(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、褥瘡リスク評価方法及び褥瘡リスク評価プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20230727BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20230727BHJP
A61G 7/057 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/107 300
A61G7/057
(21)【出願番号】P 2019080314
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-02-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月27日IoT推進ラボ合同イベントにおいて、本願発明について公開しました。
(73)【特許権者】
【識別番号】515225415
【氏名又は名称】株式会社Z-Works
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 健一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 浩気
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 僚介
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-327653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0090571(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343889(US,A1)
【文献】特開2003-235813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/107
A61G 7/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者が身体を預ける器具と、前記器具に身体を預ける被介護者の生体情報を管理する管理装置と、を備え、前記被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う情報処理装置であって、
前記器具は、前記被介護者の振動を検知するセンサを備え、
前記管理装置は、
前記センサからの検知信号を受信する信号受信部と、
受信した前記検知信号に基づき、前記被介護者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、前記生体情報に基づいて前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価部
と、
前記生体情報に基づく機械学習を行い、前記褥瘡リスクに関する情報を生成する機械学習部と、を備
え、
前記生体情報取得部は、前記検知信号に基づき、前記被介護者の睡眠状態情報を前記生体情報として取得し、
前記褥瘡リスクに関する情報は、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づく機械学習により生成されたモデル情報であり、
前記褥瘡リスク評価部は、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づいて、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する、情報処理装置。
【請求項2】
前記褥瘡リスクに関する情報は、
さらに、前記被介護者の体位変化情報、前記被介護者の体重変化情
報、及び前記被介護者の離床情報の内の1または複数の情報を含む前記生体情報に基づく機械学習により生成されたモデル情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生体情報取得部は、前記検知信号の信号レベルが所定の閾値以上変化し、前記検知信号の変化が所定の時間以上継続した場合、前記被介護者に体位変化があったと判定して前記被介護者の体位変化情報として取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記
被介護者が横たわる寝具は、前記センサを複数備え、
前記生体情報取得部は、複数の前記センサからの前記検知信号から、1の前記センサにかかる振動が、他の前記センサにかかる振動へと変化したと判定される場合、前記被介護者に体位変化があったと判定して前記被介護者の体位変化情報として取得する、
請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記褥瘡リスク評価部は、前記被介護者の体位変化情報において、前記被介護者の体位変化を所定の時間以上検知しない場合、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクが高いと評価する、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記褥瘡リスク評価部は、前記被介護者の体位変化情報において、所定の時間における前記被介護者の体位変化の回数が減少傾向である場合、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクが高いと評価する、
