(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ポリカーボネート系ポリオール
(51)【国際特許分類】
C08G 64/34 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
C08G64/34
(21)【出願番号】P 2019523846
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(86)【国際出願番号】 US2017060748
(87)【国際公開番号】W WO2018089566
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-28
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ニーマ・エヌ・ニクビン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エイ・バブ
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519770(JP,A)
【文献】特表2014-504660(JP,A)
【文献】米国特許第09080010(US,B1)
【文献】特表2013-522438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0072602(US,A1)
【文献】特表2016-538371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264727(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0137569(US,A1)
【文献】米国特許第09040657(US,B1)
【文献】特表2013-536286(JP,A)
【文献】国際公開第2012/022048(WO,A1)
【文献】特開昭62-115024(JP,A)
【文献】米国特許第04826887(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 64/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを製造する方法であって、
複金属シアン化物重合触媒ならびにハロゲン化物アニオンおよびシアン化物を含まない触媒促進剤の存在下で、二酸化炭素および少なくとも1種のアルキレンオキシドをスターターで重合させることを含む重合段階を含み、前記触媒促進剤は、マグネシウムアルキル;マグネシウムアルコキシド;マグネシウムアリールオキシド;マグネシウムアミド;マグネシウムアセチルアセトネート;マグネシウムt-ブチルアセチルアセトネート;スカンジウムアルコキシド;スカンジウムアリールオキシド;スカンジウムアセチルアセトネート;スカンジウムt-ブチルアセチルアセトネート;イットリウムアルコキシド;イットリウムアリールオキシド;イットリウムアミド;イットリウムアセチルアセトネート;イットリウムt-ブチルアセチルアセトネート;ハフニウムアルキル;ハフニウムアルコキシド;ハフニウムアリールオキシド;ハフニウムアミド;ハフニウムアセチルアセトネート;ハフニウムt-ブチルアセチルアセトネート;チタンアルキル;チタンアリールオキシド;チタンアミド;チタンアセチルアセトネート;チタンt-ブチルアセチルアセトネート;ジルコニウムアルキル;ジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムアリールオキシド;ジルコニウムアミド;ジルコニウムアセチルアセトネート;ジルコニウムt-ブチルアセチルアセトネート;バナジウムアルコキシド;バナジウムオキソトリス(アルコキシド);バナジウムアリールオキシド;バナジウムトリス(アセチルアセトネート);バナジウムトリス(t-ブチルアセチルアセトネート);バナジウムオキソビス(アセチルアセトネート);亜鉛アルキル;アルキル亜鉛アルコキシド;亜鉛アルコキシド;亜鉛アリールオキシド;亜鉛アミド;亜鉛アセチルアセトネート;亜鉛t-ブチルアセチルアセトネート;トリアルキルアルミニウム化合物;アルミニウムアルコキシド;アルミニウムアリールオキシド;アルミニウムアミド;アルミニウムアセチルアセトネート;アルミニウムt-ブチルアセチルアセトネート;アルキルアルミニウム酸化物およびアルコキシド;トリアルキルガリウム化合物;ガリウムアルコキシド;ガリウムアリールオキシド;ガリウムアミド;ガリウムアセチルアセトネート;ガリウムt-ブチルアセチルアセトネート;アルキルガリウムアルコキシド;トリアルキルインジウム化合物;インジウムアルコキシド;インジウムアリールオキシド;インジウムアセチルアセトネート;インジウムt-ブチルアセチルアセトネート;リン酸第一スズ;ピロリン酸第一スズ;第一スズアルコキシド;第一スズアリールオキシド;第一スズアセチルアセトネート;および第一スズt-ブチルアセチルアセトネートからなる群から選択され、
前記重合段階の前に、前記複金属シアン化物触媒錯体、前記触媒促進剤、および前記スターターが開始反応混合物を形成する予備段階をさらに含み、前記複金属シアン化合物重合触媒と前記触媒促進剤とは別のものであ
り、
前記ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールが回分法もしくは半回分法で製造される、または、前記ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールが連続法で製造される、方法。
【請求項2】
前記スターターが、モノアルコール開始剤およびポリアルコール開始剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複金属シアン化物触媒錯体および前記触媒促進剤の存在下で、前記二酸化炭素が前記重合段階の間断続的または連続的に反応器に添加され、前記少なくとも1種のアルキレンオキシドの各アルキレンオキシドが前記重合段階の間断続的または連続的に前記反応器に添加される、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記二酸化炭素および前記少なくとも1種のアルキレンオキシドが前記スターターで重合されて、前記ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ポリカーボネート系ポリオール、そのようなポリカーボネート系ポリオールを生成する方法、およびそのようなポリカーボネート系ポリオールを使用して調製されたポリウレタン生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート系ポリオール、およびそのようなポリカーボネート系ポリオールの効率的な調製方法は、ポリウレタン系ポリマー分野を含む分野において関心対象である。例えば、ポリカーボネート系ポリオールは、例えば得られるポリオールをより安価でより環境に優しいものにするために、1種以上のアルキレンオキシドと二酸化炭素の両方を使用して生成されるポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールであり得る。米国特許第9,080,010号は、複金属シアン化物(DMC)触媒を用いた1種以上のH官能性スターター物質の存在下、かつ金属塩(例えば金属ハロゲン化物またはカルボン酸金属塩など)の存在下での二酸化炭素とアルキレンオキシドとの触媒共重合による、ポリエーテルカーボネートポリオールの調製プロセスについて論じている。しかしながら、そこに開示されているそのようなプロセスは高価になる可能性があり、例えば高い動作圧力などのために特別な操作装置を必要とする。したがって、改善が求められている。
