(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】投擲器具
(51)【国際特許分類】
A63B 65/02 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
A63B65/02 D
(21)【出願番号】P 2019137941
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】505183107
【氏名又は名称】株式会社ダーツライブ
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】杉森 裕司
(72)【発明者】
【氏名】前沢 暢之
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡一
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0382560(KR,Y1)
【文献】中国実用新案第201020250(CN,Y)
【文献】韓国登録実用新案第20-0312685(KR,Y1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0008438(KR,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0009564(KR,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0348176(KR,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0054877(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0029732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 65/02
A63H 33/16
A63F 9/02
F41J 3/00-3/02
F42B 6/02-6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を含む的板に投擲するための投擲器具であって、
磁石と、
前記磁石を保持する投擲器具の一端に配置された保持部と、を備え、
前記保持部は、
投擲器具の軸方向に対して略垂直であり、的板に接触可能な端面と、
前記軸方向に対して略同心円状の側面と、
前記端面及び前記側面の間に配置され、前記軸方向に平行
でなく且つ垂直でない斜面
であって、前記軸方向が前記的板に略平行な状態と前記軸方向が前記的板に略垂直な状態との間で前記投擲器具が回転する場合に、前記的板に接触するための斜面と、を有する、投擲器具。
【請求項2】
前記磁石と前記端面との距離は、前記磁石と前記側面との距離より小さい、
請求項1に記載の投擲器具。
【請求項3】
前記磁石は、前記端面に略平行な第1面と、前記側面に略平行な第2面と、を有する、
請求項1又は2に記載の投擲器具。
【請求項4】
前記磁石は、前記第1面を底面とし、前記第2面を側面とする略円柱形状を呈する、
請求項3に記載の投擲器具。
【請求項5】
前記斜面と前記端面とのなす角は60度である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の投擲器具。
【請求項6】
前記保持部は、前記軸方向の前方において前記磁石に接触する第1保持部と、前記軸方向の後方において前記磁石に接触する第2保持部と、を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の投擲器具。
【請求項7】
前記斜面は、前記第1保持部と前記第2保持部との少なくともいずれかに設けられる、
請求項6に記載の投擲器具。
【請求項8】
前記斜面は、前記第1保持部と前記第2保持部とのいずれにも設けられる、
請求項7に記載の投擲器具。
【請求項9】
前記斜面は、前記軸方向に対する角度の異なる複数の面を含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の投擲器具。
【請求項10】
