役務の種別を入力する。当該入力により、入力受入部210は、商品又は役務の種別を受け入れる(ステップS1)。
【0049】
従業員20は、商品又は役務に係るバーコードをスキャナ40にスキャニングさせ、若しくは商品又は役務に係る識別情報を入力装置201に入力する。これにより、入力受入部210は、商品又は役務の識別情報を受け入れる(ステップS2)。取引操作装置200は、受け入れた識別情報をPOS装置800に送信する。
【0050】
POS装置800の価格特定部820は、受信した商品又は役務の識別情報を、記憶装置810が記憶している価格情報に照らし合わせて、当該商品又は役務の価格を特定し、取引処理装置100に価格情報を送信する(ステップS3)。
【0051】
取引処理装置100の価格演算部240は、価格特定部820が特定した価格を累積して加算することにより、小計を演算する(ステップS4)。
【0052】
従業員20は、入力装置201に小計表示を入力する。これにより、入力受入部210は、小計表示の入力を受け入れる(ステップS5)。ステップS5で小計表示の入力を受け入れるまで、取引処理装置100は、ステップS2からステップS4までの動作を繰り返す(ステップS5:NO)。なお、小計表示は、常に行うようにしても良く、その場合には、このステップS5では、売上精算を行う意味での小計入力となる。
【0053】
価格演算部240は、入力受入部210が受け入れた小計表示の入力を受け入れると(ステップS5:YES)、ステップS4で演算した小計を、差分判定部250に送信する(ステップS6)。
【0054】
取引処理装置100は、表示部50にステップS4により演算された小計を表示させる(ステップS8)。
【0055】
装置制御部710は小計を受信し、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別を受信する。これにより、装置制御部710は、上記種別に対応する第1シャッター400又は第2シャッター600を駆動させるモータに駆動信号を出力し、開放するように制御する(ステップS9)。すなわち、ステップS1で受け入れた種別が第1種別である場合、装置制御部710は、第1シャッター400を駆動させるモータに駆動信号を出力し、開放するように制御する。ステップS1で受け入れた種別が第2種別である場合、装置制御部710は、第2シャッター600を駆動させるモータに駆動信号を出力し、開放するように制御する。なお、第1シャッター400又は第2シャッター600の開放は、ステップS9時点で行うのではなく、ステップS1で種別を受信してから、このステップS9までの間であれば良い。
【0056】
ステップS9において、第1シャッター400又は第2シャッター600を駆動させるモータに駆動信号を出力して一定時間が経過した後、装置制御部710は、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する第1現金処理部300又は第2現金処理部500が設置されるスライドテーブルをレジカウンター60の前面方向に動かすように、アクチュエータに駆動信号を出力する(ステップS10)。ステップS10により、第1現金処理部300又は第2現金処理部500は、レジカウンター60の外部に現れるように制御される。
【0057】
処理制御部230は、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する第1現金処理部300又は第2現金処理部500が現金を処理するように制御する(ステップS11)。
【0058】
従業員20又は顧客30が表示部50に表示された小計を見て、第1現金処理部300又は第2現金処理部500に現金を入金する。これにより、第1現金処理部300又は第2現金処理部500の紙幣入出金口又は硬貨入金口は、紙幣又は硬貨の入金を受け入れる(ステップS12)。
【0059】
第1現金処理部300又は第2現金処理部500の紙幣計数部及び硬貨計数部は、現金を計数する(ステップS13)。
【0060】
第1現金処理部300又は第2現金処理部500の現金演算部は、ステップS13で紙幣計数部が計数した現金の額と硬貨計数部が計数した現金の額を加算することにより入金された現金の額を演算する(ステップS14)。
【0061】
第1現金処理部300又は第2現金処理部500の処理表示部323は、ステップS14で演算された入金された現金の額を表示する(ステップS15)。現金演算部は、算出した金額を取引操作装置200に送信する。
【0062】
差分判定部250は、現金演算部から入金された現金の額を受信し、ステップS6で算出された小計と照らし合わせて、上記入金された現金の額が小計以上であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0063】