【発明の概要】
【0003】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを製造する方法であって、複金属シアン化物重合触媒ならびにハロゲン化物アニオンおよびシアン化物を含まない触媒促進剤の存在下で、二酸化炭素および少なくとも1種のアルキレンオキシドをスターターで重合させること含む重合段階を含む方法を提供することによって、実施形態を実現することができる。触媒促進剤は、複金属シアン化物重合触媒とは別のものである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを製造する例示的な方法の、例示的なプロセス流量チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ポリカーボネート系ポリオールは、二酸化炭素を使用して、および/または二酸化炭素とアルキレンオキシド(プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、および/またはそれらの組み合わせなど)の両方を使用して調製することができる。二酸化炭素は少なくとも部分的に気相の状態であってもよく(例えば、反応が比較的低圧で起こり得るため)、アルキレンオキシドは少なくとも液相の状態であってもよい(二酸化炭素よりも少ない範囲であれば少なくとも一部気相状態を含み得る)。例示的な実施形態によるポリカーボネート系ポリオールは、ポリウレタン生成物を調製するために使用することができ、そのポリウレタン生成物は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを使用して調製される。例えば、ポリカーボネート系ポリオールは、イソシアネート反応性成分中の唯一のポリオールとして、または2種以上のポリオールのブレンドにおける1種のポリオールとして含まれてもよい。例示的なポリウレタン生成物には、ポリウレタンフォーム、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンコーティング、ポリウレタンシーラント、ポリウレタン接着剤、およびポリウレタン複合材料が挙げられる。実施形態によれば、ポリカーボネート系ポリオールは、複金属シアン化物(DMC)触媒および触媒促進剤を用いて、少なくとも2段階、予備段階および重合段階で調製される。予備段階は、重合段階の前に反応器を始動させるために、および/または重合段階の開始前に重合条件の非存在下で成分を添加するために使用することができる。
【0006】
例示的な実施形態は、例えば国際公開第WO2009/130470号で論じられている二元金属触媒錯体、または国際公開第WO2016/012785号で論じられている触媒配合などの専用の重合触媒構造に依存する必要なしに、重合触媒としてDMC触媒を使用しポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを生成することを可能にする。例えば、例示的な実施形態において、DMC触媒は、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールの生成に使用される唯一の重合触媒であり得る。触媒促進剤は重合触媒として直接作用するのではなく、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを形成するときにDMC重合触媒の性能を促進するように作用すると考えられる。
【0007】
例示的な実施形態は、例えば、国際公開第WO2010/028362号に論じられるような、専用の連鎖移動剤(エポキシドとCO2の共重合を開始することができる複数の部位を有する)と一緒に使用される、専用の触媒(永久配位子セットおよび重合開始剤である少なくとも1個の配位子を含む金属錯体を有する)を含む、特定の重合系の使用を回避し得る。例えば、WO2010/028362の開示を参照すると、例示的な実施形態は、構造Y-A-(Y)nを有する専用の連鎖移動剤の使用を回避することができ、式中、-Y基はそれぞれ独立してエポキシド/CO2コポリマー鎖の成長を開始させることができる官能基であり、各Y基は同じでも異なっていてもよく、-A-は共有結合または多価の部分であり、nは1以上10以下の整数である。一方、各Y基は、-OH、-C(O)OH、-C(ORy)OH、-OC(Ry)OH、-NHRy、-NHC(O)Ry、-NHC=NRy;-NRyC=NH;-NRyC(NRy
2)=NH;-NHC(NRy
2)=NRy;-NHC(O)ORy、-NHC(O)NRy
2;-C(O)NHRy、-C(S)NHRy、-OC(O)NHRy、-OC(S)NHRy、-SH、-C(O)SH、-B(ORy)OH、-P(O)Ω(Ry)δ(ORy)c(OX/H、-OP(O)Ω(Ry)δ(ORy)c(O)£/H、-N(Ry)OH、-ON(Ry)H、=NOH、=NN(Ry)Hからなる群から独立して選択されてよく、式中、Ryの各出現は、独立して-Hまたは所望によりC1-2oの脂肪族、C1-2oのヘテロ脂肪族、3~12員複素環および6~12員環アリールからなる群から選択される置換ラジカルであり、aおよびbはそれぞれ独立して0または1であり、cは0、1または2であり、dは0または1であり、ならびにa、bおよびcの合計は1または2であり、上記の官能基のいずれかに結合している酸性水素原子は、金属原子または有機カチオンで置き換えられてもよい。
【0008】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールの調製に関して、DMC触媒は典型的にはプロピレンオキシドの重合を強く促進し、それゆえに高収率のポリ(プロピレンオキシド)ポリオールを生成するために使用することができる。DMC触媒は、エチレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドなどの他のアルキレンオキシドの存在下でも使用され得る。さらに、極低濃度のDMC触媒錯体(例えば、生成物の重量を基準として25ppm未満のDMC触媒)が特にポリエーテル生成物が800以上のヒドロキシル当量を有する場合、商業的に許容される重合速度を提供することがあると判明している。極低量の触媒を使用して重合を実施する能力は、触媒コストの大幅な削減をもたらし得る。しかしながら、DMC触媒に関する1つの問題は、特定の物質の存在下では、DMC触媒は時にゆっくり活性化する、全く活性化しない、または不活性化される可能性があることである。例えば、DMC触媒は二酸化炭素の存在下では不活性化される可能性がある。したがって、ポリオール中に二酸化炭素を導入する段階は低収率になる可能性があり、そのようなポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール生成物は工業的規模で生成することが極めて困難になる可能性がある。触媒が活性化されるまで、または触媒が不活性化された後は、重合はほとんどまたは全く起こらないので、このような長い活性化時間および不活性化はプロセスの生産性に直接的な悪影響を及ぼす。これらのポリカーボネート系ポリオールを生成するための経済的かつ効率的な方法が所望される。
