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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230727BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230727BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230727BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230727BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230727BHJP
   G02B 5/02 20060101ALN20230727BHJP
   G02B 3/02 20060101ALN20230727BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230727BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20230727BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V3/00 320
F21V3/00 530
F21V5/00 320
F21V5/00 510
F21V5/04 500
F21S2/00 482
G02F1/13357
G02B5/02 B
G02B3/02
F21Y115:10
F21Y105:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019204919
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077564
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】持田 俊彦
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109692(JP,A)
【文献】特開2019-21476(JP,A)
【文献】特開2017-147227(JP,A)
【文献】国際公開第2009/157166(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 5/00
F21V 5/04
G02F 1/13357
G02B 5/02
G02B 3/02
F21Y 115/10
F21Y 105/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配列された複数の発光装置と、
前記基板と対向するように配置され、前記複数の発光装置からの光を拡散させつつ透過させる略矩形の光拡散板と、
を有し、
前記複数の発光装置は、それぞれ、発光素子と、前記発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材と、を有し、
前記光束制御部材は、前記発光素子と対向するように配置された入射面と、前記光拡散板と対向するように配置された出射面と、を有し、
前記光束制御部材の中心軸に垂直な前記出射面の断面は、X軸およびX軸に直交するY軸に対して線対称であり、かつ前記X軸に沿う方向の長さが最も短く、前記Y軸に沿う方向の長さが最も長く、
平面視したときに、前記複数の発光装置のうち、前記光拡散板の角の最も近くに配置されている前記発光装置の前記光束制御部材は、前記光拡散板の4辺のうちの互いに対向する2辺と前記X軸とが略平行となり、かつ前記光拡散板の4辺のうちの互いに対向する他の2辺と前記Y軸とが略平行となり、かつ前記角を通るY軸に直交する仮想平面と、前記光束制御部材との最短距離が前記角を通るX軸に直交する仮想平面と、前記光束制御部材との最短距離よりも長くなるように配置されており、
前記光拡散板の角の最も近くに配置されている前記発光装置について、前記発光素子の発光中心から出射され、前記光拡散板の角に到達する光線と前記出射面との交点を通り、かつ前記中心軸に垂直な前記出射面の断面において、前記出射面で曲率が最も大きい部分は、前記交点よりも前記X軸側に存在する、
面光源装置。
【請求項2】
前記光拡散板の角の最も近くに配置されている前記発光装置について、
前記発光素子の発光中心から出射され、前記光拡散板の角に到達する光線の前記発光中心から出射されたときの方位角をφ1とし、
前記発光中心から、方位角がφ1、基板に対する角度がαの光線を出射したときに、この光線が前記光拡散板に到達した点と、前記光束制御部材の前記中心軸とのXY平面上の距離をλとし、
前記光拡散板の角と、前記光束制御部材の中心軸とのXY平面上の距離をLとし、
前記λを横軸に、dλ/dαを縦軸として、前記λと前記dλ/dαとの関係をグラフにプロットしたとき、
前記λが0.9L~1.1Lの範囲内において、前記dλ/dαが0になる箇所が存在する、
