(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】骨髄増殖性障害を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20230727BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230727BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230727BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230727BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230727BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230727BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K31/519
A61K47/68
A61P7/00
A61P19/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K16/28
C07K19/00 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
(21)【出願番号】P 2018505460
(86)(22)【出願日】2016-08-04
(86)【国際出願番号】 US2016045631
(87)【国際公開番号】W WO2017024171
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-08-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509125475
【氏名又は名称】アクセルロン ファーマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】クマール, ラビンドラ
(72)【発明者】
【氏名】スラガニ, ナガ ベンカタ サイ ラジャセクハル
【合議体】
【審判長】冨永 みどり
【審判官】岡崎 美穂
【審判官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/027082(WO,A1)
【文献】Experimental Hematology,2007年,Vol.35, No.1,p.64-74,doi: 10.1016/j.exphem.2006.08.016
【文献】北中 明 ほか,骨髄増殖性腫瘍の分子機構と新規薬物療法,臨床血液,2013年,第54巻,第10号,p.1697-1703
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K45/00-45/08
A61K38/00-38/58
A61K31/00-31/80
A61K 9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61K39/00-39/44
PubMed
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤヌスキナーゼ関連障害の処置を必要とする患者においてヤヌスキナーゼ関連障害の処置において使用するための組成物であって、有効量の
トランスフォーミング増殖因子βII型受容体(TβRII
)アンタゴニストを含み、前記TβRIIアンタゴニストが
、以下:
(a)配列番号13
のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列
からなるTβRI
Iポリペプチド
;
(b)リンカー;および
(c)免疫グロブリンFcドメイン
を含むTβRII-Fc融合タンパク質であり、
前記ヤヌスキナーゼ関連障害がJAK2V617F変異に起因した骨髄線維症であり、前記
骨髄線維症が、同じ年齢および性別の健常な患者と比較して、JAK2の上昇したキナーゼ活性と関連し、前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている
か、またはヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがあ
り、前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブまたはフェドラチニブ(SAR302503)である、組成物。
【請求項2】
前記組成物がヤヌスキナーゼインヒビターと組み合わせて使用されるためのものである、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記TβRII
-Fc融合タンパク質が、TGFβ1およびTGFβ3を阻害する、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記TβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号103のアミノ酸配列を含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記
骨髄線維症が、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板血症後骨髄線維症
である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置に対して不耐性または抵抗性である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、請求項
6に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記TβRIIポリペプチドアミノ酸配列が、配列番号13と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記TβRIIポリペプチドアミノ酸配列が、配列番号13のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記
Fcドメインが、配列番号19、20および21の何れか一つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含
む、請求項
8または9に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
ヤヌスキナーゼ関連障害の処置を必要とする患者においてヤヌスキナーゼ関連障害の処置において使用するための薬剤の組み合わせ物であって、有効量のTβRII
アンタゴニストと組み合わせた有効量のルキソリチニブを含み、前記TβRII
アンタゴニストが
、以下:
(a)配列番号13
のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列
からなるTβRIIポリペプチド;
(b)リンカー;および
(c)免疫グロブリンFcドメイン
を含むTβRII-Fc融合タンパク質であり、
前記ヤヌスキナーゼ関連障害がJAK2V617F変異に起因した骨髄線維症であり、前記
骨髄線維症が、同じ年齢および性別の健常な患者と比較して、JAK2の上昇したキナーゼ活性と関連し、前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている
か、またはヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがあ
り、前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブまたはフェドラチニブ(SAR302503)である、組み合わせ物。
【請求項12】
前記TβRII
-Fc融合タンパク質が、TGFβ1およびTGFβ3を阻害する、請求項1
1に記載の使用のための組み合わせ物。
【請求項13】
前記TβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号103のアミノ酸配列を含む、請求項1
1または12に記載の使用のための組み合わせ物。
【請求項14】
前記患者が、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板血症後骨髄線維症を有する、請求項1
1から
13のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物。
【請求項15】
前記TβRIIポリペプチドアミノ酸配列が、配列番号13と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列からなる、請求項1
1に記載の使用のための組み合わせ物。
【請求項16】
前記TβRIIポリペプチドアミノ酸配列が、配列番号13のアミノ酸配列からなる、請求項1
1に記載の使用のための組み合わせ物。
【請求項17】
前記TβRIIポリペプチドが、配列番号19、20および21の何れか一つと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項
15または
16に記載の使用のための組み合わせ物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年8月4日に出願された米国仮出願第62/201,058号おとび2015年12月4日に出願された米国仮出願第62/261,603号に由来する優先権の利益を主張する、前記出願のぞれぞれの明細書は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨髄増殖性障害(MPD)または新生物(MPN)は、血球(血小板、白血球および赤血球)の一部または全てにおける慢性的な増加を一般に特徴とする一群の状態である[Talaricoら(1998年)Patient Care 30巻:37~57頁;Yavorkovskyら(2001年)J Clin Oncol 19巻:3790~3792頁;およびCampbellら(2006年)N Engl J Med 355巻:2452~2466頁]。この群の血液障害には、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれる。PVは、3つ全ての型の血球の増加した産生を特徴とするが、ETは、血小板の上昇として現れる。骨髄線維症(MF)は、赤血球、白血球および/または血小板の異常な産生の結果として、骨髄において線維性(瘢痕様)組織が発達する疾患である。CMLは、骨髄における優勢に骨髄系の細胞の増加した調節されない成長、および末梢血におけるこれらの細胞の蓄積を特徴とする。
【0003】
MPDは、造血幹細胞における形質転換から生じると一般に考えられている。実際、CMLは、フィラデルフィア転座(Ph)から最も一般的に生じる、その原因分子病変であるBCR-ABL融合遺伝子によって現在規定されている。したがって、CMLは、BCR-ABL陽性(+)骨髄増殖性障害として特徴付けられる。この規定された分子的欠陥の発見は、CMLを処置するための薬物メシル酸イマチニブ(Gleevec;Novartis、Basel、Switzerland)の開発をもたらしている[Drukerら(2001年)N Engl J Med 344巻:1031~1037頁]。
【0004】
他の3種の骨髄増殖性新生物(PV、ETおよびMF)は、BCR-ABL陰性骨髄増殖性障害として特徴付けられる。最近、いくつかのグループが、PVを有する患者のおよそ90%、ETを有する患者のおよそ50%、およびMFを有する患者のおよそ50~60%において、チロシンキナーゼJAK2の機能獲得型変異(JAK2V617F)を、主要な分子的欠陥として同定した[Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054~1061頁;Jamesら(2005年)Nature 434巻:1144~1148頁;Kralovics(2005年)N. Engl. J. Med.352巻:1770~1790頁]。興味深いことに、最近の研究により、入院患者から収集された血液試料のほぼ1%が、JAK2V617F変異について試験陽性であることが実証された[Xuら(2007年)Blood 109巻:339~342頁]。これらのJAKV617F陽性患者のほとんどは、MPDの診断基準を満たしていないが、JAKV617F陰性患者よりも高い比率で、血栓症、冠動脈性心疾患、動脈硬化症、脳虚血および脳梗塞を含む血管性疾患を発病した。これらのデータは、MPDおよびMPD前状態が、元々見込まれたものよりも著明な公衆衛生上の問題を提示し得ることを示唆し、JAK2V617Fならびに他のヤヌスキナーゼ変異の病理的重要性をさらに強調している。
同種間造血幹細胞移植は、BCR-ABL陰性MPDのための唯一の公知の治療方法である[Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁]。しかし、幹細胞処置関連の死亡率は高く、ごく一部の患者だけが移植に適格である。JAKインヒビターの開発および使用は、顕著な治療上の進歩を示すが、BCR-ABL陰性MPDの処置におけるそれらの使用には、明らかな制約が存在する。特に、JAKインヒビターは、骨髄線維症患者において脾腫を低減させるのに有用なようである;しかし、この疾患に対するそれらの効果は、他の点では概して対症的である[Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁]。特に、JAKインヒビターは、例えば、血球減少症、輸血依存、加速したまたは急性転化期の疾患、および線維症を含む疾患の多くの顕在化(合併症)に対して、ほとんど~全く効果を有さない。さらに、JAKインヒビターは、一部の患者において、血小板減少症、貧血および好中球減少症を促進する、または悪化させることが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Talaricoら(1998年)Patient Care 30巻:37~57頁
【文献】Yavorkovskyら(2001年)J Clin Oncol 19巻:3790~3792頁;およびCampbellら(2006年)N Engl J Med 355巻:2452~2466頁
【文献】Drukerら(2001年)N Engl J Med 344巻:1031~1037頁
【文献】Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054~1061頁
【文献】Jamesら(2005年)Nature 434巻:1144~1148頁;Kralovics(2005年)N. Engl. J. Med.352巻:1770~1790頁
【文献】Xuら(2007年)Blood 109巻:339~342頁
【文献】Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、MPDおよびヤヌスキナーゼ関連障害を処置する有効な治療の高い必要性が満たされていない。したがって、MPDもしくはヤヌスキナーゼ関連障害またはMPDもしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法を提供することが、本開示の目的である。
【0007】
一部において、本開示は、TGFβ II型受容体(TβRII)アンタゴニスト(インヒビター)が、骨髄線維症を処置するために、特に、例えば、線維症、脾腫および炎症性合併症を含む疾患の種々の合併症を寛解するために使用され得るという発見に関する。特に、本明細書で提示されるデータは、TβRIIポリペプチドが、骨髄線維症のJAK2V617Fモデルにおいて線維症、脾腫および炎症を減少させることを示している。これらのデータは、TβRIIアンタゴニストが、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板減少症後骨髄線維症)ならびに、例えば、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症を含む他の骨髄増殖性障害を処置するために使用され得ることを示唆している。さらに、JAK2V617Fモデルからのデータは、TβRIIアンタゴニストが、ヤヌスキナーゼ関連障害、特に、上昇したまたは構成的なヤヌスキナーゼ活性(例えば、上昇したまたは構成的なJAK2活性)と関連する障害を処置するために使用され得ることを示唆している。したがって、ある特定の態様では、本開示は、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニストを、骨髄増殖性障害またはヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせて、それを必要とする患者に投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌスキナーゼ関連障害あるいは骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための、組成物および方法に関する。TβRIIポリペプチドは、TβRIIアンタゴニズム以外の機構を介して、骨髄増殖性障害およびヤヌスキナーゼ関連障害に影響を与え得るが[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうち1または複数の阻害は、おそらくはTGF-ベータスーパーファミリーの他のメンバーを含め、さらなる薬剤のスペクトルの活性をある薬剤が阻害する傾向の指標であり得、かかる集合的阻害は、例えば、骨髄増殖性障害およびヤヌスキナーゼ関連障害に対する所望の効果をもたらし得る]、本開示は、それでもなお、望ましい治療剤が、TβRIIアンタゴニズムに基づいて選択され得ることを実証している。したがって、特定の作用機構に束縛されることは望まないが、他のTβRIIアンタゴニスト[例えば、TβRII受容体のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII結合性リガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII関連共受容体(ベータグリカン)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)のアンタゴニスト、またはかかるアンタゴニストの組合せ]が、骨髄増殖性障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の処置において、特に、1または複数の骨髄増殖性障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際に、有用であると予測される。かかる薬剤は、本明細書で「TβRIIアンタゴニスト」または「TβRIIインヒビター」と集合的に称される。
【0008】
したがって、ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常(parasthesias)、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼにおける1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2における1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したキナーゼ活性(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇したキナーゼ活性)と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK1、JAK2またはJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2の上昇したまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2関連障害である。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害は、JAK2V617F関連障害である。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が骨髄線維症を有する方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、原発性骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、真性赤血球増加症後骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、本態性血小板血症後骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症を有する患者において、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、骨骨髄線維症、および失血からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、国際予後スコアリングシステム(International Prognostic Scoring System)(IPSS)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、IPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、IPSSに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、IPSSに従って、高リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、ダイナミックIPSS(dynamic IPSS)(DIPSS)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSSに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSSに従って、高リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラス(DIPSS-plus)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラスに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラスに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、DIPSS-プラスに従って、高リスクの骨髄線維症を有する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が真性赤血球増加症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、真性赤血球増加症を有する患者において、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱、および体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、血管性事象、血栓塞栓性事象、出血、血栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、およびIL-6媒介性炎症性合併症からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性である。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が本態性血小板血症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、本態性血小板血症を有する患者において、血小板増加症、低い白血球数、低いヘモグロビンレベル、低い乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害、体重減少、微小血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、脾腫、肝腫、炎症性合併症、IL-6炎症性合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、および出血からなる群から選択される、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの本態性血小板血症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、低リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有し、血栓症の病歴を有する、または血栓症の病歴を以前に有した。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性である。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、高リスクの本態性血小板血症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が線維症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤ
ヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、線維症が、脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織にある方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード4の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、骨髄線維症を、Bauermeisterスコアリングシステムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、4から3、4から2、4から1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、Bauermeisterスコアリングシステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステム(European consensus scoring system)に従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、骨髄線維症を、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、欧州コンセンサススコアリングシステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、臓器/組織腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数の臓器/組織が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、肝臓腫大を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、臓器/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織炎症)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織炎症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、臓器/組織炎症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数の臓器/組織が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓炎症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、肝臓炎症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が脾腫を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾腫を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が肝腫を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、肝腫を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が髄外造血を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、髄外造血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、髄外造血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数の臓器/組織が、脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群から選択される方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、上昇した炎症性サイトカインレベル(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇した炎症性サイトカインレベル)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数の臓器/組織における炎症性サイトカインレベル(例えば、血清サイトカインレベル)を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低い赤血球レベル(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、低い赤血球レベル)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において赤血球レベルを増加させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低いヘモグロビンレベル(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、低いヘモグロビンレベル)を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者においてヘモグロビンレベルを増加させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が貧血を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前に、患者に1または複数回の血球輸血が投与されている方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、血球輸血依存的である。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、血球輸血の負担を減少させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、血球輸血の負担を減少させるための方法であって、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または100%減少させる方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者において、血球輸血の負担を減少させるための方法であって、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約50%超減少させる方法に関する。ある特定の態様では、ヤヌスキナーゼ
関連障害を有する患者は、鉄過剰症を有する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、脾臓(脾)鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害において、肝臓(肝)鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害において、心臓(心)鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数のJAK2対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、1または複数のヤヌスキナーゼの上昇した(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇したヤヌスキナーゼ活性)または構成的な活性化を生じる1または複数の変異と関連する1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害患者において、JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させるための方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、ルキソリチニブ)による処置に対して不耐性である方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、ルキソリチニブ)による処置に対して抵抗性である方法に関する。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、少なくともJAK2を阻害するヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(fedratinib)(SAR302503)、モメロチニブ(monoelotinib)(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択されるヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、ヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者は、ルキソリチニブで処置されたことがある。ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性である方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性である方法に関する。
【0009】
したがって、ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症または本態性血小板減少症後骨髄線維症)の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症を処置するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症を予防するための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症の進行速度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板血症の1または複数の合併症の重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、IPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、IPSSに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、IPSSに従って、高リスクの骨髄線維症のリスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSSに従って、高リスクの骨髄線維症のリスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-プラスに従って、低リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-プラスに従って、中間-1リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-プラスに従って、中間-2リスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、DIPSS-プラスに従って、高リスクの骨髄線維症のリスクの骨髄線維症を有する方法に関する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症についての認識されたリスク層別化モデル(例えば、IPSS、DIPPSおよびDIPPS-プラス)のいずれかに従って、骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、低リスクから中間-1リスクへの骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用され得る。他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-
プラスに従って、中間-1リスクから中間-2リスクへの骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用され得る。なお他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、中間-2リスクから高リスクへの骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症についての認識されたリスク層別化モデル(例えば、IPSS、DIPPSおよびDIPPS-プラス)のいずれかに従って、骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、高リスクから中間-2リスクへの骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、中間-2リスクから中間-1リスクへの骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。なお他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、IPSS、DIPPSまたはDIPPS-プラスに従って、中間-1リスクから低リスクへの骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させるために使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症または真性赤血球増加症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、低リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症または真性赤血球増加症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、高リスクの真性赤血球増加症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。一部の実施形態では、患者は、高リスクの真性赤血球増加症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板減少症または本態性血小板減少症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、低リスクの本態性血小板減少症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、低リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、低リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。ある特定の態様では、本開示は、本態性血小板減少症または本態性血小板減少症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が、高リスクの本態性血小板減少症を有する方法に関する。一部の実施形態では、患者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症の病歴を有さない。一部の実施形態では、患者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した。一部の実施形態では、患者は、高リスクの本態性血小板減少症を有し、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、骨髄増殖性障害と関連する1または複数の遺伝子変異または他の分子マーカーを含む方法に関する。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、骨髄増殖性障害は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、ヤヌスキナーゼ(JAK)(例えば、JAK1、JAK2および/またはJAK3)における1または複数の遺伝子変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数のJAK2変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼにおける1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2における1または複数の機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したキナーゼ活性(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、上昇したキナーゼ活性)と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK1、JAK2またはJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2の上昇したまたは構成的なキナーゼ活性と関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2関連障害である。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK2V617F、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーと関連する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害は、JAK2V617F変異と関連する。一部の実施形態では、方法は、患者において、骨髄増殖性疾患関連の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、1または複数のJAK2変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーの対立遺伝子負荷を低減させる。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、骨髄線維症が、増加した血清IL-8レベル、増加した血清IL-2Rレベルおよび増加した血清遊離軽鎖レベルからなる群から選択される1または複数の上昇した血清マーカーと関連する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、患者は、JAK2インヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択されるヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブで処置されたことがある。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対する不適当な応答を有する。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対する不適当な応答を有する。
【0010】
本明細書で記載する場合、骨髄増殖性障害は、患者における疾患進行の間に現れ得る種々の臨床的合併症と関連する造血のクローン性新生物性疾患である。本開示の例は、TβRIIアンタゴニストが、いくつかのこれらの臨床的合併症を軽減するために使用され得ることを実証しており、TβRIIアンタゴニストが、疾患の合併症のうち1つまたは限定数の合併症を処置するだけの現行の骨髄増殖性障害治療の多くとは対照的に、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)の種々の合併症をより広く処置するために使用され得ることを示している。したがって、ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、1または複数の体質的症状(例えば、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪心、腹部臓器圧迫、頭痛および悪液質)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、骨痛を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、視覚障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる方法であって、患者が線維症を有する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、線維症が、脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織にある方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、脾臓線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード4の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖性障害を有する患者において、骨髄線維症を、Bauermeisterスコアリングシステムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、4から3、4から2、4から1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖性障害を有する患者において、Bauermeisterスコアリングシステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード1の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード2の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、骨髄増殖性障害を有する患者は、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード3の骨髄線維症を有する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖性障害を有する患者において、骨髄線維症を、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って少なくとも1グレード低減させること(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)に関する。一部の実施形態では、本開示の方法は、骨髄増殖性障害を有する患者において、欧州コンセンサススコアリングシステムに従う骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)ことに関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性において、線維症を予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄増殖性障害患者において、線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される方法に関する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、臓器/組織(例えば、脾臓、肝臓、リンパ節および肺)の炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した炎症)および/または腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、脾腫を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、肝腫を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、脾梗塞を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、1または複数の炎症性合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、炎症性サイトカインレベルを低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、IL6レベルを低減させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、1または複数のIL6関連合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、血管性合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、血栓症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者において、出血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、無効赤血球生成を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、無効赤血球生成を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、汎血球減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、汎血球減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、血小板減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、変形赤血球症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、好中球減少症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害
(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、骨硬化症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、骨骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症)を有する患者において、1または複数種の血球(例えば、赤血球細胞、骨髄系細胞および巨核球細胞)の過剰な増殖を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症)を有する患者において、赤血球のレベルを低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症)を有する患者において、白血球のレベルを低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)を有する患者において、血小板のレベルを低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、有効量のTβRIIアンタゴニストを投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において赤血球レベルを増加させることに関する。ある特定の態様では、開示は、有効量のTβRIIアンタゴニストを投与することによって、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者においてヘモグロビンレベルを増加させることに関する。ある特定の態様では、本明細書に記載される方法に従って処置される骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者は、貧血を有する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得る。ある特定の態様では、本開示は、1または複数回の血球輸血(全血または赤血球輸血)が投与された患者において、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、血球輸血依存的である患者において、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法に関する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、血球輸血の負担を減少させる(低減させる)ために使用され得る。例えば、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または100%減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約50%超減少させるために使用され得る。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、鉄過剰症を減少させるために使用され得る。例えば、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者において、臓器および/または組織における鉄過剰症を減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者の脾臓における鉄過剰症を減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者の肝臓における鉄過剰症を減少させるために使用され得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症)を有する患者の心臓における鉄過剰症を減少させるために使用され得る。
【0011】
一部において、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害を処置する、予防する、またはその重症度もしくは進行速度を低減させる方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。一部の実施形態では、患者は、JAK2V617F変異関連障害を有する。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。例えば、一部の実施形態では、JAK2キナーゼ関連障害の1または複数の合併症は、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害(例えば、JAK2機能獲得型関連障害)の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、骨髄増殖性障害と関連する1または複数のさらなる遺伝子変異または他の分子マーカーをさらに含む方法に関する。例えば、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、骨髄増殖性障害は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異とさらに関連する。一部の実施形態では、JAK2キナーゼ関連障害は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK2V617F、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーとさらに関連する。一部の実施形態では、方法は、患者において、JAK2関連障害の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、1または複数のJAK2変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、方法は、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーの対立遺伝子負荷を低減させる。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、JAK2キナーゼ関連障害が、増加した血清IL-8レベル、増加した血清IL-2Rレベルおよび増加した血清遊離軽鎖レベルからなる群から選択される1または複数の上昇した血清マーカーとさらに関連する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにTβRIIアンタゴニストを使用する方法であって、患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、患者は、JAK2インヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択されるヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある。一部の実施形態では、患者は、ルキソリチニブで処置されたことがある。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヤヌスキナーゼインヒビターに対する不適当な応答を有する。ある特定の態様では、本開示は、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるためにJAK2キナーゼ関連障害を使用する方法であって、患者が、ヒドロキシウレアで処置されたことがある方法に関する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対して不耐性である。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、JAK2キナーゼ関連障害またはJAK2キナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために使用され得、患者は、ヒドロキシウレアに対する不適当な応答を有する。
【0012】
本明細書に記載される方法および使用のいずれかでは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者および/またはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を有する患者には、骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために、(1または複数のTβRIIアンタゴニストの投与に加えて)1または複数のさらなる活性薬剤および/または支持療法がさらに投与され得る。例えば、一部の実施形態では、患者には、輸血(全血または赤血球輸血)、赤血球生成刺激剤[例えば、ESA、例えば、エリスロポエチン(EPO)およびその誘導体]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾン、レナリドミド、鉄キレート剤、デフェロキサミン、デフェリプロン、デフェラシロクス、ヒドロキシウレア、クラドリビン、ルキソリチニブ、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタウルチニブ、SEP-701、AT-9283、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のインヒビター)、脾臓摘出術、放射線療法、アスピリン、免疫調節薬、PI3K/mTORインヒビター、エピジェネティック因子モジュレーター、ポマリドミド(pomalidonmide)、ラパマイシン、シロリムス、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、PK1-587、INK128、AZD8055、AZD2014、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、ギビノスタット(givinostat)、パノビノスタット、プラシノスタット(pracinostat)、コルチコステロイド、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキン、カルシウムチャネルブロッカー、ニフェジピン、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、パラ-アミノ安息香酸、ジメチルスルホキシド、インターロイキン-5(IL-5)インヒビター、凡カスパーゼインヒビター、レクチン、コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリドマイド、ペントキシフィリン、およびテオフィリンからなる群から選択される1または複数の支持療法または活性薬剤がさらに投与され得る。
【0013】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)、ならびに/あるいはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を有する患者を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、a)ヤヌスキナーゼインヒビター;およびb)TβRIIアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含み、ヤヌスキナーゼインヒビターおよびTβRIIアンタゴニストが有効量で投与される方法に関する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置前に投与される。他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置後に投与される。さらに他の実施形態では、TβRIIアンタゴニストは、ヤヌスキナーゼインヒビターと同時発生的に投与される。本明細書に記載される方法に従って使用されるヤヌスキナーゼインヒビターは、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼを阻害する薬剤であり得る。例えば、ヤヌスキナーゼインヒビターは、細胞ベースのアッセイにおいて、JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のシグナル伝達を阻害する薬剤であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って使用されるヤヌスキナーゼインヒビターは、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択される。一部の好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法に従って使用されるヤヌスキナーゼインヒビターは、ルキソリチニブである。
【0014】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する薬剤(例えば、TGFβ1アンタゴニスト)である。TGFβ1阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ1に結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ1に結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、TGFβ1を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ1を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ3をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ1を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ3をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0015】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する薬剤(例えば、TGFβ2アンタゴニスト)である。TGFβ2阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ2に結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ2に結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、TGFβ2を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ2を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。
【0016】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する薬剤(例えば、TGFβ3アンタゴニスト)である。TGFβ3阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTGFβ3に結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTGFβ3に結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、TGFβ3を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TGFβ3を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0017】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTβRIIを阻害する薬剤(例えば、TβRII受容体アンタゴニスト)である。TβRII阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともTβRIIに結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともTβRIIに結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、TβRIIを阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、TβRIIを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0018】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK5を阻害する薬剤(例えば、ALK5アンタゴニスト)である。ALK5阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともALK5に結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のALK5アンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともALK5に結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、ALK5を阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、ALK5を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、ALK5を阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0019】