ステップS16において、入金された現金が小計以上でない場合(ステップS16:NO)は、更なる顧客30又は従業員20からの入金を待ち、ステップS12に戻り、再度現金を受け入れる。この場合、取引処理装置100は、入金された現金が不足する旨のアラームを発生させても良い。他方、ステップS16において、入金された現金が小計以上である場合(ステップS16:YES)は、差分演算部270は、当該入金された現金から小計を減算した値である釣銭の値を算出する(ステップS17)。この場合、取引処理装置100は、入金された現金が小計以上である旨の動作音又は表示などをさせても良い。
【0064】
売上送信部260は、当該小計に係る商品又は役務と、価格とを関連付けた情報である売上情報をPOS装置800に送信する(ステップS18)。記憶装置810は、送信された売上を記憶する。
【0065】
差分演算部270は、ステップS17で算出した釣銭の値を現金処理部と、表示部50と、に送信する(ステップS19)。
表示部50が、ステップS17で算出した釣銭の値を表示する(ステップS20)。
【0066】
現金処理部は、ステップS17で算出した釣銭を放出する(ステップS21)。この後、顧客30は、当該釣銭を受け取る。なお、入金された現金が小計と等しい場合、すなわち釣銭の額がゼロである場合、現金処理部は、ステップS21を実行しなくて良い。
【0067】
現金処理部に設けられたセンサが、顧客30による釣銭の受け取りを検知した後、装置制御部710は、現金処理部をレジカウンター60の後面方向に動かすように制御する(ステップS22)。すなわち、装置制御部710は、第1現金処理部300又は第2現金処理部500が設置されるスライドテーブルをレジカウンター60の後面方向に動かすように、アクチュエータに駆動信号を出力する。
【0068】
ステップS22において、アクチュエータに駆動信号を出力して一定時間が経過した後に、装置制御部710は、シャッターが閉まるように制御する(ステップS23)。すなわち、装置制御部710は、第1シャッター400又は第2シャッター600を駆動させるモータに駆動信号を出力し、閉鎖するように制御する。
【0069】
また、上記の動作において、種別特定部220は、ステップS1で特定された種別に係る取引がステップS23で終了するまで、当該ステップS1で特定された種別とは異なる種別が入力されても、当該異なる種別での種別の特定は行わない。
【0070】
上記の取引処理装置100の動作により、取引処理装置100が処理する取引の種類別に売上集計や回収を行う際の手間を削減することができる。
【0071】
《作用・効果》
本発明に係る取引処理装置100は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部を備える取引操作装置200と、取引操作装置200によって識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第1現金処理部300と、取引操作装置200によって識別情報が受け入れられた第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部500と、を備える。
【0072】
取引処理装置100は、異なる種別に係る現金処理部を2つ備える。これにより、取引処理装置100が処理する取引の種類別に売上集計や回収を行う際の手間を削減することができる。
【0073】
また、取引操作装置200が備える入力受入部210は、商品又は役務の種別の入力を受け入れ、取引操作装置200は、入力受入部210が受け入れた種別の入力により、入力受入部210が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部220と、種別特定部220が特定した種別に基づいて、第1現金処理部300と第2現金処理部500の何れに、商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部230と、を備える。
【0074】
処理制御部230は、入力された種別により、種別特定部220が特定した種別に基づいて、現金を処理するように制御する。これにより、異なる種別に係る取引ごとに、現金処理部が制御されるため、取引処理装置100が処理する取引の種類別に売上集計や回収を行う際の手間を削減することができる。
【0075】
また、取引操作装置200が備える種別特定部220は、商品又は役務の種別の特定を行った後から、当該種別に係る第1現金処理部300又は第2現金処理部500の何れかが現金を処理するまでは、当該種別と異なる種別への特定は行わない。あるいは、商品又は役務の種別の特定を行った後から、当該種別と異なる種別の商品又は役務の取引受け付け自体を禁止する。
