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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230727BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230727BHJP
   G09G 3/3225 20160101ALI20230727BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230727BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230727BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20230727BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230727BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230727BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20230727BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230727BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09G3/20 621M
G09G3/20 622K
G09G3/20 670K
G09G3/3225
G09F9/30 365
G09F9/33
G09F9/30 309
H05B33/14 A
H05B33/04
H10K59/10
H05B33/02
H05B33/26 Z
H05B33/22 Z
H05B33/12 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019153730
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021033081
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-276590(JP,A)
【文献】特開2017-67830(JP,A)
【文献】特開2016-114680(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104882093(CN,A)
【文献】特開2010-66719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0058098(US,A1)
【文献】特開平3-45934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09G 3/20
G09G 3/3225
G09F 9/33
H10K 50/10
H05B 33/04
H10K 59/10
H05B 33/02
H05B 33/26
H05B 33/22
H05B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極と、
前記複数の画素電極の下方にある複数の画素回路と、
前記複数の画素回路の対応する1グループにそれぞれが接続される複数の走査線と、
前記複数の走査線に選択的に走査信号を送るための走査駆動回路と、
を有し、
前記複数の画素電極は、表示される画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応する複数の有効画素電極と、前記複数の有効画素電極と前記走査駆動回路の間にあって前記複数の画素のいずれにも対応しない複数のダミー画素電極と、を含み、
前記複数の有効画素電極のそれぞれは、前記複数の画素回路の対応する1つに接続され、
前記複数の走査線のそれぞれは、前記複数のダミー画素電極の対応する少なくとも1つを介して、前記走査駆動回路に電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記複数の走査線のそれぞれは、複数セクションに分離され、
前記複数セクションが、前記複数のダミー画素電極の前記対応する少なくとも1つによって、電気的に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された表示装置において、
前記複数の有効画素電極のそれぞれ及び前記複数のダミー画素電極のそれぞれは、同じ平面形状であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数の走査線の対応する2つ以上に接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の画素回路のそれぞれは、薄膜トランジスタを含み、
前記薄膜トランジスタのゲート電極は、前記複数の走査線の対応する1つに接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載された表示装置において、