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記褥瘡リスク評価部は、前記被介護者の体重変化情報において、前記被介護者の体重が減少傾向である場合、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクが高いと評価する、
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクが所定以上である場合、所定の通知を出力する通知部を備える、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
被介護者が身体を預ける器具における前記被介護者の生体情報を管理し、前記被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う褥瘡リスク評価方法であって、
信号受信部が行う、前記器具に設けられた、前記被介護者の振動を検知するセンサからの検知信号を受信する信号受信ステップと、
生体情報取得部が行う、受信した前記検知信号に基づき、前記被介護者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
褥瘡リスク評価部が行う、前記生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、前記生体情報に基づいて前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価ステップ
と、
機械学習部が行う、前記生体情報に基づく機械学習を行い、前記褥瘡リスクに関する情報を生成する機械学習ステップと、を備
え、
前記生体情報取得部は、前記検知信号に基づき、前記被介護者の睡眠状態情報を前記生体情報として取得し、
前記褥瘡リスクに関する情報は、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づく機械学習により生成されたモデル情報であり、
前記褥瘡リスク評価部は、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づいて、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する、褥瘡リスク評価方法。
【請求項10】
被介護者が身体を預ける器具における前記被介護者の生体情報を管理し、前記被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う褥瘡リスク評価プログラムであって、
前記器具に設けられた、前記被介護者の振動を検知するセンサからの検知信号を受信する信号受信ステップと、
受信した前記検知信号に基づき、前記被介護者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、前記生体情報に基づいて前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価ステップ
と、
前記生体情報に基づく機械学習を行い、前記褥瘡リスクに関する情報を生成する機械学習ステップと、を電子計算機に実行させるための褥瘡リスク評価プログラム
であり、
前記生体情報取得ステップでは、前記検知信号に基づき、前記被介護者の睡眠状態情報を前記生体情報として取得し、
前記褥瘡リスクに関する情報は、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づく機械学習により生成されたモデル情報であり、
前記褥瘡リスク評価ステップでは、前記被介護者の睡眠状態情報を含む前記生体情報に基づいて、前記被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する、褥瘡リスク評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被介護者が身体を預ける器具における被介護者の生体情報を管理し、被介護者の褥瘡発症リスクを評価するための情報処理装置、褥瘡リスク評価方法及び褥瘡リスク評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関や介護施設等における入院患者や入所者のうち、自力での活動が困難であり、要介護度の高い入院患者や入所者、特にほぼ寝たきり状態の臥床者(以下、「長期臥床者」という。)は、自力で寝返りをすることが出来ない。このような長期臥床者が同じ姿勢のまま寝たきり状態でいると、身体の一部に常に圧力がかかる状態になり、血流が悪くなる。これにより、褥瘡と呼ばれる、いわゆる床ずれが発生することが知られている。
【0003】
医療機関や介護施設等では、長期臥床者の褥瘡を防止するため、所定時間間隔で長期臥床者の身体の向きを変えさせる、体位交換と呼ばれる処置が行われている。また、医療機関や介護施設等では、この体位交換を確実に行うようにするため、例えば、1日のスケジュールを示す介護計画の中に、体位交換を行う時刻を設定している。しかしながら、医療機関や介護施設等における、体位交換を行う作業者は多忙であり、介護計画通りに体位交換の作業が行われないことも多い。褥瘡は、長期臥床者に深刻なダメージを与えることがあるため介護計画通りに体位交換が行われる必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、人の肺の呼吸活動及び心臓の拍動による振動等を振動センサで検出することで、人の健康状態を24時間検出することが可能な健康状態検出装置が開示されている。特許文献1に記載の健康状態検出装置は、ベッド上に振動センサを配置することで、寝返り等による体位の変化も検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような長期臥床者が自力で寝返りをすることが出来なくなるまでには、様々なリスク要因があることが経験則上知られている。例えば、自力で寝返りをすることが可能であり、長期臥床者に至る前の段階の被介護者であっても、高齢者になると年々体力が低下するため、徐々に寝返りの回数が減少することが知られている。また、寝具に横たわる臥床者だけではなく、車椅子に着座している被介護者でも、褥瘡を発症させ、または悪化させることが知られている。このように、自力で寝返りをすることが出来なくなり、褥瘡を発症させるリスクが高まっていることが事前に分かれば、指導やリハビリ等により改善することも可能である。特許文献1に記載された健康状態検出装置は、そのような分析を行うものではないため、褥瘡を発症させるリスクを評価する装置やシステムが望まれていた。