ある特定の態様では、本明細書に記載される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともベータグリカンを阻害する薬剤(例えば、ベータグリカンアンタゴニスト)である。ベータグリカン阻害に対する効果は、例えば、本明細書に記載されるものを含む細胞ベースのアッセイ(例えば、Smadシグナル伝達アッセイ)を使用して決定され得る。したがって、一部の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくともベータグリカンに結合し得る。リガンド結合活性は、例えば、本明細書に記載されるものを含む結合親和性アッセイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、本開示のベータグリカンアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、少なくとも1×10-7M(例えば、少なくとも1×10-8M、少なくとも1×10-9M、少なくとも1×10-10M、少なくとも1×10-11Mまたは少なくとも1×10-12M)のKDで、少なくともベータグリカンに結合する。本明細書で記載する場合、例えば、リガンドトラップ(例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント)、抗体、小分子、ヌクレオチド配列、およびそれらの組合せを含む、ベータグリカンを阻害する種々のTβRIIアンタゴニストは、本明細書に記載される方法および使用に従って使用され得る。ある特定の実施形態では、ベータグリカンを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびALK5のうち1または複数をさらに阻害し得る。一部の実施形態では、ベータグリカンを阻害するTβRIIアンタゴニストまたはアンタゴニストの組合せは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。
【0020】
ある特定の態様では、本開示は、TβRIIポリペプチド、およびTGFβ1および/またはTGFβ3に対する選択的アンタゴニストとしての、かかるTβRIIポリペプチドの使用を提供する。本明細書に記載するように、さらなる変異ありまたはなしのTβRII細胞外ドメイン(ECD)の一部または全てを含むポリペプチドは、変動する親和性で、TGFβ1および/もしくはTGFβ3と結合するおよび/またはGDF15、TGFβ1もしくはTGFβ3を阻害する。したがって、ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリー関連障害を選択的に阻害する際の使用のためのTβRIIポリペプチドを提供する。
【0021】
ある特定の態様では、本開示は、TβRIIの細胞外ドメイン中に変異および/またはトランケーションを含むポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、TβRIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むTβRII融合ポリペプチドであって、この第1のアミノ酸配列が、a)配列番号5の23位~35位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~159位のいずれかにおいて終わる配列、もしくはb)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列番号6の178位~184位のいずれかにおいて終わる配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なもしくは同一なアミノ酸配列を含む、またはかかるアミノ酸配列からなるTβRII融合ポリペプチドを提供する。
【0022】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG2のFcドメインの少なくとも一部分に融合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしくはトランケートされた細胞外ドメインを含むポリペプチドを提供する。したがって、ある特定の態様では、本開示は、TβRIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むTβRII融合ポリペプチドであって、この第1のアミノ酸配列が、a)配列番号5の23位~35位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~159位のいずれかにおいて終わる配列、もしくはb)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列番号6の178位~184位のいずれかにおいて終わる配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なもしくは同一なアミノ酸配列を含む、またはかかるアミノ酸配列からなり、このポリペプチドが、ヒトIgG2の少なくとも定常ドメインを含み、任意選択で、配列番号19に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含み得るまたはかかるアミノ酸配列からなり得る第2のポリペプチド配列を含み、リンカーが、任意選択で、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間に位置付けられるTβRII融合ポリペプチドを提供する。この一例は、配列番号50として提供され、配列番号51の核酸配列によってコードされる。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号50のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号51の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一である核酸配列を含むまたはかかる核酸配列からなる核酸配列によってコードされるポリペプチドを提供する。
【0023】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG1、IgG3またはIgG4のFcドメインの少なくとも一部分に融合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしくはトランケートされた細胞外ドメインを含むポリペプチドを提供する。
【0024】
ある特定の態様では、本開示は、ヒトIgG1のFcドメインの少なくとも一部分に融合した、TβRIIの野生型または変更されたおよび/もしくはトランケートされた細胞外ドメインを含むポリペプチドを提供する。したがって、ある特定の態様では、本開示は、TβRIIの細胞外ドメイン由来の第1のアミノ酸配列と異種アミノ酸配列とを含むTβRII融合ポリペプチドであって、第1のアミノ酸配列が、配列番号13のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一な、または同一なアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的になる、またはかかるアミノ酸配列からなり、リンカーが、任意選択で、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間に位置付けられる、TβRII融合ポリペプチドを提供する。別のTβRII融合ポリペプチドの一例は、配列番号101として提供され、配列番号102の核酸配列によってコードされる。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的になる、またはかかるアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、かかるアミノ酸配列から本質的になる、またはかかるアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185または186)のいずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含むまたはかかる核酸配列からなる核酸配列によってコードされるポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含むまたはかかる核酸配列からなる核酸配列を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の23位において始まり配列番号5の159位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の29位において始まり配列番号5の159位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の35位において始まり配列番号5の159位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の23位において始まり配列番号5の153位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の29位において始まり配列番号5の153位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号5の35位において始まり配列番号5の153位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。
【0026】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の23位において始まり配列番号6の184位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の29位において始まり配列番号6の184位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の23位において始まり配列番号6の178位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号6の29位において始まり配列番号6の178位において終わる配列を含むまたはかかる配列からなる。
【0027】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/もしくは配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有する配列を含むまたはかかる配列からなる。
【0028】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号7もしくは配列番号13の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なまたは同一な第1のアミノ酸配列またはその活性断片と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドであって、この第1のアミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/または配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有するTβRII融合ポリペプチドを提供する。
【0029】
一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸1~12に対応する1~12アミノ酸または配列番号13のアミノ酸1~37に対応する1~37アミノ酸のN末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7または配列番号13のアミノ酸1~6に対応する6アミノ酸のN末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸1~12に対応する12アミノ酸または配列番号13のアミノ酸1~37に対応する37アミノ酸のN末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸137~132または配列番号13のアミノ酸162~157に対応する1~6アミノ酸のC末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸132~137または配列番号13のアミノ酸157~162に対応する6アミノ酸のC末端トランケーションを含む。一部の実施形態では、この第1のアミノ酸配列は、配列番号47の117位と118位に対応する残基の間に、配列番号18に対応する挿入を含む。
【0030】
一部の実施形態では、この異種部分は、in vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、組織局在もしくは分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製のうちの1または複数を増強する1または複数のポリペプチド部分を含む。一部の実施形態では、この異種部分は、免疫グロブリンFcドメインおよび血清アルブミンから選択されるポリペプチド部分を含む。さらなる実施形態では、この免疫グロブリンFcドメインは、リンカーによってこのTβRIIポリペプチドに接続されている。
【0031】
一部の実施形態では、このポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートしたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートしたアミノ酸から選択される1または複数の修飾されたアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、このポリペプチドはグリコシル化されている。
【0032】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号7~17および47~49から選択されるアミノ酸配列であるアミノ酸配列を含むTβRIIの細胞外ドメインの一部分からなる第1のアミノ酸配列と第2の異種部分とを含むTβRII融合ポリペプチドを提供する。
【0033】
ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも96%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。ある特定の態様では、本開示は、リーダー配列が除去された、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41および43から選択されるアミノ酸配列もしくはその部分を含むまたはかかるアミノ酸配列もしくはその部分からなるポリペプチド、例えば、配列番号53、54、55、56、57、58、59、60、61および62から選択されるアミノ酸配列を含むまたはかかるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。
【0034】
ある特定の態様では、本開示は、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42および44から選択されるヌクレオチド配列の相補体に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチドを提供する。
【0035】
上述の各々において、全長TβRII ECDを含まないTβRIIポリペプチドが、選択され得る。TβRIIポリペプチドは、モノマータンパク質として、またはダイマー化形態で、使用され得る。TβRIIポリペプチドはまた、改善された特性、例えば、増加した半減期、または産生もしくは精製のより高い容易さを提供するために、第2のポリペプチド部分に融合され得る。融合は、直接的であり得るか、またはリンカーが、TβRIIポリペプチドと任意の他の部分との間に挿入され得る。リンカーは、構造化されていても構造化されていなくてもよく、1、2、3、4、5、10、15、20、30、50またはそれ超のアミノ酸からなり得、任意選択で二次構造を比較的含まなくてもよい。
【0036】
一部の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドは、CHO細胞におけるこのポリペプチドの発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する。
【0037】
一部の実施形態では、本開示は、本開示の2つのTβRIIポリペプチドを含むホモダイマーを提供する。
【0038】
一部の実施形態では、本開示は、本開示のTβRIIポリペプチドのコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、この単離されたポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、本開示は、本開示の単離されたポリヌクレオチドまたは組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を提供する。一部の実施形態では、この細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、この細胞は、CHO細胞またはヒト細胞である。一部の実施形態では、この細胞は、HEK-293細胞である。
【0039】
ある特定の態様では、本開示は、本開示のTβRIIポリペプチドまたはホモダイマーと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬調製物を提供する。
【0040】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、抗体または抗体の組合せである。ある特定の態様では、抗体は、少なくともTβRIIに結合する。一部の実施形態では、TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリーI型受容体またはTGFβスーパーファミリー共受容体が、TβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドが、TβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、抗体は、少なくともALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、ALK5シグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、ALK5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリーII型受容体またはTGFβスーパーファミリー共受容体が、ALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、ALK5に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドが、ALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、抗体は、少なくともベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、ベータグリカンシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンド、TGFβスーパーファミリーI型受容体またはTGFβスーパーファミリーII型受容体が、ベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、ベータグリカンに結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3からなる群から選択される1または複数のTGF-ベータスーパーファミリーリガンドが、ベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、少なくともTGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ1-TβRII、TGFβ1-ALK5および/またはTGFβ1-ベータグリカン(betaglcyan)の結合を阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、少なくともTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ2に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ2-TβRII、TGFβ1-ALK5および/またはTGFβ1-ベータグリカンの結合を阻害する。ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、少なくともTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、本明細書に記載されるものなどの細胞ベースのアッセイで任意選択で測定されるように、TβRIIシグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3に結合するTβRIIアンタゴニスト抗体は、TGFβ3-TβRII、TGFβ1-ALK5および/またはTGFβ1-ベータグリカンの結合を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体は、多特異性抗体または多特異性抗体の組合せであり、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の細胞ベースのアッセイにおいて、シグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である。一部の実施形態では、抗体は、単鎖抗体、F(ab’)2断片、単鎖ディアボディ(diabody)、タンデム単鎖Fv断片、タンデム単鎖ディアボディ、または単鎖ディアボディと免疫グロブリン重鎖定常領域の少なくとも一部分とを含む融合タンパク質である。
【0041】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、小分子インヒビターまたは小分子インヒビターの組合せである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともTβRIIのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともALK5のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともベータグリカンのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともTGFβ1のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともTGFβ2のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子インヒビターは、少なくともTGFβ3のインヒビターである。
【0042】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、核酸インヒビターまたは核酸インヒビターの組合せである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTβRIIのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともALK5のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともベータグリカンのインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTGFβ1のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTGFβ2のインヒビターである。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト核酸インヒビターは、少なくともTGFβ3のインヒビターである。
【0043】
ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに対する細胞の応答をモジュレートする方法であって、細胞を本開示のTβRIIポリペプチドまたはホモダイマーに曝露するステップを含む方法を提供する。
【0044】
ある特定の態様では、本開示は、TGFβスーパーファミリーメンバーに対する細胞の応答をモジュレートする方法であって、細胞を本開示のTβRIIポリペプチドまたはホモダイマーに曝露するステップを含む方法を提供する。
【0045】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載される骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための医薬の製造における、骨髄増殖性障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストの使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための医薬の製造における、ヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストの使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載される骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際の使用のための、骨髄増殖性障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストに関する。ある特定の態様では、本開示は、本明細書に記載されるヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫および炎症)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際の使用のための、ヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための1または複数の他の支持療法または活性薬剤と任意選択で組み合わせた、1または複数のTβRIIアンタゴニストに関する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヤヌスキナーゼ関連障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、ヤヌスキナーゼ関連障害の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目2)
ヤヌスキナーゼ障害またはヤヌスキナーゼ障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、i)TβRIIアンタゴニストおよびii)ヤヌスキナーゼインヒビターを、ヤヌスキナーゼ障害またはヤヌスキナーゼ障害の1もしくは複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含み、前記TβRIIアンタゴニストおよびヤヌスキナーゼインヒビターが有効量で投与される、方法。
(項目3)
ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、ヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目4)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1およびTGFβ3を阻害する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRIIポリペプチドである、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記TβRIIポリペプチドがFc融合タンパク質である、項目5に記載の方法。
(項目7)
TβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号103のアミノ酸配列を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記患者が、機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する障害を有する、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼにおける機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する障害を有する、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記患者が、JAK2における機能獲得型変異と関連する障害を有する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記患者が、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する障害を有する、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する障害を有する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記患者が、JAK2の構成的キナーゼ活性と関連する障害を有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記患者が、JAK2関連障害を有する、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記患者が、JAK2V617F関連障害を有する、項目14に記載の方法。
(項目16)
ヤヌスキナーゼ関連障害の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される、項目2から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記患者が、骨髄線維症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記患者が、原発性骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記患者が、真性赤血球増加症後骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記患者が、本態性血小板血症後骨髄線維症を有する、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記患者が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、骨骨髄線維症、および失血からなる群から選択される、骨髄線維症の1または複数の合併症を有する、項目17から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記患者が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)に従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記患者が、DIPSS-プラスに従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目17から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
低リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、中間-1リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、または中間-2リスクから高リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させる、項目22から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
高リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、中間-2リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、または中間-1リスクから低リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させる、項目22から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記患者が、真性赤血球増加症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記患者が、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱、および体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、血管性事象、血栓塞栓性事象、出血、血栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、およびIL-6媒介性炎症性合併症からなる群から選択される、真性赤血球増加症の1または複数の合併症を有する、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する、項目27または28に記載の方法。
(項目30)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記患者が、高リスクの真性赤血球増加症を有する、項目27または28に記載の方法。
(項目33)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目32から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記患者が、本態性血小板血症を有する、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記患者が、血小板増加症、低い白血球数、低いヘモグロビンレベル、低い乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害、体重減少、微小血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、脾腫、肝腫、炎症性合併症、IL-6炎症性合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、および出血からなる群から選択される、本態性血小板血症の1または複数の合併症を有する、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記患者が、低リスクの本態性血小板血症を有する、項目36または37に記載の方法。
(項目39)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記患者が、高リスクの本態性血小板血症を有する、項目36または37に記載の方法。
(項目42)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目41から43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記患者が、線維症を有する、項目1から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目45に記載の方法。
(項目47)
脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目46に記載の方法。
(項目48)
骨髄線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記患者が、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0、1、2、3または4の骨髄線維症を有する、項目48に記載の方法。
(項目50)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、4から3、4から2、4から1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目49に記載の方法。
(項目51)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記患者が、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード0、1、2または3の骨髄線維症を有する、項目48に記載の方法。
(項目53)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目52に記載の方法。
(項目54)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目52に記載の方法。
(項目55)
脾臓線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目47に記載の方法。
(項目56)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される、項目1から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される、項目1から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記線維症が骨髄線維症である、項目56または57に記載の方法。
(項目59)
前記線維症が脾臓線維症である、項目56または57に記載の方法。
(項目60)
前記患者が、臓器/組織腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を有する、項目1から59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記患者が、臓器/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織炎症)を有する、項目1から60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
臓器/組織の腫大および/または炎症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記患者が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される1または複数の臓器/組織の、臓器/組織の腫大および/または炎症を有する、項目60から62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記患者が、脾腫を有する、項目1から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
脾腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記患者が、肝腫を有する、項目1から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
肝腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記患者が、髄外造血を有する、項目1から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目68に記載の方法。
(項目70)
脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目69に記載の方法。
(項目71)
1または複数の臓器/組織における炎症性サイトカインレベル(例えば、血清サイトカインレベル)を低減させる、項目1から70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
1または複数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させる、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記患者において赤血球レベルを増加させる、項目1から15、17から28および45から72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記患者においてヘモグロビンレベルを増加させる、項目1から15、17から28および45から73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記患者が、貧血を有する、項目1から15、17から28および45から74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
貧血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目75に記載の方法。
(項目77)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前に、前記患者に1または複数回の血球輸血が投与されている、項目1から15、17から28および45から76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記患者が、血球輸血依存的である、項目1から15、17から28および45から77のいずれか一項に記載の方法。
(項目79)
血球輸血の負担を減少させる、項目78に記載の方法。
(項目80)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または100%減少させる、項目79に記載の方法。
(項目81)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約50%超減少させる、項目80に記載の方法。
(項目82)
鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目1から15、17から28および45から81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
肝臓、脾臓および心臓からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記患者において対立遺伝子負荷を低減させる、項目1から83のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目84に記載の方法。
(項目86)
JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目85に記載の方法。
(項目87)
1または複数のJAK2対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記1または複数のヤヌスキナーゼ対立遺伝子が、1または複数のヤヌスキナーゼの上昇したまたは構成的な活性化を生じる1または複数の変異と関連する、項目85から87のいずれか一項に記載の方法。
(項目89)
JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる、項目85から88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている、またはヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある、項目1および3から89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、少なくともJAK2を阻害する、項目90または91に記載の方法。
(項目93)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目90から92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記患者が、ヒドロキシウレアで現在処置されている、またはヒドロキシウレアで処置されたことがある、項目1から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目95に記載の方法。
(項目97)
骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、i)TβRIIアンタゴニストおよびii)ヤヌスキナーゼインヒビターを、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含み、前記TβRIIアンタゴニストおよびヤヌスキナーゼインヒビターが有効量で投与される、方法。
(項目98)
骨髄増殖性障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、骨髄増殖性障害の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目99)
骨髄増殖性障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、骨髄増殖性障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目100)
前記骨髄増殖性障害が骨髄線維症である、項目97から99のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
前記骨髄線維症が原発性骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記骨髄線維症が真性赤血球増加症後骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目103)
前記骨髄線維症が本態性血小板減少症後骨髄線維症である、項目100に記載の方法。
(項目104)
骨髄線維症の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、骨骨髄線維症、および失血からなる群から選択される、項目100から103のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記患者が、国際予後スコアリングシステム(IPSS)に従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記患者が、ダイナミックIPSS(DIPSS)に従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目107)
前記患者が、DIPSS-プラスに従って、低リスク、中間-1リスク、中間-2リスクまたは高リスクの骨髄線維症を有する、項目100から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目108)
低リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、中間-1リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、または中間-2リスクから高リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させる、項目105から107のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
高リスクから中間-2リスクの骨髄線維症への、中間-2リスクから中間-1リスクの骨髄線維症への、または中間-1リスクから低リスクの骨髄線維症への骨髄線維症のリスクの後退を促進する、または増加させる、項目105から107のいずれか一項に記載の方法。
(項目110)
前記骨髄増殖性障害が真性赤血球増加症である、項目97から99のいずれか一項に記載の方法。
(項目111)
真性赤血球増加症の前記1または複数の合併症が、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱、体重減少、脾腫、肝腫、腹痛、早期満腹、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、血管性および/または血栓塞栓性事象、出血、血栓症、大血管性合併症、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、ならびにIL-6媒介性炎症性合併症からなる群から選択される、項目110に記載の方法。
(項目112)
前記患者が、低リスクの真性赤血球増加症を有する、項目110または111に記載の方法。
(項目113)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目112に記載の方法。
(項目114)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目112に記載の方法。
(項目115)
前記患者が、高リスクの真性赤血球増加症を有する、項目110または111に記載の方法。
(項目116)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目115に記載の方法。
(項目117)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目115に記載の方法。
(項目118)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目115から117のいずれか一項に記載の方法。
(項目119)
前記骨髄増殖性障害が本態性血小板減少症である、項目97から99のいずれか一項に記載の方法。
(項目120)
本態性血小板減少症の前記1または複数の合併症が、血小板増加症、低い白血球数、低いヘモグロビンレベル、低い乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害、および体重減少、微小血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、脾腫、肝腫、炎症性合併症、IL-6炎症性合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、および出血からなる群から選択される、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記患者が、低リスクの本態性血小板減少症を有する、項目119または120に記載の方法。
(項目122)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目121に記載の方法。
(項目124)
前記患者が、高リスクの本態性血小板減少症を有する、項目119または120に記載の方法。
(項目125)
前記患者が、血栓症の病歴を有さない、項目124に記載の方法。
(項目126)
前記患者が、血栓症を有する、または血栓症を以前に有した、項目124に記載の方法。
(項目127)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して抵抗性または不耐性である、項目124から126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記患者が、機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目97から127のいずれか一項に記載の方法。
(項目129)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼにおける機能獲得型ヤヌスキナーゼ変異と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目128に記載の方法。
(項目130)
前記患者が、JAK2における機能獲得型変異と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記患者が、1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目97から130のいずれか一項に記載の方法。
(項目132)
前記患者が、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択される1または複数のヤヌスキナーゼの構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目131に記載の方法。
(項目133)
前記患者が、JAK2の構成的キナーゼ活性と関連する骨髄増殖性障害を有する、項目132に記載の方法。
(項目134)
前記患者が、JAK2関連骨髄増殖性障害を有する、項目97から133のいずれか一項に記載の方法。
(項目135)
前記患者が、JAK2V617F関連骨髄増殖性障害を有する、項目134に記載の方法。
(項目136)
JAK2関連障害を処置する、予防する、またはその重症度もしくは進行速度を低減させる方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、JAK2関連障害の処置、予防、またはその重症度もしくは進行速度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目137)
JAK2関連障害の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、有効量のTβRIIアンタゴニストを、JAK2関連障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度の低減を必要とする患者に投与するステップを含む方法。
(項目138)
JAK2関連障害の前記1または複数の合併症が、無効造血、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、炎症性合併症、汎血球減少症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症および肝線維症)、脾腫、肝腫、血小板減少症、貧血、変形赤血球症、進行性肝脾腫、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、感覚異常、悪液質、脾梗塞、失血、炎症、好中球減少症、上昇したサイトカインレベル、凝固障害、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、骨硬化症、および骨骨髄線維症からなる群から選択される、項目137に記載の方法。
(項目139)
前記JAK2関連障害が、JAK2V617F変異関連障害である、項目136から138のいずれか一項に記載の方法。
(項目140)
前記骨髄増殖性障害が、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異と関連する、項目97から139のいずれか一項に記載の方法。
(項目141)
前記骨髄増殖性障害が、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、JAK2V617F、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーと関連する、項目97から140のいずれか一項に記載の方法。
(項目142)
前記患者が、IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異をさらに有する、項目136から140のいずれか一項に記載の方法。
(項目143)
前記患者が、JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーを有する、項目142に記載の方法。
(項目144)
前記患者において対立遺伝子負荷を低減させる、項目97から143のいずれか一項に記載の方法。
(項目145)
1または複数のJAK2変異の対立遺伝子負荷を低減させる、項目144に記載の方法。
(項目146)
JAK2V617Fの対立遺伝子負荷を低減させる、項目145に記載の方法。
(項目147)
IDH1、IDH2、EZH2、SRSF2、ASXL1、JAK1、JAK3、TYK2、MPL、CALR、TET2、THPOおよびLNKからなる群から選択される1または複数の遺伝子における1または複数の変異の対立遺伝子負荷を低減させる、項目144から146のいずれか一項に記載の方法。
(項目148)
JAK2 46/1ハプロタイプについてのヌル欠損、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、およびCALR-ASKL1-からなる群から選択される1または複数の遺伝子マーカーの対立遺伝子負荷を低減させる、項目147に記載の方法。
(項目149)
前記患者が、線維症を有する、項目97から148のいずれか一項に記載の方法。
(項目150)
線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目149に記載の方法。
(項目151)
脾臓、肝臓、肺、リンパ節および骨髄からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目150に記載の方法。
(項目152)
骨髄線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目151に記載の方法。
(項目153)
前記患者が、Bauermeisterスコアリングシステムに従って、グレード0、1、2、3または4の骨髄線維症を有する、項目152に記載の方法。
(項目154)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、4から3、4から2、4から1、4から0、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目153に記載の方法。
(項目155)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、0から4、1から2、1から3、1から4、2から3、2から4、または3から4への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目153に記載の方法。
(項目156)
前記患者が、欧州コンセンサススコアリングシステムに従って、グレード0、1、2または3の骨髄線維症を有する、項目152に記載の方法。
(項目157)
骨髄線維症における少なくとも1グレードの低減(例えば、3から2、3から1、3から0、2から1、2から0、または1から0の骨髄線維症へのグレードの低減)を生じる、項目156に記載の方法。
(項目158)
骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる(例えば、0から1、0から2、0から3、1から2、1から3、2から3への骨髄線維症のグレードの進行を予防する、または遅延させる)、項目156に記載の方法。
(項目159)
脾臓線維症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目151に記載の方法。
(項目160)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症前に投与される、項目97から159のいずれか一項に記載の方法。
(項目161)
前記TβRIIアンタゴニストが、線維症の発症後に投与される、項目97から159のいずれか一項に記載の方法。
(項目162)
前記線維症が骨髄線維症である、項目160または161に記載の方法。
(項目163)
前記線維症が脾臓線維症である、項目160または161に記載の方法。
(項目164)
前記患者が、臓器/組織腫大(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織のサイズおよび/または重量)を有する、項目79から163のいずれか一項に記載の方法。
(項目165)
前記患者が、臓器/組織炎症(例えば、例えば同じ年齢および性別の健常な被験体と比較して、増加した臓器/組織炎症)を有する、項目79から163のいずれか一項に記載の方法。
(項目166)
臓器/組織の腫大および/または炎症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目164または165に記載の方法。
(項目167)
前記患者が、脾臓、肝臓、肺(複数可)およびリンパ節からなる群から選択される1または複数の臓器/組織の、臓器/組織の腫大および/または炎症を有する、項目164から166のいずれか一項に記載の方法。
(項目168)
前記患者が、脾腫を有する、項目97から167のいずれか一項に記載の方法。
(項目169)
脾腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目168に記載の方法。
(項目170)
前記患者が、肝腫を有する、項目97から169のいずれか一項に記載の方法。
(項目171)
肝腫を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目170に記載の方法。
(項目172)
前記患者が、髄外造血を有する、項目97から171のいずれか一項に記載の方法。
(項目173)
髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目172に記載の方法。
(項目174)
脾臓、肝臓、リンパ節および肺(複数可)からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における髄外造血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目173に記載の方法。
(項目175)
1または複数の臓器/組織における炎症性サイトカインレベル(例えば、血清サイトカインレベル)を低減させる、項目79から174のいずれか一項に記載の方法。
(項目176)
1または複数の臓器/組織におけるIL-6レベルを低減させる、項目175に記載の方法。
(項目177)
前記患者において赤血球レベルおよび/またはヘモグロビンレベルを増加させる、項目97から109および128から176のいずれか一項に記載の方法。
(項目178)
前記患者が、貧血を有する、項目97から109および128から177のいずれか一項に記載の方法。
(項目179)
貧血を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目178に記載の方法。
(項目180)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前に、前記患者に1または複数回の血球輸血が投与されている、項目97から109および128から179のいずれか一項に記載の方法。
(項目181)
前記患者が、血球輸血依存的である、項目97から109および128から180のいずれか一項に記載の方法。
(項目182)
血球輸血の負担を減少させる、項目181に記載の方法。
(項目183)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%超または100%減少させる、項目182に記載の方法。
(項目184)
TβRIIアンタゴニスト処置の開始前の等しい時間と比較して、4~8週間にわたって、血球輸血を約50%超減少させる、項目183に記載の方法。
(項目185)
鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目97から109および128から184のいずれか一項に記載の方法。
(項目186)
肝臓、脾臓および心臓からなる群から選択される1または複数の臓器/組織における鉄過剰症を処置する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる、項目185に記載の方法。
(項目187)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターで現在処置されている、またはヤヌスキナーゼインヒビターで処置されたことがある、項目98から186のいずれか一項に記載の方法。
(項目188)
前記患者が、ヤヌスキナーゼインヒビターによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目187に記載の方法。
(項目189)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、少なくともJAK2を阻害する、項目187または188に記載の方法。
(項目190)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目189に記載の方法。
(項目191)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目190に記載の方法。
(項目192)
前記患者が、ヒドロキシウレアで現在処置されている、またはヒドロキシウレアで処置されたことがある、項目97から191のいずれか一項に記載の方法。
(項目193)
前記患者が、ヒドロキシウレアによる処置に対して不耐性または抵抗性である、項目192に記載の方法。
(項目194)
骨髄増殖性障害、ヤヌスキナーゼ関連障害および/またはJAK2関連障害を処置するための1または複数のさらなる活性薬剤または支持療法を投与するステップをさらに含む、項目1から193のいずれか一項に記載の方法。
(項目195)
前記1または複数のさらなる活性薬剤または支持療法が、輸血(全血または赤血球輸血)、赤血球生成刺激剤[例えば、ESA、例えば、エリスロポエチン(EPO)およびその誘導体]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾン、レナリドミド、鉄キレート剤、デフェロキサミン、デフェリプロン、デフェラシロクス、ヒドロキシウレア、クラドリビン、ルキソリチニブ、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタウルチニブ、SEP-701、AT-9283、ヤヌスキナーゼインヒビター(例えば、JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のインヒビター)、脾臓摘出術、放射線療法、アスピリン、免疫調節薬、PI3K/mTORインヒビター、エピジェネティック因子モジュレーター、ポマリドミド、ラパマイシン、シロリムス、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、PK1-587、INK128、AZD8055、AZD2014、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、ギビノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、コルチコステロイド、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキン、カルシウムチャネルブロッカー、ニフェジピン、アンジオテンシン変換酵素インヒビターインヒビター、パラ-アミノ安息香酸、ジメチルスルホキシド、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)インヒビター、インターロイキン-5(IL-5)インヒビター、凡カスパーゼインヒビター、レクチン、コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリドマイド、ペントキシフィリン、およびテオフィリンからなる群から選択される、項目194に記載の方法。
(項目196)
前記さらなる活性薬剤がヤヌスキナーゼインヒビターである、項目195に記載の方法。
(項目197)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、JAK1、JAK2およびJAK3からなる群から選択されるヤヌスキナーゼのうち1または複数を阻害する、項目196に記載の方法。
(項目198)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、細胞ベースのアッセイにおいて、JAK1、JAK2およびJAK3のうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目197に記載の方法。
(項目199)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターが、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283からなる群から選択される、項目196から198のいずれか一項に記載の方法。
(項目200)
前記ヤヌスキナーゼインヒビターがルキソリチニブである、項目199に記載の方法。
(項目201)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ1アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目202)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ2アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目203)
前記TβRIIアンタゴニストがTGFβ3アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目204)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRII受容体アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目205)
前記TβRIIアンタゴニストがALK5アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目206)