【0076】
これにより、ある種別に係る取引の途中に、当該種別とは異なる種別の特定または取引受け付け自体を防止することができる。
【0077】
また、取引処理装置100は、第1現金処理部300及び第2現金処理部500を内部に収容するレジカウンター60と、第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものの現金投入口が、レジカウンター60から露出するように制御する装置制御部710と、を備える。
【0078】
これにより、取引に係る現金処理部のみがレジカウンター60の外部に現れるため、従業員20又は顧客30による入出金の間違いを防止することができる。
【0079】
レジカウンター60は、第1現金処理部300を収容する第1収容部と、第2現金処理部500を収容する第2収容部と、第1収容部を封じる第1シャッター400と、第2収容部を封じる第2シャッター600と、を備え、装置制御部710は、第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものの現金投入口が、レジカウンター60の外部に現れるように、第1シャッター400又は第2シャッター600を開放制御する。
【0080】
これにより、シャッターの開放制御に基づいて、取引に係る現金処理部のみがレジカウンター60の外部に現れるため、従業員20又は顧客30による入出金の間違いを防止することができる。
【0081】
また、取引処理装置100の第1現金処理部300と第2現金処理部500とは、それぞれ別個の筐体に設けられる。
【0082】
これにより、第1現金処理部300と第2現金処理部500とが一つの筐体に設けられたものでなくても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる。
《変形例》
【0083】
なお、上記の実施形態では、現金処理部が紙幣計数部と、硬貨計数部とを備えて、当該現金処理部にて現金の自動計数を行い、釣銭の値を自動算出し、釣銭を放出する入金先行処理を行うが、従業員20が顧客30から現金を受け取り、従業員20にて現金を直接計数して、従業員20にて釣銭の値を算出して、釣銭を顧客30に手渡した後、当該計数した現金を従業員20が直接取引処理装置100に入力する釣銭先行処理を行っても良い。
【0084】
なお、上記の実施形態では、第1現金処理部300と、第2現金処理部500とが、レジカウンター60で左右に並んで設けられているが、レジカウンター60で上下に並んで設けられても良い。
【0085】
なお、上記の実施形態では、現金処理部の紙幣入出金口と、硬貨入金口が顧客30の側であるレジカウンター60の前面方向に設けられているが、従業員20の側であるレジカウンター60の後面方向に設けられても良い。この場合、現金処理部がレジカウンター60の後面の外部から現れるように、レジカウンター60の後面に壁面やシャッターを設けなくても良い。
【0086】
なお、上記の実施形態では、現金処理部の紙幣入出金口と、硬貨入金口、硬貨出金口がレジカウンター60の前面方向の一方向へ設けられるが、レジカウンター60の前面方向及び後面方向の両方向へ設けられても良い。
【0087】
なお、上記の実施形態では、現金処理部は、レジカウンター60に内蔵されるが、現金処理部をレジカウンター60の上面の上に設けても良い。
【0088】
なお、上記の実施形態では、シャッター及び現金処理部の紙幣入出金口と、硬貨入金口、硬貨出金口がレジカウンター60の前面方向に設けられるが、当該前面方向に加えて、レジカウンター60の上面方向に設けられても良い。また、シャッター及び現金処理部の紙幣入出金口と、硬貨入金口、硬貨出金口がレジカウンター60の前面方向の代わりに上面方向に設けられても良い。また、現金処理部の紙幣及び硬貨の入金口がレジカウンター60の上面方向に設けられ、現金処理部の紙幣及び硬貨の出金口がレジカウンター60の前面方向に設けられても良い。
【0089】
なお、上記の実施形態の第2現金処理部500に現金自動預け払い機の機能を加えて、顧客30が、スキャナ40を用いてキャッシュカードで、現金を引き出しできるようにしても良い。
【0090】
〈第2の実施形態〉
《取引処理装置の構成》