請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材とを有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材を有する面光源装置、および前記面光源装置を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
たとえば、直下型の面光源装置は、基板、複数の発光装置および光拡散板を有する。複数の発光装置は、基板上にマトリックス状に配置されている。複数の発光装置は、それぞれ、発光素子と、発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材とを有する。複数の発光装置から出射された光は、光拡散板により拡散され、被照射部材(例えば液晶パネル)を面状に照らす。図1は、特許文献1に示されている、複数の発光装置200が基板上にマトリックス状に配置されている面光源装置100の内部を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-191514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示されている面光源装置100では、平面視したときに、X軸方向の複数の発光装置200の間隔(発光装置200と光拡散板の端部との間隔も含む)と、Y軸方向の発光装置200の間隔(発光装置200と光拡散板の端部との間隔も含む)とが一定ではないが、場合によっては、X軸方向の複数の発光装置200の間隔を一定とし、Y軸方向の発光装置200の間隔も一定とすることがある。さらにこの場合、X軸方向の複数の発光装置200の間隔とY軸方向の発光装置200の間隔を異なる長さにすることもある。たとえば、X軸方向の発光装置200の間隔を、Y軸方向の発光装置200の間隔よりも短くした場合、発光装置200から出射された光が面光源装置100の光拡散板の角に十分に届かず、輝度ムラが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、X軸方向の発光装置の間隔とY軸方向の発光装置の間隔とが異なる場合であっても、光拡散板の角における輝度ムラの発生を抑制することができる面光源装置、および、当該面光源装置を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の面光源装置は、基板と、前記基板上に配列された複数の発光装置と、前記基板と対向するように配置され、前記複数の発光装置からの光を拡散させつつ透過させる略矩形の光拡散板と、を有し、前記複数の発光装置は、それぞれ、発光素子と、前記発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材と、を有し、前記光束制御部材は、前記発光素子と対向するように配置された入射面と、前記光拡散板と対向するように配置された出射面と、を有し、前記光束制御部材の中心軸に垂直な前記出射面の断面は、X軸およびX軸に直交するY軸に対して線対称であり、かつ前記X軸に沿う方向の長さが最も短く、前記Y軸に沿う方向の長さが最も長く、平面視したときに、前記複数の発光装置のうち、前記光拡散板の角の最も近くに配置されている前記発光装置の前記光束制御部材は、前記光拡散板の4辺のうちの互いに対向する2辺と前記X軸とが略平行となり、かつ前記光拡散板の4辺のうちの互いに対向する他の2辺と前記Y軸とが略平行となり、かつ前記角を通るY軸に直交する仮想平面と、前記光束制御部材との最短距離が前記角を通るX軸に直交する仮想平面と、前記光束制御部材との最短距離よりも長くなるように配置されており、前記光拡散板の角の最も近くに配置されている前記発光装置について、前記発光素子の発光中心から出射され、前記光拡散板の角に到達する光線と前記出射面との交点を通り、かつ前記中心軸に垂直な前記出射面の断面において、前記出射面で曲率が最も大きい部分は、前記交点よりも前記X軸側に存在する。
【0008】
本発明の表示装置は、本発明の面光源装置と、前記面光源装置から出射される光を照射される表示部材とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、X軸方向の発光装置の間隔とY軸方向の発光装置の間隔とが異なる場合であっても、光拡散板の角における輝度ムラの発生を抑制することができる面光源装置、および、当該面光源装置を有する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、複数の発光装置が基板上に配置されている面光源装置を示す。
図2図2A、Bは、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
図3図3A、Bは、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す断面図である。
