(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】非ビスフェノール-Aエマルション凝集トナー及びプロセス
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20230727BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20230727BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20230727BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20230727BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/087 325
G03G9/09
G03G9/08 381
G03G9/093
G03G9/097 365
(21)【出願番号】P 2019227900
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-12-15
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・ディー・ノセッラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリノ・ジー・サクリパンテ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジー・ザルツ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スティーブン・ホーキンス
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136532(JP,A)
【文献】特開2018-120215(JP,A)
【文献】特開2017-021339(JP,A)
【文献】特開2013-134496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー組成物であって、
無定形ポリエステル樹脂と、
結晶性ポリエステル樹脂と、
スチレンアクリレートコポリマーと、
任意のワックスと、
任意の着色剤と、を含み、
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、
10~
25パーセントのロジンモノマー含有量を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、少なくとも1つのメチレン基を含む酸モノマー及び少なくとも1つのメチレン基を含むアルコールモノマーを含み、前記酸及びアルコールモノマーが共に、14以下のメチレン基を含む、トナー組成物。
【請求項2】
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、
15~
20パーセントのロジンモノマー含有量を含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項3】
前記無定形ポリエステル樹脂の前記ロジンモノマー含有量が、ロジンジオール、ビスロジンアルコール及びロジンカーボネートの混合物を含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項4】
前記無定形ポリエステル樹脂の前記ロジンモノマー含有量が、下記反応スキームによって得られるロジン付加物I~Vのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【化1】
【請求項5】
前記トナー組成物が、ビスフェノールAを含まない、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項6】
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記トナー組成物の総量に基づいて
20~
60重量パーセントの量で存在し、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー組成物の総量に基づいて
5~
20重量パーセントの量で存在し、
前記スチレンアクリレートコポリマーが、前記トナー組成物の総量に基づいて
10~
40重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項7】
前記結晶性ポリエステル樹脂が、C10:C4樹脂を含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項8】
前記スチレンアクリレートコポリマーが、スチレンブチルアクリレートである、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項9】
前記トナー成分のうちの1つ以上が、転相エマルションプロセスを使用して調製される、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項10】
前記トナーが、色素過剰化トナーを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項11】
トナー組成物であって、
コアと、
その上に配置された少なくとも1つのシェルと、を含み、
前記コアが、少なくとも1つの無定形ポリエステル樹脂、少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマー、任意のワックス、及び任意の着色剤、を含み、
前記シェルが、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマー及び任意のワックスを含み、
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、
10~
25パーセントのロジンモノマー含有量を含み、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、少なくとも1つのメチレン基を含む酸モノマー及び少なくとも1つのメチレン基を含むアルコールモノマーを含み、前記酸及びアルコールモノマーが共に、14以下のメチレン基を含む、トナー組成物。
【請求項12】
前記トナーが、第1のシェル及び第2のシェルを含む、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項13】
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、
15~
20パーセントのロジンモノマー含有量を含む、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項14】
前記トナー組成物が、ビスフェノールAを含まない、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項15】
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記トナー組成物の総量に基づいて
35~
45重量パーセントの量で存在し、
前記結晶性ポリエステル樹脂が、前記トナー組成物の総量に基づいて
5~
12重量パーセントの量で存在し、
前記スチレンアクリレートコポリマーが、前記トナー組成物の総量に基づいて
25~
30重量パーセントの量で存在する、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項16】
前記結晶性ポリエステル樹脂が、C10:C4樹脂を含む、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項17】
トナープロセスであって、
無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、任意の凝集剤と、を接触させることであって、
前記無定形ポリエステル樹脂が、前記無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、
10~
25パーセントのロジンモノマー含有量を含み、前記結晶性ポリエステル樹脂が、少なくとも1つのメチレン基を含む酸モノマー及び少なくとも1つのメチレン基を含むアルコールモノマーを含み、前記酸及びアルコールモノマーが共に、14以下のメチレン基を含む、接触させることと、
加熱して凝集トナー粒子を形成することと、
任意に、前記凝集したトナー粒子にシェル樹脂を添加し、更に高温に加熱して前記粒子を合体させることと、
前記トナー粒子を回収することと、を含む、トナープロセス。
【請求項18】
前記トナー組成物が、ビスフェノールAを含まない、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記無定形ポリエステル樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂、前記スチレンアクリレートコポリマー、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つが、転相エマルションにより調製されたラテックスの形態で提供される、請求項17に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含む、トナー組成物であって、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、トナー組成物が本明細書に開示されている。一実施形態では、トナー組成物は、ビスフェノールAを含まない。
【0002】
コアと、その上に配置された少なくとも1つのシェルとを含むトナー組成物であって、コアが、少なくとも1つの無定形ポリエステル樹脂と、少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂と、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含み、シェルは、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマー及び任意のワックスを含み、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、トナー組成物が更に開示されている。
【0003】
トナープロセスであって、無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、任意の凝集剤と、を接触させることであって、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、接触させることと、加熱して凝集したトナー粒子を形成することと、任意に、凝集したトナー粒子にシェル樹脂を添加し、更に高温に加熱して粒子を合体させることと、トナー粒子を回収することと、を含むトナープロセスが更に開示されている。
【0004】
ポリマー材料の大半は、限られた資源である化石燃料の抽出と処理に基づいており、環境中に非分解性材料の蓄積をもたらす可能性がある。最近、USDAは、全てのトナー/インクのバイオ由来(又は持続可能な)含有量が少なくとも20%であることを提案した。バイオ由来樹脂は開発されているが、このような試薬をトナー及びインクに商業的に組み込むことは、未解決のままである。「バイオ由来樹脂」、「バイオベース樹脂」、及び「持続可能な樹脂」という用語は、本明細書で互換的に使用され、樹脂又はポリエステル樹脂が、石油化学製品又は石油ベースの供給源から得られた材料又はモノマーとは対照的に、天然の供給源から得られ、生分解性の材料又は試薬に由来する、又はそれから得られることを示すことを意味する。
