(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】結束装置における結束テープ途切れ防止装置
(51)【国際特許分類】
B65B 13/18 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B65B13/18 F
B65B13/18 A
(21)【出願番号】P 2020071710
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】592071934
【氏名又は名称】株式会社カワカミ
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】板野 嘉男
(72)【発明者】
【氏名】川上 善大
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-295607(JP,A)
【文献】特開2018-079953(JP,A)
【文献】特開2004-175472(JP,A)
【文献】特開2016-113197(JP,A)
【文献】特開2007-167909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の被結束物を搬送バケットで間欠搬送するとともに、搬送バケットの上方に熱溶着性の結束テープをリール状に巻いて収納したテープケースを装架しておき、搬送バケットの特定の停止位置で被結束物をリフトで持ち上げ、両端をチャックで掴んで回転させ、テープケースから結束テープをテープホルダーで引き出して被結束物の外周に巻き付けて結束する結束装置において、テープケースを
ハンドチャックの上流に二基設け、各テープケースから結束テープを引き出して
二枚の結束テープをハンドチャック内に通し、一枚の結束テープはハンドチャックを出たところで
テープストッパーで留め
て惰性で前記一枚の結束テープが流動するのを防止し、他の結束テープを引き出して被結束物を結束するとともに、ハンドチャックの上流にそれぞれの結束テープの存在を感知するテープセンサーを設け、結束している側の結束テープの無が感知されると、ハンドチャック内に設けたテープ溶着器を作動させて他の結束テープと接着し、二枚の結束テープを連続して引き出して結束し
、
ハンドチャックの下流に搬送バケットの搬送方向に固設される横フレームと、横フレームの下方に支点軸を中心にウエイトの重量で上下に揺動する揺動アームを設けるとともに、横フレームと揺動アームに結束テープを転回して案内する下方側アイドルローラを分けて取り付け、揺動アームの上流でブレーキによって結束テープの流れを止め、巻き付けの際の結束テープの引張力で揺動アームを持ち上げて引張力を締付力として被結束物を結束する結束装置におけるテープ途切れ防止装置。
【請求項2】
揺動フレームの重量が調整できる請求項1
に記載の結束装置におけるテープ途切れ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾麺、線香、針金といった各種の棒状物を集積させた被結束物を搬送バケットで搬送しながら結束テープで結束する結束装置において、リール状に巻いてテープケースに収納した結束テープが引き出され尽くして途切れ、結束装置が止まるのを防止する防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種の結束装置を下記特許文献1として提案している。これは、被結束物を搬送バケットに載せて間欠的に搬送し、特定の停止位置(これを結束位置とする)まで来たとき、被結束物の両端をチャックで掴んで回転させ、その間に結束位置の上方に装架したリール状に巻いてテープケースに収納した結束テープをテープ引出装置で引き出して上押さえ針と被結束物とで挟んで被結束物の外周に止め付け、被結束物を回転させて外周に巻き付けて結束し、余部を切断するものであった。そして、結束後は、包装等のために再度搬送バケットで搬送していた。つまり、被結束物を搬送しながら結束していたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合のテープケース(以下、ケースという)とは、心棒を有して両端に円板を取り付けた断面H型をしたディスク状のものをいうのであるが、これにフィルム状に巻いて収容した結束テープをテープリールと称する。従来は、ケースの装架は一つであったから、結束テープが引き出されてしまうと、結束テープは途切れてしまって結束ができなくなる。そこで、新しいケースに交換しなければならなかった。したがって、ケースの交換が再々必要で、タイムロスが大きいし、この間、監視も必要であった。
