(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】絵コンテ制作装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/60 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
G06T11/60 100A
(21)【出願番号】P 2019148246
(22)【出願日】2019-08-10
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】519097320
【氏名又は名称】合同会社SGA Works
(72)【発明者】
【氏名】進藤 恒
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】一眼ムービーなんて怖くない!フォトグラファーのための簡単絵コンテソフト「StoryBoard Creator」,Shuffle [online],日本,2017年10月27日,https://shuffle.genkosha.com/products/dslr/nofear/9546.html
【文献】岸本康,webで簡単 絵コンテ StoryBoard Creator 使い方 Ufer! VLOG 183,YouTube ビデオ[online],2017年11月02日,https://www.youtube.com/watch?v=V9JGP-Le35g
【文献】遠山怜欧,STORYBOARD PROで、初の長編作品をビデオコンテ化![石田祐康監督インタビュー],[online],Toon Boom Animation Inc.,2019年05月24日,https://blog.toonboom.com/ja/storyboardpro-user-interview-director-ishida
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60-11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための装置であって、
前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのカット情報入力機能と、
前記カット情報入力機能により入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示可能なカット割情報表示機能と、を備え、
前記付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれ、
前記カット割情報表示機能は、
各カットの画像を表示するカット画像表示機能を有し、
前記カット画像表示機能は、
各カット内で連続表示される一続きの画像を表示可能であり、
前記カット情報入力機能は、
前記カット画像表示機能により表示させる各カットの画像を指定するためのカット画像指定機能を有し、
前記カット画像指定機能は、
1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像内でフレーム領域を移動させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定可能であることを特徴とする絵コンテ制作装置。
【請求項2】
映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための装置であって、
前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのカット情報入力機能と、
前記カット情報入力機能により入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示可能なカット割情報表示機能と、を備え、
前記付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれ、
前記カット割情報表示機能は、
各カットの画像を表示するカット画像表示機能を有し、
前記カット画像表示機能は、
各カット内で連続表示される一続きの画像を表示可能であり、
前記カット情報入力機能は、
前記カット画像表示機能により表示させる各カットの画像を指定するためのカット画像指定機能を有し、
前記カット画像指定機能は、
1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像内でフレーム領域を拡大又は縮小させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定可能である、絵コンテ制作装置。
【請求項3】
前記カット割情報表示機能は、
各カットの画像を表示するカット画像表示機能を有し、
前記カット画像表示機能は、
1カットを構成する複数のサブカット画像を時系列順に表示するサブカット画像表示機能を有する、請求項1又は2記載の絵コンテ制作装置。
【請求項4】
コンピュータを、映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための絵コンテ制作装置として機能させるためのプログラムであって、
前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのカット情報入力ステップと、
