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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】髄位置推定装置および製材システム
(51)【国際特許分類】
   B27M 1/00 20060101AFI20230727BHJP
   G01B 11/00 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
B27M1/00 B
G01B11/00 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019206670
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021079565
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】519408445
【氏名又は名称】オーアイ・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】向達 毅
(72)【発明者】
【氏名】太田 章介
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0283151(US,A1)
【文献】特開2004-330594(JP,A)
【文献】国際公開第01/020324(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/088121(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173108(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0228225(US,A1)
【文献】特開平06-015606(JP,A)
【文献】特開平01-095001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0227049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0243424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 1/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木口面における、髄を含んだ対象領域を表す領域画像データと、該領域画像データにおける髄の位置を特定した位置データとに基づく教師あり学習により構築された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
木口面の全部又は一部を表す対象画像データを取得する取得部と、
前記学習モデルを用いて、前記取得部が取得した対象画像データから、該対象画像データの木口面における髄の位置を推定する推定部とを備え
前記位置データが、髄を含み前記対象領域よりも狭いエリアの大きさと、該エリアの、前記対象領域に対する位置とを表すデータであり、
前記エリアと該エリアに含まれる髄との間には所定の位置関係が成立しており、
前記推定部が、前記取得部が取得した対象画像データから、前記エリアを基準にした物体検出を行い、前記所定の位置関係に基づいて髄の位置を推定するものであり、
前記所定の位置関係が、前記エリアの中心位置に髄の位置が一致しているという位置関係であることを特徴とする髄位置推定装置。
【請求項2】
周方向に回転不能に、髄が残っている芯木材を保持する保持装置と、
前記保持装置に保持された芯木材を切断する鋸盤と、
木口面における、髄を含んだ対象領域を表す領域画像データと、該領域画像データにおける髄の位置を特定した位置データとに基づく教師あり学習により構築された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部、木口面の全部又は一部を表す対象画像データを取得する取得部および前記学習モデルを用いて、前記取得部が取得した対象画像データから、該対象画像データの木口面における髄の位置を推定する推定部を備えた髄位置推定装置と、
前記保持装置に保持される前の芯木材における木口面を撮影し、撮影した画像のデータを前記取得部に送信する撮影装置と、
前記推定部で推定された髄の位置を回転中心にして芯木材を周方向に回転させ前記鋸盤における芯木材の製材姿勢を整える回転装置とを備え、
前記取得部が、前記撮影装置から送信されてきた画像のデータを前記対象画像データとして取得するものであり
前記保持装置が、前記回転装置によって製材姿勢が整えられた芯木材を保持するものであることを特徴とする製材システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髄の位置を推定する髄位置推定装置、およびその髄位置推定装置と鋸盤を備えた製材システムに関する。
【背景技術】
【0002】