以下、第2の実施形態に係る取引処理装置100の構成について説明する。第1の実施形態に係る第1現金処理部300と、第2現金処理部500は、それぞれ別個の筐体内に備えられる一方、第2の実施形態に係る第1現金処理部300と第2現金処理部500は、合わせて1つの筐体の中に備えられるが、第1現金処理部300に係る現金と、第2現金処理部500に係る現金とは物理的に独立するよう構成される。また、第1の実施形態に係る第1現金処理部300及び第2現金処理部500の紙幣入出金口と、硬貨入金口、硬貨出金口は、現金処理部ごとに別々に備えるが、第2の実施形態に係る第1現金処理部300及び第2現金処理部500は、共通の紙幣入出部910と、硬貨入出部920と、を備える。また、第1の実施形態に係る取引処理装置100は、第1シャッター400と、第2シャッター600と、を備えるが、第2の実施形態に係る取引処理装置100は、共通シャッター(図示せず)を備える。
【0091】
共通シャッターは、現金処理機900をレジカウンター60の外部から封じ込める板状の物である。共通シャッターは、装置制御部710により、レジカウンター60の上面において開閉するように制御され、および又はレジカウンター60の前面において下方向に開閉するように構成配置されて制御される。
【0092】
第2の実施形態に係る取引処理装置100は、第1現金処理部300と、第2現金処理部500とが、一体型の態様で設けられても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる装置である。第2の実施形態に係る取引処理装置100の構成は、第1現金処理部300と、第2現金処理部500と、シャッター以外の構成は、第1の実施形態に係る取引処理装置100の構成と同様である。
【0093】
図6は、第2の実施形態に係る現金処理機900の一例を示す図である。現金処理機900は、筐体901と、紙幣処理部1000と、硬貨処理部1100と、図示しない紙幣計数部と、図示しない硬貨計数部と、図示しない現金演算部と、図示しない処理表示部と、を備える。第2の実施形態に係る紙幣計数部と、硬貨計数部と、現金演算部と、処理表示部とは、第1の実施形態に係る紙幣計数部と、硬貨計数部と、現金演算部と、処理表示部と、同様である。紙幣処理部1000は、紙幣処理部1000Aと、紙幣処理部1000Bと、を備える。硬貨処理部1100は、硬貨処理部1100Aと、硬貨処理部1100Bと、を備える。
図6の現金処理機900における第1現金処理部300の構成は、紙幣処理部1000Aと、硬貨処理部1100Aを合わせる構成であり、第2現金処理部500の構成は、紙幣処理部1000Bと、硬貨処理部1100Bを合わせる構成である。
【0094】
筐体901は、外部から現金処理機900に現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部として、紙幣入出部910と、硬貨入出部920を備え、
図6に向かって左側を構成する紙幣処理部1000である紙幣処理部1000Aと、紙幣処理部1000Bは、共通の入出金口である紙幣入出部910を経由して紙幣を処理する。また、
図6に向かって右側を構成する硬貨処理部1100である硬貨処理部1100Aと、硬貨処理部1100Bは、共通の入金口である硬貨入出部920を介して硬貨を処理する。
【0095】
紙幣処理部1000Aは、紙幣処理部1000Aが収納する紙幣を種類別に収納する金種別紙幣入出金庫940A~940Dと、紙幣を装填回収する装填回収庫940Eと、出金する紙幣を集積する出金集積部940Fと、紙幣入出部910により紙幣が投入される入金投入部940Gと、搬送路930Aとを備える。搬送路930Aは、金種別紙幣入出金庫940A~940Dと、装填回収庫940Eと、出金集積部940Fと、入金投入部940Gとの間で紙幣を搬送する。紙幣処理部1000Bの構成は、紙幣処理部1000Aの構成と同様である。すなわち、紙幣処理部1000Bは、紙幣処理部1000Bが収納する紙幣を種類別に収納する金種別紙幣入出金庫940H~940Kと、紙幣を装填回収する装填回収庫940Lと、出金する紙幣を集積する出金集積部940Mと、紙幣入出部910により紙幣が投入される入金投入部940Nと、搬送路930Bとを備える。搬送路930Bは、金種別紙幣入出金庫940H~940Kと、装填回収庫940Lと、出金集積部940Mと、入金投入部940Nとの間で紙幣を搬送する。搬送路930は、第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものへ、紙幣入出部910及び硬貨入出部920から受け入れられた現金を移送し、又は第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものから紙幣入出部910及び硬貨入出部920へ現金を移送する現金移送部の一例である。
【0096】