前記斜面は、凹部及び/又は凸部を有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の投擲器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投擲器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレイヤが磁石を有する投擲器具を磁性体を含む的板に向けて投擲し、磁力によって投擲器具を的板に吸着させた上で、投擲器具が吸着された的板上の位置に応じた得点を決定することにより、プレイヤの投擲の技量を競う投擲ゲームが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、磁石が保持されて成る線形状の投擲器具が開示されている。当該投擲器具の先端部は、磁石が露出した軸に垂直な端面と、当該端面に連続した軸に平行な側面とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の投擲器具は、的板に弾かれて落下したり、側面が的板に接触した寝た状態で的板に吸着してしまったりして、倒立した状態で的板に吸着されない場合が多かった。
【0006】
そこで、本発明は、的板に対して倒立し易い投擲器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る投擲器具は、磁性体を含む的板に投擲するための投擲器具であって、磁石と、磁石を保持する投擲器具の一端に配置された保持部と、を備え、保持部は、投擲器具の軸方向に対して略垂直であり、的板に接触可能な端面と、軸方向に対して略同心円状の側面と、端面及び側面の間に配置され、軸方向に平行又は垂直でない斜面と、を有する、投擲器具。
【0008】
この態様によれば、投擲器具は、端面及び側面の間に配置された軸方向に平行又は垂直でない斜面と的板とが接触した状態を経由して回転することができ、的板に対して倒立し易くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、的板に対して倒立し易い投擲器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る投擲器具1の斜視図である。
【
図3】投擲器具1の
図2とは略反対方向から視た分解斜視図である。
【
図9】投擲器具1の
図6のB-B線における断面図である。
【
図10】投擲器具1の
図7のC-C線における断面図である。
【
図11】投擲器具1の寸法及び機能を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。(なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。)
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る投擲器具1の斜視図である。
図2は、投擲器具1の分解斜視図である。
図3は、投擲器具1の
図2とは略反対方向から視た分解斜視図である。
図4は、投擲器具1の正面図である。
図5は、投擲器具1の背面図である。
図6は、投擲器具1の側面図である。
図7は、投擲器具1の平面図である。
図8は、投擲器具1の底面図である。
図9は、投擲器具1の
図6のB-B線における断面図である。
図10は、投擲器具1の
図7のC-C線における断面図である。
【0013】
図2に示す点線の矢印Aは、投擲器具1の軸を示す。本実施形態において、「軸方向」とは、投擲器具1の軸方向をいい、「径方向」とは、当該軸方向に垂直な面において投擲器具1の軸を中心とする円の径方向をいい、「周方向」とは、当該円の円周方向をいうものとする。また、以下では、「同心円状」とは、円柱の側面の形状に限らず、軸方向に垂直な方向における断面が多角形状のものや、一部が平面で且つ一部が曲面となる形状も含まれる。
【0014】
(1)構成
投擲器具1
投擲器具1は、的板に向かって投擲され、当該的板において吸着された位置に応じて得点を決定する投擲ゲームに用いられる器具である。ここで、的板は、磁性体を含むものであればその態様は特に限定されず、例えば樹脂製のボードの背面に磁性体を含む磁性体層を設けたものや、演出用のディスプレイの前面にディスプレイを視認するための貫通孔を多数設けたパンチングメタル層を設けたものであってもよい。
【0015】
投擲器具1は、プレイヤによって的板に向かって投擲された場合、的板に対して倒立した状態で的板に吸着することができる。ここで、「倒立した状態」は、投擲器具1の軸が的板面に対して垂直となる状態(後述する前端面11が的板に接触した状態)を含む他、投擲器具1の軸が的板に対して0度でない任意の角度となる状態(例えば、後述する斜面12及び斜面32が的板に接触した状態)を含んでもよい。
【0016】
投擲器具1は、例えば、キャップ部10と、磁石20と、バレル軸心30と、3つのバレルグリップ40と、シャフト50と、フライト60とを、備える。投擲器具1の軸方向の長さは、これに限られるものではないが、例えば、約109.5mmである。