前記カット情報入力ステップにより入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示するためのカット割情報表示ステップと、を有し、
前記付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれ、
前記カット割情報表示ステップは、
各カットの画像を表示するカット画像表示ステップを有し、
前記カット画像表示ステップは、
各カット内で連続表示される一続きの画像を表示可能であり、
前記カット情報入力ステップは、
前記カット画像表示機能により表示させる各カットの画像を指定するためのカット画像指定ステップを有し、
前記カット画像指定ステップは、
1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像内でフレーム領域を移動させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
コンピュータを、映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための絵コンテ制作装置として機能させるためのプログラムであって、
前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのカット情報入力ステップと、
前記カット情報入力ステップにより入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示するためのカット割情報表示ステップと、を有し、
前記付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれ、
前記カット割情報表示ステップは、
各カットの画像を表示するカット画像表示ステップを有し、
前記カット画像表示ステップは、
各カット内で連続表示される一続きの画像を表示可能であり、
前記カット情報入力ステップは、
前記カット画像表示ステップにより表示させる各カットの画像を指定するためのカット画像指定ステップを有し、
前記カット画像指定ステップは、
1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像内でフレーム領域を拡大又は縮小させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記カット割情報表示ステップは、
各カットの画像を表示するカット画像表示ステップを有し、
前記カット画像表示ステップは、
1カットを構成する複数のサブカット画像を時系列順に表示するサブカット画像表示ステップを有する、請求項4又は5記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
映画やCGアニメーションの制作現場では、作品に対する漠然としたイメージを定着させて、様々なアイデアを統合化するための道具として、紙の絵コンテ(ストーリーボード)が利用されている(
図21参照)。絵コンテには、台詞、ト書きによる状況説明や、撮影やアニメーション作成時の様々な指定事項(色や動き方の指定など)が記述される。また、複数のアニメーターなどがイメージを共有化するための場としても活用されている。
【0003】
しかし、紙の絵コンテは、インタラクティブ性に欠けるとともに内容の修正や変更に対応し難いという不便さあった。
【0004】
そこで、コンピュータを利用してCGアニメーションを制作するための技術が提案された(例えば、特許文献1非特許文献1、等)。
特許文献1には、動画型絵コンテの指示情報に従ってCGアニメーションを製作するシステムが開示されている。
非特許文献1には、絵コンテの制作からアニメーションまでサポート可能としたソフトウェアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-221489号公報
【文献】トゥーンブームアニメーション(ToonBoom Animation inc.)のホームページ,https://toonboom.co.jp/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、紙の絵コンテでは当然に記述できていたカットごとの付加情報(台詞、ト書きによる状況説明、その他の指定事項、等)を記述することができない。非特許文献1の技術では、カット単体であれば付加情報の記述が可能であるが、複数のカットを同時表示しながら付加情報を記述することができない。また、特許文献1及び非特許文献1の技術では、紙の絵コンテでは紙面に筆記具で書き込むなどして容易に記述可能であったカット間の関係性の情報などを記述することもできない。
【0007】