図4図4は、図3Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
図5図5A~Dは、実施の形態に係る面光源装置における光束制御部材の構成を示す図である。
図6図6A~Eは、実施の形態に係る面光源装置における光束制御部材の出射面の曲率を説明するための図である。
図7図7A~Fは、従来の光束制御部材の構成を示す図である。
図8図8A~Fは、別の従来の光束制御部材の構成を示す図である。
図9図9A~Fは、従来の、面光源装置における光束制御部材の出射面の曲率を説明するための図である。
図10図10A~Cは、発光素子から出射される光線が光拡散板にあたる様子を示す。
図11図11A、Bは、実施の形態に係る面光源装置において0.9L~1.1Lの範囲内でdλ/dαが0になる箇所が存在することを示す。
図12図12A、Bは、従来の面光源装置において0.9~1.1Lの範囲内でdλ/dαがとる値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。これらの面光源装置100は、面光源装置からの光を照射される表示部材(被照射部材)102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる。
【0012】
(面光源装置および発光装置の構成)
図2A~4は、本発明の実施の形態に係る面光源装置100の構成を示す図である。図2Aは、平面図であり、図2Bは、正面図である。図3Aは、図2Bに示されるA-A線の断面図であり、図3Bは、図2Aに示されるB-B線の断面図である。図4は、図3Bの一部を拡大した部分拡大断面図である。
【0013】
図2A~4に示されるように、実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110、複数の発光装置200および光拡散板120を有する。複数の発光装置200は、筐体110の底板112上にマトリックス状に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、矩形の開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。
【0014】
本明細書では、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる領域(面光源装置100において発光面として機能する領域)のみを光拡散板120と称することもある。たとえば、発光装置200と光拡散板120の角との位置関係を説明する際において、「光拡散板120の角」とは、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる領域(面光源装置100において発光面として機能する領域)の角を意味する。また、発光装置200と光拡散板120の端部との位置関係を説明する際において、「光拡散板120の端部」とは、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる領域(面光源装置100において発光面として機能する領域)の端部を意味する。
【0015】
また、本明細書では、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる矩形の領域(面光源装置100において発光面として機能する矩形の領域)の長軸に沿う方向をX軸方向とし、短軸に沿う方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。後述するように、X軸、Y軸およびZ軸は、光束制御部材300の出射面330の形状により規定される。
【0016】
図4に示されるように、複数の発光装置200は、それぞれ基板210上に固定されている。複数の基板210は、それぞれ筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有している。
【0017】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。
【0018】
光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御する拡散レンズであり、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸LAに一致するように、発光素子220の上に配置されている。なお、後述するように、光束制御部材300の中心軸CAに垂直な出射面330の形状は、X軸(短軸)およびY軸(長軸)に対して線対称である。すなわち、出射面330の形状は、Z軸に対して回転対称(2回対称)である。光束制御部材300の中心軸CAは、このZ軸に対応する(図5A、B、C参照)。また、「発光素子の光軸LA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。発光素子220が実装された基板210と光束制御部材300の裏面350との間には、発光素子220から発せられる熱を外部に逃がすための隙間が形成されている。
