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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230727BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019139675
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021019562
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】田尻 哲也
【審査官】河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037163(JP,A)
【文献】特開2014-064547(JP,A)
【文献】特開2016-019492(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0001258(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A47J 42/00-44/02
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯が貯留される貯留部、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段、前記搬送手段から送られた米飯を解しながら落下させる解し手段、容器に供給される米飯の重量を設定する重量設定部および容器に供給される米飯の盛付形状を設定する盛付形状設定部を備え、容器載置部に載置された容器に米飯を落下供給する本体部と、
前記本体部から落下する米飯の経路を開閉可能に前記本体部に載置された開閉カップと、
前記開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測する第1の計量手段と、
前記容器載置部に載置された容器に蓄積される米飯の重量を計測する第2の計量手段と、
前記盛付形状設定部で設定された盛付形状となるように、前記重量設定部で設定された重量の米飯を容器に供給する制御を実行する制御手段と、を有し、
前記盛付形状設定部では、中央部が窪んだ第1の盛付形状、表面が平らになった第2の盛付形状、中央部が相対的に小さく盛り上がった第3の盛付形状、および中央部が相対的に大きく盛り上がった第4の盛付形状が設定可能とされ、
前記制御手段は、前記第1の盛付形状では前記第1の計量手段のみで計量し、前記第2の盛付形状では前記第2の計量手段で計量した後に前記第1の計量手段で計量し、前記第3の盛付形状では前記第1の計量手段で計量した後に前記第2の計量手段で計量し、前記第4の盛付形状では前記第2の計量手段のみで計量して、米飯を容器に供給する制御を実行する、
ことを特徴とする米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯を容器に供給する米飯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯を丼や弁当箱等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、ホッパ(貯留部)内の米飯を計量することにより、一定量の米飯を容器に自動的に供給する装置である。
【0003】
米飯供給装置では、米飯の供給重量が割り当てられた複数の盛付ボタン(重量設定部)が並列的に配置されている。例えば、装置前面に複数の盛付ボタンが配置され、相互に異なる米飯重量が各ボタンに割り当てられている。
【0004】
このような米飯供給装置において、装置の所定位置に容器を載置した後、希望する重量に対応した盛付ボタンを押下すると、ホッパ内の米飯が所定量ずつ搬送されて解し落下され、ロードセル(計量手段)で計量された設定重量の米飯が容器に落下供給される。
【0005】
なお、米飯を容器に供給する米飯供給装置としては、例えば、特許文献1(特開2018-186748号公報)や特許文献2(特開2016-019492号公報)に記載されたものが知られている。特許文献1では、食材の重量指定を行ってから、迅速に、容器に所定量の食材を供給するための技術が開示されている。また、特許文献2では、精度良く計量した食材を効率よく成形型に投入するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-186748号公報
【文献】特開2016-019492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、米飯の計量機構としては、米飯の落下経路上に設置された開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる上計量機構と、載置された容器に蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる下計量機構とがある。