【0017】
キャップ部10
キャップ部10は、磁石20を保持する保持部(第1保持部)の一例であって、軸方向後方側に開口した略円柱形状を呈する樹脂製の部材である。キャップ部10は、磁石20を保護しており、投擲された投擲器具1が的板に接触する際に生じる衝撃や衝撃音を緩和する。キャップ部10は、前端面11と、斜面12と、側面13と、開口部14とを有する。
【0018】
前端面11は、キャップ部10の軸方向前方側の端部に配置される、略円形状の面である。前端面11の直径は、これに限られるものではないが、例えば、約11.6mmである。前端面11は、投擲器具1が的板に対して倒立した状態で静止する場合に、的板に接触する面の一例である。
【0019】
斜面12は、前端面11から軸方向後方側に延伸する、軸方向に平行又は垂直でない面である。斜面12は、軸方向前方側を頂点とし且つ軸方向後方側を底面の中心とする略円錐の略円錐面の一部を構成する。なお、斜面12は、投擲器具1が的板に対して倒立した状態で静止する場合に、的板に接触する面となってもよい。
【0020】
側面13は、斜面12から軸方向後方側に延伸し、略円柱の側面の形状を呈している。当該略円柱の上面又は底面の直径は、これに限られるものではないが、例えば、約15mmである。側面13の上側にはツメ13aが、側面13の下側にはツメ13bが、それぞれ側面13に設けられた2本の切り欠きにより形成されている。ツメ13a及び13bはそれぞれ、径方向外側に向かって突設した形状を呈する。ツメ13a及び13bはそれぞれ、側面13と接続する部分を基点に弾性的に変形することにより、突設した部分をバレル軸心30の貫通孔33a及び33bそれぞれに係合させることができる。ツメ13aが貫通孔33aに係合し、ツメ13bが貫通孔33bに係合することにより、キャップ部10がバレル軸心30に固定される。
【0021】
開口部14は、キャップ部10の軸方向後方側に形成されている。開口部14は、磁石20を内部に収容する。開口部14の内部には、径方向内側に突設したリブ14a、14b、14c、14d、14e、及び14fが、周方向において略等間隔に(略等角度ずつ離隔して)形成されている。リブ14aはツメ13aの径方向内側に形成され、リブ14bはツメ13bの径方向内側に形成されている。リブ14a、14b、14c、14d、14e、及び14fはそれぞれ、径方向において磁石20に接触する。また、開口部14の軸方向前方側には、底面14gが形成されている。底面14gは、軸方向前方側から磁石20に接触することにより、磁石20を軸方向において固定する。
【0022】
磁石20
磁石20は、投擲器具1を的板に固定するための磁力を発する。磁石20の組成は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、クロム、及びネオジム等を含んで構成される。磁石20は、例えば成形が容易な略円柱の形状を呈しており、軸方向に略垂直な前端面21と、軸方向に略同心円状の側面22と、軸方向に略垂直な後端面23とを有する。前端面21は、キャップ部10の前端面11に略平行であるため、磁石20を当該前端面11により近接させるように設計することが可能となる。また、側面22は、バレル軸心30の前端部30Aの側面33に略平行であるため、磁石20を当該側面33からより離隔するように設計することが可能となる。前端面21及び後端面23の直径は、約10mmである。側面22の長さは、約6mmである。なお、前端面21及び後端面23の直径は、キャップ部10の前端面11の直径より小さいと好ましい。
【0023】
磁石20の前端面21は、キャップ部10の底面14gに接触し、磁石20の後端面23は、バレル軸心30の立設部31aに接触する。また、磁石20の側面22は、キャップ部10のリブ14a、14b、14c、14d、14e、及び14fに接触する。これにより、磁石20は、軸方向の前方において磁石20に接触するキャップ部10と、軸方向の後方において磁石20に接触するバレル軸心30とに保持される。そのため、キャップ部10とバレル軸心30とを例えば異なる組成や素材により構成することができ、設計の自由度が増す。また、磁石20を保護する範囲を増大させることができ、投擲器具1から磁石20が脱落することを抑止することができる。
【0024】
バレル軸心30
バレル軸心30は、磁石20を保持する保持部(第2保持部)の一例である。バレル軸心30は、例えば樹脂製であり、前端部30Aと、主軸部30Bと、後端部30Cとを有する。
【0025】
