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特許7320432インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタおよびインクジェットプリンタの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 303
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019208363
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021079613
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】岸田 雄太郎
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-188891(JP,A)
【文献】特開2005-280346(JP,A)
【文献】特開2014-065287(JP,A)
【文献】特開2005-315856(JP,A)
【文献】特開平04-018356(JP,A)
【文献】特開2013-188962(JP,A)
【文献】特開2014-168980(JP,A)
【文献】特開2017-128040(JP,A)
【文献】特開2004-155093(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03028861(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、前記印刷媒体に紫外線を照射して前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッドおよび前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタであって、
前記印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、前記インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、
前記紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備えるとともに、PWM制御され、
前記紫外線照射器と前記インクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、
前記印刷媒体の反射率に応じて、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっており、
前記制御部は、前記印刷媒体の印刷前に前記反射率検知機構を用いて前記印刷媒体の反射率を検知し、検知した前記印刷媒体の反射率に基づいて、前記紫外線照射器の全体または前記紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させて前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した前記印刷媒体の反射率が高くなっていて前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、前記紫外線照射器の、主走査方向における前記インクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、前記印刷媒体に紫外線を照射して前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッドおよび前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタであって、
前記印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、前記インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、
前記紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備え、
前記紫外線照射器と前記インクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、
前記印刷媒体の反射率に応じて、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっており、
前記制御部は、前記印刷媒体の印刷前に前記反射率検知機構を用いて前記印刷媒体の反射率を検知し、検知した前記印刷媒体の反射率に基づいて、前記紫外線照射器の一部分を消灯させて前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した前記印刷媒体の反射率が高くなっていて前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、前記紫外線照射器の、主走査方向における前記インクジェットヘッド側の一部分を消灯させることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記反射率検知機構は、主走査方向における前記印刷媒体の幅を検知可能な光学式センサであり、
前記光学式センサは、前記キャリッジに搭載され、
前記制御部は、前記印刷媒体の印刷前に前記光学式センサを用いて前記印刷媒体の主走査方向の幅を検知するとともに、検知した前記印刷媒体の主走査方向の幅と前記印刷媒体の反射率とに基づいて、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記反射率検知機構は、紫外線センサであることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、前記印刷媒体に紫外線を照射して前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッドおよび前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構と、前記印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構とを備え、前記紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備えるとともに、PWM制御され、前記紫外線照射器と前記インクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っているインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記印刷媒体の印刷前に前記反射率検知機構を用いて前記印刷媒体の反射率を検知し、検知した前記印刷媒体の反射率に基づいて、前記紫外線照射器の全体または前記紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させて前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した前記印刷媒体の反射率が高くなっていて前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、前記紫外線照射器の、主走査方向における前記インクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げることを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
【請求項6】
印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、前記印刷媒体に紫外線を照射して前記インクジェットヘッドから前記印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、前記インクジェットヘッドおよび前記紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構と、前記印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構とを備え、前記紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備え、前記紫外線照射器と前記インクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っているインクジェットプリンタの制御方法であって、