前記TβRIIアンタゴニストがベータグリカンアンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目207)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1およびTGFβ3アンタゴニストである、項目1から200のいずれか一項に記載の方法。
(項目208)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ2をアンタゴナイズしない、またはTGFβ2を実質的にアンタゴナイズしない、項目207に記載の方法。
(項目209)
前記TβRIIアンタゴニストがTβRIIポリペプチドである、項目1から207のいずれか一項に記載の方法。
(項目210)
前記TβRIIポリペプチドがTβRII-Fc融合タンパク質である、項目209に記載の方法。
(項目211)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、
a)配列番号5の23位~35位のいずれかにおいて始まり配列番号5の153位~159位のいずれかにおいて終わる配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
b)配列番号6の23位~60位のいずれかにおいて始まり配列番号6の178位~184位のいずれかにおいて終わる配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
c)配列番号5の23位において始まり配列番号5の159位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
d)配列番号5の29位において始まり配列番号5の159位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
e)配列番号5の35位において始まり配列番号5の159位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
f)配列番号5の23位において始まり配列番号5の153位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
g)配列番号5の29位において始まり配列番号5の153位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
h)配列番号5の35位において始まり配列番号5の153位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
i)配列番号6の23位において始まり配列番号6の184位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
j)配列番号6の29位において始まり配列番号6の184位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
k)配列番号6の23位において始まり配列番号6の178位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
l)配列番号6の29位において始まり配列番号6の178位において終わる配列からなるアミノ酸配列;
m)配列番号7の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列、および免疫グロブリンFcドメイン由来の第2のアミノ酸であって、第1のアミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/または配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有する、アミノ酸配列;
n)配列番号13の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列、および免疫グロブリンFcドメイン由来の第2のアミノ酸であって、第1のアミノ酸配列が、配列番号47の36位に対応する位置におけるDおよび/または配列番号47の76位に対応する位置におけるKを有する、アミノ酸配列;
o)配列番号7~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~62、104および105から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
p)配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
q)配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;
r)配列番号104のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列;ならびに
s)配列番号105のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目212)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目213)
前記TβRIIポリペプチドまたはTβRII-Fc融合タンパク質が、配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185または186)のいずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む、項目209または210に記載の方法。
(項目214)
リンカードメインが、TβRIIドメインと免疫グロブリンFcドメインとの間に位置付けられる、項目210または211に記載の方法。
(項目215)
前記TβRIIポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、および脂質部分にコンジュゲートしたアミノ酸から選択される1または複数の修飾されたアミノ酸残基を含む、項目209から214のいずれか一項に記載の方法。
(項目216)
前記ポリペプチドがグリコシル化されている、項目215に記載の方法。
(項目217)
前記ポリペプチドが、CHO細胞における前記ポリペプチドの発現に特徴的なグリコシル化パターンを有する、項目215に記載の方法。
(項目218)
項目209から217のいずれか一項で規定される2つのポリペプチドを含むホモダイマー。
(項目219)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβに結合する、項目209から218のいずれか一項に記載の方法。
(項目220)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ1に結合する、項目219に記載の方法。
(項目221)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ3に結合する、項目219に記載の方法。
(項目222)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目219に記載の方法。
(項目223)
前記TβRIIポリペプチドが、TGFβ2に結合しない、項目222に記載の方法。
(項目224)
前記TβRIIアンタゴニストが、抗体または抗体の組合せである、項目1から208のいずれか一項に記載の方法。
(項目225)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数に結合する抗体または抗体の組合せである、項目224に記載の方法。
(項目226)
前記抗体が、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目224または225に記載の方法。
(項目227)
前記抗体または抗体の組合せが、細胞ベースのアッセイにおいて、前記1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目226に記載の方法。
(項目228)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数に結合する多特異性抗体または多特異性抗体の組合せである、項目224に記載の方法。
(項目229)
前記多特異性抗体または多特異性抗体の組合せが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目224または228に記載の方法。
(項目230)
多特異性抗体または多特異性抗体の組合せが、細胞ベースのアッセイにおいて、前記1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目229に記載の方法。
(項目231)
前記抗体が、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である、項目224から230のいずれか一項に記載の方法。
(項目232)
前記抗体が、単鎖抗体、F(ab’)2断片、単鎖ディアボディ、タンデム単鎖Fv断片、タンデム単鎖ディアボディ、または単鎖ディアボディと免疫グロブリン重鎖定常領域の少なくとも一部分とを含む融合タンパク質である、項目224から231のいずれか一項に記載の方法。
(項目233)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の小分子インヒビターである、項目1から208のいずれか一項に記載の方法。
(項目234)
前記小分子インヒビターが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目233に記載の方法。
(項目235)
前記TβRIIアンタゴニストが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数の核酸インヒビターである、項目1から209のいずれか一項に記載の方法。
(項目236)
前記核酸インヒビターが、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数のシグナル伝達を阻害する、項目235に記載の方法。
(項目237)
配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目238)
配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目239)
配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185または186)のいずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
(項目240)
グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分にコンジュゲートしたアミノ酸、および有機誘導体化剤にコンジュゲートしたアミノ酸から選択される1または複数の修飾されたアミノ酸残基を含む、項目237から239のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目241)
グリコシル化されている、項目240に記載のポリペプチド。
(項目242)
グリコシル化されており、CHO細胞における発現から取得可能なグリコシル化パターンを有する、項目241に記載のポリペプチド。
(項目243)
TGFβ1に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目244)
TGFβ3に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目245)
TGFβ1およびTGFβ3に結合する、項目237から242のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目246)
TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない、項目245に記載のポリペプチド。
(項目247)
単離された、項目237から246のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目248)
組換えである、項目237から247のいずれか一項に記載のポリペプチド。
(項目249)
項目237から247のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬調製物。
(項目250)
さらなる活性薬剤を含む、項目249に記載の医薬調製物。
(項目251)
さらなる活性薬剤および/または支持療法と組み合わせて投与される、項目249に記載の医薬調製物。
(項目252)
前記さらなる活性薬剤がルキソリチニブである、項目250または251に記載の医薬調製物。
(項目253)
項目237から248のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
(項目254)
配列番号102の相補体にハイブリダイズする、項目253に記載のポリヌクレオチド。
(項目255)
配列番号102の核酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む、項目253に記載のポリヌクレオチド。
(項目256)
単離されたポリヌクレオチドである、項目253から255のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(項目257)
組換えである、項目253から256のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(項目258)
項目253から257のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞。
(項目259)
哺乳動物細胞である、項目258に記載の細胞。
(項目260)
CHO細胞である、項目259に記載の細胞。
(項目261)
TβRII-Fc融合タンパク質を作製するための方法であって、前記TβRII-Fc融合タンパク質の発現に適切な条件下で細胞を培養するステップを含み、前記細胞が、項目253から257のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、方法。
(項目262)
前記TβRII-Fc融合タンパク質を回収するさらなるステップを含む、項目261に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれる。有色の図面(複数可)を伴う本特許または特許出願公開の複製が、申請および必要な料金の納付時に特許庁によって提供される。
【0047】
【
図1】
図1は、ヒトTGFβ受容体II型(hTβRII)のB(短)アイソフォームのネイティブ前駆体のアミノ酸配列(NP_003233.4)を示す図である。実線の下線は、成熟細胞外ドメイン(ECD)(残基23~159)を示し、二重下線は、A(長)アイソフォームにおいて置き換えられるバリンを示す。点線の下線は、リーダー(残基1~22)を示す。
【0048】
【
図2】
図2は、ヒトTβRIIのA(長)アイソフォームのネイティブ前駆体のアミノ酸配列(NP_001020018.1)を示す図である。実線の下線は、成熟ECD(残基23~184)を示し、二重下線は、スプライス生成されたイソロイシン置換を示す。点線の下線は、リーダー(残基1~22)を示す。
【0049】
【
図3】
図3は、hTβRII短トランケーションおよびそれらのhTβRII長対応物のN末端アラインメントを示す図である。hTβRII長トランケーション中に存在する25アミノ酸の挿入に下線を付す。スプライシングプロセスによって、短アイソフォーム中の挿入部位に隣接するバリンが、長アイソフォームではイソロイシンによって置き換えられることに留意のこと。四角で囲んだ配列はリーダーを示す。
【0050】
【
図4】
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図4B)、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図4C)、および同齢の野生型マウス(
図4A)由来の骨生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス由来の骨髄試料において低減された。
【0051】
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、JAK2V617Fマウスにおける赤血球レベル(
図5A)および脾臓重量(
図5B)に対するmTβRII-Fcの影響を示す。mTβRII-Fc処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、RBCレベルに対して中程度の影響を有し、脾臓重量を著しく減少させた(-29%、p<0.01)。
【0052】
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図6A)およびmTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図6B)由来の脾臓生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス由来の脾臓試料において低減された。
【0053】
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、JAK2V617Fマウスにおける赤血球レベル(
図7A)および脾臓重量(
図7B)に対するmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの影響を示す。単独の、またはmTβRII-Fcと組み合わせたRux処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、RBCレベルを著しく低下させ、脾臓重量を低減させた(ビヒクルに対して、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001)。mTβRII-Fc単独処置は、RBCレベルおよび脾臓重量に対して、より中程度の影響を有した(ビヒクルに対して、*P<0.05および**P<0.01)。
【0054】
【
図8】
図8A、
図8B、
図8Cおよび
図8Dは、ビヒクル処置JAK2V617Fマウス(
図8A)、ルキソリチニブ処置JAK2V617Fマウス(
図8B)、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウス(
図8C)、ならびにmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの両方で処置したJAK2V617Fマウス(
図8D)由来の骨生検を示す。線維症は、対照JAK2V617Fマウスと比較して、mTβRII-Fc処置JAK2V617FマウスならびにmTβRII-Fcおよびルキソリチニブの両方で処置したJAK2V617Fマウス由来の骨髄試料において低減された。
【発明を実施するための形態】
【0055】
1.概説
本明細書に記載されるタンパク質は、特記しない限り、ヒト形態である。これらのタンパク質に対するNCBI参照は、以下の通りである:ヒトTβRIIアイソフォームA(hTβRII長)、NP_001020018.1およびヒトTβRIIアイソフォームB(hTβRII短)、NP_003233.4。ネイティブヒトTβRIIタンパク質の配列は、
図1~2に示される。
【0056】
TGFβスーパーファミリーは、共通の配列エレメントおよび構造モチーフを共有する種々の増殖因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および非脊椎動物の両方において多種多様な細胞型に対して生物学的効果を発揮することが公知である。このスーパーファミリーのメンバーは、パターン形成および組織特異化において胚発生の間に重要な機能を果たし、脂肪生成、筋形成、軟骨形成、心発生、造血発生、神経発生および上皮細胞分化を含む種々の分化プロセスに影響を与え得る。TGFβファミリーのメンバーの活性を操作することによって、生物において顕著な生理学的変化を引き起こすことが可能な場合が多い。例えば、ピエモンテ(Piedmontese)およびベルギアンブルー(Belgian Blue)のウシ品種は、筋肉量における顕著な増加を引き起こす、GDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子における機能喪失型変異を保有する。[Grobetら、(1997)Nat Genet.17巻(1号):71~4頁]同様に、ヒトでは、GDF8の不活性対立遺伝子は、増加した筋肉量、および報告によれば、例外的な強さと関連する。[Schuelkeら、(2004)N Engl J Med、350巻:2682~8頁]
【0057】
TGFβシグナルは、リガンド刺激の際に下流のSMADタンパク質をリン酸化および活性化する、I型(例えば、TβRI)およびII型(例えば、TβRII)セリン/スレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体によって媒介される[Massague、(2000)、Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1巻:169~178頁]。これらのI型およびII型の受容体は、システインリッチ領域を有するリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および予測されたセリン/スレオニン特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。I型受容体は、シグナル伝達に重要である;II型受容体は、リガンドに結合するためおよびI型受容体の発現のために必要とされる。I型およびII型の受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化を生じる。TGFβは、各々in vivoで個別の機能を有する3つの哺乳動物アイソフォーム、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3を有する。TβRIIへのTGFβの結合は、TGFβシグナル伝達経路の活性化を開始する際の重要なステップであり、SMAD2のリン酸化、および活性化されたSMAD2/SMAD4複合体の核への転位置をもたらして、遺伝子発現をモジュレートする。
【0058】
驚くべきことに、可溶性TβRIIポリペプチドは、GDF15に対する高度に特異的な高親和性の結合を有することが、本明細書で示される。TβRIIは、TGFβに対する公知のII型受容体であり、高い親和性でTGFβ1およびTGFβ3と結合する。ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングによって生成される、少なくとも2つのアイソフォーム-A(長)およびB(短)-として天然に生じる(
図2および1ならびに配列番号6および5)。この長アイソフォームは、25アミノ酸の挿入を有し、スプライシングプロセスによって、短アイソフォーム中の挿入部位に隣接するバリンが、長アイソフォームではイソロイシンによって置き換えられる。可溶性受容体外部ドメインは、リガンド-受容体相互作用を阻害するために、スカベンジャーまたはリガンドトラップとして機能し得る。ネイティブTβRII細胞外ドメイン(外部ドメイン)を取り込んでいる可溶性TβRII-Fc融合タンパク質などのリガンドトラップは、TGFβ1およびTGFβ3を含むTβRIIリガンドに対する凡インヒビターとして機能する。一部の治療設定では、このより広いスペクトルのリガンド結合およびシグナル阻害が有利であり得るが、他の設定では、より選択的な分子が優れている可能性がある。TβRII外部ドメインポリペプチドなどのリガンドトラップが選択的なリガンド結合プロファイルを示すことは、高度に望ましい。したがって、ある特定の態様では、本開示は、種々のTGFβ1またはTGFβ3関連障害を処置する際の使用のための、TGFβ1またはTGFβ3のアンタゴニストとしての、TβRIIポリペプチドを提供する。任意の特定の作用機構に束縛されることは望まないが、かかるポリペプチドは、TGFβ1またはTGFβ3と結合し、これらのリガンドが三元シグナル伝達複合体を形成する能力を阻害することによって作用すると予測される。
【0059】
骨髄増殖性障害は、血球(血小板、白血球および赤血球)の一部または全てにおける慢性的な増加を一部特徴とする一群の状態である。この群の血液障害には、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれる。骨髄増殖性障害は、造血幹細胞における形質転換から生じると一般に考えられている。実際、CMLは、フィラデルフィア転座から最も一般的に生じる、その原因分子病変であるBCR-ABL融合物によって規定される。最近、いくつかのグループが、BCR-ABL陰性骨髄増殖性障害PV、ETおよび骨髄線維症(MF)を有する患者において、チロシンキナーゼJAK2の機能獲得型(JAK2V617F)を、主要な分子的欠陥として同定した。JAK2V617Fマウスは、ヒト本態性血小板血症および真性赤血球増加症と密接に似た病理を発病する[Xingら(2008年)Blood 111巻:5109~5117頁]。加齢と共に、これらのJAK2V617Fマウスは、原発性骨髄線維症様の病理もまた発病する。本明細書で開示するように、TβRII-Fc処置が、JAK2V617F疾患モデルにおいて、脾腫、線維症および他の病的状態を低減できることが発見された。
【0060】
本明細書で提示されるデータは、TβRIIアンタゴニストが、JAK2V617F変異からの合併症結果を処置または予防するために使用され得ることを実証しており、かかる治療薬が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および骨髄線維症)ならびにヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を処置するために使用され得ることを示している。初期(例えば、脾腫)、および後期疾患病理(例えば、線維症および炎症促進性サイトカイン)の発症の低減/遅延に対する効果を考慮すると、TβRIIアンタゴニストは、線維症および他の後期疾患合併症の発症を予防する/遅延させるためまたはその重症度を低減させるため、ならびにしたがって、続発性骨髄線維症疾患(それぞれ、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)への移行を予防する/遅延させるための、真性赤血球増加症および本態性血小板血症の処置に特に十分に適し得る。また、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患者において、処置された末期線維症および炎症における陽性の効果を明確に実証している。
【0061】
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内で、かつ各用語が使用される特定の文脈において、当該分野におけるそれらの通常の意味を有する。特定の用語は、本発明の組成物および方法ならびにそれらを如何にして作製および使用するかを記載することにおいて、実務者にさらなるガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の箇所において議論される。用語の任意の使用の範囲または意味は、その用語が使用される特定の文脈から明らかである。
【0062】
「相同」とは、その全ての文法的形態およびつづりのバリエーションで、同じ種の生物におけるスーパーファミリー由来のタンパク質、ならびに異なる種の生物由来の相同タンパク質を含む、「共通の進化的起源」を有する2つのタンパク質間の関係性に関する。かかるタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、パーセント同一性に関するものであれ、特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであれ、それらの配列類似性によって反映される、配列相同性を有する。用語「配列類似性」とは、その全ての文法的形態で、共通の進化的起源を共有してもしなくてもよい核酸またはアミノ酸配列間での同一性または対応の程度を指す。しかし、共通の用法において、および本出願において、用語「相同」とは、「高度に」などの副詞で修飾される場合、配列類似性を指し得、共通の進化的起源に関係してもしなくてもよい。
【0063】
参照ポリペプチド(またはヌクレオチド)配列に関して「パーセント(%)配列同一性」は、配列をアラインし、必要に応じて、最大のパーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後、配列同一性の一部としていずれの保存的置換も考慮せずに、参照ポリペプチド(ヌクレオチド)配列中のアミノ酸残基(または核酸)に対して同一である、候補配列中のアミノ酸残基(または核酸)の百分率として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定することを目的としたアラインメントは、当業者の技術範囲内にある種々の方法で、例えば、公に入手可能なコンピューターソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成され得る。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインするための適切なパラメーターを決定することができる。しかし、本明細書の目的のために、%アミノ酸(核酸)配列同一性値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータープログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、アメリカ著作権局、Washington D.C.、20559においてユーザー文書と共にファイルされており、これは、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Calif.から公に入手可能であり、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルすべきである。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動はさせない。
【0064】
「アゴナイズする」とは、その全ての文法的形態で、タンパク質および/もしくは遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を活性化もしくは増幅することによって、または不活性タンパク質を活性状態に入るように誘導することによって)活性化するプロセス、またはタンパク質の活性および/もしくは遺伝子の活性を増加させるプロセスを指す。
【0065】
「アンタゴナイズする」とは、その全ての文法的形態で、タンパク質および/もしくは遺伝子を(例えば、そのタンパク質の遺伝子発現を阻害もしくは減少させることによって、または活性タンパク質を不活性状態に入るように誘導することによって)阻害するプロセス、またはタンパク質の活性および/もしくは遺伝子の活性を減少させるプロセスを指す。
【0066】
用語「約」および「およそ」は、本明細書および特許請求の範囲を通じて数値と併せて使用する場合、当業者によく知られた、当業者にとって許容可能な正確さの区間を示す。一般に、正確さのかかる区間は、±10%である。あるいは、特に生物学的系において、用語「約」および「およそ」は、あるオーダーの大きさ以内、好ましくは、所与の値の≦5倍、より好ましくは≦2倍にある値を意味し得る。
【0067】
本明細書に開示される数値範囲は、その範囲を規定する数を含む。
【0068】
用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、この用語が使用される文脈が明確に他を示さない限り、複数形の指示被験体を含む。用語「1つの(a)」(または1つの(an))、ならびに用語「1または複数の」および「少なくとも1つの」は、本明細書で相互交換可能に使用され得る。さらに、「および/または」は、本明細書で使用する場合、他方を伴うまたは伴わない、2つまたはそれよりも多くの特定された特色または構成要素の各々の具体的な開示として解釈すべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句において使用する場合、用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)ならびに「B」(単独)を含む意図である。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの語句において使用する場合、用語「および/または」は、以下の態様の各々を包含する意図である:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0069】
本明細書を通じて、単語「含む(comprise)」またはバリエーション、例えば、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、述べられた1つの整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しないことを示すと理解される。
2.TβRIIアンタゴニスト
【0070】
一部において、本明細書で提示されるデータは、TβRIIアンタゴニスト(インヒビター)が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および骨髄線維症)および/またはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)を有する患者を処置するために使用され得ることを実証している。特に、TβRIIポリペプチドは、例えば、脾腫、高い炎症性サイトカインレベルおよび線維症を含む種々の骨髄増殖性疾患合併症を改善する際に有効であることが示された。したがって、本開示は、一部において、骨髄増殖性障害、ならびに/あるいはヤヌスキナーゼ関連障害または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を有する患者を処置する、予防する、その進行速度および/または重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる活性薬剤および/もしくは支持療法と組み合わせて使用され得る種々のTβRIIアンタゴニストを提供する。TβRIIポリペプチドは、TβRIIリガンドの阻害以外の機構を介して、骨髄増殖性疾患、およびヤヌスキナーゼ関連障害を有する患者に影響を与え得るが[例えば、TGFβ1、TGFβ2および/またはTGFβ3のうち1または複数の阻害は、おそらくはTGF-ベータスーパーファミリーの他のメンバーを含め、さらなる薬剤のスペクトルの活性をある薬剤が阻害する傾向の指標であり得るが、かかる集合的阻害は、例えば、骨髄増殖性疾患および/またはヤヌスキナーゼ関連障害に対する所望の効果をもたらし得る]、他の型のTGFβアンタゴニスト[例えば、TβRII受容体のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)のアンタゴニスト、1もしくは複数のTβRII下流シグナル伝達成分(Smad)のアンタゴニスト、またはかかるアンタゴニストの組合せ]が、骨髄増殖性障害および/またはヤヌスキナーゼ関連障害の処置において、特に、骨髄増殖性障害および/またはヤヌスキナーゼ関連障害の1または複数の合併症の処置、予防、またはその進行速度および/もしくは重症度における低減において有用である。かかるアンタゴニストには、例えば、例えば、TβRIIポリペプチドおよびそのバリアント、抗TGFβ抗体、抗ALK5抗体、抗ベータグリカン抗体ならびに抗TβRII抗体;TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5、ベータグリカンおよびTβRIIのうち1または複数の活性または発現(例えば、転写、翻訳、細胞からの分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する核酸;ならびにTGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5、ベータグリカンおよびTβRIIのうち1または複数の活性または発現(例えば、転写、翻訳、細胞からの分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する小分子が含まれる。
A.TβRIIポリペプチド
【0071】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストは、TβRIIポリペプチドまたはそのバリアント(TβRIIアンタゴニストポリペプチド)である。TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合せは、例えば、1または複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)および/またはTβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)を阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合せがシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細書に記載されるものなどを含む細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIポリペプチドまたはポリペプチドの組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害、または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0072】
天然に存在するTβRIIタンパク質は、細胞の外側に位置付けられるタンパク質の一部分(細胞外部分)および細胞の内側に位置付けられるタンパク質の一部分(細胞内部分)を有する膜貫通タンパク質である。本開示の態様は、TβRIIの細胞外ドメイン内の変異および/または細胞外ドメインのトランケートされた部分を含むバリアントTβRIIポリペプチドを包含する。上記のように、ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングによって生成される、少なくとも2つのアイソフォーム-A(長)およびB(短)-として天然に生じる(
図2および1ならびに配列番号6および5)。配列番号5の残基23~159に対応する配列番号7は、TβRIIの短アイソフォームのネイティブ全長細胞外ドメインを示す。配列番号6の残基23~184に対応する配列番号13は、TβRIIの長アイソフォームのネイティブ全長細胞外ドメインを示す。特記しない限り、TβRIIの短および長アイソフォームに基づくバリアントに関するアミノ酸位置の番号付けは、それぞれ、ネイティブ前駆体配列番号5および配列番号6中の対応する位置を指す。
【0073】
ある特定の実施形態では、本開示は、バリアントTβRIIポリペプチドを提供する。本開示のTβRIIポリペプチドは、例えばTGFβ1またはTGFβ3であるがこれらに限定されないTGFβスーパーファミリーメンバーと結合し得、その機能を阻害し得る。TβRIIポリペプチドには、そのC末端が配列番号5のアミノ酸153~159(例えば、153、154、155、156、157、158または159)のいずれかにおいて存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドのトランケートされたECDドメインに対して少なくとも80%同一なアミノ酸配列、および任意選択で、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列からなるまたはかかるアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれ得る。TβRIIポリペプチドには、そのC末端が配列番号6のアミノ酸178~184(例えば、178、179、180、181、182、183または184)のいずれかにおいて存在する、天然に存在するTβRIIポリペプチドのトランケートされたECDドメインに対して少なくとも80%同一なアミノ酸配列、および任意選択で、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一なアミノ酸配列からなるまたはかかるアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれ得る。任意選択で、TβRIIポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸160~567からなる配列由来または配列番号6のアミノ酸185~592からなる配列由来の、5つよりも多く連続するアミノ酸、あるいは10、20、30、40、50、52、60、70、80、90、100、150もしくは200よりも多く、またはそれ超連続するアミノ酸を含まない。プロセシングされていないTβRIIポリペプチドは、任意のシグナル配列、ならびにシグナル配列に対してN末端の任意の配列を含むかまたは排除するかのいずれかであり得る。本明細書で詳述するように、成熟(プロセシングされた)TβRIIポリペプチドのN末端は、配列番号5のアミノ酸23~35または配列番号6のアミノ酸23~60のいずれかにおいて存在し得る。成熟TβRIIポリペプチドの例には、配列番号5のアミノ酸23~159(配列番号7に示される)、配列番号5のアミノ酸29~159(配列番号105に示される)、配列番号5のアミノ酸35~159(配列番号10に示される)、配列番号5のアミノ酸23~153(配列番号11に示される)、配列番号5のアミノ酸29~153(配列番号48に示される)、配列番号5のアミノ酸35~153(配列番号47に示される)、配列番号6のアミノ酸23~184(配列番号13に示される)、配列番号6のアミノ酸29~184(配列番号15に示される)、配列番号6のアミノ酸35~184(配列番号10に示される)、配列番号6のアミノ酸23~178(配列番号16に示される)、配列番号6のアミノ酸29~178(配列番号49に示される)および配列番号6のアミノ酸35~178(配列番号47に示される)が含まれるがこれらに限定されない。同様に、TβRIIポリペプチドは、配列番号30のヌクレオチド73~465、配列番号34のヌクレオチド73~447、配列番号38のヌクレオチド73~465、配列番号38のヌクレオチド91~465もしくは配列番号38のヌクレオチド109~465またはそれらのサイレントバリアント、あるいはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(一般に、かかる条件は、当該分野で公知であるが、例えば、65℃で一晩の、50%v/vホルムアミド、5×SSC、2%w/vブロッキング剤、0.1%N-ラウロイルサルコシンおよび0.3%SDS中でのハイブリダイゼーション、ならびに例えば、約65℃で5×SSC中での洗浄を含み得る)下でそれらの相補体にハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドを含み得る。TβRIIの長アイソフォームに基づく対応するバリアントが、25アミノ酸の挿入に対してC末端の隣接する位置における保存的Val-Ile置換と共に、この挿入をコードするヌクレオチド配列を含むことが、当業者によって理解される。これらのTβRIIポリペプチドは、しかるべく、短および長アイソフォームの両方、それらのバリアント(例えば、配列番号5のアミノ酸23~159または配列番号6のアミノ酸23~184に対応する配列中に、2、3、4、5、10、15、20、25、30または35以下のアミノ酸置換を含むバリアントを含む)、それらの断片、ならびに上述のいずれかを含む融合タンパク質を含む、TβRIIポリペプチドの単離された細胞外部分を含み得るが、各場合において、好ましくは、上述のTβRIIポリペプチドのいずれかは、TGFβ1またはTGFβ3のうちの少なくとも1つに対する実質的な親和性を保持する。一般に、TβRIIポリペプチドは、生物学的に適切な温度、pHレベルおよびモル浸透圧濃度において、水性溶液中で可溶性であるように設計される。
【0074】
一部の実施形態では、本開示のバリアントTβRIIポリペプチドは、変更されたリガンド結合プロファイルを付与する、細胞外ドメイン中の1または複数の変異を含む。TβRIIポリペプチドは、天然に存在するTβRIIポリペプチドの対応する部分と比較して、アミノ酸配列中に、1、2、5またはそれ超の変更を含み得る。一部の実施形態では、この変異は、配列番号5の70位に対応する位置において、置換、挿入または欠失を生じる。一部の実施形態では、この変異は、配列番号5の110位に対応する位置において、置換、挿入または欠失を生じる。例には、配列番号5のそれぞれ70位および110位に対応する位置におけるNからDへの置換またはDからKへの置換が含まれるがこれらに限定されない。かかるバリアントTβRIIポリペプチドの例には、配列番号8、配列番号14、配列番号12および配列番号17に示される配列が含まれるがこれらに限定されない。TβRIIポリペプチドは、配列番号26のヌクレオチド73~483、配列番号42のヌクレオチド73~465もしくはそれらのサイレントバリアントまたはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でそれらの相補体にハイブリダイズする核酸によってコードされるポリペプチドまたはその部分を含み得る。
【0075】
一部の実施形態では、本開示のバリアントTβRIIポリペプチドは、ヒトTβRIIアイソフォームC(Konradら、BMC Genomics 8巻:318頁、2007年)に天然に生じるような、ヒトTβRII ECDのC末端の近傍に位置するグルタミン酸残基の対(配列番号5の151位および152位、または配列番号6の176位および177位)の間に、36アミノ酸の挿入(配列番号18)をさらに含む。
【0076】
本開示は、TβRIIポリペプチドが、TβRIIリガンドを選択的にアンタゴナイズするように修飾され得ることをさらに実証している。本明細書に提示されるデータは、TβRIIポリペプチドのより短いN末端およびC末端がトランケートされたバリアントを含むFc融合タンパク質が、TGFβ1およびTGFβ3によって媒介される細胞シグナル伝達に対して示差的な阻害効果を示すことを示している。具体的には、配列番号5のアミノ酸29または35において始まり、それぞれ細胞外ドメインの6アミノ酸または12アミノ酸のN末端トランケーションを保有する、N末端がトランケートされたバリアントは、TβRIIの短アイソフォームの全長細胞外ドメインと比較して、中間の程度のTGFβ1阻害を維持しつつ、TGFβ3を阻害する潜在力を有意に低減させたことが見出された。配列番号5のアミノ酸153において終わり、細胞外ドメインの6アミノ酸のC末端トランケーションを保有する、C末端がトランケートされたバリアントは、リガンド結合に対して実質的な影響を有さず、したがって、全長バージョンと相互交換可能に使用され得る。配列番号5の70位に対応する位置におけるNからDへの置換は、TGFβ3を強力に阻害し、TGFβ1に対する無視できる影響を有することが見出された。N70残基は、潜在的なグリコシル化部位を示す。さらに、配列番号5の110位に対応する位置におけるDからKへの置換を含むFc融合タンパク質は、TβRIIの短アイソフォームの全長細胞外ドメインと比較して、中間の程度のTGFβ3阻害を維持しつつ、TGFβ1を阻害する潜在力を有意に低減させたことが見出された。110位周囲の領域は、公知のTβRIIリガンドTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3に対する選択性とは関連付けられてこなかった。したがって、予想外に、例えばN70DおよびD110K(残基の番号付けは、配列番号5の番号付けと対応する)であるがこれらに限定されないECD中の変異を含み、ならびに/またはアミノ酸29と35との間で始まりおよび/もしくはアミノ酸153とアミノ酸159との間で終結するTβRIIポリペプチドは、全て、活性であり、異なるリガンドに対して広く異なる阻害潜在力を示すと予測される。臨床または実験設定に依存して、これらのトランケートされたバリアント形態のいずれかを使用することが望まれ得る。
【0077】
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1と結合し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ3に対する実質的な結合を示さない。ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3と結合し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ1に対する実質的な結合を示さない。結合は、例えば、溶液中で、またはBiacore(商標)システムなどの表面プラズモン共鳴システム中で、精製されたタンパク質を使用して評価され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ1細胞シグナル伝達を阻害し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ3に対して、中間のまたは限定的な阻害効果を有する。ある特定の実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TGFβ3細胞シグナル伝達を阻害し、このTβRIIポリペプチドは、TGFβ1に対して、中間のまたは限定的な阻害効果を有する。細胞シグナル伝達に対する阻害効果は、当該分野で公知の方法によってアッセイされ得る。
【0079】
総合すると、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号5のアミノ酸配列23~153、23~154、23~155、23~156、23~157または23~158、ならびに配列番号5のアミノ酸24~35のいずれかにおいて始まるこれらの配列のバリアントを含み得る。同様に、TβRIIポリペプチドの活性部分は、配列番号6のアミノ酸配列23~178、23~179、23~180、23~181、23~182または23~183、ならびに配列番号6のアミノ酸24~60のいずれかにおいて始まるこれらの配列のバリアントを含み得る。例示的なTβRIIポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列29~159、35~159、23~153、29~153および35~153、または配列番号6のアミノ酸配列29~184、60~184、23~178、29~178および60~178を含む。これらの範囲内のバリアント、特に、配列番号5または配列番号6の対応する部分に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するバリアントもまた、企図される。配列番号5のアミノ酸160~567または配列番号6のアミノ酸185~592からなる配列を含まないTβRIIポリペプチドが、選択され得る。
【0080】
上記のように、本開示は、天然に存在するTβRIIポリペプチドに対して、特定した程度の配列同一性または類似性を共有するTβRIIポリペプチドを提供する。2つのアミノ酸配列のパーセント同一性を決定するために、これらの配列は、最適な比較を目的として、アラインされる(例えば、ギャップが、最適なアラインメントのために第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方において導入され得、非相同配列が、比較を目的として無視され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸残基が比較される。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基によって占められる場合、これらの分子は、その位置において同一である(本明細書で使用する場合、アミノ酸「同一性」は、アミノ酸「相同性」と等価である)。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、これらの配列によって共有される同一な位置の数の関数である。
【0081】
2つの配列間の配列の比較ならびにパーセント同一性および類似性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る(Computational Molecular Biology、Lesk, A. M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith, D. W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part 1、Griffin, A. M.およびGriffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年;ならびにSequence Analysis Primer、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M Stockton Press、New York、1991年)。
【0082】
一実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム中に組み込まれたNeedlemanおよびWunsch(J Mol. Biol.(48巻):444~453頁(1970年))のアルゴリズムを使用して決定される(http://www.gcg.comにおいて利用可能)。具体的な実施形態では、以下のパラメーターが、GAPプログラムにおいて使用される:Blosum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6または4のギャップ重み(gap weight)および1、2、3、4、5または6の長さ重み(length weight)。さらに別の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを使用して決定される(Devereux, J.ら、Nucleic Acids Res.12巻(1号):387頁(1984年))(http://www.gcg.comにおいて利用可能)。例示的なパラメーターには、NWSgapdna.CMPマトリックスならびに40、50、60、70または80のギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さ重みを使用することが含まれる。特記しない限り、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Blosum 62マトリックス、10のギャップ重みおよび3の長さ重みを使用するGAPプログラムを使用して決定され、かかるアルゴリズムが所望のパーセント同一性を計算できない場合、本明細書に開示される適切な代替法を選択すべきである。
【0083】
別の実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、PAM120重み残基テーブル、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み込まれたE. MyersおよびW. Miller(CABIOS、4巻:11~17頁(1989年))のアルゴリズムを使用して決定される。
【0084】
2つのアミノ酸配列間の最良の全体的アラインメントを決定するための別の実施形態は、Brutlagら(Comp. App. Biosci.、6巻:237~245頁(1990年))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して決定され得る。配列アラインメントでは、クエリー配列および対象配列は、共にアミノ酸配列である。前記網羅的配列アラインメントの結果は、パーセント同一性を単位として示される。一実施形態では、アミノ酸配列同一性は、Brutlagら(Comp. App. Biosci.、6巻:237~245頁(1990年))のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使用して実施される。具体的な実施形態では、アミノ酸アラインメントのパーセント同一性および類似性を計算するために使用されるパラメーターは、マトリックス=PAM 150、k-タプル=2、ミスマッチペナルティ=1、ジョイニングペナルティ=20、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティ=5およびギャップサイズペナルティ=0.05を含む。
【0085】
TβRIIポリペプチドは、N末端において種々のリーダー配列のうちのいずれかをさらに含み得る。かかる配列は、ペプチドが、真核生物の系において発現され、分泌経路へと標的化されることを可能にする。例えば、Ernstら、米国特許第5,082,783号(1992年)を参照のこと。あるいは、ネイティブTβRIIシグナル配列は、細胞からの突出(extrusion)をもたらすために使用され得る。可能なリーダー配列には、ネイティブリーダー、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)およびミツバチメリチン(それぞれ、配列番号22~24)が含まれる。TPAリーダー配列を取り込んでいるTβRII-Fc融合タンパク質の例には、配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、101および103が含まれる。シグナルペプチドのプロセシングは、変数のなかでも、選択されたリーダー配列、使用される細胞型および培養条件に依存して変動し得、したがって、成熟TβRIIポリペプチドについての実際のN末端開始部位は、N末端またはC末端方向のいずれかで、1、2、3、4または5アミノ酸シフトし得る。TβRII-Fc融合タンパク質の例には、TβRIIポリペプチド部分に下線を付した、本明細書に示される配列番号25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、50、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、101および103が含まれる(実施例を参照のこと)。TβRIIの長アイソフォームに基づく対応するバリアントが、25アミノ酸の挿入に対してC末端の隣接する位置における保存的Val-Ile置換と共に、この挿入を含むことが、当業者によって理解される。ある特定の態様では、本開示は、配列番号101のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載される方法に従うその使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号103のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載される方法に従うその使用に関する。ある特定の態様では、本開示は、配列番号101のアミノ酸25~46(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45または46)のいずれか1つにおいて始まり配列番号101のアミノ酸170~186(例えば、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185または186)のいずれか1つにおいて終わるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むTβRIIポリペプチド、ならびに本明細書に記載される方法に従うその使用に関する。
【0086】
ある特定の実施形態では、本開示は、そのポリペプチドのグリコシル化を変更するような、TβRIIポリペプチドの特異的変異を企図する。かかる変異は、O結合型またはN結合型グリコシル化部位などの1または複数のグリコシル化部位を導入または排除するように、選択され得る。アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン-X-スレオニン(またはアスパラギン-X-セリン)(式中、「X」は任意のアミノ酸である)を含む。この変更は、野生型TβRIIポリペプチドの配列に対する、1もしくは複数のセリンもしくはスレオニン残基の付加または1もしくは複数のセリンもしくはスレオニン残基による置換によっても、行われ得る(O結合型グリコシル化部位について)。グリコシル化認識部位の第1もしくは第3のアミノ酸位置の一方もしくは両方における種々のアミノ酸の置換もしくは欠失(および/または第2の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾されたトリペプチド配列において非グリコシル化を生じる。TβRIIポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、TβRIIポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリング様式に依存して、糖(複数可)は、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)システインのものなどの遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、スレオニンもしくはヒドロキシプロリンのものなどの遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシンもしくはトリプトファンのものなどの芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基と結合し得る。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれる、1987年9月11日に公開されたWO87/05330、ならびにAplinおよびWriston(1981年)CRC Crit. Rev. Biochem.、259~306頁中に記載されている。TβRIIポリペプチド上に存在する1または複数の炭水化物部分の除去は、化学的におよび/または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化には、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのTβRIIポリペプチドの曝露が関与し得る。この処理は、アミノ酸配列をインタクトなままにしつつ、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除いた、ほとんどまたは全ての糖の切断を生じる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら(1987年)Arch. Biochem. Biophys.259巻:52頁およびEdgeら(1981年)Anal. Biochem. 118巻:131頁によってさらに記載されている。TβRIIポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら(1987年)Meth. Enzymol. 138巻:350頁に記載されるように、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成され得る。哺乳動物、酵母、昆虫および植物の細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入し得るので、TβRIIポリペプチドの配列は、必要に応じて、使用される発現系の型に依存して調整され得る。一般に、ヒトでの使用のためのTβRIIポリペプチドは、HEK293またはCHO細胞株などの、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株において発現されるが、他の哺乳動物発現細胞株、操作されたグリコシル化酵素を有する酵母細胞株、および昆虫細胞も、同様に有用であると予測される。
【0087】
本開示は、変異体、特に、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル変異体のセット、ならびにトランケーション変異体を生成する方法をさらに企図する;コンビナトリアル変異体のプールは、機能的バリアント配列を同定するために特に有用である。かかるコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのいずれかとして作用し得る、またはあるいは、新規活性を全て一緒に有するTβRIIポリペプチドバリアントを生成することであり得る。種々のスクリーニングアッセイは、以下に提供され、かかるアッセイは、バリアントを評価するために使用され得る。例えば、TβRIIポリペプチドバリアントは、TβRIIリガンドと結合する能力、TβRIIポリペプチドへのTβRIIリガンドの結合を防止する能力、またはTβRIIリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を妨害する能力について、スクリーニングされ得る。TβRIIポリペプチドまたはそのバリアントの活性は、細胞ベースのアッセイまたはin vivoアッセイ、特に、実施例に開示されるアッセイのいずれかにおいても、試験され得る。
【0088】
天然に存在するTβRIIポリペプチドの細胞外ドメインを含むTβRIIポリペプチドと比較して、選択的なまたは一般に増加した潜在力を有する、コンビナトリアルに誘導されたバリアントが、生成され得る。同様に、変異誘発は、対応する野生型TβRIIポリペプチドとは劇的に異なる血清半減期を有するバリアントを生じ得る。例えば、変更されたタンパク質は、ネイティブTβRIIポリペプチドの破壊、またはネイティブTβRIIポリペプチドの他の方法による排除もしくは不活化を生じる、タンパク質分解性の分解または他のプロセスに対して、より安定にされ得るかまたはより不安定にされ得るかのいずれかである。かかるバリアント、およびそれらをコードする遺伝子は、TβRIIポリペプチドの半減期をモジュレートすることによって、TβRIIポリペプチドレベルを変更するために利用され得る。例えば、短い半減期は、より一過的な生物学的効果を生じ得、患者内の組換えTβRIIポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にし得る。Fc融合タンパク質では、変異が、タンパク質の半減期を変更するために、リンカー(存在する場合)および/またはFc部分中に作成され得る。
【0089】
コンビナトリアルライブラリーは、潜在的TβRIIポリペプチド配列の少なくとも一部分を各々が含むポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の縮重ライブラリーによって産生され得る。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物は、潜在的TβRIIポリペプチドのヌクレオチド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、またはあるいは、(例えば、ファージディスプレイのために)より大きい融合タンパク質のセットとして発現可能であるように、遺伝子配列へと酵素的にライゲーションされ得る。
【0090】
潜在的TβRIIポリペプチドバリアントのライブラリーが縮重オリゴヌクレオチド配列から生成され得る多くの方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学的合成は、自動DNA合成機において実施され得、次いで、合成遺伝子が、発現のために適切なベクター中にライゲーションされ得る。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である(例えば、Narang, SA(1983年)Tetrahedron 39巻:3頁;Itakuraら、(1981年)Recombinant DNA, Proc. 3rd
Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam: Elsevier 273~289頁;Itakuraら、(1984年)Annu. Rev. Biochem. 53巻:323頁;Itakuraら、(1984年)Science 198巻:1056頁;Ikeら、(1983年)Nucleic Acid Res. 11巻:477頁を参照のこと)。かかる技術は、他のタンパク質の指向性の進化において使用されてきた(例えば、Scottら、(1990年)Science 249巻:386~390頁;Robertsら、(1992年)PNAS USA 89巻:2429~2433頁;Devlinら、(1990年)Science 249巻:404~406頁;Cwirlaら、(1990年)PNAS USA 87巻:6378~6382頁;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号および同第5,096,815号を参照のこと)。
【0091】
あるいは、他の形態の変異誘発が、コンビナトリアルライブラリーを生成するために利用され得る。例えば、TβRIIポリペプチドバリアントは、例えば、アラニンスキャニング変異誘発などを使用するスクリーニングによって(Rufら、(1994年)Biochemistry 33巻:1565~1572頁;Wangら、(1994年)J.