【0019】
複数の光束制御部材300は、それぞれ、矩形の光拡散板120の4辺のうちの互いに対向する2辺と光束制御部材300のX軸とが略平行となり、かつ光拡散板120の4辺のうちの互いに対向する他の2辺と光束制御部材300のY軸とが略平行となり、かつ角を通るY軸に直交する仮想平面と、光束制御部材300との最短距離が角を通るX軸に直交する仮想平面と、光束制御部材300との最短距離よりも長くなるように配置されている(図3A参照)。
【0020】
光束制御部材300は、一体成形により形成されている。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であれば特に限定されない。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0021】
本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300については、別途詳細に説明する。
【0022】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0023】
本実施の形態では、光拡散板120の全体の形状も、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる領域(面光源装置100において発光面として機能する領域)の形状も矩形であるが、後者が矩形であれば、前者は必ずしも矩形でなくてもよい。前述のとおり、発光装置200と光拡散板120の角または端部との位置関係を説明する際において登場する「光拡散板120」とは、光拡散板120のうち、天板114の開口部を塞いでいる領域(面光源装置100において発光面として機能する領域)を意味する。
【0024】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散板120の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材300から出射された光は、さらに光拡散板120により拡散される。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0025】
(光束制御部材の構成)
図5A~Dは、実施の形態に係る光束制御部材300の構成を示す図である。図5Aは平面図であり、図5B図5AのC-C線に沿う断面図であり、図5Cは底面図であり、図5Dは右側面図である。
【0026】
図5A~Dに示されるように、光束制御部材300は、凹部310、入射面320、出射面330、裏面350、および鍔部370を有する。
【0027】
凹部310は、光束制御部材300の裏側(発光素子220側)の中央部に形成されている。凹部310の内面は、入射面320として機能する。入射面320は、発光素子220(図4参照)から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。入射面320は、発光素子220の光軸LAと交わる。
【0028】
本実施の形態では、光束制御部材300の中心軸CAに直交する方向の凹部310の断面形状は、長軸がX軸方向に沿い、短軸がY軸方向に沿う略楕円形状である。
【0029】
出射面330は、光束制御部材300の表側(光拡散板120側)に、鍔部370から突出するように形成されている。出射面330の平面視形状は、図5Aに示されるように略長円である。出射面330は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面330は、発光素子220の光軸LAと交わる。光束制御部材300の中心軸CAに直交する方向の出射面330の断面は、X軸およびX軸に直交するY軸に対して線対称であり、かつX軸に沿う方向の長さが最も短く、Y軸に沿う方向の長さが最も長い。ここで「X軸に沿う方向の長さ」とは、必ずしもX軸上の長さ(Y=0における長さ)を意味するわけではなく、X軸に平行な直線上における最も離れた2点間の長さを意味する。同様に「Y軸に沿う方向の長さ」とは、必ずしもY軸上の長さ(X=0における長さ)を意味するわけではなく、Y軸に平行な直線上の最も離れた2点間の長さを意味する。図5Bおよび図5Dに示されるように、本実施の形態では、光束制御部材300の上部中央が凹んでいる。したがって、光束制御部材300の上部では、中心軸CAに直交する方向の出射面330の断面は、X軸を挟んで島状に配置された2つの面となる。この場合、出射面330の断面はX軸上には位置しないが、出射面330の断面のX軸に沿う方向の長さは、島状に配置された2つの断面のいずれか一方についてのX軸に平行な方向の長さである。また、Y軸上では2つの断面の間に間隙が存在するが、出射面330の断面のY軸に沿う方向の長さは、一方の断面の端部(他方の断面から最も離れた端部)と他方の断面の端部(前記一方の断面から最も離れた端部)との間のY軸に平行な方向の長さである。本実施の形態では、光束制御部材300の中心軸CAに直交する方向の出射面330の断面形状は、略長円である。
