(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/08 20060101AFI20230727BHJP
B65D 5/10 20060101ALI20230727BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B65D5/08
B65D5/10 B
B65D5/66 301H
(21)【出願番号】P 2019164619
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】305006624
【氏名又は名称】ダイナパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神山 弘二
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3139567(JP,U)
【文献】登録実用新案第3198550(JP,U)
【文献】実開昭53-6718(JP,U)
【文献】米国特許第5386937(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/08
B65D 5/10
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角筒状の側面と、前記側面に囲まれた一方の開口部を塞ぐ蓋フラップを少なくとも備えた包装箱であって、
互いに向かい合う一組の第1の側面部と、
前記第1の側面部が延びる方向と交わる方向に延び、互いに向かい合う一組の第2の側面部と、
前記第2の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、折り畳まれて前記一方の開口部の少なくとも一部を覆う一組の内蓋フラップと、
一方の前記第1の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、前記内蓋フラップが延びる方向に延びる縦折り目を介して一組の前記内蓋フラップとそれぞれ連接されている下側外蓋フラップと、
他方の前記第1の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、前記縦折り目を介して一方の前記内蓋フラップと連接され、他方の前記内蓋フラップとは切り離されている上側外蓋フラップと、
を備えた包装箱。
【請求項2】
前記側面は、
前記第1の側面部と前記第2の側面部が交互に並んで連接された帯状板材を、前記第1の側面部と前記第2の側面部の境目にて折り曲げて四角筒状にしたものであり、
前記上側外蓋フラップは、
前記帯状板材の一方の端側に配置された前記第1の側面部から延出している請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記帯状板材は、
前記上側外蓋フラップが延出する前記第1の側面部の端側の辺でもある端辺から、前記第1の側面部と前記第2の側面部が並ぶ方向に延出する、前記帯状板材を四角筒状に固定するための固定部を備えており、
前記固定部の前記一方の開口部の側の端部から、前記固定部が固定される前記第2の側面部から延出する前記内蓋フラップを固定するための貼付部が延出している請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記上側外蓋フラップの先側には、前記下側外蓋フラップに設けられた受け部と協働し、前記上側外蓋フラップと前記下側外蓋フラップが前記一方の開口部の少なくとも一部を塞いだ状態を保持する保持部が備えられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
前記保持部は、
前記上側外蓋フラップが延出する方向に延出する突出部であり、
前記受け部は、前記突出部が嵌合可能な大きさの切り欠き部である請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記内蓋フラップには、
前記内蓋フラップの前記第2の側面部側の角部から、前記内蓋フラップと前記第2の側面部との境目と所定の角度をなして斜めに延びる仮想直線に沿って、前記内蓋フラップが延びる方向に延びる斜め折り目が設けられており、
前記内蓋フラップの前記縦折り目と前記境目の間の領域の前記角部側の部分に、前記仮想直線に跨がって貫通穴が設けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の包装や輸送などに用いて好適な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳みの作業を簡素化することを目的として、逆V字形状をした折込み罫線が設けられた一組の内側フラップと、内側フラップにそれぞれ連接された一組の外側フラップが設けられた包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この包装箱は、使用者の用途に応じて折り畳み方を変えることで、大容量形態の包装箱としても、小容量形態の包装箱としても組み立てることができるようになっている。
【0003】
この包装箱を、小容量形態の包装箱として組み立てる場合には、逆V字形状の折込み罫線に沿って内側フラップを折り畳みながら、内側フラップ及び外側フラップをそれぞれ内側に倒し、包装箱の開口を塞いで組み立てを行う。この際、外側フラップは、折り畳んで折り倒された内側フラップの上側に、それぞれ重ねて配置される。この一方の外側フラップの先側には、外側フラップが延びる方向に突出した差込片が設けられており、他方の外側フラップの、当該差込片と対応する位置には、差込孔が設けられている。この差込片を差込孔に差し込むことで、外側フラップを閉じた状態で固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載された包装箱では、内側フラップと外側フラップが連接されているため、内側フラップを折り畳みながら内側に倒すと、外側フラップが内側フラップに追随して内側に倒される。このため、開口を塞ぐ作業を容易に行うことができる。
【0006】