【0007】
そこで、本開示では、被介護者が身体を預ける器具における被介護者の生体情報を管理し、被介護者の褥瘡発症リスクを評価する情報処理装置、褥瘡リスク評価方法及び褥瘡リスク評価プログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様における情報処理装置は、被介護者が身体を預ける器具と、器具に身体を預ける被介護者の生体情報を管理する管理装置と、を備え、被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う情報処理装置であって、器具は、被介護者の振動を検知するセンサを備え、管理装置は、センサからの検知信号を受信する信号受信部と、受信した検知信号に基づき、被介護者の生体情報を取得する生体情報取得部と、生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、生体情報に基づいて被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様における褥瘡リスク評価方法は、被介護者が身体を預ける器具における被介護者の生体情報を管理し、被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う褥瘡リスク評価方法であって、信号受信部が行う、器具に設けられた、被介護者の振動を検知するセンサからの検知信号を受信する信号受信ステップと、生体情報取得部が行う、受信した検知信号に基づき、被介護者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、褥瘡リスク評価部が行う、生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、生体情報に基づいて被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価ステップと、を備える。
【0010】
また、本開示の一態様における褥瘡リスク評価プログラムは、被介護者が身体を預ける器具における被介護者の生体情報を管理し、被介護者の褥瘡発症リスク評価を行う褥瘡リスク評価プログラムであって、器具に設けられた、被介護者の振動を検知するセンサからの検知信号を受信する信号受信ステップと、受信した検知信号に基づき、被介護者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクに関する情報から、生体情報に基づいて被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価ステップと、を電子計算機に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、器具に被介護者の振動を検知するセンサを備え、管理装置でセンサからの検知信号を受信して被介護者の生体情報を取得し、生体情報に基づいて被介護者が褥瘡を発症させるリスクを評価する。これにより、被介護者の褥瘡発症リスクの評価によりリスクの早期発見が可能になるので、当該被介護者に対する指導等により褥瘡発症リスクを低減させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理装置を示す機能ブロック構成図である。
【
図2】
図1の振動センサ230をベッドBのマットレスMに配置した一例を示す平面図である。
【
図3】
図1の情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図2のベッドBに臥床者Hが仰向けに横たわる状態の一例を示す模式図である。
【
図5】
図4の臥床者Hの体位変化の解析結果による重心位置の変化の一例を示すグラフである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の管理装置を示す機能ブロック構成図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る情報処理装置を示すブロック構成図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係るコンピュータ700を示す機能ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0014】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る情報処理装置1を示す機能ブロック構成図である。この情報処理装置1は、主に医療機関や介護施設等において、被介護者の体位変化等の生体情報を管理するシステムである。体位変化とは、被介護者が自力で寝返りを打つことで体の向き(体向)を変化させたり、咳やくしゃみをしたり、意識的または無意識により身体の一部を振動させる行為、いわゆる貧乏ゆすりのような行為を含む概念である。また、この情報処理装置1は、被介護者の体位変化等の生体情報に基づき、被介護者が褥瘡を発症させるリスクである褥瘡発症リスク評価を行うシステムである。