【0030】
出射面330は光軸LAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面330aと、第1出射面330aと、鍔部370とを接続する第2出射面330bとを有する(図5B参照)。本実施の形態では、第1出射面330aは、裏側(発光素子220側)に凸の滑らかな曲面であるが、第1出射面330aの形状は、これに限定されない。第2出射面330bは、第1出射面330aの周囲に位置する曲面である。第2出射面330bの形状は、表側(光拡散板120側)に凸形状であるが、第2出射面330bの形状は、これに限定されない。
【0031】
前述のとおり、本実施の形態に係る光束制御部材300では、中心軸CAに直交する方向の出射面330の断面形状は、略長円である。本実施の形態に係る光束制御部材300は、この断面において曲率が最も大きい部分が所定の位置にあることを一つの特徴とする。そこで、この点については、別途詳細に説明する。
【0032】
裏面350は、光束制御部材300の裏側に位置し、凹部310の開口縁部から径方向に延在する平面である。裏面350は、発光素子220から出射された光のうち、入射面320から入射しなかった光を、光束制御部材300内に入射させる。
【0033】
鍔部370は、出射面330の外周部と裏面350の外周部との間に位置し、径方向外側に突出している。鍔部370の形状は、環状である。鍔部370は、必須の構成要素ではないが、鍔部370を設けることで、光束制御部材300の取り扱いおよび位置合わせが容易になる。鍔部370の厚みは、特に限定されず、出射面330の必要面積や鍔部370の成形性などを考慮して決定される。
【0034】
光束制御部材300は複数の脚部380を有していてもよい(図4参照)。複数の脚部380は、例えば、裏面350から突出している略円柱状の部材である。複数の脚部380は、発光素子220に対して適切な位置に光束制御部材300を支持する。
【0035】
(出射面の形状)
次に、本実施の形態に係る光束制御部材300の出射面330の形状について、より詳細に説明する。本実施の形態に係る光束制御部材300では、光拡散板120の角の最も近くに配置されている発光装置200について、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面330との交点を通り、かつ中心軸CAに垂直な出射面330の断面において、出射面330で曲率が最も大きい部分は、前記交点よりもX軸側に存在する。
【0036】
図6Aは、光拡散板120の角(図2Aにおいて右上の角)の最も近くに配置されている発光装置200(図3Aにおいて右上に配置されている発光装置200)について、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面330との交点PA、PBを通り、かつ中心軸CAに垂直な出射面の断面の位置を示す図である。この図では、光束制御部材300をX軸方向に沿って見たときの様子を示している。図6Aに示されるように、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線は、2つある。ここでは、光軸LAに対してより大きい角度で出射された光線と出射面330との交点を交点PAとし、光軸LAに対してより小さい角度で出射された光線と出射面330との交点を交点PBとする。
【0037】
図6Bは、図6Aに示されているA-A線に沿う断面を示し、図6C図6Aに示されているB-B線に沿う断面を示す。すなわち、図6B、Cは、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面330との交点PA、PBを通り、かつ中心軸CAに垂直な出射面の断面をそれぞれ示す。なお、図6B、Cにおいて、断面の形状はXY平面の第1象限のみを示しているが、出射面の断面は、X軸およびX軸に直交するY軸に対して線対称であり、かつ前記X軸に沿う長さが最も短く、前記Y軸に沿う長さが最も長い。
【0038】
図6D、Eは、図6B、CにおいてX軸方向を0°とし、Y軸方向を-90°としたときの、原点(中心軸CAとの交点)に対する方位角をφとしたとき、各方位角φにおける出射面330の断面の曲率を表している。なお、図6B、Cにおける破線は、光拡散板120の角に向かう光線が出射面で出射する点(交点PA、PB)と原点とを結ぶ直線を表し、図6D図6Eにおける破線は交点PA、PBの方位角(φ)を示している。
【0039】