Biol. Chem. 269巻:3095~3099頁;Balintら、(1993年)Gene 137巻:109~118頁;Grodbergら、(1993年)Eur. J. Biochem. 218巻:597~601頁;Nagashimaら、(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:2888~2892頁;Lowmanら、(1991年)Biochemistry 30巻:10832~10838頁;およびCunninghamら、(1989年)Science 244巻:1081~1085頁)、リンカースキャニング変異誘発によって(Gustinら、(1993年)Virology 193巻:653~660頁;Brownら、(1992年)Mol. Cell Biol. 12巻:2644~2652頁;McKnightら、(1982年)Science 232巻:316頁);飽和変異誘発によって(Meyersら、(1986年)Science 232巻:613頁);PCR変異誘発によって(Leungら、(1989年)Method Cell Mol Biol 1巻:11~19頁);または化学的変異誘発などを含むランダム変異誘発によって(Millerら、(1992年)A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harbor、NY;およびGreenerら、(1994年)Strategies in Mol Biol 7巻:32~34頁)、ライブラリーから生成および単離され得る。特にコンビナトリアル設定におけるリンカースキャニング変異誘発は、TβRIIポリペプチドのトランケートされた(生物活性)形態を同定するための代替的な方法である。
【0092】
広い範囲の技術が、点変異およびトランケーションによって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、およびそれについて言えば、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするために、当該分野で公知である。かかる技術は、TβRIIポリペプチドのコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに、一般に順応性がある。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために最も広く使用される技術は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター中にクローニングするステップ、ベクターの得られたライブラリーで適切な細胞を形質転換するステップ、および所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を促進する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現させるステップを含む。好ましいアッセイには、TβRIIリガンド結合アッセイおよびリガンド媒介性細胞シグナル伝達アッセイが含まれる。
【0093】
ある特定の実施形態では、本開示のTβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチド中に天然に存在する任意の修飾に加えて、翻訳後修飾をさらに含み得る。かかる修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ペグ化(ポリエチレングリコール)およびアシル化が含まれるがこれらに限定されない。結果として、修飾されたTβRIIポリペプチドは、非アミノ酸要素、例えば、ポリエチレングリコール、脂質、モノサッカライドまたはポリサッカライドおよびホスフェートを含み得る。TβRIIポリペプチドの機能性に対するかかる非アミノ酸要素の影響は、他のTβRIIポリペプチドバリアントについて本明細書に記載したように試験され得る。TβRIIポリペプチドが、TβRIIポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞中で産生される場合、翻訳後プロセシングは、タンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能にとっても重要であり得る。異なる細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3またはHEK-293)は、かかる翻訳後活性のための特異的な細胞マシナリーおよび特徴的機構を有し、TβRIIポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを確実にするために選択され得る。
【0094】
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドの機能的バリアントまたは修飾された形態には、TβRIIポリペプチドの少なくとも一部分と1または複数の融合ドメインとを有する融合タンパク質が含まれる。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが含まれるがこれらに限定されない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択され得る。例えば、一部の融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティー精製を目的として、アフィニティークロマトグラフィーのための適切なマトリックス、例えば、グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトコンジュゲート樹脂が使用される。かかるマトリックスの多くは、(HIS6)融合パートナーと共に有用な、Pharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)などの「キット」形態で入手可能である。別の例として、融合ドメインは、TβRIIポリペプチドの検出を促進するように選択され得る。かかる検出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびにそれに対する特異的抗体が入手可能である通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれる。それに対する特異的モノクローナル抗体が容易に入手可能である周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)およびc-mycタグが含まれる。一部の場合では、これらの融合ドメインは、適切なプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化するのを可能にし、それによって、そこから組換えタンパク質を遊離させる、第Xa因子またはトロンビンなどについてのプロテアーゼ切断部位を有する。次いで、遊離されたタンパク質は、引き続くクロマトグラフィー分離によって、融合ドメインから単離され得る。ある特定の好ましい実施形態では、TβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチドをin vivoで安定化するドメイン(「安定剤」ドメイン)と融合される。「安定化する」とは、減少した破壊、腎臓による減少したクリアランス、または他の薬物動態学的効果に起因するか否かには関わらず、血清半減期を増加させるものを意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広い範囲のタンパク質に対して所望の薬物動態学的特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、所望の特性を付与できる。選択され得る他の型の融合ドメインには、マルチマー化(例えば、ダイマー化、テトラマー化)ドメインおよび機能的ドメインが含まれる。
【0095】
具体的な例として、本開示は、3つのFcドメイン配列(例えば、配列番号19、20および21ならびに配列番号19、20および21に対して85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一の配列)のうちの1つに融合されたTβRIIポリペプチドのバリアントを含む融合タンパク質を提供する。任意選択で、このFcドメインは、Asp-265、Lys-322およびAsn-434(対応する全長IgGに従って番号付けした)などの残基にお
いて、1または複数の変異を有する。特定の場合には、これらの変異のうち1または複数(例えば、Asp-265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、Fcγ受容体と結合する能力を低減させた。他の場合には、これらの変異のうち1または複数(例えば、Asn-434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較して、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)と結合する能力を増加させた。
【0096】
融合タンパク質の異なるエレメントは、所望の機能性と一致する任意の様式でアレンジされ得ることが理解される。例えば、TβRIIポリペプチドは、異種ドメインに対してC末端に配置され得、またはあるいは、異種ドメインが、TβRIIポリペプチドに対してC末端に配置され得る。TβRIIポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接している必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに対してC末端もしくはN末端に、またはドメイン間に、含まれ得る。
【0097】
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリンFcドメイン」または単に「Fc」は、免疫グロブリン鎖の定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部分の、カルボキシル末端部分を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、または5)2もしくはそれ超のドメインおよび免疫グロブリンヒンジ領域の組合せを含み得る。好ましい実施形態では、この免疫グロブリンFc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ領域CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、好ましくは、CH1ドメインを欠く。
【0098】
一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3または4)である。他のクラスの免疫グロブリン、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)およびIgM(Igμ)が、使用され得る。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号および同第5,726,044号において、詳細に議論されている。特定の結果を達成するための、特定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当該分野の技術水準の範囲内とみなされる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の部分は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部分、および好ましくは、FcガンマのCH3ドメインまたはIgA、IgD、IgEもしくはIgMのいずれかにおける相同ドメインの少なくとも一部分を含む。
【0099】
さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本明細書に開示される方法および組成物の実施において有用であり得ることが企図される。一例は、Fc受容体に対する低減された親和性を有するFcバリアントを創出するために、上のCH2領域中にアミノ酸置換を導入することである(Coleら(1997年)J.Immunol. 159巻:3613頁)。
【0100】
本出願は、操作されたまたはバリアントFc領域を有するTβRII-Fc融合タンパク質をさらに提供する。かかる抗体およびFc融合タンパク質は、例えば、抗原依存的細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)などのエフェクター機能をモジュレートする際に、有用であり得る。さらに、これらの修飾は、抗体およびFc融合タンパク質の安定性を改善し得る。これらの抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列バリアントは、DNA中に適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって、調製される。かかるバリアントは、例えば、本明細書に開示される抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列からの欠失、ならびに/またはかかるアミノ酸配列中への挿入、ならびに/またはかかるアミノ酸配列内の残基の置換を含む。欠失、挿入および置換の任意の組合せが、最終構築物が所望の特徴を有することを条件として、最終構築物に到達するために作成される。アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置を変化させるなど、抗体およびFc融合タンパク質の翻訳後プロセスもまた変更し得る。
【0101】
低減されたエフェクター機能を有する抗体およびFc融合タンパク質は、Bluestoneら(WO94/28027およびWO98/47531を参照のこと;Xuら、2000年、Cell Immunol 200巻;16~26頁もまた参照のこと)によって記載されたAla-Ala変異が含まれるがこれに限定されない変化をアミノ酸配列中に導入することによって産生され得る。したがって、ある特定の実施形態では、定常領域内にAla-Ala変異を含む変異を有する本開示の抗体およびFc融合タンパク質が、エフェクター機能を低減または無効にするために、使用され得る。これらの実施形態によれば、抗体およびFc融合タンパク質は、234位におけるアラニンへの変異もしくは235位におけるアラニンへの変異、またはそれらの組合せを含み得る。一実施形態では、この抗体またはFc融合タンパク質は、IgG4フレームワークを含み、ここで、Ala-Ala変異は、234位におけるフェニルアラニンからアラニンへの変異(複数可)および/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。別の実施形態では、この抗体またはFc融合タンパク質は、IgG1フレームワークを含み、ここで、Ala-Ala変異は、234位におけるロイシンからアラニンへの変異(複数可)および/または235位におけるロイシンからアラニンへの変異を記述する。この抗体またはFc融合タンパク質は、CH2ドメインにおける点変異K322Aを含む他の変異を、代替的にまたはさらに保有し得る(Hezarehら、2001年、J Virol.75巻:12161~8頁)。
【0102】
特定の実施形態では、この抗体またはFc融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するかまたは阻害するために修飾され得る。モジュレートされたCDC活性は、Fc領域中に1または複数のアミノ酸置換、挿入または欠失を導入することによって達成され得る(例えば、米国特許第6,194,551号を参照のこと)。あるいは、またはさらに、システイン残基(複数可)がFc領域中に導入され得、それによって、この領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。こうして生成されたホモダイマー抗体は、改善もしくは低減された内在化能および/または増加もしくは減少された補体媒介性細胞死滅を有し得る。Caronら、J. Exp Med.176巻:1191~1195頁(1992年)ならびにShopes, B. J.、Immunol.148巻:2918~2922頁(1992年)、WO99/51642、DuncanおよびWinter、Nature 322巻:738~40頁(1988年);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;ならびにWO94/29351を参照のこと。
【0103】
ある特定の実施形態では、本開示は、他のタンパク質および/もしくは他のTβRIIポリペプチド種から単離された、または他のタンパク質および/もしくは他のTβRIIポリペプチド種を他の方法で実質的に含まない(例えば、少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%含まない)、TβRIIポリペプチドの単離および/または精製された形態を利用可能にする。TβRIIポリペプチドは、一般に、組換え核酸からの発現によって産生される。
【0104】
ある特定の実施形態では、本開示は、TβRIIタンパク質の細胞外部分のコード配列を含む、可溶性TβRIIポリペプチドをコードする核酸を含む。さらなる実施形態では、本開示は、かかる核酸を含む宿主細胞にも関する。この宿主細胞は、任意の原核または真核細胞であり得る。例えば、本開示のポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母または哺乳動物細胞において、発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。したがって、本開示の一部の実施形態は、TβRIIポリペプチドを産生する方法にさらに関する。
B.TβRIIポリペプチドをコードする核酸
【0105】
ある特定の態様では、本開示は、本明細書に開示される断片、機能的バリアントおよび融合タンパク質を含むTβRIIポリペプチドのいずれかをコードする単離されたおよび/または組換え核酸を提供する。配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102は、IgG2 FcドメインまたはN末端がトランケートされたIgG1 Fcドメインに融合されたTβRII細胞外ドメインのバリアントをコードする。対象核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸は、例えば、TβRIIポリペプチドを作製するための方法において、または直接的治療剤として(例えば、アンチセンス、RNAiまたは遺伝子治療アプローチにおいて)、使用され得る。
【0106】
ある特定の態様では、TβRIIポリペプチドをコードする対象核酸は、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102のバリアントである核酸を含むことが、さらに理解される。バリアントヌクレオチド配列には、1または複数のヌクレオチド置換、付加または欠失によって異なる配列、例えば、対立遺伝子バリアントが含まれる。
【0107】
ある特定の実施形態では、本開示は、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42および44に対して少なくとも80%、85%、90%、91%。、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である、単離されたまたは組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102に対して相補的な核酸配列、ならびに配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102ならびにそのバリアントもまた、本開示の範囲内であることを理解する。さらなる実施形態では、本開示の核酸配列は、単離され得る、組換えであり得るおよび/もしくは異種ヌクレオチド配列と融合され得る、またはDNAライブラリー中にあり得る。
【0108】
他の実施形態では、本開示の核酸は、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102に示されるヌクレオチド配列、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102の相補体配列、またはそれらの断片に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列もまた含む。上で議論したように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシーの条件が変動され得ることを、容易に理解する。例えば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)におけるハイブリダイゼーションと、その後の、50℃での2.0×SSCの洗浄とを、実施することができる。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃における約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから、50℃における約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまでで、選択され得る。さらに、洗浄ステップにおける温度は、室温、約22℃での低いストリンジェンシーの条件から、約65℃での高いストリンジェンシーの条件まで増加され得る。温度および塩の両方が変動され得、または温度もしくは塩濃度は、他の変数が変化しても一定で維持され得る。一部の実施形態では、本開示は、室温での6×SSCとその後の室温での2×SSCにおける洗浄の低いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする核酸を提供する。
【0109】
遺伝子コードにおける縮重に起因して配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44および102に示される核酸とは異なる単離された核酸もまた、本開示の範囲内である。例えば、いくつかのアミノ酸は、1よりも多いトリプレットによって指定される。同じアミノ酸または同義語(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジンについて同義語である)を特定するコドンは、タンパク質のアミノ酸配列に影響を与えない「サイレント」変異を生じ得る。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列における変化をもたらすDNA配列多型が、哺乳動物細胞の間に存在すると予測される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1または複数のヌクレオチドにおけるこれらのバリエーション(ヌクレオチドの最大約3~5%)が、天然の対立遺伝子バリエーションに起因して、所与の種の個体の間に存在し得ることを理解する。あらゆるかかるヌクレオチドバリエーションおよび得られたアミノ酸多型は、本開示の範囲内である。
【0110】
TβRIIの長アイソフォームに基づく対応するバリアントが、25アミノ酸の挿入に対してC末端の隣接する位置における保存的Val-Ile置換と共に、この挿入をコードするヌクレオチド配列を含むことが、当業者によって理解される。TβRIIの長(A)または短(B)アイソフォームのいずれかに基づく対応するバリアントが、天然に存在するTβRIIアイソフォームCについて記載されたのと同じ位置で、36アミノ酸の挿入(配列番号18)をコードする108ヌクレオチドの挿入を含むバリアントヌクレオチド配列を含むこともまた、理解される(例証を参照のこと)。
【0111】
ある特定の実施形態では、本開示の組換え核酸は、発現構築物において、1または複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に適切である。多数の型の適切な発現ベクターおよび適切な調節配列が、種々の宿主細胞について、当該分野で公知である。典型的には、前記1または複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれ得るがこれらに限定されない。当該分野で公知の構成的または誘導性プロモーターが、本開示によって企図される。これらのプロモーターは、天然に存在するプロモーター、または1よりも多いプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドのように、エピソーム上で細胞中に存在し得、または発現構築物は、染色体中に挿入され得る。好ましい一実施形態では、この発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は、当該分野で周知であり、使用される宿主細胞によって変動する。
【0112】
本明細書に開示されるある特定の態様では、この対象核酸は、TβRIIポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結した発現ベクター中で提供される。調節配列は、当該分野で認識されており、TβRIIポリペプチドの発現を指向するために選択される。したがって、用語調節配列には、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメントが含まれる。例示的な調節配列は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載されている。例えば、それに作動可能に連結した場合にDNA配列の発現を制御する広範な種々の発現制御配列のいずれかが、TβRIIポリペプチドをコードするDNA配列を発現させるために、これらのベクターにおいて使用され得る。かかる有用な発現制御配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指向されるT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のプロモーター、酸ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーター、および原核もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知の他の配列、ならびにそれらの種々の組合せが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、および/または発現されることが望まれるタンパク質の型などの因子に依存し得ることを、理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびこのベクターによってコードされる任意の他のタンパク質、例えば抗生物質マーカーの発現もまた、考慮すべきである。
【0113】
本開示に含まれる組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部分を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫または哺乳動物)のいずれか、またはそれら両方における発現に適切なベクター中にライゲーションさせることによって、産生され得る。組換えTβRIIポリペプチドの産生のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下の型のプラスミドが含まれる:E.coliなどの原核細胞における発現のための、pBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミドおよびpUC由来プラスミド。
【0114】
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌におけるベクターの繁殖を促進するための原核生物配列、および真核細胞において発現される1または複数の真核生物転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちの一部は、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を促進するために、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾される。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)などのウイルスの誘導体が、真核細胞中でのタンパク質の一過的な発現のために使用され得る。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、遺伝子治療送達系の説明において以下に見出され得る。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方のための他の適切な発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第3版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年)を参照のこと。一部の例では、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現させることが望ましい場合がある。かかるバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(例えば、pVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来ベクター(例えば、pAcUW1)およびpBlueBac由来ベクター(例えば、β-gal含有pBlueBac III)が含まれる。
【0115】
ある特定の実施形態では、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)などのベクターが、CHO細胞における対象TβRIIポリペプチドの産生のために設計される。好ましい実施形態では、ベクターは、HEK-293細胞における対象TβRIIポリペプチドの産生のために設計される。明らかなように、これらの対象遺伝子構築物は、例えば、融合タンパク質またはバリアントタンパク質を含むタンパク質を、精製のために産生するために、培養物中で繁殖された細胞において、対象TβRIIポリペプチドの発現を引き起こすために使用され得る。
【0116】
本開示は、対象TβRIIポリペプチドのうちの1または複数のコード配列(例えば、配列番号26、28、30、32、34、36、38、40、42、44または102)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされた宿主細胞にも関する。この宿主細胞は、任意の原核または真核細胞であり得る。例えば、本明細書に開示されるTβRIIポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母または哺乳動物細胞において、発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0117】
したがって、本開示は、対象TβRIIポリペプチドを産生する方法にさらに関する。例えば、TβRIIポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、TβRIIポリペプチドの発現を生じさせるための適切な条件下で培養され得る。このTβRIIポリペプチドは、TβRIIポリペプチドを含む細胞および培地の混合物から分泌および単離され得る。あるいは、このTβRIIポリペプチドは、細胞質にまたは膜画分中に保持され得、細胞が回収され得、溶解され得、タンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿主細胞および培地を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。これらの対象TβRIIポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、TβRIIポリペプチドの特定のエピトープに対して特異的な抗体を用いたイムノアフィニティー精製、およびTβRIIポリペプチドに融合されたドメインと結合する薬剤を用いたアフィニティー精製(例えば、プロテインAカラムが、TβRII-Fc融合物を精製するために使用され得る)を含む、タンパク質を精製するための当該分野で公知の技術を使用して、細胞培養培地、宿主細胞またはそれら両方から単離され得る。好ましい実施形態では、このTβRIIポリペプチドは、その精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。一例として、精製は、例えば、任意の順序で、以下のうちの3つまたはそれ超を含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成され得る:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルス濾過および緩衝液交換を用いて完了され得る。
【0118】
別の実施形態では、組換えTβRIIポリペプチドの所望の部分のN末端においてポリ(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用するアフィニティークロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を可能にし得る。次いで、この精製リーダー配列は、精製されたTβRIIポリペプチドを提供するために、エンテロキナーゼによる処理によって引き続いて除去され得る(例えば、Hochuliら、(1987年)J. Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら、PNAS USA 88巻:8972頁を参照のこと)。
【0119】
融合遺伝子を作製するための技術は、周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNA断片の接続は、ライゲーションのための平滑末端または粘着末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着末端の充填、望ましくない接続を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションを使用する従来の技術に従って実施される。別の実施形態では、この融合遺伝子は、自動化DNA合成機を含む従来の技術によって合成され得る。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅が、キメラ遺伝子配列を生成するために引き続いてアニーリングされ得る2つの連続する遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを使用して実施され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年を参照のこと)。
【0120】
TβRII、TGFβ1およびTGFβ3のアンタゴニストである核酸化合物のカテゴリーの例には、アンチセンス核酸、RNAi構築物および触媒的核酸構築物が含まれる。核酸化合物は、一本鎖または二本鎖であり得る。二本鎖化合物は、オーバーハングまたは非相補性の領域もまた含み得、ここで、これらの鎖の一方または他方は、一本鎖である。一本鎖化合物は、自己相補性の領域を含み得、これは、この化合物が、二重らせん構造の領域を有する、いわゆる「ヘアピン」または「ステムループ」構造を形成することを意味する。核酸化合物は、全長TβRII核酸配列またはリガンド核酸配列の1000以下、500以下、250以下、100以下または50、35、30、25、22、20もしくは18以下のヌクレオチドからなる領域に対して相補的なヌクレオチド配列を含み得る。相補性の領域は、好ましくは、少なくとも8ヌクレオチド、および任意選択で少なくとも10または少なくとも15ヌクレオチド、例えば、15~25ヌクレオチドの間である。相補性の領域は、標的転写物のイントロン、コード配列または非コード配列、例えば、コード配列部分内に含まれ得る。一般に、核酸化合物は、約8~約500ヌクレオチドまたは塩基対長の長さ、例えば、約14~約50ヌクレオチドの長さを有する。核酸は、DNA(特に、アンチセンスとしての使用のため)、RNAまたはRNA:DNAハイブリッドであり得る。任意の1つの鎖は、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたはRNAのいずれとしても容易に分類できない修飾された形態を含み得る。同様に、二本鎖化合物は、DNA:DNA、DNA:RNAまたはRNA:RNAであり得、任意の1つの鎖はまた、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたはRNAのいずれとしても容易に分類できない修飾された形態を含み得る。核酸化合物は、骨格(ヌクレオチド間連結を含む、天然核酸中の糖-リン酸部分)または塩基部分(天然核酸のプリンまたはピリミジン部分)への1または複数の修飾を含む、種々の修飾のいずれかを含み得る。アンチセンス核酸化合物は、好ましくは、約15~約30ヌクレオチドの長さを有し、血清において、細胞において、または化合物が送達される可能性が高い場所、例えば経口送達された化合物の場合には胃において、吸入された化合物については肺において、安定性などの特徴を改善するための、1または複数の修飾を含むことが多い。RNAi構築物の場合、標的転写物に対して相補的な鎖は、一般に、RNAまたはその修飾物である。他方の鎖は、RNA、DNAまたは任意の他のバリエーションであり得る。二本鎖または一本鎖「ヘアピン」RNAi構築物の二重鎖部分は、好ましくは、Dicer基質として機能する限り、18~40ヌクレオチド長の長さ、および任意選択で約21~23ヌクレオチド長の長さを有する。触媒的または酵素的核酸は、リボザイムまたはDNA酵素であり得、修飾された形態もまた含み得る。核酸化合物は、生理学的条件下およびナンセンスまたはセンス制御がほとんどまたは全く影響を有さない濃度において細胞と接触させた場合、約50%、75%、90%またはそれ超、標的の発現を阻害し得る。核酸化合物の影響を試験するための好ましい濃度は、1、5および10マイクロモルである。核酸化合物は、例えば、血管新生に対する影響についても試験され得る。
C.抗体アンタゴニスト
【0121】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストは、抗体(TβRIIアンタゴニスト抗体)または抗体の組合せである。TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、例えば、1または複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、および/またはTβRII共受容体(例えば、ベータグリカン)を阻害および/またはそれに結合し得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せがシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力および/または標的に結合する能力は、本明細書に記載されるものなどを含むin vitroのまたは細胞ベースのアッセイで決定される。本明細書に記載するように、TβRIIアンタゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体の組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)、または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0122】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ1に結合する。本明細書で使用する場合、TGFβ1抗体(抗TGFβ1抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ1を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTGFβ1に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非TGFβ1タンパク質に対する抗TGFβ1抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ1に対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ1抗体は、異なる種由来のTGFβ1間で保存された、TGFβ1のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ1抗体は、ヒトTGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1抗体は、TGFβ1がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/またはベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ1シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ1は、TGFβ2およびTGFβ3に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、TGFβ1に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ3にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ1に結合し、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはTGFβ2およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびその使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ1に結合する多特異性抗体は、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、TGFβ1に結合する多特異性抗体は、TGFβ3にさらに結合するが、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ1抗体と、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ3、またはTGFβ2およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ1抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ2抗体を含まない。一部の実施形態では、TGFβ1抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ3抗体をさらに含むが、TGFβ2抗体は含まない。
【0123】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ2に結合する。本明細書で使用する場合、TGFβ2抗体(抗TGFβ2抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ2を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTGFβ2に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非TGFβ2タンパク質に対する抗TGFβ2抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ2に対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ2抗体は、異なる種由来のTGFβ2間で保存された、TGFβ2のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ2抗体は、ヒトTGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2抗体は、TGFβ2がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/またはベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ2シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ2は、TGFβ1およびTGFβ3に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、TGFβ2に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ1および/またはTGFβ3にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ2に結合し、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはTGFβ1およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびその使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ2抗体と、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ3、またはTGFβ1およびTGFβ3)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0124】
ある特定の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTGFβ3に結合する。本明細書で使用する場合、TGFβ3抗体(抗TGFβ3抗体)は一般に、その抗体が、TGFβ3を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTGFβ3に結合することが可能である抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非TGFβ3タンパク質に対する抗TGFβ3抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される通り、TGFβ3に対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TGFβ3抗体は、異なる種由来のTGFβ3間で保存された、TGFβ3のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TGFβ3抗体は、ヒトTGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3抗体は、TGFβ3がI型、II型および/または共受容体(例えば、TβRII、ALK5および/またはベータグリカン)に結合することを阻害し得、したがって、TGFβ3シグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害し得る。TGFβ3は、TGFβ2およびTGFβ1に対して、いくらかの配列相同性を共有することに留意すべきである。したがって、TGFβ3に結合する抗体は、一部の実施形態では、TGFβ2および/またはTGFβ1にも結合し得る。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ3に結合し、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ1、またはTGFβ2およびTGFβ1)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)にさらに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびその使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ3に結合する多特異性抗体は、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、TGFβ3に結合する多特異性抗体は、TGFβ1にさらに結合するが、TGFβ2に結合しない、またはTGFβ2に実質的に結合しない(例えば、1×10-7M超のKDでTGFβ2に結合する、または比較的控えめな結合、例えば、約1×10-8Mもしくは約1×10-9Mを有する)。一部の実施形態では、本開示は、TGFβ3抗体と、例えば、1もしくは複数のさらなるTβRIIリガンド(例えば、TGFβ2、TGFβ1、またはTGFβ2およびTGFβ1)、1もしくは複数のI型および/もしくはII型受容体(例えば、TβRIIおよびALK5)ならびに/または1もしくは複数の共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。一部の実施形態では、TGFβ3抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ2抗体を含まない。一部の実施形態では、TGFβ3抗体を含む抗体の組合せは、TGFβ1抗体をさらに含むが、TGFβ2抗体は含まない。
【0125】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTβRIIを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともTβRIIに結合する。本明細書で使用する場合、TβRII抗体(抗TβRII抗体)は一般に、その抗体が、TβRIIを標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でTβRIIに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非TβRIIタンパク質に対する抗TβRII抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacoreまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイによって測定される通り、TβRIIに対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗TβRII抗体は、異なる種由来のTβRII間で保存された、TβRIIのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗TβRII抗体は、ヒトTβRIIに結合する。一部の実施形態では、抗TβRII抗体は、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]がTβRIIに結合することを阻害し得る。一部の実施形態では、抗TβRII抗体は、TβRIIと1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗TβRII抗体と、例えば、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0126】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK5を阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともALK5に結合する。本明細書で使用する場合、ALK5抗体(抗ALK5抗体)は一般に、その抗体が、ALK5を標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でALK5に結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非ALK5タンパク質に対する抗ALK5抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacoreまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイによって測定される通り、ALK5に対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ALK5抗体は、異なる種由来のALK5間で保存された、ALK5のエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ALK5抗体は、ヒトALK5に結合する。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]がALK5に結合することを阻害し得る。一部の実施形態では、抗ALK5抗体は、ALK5と1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、II型受容体(例えば、TβRII)および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗ALK5抗体と、例えば、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、II型受容体(例えば、TβRII)および/または共受容体(例えば、ベータグリカン)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0127】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともベータグリカンを阻害する抗体である。したがって、一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト抗体または抗体の組合せは、少なくともベータグリカンに結合する。本明細書で使用する場合、ベータグリカン抗体(抗ベータグリカン抗体)は一般に、その抗体が、ベータグリカンを標的化する際に診断および/または治療剤として有用なように、十分な親和性でベータグリカンに結合する抗体を指す。ある特定の実施形態では、無関係な非ベータグリカンタンパク質に対する抗ベータグリカン抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、Biacoreまたは他のタンパク質-タンパク質相互作用もしくは結合親和性アッセイによって測定される通り、ベータグリカンに対するその抗体の結合の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、または約1%未満である。ある特定の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、異なる種由来のベータグリカン間で保存された、ベータグリカンのエピトープに結合する。ある特定の好ましい実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ヒトベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1;TGFβ2;TGFβ3;TGFβ1およびTGFβ3;TGFβ1およびTGFβ2;TGFβ2およびTGFβ3;またはTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]がベータグリカンに結合することを阻害し得る。一部の実施形態では、抗ベータグリカン抗体は、ベータグリカンと1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/またはII型受容体(例えば、TβRII)とに結合する多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。一部の実施形態では、本開示は、抗ベータグリカン抗体と、例えば、1または複数のTβRIIリガンド[例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3]、I型受容体(例えば、ALK5)および/またはII型受容体(例えば、TβRII)に結合する1または複数のさらなる抗体とを含む抗体の組合せおよびその使用に関する。