【0015】
情報処理装置1は、管理装置100と、検出装置200と、ネットワークNWとを有している。管理装置100と、検出装置200とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。ネットワークNWは、通信を行うための通信網であり、限定ではなく例として、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network:VPN)等を含む通信網により構成されている。また、管理装置100と検出装置200とは、限定ではなく例として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続しても良い。
【0016】
管理装置100は、検出装置200から被介護者による振動の信号を受信して体位変化等の生体情報を管理し、生体情報からその被介護者が褥瘡を発症させるリスクの評価を行い、結果を通知する装置であり、限定ではなく例として、各種Webサービスを提供するコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)や、サーバ装置を含む装置等により構成されている。なお、サーバ装置は単体で動作するサーバ装置に限られず、ネットワークNWを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、クラウドサーバでも良い。
【0017】
検出装置200は、被介護者が寝返り等の体位変化を行った場合や、起き上がった場合等の振動を検知する装置であり、限定ではなく例として、センサ等により構成されている。この検出装置200は、被介護者が身体を預ける器具、例えば被介護者が横たわるベッド等の寝具や、被介護者が移動する際に着座する車椅子に取り付けられる。本実施形態では、被介護者はベッドに横たわる臥床者であり、センサがベッドに取り付けられている例について説明する。
【0018】
管理装置100は、通信部110と、表示部120と、操作部130と、記憶部140と、制御部150とを備える。
【0019】
通信部110は、ネットワークNWを介して検出装置200と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行できるのであればどのような通信プロトコルを用いても良い。この通信部110は、限定ではなく例として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0020】
表示部120は、管理装置100を操作するユーザ、例えば医療機関や介護施設等の職員から入力された操作内容や、検出装置200からの送信内容を表示するために用いられるユーザインタフェースであり、限定ではなく例として、液晶ディスプレイ、タッチパネル、タッチディスプレイを含む装置等から構成される。
【0021】
操作部130は、管理装置100を操作するユーザが操作指示を入力するために用いられるユーザインタフェースであり、限定ではなく例として、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチディスプレイを含む装置等から構成される。
【0022】
記憶部140は、各種制御処理や制御部150内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、限定ではなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むメモリや、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含むストレージから構成される。また、記憶部140は、褥瘡リスクモデルDB(褥瘡リスクに関する情報)141を記憶する。さらに、記憶部140は、検出装置200と通信を行ったデータや、後述する各処理にて生成されたデータを一時的に記憶する。
【0023】
褥瘡リスクモデルDB141には、臥床者の生体情報に基づき、臥床者が褥瘡を発症させるリスクを評価するための情報である褥瘡リスクに関する情報として格納されている。具体的には、臥床者が体位変化を行った時刻や回数の情報、臥床者の一定期間の体重変化に関する情報、臥床者の睡眠状態に関する情報、臥床者が離床した時間や回数の情報等に基づき、その臥床者が将来的に褥瘡を発症させるリスクの有無を評価するモデル情報である。この褥瘡リスクモデルDB141は、前述の情報に基づいて機械学習が行われて生成される情報であり、例えば他の装置で機械学習が行われて生成されたモデル情報を取得したものである。また、褥瘡リスクモデルDB141は、後述する褥瘡リスク評価部153で使用される。
【0024】
制御部150は、記憶部140に記憶されているプログラムを実行することにより、管理装置100の全体の動作を制御するものであり、限定ではなく例として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、プロセッサコア(Processor core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む装置等から構成される。制御部150の機能として、信号受信部151と、生体情報取得部152と、褥瘡リスク評価部153と、通知部154とを備えている。この信号受信部151、生体情報取得部152、褥瘡リスク評価部153、及び通知部154は、記憶部140に記憶されているプログラムにより起動されて管理装置100にて実行される。