一方、外側フラップを固定するために、差込片を差込孔に差し込む際には、差込片が設けられた外側フラップを、差込孔が設けられた外側フラップの上側に配置する必要がある。即ち、内側フラップを内側に倒して開口部を塞ぐ際には、例えば差込片が設けられた外側フラップを手で押さえるなどして、差込孔が設けられた外側フラップが先に倒れるようにするようにしなければならない。このため、開口を塞ぐための作業に、手間がかかってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、包装箱の開口部を塞ぐ作業が容易な包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の包装箱は、四角筒状の側面と、前記側面に囲まれた一方の開口部を塞ぐ蓋フラップを少なくとも備えた包装箱であって、互いに向かい合う一組の第1の側面部と、前記第1の側面部が延びる方向と交わる方向に延び、互いに向かい合う一組の第2の側面部と、前記第2の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、折り畳まれて前記一方の開口部の少なくとも一部を覆う一組の内蓋フラップと、一方の前記第1の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、前記内蓋フラップが延びる方向に延びる縦折り目を介して一組の前記内蓋フラップとそれぞれ連接されている下側外蓋フラップと、他方の前記第1の側面部の前記一方の開口部の側の端部から延出し、前記縦折り目を介して一方の前記内蓋フラップと連接され、他方の前記内蓋フラップとは切り離されている上側外蓋フラップとを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記発明においては、前記側面は、前記第1の側面部と前記第2の側面部が交互に並んで連接された帯状板材を、前記第1の側面部と前記第2の側面部の境目にて折り曲げて四角筒状にしたものであり、前記上側外蓋フラップは、前記帯状板材の一方の端側に配置された前記第1の側面部から延出していることを特徴とすることが好ましい。
【0010】
上記発明においては、前記帯状板材は、前記上側外蓋フラップが延出する前記第1の側面部の端側の辺でもある端辺から、前記第1の側面部と前記第2の側面部が並ぶ方向に延出する、前記帯状板材を四角筒状に固定するための固定部を備えており、前記固定部の前記一方の開口部の側の端部から、前記固定部が固定される前記第2の側面部から延出する前記内蓋フラップを固定するための貼付部が延出していることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
上記発明においては、前記上側外蓋フラップの先側には、前記下側外蓋フラップに設けられた受け部と協働し、前記上側外蓋フラップと前記下側外蓋フラップが前記一方の開口部の少なくとも一部を塞いだ状態を保持する保持部が備えられていることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
上記発明においては、前記保持部は、前記上側外蓋フラップが延出する方向に延出する突出部であり、前記受け部は、前記突出部が嵌合可能な大きさの切り欠き部であることを特徴とすることが好ましい。
【0013】
上記発明においては、前記内蓋フラップには、前記内蓋フラップの前記第2の側面部側の角部から、前記内蓋フラップと前記第2の側面部との境目と所定の角度をなして斜めに延びる仮想直線に沿って、前記内蓋フラップが延びる方向に延びる斜め折り目が設けられており、前記内蓋フラップの前記縦折り目と前記境目の間の領域の前記角部側の部分に、前記仮想直線に跨がって貫通穴が設けられていることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装箱によれば、包装箱を塞ぐ作業が容易な包装箱を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】本発明による包装箱の開いた状態を説明する図である。
【
図4】本発明による包装箱を閉じる様子を説明する図である。
【
図5】本発明による包装箱の閉じた状態を説明する図である。
【
図6】本発明の変形例に係る包装箱の展開図である。
【
図7】本発明の他の変形例に係る包装箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態に係る包装箱10について、主に
図1から
図5を参照しながら説明を行う。本実施形態に係る包装箱10は、段ボールシートを
図1に示す形状に加工したシート材1を、所定の箇所で折り曲げて形成した略直方体の箱である。
【0017】
本実施形態では、包装箱10を、商品の輸送箱として使用する例に適用して以降の説明を行う。なお、包装箱10の用途は例示であって、上記に限定される訳ではない。また、シート材1は、ダンボールシートの他、ボール紙などの他の公知の板状部材が、所定の形状に加工されたものであってもよい。
【0018】
<包装箱の構成の説明>
はじめに包装箱10の構成について説明を行う。
包装箱10は、四角筒状の本体部11と、本体部11の上側(以降において「蓋側」とも記載する。)の開口部を塞ぐ内蓋フラップ31A,31B、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bと、本体部11の下側(以降において「底側」とも記載する。)の開口部を塞ぐ底フラップ22A,22B,32A,32Bから主に構成されている。
【0019】
なお、以降の説明において、内蓋フラップ31A,31Bを総称して「内蓋フラップ31」と、上側外蓋フラップ21A及び下側外蓋フラップ21Bを総称して「外蓋フラップ21」とも記載する。また、内蓋フラップ31と外蓋フラップ21を総称して「蓋フラップ」と、底フラップ22A,22B,32A,32Bを総称して「底フラップ」とも記載する。前後、左右、上下の方向は、特に断りのない限りそれぞれ図中に示す方向とし、包装箱10の商品が収容される側を内側と、その反対の側を外側とも記載する。また包装箱10の内側を向いている面を裏面、外側を向いている面を表面とも記載する。
【0020】
さらに、本体部11の蓋側の開口部が、蓋フラップによって塞がれた状態を「閉じた状態」と、開口部を蓋フラップによって塞ぐことを、「閉じる」とも記載する。また、本体部11の蓋側の開口部が、蓋フラップによって塞がれていない状態、換言すれば蓋フラップが内側に折り倒されていない状態を「開いた状態」と、包装箱10を開いた状態にすることを、「開く」とも記載する。
【0021】
本体部11は、互いに向かい合う一組の第1の側面部2と、第1の側面部2に交わる方向にそれぞれ延びる、一組の第2の側面部3を主に備えている(
図2参照。)。本実施形態では、第1の側面部2と第2の側面部3が、互いに直交するようにしてそれぞれ配置されている例に適用して以降の説明を行うが、第1の側面部2と第2の側面部3の配置関係はこれに限定される訳ではない。本体部11は、展開された状態において、第1の側面部2と第2の側面部3が、交互に並んで連接された帯状形状をしている(
図1参照。)。なお、第1の側面部2と第2の側面部3は、それぞれ略長方形をしており、それぞれの境目には、折り目40が設けられている。本実施形態における、帯状形状に展開された本体部11が、特許請求の範囲における帯状板材に対応する。また、上側(蓋側)の開口部が、特許請求の範囲における一方の開口部に対応する。