【0005】
多くのトナーは、少なくとも1つの無定形樹脂からなる。これらの樹脂は高価であり、ビスフェノールAベースポリエステル樹脂から誘導される。顧客は、食品包装のような用途には、非ビスフェノールAベーストナーを必要としており、また、低コストの持続可能な樹脂を必要としている。付加的に、将来、非ビスフェノールAベースのトナーに対する政府調達要件、並びにトナーの重量で最大20%の持続可能な含有量の持続可能な要件が存在する可能性がある。
【0006】
これらのトナーは、それらの意図される目的に好適であるが、コアで使用される無定形ポリエステルは、ビスフェノールAベース樹脂を含む。これらのトナーは、非ビスフェノールAベースのトナーが、例えば食品包装のように所望又は必要とされる用途に十分ではない。
【0007】
特定の持続可能な樹脂は、その意図する目的に適好であり得るが、持続可能な樹脂全体のコストは、同等の非持続可能な樹脂トナーよりも15~20パーセントも高くなる可能性がある。
【0008】
現在入手可能なトナー組成物及びプロセスは、その意図される目的に好適である。しかしながら、改善されたトナー組成物及びプロセスが必要とされている。更に、食品又は医薬包装のようなデジタル包装用途に好適な低コストの非ビスフェノール-Aベースのトナーが必要とされている。
【0009】
上記の米国特許及び特許出願公開のそれぞれの適切な構成要素及びプロセスの態様は、その実施形態において本開示のために選択され得る。更に、本出願全体を通して、様々な刊行物、特許、及び公開された特許出願は、特定の引用によって参照される。本出願において参照される刊行物、特許、及び公開された特許出願の開示は、本発明が関係する最新技術をより完全に説明するために、参照により本開示に組み込まれる。
【0010】
無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含む、トナー組成物であって、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、トナー組成物が記載されている。
【0011】
コアと、その上に配置された少なくとも1つのシェルとを含むトナー組成物であって、コアが、少なくとも1つの無定形ポリエステル樹脂と、少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂と、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含み、シェルが、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマー及び任意のワックスを含み、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、トナー組成物がまた、記載されている。
【0012】
トナープロセスであって、無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、任意の凝集剤と、を接触させることであって、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、接触させることと、加熱して凝集したトナー粒子を形成することと、任意に、凝集したトナー粒子にシェル樹脂を添加し、更に高温まで加熱して粒子を合体させることと、トナー粒子を回収することと、を含むトナープロセスがまた、記載されている。
【0013】
本開示は、実施形態において、現在知られているトナーに対して最大約1米ドル/kg以上のトナーの生産節約を提供することができる、非常に低コストの非ビスフェノールAの持続可能なトナー組成物及びプロセスを提供する。
【0014】
一実施形態では、無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含む、トナー組成物であって、無定形ポリエステル樹脂が、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、トナー組成物が提供されている。
【0015】
実施形態において、無定形ポリエステル樹脂は、無定形持続可能ロジンベースポリエステル樹脂を含む。
【0016】
炭酸グリセリン(C4H6O4)をロジン酸のような有機酸と反応させて、ロジンジオール(I及びIIと下記に表記)のようなアルコール、並びにビスロジンアルコール(III及びIVと下記に表記)及び下の図に示されているように、ロジンカーボネート(下のVとして識別される)を作製することができる。
【0017】
【0018】
得られるロジン付加物I~Vの混合物は、例えば、反応条件、出発ロジン酸の化学量論、炭酸グリセリンの量及び触媒に応じて相対量が異なり得る。一実施形態では、約1.0~約1.2モル当量のロジン酸が、約140℃~約170℃の温度で、約1.2~約3モル当量の炭酸グリセリン及びハロゲン化テトラアルキルアンモニウムのような触媒と反応する。過剰の炭酸グリセリンは、必要であれば、反応性混合物から蒸留することができる。
【0019】
実施形態において、本明細書の無定形ポリエステル樹脂のロジンモノマー含有量は、ロジン-ジオール、ビス-ロジンアルコール、及びロジン-カーボネートの混合物を含む。実施形態において、無定形ポリエステル樹脂のロジンモノマー含有量は、ロジン付加I-Vのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
より多くのロジンジオールが生成されるため、過剰の炭酸グリセリンが利用されるとき、ロジンジオール(I及びII)の量とビスロジンアルコール(III及びIV)の量の相対比は、約3:1~約20:1まで変化し得る。
【0021】
次いで、ロジン付加物IからVを、既知のポリエステル形成モノマー、例えば、テレフタル酸又はコハク酸、及びブタンジオール又は1,2-プロピレングリコールのような他のポリオールと反応させて、樹脂を形成することができる。ロジンジオールI及びII、並びにロジンカーボネートVは、ポリ酸と重合してポリエステル樹脂の骨格を形成し、ビスロジンアルコールIII及びIVは、以下に示すように、例えば、以下の構造のポリエステル樹脂の末端基(部分)を形成することができ、
【0022】
【0023】
式中、Rは、ロジン部分、R1は、アルキル(又はアルキレン)又はアリール部分であり、セグメントI~IVは、ロジン付加物部分を表し、n及びmは、個々の単一の酸/アルコールエステル単位の数、及び、n及びmは、約10~約10,000である。
【0024】
特定の実施形態は、以下の反応スキームを含み、
【0025】
【0026】
式中、Rは、ロジンであり、R1は、アリーレンCH2-CH2(8:1比)である。
【0027】
ロジン-ジオール対ビス-ロジンアルコールとの比は、樹脂の多分散性に影響を与える。ロジンジオール対ビスロジンアルコールの比が高い場合、例えば約10:1から、約15:1から、約20:1から又はそれ以上の場合、重量平均(Mw)と数平均(Mn)分子量の比として測定されたとき、ポリマーの多分散性は、比較的低く、例えば、約2~4である。しかしながら、ロジンジオール対ビスロジンアルコールの比がより低い場合、例えば約6:1、約5:1、約4:1又はそれより低い場合、ポリマーの多分散性は比較的高く、例えば、5~約40である。
【0028】
幅広い定着緯度を含む最適な定着性能を有するトナー樹脂を得るために、トナーは、少なくとも約5、少なくとも約7.5、少なくとも約10、最大約15、最大約17.5、最大約20又はそれ以上の比較的高い多分散性を含み、これは、より少ない量のロジンジオールを含むロジン付加物混合物で得ることができ、例えば、ロジン酸と反応して当該付加物を形成するときに、より少ない量の炭酸グリセロールを使用して得ることができる。
【0029】
実施形態において、樹脂試薬を製造するためのロジン付加物がグリセリン炭酸塩及びロジン酸から製造される、低コストの持続可能な樹脂を得るプロセスが開示される。実施形態では、ロジンベース樹脂と、例えば、1,12-ドデカン二酸及び1,4-ブタンジオールを含むCPE10:4のようなのより小さい酸/エステル及びアルコールモノマーを含む低コストの結晶性樹脂との適合性を最適化するために、バイオ樹脂中のロジン由来モノマーの量は、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー、又は約15~約20パーセントのロジンモノマー、又は約16~約18パーセントのロジンモノマーの量で選択される。実施形態において、結晶性ポリエステル及びスチレンアクリレートコポリマーと組み合わせて、列挙された量のロジンモノマーを含む無定形ポリエステル樹脂のこの選択は、高すぎず若しくは低すぎず、従来の既知のエマルション凝集トナーに匹敵する帯電、ブロッキング、定着性能を達成するが、従来の同等のトナーよりも大幅にコストを削減する、相溶性(例えば、可塑化の程度により明らかにされる)を有するトナーをもたらす。低い定着温度と良好なブロッキング(結合)性能を備えたポリエステルトナーを得るために、無定形ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の混合物は、例えば、MFT及びブロッキング性能などの望ましいトナー特性によって明らかにされるように、少なくとも部分的に適合性がある。結果として得られるトナーが、相溶性のある無定形のバイオベースポリエステル樹脂と結晶性樹脂で構成されている場合、低い定着温度が得られるが、その樹脂相溶性が高いと可塑化が過剰になり、ブロッキング性能が低下する。逆に、トナーが無定形のバイオベースのポリエステル樹脂と、相溶性がない又は不適合でない結晶性樹脂とからなる場合、良好なブロッキング性能が得られるが、固定温度が高くなる。したがって、良好なブロッキング及び低い固定温度の両方を得るために、無定形樹脂と結晶性樹脂との間の最適な相溶性が望ましい。
【0030】
ブロッキング性能は、既知の方法を実施して決定することができる。実施形態において、良好なブロッキング性能は、少なくとも約50℃、少なくとも約53℃、少なくとも約54℃、少なくとも約55℃、少なくとも約56℃、又はそれ以上のブロッキング温度を有するトナーにより達成される。
【0031】
最小固定温度(MFT)は、既知の方法を実施して決定することができる。実施形態において、良好な最小固定温度は、約125℃以下、約124℃以下、約123℃以下、約122℃以下の固定温度を有するトナーによって達成される。
【0032】
定着(又は固定)緯度は、既知の方法を実施して決定することができるように、最低固定温度が熱オフセット温度から差し引かれるときに得られる値である。実施形態では、本明細書におけるトナーは、少なくとも約80℃、少なくとも約82.5℃、少なくとも約85℃以上の良好な緯度を有する。
【0033】
本明細書で使用するとき、ポリマーは、ポリマーが作製されるモノマーによって定義される。したがって、例えば、テレフタル酸をモノマー試薬として用いて作製されたポリマーでは、本明細書で使用するとき、エステル縮合反応により、それ自体のテレフタル酸部分はもはや存在しないが、そのポリマーはテレフタル酸を含むと言われる。したがって、本明細書に開示されるワンポットプロセスによって作製されるバイオポリマーは、テレフタル酸/テレフタル酸、コハク酸、ネオペンチルグリコール、及びデヒドロアビエチン酸を含み得る。そのバイオポリマーはまた、そのジオールがテレフタレート/テレフタル酸及びコハク酸と共に使用されるため、ネオペンチルグリコールを含むと言え、そのモノマーがバイオポリマーを作るために使用されたため、テレフタル酸を含むと言え、コハク酸がそのポリマーのモノマー試薬などであるため、コハク酸からなる、又はコハク酸を含むことができると言える。したがって、本明細書では、ポリマーは、対象とするポリマーを命名し、目的のポリマーを定義し、特定するための手段を提供する、構成成分モノマー試薬のうちの1つ以上に基づいて定義される。
