(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ガス相発熱反応開始用点火器付き多管状化学反応器
(51)【国際特許分類】
B01J 19/24 20060101AFI20230727BHJP
C01B 3/38 20060101ALI20230727BHJP
B01J 8/06 20060101ALI20230727BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20230727BHJP
【FI】
B01J19/24 Z
C01B3/38
B01J8/06
H01M8/0612
(21)【出願番号】P 2022513099
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 US2019048822
(87)【国際公開番号】W WO2021040720
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】516134213
【氏名又は名称】ワット・フューエル・セル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】WATT FUEL CELL CORP.
【住所又は居所原語表記】402 EAST MAIN STREET, SUITE 800, MOUNT PLEASANT, PA 15666, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】フィンナーティ,ケイン・エム
(72)【発明者】
【氏名】デワルト,ポール
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538132(JP,A)
【文献】特表2016-537297(JP,A)
【文献】特表2008-502847(JP,A)
【文献】特開2006-001780(JP,A)
【文献】特開2001-220102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-06、19/24
C01B 3/02-48
H01M 8/06-0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さXのラインLに対応する共通の長手軸に沿って整列した単一の列または本質的に同一の構成の平行列に整列した複数の離間された反応器ユニットであって、
ラインLが、列内に配置されている第1の反応器から最後の反応器まで延在し、列内の各反応器ユニットが、内表面および外表面を有する壁、一端にインレットおよび反対側の端にアウトレット、を有する細長い管を備え、前記壁が、少なくとも一部がガス相反応ゾーンを画定するガス流通路を囲む、反応器ユニットと、
前記反応器ユニットの前記ガス相反応ゾーン内で複数のガス相発熱反応を開始させるための少なくとも1つの点火器であって、前記点火器が、反応器ユニットの露出部に近接して、しかしそこから物理的に隔離されて配置された放射熱生成要素を含み、前記
放射熱生成要素の長さが、ラインLの長さXの少なくとも約30パーセントから約100パーセントまで延在する点火器と、
を備える多管状化学反応器。
【請求項2】
前記多管状化学反応器が、部分酸化改質器またはオートサーマル改質器である請求項1に記載の多管状化学反応器。
【請求項3】
動作の定常状態モード中の隣り合う反応器ユニット間の最大距離が、その距離を超えると前記複数
の離間された反応器ユニットの温度が所定の最小アレイ温度値を下回る距離、であり、隣り合う反応器ユニット間の最小距離が、その距離未満では反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度値よりも大きくなる距離、である、請求項1または2に記載の多管状化学反応器。
【請求項4】
前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された少なくとも一つの熱電対をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項5】
複数の点火器を備え、少なくとも一つの点火器が、前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器が、前記チャンバの反対側の端に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項6】
前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された複数の点火器および複数の熱電対を備え、少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対が、前記チャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対が、前記チャンバの反対の端に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項7】
前記複数の点火器および前記複数の熱電対が、前記チャンバの一端における少なくとも一つの点火器が前記チャンバの反対の端における熱電対の向かい側にあるように前記チャンバ内に配置される、請求項6に記載の多管状化学反応器。
【請求項8】
ガス状反応物源を備え、前記ガス状反応物源が、
一つまたは複数の前記反応
器ユニッ
トの一つまたは複数の前記ガス相反応ゾー
ンと流体連通状態にある、請求項1から7のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項9】
前記多管状化学反応器の動作を制御するためのコントローラを備え、前記コントローラが、前記少なくとも一つの点火器、および、もしあれば、前記少なくとも一つの熱電対および前記ガス状反応物源の少なくとも一方と動作連通状態にある、請求項1から8のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項10】
少なくとも1列に整列した複数の離間された反応器ユニットであって、各反応器ユニットが、内表面および外表面を有する壁、一端にインレットおよび反対側の端にアウトレットを有する細長い管を備え、前記壁が、少なくとも一部がガス相反応ゾーンを画定するガス流通路を囲む、反応器ユニットと、
前記反応器ユニットの前記ガス相反応ゾーン内で複数のガス相発熱反応を開始させるための少なくとも1つの点火器であって、前記点火器が、反応器ユニットの露出部に近接して、しかしそこから物理的に隔離されて配置された放射熱生成要素を含み、
前記複数の離間された反応器ユニットは、列の第1の反応器管の中心から列の最後の反応器の中心まで測定した長さXを有するラインLによって画定される共通の縦軸に沿って配置されており、前記
放射熱生成要素の長さが、
ラインLの長さXの少なくとも約60パーセントから約100パーセントまで延在する、点火器と、
を備える多管状化学反応器。
【請求項11】
前記多管状化学反応器が、部分酸化改質器またはオートサーマル改質器である請求項10に記載の多管状化学反応器。
【請求項12】
動作の定常状態モード中の隣り合う反応器ユニット間の最大距離が、その距離を超えると前記複数
の離間された反応器ユニットの温度が所定の最小アレイ温度値を下回る距離、であり、隣り合う反応器ユニット間の最小距離が、その距離未満では反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度値よりも大きくなる距離、である、請求項10または11に記載の多管状化学反応器。
【請求項13】
前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された少なくとも一つの熱電対をさらに備える、請求項10から12のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項14】
複数の点火器を備え、少なくとも一つの点火器が、前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器が、前記チャンバの反対側の端に配置される、請求項10から13のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項15】
前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された複数の点火器および複数の熱電対を備え、少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対が、前記チャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対が、前記チャンバの反対の端に配置される、請求項10から14のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項16】
前記複数の点火器および前記複数の熱電対が、前記チャンバの一端における少なくとも一つの点火器が前記チャンバの反対の端における熱電対の向かい側にあるように前記チャンバ内に配置される、請求項15に記載の多管状化学反応器。
【請求項17】
ガス状反応物源を備え、前記ガス状反応物源が、
一つまたは複数の前記反応
器ユニッ
トの一つまたは複数の前記ガス相反応ゾー
ンと流体連通状態にある、請求項10から16のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項18】
前記多管状化学反応器の動作を制御するためのコントローラを備え、前記コントローラが、前記少なくとも一つの点火器、および、もしあれば、前記少なくとも一つの熱電対および前記ガス状反応物源の少なくとも一方と動作連通状態にある、請求項10から17のいずれか1項に記載の多管状化学反応器。
【請求項19】
