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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】3Dプリントのための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20230727BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230727BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20230727BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20230727BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230727BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230727BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230727BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230727BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20230727BHJP
   C08L 3/02 20060101ALI20230727BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B28B1/30
B29C64/153
B29C64/165
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y70/00
C08K3/013
C08K3/34
C08L1/02
C08L3/02
C08L29/04 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018505478
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2016060097
(87)【国際公開番号】W WO2017079282
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-10-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】62/250,855
(32)【優先日】2015-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313009947
【氏名又は名称】アイメリーズ フィルトレーション ミネラルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ナヴィン
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】増山 淳子
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-505737(JP,A)
【文献】国際公開第2005/023524(WO,A1)
【文献】特開平4-89341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B1/00
C04B28/00
B29C
B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を3Dプリントするための組成物であって、
漆喰、セメント及びジオポリマーの少なくとも一つを含むベース材料と、
針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、
結合剤と、
を含み、
前記機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一つを含み、該滑石は板形状でありおよび該珪灰石は針形状であり、
前記滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有し、および前記珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有し、
前記機能性微粒子が、該機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の強度特性と比較して、前記組成物により製造される物品の強度特性を増大させる、組成物。
【請求項2】
前記機能性微粒子が少なくとも3:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記機能性微粒子が50~96の範囲の粒径分布勾配を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
粉末である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記機能性微粒子が、3ミクロン~55ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
30度~53度の範囲の安息角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
30度~44度の範囲の安息角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
70wt%~80wt%のベース材料と、15wt%~25wt%の機能性微粒子と、5wt%~15wt%の結合剤とを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
硫酸カリウムを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記結合剤が、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースゲル、デンプン、化工デンプン及びカチオン性デンプンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記滑石が30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有し、前記珪灰石が10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
液体の添加によって結合するように構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記機能性微粒子を含んで製造される物品が、前記機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記機能性微粒子を含んで製造される物品が、前記機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも100%大きい曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記機能性微粒子を含んで製造される物品が、前記機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも150%大きい曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
3Dプリントによって物品を製造する方法であって、
漆喰、セメント及びジオポリマーの少なくとも一つを含むベース材料と、
針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、
結合剤と、
を含み、前記機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一つを含み、該滑石は板形状でありおよび該珪灰石は針形状であり、前記滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有し、および前記珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有する、
粉末組成物の第1の層を施すことと、
なお、前記機能性微粒子が少なくとも3:1のアスペクト比を有し、
前記粉末組成物の第1の層を所定のパターンで結合させ、それによって前記粉末組成物を含む硬化した二次元形状を形成することと、