【0025】
信号受信部151は、検出装置200が備えるセンサからの検知信号を、検出装置200から通信部110を介して受信する。この検知信号は、限定ではなく例として、電圧や電流の変化を示す時系列の波形信号を含む。
【0026】
また、信号受信部151は、検知信号に対して、様々な周期信号に分解して所定の周期信号を抽出するフーリエ変換を行う。波形信号である検知信号は、ノイズか含まれるため、後続処理で正しい判定を行うためである。そのため、必要な信号の判定が可能な程度にノイズが少ない場合には、フーリエ変換を行わなくても良い。なお、信号受信部151は、受信した検知信号を記憶部140に記憶させても良いが、図示を省略する。
【0027】
生体情報取得部152は、信号受信部151で受信し、必要に応じてフーリエ変換を行った検知信号から解析され、臥床者の生体情報を取得する。臥床者の生体情報とは、限定ではなく例として、臥床者の呼吸や心拍の回数、臥床者が体位変化を行った時刻や回数、臥床者が離床した時間や回数(離床情報)、臥床者の一定期間の体重変化の情報である。また、これらの情報をさらに解析し、臥床者の睡眠状態に関する情報(睡眠状態情報)を取得する。例えば、ベッド上における臥床者の振動をセンサで検知した検知信号は、その信号レベルの大小や周期により、臥床者の体位変化によるものか、臥床者の呼吸や心拍によるものか、等を判定することが可能である。そのため、生体情報取得部152では、例えば臥床者の体位変化の情報を取得する場合、検知信号の信号レベルが所定の閾値以上変化し、かつ検知信号の変化が所定の時間以上継続した場合、臥床者に体位変化があったと判定し、臥床者の体位変化情報として取得する。
【0028】
例えば、臥床者が安定して就寝している状態のとき、センサが検知する信号は、臥床者の脈動と呼吸に伴う横隔膜の動きによる振動によるものであり、臥床者の脈動による振動は、例えば1Hz程度であり、臥床者の呼吸による振動は、例えば0.3~0.5Hz程度である。臥床者が咳をしたり、意識的または無意識による身体の一部を振動させる行為、いわゆる貧乏ゆすりをしたりすると、脈動と呼吸による振動とは異なる周波数帯の信号レベルを検知する。この信号を小さな体位変化と判定する。これに対して、臥床者の体位変化の結果による振動は、小さな体位変化の信号レベルの2倍~8倍と強く、2秒~3分程度継続する。生体情報取得部152では、この信号を大きな体位変化と判定し、臥床者が寝返りをしたような場合の信号は、大きな体位変化の場合と判定する。
【0029】
また、生体情報取得部152は、臥床者の身体の向き(体向)を判定しても良い。例えば、臥床者の体位変化による振動をセンサで検知した信号を分析すると、その臥床者がそのときに身体をどのような向きにしていたか判定することが可能である。
【0030】
褥瘡リスク評価部153は、褥瘡リスクモデルDB141に格納されている、臥床者の生体情報と、臥床者が褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクモデルから、生体情報取得部152で取得した臥床者の生体情報に基づき、その臥床者が褥瘡を発症させるリスクを評価する。限定ではなく例として、介護施設等に入所した当初の臥床者は、自発的に寝返りをすることが可能であるため、体位変化を行った時刻や回数の情報として、頻繁に寝返りを行ったことが分かるような大きな体位変化の情報が記憶されている。しかし、長期間経過すると、徐々に大きな体位変化を行う回数が減少し、時間間隔も広がることがある。そして、このような臥床者は、後に自力で寝返りを行えなくなり、褥瘡のリスクが増大することがある。褥瘡リスク評価部153では、大きな体位変化を所定の時間以上検知しないような傾向が見られる臥床者を、褥瘡リスク有りと評価する。
【0031】
また、他の例として、介護施設等に入所した当初と比較して体重が減少し、痩身傾向にある臥床者は、体力の減少に伴い、徐々に大きな体位変化を行う回数が減少し、時間間隔も広がることがある。このような臥床者は、後に自力で寝返りを行えなくなり、褥瘡のリスクが増大することがある。褥瘡リスク評価部153では、このような傾向が見られる臥床者を、褥瘡リスク有りと評価する。
【0032】
すなわち、褥瘡リスク評価部153は、臥床者の短期的な生体情報だけではなく、長期的な生体情報の変化も取得し、褥瘡リスクを評価する。これにより、臥床者が褥瘡を発症させるリスクが高まっていることを、事前に把握することを可能にするものである。
【0033】
通知部154は、褥瘡リスク評価部153で褥瘡リスクが所定以上高いと評価された臥床者を特定し、例えば、褥瘡リスクが所定以上高まっている旨の通知を行う。この通知部154による通知対象者は、例えば介護施設の介護職員や、病院の看護師のように、その臥床者の健康状態について責任を有する者である。具体的には例えば、これらの者が管理装置100で当該臥床者の情報をアクセスしたときに、ワーニングとして褥瘡リスクが所定以上高まっている旨の通知を行う。なお、この通知の対象者は、本人やその家族でも良い。また、通知部154は、音声によるアラートを出力しても良く、管理装置100は、そのための音声出力装置、例えばスピーカ等を備えても良い。
【0034】
また、通知部154は、例えば複数段階のアラートを出力しても良く、例えば体位変化があった時刻を記憶してから1時間半経過した場合に、表示部120上で黄色に表示させるような注意表示を行い、2時間経過した場合に、表示部120上で赤色に表示させるような警告表示を行っても良い。さらに、音声出力によるアラート出力の場合は、時間が経過するにつれて音声の音量を大きくしても良い。
【0035】