すべての前記点火器の最大加熱を開始するステップと、
中央に位置する反応器ユニット内のガス相発熱反応の開始を決定するステップと、
外側点火器の加熱を第1加熱レベルまで低減するステップと、
内側点火器の加熱を第2加熱レベルまで低減し、前記第2加熱レベルを前記第1加熱レベルより低くするステップと、
外側に位置する反応器ユニット内のガス相発熱反応の開始を決定するステップと、
前記点火器の加熱を停止させるステップと、
を含む、少なくとも3つの点火器を備える請求項1に記載の化学反応器におけるガス相反応を開始する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年11月6日に出願された米国特許出願第61/900,510号および第61/900,543号に開示および請求された主題に関連し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、化学反応器に関し、より具体的には、その中で複数のガス相発熱反応を開始させるための点火器を組み込んだ多管状化学反応器に関する。
【0003】
本開示の教示は、あらゆる態様のガス相発熱反応を実施するためのあらゆるタイプの多管状反応器に一般的に適用可能であるが、本明細書では、液体および気体の改質可能燃料のガス相発熱改質をもたらして水素リッチ改質物を生成するための多管状改質器およびこのような改質器の操作方法が、具体的に例示される。
【0004】
水素リッチ一酸化炭素含有ガス混合物、一般的には「合成ガス」または「シンガス(syngas)」と呼ばれる生成品への、ガス状または液体改質可能燃料の変換は、スチーム改質、乾燥改質、オートサーマル改質、および触媒部分酸化(CPOX)改質のような周知のガス相燃料改質操作のいずれかに従って、実行され得る。これらの燃料改質操作の各々は、その特有の化学的作用と必要条件を有し、且つ各々は、その他の燃料改質操作に対するその有利な点と不利な点によって特色づけられている。
【0005】
燃料セル(即ち、水素、水素と一酸化炭素との混合物等のような電気化学的酸化可能燃料を電気化学的に電気に変換するデバイス)は、主電源ユニット(MPU)および補助電源ユニット(APU)を含む一般的な用途に大きく貢献する可能性を秘めているため、改良された燃料改質器、燃料改質器コンポーネント、および改質プロセスの開発は、引き続き多くの研究の焦点になっている。燃料セルは、例えば、電気自動車のためのオンボード電気発生デバイス、家庭用デバイスのためのバックアップ電源、レジャー使用、アウトドアおよび送電線網を利用しない場所での他の電力消費デバイスのための主電源、軽量で、高い電力密度、周囲温度に依存しない携帯用電池パックの代替品のような、特殊な用途のためにも使用され得る。
【0006】
水素の大規模かつ経済的生産、その流通に必要なインフラ、およびその貯蔵のための実用的な手段(特に、輸送燃料)は、まだ先のことだと広く信じられているために、現在の研究と開発の多くは、電気化学的酸化可能燃料源、特に、水素と一酸化炭素の混合物源としての燃料改質器、そのような燃料の電気への変換装置のような燃料セル「スタック」とも一般的に呼ばれる燃料セルアセンブリ、および電気エネルギーの生産のためのよりコンパクトで信頼でき且つ効率的なデバイスへの燃料改質器と燃料セルとの一体化、を向上させることに向けられている。
【発明の概要】
【0007】
本開示によれば、複数の離間された反応器ユニットを備える多管状化学反応器が提供され、各反応器ユニットは、内表面および外表面を有する壁、一端にインレットおよび反対側の端にアウトレット、を有する細長い管を備え、前記壁は、少なくとも一部がガス相反応ゾーンを画定するガス流通路を囲み、当該多管状化学反応器は、反応器ユニットのガス相反応ゾーン内で少なくとも1つのガス相発熱反応を開始させるための少なくとも1つの点火器を備え得る。前記点火器は、前記ガス相反応ゾーンと熱的に連通して且つ近接するが、前記ガス相反応ゾーンから物理的に隔離状態で配置される放射熱生成要素を備え得る。
【0008】
前記複数の離間された反応器ユニットに関して、隣り合う反応器ユニット間の最大距離は、動作の定常状態モード中に、その距離を超えると前記複数の離間された反応器ユニットの温度が所定の最小アレイ温度値を下回る距離であり得る。隣り合う反応器ユニット間の最小距離は、その距離未満では、反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最大温度よりも高くなる距離であり得る。
【0009】
前記多管状化学反応器は、前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された少なくとも一つの熱電対を備え得る。
【0010】
前記多管状化学反応器は、複数の点火器を備え得る。少なくとも一つの点火器は、前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器は、前記チャンバの反対側の端に配置される。前記多管状化学反応器は、前記複数の離間された反応器ユニットを有するチャンバ内に配置された複数の点火器および複数の熱電対を備え得る。少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対は、前記チャンバの一端に配置され、少なくとも一つの点火器および少なくとも一つの熱電対は、前記チャンバの反対の端に配置され得る。
【0011】
前記複数の点火器および前記複数の熱電対は、前記チャンバの一端における少なくとも一つの点火器が、前記チャンバの反対の端における熱電対の向かい側にあるように前記チャンバ内に配置され得る。
【0012】
前記多管状化学反応器は、ガス状反応物源を備え、前記ガス状反応物源は、前記反応ユニット(単数または複数)の前記ガス相反応ゾーン(単数または複数)と流体連通状態にある。
【0013】
前記多管状化学反応器は、当該多管状化学反応器の動作を制御するためのコントローラを備え得る。前記コントローラは、前記少なくとも一つの点火器、および、もしあれば、前記少なくとも一つの熱電対および前記ガス状反応物源の少なくとも一方と動作連通状態にあり得る。
【0014】
本開示に従って、長さXのラインに対応する共通の長手軸に沿って整列した単一の列または本質的に同一の構成の平行列に整列した複数の離間された反応器ユニットであって、ラインLが、列内に配置されている第1の反応器から最後の反応器まで延在し、列内の各反応器ユニットが、内表面および外表面を有する壁、一端にインレットおよび反対側の端にアウトレットを有する細長い管、を備え、前記壁が、少なくとも一部がガス相反応ゾーンを画定するガス流通路を囲む、反応器ユニットと、前記反応器ユニットの前記ガス相反応ゾーン内で少なくとも1つのガス相発熱反応を開始させるための少なくとも1つの点火器であって、前記点火器が、反応器ユニットの露出部に近接して、しかしそこから物理的に隔離されて配置された放射熱生成要素を含み、前記熱生成要素の長さが、ラインLの長さXの少なくとも約30パーセントから約100パーセントまで延在する点火器とを備える多管状化学反応器が提供される。
【0015】
本開示に従って、複数の離間された反応器ユニットであって、各反応器ユニットが、内表面および外表面を有する壁、一端にインレットおよび反対側の端にアウトレットを有する細長い管を備え、前記壁が、少なくとも一部がガス相反応ゾーンを画定するガス流通路を囲む反応器ユニットと、反応器ユニットのガス相反応ゾーン内で複数のガス相発熱反応を開始させるための少なくとも1つの点火器であって、前記点火器が、反応器ユニットの露出部に近接して、しかしそこから物理的に隔離されて配置された放射熱生成要素を含み、前記熱生成要素の長さが、前記反応器ユニットの複数のガス相反応ゾーンに近接するように延在する点火器とを備える他管状化学反応器が提供される。
【0016】
CPOX反応器ユニットのCPOXガス相反応ゾーンおよび各点火器の熱放射要素は、熱的に隔離されたチャンバ内に配置され得る。点火器の動作は、その熱放射要素を介して、前記点火器に近接する少なくとも1つのCPOX反応器ユニットのCPOXガス相反応ゾーンに放射熱を伝達し、そのような反応ゾーン内で少なくとも1つのガス相発熱反応を開始させることができる。
【0017】
前記多管状ガス相化学反応器の点火器コンポーネントは、熱的に隔離されたチャンバ内に配置されたCPOX反応器ユニットの反応ゾーンからそのまま物理的に隔離されているので、反応器操作の管理にいくつかの利益と利点がもたらされる。1つの列または平行列での管状反応器ユニットの数および配置にもよるが、前記反応器ユニットのガス相反応ゾーン内の1つまたは複数の発熱ガス相反応を開始または点火するために、単一の点火器ユニット、および多くても数個の点火器ユニットだけで十分な場合が多い。これにより、反応器とその個々の管状反応器ユニットの構築、反応器の動作、および動作不能なまたは欠陥を有する点火器の特定と交換の両方が、簡素化される。
【0018】
本明細書における反応器の点火器コンポーネントの別の大きな利点は、反応器の定常動作が達成されると不活性化され、反応器動作の管理により要求される時に再び発熱ガス相反応を開始するために再活性化することが容易であることである。前記点火器を活性化および不活性化する容易さは、多管状反応器の通常の機能時に、頻繁な高速のオンオフ周期を経る可能性のある多管状反応器にとって利益となり得る。
【0019】
本開示に従って、すべての前記点火器の最大加熱を開始するステップと、中央に位置する反応器ユニット内のガス相発熱反応の開始を決定するステップと、外側点火器の加熱を第1加熱レベルまで低減するステップと、内側点火器の加熱を第2加熱レベルまで低減し、前記第2加熱レベルを前記第1加熱レベルより低くするステップと、外側に位置する反応器ユニット内のガス相発熱反応の開始を決定するステップと、前記点火器の加熱を停止させるステップと、を含む多管状化学反応器のスタートアップ方法が提供される。
【0020】