前記粉末組成物の更なる層を連続的に施すとともに、該各層を結合させ、それによって前記粉末組成物を含む硬化した二次元形状の層を介して前記物品を形成することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記層を結合させることが、液体を前記粉末組成物に前記所定のパターンで添加すること、及び前記粉末組成物を前記所定のパターンに従って加熱することの少なくとも一方を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記機能性微粒子を含んで製造される物品が、前記機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品より少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記機能性微粒子が50~96の範囲の粒径分布勾配を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記粉末組成物が30度~53度の範囲の安息角を有する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本PCT国際出願は2015年11月4日付けで出願された米国仮特許出願第62/250,855号(その主題の全体が引用することにより本明細書の一部をなす)の優先権の利益を主張するものである。

【0002】
本開示は、3Dプリントに関連する組成物及び方法、より詳細には、機能性微粒子を含む3Dプリントに関連する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
「三次元印刷」とも称されることがある3Dプリント(付加製造)法によって複雑な形状を有する固体物体を製造することができる。三次元印刷は一般に、材料の連続層を様々な形状で据えることにより三次元製品を形成する付加プロセスによって三次元物体を製造するプロセスを指すものであり得る。例えば、コンピュータ支援設計ソフトウェアにより得られる物品のデジタル又はバーチャルな設計図を、物品の二次元デジタル断面にスライスすることができ、三次元プリンタがこのデジタル断面に従って材料を連続的に据えることで物品を形成する。この完成した三次元物品は「印刷」されたと言うことができる。
【0004】
三次元印刷技法の例は、「粉末床」方式("powder bed" fabrication)、「結合剤噴射」及び「ドロップオンパウダー」と称されることがある。幾つかの粉末床方式の製造技法では、粉末床を施して、粉末を結合させることによって、例えば、液体を粉末に所定の形状で添加することによって、又は所定の形状に従って粉末を加熱することによって所定の二次元形状を粉末中に形成する。粉末の層を所定の形状に結合させた後、粉末の更なる層を、結合した層上に施し、三次元物品が完成するまでこのプロセスを繰り返す。その後、「脱粉末(de-powdering)」と称されることがあるプロセスにおいて過剰又は結合していない粉末を物品から除去することにより、三次元物品を得ることができる。追加的な仕上げプロセス、例えば塗装又は接着剤若しくは架橋性樹脂による処理を続けて実施することで、物品の強度を改善させることもできる。
【0005】
本プロセスは幾つかの潜在的な不利点を有するおそれがある。まず、このように作り出された物品は、物品及びその所望の使用に応じて望まれるレベルの強度がないことが多い。加えて、幾つかの形成後プロセスは物品の強度を増大させ得るものの、このようなプロセスは費用を増やすか、又は不十分な強度しか物品にもたらさない場合がある。
【0006】
したがって、上記の予想される不利点及び他の予想される不利点を1つ以上軽減又は克服する、3Dプリントのための組成物及び方法を提供することが望まれ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、物品を3Dプリントするための組成物が、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の強度特性と比較して、上記組成物により製造される物品の強度特性を増大させることができる。
【0008】
別の態様によれば、物品を3Dプリントするための粉末組成物が、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子を含んで製造される物品中の粉末組成物が、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品と比較して粒子の充填を改善させることができる。
【0009】
更なる態様によれば、3Dプリントによって物品を製造する方法が、粉末組成物の第1の層を施すことを含み得る。該粉末組成物は、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。本方法はまた、粉末組成物の第1の層を所定のパターンで結合させ、それによって粉末組成物を含む二次元形状を形成することを含み得る。本方法は、粉末組成物の更なる層を連続的に施すとともに、該各層を結合させ、それによって粉末組成物を含む二次元形状の層を介して物品を形成することを更に含み得る。
【0010】
なお別の態様によれば、3Dプリントされた物品を強化する方法が、ベース材料と結合剤とを、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と合わせて含む粉末組成物を施すことを含み得る。本方法はまた、粉末組成物を所定のパターンで結合させ、それによって粉末組成物を含む二次元形状を形成することを含み得る。機能性微粒子を含んで製造される物品中の粉末組成物は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品と比較して粒子の充填を改善させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
幾つかの実施形態によれば、物品を3Dプリントするための組成物が、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の強度特性と比較して、上記組成物により製造される物品の強度特性を増大させることができる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「3Dプリント」とは、機械、例えば三次元プリンタを使用して、形成材料、例えば本明細書に開示される組成物等から物品を形成することを指す。幾つかの実施形態によれば、3Dプリントは、注入器又は類似の手持形機器を使用して、3Dプリントプロセスに従って製造される物品における空間に材料を手動で供給することを含まない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「針形状」とは、細長い針状構造若しくは結晶を含むか若しくはそれらに由来する微粒子、又は類似の形態を有する微粒子を指す。本明細書で使用される場合、「板形状」とは、1より大きいアスペクト比を有する微粒子を指す。対照的に、1以下のアスペクト比を有する微粒子は、「ブロック形状」を有すると考えられるであろう。
【0014】
機能性微粒子のモルフォロジは、幾つかの実施形態によれば、アスペクト比を特徴とし得る。微粒子のアスペクト比とは概して微粒子の長さ対幅の比率を指すものである。所与の微粒子試料では、アスペクト比を平均値として求めることができる。例えば、幾つかの実施形態による機能性微粒子のアスペクト比は、初めに機能性微粒子の試料を含むスラリーを標準的なSEMステージ上に堆積させ、スラリーを白金でコーティングすることによって求めることができる。その後、スラリーの画像を得て、例えばコンピュータによる解析を使用して粒子寸法を求めることができる。ここでは、粒子の厚さ及び幅が等しいことが想定される。その後、個々の粒子の長さ対幅のアスペクト比の多くの計算値(例えば50個の計算値)を平均することによって、アスペクト比を求めることができる。アスペクト比を求める他の方法も検討される。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。例えば、機能性微粒子は少なくとも12:1のアスペクト比、少なくとも15:1のアスペクト比、少なくとも18:1のアスペクト比、少なくとも24:1のアスペクト比、少なくとも34:1のアスペクト比、又は少なくとも55:1のアスペクト比を有し得る。
【0016】
本開示で言及される粒径及び他の粒径特性は、Micromeritics Corporationにより供給されるSedigraph 5100計器を用いて測定することができる。このような測定機器を用いて、所与の粒子のサイズは、懸濁液で沈降する、「球相当径」すなわち「esd」と称されることがある相当径を有する球の直径に換算して表される。中央粒径、すなわち「d50」値は、50重量%の粒子がd50値より小さいesdを有する粒子esdによって決定される値である。同様に、「d30」値は、30重量%の粒子がd30値より小さいesdを有する粒子esdによって決定される値であり、「d70」値は、70重量%の粒子がd70値より小さいesdを有する粒子esdによって決定される値である。同様に、「d10」値は、10重量%の粒子がd10値より小さいesdを有する粒子esdによって決定される値であり、「d90」値は、90重量%の粒子がd90値より小さいesdを有する粒子esdによって決定される値である。粒径及び関連特性を決定するための他の方法及び/又は機器が検討される。
