(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】浄水器用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20230727BHJP
【FI】
C02F1/28 R
(21)【出願番号】P 2022132285
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2020202448の分割
【原出願日】2016-08-29
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】高城 壽雄
(72)【発明者】
【氏名】高城 寿太朗
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-281338(JP,A)
【文献】特開2005-226690(JP,A)
【文献】特開2012-92580(JP,A)
【文献】特開2001-17342(JP,A)
【文献】特開2013-86080(JP,A)
【文献】国際公開第2001/001833(WO,A1)
【文献】特開2005-28317(JP,A)
【文献】特開2009-66422(JP,A)
【文献】特開2001-303635(JP,A)
【文献】実開平5-67871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
B01D 27/00
E03C 1/00-1/10
F16K 47/00
A47K 3/02-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、
水を浄化する浄化材を有し、
上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、
上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置され、かつ、
浄水器のカートリッジ受けに内嵌される接続筒部を備え、これにより上記接続筒部は上記カートリッジ受けに水密に固定されており、
上記接続筒部の端面を閉鎖する緩衝部を備えることを特徴とする浄水器用カートリッジ。
【請求項2】
浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、
水を浄化する浄化材を有し、
上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、
浄水器のカートリッジ受けに内嵌される接続筒部を備え、これにより上記接続筒部は上記カートリッジ受けに水密に固定されており、
上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置される緩衝部を有し、この緩衝部の下流側の面が原水流路に面しているとともに、上流側の面が浄水流路に面しており、
上記緩衝部が、上記接続筒部の端面を閉鎖していることを特徴とする浄水器用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所、洗面所または風呂場等で用いられ、水道水(原水)から不純物を除去する浄水器に交換可能に収容される浄水器用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭等で水道設備の先端に取り付けられて使用される浄水器には、原水から不純物を取り除く浄化材を有する浄水器用カートリッジを交換可能に収容したものがあった。
また、原水をそのまま吐出する原水流路と、原水を浄水器用カートリッジで濾過して得た浄水を吐出する浄水流路とを有し、原水吐出と浄水吐出とを切り換える流路切換弁を浄水器用カートリッジの下流側に設けた浄水器があった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
このような浄水器では、原水吐出から浄水吐出へ切り換える際に原水流路が瞬間的に閉鎖されることにより、水撃または高水圧が発生して上流側へ伝わり、浄水器用カートリッジの浄化材が破損することがあった。
また、浄水器用カートリッジの交換周期は数か月であることも多いため、長期間当接している間に、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分が固着してしまうことがあり、交換時に浄水器用カートリッジを取り外しにくくなったり、破損したりすることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、原水吐出から浄水吐出への切り換え時に発生する水撃または高水圧による浄化材の破損を防止することができる浄水器用カートリッジを提供することを課題とする。
また、本発明は、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分が固着することを防止することができる浄水器用カートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、水から不純物を除去する浄化材を有し、上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置され、かつ、上記浄化材の下流に配置されるとともに上記流路切換弁から上記浄化材への水撃を遮断する緩衝部を有することを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、上記原水流路において、上記緩衝部の下流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、上記収容部に配置したときに上流端にあたる位置にも、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、上記浄水流路において、上記緩衝部の上流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする。