以下に記載の図面は、例証目的のために過ぎない。図面は、必ずしも縮尺で描かれてはおらず、一般的に本教示の原理を描くことに重点が置かれている。図面は、本教示の範囲を制限する意図は全くない。同様の参照番号は、一般的に、同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】既知のタイプの、ガス相発熱化学反応器、具体的には、複数の管状ガス相CPOX反応器ユニットを備えるガス状燃料CPOX改質器の概略ブロック図である。
【
図2】本教示によるガス相発熱化学反応器、具体的には、ガス相CPOX改質器の一実施形態の概略ブロック図である。
【
図3】
図1および
図2のガス状燃料CPOX改質器の動作を管理するための例示的な制御システムの概略ブロック図である。
【
図4】
図3に示された制御システムのようなコントローラによって実行されるガス状燃料CPOX改質器ルーチンの動作を管理するためのコントローラによって実行される例示的な制御ルーチンのフローチャートである。
【
図5A】本教示に従って構築されたガス状燃料CPOX改質器の一実施形態の長手方向断面図である。
【
図5B】
図5Aに示されたガス状燃料CPOX改質器の横方向(長手軸に対して垂直な方向)断面図である。
【
図5C】
図5Aに示されたガス状燃料CPOX改質器の一部を示す平面断面図である。
【
図5D】特に、熱的に隔離されたチャンバ内の管状ガス相CPOX反応器ユニットの列およびそれらのガス相CPOX反応ゾーンの配置を示す、
図2および
図5Aのガス燃料CPOX反応器の実施形態の分解斜視図である。
【
図6】本教示に係るガス相化学反応器の他の実施形態、具体的には液体燃料CPOX改質器の長手方向断面図である。
【
図7】
図6の液体燃料CPOX改質器の動作を管理するためのコントローラによって実行される例示的な制御ルーティングのフローチャートである。
【
図8A】本教示によるガス相化学反応器のスタートアップ手順を示す図である。
【
図8B】本教示によるガス相化学反応器のスタートアップ手順を示す図である。
【
図8C】本教示によるガス相化学反応器のスタートアップ手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本記載は、CPOX改質器に適用されるものとして記述されるが、本開示は、全ての発熱改質器および/または反応に適用されると理解されるべきである。
【0023】
本明細書での本教示は、記述された特定の手順、材料、および変更に制限されず、それらが変化され得ることが理解されるべきである。使用される用語は、特定の実施形態を記述する目的のみのためであり、且つ本教示の範囲を制限する意図はなく、それは、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることも理解されるべきである。
【0024】
簡略のために、本明細書での議論と記述は、主に、部分酸化改質反応および触媒部分酸化改質反応と反応物(改質可能燃料と酸素含有ガス)を含む反応物に焦点を合わせる。しかしながら、本明細書で記述されるデバイス、アセンブリ、システムおよび方法は、オートサーマル改質などのその他の発熱改質反応および反応物(改質可能燃料、スチームおよび酸素含有ガス)、および本明細書で記述されるその他のガス相発熱反応に適用することができる。従って、酸素含有ガスが本明細書においてデバイスまたは方法に関連して言及された場合、本教示は、特に明記しないまたは文脈から理解されない限り、酸素含有ガスと共にスチームを含むものと理解されるべきである。加えて、改質可能燃料は、デバイスまたは方法に関連して本明細書で参照される場合、本教示は、そうでないと明示的に述べられていないあるいはその文脈によって理解されない限り、組合せでまたは単独でスチーム、即ち、改質可能燃料および/またはスチームを含むものと考えられるべきである。
【0025】
加えて、本教示の反応器、システムおよび方法は、例えば、本明細書に記述されるように、同じ構造体およびコンポーネント内および/または同じ一般的な方法で生じる、CPOX改質およびオートサーマル改質を実行するのに適すると理解されるべきである。即ち、本教示の反応器、システムおよび方法は、気化された液体改質可能燃料とスチームを夫々生成するために、適切な液体反応物、例えば、液体改質可能燃料および/または液体水を液体改質可能燃料リザーバから気化器に、および適切なガス状反応物、例えば、酸素含有ガス、ガス状改質可能燃料およびスチームを夫々の源から燃料セルユニットまたはシステムの望ましいコンポーネント例えば、改質器に送出することができる。
【0026】
水が送出システムにおいて使用される場合、改質器、燃料セルスタックおよび燃料セルユニットまたはシステムのアフターバーナーの内の一つ以上からのリサイクルされた熱は、スチームを生成するために水を気化するために使用され得、そのスチームは、送出システム内に存在することができるおよび/または独立した源から送出システムに導入され得る。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、構造、デバイス、装置、構成物等が具体的なコンポーネントを有する、含むまたは備えるものとして説明される場合、または、方法が具体的な方法ステップを有する、含むまたは備えるものとして説明される場合、そのような構造、デバイス、装置、構成物等は、引用したコンポーネントによって本質的に構成される、または構成されること、および、そのような方法が、引用した方法ステップによって本質的に構成される、または構成されることが考えられる。
【0028】
要素またはコンポーネントが引用された要素またはコンポーネントのリストに含まれるおよび/またはそのリストから選択されると言われる本明細書および特許請求の範囲において、その要素またはコンポーネントは、引用された要素またはコンポーネントのいずれか一つであり得る、またはその要素またはコンポーネントは、引用された要素またはコンポーネントの二つ以上よりなる群から選択され得ることが理解されるべきである。更に、本明細書にて説明される構造、デバイス、装置または構成物または方法の要素および/または特徴は、本明細書において明示的であるか暗示的であるかに拘らず、本教示の焦点および範囲から逸脱することなく様々な方法で組み合わせることができると理解されるべきである。例えば、特定の構造に言及する場合、その構造は、本教示の装置および/または方法の様々な実施形態において使用されることができる。
【0029】
用語「含む(iclude)」、「含む(icludes)」、「含む(icluding)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、または「含む(containing)」は、文法的にそれに等価なものを含み、一般的にオープンエンドおよび非制限的、例えば、特に具体的に明記しない限り、または文脈から理解されない限り、追加の非引用要素またはステップを排除しないものとして理解されるべきである。
【0030】
本明細書における単数形、例えば、「一つ(a)」、「一つ(an)」、および「その(the)」の使用は、特に具体的に明記しない限り、複数を含む(且つその逆も含む)。
【0031】
用語「約(about)」の使用が、量的値の前にある場合、本教示は、また、特に具体的に明記しない限り、指定の量的値を含む。本明細書で使用されているように、用語「約(about)」は、特に明記しないまたは推測されない限り、名目値から±10%の変動を指す。
【0032】
ステップの順序や特定の動作を実行するための順序は、本教示が動作可能である限り、重要ではないことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記述される方法は、本明細書でそうでないと指摘されないまたは文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実行されることができる。更に、二つ以上のステップや動作は、同時に実行されてもよい。更に、本来、ステップが、順番通りに実行される必要がない場合、それらのステップは、同時に実行され得る。
【0033】
本明細書内の様々な箇所において、数値は、値の範囲として開示される。本明細書で開示される数値の範囲は、その範囲内の各値および全ての値およびその範囲の任意の部分範囲を含むことが具体的に意図される。例えば、0から20の範囲内の一つの数値は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20、および例えば、0から10、8から16、16から20等の任意の部分範囲を個別に開示するように具体的に意図されている。
【0034】
任意のおよび全ての例、即ち本明細書で提供される例示的言語、例えば「等の(such as)」の使用は、本教示をより良く示すよう単に意図され、請求されない限り、本発明の範囲に対して制限を課さない。明細書における言語は、本教示の実施に必須である非請求要素を指すものとして解釈されるべきではない。
【0035】
「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」、「水平な」、「垂直な」等の空間的配向や位置を指す用語および表現は、それらの文脈上の使用がそうではないことを指さない限り、構造的、機能的または動作上の重要性を有さないものとして、および添付の図面の幾らかにおいて描かれた本教示の反応器の様々な図の任意に選択された配向を単に反映しているとして、本明細書では理解されるべきである。
【0036】
本明細書で使用されるように、「改質可能燃料」は、液体改質可能燃料および/またはガス状改質可能燃料を指す。
【0037】
表現「ガス状改質可能燃料」は、STP状態においてガスである改質可能炭素および水素含有燃料、例えば、改質を受けた時に、水素リッチ改質物への変換を受けるメタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジメチルエーテル、主にメタンである天然ガスおよび液化天然ガス(LNG)のようなそれらの混合物、および主にプロパンまたはブタンであるが主にプロパン、ブタン、およびアンモニア等からなる全ての混合物を含む石油ガスおよび液化石油ガス(LPG)等を含むように理解されるべきである。