前記印刷媒体の印刷前に前記反射率検知機構を用いて前記印刷媒体の反射率を検知し、検知した前記印刷媒体の反射率に基づいて、前記紫外線照射器の一部分を消灯させて前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、前記キャリッジの一往復動作時に前記紫外線照射器から前記印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した前記印刷媒体の反射率が高くなっていて前記印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、前記紫外線照射器の、主走査方向における前記インクジェットヘッド側の一部分を消灯させることを特徴とするインクジェットプリンタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタに関する。また、本発明は、かかるインクジェットプリンタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化型のインクを印刷媒体に向かって吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドから吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドと紫外線照射器とが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタが広く使用されている。このインクジェットプリンタでは、紫外線照射器から射出された紫外線が印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズル(インクの吐出口)に到達すると、ノズル内のインクが硬化して目詰まりを起こすおそれがある。
【0003】
すなわち、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体の印刷を行うインクジェットプリンタの場合、紫外線照射器から射出され印刷媒体で反射した紫外線がインクジェットヘッドのノズルに到達するいわゆる迷光の影響で、インクジェットヘッドのノズルが目詰まりするおそれがある。そこで、従来、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体の印刷を行うインクジェットプリンタでは、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制するための種々の対策が講じられている。
【0004】
たとえば、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線(迷光)の量を低減するために、紫外線照射器から照射される紫外線の光軸がインクジェットヘッドから離れる方向へ向かうように紫外線照射器の取付角度を傾けている。このインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドのノズルに到達する迷光の量を低減することで、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-284141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紫外線硬化型のインクによって印刷媒体の印刷を行うインクジェットプリンタの場合、印刷媒体の反射率が高くなるにしたがって、印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の量が増えるため、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりが発生しやすくなる。したがって、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタでは、一般に、使用が想定される印刷媒体の中で最も反射率の高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能となるように、種々の対策が講じられている。
【0007】
しかしながら、このような対策が講じられたインクジェットプリンタであっても、使用が想定される印刷媒体の中で最も反射率の高い印刷媒体よりも反射率の高い印刷媒体がインクジェットプリンタで実際に使用されると(すなわち、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されると)、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することができなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。また、本発明の課題は、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能となるインクジェットプリンタの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、印刷媒体に紫外線を照射してインクジェットヘッドから印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドおよび紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタであって、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備えるとともに、PWM制御され、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、印刷媒体の反射率に応じて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっており、制御部は、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知し、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、紫外線照射器の全体または紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させて紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げることを特徴とする。
【0010】
本発明のインクジェットプリンタでは、印刷媒体の反射率に応じて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっている。そのため、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用されても、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になり、その結果、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
また、本発明では、インクジェットプリンタは、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、制御部は、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知するとともに、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させる。そのため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じて自動的に調整することが可能になる。また、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じた積算光量に精度良く調整することが可能になるため、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を精度良く減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
また、本発明では、制御部は、紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を比較的容易に変化させることが可能になる。