検出装置200は、通信部210と、動作制御部220と、振動センサ230とを備える。
【0036】
通信部210は、ネットワークNWを介して管理装置100と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行できるのであればどのような通信プロトコルを用いても良い。この通信部210は、限定ではなく例として、TCP/IP等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0037】
動作制御部220は、振動センサ230の動作制御を行い、検知信号を、通信部210を介して管理装置100に送信する機能を備えており、限定ではなく例として、CPU、MPU、GPU等から構成される。
【0038】
振動センサ(センサ)230は、臥床者が寝返りを行った場合の体位変化や、臥床者の呼吸や心拍、または臥床者が咳やくしゃみをしたり、意識的または無意識により身体の一部を振動させたりする行為等の振動を検知するセンサであり、限定ではなく例として、外部から加えられた振動を圧電効果により電気信号に変換する圧電素子等により構成されている。この振動センサ230は、臥床者が横たわるベッドのマットレス等の寝具に、臥床者が臥床する箇所に配置される。なお、振動センサ230は臥床者の振動を検知するセンサであれば良く、ドップラーセンサやマットセンサ等で構成しても良い。
【0039】
図2は、
図1の振動センサ230をベッドBのマットレスMに配置した一例を示す平面図である。
図2に示すベッドBのマットレス(寝具)Mには、例えば、複数の振動センサ230が配置されている。振動センサ230は、細長のシート状に構成され、マットレスMの上面側に配置され、臥床者に直接触れないようにシーツやクッション材等により覆われて埋設されている。このように、臥床者に直接触れないように配置するのは、臥床者に触れることにより感電等のおそれがあることや、臥床者が不快に感じるおそれがあるからである。
【0040】
振動センサ230のマットレスM上における配置は、
図2に示すように、臥床者がマットレスMに横たわる際に上半身が載置される箇所に、振動センサ230の長手方向が臥床者の身体の上下方向に沿うように、臥床者の身体の幅方向に5本並列に配置され(左から順に、振動センサ230a,230b,230c,230d,230e)、臥床者の下半身が載置される箇所に、振動センサ230の長手方向が臥床者の身体の幅方向に沿うように、臥床者の身体の上下方向に2本並列に配置され(上から順に、振動センサ230f,230g)ている。なお、
図2に示すベッドBは、上方向が臥床者の頭側であり、下方向が臥床者の足側である。
【0041】
このように配置するのは、臥床者の上半身側の5本の振動センサ230により、臥床者のマットレスM上における幅方向の位置を検知することで、体位変化があったことを判定するためである。また、臥床者がマットレスM上における幅方向の位置を変更せずに体位変化させることも考えられるため、臥床者の下半身の2本の振動センサ230により、所定以上の大きな振動を検知することで体位変化があったことを判定出来るようにしている。
【0042】
<処理の流れ>
図3を参照しながら、情報処理装置1が実行する褥瘡リスク評価方法の一例の処理の流れについて説明する。
図3は、
図1の情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS101の処理として、検出装置200の振動センサ230が検知した検知信号は、動作制御部220によって通信部210を介して管理装置100に送信されるので、管理装置100の信号受信部151では、通信部110を介して受信される。また、信号受信部151では、必要に応じて、受信された検知信号に対してフーリエ変換が行われ、所定の周期信号が抽出される。
【0044】
ステップS102の処理として、生体情報取得部152では、ステップS101で受信されてフーリエ変換が行われた検知信号から必要な解析が行われ、臥床者の呼吸や心拍の回数、臥床者が体位変化を行った時刻や回数、臥床者が離床した時間や回数、臥床者の一定期間の体重変化、臥床者の睡眠状態に関する情報といった臥床者の生体情報が取得される。
【0045】
図4は、
図2のベッドBに臥床者Hが仰向けに横たわる状態の一例を示す模式図である。
図4に示すマットレスM上の臥床者Hは、例えば、臥床者Hの身体の幅方向略中央に仰向けに横たわっている。このとき、振動センサ230b,230c,230d,230f,230gの上に臥床者Hの身体は載置されているため、これらの振動センサが臥床者Hの振動、具体的には臥床者Hの脈動と呼吸による振動を検知している。このときの振動センサによる検知信号の信号レベルは、例えば、臥床者Hの重心近傍が載置されている振動センサ230c,230fは、強い信号レベルを検知し、臥床者Hの重心から離れた振動センサ230b,230d,230gは、弱い信号レベルを検知する。
【0046】
図4に示す臥床者Hが、例えば、向かって左方向(臥床者Hから見て右方向)に寝返りをすると、マットレスM上において、臥床者Hの身体の幅方向左側に左方向を向いて横たわる状態になる。このとき、振動センサ230b,230c,230d,230f,230gが臥床者Hの振動による、強い信号レベルの検知信号を検知することになる。このような検知信号の変化により、生体情報取得部152では、臥床者Hの生体情報が取得される。
【0047】
ステップS103の処理として、褥瘡リスク評価部153では、褥瘡リスクモデルDB141に格納されている褥瘡リスクモデルから、ステップS102で取得された生体情報臥床者の生体情報に基づき、その臥床者が褥瘡を発症させるリスクが評価される。