【0038】
表現「液体改質可能燃料」は、標準の温度および標準の圧力(STP)状態で液体である改質可能炭素および水素含有燃料、例えば、改質を受けた時に、水素リッチ改質物への変換を受けるメタノール、エタノール、ナフサ、蒸留液、ガソリン、灯油、ジェット燃料、ディーゼル、バイオディーゼル等を含むように理解されるべきである。表現「液体改質可能燃料」は、更に、燃料が液体状態にあろうとまたはガス状態、即ち蒸気であろうとそのような燃料を含むように理解されるべきである。
【0039】
本明細書で使用されるように、「ガス状改質反応混合物」は、オートサーマル改質の場合、ガス状液体改質可能燃料(例えば、気化された液体改質可能燃料)、ガス状改質可能燃料またはそれらの組合せ、および酸素含有ガス(例えば、空気)および/または水(例えば、スチームの形態で)を含む混合物を指す。ガス状改質反応混合物は、一酸化炭素も含み得る水素リッチ生成物(「改質物」)を生成するために改質反応を受ける。触媒部分酸化改質反応が実行されるべき場合、ガス状改質反応混合物は、改質可能燃料および酸素含有ガスを含む「ガス状CPOX改質反応混合物」と呼ばれ得る。オートサーマル改質反応が実行されるべき場合、ガス状改質反応混合物は、改質可能燃料とスチームを含む「ガス状スチーム改質反応混合物」と呼ばれ得る。オートサーマル改質反応が実行されるべき場合、ガス状改質反応混合物は、改質可能燃料、酸素含有ガスおよびスチームを含む「ガス状AT改質反応混合物」と呼ばれ得る。
【0040】
用語「改質反応」は、ガス状反応媒体の水素リッチ改質物への変換中に生じる発熱反応を含むと理解される。従って、本明細書における表現「改質反応」は、例えば、CPOX改質、オートサーマル改質を含む。
【0041】
また、先に簡略のために述べたように、本明細書における議論と記述は、触媒部分酸化改質反応および反応物(改質可能燃料と酸素含有ガス)を含む、反応および反応物に焦点を合わせる。しかしながら、本明細書で記述されるデバイス、アセンブリ、システムおよび方法は、オートサーマル改質などのその他の改質反応およびその夫々の反応物に等しく適用可能である。例えば、オートサーマル改質のためには、本明細書における記述では、酸素含有ガスおよび/または改質可能燃料と共にスチームが導入され得る。
【0042】
本開示のガス相反応器は、これから、
図1の例示の公知のタイプのガス状燃料CPOX改質器と対比する形で、詳細に記述される。
【0043】
図2および
図5A~5Dは、本発明の原理に従って構築されたガス状燃料CPOX反応器の実施形態を示し、
図6は、例示的な液体燃料CPOX改質器を示している。
【0044】
図1に示すように、ガス状燃料CPOX改質器1100は、ここおよび本教示の他の実施形態において空気によって例示される酸素含有ガスをコンジット1103に導入するため、ならびにこのガスおよび他のガスストリーム(ガス状燃料-空気混合物(単数または複数)および水素リッチ改質物を含む)をCPOX改質器の種々な通路を介して起こすための遠心式ブロワー1102を含む。コンジット1103は、流量計1104および熱電対1105を含み得る。これらおよび同様のデバイスは、
図3に示される制御システムに関連してより完全に説明されるように、ガス状燃料CPOX改質器の動作を測定、モニターおよび制御するために、ガス状燃料CPOX改質器内の様々な場所に配置され得る。
【0045】
例示的なガス状燃料CPOX改質装置1100の動作のスタートアップモードでは、ブロワー1102によってコンジット1103に導入された空気は、ガス状燃料貯蔵タンク1113からオプションの熱電対1115、流量計1116および流量調整弁1117を備える燃料ライン1114を通して比較的低圧でコンジット1103に導入される、ここでおよび本教示の他の実施形態においてプロパンによって例示されているガス状改質燃料と、混合する。この空気およびプロパンは、コンジット1103の混合ゾーン1118内で混合する。ミキサー、例えばインラインミキサー1119のような静的ミキサー、および/またはコンジット1103の内側表面内に形成された渦を作る螺旋溝、または外部動力ミキサー(図示せず)は、それらが無い場合よりもより均一なプロパン空気ガス状CPOX反応混合物を提供するためにコンジット1103の混合ゾーン1118内に配置され得る。~
【0046】
プロパン-空気混合物(すなわち、ガス状CPOX反応混合物)は、この反応混合物を管状CPOX反応器ユニット1109および1110のインレットに反応混合物を分配するマニフォルド、またはプレナム1120に入る。CPOX改質器1100の動作のスタートアップモードでは、
図1および4A~4Dのガス状燃料CPOX改質器に関連してより詳細に説明する熱放射要素1123bを備える点火器1123aは、管状CPOX反応器ユニット1109のガス相CPOX反応ゾーン1110内のガス状CPOX反応混合物の発熱ガス相CPOX反応を開始し、それによって水素リッチ改質物の生成を開始する。定常状態CPOX反応温度(例えば、150℃~1,100℃)が達成されると、発熱反応が自立的になり、点火器(単数または複数)の動作は中断され得る。熱電対1125は、CPOX反応器ユニット1109内で発生するCPOX反応の温度をモニターするために1つ以上のCPOX反応ゾーン1110に近接して配置され、温度測定は、改質器制御システム1126に対してモニターされたパラメータとして中継される。
【0047】
図1に示すように、改質器1100は、少なくとも1列に整列した複数の管状CPOX反応管1100、典型的には、列の第1の反応器管の中心から列の最後の反応器の中心まで測定した長さXを有するラインLによって画定される共通の縦軸に沿って配置された少なくとも1対の平行列(例えば、
図5B、5Cおよび5Dに例示する本発明のCPOX反応器の実施形態において示すように)である。改質器1100の定常動作中に生じるCPOX発熱の熱が、例えば、改質器内の空気、気体燃料および/または他のガスストリームの予熱、または液体燃料の気化のために、より容易に回収および利用できるように、管状CPOX反応器ユニット1109および1110のガス相CPOX反応ゾーンは、有利には、熱的に隔離されたチャンバ1128内に配置される。
図1の既知のタイプの改質器1100の実施形態では、熱放射要素、例えばその点火器1123aの1123bは、その一端で熱的に隔離されたチャンバ1128内に突出し、第2CPOX反応器ユニット1110をわずかに超えて、ラインLの距離Xの約20~25パーセントに相当する距離で終端することに留意されたい。
【0048】
また、改質器1100は、ブロワー1102、流量計1104および1116、流量調整弁1117および点火器1123aのような電気で駆動されるコンポーネントに対して電力を供給するために、電流源、例えば、充電式リチウムイオンバッテリシステム1127も含み得る。
【0049】
所望により、ガス状燃料CPOX改質器からの生産物流出物、例えば、水素リッチ改質物は、その一酸化炭素(CO)含有量を低減するために1つ以上の従来または他の既知の一酸化炭素除去デバイスに導入され得、そこでは、生産物流出物は、燃料として、COによって汚染の影響を特に受けやすい触媒を利用する燃料セルスタック、例えば、ポリマー電解質膜燃料セルに導入されるべきである。このように、例えば、生産物流出物は、水ガスシフト(WGS)変換器に導入され得、そこではCOが二酸化炭素(CO2)に変換されると共に、追加の水素を生成し、または生産物改質流出物は、反応器に導入され得、そこでは、COは、CO2に優先酸化(PROX)を受けるようになされる。COの低減は、これらのプロセスの組み合わせ、例えば、WGSの後にPROX、およびその逆を使用して実行され得る。生産物改質物を水素ストリームとCO含有副産物ストリームに分離する水素選択性膜を備える既知または従来のクリーンアップユニットまたはデバイスに、生産物改質物を通すことにより、生産物改質物中のCOレベルを低減することも本教示の範囲内である。この種のユニット/デバイスは、前述のWGS変換器および/またはPROX反応器のような1つ以上の他のCO-低減ユニットと組み合わされ得る。
【0050】
CPOX反応器1100の点火器1123の熱放射要素1123bと、CPOX反応器100の点火器123の対応する熱放射要素123bとがラインlの長さに沿って延在するラインLの長さXの割合に関して以外は、本発明の原理に従って構築された
図2のガス相CPOX反応器100は、
図1のガス相CPOX反応器1100と同一である。他のすべての点で、
図1の反応器1100と
図2の反応器100は同一であり、したがって、ラインLに対する熱放射要素1123bおよび123bのそれぞれの長さに関係する2つの反応器間の構造の前述の相違を除いて、CPOX反応器100について個別に反復して説明する必要性を省くことができる。前述のように、CPOX反応器1100の熱放射要素1123bの場合、かかる要素1123bがラインLに沿って延在する長さXは、かかる長さの約25パーセントを超えない。
図1のCPOX反応器1100の熱放射要素1123bの前述の最大長さ(先行技術)とは対照的に、
図2のCPOX反応器100の熱放射要素123bは、
図2および
図5のCPOX反応器の実施形態に示すように、ラインLの長さの少なくとも約30パーセント、好ましくは少なくとも約60パーセント、より好ましくはなお約100パーセント、所望によりさらに大きな距離、例えば、ラインLの長さを約5から約10パーセント超える距離Xで延在する。