【0128】
用語抗体は、最も広い意味で本明細書で使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片が含まれるがこれらに限定されない種々の抗体構造を包含する。抗体断片とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ディアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれるがこれらに限定されない。例えば、Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~134頁;Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、(Springer-Verlag、New York)、269~315頁(1994年);WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号、同第5,587,458号および同第5,869,046号を参照のこと。本明細書に開示される抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、それと結合し、検出されることができる標識を含む(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る)。好ましい実施形態では、本開示の抗体は、単離された抗体である。ディアボディは、二価または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~134頁(2003年);およびHollingerら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6444~6448頁を参照のこと。トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)もまた、Hudsonら(2003年)Nat. Med.9巻:129~134頁に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分または抗体の軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。例えば、米国特許第6,248,516号を参照のこと。抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク質分解性の消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生が含まれるがこれらに限定されない、種々の技術によって作製され得る。
【0129】
本明細書の抗体は、任意のクラスのものであり得る。抗体のクラスとは、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域の型を指す。5つの主要なクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2へとさらに分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。
【0130】
一般に、本明細書に開示される方法における使用のための抗体は、好ましくは高い結合親和性で、その標的抗原に特異的に結合する。親和性は、KD値として表され得、固有の結合親和性を反映する(例えば、最小化された結合活性効果(avidity effect)を有する)。典型的には、結合親和性は、無細胞設定または細胞関連設定のいずれであれ、in vitroで測定される。例えば、表面プラズモン共鳴(Biacore(商標)アッセイ)、放射能標識抗原結合アッセイ(RIA)およびELISAを含む、本明細書に開示されるものを含む当該分野で公知のいくつかのアッセイのうちいずれかが、結合親和性の測定値を取得するために使用され得る。一部の実施形態では、本開示の抗体は、少なくとも、1×10-7もしくはそれより強い、1×10-8もしくはそれより強い、1×10-9もしくはそれより強い、1×10-10もしくはそれより強い、1×10-11もしくはそれより強い、1×10-12もしくはそれより強い、1×10-13もしくはそれより強い、または1×10-14もしくはそれより強いKDで、それらの標的抗原(例えば、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ2、ALK5、ベータグリカンおよびTβRII)に結合する。
【0131】
ある特定の実施形態では、KDは、以下のアッセイによって記載されるような、目的の抗体のFabバージョンおよびその標的抗原を用いて実施されるRIAによって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、滴定シリーズの未標識の抗原の存在下で、最小濃度の放射能標識された抗原(例えば、125I標識された)でFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を、抗Fab抗体コーティングされたプレートを用いて捕捉することによって、測定される[例えば、Chenら(1999年)J. Mol. Biol.293巻:865~881頁を参照のこと]。アッセイのための条件を確立するために、マルチウェルプレート(例えば、Thermo ScientificのMICROTITER(登録商標))が、捕捉抗Fab抗体(例えば、Cappel Labsのもの)で(例えば、一晩)コーティングされ、好ましくは室温(例えば、およそ23℃)で、ウシ血清アルブミンで引き続いてブロッキングされる。非吸着性プレートでは、放射能標識された抗原は、目的のFabの連続希釈と混合される[例えば、Prestaら、(1997年)Cancer Res.57巻:4593~4599頁における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する]。次いで、目的のFabは、好ましくは一晩インキュベートされるが、このインキュベーションは、平衡に達することを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)にわたって持続し得る。その後、混合物は、好ましくは室温での約1時間にわたるインキュベーションのために捕捉プレートに移される。次いで、溶液が除去され、プレートは、好ましくは、ポリソルベート20およびPBSの混合物で、数回洗浄される。プレートが乾燥したところで、シンチラント(例えば、PackardのMICROSCINT(登録商標))が添加され、プレートがガンマカウンター(例えば、PackardのTOPCOUNT(登録商標))でカウントされる。
【0132】
別の実施形態によれば、KDは、例えば、約10応答単位(RU)で固定化抗原CM5チップと共にBIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000(Biacore,Inc.、Piscataway、N.J.)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡潔に述べると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、Biacore,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化される。例えば、抗原は、およそ10応答単位(RU)のカップリングされたタンパク質を達成するために、5μl/分の流速での注入前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)になるように希釈され得る。抗原の注入後に、未反応の基を遮断するために、1Mエタノールアミンが注入される。速度論測定のために、2倍連続希釈のFab(0.78nM~500nM)が、およそ25μl/分の流速で、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))界面活性剤を含むPBS(PBST)中で注入される。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、会合および解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによって、例えば、単純な1対1 Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して計算される。平衡解離定数(KD)は、比koff/konとして計算される[例えば、Chenら、(1999年)J. Mol. Biol.293巻:865~881頁を参照のこと]。オンレート(on-rate)が、例えば上記表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオンレートは、撹拌キュベットと共にストップフロー装備分光光度計(Aviv Instruments)または8000シリーズSLM-AMINCO(登録商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される、漸増する濃度の抗原の存在下での、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光強度(例えば、励起=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)における増加または減少を測定する蛍光クエンチ技術を使用することによって決定され得る。
【0133】
TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の核酸およびアミノ酸配列、特にヒト配列は、当該分野で周知であり、したがって、本開示に従う使用のための抗体アンタゴニストは、当該分野の知識および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者によって慣用的に作製され得る。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残部が異なる供給源または種に由来する抗体を指す。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851~6855頁に記載されている。一部の実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギまたは非ヒト霊長類、例えばサル由来の可変領域)およびヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変化されている「クラススイッチされた」抗体である。一般に、キメラ抗体には、その抗原結合性断片が含まれる。
【0135】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるキメラ抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体とは、非ヒト超可変領域(HVR)由来のアミノ酸残基と、ヒトフレームワーク領域(FR)由来のアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。「ヒト化形態」の抗体、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0136】
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、AlmagroおよびFransson(2008年)Front. Biosci.13巻:1619~1633頁で概説されており、例えば、Riechmannら、(1988年)Nature 332巻:323~329頁;Queenら(1989年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86巻:10029~10033頁;米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号および同第7,087,409号;Kashmiriら、(2005年)Methods 36巻:25~34頁[SDR(a-CDR)移植を記載している];Padlan、Mol. Immunol.(1991年)28巻:489~498頁(「表面再構成(resurfacing)」を記載している);Dall’Acquaら(2005年)Methods 36巻:43~60頁(「FRシャッフリング」を記載している);Osbournら(2005年)Methods 36巻:61~68頁;ならびにKlimkaら、Br. J. Cancer(2000年)83巻:252~260頁(FRシャッフリングへの「誘導選択(guided selection)」アプローチを記載している)にさらに記載されている。
【0137】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」方法を使用して選択されたフレームワーク領域[例えば、Simsら(1993年)J. Immunol.151巻:2296頁を参照のこと];特定の下位群の軽鎖または重鎖可変領域のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域[例えば、Carterら(1992年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:4285頁;およびPrestaら(1993年)J. Immunol.、151巻:2623頁を参照のこと];ヒト成熟(体細胞性に変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域[例えば、AlmagroおよびFransson(2008年)Front. Biosci.13巻:1619~1633頁を参照のこと];およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域[例えば、Bacaら、(1997年)J. Biol. Chem.272巻:10678~10684頁;およびRosokら、(1996年)J. Biol. Chem.271巻:22611~22618頁を参照のこと]が含まれるがこれらに限定されない。
【0138】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該分野で公知の種々の技術を使用して産生され得る。ヒト抗体は、van Dijkおよびvan de Winkel(2001年)Curr. Opin. Pharmacol.5巻:368~74頁およびLonberg(2008年)Curr. Opin. Immunol.20巻:450~459頁に一般に記載されている。
【0139】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体、またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原(例えば、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2またはTGFβ3ポリペプチド)を投与することによって調製され得る。かかる動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換える、または染色体外に存在する、もしくは動物の染色体中にランダムに組み込まれる、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部分を含む。かかるトランスジェニック動物では、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に不活化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を取得するための方法の概説については、例えば、Lonberg(2005年)Nat. Biotechnol.23巻:1117~1125頁;米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)テクノロジーを記載している);米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)テクノロジーを記載している);米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)テクノロジーを記載している);および米国特許出願公開第2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)テクノロジーを記載している)を参照のこと。かかる動物によって生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾され得る。
【0140】
本明細書に提供されるヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によっても作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株は、記載されている[例えば、Kozbor、J. Immunol.、(1984年)133巻:3001頁;Brodeurら(1987年)Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51~63頁、Marcel Dekker, Inc.、New York;およびBoernerら(1991年)J. Immunol.、147巻:86頁を参照のこと]。ヒトB細胞ハイブリドーマテクノロジーを介して生成されたヒト抗体がまた、Liら、(2006年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、103巻:3557~3562頁に記載されている。さらなる方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載している)およびNi、Xiandai Mianyixue(2006年)26巻(4号):265~268頁(2006年)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載している)に記載されたものが含まれる。ヒトハイブリドーマテクノロジー(トリオーマ(Trioma)テクノロジー)がまた、VollmersおよびBrandlein(2005年)Histol. Histopathol.、20巻(3号):927~937頁(2005年)ならびにVollmersおよびBrandlein(2005年)Methods Find Exp. Clin. Pharmacol.、27巻(3号):185~91頁に記載されている。
【0141】
本明細書に提供されるヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。次いで、かかる可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わされ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は、本明細書に記載されている。
【0142】
例えば、本開示の抗体は、所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特徴を有する抗体についてかかるライブラリーをスクリーニングするための種々の方法は、当該分野で公知である。かかる方法は、例えば、Hoogenboomら(2001年)、Methods in Molecular Biology 178巻:1~37頁、O’Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.に概説され、例えば、McCaffertyら(1991年)Nature 348巻:552~554頁;Clacksonら、(1991年)Nature 352巻:624~628頁;Marksら(1992年)J. Mol. Biol.222巻:581~597頁;MarksおよびBradbury(2003年)、Methods in Molecular Biology 248巻:161~175頁、Lo編、Human Press、Totowa、N.J.;Sidhuら(2004年)J. Mol. Biol.338巻(2号):299~310頁;Leeら(2004年)J. Mol. Biol.340巻(5号):1073~1093頁;Fellouse(2004年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101巻(34号):12467~12472頁;ならびにLeeら(2004年)J. Immunol. Methods 284巻(1~2号):119~132頁にさらに記載されている。
【0143】
ある特定のファージディスプレイ方法では、VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリー中にランダムに組換えられ、これは次いで、Winterら(1994年)Ann. Rev. Immunol.、12巻:433~455頁に記載されるように、抗原結合性ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして、抗体断片をディスプレイする。免疫化された供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原(例えば、TβRII、TGFβ1、TGFβ2またはTGFβ3ポリペプチド)に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、ナイーブレパートリーが、Griffithsら(1993年)EMBO J、12巻:725~734頁によって記載されるように、いずれの免疫化もなしに、広範な非自己抗原およびまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローニングされ得る。最後に、ナイーブライブラリーは、HoogenboomおよびWinter(1992年)J. Mol. Biol.、227巻:381~388頁によって記載されるように、高度に可変性のCDR3領域をコードし、in vitroでの再編成を達成するために、幹細胞由来の再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用することによって、合成によっても作製され得る。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許公報には、例えば、米国特許第5,750,373号ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号および同第2009/0002360号が含まれる。
【0144】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、多特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多特異性抗体(典型的にはモノクローナル抗体)は、1または複数(例えば、2、3、4、5、6またはそれよりも多く)の抗原上の少なくとも2つ(例えば、2、3、4、5、または6もしくはそれよりも多く)の異なるエピトープに対する結合特異性を有する。
【0145】
「オクトパス抗体」を含む、3またはそれよりも多くの機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照のこと)。
【0146】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から取得された抗体を指す、即ち、この集団を構成する個々の抗体は、例えば、天然に存在する変異を含む、またはモノクローナル抗体調製物の産生の間に生じる可能なバリアント抗体を除いて、同一である、および/または同じエピトープに結合し、かかるバリアントは一般に、微量で存在する。異なるエピトープに対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の特徴を、抗体の実質的に均一な集団から取得されたと示すのであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈すべきではない。例えば、本発明の方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法、組換えDNA方法、ファージディスプレイ方法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法が含まれるがこれらに限定されない種々の技術によって作製され得、かかる方法、およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0147】
例えば、TβRII由来の免疫原を使用することによって、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体は、標準的なプロトコールによって作製され得る[例えば、Antibodies: A Laboratory Manual(1988年)、HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Pressを参照のこと]。哺乳動物、例えば、マウス、ハムスターまたはウサギは、免疫原性形態のTβRIIポリペプチド、抗体応答を惹起することが可能な抗原性断片、または融合タンパク質によって、免疫化され得る。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与するための技術には、担体へのコンジュゲート化または当該分野で周知の他の技術が含まれる。TβRIIポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫化の進行は、血漿または血清における抗体力価の検出によって、モニタリングされ得る。標準的なELISAまたは他のイムノアッセイが、抗体産生のレベルおよび/または結合親和性のレベルを評価するために、抗原としての免疫原と共に使用され得る。
【0148】
TβRIIの抗原性調製物による動物の免疫化後、抗血清が取得され得、所望の場合、ポリクローナル抗体が、血清から単離され得る。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)が、免疫化した動物から回収され得、ハイブリドーマ細胞を得るために、標準的な体細胞融合手順によって、骨髄腫細胞などの不死細胞と融合され得る。かかる技術は、当該分野で周知であり、これには、例えば、ハイブリドーマ技術[例えば、KohlerおよびMilstein、(1975年)Nature、256巻:495~497頁を参照]、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術[例えば、Kozbarら、(1983年)Immunology Today、4巻:72頁を参照]およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術[Coleら、(1985年)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc. 77~96頁]が含まれる。ハイブリドーマ細胞は、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離された、TβRIIポリペプチドと特異的に反応性の抗体およびモノクローナル抗体の産生について、免疫化学的にスクリーニングされ得る。
【0149】
ある特定の実施形態では、1または複数のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域中に導入され得、それによって、Fc領域バリアントを生成する。Fc領域バリアントは、1または複数のアミノ酸位置においてアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失および/または付加)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0150】
例えば、本開示は、全てではないが一部のエフェクター機能を有する抗体バリアントを企図し、それにより、このバリアントは、ある特定のエフェクター機能[例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存的細胞傷害(ADCC)]が不要または有害である、抗体のin vivo半減期がなおも重要である適用のための望ましい候補になる。in vitroおよび/またはin vivo細胞傷害性アッセイは、CDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認するために実施され得る。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(したがって、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能を保持していることを確実にするために実施され得る。ADCCを媒介するための初代細胞NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、例えば、RavetchおよびKinet(1991年)Annu. Rev. Immunol.9巻:457~492頁にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号;Hellstrom, I.ら(1986年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 83巻:7059~7063頁;Hellstrom, Iら(1985年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 82巻:1499~1502頁;米国特許第5,821,337号;およびBruggemann, M.ら(1987年)J. Exp. Med.166巻:1351~1361頁に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法が使用され得る(例えば、ACTI(商標)、フローサイトメトリーのための非放射性細胞傷害性アッセイ;CellTechnology,Inc.、Mountain View、Calif.;およびCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、Promega、Madison、Wis.)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性は、in vivoで、例えば、Clynesら(1998年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 95巻:652~656頁に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。C1q結合アッセイもまた、抗体がC1qに結合できず、したがってCDC活性を欠くことを確認するために実施され得る[例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402におけるC1qおよびC3c結合ELISAを参照のこと]。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが実施され得る[例えば、Gazzano-Santoroら(1996年)J. Immunol. Methods 202巻:163頁;Cragg, M. S.ら(2003年)Blood 101巻:1045~1052頁;ならびにCragg, M. SおよびM. J. Glennie(2004年)Blood 103巻:2738~2743頁を参照のこと]。FcRn結合およびin vivoクリアランス/半減期の決定もまた、当該分野で公知の方法を使用して実施され得る[例えば、Petkova, S. B.ら(2006年)Int. Immunol.18巻(12号):1759~1769頁を参照のこと]。
【0151】
低減されたエフェクター機能を有する本開示の抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327および329のうち1または複数の置換を有するものが含まれる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc変異体には、残基265および297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297および327のうち2またはそれよりも多くにおいて置換を有するFc変異体が含まれる(米国特許第7,332,581号)。
【0152】
ある特定の実施形態では、システイン操作された抗体、例えば、抗体の1または複数の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb(thioMAb)」を創出することが望まれ得る。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位に存在する。それによって、本明細書にさらに記載されるように、これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が、抗体のアクセス可能な部位に位置付けられ、抗体を他の部分、例えば、薬物部分またはリンカー-薬物部分にコンジュゲートしてイムノコンジュゲートを創出するために使用され得る。ある特定の実施形態では、以下の残基のうちいずれか1または複数が、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0153】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために使用される技術は、取得された抗体の特性に影響し得る。例えば、抗体が、溶液中で抗原に結合するために使用されるものである場合、溶液結合を試験することが望ましい場合がある。種々の異なる技術が、特に望ましい抗体を同定するために、抗体と抗原との相互作用を試験するために利用可能である。かかる技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore(商標)結合アッセイ、Biacore AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International,Inc.、Gaithersburg、Marylandの常磁性ビーズシステム)、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイおよび免疫組織化学が含まれる。
【0154】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体および/または結合性ポリペプチドの結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。抗体および/または結合性ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、その抗体および/もしくは結合性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。かかる修飾には、例えば、抗体および/もしくは結合性ポリペプチドのアミノ酸配列からの欠失、ならびに/またはかかるアミノ酸配列中への挿入、ならびに/またはかかるアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。欠失、挿入および置換の任意の組合せが、最終構築物が所望の特徴、例えば、標的結合(TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2および/またはTGFβ3)を有することを条件として、最終構築物に到達するために作成され得る。
【0155】
変更(例えば、置換)が、例えば、抗体親和性を改善するために、HVR中に作成され得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟プロセスの間に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury(2008年)Methods Mol. Biol.207巻:179~196頁(2008年)を参照のこと)および/またはSDR(a-CDR)において作成され得、得られたバリアントVHまたはVLは、結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築し、そこから再選択することによる親和性成熟は、当該分野で記載されている[例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology 178巻:1~37頁、O’Brienら編、Human Press、Totowa、N.J.、(2001年)を参照のこと]。親和性成熟の一部の実施形態では、多様性が、種々の方法のいずれか(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリングまたはオリゴヌクレオチド特異的変異誘発)によって、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次いで、二次ライブラリーが創出される。次いで、このライブラリーは、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法には、数個のHVR残基(例えば、1回に4~6残基)がランダム化されるHVR特異的アプローチが関与する。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデル化を使用して、具体的に同定され得る。CDR-H3およびCDR-L3が特に標的化される場合が多い。
【0156】
ある特定の実施形態では、置換、挿入または欠失は、抗原に結合する抗体の能力をかかる変更が実質的に低減させない限り、1または複数のHVR内に存在し得る。例えば、結合親和性を実質的に低減させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中に作成され得る。かかる変更は、HVR「ホットスポット」またはSDRの外側にあり得る。本明細書に提供されるバリアントVHおよびVL配列のある特定の実施形態では、各HVRのいずれかは、未変更である、または1、2もしくは3以下のアミノ酸置換を含む。
【0157】
変異誘発のために標的化され得る抗体および/または結合性ポリペプチドの残基または領域の同定に有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989年)Science、244巻:1081~1085頁によって記載されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体または結合性ポリペプチドと抗原との相互作用が影響されるかどうかを決定するために、標的残基(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lysおよびglu)の1つの残基または群が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換がそのアミノ酸位置において導入され得、初回の置換に対する機能的感受性を実証する。あるいは、またはさらに、抗原-抗体複合体の結晶構造が、抗体と抗原との間の接触点を同定するために使用され得る。かかる接触残基および隣接残基は、置換のための候補として、標的化または排除され得る。バリアントは、それらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0158】
アミノ酸配列の挿入には、1残基から100またはそれよりも多くの残基を含むポリペプチドまでの範囲の長さのアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端またはC末端の、酵素(例えば、ADEPTのため)、または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合物が含まれる。
【0159】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体および/または結合性ポリペプチドは、当該分野で公知であり容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾され得る。抗体および/または結合性ポリペプチドの誘導体化に適切な部分には、水溶性ポリマーが含まれるがこれらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(propropylene glycol)ホモポリマー、ポリプロピレンオキシド(prolypropylene oxide)/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、製造における利点を有し得る。このポリマーは、任意の分子量のものであり得、分岐または非分岐であり得る。抗体および/または結合性ポリペプチドに結合したポリマーの数は、変動し得、1つよりも多いポリマーが結合する場合、それらは、同じまたは異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または型は、改善される抗体および/または結合性ポリペプチドの特定の特性または機能、規定された条件下での治療において抗体誘導体および/または結合性ポリペプチド誘導体が使用されるかどうかが含まれるがこれらに限定されない考慮事項に基づいて決定され得る。
【0160】
本明細書に開示されるTβRIIアンタゴニスト抗体のいずれかが、所望の効果を達成する[骨髄異形成障害または骨髄異形成障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる]ために、1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。例えば、TβRIIアンタゴニスト抗体は、i)1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニスト抗体、ii)そのバリアントを含む、1または複数のTβRIIポリペプチド;iii)1または複数のTβRIIアンタゴニスト小分子;およびiv)1または複数のTβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドと組み合わせて使用され得る。
D.小分子アンタゴニスト
【0161】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストは、小分子(TβRIIアンタゴニスト小分子)または小分子の組合せである。TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、例えば、1もしくは複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、TβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)、および/または下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せがシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細書に記載されるものなどを含む細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0162】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ1の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ1の小分子インヒビターは、TGFβ3をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ2の小分子インヒビターは、TGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2の小分子インヒビターは、TGFβ2の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ2の小分子インヒビターは、TGFβ3、TGFβ1、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ3の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ2、TGFβ1、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3の小分子インヒビターは、TGFβ1をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともTβRIIを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TβRIIの小分子インヒビターは、TβRIIに結合する。一部の実施形態では、TβRIIの小分子インヒビターは、TβRIIの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIの小分子インヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともALK5を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、ALK5の小分子インヒビターは、ALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5の小分子インヒビターは、ALK5の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、ALK5の小分子インヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ2がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、少なくともベータグリカンを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、ベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、ベータグリカンの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、ベータグリカンの小分子インヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびALK5のうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。
【0163】
TβRIIアンタゴニスト小分子は、直接的または間接的インヒビターであり得る。例えば、TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3のうち少なくとも1もしくは複数、および/または1もしくは複数の下流TβRIIシグナル伝達因子(Smad)の発現(例えば、転写、翻訳、細胞分泌、またはそれらの組合せ)を阻害し得る。あるいは、直接的TβRIIアンタゴニスト小分子または小分子の組合せは、例えば、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうち1もしくは複数、または1もしくは複数の下流TβRIIシグナル伝達因子に直接結合し得る。1または複数の間接的TβRIIアンタゴニスト小分子および1または複数の直接的TβRIIアンタゴニスト小分子の組合せが、本明細書に開示される方法に従って使用され得る。
【0164】
本開示の結合性有機小分子アンタゴニストは、公知の方法論を使用して、同定および化学合成され得る(例えば、PCT公開番号WO00/00823およびWO00/39585を参照のこと)。一般に、本開示の小分子アンタゴニストは通常、サイズが約2000ダルトン未満であり、あるいは、サイズが約1500、750、500、250または200ダルトン未満であり、かかる有機小分子は、好ましくは、具体的には本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、TβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)に結合することが可能である。かかる小分子アンタゴニストは、周知の技術を使用して過度の実験なしに同定され得る。これに関して、ポリペプチド標的に結合することが可能な分子について有機小分子ライブラリーをスクリーニングするための技術は、当該分野で周知であることに留意されたい(例えば、国際特許公開番号WO00/00823およびWO00/39585を参照のこと)。
【0165】
本開示の結合性有機小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、N-置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カルボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハライド、アリールスルホン酸、アルキルハライド、スルホン酸アルキル、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物および酸塩化物であり得る。
【0166】
本明細書に開示されるTβRIIアンタゴニスト小分子のいずれかは、所望のものを達成するために、1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。例えば、TβRIIアンタゴニスト小分子は、i)1もしくは複数のさらなるTβRIIアンタゴニスト小分子、ii)本明細書に開示される1もしくは複数のTβRIIアンタゴニスト抗体;iii)そのバリアントを含む、1もしくは複数のTβRIIポリペプチド;および/またはiv)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドと組み合わせて使用され得る。
E.アンタゴニストポリヌクレオチド
【0167】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法および使用に従って使用されるTβRIIアンタゴニストは、ポリヌクレオチド(TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド)またはポリヌクレオチドの組合せである。TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、例えば、1または複数のTβRIIリガンド(例えば、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)、TβRII受容体、TβRII関連I型受容体(例えば、ALK5)、TβRII関連共受容体(例えば、ベータグリカン)、および/または下流シグナル伝達成分(例えば、Smad)を阻害し得る。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せがシグナル伝達(例えば、Smadシグナル伝達)を阻害する能力は、本明細書に記載されるものなどを含む細胞ベースのアッセイで決定される。TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板血症)および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)または骨髄増殖性障害および/もしくはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるために、単独で、または1もしくは複数のさらなる支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0168】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTGFβ1を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1に結合する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2、TGFβ3、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ1のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTGFβ2を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2に結合する。一部の実施形態では、TGFβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ2のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3、TGFβ1、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTGFβ3を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3に結合する。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ3の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2、TGFβ1、TβRII、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TGFβ3のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1をさらに阻害するが、TGFβ2を阻害しない、またはTGFβ2を実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともTβRIIを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、TβRIIのポリヌクレオチドインヒビターは、TβRIIに結合する。一部の実施形態では、TβRIIのポリヌクレオチドインヒビターは、TβRIIの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、TβRIIのポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、ALK5およびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がTβRIIに結合することを阻害するが、TGFβ2がTβRIIに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がTβRIIに結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともALK5を阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、ALK5のポリヌクレオチドインヒビターは、ALK5に結合する。一部の実施形態では、ALK5のポリヌクレオチドインヒビターは、ALK5の発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、ALK5のポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびベータグリカンのうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ2がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がALK5に結合することを阻害するが、TGFβ2がALK5に結合することを阻害しない、またはTGFβ2がALK5に結合することを実質的に阻害しない。ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、少なくともベータグリカンを阻害する(例えば、Smadシグナル伝達の阻害)。したがって、一部の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、ベータグリカンに結合する。一部の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、ベータグリカンの発現(例えば、転写、翻訳、分泌、またはそれらの組合せ)を阻害する。一部の実施形態では、ベータグリカンのポリヌクレオチドインヒビターは、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、TβRIIおよびALK5のうち1または複数をさらに阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害する。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。一部の実施形態では、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組合せは、TGFβ1およびTGFβ3がベータグリカンに結合することを阻害するが、TGFβ2がベータグリカンに結合することを阻害しない、またはTGFβ2がベータグリカンに結合することを実質的に阻害しない。