【0034】
本明細書で使用するとき、「バイオベース」、又は接頭辞「バイオ」の使用は、植物、動物、及び海洋材料、又はそれらの誘導体を含む生物学的製品の全体又は一部で構成される製品を指す。一般的に、バイオベース又はバイオマテリアルは、「生分解性」、つまり、実質的又は完全に生分解性であり、ここで「実質的」は、細菌、動物、植物、光、温度、酸素などによる作用のような生物学的又は環境的メカニズムにより、数日、数週間、1年、又はそれ以上であるが、通常は2年以内に、材料の50%以上、60%以上、70%以上が元の分子から別の形態に分解されることを意味する。A、「バイオ樹脂」は、ポリエステルのような樹脂であり、この樹脂は、ポリエチレングリコール及びジカルボン酸のようなポリグリコールのような、全体又は部分的にバイオベース材料を含有するか、又はそれから構成されるポリエステルのような樹脂である。したがって、試薬はバイオポリ酸及びバイオポリオールであることができる。このような試薬又は樹脂は、「持続可能な」バイオベースの同義語として説明することができる。
【0035】
実施形態では、本明細書における持続可能なトナーは、1つ以上の限定された有害な、又は石油ベースの試薬を、持続可能又はバイオベースである1つに置き換えるものである。市販のトナーで見られる所望の試薬又は化合物の1つは、ビスフェノール-A(BPA)である。BPAは、想定される発癌物質、多くの健康問題を引き起こし得る化合物であり、エストロゲン活性を有するものと考えられる化合物である。したがって、本明細書における持続可能なトナーは、バイオベースの試薬でBPA含有試薬の一部又は全部を、トナー性能の損失を最小限に抑えるか又は損失させずに交換するトナーを含む。したがって、BPA量が一緒に減少又は除去され、1つ以上のバイオ試薬と交換されるとき、このような持続可能なトナーは、BPAを含まず、BPAを全く含有しないか又は0%含有し、他の機能的に同等な語句及び用語であるものである。特定の実施形態では、本明細書のトナー組成物は、ビスフェノールAを含まない。
【0036】
本明細書で使用するとき、文法的な変形を含む「可塑化」は、所与のポリマーの熱及び機械的特性の変化を指し、これは、(a)室温(RT)での剛性の低下、(b)大きすぎない力で実質的な変形が生じ得る温度の低下、(c)RTで破壊する伸長の増加、及び/又は(d)実用性最低温度までの靭性劣化(衝撃強度)の増加を伴う。例えば、可塑剤は、ポリマーのTgを低下させるか、又は可塑剤が存在するトナーのブロッキング(凝集)に悪影響を及ぼす。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ロジン」又は「ロジン付加物」又はその文法的形態は、ロジン、ロジン酸、ロジンエステル、ロジンジオール、ロジンカーボネート、ビスロジンアルコールなど、並びに、例えば、直接又は間接的にポリエステルポリマー中のモノマーとして使用できる複数のアルコール基を含むように処理されたロジン誘導体であるロジン誘導体を包含することを意図している。したがって、ロジン誘導体は、ポリエステルポリマーを形成するために使用することができる酸、エステル又はアルコールである化合物である。当該技術分野において既知のように、ロジンは、少なくとも8つのモノカルボン酸のブレンドである。アビエチン酸は、一次種であってもよく、他の7つの酸はその異性体である。ロジンの組成、多くの場合、同義語、「ロジン酸」は、様々なロジン由来の生成物を説明するために使用される。既知のように、ロジンは、ポリマーではないが、本質的に8種のカルボン酸のブレンドである。ロジン生成物には、当該技術分野において既知のように、部分的又は完全に水素化されたロジン酸、部分的又は完全に二量化されたロジン酸、エステル化されたロジン酸、官能化されたロジン酸又はそれらの組み合わせのような化学修飾されたロジンが含まれる。ロジンは、例えばロジン酸として、ロジンエステルなどとして、市販されている。例えば、ロジン酸、ロジンエステル、及び二量化ロジンは、Poly-Pale(商標)、Dymerex(商標)、Staybelite-E(商標)、Foral(商標)Ax-E、Lewisol(商標)及びPentalyn(商標)の製品ライン下でEastman Chemicalsから、Sylvalite(商標)及びSylvatac(商標)の製品ライン下でArizona Chemicalsから、並びにPensel及びHypalという製品ライン下でArakawa-USAから入手可能である。実施形態では、ロジン付加物は、上述の化合物I~Vである。
【0038】
例えば、ロジン酸又はその多酸形態は、アルコールのヒドロキシル基は、縮合反応でロジン酸のカルボン酸基と結合して、結合分子、ロジンエステルを形成する縮合反応でポリオールと反応することができ、これは、1つの酸/エステルモノマーに結合した1つのアルコールモノマーからなる「単一のエステル単位」であり、このダイマーは、そのダイマーの複数のコピーが結合してポリマーを形成するとき、「モノマー」又はサブユニットとみなすことができる。追加の酸、エステルアルコール及び/又は酸/アルコールモノマーを単一のエステル単位に添加して、ポリエステルポリマーを形成する。このような反応は、生体樹脂を生産するために本明細書に開示されるワンポット反応条件と適合する。
【0039】
実施形態において、本明細書に開示される反応は、部分的に、アビエチジオール、アビエティックモノグリセリン酸塩、ポラストリックジオール(palustricdiol)、ポラストリックモノグリセレート(palustric monoglycerate)、デヒドロアビエチンジオール、デヒドロアビエティックモノグリセリン酸塩、ネオアビエチンジオール、ネオアビエティックモノグリセリン酸塩、レボピマルジオール、レボピマル酸モノグリセリン酸塩、ピマリックジオール、ピマル酸モノグリセレート、サンダラコピマリックジオール、サンダラコピマリックモノグリセリン酸塩、イソピマルジオール、イソピマル酸モノグリセレート、水素化アビエチンジオール、水素化されたパストリクジオール、水素化デヒドロアビエチンジオール、水素化ネオアビエティックジオール、水素化レボピマルジオール、水素化ピマリックジオール、水素化サンダラコピマリックジオール、水素化イソピマルジオールなどをもたらす。
【0040】
触媒は、反応混合物中に含まれて、エステル単位又はポリエステルポリマーを形成することができる。好適な触媒には、チタントリエタノールアミネート、エチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミンのような有機アミン、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、ピリジン、ジメチルアミノピリジンのようなアリールアミン、塩化トリメチルアンモニウム、塩化トリエチルアンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、臭化トリメチルアンモニウム、臭化トリエチルアンモニウム、臭化トリブチルアンモニウム、ヨウ化トリメチルアンモニウム、ヨウ化トリエチルアンモニウム、ヨウ化トリブチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムのような有機ハロゲン化アンモニウム、トリフェニルホスフィンのような有機ホスフィン、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウムのようなハロゲン化有機ホスホニウムなどが含まれる。
【0041】
反応は、約130℃~約200℃、又は約145℃~約175℃、又は約150℃~約170℃のような高温で実施することができるが、これらの範囲外の温度は設計上の選択肢として使用できる。
【0042】
本明細書のトナー組成物は、本明細書に記載の少なくとも1つのロジン単量体を含む少なくとも1つの無定形ポリエステルを含有する。実施形態において、無定形ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、重量で、約10~約25パーセントのロジンモノマー、又は約15~約20パーセントのロジンモノマー、又は約16~約18パーセントのロジンモノマーのロジンモノマー含有量を含む。
【0043】
実施形態では、本明細書のトナー組成物は、エマルション凝集プロセスによって調製される。特定の実施形態では、トナーは、その上に配置された少なくとも1つのシェルを有するコアを含むコアシェルトナーを含む。無定形ポリエステルは、コア、シェル、又は両方に存在することができる。特定の実施形態では、無定形ポリエステルは、コア中に存在し、シェルは、無定形ポリエステルを含まない(含有しない)。
【0044】
無定形ポリエステル樹脂は、ジオールと二塩基酸とを任意の触媒の存在下で反応させることによって形成され得る。本明細書に記載のロジンモノマー含有量に加えて、無定形ポリエステルは、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シス、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシルコハク酸無水物、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、ジエチルイソフタレート、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ドデシルコハク酸ジメチル、及びそれらの組み合わせのような、ジカルボン酸又はジエステルを含むアモルファスポリエステルの調製に使用される二酸又はビニル二酸を含むジエステル又はビニルジエステルを使用して形成され得る。
【0045】
一実施形態では、無定形ポリエステル樹脂の調製に使用できるバイオ酸又はバイオエステルであり得る、ポリ酸又はポリエステルは、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シス、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシルコハク酸無水物、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、ジエチルイソフタレート、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ドデシルコハク酸ジメチル、及びそれらの組み合わせを含む。
【0046】
有機二酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モル%、複数の実施形態では樹脂の約42~約52モル%、複数の実施形態では樹脂の約45~約50モル%の量で存在し得る。
【0047】
無定形ポリエステルの生成に利用され得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のトナー組成物は、ビスフェノールAモノマーを含まない。
【0048】
実施形態では、無定形ポリエステル樹脂を生成する際に使用され得るポリオールには、ロジンジオール、ビスロジンアルコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、ヘプタンジオール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びその組み合わせが含まれる。
【0049】