森林から伐り出した原木や、その原木から樹皮を剥いだだけの木材(以下、これらを総称して丸太という)、さらには丸太を粗挽きにして杣角にしたフリッチを製材するにあたっては、成長輪の中心である髄の位置の特定が必要になる場合が多い。以下の説明では、成長輪の典型である年輪を代表例として用い、丸太やフリッチを含む、髄が残った木材のことを芯木材と称する。芯木材を製材する場合に、例えば、髄を含んだ、いわゆる心持ち材として製材するか、髄を含まない、いわゆる心去り材として製材するかは、髄の位置の特定が必要である。また、製材品は、髄との位置関係により反りや曲がりが出やすかったり、材質が異なり、歩留まりや材価に影響するために、髄位置の特定が必要である。
【0003】
さらには、一本の芯木材を何回か切削するにあたり、切削と切削の間で芯木材の向きを周方向に変える場合に、芯木材の回転中心と髄の位置はずれていることが多く、その際には、髄位置を特定して回転中心とすることは合理的である場合が多い。特許文献1では、髄の位置を、作業員の肉眼による特定ではなく撮影画像上で年輪の法線方向を自動検出して推定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-88436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、年輪には節(ふし)が入っていること等から、年輪を円弧として正確に抽出することが困難な場合もあり、結果として、年輪の法線方向に狂いが生じ、髄の位置を正確に推定することができないことがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、髄の位置を正確に推定することができる髄位置推定装置、および正確に推定した髄の位置に応じた製材を行うことができる製材システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の髄位置推定装置は、
木口面における、髄を含んだ対象領域を表す領域画像データと、該領域画像データにおける髄の位置を特定した位置データとに基づく教師あり学習により構築された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
木口面の全部又は一部を表す対象画像データを取得する取得部と、
前記学習モデルを用いて、前記取得部が取得した対象画像データから、該対象画像データの木口面における髄の位置を推定する推定部とを備え
前記位置データが、髄を含み前記対象領域よりも狭いエリアの大きさと、該エリアの、前記対象領域に対する位置とを表すデータであり、
前記エリアと該エリアに含まれる髄との間には所定の位置関係が成立しており、
前記推定部が、前記取得部が取得した対象画像データから、前記エリアを基準にした物体検出を行い、前記所定の位置関係に基づいて髄の位置を推定するものであり、
前記所定の位置関係が、前記エリアの中心位置に髄の位置が一致しているという位置関係であることを特徴とする。
【0008】
前記対象領域は、木口面全体の領域であってもよいし、木口面における、髄を含む一部領域であってもよい。
【0009】
また、前記領域画像データは、木口面を周方向に回転させ異なる回転角度の位置それぞれで該木口面を撮影した複数の領域画像データであってもよい。
【0010】
前記教師あり学習は、前記領域画像データと前記位置データとの組からなる教師データに基づく学習になる。すなわち、前記領域画像データに、前記位置データの情報を付与した教師データに基づく学習になる。
【0011】
本発明の髄位置推定装置によれば、前記推定部によって随の位置を正確に推定することができる。
【0014】
前記エリアの中心位置に髄の位置が一致しているという位置関係にすることで、髄の位置の推定が簡略化される。
【0015】
なお、前記エリアの中心位置から所定の方向に所定の距離だけズレた位置に髄の位置が一致しているという位置関係であってもよい。
【0016】
また、前記推定部で推定した髄の位置を中心にn本目までの年輪の密度あるいは年輪の平均間隔(平均年輪幅)を推定する第2推定部を備えた態様であってもよい。例えば、前記学習モデル記憶部は、髄の位置を推定した位置データの他に、年輪の密度あるいは平均年輪幅に関する年輪データに基づく教師あり学習により構築された学習モデルを記憶するものであって、前記第2推定部は、前記取得部が取得した対象画像データから、年輪の密度あるいは平均年輪幅を推定するものであってもよい。年輪の密度については、年輪の密度についての複数のグループ(例えば、密度が高い、普通、低い)のうちのいずれのグループに属するかを推定してもよく、平均年輪幅についても、平均年輪幅についての複数のグループ(例えば、平均年輪幅が広め、普通、狭め)のうちのいずれのグループに属するかを推定してもよい。年輪の密度あるいは平均年輪幅を推定することができれば、推定した髄の位置からn本目の年輪の位置も推定することが可能になる。このn本目の年輪としては、成熟材と未成熟材との境目になる年輪(例えば、15本目の年輪)であってもよい。
【0017】
上記目的を解決する本発明の製材システムは、
周方向に回転不能に、髄が残っている芯木材を保持する保持装置と、
前記保持装置に保持された芯木材を切断する鋸盤と、