【0005】
そこで、本発明は、結束テープを巻いたケースを二基設け、それぞれのケースから引き出された結束テープを重合させて非接着の状態で二枚重ねの状態にしておき、一枚のみを流動させて結束し、この結束テープがなくなる前に他方の未使用の結束テープと接着し、二枚の結束テープを一枚にして連続して引き出せるようにして結束テープの途切れによってケース交換が必要になることに基づくタイムロスを少なくしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、所定量の被結束物を搬送バケットで間欠搬送するとともに、搬送バケットの上方に熱溶着性の結束テープをリール状に巻いて収納したテープケースを装架しておき、搬送バケットの特定の停止位置で被結束物をリフトで持ち上げ、両端をチャックで掴んで回転させ、テープケースから結束テープをテープホルダーで引き出して被結束物の外周に巻き付けて結束する結束装置において、テープケースを結束テープの搬送方向前後に二基設け、各テープケースから結束テープを引き出して二枚重ねにしてハンドチャック内に通し、一枚の結束テープはハンドチャックを出たところで留め、他の結束テープは引き出して被結束物を結束するとともに、ハンドチャックの上流にそれぞれの結束テープの存在を感知するテープセンサーを設け、結束している側の結束テープの無が感知されると、ハンドチャック内に設けたテープ溶着器を作動させて他の結束テープと接着し、二枚の結束テープを連続して引き出して結束して行くことを特
徴とする結束装置におけるテープ途切れ防止装置を提供したものである。
【0007】
また、本発明は、以上の結束テープ途切れ防止装置において、請求項2に記載した、結束テープによる被結束物への巻き付けを、ハンドチャックの下流に搬送バケットの搬送方
向に固設される横フレームと、横フレームの下方に支点軸を中心にウエイトの重量で上下に揺動する揺動アームを設けるとともに、横フレームと揺動アームに結束テープを転回して案内する下方側アイドルローラを分けて取り付け、揺動アームの上流でブレーキによって結束テープの流れを止め、巻き付けの際の結束テープの引張力で揺動アームを持ち上げて引張力を締付力として被結束物を結束する手段を提供する。さらに、請求項3に記載した、揺動フレームの重量が調整できる構成を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の手段をとることにより、一方の結束テープの引き出しが終了するときには、既に他の新規な結束テープと接着されているるのであるから、結束テープは継ぎ目では二重になるものの、連続して引き出され、テープリールを収納したケースの補充の手間は省ける。したがって、この間の監視も特に必要ないし、タイムロスも生じない。請求項2の手段によれば、被結束物に対する結束テープの締付力がウエイトの重量で決まり、設定が容易であるし、請求項3の手段によれば、締付力を加減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】結束装置の結束テープ引き出し部分の要部正面図である。
【
図4】結束装置の結束テープ引き出し部分の要部正面図である。
【
図6】各要素の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は結束装置の側面図、
図2は平面図であるが、結束装置は両端で上下に折り返すチェーンコンベア(以下、コンベア)1を有しており、これにV字形又はU字形をしたバケット2を二列に取り付けたもので、バケット2に結束前の集積した被結束物3を載せて搬送する。移送するバケット2の終端(上動から下動に反転する点)の少し前の位置が被結束物3を結束する結束位置4となる。
【0011】
結束位置4付近では、結束テープケース(ケース)5、結束テープ引出装置6、シール、カッター7等が設けられている。ケース5はリール状に巻いた結束テープ(以下、テープ)8を収納するもので、これから繰り出されたテープ8はその下で結束位置4の上方に設けられた結束テープ引出装置(以下、テープ引出装置)6を構成して被結束物3に接離して搖動運動をするテープホルダー9を介して被結束物3に押し付けられる。結束位置4には開閉する三つの爪からなるチャック10がコンベア1の上方に対向して設けられており、コンベア1の下には被結束物3をチャック10の芯の位置まで持ち上げるリフト11も設けられている。さらに、チャック10の傍には結束した後のテープ8を溶着して切断するシール、カッター7が設けられている。