図6B、C、D、Eから明らかなように、交点PA、PBを通る断面において、曲率が最も大きい部分は、光拡散板120の角に向かう光線が出射面で出射する交点PA、PBよりX軸側(短軸側)に存在する。また、図6B,C、D,Eから、交点PA、PBを通る断面は、光拡散板120の角に向かう光線が出射面で出射する点からX軸側(短軸側)に曲率が漸増する部分を有するともいえる。なお、図6Dにおいて、φが-88°、0°付近で大きな曲率を示しており、また、図6Eにおいてφが-20°、0°付近において大きな曲率を示している。これは図6D,Eは実測値を示しており、測定装置の精度や出射面の表面についたホコリなどに起因して異常値を示していると考えられ、実際には曲率は図6B、Cに示されるようになだらかであり、上記の付近に曲率の最も大きい部分があるわけではない。このように、実測値に基づいて方位角φと曲率との関係との関係を評価する際には、異常値を除外して評価する。
【0040】
図6D、Eにおいて、曲率が最大値を示す部分、曲率の漸増する部分は、交点PA、PBから20°分だけX軸側の角度の領域内にある。この領域は特に制限されないものの、光拡散板120の角付近により光を届きやすくするという観点から、曲率が最大値を示す部分、曲率の漸増する部分は光拡散板120の角に向かう光線が出射する点(交点PA、PB)から、例えば、30°分だけX軸側の角度の領域内にあることが好ましく、20°分だけX軸側の角度の領域内にあることが好ましい(図6D、E参照)。また、光拡散板120の角に向かう光線が出射する点(交点PA、PB)、曲率が最大値を示す部分、および曲率の漸増する部分は-85°≦φ≦-5°の範囲内にあることが好ましく、-70°≦φ≦-40°の範囲内にあることが好ましい(図6D、E参照)。
【0041】
図7A、Bは、2つの従来の光束制御部材について、図6Bと同様に、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面330との交点PAを通り、かつ中心軸CAに垂直な出射面の断面をそれぞれ示す図である。
【0042】
図7A~Fは、従来の光束制御部材400の構成を示す図である。図7Aは平面図であり、図7B図7AのC-C線に沿う断面図であり、図7Cは底面図であり、図7Dは右側面図であり、図7Eは正面図であり、図7Fは斜視図である。従来の光束制御部材400は、出射面430の形状が光束制御部材300の出射面330の形状と異なる。
【0043】
図8A~Fは、別の従来の光束制御部材500の構成を示す図である。図8Aは平面図であり、図8B図8AのC-C線に沿う断面図であり、図8Cは底面図であり、図8Dは右側面図であり、図8Eは正面図であり、図8Fは斜視図である。従来の光束制御部材500は、出射面530の形状が光束制御部材300の出射面330の形状と異なる。
【0044】
図9A、Bは、光拡散板120の角(図2Aにおいて右上の角)の最も近くに配置されている発光装置の光束制御部材400、500のそれぞれについて、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面430、530との交点PAを通り、かつ中心軸CAに垂直な出射面の断面の位置をそれぞれ示す図である。これらの図では、光束制御部材400、500をX軸方向に沿って見たときの様子を示している。図9A、Bに示されるように、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線はそれぞれ1つある。
【0045】
図9Cは、図9Aに示されているA-A線に沿う断面を示し、図9D図9Bに示されているA-A線に沿う断面を示す。すなわち、図9C、Dは、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角に到達する光線と出射面430、530のそれぞれとの交点PAを通り、かつ中心軸CAに垂直奈出射面の断面をそれぞれ示す。なお、図9C、Dにおいて、断面の形状はXY平面の第1象限のみを示しているが、出射面の断面は、X軸およびX軸に直交するY軸に対して線対称であり、かつX軸に沿う長さが最も短く、Y軸に沿う長さが最も長い。
【0046】
図9E、Fは、図9C、Dに示されている従来の光束制御部材について、図6Dと同様に、X軸方向を0°とし、Y軸方向を-90°としたときの、原点(中心軸CAとの交点)に対する方位角をφとしたとき、各方位角φにおける出射面430、530の断面の曲率をそれぞれ表している。
【0047】
図9E図9Fから明らかなように、従来の光束制御部材では、曲率が最も大きい部分は、光拡散板120の角に向かう光線が出射面で出射する交点PAよりX軸側(短軸側)に存在せずY軸側に存在する。なお、図9Eにおけるφが-38°、-15°、0°付近および図9Fにおけるφが-85°、0°付近の曲率は測定装置の精度やホコリなどに起因して異常値を示していると考えられる。
【0048】
(配向特性)
上記の図6D、Eに示す様に曲率が最大値を示す部分は、光拡散板120の角に向かう光線が出射面で出射する交点PA、PBよりX軸側(短軸側)に存在する。これにより、図6B、Cにおいて破線で示される線より、X軸側(短軸側)で出射する光線は、図6D、Eに示されるように、より曲率が高い出射面を通ることになる。より曲率が高い出射面を通った光線は、図6B、Cにおける実線で示される線に近づく方向(光拡散板120の角への方向)に制御され、光拡散板120の角付近により光が届きやすくなる。