【0010】
第5の発明は、浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、水を浄化する浄化材を有し、上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置される緩衝部を有し、この緩衝部の下流側の面が原水流路に面しているとともに、上流側の面が浄水流路に面していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、水から不純物を除去する浄化材を有し、上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置され、かつ、上記浄化材の下流に配置されるとともに上記流路切換弁から上記浄化材への水撃を遮断する緩衝部を有することにより、水撃または高水圧を緩衝部が吸収し、浄化材その他の部材の破損を防止することができる。
【0012】
第2の発明によれば、上記原水流路において、上記緩衝部の下流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることにより、水撃等をより効率的に吸収して浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分の固着を防止することができる。
【0013】
第3の発明によれば、上記収容部に配置したときに上流端にあたる位置にも、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることにより、原水吐出から浄水吐出へ切り換えるたびに水撃等をこの垂直な平面で吸収し、浄水器用カートリッジが取り付け方向に揺動するため、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分の固着を防止することができる。
【0014】
第4の発明によれば、上記浄水流路において、上記緩衝部の上流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることにより、原水吐出から浄水吐出へ切り換えるたびにこの垂直な平面に浄水流路を通過する水が衝突し、浄水器用カートリッジが取り付け方向に揺動するため、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分の固着を防止することができる。
【0015】
第5の発明によれば、緩衝部の下流側の面が原水流路に面しているとともに、上流側の面が浄水流路に面していることにより、原水吐出から浄水吐出へ切り換えるたびに緩衝部が水撃等を吸収することにより、浄水器用カートリッジが引き抜き方向に揺動するため、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分の固着を防止することができる。また、次いで浄水器用カートリッジが取り付け方向に揺動するため、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分の固着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態にかかる浄水器用カートリッジを収容した浄水器の側方図である。
【
図2】同浄水器を示す
図1中Z-Z線断面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる浄水器用カートリッジを示す図であり、(a)は下流側から見た斜視図、(b)は上流側から見た斜視図である。
【
図4】
図2中のA点~D点において、原水吐出から浄水吐出へ切り換えた際の水圧の変化を示す表である。
【
図5】
図2中のA点~D点において、浄水吐出から原水吐出へ切り換えた際の水圧の変化を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施形態に係る浄水器および浄水器用カートリッジについて説明する。
図1に示すように、浄水器1は、ホース等を介して水道設備に接続されるとともに、先端に吐出口を形成したシャワーヘッドタイプの浄水器である。
この浄水器1は、吐出口としてストレート吐出口2aおよびシャワー吐出口2bを有するとともに、ストレート吐出口2aからのストレート吐出と、シャワー吐出口2bからのシャワー吐出とを切り換える吐出切換弁を設けている。
なお、本実施形態ではシャワーヘッドタイプの浄水器について説明しているが、本発明の内容はこれに限定されず、他の形状の浄水器に用いられてもよい。
【0018】
図1、
図2に示すように、浄水器1の基端には、ホース等から水道水(原水)を導入する接続口3を形成している。
浄水器1の内部には、接続口3から吐出口2a、2bまで連通する流路が設けられており、この流路中に浄水器用カートリッジ4を収容する略筒状の収容部5が形成されている。
浄水器1は、吐出口2a、2bを形成した頭部6と、使用者が片手で持てるようにした把持部7とをネジ結合されており、浄水器用カートリッジ4の浄化性能が低下したり故障した場合には、頭部6と把持部7とに分解することで新しい浄水器用カートリッジ4と交換することができる。
【0019】
図2、
図3に示すように、浄水器用カートリッジ4は、円筒状に固められた活性炭8と、この活性炭8の上流側に取り付けられた上流側キャップ9と、この活性炭8の下流側に取り付けられた下流側キャップ10とからなる。
原水が活性炭8を透過すると、原水に溶解した化学成分や浮遊している微細な固形物質が活性炭8によって吸着または濾過される。