そこで本発明は、紙の絵コンテの利便性を損なうことなく、コンピュータを利用して絵コンテを制作することができる絵コンテ制作装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の絵コンテ制作装置は、映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための装置であって、前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのカット情報入力機能と、前記カット情報入力機能により入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示可能なカット割情報表示機能と、を備え、前記付加情報には、演技プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のプログラムは、コンピュータを、映像コンテンツの設計図となる絵コンテを制作するための絵コンテ制作装置として機能させるためのプログラムであって、前記映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するカット情報入力ステップと、前記カット情報入力ステップにより入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示するカット割情報表示ステップと、を有し、前記付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の絵コンテ制作装置によれば、紙の絵コンテの利便性を損なうことなく、コンピュータを利用して絵コンテを制作することができる。
本発明のプログラムによれば、これをコンピュータにインストールし実行することにより、本発明の絵コンテ制作装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の絵コンテ制作装置のハード構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態の絵コンテ制作装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態の絵コンテ制作装置の動作内容を示すフロー図である。
【
図4】
図3のフロー中のカット情報入力ステップの内容を示すフロー図である。
【
図5】
図3のフロー中のカット情報表示ステップの内容を示すフロー図である。
【
図6】一実施形態の絵コンテ制作装置の初期画面の説明図である。
【
図7】一実施形態の絵コンテ制作装置の新規プロジェクト作成画面の説明図である。
【
図8】一実施形態の絵コンテ制作装置の新規シーン作成画面の説明図である。
【
図9】一実施形態の絵コンテ制作装置の基本操作画面の説明図である。
【
図10】基本操作画面の表示例を示す説明図である。
【
図11】基本操作画面の別の表示例を示す説明図である。
【
図12】基本操作画面の更に別の表示例を示す説明図である。
【
図13】カット画像指定機能(第1指定機能)実行時の表示例を示す説明図である。
【
図14】カット画像指定機能(第1指定機能)実行時の別の表示例を示す説明図である。
【
図15】カット画像指定機能(第2指定機能)実行時の表示例を示す説明図である。
【
図16】カット画像指定機能(第2指定機能)実行時の別の表示例を示す説明図である。
【
図17】第2指定機能実行後の基本操作画面の表示例を示す説明図である。
【
図18】カット間の関連付けを行っていない時点での基本操作画面の表示例を示す説明図である。
【
図19】カット間の関連付けを行った後の基本操作画面の表示例を示す説明図である。
【
図20】一実施形態の絵コンテ制作装置で制作したデジタル絵コンテを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
[構成]
図1に示すように、絵コンテ制作装置10は、入力部11、処理部12、記憶部13及び出力部14を有する。絵コンテ制作装置10は、本発明に係るプログラム15を汎用のコンピュータにインストールし実行することにより実現される。プログラム15は記憶部13に記憶(インストール)される。絵コンテ制作装置10に使用される汎用のコンピュータの例として、タブレット型端末を挙げることができる。
【0014】
入力部11は、外部から絵コンテ制作装置10にデータを入力するための機能ブロックである。タブレット型端末の場合、タッチディスプレイ、マイク、等が入力部11を構成する。
【0015】
記憶部13は、データやプログラムを記憶しておく機能ブロックである。タブレット型端末の場合、SSD(Solid State Drive)が記憶部12を構成する。
【0016】
処理部12は、記憶部13から取り出した命令を読解し実行する機能ブロックである。処理部12が、本発明に係るプログラム15を実行することにより、絵コンテ制作装置10の各種機能(
図2参照)が実現される。
【0017】
出力部14は、処理されたデータを絵コンテ制作装置10の外部に出力する機能ブロックである。タブレット型端末の場合、タッチディスプレイ、スピーカ、等が出力部14を構成する。出力部14は、プリンタやサーバなど外部装置にデータを送信可能である。したがって、絵コンテ制作装置10により制作したデジタル絵コンテ(
図20参照)をサーバにアップロードして他の作業者などと共有したり、プリンタを使用して紙に印字出力したりすることができる。
【0018】
図2に示すように、絵コンテ制作装置10は、カット情報入力機能F1及びカット割情報表示機能F2を有する。
【0019】
カット情報入力機能F1は、映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するための機能である。付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれる。
【0020】