【0022】
本体部11を帯状形状に展開した状態において、一方の端側に配置されている第1の側面部2の上側の端部からは、折り目25aを介して上側外蓋フラップ21Aが、折り目40が延びる方向に延出している。上側外蓋フラップ21Aは、第1の側面部2と略同じ幅を有した略長方形をしている。また、当該第1の側面部2の下側の端部からは、折り目26aを介して底フラップ22Aが、同様に延出している。
【0023】
本体部11を帯状形状に展開した状態において、一組の第2の側面部3の間に配置されている、他方の第1の側面部2の上側の端部からは、折り目25bを介して下側外蓋フラップ21Bが、折り目40が延びる方向に延出している。下側外蓋フラップ21Bは、第1の側面部2と同じ幅を有した略長方形をしている。また、当該第1の側面部2の下側の端部からは、折り目26bを介して底フラップ22Bが、同様に延出している。
【0024】
上側外蓋フラップ21Aと第1の側面部2との境目、及び下側外蓋フラップ21Bと第1の側面部2との境目には、折り曲げを容易とするためのミシン目がそれぞれ設けられている。このミシン目は、所定の長さの切り込みを、所定の間隔で連続して設けたものである。なお、以降の説明において、切り込み、あるいは切り込み線とは、刃物などを用いてシート材1を貫通するように切り込んだ部分、あるいは、シート材1の片側のライナーと中芯の少なくとも一部を切り込んだりした部分をいう。なお、ミシン目に代えて、シート材1を折り曲げやすくするための、他の公知の加工をそれぞれの境目に行ってもよい。
【0025】
本体部11を帯状形状に展開した状態において、他方の端側に配置されている第2の側面部3の上側の端部からは、折り目35bを介して内蓋フラップ31Bが、折り目40が延びる方向に延出している。内蓋フラップ31Bは、第2の側面部3と略同一の幅を有した略直方形をしている。また、当該第2の側面部3の下側の端部からは、折り目36bを介して底フラップ32Bが同様に延出している。
【0026】
本体部11を帯状形状に展開した状態において、一組の第1の側面部2の間に挟まれて配置されている他方の第2の側面部3の上側の端部からは、折り目35aを介して内蓋フラップ31Aが、折り目40が延びる方向に延出している。内蓋フラップ31Aは、第1の側面部2と略同一の幅を有した略直方形をしている。また、当該第2の側面部3の下側の端部からは、折り目36aを介して底フラップ32Aが、同様に延出している。なお本実施形態では、内蓋フラップ31Aと内蓋フラップ31Bが略同一の大きさをしている例に適用して以降の説明を行うが、それぞれが異なる大きさであってもよい。
【0027】
内蓋フラップ31A,31Bの、折り目35a,35bと直交する方向の長さ(
図1における上下方向の長さ)は、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの折り目25a,25bと直交する方向の長さよりも短い。本実施形態では、内蓋フラップ31A,31Bの折り目35a,35bと直交する方向の長さが、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの折り目25a,25bと直交する方向の長さの約半分である例に適用して以降の説明を行う。なお、内蓋フラップ31A,31Bの大きさは、本体部11を塞いだ状態とすることができる大きさであれば、上記に限定される訳ではない。なお以降の説明において、折り目25a,25bを総称して、「折り目25」と、折り目35a,35bを総称して、「折り目35」とも記載する。
【0028】
展開した状態において、本体部11の端側に配置されている第1の側面部2の端側の端辺24からは、折り目41を介し、短冊状の固定部5が、第1の側面部2と第2の側面部3が並ぶ方向に延出している。なお端辺24は、展開した状態における本体部11の端側の辺でもある。この端辺24からは、折り目41を介し、短冊状の固定部5が、第1の側面部2と第2の側面部3が並ぶ方向に延出している。この固定部5は、四角筒状に形成された本体部11を固定する際に用いられる部分である。
【0029】
固定部5の、上側の端部からは、略台形の貼付部6が、折り目55を介して折り目41が延びる方向に延出している。この貼付部6は、本体部11が四角筒状に形成された際に、内蓋フラップ31Bに貼り付けられる部分である。
【0030】
上側外蓋フラップ21Aは、内蓋フラップ31Aと折り目32cを介して連接されている。また内蓋フラップ31Aは、下側外蓋フラップ21Bと折り目32dを介して連接されている。更に下側外蓋フラップ21Bは、内蓋フラップ31Bと折り目32eを介して連接されている。なお以降の説明において、折り目32c,32d,32eを総称して「折り目32」とも記載する。本実施形態における折り目32が、特許請求の範囲における縦折り目に対応する。
【0031】
上側外蓋フラップ21Aの折り目25aとは反対側の端側の辺の略中心から、略台形の保持部23Aが、上側外蓋フラップ21Aが延びる方向に延出している。なお以降において、蓋フラップの延出する方向の端側を、「先側」とも記載する。保持部23Aの先側の辺28は、折り目25aと平行に延びている。また、保持部23Aの両側の辺23aは、保持部23Aが延出する基側の部分である基側点27から、折り目25aの側に傾斜して延びている。なお、この略台形の保持部23Aが、特許請求の範囲における突出部に対応する。
【0032】
下側外蓋フラップ21Bの先側には、その中心の一部が略長方形状に切り取られた、受け部23Bが設けられている。この受け部23Bの第1の側面部2側の辺29は、折り目25bと略平行に延びている。なお、受け部23Bの辺29が延びる方向の幅は、保持部23Aの折り目25aが延びる方向の幅と略同じ長さとなっている。この略長方形状に切り取られた受け部23Bが、特許請求の範囲における切り欠き部に対応する。
【0033】
上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bは、それぞれを折り目25a,25bにて内側に折り倒した際に、その先側の部分の少なくとも一部が重なり、本体部11の蓋側の開口部を塞ぐことができる程度の長さを有している。
【0034】
以下、上側外蓋フラップ21Aの折り目25aと基側点27との間の折り目25aと直交する方向の長さをW2とし、下側外蓋フラップ21Bの、折り目25bと辺29との間の、折り目25bと直交する方向の長さをW3として具体的に説明を行う。
【0035】