木口面における、髄を含んだ対象領域を表す領域画像データと、該領域画像データにおける髄の位置を特定した位置データとに基づく教師あり学習により構築された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部、木口面の全部又は一部を表す対象画像データを取得する取得部および前記学習モデルを用いて、前記取得部が取得した対象画像データから、該対象画像データの木口面における髄の位置を推定する推定部を備えた髄位置推定装置と、
前記保持装置に保持される前の芯木材における木口面を撮影し、撮影した画像のデータを前記取得部に送信する撮影装置と、
前記推定部で推定された髄の位置を回転中心にして芯木材を周方向に回転させ前記鋸盤における芯木材の製材姿勢を整える回転装置とを備え、
前記取得部が、前記撮影装置から送信されてきた画像のデータを前記対象画像データとして取得するものであり
前記保持装置が、前記回転装置によって製材姿勢が整えられた芯木材を保持するものであることを特徴とする。
【0018】
ここにいう芯木材には、山から伐り出した原木のみならず、その原木から樹皮を剥いだだけの木材、さらには丸太を粗挽きにして杣角にしたフリッチも含まれる(以下、同じ)。
【0019】
本発明の製材システムによれば、本発明の髄位置推定装置を備えるため、髄の位置を正確に推定することができ、前記回転装置を備えることで、正確に推定した髄の位置に応じた製材を行うことができる。また、髄の位置を回転中心にして芯木材を周方向に回転させて製材姿勢を整えることで、歩留りの良い木取りや、合理的な木取り、さらには、反りや曲がり、材質に配慮した木取りが可能となる。また、髄を入れて製材するか、髄を外して製材するかも事前に決めることができる。
【0020】
また、前記撮影装置が、木口面の中心位置に中心を合わせ該木口面の直径の1/3以上1以下の所定の比率になる直径の円に外接する図形の領域または該円の領域を撮影するものであってもよい。
【0021】
本願発明者は、木口面の中心位置を基準にして、どのような範囲に髄が位置している確率が高いのかを突き止めた。すなわち、最も狭い領域として所定の比率を1/3とした領域を用いることにすれば、髄が撮影領域から外れてしまうことがほぼなくなることがわかった。なお、所定の比率である1/3はある程度余裕をもった値であるため、ここにいう直径は、最も長い方向の直径であってもよいし、平均値(例えば、縦方向の直径と横方向の直径の平均値)であってもよい。
【0022】
また、前記図形の領域は、多角形の領域(例えば、四角形以上の領域)であってもよい。
【0023】
さらに、前記髄位置推定装置における前記対象領域も、木口面の中心位置に中心を合わせ該木口面の直径の前記所定の比率と同じ比率になる直径の円に外接する図形の領域または該円の領域であることが好ましい。すなわち、前記撮影装置が撮影する撮影領域における所定の比率と、前記髄位置推定装置の前記対象領域における所定の比率が同じ比率であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の髄位置推定装置によれば、髄の位置を正確に推定することができ、本発明の製材システムによれば、正確に推定した髄の位置に応じた製材を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】機械学習時の髄位置推定装置の概略的な機能ブロック図である。
図2】2種類の丸太の木口面を模式的に示した図である。
図3】複数の領域画像データを示した図である。
図4】髄位置推定時の髄位置推定装置を備えた製材システムの概略的な機能ブロック図である。
図5図4に示す回転装置の一端側の部分を示す側面図である。
図6図4に示す帯鋸盤を図4の右側から見た帯鋸盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
本実施形態の髄位置推定装置は機械学習を行う。ここではまず、髄位置推定装置が行う機械学習について説明する。
【0028】
図1は、機械学習時の髄位置推定装置の概略的な機能ブロック図である。
【0029】
図1に示す髄位置推定装置10は、学習部11を備えている。学習部11には、教師データが与えられる。教師データは、領域画像データに、位置データの情報を付与したデータになる。すなわち、教師データは、領域画像データに、人が見つけた髄の位置に関する情報をアノテーション(タグ付け)したデータになる。
【0030】
図2は、2種類の丸太の木口面を模式的に示した図である。この2種類の丸太はいずれも、直径が300mm~400mm程度であり、いわゆる大径材である。図2に示すいずれの木口面も、元口側の木口面である。また、図2では、灰色で示した心材部分にのみ年輪を示し、白色で示した辺材部分では年輪を図示省略している。なお、以下の説明では、年輪を例にあげて説明するが、成長輪であっても同じである。
【0031】
図2(a)には、相対的に細めで真円度が低い丸太の木口面C1が示されている。この図2(a)に示す木口面C1では、辺材部分C12から心材部分C11にかけて節kが見られる。髄(年輪中心)の部分は、例えば黒っぽい点のようになっており、人が見れば髄の位置を見つけるのは容易である。図2では、髄pを×印で示している。図2(a)に示す木口面C1では、この髄pの位置が重心位置gから下方にずれている。