【0017】
また、微粒子材料の粒径分布(psd)は、粒径分布「勾配」を特徴とし得る。psd勾配は、y軸上の粒子の累積質量百分率に対して粒子直径をx軸上にプロットするpsd曲線の傾斜に由来するものである。広い粒径分布は比較的小さな勾配を有し、狭い粒径分布は比較的大きな勾配をもたらす。態様によっては、勾配は、
[勾配]=d30/d70×100
の比、すなわちSedigraph 5100によって測定したような、粒子の30%未満の累積質量における粒径(d30)と、粒子の70%未満の累積質量における粒径(d70)との比に100を乗算したものとして算出することができる。d30値及びd70値は互いに近いため、勾配ファクターが増大する。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は50~96の範囲の粒径分布勾配を有し得る。例えば、機能性微粒子は、50~79の範囲の粒径分布勾配、79~84の範囲の粒径分布勾配、85~96の範囲の粒径分布勾配、50~79の範囲の粒径分布勾配、又は50~84の範囲の粒径分布勾配を有し得る。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は3.0ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。例えば、機能性微粒子は、8.5ミクロン~19.8ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、6.4ミクロン~13.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、9.3ミクロン~15.1ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、11.7ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、又は13.0ミクロン~27.9ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、ベース材料はコールドセット材料(coldset material)を含み得る。例えば、ベース材料は、漆喰、セメント及びジオポリマー、ポリマー又は同様の特徴を有するいずれかの材料の少なくとも1つであってもよい。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、組成物は粉末である。幾つかの実施形態によれば、組成物は30度~53度の範囲の安息角を有し得る。例えば、粉末組成物は、30度~44度、30度~48度、30度~38度、30度~60度、30度~34度、又は30度~50度の範囲の安息角を有し得る。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、組成物は、70wt%~80wt%のベース材料と、15wt%~35wt%の機能性微粒子と、5wt%~35wt%の結合剤とを含み得る。例えば、組成物は、70wt%~75wt%のベース材料と、20wt%~25wt%の機能性微粒子と、5wt%~15wt%の結合剤とを含んでいてもよい。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、組成物は促進剤を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、組成物は促進剤を完全に含んでいなくてもよい。幾つかの実施形態によれば、組成物は促進剤、例えば硫酸カリウム等を含んでいてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、結合剤は、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースゲル、デンプン、化工デンプン及びカチオン性デンプンの少なくとも1つを含み得る。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石(タルク)、白雲母、湿式カオリン(例えば高アスペクト比の湿式カオリン)、珪灰石及び天然ベントナイトの少なくとも1つを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一方を含んでいてもよい。或る特定の実施形態によれば、機能性微粒子は表面処理されていてもよい。例えば、機能性微粒子は、官能性シラン、例えばアミノ、メタクリレート、ビニル、エポキシ、メルカプト、及びそれらの配合物等で表面処理されていてもよい。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、表面処理された及び未処理の珪灰石を含んでいてもよい。例えば、珪灰石は、官能性シラン、例えばアミノ、メタクリレート、ビニル、エポキシ、メルカプト、及びそれらの配合物等で表面処理されていてもよい。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、以下の表面処理剤を使用することができる。
【0028】
【表1】
【0029】
実施形態によっては、表面処理剤が、以下のカップリング剤:1-プロパンアミン、3-(トリエトキシシリル)-、アミノシラン表面トリメトキシ[3-(オキシラニルメトキシ)プロピル]、エポキシシラン2-プロペン酸、2-メチル-、3-(トリメトキシシリル)プロピルエステル-メタクリルシラン、エテニルトリエトキシ、ビニルシラン(3-クロロプロピル)トリメトキシ、ハロ-アルキル-(クロロプロピル-)、1,2-エタンジアミン、N-[3’-(トリメトキシシリル)プロピル]、シラン、エトキシトリメチル、2,5,7,10-テトラオキサ-6-シラウンデカン、及び/又は6-エテニル-6-(2-メトキシエトキシ)を含んでいてもよい。
【0030】
実施形態によっては、対応する官能性を有する以下の作用物質:グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)=エポキシと高適合性;トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン=疎油性+疎水性;メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)=耐引っ掻き性;トリエトキシ-プロピル-アミノ-シラン(TEPAS)+HMDS=高pHシリカ-9+静電荷;オクタメチル-シクロ-テトラ-シロキサン(D4)=低残留HCl、透明度の改善;ヘキサ-デシル-シラン(C16)=水に湿潤;ポリ-ジメチル-シロキサン(PDMS)=高疎水性;ヘキサメチル-ジ-シラザン(HMDS)=pH中性;トリメトキシ-オクチル-シラン(TMOS)=長鎖で高い極性安定性、PDMSなし;ジメチル-ジクロロ-シラン(DDS)=高OH変換率を使用してもよい。
【0031】
実施形態によっては、表面処理剤は、微粒子の表面上に堆積又は溶融するポリマー、エマルション又は蝋であってもよい。一例は、PPグラフト化した無水マレイン酸又は水性ポリマーエマルションである。これらのタイプの表面処理剤は、機能性微粒子の表面に対して化学結合を形成しなくてもよく、また機能性微粒子表面から樹脂系へのカップリング剤として作用しなくてもよい。このタイプの表面処理剤を典型的に使用して、樹脂系における機械特性、例えば衝撃特性を改善させることができる。
【0032】
実施形態によっては、ポリマーは、ジメチルシロキサン、ジメチルビニル末端およびジメチル、メチルハイドロジェンシロキサンとからなる固体エラストマーであってもよい。実施形態によっては、ポリマーはPPグラフト化した無水マレイン酸であってもよい。幾つかの実施形態に際して、ポリマーは無水マレイン酸官能化ポリプロピレンであってもよい。
【0033】
実施形態によっては、エマルションは水性エマルションであってもよい。実施形態によっては、水性エマルションは有機変性ポリシロキサン、PPポリマー又はウレタンポリマーであってもよい。
【0034】
実施形態によっては、化学処理剤が、一般構造、例えばR-(CH-Si-X(式中、Rは、アルキル、芳香族又は有機官能性のいずれであってもよい非加水分解性有機物部分である)を有する有機シランであってもよい。或る特定の実施形態によれば、これらの基は樹脂系において有機適合性をもたらすか、又は反応性有機官能性シランの場合にはポリマー内で共反応する。