【0009】
DMC触媒を用いたポリエーテルの調製は、触媒活性化時間を含む。この活性化時間中に、DMC触媒は不活性状態から、活性の状態である限りアルキレンオキシドを速やかに重合する高活性状態に、その場変換されると考えられる。この触媒活性化時間は、典型的には、最初にアルキレンオキシド(例えばプロピレンオキシド)を反応器に導入した後の不確定な時間である。重合プロセスの開始時に少量のアルキレンオキシドを導入し、次いで触媒が活性化されるまで(例えば、最初に装入したアルキレンオキシドが消費されたことで起こる反応器圧力の低下に示される)、アルキレンオキシド供給を続ける前に、待機することが一般的である。
【0010】
重合段階の間、アルキレンオキシドおよび二酸化炭素は、連続式または半回分式操作のいずれかで操作されるプロセスにおいて、連続的または段階的な方法で添加される。予備段階は、モノアルコール開始剤および/またはポリアルコール開始剤(例えば低分子量スターターポリオール)を含むスターターの存在下で実行可能であり、アルキレンオキシドおよび/または二酸化炭素の存在下または非存在下で触媒を加熱することを含んでもよい。触媒は予備段階または重合段階中に活性化することができ、例えば触媒はプロピレンオキシドを反応器に添加するときに活性化してもよい。例えば、半回分式操作では、触媒活性化段階は少なくとも予備段階中に、および重合段階の前に行うことができ、そして所望により反応器中の二酸化炭素の存在下または非存在下で行うことができる。連続操作では、新しい未活性化触媒、アルキレンオキシド、二酸化炭素、およびスターターが反応器に連続的に導入されるので、触媒の活性化は少なくとも重合と同時に行うことができる。触媒活性化段階の間に、触媒(例えばDMC触媒)は不活性状態から、二酸化炭素およびアルキレンオキシドを速やかに重合させる高活性状態にその場変換される、と考えられる。例示的な実施形態によれば、重合反応は、二酸化炭素の存在にも関わらず、低分子量ポリオールおよびアルキレンオキシドの存在下で、活性化ステップを経た未活性触媒によって持続することができる。
【0011】
例えば、半回分式または連続操作の間、触媒活性化時間は第1の温度で実行可能であり、そして重合段階の少なくとも一部は第2の温度で実行可能である。触媒活性化のための第1の温度は、重合反応のための第2の温度より高くても低くてもよい。例えば、触媒活性化時間は予備段階中に実行可能であるが、予備段階は加熱段階または冷却段階を含む。第1の温度は、50℃以上、120℃以上、および/または150℃以上であり得る。第2の温度は、50℃以上であり得る。第1の温度と第2の温度は両方とも165℃未満であり得る。例えば、第2の温度は、50℃~165℃(例えば、65℃~155℃、80℃~150℃、および/または90℃~140℃)の範囲内であり得る。第1の温度と第2の温度との間の差は、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、および/または少なくとも50℃であり得る。所望により、第1の温度と第2の温度は同じ温度であってもよい。
【0012】
例示的な実施形態によれば、ポリカーボネート系ポリオールの形成は、温和な操作条件下で、DMC触媒および触媒促進剤の存在下で観察され得る。例示的なDMC触媒としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒錯体が挙げられる。例えば、温和な操作条件とは、プロセスが高圧および/または高温操作のための専用装置を必要としないような、従来の低圧ポリオール生成装置において行われ得ることを意味する。例えば、0.1重量%~25重量%のカーボネート含有量を有するポリカーボネート系ポリオールは、典型的な実施形態によるプロセスを使用して、従来の反応器で、かつ高い反応速度と高い選択率で調製することができる。
【0013】
ポリカーボネート系ポリオールを形成するための、少なくとも1回の段階および/またはすべての段階における例示的な圧力操作条件は、40psig~750psigの範囲(例えば、80psig~150psig、および/または100psig~140psig)の圧力を含む。他の例示的な圧力としては、0.4MPa~5.3MPa(例えば、0.7MPa~1.1MPa、および/または0.8MPa~0.9MPa)が挙げられる。触媒活性化段階の間は、圧力はアルキレンオキシド添加前の0psigから最大750psigまでの範囲であり得る。連続操作条件下では、通常20psig~150psigの圧力に相当する一定の操作プロセス制御圧力で、反応器圧力は一定に保たれる。
【0014】
得られるポリカーボネート系ポリオール、例えばポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールは、2~8(例えば、2~6および/または2~4)の公称ヒドロキシル官能価を有し得る。ポリカーボネート系ポリオール、例えばポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールは、150~4000g/mol当量(例えば、200~2000g/mol当量および/または500~1500g/mol当量)のヒドロキシル当量を有し得る。
【0015】
プロセス段階
上記ポリオールは、回分法、半回分法、および/または連続法を用いて調製することができる。例えば、半回分式の方法、またはスターターの連続添加式の方法(すなわちCAOS)を使用することができる。DMCは、例えばKOHと比較して、より効率的な触媒とみなされている。DMC触媒の使用は、高分子量キャリアポリオールへの低分子量スターターの付加を可能にし、副生成物形成を著しく減少させ、揮発性有機化合物の形成を減少させ(低VOC)、そして総エネルギー消費量を減少させる。
【0016】
ポリカーボネート系ポリオールを形成するプロセスにおける重合段階は、DMC触媒および触媒促進剤の存在下で実施することができ、水酸化カリウムなどの他の任意のポリオール重合触媒を除外することができる。これは工業的に好ましく、理由としては、例えばDMC触媒を、追加的な触媒促進剤と共に使用することの重要な利点が、生成物中に触媒残基を残すことができる(例えば水酸化カリウムのような他の触媒と比較して、DMC触媒は極低濃度で存在するため)ためである。これは水酸化カリウムのような重合触媒を中和し、そして除去する高額な工程を回避する。重合段階は、反応混合物をDMC触媒および触媒促進剤の存在下で継続的に重合条件に暴露し、残りのオキシドの大部分またはすべてを重合することを含む。未反応オキシドの量はこのステップで、1種以上の混合供給物の総重量を基準として例えば2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満に減少させることができる。