【0008】
そして、上計量機構の場合には、設定重量の米飯が開閉カップから一斉に落下するため、特にお椀型の容器に盛り付けた際には中央部が窪んだ形状になってしまい、山なりの形状に盛りつけることが困難である。
【0009】
一方、下計量機構の場合には、米飯が容器のほぼ一点に落下して徐々に蓄積されることから、中央部が大きく盛り上がった山なりの形状に盛り付けられることになる。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、米飯を所望の形状で容器に盛り付けることのできる米飯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯が貯留される貯留部、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段、前記搬送手段から送られた米飯を解しながら落下させる解し手段、容器に供給される米飯の重量を設定する重量設定部および容器に供給される米飯の盛付形状を設定する盛付形状設定部を備え、容器載置部に載置された容器に米飯を落下供給する本体部と、前記本体部から落下する米飯の経路を開閉可能に前記本体部に載置された開閉カップと、前記開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測する第1の計量手段と、前記容器載置部に載置された容器に蓄積される米飯の重量を計測する第2の計量手段と、前記盛付形状設定部で設定された盛付形状となるように、前記重量設定部で設定された重量の米飯を容器に供給する制御を実行する制御手段と、を有し、前記盛付形状設定部では、中央部が窪んだ第1の盛付形状、表面が平らになった第2の盛付形状、中央部が相対的に小さく盛り上がった第3の盛付形状、および中央部が相対的に大きく盛り上がった第4の盛付形状が設定可能とされ、前記制御手段は、前記第1の盛付形状では前記第1の計量手段のみで計量し、前記第2の盛付形状では前記第2の計量手段で計量した後に前記第1の計量手段で計量し、前記第3の盛付形状では前記第1の計量手段で計量した後に前記第2の計量手段で計量し、前記第4の盛付形状では前記第2の計量手段のみで計量して、米飯を容器に供給する制御を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開閉カップに蓄積される米飯の重量を計測する第1の計量手段、および容器載置部に載置された容器に蓄積される米飯の重量を計測する第2の計量手段が設けられており、制御部では、これらの計量手段を選択的に用いることによって、設定重量の米飯を、盛付形状設定部で設定された盛付形状となるように容器に供給しているので、米飯を所望の形状で容器に盛り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図である。
図2図1の米飯供給装置の断面図である。
図3】本実施の形態の米飯供給装置において、上計量機構である第1のロードセルのみを用いた米飯の盛付形状を示す説明図である。
図4】本実施の形態の米飯供給装置において、下計量機構である第2のロードセルのみを用いた米飯の盛付形状を示す説明図である。
図5】本実施の形態の米飯供給装置において、下計量機構である第2のロードセルを用いた後に上計量機構である第1のロードセルを用いた米飯の盛付形状を示す説明図である。
図6】本実施の形態の米飯供給装置において、上計量機構である第1のロードセルを用いた後に下計量機構である第2のロードセルを用いた米飯の盛付形状を示す説明図である。
図7】本実施の形態の米飯供給装置における制御系のブロック図である。
図8】本実施の形態の米飯供給装置における米飯の供給動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図、図2図1の米飯供給装置の断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10、背面板11の両側に位置する側面板12を備えており、図2に示す上部が開口13となった本体部1を有している。また、本体部1には、背面板11の上端に蝶番(図示せず)を介して連結された蓋14が備えられており、当該蓋14により開口13が開閉されるようになっている。
【0020】
図示するように、本体部1の正面板10には、表示部15および盛付ボタン(重量設定部・盛付形状設定部)16が備えられている。表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。
【0021】
盛付ボタン16は、容器Sに供給される米飯R(図3図6)の重量および容器Sに供給される米飯Rの盛付形状を設定するためのボタンであり、各ボタンには米飯重量(容器Sに盛り付けられる米飯の重量)および盛付形状(容器Sに供給される米飯Rの盛付形状)がワンセットになって登録されている。本実施の形態において、7つの盛付ボタン16が配置されており、例えば100g~280gまで30g刻みの米飯重量と、各米飯重量に応じた4種類の盛付形状が各盛付ボタン16に割り当てられている。