【0035】
実施形態によっては、R基がアルキル、アリール又は芳香族であって、光沢、隠蔽力、混合時間、及び無機質の分散度を改善するのに関連する他の特性を改善させることができる。また、アルキルシラン、アリールシラン及び芳香族シランを利用して、感湿性用途のために疎水性表面を微粒子表面にもたらすこともできる。Xはアルコキシ部分、最も典型的にはメトキシ又はエトキシを表し、これらが様々な形態のヒドロキシル基及び遊離メタノール又はエタノールと反応する。これらの基は無機基材、顔料又はフィラーとの連結をもたらし、コーティングの完全性及び付着性を改善させることができる。実施形態によっては、アルキル基がポリアルキレンオキシドアルコキシシラン(polyalkyleneoxidealkoxysilane)であってもよい。実施形態によっては、芳香族基がフェニルトリメトキシシランであってもよい。
【0036】
実施形態によっては、R基が有機官能基、例えばアミノ、エポキシ若しくはビニル、又は反応して有機樹脂(すなわち塑性樹脂化合物)となり得る幾つかの他の基であるのに対し、X基は、EMVG表面と化学共有結合を構築するものである。同じタイプの有機官能基を2つ以上含有するより複雑なR基を使用して、有機樹脂の反応性を増大させることもできる。
【0037】
実施形態によっては、有機官能基がアミノ、例えば3-アミノプロピルトリエトキシシランである。実施形態によっては、有機官能基がエポキシ、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。実施形態によっては、有機官能基がオルガノシランエステル、例えばビニルトリエトキシシランである。実施形態によっては、有機官能基がメタクリル、例えば3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。実施形態によっては、有機官能基がハロ-アルキル、例えば3-クロロプロピルトリメトキシシランである。実施形態によっては、有機官能基がより複雑であり、R基中に2つ以上の官能基を有する。
【0038】
実施形態によっては、多官能性R基が、複数のアミン基、例えば3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランであってもよい。
【0039】
実施形態によっては、エマルション、ポリマー又は蝋と、オルガノシランタイプの化学物質との組合せを用いた更なるバリエーションの表面処理剤を機能性微粒子上に付してもよい。この組合せは同時に利用することができる。好ましいタイプは各タイプ最大1wt%~2wt%の量の、オルガノシランとエマルションとのものである。
【0040】
表面処理剤が湿潤剤/潤滑剤(lubricating agent)として機能して流動性及び分散度を改善させる或る特定の実施形態では、その後、ポリエチレングリコール官能性アルコキシシランのような作用物質を使用するか、又は代替的には、アリールアルコキシシラン若しくはビニルトリメトキシシラン、若しくはビニルトリエトキシシランを添加してもよい。
【0041】
実施形態によっては、非反応性で湿潤性のシラン化剤として、メチル-シラン、線形アルキル-シラン及び芳香族シランが挙げられ得るが、これらに限定されない。実施形態によっては、非反応性で湿潤性のシラン化剤として、エチルトリメトキシシラン及びオクチルトリメトキシシランが挙げられ得る。実施形態によっては、非反応性で湿潤性のシラン化剤としてフェニルトリメトキシシランが挙げられ得る。
【0042】
実施形態によっては、表面処理剤として、アミノ官能性シラン、ビニル官能性シラン及びエポキシ官能性シランが挙げられ得るが、これらに限定されない。実施形態によっては、表面処理剤として、ビニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、y-グリシドキシプロピルジエトキシシラン、y-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、y-アニリノプロピルトリメトキシシラン、y-(2-アミノエチル)アミノ-プロピルトリメトキシシラン、及びy-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ得る。実施形態によっては、反応性カップリング剤として、1-プロパン-アミン-3-(トリエトキシシリル)が挙げられ得る。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、微粒子は、二成分混合物、例えば2つの異なるシランを同時に含むもの等で、例えば2対1の比率で2つ(又はそれ以上)のシランで表面処理されていてもよい。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。例えば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は25ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は20ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、又は、滑石は15ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよい。例えば、滑石は少なくとも34:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも24:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも4:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよく、又は、滑石は少なくとも18:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよい。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は、液体の添加によって結合するように構成されていてもよい。例えば、液体は水性熱可塑性エマルション結合剤、例えばグリコール等を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体はグリコールと促進剤とを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体はエマルション結合剤、例えばアクリル、ビニルアクリル、エチレン酢酸ビニル(EVA)及びスチレンアクリル等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は、例えば45重量%~55重量%の範囲の不揮発性固体を含有し、かつ摂氏0度~摂氏75度の範囲の最低成膜温度を有し得るエマルション結合剤を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は合体剤、例えばプロピレングリコール、エステルアルコール、ポリエチレングリコール又はPVP等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、エマルション結合剤は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品と比較して、機能性微粒子により製造される物品の補強を改善させ、破断強度を向上させ及び/又は硬度を改善させることができる。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、組成物は加熱によって結合するように構成されていてもよい。例えば、組成物はレーザーを介した加熱によって結合するように構成されていてもよい。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有し得る。例えば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも100%大きい、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも150%大きい、又は機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも200%大きい曲げ弾性率を有し得る。
【0049】