【0017】
重合段階の間に、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを反応に供給し、所望により触媒および/または触媒促進剤も添加してよい。二酸化炭素とアルキレンオキシドは一緒に供給してもよく、または別々に供給してもよい。例えば、二酸化炭素とアルキレンオキシドとの混合供給を、重合段階中に断続的に(例えば所定の間隔で)または連続的に(例えば所定の時間にわたって)反応に供給することができる。別の例では、二酸化炭素を断続的に(例えば、所定の間隔で)または連続的に(例えば、所定の時間にわたって)反応器に供給することができる。さらに、単独で、別の供給物としてアルキレンオキシドを、重合段階中に断続的に(例えば、所定の間隔で)または連続的に(例えば、所定の時間にわたって)反応に添加することができる。例示的な実施形態では、二酸化炭素を断続的に(例えば、反応器圧力に基づく所定の間隔で)反応器に供給してもよく、アルキレンオキシド(プロピレンオキシドなど)を連続的に反応器に供給してもよい。アルキレンオキシドの添加を停止した後に二酸化炭素の添加を続けてもよく、または所望により、二酸化炭素の添加を停止した後にアルキレンオキシドの添加を続けてもよい。その後、得られた反応は、エーテル基とカーボネート基の両方を含む主鎖を有するポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを形成する。ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールは、第一級ヒドロキシル基および/または第二級ヒドロキシル基を含んでもよい。
【0018】
重合段階は2回以上の消化段階を含んでもよく、各消化段階の間に、別の消化段階と比較して異なる、または同じ二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドの供給速度を用いてもよい。例示的な実施形態では、各消化段階は、反応混合物がその消化段階中に消化されるように、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドの添加を停止した後に開始してもよい。例示的な実施形態では、1回以上の消化段階は、各消化段階の前にアルキレンオキシドの連続供給と二酸化炭素の断続的供給とを含んでもよい。例えば、断続的な供給は変化させてもよく、第1の連続消化段階の前に二酸化炭素のより速い供給速度、それに続く消化段階の前に比較的遅い供給速度を用いてもよく、または第1の連続消化段階で二酸化炭素の遅い供給速度を、それに続く消化段階中に比較的速い供給速度を用いてもよい。
【0019】
二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドは(別々に、または混合供給物として)、反応器内圧力を制御し、反応槽中の未反応オキシドを妥当なレベルに制御するために、重合段階の間、重合条件下で連続的または断続的に添加できる。例えば、重合段階の間、一定の反応器圧力をもたらすために、同段階において消費された二酸化炭素を導入するなど必要に応じて二酸化炭素を供給してよい。二酸化炭素の断続的な添加はそれぞれ、二酸化炭素の供給が停止されるときに消化段階が始まるように、消化段階の開始と一致してもよい。そのような例示的な実施形態では、反応器圧力の低下が二酸化炭素の消費に起因し得るように、アルキレンオキシドを連続供給速度で反応器に供給してもよい。
【0020】
プロセスへのアルキレンオキシドの添加は、アルキレンオキシド単独、アルキレンオキシドの混合物、または半回分法の一部では単独のオキシドもしくはオキシド混合物の供給で、その後にプロセスの異なるフェーズにおいて異なる単独のオキシドもしくは異なるオキシド混合物の供給が続く供給であってよい。このように、単独または複数のアルキレンオキシドの、任意の組み合わせを半回分法に添加することができる。
【0021】
例えば、二酸化炭素とアルキレンオキシドとの混合供給物は0.5重量%~43.0重量%の二酸化炭素と57.0重量%~99.5重量%のアルキレンオキシドとを含み(混合供給物の総重量を基準として、または上記の別の方法では、ポリオールの形成に使用される二酸化炭素とアルキレンオキシドの総重量を基準として)それらは触媒、触媒促進剤、およびスターターの存在下で重合される。例示的な実施形態では、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールへの二酸化炭素の組み込み量は、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、1重量%~20重量%、1重量%~15重量%、2重量%~15重量%、3重量%~15重量%、3重量%~12重量%などであってよく、残りはアルキレンオキシドである。
【0022】
例示的な実施形態において、アルキレンオキシドは、86~100重量%の1,2-プロピレンオキシド、0~12重量%のエチレンオキシド、および0~2重量%の他の共重合性モノマーを含有する)。例えば、アルキレンオキシドに対する二酸化炭素の量は異なってもよく、および/または使用されるアルキレンオキシドが異なってもよい。重合段階の間、それぞれの混合供給物は重合条件下で反応に導入され、このとき混合供給物は連続的または断続的に、および/または一定期間にわたって加速して、減速して、または一定速度で供給される。例示的な実施形態では、混合供給物は、多量のアルキレンオキシド(例えば、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも79重量%など)を含み、残りは二酸化炭素である。例えば、混合供給物中の二酸化炭素とアルキレンオキシドとのモル比は、1:1~1:200未満(例えば、1:1~1:100、1:8~1:17、1.0:1.3~1.0:9.0など)であってよい。
【0023】
半回分式の重合法を使用する例示的な実施形態によれば、予備段階の後に、DMC触媒、触媒促進剤およびスターターの存在下で、少なくとも二酸化炭素およびアルキレンオキシドを反応槽に装入し、次いで加熱し所望の分子量が得られるまで、第2の温度(すなわち重合温度)まで上昇させる。回分式の重合を実施する1つの方法は、DMC触媒、触媒促進剤およびスターターを、予備段階の間第1の温度で(所望により、最大で重合の生成物と同じヒドロキシル当量を有するポリエーテルの存在下で)混合することである。次いで、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを添加し、得られた混合物を重合条件下におく。二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを添加する過程で、追加のDMC触媒および/または触媒促進剤を添加してもよい。
【0024】