本実施形態では、このW2とW3を加えた長さが、包装箱10の第2の側面部3の折り目35a,35bが延びる方向の長さW1と略同一である例に適用して以降の説明を行う。即ち、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bが、それぞれ内側に折り倒した際に、基側点27と辺29が当接するとともに、それぞれの先側の少なくとも一部が重なり、本体部11の開口部を塞ぐ程度の長さを有している例に適用して以降の説明を行う。
【0036】
また、保持部23Aの突出する方向の長さ、即ち、基側点27と保持部23Aの辺28との間の、折り目25aと直交する方向の長さW4は、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bにて本体部11の開口部を塞いだ際に、保持部23Aの辺28が、受け部23Bの辺29よりも僅かに折り目25bの側に配置される程度の長さを有している例に適用して以降の説明を行う。
【0037】
なお、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bは、それぞれを内側に折り倒した際に、本体部11の蓋側の開口部を塞ぐことができる大きさを有していればよく、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの各部の長さは、上記に限定される訳ではない。
【0038】
内蓋フラップ31Aには、折り目32cと折り目35aの交点75cから、折り目35aと略45°の角度をなして延びる仮想直線80cに沿って、斜め折り目74cが設けられている。また、折り目32dと折り目35aの交点75dから、折り目35aと略45°の角度をなして延びる仮想直線80dに沿って、斜め折り目74dが設けられている。
【0039】
内蓋フラップ31Bにも同様に、折り目32eと折り目35bの交点75eから、折り目35bと略45°の角度をなして延びる仮想直線80eに沿って、斜め折り目74eが設けられている。この斜め折り目74c,74d,74eは、内蓋フラップ31A,31Bを折り畳む際の折り目となる部分である。なお、以降の説明において斜め折り目74c,74d,74eを総称して「斜め折り目74」と、交点75c,75d,75eを総称して「交点75」とも記載する。また、仮想直線80c,80d,80eを総称して「仮想直線80」とも記載する。
【0040】
内蓋フラップ31Aの交点75cの側の角部には、扇形の貫通穴70cが設けられている。この貫通穴70cは、扇形の弧の部分をなす縁線部71cと、扇形の半径の一方をなす縁線部72cと、扇形の半径の他方をなす縁線部73cにて囲まれたシート材1を貫通する穴である。より具体的に説明をすると、貫通穴70cは、シート材1が、縁線部71c、縁線部72c及び縁線部73cに沿って扇状に切り取られた部分である。なお、縁線部73cは、折り目32cの延長線上に設けられている。換言すれば折り目32cが延びる方向に沿って設けられている。また、縁線部72cは、縁線部73cと略直交するようにして設けられている。
【0041】
貫通穴70cは、前述の仮想直線80cを跨ぐようにして設けられている。即ち、貫通穴70cの少なくとも一部が、仮想直線80cと折り目35aとの間の領域に設けられ、他方が仮想直線80cと折り目32cとの間の領域に設けられている。より具体的に説明を行うと、縁線部71cが、仮想直線80c上の仮想交点76cから、仮想直線80cと折り目35aとの間の領域を、交点75cに向かって円弧状に延びている。ここで仮想交点76cは、貫通穴70cの縁部と仮想直線80cが交わる点である。
【0042】
縁線部71cは、交点75cの側において、折り目35aとなす角度が、仮想直線80cと折り目35aがなす角度よりも小さな角度で、交点75cに向かって延びている。このため、内蓋フラップ31Aの交点75cの側の角部には、縁線部71cと折り目35aにて挟まれ、交点75cに向かうにつれ、内蓋フラップ31Aが延びる方向の幅が狭くなる隅部38cが設けられている。なお、縁線部71cは、交点75cにおいて縁線部73cの端部とつながっており、縁線部71cの他方の側は、仮想交点76cにて、縁線部72cの端部とつながっている。
【0043】
内蓋フラップ31Aの交点75dの側の角部にも、扇形の貫通穴70dが、仮想直線80dを跨ぐようにして同様に設けられている。貫通穴70dは、仮想直線80d上の仮想交点76dから、交点75dに向かって円弧状に延びる縁線部71dと、扇形の半径の部分をなす縁線部72d,73dにて囲まれた部分である。また、縁線部71dと折り目35aに挟まれた隅部38dも同様に設けられている。
【0044】
なお、仮想直線80dは、仮想直線80cに対応する仮想の直線であり、縁線部71d,72d,73dは、それぞれ貫通穴70cの縁線部71c,72c,73cに対応する部分である。また、貫通穴70d及び隅部38dは、左右対称である以外はそれぞれ貫通穴70c及び隅部38cと同様である。このため、それぞれの詳細な説明を省略する。
【0045】
内蓋フラップ31Bの交点75eの側の角部にも、扇形の貫通穴70eが、仮想直線80eを跨ぐようにして同様に設けられている。貫通穴70eは、仮想直線80e上の仮想交点76eから、交点75eに向かって円弧状に延びる縁線部71eと、扇形の半径の部分をなす縁線部72e,73eにて囲まれた部分である。また、縁線部71eと折り目35bに挟まれた隅部38eも同様に設けられている。
【0046】
なお、仮想直線80eは仮想直線80cに対応する仮想の直線であり、縁線部71e,72e,73eは、それぞれ貫通穴70cの縁線部71c,72c,73cに対応する部分である。また、貫通穴70e及び隅部38eは、それぞれ貫通穴70c及び隅部38cと同様の形状をした部分である。このため、それらの詳細な説明を省略する。
【0047】
内蓋フラップ31Bの、交点75eの対角線上の角部は、曲線状に形成されており、内蓋フラップ31Bの折り目32eの反対側の辺の部分は、上側外蓋フラップ21Aとは連接されていない。なお、内蓋フラップ31Bの折り目32eとは反対側の辺30は、折り目35bがなす角度が、斜め折り目74eと折り目35bがなす角度、及び斜め折り目74c,74dと折り目35aがなす角度よりも大きな角度で設けられている。より具体的には、辺30は、折り目35bとなす角度が45度よりも大きな角度となるように設けられている。
【0048】
以降において貫通穴70c,70d,70eを総称して「貫通穴70」とも記載する。また、縁線部71c,71d,71eを総称して「縁線部71」と、縁線部72c,72d,72eを総称して「縁線部72」と、縁線部73c,73d,73eを総称して「縁線部73」とも記載する。また、仮想交点76c,76d,76eを総称して「仮想交点76」と、隅部38c,38d,38eを総称して「隅部38」とも記載する。
【0049】