カット割情報表示機能F2は、カット情報入力機能F1により入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示する機能である。カット割情報表示機能F2により、紙の絵コンテと同様の機能を持つデジタル絵コンテ(
図20参照)が絵コンテ制作装置10のタッチディスプレイ(出力部14)に表示される。
【0021】
カット割情報表示機能F2は、カット画像表示機能F21を有する。
【0022】
カット画像表示機能F21は、各カットの画像をデジタル絵コンテ(
図20)のピクチャ部に表示させる機能である。
【0023】
カット画像表示機能F21は、第1表示機能F211及び第2表示機能F212を有する。
【0024】
第1表示機能F211は、各カット内で連続表示される一続きの画像OP(
図11、
図12参照)を表示することを可能にする機能である。
第2表示機能F212は、1カットを構成する複数のサブカット画像を時系列順に表示する機能(サブカット画像表示機能)である。
【0025】
カット情報入力機能F1は、カット画像指定機能F11を有する。
【0026】
カット画像指定機能F11は、カット画像表示機能F21により表示させる各カットの画像を指定するための機能である。
【0027】
カット画像指定機能F11は、第1指定機能F111及び第2指定機能F112を有する。
【0028】
第1指定機能F111は、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP(
図13参照)内でフレーム領域FR(
図13参照)を平行移動させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像OP(
図11参照)を指定する機能である。
【0029】
第2指定機能F112は、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP(
図15参照)内でフレーム領域FR(
図15参照)を拡大又は縮小させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定する機能である。
【0030】
[動作]
つぎに、
図3~
図5のフローに基づいて、上記のように構成された絵コンテ制作装置10の動作について説明する。これらのフローは、本発明に係るプログラム15を処理部12が実行した際の処理の流れを示すものである。
【0031】
図3に示すフローは、カット情報入力ステップS1及びカット割情報表示ステップS2からなる。
カット情報入力ステップS1は、映像コンテンツのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力するためのステップである。付加情報には、オブジェクトの動作プラン、カメラワーク及び時間に関する情報が含まれる。
【0032】
カット割情報表示機能ステップS2は、カット情報入力ステップS1により入力された画像と付加情報とを、各カットの番号とともに一行に並べて時系列順に複数行表示する機能である。カット割情報表示ステップS2により、紙の絵コンテと同様の機能を持つデジタル絵コンテ(
図20参照)が絵コンテ制作装置10のタッチディスプレイ(出力部14)に表示される。
【0033】
カット割情報表示ステップS2は、
図4に示すカット画像表示ステップS21を有する。カット画像表示ステップS21は、各カットの画像をデジタル絵コンテ(
図20参照)のピクチャ部に表示させるステップである。
【0034】
カット画像表示ステップS21は、第1表示ステップS211、第2表示ステップS212およびと分岐ステップS213を有する。
【0035】
第1表示ステップS211は、各カット内で連続表示される一続きの画像OP(
図11、
図12参照)を表示することを可能にするステップである。
第2表示ステップS212は、1カットを構成する複数のサブカット画像を時系列順に表示するステップ(サブカット画像表示ステップ)である。
分岐ステップS213は、第1表示ステップS211の実行または第2表示ステップS212の実行を選択するステップである。
【0036】
カット情報入力ステップS1は、
図5に示すカット画像指定ステップS11を有する。
【0037】
カット画像指定ステップS11は、カット画像表示ステップS21により表示させる各カットの画像を指定するための機能である。
【0038】
カット画像指定ステップS11は、第1指定ステップS111、第2指定ステップS112及び分岐ステップS113を有する。
【0039】
第1指定ステップS111は、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP(
図13参照)内でフレーム領域FR(
図13参照)を平行移動させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像OP(
図11参照)を指定するステップである。
【0040】
第2指定ステップS112は、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP(
図15参照)内でフレーム領域FR(
図15参照)を拡大又は縮小させることにより、各カット内で連続表示される一続きの画像を指定するステップである。
分岐ステップS113は、第1指定ステップS111の実行または第2指定ステップS112の実行を選択するステップである。
【0041】
つぎに、上記のように構成された絵コンテ制作装置10の具体的動作内容について例示する。