選択される有機ジオールの量は様々であることができ、例えば、樹脂の約40~約60モル%の量、複数の実施形態では樹脂の約42~約55モル%、複数の実施形態では樹脂の約45~約53モル%の量で存在し得る。二酸又はジエステルと同様に、ジオール含有量は、無定形ポリエステルが、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、重量で、約10~約25パーセントのロジンモノマー、又は約15~約20パーセントのロジンモノマー、又は約16~約18パーセントのロジンモノマー含有量を含むように調整される。
【0050】
結晶性又は非晶性ポリエステルのいずれかを形成するのに利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及びブチルスズオキシド水酸化物などのジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。このような触媒は、実施形態では、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二酸又はジエステルに基づいて、約0.01モルパーセント~約5モルパーセントのような任意の、又は所望の量で使用され得る。
【0051】
持続可能な無定形樹脂は、任意の好適な量又は所望の量で、実施形態では、トナー成分の約5~約80重量%の量、又はトナー成分の約20~約80重量%、又はトナー成分の約25~約60重量%、又はトナー成分の約35~約50重量%の量で,トナー中に存在し得る。特定の実施形態では、持続可能な無定形樹脂は、トナー成分の総量に基づいて、約5~約45%の量で存在する。
【0052】
結晶性ポリエステル樹脂を形成するために、好適なポリオールには、約2~約12個の炭素原子、10個以下のメチレン基を有する脂肪族ポリオール、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1、8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、が含まれる。ポリオールは、任意の好適な又は所望の量、実施形態では、約40~約60モル%の量で選択され得る。
【0053】
結晶性樹脂を調製するためのポリ酸又はポリエステル試薬の例には、約2~約12個の炭素原子の試薬が含まれ、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、シス-1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸、イソフタル酸、1,10デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,9-ノナン二酸、1,12-ドデカン二酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸(本明細書では、時々、シクロヘキサ二酸と呼ばれる)、マロン酸とメサコン酸、ポリエステル又はその無水物のような10個以下のメチレン基を持つ。ポリ酸は、任意の好適な又は所望の量、実施形態では、約40~約60モル%の量で選択され得る。
【0054】
使用することができる特定の結晶性樹脂は、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ペンチレンアジペート)、ポリ(ヘキシレンアジペート)、ポリ(オクチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(プロピレンスクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ペンチレンサクシネート)、ポリ(ヘキシレンサクシネート)、ポリ(オクチレンサクシネート)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(プロピレン-セバケート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリ(ペンチレンセバケート)、ポリ(ヘキシレンセバケート)、ポリ(オクチレンセバケート)、ポリ(デシレンセバケート)、ポリ(デシレンデカノエート)、ポリ(エチレンデカン酸)、ポリ(エチレンドデカン酸)、ポリ(1,6-ヘキシレンデカノエート)、ポリ(1,6-ヘキシレンドデカノエート)、ポリ(ノニレンセバケート)、ポリ(ノニレンデカノエート)、コポリ(エチレンフマレート)-コポリ(エチレンセバケート)、コポリ(エチレンフマル酸塩)-コポリ(エチレンデカン酸)、コポリ(エチレン-フマル酸塩)-コポリ(エチレン-ドデカン酸)及びコポリ(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール-デカン酸)-コポリ(エチレン-アジペート)を含む。
【0055】
本明細書で使用するとき、「CX:CY」、「CX:Y」、「X:Y」、及びこれらの形態は、結晶性樹脂を記載し、ここで、Cは炭素であり、Xは、CPEを生成するために使用される酸/エステルモノマーのメチレン基の数を特定する正の非ゼロ整数であり、Yは、CPEを生成するために使用されるアルコールモノマーのメチレン基の数を特定する正の非ゼロの整数である。したがって、例えば、C10は、例えばドデカンジオン酸を表すことができ、C6は、例えばヘキサンジオールを表すことができる。X及びYは各々、10以下である。実施形態では、X及びYの合計は、16以下である。特定の実施形態では、合計及びX及びYは、14以下である。
【0056】
実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂は、少なくとも1つのメチレン基を含む酸モノマーと、少なくとも1つのメチレン基を含むアルコールモノマーとを含み、当該酸及びアルコールモノマーは、共に14個以下のメチレン基を含む。
【0057】
実施形態では、結晶性樹脂は、CPE C10:4樹脂である。特定の実施形態では、結晶性樹脂は、1,12-ドデカン二酸及び1,4-ブタンジオールモノマーを含む。
【0058】
好適なCPE樹脂には、1,12-ドデカン二酸と1,4-ブタンジオールモノマーの樹脂が含まれる場合があり、そのようなCPE樹脂はC10:4と示され、整数は、試薬、単一エステルユニット及びポリエステルポリマー中のメチレン単位(例えば、C10、10メチレン単位及びC4、4メチレン単位)の数を表す。
【0059】
結晶性樹脂は、実施形態では、トナー成分の約1~約25重量%、又はトナー成分の約2から約20重量%の量で、又はトナー成分の約5~約20重量%、又はトナー成分の約5~約12重量%、又はトナー成分の約3~約15重量%などの任意の好適な量又は所望の量で存在し得る。
【0060】
実施形態では、結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃~約120℃、約50℃~約90℃、約60℃~約80℃であってもよい。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定したときの数平均分子量(Mn)が、例えば、約1,000~約50,000、複数の実施形態では約2,000~約25,000であってもよく、ポリエステル標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーで測定したときの重量平均分子量(Mw)が、例えば、約2,000~約100,000、複数の実施形態では約3,000~約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn又は多分散度)は、例えば、5~約40、約6~約35、又はこれらの範囲外、及び少なくとも5より大きくてもよい。
【0061】
分岐剤を使用でき、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレン-カルボキシルプロパン、テトラ(メチレン-カルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、その酸無水物、その低級アルキルエステルなどの多価ポリ酸、及び、グリセリン、ペンタエリスリトール、炭酸グリセリン、トリメチルプロパンなどの多価ポリオールが含まれる。分岐剤は、樹脂の約0.01~約10モル%の量で使用することができるが、その範囲外の量を使用することができる。
【0062】
本実施形態の樹脂は、任意の好適な又は所望のプロセスによって調製することができる。例えば、当該技術分野において既知のように、実施形態ではジプロピレングリコールを含むポリ酸/ポリエステル及びポリオール試薬は、任意に触媒と一緒に混合され、約210℃以上から約220℃以上から、約200℃以上から、しかし、時には約230℃以下、約235℃以上以下、などの高温でインキュベートされ、ただし、これらの範囲外の温度を使用すると、エステル化を平衡状態に進めることができ、これにより、一般に、エステル化反応でエステル結合を形成することにより生じるメタノールなどの副産物として水又はアルコールが生成される。230℃を超える温度は、いくつかの試薬、例えばジプロピレングリコールの揮発をもたらし得、その試薬の除去は、縮合反応を適度にすることができ、したがって、顕色ポリマーの酸価(AV)を適度にすることができる。反応は、重合を促進し、任意の揮発された試薬の除去を促進するために、真空下で実施することができる。反応は、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で実施することができ、これにより、任意の揮発試薬の除去を促進することができる。
【0063】
反応条件を操作して、所望の軟化温度(Ts)及びAVを有する樹脂を得るために、ポリオールへのポリ酸の化学量論的不均衡を利用することができ、一般に、ポリオールが揮発性であり、混合物から蒸留されない限り、ポリ酸は過剰である。過剰な試薬は、反応混合物中の化学量論的過剰量のアルコールの観点から決定することができる。これは、アルコール対酸のモル比が0.5:0.5よりも大きく、例えば、約0.505~約0.495、約0.51~約0.49、約0.515~約0.485、約0.52~約0.48又は酸に対するアルコールのそれ以上の量になるように、モル当量で評価できる。別のアルコールが反応に含まれる場合、アルコールのモル当量は、上記の計算のために合計される。
【0064】
したがって、本明細書では、撮像トナーでの使用に好適なバイオポリエステル又は持続可能な樹脂を生産するためのワンポット反応が本明細書に開示される。バイオポリエステル樹脂を生産し、処理してポリマー試薬を形成し、これを乾燥させて、ペレット、粉末などの流動性粒子に形成することができる。次いで、ポリマー試薬は、例えば、着色剤及び/又はワックスなどのトナー粒子を作製するのに好適な他の試薬と共に組み込まれ、既知の方法で処理されて、トナー粒子を生産することができる。
【0065】
本明細書のトナー組成物は、スチレンアクリレートコポリマーを更に含む。コアシェル構成を含むトナー実施形態では、スチレンアクリレートコポリマーは、コア、シェル、又はコア及びシェルの両方に存在し得る。また開示されているのは、コアと、その上に配置された少なくとも1つのシェルとを含むトナー組成物であり、コアは、少なくとも1つの非晶性ポリエステル無定形ポリエステル樹脂と、少なくとも1つの結晶性ポリエステル結晶性ポリエステル樹脂と、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、を含み、シェルは、少なくとも1つのスチレンアクリレートコポリマー及び任意のワックスを含み、無定形ポリエステル樹脂は、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む。実施形態では、トナーは、コアと、その上に配置されたシェルとを含み、シェルはスチレンアクリレートコポリマーからなる。実施形態では、シェルは、ワックスを含まない。実施形態では、トナーは、第1のシェル及び第2のシェルを含む。特定の実施形態では、本明細書のトナーは、コアの上に配置された2つ以上のシェルを含み、シェルのうちの少なくとも1つ、実施形態では、1つ以上のシェルの最外殻はワックスを含まない。特定の実施形態では、本明細書のトナーは、コアと、その上に配置された第1のシェルと、第1のシェルの上に配置された第2のシェルと、を含み、第1のシェルは、スチレンアクリレートコポリマー及びワックスを含み、第2のシェルはスチレンアクリレートコポリマーからなる。
