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特許7320285フィーダー装置用搬出治具及び該治具を用いた搬出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】フィーダー装置用搬出治具及び該治具を用いた搬出方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/44 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B65G65/44 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013330
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116907
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】511266139
【氏名又は名称】株式会社住野事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】堀井 利真
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 哲也
(72)【発明者】
【氏名】下浅 徹
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-144915(JP,A)
【文献】特開2005-213042(JP,A)
【文献】登録実用新案第3116122(JP,U)
【文献】実開昭51-079501(JP,U)
【文献】実開昭51-145182(JP,U)
【文献】特開2004-298009(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229792(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端部から前端部まで被搬送物が載置されるフィーダー板と、前記フィーダー板の後端部側に相対変位可能に配置された押圧部と、前記押圧部から前記フィーダー板の前端部まで所定の幅で形成された一対の搬送路側壁部とを備え、
前記フィーダー板の前端部から後端部まで被搬送物が載置された第1状態と、
前記フィーダー板に載置された前記被搬送物がその後端部を前記フィーダー板の前端部方向に前記押圧部の相対変位によって予め定められた距離だけ相対的に押出された第2状態と、
前記押圧部が前記第1状態における配置位置に戻された前記被搬送物が除かれたフィーダー板上に空白領域が形成されている第3状態とを順次有し、
前記空白領域に次の被搬出物が載置されて前記第3状態から次の第1状態へ移行されることによって第1状態から第3状態が繰り返されるフィーダー装置であって、
前記第3状態における前記空白領域に載置させる被搬送物がなくなった時点で前記フィーダー板上に残る被搬送物を搬出させる前記フィーダー装置用搬出治具において、
前記第3状態で形成されている記空白領域に載置され、前記搬送路側壁部間に嵌まる幅を有する押圧片と、
前記押圧片の後方に配置され前記押圧部による押出し動作を前記押圧片に伝える1つ以上の連結片と、
前記押圧片と1つ以上の連結片とを連結する連結ワイヤーとを備えたことを特徴とするフィーダー装置用搬出治具。
【請求項2】
前記押圧片の後方に前記押圧片と同一形状の第2の押圧片を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のフィーダー装置用搬出治具。
【請求項3】
前記第2の押圧片が、前記押圧片の後方に前記連結片を介して備えられ、更に、前記フィーダー板の後端部から前端部までの長さとなるまで前記第2の押圧片と前記連結片とを繰り返し備えたことを特徴とする請求項2に記載のフィーダー装置用搬出治具。
【請求項4】
前記押圧片の前方に前記第3状態で形成されている前記空白領域に前記押圧片よりも先に載置される接地片を備え、
前記接地片の先端部が、接地時に前記接地片を横転可能とする傾斜面を有していることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のフィーダー装置用搬出治具。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のフィーダー装置用搬出治具を用いた搬出方法であって、