【0042】
絵コンテ制作装置10を起動させると、
図6に示す初期画面G1が出力部14に表示される。初期画面G1には、現存する既存のプロジェクトファイルPF、新規にプロジェクトを作成するためのボタンB1、プロジェクトの削除、順番の入れ替えなどの編集を行うためのボタンB2、などが表示される。ボタンB1をクリックすると、
図7に示す新規プロジェクト作成画面G2が出力部14に表示される。
【0043】
新規プロジェクト作成画面G2には、タイトル、ドキュメントとして残すメモ書き、画面の比率を設定するアスペクト比、フレームレートなど、映像などの作品を作る上でとして必要な情報を指定するための入力ボックスIB1、IB2、選択ボックスSE1~SE4及び決定ボタンB3が表示される。選択ボックスSE1により、フレームのアスペクト比を指定できる。選択ボックスSE2により、フレームの秒数を指定できる。選択ボックスSE3により、演出プラン、内容と台詞などの記述欄及び出力結果の欄の入れ替えができる。選択ボックスSE4により、パート分けや、シーンの分割により分割されたシーン同士においても一連としての連続性のある各カットの番号を付与する事ができる。新規プロジェクト作成画面G2上で必要項目を指定し、決定ボタンB3をクリックすると、新規プロジェクトの作成が可能となり、
図8に示す新規シーン作成画面G3が表示される。
【0044】
新規シーン作成画面G3は、パート分けや、シーンの分割に際し使用される画面である。新規シーン作成画面G3には、シーン名称入力ボックスIB3、メモ入力ボックスIB4及び決定ボタンB4が表示される。新規シーン作成画面G3上で必要情報を入力し、決定ボタンB4をクリックすると、シーンの新規作成が可能となり、
図9に示す基本操作画面G4が表示される。
【0045】
基本操作画面G4は、デジタル絵コンテ(
図20参照)を作成する際の基本操作すなわち、映像コンテンツを構成するシーンのカットごとに、そのカットの画像及び付加情報を入力する操作を行うための画面である。基本操作画面G4上で、1カット毎の基本的な操作、スタイラスペン等による書き込み作業を行うことができる。
【0046】
基本操作画面G4には、カットの画像CPと付加情報ADとを、各カットの番号Cnとともに一行に並べて入力するためのカット情報入力欄IRが表示される。この例では、カット情報入力欄IRの表示行の左端から順に、番号Cnの表示領域、画像CPの入力領域IR1、付加情報ADの入力領域が配置されている。付加情報ADの入力領域は、台詞を記述するための入力領域IR2、画像CPの内容を記述するための入力領域IR3及びカットの時間などを指定するための入力領域IR4に分かれている。
【0047】
入力領域IR4には、プラスボタンB4、アナログストップウォッチボタンB5、デジタルストップウォッチボタンB6、等が表示されており、プラスボタンB4をクリックするたびにカット情報入力欄IRが追加されていく。基本操作画面G4には、
図10に示すようにカット情報入力欄IRを時系列順に複数行表示可能である。
【0048】
アナログストップウォッチボタンB5をクリックすると、
図11に示すように、アナログストップウォッチ画像STが表示され、アナログストップウォッチ画像ASの秒針を操作することにより、カットの秒数を簡単に指定することができる。
【0049】
デジタルストップウォッチボタンB6をクリックすると、
図12に示すように、デジタルストップウォッチ画像DSが表示され、デジタルストップウォッチ画像DSの数値ボタンを操作することにより、カットの秒数を簡単に指定することができる。
【0050】
このように、絵コンテ制作装置10によれば、基本操作画面G4に複数のカットの画像CPを同時表示しながら付加情報ADを記述することができる。また、基本操作画面G4上での操作により、カット間の関係性の情報を容易に記述することができる。
【0051】
また、
図9に示すように、入力領域IR4には、第1指定ボタンB7及び第1指定ボタンB8が表示されている。
【0052】
第1指定ボタンB7をクリックすると、指定対象画像を選択するための選択画面(図示省略)が表示され、その選択画面上で指定対象画像を選択すると、
図13に例示するように、選択された指定対象画像SPを含む第1指定画面G5が表示される。指定対象画像SPには、1フレーム分のフレーム領域FRが重ねて表示されている。レーム領域FRは、ドラッグ操作により縦方向、横方向及び斜め方向に平行移動させることが可能である。レーム領域FRの初期位置は、指定対象画像SPの左上隅であり、そこからレーム領域FRを平行移動させることにより、レーム領域FRの軌跡となった領域を、1カット内で連続表示される一続きの画像として指定することができる。
【0053】
たとえば、
図14に例示するように、レーム領域FRを初期位置から下方に約2フレーム分移動させた場合、1カット内で連続表示される一続きの画像OPとして、レーム領域FRの初期位置の領域を含む縦方向に約3フレーム分の領域の画像が指定される。第1指定画面G5には作成決定ボタンB9が表示されており、作成決定ボタンB9をクリックすると、指定された約3フレーム分の領域の画像OPがカットの画像CPに決定される。
図11及び
図12には、番号C1のカットの画像CPとして、この場合の画像CP(OP)の表示例が示されている。
【0054】