硬貨処理部1100Aは、硬貨処理部1100Aが収納する硬貨を種類別に収納する金種別硬貨入出金庫950Aと、硬貨入出部920により硬貨が投入される入金投入部950Bと、搬送路930Cと、搬送路930Eと、を備える。搬送路930Cは、入金投入部950Bに投入された硬貨を金種別硬貨入出金庫950Aに搬送する。また、搬送路930Eは、金種別硬貨入出金庫950Aから硬貨を硬貨入出部920に搬送する。硬貨処理部1100Bは、硬貨処理部1100Aの構成と同様である。すなわち、硬貨処理部1100Bは、硬貨処理部1100Bが収納する硬貨を種類別に収納する金種別硬貨入出金庫950Cと、硬貨入出部920により硬貨が投入される入金投入部950Dと、搬送路930Dと、搬送路930Fと、を備える。搬送路930Dは、入金投入部950Dに投入された硬貨を金種別硬貨入出金庫950Cに搬送する。また、搬送路930Fは、金種別硬貨入出金庫950Cから硬貨を硬貨入出部920に搬送する。
【0097】
筐体901は、開口部である紙幣入出部910及び硬貨入出部920を備え、紙幣処理部1000と、硬貨処理部1100と、紙幣計数部と、硬貨計数部と、現金演算部と、処理表示部と、を収納する。
【0098】
紙幣入出部910は、従業員20又は顧客30から紙幣を受け入れ、又は取り出す。紙幣入出部910は、紙幣出金口911と、紙幣入金口912と、を備える。紙幣出金口911は、搬送路930A又は搬送路930Bから搬送されて来て、出金集積部940F又は出金集積部940Mに収納された紙幣を払い出す口である。紙幣入金口912は、従業員20又は顧客30から紙幣を受け入れ、入金投入部940G又は入金投入部940Nに投入する口である。
【0099】
硬貨入出部920は、従業員20又は顧客30から硬貨を受け入れ、又は払い出す口である。硬貨入出部920は、硬貨入金口922と、硬貨出金口924と、を備える。硬貨入出部920の態様の例としては、硬貨入金口922を硬貨入出部920の上部に設け、硬貨出金口924を硬貨入出部920の下部に設ける態様が挙げられる。硬貨入金口922は、従業員20又は顧客30から硬貨を受け入れ、入金投入部950B又は入金投入部950Dに硬貨を投入する口である。硬貨出金口924は、搬送路930E又は搬送路930Fによって搬送されてきた硬貨を受けて集積し、従業員20又は顧客30が当該硬貨を取得できる状態とする口である。
【0100】
上記で説明する金種別紙幣入出金庫940A~940Dと、金種別紙幣入出金庫940H~940Kと、金種別硬貨入出金庫950Aと、金種別硬貨入出金庫950Cには予め設定された種類の紙幣又は硬貨が収納される。
また、上記で説明する搬送路930にはベルトコンベヤが設けられており、当該ベルトコンベヤにより、紙幣又は硬貨が搬送される。
【0101】
《取引処理装置の動作》
以下、図面を参照しながら取引処理装置100の動作を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る取引処理装置100の動作を示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る取引処理装置100の動作のステップS1からステップS8までは、第1の実施形態に係る取引処理装置100の動作のステップS1からステップS8までと同様である。
【0102】
ステップS6により、小計を受信した装置制御部710は、共通シャッターが開放するように制御する(ステップS31)。すなわち、装置制御部710は、共通シャッターを駆動させるモータに駆動信号を出力し、開放するように制御する。
【0103】
ステップS31により駆動信号を出力して一定時間が経過した後、装置制御部710は、現金処理機900をレジカウンター60の前面方向に動かすように制御する(ステップS32)。すなわち、装置制御部710は、現金処理機900が設置されるスライドテーブルをレジカウンター60の前面方向に動かすように、アクチュエータに駆動信号を出力する。ステップS32により、現金処理機900は、レジカウンター60の外部に突出するように制御される。
【0104】
処理制御部230は、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する第1現金処理部300又は第2現金処理部500が現金を処理するように制御する(ステップS33)。
【0105】