【0066】
無定形持続可能樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂に加えて、本明細書のトナーは、第3の樹脂、実施形態では、スチレンアクリレートコポリマーを含む。任意の好適な又は所望の第3の樹脂を選択することができる。実施形態では、この樹脂は、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アルキルメタクリレート-アルキルアクリレート),ポリ(アルキルメタクリレート-アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート-アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(メチルスチレン-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(スチレン-プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン-ブタジエン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブチルアクリレート)、ポリブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル-ブチルアクリレート-アクリル酸)、及びこれらの混合物から選択される。前述のポリマー中のアルキル基は、任意のアルキル基であり、特に、例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチルを含む、C1-C12アルキル基であり得る。アリール基としては、当該分野で周知の任意のアリール基を使用してもよい。実施形態において、スチレンアクリレートコポリマーは、スチレンブチルアクリレートである。
【0067】
実施形態において、トナーは、無定形持続可能ポリエステル、結晶性ポリマー、スチレンアルキルアクリレート、より具体的には、スチレン-ブチルアクリレートポリマー、例えばスチレン-ブチルアクリレートポリマーを含み得る。
【0068】
実施形態において、スチレンアクリレートコポリマーは、スチレンモノマー及びアクリルモノマーを含む。実施形態において、スチレンアクリレートは、少なくとも1つの架橋剤を更に含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「スチレンモノマー」という用語は、スチレン自体、並びに、例えば3-クロロスチレン、2,5-ジクロロスチレン、4-ブロモスチレン、4-tert-ブチルスチレン、4-メトキシスチレンのような1つ以上の置換基を含有するスチレンを指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「アクリル酸モノマー」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸、及び-CEAを指す。本明細書で使用される場合、「アクリル酸エステルモノマー」という用語は、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルを指す。アクリル酸エステルモノマーとしては、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、及びメチルメタクリレートが挙げられるが、それらに限定されない。ある特定の実施形態において、アクリル酸エステルモノマーはn-ブチルアクリレートである。
【0071】
トナー樹脂は、任意の好適な又は所望のサイズを有し得る。実施形態では、トナー樹脂は、約100ナノメートル(nm)~約250nm、約100nm~約140nm、約140nm~約200nm、又は約140~約250nmの平均粒径を有し得る。
【0072】
実施形態では、無定形ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて、トナー中に、約10~約50重量パーセント、又は約20~約45重量パーセント、又は約35~約40重量パーセントの量で存在し、結晶性ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて、トナー中に、約1~約25重量パーセント、又は約5~約20重量パーセント、又は約5~約15重量パーセントの量で存在し、スチレンアクリレートコポリマーは、トナー組成物の総量に基づいて、トナー中に、約10~約50重量パーセント、又は約20~約45重量パーセント、又は約35~約40重量パーセントの量で存在する。
【0073】
特定の実施形態では、無定形ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて約20~約60重量パーセントの量でトナー中に存在し、結晶性ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて約5~約20重量パーセントの量で存在し、スチレンアクリレートコポリマーは、トナー組成物の総量に基づいて約10~約40重量パーセントの量で存在する。
【0074】
更なる実施形態では、無定形ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて約35~約45重量パーセントの量でトナー中に存在し、結晶性ポリエステル樹脂は、トナー組成物の総量に基づいて約5~約12重量パーセントの量で存在し、スチレンアクリレートコポリマーは、トナー組成物の総量に基づいて約25~約30重量パーセントの量で存在する。
【0075】
トナー組成物は、任意の好適な又は所望の着色剤を含み得る。シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、緑色、茶色、青色、カーボンブラック、又はこれらの混合物のような着色剤を使用することができる。着色剤は、水ベース色素として使用することができる。
【0076】
実施形態では、着色剤は、顔料である。特定の実施形態では、着色剤は、マゼンタ色素、シアン色素、黄色色素、黒色色素、並びにこれらの混合物及び組み合わせからなる群から選択される色素である。着色剤は、相乗剤及び分散剤によって安定化され得る分散体の形態で、トナー調製プロセスにおいて使用され得る。
【0077】
好適な色素の例は、PALIOGEN(登録商標)Violet5100(BASF)、PALIOGEN(登録商標)Violet5890(BASF)、HELIOGEN(登録商標)Green L8730(BASF)、LITHOL(登録商標)Scarlet D3700(BASF)、SUNFAST(登録商標)Blue 15:4(Sun Chemical)、Hostaperm(登録商標)Blue B2G-D(Clariant)、Hostaperm(登録商標)Blue B4G(Clariant)、SPECTRA(登録商標)PAC C Blue 15:4(Sun Chemical)、Permanent Red P-F7RK、Hostaperm(登録商標)Violet BL(Clariant)、LITHOL(登録商標)Scarlet 4440(BASF)、BonRed C(Dominion Color Company)、ORACET(登録商標)Pink RF(BASF)、PALIOGEN(登録商標)Red 3871K(BASF)、SUNFAST(登録商標)Blue 15:3(Sun Chemical)、PALIOGEN(登録商標)Red 3340(BASF)、SUNFAST(登録商標)Carbazole Violet 23(Sun Chemical)、LITHOL(登録商標)Fast Scarlet L4300(BASF)、SUNBRITE(登録商標)Yellow 17(Sun Chemical)、HELIOGEN(登録商標)Blue L6900、L7020(BASF)、SUNBRITE(登録商標)Yellow 74(Sun Chemical)、SPECTRA(登録商標)PAC C Orange 16(Sun Chemical)、HELIOGEN(登録商標)Blue K6902、K6910(BASF)、SUNFAST(登録商標)Magenta 122(Sun Chemical)、HELIOGEN(登録商標)Blue D6840、D7080(BASF)、Sudan Blue OS(BASF)、NEOPEN(登録商標)Blue FF4012(BASF)、PV Fast Blue B2GO1(Clariant)、IRGALITE(登録商標)Blue GLO(BASF)、PALIOGEN(登録商標)Blue 6470(BASF)、Sudan Orange G(Aldrich)、Sudan Orange 220(BASF)、PALIOGEN(登録商標)Orange 3040(BASF)、PALIOGEN(登録商標)Yellow 152、1560(BASF)、LITHOL(登録商標)Fast Yellow0991K(BASF)、PALIOTOL(登録商標)Yellow 1840(BASF)、NOVOPERM(登録商標)Yellow FGL(Clariant)、Ink Jet Yellow 4G VP2532(Clariant)、Toner Yellow HG(Clariant)、Lumogen(登録商標)Yellow D0790(BASF)、Suco-Yellow L1250(BASF)、Suco-Yellow D1355(BASF)、Suco Fast Yellow D1355,D1351(BASF)、HOSTAPERM(登録商標)Pink E02(Clariant)、Hansa Brilliant Yellow 5GX03(Clariant)、Permanent Yellow GRL02(Clariant)、Permanent Rubine L6B05(Clariant)、FANAL(登録商標)Pink D4830(BASF)、CINQUASIA(登録商標)Magenta(DU PONT)、PALIOGEN(登録商標)Black L0084(BASF)、Pigment Black K801(BASF)、及びREGAL 330(商標)(Cabot)、Nipex 150(Evonik)Carbon Black 5250及びCarbon Black 5750(Columbia Chemical)のようなカーボンブラックなど並びにそれらの混合物を含む。
【0078】
着色剤は、任意の好適な又は所望の量で使用し得る。実施形態では、着色剤は、固形分基準で、0重量%(無色又は透明)~約35%の範囲の量で採用され得る。
【0079】