理論に束縛されることを望むものではないが、少なくとも一つには、組成物が3Dプリント時に液体と接触するか又は加熱されて、少量のベース材料(例えば漆喰)が結晶化して互いに絡み合うことにより、残る不溶性粒子も合わせてセメント化することから、機能性微粒子を含んで製造された物品の強度特性は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の強度特性と比較して驚くほど増大すると考えられる。結晶を絡み合わせることは、製造された物品の強度特性を増大させる原因となると考えられる。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、層状微粒子又は板形状を有する微粒子(例えば、層状滑石又は板形状を有する滑石)を含んでいてもよく、この層状又は板状の微粒子が曲げ弾性率を驚くほど改善させ、理論に束縛されることを望むものではないが、これによって組成物の粒子の充填の改善が結果としてもたらされると考えられる。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、針状微粒子(例えば、高アスペクト比を有する針状珪灰石)を含んでいてもよく、このため製造された物品の曲げ弾性率が驚くほど改善し得る。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、針形状を有する微粒子(例えば、高アスペクト比を有する針状珪灰石)、及び板形状又は層形状を有する微粒子(例えば板状滑石)を含んでいてもよい。針状の微粒子と板状の微粒子との組合せは、幾つかの実施形態によれば、製造された物品の強度特性を増大させる上で相乗効果を示し得る。例えば、針形状を有する微粒子と、板形状又は層形状を有する微粒子とを含む機能性微粒子は曲げ弾性率を驚くほど高い比率で改善させることができる。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、物品を3Dプリントするための粉末組成物は、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子を含んで製造される物品中の粉末組成物は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品と比較して粒子の充填を改善させることができる。
【0052】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有し得る。例えば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも100%大きい、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも150%大きい、又は機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも200%大きい曲げ弾性率を有し得る。
【0053】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。例えば、機能性微粒子は少なくとも12:1のアスペクト比、少なくとも15:1のアスペクト比、少なくとも18:1のアスペクト比、少なくとも24:1のアスペクト比、少なくとも34:1のアスペクト比、又は少なくとも55:1のアスペクト比を有し得る。
【0054】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は50~96の範囲の粒径分布勾配を有し得る。例えば、機能性微粒子は、50~79の範囲の粒径分布勾配、79~84の範囲の粒径分布勾配、85~96の範囲の粒径分布勾配、50~79の範囲の粒径分布勾配、又は50~84の範囲の粒径分布勾配を有し得る。
【0055】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は3.0ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。例えば、機能性微粒子は、8.5ミクロン~19.8ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、6.4ミクロン~13.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、9.3ミクロン~15.1ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、11.7ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、又は13.0ミクロン~27.9ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。
【0056】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、ベース材料はコールドセット材料を含み得る。例えば、ベース材料は、漆喰、セメント及びジオポリマー、ポリマー又は同様の特徴を有するいずれかの材料の少なくとも1つであってもよい。
【0057】
或る特定の実施形態によれば、ベース材料は、ポリアミド(例えばナイロン-11、ナイロン-12)、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸(PLA)及びポリスチレンから選択されるポリマーとすることができる。
【0058】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は30度~53度の範囲の安息角を有し得る。例えば、粉末組成物は、30度~44度、30度~48度、30度~38度、30度~60度、30度~34度、又は30度~50度の範囲の安息角を有し得る。
【0059】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は、70wt%~80wt%のベース材料と、15wt%~35wt%の機能性微粒子と、5wt%~35wt%の結合剤とを含み得る。例えば、組成物は、70wt%~75wt%のベース材料と、20wt%~25wt%の機能性微粒子と、5wt%~15wt%の結合剤とを含んでいてもよい。
【0060】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は促進剤を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、粉末組成物は促進剤を完全に含んでいなくてもよい。粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、組成物は促進剤、例えば硫酸カリウム等を含んでいてもよい。
【0061】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、結合剤は、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースゲル、デンプン、化工デンプン及びカチオン性デンプンの少なくとも1つを含み得る。
【0062】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石、白雲母、湿式カオリン(例えば高アスペクト比の湿式カオリン)、珪灰石及び天然ベントナイトの少なくとも1つを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、粉末組成物の機能性微粒子は表面処理された及び未処理の珪灰石を含んでいてもよい。例えば、珪灰石は、官能性シラン、例えばアミノ、メタクリレート、ビニル、エポキシ、メルカプト、及びそれらの配合物等で表面処理されていてもよい。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。例えば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は25ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は20ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、又は、滑石は15ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。
【0065】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよい。例えば、滑石は少なくとも34:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも24:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも4:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよく、又は、滑石は少なくとも18:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよい。