従業員20又は顧客30が表示部50に表示された小計を見て、現金処理機900に現金を入金する。これにより、紙幣入出部910又は硬貨入出部920は、紙幣又は硬貨の入金を受け入れる(ステップS34)。ステップS34で受け入れた現金は、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する第1現金処理部300の入金投入部940G又は入金投入部950B、若しくは第2現金処理部500の入金投入部940N又は入金投入部950Dに収納されるように動作することになる。すなわち、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する信号を、現金処理機900が受け入れて、収納場所を特定する。上記の収納場所とは、金種別紙幣入出金庫940A~940Dと、金種別紙幣入出金庫940H~940Kと、金種別硬貨入出金庫950Aと、金種別硬貨入出金庫950Cの中の一部の場所である。その後、ステップS34で受け入れた現金は、搬送路930に設けられたベルトコンベヤにより、上記で特定された収納場所に収納されるように、この後、動作することになる。
【0106】
ステップS34で入金投入部に収納された現金を、紙幣の種類又は硬貨の種類に対応する金種別紙幣入出金庫又は金種別硬貨入出金庫に搬送して収納させる(ステップS35)。
現金処理機900の紙幣計数部及び硬貨計数部は、現金を計数する(ステップS36)。
【0107】
現金処理機900の現金演算部は、ステップS36で紙幣計数部が計数した現金の額と硬貨計数部が計数した現金の額を加算することにより入金された現金を演算する(ステップS37)。
【0108】
現金処理機900の処理表示部は、ステップS37で演算された入金された現金を表示する(ステップS38)。そして、およそステップS35からステップS38の動作は、紙幣入出部910又は硬貨入出部920から入金された紙幣又は硬貨がすべて計数され収納されるまで継続し、計数され収納されるべき紙幣又は硬貨が無くなると、次のステップS39に進む。
【0109】
差分判定部250は、価格演算部240からの小計を受信し、現金処理機900から入金された現金を受信して、上記小計と照らし合わせて、上記入金された現金が小計以上であるか否かを判定する(ステップS39)。
【0110】
ステップS39において、入金された現金が小計以上でない場合(ステップS39:NO)は、更なる顧客30又は従業員20からの入金を待ち、ステップS34に戻り、再度現金を受け入れる。この場合、取引処理装置100は、入金された現金が不足する旨のアラームを発生させても良い。他方、ステップS39において、入金された現金が小計以上である場合(ステップS39:YES)は、差分演算部270は、当該入金された現金から小計を減算した値である釣銭の値を算出する(ステップS40)。この場合、取引処理装置100は、入金された現金が小計以上である旨の動作音又は表示などをさせても良い。
【0111】
売上送信部260は、当該小計に係る商品又は役務と、価格とを関連付けた情報である売上情報をPOS装置800に送信する(ステップS41)。記憶装置810は、送信された売上を記憶する。
【0112】
差分演算部270は、ステップS40で算出した釣銭の値を、ステップS1で入力受入部210が受け入れた種別に対応する第1現金処理部300又は第2現金処理部500に対応する現金処理機900と、表示部50と、に送信する(ステップS42)。
【0113】
表示部50が、ステップS41で算出した釣銭の値を表示する(ステップS43)。
【0114】
ステップS42で受信した現金処理機900は、搬送路930により、紙幣又は硬貨を紙幣出金口911又は硬貨出金口924に搬送して、ステップS40で算出した釣銭を放出する(ステップS44)。この後、顧客30は、当該釣銭を受け取る。
【0115】
現金処理機900に設けられたセンサが、顧客30による釣銭の受け取りを検知した後、装置制御部710は、現金処理機900をレジカウンター60の後面方向に動かすように制御する(ステップS45)。すなわち、装置制御部710は、現金処理機900が設置されるスライドテーブルをレジカウンター60の後面方向に動かすように、アクチュエータに駆動信号を出力する。
【0116】
装置制御部710は、共通シャッターが閉まるように制御する(ステップS46)。すなわち、装置制御部710は、共通シャッターを駆動させるモータに駆動信号を出力し、共通シャッターが閉まるように制御する。
【0117】
上記の取引処理装置100の動作により、第1現金処理部300と、第2現金処理部500とが、一体型の態様で設けられても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる。
【0118】
《作用・効果》