【0022】
ここで、4種類の盛付形状とは、例えば中央部が窪んだ盛付形状(第1の盛付形状)、表面が平らになった盛付形状(第2の盛付形状)、中央部が相対的に小さく盛り上がった盛付形状(第3の盛付形状)、および中央部が相対的に大きく盛り上がった盛付形状(第4の盛付形状)である。そして、これらの盛付形状が米飯重量とセットになっており、例えば米飯重量100g、130gと第1の盛付形状とが、米飯重量160g、190gと第2の盛付形状とが、米飯重量220g、250gと第3の盛付形状とが、米飯重量280gと第4の盛付形状とが、それぞれセットになっている。
【0023】
但し、盛付ボタン16の数や各盛付ボタン16に割り当てられる米飯重量の値および盛付形状は一例であり、これらに限定されるものではない。さらに、米飯重量や盛付形状の設定は、ボタン式ではなく、タッチパネル式などであってもよい。また、米飯Rの盛付形状の詳細については後述する。
【0024】
なお、盛付ボタン16を押下して装置の動作が開始すると、後述する制御部(制御手段)30によって、搬送スクリュ(搬送手段)23による米飯Rの搬送動作、搬送スクリュ23に搬送された米飯Rの解しローラ(解し手段)24による解し落下動作、解しローラ24から落下した米飯Rを蓄積したり容器Sに供給するための開閉カップ25の開閉動作、並びに開閉カップ25に蓄積される米飯Rのロードセル(第1の計量手段)41による計量動作、および容器Sに直接蓄積される米飯Rのロードセル(第2の計量手段)41bによる計量動作の制御が行われる。
【0025】
正面板10の下方には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部空間17が形成されている。この凹部空間17は米飯Rを盛り付けるときの容器Sを収容するに十分な空間となっており、その上方から米飯Rが落下して容器Sに供給される。
【0026】
図2に示すように、本体部1の内部には、相互に並列に配置され、シャフトの周りに螺旋状に形成された2本の搬送スクリュ(搬送手段)23を備えて米飯Rを貯留するホッパ(貯留部)22と、搬送スクリュ23の回転によりホッパ22から搬送された米飯Rを解しながら落下させるドラム型で外周に多数の爪24aが設けられた解しローラ(解し手段)24が設けられている。さらに、本体部1における解しローラ24の直下には、当該解しローラ24から落下する米飯Rの重量を計測するために一時的に蓄積する開閉カップ25が取り付けられている。
【0027】
解しローラ24の回転軸は搬送スクリュ23の回転軸と直交するような位置関係になっている。これにより、ホッパ22に貯留された米飯Rは、ホッパ22に設けられた搬送スクリュ23の回転により解しローラ24へと搬送される。そして、解しローラ24に搬送された米飯Rは、当該解しローラ24の回転に伴う爪24aの働きにより、解されながら落下排出される。
【0028】
なお、搬送スクリュ23の上方には、当該搬送スクリュ23によって解しローラ24に余剰搬送された米飯Rを戻す(搬送スクリュ23と逆方向に搬送する)ためのリバーススクリュ26が設置されている。
【0029】
開閉カップ25は、前述した解しローラ24によって落下する米飯Rの経路上に位置している。この開閉カップ25は、米飯Rが蓄積可能に下方に膨らんだ形状となっており、下方に向けて開閉可能になった一対のカップ片で形成されている。そして、後述する制御部30による制御下において、米飯Rを蓄積して重量を計測する際には閉鎖位置になり、米飯Rの重量計測が完了して蓄積された米飯Rを容器Sに落下供給する際には開放位置になることで、米飯Rの計量動作と米飯Rの容器Sへの供給動作とが行われる。
【0030】
図1および図2に示すように、開閉カップ25の真下に位置して、椀や弁当箱等の容器Sが載置される容器載置部40が設けられている。この容器載置部40は、容器Sが確実に所定位置に載置されるように、段差を介して周囲よりも低く形成されている。また、開閉カップ25を支持するようにして第1のロードセル(第1の計量手段)41aが設けられ(上計量機構)、容器載置部40の下方には、片持ち構造となった第2のロードセル(第2の計量手段)41bが設置されている(下計量機構)。なお、ロードセル41a,41bは、検出素子として例えばひずみゲージが用いられ、荷重によるひずみを電気信号に変換する荷重変換器である。
【0031】
上計量機構では、閉鎖位置になっている開閉カップ25に蓄積される米飯Rの計量を第1のロードセル41aで行うものであり、開閉カップ25が開放位置になったときに容器載置部40に載置された容器Sに米飯Rがまとめて落下供給される。また、下計量機構では、開放位置になっている開閉カップ25を通り抜けて解しローラ24から直接容器Sに蓄積される米飯Rの計量を第2のロードセル41bで行うものであり、米飯Rは徐々に容器Sに落下供給される。
【0032】
そして、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、上計量機構のみを用いた米飯Rの計量・供給、下計量機構のみを用いた米飯Rの計量・供給、および上計量機構と下計量機構とを併用した米飯Rの計量・供給が行えるようになっている。