前端部30Aは、軸方向前方側に開口した略円柱の形状を呈している。前端部30Aは、開口部31と、斜面32と、側面33と、斜面34と、後端面35とを有する。
【0026】
開口部31は、前端部30Aの軸方向前方側に形成されている。開口部31の軸方向後端側の底面には、略円柱状に立設した立設部31aが設けられている。立設部31aは、軸方向後方側から磁石20に接触することにより、磁石20を軸方向において固定する。
【0027】
斜面32は、側面33から軸方向前方側に延伸する、軸方向に平行又は垂直でない面である。斜面32は、軸方向を軸とする略円錐の略円錐面の一部を構成する。投擲された投擲器具1が的板に接触しながら回転する場合に、的板に接触し得る面である。斜面32が的板に接触することにより、投擲された投擲器具1の運動エネルギーを的板に効率よく分散させることができる。なお、斜面32は、投擲器具1が的板に対して倒立した状態で静止する場合に、的板に接触する面となってもよい。
【0028】
側面33は、軸方向に略同心円状の面である。側面33の上側には貫通孔33aが、側面33の下側には貫通孔33bが、それぞれ形成されている。上述したとおり、貫通孔33aにはキャップ部10のツメ13aが、貫通孔33bにはキャップ部10のツメ13bが、それぞれ係合する。これにより、バレル軸心30が、キャップ部10に固定される。
【0029】
斜面34は、側面33から軸方向後方側に延伸する、軸方向に平行又は垂直でない面である。斜面34は、軸方向後方側を頂点とし且つ軸方向前方側を底面の中心とする略円錐の略円錐面の一部を構成する。
【0030】
後端面35は、斜面34から軸方向後方側に延伸する、軸方向に平行又は垂直でない面である。斜面34は、軸方向後方側を頂点とし且つ軸方向前方側を底面の中心とする略円錐の略円錐面の一部を構成する。当該略円錐の頂角は、斜面34に係る略円錐の頂角よりも鈍角である。
【0031】
主軸部30Bは、前端部30Aから軸方向後方側に一体的に延伸し、略六角柱の形状を呈している。主軸部30Bは、各バレルグリップ40の貫通孔42に挿通する。主軸部30Bは、略六角柱の側面を構成する側面36を有する。
【0032】
後端部30Cは、主軸部30Bから軸方向後方側に一体的に延伸し、略円柱の形状を呈している。後端部30Cは、ネジ山が形成された側面37を有する。側面37に形成されたネジ山は、シャフト50の開口部71の内周面に形成されたネジ山に螺合する。これにより、バレル軸心30がシャフト50に固定される。
【0033】
バレル軸心30では、上述したように、主軸部30B及び後端部30Cが前端部30Aから一体的に延伸しているため、磁石20及び保持部(キャップ部10及びバレル軸心30)の組立体は、主軸部30B及び後端部30Cが突出した形状となる。これにより、例えば乳幼児等が磁石20を誤飲することを防止することができる。
【0034】
バレルグリップ40
バレルグリップ40は、略円柱の形状を呈する、例えば樹脂製の部材である。バレルグリップ40には、バレル軸心30の主軸部30B及び後端部30Cが挿通するための、略六角柱の形状を呈した貫通孔42が形成されている。各バレルグリップ40にバレル軸心30の主軸部30B及び後端部30Cが挿通した上で、バレル軸心30の後端部30Cがシャフト50に固定されることにより、各バレルグリップ40は、投擲器具1における定位置に固定される。
【0035】
各バレルグリップ40の側面41は、プレイヤが把持するための把持部の少なくとも一部を構成する。当該側面41には、周方向に向く複数のライン状の凹凸部が形成されている。これにより、把持部のグリップが滑りにくくなり、投擲のし易さが向上する。なお、当該側面41は、軸方向に垂直な方向における断面図が、略六角形等の略多角形の形状を呈していてもよい。
【0036】
プレイヤは、例えば種々の態様のバレルグリップ40から好みのものを選択して、投擲器具1に採用することができる。そのため、プレイヤは投擲器具1の把持部(バレルグリップ40)をカスタマイズ可能となり、投擲ゲームの趣向性が向上する。なお、本実施形態においては、投擲器具1は3つのバレルグリップ40を備えるものとしたが、バレルグリップ40の数は3つに限らなくてもよい。
【0037】
シャフト50
シャフト50は、略円柱の形状を呈した側面51と、側面51から軸方向後方側に延伸した突起部51a及び51bと、軸方向前方側に開口する開口部52とを備える樹脂製の部材である。フライト60を突起部51a及び51bの間に押し込むことにより、フライト60が突起部51a及び51bの間に挟持される。開口部52の内周面には、ネジ山が形成されている。当該ネジ山は、バレル軸心30の後端部30Cの側面37に形成されたネジ山と螺合可能である。これにより、シャフト50がバレル軸心30に固定される。