【0032】
図2(b)には、相対的に太めで真円度が高い丸太の木口面C2が示されている。この図2(b)に示す木口面C2では、心材部分C21に汚れdが見られる。また、この木口面C2では、髄pの位置が重心位置gから上方にずれているが、図2(a)に示す木口面C1に比べれば、重心位置gからのズレ量は小さい。
【0033】
図1に示す学習部11に与える領域画像データは、元口側の木口面を撮影した画像データである。この領域画像データは、木口面における、髄を含んだ対象領域を表すデータであり、木口面全体の領域を対象領域としたものであってもよいし、木口面における、髄を含む一部領域を対象領域としたものであってもよい。より詳細には、領域画像データにおける対象領域は、木口面の中心位置に中心を合わせ該木口面の直径の1/3以上1以下の所定の比率になる直径の円に外接する図形の領域または該円の領域であればよい。この領域は、後述する撮影領域と密接に関わってくるため、詳しい説明は後述する。ここでは、対象領域を、木口面全体の領域とする。また、領域画像データは、末口側の木口面を撮影した画像データであってもよいし、元口側と末口側それぞれの木口面を撮影した画像データであってもよい。
【0034】
また、学習部11に与える教師データは、領域画像データに、髄を含み対象領域よりも狭いエリアを特定する位置データの情報を付与したデータである。すなわち、教師データは、領域画像データに、このエリアの大きさの情報と、このエリアの対象領域に対する位置の情報を付与したデータである。図2では、このエリアを2点鎖線で示している。さらに、エリアとそのエリアに含まれる髄との間には所定の位置関係が成立している。ここにいう所定の位置関係とは、エリアの中心位置に髄の位置が一致しているという位置関係である。なお、エリアの中心位置から所定の方向に所定の距離だけズレた位置に髄の位置が一致しているという位置関係であってもよい。所定の位置関係が成立していることで、エリアの位置が定まれば、髄の位置も定まることになる。図2に示すエリアの形状は正方形であるが、エリアの形状は特に限定されず、多角形であってもよいし円形であってもよい。また、エリアの大きさとしては、髄の外側に年輪が3つ以上含まれる大きさであることが好ましい。後述する推定部における髄位置の推定で、年輪は、模様としての目印になるが、年輪が2つ以下であると、目印が少なすぎて誤検出してしまう恐れがある。図2(b)に示す木口面C2では、同図(a)に示す木口面C1で用いたエリアの大きさでは、3つ以上の年輪が含まれず、このため、同図(b)に示す木口面C2で用いるエリアは、同図(a)に示す木口面C1で用いたエリアよりも大きなものになっている。また、心材部分と辺材部分とでは色味が異なり、色味が変化する境目を含む領域を学習させようとすると、学習部11は色味の変化も含めて「髄」というパターンとして学習することから、色味のコントラストなどが検出精度に影響する可能性があるため、エリアの大きさは、心材部分内に収まる大きさであることが好ましい。一方、エリアが大きくなりすぎると、エリアの中心位置から髄がズレてしまう可能性が高くなる。位置データについて、より具体的な例をあげれば、エリアの形状を矩形にした場合、対象領域の中央を原点(0,0)としたときの、エリアの中央の座標値、および該エリアの横方向の長さ(幅)と縦方向の長さ(高さ)のデータが位置データになる。
【0035】
図3は、複数の領域画像データを示した図である。
【0036】
図3には、8つの木口面の画像が示されている。図3(a)に示す木口面の画像は、図2(a)に示した木口面C1の画像と同じである。図3(b)に示す木口面の画像は、同図(a)に示す木口面の画像を時計周りに45°回転させた画像であり、同図(c)に示す木口面の画像は、同図(a)に示す木口面の画像を時計周りに90°回転させた画像であり、同図(d)に示す木口面の画像は、同図(a)に示す木口面の画像を時計周りに135°回転させた画像である。また、図3(e)に示す木口面の画像は、同図(a)に示す木口面の画像の左右を反転させた画像であり、図3(f)に示す木口面の画像は、同図(b)に示す木口面の画像の左右を反転させた画像であり、図3(g)に示す木口面の画像は、同図(c)に示す木口面の画像の左右を反転させた画像であり、図3(h)に示す木口面の画像は、同図(d)に示す木口面の画像の左右を反転させた画像である。すなわち、図3(a)~同図(h)に示す画像は、同じ木口面C1についての画像になる。
【0037】
この図3でも、各図において、髄pを×印で示すとともに、髄pの位置を中心にした正方形のエリアを2点鎖線で示している。図3に示すように、各領域を図3に示した向きで見れば、1つの木口面から8つの領域画像データを用意できることがわかる。この結果、8つの領域画像データごとに、2点鎖線で示したエリアに関する情報を付与した教師データを用意することができる。こうして、多数の木口面の画像それぞれから、8つの教師データが用意され、学習部11に与えられる。
【0038】