【0048】
図5は、
図4の臥床者Hの体位変化の解析結果による重心位置の変化の一例を示すグラフである。
図5に示すグラフの曲線Lは、
図4に示す臥床者Hの振動による振動センサ230a~230gの検知信号を解析し、マットレスM上において所定の1日における臥床者Hの重心位置の移動状況を、タイムチャートとして示している。タイムチャート上の時刻T1~T10は、生体情報取得部152が判定する大きな体位変化または小さな体位変化の時刻を示しており、実線で示す時刻T2,T4,T6,T9は大きな体位変化を、破線で示す時刻T1,T3,T5,T7,T8,T10は小さな体位変化を示している。
【0049】
例えば、
図5に示す時刻T1~T10の前後において、重心位置の移動方向が変化していることが分かる。このような体位変化に加えて、信号レベルの強度から、大きな体位変化または小さな体位変化を判定している。そして、褥瘡リスク評価部153では、例えば大きな体位変化の回数が減少傾向にある場合や、時間間隔が広がっている場合に褥瘡リスク有りと評価している。
【0050】
ステップS104の処理として、通知部154では、ステップS103の評価結果が、褥瘡リスクが所定以上高いか否か判定される。高い場合にはステップS105の処理が行われ、高くない場合には処理が終了される。
【0051】
ステップS105の処理として、通知部154では、褥瘡リスクが所定以上高いと評価された臥床者に対して、例えば、褥瘡リスクが所定以上高まっている旨の通知が行われる。これにより、臥床者の褥瘡リスクを認識することが出来る。
【0052】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置及び褥瘡リスク評価方法は、ベッドのマットレスに臥床者の振動を検知する振動センサを備える検出装置が取り付けられ、生体情報取得部により、この振動センサの検知信号から臥床者の生体情報が取得され、褥瘡リスク評価部により、臥床者が褥瘡を発症させるリスクがあるか否かが評価される。通知部により所定以上の褥瘡リスクがある臥床者が特定されて通知されるので、褥瘡リスクを認識することが出来る。これにより、臥床者の褥瘡発症リスクの評価によりリスクの早期発見が可能になるので、当該臥床者に対する指導等により褥瘡発症リスクを低減させることが出来る。
【0053】
また、褥瘡リスク評価の対象となる生体情報は、臥床者の呼吸や心拍の回数、臥床者が体位変化を行った時刻や回数、臥床者が離床した時間や回数、臥床者の一定期間の体重変化の情報等、短期的な生体情報のみならず長期的な生体情報も含まれるので、介護施設の介護職員や、病院の看護師のような専門家であっても気付くことが困難な変化によりリスク評価が可能になる。
【0054】
(実施形態2)
図6は、本開示の実施形態2に係る情報処理装置1の管理装置100Aを示す機能ブロック構成図である。この管理装置100Aは、検出装置200から臥床者による振動の信号を受信して体位変化等の生体情報を管理し、生体情報からその臥床者が褥瘡を発症させるリスクの評価を行い、結果を通知する点において、実施形態1に係る管理装置100と同様であるが、制御部150の機能として機械学習部155を備えている点において、実施形態1に係る管理装置100と異なる。
【0055】
実施形態1は、褥瘡リスク評価部153で使用される褥瘡リスクモデルDB141を生成するための機械学習を他の装置で行い、褥瘡リスクモデルDB141を取得する実施形態であるが、本実施形態では、褥瘡リスクモデルDB141を生成するための機械学習を管理装置100Aにて行う。
【0056】
機械学習部155は、管理装置100Aが管理する臥床者の生体情報について、褥瘡リスク評価部153で使用される褥瘡リスクモデルDB141を生成するための機械学習を行う。具体的には、生体情報取得部152にて取得された、臥床者が体位変化を行った時刻や回数の情報、臥床者の一定期間の体重変化に関する情報、臥床者の睡眠状態に関する情報、臥床者が離床した時間や回数の情報等に基づき、限定ではなく例として、臥床者が褥瘡を発症させた場合のデータを教師データとして教師あり機械学習を行う。機械学習により生成されたモデル情報は、褥瘡リスクモデルDB141に記憶される。
【0057】
機械学習部155による機械学習は、実施形態1における褥瘡リスク評価方法の処理の流れとは独立した形態で行われる。例えば、特定の時期やタイミングにおいて、生体情報取得部152にて取得された臥床者の生体情報に基づいて行われる。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1と同様である。
【0058】
機械学習部155による機械学習の一例について、以下に説明する。生体情報取得部152にて取得された臥床者(被介護者)の振動データから、自発的な寝返り、介護者による体位交換、おむつ交換といった大きな体動と、意識的または無意識による身体の一部を振動させる行為、いわゆる貧乏ゆすりとを切り分ける。この切り分けは、具体的には前述のように、小さな体位変化と大きな体位とを切り分けることにより行われる。このように安定している状態のデータと、大きな体動のデータとを記憶し、限定ではなく例として、センサが検知した信号レベルを判別する機械学習モデルを構築する。
【0059】
また、機械学習部155では、臥床者が一晩に体動をした頻度を長期間(例えば、数カ月~数年)取得し、臥床者ごとの体動の頻度や、その傾向を学習する。例えば、その傾向が、体動の頻度が期間の経過と共に減少している場合や、体動の時間帯が変化している場合、一定時間(例えば、2時間)体動がないことが増加している場合、あるとき急に体動をしなくなった場合のように、褥瘡を発症させるリスクの高いデータを教師データとして教師あり機械学習を行う。