【0169】
本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アンチセンス核酸、RNAi分子[例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、microRNA(miRNA)]、アプタマーおよび/またはリボザイムであり得る。ヒトTβRII、ALK5、ベータグリカン、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の核酸およびアミノ酸配列は、当該分野で公知であり、したがって、本開示の方法に従う使用のためのポリヌクレオチドアンタゴニストは、当該分野の知識および本明細書に提供される教示に基づいて、当業者によって慣用的に作製され得る。
【0170】
例えば、アンチセンステクノロジーは、アンチセンスDNAもしくはRNAを介して、または三重らせん形成を介して、遺伝子発現を制御するために使用され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano(1991年)J. Neurochem.56巻:560頁;Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1988年)で議論されている。三重らせん形成は、例えば、Cooneyら(1988年)Science 241巻:456頁;およびDervanら、(1991年)Science 251巻:1300頁で議論されている。これらの方法は、相補的DNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。一部の実施形態では、アンチセンス核酸は、所望の遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部分に対して相補的である一本鎖RNAまたはDNA配列を含む。しかし、完全な相補性は、好ましくはあるが、必要ではない。
【0171】
本明細書でいう「RNAの少なくとも一部分に対して相補的」な配列とは、RNAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成することができるのに十分な相補性を有する配列を意味する;したがって、本明細書に開示される遺伝子の二本鎖アンチセンス核酸の場合、二重鎖DNAの単一の鎖が試験され得る、または三重鎖形成がアッセイされ得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が大きいほど、その核酸が含み得る、安定な二重鎖(または、場合によっては三重鎖)をなおも形成し得る、RNAとの塩基ミスマッチは多くなる。当業者は、ハイブリダイズした複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用によって、ミスマッチの容認できる程度を確認できる。
【0172】
メッセージの5’末端、例えば、AUG開始コドンまでかつそれを含む5’非翻訳配列に対して相補的であるポリヌクレオチドは、翻訳を阻害する際に最も効率的に機能するはずである。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に対して相補的な配列が、mRNAの翻訳を阻害する際に同様に有効であることが示されている[例えば、Wagner, R.、(1994年)Nature 372巻:333~335頁を参照のこと]。したがって、本開示の遺伝子の5’非翻訳または3’非翻訳のいずれかの非コード領域に対して相補的なオリゴヌクレオチドは、内因性mRNAの翻訳を阻害するために、アンチセンスアプローチにおいて使用され得る。mRNAの5’非翻訳領域に対して相補的なポリヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。mRNAコード領域に対して相補的なアンチセンスポリヌクレオチドは、翻訳のあまり効率的でないインヒビターであるが、本開示の方法に従って使用され得る。本開示のmRNAの5’非翻訳領域、3’非翻訳領域またはコード領域のいずれにハイブリダイズするように設計されても、アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長でなければならず、好ましくは、6~約50ヌクレオチド長の範囲のオリゴヌクレオチドである。具体的な態様では、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである。
【0173】
一実施形態では、本開示のアンチセンス核酸は、外因性配列からの転写によって細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその一部分が転写されて、本開示の遺伝子のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。かかるベクターは、所望のアンチセンス核酸をコードする配列を含む。かかるベクターは、所望のアンチセンスRNAを産生するためにそれが転写され得る限り、エピソーム性のままであり得る、または染色体に組み込まれ得る。かかるベクターは、当該分野において標準的な組換えDNAテクノロジー方法によって構築され得る。ベクターは、脊椎動物細胞における複製および発現に使用される、プラスミド、ウイルス、または当該分野で公知の他のものであり得る。本開示の所望の遺伝子をコードする配列またはその断片の発現は、脊椎動物、好ましくはヒト細胞において作用することが当該分野において公知の任意のプロモーターによるものであり得る。かかるプロモーターは、誘導性または構成的であり得る。かかるプロモーターには、SV40初期プロモーター領域[例えば、BenoistおよびChambon(1981年)Nature 29巻:304~310頁を参照のこと]、ラウス肉腫ウイルスの長い3’末端反復配列中に含まれるプロモーター[例えば、Yamamotoら(1980年)Cell 22巻:787~797頁を参照のこと]、ヘルペスチミジンプロモーター[例えば、Wagnerら(1981年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.78巻:1441~1445頁を参照のこと]、およびメタロチオネイン遺伝子の調節配列[例えば、Brinsterら(1982年)Nature 296巻:39~42頁を参照のこと]が含まれるがこれらに限定されない。
【0174】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンタゴニストは、1または複数の遺伝子の発現を標的化する干渉RNAまたはRNAi分子である。RNAiとは、標的化されたmRNAの発現を干渉するRNAの表現を指す。具体的には、RNAiは、siRNA(低分子干渉RNA)を介して特異的mRNAと相互作用することを介して、標的化された遺伝子をサイレンシングする。次いで、dsRNA複合体は、細胞による分解のために標的化される。siRNA分子は、十分に相補的(例えば、遺伝子に対して少なくとも80%の同一性)である標的遺伝子の発現を干渉する、10~50ヌクレオチド長の二本鎖RNA二重鎖である。一部の実施形態では、このsiRNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列に対して少なくとも85、90、95、96、97、98、99または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0175】
さらなるRNAi分子には、低分子ヘアピンRNA(shRNA);また、低分子干渉ヘアピンおよびmicroRNA(miRNA)が含まれる。shRNA分子は、ループによって接続された、標的遺伝子由来のセンス配列およびアンチセンス配列を含む。このshRNAは、核から細胞質中に輸送され、mRNAに沿って分解される。Pol IIIまたはU6プロモーターは、RNAiのためのRNAを発現させるために使用され得る。Paddisonら[Genes & Dev.(2002年)16巻:948~958頁、2002年]は、RNAiをもたらすための手段として、ヘアピンへと折り畳まれた小さいRNA分子を使用している。したがって、かかる低分子ヘアピンRNA(shRNA)分子もまた、本明細書に記載される方法において有利に使用される。機能的shRNAのステムおよびループの長さは変動する;ステムの長さは、約25~約30ntの範囲のどこかであり得、ループサイズは、サイレンシング活性に影響を与えることなしに、4~約25ntの間の範囲であり得る。任意の特定の理論によって束縛されることは望まないが、これらのshRNAは、DICER RNaseの二本鎖RNA(dsRNA)産物と似ており、いずれにしても、特異的遺伝子の発現を阻害する同じ能力を有すると考えられる。このshRNAは、レンチウイルスベクターから発現され得る。miRNAは、「ステム-ループ」構造を特徴とするプレmiRNAとして最初に転写され、引き続いて、RISCを介したさらなるプロセシングの後に成熟miRNAへとプロセシングされる、約10~70ヌクレオチド長の一本鎖RNAである。
【0176】
siRNAが含まれるがこれに限定されない、RNAiを媒介する分子は、化学合成によって(Hohjoh、FEBS Lett 521巻:195~199頁、2002年)、dsRNAの加水分解によって(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:9942~9947頁、2002年)、T7 RNAポリメラーゼを用いたin vitro転写によって(Donzeetら、Nucleic Acids Res 30巻:e46頁、2002年;Yuら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:6047~6052頁、2002年)、およびE.coli RNase IIIなどのヌクレアーゼを使用する二本鎖RNAの加水分解によって(Yangら、Proc Natl Acad Sci USA 99巻:9942~9947頁、2002年)、in vitroで産生され得る。
【0177】
別の態様によれば、本開示は、デコイDNA、二本鎖DNA、一本鎖DNA、複合体化DNA、カプセル化DNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、ネイキッドRNA、カプセル化RNA、ウイルスRNA、二本鎖RNA、RNA干渉を生じさせることが可能な分子、またはそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されないポリヌクレオチドアンタゴニストを提供する。
【0178】
一部の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドアンタゴニストは、アプタマーである。アプタマーは、標的分子、例えば、TβRII、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3ポリペプチドに結合し、標的分子に特異的に結合する三次構造を形成する、二本鎖DNAおよび一本鎖RNA分子を含む核酸分子である。アプタマーの生成および治療的使用は、当該分野で十分確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号を参照のこと。アプタマーについてのさらなる情報は、米国特許出願公開第20060148748号に見出され得る。核酸アプタマーは、例えば、試験管内進化法(SELEX)プロセスを介して、当該分野で公知の方法を使用して選択される。SELEXは、例えば、米国特許第5,475,096号、同第5,580,737号、同第5,567,588号、同第5,707,796号、同第5,763,177号、同第6,011,577号および同第6,699,843号に記載されるような、標的分子に対する高度に特異的な結合を有する核酸分子のin vitro進化のための方法である。アプタマーを同定するための別のスクリーニング方法は、米国特許第5,270,163号に記載されている。このSELEXプロセスは、種々の2次元および3次元構造を形成する核酸の能力、ならびに他の核酸分子およびポリペプチドを含む、モノマーであれポリマーであれ実質的に任意の化学化合物とのリガンドとして作用する(特異的結合対を形成する)ためにヌクレオチドモノマー内で利用可能な化学的多用途性に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が、標的として機能し得る。このSELEX方法には、所望の結合親和性および選択性を達成するために同じ一般的選択スキームを使用する、候補オリゴヌクレオチドの混合物からの選択、ならびに結合、分離および増幅の段階的反復が関与する。ランダム化された配列のセグメントを含み得る核酸の混合物から開始して、このSELEX方法は、結合に好都合な条件下で、混合物を標的と接触させるステップ;標的分子に特異的に結合した核酸から、未結合の核酸を分離するステップ;核酸-標的複合体を解離させるステップ;核酸-標的複合体から解離された核酸を増幅して、核酸のリガンド富化された混合物を得るステップを含む。結合、分離、解離および増幅のステップは、標的分子に対する高度に特異的な高親和性の核酸リガンドを得るために、必要に応じて最初から最後まで何度でも反復される。
【0179】
典型的には、かかる結合性分子は、動物に別々に投与されるが[例えば、O’Connor(1991年)J. Neurochem.56巻:560頁を参照のこと]、かかる結合性分子はまた、宿主細胞によって取り込まれたポリヌクレオチドからin vivoで発現され得、in vivoで発現され得る[例えば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1988年)を参照のこと]。
【0180】
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドのいずれかは、所望の効果を達成するために、1または複数のさらなるTβRIIアンタゴニストと組み合わされ得る。例えば、TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドは、i)1もしくは複数のさらなるTβRIIアンタゴニストポリヌクレオチド、ii)そのバリアントを含む、1もしくは複数のTβRIIポリペプチド;iii)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニスト抗体;および/またはiv)1もしくは複数のTβRIIアンタゴニスト小分子と組み合わせて使用され得る。
5.スクリーニングアッセイ
【0181】
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ-TβRIIシグナル伝達経路のアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための、TβRIIポリペプチド(例えば、可溶性TβRIIポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物は、in vitroでTGFβシグナル伝達活性をモジュレートするそれらの能力を評価するために、試験され得る。任意選択で、これらの化合物は、in vivoで組織成長をモジュレートするそれらの能力を評価するために、動物モデルにおいてさらに試験され得る。
【0182】
TGFβおよびTβRIIポリペプチドを標的化することによって組織成長をモジュレートするための治療剤についてスクリーニングするための多数のアプローチが存在する。ある特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングが、TGFβまたはTβRII媒介性の細胞シグナル伝達を乱す薬剤を同定するために、実施され得る。ある特定の実施形態では、このアッセイは、TGFβへのTβRIIポリペプチドの結合を特異的に阻害または低減させる化合物をスクリーニングおよび同定するために実施される。あるいは、このアッセイは、TGFβへのTβRIIポリペプチドの結合を増強する化合物を同定するために使用され得る。さらなる実施形態では、これらの化合物は、TGFβまたはTβRIIポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定され得る。
【0183】
種々のアッセイ形式が、本開示に照らして十分であるが、それにもかかわらず、本明細書に明示的に記載されていないアッセイ形式が、当業者によって理解される。本明細書に記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアルケミカル方法によって創出され得る。あるいは、これらの対象化合物は、in vivoまたはin
vitroで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織成長のモジュレーターとして作用するそれらの能力について試験される化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物もしくは他の生物によって産生され得(例えば、天然産物)、化学的に産生され得(例えば、ペプチド模倣物を含む小分子)、または組換え産生され得る。本発明によって企図される試験化合物には、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモンおよび核酸分子が含まれる。具体的な実施形態では、この試験薬剤は、約2,000ダルトン未満の分子量を有する小さい有機分子である。
【0184】
本発明の試験化合物は、単一の個別の実体として提供され得るか、またはコンビナトリアルケミストリーなどによって作製された、より高い複雑度のライブラリーにおいて提供され得る。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハライド、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他のクラスの有機化合物を含み得る。試験系への試験化合物の提示は、特に初期スクリーニングステップでは、単離された形態の化合物でまたは化合物の混合物としてのいずれかであり得る。任意選択で、これらの化合物は、他の化合物で任意選択で誘導体化され得、化合物の単離を促進する誘導体化基を有し得る。誘導体化基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン(digoxygenin)、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁性ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化可能なクロスリンカーまたはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0185】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、ハイスループットアッセイが、所与の期間に調査される化合物の数を最大化するために、望ましい。精製または半精製のタンパク質を用いて誘導され得るものなどの無細胞系で実施されるアッセイは、迅速な開発と試験化合物によって媒介される分子標的における変更の比較的容易な検出とを可能にするように生み出され得るという点で、「一次」スクリーニングとして好ましいことが多い。さらに、試験化合物の細胞毒性またはバイオアベイラビリティの影響は、一般に、in vitroの系では無視され得、その代わりに、このアッセイは、TβRIIポリペプチドとTGFβとの結合親和性の変更として現れ得るような、分子標的に対する薬物の影響に主に焦点を当てる。
【0186】
単に例示するために、本発明の例示的なスクリーニングアッセイでは、目的の化合物は、通常はTGFβと結合することが可能な単離および精製されたTβRIIポリペプチドと接触させられる。次いで、化合物およびTβRIIポリペプチドの混合物に、TβRIIリガンドを含む組成物が添加される。TβRII/TGFβ複合体の検出および定量化は、TβRIIポリペプチドとTGFβとの複合体形成を阻害(または強化)する際の化合物の効力を決定するための手段を提供する。この化合物の効力は、種々の濃度の試験化合物を使用して取得されたデータから、用量反応曲線を生成することによって評価され得る。さらに、対照アッセイもまた、比較のためのベースラインを提供するために実施され得る。例えば、対照アッセイでは、単離および精製されたTGFβが、TβRIIポリペプチドを含む組成物に添加され、TβRII/TGFβ複合体の形成が、試験化合物の非存在下で定量化される。一般に、反応物が混合され得る順序は、変動され得、同時に混合され得ることが理解される。さらに、精製されたタンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物が、適切な無細胞アッセイ系を提供するために使用され得る。
【0187】
TβRIIポリペプチドとTGFβとの複合体形成は、種々の技術によって検出され得る。例えば、複合体の形成のモジュレーションは、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出により、例えば、検出可能に標識されたタンパク質、例えば、放射能標識された(例えば、32P、35S、14Cもしくは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC)、または酵素的に標識されたTβRIIポリペプチドまたはTGFβを使用して、定量化され得る。
【0188】
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質との相互作用の程度を、直接的または間接的にのいずれかで測定する際の、蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、他の様式の検出、例えば、光導波路(PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサーおよび表面力センサーに基づくものが、本発明の多くの実施形態と適合性である。
【0189】
さらに、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質との相互作用を破壊または強化する薬剤を同定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用トラップアッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993年)Cell 72巻:223~232頁;Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻:12046~12054頁;Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920~924頁;およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693~1696頁)を参照のこと。具体的な実施形態では、本発明は、TβRIIポリペプチドとその結合タンパク質との相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための逆ツーハイブリッドシステムの使用を企図する。例えば、VidalおよびLegrain、(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919~29頁;VidalおよびLegrain、(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374~81頁;ならびに米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号を参照のこと。
【0190】
ある特定の実施形態では、これらの対象化合物は、本発明のTβRIIまたはTGFβポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定される。化合物とTβRIIまたはTGFβポリペプチドとの相互作用は、共有結合または非共有結合であり得る。例えば、かかる相互作用は、光架橋、放射能標識されたリガンド結合およびアフィニティークロマトグラフィーを含むin vitroの生化学的方法を使用して、タンパク質レベルで同定され得る(Jakoby WBら、1974年、Methods in Enzymology 46巻:1頁)。特定の場合には、これらの化合物は、機構ベースのアッセイ、例えば、TGFβまたはTβRIIポリペプチドと結合する化合物を検出するためのアッセイにおいてスクリーニングされ得る。これは、固相または液相結合事象を含み得る。あるいは、TGFβまたはTβRIIポリペプチドをコードする遺伝子は、細胞中にレポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質)と共にトランスフェクトされ得、好ましくはハイスループットスクリーニングによってライブラリーに対してスクリーニングされ得、またはライブラリーの個々のメンバーを用いてスクリーニングされ得る。他の機構ベースの結合アッセイ、例えば、自由エネルギーにおける変化を検出する結合アッセイが、使用され得る。結合アッセイは、ウェル、ビーズもしくはチップに固定された、または固定化された抗体によって捕捉された、またはキャピラリー電気泳動によって分離された標的を用いて、実施され得る。結合した
化合物は、通常は比色または蛍光または表面プラズモン共鳴を使用して、検出され得る。
【0191】
ある特定の態様では、本発明は、TGFβ媒介性の細胞シグナル伝達をモジュレート(刺激または阻害)するための方法および薬剤を提供する。したがって、同定された任意の化合物は、TGFβシグナル伝達をモジュレートするそれらの能力を確認するために、細胞または組織全体中で、in vitroまたはin vivoで試験され得る。当該分野で公知の種々の方法が、この目的のために利用され得る。
【0192】
6.例示的な治療的使用
骨髄増殖性新生物(MPN)は、異常な造血幹細胞増殖から生じ、骨髄線維症(PMF)、真性赤血球増加症(PV)および本態性血小板血症(ET)を含む[Mesa, R.A.(2013年)Leuk Lymphoma 54巻(2号):242~251頁]。ETおよびPVは、骨髄線維症(それぞれ、ET後関連骨髄線維症およびPV後関連骨髄線維症)へと進化することが可能である[Thieleら(2008年)WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC Lyon: World Health Organization、44~7頁;およびCervantesら(2009年)Blood 113巻(13号):2895~901頁]。ある特定の特有の特徴にもかかわらず、これらの骨髄線維症疾患は、血栓性および溶血性合併症を発症し、急性脊髄性白血病へと進行するそれらの傾向などの顕著な表現型的および臨床的共通性を有する[Spivak, J.L.(2002年)Blood 100巻:4272~4290頁;Finazziら(2007年)Blood 190巻:5104~5111頁;およびPassamnotiら(2010年)Blood 115巻:1703~1708頁]。ルキソリチニブ(例えば、ジャカビ(Jakafi))の食品医薬品局(FDA)承認の前には、造血幹細胞移植(HSCT)以外にMFの処置に関して承認された処置はなかった。疾患生物学の理解の改善が、潜在的な新しいクラスの治療学を評価する臨床試験の増加につながっている。しかしながら、脊髄増殖性障害の処置に関して、かなりの満たされていない要求が依然として残っている。
【0193】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症を含むBCR-ABL陰性骨髄増殖性新生物)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫、炎症、貧血および髄外造血)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0194】
ある特定の態様では、本開示は、ヤヌスキナーゼ関連障害(例えば、JAK2キナーゼ関連障害)またはヤヌスキナーゼ関連障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、任意選択でヤヌスキナーゼ関連障害を処置するための1または複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれから本質的になるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法によって処置または予防され得るヤヌスキナーゼ関連障害として、例えば、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症、本態性血小板血症後骨髄線維症およびCML)、ヤヌスキナーゼ関連障害と関連付けられる他の血管障害、およびヤヌスキナーゼ関連障害と関連付けられる他のクローン障害ならびにそれらか生じる合併症が挙げられる。
【0195】
本明細書で使用する場合、障害または状態を「予防する」治療薬とは、統計学的試料において、未処置の対照試料と比較して、処置した試料において障害もしくは状態の発生を低減させ、あるいは未処置の対照試料と比較して、障害もしくは状態の1もしくは複数の症状の発症を遅延またはその重症度を低減させる化合物を指す。
【0196】
用語「処置する」は、本明細書で使用する場合、状態が一旦確立された後の、その状態の寛解または排除を含む。いずれの場合にも、予防または処置は、医師または他の健康ケア提供者によって提供される診断および治療剤の投与の意図した結果において、識別され得る。
【0197】
概して、本開示において記載するような疾患もしくは状態の処置または予防は、TβRIIアンタゴニストを有効量で投与するステップによって達成される。作用物質の有効量は、必要な投与量および期間での所望の治療上または予防上の結果を達成するのに有効な量を指す。本開示の作用物質の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに作用物質の、個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に応じて様々であり得る。予防有効量は、必要な投与量および期間での所望の予防上の結果を達成するのに有効な量を指す。
【0198】
骨髄線維症は、一般的にますますの無効造血、髄外造血、様々な炎症性合併症、およびに寿命の短縮をもたらす進行性骨髄線維症を特徴とするクローン腫瘍性障害である[Mascarenhasら(2012年)Curr Med Chem 19巻:4399~4413頁;およびVannucchiら(2011年)Hematol Am Soc Hematol Educ Prog 2011年:222~230頁]。それは、過剰な細胞が産生される骨髄の脊髄増殖性障害の1つである。異常造血細胞クローンによる線維芽細胞増殖因子などのサイトカインの産生が、コラーゲン線維症を介した結合組織による骨髄の造血組織の置換をもたらす。造血組織の減少は、新しい血液細胞を生成する患者の能力を損ない、進行性汎血球減少症、全ての血液型の不足をもたらす。しかしながら、コラーゲンの増殖、線維芽細胞および堆積は、二次的な現象であり、線維芽細胞自体は、異常細胞クローンの一部ではない。骨髄の進行性瘢痕、または線維症の結果として、造血細胞が、他の領域、特に肝臓および脾臓へ強制的に移動されるため、患者は、髄外造血を発症する。これは、これらの臓器の腫大を引き起こす。肝臓では、その状態は、肝腫と呼ばれる。脾臓の腫大は、脾腫と呼ばれ、それはまた、汎血球減少症、特に血小板減少および貧血の一因となる。また、肺およびリンパ節で発生する髄外造血の報告も見られる。髄外造血の別の合併症は、異常な形をした赤血球の存在の変形赤血球症である。骨髄線維症の一般的な臨床所見として、進行性肝脾腫、異常血球数ならびに疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、錯感覚(parasthesias)、悪液質、脾梗塞および失血などの衰弱性の症状が挙げられる。最近まで、疾患の進行に対する明らかに実証された影響による唯一の処置は、同種造血幹細胞移植alloHSCTであったが、処置関連の死亡率が高く、ほんの少数の患者だけが、この集中療法に適格である[Guptaら(2012年)Blood 120巻:1367~1379頁]。
【0199】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。特に、TβRIIアンタゴニストは、例えば無効造血、貧血、炎症、線維症(例えば、骨髄線維症、脾臓線維症髄および肝線維症)、汎血球減少症、好中球減少症、上昇したサイトカイン、凝固障害、炎症性合併症、IL-6媒介性の炎症または炎症性合併症、血小板減少症、髄外造血(例えば、脾臓髄外造血、肝髄外造血、肺髄外造血およびリンパ髄外造血)、肝腫、脾腫、骨硬化症、骨骨髄線維症、変形赤血球症、疲労、体重減少、寝汗、発熱、掻痒症、骨痛、早期満腹、腹痛または腹部不快感、関節痛、筋肉痛、錯感覚、悪液質、脾梗塞および失血を含む骨髄線維症の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0200】
原発性骨髄線維症(PMF)の現在の診断は、World Health Organization(WHO)基準に基づいており、臨床的および研究室的特徴の複合評価を含む[Tefferi Aら(2007年)Blood.110巻:1092~1097頁]。3つのWHO診断一次基準がある:1)レチクチンおよび/またはコラーゲン線維症のいずれかを伴うか、あるいはレチクリンの非存在下での巨核球増殖および異型(異常な核/細胞質比、ならびに多染色体性および不規則に折り畳まれた核、ならびに高密度クラスター形成を伴う小~大の巨核球)(巨大核細胞の変化は、骨髄細胞性の増加、顆粒球増殖および多くの場合、赤血球生成増殖(即ち、前線維性原発性骨髄線維症の減少を伴わなくてはならない))、2)慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症、脊髄異形成症候群または他の骨髄新生物に関するWHO基準を満たさないこと、ならびに3)JAK2V617Fもしくは他のクローンマーカーの実証、または反応性骨髄線維症の根拠がないこと。さらに、4つのWHO診断小規模基準がある:1)血球赤芽球症、2)血清LDHレベルの増加、3)貧血、および4)触知可能な脾腫。末梢血白赤芽球症(即ち、有核赤血球、未熟顆粒球および涙滴赤血球の存在)は、PMFの典型であるが、不変的な特徴ではなく、前線維性PMFは、顕性白赤芽球症を示さない場合もある[Kvasnickaら(2010年)Am J Hematol.85巻:62~69頁]。PMFにおける骨髄線維症は、通常JAK2V617Fまたは変異CALR、またはMPL、トリソミー9またはdel(13q)と関連付けられる[Husseinら(2009年)Eur J Haematol.82巻:329~338頁]。したがって、これらの遺伝子マーカーの存在は、骨髄線維症と関連付けられる骨髄新生物の存在下で、PMFの診断を強力に支持する。ある特定の態様では、本開示は、原発性骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関し、特に原発性骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる。
【0201】
真性赤血球増加症後骨髄線維症(PV後MF)および本態性血小板血症後骨髄線維症(ET後MF)の現在の診断は、International Working Group for MPN Research and Treatment(IWG-MRT)によって発表された基準に基づく[Barosi Gら(2008年)Leukemia.22巻:437~438頁]。PV後MFに関しては、2つのIWG-MRT一次基準がある:1)WHO基準によって規定されるような真性赤血球増加症の以前の診断の証拠書類、および2)欧州分類に従う骨髄線維症グレード2~3(0~3のスケールで)またはグレード3~4(0~4のスケールで)。欧州分類に従うグレード2~3:膠原化の根拠を有さないびまん性、多くの場合粗線維ネットワーク(陰性トリクローム染色)または膠原化の領域を有するびまん性の粗線維ネットワーク(陽性トリクローム染色)[Thieleら(2005年)Haematologica.90巻:1128~1132頁]。標準分類に従うグレード3~4:時々コラーゲンの限局性線維束のみおよび/または限局性骨硬化症を有する広範な交差を伴うレチクリンのびまん性かつ高密度の増加、あるいは多くの場合、かなりの骨硬化症と関連付けられるコラーゲンの粗線維束を有する広範な交差を伴うレチクリンのびまん性かつ高密度の増加[Manoharanら(1979年)Br J Haematol 43巻:185~190頁]。さらに、4つのIWG-MRT診断二次基準があり、そのうちの2つは、PV後MF診断に関するIWG-MRT一次基準とともに患者において検出されなければならない:1)貧血または細胞減少療法の非存在下での静脈切開の要件の持続的な損失、2)白赤芽球性末梢血液像、3)5cm以上の触知可能な脾腫の増加、または新たな触知可能な脾腫の出現のいずれかとして規定される脾腫の増加、4)3つの全身症状:6ヵ月以内での10%を超える体重減少、寝汗、原因不明の発熱のうちの1つ以上の発症。ET後MFに関して2つのIWG-MRT一次基準がある:1)WHO基準によって規定されるような真性赤血球増加症の以前の診断の証拠書類、2)骨髄線維症グレード2~3(0~3のスケールで)またはグレード3~4(0~4のスケールで)。さらに、5つのIWG-MRT診断二次基準があり、そのうちの2つは、ET後MF診断に関するIWG-MRT一次基準とともに患者において検出されなければならない:1)貧血およびベースラインヘモグロビンレベルから2g/dL以上の減少、2)白赤芽球性末梢血液像、3)5cm以上の触知可能な脾腫の増加、または新たな触知可能な脾腫の出現のいずれかとして規定される脾腫の増加、4)乳酸脱水素酵素の増加、ならびに5)3つの全身症状:6ヵ月以内での10%を超える体重減少、寝汗、原因不明の発熱のうちの1つ以上の発症。ある特定の態様では、本開示は、真性赤血球増加症後骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関し、特に真性赤血球増加症後骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる。ある特定の態様では、本開示は、真本態性血小板血症後骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関し、特に本態性血小板血症後骨髄線維症の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる。
【0202】
骨髄線維症における頑強な予後モデリングは、2009年に国際予後スコアリングシステム(IPSS)の開発から始まった[Cervantes Fら(2009年)Blood 113巻:2895~2901頁]。骨髄線維症に関するIPSSは、初期診断時に評価されている患者に適用可能であり、下生存の5つの独立予測因子を使用する:年齢>65歳、ヘモグロビン<10g/dL、白血球数>25×109個/L、循環芽細胞≧1%および全身症状の存在。0個、1個、2個および3個以上の有害因子の存在は、それぞれ、低、中間-1、中間-2、および高リスクの疾患を規定する。相当する生存期間中央値は、それぞれ、11.3年、7.9年、4年および2.3年であった。ある特定の態様では、本開示は、IPSSに従う低、中間-1、中間-2、および/または高リスクの骨髄線維症を有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、IPSSに従う骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、IPSSに従う低から中間-1のリスクへの、中間-1から中間-2のリスクへの、および/もしくは中間-2から高リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)。一部の実施形態では、本開示は、IPSSに従う骨髄線維症の危険性の後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、IPSSに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスクへの、および/もしくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)。
【0203】
続いて、IWG-MRTは、IPSSにおいて使用される同じ予後変数を使用するが、疾患経過間にいつでも適用され得るダイナミック予後モデル(ダイナミック国際予後スコアリングシステム[DIPSS])を開発した[Passamonti Fら(2010年)Blood.115巻:1703~1708頁]。DIPSSは、ヘモグロビン<10g/dLに関しては、1つではなく、2つの有害ポイントを割り当て、リスク分類はそれに応じて修正される:低(0有害ポイント)、中間-1(1または2ポイント)、中間-2(3または4ポイント)および高(5または6ポイント)。相当する生存期間中央値は、到達せず、14.2年、4年および1.5年であった。ある特定の態様では、本開示は、DIPSSに従う低、中間-1、中間-2、および/または高リスクの骨髄線維症を有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、DIPSSに従う骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSSに従う低から中間-1のリスクへの、中間-1から中間-2のリスクへの、および/もしくは中間-2から高リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)。一部の実施形態では、本開示は、DIPSSに従う骨髄線維症の危険性の後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSSに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスクへの、および/もしくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)。
【0204】
次に、骨髄線維症における生存に関するIPSSおよびDIPSS独立リスク因子が同定され、好適でない核型(即ち、+8、-7/7q-、i(17q)、inv(3)、-5/5q-、12p-または11q23再編成)[Husseinら(2010年)Blood.115巻:496~499頁]、赤血球輸血の必要性[Tefferiら(2009年)Am J Hematol.85巻:14~17頁]および血小板数<100×109個/L[Patnaikら(2010年)Eur J Haematol.84巻:105~108頁]を含む複雑な核型または唯一もしくは2つの異常を含んでいた。したがって、DIPSSは、これらの3つのさらなるDIPSS独立リスク因子:血小板数<100×109個/L、赤血球輸血の必要性および好適でない核型を組み込むことによって、DIPSS-プラスに修正した。上述の8つのリスク因子に基づく4つのDIPSS-プラスリスクカテゴリーは、15.4年、6.5年、2.9年、および1.3年のそれぞれの生存期間中央値を有する低(リスク因子なし)、中間-1(リスク因子1つ)、中間-2(リスク因子2つまたは3つ)および/または高(4つを超えるリスク因子)である。ある特定の態様では、本開示は、DIPSS-プラスに従う低、中間-1、中間-2、および/または高リスクの骨髄線維症を有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、DIPSS-プラスに従う骨髄線維症のリスクの進行を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSS-プラスに従う低から中間-1リスクへの、中間-1から中間-2リスクへの、および/もしくは中間-2から高リスクへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)。一部の実施形態では、本開示は、DIPSS-プラスに従う骨髄線維症の危険性の後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、DIPSS-プラスに従う高から中間-2のリスクへの、中間-2から中間-1のリスクへの、および/もしくは中間-1から低リスクへの後退を促進する、または増加させる)。
【0205】
DIPSS-プラスの発表以来、さらなる予後情報を示唆するいくつかの研究が発表された。例えば、骨髄線維症における80%を超える2年死亡率は、モノソーム核型、inv(3)/i(17q)、または循環芽細胞>9%、白血球≧40×109個/Lもしくは他の好適でない核型のうちのいずれか2つによって予測された[Tefferiら(2011年)Blood.118巻:4595~4598頁]。同様に、骨髄線維症における下生存は、JAK2 46/1ハプロタイプに関するヌル欠損、低JAK2V617F対立遺伝子負荷、またはIDH、EZH2、SRSF2もしくはASXL1変異の存在に関連付けられている[Tefferi、Ayalew(2014年)Am.J.Hematol.89巻:916~925頁]。対照的に、JAK2V617F、MPLまたはTET2変異の存在または非存在は、生存に影響を及ぼさないようであった。骨髄線維症における生存はまた、血清IL-8およびIL-2Rレベルならびに無血清軽鎖レベルの増加によって影響され、ともにDIPSS-プラスから独立していた。つい最近では、Tefferiらは、骨髄線維症を有する254名の患者を研究し、3つ全ての変異(即ち、トリプルネガティブ)について、JAK2に関して58%、CALRに関して25%、MPLに関して8%、および野生型に関して9%の変異頻度を報告した[Tefferiら(2014年)Leukemia.DOI 10.1038/leu.2014.3として予定日前に出版された]。JAK2/MPL非変異の事例におけるCALR変異頻度は、74%であった。CALR変異は、若年、より高い血小板数およびより低いDIPSS-プラススコアと関連付けられた。CALR変異患者はまた、貧血性である可能性が低いか、輸血を必要とする可能性が低いか、または白血球増加症を示す可能性が低かった。スプライソソーム変異は、CALR変異患者においては稀であった。570名の患者の続く国際的研究において、CALR+ASXL1-患者における最も長い生存(中央値10.4年)およびCALR-ASXL1+患者における最も短い生存(中央値2.3年)を著者らは報告した[Tefferiら(2014年)、Leukemia.DOI 10.1038/leu.2014.57として予定日前に出版された]。CALR+ASXL1+およびCALR-ASXL1-患者は、中間リスクカテゴリーにおいて一緒に分類された(生存中央値5.8年)。全生存に関して明らかになってきているように、白血病を発症してない生存もまた、IDHおよびSRSF2を含むある特定の変異を保有する患者において、非常に危うい[Tefferiら(2012年)Leukemia.26巻:475~480頁;Lashoら(2012年)Blood.120巻:4168~4171頁]。さらに、LNKおよびTHPOにおける変異もまた、骨髄線維症と関連付けられている。
【0206】
ある特定の態様では、本開示は、モノソーム核型、inv(3)/i(17q)異常、循環芽細胞>9%および/または白血球≧40×109個/L、JAK2 46/1ハプロタイプに関するヌル欠損、JAK2V617F変異、IDH1変異、IDH2変異、EZH2変異、SRSF2変異、ASXL1変異、血清IL-8レベルの増加、血清IL-2Rレベルの増加、遊離軽鎖レベルの増加、JAK1変異、JAK2変異、JAK3変異、TYK2変異、MPL変異、CALR変異、CALR+ASXL1-、CALR-ASKL1+、CALR+ASKL1+、CALR-ASKL1-、TET2変異、THPO変異、およびLNK変異の1もしくは複数を有する患者における骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0207】
概して、PVは、赤血球質量の増加を特徴とする[Vardimanら(2009年)Blood.114巻:937~951頁;Stuartら(2004年)Am Fam Physician 69巻:2139~2144頁;Hensleyら(2013年)Expert Opin Pharmacother 14巻:609~617頁;Passamonti F.(2012年)Blood 120巻:275~2845頁;およびVannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Med.5巻:177~184頁]。PVを有する患者は通常、赤血球だけでなく、骨髄における骨髄性および巨核球性構成成分の過剰な激増を有し、高い赤血球、白血球(WBC)および血小板数をもたらす。PV患者は概して、生活の質の低下を有し、二次MFおよび急性骨髄性白血病(AML)への変換の危険性がある。治療選択は限られており(例えば、低用量アスピリン、静脈切開およびヒドロキシウレア)、主に対処療法的であり、血栓症の発生を予防すること、また上昇した赤血球、骨髄および/または巨核球レベルと関連付けられる症状を改善させることに焦点を当てている。
【0208】
PVは、MFよりもはるかに高い有病率を有し(それぞれ、100,000人当たり4~6人に対して、100,000人当たり44~57人)、PV患者は、一般集団よりも高い死のリスクを有する[Mehtaら(2014年)Leuk Lymphoma 55巻:595~600頁;およびPassamontiら(2004年)Am J Med.117巻:755~761頁]。PVは、女性よりも男性に影響を及ぼし、診断の年齢中央値は、60歳であるが、患者のおよそ20~25%が、40歳よりも若い[Tibesら(2013年)Expert Opin Emerg Drugs.18巻:393~404頁]。PVを有する患者における生存期間中央値は、およそ14年であるが、それは、60歳よりも高齢である患者および/または血栓症歴を有する患者においてはるかに低い(約8年)[Tefferiら(2013年)Leukemia 27巻:1874~1881頁]。
【0209】
PVの病因の理解は、PVを有する大部分の患者においてJAK2における変異を活性化するという発見後に大いに改善された[Levine RL、Pardanani A、Tefferiら(2007年)Nat Rev Cancer 7巻:673~683頁;Tefferi A.(2011年)Leukemia 25巻:1059~1063頁;およびSeverら(2014年)Leuk Lymphoma 55巻:2685~2690頁]。古典的なJAK2 V617F変異は、PVを有する患者のおよそ96%に存在し、JAK2エクソン12変異は、PVを有する患者のおよそ3%に存在する。JAK-STATを含むJAK2の過剰活性化は、下流経路を自律的に活性化させ、調節されない造血をもたらす。これらの見解は、診断および処置に関する基準を形作るのに役立っている。JAK2V617F変異の存在は、PVの診断における主要基準であり、いくつかのJAK2インヒビターが、PV用の分子標的療法として開発中である[Hensleyら(2013年)Expert Opin Pharmacother 14巻:609~617頁]。
【0210】
PV診断は現在、the 2008 World Health Organization(WHO)診断基準に基づく[Vardimanら(2009年)Blood.114巻:937~951頁]。WHO診断基準は、臨床値、形態学的特徴および遺伝子データを重視し、赤血球増加症が、第1の主要基準である。WHOによれば、赤血球増加症の根拠は、ヘモグロビン(Hgb)レベルの上昇(男性では>18.5g/dLおよび女性では>16.5g/dL)を含むが、British Committee for Standards in HaematologyおよびPolycythemia Vera Study Groupなどの他のグループは、それぞれ、ヘマトクリット(Hct)値の上昇(女性では>48%および男性では>52%)または赤血球量測定の使用を重視する[McMullinら(2007年)Br J Haematol 138巻:821~822頁;およびMurphy S.(1999年)Semin Hematol 36巻:9~13頁]。近年、研究者らによっては、特にPVを有する患者のサブグループにおける仮面PV(mPV)の同定を受けて、WHO基準を改正することを提案しているものもいる[Barbui Tら(2014年)Leukemia 28巻:1191~1195頁;およびBarbuiら(2014年)Am J Hematol 89巻:199~202頁]。顕性PVを有する患者とは異なり、mPV患者を有する患者は、正常または境界HgbおよびHct値を有する傾向にあるが、通常JAK2変異に関して陽性であり、PVと一致した骨髄の特徴を有し、低い血清エリスロポイエチンレベルを有する。より低いHgb閾値および/またはHct閾値の使用を重視することを伴う現在のWHO診断基準に対する改正は、mPVを有するものを正確に診断するのに有益である可能性があり、これらの患者の適切かつ迅速な処置を可能にし得ると提唱されている。
【0211】
現在のリスク層別化モデルでは、60歳以上の年齢および血栓症歴は、PVを有する患者を低(0個のリスク因子)および高(1つまたは2つのリスク因子)リスクグループへ分類するのに使用される2つのリスク因子である。ある特定の態様では、本開示は、低もしくは高リスクPVを有する患者におけるPVまたはPVの1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、PVリスクの進行を予防する、または遅延させる(例えば、低から高リスクPVへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)ための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、PVリスク後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、高から低リスクPVへの後退を促進する、または増加させる)。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症へのPV進行(PV後骨髄線維症)を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。PVはまた、急性白血病への変換のリスクを保有する[Vannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Med.5巻:177~184頁]。PVを有する患者におけるAMLへの変換の発生率は、経時的に進行性リスクを伴って、疾患の10年後に5~15%に及ぶ[Finazziら(2005年)Blood 105巻:2664~2670頁]。高齢、女性およびアルキル化剤、放射線または腫瘍縮小薬の組合せの使用は、白血病変換のより高いリスクと関連付けられる。一部の実施形態では、本開示は、AMLへのPV進行を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0212】