学習部11では、教師データに基づいて教師あり学習を行い、学習モデルを構築する。学習部11では、ディープラーニング(深層学習)などの手法により学習が進められる。
【0039】
髄位置推定装置10は、学習モデル記憶部12も備えており、学習部11で構築された学習モデルは、その学習モデル記憶部12に記憶される。
【0040】
次に、構築された学習モデルを用いて、木口面における髄の位置を推定する髄位置推定装置10について、製材システムに組み込んだ態様を例にあげて説明する。
【0041】
図4は、髄位置推定時の髄位置推定装置を備えた製材システムの概略的な機能ブロック図である。この機能ブロック図では、製材システムを真上から見た様子が示されている。
【0042】
図4に示す製材システム1は、髄位置推定時の髄位置推定装置10の他、投入装置20、搬送装置30、撮影装置40、回転装置50、送材装置60、一対の挟持板70、および帯鋸盤80を備えている。
【0043】
投入装置20には、複数本の丸太が供給される。この投入装置20は、丸太Lを矢印aに示すように1本ずつ搬送装置30に投入する。
【0044】
搬送装置30は、投入された丸太Lを矢印bに示すように撮影装置40の横の搬送位置まで搬送する。搬送位置まで搬送された丸太Lは、矢印cに示すように撮影装置40に送られる。
【0045】
搬送装置30における上記搬送位置と撮影装置40の間には、木口面の直交する二方向の直径を計測するセンサと、丸太の長さを計測するセンサが設けられており、図4に示す製材システム1では、これらのセンサ計測によって、木口面の三次元における中心位置を表す座標情報(x,y,z)を得ることができる。
【0046】
撮影装置40は、丸太Lの両端(元口側と末口側)の木口面を撮影する第1カメラ41と第2カメラ42を有する。撮影装置40では、第1カメラ41と第2カメラ42を用いて、木口面全体を撮影するが、木口面全体ではなく、木口面における、髄を含む一部領域のみを撮影してもよい。より詳細には、撮影装置40が撮影する撮影領域は、木口面の中心位置に中心を合わせ該木口面の直径の1/3以上1以下の所定の比率になる直径の円に外接する図形の領域または該円の領域であればよい。本願発明者は、木口面の中心位置を基準にして、どのような範囲に髄が位置している確率が高いのかを突き止めた。すなわち、最も狭い領域として所定の比率を1/3とした領域を用いることにすれば、髄が撮影領域から外れてしまうことがほぼなくなることがわかった。なお、所定の比率である1/3はある程度余裕をもった値であるため、ここにいう直径は、最も長い方向の直径であってもよいし、平均値(例えば、縦方向の直径と横方向の直径の平均値)であってもよい。1/3以上1以下の範囲で1/3に近い比率ほど、高精細な画像データを得ることができる。一方、1に近い比率ほど多くの情報(例えば、模様)を持った画像データを得ることができる。さらに、ここで撮影する領域は、学習部11に与える領域画像データの対象領域と一致していることが好ましい。すなわち、撮影装置40が撮影する撮影領域における所定の比率と、学習部11に与える領域画像データの対象領域における所定の比率が同じ比率であることが好ましい。
【0047】
なお、元口側の木口面と末口側の木口面のうち、元口側の木口面のみにおける撮影画像データを髄位置推定装置10に送信してもよい。
【0048】
図4に示す髄位置推定装置10は、学習モデル記憶部12の他、取得部13と推定部14も備えている。取得部13では、撮影装置40から送信されてきた撮影画像のデータを対象画像データとして取得する。好ましい態様では、学習フェーズにおいて学習部11に与える領域画像データの対象領域における所定の比率と、推定フェーズにおいて取得部13が取得した対象画像データの画像領域における所定の比率が同じ比率であることになる。こうすることで、学習フェーズと推定フェーズで取り扱う画像データの領域が一致し、推定の精度が向上することを期待することができる。
【0049】
推定部14は、取得部13が取得した対象画像データから対象画像データの木口面における髄の位置を、学習モデル記憶部12に記憶されている学習モデルを用いて推定する。推定部14は、例えば、YOLO(You Only Look Once)といったアルゴリズムを用いて、教師データとして与えられたエリアを基準にして該エリアに似たエリアを対象画像データの木口面から探し出す。詳しい説明は省略するが、このYOLOは、畳込みニューラル・ネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた物体検出アルゴリズムであり、画像を複数のグリッドに分割し、物体(ここでは、エリア)が存在するグリッドに、バウンディングボックスと称される、物体に外接する矩形領域(物体を示す領域)を設定する。なお、推定部14で用いられるアルゴリズムは、このYOLOに限定されることはなく、例えば、畳込みニューラル・ネットワークを用いた他の物体検出アルゴリズム等であってもよい。推定部14は、対象画像データの木口面からエリアを検出すると、上述の所定の位置関係に基づき、髄の位置を推定する。すなわち、検出したエリアの中心位置に髄が存在するという推定結果を導出する。
【0050】