例示的な半回分法では、重合段階の前、後、または重合段階の間に、DMC触媒、触媒促進剤、およびスターターを混合する。二酸化炭素およびアルキレンオキシドの一部を(例えばそれぞれ単独で連続的または断続的に)反応槽に導入し、そして反応槽の内容物を(必要に応じて)重合温度に加熱する。DMC触媒が活性化されたら(典型的には反応器内部圧力の低下によって示される)、重合条件下でより多くの二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを反応器に供給してもよい。二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドの供給は、目標の生成物分子量に達するために十分に消費されるまで続けられる。二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを添加する過程で、追加のDMC触媒および/または触媒促進剤を添加してもよい。半回分法において、使用するスターター全量は、プロセス開始時に添加されてもよく、または所望により重合段階中に添加されてもよい。供給が完了した後、残っている二酸化炭素を通気してもよい。所望により、残りのアルキレンオキシドおよび/または二酸化炭素の少なくとも一部を消費するために、反応混合物を重合温度で煮詰めてもよい。例えば、回分法および半回分法は、30~150のヒドロキシル当量を有するスターターから、最大1000のヒドロキシル当量を有するポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを生成するのに適している可能性がある。回分法および半回分法を用いて、より高い当量を有するポリエーテルを生成してもよい。ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールはジオールまたはトリオールであってよい。
【0025】
例示的な連続的な重合プロセスでは、重合段階中に、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドの連続添加、ならびに生成物の連続的な取り出しを行ってよい。例えば、二酸化炭素は断続的に供給される一方、アルキレンオキシドの供給は連続的であってもよい。連続法は一般に、重合装置の操作性能の範囲内で、DMC触媒、触媒促進剤、スターター、二酸化炭素、およびアルキレンオキシドの定常状態濃度を確立することによって実施され、ループ型反応器、管型もしくは押し出し流れ反応器または連続撹拌槽型反応槽などの連続式反応器において、重合条件下で重合を行う。「重合物」は、スターターの分子量よりも大きく、最大で目的生成物の分子量と同じ分子量を有する、ポリエーテルおよび/またはポリ(エーテル-カーボネート)の混合物である。追加のDMC触媒、触媒促進剤、スターター、二酸化炭素、および/またはアルキレンオキシドを、例えば単独の流れとして、別々の成分として、または様々な組み合わせで、反応器に連続的に添加してもよい。生成物の流れは、反応器から連続的に引き出される。追加の流れおよび生成物の流れの速度は、(装置の性能内で)反応器内で定常状態を維持し、所望の分子量を有する生成物を生成するように選択される。連続式反応器から引き出された生成物流体は、流体中の未反応アルキレンオキシドを低レベルまで消費させるために一定時間、煮詰める処理を実施されてもよい。例えば、連続法は、150~5000のヒドロキシル当量(例えば、350~2500および/または500~2000)を有するポリ(エーテル-カーボネート)生成物を生成するのに、特に適している可能性がある。ポリ(エーテル-カーボネート)生成物はジオールまたはトリオールであってよい。
【0026】
連続法の開始時に、所望により二酸化炭素の存在下でDMC触媒、触媒促進剤、および初期重合のスターターを混合して形成された混合物を、アルキレンオキシドと接触させる前に(例えば予備段階中に)、前述の予備加熱工程にかけることができる。連続法では、初期の重合スターターは、最終生成物と比べて低分子量、高分子量、または同じ分子量であり得る。スターターは、所望により目的の最終生成物と同一の組成であり得る。
【0027】
重合反応は、遭遇する圧力および温度に適した任意の種類の反応槽中で実施することができる。連続式または半連続式の方法では、反応槽は、反応中に二酸化炭素およびアルキレンオキシドならびに追加のスターター化合物を導入することができる、1個以上の注入口を有するべきである。連続法では、反応槽は、部分的に重合した反応混合物の一部を引き出すことができる少なくとも1個の注出口を含んでもよい。スターター物質を注入するための1個または複数のポイントを有する管型反応器、ループ型反応器、および連続撹拌槽型反応器(CTSR)はすべて、連続式または半回分式操作に適した種類の反応槽である。反応器は、必要な範囲内に反応混合物の温度を維持できるように、熱を供給する、または取り除く手段を備えるべきである。好適な手段には、熱流体用の様々な種類のジャケット、様々な種類の内部または外部ヒーターなどが挙げられる。連続的に引き出される生成物に対して行われる、煮詰める工程は通常反応器中で行われ、それにより重大な逆混合が起こる可能性を減少する、および/または発生を防止する。パイプまたは管型反応器における押し出し流れ操作は、そのような煮詰める工程を実施する、例示的な方法である。
【0028】
前述のプロセスのいずれかで得られた生成物は、総重量を基準として、最大0.5重量%の未反応二酸化炭素および/またはアルキレンオキシド、少量のスターターおよびそれらの低分子量アルコキシレート、ならびに少量の他の有機不純物と水を含んでもよい。揮発性不純物は、得られた生成物から蒸発する、または除去されるべきである。生成物は典型的には、触媒残基および触媒促進剤の残基を含有する。生成物中にこれらの残留物を残すことは一般的であるが、所望によりこれらを除去することもできる。水分および揮発性物質は、ポリオールを除去することで取り除くことができる。
【0029】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを生成するプロセスは、DMC触媒および触媒促進剤の存在下で、二酸化炭素および少なくとも1種のアルキレンオキシドをスターターで重合させることを含む。例えば、この方法は、DMC触媒、触媒促進剤、スターター、および所望により比較的少量のアルキレンオキシド(DMC触媒を活性化するため)を組み合わせて、開始反応混合物を形成する段階を含む。次いで、開始反応混合物を重合条件まで加熱または冷却し、二酸化炭素および多量のアルキレンオキシド(重合反応に必要な場合に応じて)を開始反応混合物に添加する。二酸化炭素および少なくとも1種のアルキレンオキシドが供給される間に、追加量のDMC触媒錯体、触媒促進剤、および/またはスターターを反応器に添加してもよい。
【0030】