【0012】
次に、結束する場合について説明すると、被結束物3はコンベア1に載せられて上手側(
図1で左側、以下、方向を指称するときにはこれを基準にする)から下手側に向って移送される。このとき、チャック10の爪は下方を開放して開いた状態にあり、被結束物3の通
過を許容する。被結束物3が結束位置4まで来ると、リフト11が持ち上がり、被結束物3はチャック10の芯の位置まで持ち上げられ、同時に爪が閉じて被結束物3を掴む。このとき、チャック10側から結束テープ8を上から押さえて被結束物3に押さえ付ける
。図外の上押さえ針を突出させる。チャック10が被結束物3を掴むと、チャック10は被結束物3と共に少なくとも一回転以上回転し、これに伴ってテープ8はケース5から引っ張り出されて被結束物3の外周に巻き付けられ、かつ、被結束物3を締め付ける。この間、テープホルダー9は元の位置に戻る。
【0013】
図3はテープ8の張り掛けを示す正面図、
図4はその要部の正面図であるが、テープ8は次のように張り掛けられる。本体フレー
ム12からスタンド13を搬送方向に二基立ち上げ、それぞれにケース5を装架し、各ケース5には各々リール状に巻いたテープ8を収納しておき、これを引き出して本体フレーム12に設けられる複数の上方側アイドルローラ14に掛け回して二枚重ねに合流させ、その下流に設けられるハンドチャック15に誘導して中を通し、テープ引出装置6のテープホルダー9に導いておくのである。この場合、結束するのは一つのケース5から出たテープ8であり、他のケース5に収容されているテープ8はハンドチャック15を超えた辺りで留めている。テープ8の二枚重ねは、熱溶着性の接着剤が付いている表面と付いていない裏面とを重ね合わせてあるだけであるから、格別に力でも加えない限り、くっ付くことはない。つまり
、留まっているテープ8は流動しているテープ8に擦られても動くことはない。ただ、惰性等で流動するのを防止するためにハンドチャック15の下流にテープストッパー16を設けている。
【0014】
また、被結束物3を結束するときに、テープ8にある程度の締付力を与えて結束を安定させるための締付力付与機構17をテープホルダー9の上流に設けている。具体的には、本体フレーム12を支えるコラム18に横フレーム19を直角に取り付けるとともに、横フーム19の下方に支点軸20を中心に末端部が上下に揺動する揺動アーム21を取り付けるのである。揺動アーム21にはピン22が立設されており、これにウエイト23が挿通されている。揺動アーム21は、支点軸20に連係されて内蔵するモーターと動力が接続、切断するクラッチモーター24の作動によって揺動が可能か不可能かになる。加えて、横フレーム19と揺動アーム21に分けて複数の下方側アイドルローラ25を取り付けておく。
【0015】
テープ8の張り掛けは、揺動アーム21の最後(末端)の下方側アイドルローラ25から横フレーム19の最後の下方側アイドルローラ25を経てテープホルダー9に導いておく。この他、ハンドチャック15の上流にはテープ8の流れを監視するテープセンサー26が設けられており、クラッチモーター24を挟む流路の上流と下流にはテープ8の挿通を遠隔操作で閉止、流動させる二つブレーキ27を設けておく。
【0016】
結束について説明すると、被結束物3を載せた搬送バケット2を結束位置4で停止させるが、このとき、上方のブレーキ27は開放してテープ8の流動は許容される状態になっている。次に、テープホルダー9が作動してテープ8をケース5から引き出してその端を被結束物3の外周の一点に止着する。次いで、リフト11が上がるから、チャック10は口を閉じて被結束物3を掴んで回転させる(このとき、リフト11は下がっている)。すると、被結束物3は回転してテープ8を外周に巻き付ける。この間、テープホルダー9は上部を支点にして30°程度揺動し、巻き付けを安定させる。チャック10が回転しているときは上流のブレーキ27は閉止させてあるから、テープ8の引っ張りで揺動アーム21が支点軸20を中心に上方に持ち上がる。
【0017】
テープ8が被結束物3の外周に何回か巻き付けられて揺動アーム21が上方に一杯に持ち上がると、シール、カッター7のヒーターでシールされるとともに、余部がカットされる。テープ8がカットされてその張力がなくなると、上流のブレーキ27は開放するようになっており、揺動アーム21は自重とウエイト23の重量で下降する。これを確実にするため、下降のときはクラッチモーター24のモーターが支点軸20と動力的に接続して強制的、かつ安定的に行われるようになっている。これで結束のサイクルが終了したこと