活性炭8の外周表面は、不織布等で覆ってもよい。
【0020】
図3に示すように、上流側キャップ9は、活性炭8の上流端を閉鎖する円板部9aを有している。
図2に示すように、円板部9aを収容部5に収容すると、収容部5の上流端に立設されたリブ5aに当接して管方向に位置決めされるため、接続口3から収容部5への水の入り口を塞ぐことはない。
【0021】
図2、
図3に示すように、下流側キャップ10は、活性炭8の下流端に被覆されるとともに、略有蓋円筒状の接続筒部10aを下流側に立設している。
この接続筒部10aは、浄水器1の頭部6に設けた筒状のカートリッジ受け11に内嵌し、浄水器用カートリッジ4を収容部5内に位置固定する。接続筒部10aの下流側の端面は、円板状の緩衝部10dによって閉鎖されている。
下流側キャップ10には、活性炭8の内部流路12と連通する水の流路が形成されており、その出口10eは接続筒部10aの周面に形成されている。
接続筒部10aの外周面には、出口10eの上流側と下流側とに1つずつOリング13,13が外嵌されているため、接続筒部10aはカートリッジ受け11に水密に固定される。
【0022】
活性炭8の外周から内部流路12へ流入した水(浄水)がカートリッジ受け11に供給され、頭部6内を通過してストレート吐水口2aまたはシャワー吐出口2bから選択的に吐出される。下流側キャップ10内の流路には、活性炭8から流出する微粉等を取り除くための不織布10bと、滞留水に菌が繁殖することを防止する殺菌セラミック10cとを配置している。不織布10bおよび殺菌セラミック10cを収容できるように、下流側キャップ10は二つの部品を組み立てて形成されている。
本明細書において、活性炭8や殺菌セラミック10cのように、水から不純物を除去し、または雑菌を殺菌する機能を有する部材を浄化材という。
【0023】
図2に示すように、カートリッジ受け11の周面において、浄水器用カートリッジ4を取り付けたときに出口10eに合致する位置には浄水受け入れ口11aが形成され、浄水器用カートリッジ4を取り付けたときに緩衝部10dよりも下流にあたる位置に原水受け入れ口11bが形成されている。
浄水受け入れ口11aは頭部6の浄水遮断弁15に連通し、原水受け入れ口11bは頭部6の原水遮断弁16に連通している。
【0024】
浄水器用カートリッジ4を収容することにより、浄水器1内には、接続口3から導入された原水が、活性炭8を透過することなく、活性炭8の外周表面と収容部5内壁との間に形成される外周側流路14を通過して、原水受け入れ口11bからカートリッジ受け11内に流入し、原水遮断弁を経て吐出口2a、2bへ流れる原水流路が形成される。
また、浄水器1内には、接続口3から導入された原水が、外周側流路14から活性炭8を透過して内部流路12に流入し、下流側キャップ10の出口10aから浄水受け入れ口11bへ流出して、浄水遮断弁を経て吐出口2a、2bへ流れる浄水流路が形成される。
頭部6には、押しボタン6aの操作により原水遮断弁16と浄水遮断弁15とのいずれか一方を選択して閉鎖し、他方を開放する流路切換弁を設けている。
【0025】
浄水器1の収容部5に浄水器用カートリッジ4を収容したとき、浄水器用カートリッジ4の取り付け方向すなわちカートリッジ受け11および接続筒部10aの延設方向に対して、緩衝部10dの上流側の面および下流側の面の両方が垂直な平面となっている。
また、浄水器1の収容部5に浄水器用カートリッジ4を収容したとき、浄水器用カートリッジ4の取り付け方向に対して円板部9aも垂直な平面となっている。
【0026】
この浄水器において、原水流路が開放されている原水吐出から浄水流路が開放されている浄水吐出へ切り換えると、原水遮断弁16が瞬間的に閉鎖されることにより水撃または高水圧が発生し、上流へ伝播していく。
図4には、
図2中のA点からD点において、原水吐出時における水圧と、原水吐出から浄水吐出に切り換えた際に上昇した水圧とを測定した結果を示している。A点は円板部9aより上流の収容部5入り口付近、B点は浄化材より下流の原水流路、C点はB点より下流で原水遮断弁のすぐ上流の原水流路、D点は浄水遮断弁のすぐ上流の浄水流路とした。
【0027】
原水吐出時の水圧が比較的低い場合(A点で0.05MPa)、中程度である場合(A点で0.09MPa)、比較的高い場合(A点で0.14MPa)のいずれにおいても、原水吐出から浄水吐出に切り換えた際に、C点では水圧が急激に上昇し、かつC点からA点まで水圧が減衰せずに伝播することがわかった。この水圧の上昇は、原水吐出時に浄水器1に供給される当初の水圧、すなわち原水吐出時のA点の水圧の2倍にまで達するものであった。
浄水遮断弁付近の浄水流路であるD点では水圧に大きな変化はなかった。
【0028】
このとき、
図2に示すように、緩衝部10dが原水遮断弁16から殺菌セラミック10cへの水撃を遮断するため、内部の殺菌セラミック10cが破損するのを防止することができる。
また、水撃が原水遮断弁16から下流側キャップ10の内部を通過して活性炭8の内部流路12に到達する経路が、緩衝部10dによって遮断されている。円筒形状の活性炭8は外周側よりも内周側のほうが高密度で、外周側からの力には強く、内周側からの力には比較的脆いことが多いが、緩衝部10dによって、水撃が内周側から活性炭8を破損するのを防止することができる。
このような緩衝部10dを設けたことにより、耐久性の低い部材を浄水器用カートリッジ4の内部部品や浄化材として組み込むことも可能となる。
また、緩衝部10dによって下流側キャップ10の下流側の端面が閉鎖され、かつ、外部から直線状の異物(図示せず)が周面の出口10eを通して殺菌セラミック10cおよび活性炭8に届かないように形成されていることにより、浄水器用カートリッジ4を取り扱う際に落下させたり尖った異物にぶつけたりしても、たとえば尖った異物が浄水器用カートリッジの長手方向とほぼ平行に刺さって内部流路12まで貫通するような事態は避けられるため、殺菌セラミック10cや活性炭8の内部が破損することを防止することができる。