内蓋フラップ31Aと第2の側面部3との境目と、内蓋フラップ31Bと第2の側面部3との境目のそれぞれの中心の近傍には、切り込み線37が設けられている。この切り込み線37は、内蓋フラップ31A,31Bを、折り目35a,35bに沿って折り曲げやすくするために設けられた切り込み線である。なお当該部分に、切り込み線37に代えて、シート材1を折り曲げやすくするための、他の公知の加工手段によって加工が施されていてもよい。
【0050】
上側外蓋フラップ21Aには、第1の側面部2に跨がって略V字状の開封破断線90が設けられている。この開封破断線90は、閉じた包装箱10を開封する際に破断され、商品等を取り出すための開封口を形成する部分である。第1の側面部2に設けられた開封破断線90の底フラップ22Aの側には、折り目26aと略平行に設けられた切り込み線である開封端91が設けられている。
【0051】
底フラップ22Aは略三角形状をしており、底フラップ22Bは、底フラップ22Aの先側に対応した幅の窪み部を有した略長方形状をしている。また、底フラップ32Aは略L字型の形状をしており、底フラップ32Bは、底フラップ32Aと左右対称の略L字型の形状をしている。底フラップ22A,22B,32A,32Bは、折り目26a,36a,26b,36bにて内側に折り倒してそれぞれの先側を組み合わせることで閉じた状態が保持される、いわゆるアメリカンタイプのフラップである。
【0052】
<組立方法の説明>
続いて包装箱10の組立方法について説明を行う。
はじめに展開された状態の本体部11を、第1の側面部2と第2の側面部3のなす角度が略90°となるように、折り目40にて折り曲げて四角筒状に形成する。この際、外蓋フラップ21、及び内蓋フラップ31も、それぞれ折り目32にて同様に折り曲げる。
【0053】
折り目41にて内側の方向に折り曲げた固定部5を、端側の第2の側面部3の裏側の対応する部分に、接着材などの公知の固定部材等を用いて固定する。このようにすると、本体部11は四角筒状に固定される。また貼付部6を内蓋フラップ31Bの、折り目32eとは反対側の辺の近傍の部分に、接着材などの公知の固定部材等を用いて貼り付けて固定する(
図3参照。)。
【0054】
続いて包装箱10の底側の開口部を、底フラップにて塞ぐ。具体的に説明すると、はじめに底フラップ32A,32Bを、折り目36a,36bにて第2の側面部3に対して略90°となるように内側に折り倒す。続いて、底フラップ22Bを、第1の側面部2に対して略90°となるように、折り目26bにて内側に折り倒す。さらに、底フラップ22Aを、第1の側面部2に対して略90°となるように、折り目26aにて内側に折り倒しながら、その先側の部分を、底フラップ22Bの窪み部に差し込む。このようにすると、底フラップ22Aの先側の部分と底フラップ22Bの窪み部の部分が互いに当接して固定され、包装箱10の底側の開口部が閉じた状態で保持される。
【0055】
本体部11の底側の開口部を閉じたら、商品を包装箱10の内側に入れて、包装箱10の蓋側の開口部を閉じる。具体的に説明をすると、内蓋フラップ31A,31Bを、それぞれ斜め折り目74c,74d,74eにて内側に折り畳み、更に折り目35a,35bにて折り曲げて内側に折り倒す。
【0056】
なお、下側外蓋フラップ21Bは、内蓋フラップ31A及び内蓋フラップ31Bとそれぞれ連接されている。従って下側外蓋フラップ21Bは、内蓋フラップ31A,31Bが内側に折り倒されると、その両側から内側の方向に引かれ、内蓋フラップ31A,31Bに追随して折り倒される。一方、上側外蓋フラップ21Aは、内蓋フラップ31Aにのみ連接され、内蓋フラップ31Bとは切り離されている。従って上側外蓋フラップ21Aは、内蓋フラップ31A,31Bが内側に折り倒されると、内蓋フラップ31Aと連接されている側が内側の方向に引かれ、内蓋フラップ31Aに追随して内側に折り倒される(
図4参照。)。即ち、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bよりも小さな力で内側に折り倒されるため、下側外蓋フラップ21Bよりも僅かに遅れて内側に折り倒されることになる。また、内蓋フラップ31Bの辺30は、折り目35bがなす角度が、斜め折り目74eと折り目35bがなす角度よりも大きな角度で設けられている。このため、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すと、辺30の少なくとも一部が、上側外蓋フラップ21Aの裏側の面と接触する。そして、辺30の少なくとも一部が、上側外蓋フラップ21Aの裏側の面が接触した状態で滑りながら、内蓋フラップ31Bと上側外蓋フラップ21Aが、内側に折り倒される。このため、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bよりも僅かに遅れて内側に折り倒されることになる。従って、上側外蓋フラップ21Aは、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒し、開口部を塞いだ状態にすると、自然と下側外蓋フラップ21Bの上側に配置される。
【0057】
内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すと、内蓋フラップ31A,31Bは、それぞれ完全に折り畳まれた状態となる。この時、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bは、折り目25a,25bにて第1の側面部2に対して略90°の角度で折り曲げられた状態となり、包装箱10の蓋側の開口部が塞がれた状態となる。なお、前述のように上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bから遅れて折り倒されるため、上側外蓋フラップ21Aの先側の部分は、下側外蓋フラップ21Bの先側の部分よりも外側に配置される。即ち、上側外蓋フラップ21Aの先側の部分が、下側外蓋フラップ21Bの先側の表側の面に重なった状態となって、包装箱10の蓋側の開口部が塞がれる。
【0058】
包装箱10の蓋側の開口部を塞いだら、上側外蓋フラップ21Aの保持部23Aの近傍を内側に押し込み、保持部23Aの少なくとも先側の部分が、下側外蓋フラップ21Bの裏側に配置される様にする。
【0059】