前記複数の画素電極と前記複数の走査線との間に、前記薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極を含む導電層が介在し、
前記導電層は、前記複数の走査線のそれぞれと、前記複数のダミー画素電極の前記対応する少なくとも1つを電気的に接続する部分を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数のダミー画素電極との重なりを避けて前記複数の有効画素電極に載るエレクトロルミネセンス層と、
前記エレクトロルミネセンス層に載る共通電極と、
をさらに有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載された表示装置において、
前記エレクトロルミネセンス層を覆う封止層をさらに有し、
前記封止層は、前記複数の有効画素電極の上方では有機膜及び前記有機膜を上下で挟む一対の無機膜を含み、前記複数のダミー画素電極の上方では前記有機膜を含まずに相互に接触するように前記一対の無機膜を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された表示装置において、
前記複数の画素電極と前記共通電極の間に介在する絶縁層をさらに有し、
前記絶縁層は、前記複数の有効画素電極のそれぞれの中央部を露出させる複数の開口を有し、前記複数の有効画素電極のそれぞれの周縁部及び前記複数のダミー画素電極のそれぞれの全体を覆うことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数のダミー画素電極との重なりを避けて前記複数の有効画素電極にそれぞれが載る複数のマイクロLEDチップと、
前記複数のマイクロLEDチップに載る共通電極と、
をさらに有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の表示パネルは、画素電極がマトリクス状に配列された表示領域を有し、画素行ごとに走査線を有し、これと交差して画素列ごとに映像信号線を有する(特許文献1)。走査線及び映像信号線にそれぞれ信号を入力する回路は、表示領域の外側の領域(額縁領域)に位置する。具体的には、走査駆動回路から走査線に印加される走査信号により画素行が選択され、信号駆動回路から映像信号線に映像信号が入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-015900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示パネルの製造方法は、複数回の成膜プロセスを含む。成膜プロセスでは、静電気放電(electrostatic discharge:ESD)の対策が求められる。走査駆動回路は、走査線に電気的に接続されているので、走査線に印加される静電気の影響を受けやすい。
【0005】
本発明は、静電気の影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、複数の画素電極と、前記複数の画素電極の下方にある複数の画素回路と、前記複数の画素回路の対応する1グループにそれぞれが接続される複数の走査線と、前記複数の走査線に選択的に走査信号を送るための走査駆動回路と、を有し、前記複数の画素電極は、表示される画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応する複数の有効画素電極と、前記複数の有効画素電極と前記走査駆動回路の間にあって前記複数の画素のいずれにも対応しない複数のダミー画素電極と、を含み、前記複数の有効画素電極のそれぞれは、前記複数の画素回路の対応する1つに接続され、前記複数の走査線のそれぞれは、前記複数のダミー画素電極の対応する少なくとも1つを介して、前記走査駆動回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、走査駆動回路は、製造プロセスにおいてダミー画素電極によって走査線に電気的に接続されるまでは、静電気の影響を受けないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用した第1の実施形態に係る表示装置を示す平面図である。
図2図1に示す表示装置のII-II線断面図である。
図3図1に示す表示装置のIII-III線断面図である。
図4図1に示す表示領域の一部を拡大した平面図である。
図5図4に示す構造のV-V線断面図である。
図6図4に示す構造のVI-VI線断面図である。
図7】第2の実施形態に係る表示装置の表示領域の一部を拡大した平面図である。
図8図7に示す有効画素電極の配列の詳細を示す平面図である。
図9】第3の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図10図9に示す画素電極の配列の詳細を示す平面図である。