また、本発明では、制御部は、紫外線照射器の全体または紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させることで印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させる。また、本発明では、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、制御部は、印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げる。そのため、印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、インクジェットヘッドに近い部分の照度が低くなり、その結果、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0011】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、印刷媒体に紫外線を照射してインクジェットヘッドから印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドおよび紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるインクジェットプリンタであって、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備え、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、印刷媒体の反射率に応じて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっており、制御部は、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知し、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、紫外線照射器の一部分を消灯させて紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分を消灯させることを特徴とする。
【0012】
本発明のインクジェットプリンタでは、印刷媒体の反射率に応じて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっている。そのため、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用されても、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になり、その結果、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
また、本発明では、インクジェットプリンタは、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構と、インクジェットプリンタを制御する制御部とを備え、制御部は、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知するとともに、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させる。そのため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じて自動的に調整することが可能になる。また、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じた積算光量に精度良く調整することが可能になるため、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を精度良く減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
また、本発明では、制御部は、紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を比較的容易に変化させることが可能になる。
また、本発明では、制御部は、紫外線照射器の一部分を消灯させることで印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させる。また、本発明では、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、制御部は、印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分を消灯させる。そのため、印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、インクジェットヘッドに近い部分の照度が低くなり、その結果、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、反射率検知機構は、主走査方向における印刷媒体の幅を検知可能な光学式センサであり、光学式センサは、キャリッジに搭載され、制御部は、印刷媒体の印刷前に光学式センサを用いて印刷媒体の主走査方向の幅を検知するとともに、検知した印刷媒体の主走査方向の幅と印刷媒体の反射率とに基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させることが好ましい。このように構成すると、検知した印刷媒体の主走査方向の幅と印刷媒体の反射率とに基づいて、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりがより効果的に抑制されるように、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を調整することが可能になる。
【0014】
本発明において、反射率検知機構は、紫外線センサであることが好ましい。このように構成すると、印刷媒体における紫外線の反射率を精度良く検知することが可能になる。したがって、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を、検知した印刷媒体の反射率に基づいてより精度良く調整することが可能になり、その結果、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。そのため、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0018】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタの制御方法は、印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、印刷媒体に紫外線を照射してインクジェットヘッドから印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドおよび紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構と、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構とを備え、紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備えるとともに、PWM制御され、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っているインクジェットプリンタの制御方法であって、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知し、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、紫外線照射器の全体または紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させて紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げることを特徴とする。
【0019】
本発明のインクジェットプリンタの制御方法では、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知するとともに、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させている。そのため、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用されても、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になり、その結果、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
また、本発明では、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させているため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じた積算光量に精度良く調整することが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を精度良く減らすことが可能になり、その結果、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。また、本発明では、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を自動的に調整することが可能になる。
また、本発明では、紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を比較的容易に変化させることが可能になる。