吊下状態から下降させて前記押圧片を前記空白領域に載置させ、第1状態から第3状態を経て、再度の前記空白領域に前記押圧片の後続の連結片を載置させ、更に後続の連結片又は前記第2の押圧片でこれを繰り返すことを特徴とする搬出治具を用いた搬出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を搬出させることのできるフィーダー装置用搬出治具及び該治具を用いた搬出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者を含む発明者によって、被篩別物を必要とする集積場所等に出向いて随時効率的に柔軟に対応でき、また、被篩別物の移送のための積み込み及び積み下ろしの回数を低減させて粉塵等の発生を低減することができる多目的な移動式グリズリーフィーダー車(特許文献1参照)が既に提案されている。
【0003】
この移動式グリズリーフィーダー車については、例えば、高炉スラグ、脱燐スラグ、脱珪スラグ、脱硫スラグ等のスラグのような被篩別物を必要とする集積場所等に出向いて随時効率的に篩別することができ、被篩別物の移送のための積み込み及び積み下ろしの回数を低減することができ、粉塵の発生を低減することができ、また、現地における被篩別物の集積位置と篩別済み品の取り出し位置との位置関係に柔軟に対応できる等々の利点を備えている。
【0004】
即ち、フィーダー車のグリズリーフィーダーは、多数のグリズリーバーの軸を車両シャシの車軸方向(幅方向)に傾けて配されたものであるため、ホイールローダや油圧ショベル等でグリズリーバーの傾斜上部側から被篩別物を運び、被篩別物は傾斜上部からグリズリーバーを傾斜下部方向に滑りながら篩別される。
【0005】
大きな被篩別物はグリズリーバーから車両シャシの側方へ落下し、小さな被篩別物はグリズリーバー同士の間隙から抜け落ちて、グリズリーバーの下方に設置されているホッパー部及び摺動フィーダーに供給される。ホッパー部の傾斜板を滑り落ちてくる小さな被篩別物は、摺動フィーダー上に供給載置され、前後に摺動する摺動フィーダーによって被搬送物として徐々にコンベアに送り出される。
【0006】
摺動フィーダーの前後の摺動によって送り出された被搬送物は下流のベルトコンベアによって搬送され、後続の篩い分け装置又は集積場所に搬送される。このため、比重の重い産業原料を篩別する場合にも、被搬送物を搬送するベルトコンベアの破損が少なく、後続の篩い分け装置に供給する場合も、略一定量の被搬送物(被篩別物)を継続的に供給することができる利点を備えている。
【0007】
即ち、このようなフィーダーにおいては、前端部から後端部まで被搬送物が載置されたフィーダー板の後端部に押圧部が配され、この押圧部自体を前端部方向に一定距離を押出すか、フィーダー板自体を後端部方向に一定距離移動させることにより、載置された被搬送物を相対的に押出すものである。
【0008】
この後、押圧部とフィーダー板との相対位置を元に戻すことにより、被搬送物が除かれたフィーダー板上の空白領域に被搬送物を載置させて当初の状態に戻し、同様の操作を行うことによって、略一定量の被搬送物(被篩別物)を後続の篩別装置等々に継続的に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】登録実用新案第3116122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、固定のフィーダーでは、ほぼ同じ被搬送物を搬送することとなるが、移動式のものでは、集積地毎に全く別の被搬送物を搬送することとなる。このため、他所の集積地に移動する前にフィーダー装置内に残った被搬送物を取り除く必要があった。その際には、フィーダー装置自体に残存した被搬送物を完全に除去する場合もあれば、フィーダー板上の被搬送物を取り除く場合もあった。
【0011】
フィーダー装置自体に残存した被搬送物を完全に除去する場合には、フィーダー装置を停止状態とし、作業員が箒やブラシ等の清掃道具を用いてフィーダー装置内の隙間部分を清掃作業するものであり、フィーダー板上の被搬送物を取り除く場合には、フィーダー装置情報から柄の長い箒やブラシ等で被搬送物を下流側へ移送させることによって行ってもいた。
【0012】
しかしながら、長い箒やブラシは重く取り扱いが難しく、フィーダー装置内に残存する被搬送物が重いものや小さいものでは、内部に入って作業をする時間よりも長い時間の作業が必要となる場合もあった。
【0013】
そこで、本発明は、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を短時間で簡便に搬出させることのできるフィーダー装置用搬出治具及び該治具を用いた搬出方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された発明に係るフィーダー装置用搬出治具は、後端部から前端部まで被搬送物が載置されるフィーダー板と、前記フィーダー板の後端部側に相対変位可能に配置された押圧部と、前記押圧部から前記フィーダー板の前端部まで所定の幅で形成された一対の搬送路側壁部とを備え、