図11】第4の実施形態に係る表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る表示装置を示す平面図である。表示装置は、例えば、赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせて、フルカラーの画素を形成し、フルカラーの画像を表示するようになっている。
【0013】
表示装置は、画像が表示される表示領域DAを有する。表示装置は、表示領域DAの周囲に周辺領域PAを含む。周辺領域PAは表示領域DAの外側にある。周辺領域PAには、フレキシブルプリント基板FPが接続されている。
【0014】
図2は、図1に示す表示装置のII-II線断面図である。図3は、図1に示す表示装置のIII-III線断面図である。基板10(アレイ基板)は、曲げることが要求されるのであれば、ポリイミドなどの可撓性を有する樹脂材料から構成される。
【0015】
基板10上に、アンダーコート層12として、シリコン酸化膜12a、シリコン窒化膜12b及びシリコン酸化膜12cの三層積層構造が設けられている。最下層のシリコン酸化膜12aは、基板10との密着性向上のため、中層のシリコン窒化膜12bは、外部からの水分及び不純物のブロック膜として、最上層のシリコン酸化膜12cは、シリコン窒化膜12b中に含有する水素原子が薄膜トランジスタTRの半導体層16側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではなく、さらに積層があってもよいし、単層あるいは二層積層としてもよい。
【0016】
アンダーコート層12の下、もしくは層の間には、薄膜トランジスタTRを形成する箇所に合わせて付加膜14を形成してもよい。付加膜14は、チャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTRの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTRにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、シリコン酸化膜12aを形成した後、薄膜トランジスタTRが形成される箇所に合わせて付加膜14を島状に形成し、その後シリコン窒化膜12b及びシリコン酸化膜12cを積層することで、アンダーコート層12に付加膜14を封入するように形成しているが、この限りではなく、基板10上にまず付加膜14を形成し、その後にアンダーコート層12を形成してもよい。
【0017】
アンダーコート層12上に薄膜トランジスタTRが形成されている。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成してもよい。薄膜トランジスタTRの半導体層16は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に、低濃度不純物領域を設けた構造を採る。ゲート絶縁膜18としてはここではシリコン酸化膜を用いる。
【0018】
ゲート電極20は、モリブデンタングステン合金から形成された第1導電層W1の一部である。第1導電層W1は、ゲート電極20に加え、第1保持容量線CL1を有する。第1保持容量線CL1と半導体層16(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜18を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0019】
ゲート電極20の上に、層間絶縁膜22(シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜)が積層されている。基板10を曲げられるようにする場合、図3に示す折曲領域FAでは、折り曲げやすくなるように、層間絶縁膜22の少なくとも一部を除去する。層間絶縁膜22の除去によって、アンダーコート層12が露出するので、その少なくとも一部もパターニングを行って除去する。アンダーコート層12を除去した後には、基板10を構成するポリイミドが露出する。なお、アンダーコート層12のエッチングを通じて、ポリイミド表面が一部浸食されて膜減りを生ずる場合が有る。
【0020】
層間絶縁膜22の上に、ソース・ドレイン電極24及び引き回し配線26となる部分を含む第2導電層W2が形成されている。ここでは、チタン、アルミニウム及びチタンの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜22を介して、第1保持容量線CL1(第1導電層W1の一部)と第2保持容量線CL2(第2導電層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。引き回し配線26は、基板10の端部まで延在され、フレキシブルプリント基板FPを接続するための端子28を有するようになっている。
【0021】
ソース・ドレイン電極24及び引き回し配線26(これらの一部を除く)を覆うように平坦化膜30が設けられている。平坦化膜30としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の有機材料が多く用いられる。
【0022】