【0066】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は、液体の添加によって結合する(例えば、硬化する)ように構成されていてもよい。例えば、液体は水性熱可塑性エマルション結合剤、例えばグリコール等を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体はグリコールと促進剤とを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体はエマルション結合剤、例えばアクリル、ビニルアクリル、エチレン酢酸ビニル(EVA)及びスチレンアクリル等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は、例えば45重量%~55重量%の範囲の不揮発性固体を含有し、かつ摂氏0度~摂氏75度の範囲の最低成膜温度を有し得るエマルション結合剤を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は合体剤、例えばプロピレングリコール、エステルアルコール、ポリエチレングリコール又はPVP等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、エマルション結合剤は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品と比較して、機能性微粒子により製造される物品の補強を改善させ、破断強度を向上させ及び/又は硬度を改善させることができる。
【0067】
粉末組成物の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は加熱によって結合するように構成されていてもよい。例えば、粉末組成物はレーザーを介した加熱によって結合するように構成されていてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、3Dプリントによって物品を製造する方法は、粉末組成物の第1の層を施すことを含み得る。該粉末組成物は、ベース材料と、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と、結合剤とを含み得る。機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。本方法はまた、粉末組成物の第1の層を所定のパターンで結合させ、それによって粉末組成物を含む硬化した二次元形状を形成することを含み得る。本方法は、粉末組成物の更なる層を連続的に施すとともに、該各層を結合させ、それによって粉末組成物を含む硬化した二次元形状の層を介して物品を形成することを更に含み得る。
【0069】
物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、本方法は、「粉末床」方式、「結合剤噴射」及び「ドロップオンパウダー」と称されることがある製造技法と一致するものであってもよい。幾つかのこのような実施形態では、粉末床を施すことができ、粉末を結合させることによって、例えば、液体を粉末に所定の形状で添加することによって、又は所定の形状に従って粉末を加熱することによって所定の二次元形状を粉末中に形成する。粉末の層を所定の形状に結合させた後、粉末の更なる層を、硬化した層上に施し、三次元物品が完成するまでこのプロセスを繰り返すことができる。その後、幾つかの実施形態によれば、「脱粉末」と称されることがあるプロセスにおいて過剰又は硬化していない粉末を物品から除去してもよい。幾つかの実施形態によれば、追加的な仕上げプロセス、例えば塗装又は処理(例えば加熱処理)を続けて実施することで、物品の強度を改善させることもできる。
【0070】
粉末床方式、結合剤噴射及びドロップオンパウダーの実施形態は、例えば、ポリマーフィラメント(又は金属ワイヤ)をコイルから巻き出して、フィラメントを溶融するとともに、製造面又は印刷板上における物品の3Dプリントに使用される溶融材料の流動を促進又は停止させるように構成される押出ノズルに材料を供給する「熱溶解フィラメント方式(fused filament fabrication)」(例えばFUSED DEPOSITION MODELING(商標))と称されることがある3Dプリントのプロセスと区別可能なものである。ノズルと印刷板との組合せは、水平方向及び鉛直方向に移動して、コンピュータ支援製造又はコンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて溶融材料の堆積を制御するように構成される。熱溶解フィラメント方式により物品のコンピュータ支援設計に従って連続層を形成することによって、物体は印刷されたと言える。
【0071】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、層を結合させることが、液体を粉末組成物に所定のパターンで添加すること、及び粉末組成物を所定のパターンに従って加熱することの少なくとも一方を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体を粉末組成物に添加することは、水性熱可塑性エマルション結合剤を粉末組成物に添加することを含み得る。幾つかの実施形態によれば、粉末組成物を加熱することは、レーザーを介して粉末組成物を加熱することを含み得る。
【0072】
例えば、液体は水性熱可塑性エマルション結合剤、例えばグリコール等を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体はグリコールと促進剤とを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体はエマルション結合剤、例えばアクリル、ビニルアクリル、エチレン酢酸ビニル(EVA)及びスチレンアクリル等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は、例えば45重量%~55重量%の範囲の不揮発性固体を含有し、かつ摂氏0度~摂氏75度の範囲の最低成膜温度を有し得るエマルション結合剤を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は合体剤、例えばプロピレングリコール又はエステルアルコール等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、エマルション結合剤は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品と比較して、機能性微粒子により製造される物品の補強を改善させ、破断強度を向上させ及び/又は硬度を改善させることができる。
【0073】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有し得る。例えば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも100%大きい、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも150%大きい、又は機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも200%大きい曲げ弾性率を有し得る。
【0074】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。例えば、機能性微粒子は少なくとも12:1のアスペクト比、少なくとも15:1のアスペクト比、少なくとも18:1のアスペクト比、少なくとも24:1のアスペクト比、少なくとも34:1のアスペクト比、又は少なくとも55:1のアスペクト比を有し得る。
【0075】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は50~96の範囲の粒径分布勾配を有し得る。例えば、機能性微粒子は、50~79の範囲の粒径分布勾配、79~84の範囲の粒径分布勾配、85~96の範囲の粒径分布勾配、50~79の範囲の粒径分布勾配、又は50~84の範囲の粒径分布勾配を有し得る。
【0076】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は3.0ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。例えば、機能性微粒子は、8.5ミクロン~19.8ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、6.4ミクロン~13.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、9.3ミクロン~15.1ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、11.7ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、又は13.0ミクロン~27.9ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。