図2のCPOX反応器100の場合、熱-生成要素123bがラインLに沿って延在する著しくより大きな距離は、そのCPOX反応器管の反応ゾーン内で自立したCPOXを開始するための時間を短縮する、例えば、少なくとも約10~約20%、好ましくは少なくとも約20~少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約40~少なくとも約60%、かかる反応器内で自立型CPOXを開始するのに要する時間よりも短くするという非常に望ましい効果を有し、驚くべきことに、(放熱要素123bが電気抵抗要素の場合)著しく大きな電力を供給する必要がなくなる。
【0051】
1123Bの供給電力は20W、123Bの供給電力は40Wであった。より重要なことは、著しく高い熱密度を有していた、より短くより低いパワーのユニットから、ワット/ユニットの長さが低減されている。この構成では、すぐ近くの触媒を過熱して自動点火を起こしたり、完全な熱伝導と床点火(bed ignition)の前に触媒を蒸発させる(1000℃超)危険性がある傾向があった。より長いヒーターは、優先的な始動条件のための、より均一で制御された熱源を提供する。
【0052】
(
図5Cおよび5Dに示されるCPOX反応器の実施形態のように)熱的に隔離されたチャンバ1128の両端に配置された相互に対向する点火器を使用することによって、自立型CPOXの開始に要する時間を短縮することが可能であり得るが、
図3に示される単一点火器CPOX反応器100の実施形態によって例示されるように、著しく低減された、すなわち、より速い、CPOX開始時間を達成するという目標に対する本明細書の解決策は、同じ目標を達成するためのより単純な設計(およびしたがって製造がより単純なもの)であることが容易に認識および理解されるであろう。
【0053】
図3に図示された例示の制御システム200は、本教示によるガス状燃料CPOX改質器、例えば
図2のCPOX改質器100および
図5A~
図5Dの改質器400の動作を制御するために提供されている。当業者が容易に認識するように、
図6の液体燃料CPOX改質器500の事前加熱コンポーネントおよび液体燃料気化コンポーネントの動作を考慮するための適切な修正により、制御システム200はまた、このタイプの改質器の動作を制御するために同様に使用され得る。
【0054】
図2に示すように、制御システム200は、ガス状燃料CPOX改質器202をそのスタートアップモード、定常状態モード、およびシャットダウンモードで管理するためのコントローラ201を含む。このコントローラは、プロセッサ上で動作するソフトウェアであってもよい。しかしながら、1つ以上のデジタル回路もしくはアナログ回路、またはそれらの組み合わせで実装されるコントローラを使用することは、本教示の範囲内である。
【0055】
制御システム200は、コントローラ201と通信状態にあり且つCPOX改質器202の選択された動作パラメータをモニターするように構成された複数のセンサアセンブリ、例えば、熱電対および関連する燃料圧力メータ204、熱電対および関連する空気圧メータ209、および改質器熱電対214を更に含む。
【0056】
センサアセンブリからの入力信号、ユーザ入力デバイスからのユーザコマンドおよび/またはプログラムされたサブルーチンおよびコマンドシーケンスに応答して、コントローラ201は、本教示に係る気体燃料CPOX改質器の動作を管理できる。より具体的には、コントローラ201は、ガス状燃料CPOX改質器の所望のセクションまたはコンポーネントの制御信号受信部と、それに特定の動作を指向するコマンド信号を送信することによって、通信できる。したがって、例えば、熱電対および関連する圧力メータ204および209からの流量入力信号および/または改質器熱電対214からの温度入力信号に応答して、コントローラ201は、例えば、ガス状燃料貯蔵タンク203から燃料ライン206を通ってコンジット207への燃料の流れを制御するために燃料流量調整弁205へ、コンジット207への空気の流れを制御し、CPOX改質器202内およびそれを通るガス状CPOX反応混合物の流れを起こすために遠心ブロワー208へ、点火器のオンオフ状態を制御するために点火器211へ、その機能を管理するためにバッテリー/バッテリー再充電器システム212へ、制御信号を送信できる。
【0057】
本明細書におけるセンサアセンブリ、制御信号受信デバイスおよび通信路は、任意の適切な構造のおよび当該技術分野で既知のものであり得る。センサアセンブリは、モニターされる動作パラメータに対する任意の適切なセンサデバイスを含むことができる。例えば、燃料流量は、任意の適切な流量計でモニターされ得、圧力は、任意の適切な圧力感知デバイスまたは圧力調整デバイスでモニターすることができる、等である。センサアセンブリはまた、必須ではないが、コントローラと通信状態にあるトランスデューサを含んでいてもよい。通信路は、通常、有線電気信号であるが、任意の他の適切な形態の通信路が使用されてもよい。
【0058】
図2において、通信路は、片頭または両頭の矢印として概略的に示されている。コントローラ201で終端する矢印は、測定された流量または測定された温度の値などの入力信号を概略的に示す。コントローラ201から延在する矢印は、矢印が終端するコンポーネントからの応答動作を指示するために送信される制御信号を模式的に表す。デュアルヘッド経路は、コントローラ201が、決定した応答アクションを提供するためにCPOX改質器202の対応するコンポーネントにコマンド信号を送信するだけでなく、CPOX改質器202、および燃料制御バルブ205およびブロワー208などの機械的ユニットからの動作入力、および、圧力メータ204および209ならびに熱電対214などのセンサアセンブリからの測定入力を受信することを、概略的に示す。
【0059】
図4は、ガス状燃料CPOX改質器、例えば、
図2の改質器100および
図5A~
図5Dの改質器400の動作を自動化するために制御システムのコントローラによって実行され得る例示の制御ルーチンのフローチャートを示す。このフローチャートは、コントローラによって一定間隔、例えば、10ミリ秒毎程度で実行され得る。
図4に示される制御論理は、動作のスタートアップモードおよび定常状態モードにおけるガス流およびCPOX反応温度の管理、ならびに改質器動作のシャットダウンモードのための手順の管理を含む幾つかの機能を実行する。
【0060】
本教示の更なる実施形態を代表する、
図5A~
図5Dに示される例示のガス状燃料CPOX改質器400およびそのコンポーネントの様々な図に示されるように、典型的には周囲温度での酸素含有ガスとしての空気は、コンジット404のインレット403を通して遠心ブロワー402によって事前設定された質量流量で導入される。コンジット404には、燃料ライン441および燃料インレット442を介してプロパンが導入される。プロパンおよび空気は、ガス状CPOX反応混合物を提供するためにコンジット404の混合ゾーン420において混合し始める。任意の適切な種類のミキサー、例えば、コンジット404の混合ゾーン420および/または螺旋状の溝を有する内壁表面内に配置された静的ミキサーが、備えられ得、それらが無い場合に混合ゾーン420に形成されるガス状CPOX反応混合物よりも、組成均一性の高いガス状CPOX反応混合物を提供する。
【0061】
オプションの静的ミキサーの通過および/または混合ゾーン420内に配置された螺旋溝との接触に続いて、ガス状CPOX反応混合物は、アウトレット425を通ってコンジット404から出て、燃料分配マニフォルド426に入る。マニフォルド426から、ガス状CPOX反応混合物がCPOX反応器ユニット408のインレット431に入り、CPOX反応ゾーン409に入り、そこでは、反応混合物は、水素リッチ一酸化炭素含有改質物を生成するために発熱ガス相CPOX反応を経る。スタートアップモードで、一つ以上の点火器435がCPOXを開始する。CPOXが自立した後に、例えば、反応ゾーンの温度が約250℃から約1100℃に達すると、点火器(単数または複数)435は、そこでは自立発熱CPOX反応を維持するための外部点火がもはや要求されないので、シャットオフされ得る。例えば、微細孔のまたはアルミニウムベースの耐火性タイプの断熱部410がCPOXコンポーネントからの熱損失を減少させるためにCPOX改質器400のこれらの部分を囲む。
【0062】
図5A~
図5Dは、改質器400の動作のスタートアップモード中にチャンバ436内に配置されおよび/またはそこを通って延在するCPOX反応器ユニット408の発熱CPOX反応ゾーン409内でCPOX反応を開始するために2つの点火器435(CPOX反応器ユニット408の各分離アレイにつき一つ)が使用される本教示の一実施形態を示す。
図5Cおよび
図5Dに示すように、CPOX反応器ユニット408は、熱的に隔離されたチャンバ436内に配置された管状CPOX反応器ユニットの2つの別々の対の平行列(具体的には、この数より多いまたは少ないCPOX反応器ユニットを含む列および/または並列以外の配置、例えば、鋸歯状のパターンが企図されるが、図示の実施形態では7つの反応器ユニット)に配置され、一対の列がコンジット404の一方の側を挟み、他のかかる一対の列がコンジット404の他方の側を挟む。CPOX反応管の一対の列の周囲は、熱的に隔離されたチャンバ436の開放スペース438と断熱部410との間の境界を示す。CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン409の少なくとも一部に対応するCPOX反応器ユニット408の壁の外表面437は、開口スペース438内に露出される。例えば、10ワットから80ワット以上に定格された電気抵抗タイプの点火器435は、チャンバ436の両端に配置され、そこでは、放射熱生成要素439がCPOX反応器ユニット408の外表面437に近接するが、そこから物理的に隔離状態に位置される。CPOX反応ゾーン409の温度をモニターし、且つ