実施形態では、本明細書のトナーは、色素過剰化トナーである。実施形態において、「色素過剰化」とは、単位面積当たりのトナー質量が低い場合に高い色素充填量を有するトナーを意味し(TMA、当該技術分野において既知のように計算される)、例えば、そのようなトナーは、非色素過剰トナーに対して、トナー粒子の重量で少なくとも約25%、少なくとも約35%、少なくとも約45%、少なくとも約55%以上の色素充填量で増加し得る(例えば、カーボンブラック色素の充填量が6%以下のトナー)。実施形態では、本明細書で使用される色素過剰化トナーは、顔料の量が対照、非色素過剰化又は既知のトナーで見られる量の少なくとも約1.2倍、実施形態では、少なくとも約1.3倍、対照又は既知の配合組成に見られる少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍以上の色素の任意の新しい配合組成である。
【0080】
実施形態において、「色素過剰」及びその文法的形態は、トナー粒子を印刷及び基材に定着させて100%ベタ面積の単一カラーパッチの画像を形成するトナー又はトナー調製物を記述することを意味し、その画像の厚みは、例えば、米国特許出願公開第2011/0250536号で提供されるように、トナー粒子の直径の約50%未満、約60%未満、約70%未満であり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0081】
実施形態において、「色素過剰化」とは、基材上に印刷及び定着するとき、1.40より大きい、1.45より大きい、1.50より大きい十分な画像反射光学濃度(ODr)を提供するような、従来のトナーに見られるよりも低いTMAで高い色素負荷を有するトナーを意味し、そのようなトナーの負荷は、mg/cm2単位の単色層で測定されたTMAの比率をミクロン単位のトナー粒子の体積直径で割った値が、その必要な画像密度を満たすために約0.075未満であるように選択される。TMAは、約0.55mg<Superscript>2</Superscript>/cm以下、約0.525mg<2655>2</2655>/cm以下、約0.5mg<Superscript>2</Superscript>/cm以下、又はそれ以下であり得る。
【0082】
実施形態において、本明細書のトナーは、着色剤が、トナー組成物の総量に基づいて、トナー組成物中に少なくとも約7~約50重量パーセント、又は少なくとも約8~約50重量パーセント又は少なくとも約10~約50重量パーセントの量で存在する色素である色素過剰化トナーを含む。
【0083】
本明細書のトナーは、任意にワックスを含有し得る。ワックスは、任意の好適な又は所望のワックスであり得る。実施形態では、ワックスは、単一の種類のワックス、又は2種類以上の異なる種類のワックスの混合物(以下、「ワックス」と特定される)のいずれかであり得る。任意の界面活性剤は、任意の所望の又は有効な量で存在することができ、実施形態では、界面活性剤は、インク組成物の総量に基づいて約1~約25重量パーセントの量で存在し得る。
【0084】
選択され得る特定のワックスとしては、例えば、約500~約20,000のMwを有するワックスが挙げられる。
【0085】
使用され得るワックスには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンのようなポリオレフィン、例えば、市販のワックス、例えば、Baker PetroliteのPOLYWAX(商標)ポリエチレンワックス、Michaelman,Inc.又はDaniels Products Co.から入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N15(商標)、VISCOL 550-P(商標)、Sanyo Kasei K.Kから入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレン、カルナバワックス、ライスワックス、カンデリラワックス、ウルシワックス、ホホバオイルのような植物ベースのワックス、蜜蝋のような動物性ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような鉱物ベースのワックス及び石油ベースのワックス、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸ベヘニルのような高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス、高級脂肪酸及びステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、テトラベヘン酸ペンタエリスリトールのような一価又は多価の低級アルコールから得られるエステルワックス、高級脂肪酸及びジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート及びトリグリセリルテトラステアレートのような多価アルコール多量体、から得られるエステルワックス、ソルビタンモノステアレートのようなソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、ステアリン酸コレステリルのようなコレステロール高級脂肪酸エステルワックスなどが含まれる。
【0086】
使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば、アミン、アミド、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)、SUPERSLIP 6530(商標)、フッ素化ワックス、例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYSILK 19(商標)、POLYSILK 14(商標)、混合フッ素化アミドワックス(例えば、Micro Powder Inc.から入手可能なMICROSPERSION 19(商標))、イミド、エステル、第四級アミン、カルボン酸、アクリルポリマーエマルション(例えば、SC Johnson waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)、及び538(商標))、並びにAllied Chemical、Petrolite Corp.及びSC Johnsonから入手可能な塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。前述のワックスの混合物及び組み合わせも又、実施形態で使用され得る。
【0087】
凝集因子(又は凝固剤)は、新生トナー粒子の成長を促進するために使用でき、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、マグネシウムの塩化物、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、アルミニウム、ナトリウム、一価及び二価ハロゲン化物を含む他の金属ハロゲン化物などのような、無機カチオン性凝固剤であり得る。
【0088】
凝集係数は、任意の好適な又は所望の量で存在し得る。実施形態では、凝集係数は、トナー中の全固形分に基づいて、約0~約10重量%、又は約0.05~約5重量%の量でエマルションを存在させ得る。
【0089】
トナーは、1つ以上の添加剤を更に含むことができる。トナー粒子は、他の添加剤の中でも、二酸化ケイ素又はシリカ(SiO2)、チタニア又は二酸化チタン(TiO2)及び/又は酸化セリウムの1つ以上と混合することができる。シリカは、第1のシリカ及び第2のシリカであり得る。第2のシリカは、第1のシリカよりも大きい平均サイズ(直径)を有し得る。第1のシリカは、約5nm~約50nmの範囲の直径で測定される平均一次粒径を有し得る。第2のシリカは、約100nm~約200nmの範囲の直径で測定される平均一次粒径を有し得る。チタニアは、約5nm~約50nmの範囲の平均一次粒径を有し得る。酸化セリウムは、例えば、約5nm~約50nmの範囲の平均一次粒径を有し得る。
【0090】
ステアリン酸亜鉛もまた、外部添加剤として使用され得る。ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムは、同様の機能を提供し得る。ステアリン酸亜鉛は、約500nm~約700nmの範囲の平均一次粒径を有し得る。
【0091】
トナー粒子は、当業者の意図の範囲内の任意の方法によって調製することができ、例えば、エマルション凝集法のいずれかを、ポリエステル樹脂と共に使用することができる。しかしながら、例えば、ジェット粉砕、材料のスラブのペレット化、その他の機械的プロセス、ナノ粒子又は微粒子の任意の生産プロセスのような従来の造粒方法により開示された懸濁及びカプセル化プロセスなどの化学プロセスを含む、トナー粒子を調製する任意の好適な方法が使用され得る。実施形態では、本明細書のトナーは、エマルション凝集トナーである。
【0092】
エマルション凝集プロセスに関する実施形態では、例えば上記のように作製された樹脂を溶媒に溶解し、エマルション媒体、例えば脱イオン水(DIW)など、安定剤、及び任意に界面活性剤を任意に含有する水に混合することができる。好適な安定剤の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムなどの水溶性アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム又は炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、又はそれらの混合物が含まれる。安定剤が使用される場合、安定剤は、実施形態では、樹脂の約0.1%~約5重量%の量で、任意の好適な又は所望の量で存在し得る。安定剤は、周囲温度で混合物に添加することができ、又は添加前に混合温度まで加熱することができる。
【0093】
実施形態では、本明細書のトナーは、1つ以上のトナー成分のラテックスを使用して調製される。特定の実施形態では、転送エマルションプロセスを使用して、エマルション凝集プロセスにおいてラテックスを使用する1つ以上のトナー成分を調製する。
【0094】
実施形態では、ポリエステルラテックスを調製するための無溶媒エマルションプロセスであって、ポリエステルを固体中和剤と有機溶媒の非存在下で接触させて事前ブレンド混合物を形成することと、混合物を溶融混合することと、溶融混合混合物を、脱イオン水と接触させて水中油型エマルションを形成することと、任意に、ポリエステルラテックス粒子を回収することと、を含む。
【0095】
実施形態では、無定形持続可能ポリエステル樹脂ラテックス、結晶性ポリエステルラテックス、及びスチレンアクリレートラテックスを調製するためにエマルションプロセスが使用される。エマルション凝集プロセスで使用されるラテックスを調製するための転相エマルションプロセスの使用は、現在の既知のプロセスよりも低コストのトナープロセスを可能にし、本発明の持続可能な無定形ポリエステルの使用と組み合わせて、低コストのトナープロセスを可能にし、選択された結晶性ポリエステル、実施形態では、C10:C4結晶性ポリエステル、及びスチレンアクリレートコポリマーは、以前はより高いコストでのみ達成可能であった所望のトナー特性を提供する低コストのトナーを可能にする。現在のトナーの組み合わせ及びプロセスは、樹脂のキログラムあたり約0.35USドル~約1USドル又はそれ以上の以前の同等のトナーよりも節約される。このコスト削減は、実施形態ではロジンモノマーのような約20パーセント以上のバイオベース材料を含有し、実施形態ではビスフェノールAを含まない、主にバイオベースの樹脂を提供しながら達成される。
【0096】
特定の実施形態では、実施形態では、トナーの総量に基づいて約5~約45重量パーセントの量、本明細書に記載されるように、無定形ポリエステル樹脂中の選択された量のロジンモノマーと組み合わせて、相溶性のある結晶性樹脂と組み合わせて、実施形態では、C10:C4結晶性樹脂、本明細書に記載のスチレンアクリレートコポリマーと更に組み合わせての、本発明の非晶性の持続可能な樹脂の使用は、従来のエマルション凝集トナーに匹敵する帯電、ブロッキング、及び定着性能を提供するが、大幅にコストを削減したトナーを実現する。