PVにおける症候性の負担は、一般的に重篤であり、疾患を有する大部分の患者に存在する[Scherberら(2011年)Blood 118巻:401~408頁;およびHensleyら(2013年)Expert Opin Pharmacother 14巻:609~617頁である]。最も一般的な病状は、疲労(患者の88%により報告される)、掻痒症(62%)、寝汗(52%)、骨痛(50%)、発熱(18%)および体重減少(31%)であり、掻痒症および疲労が、最も一般的であり、かつ厄介な症状である。掻痒症は、全身性のヒリヒリ感、チクチク感、うずきまたはムズムズ感として現れ、水への接触後に頻繁に報告され(水原性そう痒症)、大規模な温度変化、アルコール消費または運動が、相当する症状を誘導する場合がある。疲労は、上昇した循環サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン-1およびインターロイキン-6)の結果として同定されている。さらに、患者のおよそ35~45%が、脾腫を発症するが、その存在は通常、進行性疾患を示している[Tefferiら(2013年)Leukemia 27巻:1874~1881頁]。脾腫は通常、腹痛、早期満腹、体重減少および悪心を含む二次的症状をもたらし、合併症は、腹部臓器圧迫および門脈圧亢進症を引き起こし得る。PV関連の全身症状および脾腫と関連付けられる症状は、患者の70%に存在し、European Organisation for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire Core 30および/またはMPN-Symptom Assessment Form(SAF)アンケートなどのツールによって評価されるように、生活の質を危うくする[Scherberら(2011年)Blood 118巻:401~408頁;Hensleyら(2013年)Expert Opin Pharmacother 14巻:609~617頁;およびAbelssonら(2013年)Leuk Lymphoma 54巻:2226~2230頁]。MPN-SAF Total Symptom Scoreは、疲労、集中、早期満腹、不活発、寝汗、ムズムズ感、骨痛、腹部不快感、体重減少および発熱に焦点を当てた10品目スコアリング手段である。これらのツールに基づいて、PVを有する患者における症状の負担が、新たに診断される原発性MFを有する患者において観察されるものに匹敵する、またはそれよりも悪化させることがわかっている。
【0213】
PVのうち最も高頻度の合併症の幾つかは、血管性および血栓塞栓性事象ならびに出血である[Vannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Med.5巻:177~184頁]。血栓症は、診断時にPVを有する患者の最大39%で観察される顕著な症状である[Tefferiら(2007年)Semin Thromb Hemost 33巻:313~320頁;およびBarbui Tら(2012年)Blood Rev 26巻:205~211頁]。主な血栓症の最も高頻度のタイプとしては、発作、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、末梢動脈血栓症、深部静脈血栓症、門脈血栓症、およびバッド・キアリ症候群を引き起こす肝静脈の血栓症が挙げられる。大血管性合併症に加えて、患者は、微小血管性症状(例えば、頭痛、眩暈、視力障害、遠位感覚異常、肢端チアノーゼ)を経験する場合があり、肢端紅痛症は、最も特徴的な障害であり、四肢におけるうっ血、発赤および灼熱痛からなる。極度の血小板増加症(例えば、>1500×109個/L)の場合、患者は、後天性フォン・ウィルブランド症候群を発症するリスクがある可能性があり、それは、失血の素因を引き起こす[Chou YSら(2013年)Eur J Haematol 90巻:228~236頁]。出血はまた、累積発生率39.6%(人年当たり6.2%)で、PVを有する患者における罹患率および死亡率の重大な原因である。さらに、全生存は、この合併症を伴わない患者間よりも、出血を伴う患者間で、著しく短いことがわかっている(全生存中央値、およそ95ヵ月)。
【0214】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)は、真性赤血球増加症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて使用され得る。特に、TβRIIアンタゴニストは、真性赤血球増加症の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。本明細書中に開示する方法に従って処置され得る真性赤血球増加症の合併症として、例えば、赤血球細胞の過剰な増殖、骨髄系細胞の過剰な増殖、巨核球細胞の過剰な増殖、高い赤血球レベル、高い白血球レベル、高い血小板レベル、疲労、掻痒症、寝汗、骨痛、発熱および体重減少、上昇した炎症性サイトカイン(例えば、IL-6)、炎症性合併症、IL-6媒介性の炎症性合併症、脾腫、腹痛、早期満腹、体重減少、悪心、腹部臓器圧迫、門脈圧亢進症、全身症状、血管性合併症、血栓症、微小血管性合併症、および大血管性合併症が挙げられる。
【0215】
2008年に発行された本態性血小板血症(ET)に関する新しいWorld Health Organization(WHO)診断基準は、真のETと早期骨髄線維症との間で重要な区別を行い、したがって、一部には、より長期の生存および顕性MFへのより少ない変換を特徴とする診断に関して、より同種の集団を同定するのに役立った。血小板増加症は、ETの診断に関して必要条件であるが、かかる事象はまた、ほとんど見られないもののPVおよびPMF患者においても現れる場合がある[Birgegard G.(2015年)Ther Adv Hematol 6巻(3号):142~156頁]。さらに、ETは、早期骨髄線維症患者よりも、より低い白血球数、より低いヘモグロビンレベル、血漿中の低い乳酸脱水素酵素(LDH)レベル、および重要なことに、より良好な予後を特徴とする[Barbuiら(2012年)Blood 120巻:569~571頁]。WHO分類されたETに関する最近の予後モデルにより、診断からの予測生存は、高リスク患者に関しては13.7年、中間グループに関しては24.5年、低リスク患者に関しては25年を超えることが示される[Passamontiら(2012年)Blood 120巻:1197~1201頁]。真のETと早期MFとの間の区別は、これが、血栓出血性事象に関してリスク層別化によって方向付けられるため、これまでのところ薬理学的処置にとってあまり重要ではないが、それは、患者とのコミュニケーションにおいては、当然のことながら重要であり、開発中の新たな薬物を用いた処置の決定にとってもすぐに非常に重要となり得る。
【0216】
ETおよび他の骨髄線維症状態におけるドライバー変異の検出は、疾患の病理生物学の理解を大いに高めている。これまで論述されるように、骨髄線維症の研究における躍進は、JAK2遺伝子の偽キナーゼドメインにおける変異が、骨髄線維症患者の大部分に存在することが発見された際に成された。興味深いことに、PV患者のおよそ95%が、JAK2V617F変異を保有するのに対して、ET患者のほんのおよそ約50%が、JAK2変異陽性である[Campbellら(2005年)Lancet 366巻:1945~1953頁]。さらに、JAK2V617F+ET患者は、JAK2V617F-ET患者とわずかに異なる表現型パターンを現し、より高いHbおよびWBCレベル、より少ない血清エリスロポイエチンおよびより少ない血小板を提示する。いくつかの研究により、JAK2V617F-ET患者と比較して、JAK2V617F+ET患者において血栓症のリスクの増加が見られることが実証される[Ziakas P.(2008年)Haematologica 93巻:1412~1414頁;Dahabrehら(2009年)Leuk Res 33巻:67~73頁;およびLussanaら(2009年)Thromb Res 124巻:409~417頁]。最近の研究により、特に高い安定レベルで、JAK2V617F対立遺伝子負荷の進行が、MFの発症と著しく相関されることが示された[Alvarez-Larran Aら(2014年)、Am J Hematol 89巻:517~523頁]。
【0217】
骨髄線維症における変異パターンへの最近の追加は、部分的に未知の機能を有する高度に保存された多機能小胞体タンパク質であるCALRのドライバー変異の検出である。変異は、ETおよびPMF患者に見られるが、JAK2またはMPLのいずれかにおいて変異を有さない患者では、ほぼ例外なく見られる[Klampflら(2013年)N Engl J Med 369巻:2379~2390頁;Nangaliaら(2013年)N Engl J Med 369巻:2391~2405頁]。頻度は、ETおよびPMFの両方ではおよそ約20%であり、これは、ET患者の約85%が、今では分子マーカーを用いて診断することができることを意味する。興味深いことに、ETにおけるCALR変異は、JAK2V617F+患者との明らかな差を有する表現型プロファイルをもたらす。JAK2V617F+患者と比較して、CALR+患者は、より若く、より一般に男性であり、より高い血小板レベルおよびより低い白血球レベルを有する[Gangatら(2014年)Eur J Haematol 94巻:31~36頁;Rotunnoら(2014年)Blood 123巻:1552~1555頁;Rumiら(2014年)Blood 123巻:2416~2419頁;Tefferiら(2014年)Leukemia 28巻:2300~2303頁]。さらに、血栓率の差は、非常に顕著である:10年累積発生率は、それぞれ5.1%(JAK2V617F+患者)および14.5%(CALR+患者)であり、相応して15年率は、10.5%(JAK2V617F+患者)および25.1%(CALR+患者)である。
【0218】
現在のリスク層別化モデルでは、60歳以上の年齢および血栓症歴は、ETを有する患者を低(0個のリスク因子)および高(1つまたは2つのリスク因子)リスクグループへ分類するのに使用される2つのリスク因子である。ある特定の態様では、本開示は、低もしくは高リスクETを有する患者におけるETまたはETの1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、または低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、ETリスクの進行を予防する、または遅延させる(例えば、低から高リスクETへのリスクの進行を予防する、または遅延させる)ための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、ETリスク後退を促進する、または増加させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する(例えば、高から低リスクETへの後退を促進する、または増加させる)。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症へのET進行(ET後骨髄線維症)を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。ETはまた、急性白血病への変換のリスクも保有する[Vannucchi A.M.(2010年)Intern Emerg Med.5巻:177~184頁]。一部の実施形態では、本開示は、AMLへのEV進行を予防する、または遅延させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。
【0219】
研究により、ET患者は、生活の質に対して影響を持つ重要な症状の負担を有することが示されている。国際努力では、MPN集団に特異的な症状評価ツールが開発および確証された[Emanuelら(2012年)J Clin Oncol 30巻:4098~4103頁;およびScherberら(2011年)Blood 118巻:401~408頁]。ETの症状/合併症として、例えば、疲労、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害および体重減少、ならびに頭痛、胸痛、眩暈および肢端紅痛症のような微小血管性合併症に起因するものが挙げられる。さらに、ET患者の約20%が、診断前に、または診断時に、血栓症を経験している。軽度の脾腫もまた、ET患者において頻繁に観察される。
【0220】
ある特定の態様では、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)は、本態性血小板血症を処置する、予防するまたはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて使用され得る。特に、TβRIIアンタゴニストは、本態性血小板血症の1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、単独で、または1もしくは複数の支持療法もしくは活性薬剤と組み合わせて使用され得る。本明細書中に開示する方法に従って処置され得る本態性血小板血症の合併症として、例えば、血小板増加症、疲労、掻痒症、寝汗、悪心、しびれ、視覚障害、体重減少、微小血管性合併症、大血管性合併症、頭痛、胸痛、眩暈、肢端紅痛症、血栓症、脾腫、上昇した炎症性サイトカイン、炎症性合併症、IL-6炎症性の合併症、上昇した炎症性サイトカインレベル、上昇したIL-6レベル、血管系合併症、および出血が挙げられる。
【0221】
上記で論述するように、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)機能獲得型変異であるJAK2V617Fの発見は、骨髄線維症の基礎にある生物学の理解における大幅な改善、ならびに骨髄線維症の処置に関してFDAによって承認された第1の薬物であるJAK2インヒビターのルキソリチニブの開発をもたらした[Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054~1061頁;James C.ら(2005年)Nature 434巻:1144~1148頁;Kralovicsら(2005年)N Engl J Med.352巻:1779~1790頁;およびLevineら(2005年)Cancer Cell 7巻:387~397頁]。JAK2V617Fは、大多数の骨髄線維症(50~60%)およびPV(95%)患者、ならびに約半分のET(約50%)患者に存在する[Baxterら(2005年)Lancet 365巻:1054~1061年;James C.ら(2005年)Nature 434巻:1144~1148頁;Kralovicsら(2005年)N Engl J Med.352巻:1779~1790頁;Levineら(2005年)Cancer Cell 7巻:387~397頁;およびQuintas-Cardamaら(2011年)Nat Rev Drug Discov 10巻:127~140頁]。JAK-STAT経路に関連するさらなる変異は、例えば、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、IDH2、THPOおよびASXL1を含む骨髄増殖性障害を有する患者において同定された[Pikmanら(2006年)PLoS Med 3巻:e270頁;Ohら(2010年)Blood 116巻:988~992頁;Delhommeauら(2009年)N Engl J Med 360巻:2289~2301頁;およびCarbucciaら(2009年)Leukemia 23巻:2183~2186頁]。JAK2V617Fおよび他の変異は、同時に同じ患者において起こる場合があり、異なる変異プロファイルを有する多重クローンは、単一の患者において起こり得る。JAK2V617Fの存在は、骨髄増殖性疾患の症状および進行段階を進行期へと悪化させることと相関していた[Barosiら(2007年)Blood 110巻:4030~4036頁;およびTefferiら(2005年)Br J Haematol 131巻:320~328頁]。
【0222】
これらの遺伝子マーカーの発見とともに、より新たな治療戦略は、一部には、骨髄増殖性疾患関連対立遺伝子負荷の低減を達成すること焦点を当てている。骨髄増殖性疾患の状況では、対立遺伝子負荷は一般的に、所定の患者における総遺伝子コピー数に対する変異体コピー数(例えば、JAK2V617F)の比(例えば、JAK2V617F/JAK2V617F+野生型JAK2)として定義される。いくつかの研究において、より少ない対立遺伝子負荷を有する患者は、より高い対立遺伝子負荷を有する患者よりも良好な予後を示している。いくつかのMF研究は、高い対立遺伝子負荷を疾患の進行に関連付けており、例えば、一研究は、ある特定の変異遺伝子のより高い対立遺伝子負荷が、AMLへの進行に関連付けられることを示しており、それは、白血病を有する患者の大部分が、JAK2V617Fに関してホモ接合性であるという観察と一貫している[Barosiら(2007年)Blood 110巻:4030~4036頁;およびPassamontiら(2010年)Leukemia 24巻:1574~1579頁]。さらに、研究は、増加する対立遺伝子負荷と悪化する脾腫および骨髄造血の増加との間の関連性を一貫して実証している[Passamontiら(2009年)Haematologica 94巻:7~10頁]。
【0223】
ある特定の態様では、本開示は、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップによって、骨髄増殖性障害[例えば、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)、真性赤血球増加症(例えば、仮面真性赤血球増加症)および本態性血小板血症]または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症(例えば、線維症、脾腫、炎症、貧血および髄外造血)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法を提供し、ここで、患者は、1または複数の骨髄増殖性関連対立遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、IDH2、THPOおよびASXL1)を有する。一部の実施形態では、上記方法は、患者において1または複数の骨髄増殖性関連対立遺伝子(例えば、JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、IDH2、THPOおよびASXL1)の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、患者は、1または複数の骨髄増殖性関連JAK2対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、上記方法は、1または複数の骨髄増殖性関連JAK2対立遺伝子の対立遺伝子負荷を低減させる。一部の実施形態では、患者は、JAK2V617F骨髄増殖性関連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、上記方法は、JAK2V617F骨髄増殖性関連対立遺伝子負荷を低減させる。
【0224】
ある特定の態様では、本開示は、任意選択で骨髄増殖性障害を処置するための1または複数のさらなる支持療法および/または活性薬剤(例えば、ルキソリチニブなどのヤヌスキナーゼインヒビター)と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップによって、骨髄増殖性障害[例えば、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)、真性赤血球増加症(例えば、仮面真性赤血球増加症)および本態性血小板血症]を有する患者において、骨髄増殖性関連対立遺伝子負荷を低減させるための方法を提供する。一部の実施形態では、患者は、JAK2、MPL、CALR、LNK、TET2、IDH1、IDH2、THPOおよびASXL1からなる群から選択される1または複数の骨髄増殖性関連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、患者は、1または複数のJAK2骨髄増殖性関連対立遺伝子を有する。一部の実施形態では、患者は、JAK2V617F骨髄増殖性関連対立遺伝子を有する。
【0225】
本明細書中に記載する方法によれば、TβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)は、単独で、または1もしくは複数のさらなる活性薬剤もしくは支持療法、例えば、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)ならびに骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置するのに有用である活性薬剤もしくは支持療法と組み合わせて、被験体に投与することができる。
【0226】
本明細書中で使用する場合、投与「と組み合わせて」、投与「の組合せ」、投与「と組み合わせた」、または「結合した」投与は、さらなる療法(例えば、第2、第3、第4等)が身体中で有効のままである(例えば、多重化合物が、患者において同時に有効であり、それらが、それらの化合物の相乗効果を含み得る)ような任意の投与形態を指す。有効性は、血液、血清または血漿中の作用物質の測定可能な濃度に相関し得ない。例えば、異なる治療用化合物は、同じ製剤中、または別個の製剤中のいずれかで、同時に、または順次、および異なるスケジュールで投与することができる。したがって、かかる処置を受ける個体は、異なる両方の複合効果から利益を得ることができる。本開示の1または複数のTβRIIアンタゴニストは、1もしくは複数の他のさらなる作用物質または支持療法と同時に、それらよりも前に、またはそれらに続いて投与することができる。概して、治療剤はそれぞれ、その特定の作用物質に関して決定される用量で、および/またはタイムスケジュールで投与される。レジメンにおいて用いるための特定の組合せは、本開示のTβRIIアンタゴニストと、療法および/または所望の効果との適合性を考慮する。
【0227】
貧血の管理は、骨髄線維症を有する患者を処置することの最も難易度の高い態様の1つであり得る[Tefferi A.(2011年)Blood 117巻(13号):3949~3504頁;Barosiら(2011年)Expert Opin Pharmacother 12巻(10号):1597~1611頁]。輸血(全血または赤血球輸血)は、症候的に貧血性の骨髄線維症患者のための標準的な治療法である。輸血の他に、これらの患者において貧血を処置するのに使用される様々な従来の作用物質が存在する。例えば、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびその誘導体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレナリドミドは、骨髄線維症患者において貧血を処置するのに一般的に使用される。概して、ESAは、中程度の輸血非依存的貧血および低血清エリスロポイエチンレベルを有する患者において使用される。応答率は、20から60%まで多様であり、従来の組換えエリスロポイエチンに対するダーベポエチン-アルファに関して、明らかな支持を伴わない。ESA応答は通常、短期間である(およそ1年)。ESAが、機能しないか、または乏しい有効性を有する場合、ダナゾールまたはアンドロゲン調製物は通常、およそ20%の応答率で貧血患者を処置するのに使用される。プレドニゾンをテーパリングすることに関連付けられる低用量サリドマイドは、患者のおよそ20~40%において貧血における応答をもたらした[Thapaliyaら(2011年)Am J Hematol 86巻(1号):86~98頁]。しかしながら、サリドマイド処置は多くの場合、末梢神経障害、便秘および傾眠を伴って許容されにくく、大部分の患者において薬物の中止を招く。del(5q31)関連貧血を有する骨髄線維症患者において、レナリドミドは、貧血の回復、および時には分子寛解の根拠を伴う有意な改善が報告されているため、推奨される第一線の療法である[Tefferiら(2007年)Leukemia 21巻(8号):1827~1828頁]。
【0228】
ある特定の態様では、本開示は、貧血を有する患者において骨髄線維症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、骨髄線維症患者において貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法およびTβRIIアンタゴニストの使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびその誘導体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレナリドミドからなる群から選択される1または複数のさらなる活性薬剤と結合した1または複数のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする患者において骨髄線維症または骨髄線維症の1もしくは複数の合併症(例えば、貧血)を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、赤血球生成刺激剤[例えば、エリスロポイエチン(EPO)およびその誘導体などのESA]、アンドロゲン(例えば、エナント酸テストステロンおよびフルオキシメステロン)、プレドニゾン、ダナゾール、サリドマイド、プレドニゾンおよびレナリドミドからなる群から選択される1または複数のさらなる活性薬剤と結合した1または複数のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする骨髄線維症患者において貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。一部の実施形態では、本開示は、輸血(全血または赤血球輸血)と結合した1または複数のTβRIIアンタゴニストの投与を含む、それを必要とする骨髄線維症患者において貧血を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法に関する。
【0229】
本開示の1または複数のTβRIIアンタゴニストは、特に低用量で赤血球の増加を達成するように、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用され得る。これは、高用量のEPO受容体活性化因子と関連付けられる既知のオフターゲットの影響およびリスクを低減させるのに有用であり得る。ESAの主な有害作用として、例えば、ヘマトクリットまたはヘモグロビンレベルの過剰な増加および赤血球増加症が挙げられる。上昇したヘマトクリットレベルは、高血圧(より詳細には、高血圧の悪化)につながり得る。報告されているESAの他の有害作用は、それらの幾つかが高血圧に関連しており、頭痛、インフルエンザ様症候群、シャントの閉塞、心筋梗塞ならびに血栓症、高血圧性脳症および赤血球形成不全に起因する脳痙攣である。例えば、Singibarti(1994年)J.Clin Investig 72巻(付録6)、S36~S43頁;Horlら(2000年)Nephrol Dial Transplant 15巻(付録4)、51~56頁;Delantyら(1997年)Neurology 49巻、686~689頁;およびBunn(2002年)N Engl J Med 346巻(7号)、522~523頁を参照のこと。ある特定の実施形態では、本開示は、患者に、治療有効量の1または複数のTβRIIアンタゴニストおよびEPO受容体活性化因子を投与するステップによって、骨髄線維症患者において貧血を処置または予防するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示のTβRIIアンタゴニストは、ESAの有害作用の影響を受けやすい患者において、これらの活性化因子の所要用量を低減させるように、EPO受容体活性化因子と組み合わせて使用され得る。これらの方法は、患者の治療上および予防上の処置に使用され得る。
【0230】
ヒトにおいてヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットレベルをモニタリングする場合、適切な年齢および性別のカテゴリーに関して正常に満たないレベルは、貧血を示し得るが、個体変動が考慮される。例えば、10~12.5g/dl、典型的には約11.0g/dlのヘモグロビンレベルは、健常な成人において正常範囲内であるとみなされるが、治療の観点から、より低い標的レベルが、より少ない心血管系の副作用を引き起こし得る。例えば、Jacobsら(2000年)Nephrol Dial Transplant 15巻、15~19頁を参照のこと。あるいは、ヘマトクリットレベル(細胞によって占有される血液試料の容量のパーセント)は、貧血の尺度として使用することができる。健常な個体に関するヘマトクリットレベルは、成人男性に関しては約41~51%、および成人女性に関しては35~45%の範囲である。ある特定の実施形態では、患者は、許容されるレベルの赤血球、ヘモグロビンおよび/もしくはヘマトクリットを維持しながら、赤血球、ヘモグロビンおよび/もしくはヘマトクリットの標的レベルにまで患者を回復するように、または赤血球輸血の低減もしくは排除を可能にするように(輸血の負担を低減させるように)意図される投薬レジメン(例えば、任意選択で1または複数のさらなる活性薬剤または支持療法と組み合わせたTβRIIアンタゴニスト)で処置され得る。ヘモグロビンおよびヘマトクリットレベルは、人それぞれ多様であるため、最適には、標的ヘモグロビンおよび/またはヘマトクリットレベルは、各患者に関して個別化され得る。
【0231】
全血または赤血球の高頻度の輸血を受ける患者において、鉄ホメオスタシスの正常なメカニズムは、押さえ込まれ、最終的には、心臓、肝臓および内分泌腺などの不可欠な組織における鉄の有毒でかつ潜在的に致死性の蓄積を引き起こし得る。規則的な赤血球輸血は、血液の様々なドナーユニットへの曝露、したがって同種免疫のより高いリスクを要する。血管アクセス障害、鉄のキレート化の利用可能性およびそれによるコンプライアンス、ならびに高いコストは、赤血球輸血の回数を制限限することが有益であり得る理由の幾つかである。
【0232】
ある特定の態様では、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせた1または複数のTβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患者において鉄過剰症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、1または複数の鉄キレート剤と組み合わせて使用され得る。一部の実施形態では、任意選択でEPO受容体活性化因子と組み合わせた1または複数のTβRIIアンタゴニストは、骨髄線維症患者において組織鉄過剰症[例えば、脾臓(脾性)、肝臓(肝性)、心臓(心性)鉄過剰症]を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるのに、1または複数の鉄キレート剤と組み合わせて使用されて使用され得る。有効な鉄キレート剤は、水酸基および酸化産物の触媒産生による大部分の鉄毒性の主要因である可能性が高い非トランスフェリン結合型鉄の酸化形態である鉄イオンを選択的に結合および中和することが可能であるべきである[例えば、Espositoら(2003年)Blood 102巻:2670~2677頁を参照のこと]。これらの作用物質は、構造的に多様であるが、全てが、1:1(6配座作用物質)、2:1(3配座)または3:1(2配座)の化学量論で、個々の鉄原子を伴う中和八面体配位化合物を形成することが可能な酸素または窒素ドナー原子を保有する[Kalinowskiら(2005年)Pharmacol Rev 57巻:547~583頁]。一般に、有効な鉄キレート剤はまた、影響を受けた組織への接近を可能にするように水および脂質の両方中での溶解度を有する比較的低分子量(例えば、700ダルトン未満)である。鉄キレート分子の具体例として、毎日の非経口投与を要する細菌起源の6配座作用物質であるデフェロキサミン、ならびに経口活性な合成作用物質デフェリプロン(2配座)およびデフェラシロクス(3配座)が挙げられる。2つの鉄キレート剤の同日投与からなる併用療法は、キレート化単独療法に対して無応答の患者における見込み、およびまたデレロキサミン単独を用いた場合の乏しい患者コンプライアンスの問題を克服することの見込みを示す。[Caoら(2011年)Pediatr Rep 3巻(2号):e17頁;およびGalanelloら(2010年)Ann NY Acad Sci 1202巻:79~86頁]。
【0233】
骨髄増殖性障害(例えば、骨髄線維症、真性赤血球増加症および本態性血小板減少症)を有する患者の管理において、腫瘍縮小剤は、症候性脾腫を有する大部分の患者に対して最適な処置となっている。ヒドロキシカルバミド(ヒドロキシウレア、HC)は、最も一般的に使用される腫瘍縮小剤であり、それは通常、より高用量で中程度の反応をもたらす。しかしながら、HCは多くの場合、血漿減少症を悪化させる可能性があり、したがって、多くの場合あまり許容されない。25%~50%の脾臓サイズの低減は、HCで処置した患者の最大35%で報告されている[Martinez-Trillosら(2010年)Ann Hematol.89巻(12号):1233~1237頁]。HCに応答しない患者において、特に高齢患者において、ブスルファンまたはメルファランは、これらの作用物質が、白血病変換の頻度を増加させ得るという根拠が見られるため、使用され得る。低用量サリドマイドによる脾臓応答は、低い(<20%)。しかしながら、レナリドミドは、先のサリドマイド療法を失敗した幾らかの患者を含む研究において、応答率33%をもたらすことが示された。重度の抵抗性脾種の場合、月1回の静脈内クラドリビン過程は、最大50%の応答をもたらし、重症であるが、可逆的な血液減少症が、主な毒性である[Faoroら(2005年)Eur J Haematol 74巻(2号):117~120頁]。ルキソリチニブは、最近の研究においてHCより優れていることが判明し、したがって、症候性または進行性脾腫を制御するための第一線の作用物質となっている。他のJAKインヒビター(例えば、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタウルチニブ、SEP-701およびAT-9283)は、MF、ETおよびPVを処置する際における使用に関して評価されており、したがって、かかる患者において脾腫を低減させるのに有用であり得る。
【0234】
脾摘出術による骨髄増殖性疾患関連脾腫の管理は十分確立されているのに対して、その手順は、それぞれ、およそ31%および9%の罹患率および死亡率と関連付けられる[Mesa RA.(2009年)Blood 113巻(22号):5394~5400頁]。場合によっては迅速な肝腫を引き起こす肝髄外造血は、珍しいが、血栓性リスクの増加であるように脾摘出術後の十分に理解されている合併症である。結果として、脾摘出術は概して、抵抗性溶血または貧血、症候性脾腫、著しい脾梗塞、重症の門脈圧亢進症および/または重症の異化亢進性の症状(hypercarabolic symptoms)を有する選択患者に制限される。放射線療法は、症候性脾腫および適切な血小板数を有する患者における脾摘出術に対する代替法であり得る。しかしながら、研究により、患者の44%が、放射線療法の後、血球減少症を経験し、そのうちの13%が致死性であったことが示されている[Elliott MAら(1999年)Blood Rev.13巻(3号):163~170頁]。低用量放射線療法は依然として、結果として生じる腹水および胸水を伴う胸膜ならびに肋膜の介入を含む、非脾臓髄外造血に対する好ましい処置である。
【0235】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、脾腫および/または髄外造血を処置するための1または複数の活性薬剤または支持療法と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。脾腫および/または髄外造血を処置するための活性薬剤または支持療法として、例えば、腫瘍縮小剤、サリドマイド(例えば、Immunoprin、Talidex、TalizerおよびThalomid)、レナリドミド(例えば、Revlimid)、ヒドロキシウレア(例えば、Apo-Hydroxyurea、DroxiaおよびHydrea)、ブスルファン(例えば、MyleranおよびBusulfex IV)、メルファラン(例えば、AlkeranおよびSarcolysin)、クラドリビン(例えば、Leustatin、LitakおよびMovectro)、脾摘出術、放射線療法、JAKインヒビター(例えば、ルキソリチニブ、SAR302503、CYT387、パクリチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、レスタウルチニブ、SEP-701およびAT-9283)が挙げられる。
【0236】
骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)を有する患者は、重大な心血管イベントのリスクの増加を被る[Barbuiら(2010年)Blood 115巻(4号):778~782頁]。致死性および非致死性血栓症は、多施設シリーズにおいて含まれるPMF患者の7.2%において報告され、患者年1.75%の割合が、ETで報告されるもの(患者年1%~3%)と異なっていなかった。血栓症に関するリスク因子は、特に後者が白血球増加症と関連付けられる場合、60歳を超える年齢およびJAK2V617F変異状態であった。ヒドロキシウレアおよび低用量アスピリンは一般的に、MF患者において血栓症を処置する、または予防するために処方される。
【0237】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、血栓症を処置するための1または複数の活性薬剤または支持療法と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。血栓症を処置するための活性薬剤または支持療法として、例えば、ヒドロキシウレア(例えば、Apo-Hydroxyurea、DroxiaおよびHydrea)およびアスピリンが挙げられる。
【0238】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数のJAKインヒビターと組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従って使用され得るJAKインヒビターとして、例えば、ルキソリチニブ、フェドラチニブ(SAR302503)、モメロチニブ(CYT387)、パクリチニブ、レスタウルチニブ、AZD-1480、BMS-911543、NS-018、LY2784544、SEP-701、XL019およびAT-9283が挙げられる。
【0239】
JAK2阻害の他に、免疫調節薬(IMiD)、ラパマイシン哺乳動物標的(mTOR)経路のインヒビター、およびエピジェネティック因子モジュレーターを含むいくつかの他の処置戦略が、骨髄増殖性障害の処置に関して研究中である[Mascarenhasら(2013年)Haematologica 98巻(10号):1499~1509頁]。
【0240】
ポマリドミドは、MF、PVおよびEVの処置のための用量の範囲において評価段階にある第二世代免疫調整薬である[Begnaら(2011年)Leukemia 25巻:301~304頁;Mesaら(2010年)Am J Hematol 85巻:129~130頁]。58名の患者において低用量ポマリドミドおよびプレドニゾンを評価する第2相治験により、JAK2V617F陽性患者の24%において貧血応答が報告された。貧血応答は、変異を伴わないものにおいては非存在であり、ポマリドミド誘発性好塩基球増加症および顕著な脾腫の非存在によって予測された。2007年から2010年まで3連続第1相および第2相臨床試験に登録されたMFを有する82名の評価可能な患者の分析により、IWG-MRT基準に従って患者の27%において貧血応答が実証された。貧血応答は、JAK2V617Fの存在下で、および顕著な脾腫の非存在下で、処置の最初の6ヵ月で最も頻繁に発生した。
【0241】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数の免疫調節剤と組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従って使用され得る免疫調節剤として、例えば、ポマリドミド(PomalystおよびImnovid)が挙げられる。
【0242】
JAK/STATの他に、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/ラパマイシン哺乳動物標的(PI3K/mTOR)経路などの他の関連経路が、骨髄増殖性障害患者において調節不全であることがわかっている[Tefferi A.(2011年)Am J Hematol 86巻(12号):1017~1026頁]。いくつかの研究において、JAK2V617F陽性細胞の増殖は、mTORインヒビターエベロリムスで処置されると減少したことが示されている[Guglielmelliら(2011年)Blood 118巻(8号):2069~2076頁;およびVannucchiら(2009年)Blood 114巻(22号):2914頁]。また、エベロリムスで処置したPMFまたはPV/EV後MFを有する39名の高または中間リスク患者の第I相/第II相研究からの結果もまた報告されている。30名の評価可能な患者のうち、それぞれ、69%および80%が、全身症状および掻痒症の完全消散を受けた。応答は、European Myelofibrosis Network基準が適用された場合には60%であり(8名が大、7名が中、および3名が小の応答)、あるいはInternational Working Group for Myelofibrosis Research and Treatment基準が使用された場合には23%であった(1名が部分応答、6名が臨床的改善)。これらの結果は、mTOR経路を標的とすることが、骨髄増殖性新生物を有する患者において臨床的に意義があり得るという概念の証拠を提供する。
【0243】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数のmTORインヒビターと組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従って使用され得るmTORインヒビターとして、例えば、ラパマイシン、シロリムス、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、NVP-BEZ235、BGT226、SF1126、PK1-587、INK128、AZD8055およびAZD2014が挙げられる。
【0244】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害は、JAK-STAT経路に対して阻害効果を有し、HDACインヒビターギビノスタット(ITF2357)、パノビノスタット(LBH589)およびプラシノスタット(SB939)は全て、現在MFに関して研究中である[Quintas-Cardamaら(2011年)Therapy Blood 118巻(付録1);Mascarenhasら(2011年)Blood.118巻(付録1);およびRambaldiら(2011年)Blood 118巻(付録1)]。プラシノスタットによる処置は、患者の27%において脾臓サイズの低減を、またMF患者のおよそ10%においてIWG基準貧血応答をもたらすと報告されている。毎日3回の20、25および30mgの用量でのパノビノスタットもまた、第1/2相治験からの結果において有望な活性を実証した。脾腫における永続的な(6ヵ月を超える)応答、白赤芽球症の減少、および貧血における応答は、IWG基準によって報告された。ギビノスタットもまた、ヒドロキシウレアに応答しなかったPVを有する患者において、無作為化第2相治験の結果に基づいて見込みを示す。患者のおよそ50%において、完全または部分応答が観察され、組合せは概して、十分に許容された。
【0245】
ある特定の態様では、本開示は、骨髄増殖性障害(例えば、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、仮面真性赤血球増加症、本態性血小板血症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症後骨髄線維症)または骨髄増殖性障害の1もしくは複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させるための方法であって、1または複数のヒストンデアセチラーゼインヒビターと組み合わせて、有効量のTβRIIアンタゴニスト(例えば、配列番号5~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~49、53~62、101、および103~105のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなるTβRIIポリペプチド)を、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。本開示の方法に従って使用され得るヒストンデアセチラーゼインヒビターとして、例えば、ギビノスタット、パノビノスタットおよびプラシノスタットが挙げられる。
【0246】
本開示は、線維性障害を処置するための1または複数の療法と組み合わせたTβRIIアンタゴニストの使用を企図する。例えば、TβRIIアンタゴニストは、細胞毒、免疫抑制剤、放射性毒剤および/または治療用抗体と組み合わせて(と一緒に)投与することができる。本発明によって企図される特定の共治療学として、ステロイド(例えば、Prednisoneなどのコルチコステロイドステロイド)、免疫抑制および/または抗炎症剤(例えば、ガンマ-インターフェロン、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ペニシラミン、シクロスポリン、コルヒチン、抗胸腺細胞グロブリン、ミコフェノール酸モフェチルおよびヒドロキシクロロキン)、細胞障害薬、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、アンジオテンシン変換酵素インヒビター(ACE)インヒビター、パラアミノ安息香酸(PABA)、ジメチルスルホキシド、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)インヒビター、インターロイキン-5(IL-5)インヒビターおよび汎カスパーゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。TβRIIアンタゴニストと組み合わせて使用され得るさらなる抗線維性作用物質として、レクチン(例えば、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号7,026,283号において記載される)ならびにWynnら(2007年、J Clin Invest 117巻:524~529頁、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)によって記載される抗線維性作用物質が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、さらなる抗線維性作用物質および療法として、様々な抗炎症/免疫抑制/細胞障害薬(コルヒチン、アザチオプリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、サリドマイド、ペントキシフィリンおよびテオフィリンを含む)、TGFβシグナル伝達修飾因子(リラキシン、SMAD7、HGFおよびBMP7、ならびにTGFβ1、TβRI、TβRII、EGR-IおよびCTGFインヒビターを含む)、サイトカインおよびサイトカイン受容体アンタゴニスト(IL-1β、IL-5、IL-6、IL-13、IL-21、IL-4R、IL-13Rα1、GM-CSF、TNF-α、オンコスタチンM、WlSP-I、およびPDGFのインヒビター)、サイトカインおよびケモカイン(chemokincs)(IFN-γ、IFN-α/β、IL-12、IL-10、HGF、CXCL10およびCXCL11)、ケモカインアンタゴニスト(CXCLl、CXCL2、CXCL12、CCL2、CCL3、CCL6、CCL17およびCCL18のインヒビター)、ケモカイン受容体アンタゴニスト(CCR2、CCR3、CCR5、CCR7、CXCR2およびCXCR4のインヒビター)、TLRアンタゴニスト剤(TLR3、TLR4およびTLR9のインヒビター)、血管新生アンタゴニスト(VEGF特異的抗体およびアデノシンデアミナーゼ補充療法)、高血圧治療薬(ベータ遮断薬、ならびにANG 11、ACEおよびアルドステロンのインヒビター)、血管作動性物質(ET-1受容体アンタゴニストおよびボセタン(bosetan))、コラーゲンを合成およびプロセシングする酵素のインヒビター(プロリルヒドロキシラーゼのインヒビター)、B細胞アンタゴニスト(リツキシマブ)、インテグリン/接着分子アンタゴニスト(α1β1およびαvβ6インテグリンを遮断する分子、ならびにインテグリン連結キナーゼのインヒビター、ならびにICAM-IおよびVCAM-Iに特異的な抗体)、筋線維芽細胞を標的とするアポトーシス促進薬、MMPインヒビター(MMP2、MMP9およびMMP12のインヒビター)、およびTlMPインヒビター(TIMP-1に特異的な抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
ある特定の実施形態では、本開示の対象方法は、単独で使用され得る。あるいは、これらの対象方法は、増殖性障害(例えば、腫瘍)の処置または予防に対して指向された他の従来の抗がん治療アプローチと組み合わせて使用され得る。例えば、かかる方法は、予防的がん予防、手術後のがんの再発および転移の予防において、ならびに他の従来のがん治療のアジュバントとして、使用され得る。本開示は、従来のがん治療(例えば、化学療法、放射線療法、光線療法、免疫療法および手術)の有効性が、対象アンタゴニスト治療剤の使用を介して増強され得ることを認識している。
【0248】
本明細書に開示される治療剤が、併用してまたは順次のいずれかで、別の従来の抗新生物剤と組み合わせて投与される場合、かかる治療剤は、抗新生物剤の治療効果を増強し得る、またはかかる抗新生物剤に対する細胞の耐性を克服し得る。これは、抗新生物剤の投薬量の減少を可能にし、それによって、望ましくない副作用を低減させ、または耐性細胞における抗新生物剤の有効性を回復させる。本開示によれば、本明細書に記載されるTβRIIアンタゴニストは、疾患の処置のために他の組成物および手順と組み合わせて使用され得る。例えば、腫瘍は、TβRIIアンタゴニストと組み合わせた手術、放射線療法または化学療法で従来通りに処置され得、次いで、TβRIIアンタゴニストが、微小転移の休眠を延長させ、任意の残留原発性腫瘍を安定化させるために、患者に引き続いて投与され得る。
【0249】
本発明のある特定の態様では、TβRIIアンタゴニストと1つまたは複数のがん治療:例えば、手術、細胞傷害剤、照射または放射性物質の投与が関与する放射線学的処置、化学療法剤、抗ホルモン剤、成長阻害剤、抗新生物組成物、ならびに本明細書に列挙され当該分野で公知の抗がん剤による処置、またはそれらの組合せとの組合せ治療に有用な他の治療剤。
【0250】
用語「細胞傷害剤」とは、本明細書で使用する場合、細胞の機能を阻害もしくは防止する、および/または細胞の破壊を引き起こす、物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン(adriamicin)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインターカレート剤、酵素およびそれらの断片、例えば、核酸分解酵素、抗生物質、ならびに毒素、例えば、小分子毒素、またはそれらの断片および/もしくはバリアントを含む、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、ならびに以下に開示する種々の抗腫瘍剤もしくは抗がん剤を含むことを意図する。他の細胞傷害剤は、以下に記載されている。殺腫瘍剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
【0251】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド(cyclosphosphamide);スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む、エチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(具体的には、ブラタシンおよびブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビセレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosurea)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン(ranimnustine);抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリチアマ
イシン、特に、カリチアマイシンガンマールおよびカリチアマイシンオメガール(例えば、Agnew、Chem Intl. Ed. Engl.、33巻:183~186頁(1994年)を参照のこと);ディネマイシンAを含むディネマイシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連の色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキセート(edatraxate);デメコルチン;ジアジコン;エフロルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアンギジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(商標)パクリタキセルのCremophorなしのアルブミン操作したナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois)およびTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(doxetaxel)(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼインヒビターRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体;ならびに上記の2もしくはそれ超の組合せ、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロンの組合せ治療の略称CHOP、ならびに5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いる処置レジメンの略称FOLFOXが含まれる。