前記フィーダー板の前端部から後端部まで被搬送物が載置された第1状態と、
前記フィーダー板に載置された前記被搬送物がその後端部を前記フィーダー板の前端部方向に前記押圧部の相対変位によって予め定められた距離だけ相対的に押出された第2状態と、
前記押圧部が前記第1状態における配置位置に戻された前記被搬送物が除かれたフィーダー板上に空白領域が形成されている第3状態とを順次有し、
前記空白領域に次の被搬出物が載置されて前記第3状態から次の第1状態へ移行されることによって第1状態から第3状態が繰り返されるフィーダー装置であって、
前記第3状態における前記空白領域に載置させる被搬送物がなくなった時点で前記フィーダー板上に残る被搬送物を搬出させる前記フィーダー装置用搬出治具において、
前記第3状態で形成されている記空白領域に載置され、前記搬送路側壁部間に嵌まる幅を有する押圧片と、
前記押圧片の後方に配置され前記押圧部による押出し動作を前記押圧片に伝える1つ以上の連結片と、
前記押圧片と1つ以上の連結片とを連結する連結ワイヤーとを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に記載された発明に係るフィーダー装置用搬出治具は、請求項1に記載の押圧片の後方に前記押圧片と同一形状の第2の押圧片を更に備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項3に記載された発明に係るフィーダー装置用搬出治具は、請求項2に記載の第2の押圧片が、前記押圧片の後方に前記連結片を介して備えられ、更に、前記フィーダー板の後端部から前端部までの長さとなるまで前記第2の押圧片と前記連結片とを繰り返し備えたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項4に記載された発明に係るフィーダー装置用搬出治具は、請求項1~3の何れか1項に記載の押圧片の前方に前記第3状態で形成されている前記空白領域に前記押圧片よりも先に載置される接地片を備え、
前記接地片の先端部が、接地時に前記接地片を横転可能とする傾斜面を有していることを特徴とするものである。
【0018】
請求項5に記載された発明に係るフィーダー装置用搬出治具を用いた搬出方法は、請求項2又は3に記載のフィーダー装置用搬出治具を用いた搬出方法であって、
吊下状態から下降させて前記押圧片を前記空白領域に載置させ、第1状態から第3状態を経て、再度の前記空白領域に前記押圧片の後続の連結片を載置させ、更に後続の連結片又は前記第2の押圧片でこれを繰り返すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を短時間で簡便に搬出させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例の構成を示すフィーダー装置用搬出治具の説明図であり、a図は要部の拡大図を含む吊下状態のワイヤーが伸びた状態を示し、b図は要部の拡大図を含む前端部から後端部の間で押圧片及び連結片が連続した状態を示す。
図2】移動式のフィーダー装置の構成を示す説明図であり、a図は図1のフィーダー装置用搬出治具を投入しようとしている状態を示す側面図、b図は平面図、c図はホッパー部を除いた側面図である。
図3図2の移動式のフィーダー装置の平面図であり、a図は図1のフィーダー装置用搬出治具の投入後の平面図であり、b図~d図は投入直後から順次経過したフィーダー要部の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明においては、
後端部から前端部まで被搬送物が載置されるフィーダー板と、フィーダー板の後端部側に相対変位可能に配置された押圧部と、押圧部からフィーダー板の前端部まで所定の幅で形成された一対の搬送路側壁部とを備え、フィーダー板の前端部から後端部まで被搬送物が載置された第1状態と、フィーダー板に載置された被搬送物がその後端部をフィーダー板の前端部方向に押圧部の相対変位によって予め定められた距離だけ相対的に押出された第2状態と、押圧部が第1状態における配置位置に戻された被搬送物が除かれたフィーダー板上に空白領域が形成されている第3状態とを順次有し、空白領域に次の被搬出物が載置されて第3状態から次の第1状態へ移行されることによって第1状態から第3状態が繰り返されるフィーダー装置に用いる搬出治具である。
【0022】
本発明の搬出治具は、第3状態で形成されている空白領域に載置させる被搬送物がなくなった時点でフィーダー板上に残る被搬送物を搬出させるものであり、第3状態で形成されている空白領域に載置され、搬送路側壁部間に嵌まる幅を有する押圧片と、押圧片の後方に配置され押圧部による押出し動作を押圧片に伝える1つ以上の連結片と、押圧片と1つ以上の連結片とを連結する連結ワイヤーとを備えたものである。これにより、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を短時間で簡便に搬出させることができる。