【0077】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、ベース材料はコールドセット材料を含み得る。例えば、ベース材料は、漆喰、セメント及びジオポリマー、又は同様の特徴を有するいずれかの材料の少なくとも1つであってもよい。
【0078】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は30度~53度の範囲の安息角を有し得る。例えば、粉末組成物は、30度~44度、30度~48度、30度~38度、30度~60度、30度~34度、又は30度~50度の範囲の安息角を有し得る。
【0079】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は、70wt%~80wt%のベース材料と、15wt%~35wt%の機能性微粒子と、5wt%~35wt%の結合剤とを含み得る。例えば、組成物は、70wt%~75wt%のベース材料と、20wt%~25wt%の機能性微粒子と、5wt%~15wt%の結合剤とを含んでいてもよい。
【0080】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は促進剤を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、粉末組成物は促進剤を完全に含んでいなくてもよい。3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、組成物は促進剤、例えば硫酸カリウム等を含んでいてもよい。
【0081】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、結合剤は、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースゲル、デンプン、化工デンプン及びカチオン性デンプンの少なくとも1つを含み得る。
【0082】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石、白雲母、湿式カオリン(例えば高アスペクト比の湿式カオリン)、珪灰石及び天然ベントナイトの少なくとも1つを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0083】
上記方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は表面処理された及び未処理の珪灰石を含んでいてもよい。例えば、珪灰石は、官能性シラン、例えばアミノ、メタクリレート、ビニル、エポキシ、メルカプト、及びそれらの配合物等で表面処理されていてもよい。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。例えば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は25ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は20ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、又は、滑石は15ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。
【0085】
3Dプリントによって物品を製造する方法の幾つかの実施形態によれば、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよい。例えば、滑石は少なくとも34:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも24:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも4:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよく、又は、滑石は少なくとも18:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよい。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、3Dプリントされた物品を強化する方法は、ベース材料と結合剤とを、針形状及び板形状の少なくとも一方を有する機能性微粒子と合わせて含む粉末組成物を施すことを含み得る。本方法はまた、粉末組成物を所定のパターンで結合させ、それによって粉末組成物を含む硬化した二次元形状を形成することを含み得る。機能性微粒子を含んで製造される物品中の粉末組成物は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品と比較して粒子の充填を改善させることができる。
【0087】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、層を結合させることが、液体を粉末組成物に所定のパターンで添加すること、及び粉末組成物を所定のパターンに従って加熱することの少なくとも一方を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体を粉末組成物に添加することは、水性熱可塑性エマルション結合剤を粉末組成物に添加することを含み得る。幾つかの実施形態によれば、粉末組成物を加熱することは、レーザーを介して粉末組成物を加熱することを含み得る。
【0088】
例えば、液体は水性熱可塑性エマルション結合剤、例えばグリコール等を含み得る。幾つかの実施形態によれば、液体はグリコールと促進剤とを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体はエマルション結合剤、例えばアクリル、ビニルアクリル、エチレン酢酸ビニル(EVA)及びスチレンアクリル等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は、例えば45重量%~55重量%の範囲の不揮発性固体を含有し、かつ摂氏0度~摂氏75度の範囲の最低成膜温度を有し得るエマルション結合剤を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、液体は合体剤、例えばプロピレングリコール、エステルアルコール、ポリエチレングリコール又はPVP等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、エマルション結合剤は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品と比較して、機能性微粒子により製造される物品の補強を改善させ、破断強度を向上させ及び/又は硬度を改善させることができる。
【0089】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも50%大きい曲げ弾性率を有し得る。例えば、機能性微粒子を含んで製造される物品は、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも100%大きい、機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも150%大きい、又は機能性微粒子を含まない粉末組成物により製造される物品の曲げ弾性率と比較して少なくとも200%大きい曲げ弾性率を有し得る。
【0090】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は少なくとも3:1のアスペクト比を有し得る。例えば、機能性微粒子は少なくとも12:1のアスペクト比、少なくとも15:1のアスペクト比、少なくとも18:1のアスペクト比、少なくとも24:1のアスペクト比、少なくとも34:1のアスペクト比、又は少なくとも55:1のアスペクト比を有し得る。
【0091】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は50~96の範囲の粒径分布勾配を有し得る。例えば、機能性微粒子は、50~79の範囲の粒径分布勾配、79~84の範囲の粒径分布勾配、85~96の範囲の粒径分布勾配、50~79の範囲の粒径分布勾配、又は50~84の範囲の粒径分布勾配を有し得る。