また、本発明では、紫外線照射器の全体または紫外線照射器の一部分に印加される実効電圧を変化させることで印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させる。また、本発明では、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分に印加される実効電圧を下げる。そのため、印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、インクジェットヘッドに近い部分の照度が低くなり、その結果、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0020】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタの制御方法は、印刷媒体に向かって紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されるインクジェットヘッドと、印刷媒体に紫外線を照射してインクジェットヘッドから印刷媒体に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器と、インクジェットヘッドおよび紫外線照射器が搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に往復移動させるキャリッジ駆動機構と、印刷媒体の反射率を検知するための反射率検知機構とを備え、紫外線照射器は、主走査方向で区切られる複数の照射部を備え、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っているインクジェットプリンタの制御方法であって、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知し、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、紫外線照射器の一部分を消灯させて紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるとともに、検知した印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分を消灯させることを特徴とする。
【0021】
本発明のインクジェットプリンタの制御方法では、印刷媒体の印刷前に反射率検知機構を用いて印刷媒体の反射率を検知するとともに、検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させている。そのため、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体がインクジェットプリンタで使用されても、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になり、その結果、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
【0022】
また、本発明では、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させているため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体の反射率に応じた積算光量に精度良く調整することが可能になる。したがって、本発明では、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用される場合に、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量を精度良く減らすことが可能になり、その結果、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。また、本発明では、反射率検知機構を用いて検知した印刷媒体の反射率に基づいて、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を自動的に調整することが可能になる。
また、本発明では、紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を変化させるため、キャリッジの一往復動作時に紫外線照射器から印刷媒体に照射される紫外線の積算光量を比較的容易に変化させることが可能になる。
また、本発明では、紫外線照射器の一部分を消灯させることで印刷媒体に照射される紫外線の照度を変化させる。また、本発明では、紫外線照射器とインクジェットヘッドとは、主走査方向で隣り合っており、印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、主走査方向におけるインクジェットヘッド側の一部分を消灯させる。そのため、印刷媒体の反射率が高くなっていて印刷媒体に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器の、インクジェットヘッドに近い部分の照度が低くなり、その結果、キャリッジの一往復動作時に印刷媒体で反射してインクジェットヘッドのノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、紫外線硬化型のインクによって印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、想定以上に反射率が高い印刷媒体が使用されても、迷光に起因するインクジェットヘッドのノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すインクジェットヘッド、紫外線照射器および反射率検知機構の構成および配置を説明するための底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(インクジェットプリンタの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すインクジェットヘッド3、紫外線照射器6および反射率検知機構10の構成および配置を説明するための底面図である。
【0027】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、印刷媒体2に印刷を行う。印刷媒体2は、たとえば、印刷用紙、布帛または樹脂製のフィルム等である。プリンタ1は、印刷媒体2に向かって紫外線硬化型のインク(UVインク)を吐出するインクジェットヘッド3(以下、「ヘッド3」とする。)を備えている。本形態のプリンタ1は、複数のヘッド3を備えている。
【0028】
また、プリンタ1は、印刷媒体2が載置されるテーブル5と、印刷媒体2に紫外線を照射してヘッド3から印刷媒体2に吐出されたインクを硬化させる紫外線照射器6と、ヘッド3および紫外線照射器6が搭載されるキャリッジ7と、キャリッジ7を主走査方向(図1等のY方向)に往復移動させるキャリッジ駆動機構8と、キャリッジ7を主走査方向に案内するガイドレール9と、印刷媒体2の反射率を検知するための反射率検知機構10と、プリンタ1を制御する制御部11とを備えている。さらに、プリンタ1は、ガイドレール9が固定されるYバー(図示省略)と、上下方向(図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(図1等のX方向)にYバーを移動させるYバー移動機構(図示省略)とを備えている。
【0029】
以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、副走査方向(X方向)を「前後方向」とする。なお、プリンタ1は、Yバー移動機構に代えて、テーブル5を前後方向(副走査方向)に移動させるテーブル移動機構を備えていても良い。また、プリンタ1は、Yバー移動機構およびテーブル5に代えて、印刷時の印刷媒体2が載置されるプラテンと、副走査方向に印刷媒体2を送る媒体送り機構とを備えていても良い。
【0030】
キャリッジ7は、テーブル5の上側に配置されている。キャリッジ駆動機構8は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ7に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。キャリッジ駆動機構8のモータは、制御部11に電気的に接続されている。複数のヘッド3は、たとえば、左右方向で隣り合うようにキャリッジ7に搭載されている。ヘッド3は、テーブル5に載置される印刷媒体2の上面に向かってインクを吐出する。すなわち、ヘッド3は、下側に向かってインクを吐出する。
【0031】
ヘッド3の下面には、紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズル列14が形成されている。ノズル列14は、前後方向に配列される複数のノズルによって構成されている。すなわち、ヘッド3には、紫外線硬化型のインクを吐出する複数のノズルが形成されている。複数のノズル列14は、左右方向で隣り合うように配置されている。ヘッド3は、ノズルからインクを吐出させる圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。圧電素子は、制御部11に電気的に接続されている。