【0023】
即ち、本発明の搬出治具は、第3状態の空白領域に載置させる搬送路側壁部間に嵌まる幅を有する押圧片と、押圧片の後方に配置され押圧部による押出し動作を押圧片に伝える1つ以上の連結片と、押圧片と1つ以上の連結片とを連結する連結ワイヤーとを備えるため、連結ワイヤーで連結された押圧片がフィーダー装置の搬送路側壁部間の空白領域に接地される。
【0024】
接地された押圧片の後方に配置された連結片がフィーダー板の後端部側に配置された押圧部で押圧され、押圧片が前方に押出され、この押出し動作が連続する。これにより、押圧片がフィーダー板上の被搬送物を下流方向に押出されつつフィーダー板上の被搬送物を搬出させ、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を短時間で簡便に搬出させることができる。
【0025】
本発明の搬出治具の押圧片としては、第3状態の被搬送物がなくなった後に空白領域に載置可能なる搬送路側壁部間に嵌まる幅を有するものであれば良く、押圧片自体がフィーダー板上を相対的に上流側から下流側に移動することにより、フィーダー板上に滞った被搬送物を下流側に押出しつつ移動させて、搬出するものであれば良い。
【0026】
より具体的には、本発明の押圧片は、少なくとも空白領域の搬送路側壁部間に嵌まる幅を有し、空白領域に載置させることのできる長さを有するものであれば良い。形状としては、フィーダー板上を移動する際に空白領域よりも下流側の被搬送物を押出すために転がり難い形状及び重さであれば良く、移動方向に平行な断面形状が四角形状である直方体であるものが好ましい。
【0027】
また、空白領域の搬送路側壁部間の幅を少しでも超えると搬送路側壁部間に嵌まることができなくなるため、本発明の押圧片は、空白領域の搬送路側壁部間よりも若干狭い幅を有した上で、空白領域の搬送路側壁部間の全幅方向の被搬送物を下流側に押出すために、押圧片の前方面及び一側方向又は両側方向にブラシや可撓性の部材を配設して、押圧片の下方及び一側又は両側から逸出する被搬送物が極力ないようにする工夫も施しても良い。
【0028】
本発明の搬出治具の連結片としては、押圧片の後方に配置され押圧部による押出し動作を押圧片に伝える1つ以上のものであれば良く、押圧片の後方に連なって空白領域に載置され、少なくとも押圧片よりも短い幅であれば良い。尚、押圧片は転がり難い形状及び重さの材質で作成され、連結片についても同じ材質で作成されれば良い。例えば、コンクリート製、金属製、樹脂製及びそれらの複合材料のものなどが挙げらる。
【0029】
本発明の連結ワイヤーとしては、押圧片と1つ以上の連結片とを連結するものであれば良い。連結ワイヤーは少なくとも1本を押圧片と1つ以上の連結片とに連結してこれらを連続してフィーダー装置に供給するものであれば良い。しかしながら、押圧片と1つ以上の連結片とが捻れないように1本のワイヤーを前端部分でU字状に折り返した各々の連結ワイヤーの端部を押圧片と1つ以上の連結片とに間隔を開けて穿設した2つの穿設孔の各々に連通して連結することが望ましい。
【0030】
また、連結ワイヤーと、押圧片と1つ以上の連結片とは互いに離れるように、押圧片及び1つ以上の連結片に穿設された穿設孔の先端側で互いに離れた距離を隔てて連結ワイヤーと固定連結する。これにより、押圧片を空白領域に接地させ、引き続いて後方から連結片を接地させる際に、取り回しの余裕が生じるため、迅速な対応が可能となる。
【0031】
本発明の搬出治具としては、好ましくは、押圧片の後方に押圧片と同一形状の第2の押圧片を更に備える。これにより、最初に接地された押圧片の移動で取りこぼされた被搬送物の搬出も後続の第2の押圧片で搬出されることにより、良好に搬出することが可能となる。
【0032】
尚、この第2の押圧片としては、押圧片の後方に連結片を介して備えられ、更に、フィーダー板の後端部から前端部までの長さとなるまで連続して載置される第2の押圧片と連結片とを繰り返し備えるものが好ましい。これにより、第2の押圧片の個数に応じて、取りこぼされた被搬送物の搬出が可能となる。
【0033】
更に、好ましい本発明の搬出治具では、押圧片の前方に第3状態で形成されている空白領域に押圧片よりも先に載置される接地片を備え、接地片の先端部が、接地時に接地片を横転可能とする傾斜面を有している。これにより、吊下状態からの押圧片の接地の前に接地片が先に空白領域に設置されると共に横転されることにより、後続の押圧片が搬送路側壁部間の空白領域に接地する。
【0034】