【0097】
エマルション後、少なくとも1つの無定形ポリエステル樹脂と、結晶性樹脂と、着色剤と、任意のワックスと、任意に、上述の界面活性剤と、エマルション中の任意の他の所望の添加剤との混合物を凝集させ、次いで、任意に、混合物中の凝集粒子を凝集させることによって調製することができる。混合物は、任意のワックス又は他の材料を添加することによって調製することができ、任意に、界面活性剤を含む分散液中に、樹脂、着色剤、任意のワックス、及び任意の殺生物剤を含むエマルションに添加することによって調製され得る。得られた混合物のpHは、例えば、酢酸、硝酸などの酸によって調整され得る。実施形態では、混合物のpHは、約2~約4.5に調整され得る。
【0098】
付加的に、実施形態では、混合物は、任意の好適な又は所望の速度で、実施形態では約20,000~約74,000rpmの速度で均質化され得る。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む任意の好適な手段によってあり得る。
【0099】
均質化の間、凝集剤を混合物に添加して、プロセスを促進し得る。任意の好適な凝集剤を利用して、トナーを形成してもよい。好適な凝集因子又は凝固剤としては、例えば、二価カチオン、多価カチオン、又はそれを含む化合物の水溶液が挙げられる。
【0100】
その粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集することを可能にし得る。粒径は、成長プロセス中に、平均粒径について、例えば、Coulter Counterで監視することができる。したがって、凝集は、所望の凝集粒子を提供するために、混合物を、例えば、高温で維持すること、又は温度をゆっくりと上昇させることによって、例えば、約34℃~約99℃の温度をゆっくりと上昇させ、撹拌を維持しながら混合物を約0.5時間~約6時間保持することによって進め得る。
【0101】
所望のサイズのトナー粒子又は凝集体が達成されると、混合物のphは、ベース又は緩衝剤で約5~約10の値に調整され得る。pHの調整は、トナー成長を停止させる凍結に使用され得る。トナー粒子の成長を停止するために使用される塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ金属水酸化物、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0102】
実施形態では、凝集が完了した後にキレート剤を導入して、凍結pH調整に寄与させ得る。
【0103】
凝集粒子は、約8マイクロメートル(μm)未満、例えば約2μm~約7μmの体積平均粒径であり得るが、これらの範囲外のサイズを使用することができる。
【0104】
実施形態では、凝集後であるが合体前に、凝集粒子に樹脂コーティングを塗布して、その上にシェルを形成し得る。シェルは、本明細書に記載の任意の樹脂を含むことができ、又は当該技術分野において既知である。実施形態では、上記のポリエステル非晶性樹脂ラテックスを異なる樹脂と組み合わせられ得るシェル内に含み得、次いで樹脂コーティングとして粒子に添加してシェルを形成してもよい。実施形態では、シェルは、スチレンアクリレートコポリマー及びワックスを含む。他の実施形態では、シェルは、スチレンアクリレートコポリマーを含む。
【0105】
シェル樹脂は、当業者の意図の範囲内の任意のプロセスによって凝集粒子に塗布され得る。凝集粒子の上にシェルが形成されるように、樹脂又は他のエマルションを凝集粒子と組み合わせ得る。
【0106】
凝集粒子の上にシェルを形成することは、約30℃~約50℃の温度のような加熱中に生じ得る。シェルの形成は、約5分~約10時間の時間のような、任意の好適な又は所望の期間に行われてもよい。
【0107】
シェルは、任意の好適な又は所望の量、実施形態では、トナー粒子の約1重量%~約80%の量で存在し得る。
【0108】
所望の粒径への凝集及びいずれかの任意のシェルの適用に続いて、粒子は、例えば円形の形状などの所望の最終形状に合体されて、形状及びサイズの不規則性を補正することができる。合体は、例えば、約50℃~約99℃の温度まで混合物を加熱することによって達成することができ、これは、トナー粒子を形成するために使用される樹脂のTg以上であり得、及び/又は攪拌を、例えば、約1000~約100rpmに低減することによって達成することができる。合体は、Sysmex Flow Particle Image Analysis(FPIA)2100によって測定される円形度が0.950より大きくなるまで、約0.5~約9時間の期間にわたって実施することができる。実施形態では、トナー円形度は、約0.950~約1、又は約0.960~約0.990、又は約0.970~約0.985である。
【0109】
凝集及び/又は合体の後、混合物は、約20℃~約25℃などの室温へと冷却され得る。冷却は、必要に応じて急速であっても遅くてもよい。好適な冷却プロセスは、反応器の周囲のジャケットに冷水を導入することを含み得る。冷却後、任意に、水でトナー粒子を洗浄し、次いで乾燥させ得る。乾燥は、例えば凍結乾燥を含む任意の好適な乾燥プロセスによって達成され得る。
【0110】
また開示されているのは、トナープロセスであって、無定形ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、スチレンアクリレートコポリマーと、任意のワックスと、任意の着色剤と、任意の凝集剤と、を接触させることであって、無定形ポリエステル樹脂は、無定形ポリエステル樹脂を含むモノマーの総量に基づいて、約10~約25パーセントのロジンモノマー含有量を含む、接触させることと、加熱して凝集したトナー粒子を形成することと、任意に、凝集したトナー粒子にシェル樹脂を添加し、更に高温に加熱して粒子を合体させることと、トナー粒子を回収することと、を含むトナープロセスである。特定の実施形態では、無定形ポリエステル樹脂、結晶性樹脂、スチレンアクリレートコポリマー、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つは、転相エマルションによって調製されたラテックスの形態で提供される。
【0111】
トナー粒子はまた、任意の添加剤を含有し得る。
【0112】
トナーは、任意の好適な又は所望の量の任意の既知の電荷添加剤、例えば、約0.1~約10重量%の量のトナーを含み得る。
【0113】
帯電強化分子を使用して、トナー粒子上に正電荷又は負電荷のいずれかを付与することができる。例としては、四級アンモニウム化合物、有機硫酸塩及びスルホン酸塩化合物、セチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、アルミニウム塩などが挙げられる。
【0114】
表面添加剤は、例えば、洗浄又は乾燥後に、トナー組成物に添加することができる。このような表面添加剤には、例えば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイダルシリカ、TiO2などの金属酸化物(例えば、改善された相対湿度(RH)安定性、トリボ対照、並びに改善された開発及び転写安定性のため)、酸化アルミニウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、SiO2、これらの,混合物などのうちの1つ以上が含まれる。
【0115】
このような添加剤は、任意の好適な又は所望の量、例えば、トナー粒子の約0.1~約10重量%の量で含まれ得る。
【0116】
他の表面添加剤としては、例えば、脂肪酸の金属塩(例えば、亜鉛又はステアリン酸カルシウム)又は長鎖アルコール、例えば、Baker Petroliteから入手可能なUNILIN(商標)700、及びDegussaから入手可能なAEROSIL R972(登録商標)などの長鎖アルコールが挙げられる。コーティングされたシリカもまた存在することができる。このような添加剤は、任意の好適な又は所望の量、例えば、トナー粒子の約0.05~約5重量%の量で含まれてもよく、この添加剤は、凝集中に添加されてもよく、又は形成されたトナー製品にブレンされ得る。
【0117】
極端なRH条件に曝されると、トナーは、好適な電荷特性を有し得る。低湿度ゾーン(Cゾーン)は、約10℃及び15%RHであり得、一方、高湿度ゾーン(Aゾーン)は、約28℃及び85%RHであってもよい。
【0118】
実施形態では、本開示のトナーはまた、約-5μC/g~約-90μC/gの質量比(q/m)当たりの親トナー電荷、及び約-15μC/g~約-80μC/gの最終的なトナー電荷を保有し得る。
【0119】
トナーの光沢は、粒子中のAl3+などの保持された金属イオンの量によって影響され得る。保持された金属イオンの量は、キレート剤(例えば、EDTA)を添加することによって調整され得る。本開示のトナー粒子中の保持された金属イオンの量、例えば、Al3+は、実施形態では、約0.001pph~約1pphであり得る。実施形態では、本開示のトナーの光沢度は、Gardner装置によって測定したときに、約20光沢単位(gu)~約100(gu)の光沢度を有し得る。
【0120】
トナーの他の望ましい特性には、保存安定性、粒径の完全性、基材又は受容部材への高速定着、感光体からの画像の十分な放出、非ドキュメントオフセット、より小さいサイズの粒子の使用などが含まれ、そのような特性は、好適な試薬、好適な添加剤、又はその両方を含めること、及び/又は特定のプロトコルでトナーを調製することによって得ることができる。
【0121】
金属酸化物ナノ粒子の特性は、任意の好適な技術及び装置によって決定され得る。体積平均粒径及び幾何標準偏差は、製造業者の指示に従って操作されるBeckman Coulter MULTISIZER3などの器具を使用して測定し得る。
【0122】
実施形態では、外部添加剤を除く乾燥トナー粒子は、以下の特性を有し得る。(1)約2.5~約20μmの体積平均直径(「体積平均粒径」とも呼ばれる)、(2)約1.18~約1.30の数平均幾何標準偏差(GSDn)及び/又は体積平均幾何標準偏差(GSDv)、及び(3)約0.9~約1.0の円形度(例えば、Sysmex FPIA2100分析器で測定)。
【0123】
このように形成されたトナー粒子は、顕色剤組成物に配合され得る。例えば、トナー粒子をキャリア粒子と混合して、2成分顕色剤組成物を得ることができる。実施形態では、顕色剤中のトナー濃度は、顕色剤の総量の約1重量%~約25%であり得、顕色剤組成物の残部はキャリアである。しかしながら、異なるトナー及びキャリア百分率を使用して、所望の特性を有する顕色剤組成物を達成し得る。
【0124】
トナー粒子と混合するためのキャリア粒子の例としては、トナー粒子の極性とは反対の極性の電荷を摩擦電気的に得ることができる粒子が挙げられる。好適なキャリア粒子の例示的な例としては、顆粒状ジルコン、粒状ケイ素、ガラス、鋼、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素、1つ以上のポリマーなどが挙げられる。
【0125】
キャリア粒子は、本明細書で教示される又は当該技術分野において既知のような、摩擦電気系列においてそれに近接していないポリマー又はポリマーの混合物から形成され得るコーティングを有するコアを含み得る。コーティングは、フルオロポリマーを含み得る。コーティングは、例えば、キャリアの約0.1~約5重量%のコーティング重量を有し得る。
【0126】