【0049】
これに対して、図9E、Fに示すように従来の光束制御部材では、曲率が最大値を示す部分は交点PAよりX側(短軸側)に存在しない。これにより、図9C、Dにおいて破線で示される線より、X軸側(短軸側)で出射する光線は、図9C、Dにおける実線で示される線に近づく方向(光拡散板120の角への方向)に制御されにくく、光束制御部材120の角付近に光が届き易くなることはない。
【0050】
なお、上記の図6A~Eの説明において、光拡散板120の角へ向かう光線が2つある場合を説明したが(図6A参照)、光拡散板120の角へ向かう光線の数は特に制限されず1つであってもよく、また2つより多くてもよく、例えば3つ、4つ、5つ、無数であってもよい。
【0051】
図10A、B、Cは光拡散板120の角の最も近くに配置されている発光装置200について、発光素子220の発光中心から出射され、光拡散板120の角付近に到達する光線の様子を示す。具体的には、発光素子220の発光中心から出射されたときの方位角をφ1とし(図10B参照)、基板に対する角度をαとした光線を出射したときに(図10C参照)、この光線が光拡散板120に到達した点と、光束制御部材300の中心軸CAとのXY平面上の距離をλとし、光拡散板の角と、光束制御部材300の中心軸CAとXY平面上の距離をLとしたときの様子を示す。
【0052】
図11A、Bは発光素子220から出射される光線の角度αを変化させたときのλの変化であるdλ/dαと、λとの関係を示す。具体的には、図11Aは、λを横軸に、dλ/dαを縦軸として、λとdλ/dαとの関係をグラフにプロットしたときの関係を示す。なお、図11A、Bは、光軸LAから光拡散板120の角までのXY平面上の距離Lが225mmである場合を示している。図11Aに示されているように、0.9L~1.1Lの範囲内で、dλ/dαが正の値と負の値の両方をとっており、0になる箇所が存在する。
【0053】
上記の0.9L~1.1Lの範囲内でdλ/dαが0になる箇所が存在するということは、この範囲内でdλ/dαが0であり、αを変化させてもλが変化しないということを意味し、光拡散板120の角付近に光が集中するということを意味している。
【0054】
図11Bは、0.9L~1.1Lの範囲内でdλ/dαが0になる箇所が存在することの意味を説明するための模式図である。図11Bは、光線L1、L2、L3の順に徐々に角度αを大きくしていったときの、光線の到達点の距離(それぞれλ1、λ2、λ3)を示している。
【0055】
通常、角度αを上げていくと光線はより近くに到達するので、λは小さくなる。たとえば、L1とL2とを比べると、L2はL1より角度αが大きいので光線はより近くに到達し、光線の到達点の距離であるλ2はλ1より小さい。これは図11Aにおいて、dλ/dαが負の値であることに対応する。一方、L2とL3とを比べると、L3はL2より角度αが大きいにも関わらず、L3はL2より遠くに到達し、λ3はλ2よりも大きい。これは図9Aのdλ/dαの符号が逆転して正の値であることに対応する。
【0056】
具体的には、図11Aでは、0.9L~1.1Lの範囲内である、λが210mmの付近でdλ/dαが正の値と負の値の両方をとっており、0になる箇所が存在する。すなわち、λが210mm付近では|dλ/dα|が最小となり、角度αが大きく変化してもλの変化が小さく、かつ符号が逆転することから集光しているといえる。このように、0.9L~1.1Lの範囲内で、dλ/dαが正の値と負の値の両方をとり、0になる箇所が存在することにより、光拡散板120の角付近に光が集中する。
【0057】
図12A、Bは、図7A~F、図8A~Eに示されている従来の光束制御部材400、500のそれぞれについて、発光素子220から出射される光線の角度αを変化させたときのλの変化であるdλ/dαと、λとの関係を示す。
【0058】
図12A、Bに示されるように、従来の光束制御部材では、dλ/dαが負の値しかとらず、角度αを上げていくと光線はより近くに到達するのみであり、光拡散板120の角付近に光が集中することはない。
【0059】
(効果)
本発明によれば、面光源装置の光拡散板の角に十分に光が届かないことを抑制することができる面光源装置、および、当該面光源装置を有する表示装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 面光源装置
110 筐体
112 底板
114 天板
120 光拡散板
200 発光装置
210 基板
220 発光素子
300、400、500 光束制御部材
310 凹部
320 入射面
330、430、530 出射面
330a 第1出射面
330b 第2出射面
350 裏面
370 鍔部
380 脚部
CA 中心軸
LA 光軸
図1
図2
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図5
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図12