本発明の搬出方法では、前述されたフィーダー装置用搬出治具を用いるものであり、吊下状態から下降させて押圧片を第3状態の空白領域に載置させ、第1状態から第3状態を経て、再度の空白領域に押圧片の後続の連結片を載置させる。更に後続の連結片又は第2の押圧片を用いてこれを繰り返すことで、フィーダー装置のフィーダー板上に滞って搬出されない被搬送物を短時間で簡便に搬出させることができる。
【実施例
【0035】
図1は本発明の一実施例の構成を示すフィーダー装置用搬出治具の説明図であり、a図は要部の拡大図を含む吊下状態のワイヤーが伸びた状態を示し、b図は要部の拡大図を含む前端部(下端)から後端部(上端)の間で押圧片及び連結片が連続した状態を示す。図2は移動式のフィーダー装置の構成を示す説明図であり、a図は図1のフィーダー装置用搬出治具を投入しようとしている状態を示す側面図、b図は平面図、c図はホッパー部を除いた側面図である。図3図2の移動式のフィーダー装置の平面図であり、a図は図1のフィーダー装置用搬出治具の投入後の平面図であり、b図~d図は投入直後から順次経過したフィーダー要部の状態を示す。
【0036】
図1に示す通り、本実施例のフィーダー装置用搬出治具10は、先端に接地片11を備え、接地片11の後方に押圧片12と連結片13とが連なり、更に後方に、第2の押圧片12と連結片13との組が8組連なっている。個々の押圧片12及び後続の第2の押圧片12については、同じ幅、厚さ、長さの直方体である。
【0037】
個々の連結片13は、押圧片12の半分の幅であるが、厚さ、長さについては、押圧片12の厚さ、長さと同じ直方体である。また、前端部の接地片11は、連結片13と同じ幅、厚さ、長さの直方体をベースにしてあるが、先端部側の幅方向に対向する2辺が面取りされている。
【0038】
この面取りにより、傾斜面が形成され、尚且つ、接地面である先端小口面が小さくなっている。このため、接地片11は、傾斜面に沿って横転され易い状態となっており、フィーダー板23が若干傾斜されており、尚且つ、フィーダー板23を駆動していることにより、接地片11の先端部をフィーダー板23の下流方向に向けて吊下状態から横転するように接地させることができる。
【0039】
接地片11と、後続の組の押圧片12と連結片13との各々には、2つの穿設孔14が穿設されている。
2つの穿設孔14の穿設位置は、接地片11と、後続の押圧片12及び連結片13については、同じ厚さ位置(中央の厚さ位置)であり、幅方向では、中心位置から等分に配された位置であり、押圧片12では接地片11及び連結片13と同じ幅であり、接地片11及び連結片13については、両側端から中心位置に1/4幅分近づけた位置である。
【0040】
個々の穿設孔14には、1本の連結ワイヤー15を接地片11の先端部でU字状に折り返して両側各々の連結ワイヤー15の端部を後続の組の押圧片12と連結片13との穿設孔14に連通して連結される。尚、図1のa図及びb図の拡大図に示す通り、押圧片12及び連結片13に穿設された穿設孔14の先端側で互いに離れた距離を隔てて連結ワイヤー15と留め金16で固定連結されている。
【0041】
これにより、連結ワイヤー15と、接地片11と押圧片12と連結片13とは互いに離れるように配置される。図1のa図に示す通り、押圧片12と、接地片11及び連結片13とが幅方向に相違する穿設孔14を通過して吊下されるため、搬出治具10の吊下状態では、接地片11と、後続の組の押圧片12と連結片13との各々が捻れ難くなる利点を奏する。
【0042】
更に、接地片11及び押圧片12を空白領域に接地させ、引き続いて後方から連結片13を接地させる際に、取り回しの余裕が生じるため、迅速な対応が可能となる。尚、接地片11と押圧片12と連結片13とが連なった状態で連結ワイヤー15が各片に挟まれないように対向する面の所定位置に溝17が形成されている。
【0043】
本実施例では、フィーダー板23が前後に摺動することによって押圧部25が相対変位する摺動フィーダ装置20とした。図1のb図に示す通り、搬出治具10をフィーダー板23上に供給し、吊下状態から接地片11を接地させて、摺動フィーダー装置20を駆動することにより、先端から後端の間で接地片11から後続の押圧片12及び連結片13の組が連続した状態になる。摺動フィーダー装置20のフィーダー板23の摺動によって上流端に配置された押圧部25が後続の部片を押出すことにより、接地片11の後方の押圧片12がフィーダー板23上に滞って搬出されなかった被搬送物30を排出することとなる。
【0044】
本実施例の搬出治具10による残留被搬送物の搬出工程を説明する。図2に示す通り、摺動フィーダー装置20は、車両シャシ27として、図示しないトラクタ等の牽引車両により牽引走行されるセミトレーラー27を用いている。この車両シャシ27の前方のトラクタのカプラとかみ合うキングピン部が設置されている立ち上がり近傍に摺動フィーダー装置20が搭載されている。
【0045】