平坦化膜30は、画素コンタクト部32及び周辺領域PAでは除去されて、その上に酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)膜34が形成されている。酸化インジウムスズ膜34は、相互に分離された第1透明導電膜34a及び第2透明導電膜34bを含む。
【0023】
平坦化膜30の除去により表面が露出した第2導電層W2は、第1透明導電膜34aにて被覆される。第1透明導電膜34aを被覆するように、平坦化膜30の上にシリコン窒化膜36が設けられている。シリコン窒化膜36は、画素コンタクト部32に開口を有し、この開口を介してソース・ドレイン電極24に導通するように有効画素電極38が積層されている。有効画素電極38は反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛膜、銀膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造としている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜を用いてもよい。有効画素電極38は、画素コンタクト部32から側方に拡がり、薄膜トランジスタTRの上方に至る。
【0024】
第2透明導電膜34bは、画素コンタクト部32に隣接して、有効画素電極38の下方(さらにシリコン窒化膜36の下方)に設けられている。第2透明導電膜34b、シリコン窒化膜36及び有効画素電極38は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0025】
図3に示すように、端子28の表面には、酸化インジウムスズ膜34の他の一部である第3透明導電膜34cが形成されている。第3透明導電膜34cは、第1透明導電膜34a及び第2透明導電膜34bと同時に形成される。端子28上の第3透明導電膜34cは、以後の工程で端子28の露出部がダメージを負わないようにバリア膜として設けることを目的の一としている。有効画素電極38のパターニング時、第3透明導電膜34cはエッチング環境にさらされるが、酸化インジウムスズ膜34の形成から有効画素電極38の形成までの間に行われるアニール処理によって、酸化インジウムスズ膜34は有効画素電極38のエッチングに対し十分な耐性を有する。
【0026】
平坦化膜30の上であって例えば画素コンタクト部32の上方に、バンク(リブ)と呼ばれて隣同士の画素領域の隔壁となる絶縁層40が形成されている。絶縁層40としては平坦化膜30と同じく感光性アクリル等が用いられる。
【0027】
絶縁層40は、複数の有効画素電極38のそれぞれの中央部を露出させる複数の開口42を有する。開口42によって、有効画素電極38の表面が発光領域として露出する。開口42の内周面はなだらかなテーパー形状となるのが好ましい。絶縁層40は、複数の有効画素電極38のそれぞれの周縁部を覆う。
【0028】
平坦化膜30と絶縁層40は、両者間にあるシリコン窒化膜36に設けた孔を通じて接触している。これにより、絶縁層40の形成後の熱処理等を通じて、平坦化膜30から脱離する水分や脱ガスを、絶縁層40を通じて引き抜くことができる。
【0029】
有効画素電極38に、有機材料からなるエレクトロルミネセンス層44が載る。エレクトロルミネセンス層44は、単層であってもよいが、有効画素電極38側から順に、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層された構造であってもよい。これらの層は、蒸着によって形成してもよいし、溶媒分散の上での塗布によって形成しても良く、有効画素電極38(各サブ画素)に対して選択的に形成してもよいし、表示領域DAを覆う全面にベタ形成されてもよい。また、一部の層をベタ形成とし、他の一部の層を有効画素電極38に対して選択的に形成してもよい。ここで、発光層をベタ形成とする場合は、全サブ画素において白色光を得て、カラーフィルタ(図示せず)によって所望の色波長部分を取り出す構成とすることができる。
【0030】
エレクトロルミネセンス層44の上に、共通電極46が載る。ここでは、トップエミッション構造としているため、共通電極46は透明である。例えば、マグネシウム層及び銀層を、エレクトロルミネセンス層44からの出射光が透過する程度の薄膜として形成する。例えば、有効画素電極38が陽極となり、共通電極46が陰極となる。共通電極46は、表示領域DA上と、表示領域DA近傍に設けられた陰極コンタクト部54(図3)に亘って形成され、陰極コンタクト部54で下層の引き回し配線26と接続されて、端子28に電気的に接続される。
【0031】
共通電極46の上に封止層48が形成されている。封止層48は、エレクトロルミネセンス層44を覆う。封止層48は、エレクトロルミネセンス層44を、外部からの水分侵入を防止することを機能の一としており、高いガスバリア性が要求される。ここでは、シリコン窒化膜を含む積層構造として、樹脂からなる有機膜50及びこれを上下で挟む一対の無機膜(例えばシリコン窒化膜)52,54の積層構造とした。それぞれの無機膜52,54と有機膜50との間には、密着性向上を目的の一として、シリコン酸化膜やアモルファスシリコン層を設けてもよい。必要に応じて、封止層48上にカバーガラスやタッチパネル基板等を設けてもよい。この場合、封止層48とカバーガラスやタッチパネルとの空隙を埋めるために、樹脂等を用いた充填材を介してもよい。