【0033】
ここで、容器Sに盛り付けられる米飯の形状について、図3図6を用いて説明する。図3は上計量機構である第1のロードセルのみを用いた米飯の盛付形状を示す説明図、図4は下計量機構である第2のロードセルのみを用いた米飯の盛付形状を示す説明図、図5は下計量機構である第2のロードセルを用いた後に上計量機構である第1のロードセルを用いた米飯の盛付形状を示す説明図、図6は上計量機構である第1のロードセルを用いた後に下計量機構である第2のロードセルを用いた米飯の盛付形状を示す説明図である。
【0034】
前述のように、盛付ボタン16には、中央部が窪んだ第1の盛付形状、表面が平らになった第2の盛付形状、中央部が相対的に小さく盛り上がった第3の盛付形状、および中央部が相対的に大きく盛り上がった第4の盛付形状の4種類の盛付形状が割り当てられている。
【0035】
さて、上計量機構である第1のロードセル41aのみを用いた場合には、閉鎖位置になっている開閉カップ25に目標重量の米飯R1が蓄積されると、当該開閉カップ25が開放位置になって米飯R1が一斉に落下する。そのため、容器Sにおける米飯R1の盛付形状は、図3に示すように、中央部が窪んだ形状になる(第1の盛付形状)。なお、この場合、米飯R1がまとめて容器に落下されるので、落下衝撃で米飯密度が高くなり、ふんわりとした食感が相対的に乏しくなってしまう。但し、米飯R1を予め開閉カップ25に計量して蓄積しておくことができるので、容器Sに素早く米飯R1を盛り付けことができる。
【0036】
また、下計量機構である第2のロードセル41bのみを用いた場合には、解しローラ24で解された米飯R2が直接(開閉カップ25に一旦蓄積されることなく)容器Sのほぼ一点に落下して徐々に蓄積される。そのため、容器Sにおける米飯R2の盛付形状は、図4に示すように、中央部が相対的に大きく盛り上がった山なりの形状になる(第4の盛付形状)。なお、この場合、米飯R2が徐々に蓄積されて米飯密度が低くなることから、ふんわりとした食感が得られる。
【0037】
さらに、最初に下計量機構である第2のロードセル41bを用いて米飯R2を直接容器Sに供給し、その後上計量機構である第1のロードセル41aを用いて米飯R1を開閉カップ25から容器Sに供給した場合には、容器Sには、最初に第4の盛付形状が反映されて、中央部が盛り上がった山なりの形状に米飯R2が盛り付けられ、その上に、第1の盛付形状が反映されて、中央部が薄く、周辺部が厚く米飯R1が盛り付けられる。そのため、容器Sにおける米飯Rの盛付形状は、図5に示すように、表面が平らになった形状になる(第2の盛付形状)。
【0038】
そして、最初に上計量機構である第1のロードセル41aを用いて米飯R1を開閉カップ25から容器Sに供給し、その後下計量機構である第2のロードセル41bを用いて米飯R2を直接容器Sに供給した場合には、容器Sには、最初に第1の盛付形状が反映されて、中央部が窪んだ形状に米飯R1が盛り付けられ、その上に、第4の盛付形状が反映されて、中央部が盛り上がった山なりの形状に米飯R2が盛り付けられる。そのため、容器Sにおける米飯Rの盛付形状は、図6に示すように、中央部が相対的に小さく盛り上がった形状になる(第3の盛付形状)。
【0039】
なお、本実施の形態において、第2の盛付形状および第3の盛付形状では、最初に盛り付けられる米飯Rの重量が設定重量の約7割、後に盛り付けられる米飯Rの重量が設定重量の約3割となっている。これは、本実施の形態において用いられた形状の容器Sに米飯Rを落下供給した場合、当該重量配分にすると、表面が平らになった盛付形状(第2の盛付形状)、あるいは中央部が相対的に小さく盛り上がった盛付形状(第3の盛付形状)になるからである。したがって、容器Sの形状によっては、本実施の形態とは異なる重量配分としたときに第2の盛付形状あるいは第3の盛付形状になる。
【0040】
なお、重量配分やこれによる盛付形状は自由に設定することができ、本実施の形態に限定されるものではない。また、重量配分の設定が調整可能となっていてもよい。
【0041】
以上のような構成を有する米飯供給装置Aのブロック図を図7に示す。
【0042】
図示するように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、装置の動作制御を行うマイクロコンピュータなどで構成される制御部30を備えており、前述した表示部15、盛付ボタン16、第1のロードセル41a、第2のロードセル41bの他に、搬送スクリュ23を回転駆動するための搬送用モータM1、リバーススクリュ26を回転駆動するためのリバース用モータM2、解しローラ24を回転駆動するための解し用モータM3、開閉カップ25を開閉させるためのカップ用モータM4などを備えている。
【0043】
次に、本実施の形態の米飯供給装置Aにおける米飯Rの供給動作について説明する。ここで、図8は本実施の形態の米飯供給装置における米飯の供給動作を示すフローチャートである。