実際に、領域画像データと位置データとの組(教師データ)を500組用意した。そして、この500組の中からランダムに選択した所定数の組(例えば、64組)の集まりを1セットとし、31000セット分の機械学習を行わせた。ここでは、図3を用いて説明した、1つの木口面から教師データを8つ抽出する手法を用いなかったが、この手法を用いれば、500組が4000組になる。テスト用データとしては、異なる木口面における髄周辺をそれぞれ撮影した100個の対象画像データを用意し、これら100個の対象画像データを取得部13に与え、推定部14に髄の位置を推定させた。100個の推定結果のいずれもが、人が髄の位置と判断した位置から10mmの範囲内にあり、非常に高い正答率を得た。より詳細に説明すれば、推定結果の最大のズレ量は8mmであり、平均ズレ量は2mmであった。また、位置のズレの標準偏差は1.3mmであった。
【0051】
以上説明した髄位置推定装置10は、学習部11と推定部14の両方が構築されているため、推定部14における髄位置の推定結果に対して、髄位置の正誤についての評価を加えることで、撮影画像データを教師データとして利用することが可能になる。一方、学習部11と推定部14が異なる装置に設けられた態様であってもよい。すなわち、髄位置推定装置10には、学習部11は設けられておらず、学習モデルを記憶した学習モデル記憶部12が設けられていれば、髄位置の推定は可能である。
【0052】
図4に概略的に示す回転装置50は、制御部59を有するとももに、丸太Lの長さ方向の両端部分それぞれに回転センター51,52も有する。
【0053】
図5は、図4に示す回転装置の一端側の部分を示す側面図である。この図5では、図の左右方向が丸太の長さ方向になり、図示されていないが、図の左側の離れた位置に帯鋸盤80が設けられている。図5に示す回転装置50の一端側は、帯鋸盤80とは離れた側(反帯鋸盤側)になり、不図示の他端側が帯鋸盤側になる。図5には、制御部59と、丸太Lの元口側の端部と、その丸太Lの元口側の木口面C3に先端部分が食い込んだ回転センター51が示されている。
【0054】
図5に示す回転装置50は、丸太Lの長さ方向(矢印Z参照)に進退する材長シリンダ53、高さ方向になる上下方向(矢印Y参照)に進退する上下シリンダ54、図5では紙面に対して垂直な方向になる横方向に進退する横シリンダ55、および回転センター51の中心を回転中心にして回転センター51を回転(矢印R参照)させるモータ56を有する。さらに、回転装置50は、木口面の位置等を検出する不図示のセンサも有する。なお、回転装置50における、図5では不図示の帯鋸盤側の部分では、モータが省略され回転センター52が一端側の回転センター51の回転に合わせて回転可能に軸支されている。また、帯鋸盤側の部分には、材長シリンダ53は設けられていないが、上下シリンダ54と横シリンダ55は設けられている。
【0055】
図4に示す撮影装置40における撮影を終えた丸太は、矢印dに示すように回転装置50に送られる。この際、丸太は、回転装置50が管理する原点座標位置に、上述のセンサ計測によって得られた木口面の中心位置が一致するように、回転装置50に送られる。回転装置50に送られた丸太Lは、原点座標位置に木口面の中心位置が一致した状態で、丸太の外周面を把持する不図示のクランプ機構によって支持される。
【0056】
髄位置推定装置10の推定部14は、木口面の髄位置の推定が完了すると、その推定結果を回転装置50の制御部59に送信する。また、その制御部59には、撮影装置40から取得部13に送信した撮影画像データと同じ撮影画像データが送信されている。さらに、制御部59には、上述のセンサ計測によって得られた、その撮影画像データの木口面における中心位置を表す座標情報(x,y,z)も送信されている。制御部59では、髄位置の推定結果を撮影画像データに当てはめ、座標情報を基準に、髄位置の三次元座標情報を算出する。
【0057】
制御部59は、推定部14が推定した髄の位置を回転中心にして丸太Lを周方向に回転センター51が回転させることができるよう、材長シリンダ53、上下シリンダ54、および横シリンダ55の進退量を制御する。すなわち、制御部59は、算出した髄位置の座標情報に基づいて、材長シリンダ53の進退量を制御し、丸太Lの元口側の木口面C3に、回転センター51の先端部分が食い込むようにする。また、制御部59は、算出した髄位置の座標情報に基づいて、上下シリンダ54および横シリンダ55の進退量を制御し、回転センター51の中心が推定部14が推定した髄の位置に一致するようにする。
【0058】
以上説明した制御部59による各シリンダの進退量の制御によって、図4に示すように、丸太Lの元口側の木口面C3には、推定部14が推定した髄の位置に中心を一致させた状態で回転センター51の先端部分が食い込み、丸太Lの末口側の木口面C4には、推定部14が推定した髄の位置に中心を一致させた状態で回転センター52の先端部分が食い込んでいる。以上説明した回転センター51,52は、先端部分を食い込ませた丸太Lを、周方向に回転不能に丸太Lの延在方向から挟持するものである。回転センター51,52によって挟持された丸太Lは、モータ56の回転に合わせて、回転センター51,52とともに周方向に回転する。