このように、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP内でフレーム領域FRを平行移動させることにより、1カット内で連続表示される一続きの画像OPを指定可能としたことにより、パン、フロー、画面動、台引きといったカメラの各種動作を指示するために必要な状況にカットの画像を任意に変化させることができる。
【0055】
また、第2指定ボタンB8をクリックすると、指定対象画像を選択するための選択画面(図示省略)が表示され、その選択画面上で指定対象画像を選択すると、
図15に例示するように、選択された指定対象画像SPを含む第2指定画面G6が表示される。指定対象画像SPには、1フレーム分のフレーム領域FRが重ねて表示されている。フレーム領域FRは、四辺及び4角をドラッグすることにより、拡大・縮小させることが可能である。フレーム領域FRの初期領域は、指定対象画像SPの左上隅の領域であり、そこからレーム領域FRを拡大・縮小させることにより、レーム領域FRの拡大・縮小した領域を、1カット内で連続表示される一続きの画像として指定することができる。
【0056】
たとえば、
図16に例示するように、レーム領域FRを下方に3フレーム分だけ、右側に1フレーム分強だけ拡大させた場合、1カット内で連続表示される一続きの画像OPとして、レーム領域FRの初期の領域を含む6フレーム強の領域の画像が指定される。第2指定画面G6には作成決定ボタンB9が表示されており、作成決定ボタンB9をクリックすると、指定された6フレーム強分の領域の画像OPがカットの画像CPに決定される。
図17には、番号C9のカットの画像CPとして、この場合の画像OPの表示例が示されている。
【0057】
このように、1フレーム分以上の大きさを有する指定対象画像SP内でフレーム領域FRを拡大・縮小させることにより、1カット内で連続表示される一続きの画像OPを指定可能としたことにより、ズーム、トラックアップ、トラックバックといったカメラの各種動作を指示するために必要な状況にカットの画像を任意に変化させることができる。
【0058】
また、
図18に示すように、基本操作画面G4には、前後のカットの画像CPを同一のカットの画像CPとして関連付けるための関連付けスイッチSWが表示されている。
図18の例では、全ての関連付けスイッチSWがオフに設定されているため、基本操作画面G4には、それぞれ一つの画像CPのみを有する番号C1~C5の五つのカットが表示されている。一方、
図19の例では、
図18における番号C3のカットとその二つ前の番号C1のカットとの間に存在する二つの関連付けスイッチSWがオンに設定されたことにより、元の番号C1、C2の二つのカットの画像CPが番号C3のカットの画像として関連付けられている。
【0059】
このように、時系列的に隣接するカットの画像CPを同士を関連付けて同一のカットの画像CPとすることにより、本来別々であったカットの画像CPを接続し、同一カット内の画像(サブカット画像)CPとして連続表示することができる。これにより、デジタル絵コンテ(
図20参照)の作成時や動画の表示時やPDF作成時に単一ではなく連続したカットであることを示すことができる。
【0060】
前のカットや後ろのカットの情報を正確に把握しその流れ、連続性に沿った記述、絵の挿入などを行うことができる。又同時にストップウォッチ機能などによりカットの秒数の設定などを行うことができる。これは使用者が後に編集するタイミングで設定を行うのではなく、カットの画像CPを作成しながら任意に設定を行うことができる。
現状紙で行われている絵コンテ作業の各カットに対する絵での動作状況や文字情報などを一画面でかつ上下関係の連続性、関連性を損なうことなくデジタルでの作業方法に置き換えることができる。
監督、演出家などの使用者がカメラの動作、操作について記述、設定を行うために図の表示、描画部を任意の大きさにすることができる。カメラに表示されない部位も詳細に検討でき、また通常のカメラのアスペクトや位置からの相対的な位置関係の視認、把握がしやすい。
作業の途中段階においても操作が可能であり、作業段階において作業のやり直しをカットの初めから行う事なく任意のタイミングで行え使用者の意図の変更を常に即座に反映させアイデアの反芻、改善を邪魔しない。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。たとえば、上記の例では、絵コンテ制作装置10に使用される汎用のコンピュータの例として、タブレット型端末を挙げたが、ノート型パーソナルコンピュータやデスクトップ型パーソナルコンピュータを使用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 絵コンテ制作装置
11 入力部
12 処理部
13 記憶部
14 出力部
15 プログラム
AD 付加情報
CP 画像
Cn 番号
F1 カット情報入力機能
F11 カット画像指定機能
F111 第1指定機能
F112 第2指定機能
F2 カット割情報表示機能
FR フレーム領域
G1 初期画面
G2 新規プロジェクト作成画面
G3 新規シーン作成画面
G4 基本操作画面
IR カット情報入力欄
IR1 入力領域
IR2 入力領域
IR3 入力領域
IR4 入力領域
OP 一続きの画像
SP 指定対象画像
S1 カット情報入力ステップ
S11 カット画像指定ステップ
S2 カット割情報表示ステップ
S21 カット画像表示ステップ