具体的に説明をすると、はじめに上側外蓋フラップ21Aの保持部23Aの近傍の部分を内側に押し込む。このようにすると、上側外蓋フラップ21Aの下側(裏側)にある下側外蓋フラップ21Bの先側の部分も、同様に内側に押し込まれる。保持部23Aの延出する方向の長さW4は、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bを閉じた状態とした際に、保持部23Aの辺28が、受け部23Bの辺29よりも僅かに折り目25bの側に配置される程度の長さである。このため、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの先側がそれぞれ内側に押し込まれると、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bの先側の部分が内側に撓み、辺28と辺29の間に隙間があく。このようにされた状態で、保持部23Aの先側の部分を受け部23Bの間に差し込むようにしながら、上側外蓋フラップ21Aを押し込むのを止める。このようにすると、上側外蓋フラップ21Aがシート材1の応力によって元の位置に戻るとともに、保持部23Aが、受け部23Bに差し込まれて下側外蓋フラップ21Bの先側の部分の裏側に配置された状態となる。
【0060】
このようになると、保持部23Aの基側の部分が受け部23Bの辺の部分と当接すると共に、保持部23Aの少なくとも先側の部分が、下側外蓋フラップ21Bの先側の裏面と当接する。また、上側外蓋フラップ21Aの辺23aの近傍の部分は、その裏側の面が、下側外蓋フラップ21Bの先側の表側の面と当接した状態となる。即ち下側外蓋フラップ21Bの先側が、保持部23Aと上側外蓋フラップ21Aの辺23aの近傍の部分によって挟まれた状態となり、上側外蓋フラップ21Aの先側に固定される。
【0061】
さらに、包装箱10が意図せずに開いてしまうことを防ぐため、公知の粘着テープなどを、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bの先側に跨がるようにして貼り付ける。本実施形態では、粘着テープの代わりに、裏面に粘着材が塗布された宅配便の伝票95を、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの先側の部分に貼り付けて、その固定を行う例に適用して以降の説明を行う(
図5参照。)。このようにすれば、保持部23Aと受け部23Bによる固定が外れて、意図せずに本体部11の上側の開口部が開いた状態となることを防ぐことができる。なお、包装箱10が意図せずに開いてしまうようなおそれのない場合などには、粘着テープなどを貼り付けなくてもよい。
【0062】
<開封方法の説明>
包装箱10から、商品を取り出す場合には、開封破断線90を破断させて包装箱10を開封する。具体的に説明をすると、開封端91の部分を指で保持し、外側に引っ張って開封破断線90を破断させ、包装箱10を開封する。このようにすると、第1の側面部2及び上側外蓋フラップ21Aの開封破断線90にて囲まれた部分が、他の部分から切り離されて、商品を取り出すための開口が形成され、商品を取り出すことができる。
【0063】
あるいは上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bの先側を貼り合わせている粘着テープ等を引き剥がし、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bを外側に折り戻して包装箱10を開いた状態にして商品を取り出してもよい。具体的に説明をすると、伝票95を引き剥がし、上側外蓋フラップ21Aの保持部23Aの近傍を内側に押し込む。このようにすると、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの先側が撓んで内側に押し込まれ、保持部23Aが受け部23Bから引き抜かれて辺28と辺29が離れた状態となる。そして、保持部23Aの先側が下側外蓋フラップ21Bの表側に配置されるようにしながら、上側外蓋フラップ21Aを押し込むのを止めると、シート部材の反発力によって上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bが元の状態に戻り、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bを外側に折り戻すことができるようになる。上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bを外側に折り戻すと、内蓋フラップ31A,31Bも追随して外側に折り戻されて、本体部11の蓋側の開口部が開いた状態となって商品の取り出しが行えるようになる。
【0064】
<包装箱の特徴>
このようにされた包装箱10では、内蓋フラップ31と外蓋フラップ21が、折り目32を介して連接されている。このため、内蓋フラップ31を斜め折り目74にて折り畳みながら内側に折り倒すと、外蓋フラップ21が追随して内側に折り倒される。また、包装箱10が閉じた状態から外蓋フラップ21を外側に折り戻すと、内蓋フラップ31も追随して外側に折り戻される。このため、包装箱10の開口部を閉じたり開けたりする作業が行い易い。
【0065】
また、下側外蓋フラップ21Bは、内蓋フラップ31A,31Bに連接されているのに対し、上側外蓋フラップ21Aは、内蓋フラップ31Aにのみ連接され、内蓋フラップ31Bとは連接されていない。このため、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すと、上側外蓋フラップ21Aは、その片側だけが内蓋フラップ31Aによって内側に引かれて折り倒される。即ち、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bよりも小さな力で内側に折り倒されることになり、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bよりもわずかに遅れて内側に折り倒され、下側外蓋フラップ21Bの上側に配置される。つまり、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すだけで、下側外蓋フラップ21Bが先に折り倒され、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bの上側に配置される。換言すれば、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すだけで、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bは、所定の順番で内側に折り倒されて、開口部を塞ぐことになる。また、内蓋フラップ31Bを内側に折り倒すと、辺30の少なくとも一部と上側外蓋フラップ21Aの裏側の面が、接触した状態で滑りながら、内蓋フラップ31Bと上側外蓋フラップ21Aが、内側に折り倒される。この際上側外蓋フラップ21Aは、接触している辺30の部分から、上側外蓋フラップ21Aが折り倒されるのを妨げる方向の力を受ける。このため、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bよりも僅かに遅れて内側に折り倒されて、下側外蓋フラップ21Bの上側に配置される。即ち、内蓋フラップ31A,31Bを内側に折り倒すだけで、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bは、所定の順番で内側に折り倒されて、開口部を塞ぐことになる。