【0032】
図4は、図1に示す表示領域DAの一部を拡大した平面図である。図5は、図4に示す構造のV-V線断面図である。図6は、図4に示す構造のVI-VI線断面図である。
【0033】
表示装置は、複数の画素電極56を有する。複数の有効画素電極38は、複数の画素電極56に含まれる。複数の有効画素電極38は、表示される画像を構成する複数の画素にそれぞれ対応し、発光に寄与している。
【0034】
表示装置は、複数の画素回路58を有する。複数の画素回路58は、複数の画素電極56(有効画素電極38)の下方にある。複数の画素回路58のそれぞれは、図2に示す薄膜トランジスタTRを含み、さらに他の薄膜トランジスタTRを含む。複数の有効画素電極38のそれぞれは、複数の画素回路58の対応する1つに接続されている。画素回路58(薄膜トランジスタTR)によって、有効画素電極38を流れる電流又は電圧が制御される。
【0035】
複数の画素電極56は、複数のダミー画素電極60を含む。複数のダミー画素電極60は、表示される画像を構成する複数の画素のいずれにも対応しない。つまり、ダミー画素電極60は発光に寄与しない。エレクトロルミネセンス層44は、複数のダミー画素電極60のいずれとも重ならない。つまり、ダミー画素電極60の下にはエレクトロルミネセンス層44が存在しない。複数の有効画素電極38のそれぞれ及び複数のダミー画素電極60のそれぞれは、同じ平面形状になっている。図4においては、簡略のため全て矩形形状としているが、有効画素電極38が異なる形状を取る場合、ダミー画素電極60もそれに従う。
【0036】
絶縁層40は、複数の画素電極56(有効画素電極38及びダミー画素電極60のそれぞれ)と共通電極46の間に介在する。絶縁層40は、複数のダミー画素電極60のそれぞれの全体を覆う。すなわち、絶縁層40は、ダミー画素電極60に対応する開口42を有しない。
【0037】
表示装置は、複数の走査線62を有する。走査線62は、図2に示す第1導電層W1の一部である。それぞれの走査線62は、複数の画素回路58の対応する1グループに接続される。複数の画素回路58のそれぞれは、複数の走査線62の対応する2つ以上に接続されている。薄膜トランジスタTRのゲート電極は、複数の走査線62の対応する1つに接続されている。
【0038】
周辺領域PA(図1)には、走査駆動回路64が設けられている。複数の走査線62には、走査駆動回路64から選択的に走査信号が送られる。図4に示すように、複数のダミー画素電極60は、複数の有効画素電極38と走査駆動回路64の間にある。複数の走査線62のそれぞれは、複数のダミー画素電極60の対応する少なくとも1つを介して、走査駆動回路64に電気的に接続されている。
【0039】
詳しくは、複数の走査線62のそれぞれは、複数セクション62A,62Bに分離されている。複数セクション62A,62Bが、複数のダミー画素電極60の対応する少なくとも1つによって、電気的に接続されている。
【0040】
なお、走査駆動回路64も、薄膜トランジスタTRを含む。走査線62は、走査駆動回路64の薄膜トランジスタTRのソース・ドレイン電極24に接続される(図6)。また、走査線62は、画素回路58の薄膜トランジスタTRのゲート電極20に接続される(図2)。
【0041】
複数の画素電極56(有効画素電極38及びダミー画素電極60のそれぞれ)と複数の走査線62との間に、第2導電層W2が介在している。有効画素電極38と走査線62との間にある第2導電層W2(図2)は、薄膜トランジスタTRのソース・ドレイン電極24を含む。図5及び図6に示すように、第2導電層W2は、複数の走査線62のそれぞれと、複数のダミー画素電極60の対応する少なくとも1つを電気的に接続する接続部66を含む。なお、第2導電層W2は、図6に示すように、走査駆動回路64の薄膜トランジスタTRのソース・ドレイン電極24も含む。
【0042】
本実施形態によれば、走査駆動回路64は、製造プロセスにおいてダミー画素電極60によって走査線62に電気的に接続されるまでは、静電気の影響を受けないようになっている。ダミー画素電極60は、薄膜トランジスタTRや第1導電層W1、第2導電層W2よりも上層に形成されるものであるから、仮に表示領域DAに設けられた走査線62に静電気が入ったとしても、製造工程の終盤まで、走査駆動回路64は静電気の影響を受けない。
【0043】
封止層48は、図2に示すように、複数の有効画素電極38の上方では一対の無機膜52,54及び有機膜50を含む。これに対して、図5及び図6に示すように、複数のダミー画素電極60の上方では、封止層48は、有機膜50を含まず、一対の無機膜52,54が接触している。
【0044】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る表示装置の表示領域DAの一部を拡大した平面図である。本実施形態は、画素電極の配列において、第1の実施形態と異なる。図8は、図7に示す有効画素電極の配列の詳細を示す平面図である。