本発明に係る取引処理装置100は、外部から現金を受け入れ、又は外部へ現金を繰り出すためのインターフェースである開口部を有し、第1現金処理部300と第2現金処理部500とを収容する筐体901を備え、第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものへ、開口部から受け入れられた現金を移送し、又は第1現金処理部300と第2現金処理部500のうち処理制御部230によって決定されたものから開口部へ現金を移送する現金移送部と、を備える。
【0119】
これにより、取引処理装置100は、第1現金処理部300と、第2現金処理部500とが、一体型の態様で設けられても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる。
《変形例》
【0120】
なお、上記の実施形態では、現金処理部は、レジカウンター60に内蔵されるが、現金処理部をレジカウンター60の上面の上に設けても良い。
【0121】
なお、上記の実施形態の現金処理機900の第2現金処理部500に現金自動預け払い機の機能を加えて、顧客30が、スキャナ40を用いてキャッシュカードで、現金を引き出しできるようにしても良い。
【0122】
〈第3の実施形態〉
以下、第3の実施形態に係る取引処理装置100の構成について説明する。取引処理装置100は、複数の第1現金処理部300が第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理し、第1現金処理部300の数より少ない数の第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部500を設けても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる装置である。
図8は、第3の実施形態に係る取引処理装置100の一例を示す図である。
【0123】
取引処理装置100は、複数の取引操作装置200と、複数の第1現金処理部300と、第2現金処理部500と、を備える。
図8における取引処理装置100の一例では、2つの取引操作装置200と、2つの第1現金処理部300と、1つの第2現金処理部500と、を備える。第3の実施形態の取引操作装置200と、第1現金処理部300の構成は、第1の実施形態の取引操作装置200と、第1現金処理部300の構成と同様である。第3の実施形態の第2現金処理部500の構成は、第1の実施形態の第2現金処理部500の構成に加えて、図示しない処理判定部を備える。第1の実施形態においては、1つの第2現金処理部500は、1つの取引操作装置200と対応する。これに対し、第3の実施形態においては、1つの第2現金処理部500は、複数の取引操作装置200に対応する。
【0124】
第2現金処理部500は、複数の取引操作装置200と接続されるが、同時に何れか1つの取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理する。第2現金処理部500の処理判定部は、当該第2現金処理部500に接続された何れかの取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理していない場合(非占有状態)は、取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理している旨のフラグがオフとなる。他方、処理判定部は、第2現金処理部500に接続された何れかの取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理している場合(占有状態)は、取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理している旨のフラグがオンになる。
【0125】
処理判定部は、フラグの状態を取引操作装置200に送信する。これにより、第2現金処理部500は、複数の取引操作装置200と接続されるが、同時に接続されることはなく、何れか1つのみの取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理する。第2現金処理部500は、処理判定部のフラグが占有状態である場合は、取引操作装置200から商品又は役務の取引に係る現金を処理する旨の信号が送信されても、当該現金を処理しない。この場合、処理判定部は、占有状態の直後に非占有状態となった時に、改めて、当該取引操作装置200に、非占有状態である旨の信号を送信した後、当該取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理する。
【0126】
なお、第3の実施形態の取引処理装置100も、第1の実施形態の取引処理装置100と同様に、入金先行処理だけでなく、釣銭先行処理であっても良い。
また、レジカウンター60に関わる配置関係から、2つの第1現金処理部300の間に1つの第2現金処理部500を備えるのが、最も好ましい配置となる。