【0092】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は3.0ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。例えば、機能性微粒子は、8.5ミクロン~19.8ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、6.4ミクロン~13.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、9.3ミクロン~15.1ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、11.7ミクロン~55.0ミクロンの範囲の中央粒径(d50)、又は13.0ミクロン~27.9ミクロンの範囲の中央粒径(d50)を有し得る。
【0093】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、ベース材料はコールドセット材料を含み得る。例えば、ベース材料は、漆喰、セメント及びジオポリマー、又は同様の特徴を有するいずれかの材料の少なくとも1つであってもよい。
【0094】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は30度~53度の範囲の安息角を有し得る。例えば、粉末組成物は、30度~44度、30度~48度、30度~38度、30度~60度、30度~34度、又は30度~50度の範囲の安息角を有し得る。
【0095】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は、70wt%~80wt%のベース材料と、15wt%~35wt%の機能性微粒子と、5wt%~35wt%の結合剤とを含み得る。例えば、組成物は、70wt%~75wt%のベース材料と、20wt%~25wt%の機能性微粒子と、5wt%~15wt%の結合剤とを含んでいてもよい。
【0096】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、粉末組成物は促進剤を実質的に含んでいなくてもよい。例えば、粉末組成物は促進剤を完全に含んでいなくてもよい。幾つかの実施形態によれば、組成物は促進剤、例えば硫酸カリウム等を含んでいてもよい。
【0097】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、結合剤は、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロースゲル、デンプン、化工デンプン及びカチオン性デンプンの少なくとも1つを含み得る。
【0098】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石、白雲母、湿式カオリン(例えば高アスペクト比の湿式カオリン)、珪灰石及び天然ベントナイトの少なくとも1つを含んでいてもよい。幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は、滑石及び珪灰石の少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0099】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、機能性微粒子は表面処理された及び未処理の珪灰石を含んでいてもよい。例えば、珪灰石は、官能性シラン、例えばアミノ、メタクリレート、ビニル、エポキシ、メルカプト、及びそれらの配合物等で表面処理されていてもよい。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。例えば、滑石は30ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は25ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、滑石は20ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、又は、滑石は15ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよく、かつ珪灰石は10ミクロン未満の中央粒径(d50)を有していてもよい。
【0101】
強化する方法の幾つかの実施形態によれば、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよい。例えば、滑石は少なくとも34:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも24:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも4:1のアスペクト比を有していてもよく、滑石は少なくとも12:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも55:1のアスペクト比を有していてもよく、又は、滑石は少なくとも18:1のアスペクト比を有していてもよく、かつ珪灰石は少なくとも3:1のアスペクト比を有していてもよい。
【実施例
【0102】
U.S. Gypsum CompanyによりHydrocal White(商標)という銘柄で販売される市販の石膏粉末混合物を3Dプリント(すなわち結合剤噴射)実験に使用した。Hydrocal White(商標)は、以下の表1に記載される様々な投入量で層状又は板状の滑石及び/又は針状珪灰石を含む例示的な機能性微粒子と組み合わせて、均質な混合物とした。例示的な結合剤であるデキストリン及び水溶性ポリマーを5%の投入量で試料組成物に添加した。結合剤噴射用にZ Corporationにより販売される商用液体を使用し、例示的な結合剤噴射プロセスによる3Dプリントによって物品を製造した。
【0103】
製造された物品の圧粉体強度又は破断強度を測定するために、矩形断面形状を有する長さ100ミリメートル、幅15mm及び高さ5mmの試験片を、Z Corporationの結合剤噴射機を用いて印刷した。次に、製造した試験片を華氏85度で一晩硬化処理し、接着剤又は架橋性樹脂材料による後処理は一切行わなかった。
【0104】
Intron 3367機を用いてこれらの試験片の曲げ弾性率を試験し、結合剤噴射機用にZ Corporationにより販売される商用石膏粉末混合物を含むが機能性微粒子を含まない組成物から形成される対照試験片に対してベンチマークした。以下の表1に試験の結果を示す。
【0105】
【表2】
【0106】
表1に示される結果から幾つかの結論を導くことができる。第一に、層状滑石及び高アスペクト比の針状珪灰石を含む例示的な機能性微粒子の添加は、対照と比較して、製造された物品の曲げ弾性率を驚くほどまた著しく改善させた。第二に、異なる粒径の層状滑石を含む例示的な機能性微粒子の添加は、組成物(すなわち粉末組成物)の粒子の充填を改善させると思われ、対照と比較してより高い曲げ弾性率をもたらした。第三に、組成物中における、高アスペクト比の針状微粒子(すなわち珪灰石)を含む機能性微粒子の添加は、対照と比較して曲げ弾性率を驚くほどまた著しく改善させた。最後に、層状滑石と針状珪灰石との組合せを含む例示的な機能性微粒子は相乗効果を示し、曲げ弾性率を驚くほどまた著しく、実施例によっては150%超改善させた。
【0107】
更なる試験によると、液状エマルション結合剤は、アクリル結合剤を100%用いて配合した。この例示的な液体を用いる目的は、物品の圧粉体強度を更に改善させることであり、その結果、製造された物品の強度を改善させるようにプロセス処理する後処理を省くことができる。
【0108】
結合剤噴射によって製造する物品を印刷するために販売される商用の印刷用インクに対して液状エマルション結合剤の粘度を調節するために、アクリル結合剤の固体レベルを固体レベル20wt%に調節した。以下の表2に挙げられる例示的な液状エマルション結合剤のブルックフィールド粘度は、結合剤噴射によって製造される物品を印刷するための市販の印刷用液体のものと同等である。
【0109】
【表3】
【0110】
成形した試験片の圧粉体強度又は破断強度を測定するために、粒子が全て湿潤して均一なペーストとなるまで、小さな容器内で、表2に挙げた粉末混合物の組成物を30PHRのエマルションインクと混合した。次に、ペーストを、長さ100mm、幅15mm及び高さ5mmを有する矩形形状のシリコンゴム型に移し、表面の最上部の過剰量のペーストをスパチュラで均した。材料を一晩硬化処理し、硬化処理した試験片を型から外し、華氏85度で更に8時間硬化処理した。比較のために、市販の噴射用の混合物及び液体を用いて同様のプロセスによって対照用の成形体を作製した。表2に見られるように、曲げ弾性率データは、対照用の成形体と比較して驚くべき著しい改善を示した。
【0111】
他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される実施形態の実施から当業者に明らかとなる。本明細書及び実施例は単なる例示とみなされることが意図されるものである。