二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドは連続的に添加しても、または断続的に添加してもよい。例示的な実施形態において、二酸化炭素の添加および任意のアルキレンオキシドの添加は、反応器内の圧力を基準としてよい。例えば、二酸化炭素は、反応器内の圧力を60psig超(例えば、0.41MPa超)かつ200psig未満(例えば、1.38MPa)である所定の第1の圧力まで増加させるのに十分な量で添加してよい。他の例示的な圧力としては、100psig超、150psig未満、125psig未満などが挙げられる。所定の第1の圧力に達したら、その後の消化段階を実行するために二酸化炭素の供給を停止してもよい。反応器中の圧力が、所定の第1の圧力より低い所定の第2の圧力に達したら、追加の消化段階を実施するために追加の二酸化炭素を添加してもよく、および/または重合段階を完了させるために(例えば、もう1回の消化段階の後)、その他材料(ある場合)の添加を停止してもよい。所定の第2の圧力は、所定の第1の圧力より、例えば5psig(例えば、0.03MPa)、10psig(例えば、0.07MPa)、15psig(例えば、0.10MPa)、20psig(例えば、0.14MPa)、25psig(例えば、0.17MPa)、30psig(例えば、0.20MPa)小さくあってよい。
【0031】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを生成する例示的な方法は、(a)(i)DMC触媒、(ii)触媒促進剤、(iii)スターター、(iv)二酸化炭素、(v)アルキレンオキシド、および(vi)重合条件下の連続式反応器中にある重合物、の定常状態濃度を確立すること、ならびに、(b)追加のスターター、アルキレンオキシド、DMC触媒、および触媒促進剤を重合条件下で連続式反応器に連続的に添加し、連続式反応器からポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを含有する生成物流を連続的に取り出すこと、を含む。例示的な半回分法は、スターター、DMC触媒、および触媒促進剤を反応器に添加すること、初期装入量のアルキレンオキシドを反応器に添加して触媒を活性化すること、次いで二酸化炭素およびアルキレンオキシドを重合条件下で反応器に混合供給すること、を含んでよい。所望により、触媒を活性化するために使用されるアルキレンオキシドの初期量装入の前に、二酸化炭素を任意の割合で反応器に添加することができる。
【0032】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを生成する方法は、DMC触媒および触媒促進剤を、アルキレンオキシドおよび少なくとも1種の開始剤化合物と組み合わせて、開始反応混合物を形成すること、ならびに開始反応混合物を、複金属シアン化物触媒錯体が活性化される重合条件まで加熱すること、ならびに追加のアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を重合条件下で反応混合物に供給すること、を含んでよい。例示的な実施形態において、予備段階は、重合段階に向けて反応器を整えるために、二酸化炭素を添加し、続いて添加された二酸化炭素を通気することを含み得る。
【0033】
予備段階の間、二酸化炭素とアルキレンオキシドを添加する前に、大気圧または準大気圧で10分間以上、DMC触媒および触媒促進剤を80℃~220℃の温度に加熱することによって予備加熱工程を実施してもよい。
【0034】
スターター
スターターは、モノアルコール開始剤および/またはポリアルコール開始剤(例えば低分子量のスターターポリエーテルポリオール)を含んでもよい。モノアルコール開始剤と低分子量スターターポリオールとの混合物を含むスターターの存在下で、重合を実施することが可能である。そのような重合の結果は、モノオールおよびポリオールを含有するポリ(エーテル-カーボネート)混合物であり得る。
【0035】
モノアルコール開始剤は、30~1000のヒドロキシル当量を有してもよい。ポリアルコール開始剤は、3,000g/mol以下(例えば、1,500g/mol以下)のヒドロキシル当量を有してもよい。
【0036】
例えば、モノアルコール開始剤は、少なくとも1個の脂肪族炭素-炭素二重結合、前述の二酸化炭素およびアルキレンオキシドを、1回以上の消化段階中にスターター上に重合させてもよい。炭素-炭素二重結合は、例えばビニル(CH2=CH-)、アリル(CH2=CH-CH2-)、またはプロペニル(CH3-CH=CH2-)不飽和であってよい。不飽和モノアルコールは、例えば、最大30個の炭素原子、最大20個の炭素原子、または最大12個の炭素原子を含み得る。不飽和アルコールの例としては、ビニルアルコール、1-プロペン-3-オール、1-ブテン-4-オール、1-ヘキセン-6-オール、1-ヘプテン-7-オール、1-オクテン-8-オール、1-ノネン-9-オール、1-デセン-10-オール、1-ウンデセン-11-オール、1-ドデセン-12-オール、アリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロエチルメタクリレートなど、ならびに最大1000(例えば、最大500)の分子量を有する、前述の、任意の物質のアルコキシレートが挙げられる。前述のうちの任意の2つ以上を使用することができる。
【0037】
例示的なポリアルコールスターターとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、および最大1000のヒドロキシル当量を有する、これらの、任意の組み合わせのアルコキシレートが挙げられる。
【0038】
低分子量ポリオールスターターは2個以上のヒドロキシル基を含み、例示的なスターターはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドにより任意の相対比率でアルコキシル化されたポリオールを含む。少なくとも1個の他の反応性オキシランが単独で使用されてもよく、または上記のより標準的なオキシラン、例えばスチレンオキシド、エピクロロヒドリン、オクテンオキシド、およびアリルグリシジルエーテルなど、と共に含まれてもよい。
【0039】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールを形成するための重合反応は、ポリエーテル生成物の数平均分子量とスターターの数平均分子量の比として定義される「構成比」によって特徴付けることができる。この構成比は160であってもよい。例示的な実施形態は、2~約65(例えば、2~50、2~15、7~11など)の範囲の構成比を含む。例えば、重合段階の間、スターターはポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール形成用混合物の0.5重量%~90.0重量%の重量を構成し得る。
【0040】
触媒
重合触媒は、本明細書においては、DMC触媒としてもまた参照される、複金属シアン化触媒錯体である。例示的なDMC触媒としては、例えば、米国特許第3,278,457号、第3,278,458号、第3,278,459号、第3,404,109号、第3,427,256号、第3,427,334号、第3,427,335号、および第5,470,813号に記載されているものが挙げられる。
【0041】
例示的なDMC触媒は、次の式1によって表すことができる。
Mb[M1(CN)r(X)t]c[M2(X)6]d・nM3
×Ay 式1
【0042】
式中、MおよびM3はそれぞれ金属であり、M1はMとは異なる遷移金属であり、各XはM1イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、M2は遷移金属であり、Aはアニオンを表し、b、c、およびdは静電気的に中性の錯体をもたらす数であり、rは4~6であり、tは0~2であり、xおよびyは金属塩M3