【0059】
また、推定部14によって髄の位置が推定されたことで、心持ち材として製材するか、心去り材として製材するかの製材計画を立てることができる。また、製材する場合の歩留りの良い鋸の入れ方、すなわち歩留りの良い木取りの製材計画や、反りや曲がり、材質に配慮した木取りの製材計画について検討することができる。さらには、成熟材の部分と未成熟材の部分が製材品にどのように含まれるかを予め把握して製材計画を立てることもできる。なお、製材計画は、コンピュータプログラムによって決定してもよいし、作業員が決定してもよい。
【0060】
こうして決定された製材計画にしたがって、回転装置50では、モータ56を回転させることで丸太を周方向に回転させ、最初に帯鋸盤80を通過させる際の丸太の製材姿勢を整え、待機状態になる。
【0061】
先に開始されていた製材が終了すると、製材姿勢を整えて待機状態であった丸太Lは、図4に示す一対の挟持板70に挟持されて、製材姿勢を保ったまま矢印fに示すように送材装置60まで移動させられる。図4では、回転装置50で待機状態にある丸太Lを挟持した一対の挟持板70を点線で示すとともに、送材装置60まで移動させた一対の挟持板70も点線で示している。
【0062】
図4に示すように、送材装置60は、丸太Lの長さ方向に延在したものであり、帯鋸盤80が途中に配置されている。
【0063】
図6は、図4に示す帯鋸盤を図4の右側から見た帯鋸盤の正面図である。以下、図6の左右方向を幅方向と称する。
【0064】
この図6には、紙面と直交する方向に延在した送材装置60の一部も示されている。送材装置60は、
紙面と直交する方向に延在した送材レール61と、この送材レール61上を走行する車体62を備えている。この車体62は、丸太の長さ方向に延在したものである。車体62の幅方向両側には車輪63が設けられるとともに、車体62の長手方向にも間隔をあけて複数の車輪が設けられている。これらの車輪63が送材レール61に係合し、不図示の駆動手段によって、車体62は送材レール61上を走行する。
【0065】
また、この車体62の長手方向両端側それぞれには、上方に向かって突出したクランプが設けられている。図6では、一端側のクランプ64のみが示されているが、図4には、両端側のクランプ64,65が示されている。これらのクランプ64,65は、車体62の長手方向、すなわち丸太Lの延在方向に進退自在であり、図5を用いて説明した回転装置50の回転センター51と同様、丸太Lの木口面C5,C6に先端部分が食い込み、丸太Lの延在方向から丸太Lを周方向に回転不能に挟持する。また、一端側のクランプ64は、そのクランプ64の中心を回転中心にして不図示のモータによって回転自在であり、他端側のクランプ65は、一端側のクランプ64の回転に合わせて回転可能に軸支されている。
【0066】
図4では、車体62は丸太Lで見えないが、車体は初期位置にある。一対の挟持板70に挟持されて、初期位置にある車体62の上方に移動された丸太Lは、クランプ64,65の中心が、推定部14が推定した髄の位置に一致した状態で、それらのクランプ64,65によって周方向に回転不能に挟持さる。クランプ64,65による挟持が完了すると、一対の挟持板70は後退する。図4では、後退した一対の挟持板70を実線で示している。
【0067】
図6に示す帯鋸盤80は、支持台81と、支持台81上に配置され幅方向に延在したレール部材82と、レール部材82上に設けられた基体83と、基体83に支持された鋸車ユニット84を有する。また、基体83にはモータ833が設けられている。鋸車ユニット84は、上下に間隔をあけて配置された上鋸車84aおよび下鋸車84bと、上鋸車84aおよび下鋸車84bに巻き掛けられた帯鋸841とを有する。図6では、鋸車ユニット84を一点鎖線で示している。なお、本実施形態の帯鋸盤80は、鋸車ユニット84を、幅方向に2つ並べて配置した、いわゆるツイン式のものである。
【0068】
下鋸車84bの中心部分には、紙面と直交する方向に延在した駆動軸85bが回転不能に固定されている。この駆動軸85bは、モータ833の駆動力が伝達されるものであり、駆動軸85bがモータ833によって回転することで、下鋸車84bも回転する。また、上鋸車84aの中心部分には、紙面と直交する方向に延在した固定軸85aが通されている。固定軸85aは、基体83に設けられたスポール831に支持されている。スポール831は、上下動自在なものであり、スポール831を上下動させることによって、上鋸車84aの位置も上下動し、上鋸車84aと下鋸車84bの間隔を調整することができる。また、固定軸85aには分銅86が取り付けられている。この分銅86は、テコの原理によって固定軸85aに上方向の力を付与するものである。スポール831による、上鋸車84aと下鋸車84bとの間隔の調整と、分銅86から付与される力によって、上鋸車84aおよび下鋸車84bに巻き掛けられた帯鋸841には、所定の緊張力が付与される。図6に示す左側の鋸車ユニット84では、モータ833の駆動力が伝達された下鋸車84bが、矢印で示すように時計回りに回転することによって、帯鋸841も時計回りに走行し、この帯鋸841の走行に伴い上鋸車84aが、矢印で示すように時計回りに回転する。一方、図6に示す右側の鋸車ユニット84では、モータ833の駆動力が伝達された下鋸車84bが、矢印で示すように反時計回りに回転することによって、帯鋸841も反時計回りに走行し、この帯鋸841の走行に伴い上鋸車84aも、矢印で示すように反時計回りに回転する。