図3に示される制御システム200に関連して記述されるように改質器制御入力を提供するために、熱電対440は、点火器435の反対側のチャンバ436の端部に配置される。点火器の動作によって、放射熱が一つ以上の隣接するCPOX反応器ユニットの壁にまたはそれを介して伝達され、それによって、CPOXがそのような反応器ユニットのCPOX反応ゾーン(単数または複数)内で開始される。次に、これらの隣接するCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン(単数または複数)から放射される放射熱は、
図5Cにおける波状矢印によって示されるようにアレイ内の残りのCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOXを開始できる。
【0063】
CPOX反応器ユニット408との直接の接触を回避する一つまたは多くとも数個の点火器(単数または複数)435の設置は、CPOX点火器システムに幾つかの利点を提供し、そのシステムでは、各CPOX反応器ユニットが、それ自体に物理的に取り付けられたまたは一体化された点火器を有する。動作不能の点火器の識別が問題である場合があり、点火器がその一部であるCPOX反応器ユニットに対する損傷および/またはアレイ中の他の反応器ユニットへの障害無しにその動作不能の点火器の除去および交換は困難である場合がある。従って、好適には、CPOX反応器ユニットの1列または一対の列の近くに配置されるが、その中の反応器ユニットとの物理的接触は避ける熱放射要素(例えば、
図5B、5Cおよび5Dに示されるCPOX改質器の実施形態に示されるように、CPOX反応器ユニットの2列の間に等距離に配置された、点火器の熱放射要素)を有する単一または多くとも数個の点火器により、故障または欠陥のある点火器のCPOX改質器400からの容易かつ単純な識別および摘出、ならびに動作する点火器とのその交換が、可能になる。
【0064】
CPOX反応器ユニット408のCPOX反応ゾーン409内でCPOX反応を開始するために2つの点火器が使用される
図5Cおよび5Dに示されるように、特に、二つのチャンバ間に顕著な熱連通がある場合、チャンバ436の一方の側にある点火器435と熱電対440の位置を、前記熱的に隔離されたチャンバの他方の側にある点火器435と熱電対440の位置に対して反転することが有利であり得る。そのような配置は、CPOX反応器ユニットの各別れたアレイのCPOX反応ゾーン内でのCPOXのより迅速な開始となることが観察された。しかしながら、チャンバ内で適切に寸法が決められ且つ配置されたCPOX反応器ユニットに関して、単一の点火器が、チャンバ内でCPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーン内でCPOXを始動するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0065】
当業者が容易に認識し且つ理解するように、CPOX反応器ユニットの断面形状、その数および寸法、およびそれらのCPOX反応器ユニットの幾何形状中心即ち図心から測定されたそれらの分離の距離は、特定のガス状燃料CPOX反応器に対する動作上のおよび機械的な性能使用に依存して決定される。実質的に均一な円形断面のCPOX反応器ユニット、例えば、
図4Cおよび
図4Dに示されるCPOX反応器ユニット408の場合、そのようなCPOX反応器ユニットの数、それらの長さ、それらの内径および外径(それらのガス透過可能壁の厚みを画定する)ガス透過可能壁は、とりわけ、CPOX改質器の水素生成能力によって決定され、一方、その水素生成能力は、タイプ、量(ガス透過可能壁内のCPOX触媒の装填および分配)、細孔容積(細孔サイズの関数)、細孔の主なタイプ(大部分が開いている、即ち、網状の、または大部分が閉じている、即ち、非網状の)、および細孔の形状(球状のまたは不揃いの)等の壁の多孔構造の特性(壁のガス透過性に影響を及ぼし、従ってCPOX反応に影響する特性)、CPOX反応混合物の容量的流量、CPOX温度、背圧等を含む幾つかのファクタの関数である。
【0066】
特定のガス状燃料CPOX改質器の望ましい機械的性能特性は、CPOX反応器ユニットの構成のために使用される材料の熱的且つ機械的特性、CPOX反応器ユニットの壁のガス透過可能構造体の細孔の容量と形態、反応器ユニットの寸法、特に、壁厚のようなファクタ、および関連するファクタに依存する。
【0067】
ガス状燃料CPOX改質器が適切に機能するために、ガス相CPOX反応ゾーンを囲む管状CPOX反応器ユニットの触媒的にアクティブである壁構造体のガス透過性特性は、ガス状改質可能燃料が自由にそのような壁構造体に入り且つそれを通って拡散して表面のCPOX触媒のみならず、もしあるならば、内部のCPOX触媒と良好に効果的な接触を行うことができるようであることが必要である。気化された改質可能燃料に対して限られたガス透過性を有するCPOX反応器ユニットの壁構造体は、ガス状改質可能燃料の水素リッチ改質物へのCPOX変換を著しく妨げるように制限された物質移動であり得ることに留意すべきである。対照的に、適切なガス透過性の触媒アクティブ反応器壁構造体は、ガス状改質可能燃料のCPOX変換および望ましい組成の水素リッチ改質物に対する選択性を促進する。
【0068】
本教示によって案内され且つ既知および従来の試験手順を使用して、当業者は、処理されるべき特定のガス状改質可能燃料に対して最適なガス透過性特性を示す触媒アクティブ壁構造を有するCPOX反応器ユニットを容易に構成できる。
【0069】
管状CPOX反応器ユニットのCPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体が製造され得る材料は、そのような壁構造体が高温且つCPOX反応の酸化力のある環境特性下で安定していることを可能とする材料である。従来および他の既知の耐火性金属、耐火性セラミックス、およびそれらの組合せは、CPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体の構築のために使用され得る。これらの材料の幾つか、例えば、ペロブスカイトは、また、部分酸化に対する触媒活性を有し、従って、CPOX反応ゾーンの触媒アクティブ壁構造体の製造のために有用であり得るのみならず、そのような構造体に対してCPOX触媒の一部またはそれの全てにも供給することができる。
【0070】
有用な耐火性金属として、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、モリブデン、ロジウム、タングステン、ニッケル、鉄等、それらの互いの組合せ、および/または他の金属および/または金属合金との組合せ等がある。耐火性セラミックスは、本目的のために有用でもある多くの耐火性金属および耐火性金属合金に比較して、それらが比較的に低コストであることに起因して、触媒活性壁構造体の構築にとって特に魅力的な材料のクラスである。そのようなセラミックスが既知および従来の細孔形成手順を使用して極めて再生可能な細孔タイプの管状ガス透過可能構造体に形成できる比較的容易さと、セラミックスの一般的に高度に満足のいく構造的/機械的特性(熱膨張係数、熱衝撃性を含む)および化学劣化に対する抵抗性により、それらの材料が特に有利な材料となる。CPOX反応ゾーン(先に述べたように、CPOX反応器ユニットの全体の壁構造体を含み得る)の構成のための適切な耐火性セラミックスは、例えば、ペロブスカイト、スピネル、マグネシア、セリア、安定化セリア、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニアのような安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、ランタナ安定化ジルコニアおよびイットリア安定化ジルコニア、ジルコニア安定化アルミナ、ピロコア、ブラウンミラライト、リン酸ジルコニウム、炭化ケイ素、イットリウムアルミニウムガーネット、アルミナ、αアルミナ、γアルミナ、βアルミナ、アルミニウムシリケート、コージェライト、MgAl2O4等を含み、それらの内の様々なものが米国特許第6,402,989号明細書および第7,070,752号明細書に開示されており、それの明細書の全ての内容は、参照によって本明細書に組み込まれ、且つ希土類アルミン酸塩および希土類ガラートを含み、それらの内の様々なものが米国特許第7,001,867号明細書および第7,888,278号明細書に開示されており、それの明細書の全ての内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0071】
一般的に、所与の設計のPOX改質器の全即ち全体の燃料変換能力は、その個別のCPOX反応器ユニットの全燃料変換能力である。互いに隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離は、改質器の動作の定常状態モードにおいて、反応器ユニットの温度が、予め決定された、即ち、事前設定された最大値を越えないようにされ、且つ互いに隣接するCPOX反応器ユニット間の最大距離は、その距離を超えると、一つ以上のCPOX反応器ユニット内の温度が改質器の動作の定常状態モードに対して意図された所定のまたは予め設定された最低値を下回る距離、である。ガイダンスとしての上記原則内では、隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離と最大距離は、ルーチンテスト方法を使用して所与の改質器設計に対して決定され得る。
【0072】
より具体的には、最大距離は、動作の定常状態モード中に、その距離を超えると、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイの温度が所定の最小アレイ温度値を下回る距離であり得る。本明細書で論じられるものを含む様々なファクタに依存して、動作の定常状態モード中に、互いに離間されたCPOX反応器ユニットのアレイの所定の最小アレイ温度値は、約550℃、約575℃、約600℃、約625℃、約650℃、約675℃、約700℃、約725℃、約750℃、約775℃、約800℃、約825℃、または約850℃であり得る。