xAyの電荷を調整する整数であり、nはゼロまたは正の整数である。上記の式は、DMC触媒錯体中にしばしば存在するt-ブタノールなどの中性錯化剤の存在をもたらさない。例示的な実施形態において、rは4または6であり、tは0である。場合によっては、r+tは6に等しい。
【0043】
例えば、MおよびM3はそれぞれ、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+およびCr3+の群から独立して選択される金属イオンであってよい。M1およびM2はそれぞれ、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、およびPt2+の群から選択されてもよい。上記のうち、酸化状態が+3であるものを、M1およびM2金属(例えば、Co+3およびFe+)として使用することができる。好適なアニオンAとしては、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、カーボネートイオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアネート、イソシアネート、過塩酸、イソチオシアネート、メタンスルホネートなどのアルカンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのアリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)およびC1-4カルボキシレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
DMC触媒の例示的なタイプは、t-ブタノールと錯体化した亜鉛ヘキサシアノコバルテートである。
【0045】
例示的な実施形態によれば、DMC触媒は、消化/重合プロセス中に二酸化炭素の存在下で、および/またはヒドロキシル基の濃度が高いときに、すぐに失活することなく急速に活性化し、良好な重合速度をもたらす。DMC触媒を使用する製造プロセスは、150~5,000以上のヒドロキシル当量を有するポリ(エーテル-カーボネートポリオール)のようなポリカーボネートポリオールの生成に従うと製造しやすい。さらに、このプロセスは、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドが低当量のスターター、例えばプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、スクロース、これらの開始剤の低分子量アルコキシレート、またはこれらの組み合わせ、などの上に重合することができる方法を提供する。
【0046】
促進剤
触媒の失活(DMC触媒の場合など)は、高濃度のヒドロキシル基の存在下で起こり得る。例えば、重合の初期段階における高濃度のヒドロキシル基および開始剤化合物は、初期触媒活性化を著しく阻害する可能性があるので、低分子量モノアルコールまたはポリアルコール開始剤における開始剤のアルコキシル化は、完成ポリオールへと直接進行し難い。したがって、(重合触媒としての)DMC触媒および触媒促進剤の存在下で二酸化炭素と少なくとも1種のアルキレンオキシドとを重合させることを含む、ポリカーボネート系ポリオールを生成することが提案されている。触媒促進剤はDMC触媒と別のものであり、触媒上の配位子ではなく、反応混合物に触媒とは別に添加してもよい。例示的な実施形態において、触媒促進剤はハロゲン化物アニオンを含まなくてもよい。触媒促進剤はシアン化物を含まなくてもよい。例示的な実施形態では、触媒促進剤は、マグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列化合物をさらに含まないフェノールなどの、任意の有機フェノール類を含まなくてもよい。例示的な実施形態では、触媒促進剤は亜鉛イオンを含まなくてもよく、それにより触媒促進剤は亜鉛以外の第3族~15族金属を含む。
【0047】
例えば触媒促進剤はマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列化合物であり、これらのマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属は少なくとも1種のアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合し、ここでマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属化合物はハロゲン化物アニオンを含まない。例示的な促進剤は、米国特許第9,040,657号に論じられている。例示的な実施形態では、カルボキシレートに結合した第3族~15族金属、またはランタニド系列金属の使用は避けてもよい。
【0048】
触媒促進剤を使用する場合、ポリカーボネート系ポリオールを生成するための例示的な方法は、1回以上の消化/重合段階のうち少なくとも1回の前および/または最中に、次の、(1)(a)DMC触媒と、(b)マグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列化合物である触媒促進剤であって、これらのマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属が少なくとも1種のアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合し、ここでマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属化合物はハロゲン化物アニオンを含まない、触媒促進剤とを組み合わせることによって触媒混合物を形成することと、(2)触媒混合物を、二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを含む供給物と混合することと、(3)二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドを重合することと、を含む。
【0049】
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールなどのポリカーボネート系ポリオールを生成する例示的な方法は、DMC触媒およびマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列化合物の存在下で、二酸化炭素とアルキレンオキシドの両方を重合することを含み、上記のマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属は少なくとも1種のアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合し、ここでマグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属化合物はハロゲン化物アニオンを含まない。
【0050】