【0066】
また、上側外蓋フラップ21A、及び内蓋フラップ31Bには、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを連接するための糊代等となる部分は設けられていない。このため、包装箱10を閉じた際、上側外蓋フラップ21Aの内蓋フラップ31B側の角の部分が他の部分よりも盛り上がってしまうようなことはない。
【0067】
一般に、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを連接する場合には、いずれかの一方に糊代となる部分を設け、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを貼り合わせる必要がある。このような部分を用いて上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを貼り合わせ、内側に折り畳んで包装箱10を閉じると、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを貼り合わせた部分にて、シート部材が4枚重なることになる。この場合には、上側外蓋フラップ21Aの内蓋フラップ31B側の角の部分が、他の部分より盛り上がってしまい、包装箱10の外観が損なわれる他、当該部分に不要な力が加わるなどしてシート部材が破損するなどの不具合を生じる可能性もある。一方、本実施形態における包装箱10では、そのような糊代となる部分は設けられていない。このため、包装箱10を閉じた際に、上側外蓋フラップ21Aの内蓋フラップ31B側の角の部分が他の部分よりも盛り上がってしまうことはない。
【0068】
また上側外蓋フラップ21Aは、展開した状態における本体部11の端側に配置された第1の側面部2から延出している。このため、帯状に展開された本体部11を四角筒状に形成するだけの作業で包装箱10を製造することができる。即ち、包装箱10を製造する際に、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bを貼り合わせたり、あるいは切り離したりする必要がなく、簡易な方法で包装箱10を製造することができる。
【0069】
また、本体部11を四角筒状に固定する固定部5の開口部側の端部から、内蓋フラップ31Bを固定するための貼付部6が設けられている。前述の様に、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bは連接されていない。このため、閉じた状態の包装箱10に、蓋フラップに底側に向かう力が加えられると、蓋フラップの、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bが重なる側の角の部分が、内側に窪んでしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態に係る包装箱10では、内蓋フラップ31Bの上側外蓋フラップ21A側の部分は、貼付部6が貼り合わされて、貼付部6及び固定部5によって支持されている。このため、蓋フラップに底側に向かう力が加えられても、上側外蓋フラップ21Aと内蓋フラップ31Bが重なる側の角の部分が内側に窪んでしまうことが防がれる。
【0070】
また、上側外蓋フラップ21Aに保持部23Aが、下側外蓋フラップ21Bに受け部23Bが設けられており、この保持部23Aと受け部23Bによって、粘着テープなどを使用しなくても、外蓋フラップ21を閉じた状態で固定することができる。換言すれば、保持部23Aと受け部23Bが協働して、包装箱10の開口部が塞がれた状態が保持される。また、例えば粘着テープ等を使用して、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bを貼り合わせて固定する場合でも、手などで上側外蓋フラップ21Aや下側外蓋フラップ21Bを抑える必要がない。このため、粘着テープ等で上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bを貼り合わせる作業が行いやすい。また、前述の様に、上側外蓋フラップ21と下側外蓋フラップ21Bは、定められた順番で折り倒されるため、内蓋フラップ31を折り倒すだけで、包装箱10を閉じる作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、略台形の保持部23Aが、上側外蓋フラップ21Aの先側に設けられ、保持部23Aが嵌合可能な大きさの切り欠きである受け部23Bが、下側外蓋フラップ21Bの先側に設けられている。このような保持部23Aと受け部23Bにて外蓋フラップ21を閉じた状態で固定する際には、受け部23Bに対して保持部23Aを、上側(外側)に配置して、保持部23Aを上側(外側)から差し込む必要がある。上記のように、内蓋フラップ31を内側に折り倒すと、下側外蓋フラップ21Bが先に折り倒され、上側外蓋フラップ21Aは、下側外蓋フラップ21Bの上側に配置される。即ち、自然と受け部23Bの上側(外側)に保持部23Aが配置されることになるため、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bを固定する作業を容易に行うことができる。
【0072】
さらに、保持部23Aが延出する方向の長さW4は、閉じた状態の上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bを内側に押し込んでそれぞれを僅かに撓ませた際に、保持部23Aの辺28と受け部23Bの辺29が離れた状態となる程度の長さとなっている。このため、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bの先側の部分を内側に押し込むだけの簡単な作業で、保持部23Aを受け部23Bに差し込み、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bを閉じた状態で保持することができる。また、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bが閉じた状態から、再度上側外蓋フラップ21Aの先側を内側に押し込むと、保持部23Aが受け部23Bから引き抜かれる。すると、保持部23Aと受け部23Bによる固定が解除され、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bを、外側に折り戻すことができるようになる。このため、簡易な作業で包装箱10を開いた状態とすることができる。