【0044】
先ず、炊き上がった米飯Rをホッパ22に投入して、蓋14を閉める。次に、容器載置部40に容器Sを載置し、容器Sに供給される米飯Rを所望の重量に設定するために、7つの盛付ボタン16の何れかを押下する(ステップS1)。この操作により、容器Sに盛り付けられる米飯Rの重量と形状とが設定される。
【0045】
ステップS1において第1の盛付形状がプリセットされた盛付ボタン16が押下されたならば、上計量機構である第1のロードセル41aを用いて設定重量の全量の米飯R1が計量されて開閉カップ25から容器Sに供給される(ステップS2)。これにより、中央部が窪んだ形状に米飯R1が盛り付けられる(図3参照)。
【0046】
ステップS1において第2の盛付形状がプリセットされた盛付ボタン16が押下されたならば、先ず、下計量機構である第2のロードセル41bを用いて設定重量の7割の米飯R2が計量されて直接容器Sに供給される(ステップS3)。次に、上計量機構である第1のロードセル41aを用いて設定重量の3割の米飯R1が計量されて開閉カップ25から容器Sに供給される(ステップS4)。これにより、表面が平らになった形状に米飯Rが盛り付けられる(図5参照)。
【0047】
ステップS1において第3の盛付形状がプリセットされた盛付ボタン16が押下されたならば、先ず、上計量機構である第1のロードセル41aを用いて設定重量の7割の米飯R1が計量されて開閉カップ25から容器Sに供給される(ステップS5)。次に、下計量機構である第2のロードセル41bを用いて設定重量の3割の米飯R2が計量されて直接容器Sに供給される(ステップS6)。これにより、中央部が相対的に小さく盛り上がった形状に米飯Rが盛り付けられる(図6参照)。
【0048】
そして、ステップS1において第4の盛付形状がプリセットされた盛付ボタン16が押下されたならば、下計量機構である第2のロードセル41bを用いて設定重量の全量の米飯R2が計量されて直接容器Sに供給される(ステップS7)。これにより、中央部が相対的に大きく盛り上がった形状に米飯R2が盛り付けられる(図4参照)。
【0049】
このように、本実施の形態の米飯供給装置Aによれば、開閉カップ25に蓄積される米飯Rの重量を計測する第1のロードセル41a、および容器載置部40に載置された容器Sに蓄積される米飯Rの重量を計測する第2のロードセル41bが設けられており、制御部30では、これらのロードセル41a,41bを選択的に用いることによって、盛付ボタン16で設定された重量および盛付形状の米飯Rを容器Sに供給しているので、米飯Rを所望の重量および形状で容器Sに盛り付けることが可能になる。
【0050】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0051】
例えば、本実施の形態では、各ロードセル41a,41bのみを用いての米飯Rの計量・供給と、第1のロードセル41aおよび第2のロードセル41bを選択的に用いての米飯Rの計量・供給とが行われているが、各ロードセル41a,41bのみを用いることは行われてなくてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、第1のロードセル41aと第2のロードセル41bとが1回ずつ選択的に用いられているが、これに限定されるものではない。すなわち、2回ずつ以上用いられていてもよく、一方を1回、他方を2回など、異なる回数用いてもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、盛付ボタン16は、容器Sに供給される米飯Rの重量および容器Sに供給される米飯Rの盛付形状ワンセットになって登録されているが、これらを別々にして、米版重量を設定するボタンおよび米飯の盛付形状を設定するボタンを設けるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態において、本体部1は、米飯Rが貯留されるホッパ22、ホッパ22内の米飯Rを搬送する搬送スクリュ23、および搬送スクリュ23から送られた米飯Rを解しながら落下させる解しローラ24が備えられているが、これら以外の部材により本体部1を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の米飯供給装置により米飯が盛り付けられる容器としては丼に限定されるものではなく、例えばトレイ状の弁当箱やカレー皿など、様々な容器が適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 本体部
16 盛付ボタン(重量設定部・盛付形状設定部)
22 ホッパ(貯留部)
23 搬送スクリュ(搬送手段)
24 解しローラ(解し手段)
25 開閉カップ
30 制御部(制御手段)
40 容器載置部
41a 第1のロードセル(第1の計量手段)
41b 第2のロードセル(第2の計量手段)
A 米飯供給装置
S 容器
R,R1,R2 米飯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8