【0038】
フライト60
フライト60は、それぞれが略台形の形状を呈した4つの羽根61、62、63、及び64を備える樹脂製の部材である。羽根61、62、63、及び64のそれぞれは、周方向において略等間隔に(略等角度ずつ離隔して)配置される。投擲器具1の組立体において、羽根61及び羽根64の間にはシャフト50の突起部51aが、羽根62及び羽根63の間にはシャフト50の突起部51bがそれぞれ配置されるように、シャフト50がフライト60を挟持する。
【0039】
なお、キャップ部10、バレル軸心30、バレルグリップ40、シャフト50、及びフライト60はそれぞれ、樹脂に限らず、他の任意の素材により構成されてもよい。
【0040】
(2)動作
次に、
図11を参照して、投擲器具1の動作について説明する。
図11には、
図10の断面図のうち、投擲器具1の軸方向前方側の先端付近が示されている。
図11に示す符号Sは、投擲器具1の側面(バレル軸心30の前端部30Aの側面33)と、投擲器具1の斜面(キャップ部10の斜面12及びバレル軸心30の前端部30Aの斜面32)との境界を通り軸方向に対して略垂直な平面Sを示している。
【0041】
投擲器具1は、上述したとおり、端面(キャップ部の前端面11)及び側面(バレル軸心30の前端部30Aの側面33)の間に配置された、軸方向に平行又は垂直でない斜面(キャップ部10の斜面12及びバレル軸心30の前端部30Aの斜面32)を有する。そのため、投擲器具1は、当該斜面を的板に接触させた状態を介して、的板に対して寝た状態と略垂直に倒立した状態との間で、容易に回転することが可能となる。また、投擲器具1は、一端において保持部(キャップ部10及びバレル軸心30)により保持された磁石20を備える。そのため、投擲器具1には、的板に対して寝た状態から略垂直に倒立した状態へと回転させる回転モーメントが作用する。以上より、投擲器具1は、斜面を有しない場合と比較して、的板に対して倒立し易くなる。
【0042】
なお、投擲器具1においては、軸方向に平行又は垂直でない斜面は、キャップ部10及びバレル軸心30のうちの、少なくともいずれかに設けてもよい。これにより、投擲器具1の設計の自由度が増す。また、投擲器具1においては、軸方向に平行又は垂直でない斜面は、キャップ部10及びバレル軸心30の両方に設けてもよい。これにより、斜面の面積を調整し易くなる。
【0043】
キャップ部10の前端面11と、磁石20の前端面21との距離をD1とし、バレル軸心30の前端部30Aの側面33と、磁石20の側面22との距離をD2とする。このとき、D1がD2より小さいとすると、投擲器具1の側面よりも端面の方がより強く的板に引きつけられる。更に、D1がD2より小さいと、投擲器具1が的板に対して略垂直に倒立した状態における磁石20と的板との距離は、投擲器具1が的板に対して寝た状態における磁石20と的板との距離よりも小さくなる。そのため、投擲器具1が的板に対して寝た状態と比較すると、投擲器具1が的板に対して略垂直に倒立した状態の方がより安定する。以上より、D1がD2より小さい場合、投擲器具1の倒立のし易さが向上する。
【0044】
投擲器具1の斜面と、投擲器具1の軸方向に垂直な面(前端面11)とのなす角度をθとする。本実施形態においては、θは約60度に設定される。なお、投擲器具1においては、角度θは任意に設定してもよいが、投擲器具1の的板に対する倒立のし易さの観点からは、角度θの範囲は、約45~75度の範囲が好ましく、約50~70度の範囲が更に好ましく、約55~65度の範囲が更に好ましい。
【0045】
[変形例]
上述した実施形態においては、斜面(斜面12及び斜面32)は、略円錐の略円錐面の一部(軸方向に平行な断面図視において略直線)であるものとして説明した。しかしながら、当該斜面の形状は、他の任意の形状としてもよい。当該斜面は、例えば、軸方向に対する角度の異なる複数の面を含んで形成されてもよい。これにより、投擲器具1が的板に対して倒立する回転運動がより滑らかになる。また、当該斜面は、例えば、凹部を有して形成されてもよい。これにより、投擲器具の材料が減少することで製造コストが向上し、また、磁石を投擲器具の側面から離隔させることが容易になり得る。また、当該斜面は、例えば、凸部を有して形成されてもよい。これにより、投擲器具1が的板に対して倒立する回転運動がより滑らかになる。
【0046】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…投擲器具、10…キャップ部、20…磁石、30…バレル軸心、40…バレルグリップ、50…シャフト、60…フライト