【0073】
隣接するCPOX反応器ユニット間の最小距離は、その距離未満では、CPOX反応器ユニットのアウトレットでの温度が所定の最高温度よりも高くなる距離であり得る。所定の最大温度は、CPOX反応器ユニットのアウトレットと熱および流体連通状態にある燃料セルスタックのインレットによって許容できる温度、例えば、燃料セルスタックのインレットのシールが劣化されず且つ機能を維持する温度であり得る。本明細書で論じられるものを含む様々なファクタに依存して、CPOX反応器ユニットの所定の最大温度は、約775℃、約800℃、約825℃、約850℃、約875℃、約900℃、約925℃、約950℃、約975℃、または約1000℃であり得る。
【0074】
本教示は、今まで既知で従来のCPOX触媒(触媒系を含む)、触媒を細孔基板または支持体、特にCPOX反応器ユニットのガス透過可能壁に組み込む方法、制限するわけではないが、壁の特定のセクションに閉じ込められた触媒を含む触媒分布のパターン、反応器ユニットの長手に沿って増加されるおよび/または壁の内表面から外表面へ減少される触媒の装填、反応器ユニットの長手に沿って組成が変化するCPOX触媒、および同様の変型のいずれかの使用を熟考している。このように、例えば、CPOX反応ゾーンの始めからその終わりまでまたはその終わりの近くまでCPOX反応器ユニットの壁内における触媒装填の増加は、このゾーンにおいて一定のCPOX反応温度を維持するのに役立ち得る。
【0075】
本明細書で利用され得る多くの既知で従来のCPOX触媒としては、金属、金属合金、金属酸化物、混合金属酸化物、ペロブスカイト、パイロクロール、例えば、米国特許第5,149,156号明細書、第5,447,705号明細書、第6,379,586号明細書、第6,402,989号明細書、第6,458,334号明細書、第6,488,907号明細書、第6,702,960号明細書、第6,726,853号明細書、第6,878,667号明細書、第7,070,752号明細書、第7,090,826号明細書、第7,328,691号明細書、第7,585,810号明細書、第7,888,278号明細書、第8,062,800号明細書、および第8,241,600号明細書に開示される様々なものを含む、それらの混合物およびそれらの組合せがあり、これらの明細書の全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0076】
多数の高活性貴金属含有CPOX触媒が既知であり、且つそのようなものがここでは有用であるが、それは、一般的に、それらの高いコスト、高温で焼結した結果触媒活性の減少を受ける傾向、および硫黄による汚染への傾向に起因して他の既知のタイプのCPOX触媒よりも使用されない。
【0077】
ペロブスカイト触媒は、それらが、また、CPOX反応器ユニットの触媒活性壁構造体の構成に適するので、本教示において有用であるCPOX触媒のクラスである。ペロブスカイト触媒は、「A」と「B」が非常に異なるサイズの陽イオンであり、「X」は、両陽イオンに接合する陰イオン、一般的には、酸素である、構造ABX3によって特徴付けられる。適切なペロブスカイトCPOX触媒の例としては、LaNiO3、LaCoO3、LaCrO3、LaFeO3およびLaMnO3が挙げられる。
【0078】
ペロブスカイトのA部位変更は、一般的に、それらの熱安定性に影響を及ぼし、他方、B部位変更は、一般的に、それらの触媒活性に影響を及ぼす。ペロブスカイトは、それらのAおよび/またはB部位でドーピングを行うことで特定のCPOX反応状態に対して適合変更され得る。ドーピングによって、ペロブスカイト格子内の活性ドーパントの原子レベルの分散が生じ、それによって、それらの触媒性能における劣化を抑制する。また、ペロブスカイトは、CPOX改質の高温特性での硫黄に対する良好な許容範囲を示すことができる。CPOX触媒として有用なドープされたベロブスカイトの例は、La1-xCexFeO3、LaCr1-yRuyO3、La1-xSrxAl1-yRuyO3およびLa1-xSrxFeO3を含み、ここでは、xとyは、ドーパントの固溶限界とコストに依存して、0.01から0.5まで、例えば、0.05から0.2までの数である。
【0079】
改質器500の自動動作のための
図5に示す液体燃料CPOX改質器500および
図6に示す例示の制御ルーチンは、有益な米国特許出願第61/900,510号に開示された種類のものである。
【0080】
本教示を更に代表する
図6の例示の液体燃料CPOX改質器500に示されるように、酸素含有ガスとしての空気は、周囲温度で且つ事前設定された質量流量で、遠心ブロワー502によって、コンパクト設計が好ましい略U形状のコンジットセクションを含むコンジット504のインレット503を通して、導入される。周囲温度の空気は、例えば、10から80ワットまたは改質器500の燃料処理容量の設計された範囲に依存して更に大きく定格された、従来のまたはあるいは既知の電気抵抗タイプのものであり得る電気ヒーター506からの熱が供給される第1の加熱ゾーン505を通ることによって上昇された温度の事前設定された範囲内に、前記改質器のスタートアップモード動作中に最初に加熱される。電気抵抗ヒーターは、CPOX改質器構成および動作容量の比較的に広い範囲に対して望ましいレベルにコンジットに導入される周囲空気の温度を上昇させることができる。改質器500の動作の定常状態モード中に、電気ヒーター506は停止され得、コンジット504に導入された空気は、次に、例えば、
図5A~
図5Dのガス状燃料CPOX改質器400のCPOX反応器ユニット408に関連して上述された構造および構成物の細長い管状ガス透過可能CPOX反応器ユニット508のCPOX反応ゾーン509から回収された発熱の熱によって第2の加熱ゾーン507内で最初に加熱される。このように、コンジット504に導入された空気の温度は、周囲温度から、温度のある事前設定された上昇範囲内に増加され得、特定の温度は、様々な設計、即ち、当業者が容易に認識する構造的且つ動作上のファクタによって影響を受ける。
【0081】
図5A~
図5Dのガス状燃料CPOX改質器400の場合のように、断熱部510が液体燃料CPOX改質器500の熱放射部を囲み、そこからの熱損失を低減することが有利である。
【0082】
スタートアップモードにおいて第1の加熱ゾーン505を通るまたは定常状態モードにおいて第2の熱ゾーン507を通ることによって最初に加熱された空気の温度を上昇させるために、最初に加熱された空気がコンジット504内を下流に流れ続けると、その空気は、有利には、任意の第2の電気ヒーターユニット513からの熱が供給される任意の第3の加熱ゾーン512を通って流れる。任意の第2の電気ヒーターユニット513は、比較的に小さな範囲だけ、最初に加熱された空気の温度を増加することのみ要求されるので、それは、改質器の燃料気化システムおよび改質器の管状CPOX反応器ユニットの両方の機能に関して、改質器の正確で且つ迅速な熱管理に資する空気温度の典型的な小さな調整を行うことができる増分ヒーターとして機能し得る。
【0083】
上述され且つここでおよび自動車用ディーゼル燃料によって本教示の他の実施形態で例示されたもののいずれかのような液体改質可能燃料は、コンジット504内で終端する燃料ライン514を介して、液体燃料スプレッダーデバイス515、例えば、ウィック(図示)またはスプレーデバイスに導入される。
【0084】
流体を液体燃料CPOX改質器の通路とコンジットを通過させるための、例えば、燃料ライン514を通して液体燃料をコンジット504に導入するための任意の従来のまたは他の既知のポンプまたは等価のデバイス518が使用され得る。例えば、メータリングポンプ、ロータリポンプ、インペラーポンプ、ダイアフラムポンプ、ぜん動ポンプ、ジェローターのような能動変位ポンプ、ギアポンプ、圧電ポンプ、界面動電ポンプ、電気浸透流ポンプ、毛細管ポンプ等がこの目的のために使用され得る。いくつかの実施形態では、ポンプまたは等価なデバイス518は、燃料を間欠的にまたはパルス流のように送出できる。いくつかの実施形態では、ポンプまたはそれと同等なデバイスは、実質的に連続する流れとして燃料を送給できる。特定の実施形態では、ポンプまたはそれと等価なデバイスは、変化するCPOX改質器動作要求に応答して燃料の流量を迅速に調整できる。
【0085】
上述されたように、加圧された液体燃料は、ウイックによってまたは燃料インジェクター、加圧ノズル、アトマイザー(超音波タイプのものを含む)、噴霧器等の従来のまたは他の既知のスプレーデバイスのいずれかによって微細噴霧としてあるいは液滴形態でコンジット内に拡散され得る。
【0086】
スタートアップモードにおける第1の加熱ゾーン505内で電気ヒーター506によって生成される熱または定常状態モード中に第2の加熱ゾーン507内でCPOXから回収された発熱の熱は、好ましくは、任意の加熱ゾーン512内で任意の第2の電気ヒーター513によって生成された熱と組み合わされてコンジット504内に導入される液体燃料を気化するように調和して機能し且つ共に改質器の燃料気化器システムの主成分を構成する。
【0087】
任意の第2の電気ヒーター513は、その関連する任意の第3の加熱ゾーン内を通過する最初に加熱された周囲温度の空気の温度を増分的に上昇するように動作するのみならず、液体のコンジット504への導入に先立って液体燃料を加熱するために使用され得、それによって、燃料がコンジットに入ると、その燃料の気化が促進される。
【0088】