様々な効果的な好適な手段を使用して、キャリアコアの表面にポリマーを適用でき、例えばカスケードロール混合、タンブリング、ミリング、シェーキング、静電粉体クラウドスプレー、流動層混合、静電ディスク処理、静電カーテン処理、これらの組み合わせなどを適用することができる。キャリアコア粒子とポリマーとの混合物は、次いで、ポリマーが溶融するか、又はキャリアコアに定着することを可能にするために加熱され得る。次いで、コーティングされたキャリア粒子を冷却し、その後、所望の粒径に分類することができる。
【0127】
トナー及び顕色剤は、バイアル、ボトル、バッグやパッケージのような柔軟な容器などのエンクロージャーや容器から、画像を形成するための、カートリッジなどのトナー送達装置のような保管機能を果たす装置まで、多数の装置と組み合わせることができる。ブロッキング性能は、微細に分割された粉末として貯蔵安定性として現れることができる。
【0128】
トナー又は顕色剤は、電気化学的又は電子写真プロセスに使用することができる。例えば、磁気ブラシ顕色、ジャンプ単一成分顕色、ハイブリッドスカベンジレス顕色(HSD)などを含む、任意の既知のタイプの画像顕色システムが画像顕色装置で使用され得る。これらの開発システム及び類似の開発システムは、当業者の目的の範囲内である。
【0129】
撮像プロセスには、例えば、帯電構成要素、撮像構成要素、光導電性構成要素、顕色構成要素、転写構成要素、定着構成要素などの1つ以上を含む電子写真装置で画像を調製することが含まれる。装置は、高速プリンタ、カラープリンタなどを含み得る。
【0130】
上述の方法のいずれかのような好適な画像開発方法を介して画像がトナー/顕色剤で形成されると、画像は、次いで、紙のようなまたの画像受信媒体又は基材に転送され得る。実施形態では、ドラム、ローラー、ベルト、ウェブ、平坦面、プラテンのようなまたの任意の所望の又は好適な構成であり得る定着部材又は構成要素を使用して、基材上にトナー画像を設定することができる。MFTは、基材上にトナーを含む画像を固着するために必要な最低温度としての考慮事項である。ブロッキング性能は、画像を担持する基板から別の基材への固定又は定着画像又はその一部の意図しない転送をもたらすことができる温度としての考慮事項であり得る。
【0131】
カラープリンタは、通常、異なる色の4つのハウジングを使用して、黒と標準の印刷色であるシアン、マゼンタ、イエローに基づいてフルカラー画像を生成する。実施形態では、5つのハウジング、6つ以上のハウジングを有する画像生成装置を含む追加のハウジングが望ましい場合があり、それにより、追加のトナー色を担持して拡張範囲の色(拡張色域)を印刷する能力を提供する。
【0132】
以下の実施例は、本開示の様々な種を更に定義するために提出される。これらの実施例は、例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、部及び百分率は重量である。
【0133】
トナー試料は、トナー、又は顕色剤試料をA、B、Jゾーンのような選択したゾーンで一晩調整し、Turbulaミキサーを使用して約60分間帯電させるようにして評価することができる。Aゾーンは、約80°F及び相対湿度(RH)80%の高湿度ゾーンであり、Jゾーンは、華氏約70°F及び相対湿度約10%の低湿度ゾーンである。Bゾーンは、約70°Fで約50%RHの周囲条件ゾーンである。トナー電荷(Q/d)は、100V/cmの電界を備えた電荷分光器を使用して測定でき、トナー電荷分布の中間点として視覚的に測定できる。トナー電荷対質量の比(Q/m)は、全ブローオフ帯電法によって決定され、空気流で吹き飛ばすこと(ブローオフ)によってトナーを除去した後、顕色剤を含有するファラデーケージ上の電荷を測定することができる。ブローオフの前後のケージの重さを計ることで、ケージに集められた全電荷を、ブローオフによって除去されたトナーの質量で除算して、Q/m比の結果を得る。
【0134】
約16.9%のロジンモノマーを有する第1の無定形持続性樹脂を調製した。
【0135】
約17.5%のロジンを有する第2の無定形持続可能な樹脂であった。
【0136】
対照例1
2つのシェルを有するシアンコントロールトナーの調製。2リットルのガラスケトルに、92.5グラムの無定形低Mwポリエステル樹脂エマルション(40%固形分)、92.5グラムの無定形高Mwポリエステル樹脂エマルション(40%固形分)、33.6グラムの結晶性ポリエステルエマルション(CPE C10:6)、7.5グラムのワックス(固形分30%)、50.2グラムのシアン色素(固形分17%)、及び脱イオン(DI)水490グラムを組み合わせる。スラリーは、0.3M硝酸を用いて、3.0にpH調整される。次に、4000~5000RPMで均質化しながら、31グラムのDI水と混合した2.69グラムの硫酸アルミニウム(AlSO4)をスラリーに添加する。反応器を270RPMに設定し、48℃に加熱して、トナー粒子を凝集させる。サイズが4.7~4.9マイクロメートル(μm)に達すると、32.5グラムの無定形低Mw及び高Mwポリエステル樹脂エマルション、12.54グラムのワックス、及び0.3M硝酸を使用して全てのpHを3に調整したシェルコーティングが添加される。サイズが5.2~5.4μmに達すると、32.5グラムの無定形低Mw及び高Mwポリエステル樹脂エマルション、及び0.3M硝酸を使用して全てのpHを3に調整した第2のシェルコーティングが添加される。反応器を更に50℃に加熱する。トナーの粒径が5.8~6.0ミクロンに達すると、4%NaOH溶液を使用してスラリーのpHを4.5に調整して凍結が始まる。反応器のRPMを240に下げ、続いてpHが7.8に達するまで5.77グラムのキレート剤(Versene(商標)100)及び更に多くのNaOH溶液を添加する。反応器の温度を70℃まで上昇させる。スラリーのpHは、68℃まで7.8以上に維持される70℃になると、pH5.7バッファーを使用してスラリーのpHを5.8に下げ、0.3M硝酸で更にpHを3.3に調整する。反応器を70℃で更に20分間保持し、更に85℃に加熱する。凝集温度が85℃に達すると、スラリーは、約300分間合体させ、Flow Particle Image Analysis(FPIA)機器で測定した粒子の円形度は0.967~0.975である。次いで、スラリーを360グラムのDI氷で急冷する。最終粒径は5.8ミクロン、GSDv 1.22、GSDn 1.24、及び円形度0.977であった。次に、トナーを洗浄し、凍結乾燥する。
【0137】
実施例2
2つのシェルを有するシアン色素過剰化キメラトナーの調製。2リットルのガラスケトルに、61グラムの無定形の持続可能な樹脂エマルション(16.9%ロジン)、82グラムの無定形の持続可能な樹脂エマルション(17.5%ロジン)、40グラムの結晶性ポリエステルエマルション(CPE C10:4)、16.4グラムのワックス、61グラムのシアン色素、33グラムのエマルション凝集スチレン/アクリル酸n-ブチルアクリレートラテックス、及び410グラムの脱イオン(DI)水を組み合わせる。スラリーは、0.3M硝酸を使用して、3.0にpH調整される。次いで、27グラムのDI水と混合した2.2グラムのポリ塩化アルミニウム(PAC)を、4000~5000RPMで均質化しながらスラリーに添加する。反応器を270RPMに設定し、48℃に加熱して、トナー粒子を凝集させる。サイズが4.7~4.9マイクロメートル(μm)に達すると、4%水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して全てのpHを3に調整した、42グラムのエマルション凝集スチレン/n-ブチルアクリレートラテックス、8.2グラムのワックスからなるシェルコーティングを添加する。サイズが5.2~5.4μmに達すると、4%水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して全てのpHを3に調整した、42gのエマルション凝集スチレン/n-ブチルアクリレートラテックスからなる第2のシェルコーティングを添加する。反応器を更に50℃に加熱する。トナーの粒径が5.8~6.0ミクロンに達すると、4%NaOH溶液を使用してスラリーのpHを4.5に調整して凍結が始まる。反応器RPMを240まで下げ、続いて、pHが7.8.に達するまで、4.62グラムのキレート剤(Versene(商標)100)及びより多くのNaOH溶液を添加する。反応器の温度を70℃まで上昇させる。スラリーのpHは、68℃まで7.8以上に維持される。70℃になると、ph5.7バッファーを使用してスラリーのpHを5.8に低減させ、0.3M硝酸で更にpHを3.3に調整する。反応器を70℃で更に20分間保持し、更に85℃に加熱する。凝集温度が85℃に達すると、スラリーは、300分間合体させ、Flow Particle Image Analysis(FPIA)機器で測定した粒子の円形度は0.967~0.975である。次いで、スラリーを360グラムのDI氷で急冷する。最終粒径は5.65ミクロン、GSDv 1.22、GSDn 1.23、及び円形度0.970であった。次に、トナーを洗浄し、凍結乾燥する。
【0138】
実施例3
1シェルを有するシアン色素過剰化キメラトナーの調製。2リットルのガラスケトルに、60グラムの無定形の持続可能な樹脂エマルション(16.9%ロジン)、80グラムの無定形の持続可能な樹脂エマルション(17.5%ロジン)、57グラムの結晶性ポリエステルエマルション(CPE C10:4)、28.7グラムのワックス、61グラムのシアン色素、33グラムのエマルション凝集スチレン/アクリル酸n-ブチルアクリレートラテックス、及び405グラムのDI水を組み合わせる。スラリーは、0.3M硝酸を使用して、3.0にpH調整される。次いで、27グラムのDI水と混合した2.2グラムのポリ塩化アルミニウム(PAC)を、4000~5000RPMで均質化しながらスラリーに添加する。反応器を270RPMに設定し、48℃に加熱して、トナー粒子を凝集させる。サイズが4.9~5.2μmに達すると、4%水酸化ナトリウム(NaOH)を使用して全てのpHを3に調整した、84gのエマルション凝集スチレン/n-ブチルアクリレートラテックスからなるシェルコーティングを添加する。トナー粒径が5.8~6.0ミクロンに達すると、4%NaOH溶液を使用してスラリーのpHが4.5に調整して凍結が始まる。反応器RPMを240まで低減させ、続いて、pHが7.8に達するまで、4.62グラムのキレート剤(Versene(商標)100)及びより多くのNaOH溶液を添加する。反応器の温度を70℃まで上昇させる。スラリーのpHは、68℃まで7.8以上に維持される。70℃になると、pH5.7バッファーを使用してスラリーのpHを5.8に低減させ、0.3M硝酸で更にpHを3.3に調整する。反応器を70℃で更に20分間保持し、更に85℃に加熱する。合体温度が75℃になると、粒子の円形度が、Flow Particle Image Analysis(FPIA)計器によって測定したときに、0.967~0.975である場合に、約200分間スラリーを合体させる。次いで、スラリーを360グラムのDI氷で急冷する。最終粒径は、5.65ミクロン、GSDv 1.22、GSDn 1.23、及び円形度0.976であった。次に、トナーを洗浄し、凍結乾燥する。
【0139】
トナー充填性能を表1に示す。
【0140】
【0141】
表1に示すように、実施例2及び実施例3の全体的な充電は、対照例1と同等であり、一致するように調整することができる。
【0142】
定着データを、表2及び表3に示す。
【0143】
【0144】
【0145】
粒径分布定着データは、低コストの非ビスフェノールAトナー組成物を含む本実施形態のトナーが、対照トナー実施例1と同等の結果を提供することを示す。試料は、色素過剰化TMA(単位面積あたりのトナー質量)が0.8のXerox(登録商標)定着装置で定着させた。