【0045】
画素回路258の配列がストライプ配列であるのに対して、有効画素電極238の配列は、それ以外の配列(例えばデルタ配列、スクウェア配列又はペンタイル配列)になっている。有効画素電極238は、発光色によって形状が異なる。また、有効画素電極238は、発光色によって大きさが異なっており、例えば青色に対応する有効画素電極238が最も大きい。絶縁層の開口242は、その内側全体でエレクトロルミネセンス層が有効画素電極238に載って発光領域になる。発光色によって、発光領域の大きさも異なる。
【0046】
有効画素電極238の画素コンタクト部232は、接続電極268(第2導電層W2(図2)の一部)に接続する。接続電極268は、ソース・ドレイン電極224(第2導電層W2(図2)の一部)から一体的に連続して延びている。接続電極268の設計を変更すれば、画素回路258の配列を変更することなく、有効画素電極238の配列や形状を変更することができる。
【0047】
ダミー画素電極260は、有効画素電極238と同じ配列になっている。走査線262は、複数セクション262A,262Bに分離されている。複数セクション262A,262Bが、ダミー画素電極260によって、電気的に接続されている。これにより、走査線262が走査駆動回路264に接続される。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容が該当する。
【0048】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る表示装置の断面図である。本実施形態では、マイクロLEDチップ370が使用される点で、第2の実施形態と異なる。複数のマイクロLEDチップ370は、複数のダミー画素電極との重なりを避けて、それぞれ、複数の有効画素電極338に載る。有効画素電極338とマイクロLEDチップ370の下電極が導通する。共通電極346は、複数のマイクロLEDチップ370に載って、その上電極に導通する。なお、マイクロLEDチップ370の耐湿性が高ければ、封止層を省略してもよい。
【0049】
隣同士のマイクロLEDチップ370の間には、素子絶縁膜372が設けられている。素子絶縁膜372及びマイクロLEDチップ370は、上面が同じ高さになっている。これにより、共通電極346が平坦面に形成される。
【0050】
図10は、図9に示す有効画素電極338の配列の詳細を示す平面図である。画素電極は、開口342を有する絶縁層340に覆われている。開口342は、有効画素電極338が露出しており、マイクロLEDチップ370の搭載領域になっている。開口342は、マイクロLEDチップ370よりも大きくなっており、両者間に隙間があく。この隙間は、素子絶縁膜372によって覆われる。その他の内容は、第2の実施形態で説明した内容が該当する。
【0051】
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態に係る表示装置の断面図である。本実施形態では、素子絶縁膜472がマイクロLEDチップ470よりも低くなっている。これにより形成された凹凸面の上に共通電極446が形成される。有効画素電極438と共通電極446は、素子絶縁膜472によって絶縁されている。その他の内容は、第3の実施形態で説明した内容が該当する。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 基板、12 アンダーコート層、12a シリコン酸化膜、12b シリコン窒化膜、12c シリコン酸化膜、14 付加膜、16 半導体層、18 ゲート絶縁膜、20 ゲート電極、22 層間絶縁膜、24 ソース・ドレイン電極、26 引き回し配線、28 端子、30 平坦化膜、32 画素コンタクト部、34 酸化インジウムスズ膜、34a 第1透明導電膜、34b 第2透明導電膜、34c 第3透明導電膜、36 シリコン窒化膜、38 有効画素電極、40 絶縁層、42 開口、44 エレクトロルミネセンス層、46 共通電極、48 封止層、50 有機膜、52 無機膜、54 陰極コンタクト部、56 画素電極、58 画素回路、60 ダミー画素電極、62 走査線、62A セクション、62B セクション、64 走査駆動回路、66 接続部、224 ソース・ドレイン電極、232 画素コンタクト部、238 有効画素電極、242 開口、258 画素回路、260 ダミー画素電極、262 走査線、262A セクション、262B セクション、264 走査駆動回路、268 接続電極、338 有効画素電極、340 絶縁層、342 開口、346 共通電極、370 マイクロLEDチップ、372 素子絶縁膜、438 有効画素電極、446 共通電極、470 マイクロLEDチップ、472 素子絶縁膜、Cad 付加容量、CL1 第1保持容量線、CL2 第2保持容量線、Cs 保持容量、DA 表示領域、FA 折曲領域、FP フレキシブルプリント基板、PA 周辺領域、TR 薄膜トランジスタ、W1 第1導電層、W2 第2導電層。
図1
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図9
図10
図11