【0032】
紫外線照射器6は、左右方向における複数のヘッド3の両側でキャリッジ7に搭載されている。すなわち、キャリッジ7には、2個の紫外線照射器6が搭載されており、紫外線照射器6は、左右方向における複数のヘッド3の両側に配置されている。また、紫外線照射器6とヘッド3とは、左右方向で隣り合っている。紫外線照射器6は、前後方向においてヘッド3と同じ位置に配置されている。
【0033】
紫外線照射器6は、紫外線照射器6の下側に配置される印刷媒体2に向かって紫外線を射出する。紫外線照射器6は、たとえば、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装される基板とによって構成されている。発光素子は、たとえば、紫外線を射出するUVLEDチップである。基板は、たとえば、長方形状に形成されており、基板の厚さ方向と上下方向とが一致し、かつ、基板の長辺方向と前後方向とが一致するように配置されている。
【0034】
また、紫外線照射器6は、左右方向において区切られる複数の照射部6b、6cによって構成されている。本形態の紫外線照射器6は、2個の照射部6b、6cによって構成されている。照射部6bは、左右方向においてヘッド3側に配置されている。すなわち、右側に配置される紫外線照射器6では、照射部6bが左側に配置され、照射部6cが右側に配置されている。また、左側に配置される紫外線照射器6では、照射部6bが右側に配置され、照射部6cが左側に配置されている。
【0035】
紫外線照射器6は、制御部11に電気的に接続されている。本形態の紫外線照射器6は、PWM(Pulse Width Modulation)制御されている。紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の照度(強度)は、紫外線照射器6に印加される実効電圧によって変化する。また、本形態では、照射部6bと照射部6cとを個別に制御することが可能となっている。すなわち、制御部11は、照射部6bと照射部6cとを個別に制御することができる。
【0036】
反射率検知機構10は、左右方向における印刷媒体2の幅を検知可能な光学式センサである。また、反射率検知機構10は、発光部15と受光部16とを有する反射型の光学式センサである。反射率検知機構10は、キャリッジ7に搭載されている。具体的には、反射率検知機構10は、発光部15の発光面および受光部16の受光面が下側を向くようにキャリッジ7に搭載されている。反射率検知機構10は、左右方向においてヘッド3と紫外線照射器6との間に配置されている。以下の説明では、反射率検知機構10を「光学式センサ10」とする。
【0037】
光学式センサ10は、制御部11に電気的に接続されている。すなわち、発光部15および受光部16は、制御部11に電気的に接続されている。発光部15は、可視光を射出する。受光部16は、発光部15から射出され印刷媒体2またはテーブル5で反射した可視光を受光する。
【0038】
制御部11は、発光部15から光を射出しながらキャリッジ7を左右方向に往復動作させたときに、印刷媒体2で反射した光の受光部16での受光量に基づいて印刷媒体2の反射率を検知する。また、制御部11は、発光部15から光を射出しながらキャリッジ7を左右方向に往復動作させたときに、印刷媒体2で反射した光の受光部16での受光量と、テーブル5で反射した光の受光部16での受光量との差に基づいて、印刷媒体2の左右の両端面を検知するとともに、検知した印刷媒体2の左右の両端面に基づいて、印刷媒体2の左右方向の幅を検知する。
【0039】
本形態では、制御部11は、印刷媒体2の印刷前に光学式センサ10を用いて印刷媒体2の反射率を検知する。また、制御部11は、印刷媒体2の印刷前に光学式センサ10を用いて印刷媒体2の左右方向の幅を検知する。すなわち、制御部11は、印刷媒体2の印刷前に、発光部15から光を射出しながらキャリッジ7を左右方向に往復動作させて、印刷媒体2の反射率と印刷媒体2の左右方向の幅とを検知する。
【0040】
また、制御部11は、検知した印刷媒体2の反射率に基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量(紫外線の照度と照射時間との積)を変化させる。より具体的には、制御部11は、検知した印刷媒体2の反射率と印刷媒体2の左右方向の幅とに基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させる。なお、1枚の印刷媒体2の印刷開始後、印刷が終了するまでは、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量は一定となっている。
【0041】
本形態では、制御部11は、紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させる。具体的には、キャリッジ7の移動速度が一定である場合、検知した印刷媒体2の反射率と検知した印刷媒体2の左右方向の幅と印刷媒体2に照射される紫外線の照度との積が略一定になるように、制御部11は、紫外線照射器6を制御して、紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させる。
【0042】
また、本形態では、制御部11は、紫外線照射器6を制御して、紫外線照射器6の一部分に印加される実効電圧を変化させることで印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させる。また、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、照射部6bに印加される実効電圧を下げる。すなわち、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器6の、左右方向におけるヘッド3側の一部分に印加される実効電圧を下げる。
【0043】
このように、プリンタ1では、印刷媒体2の反射率に応じて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっている。より具体的には、プリンタ1では、印刷媒体2の反射率と印刷媒体2の左右方向の幅とに応じて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量が調整可能となっている。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部11は、印刷媒体2の印刷前に光学式センサ10を用いて印刷媒体2の反射率を検知し、検知した印刷媒体2の反射率に基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させている。そのため、本形態では、想定以上に反射率が高い印刷媒体2がプリンタ1で使用される場合に、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、本形態では、想定以上に反射率が高い印刷媒体2がプリンタ1で使用されても、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になり、その結果、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。
【0045】
また、本形態では、光学式センサ10を用いて検知した印刷媒体2の反射率に基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させているため、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を印刷媒体2の反射率に応じた積算光量に精度良く調整することが可能になる。したがって、本形態では、想定以上に反射率が高い印刷媒体2がプリンタ1で使用される場合に、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量を精度良く減らすことが可能になり、その結果、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用されても、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
【0046】
さらに、本形態では、制御部11は、印刷媒体2の印刷前に、印刷媒体2の反射率に加えて印刷媒体2の左右方向の幅を検知し、検知した印刷媒体2の反射率と印刷媒体2の左右方向の幅とに基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させているため、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりがより効果的に抑制されるように、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を調整することが可能になる。