液体燃料が主コンジット504に入る前に液体燃料の加熱を行うために、燃料ライン514は、燃料ラインが主コンジット504のオプションの第3の加熱ゾーン512を通過するまたはそれに近接している、中を流れる燃料の滞留時間を延長するために長さが延長された燃料ラインのセクション519を有するコンジット504の壁を横断する。延長された燃料ラインセクションは、この目的のために様々な構成、例えば、第2の加熱ゾーンに対応するコンジットの外表面上にまたはそれに近接して配置された、コイル状または渦巻き状巻線(図示のように)もしくは一連の長手方向の折り曲げ、または第2の加熱ゾーンもしくはそれの近くのコンジットの内表面内に配置された任意の同様なそのような構成を取ることができる。その正確な構成および/または配置には関係なく、延長された燃料ラインセクション519は、中の燃料を温度のある予め設定された範囲内に上昇させるのに十分な熱の量を受け取るように、任意の第3の加熱ゾーン512に近接して、効果的に熱伝達する必要がある。このように、このゾーン内を流れる空気を更に加熱することに加えて、コンジット504の第3の加熱ゾーン512内の任意の第2の電気ヒーター513の熱出力の一部は、燃料ライン514の先端セクション519内に流れる燃料、即ち、ディーゼル燃料に伝達し、燃料ライン514の先端セクション19は、参照番号519によって示されるように、長く延ばされる、即ち延長され得、それによって、その温度を予め設定された範囲内に上昇させる。燃料ライン内の燃料に対して、温度のどのような範囲が選択されようと、もしベーパーロックおよびその結果の改質器500のシャットダウンが回避されるべき場合には、燃料の沸点(ディーゼルの場合、150℃から350℃まで)を越えないようにすべきである。
【0089】
コンジット504内であって、任意の第2の加熱ゾーン512と、関連する任意の第2の電気ヒーター513との下流で、且つ混合ゾーン520の上流に、液体燃料スプレッダー515は、配置される。チャンバ536内に配置される熱電対522および熱電対523は、CPOX反応器ユニット508のCPOX反応ゾーン509内で生じるCPOX改質の温度、および気化された燃料‐空気混合物の温度を夫々モニターするために、混合ゾーン520内に配置される。
【0090】
本明細書で記述される液体燃料気化器システムでは、ディーゼル燃料の温度をそのフラッシュポイント以上に上昇して、燃料の気化よりもむしろ燃料の拡散を引き起こすおよび/またはコーク形成を生じる燃料の熱分解を引き起こす危険性がある、加熱された表面(例えば、電気抵抗ヒーター要素の加熱された表面)とディーゼルが直接的に接触する機会が、無いかまたはほとんどない。このように、ディーゼル燃料の温度は、そのフラッシュポイント未満のレベルに且つスパッタリングやコーキングの顕著な出来事を生じること無く容易に且つ確実に維持され得る。
【0091】
混合ゾーン520内に配置された静的ミキサー521を通過することに続いて、ガス状CPOX反応混合物は、アウトレット525を通って主コンジット504を出て、マニフォルド526に入る。マニフォルド526から、ガス状CPOX反応混合物は、インレット531を通って管状CPOX反応器ユニット508に入る。ガス状CPOX反応混合物は、次に、CPOX反応ゾーン509に入り、そこでこの混合物は、水素リッチ一酸化炭素含有改質物を生成するためにガス相CPOX反応(単数または複数)を経る。スタートアップモードで、熱放射要素がチャンバ536内に配置された少なくとも一つの点火器535が起動され、CPOXを開始する。点火器535およびその動作は、ガス状燃料CPOX改質器400の点火器435およびその動作と本質的に同一である。CPOXが自立した後に、例えば、反応ゾーン509の温度が約250℃から約1100℃に達すると、点火器(単数または複数)535は、そこでは自立発熱CPOX反応を維持するために外部点火がもはや要求されないので、シャットオフされ得る。
【0092】
更に本教示に従って、スチームは、改質器がオートサーマルおよび/またはスチーム改質反応(単数または複数)を実行するように動作可能であるように改質器内に導入され得る。
【0093】
一実施形態では、前記改質器は、液体またはガス状改質可能燃料のCPOX改質を実行するために最初に動作され得、それによって、例えば、電気ヒーターによって供給される追加の熱と共にまたはその追加の熱無しで、スチーム発生器内でスチームを生成するために回収され得る発熱の熱を提供する。このように発生されたスチームは、改質器の内の一つ以上の位置で改質器に導入され得る。一つの適切な配置は、スチームが熱を提供して液体燃料を気化できる蒸発器である。例えば、
図6に示される改質器500におけるウイック515内に導入されたスチームは、ウイック表面の液体燃料を気化するための熱を提供することができると同時にそのような表面のクロッギングを排除するまたは抑制することを助ける。
【0094】
他の実施形態では、本教示に係る改質器は、燃料セルスタックに接続され得、そこでは、改質器からの水素リッチ改質物が電流に変換される。燃料セルスタックの動作および関連するアフターバーナーユニットを示す場所は、電気ヒーターによって供給される熱のような追加の熱と共にまたはその熱無しに、スチーム発生器の動作のために再び回収され且つ利用され得る廃熱源(単数または複数)を提供できる。スチーム発生器からのスチームは、次に、オートサーマル改質またはスチーム改質を支援するために、例えば、
図6の改質器500のウイック515を通して改質器に導入され得る。統合された改質器と燃料セルスタックのこの配置において、参照される廃熱源(単数または複数)は、オートサーマル改質プロセスおよびスチーム改質プロセスに含まれる吸熱反応(単数または複数)を起こすために必要な熱を供給できる。
【0095】
図8A~8Cは、本教示によるガス相化学反応器のスタートアップ手順を示す図である。図において、
図8A~8Cは、本教示によるガス相化学反応器のスタートアップ手順を示す図である。8A~8Cでは、低温改質管801は黒色で図示され、高温改質管802は白色で図示されている。図に示すように8A-8Cは、8列(4対)の改質管からなる反応器410を示し、各列-対に関連するヒーター439、すなわちヒーター439a、439b、439cおよび439dを有する。スタートアップの間、中央の改質管は、床内の全ての方向から熱のインプットを受け、改質管対の少なくとも1列が「冷たい」反応器壁にさらされないので、より速く加熱する傾向があり、すなわち、ヒーター439aおよび439dによって加熱される対は、ヒーター439bおよび439cによって加熱される対よりも遅く加熱される。ヒーター439a、439b、439cおよび439dは、ある反応器床温度を達成するように制御され、その後、反応器がその目標温度に達すると、各改質器へのパーセント電力が制限されて減少する。しかしながら、ヒーター439bおよび439cによって加熱される組は、ヒーター439aおよび439dによって加熱される組よりも速く所望の温度に到達する傾向がある。この加熱時間の差を補償するために、ヒーター439bおよび439cによって加熱される対への電力は、所望の反応器床温度に到達すると優先的に減少し、したがって、床の中央を過熱する(およびその後触媒を損傷する)傾向を制限し、一方でヒーター439aおよび439dによって加熱される対が所望の燃料処理温度に達することを確実にする(およびその後コークス形成を減少させて正しいスタック動作を確実にする)。
【0096】
動作中、スタートアッププロセスを開始する前は、改質管801は低温である。
図8Aに示すようにスタートアップ時には、点火器439a~439dはすべて、それらの完全化な加熱定格またはその付近に設定されている。
図8Bに示すように、より中央に位置する改質管802が点火および発熱し始めると、点火器439a~439dのすべての加熱定格が低下し、内側の点火器439bおよび439cは、外側の点火器439aおよび439dよりも大きな量で低下している。
図8Cに示すように、全ての改質管802が点火して発熱すると、全ての点火器439a~439dの加熱定格がさらに低下し、最終的にはオフ状態となる。
【0097】
また、点火器の形状は、開示された実施形態とは異なり得ることが理解される。上記の説明では、点火器は、直線的な形状を有するものとして説明および図示されているが、この直線的な形状に限定されるものではない。実際、全てが直線に沿って整列しているわけではなく、異なる角度でまたは異なる平面で延在し得る改質管の組に沿って延在するように、点火器は、任意の数の構成で形状を形成され得る。
【0098】
要約すると、本教示の送出システムは、触媒部分酸化(「CPOX」)改質のような部分酸化(「POX」)改質、スチーム改質、およびオートサーマル(「AT」)改質を含む改質反応を実行するための適切な反応物を送出することができることが理解されるべきである。液体改質可能燃料のような液体反応物および水は、送出システムの「液体改質可能燃料」送出コンポーネント、コンジット、およびアセンブリからならびにそれらを通して送出され得る。ガス状改質可能燃料のようなガス状反応物、スチーム、および空気のような酸素含有ガスは、送出システムの「ガス状改質可能燃料」送出コンポーネント、コンジット、およびアセンブリからおよびそれらを通して送出され得る。スチーム、および酸素含有ガスのような特定のガス状反応物は、本教示の送出システムの周りへのまたはそれに続くコンポーネントおよびアセンブリからおよびそれらを通して送出され得、例えば、酸素含有ガスは、例えば、改質に先立って、液体改質可能燃料および/または気化された液体改質可能燃料と混合するために、気化器、改質器、および燃料セルユニットまたはシステムの燃料セルスタックの内の少なくとも一つと独立して動作可能な流体連通状態にある酸素含有ガス源から送出され得る。
【0099】
本教示は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態の実施形態を包含する。従って、前述の実施形態は、本明細書で記述された本教示を制限するのではなくその例証となる全てに関して考察されるべきである。このように、本発明の範囲は、前述の記載によってではなくて添付の特許請求の範囲によって指摘され、特許請求の範囲の等価の意味と範囲内で生じる全ての変化は、特許請求の範囲内に包含されることが意図される。