なり、以下、上記した工程を繰り返すことになる。
【0018】
ところで、以上の結束において、テープ8は上流のブレーキ27が閉止していることか
ら、被結束物3へのテープ6の巻き量は揺動アーム21の上昇位置と下方位置(原点位置)
のストローク分に限られて一定になる。また、締付力は揺動アーム21の自重とウエイト23の重量ということになるが、ウエイト23の重量を変更することで締付力を調整できる。さらに、原点位置は、揺動アーム21の位置を横フレーム19に取り付けられる位置センサー28によって確認し、確実に定位置に復帰するようになっている。この間のシーケンスを
図6のタイムチャートで示す。
【0019】
上記したハンドチャック15の内部にはテープ8を熱溶着(接着)するテープ接着器29が設けられている。
図5はテープ接着器29を示す正面断面図であるが、テープ8を挿通
する二枚のプレートからなるガイド30の一部に窓31を開け、ここにヒートブロック32を突入できるようにしておく。ヒートブロック32は前後に動くようになっており、前進すると窓31の中に突入して二枚重ねのテープ8をガイド30に押し付けて接着する。なお、ヒートブロック32の動きは、テープ接着器29の上流に設けたテープセンサー26がテープ8の無を感知したときである。このとき(或いは所定時間後)にヒートブロック32を電磁力や流体圧力で前進させるのであるが、同時に溶着温度に加熱する。ただ、ヒートブロック32は常時加熱させてもよく、その場合はレスポンスが鋭敏になる。
【0020】
テープ8同士が接着した場合でも、しばらくは接着前の状態、つまり、今までのテープ8による結束が続く。しかし、接着した部分が被結束物3にかかると、二枚のテープ8が重なった状態で結束が行われ、その後、結束していたテープ8はなくなり、新たに接着されたテープ8に切り替わる。ただ、これによると、二枚重ねのテープ8による結束が行われることがあるが、接着部分は二枚重ねの部分の僅かな長さであり、その隣接部分は片持ち状のテープ片であるから、この部分がカットされると、切れ端が飛散したりすることがある。そこで、テープセンサー26の信号等によって二枚重ねの部分が結束にかかるときは、十分な回数で巻き、接着部分を完全に中に閉じ込めるようにしておく。なお、二枚重ねの部分で結束すると、結束形態が通常のものと異なるから、製品としないこともある。
【0021】
以後は、この切り替わったテープ8で結束を続けるが、従来の一つのケース5であれば、テープ8の引き出しが終了してなくなると、当然に結束が不能になる。そこで、監視等によつてその前に新しいケース5を補充しなければならない。しかし、これによると、途切れを予測しての補充の手間が省け、その分のタイムロスはなくなる。ただ、新しいテープ8が尽きる前には、次の新しいテープ8を巻いたケース5を補充しておく必要があるが、この補充したケース5のテープ8は引き出して二枚重ねにし、ハンドチャック15に通しておく必要がある。
【0022】
ところで、テープ8の張り掛けをもう一度見てみると、二つのケース5に巻かれたテープ8は各々引き出されて上方側アイドルローラ14に掛け回されてその存在をテープセンサー26で監視されながらハンドチャック15に入る。そして、ブレーキ27からクラッチモーター24を介して横フレーム19と揺動アーム21に交互に設けられた下方側アイドルローラ25を転回してテープ引出装置6の揺動アーム21に至る。この間、適宜の位置に上記したブレーキ27も設けられているし、揺動アーム21にはピン22が設けられており、これにウエイト23を通しているのは上記したとおりである。
【符号の説明】
【0023】
1 搬送コンベア
2 搬送バケット
3 被結束物
4 結束位置
5 結束テープケース
6 テープ引出装置
7 シール、カッター
8 結束テープ
9 テープホルダー
10チャック
11リフト
12本体フレーム
13スタンド
14上方側アイドルローラ
15ハンドチャック
16テープストッパー
17締付力付与機構
18コラム
19横フレーム
20支点軸
21揺動アーム
22ピン
23ウェイト
24クラッチモーター
25下方側アイドルローラ
26テープセンサー
27ブレーキ
28位置センサー
29テープ接着器
30ガイド
31窓
32ヒートブロック