【0127】
《作用・効果》
本発明に係る取引処理装置100は、商品又は役務の識別情報の入力を受け入れる入力受入部210を備える複数の取引操作装置200と、複数の取引操作装置200に対応して設けられた複数の第1現金処理部300であって、対応する取引操作装置200によって識別情報が受け入れられた第1種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する複数の第1現金処理部300と、複数の取引操作装置200によって識別情報が受け入れられた第1種別と異なる種別である第2種別の商品又は役務の取引に係る現金を処理する第2現金処理部500と、を備える。
【0128】
これにより、取引処理装置100は、第2現金処理部が複数の取引操作装置200の商品又は役務の取引に係る現金を処理し、第1現金処理部300の数より少ない数の第2現金処理部500を設けても、種別ごとに取引に係る現金を分離して処理することができる。
【0129】
〈第4の実施形態〉
以下、第4の実施形態に係る取引処理装置100について説明する。第4の実施形態に係る取引処理装置100は、従業員20が商品又は役務の種別を取引操作装置200に入力しなくても、種別特定部220が、自動的に商品又は役務の種別を特定する装置である。第4の実施形態に係る取引制御装置202の構成は、第1の実施形態に係る取引制御装置202の構成と同様である。
【0130】
第4の実施形態に係るPOS装置800の記憶装置810は、識別情報と種別とが関連付けられた情報も記憶する。第4の実施形態に係る記憶装置810は、記憶部の一例である。
【0131】
種別特定部220は、記憶装置810に予め記憶される識別情報と種別とを関連付けた情報と、入力受入部210が受け入れた識別情報とを照らし合わせて、入力受入部210が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う。
処理制御部230は、種別特定部220が特定した種別に基づいて、第1現金処理部300と第2現金処理部500の何れに商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する。
【0132】
《作用・効果》
本発明に係る取引処理装置100の取引操作装置200は、記憶部に予め記憶される前記識別情報と当該識別情報に係る商品又は役務の種別とを関連付けた情報と、入力受入部210が受け入れた識別情報とを照らし合わせて、入力受入部210が入力を受け入れた識別情報に係る商品又は役務の種別の特定を行う種別特定部220と、種別特定部220が特定した種別に基づいて、第1現金処理部300と第2現金処理部500の何れに商品又は役務の取引に係る現金を処理させるかを決定する処理制御部230と、を備える。
【0133】
処理制御部230は、記憶部に予め記憶される情報により、種別特定部220が特定した種別に基づいて、現金を処理するように制御する。これにより、異なる種別に係る取引ごとに、現金処理部が制御されるため、取引処理装置100が処理する取引の種類別に売上集計や回収を行う際の手間を削減することができる。
【0134】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0135】
上記の実施形態では、取引処理装置100は、第1現金処理部300と、第2現金処理部500と、を備えるが、第3現金処理部を備えても良い。この場合、第3現金処理部は現金自動預け払い機の機能を有し、顧客30が、スキャナ40を用いてキャッシュカードで、現金を引き出しできる。
【符号の説明】
【0136】
20 従業員
30 顧客
40 スキャナ
50 表示部
60 レジカウンター
100 取引処理装置
200 取引操作装置
201 入力装置
202 取引制御装置
210 入力受入部
220 種別特定部
230 処理制御部
240 価格演算部
250 差分判定部
260 売上送信部
270 差分演算部
280 記憶部
300 第1現金処理部
301 第1空間
310 紙幣釣銭機
311 紙幣入出金口
320 硬貨釣銭機
321 硬貨入金口
322 硬貨出金口
323 処理表示部
400 第1シャッター
500 第2現金処理部
501 第2空間
600 第2シャッター
700 カウンター制御装置
710 装置制御部
800 POS装置
810 記憶装置
820 価格特定部
900 現金処理機
901 筐体
910 紙幣入出部
911 紙幣出金口
912 紙幣入金口
920 硬貨入出部
922 硬貨入金口
924 硬貨出金口
930 搬送路
1000 紙幣処理部
1100 硬貨処理部