【0029】
また、原水吐出から浄水吐出へ切り換えるたびに緩衝部10dが水撃等を吸収することにより、浄水器用カートリッジが引き抜き方向に揺動するため、浄水器と浄水器用カートリッジとの取り付け部分であるOリング等の固着を防止することができる。
さらに、水撃等が原水受け入り口11bから原水流路を上流へ伝播すると、上流側キャップ9よりも上流に到達した瞬間、上流側キャップ9の上流が下流よりも高圧になるため、円板部9aが上流から押圧され、浄水器用カートリッジ4が取り付け方向に揺れて、浄水器1と浄水器用カートリッジ4との取り付け部分であるOリング13等の固着を防止することができる。
また、その直後には浄水遮断弁が開放されて水が浄水流路を流れるため、収容部5に流入した水が上流側キャップ9の円板部9aに衝突するとともに、浄化材を透過して下流側キャップ10に流入した水が緩衝部10dの上流側の面に衝突し、浄水器用カートリッジ4が取り付け方向に揺動するため、浄水器1と浄水器用カートリッジ4との取り付け部分であるOリング13等の固着を防止することができる。
【0030】
このように、緩衝部10dや円板部9aを設けたことにより、水撃等による活性炭8や殺菌セラミック10cの破損を防止することができるとともに、水撃等を利用して浄水器1と浄水器用カートリッジ4との取り付け部分の固着を防止することができる。
また、緩衝部10dや円板部9aが浄水器用カートリッジ4の取り付け方向に対してほぼ垂直な平面を有していることにより、水撃等をより効率的に吸収して浄水器1と浄水器用カートリッジ4との取り付け部分の固着を防止することができる。
また、水撃等や浄水流路の水流により浄水器用カートリッジ4が引き抜き方向に揺動した後に取り付け方向に揺動するため、それぞれの揺動による移動が相殺され、浄水器用カートリッジ4がカートリッジ受け11から脱落するのを防止することができる。
浄水器1との取り付け部分である接続筒部10a、Oリング13を有する下流側キャップ10に緩衝部10dを設けたことにより、水撃等の衝撃をより効果的に浄水器用カートリッジ4の揺動に変換して、浄水器1と浄水器用カートリッジ4との取り付け部分の固着を防止することができる。
【0031】
加えて、本実施形態では緩衝部10dの上流側の面および下流側の面は、浄水器用カートリッジ4の取り付け方向に対し、完全に垂直な平面となっているが、必ずしも完全な平面である必要はなく、水撃等をより効率的に吸収できるか、または、水撃等の衝撃を効果的に浄水器用カートリッジ4の揺動に変換できる他の形状であっても問題はない。例えば、緩衝部10dの上流側の面および下流側の面は、半球状、クレーター状、円錐状、逆円錐状、台形状、その他の形状であってもよい。
【0032】
なお、浄水流路では浄化材を透過する等により原水流路よりも流路抵抗が大きくなり、浄水遮断弁付近の水圧が小さい。そのため、
図5に示すように、浄水吐出から原水吐出へ切り換えるときには、D点を除き、大きな水圧の上昇は発生しなかった。
また、D点における水圧の上昇も、浄水吐出時のA点の水圧を下回るものであった。
【0033】
以下の付記は、本願に記載された発明の一部である。
[付記1]
浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、
水を浄化する浄化材を有し、
上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、
上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置され、かつ、
上記浄化材の下流に配置されるとともに上記流路切換弁から上記浄化材への水撃を遮断する緩衝部を有することを特徴とする浄水器用カートリッジ。
[付記2]
上記原水流路において、上記緩衝部の下流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする付記1記載の浄水器用カートリッジ。
[付記3]
上記収容部に配置したときに上流端にあたる位置にも、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする付記2記載の浄水器用カートリッジ。
[付記4]
上記浄水流路において、上記緩衝部の上流側の面が、上記浄水器への浄水器用カートリッジの取り付け方向に対して、ほぼ垂直な平面を有していることを特徴とする付記2記載の浄水器用カートリッジ。
[付記5]
浄水器の収容部に交換可能に収容される浄水器用カートリッジであって、
水を浄化する浄化材を有し、
上記浄水器内に、原水が上記浄化材を透過せずに下流側へ流れる原水流路と、原水が上記浄化材を透過して下流側へ流れる浄水流路とを形成するとともに、
上記浄水器において、上記原水流路または上記浄水流路からの吐出を選択する流路切換弁の上流に配置される緩衝部を有し、この緩衝部の下流側の面が原水流路に面しているとともに、上流側の面が浄水流路に面していることを特徴とする浄水器用カートリッジ。
【符号の説明】
【0034】
1 浄水器
2a (ストレート)吐出口
2b (シャワー)吐出口
3 接続口
4 浄水器用カートリッジ
5 収容部
5a リブ
6 頭部
6a 押しボタン
7 把持部
8 活性炭
9 上流側キャップ
9a 円板部
10 下流側キャップ
10a 接続筒部
10b 不織布
10c 殺菌セラミック
10d 緩衝部
10e 出口
11 カートリッジ受け
11a 浄水受け入れ口
11b 原水受け入れ口
12 内部流路
13 Oリング
14 外周側流路
15 浄水遮断弁
16 原水遮断弁