【0069】
基体83は、レール部材82上を、幅方向にスライド可能なものである。一対の基体83,83それぞれの、幅方向外側にはシリンダ832が配置され、シリンダ832が駆動することによって、一対の基体83,83それぞれが、幅方向にスライドする。この基体83のスライドに伴い、鋸車ユニット84も幅方向にスライドする。
【0070】
以上説明した図6に示す帯鋸盤80を用いて丸太Lを製材する一例を以下に説明する。ここでの製材の例は、推定部14による髄位置の推定結果に基づいて立てられた製材計画に従った例になる。
【0071】
まず、モータ833を駆動させ、図6に示す左側の鋸車ユニット84では、帯鋸841を時計回りに走行させ、図6に示す右側の鋸車ユニット84では、帯鋸841を反時計回りに走行させる。これら左右に配置された帯鋸841,841の間隔は、製材計画に従って、目的とする角材等の製材品の寸法に応じてシリンダ832を駆動させ、基体83を幅方向にスライドさせることによって調整しておく。次いで、図6では紙面手前側になる初期位置にある車体62を、帯鋸841,841に向けて(図6では紙面奥側に向けて)走行させ、帯鋸841,841に丸太Lを通過させる(図4に示す矢印g参照)。これによって、丸太Lは、いわゆる太鼓材の状態に切削される。その後、左右に配置された帯鋸841,841の間隔を、シリンダ832を駆動させてやや広げ、車体62を初期位置に戻す(図4に示す矢印h参照)。車体62が初期位置に戻った後、製材計画に従って、丸太Lの製材姿勢等を整える。この例では、クランプ64,65に挟持された太鼓材の状態の丸太Lを、紙面と直交する方向に伸びる回転軸を中心に90度回転させるとともに、左右に配置された帯鋸841,841の間隔が設定した間隔になるようにシリンダ832を駆動させる。続いて、車体62を、再度、帯鋸841,841に向けて走行させ、帯鋸841,841に丸太Lを通過させることによって、太鼓材の状態の丸太Lは角材に切削される。次に、シリンダ832を駆動させて、左右に配置された帯鋸841,841の間隔をやや広げ、車体62を初期位置に戻す。最後に、クランプ64,65による丸太Lの挟持を解除して丸太Lを車体62の上方から取り外す。この丸太Lの取り外しが完了すると、図4に示す回転装置50から次の丸太Lが一対の挟持板70に挟持されて、初期位置にある車体62の上方に移動される。
【0072】
以上説明した実施形態では、髄位置推定装置10によって髄の位置を正確に推定することができる。また、製材システム1によれば、回転装置50を備えることで、正確に推定した髄の位置に応じた製材を行うことができる。
【0073】
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、学習モデル記憶部12に、髄の位置を中心にn本目までの年輪の密度あるいは平均年輪幅に関する年輪データに基づく教師あり学習により構築された学習モデルも記憶させておき、推定部14が、取得部13が取得した対象画像データから、年輪の密度あるいは平均年輪幅を推定するものであってもよい。このn本目の年輪としては、成熟材と未成熟材との境目になる年輪(例えば、15本目の年輪)であってもよい。年輪の密度については、年輪の密度についての複数のグループ(密度が高い、普通、低い)のうちのいずれのグループに属するかを推定してもよく、平均年輪幅についても、平均年輪幅についての複数のグループ(平均年輪幅が広め(例えば、6mm以上)、普通(例えば、4mm以上6mm未満)、狭め(例えば、4mm未満)のうちのいずれのグループに属するかを推定してもよい。ここでの推定も、YOLOといったアルゴリズムを用いてもよい。これらの年輪に関する推定によって、成熟材と未成熟材との境目になる年輪(例えば、15本目の年輪)の位置を求めることができる。
【0074】
また、撮影装置40が撮影した撮影画像を二値化しエッジ強調を行って、画像解析によって年輪をある程度検出しておき、ディープラーニングによって、検出精度を高めたり、誤りを訂正することもできる。
【0075】
さらに、本発明の髄位置推定装置10は、製材システムに限らず、合板機械(ロータリーレース)等にも適用することができる。
【0076】
なお、以上説明した実施形態や各変更例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変更例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 製材システム
10 髄位置推定装置
11 学習部
12 学習モデル記憶部
13 取得部
14 推定部
20 投入装置
30 搬送装置
40 撮影装置
50 回転装置
51,52 回転センター
60 送材装置
70 挟持板
80 帯鋸盤
C1,C2,C3,C4,C5,C6 木口面
L 丸太
p 髄
図1
図2
図3
図4
図5
図6