【0047】
また、本形態では、光学式センサ10を用いて検知した印刷媒体2の反射率に基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を自動的に調整することが可能になる。
【0048】
本形態では、制御部11は、紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させることで、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させている。そのため、本形態では、たとえば、キャリッジ7の移動速度を変化させることで、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させる場合と比較して、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を比較的容易に変化させることが可能になる。
【0049】
本形態では、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器6の、左右方向におけるヘッド3側の一部分である照射部6bに印加される実効電圧を下げている。そのため、本形態では、印刷媒体2の反射率が高くなっていて印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器6の、ヘッド3に近い部分の照度が低くなる。したがって、本形態では、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になり、その結果、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用されても、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0050】
(紫外線照射器の点灯制御の変形例)
上述した形態において、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、照射部6cに印加される実効電圧を下げても良い。また、上述した形態において、制御部11は、紫外線照射器6の全体に印加される実効電圧を変化させることで印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させても良い。この場合には、紫外線照射器6は、2個の照射部6b、6cに区切られていなくても良い。
【0051】
上述した形態において、制御部11は、紫外線照射器6の一部分を消灯させることで印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させても良い。この場合、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、照射部6cを消灯させても良いが、照射部6bを消灯させることが好ましい。すなわち、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器6の、左右方向におけるヘッド3側の一部分を消灯させることが好ましい。
【0052】
この場合には、印刷媒体2の反射率が高くなっていて印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、紫外線照射器6の、ヘッド3に近い部分の照度が低くなるため、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。したがって、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用されても、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりをより効果的に抑制することが可能になる。
【0053】
上述した形態において、紫外線照射器6は電流制御されても良い。この場合には、制御部11は、たとえば、紫外線照射器6の一部分に供給される電流を変化させることで印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させる。この場合、制御部11は、印刷媒体2に照射される紫外線の照度を下げるときに、照射部6cに供給される電流を下げても良いが、照射部6bに供給される電流を下げることが好ましい。また、制御部11は、紫外線照射器6の全体に供給される電流を変化させることで印刷媒体2に照射される紫外線の照度を変化させても良い。
【0054】
(反射率検知機構の変形例)
上述した形態において、反射率検知機構10は、紫外線センサであっても良い。この場合には、印刷媒体2における紫外線の反射率を精度良く検知することが可能になるため、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を、検知した印刷媒体2の反射率に基づいてより精度良く調整することが可能になる。したがって、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量をより一層減らすことが可能になる。その結果、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用されても、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりを効果的に抑制することが可能になる。
【0055】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0056】
上述した形態において、制御部11は、キャリッジ駆動機構8のモータを制御してキャリッジ7の移動速度を変化させることで、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させても良い。また、上述した形態において、制御部11は、紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の照度およびキャリッジ7の移動速度を変化させることで、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させても良い。
【0057】
上述した形態において、印刷媒体2の反射率を検知するための反射率検知機構と、印刷媒体2の左右方向の幅を検知するための媒体幅検知機構とが個別に設けられていても良い。この場合には、反射率検知機構は、キャリッジ7に搭載されていなくても良い。また、上述した形態において、光学式センサ10は、印刷媒体2の左右方向の幅を検知しなくても良い。この場合には、制御部11は、検知した印刷媒体2の反射率のみに基づいて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を変化させる。
【0058】
上述した形態において、プリンタ1は、光学式センサ10を備えていなくても良い。この場合には、プリンタ1のオペレータが、印刷媒体2の反射率に応じて、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を手動で調整する。たとえば、印刷媒体2の反射率に応じた複数の紫外線照射モードが予め設定されており、プリンタ1のオペレータは、印刷媒体2の反射率を確認するとともに、印刷媒体2の反射率に応じて、所定の紫外線照射モードを選択して設定する。
【0059】
この場合であっても、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用される場合に、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量を減らすことが可能になるため、想定以上に反射率が高い印刷媒体2が使用されても、キャリッジ7の一往復動作時に印刷媒体2で反射してヘッド3のノズルに到達する紫外線の積算光量を減らすことが可能になる。したがって、迷光に起因するヘッド3のノズルの目詰まりを抑制することが可能になる。なお、プリンタ1のオペレータは、たとえば、ヘッド3のノズルの目詰まりが発生したときに、キャリッジ7の一往復動作時に紫外線照射器6から印刷媒体2に照射される紫外線の積算光量が減るように、所定の紫外線照射モードを選択して設定しても良い。
【0060】
上述した形態において、紫外線照射器6は、左右方向において区切られる3個以上の照射部によって構成されていても良い。また、上述した形態において、キャリッジ7に搭載される紫外線照射器6は1個であっても良い。さらに、上述した形態において、プリンタ1が有するヘッド3の数は1個であっても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
2 印刷媒体
3 ヘッド(インクジェットヘッド)
6 紫外線照射器
7 キャリッジ
8 キャリッジ駆動機構
10 光学式センサ(反射率検知機構)
11 制御部
Y 主走査方向
図1
図2