摺動フィーダー装置20の下方から車両シャシ27に沿って斜め上方に向かって傾斜してコンベア26が設置されている。車両シャシ27の四方側部にはジャッキ28が設けられている。これらジャッキ28は走行に際しては縮小され、また作業に際しては車体の水平安定性を保つために車両の全荷重を支持するように各々伸張されるようになっている。これらジャッキ28は手動操作の機械式又は油圧式のもので良く、各々が独立して調整できるようにしたものが好ましい。
【0046】
図2及び図3に示す通り、摺動フィーダー装置20は、ホイールローダや油圧ショベル等で車両シャシ27の側方から被搬送物30を摺動フィーダー装置20のホッパー部21の傾斜面に運び、被搬送物30は傾斜上部から傾斜下部方向に滑りながら一対のホッパー部21の下端に形成された一対の搬送路側壁部22で挟まれたフィーダー板23の上に供給される。
【0047】
一対のホッパー部21に被搬送物30がある場合には、フィーダー板23の上には前端部から押圧部25までの後端部まで被搬送物30が載置された状態(第1状態)である。フィーダー板23が後端流側に予め定められた距離を摺動することにより、前端部から押圧部25まで被搬送物30があるため、前端部にある被搬送物30が下流のコンベア26に押出されて供給される(第2状態)。後端側に摺動されたフィーダー板23が第1状態の位置に戻される(第3状態)。即ち、押圧部が相対的に第1状態の配置に戻される。第3状態において被搬送物30が除かれてフィーダー板23上に形成されている空白領域24に被搬送物30が載置され、次の第1状態となる。
【0048】
このような摺動フィーダー装置20において、被搬送物30が後続のコンベア26の下流に配置した篩い分け装置(図示せず)に搬出され、一対のホッパー部21に被搬送物30がなくなって、第3状態後に、次の第1状態における空白領域24に載置される次の被搬送物がなくなった状態においては、次の第2状態になっても押圧部25の相対変位としては空白領域24間を行き来するだけであるため、被搬送物30は前端部から後続のコンベア26に供給されない状態となる。
【0049】
このような状況にある摺動フィーダー装置20において、図2のa図に示す通り、搬出治具10の先端の接地片11が摺動フィーダー装置20のフィーダー板23の後端部側(上流側)の空白領域24に向かって下降させて供給され、最初に接地させ、接地片11の先端を前端方向に向けて転倒させる。
【0050】
この状態で摺動フィーダー装置20のフィーダー板23は前後に往復摺動されるため、接地片11が押圧部25によって前端方向にフィーダー板23を相対移動する。フィーダー板23が元の位置に戻ることにより、新たな空白領域24が形成されるため、接地片11の後続の押圧片12を空白領域24に下降させて供給すると、この押圧片12が押圧部25によって前端方向にフィーダー板23上を相対移動する。
【0051】
フィーダー板23が元の位置に戻ることにより、再度新たな空白領域24が形成されるため、押圧片12の後続の連結片13を空白領域24に供給し、この連結片13が押圧部25によって前端方向にフィーダー板23上を相対移動する。フィーダー板23が元の位置に戻ることにより、再度新たな空白領域24が形成されるため、更に連結片13の後続の押圧片12を空白領域24に供給し、この押圧片12が押圧部25によって前端方向にフィーダー板23上を相対移動する。
【0052】
フィーダー板23が元の位置に戻ることにより、再度新たな空白領域24が形成されるため、後続の押圧片12、連結片13の供給を巡視繰り返すことにより、図3のa図~d図に示す通り、接地片11及び押圧片12が徐々にフィーダー板23の後端部から前端部へ向かって徐々に移動する。この移動によって、フィーダー板23上に滞っていた被搬送物30を徐々に前端部から押出して後続のコンベア26に搬出することができる。
【0053】
尚、押圧片12及び後続の第2の押圧片12については、同じ幅、厚さ、長さの直方体であるため、最初の押圧片12の移動で取りこぼされた被搬送物30の搬出も後続の第2の押圧片12で順次搬出されることにより、残留被搬送物の殆どを搬出することが可能となる。また、押圧片12の前方面及び一側方向又は両側方向にブラシや可撓性の部材を配設して、押圧片12の下方及び一側又は両側から逸出する被搬送物が極力ないようにする工夫も施しても良い。
【符号の説明】
【0054】
10…フィーダー装置用搬出治具、
11…接地片、
12…押圧片、
13…連結片、
14…穿設孔、
15…連結ワイヤー、
16…留め金、
17…溝、
20…摺動フィーダー装置、
21…ホッパー部、
22…搬送路側壁部、
23…フィーダー板、
24…空白領域、
25…押圧部、
26…コンベア、
27…車両シャシ(セミトレーラー)、
28…ジャッキ、
30…被搬送物、
図1
図2
図3