【0060】
さらに、機械学習部155では、臥床者の振動データから、前述のように臥床者の身体の向き(体向)を判定し、その傾向を個別に学習する。そして、その傾向から褥瘡を発症させるリスクの高いデータを教師データとして、教師あり機械学習を行う。機械学習部155による機械学習は、上記のような機械学習を個別に行って褥瘡を発症させるリスクの評価を行っても良く、総合的に評価しても良い。さらに、これらの情報と、被介護者が身体を預ける器具、例として臥床者のベッドにおける位置の情報とを組み合わせても良い。
【0061】
本実施形態によれば、上記実施形態1の効果に加え、管理装置が管理する臥床者の生体情報に基づき、モデル情報を生成するための機械学習が行われる。これにより、より正確なモデル情報を生成することが可能になる。
【0062】
(実施形態3)
図7は、本開示の実施形態3に係る情報処理装置1Bを示すブロック構成図である。この情報処理装置1Bは、臥床者の体位変化等の生体情報を管理し、臥床者が褥瘡を発症させるリスクの評価を行う点において、実施形態1に係る情報処理装置1と同様であるが、管理装置100Bと、検出装置200と、ネットワークNWとを有し、さらに携帯端末300を有している点において、実施形態1に係る情報処理装置1と異なる。
【0063】
本実施形態では、管理装置の通知部によるワーニングの出力先として、携帯端末に出力させる。医療機関や介護施設等における職員等の作業者は多忙であり、管理装置の表示部を見ている時間は限られるため、作業者が所持している携帯端末にワーニングを出力させるものである。
【0064】
携帯端末300は、限定ではなく例として、スマートフォン、携帯電話機を含む携帯端末により構成されている。この携帯端末300は、管理装置100Bから送信されたワーニングの情報を、例えばポップアップ表示させ、ワーニングが出力されていることが作業者に認識できるように出力する。また、携帯端末300は、音声によるワーニングを出力しても良い。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1と同様である。
【0065】
本実施形態によれば、上記実施形態1及び2の効果に加え、携帯端末を備え、携帯端末にワーニング出力させるため、ワーニングが出力されていることを確実に認識することが出来る。これにより、臥床者の褥瘡発症リスクの情報を確実に認識させることが可能である。
【0066】
(実施形態4(プログラム))
図815は、コンピュータ(電子計算機)700の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ700は、CPU701、主記憶装置702、補助記憶装置703、インタフェース704を備える。
【0067】
ここで、実施形態1ないし3に係る信号受信部151、生体情報取得部152、褥瘡リスク評価部153、通知部154、及び機械学習部155を構成する各機能を実現するための制御プログラム(褥瘡リスク評価プログラム)の詳細について説明する。これらの機能ブロックは、コンピュータ700に実装される。そして、これらの各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置703に記憶されている。CPU701は、プログラムを補助記憶装置703から読み出して主記憶装置702に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU701は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置702に確保する。
【0068】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ700において、寝具に設けられた、臥床者の振動を検知するセンサからの検知信号を受信する信号受信ステップと、受信した検知信号に基づき、臥床者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、生体情報と褥瘡を発症させるリスクとの関係を示す褥瘡リスクモデルから、生体情報に基づいて臥床者が褥瘡を発症させるリスクを評価する褥瘡リスク評価ステップと、をコンピュータによって実現する制御プログラムである。
【0069】
なお、補助記憶装置703は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース704を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ700に配信される場合、配信を受けたコンピュータ700が当該プログラムを主記憶装置702に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0070】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置703に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0071】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1,1B 情報処理装置、100,100A,100B 管理装置、110 通信部、120 表示部、130 操作部、140 記憶部、141 褥瘡リスクモデルDB、150 制御部、151 信号受信部、152 生体情報取得部、153 褥瘡リスク評価部、154 通知部、155 機械学習部、200 検出装置、210 通信部、220 動作制御部、230 振動センサ、300 携帯端末、NW ネットワーク