【0073】
更に、内蓋フラップ31の交点75の側の角部に、仮想直線80を跨いで貫通穴70が設けられている。このため、内蓋フラップ31を折り畳む作業が行い易い。換言すれば、内蓋フラップ31の交点75の側の領域に折り畳まれるシート部材がないため、内蓋フラップ31を折り畳む作業が行いやすく、外蓋フラップ21及び内蓋フラップ31を折り倒したり、折り戻したりする作業が行いやすい。即ち、包装箱10の開口部を閉じたり開けたりする作業が行いやすい。
【0074】
また、貫通穴70の大きさを、包装箱10の用途やシート材1の材質等に従って調節することにより、内蓋フラップ31を折り畳んだ際の反発力を調節することもできる。即ち、貫通穴70の大きさを調節することで斜め折り目74の長さを調節し、内蓋フラップ31を折り畳んだ際に生じる、外蓋フラップ21を外側に折り戻す方向の反発力を調節することができる。
【0075】
貫通穴70は、内蓋フラップ31の、折り目32と折り目35の間の交点75の側の領域に設けられており、外蓋フラップ21や第2の側面部3に跨がって設けられていない。このため、包装箱10を閉じた状態とすると、貫通穴70は、内蓋フラップ31及び外蓋フラップ21に覆われて外側に露出することはなく、外部からゴミや埃などが包装箱10の内側に入ってしまうことが防がれる。
【0076】
縁線部71は、折り目35となす角度が、仮想直線80と折り目35がなす角度よりも、小さな角度で交点75に向かって延びており、内蓋フラップ31の交点75側の角の部分には、縁線部71と折り目35にて挟まれた隅部38が形成されている。この隅部38は、内蓋フラップ31の他の部分と同様に、包装箱10を閉じた状態において第2の側面部3と略90°となり、外蓋フラップ21の裏側に配置されて外蓋フラップ21の角の部分を支える。このため、閉じた状態の外蓋フラップ21の角部に、底側に向かう力が加わっても、その角部が沈み込んでしまうことが防がれる。
【0077】
貫通穴70の縁線部73は、折り目32が延びる方向に沿って設けられている。このため、外蓋フラップ21と内蓋フラップ31を、その境目で折り曲げる作業が行いやすい。また縁線部73は、仮想交点76から折り目32に向かって延びる縁線部72とつながっており、縁線部72は縁線部71とつながっている。即ち、縁線部71,縁線部72、及び縁線部73が繋がって貫通穴70を区画している。このようにすることで、複数の貫通穴を折り目毎に個別に設けることなく、貫通穴70を設けるだけで良いため、シート材1の製造作業を簡易に行うことができる。
【0078】
更に縁線部71は、円弧の曲線形状をしている。このため、内蓋フラップ31を折り畳む作業などを行う際に、縁線部71が他の部分に引っかかってしまうなどの不具合を防ぐことが期待できる。また、貫通穴70を設ける作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、包装箱10には、商品を取り出すための開封破断線90が設けられている。このため、開封端91を保持して開封破断線90にて囲まれた部分を外側に引っ張るだけで、包装箱10を開封することができる。
【0080】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記の実施形態では、下側外蓋フラップ21Bの先側が略長方形に切り取られて形成された受け部23Bが設けられた例に適用して説明を行ったが、受け部23Bは、保持部23Aが挿入可能な大きさの切り込みや、貫通穴であってもよい。このようにすれば、上側外蓋フラップ21Aと下側外蓋フラップ21Bの固定をより確実にできる包装箱を提供することができる。あるいは、保持部23Aと受け部23Bを、解除自在に固定可能な、その他の公知の形状に形成してもよい。また、上側外蓋フラップ21A、及び下側外蓋フラップ21Bに、それぞれを解除自在に固定できるその他の公知の構成を設けてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態では、外蓋フラップ21と第1の側面部2に跨がって、開封破断線90が設けられている例に適用して説明を行った。一方、外蓋フラップ21にのみ、開封破断線92を設けてもよい(
図6参照。)。なお、
図6は、開封破断線92を設けた包装箱のシート材100を例示する図(展開図)である。あるいは、開封破断線を設けない構成としてもよい(
図7参照。)。なお、
図7は、開封破断線を設けない包装箱のシート材200を例示する図(展開図)である。
【0082】
上記実施形態では、底フラップが、アメリカンタイプのフラップから構成されている例に適用して説明をしたが、底フラップが、公知のワンタッチタイプのフラップから構成されていてもよい(
図7参照。)。あるいは、底フラップを、包装箱の底面を形成するその他の公知の形状のフラップから構成してもよく、更には底側の開口部を、その他の公知の方法で塞いでもよい。あるいは底側の開口部を、外蓋フラップ21及び内蓋フラップ31と同一の形状のフラップで塞いでもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、固定部5から貼付部6が延出している例に適用して説明を行ったが、貼付部6が設けられていない構成としてもよい(
図7参照)。このような構成とすれば、その製造方法が簡易な包装箱10を提供することができる。
【0084】
上記の実施形態では、扇形の貫通穴70が設けられている例に適用して説明を行ったが、扇形の貫通穴に代えて、多角形などその他の形状の貫通穴を設けてもよい。あるいは、貫通穴に代えて、内蓋フラップ31の折り畳みが容易となるような切り込みを設けた構成としてもよい。
【0085】
なお上記の実施形態は、本発明の例示であって、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0086】
1…シート材 2…第1の側面部 3…第2の側面部 5…固定部
6…貼付部 10…包装箱 11…本体部
21A…上側外蓋フラップ,21B…下側外蓋フラップ
22A,22B,32A,32B…底フラップ 23A…保持部
23B…受け部 25a~26b,32c~32e,35a~36b…折り目
27…基側点 28,29,30…辺 31A,31B…内蓋フラップ
37…切り込み線 38c,38d,38e…隅部
40,41,55…折り目 74c,74d,74e…斜め折り目
70c~70e…貫通穴 71c~73e…縁線部、
75c~75e…交点 76c~76e…仮想交点
80c~80e…仮想直線 90…開封破断線 91…開封端 95…伝票