【0252】
がんの成長を促進し得るホルモンの影響を調節、低減、遮断または阻害するように作用し、全身性または全身処置の形態であることが多い抗ホルモン剤もまた、この定義に含まれる。これらは、ホルモン自体であり得る。例には、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LYl 17018、オナプリストンおよびFARESTON(登録商標)トレミフェンを含む、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);抗プロゲステロン剤;エストロゲン受容体下方調節剤(ERD);卵巣を抑制または停止させるように機能する薬剤、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えば、LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)酢酸リュープロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリンおよびトリプトレリン(tripterelin);他の抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;ならびに副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼインヒビター、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVIS OR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールなどが含まれる。さらに、化学療法剤のかかる定義には、ビスホスホネート、例えば、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)もしくはOSTAC(登録商標))、DIDROC AL(登録商標)エチドロネート、NE-58095、ZOMET A(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネートまたはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Raf、H-Rasおよび上皮増殖因子受容体(EGF-R)など;ワクチン、例えば、THERATOPE(登録商標)ワクチン、ならびに遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH;二トシル酸ラパチニブ(GW572016としても公知のErbB-2およびEGFR二重チロシンキナーゼ小分子インヒビター);ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれる。
【0253】
「成長阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、in vitroまたはin vivoのいずれかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害剤は、S期にある細胞の百分率を顕著に低減させる薬剤であり得る。成長阻害剤の例には、細胞周期の進行を(S期以外の場所において)遮断する薬剤、例えば、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤が含まれる。古典的なM期ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン、ならびにトポイソメラーゼIIインヒビター、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシドおよびブレオマイシンが含まれる。DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシルおよびara-Cなどの、G1を停止させる薬剤はまた、S期停止まで波及する。さらなる情報は、The Molecular Basis of Cancer、MendelsohnおよびIsrael編、第1章、Murakamiらによる表題「Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs」(WB Saunders:Philadelphia、1995年)、特に13頁において見出すことができる。タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、共にイチイの木から誘導された抗がん薬物である。ヨーロッパイチイから誘導されたドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成アナログである。パクリタキセルおよびドセタキセルは、チューブリンダイマーからの微小管のアセンブリを促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定化して、細胞における有糸分裂の阻害を生じる。
7.医薬組成物
【0254】
本明細書に記載される治療剤(例えば、配列番号7~17、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、47~50、52~62、101および103~105を含む、本質的にからなる、またはからなるTβRIIポリペプチド)は、医薬組成物に製剤化され得る。本開示に従う使用のための医薬組成物は、1または複数の生理学的に許容される担体または賦形剤を使用して、従来の様式で製剤化され得る。かかる製剤は、一般に、ほとんどの規制要件に応じて、実質的に発熱物質を含まない。
【0255】
ある特定の実施形態では、本開示の治療方法は、全身的に、またはインプラントもしくはデバイスとして局所的に、組成物を投与するステップを含む。投与される場合、本開示における使用のための治療組成物は、発熱物質を含まない、生理学的に許容される形態である。これもまた上記のように組成物中に任意選択で含まれ得るTβRIIシグナル伝達アンタゴニスト以外の治療的に有用な薬剤が、本明細書に開示される方法において、対象化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)と同時にまたは順次に投与され得る。
【0256】
典型的には、本明細書に開示されるタンパク質治療剤は、非経口で、特に静脈内または皮下に投与される。非経口投与に適切な医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質または懸濁化剤もしくは増粘剤を含み得る、1または複数の薬学的に許容される無菌の等張水性もしくは非水性溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、あるいは使用の直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散物へと再構成され得る無菌粉末と組み合わせて、1または複数のTβRIIアンタゴニストを含み得る。本開示の医薬組成物において使用され得る適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0257】
これらの組成物および製剤は、所望の場合、活性成分を含む1または複数の単位投薬形態を含み得るパックまたはディスペンサーデバイス中に提示され得る。このパックは、例えば、金属またはプラスチックのホイル、例えば、ブリスターパックを含み得る。このパックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための指示書が付随し得る。
【0258】
さらに、この組成物は、標的組織部位への送達のための形態で、カプセル化または注射され得る。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、標的組織部位に1または複数の治療化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)を送達し、発生中の組織に構造を提供することが可能であり、最適には身体中に吸収されることが可能な、マトリックスを含み得る。例えば、このマトリックスは、TβRIIアンタゴニストの緩徐な放出を提供し得る。かかるマトリックスは、他の植え込まれた医学的適用のために現在使用されている材料から形成され得る。
【0259】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、表面的外観および界面特性に基づく。対象組成物の特定の適用は、適切な製剤を規定する。組成物のための潜在的マトリックスは、生分解性かつ化学的に規定された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ酸無水物であり得る。骨または皮膚コラーゲンなどの他の潜在的材料は、生分解性であり生物学的に十分規定されている。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス構成成分から構成される。他の潜在的マトリックスは、非生分解性かつ化学的に規定されており、例えば、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミネートまたは他のセラミックである。マトリックスは、上述の型の材料のいずれかの組合せ、例えば、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムから構成され得る。バイオセラミックは、組成、例えば、カルシウム-アルミネート-ホスフェートにおいて変更され得、ポアサイズ、粒子サイズ、粒子形状および生分解性を変更するために加工され得る。
【0260】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、経口でのために、例えば、各々が活性成分として所定の量の薬剤を含む、カプセル剤、サシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味付けした基礎、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガントを使用する)、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁物として、または水中油もしくは油中水液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ剤(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアを使用する)として、および/または口腔洗浄薬などとして、投与され得る。薬剤は、ボーラス、舐剤またはペースト剤としても投与され得る。
【0261】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒など)では、本発明の1または複数の治療化合物は、1または複数の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のいずれかと、混合され得る:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど;(3)保水剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収加速剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの医薬組成物は、緩衝剤もまた含み得る。同様の型の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用するソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル剤において、充填剤としても使用され得る。
【0262】
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、この液体投薬形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤に加えて、これらの経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、調味料、着色剤、芳香剤、ならびに防腐剤もまた含み得る。
【0263】
懸濁物は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天-寒天およびトラガント、ならびにそれらの混合物を含み得る。
【0264】
本発明の組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤もまた含み得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって、確実にされ得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることもまた、望ましい場合がある。さらに、注射可能な医薬形態の延長された吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによって、もたらされ得る。
【0265】
投薬レジメンは、本発明の対象化合物(例えば、TβRIIポリペプチド)の作用を修飾する種々の因子を考慮して、担当医によって決定されることが理解される。種々の因子には、患者の年齢、性別および食餌、重症度疾患、投与の時間、および他の臨床学的因子が含まれるがこれらに限定されない。任意選択で、投薬量は、再構成において使用されるマトリックスの型および組成物中の化合物の型によって変動し得る。最終組成物への他の公知の増殖因子の添加もまた、投薬量に影響し得る。進行は、骨の成長および/または修復の周期的評価、例えば、X線(DEXAを含む)、組織形態計測的決定およびテトラサイクリン標識化によって、モニタリングされ得る。
【0266】
ある特定の実施形態では、本発明は、TβRIIアンタゴニストのin vivo産生のための遺伝子治療もまた提供する。かかる治療は、上に列挙した障害を有する細胞または組織中へのTβRIIポリヌクレオチド配列の導入によって、その治療効果を達成する。TβRIIポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を使用して、達成され得る。TβRIIポリヌクレオチド配列の治療的送達には、標的化リポソームの使用が好ましい。
【0267】
本明細書に教示される遺伝子治療に利用され得る種々のウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、好ましくは、レトロウイルスなどのRNAウイルスが含まれる。好ましくは、このレトロウイルスベクターは、マウスまたはトリのレトロウイルスの誘導体である。単一の外来遺伝子が挿入され得るレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるがこれらに限定されない。いくつかのさらなるレトロウイルスベクターが、複数の遺伝子を取り込み得る。これらのベクターは全て、形質導入された細胞が同定および生成され得るように、選択可能なマーカーの遺伝子を移入させ得るまたは取り込み得る。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合させることによって、標的特異的にされ得る。好ましい標的化は、抗体を使用することによって達成される。当業者は、特異的ポリヌクレオチド配列が、TβRIIポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、レトロウイルスゲノム中に挿入され得る、またはウイルスエンベロープと結合し得ることを認識する。好ましい実施形態では、このベクターは、骨または軟骨へと標的化される。
【0268】
あるいは、組織培養細胞は、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトされ得る。次いで、これらの細胞は、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトされる。得られた細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクターを放出する。
【0269】
TβRIIアンタゴニストポリヌクレオチドのための別の標的化送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル剤、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が含ま
れる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、in vitroおよびin vivoで送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンは、水性内部内にカプセル化され得、生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(例えば、Fraleyら、Trends Biochem. Sci.、6巻:77頁、1981年を参照のこと)。リポソームビヒクルを使用した効率的な遺伝子移入のための方法は、当該分野で公知であり、例えば、Manninoら、Biotechniques、6巻:682頁、1988年を参照のこと。リポソームの組成物は、通常、通常はステロイド、特にコレステロールと組み合わせた、リン脂質の組合せである。他のリン脂質または他の脂質もまた使用され得る。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および二価カチオンの存在に依存する。
【0270】
リポソーム産生において有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドが含まれる。例示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。リポソームの標的化もまた、例えば、臓器特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性に基づいて可能であり、当該分野で公知である。
【0271】
本開示は、pHを調整するための酸および塩基;ならびに狭い範囲内にpHを維持するための緩衝剤を含むように変動され得る製剤を提供する。
【実施例】
【0272】
例証
本発明はここまで一般に記載されてきたが、本発明のある特定の実施形態の例示を単に目的として含まれ、本発明を限定することを意図しない、以下の実施例を参照して、より容易に理解される。
(実施例1)
受容体融合タンパク質バリアントの生成
TβRII ECDバリアント
【0273】
ヒトTβRIIは、細胞外ドメイン(ECD)における選択的スプライシングによって生成される、少なくとも2つのアイソフォーム-A(長)およびB(短)-として天然に生じる(
図1および
図2)。TβRIIは、TGFβ1およびTGFβ3に、高い親和性で結合する。いくつかの治療状況においては、この範囲のリガンド結合が好適であり得るのに対して、他の状況では、より選択的な分子が優れている場合がある。以下で詳述するように、出願人らは、TβRII長または短アイソフォーム(TβRII
長またはTβRII
短)ならびにそれらのバリアントの細胞外ドメインを含む様々なTβRIIポリペプチドおよびFc融合タンパク質を生成し、想定してきた。
【0274】
野生型hTβRII
長(23~184)配列を以下に示し(配列番号13)、ここで、25アミノ酸挿入に下線が引かれている。スプライシングは、挿入に対してC末端にある隣接位置で、連続アミノ酸置換(Val→Ile)をもたらすことに留意されたい。いくつかのhTβRII
短バリアントとそれらのhTβRII
長対応物との間の配列関係性を
図3に示す。
【化1】
【0275】
出願人は、hTβRII
長(23~184)-Fc融合タンパク質を生成し、ここで、hTβRII
長(23~184)ドメインは、C末端で(最小のリンカーを介して)ヒトIgG1 FcドメインにC末端で融合され、N末端でTPAリーダー配列に融合され、それは、下記アミノ酸配列(配列番号101)を有する:
【化2】
【0276】
N末端リーダー配列およびC末端Fcドメインは、一本下線によって表され、リンカードメインは、二重下線によって示される。hTβRII
長(23~184)-Fc融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、下記ヌクレオチド配列(配列番号102)を有する:
【化3】
【化4】
hTβRII
長(23~184)-Fc融合タンパク質のプロセシングされた様式は、下記アミノ酸配列(配列番号103)を示す。
【化5】
【0277】
本明細書中に記載するある特定の動物モデルにおける使用のために、出願人らは、マウスTβRIIアイソフォーム1由来の成熟完全長ECDを含むFc融合タンパク質を生成し、それを本明細書中ではmTβRII-Fcと呼ぶ。マウスTβRIIアイソフォーム1は、ヒトTβRIIアイソフォームA(長型)に相同的であり、したがって、上述するhTβRII長(23~184)-Fc融合タンパク質のマウス等価形態である。ヒト形態と同様に、mTβRII-Fcは、TGFβ1およびTGFβ3に、高い親和性(ピコモル)で結合するが、TGFβ2には結合しないことが決定された。さらに、hTβRII長(23~184)-Fc融合タンパク質およびmTβRII-Fcは、以下に記載するように細胞ベースのアッセイにおいて、TGFβ1およびTGFβ3活性の強力なインヒビターであるが、TGFβ2活性を阻害しないことが決定された。
【0278】
本出願人らはまた、(配列番号13)に示される野生型hTβRII長(23~184)配列およびそのFc融合タンパク質に基づいて、5つの相当するバリアント(配列番号14~17)を想定する。
【0279】
(1)以下に示すhTβRII
長(23~184/D135K)アミノ酸配列(配列番号14)、配列中、置換された残基に二重下線を付す。
【化6】
【0280】
(2)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII
長(29~184)アミノ酸配列(配列番号15)。
【化7】
【0281】
(3)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII
長(60~184)アミノ酸配列(配列番号104)。
【化8】
【0282】
(4)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII
長(23~178)アミノ酸配列(配列番号16)。
【化9】
【0283】
(5)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII
長(23~178/N95D)アミノ酸配列(配列番号17)、配列中、置換された残基に二重下線を付す。
【化10】
【0284】
以下に示す野生型hTβRII短(23~159)配列(配列番号7)は、以下に列挙する5つの受容体ECDバリアント(配列番号8~12)についての基礎として機能した。野生型hTβRII短(23~159)を、IgG2のFc部分に融合させて、新規の基礎Fc融合構築物を生成した。以下の配列番号50、51および52を参照のこと。
【化11】
【0285】
(1)以下に示すhTβRII短(23~159/D110K)アミノ酸配列(配列番号8)、配列中、置換された残基に下線を付す。
【化12】
【0286】
(2)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII短(29~159)アミノ酸配列(配列番号9)。
【化13】
【0287】
(3)以下に示すN末端がトランケートされたhTβRII短(35~159)アミノ酸配列(配列番号10)。
【化14】
【0288】
(4)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII短(23~153)アミノ酸配列(配列番号11)。
【化15】
【0289】
(5)以下に示すC末端がトランケートされたhTβRII短(23~153/N70D)アミノ酸配列(配列番号12)、配列中、置換された残基に下線を付す。
【化16】
【0290】
さらなるTβRII ECDバリアントには、以下が含まれる:
(A)以下に示す、N末端およびC末端がトランケートされたhTβRII短(35~153)またはhTβRII長(60~178)アミノ酸配列(配列番号47)。
【化17】
【化18】
【0291】
(B)以下に示すN末端およびC末端がトランケートされたhTβRII短(29~153)アミノ酸配列(配列番号48)。
【化19】
【0292】
(C)以下に示すN末端およびC末端がトランケートされたhTβRII長(29~178)アミノ酸配列(配列番号49)。
【化20】
【0293】
上記バリアント(例えば、配列番号8~12、14~17および47~49)のいずれかは、hTβRIIアイソフォームC[Konradら、(2007)BMC Genomics 8巻:318頁]に天然に生じるような、hTβRII ECDのC末端の近傍に位置するグルタミン酸残基の対(配列番号5の151位および152位、または配列番号6の176位および177位)の間の36アミノ酸の挿入(配列番号18)を取り込み得る。
【化21】
【0294】
一例として、任意選択の挿入部位に隣接する対になったグルタミン酸残基が、hTβRII短(29~159)バリアント(配列番号105)について以下に示される(下線)。
【化22】
【0295】
一部には、出願人らは、ヒトTβRII ECDのバリアントを含む融合タンパク質を生成することによって、TGFβ1もしくはTGFβ3に対する選択性の増強または低減を有するポリペプチドを追求した。以下に示す野生型hTβRII短(23~159)配列(配列番号7)は、以下で列挙する5つの受容体ECDバリアント(配列番号8~12)に関する基盤として機能を果たした。野生型hTβRII短(23~159)をIgG2のFc部分に融合させて、新規の基礎Fc構築物を生成した。以下の配列番号50、51および52を参照のこと。
【0296】
出願人らは、以下に示される野生型hTβRII
長(23~184)配列(配列番号13)に基づいて、5つの相当するバリアント(配列番号14~17)(配列中、25個のアミノ酸挿入に下線を付す)を想定する。スプライシングが、挿入に対してC末端にある隣接位置で、保存的アミノ酸置換(Val→Ile)をもたらすことに留意されたい。いくつかのhTβRII
短バリアントとそれらのhTβRII
長対応物との間の配列関係性を
図3に示す。
Fcドメインバリアント
【0297】
上記5つのhTβRII短バリアントが各々、以下のアミノ酸配列(配列番号19)を有するヒトIgG2 Fcドメインに、それらのC末端において(ミニマルリンカーを介して)融合された、hTβRII-hFc融合タンパク質を生成した:
【化23】
【0298】
出願人らは、上記の全長ヒトIgG2 Fc、IgG1 Fc(hG1Fc)(配列番号20、以下)およびN末端がトランケートされたヒトIgG1 Fc(hG1Fc短)(配列番号21、以下)を含むFcドメインを含むhTβRII
(短および長)-hFc融合タンパク質を想定する。任意選択で、Fcドメインと無関係のポリペプチドを、Fcドメインの代わりに結合させることができる。
【化24】
リーダー配列バリアント
以下の3つのリーダー配列を検討した:
【化25】
hTβRII-hFc融合タンパク質の発現
【0299】
選択されたhTβRII-hFcタンパク質バリアントは、TPAリーダーを取り込み、配列番号25、29、33、37、41および101に示されるプロセシングされていないアミノ酸配列を有する(実施例3を参照のこと)。これらのバリアントの対応するヌクレオチド配列は、配列番号26、30、34、38、42および102である。各々がG2Fcドメイン(配列番号19)を有する選択されたhTβRII-hFcバリアントを、HEK-293細胞において発現させ、濾過およびプロテインAクロマトグラフィーによって馴化培地から精製した。レポーター遺伝子アッセイのための試料の純度を、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析によって評価した。
【0300】
出願人らは、配列番号27、31、35、39、43および101に示されるプロセシングされていないアミノ酸配列を有するさらなるhTβRII-hFcタンパク質バリアント、ならびに配列番号28、32、36、40、44および101に示される対応するヌクレオチド配列を想定する。
【0301】
野生型短構築物hTβRII短(23~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号50)が、以下に示される。
【化26】
【0302】
このタンパク質を、以下に示すような、TPAリーダー配列を含む構築物(配列番号52)から発現させた。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化27】
配列番号52をコードする核酸配列を以下に示す:
【化28】
(実施例2)
細胞ベースのアッセイにおける受容体融合タンパク質バリアントによる示差的リガンド阻害
【0303】
A549細胞におけるレポーター遺伝子アッセイを使用して、TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3の活性を阻害するhTβRII-hFcバリアントの能力を決定した。このアッセイは、pGL3(CAGA)12レポータープラスミド(Dennlerら、1998年、EMBO 17巻:3091~3100頁)ならびにトランスフェクション効率について制御するためのRenillaレポータープラスミド(pRLCMV)でトランスフェクトしたヒト肺癌細胞株に基づく。CAGAモチーフは、TGFβ応答性遺伝子(例えば、PAI-1)のプロモーター中に存在するので、このベクターは、SMAD2およびSMAD3を介してシグナル伝達する因子のために一般に使用される。
【0304】
アッセイの最初の日に、A549細胞(ATCC(登録商標):CCL-185(商標))を、1ウェル当たり6.5×104細胞で48ウェルプレート中に分配した。2日目に、10μg pGL3(CAGA)12、100ng pRLCMV、30μl X-tremeGENE 9(Roche Applied Science)および970μl OptiMEM(Invitrogen)を含む溶液を、30分間事前インキュベートし、次いで、0.1%BSAを補充したイーグル最小必須培地(EMEM、ATCC(登録商標))に添加し、これを、室温で一晩のインキュベーションにわたり、プレートした細胞に適用した(500μl/ウェル)。3日目に、培地を除去し、細胞を、以下に記載するように調製したリガンドおよびインヒビターの混合物と共に、37℃で一晩インキュベートした。
【0305】
試験物品の連続希釈を、200μl体積のアッセイ緩衝液(EMEM+0.1%BSA)中で48ウェルプレートにおいて行った。試験リガンドを含む等体積のアッセイ緩衝液を添加して、予め決定したEC50と等しい最終リガンド濃度を得た。ヒトTGFβ1、ヒトTGFβ2およびヒトTGFβ3は、PeproTechから取得した。試験溶液を、37℃で30分間インキュベートし、次いで、250μlの混合物を、全てのウェルに添加した。各濃度の試験物品を、二連で決定した。試験溶液との一晩のインキュベーション後に、細胞を、リン酸緩衝食塩水でリンスし、次いで、受動溶解緩衝液(Promega E1941)で溶解させ、-70℃で一晩貯蔵した。4日目の最終日に、プレートを、穏やかに振盪しながら室温まで温めた。細胞溶解物を、化学発光プレート(96ウェル)に二連で移し、Dual-Luciferase Reporter Assayシステム(Promega E1980)の試薬を用いてルミノメーターで分析して、正規化されたルシフェラーゼ活性を決定した。
【0306】
このアッセイを使用して、TβRIIリガンドによる細胞シグナル伝達に対する潜在的阻害効果について、受容体融合タンパク質バリアントをスクリーニングした。野生型TβRII短-FcおよびTβRII長-Fcに関する以前の報告[del Reら、(2004)J Biol Chem 279巻:22765頁]と一致して、試験したいずれのバリアントも、高い濃度であっても、TGFβ2を阻害できなかった。しかし、hTβRII-hFcバリアントは、TGFβ1およびTGFβ3によって媒介される細胞シグナル伝達の示差的阻害を、予想外に示した。野生型TβRII短(23~159)-G2Fcと比較すると、TβRII短(23~159/D110K)-G2Fcバリアントは、TGFβ1の阻害の喪失を示したが、TGFβ3の中程度の阻害を維持した(以下の表を参照のこと)。110位は、TβRIIの「フック」領域中に位置するが[Radaevら、(2010)J Biol Chem 285巻:14806頁]、認識されたTβRIIリガンドTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3のうちで選択性を付与することは示唆されてこなかった。したがって、このバリアントは、差次的なリガンド阻害のプロファイルを示し、ここで、いくつかのTGFβ3阻害は維持され、バリアントは、TGFβ1活性に対する影響をほとんどから全く有さない。
【表1】
【0307】
第2の実験では、N末端がトランケートされたTβRII ECDを有するバリアントの潜在力を、全長野生型TβRII ECDのものと比較した。以下の表に示すように、TβRII短(29~159)-G2FcおよびTβRII短(35~159)-G2Fcは、TβRII短(23~159)-G2Fc(野生型)と比較して、TGFβ3を阻害する大きく減退した能力を示したが、一部のTGFβ1インヒビター効果を維持する。
【表2】
【0308】
第3の実験では、本発明者らは、C末端がトランケートされたTβRII ECDにおけるN70D置換の潜在力に対する影響を決定した。このアスパラギン酸残基は、潜在的グリコシル化部位を示す。以下の表に示すように、TβRII
短(23~153/N70D)-G2Fcは、TβRII
短(23~153)-G2Fcと比較して、TGFβ1を阻害する大きく減退された能力およびTGFβ3を阻害する事実上減退されていない能力を示した。したがって、N70D置換を伴うC末端がトランケートされたバリアントは、差次的なリガンド阻害のプロファイルを示し、ここで、TGFβ3は最も強力に阻害されるが、TGFβ1阻害に関する効力を非常に減少させる。
【表3】
【0309】
合わせると、これらの結果は、出願人らが、大きく異なるリガンド結合プロファイルを示すTβRII ECDのトランケーションおよび変異を生成したことを実証している。これらのバリアントの活性プロファイルは、以下の表にまとめられ得る。
【表4】
【0310】
本発明者らは、これらのTβRII短ECDバリアントのTβRII長ECD対応物が、類似のリガンド選択性を示すことを予測する。さらに、C’Δ6トランケートされたECD(例えば、それぞれ、TβRII短およびTβRII長アイソフォームについて配列番号11および16)が、変異およびN末端トランケーションを導入するTβRII短またはTβRII長についての塩基配列として使用され得る。
(実施例3)
例示的なhTβRII-hFc核酸およびタンパク質
【0311】
この実施例は、細胞培養物から単離されたタンパク質を提供するために、本明細書に提供される方法に従って、HEK-293またはCHO細胞においてTβRII構築物を発現させるために使用され得る核酸構築物をまとめる。各場合において、細胞培養物から単離された成熟タンパク質は、リーダー配列(以下の各配列中の点線の下線)が除去されている。
【0312】
項目1は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号25)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化29】
【0313】
項目2は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号26)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化30】
【化31】
【0314】
項目3は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号27)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化32】
【0315】
項目4は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド配列(配列番号28)を示す。二重下線はD110K置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化33】
【化34】
【0316】
項目5は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号29)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化35】
【0317】
項目6は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号30)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化36】
【化37】
【0318】
項目7は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号31)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化38】
【0319】
項目8は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド配列(配列番号32)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化39】
【化40】
【0320】
項目9は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号33)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化41】
【0321】
項目10は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号34)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化42】
【化43】
【0322】
項目11は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号35)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化44】
【0323】
項目12は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド配列(配列番号36)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化45】
【化46】
【0324】
項目13は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号37)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化47】
【0325】
項目14は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号38)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化48】
【化49】
【0326】
項目15は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号39)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化50】
【0327】
項目16は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド配列(配列番号40)を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化51】
【化52】
【0328】
項目17は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcのアミノ酸配列(配列番号41)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化53】
【0329】
項目18は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcをコードするヌクレオチド配列(配列番号42)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化54】
【化55】
【0330】
項目19は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短のアミノ酸配列(配列番号43)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化56】
【0331】
項目20は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短をコードするヌクレオチド配列(配列番号44)を示す。二重下線はN70D置換を示す。点線の下線はリーダーを示し、実線の下線はリンカーを示す。
【化57】
【0332】
項目21は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号53)を示す。二重下線はD110K置換を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化58】
【0333】
項目22は、hTβRII短(23~159/D110K)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号54)を示す。二重下線はD110K置換を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化59】
【0334】
項目23は、hTβRII短(29~159)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号55)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化60】
【0335】
項目24は、hTβRII短(29~159)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号56)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化61】
【0336】
項目25は、hTβRII短(35~159)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号57)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化62】
【0337】
項目26は、hTβRII短(35~159)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号58)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化63】
【0338】
項目27は、hTβRII短(23~153)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号59)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化64】
【0339】
項目28は、hTβRII短(23~153)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号60)を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化65】
【0340】
項目29は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG2Fcの成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号61)を示す。二重下線はN70D置換を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化66】
【0341】
項目30は、hTβRII短(23~153/N70D)-hG1Fc短の成熟アミノ酸配列(即ち、リーダー配列なし)(配列番号62)を示す。二重下線はN70D置換を示す。一本線の下線はリンカーを示す。
【化67】
(実施例4)
JAK2V617F動物モデルにおけるTβRII-Fcの影響
【0342】
骨髄増殖性障害は、一部には、血液細胞異常(例えば、血小板、白血球および赤血球の1または複数の異常レベル)を特徴とする状態の一群である。この群の障害は、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)および骨髄線維症(MF)を含む。近年、いくつかのグループが、PV、ETおよびMFを有する患者において、主要な分子欠陥としてチロシンキナーゼJAK2の機能獲得型変異(JAK2V617F)を同定した[例えば、Kralovicsら(2005年)N Engl J Med 2005年;352巻:1779~1790頁]。変異は、JAK2の構成的な活性化を生じ、それは、骨髄増殖性疾患の発症または悪化に関連付けられている。近年、JAK2インヒビター(ルキソリチニブ)は、MFおよびPVの処置に関して承認されている。
【0343】
ヒト新生物に非常に似ているJAK2V617F骨髄増殖性疾患モデルが開発された[Xingら(2008年)Blood 111巻:5109~5117頁]。特に、JAK2V617Fマウスは、若年時にヒトPVまたはETに非常に似ている病理学を発症し、その疾患は、高齢に伴って進行して、骨髄線維症をもたらす。出願人らは、骨髄増殖性疾患のこのJAK2V617FモデルにおけるTβRII長-Fc融合タンパク質の影響を評価した。
【0344】
トランスジェニックJAK2V617F変異マウス[Xingら(2008年)Blood 111巻:5109~5117頁に記載されるようなA株]および同齢の野生型(対照)マウス(C57BL/6マウス)をこれらの研究において使用した。骨髄増殖性疾患の発症および進行を理解するために、JAK2V617Fマウスにおける完全血球数および線維症の度合いを、様々な年齢で、対照動物から得られるデータと比較した。赤血球(RBC)および血小板レベルは、2~5ヵ月間の変異動物におけるレベルの増加の傾向を伴って、野生型と比較して全ての年齢でJAK2V617Fマウスにおいて上昇し、続いて8~14ヵ月間、段階的に減少した。線維症は、およそ5ヵ月で始まって、JAK2V617Fマウスの骨髄で検出可能であり、それは、年齢とともに悪化した。JAK2V617Fマウスはまた、脾腫を示し、それもまた、年齢とともに悪化した。興味深いことに、TGFβ1、TGFβ2および様々な骨代謝サイトカイン(例えば、OPG、OPN、aFGFおよびTrance)の血清レベルは、より高齢のJAK2V617Fマウスより、より若いJAK2V617Fマウス(およそ2~5ヵ月齢)において上昇し、それはRBCおよび血小板レベルにおいて観察された増加と一致する。これらのタンパク質のピーク血清レベルは、線維症の発症時(約5ヵ月)に観察された。同様に、炎症性サイトカイン(例えば、IL-6、IL-1bおよびTNFα)は、より高齢で上昇した。したがって、JAK2V617Fマウスは、初期(およそ2~5ヵ月齢)でPVまたはET病理学を示し、それらが年を取るにつれ(およそ5~8ヵ月齢後に)、MF病理学を発症する。
【0345】
TβRII-Fc研究のために、処置を4ヵ月齢(それは、血清TGFβ1の上昇に相当するが、線維症の発症(およそ5ヵ月齢で)に先立っていた)で開始した。マウスを、3つの群の1つに配置した:i)週に2度の10mg/kgの投薬スケジュールでの、上述するようなマウスTβRII
長-Fc(mTβRII-Fc)によるJAK2V617Fマウスの処置;ii)週に2度のビヒクル(TBS)によるJAK2V617Fマウスの処置、およびiii)ビヒクル処置した野生型マウス(C57BL/6マウス)。処置の6ヵ月後に、ビヒクル処置したJAK2V617Fマウスは、野生型マウスと比較して、RBCレベルの上昇(+37.1%、P<0.001)、血小板の上昇(+74.5%、P<0.001)および脾臓重量の増加(+9.5倍、P<0.001)を示した。さらに、ビヒクル処置JAK2V617Fマウスからの骨髄切片(
図4Bを参照のこと)から、野生型マウス(
図4Aを参照のこと)と比較して、重症の線維症が明らかとなった。ビヒクルと比較して、mTβRII-Fc JAK2V617Fマウスは、より少ないRBCレベルの傾向が見られ(
図5Aを参照のこと)、フローサイトメトリー分析から、骨髄および脾臓試料においてTer119+赤血球前駆細胞のレベルの低減が明らかとなった(-15%、P<0.05)。処置はまた、脾腫に対して著しい影響を有し、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウスは、ビヒクル処置と比較して脾臓重量の低減(-29%、P<0.01)を有し(
図5B)、また線維症に対して著しい影響を有し、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウスは、ビヒクル処置と比較した骨髄線維症(
図4Cを参照のこと)および脾臓線維症(
図6Aおよび6Bを参照のこと)の低減を有した。線維症における低減と一致して、mTβRII-Fc処置JAK2V617Fマウスは、ビヒクル処置マウスと比較して、IL-6レベルの低減(-48.9%、P<0.05)を示した。
【0346】
したがって、データにより、高い血清TGFβレベルが、このJAK2V617F疾患モデルにおける線維症の発症(およそ約5ヵ月齢)と相関していること、およびTβRII-Fc融合タンパク質による処置が、線維症および脾腫ならびに疾患と関連付けられる病的状態の低減(例えば、炎症性サイトカインのレベルの低減)をもたらすことが示される。総合すると、これらのデータは、TβRII-Fcポリペプチドが、JAK2V617F変異から起こる疾患を処置する、または予防するのに使用され得ることを実証し、これは、かかる治療学が、骨髄増殖性障害(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症後骨髄線維症、ならびに原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症)および他のヤヌスキナーゼ関連障害を処置するのに使用され得ることを示す。初期(例えば、脾腫および血液細胞レベルの上昇)および後期(例えば、線維症および炎症誘発性サイトカイン)疾患病理学に対する正の影響を考慮すると、TβRII-Fcポリペプチドは、PV、ETおよびMF患者の処置に特に十分に適し得る。例えば、TβRII-Fc処置は、PVおよびET病理学を軽減し、ならびに線維症および他の後期疾患合併症の発症を予防する/遅延させる、またはそれらの重症度を低減させる。TβRII-Fc処置はまた、二次的な骨髄線維症疾患(真性赤血球増加症後骨髄線維症および本態性血小板血症)へのPVおよび/またはETの移行を予防する/遅延させるのに有用であり得る。
(実施例5)
JAK2V617F動物モデルにおけるTβRII-Fcおよびルキソリチニブの影響
【0347】
上述のトランスジェニックJAK2V617F変異マウスモデルをさらに使用して、骨髄線維症に対する、別々での、および組み合わせた、mTβRII-Fcおよびルキソリチニブ(rux)の影響を比較した。実施例4と対照的に、この研究における処置は、12ヵ月齢で開始し、それは、骨髄線維症の後期段階に相当し、ここでは、マウスは概して、より若いJAK2V617マウス(例えば、2~5ヵ月齢)と比較して様々な組織(例えば、骨髄および脾臓)における線維症のレベルの増加、および赤血球レベルの低減を有する。マウスを、4つの群の1つに配置した:i)週に2度のビヒクル(TBS)によるJAK2V617Fマウスの処置;ii)週に2度の10mg/kgの投薬スケジュールでの、上述するようなmTβRII-FcによるJAK2V617Fマウスの処置;iii)1日に2度の60mg/kgの投薬スケジュールでの、ruxによるJAK2V617Fマウスの処置;ならびにiv)週に2度の10mg/kgでのmTβRII-Fc、および毎日の60mg/kgでのruxによるJAK2V617Fマウスの処置。処置の3週後、単独の、またはmTβRII-Fcと組み合わせたrux処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、著しくRBCレベルを低減させ、脾臓重量を低減させた(
図7Aおよび7Bを参照のこと)。mTβRII-Fc処置単独は、より高齢のJAK2V617Fマウスにおいて、RBCレベルおよび脾臓重量に対してより適度な影響を有した。骨髄線維症もまた、処置の3週後に評価した。ruxおよびビヒクル処置マウスは、類似した高レベルの骨髄線維症を有し、それは、ruxがヒト患者において骨髄線維症を改善するようには見えないという観察と一致する(それぞれ、
図8Bおよび
図8Aを参照のこと)。驚くべきことに、単独での、およびruxと組み合わせたmTβRII-Fc処置は、療法開始の3週後と少なくとも早期のうちに、骨髄線維症を低減させるようであり(それぞれ、
図8Cおよび
図8Dを参照のこと)、mTβRII-Fc処置が、進行性骨髄線維症を有する患者において線維性瘢痕を実際に逆戻りさせ得ることを示唆する。
【0348】
データによって実証されるように、骨髄線維症は、患者が、例えば、赤血球過形成、脾腫、増加した炎症性サイトカインレベル、および組織線維症を含む多くの種々の合併症に苦しんでいる複雑な疾患である。ruxは、骨髄線維症を処置するための現在承認されている治療学である。ruxは、脾腫を低減させることが示されている一方で、それは、例えば、骨髄線維症を含む疾患の他の合併症を処置しない。初期および後期骨髄線維症の両方の研究において、出願人らは、TβRII-Fc融合タンパク質単独による処置は、組織線維症を減少させるのに使用され、骨髄増殖性疾患に対して他の正の影響(例えば、特に疾患のPVおよびET段階における、脾腫および血液細胞レベルの低減)を有し得ることを実証している。したがって、TβRIIアンタゴニスト処置は、ruxによって影響を受けない骨髄線維症のある特定の合併症を処置することに対して有益な影響を有する。したがって、出願人らは、TβRII-Fc融合タンパク質が、骨髄線維症ならびにヤヌスキナーゼ関連障害を処置するのに、単独療法として、ならびにruxとの併用療法として使用され得ることを実証している。さらに、これらのデータにより、TβRIIアンタゴニストは、骨髄増殖性障害を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際に、特にMF、PVおよび/またはETの1または複数の合併症を処置する、予防する、またはその進行速度および/もしくは重症度を低減させる際に、様々な有益な影響を有し得ることが示唆される。
参照による組み込み
参照による組み込み
【0349】
本明細書で言及される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることがあたかも具体的かつ個々に示されるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0350】
主題の具体的な実施形態が議論されてきたが、上記明細書は、例示的であって限定的ではない。多くのバリエーションが、本明細書および以下の特許請求の範囲の再検討により、当業者に明らかとなる。本発明の全範囲は、等価物のそれらの全範囲と共に特許請求の範囲を参照し、かかるバリエーションと共に明細書を参照することによって、決定されるべきである。
【配列表】