例示的な実施形態では、触媒促進剤、例えば、マグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属化合物(本明細書では「MG3-15LA化合物」と称することもある)の存在は、DMC触媒を単独で使用する場合(例えば、MG3-15LA化合物が存在しない場合)と比較して、DMC触媒を活性化する所要時間を著しく短縮することができると考えられている。DMC触媒が活性化された後、DMC触媒が単独で使用されるとき(例えば、MG3-15LA化合物が存在しないとき)と比較して、より速い重合速度を見ることができる。また、ある種の促進剤金属は特に速い重合速度を与えると考えられる。
【0051】
触媒促進剤、例えばMG3-15LA化合物は別々に添加される成分であり、それはDMC触媒の調製(すなわち、沈殿ステップ)中には存在しない。MG3-15LA化合物は、少なくとも一種のアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水酸化物、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合した、マグネシウム、第3族~15族金属、またはランタニド系列金属イオンを含有する。触媒促進剤はハロゲン化物アニオンを含まない。触媒促進剤はシアン化物を含まない。
【0052】
アルコキシドアニオンとは、-O-Rの形態を有する化学種で、Rはアルキル基または置換アルキル基であり、ヒドロキシル基水素を除去した後に、HO-Rの形態を有するアルコール化合物の共役塩基であるアニオンを意味する。これらのアルコールは典型的には13~25以上の範囲のpKa値を有する。アルコキシドイオンは、1~20個(例えば、1~6個および/または2~6個)の炭素原子を含み得る。アルキル基または置換アルキル基は、直鎖状、分岐状、および/または環状であり得る。好適な置換基の例には、例えば追加のヒドロキシル基(アルコキシドの形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、芳香族基(例えばフェニルおよびアルキル置換フェニル)ならびにハロゲンが挙げられる。このようなアルコキシドイオンの例には、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、n-プロポキシド、n-ブトキシド、sec-ブトキシド、t-ブトキシド、ベンジルオキシなどが挙げられる。他の実施形態では、R基は1個以上のヒドロキシル基を含有してもよく、および/または1個以上のエーテル結合を含有してもよい。アルコキシドイオンは、重合中に存在する開始剤化合物、例えば下記の開始剤化合物の(1個以上のヒドロキシル基水素を除去した後の)残基に一致し得る。アルコキシドイオンは、ポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールから1個以上のヒドロキシル基水素を除去することによって形成される、アルコキシドであり得る。
【0053】
アリールオキシアニオンとは、-O-Arの形態を有する化学種で、Arは芳香族基または芳香族置換基であり、ヒドロキシル基水素の除去後に、HO-Arの形態を有するフェノール化合物に相当するアニオンを意味する。これらのフェノール化合物は、例えば、9~12のpKaを有し得る。そのようなアリールオキシアニオンの例には、フェノキシドおよび環置換フェノキシドが挙げられるが、環置換基には、例えば、アルキル、CF3、シアノ、CH3、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシルなどが含まれる。環置換基が存在する場合、それはフェノール基に対してオルト位、パラ位および/またはメタ位の1個以上に存在し得る。フェノキシドアニオンは、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよび他の種々のビスフェノール、1,1,1-トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、ならびに1-ナフトールなどの縮合環芳香族、などのポリフェノール化合物の共役塩基も含む。
【0054】
カルボキシレートアニオンとは、1~24個(例えば、2~18個および/または2~12個)の炭素原子を有するカルボキシレートを意味する。カルボキシレートアニオンは脂肪族または芳香族であり得る。脂肪族カルボン酸は、ヒドロキシル基(アルコキシド形態であり得る)、エーテル基、カルボニル基、エステル基、ウレタン基、カーボネート基、シリル基、フェニルおよびアルキル置換フェニルのような芳香族基、ハロゲンなどの置換基を含み得る。脂肪族カルボキシレートアニオンの例には、ギ酸エステル、アセテート、プロピオネート、ブチラート、2-エチルヘキサノエート、n-オクタノエート、デカノエート、ラウレートおよび他のアルカノエート、ならびにハロゲン置換アルカノエート、例えば2,2,2-トリフルオロアセテート、2-フルオロアセテート、2,2-ジフルオロアセテート、2-クロロアセテート、2,2,2-トリクロロアセテートなどが挙げられる。芳香族カルボキシレートとしては、ベンゾエート、アルキル置換ベンゾエート、ハロ置換ベンゾエート、4-シアノベンゾエート、4-トリフルオロメチルベンゾエート、サリチレート、3,5-ジ-t-ブチルサリチレート、サブサリチレートなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなカルボキシレートイオンは、1~6(例えば、3~5)のpKaを有するカルボン酸の共役塩基であり得る。
【0055】
アシルアニオンとは、例えば、アルデヒド、ケトン、カーボネート、エステルまたはエノール型を有する同様の化合物を含むカルボニル基を含有する化合物の共役塩基を意味する。これらの中には、アセトアセトネート、ブチルアセトアセトネートなどのβ-ジケト化合物がある。
【0056】
リン酸エステルアニオンは、式-O-P(O)(OR1)2を有するものを含み、式中、Rはアルキル、置換アルキル、フェニルまたは置換フェニルである。チオリン酸エステルは、1個以上の酸素が硫黄で置換されている構造に相当する構造を有する。
【0057】
アミドアニオンとは、窒素原子が負電荷を帯びているイオンを意味する。アミドイオンは一般に-N(R2)2の形態をとり、式中、R2基は独立して水素、アルキル、アリール、トリアルキルシリル、トリアリールシリルなどである。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってよい。これらの基のいずれも、エーテルまたはヒドロキシルなどの置換基を含み得る。2つのR2基はともに環構造を形成してもよく、その環構造は不飽和であってもよく、および/または環内に(アミド窒素に加えて)1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。
【0058】
ヒドロカルビルアニオンは、脂肪族、脂環式、および/または芳香族アニオンを含み、一方、負電荷は炭素原子上に存在する。ヒドロカルビルアニオンは、典型的には30を超えるpKa値を有する炭化水素の共役塩基である。ヒドロカルビルアニオンはまた、不活性置換基を含んでもよい。例えば、芳香族ヒドロカルビルアニオンでは、フェニル基および置換フェニル基が使用されてもよい。脂肪族ヒドロカルビルアニオンは、(例えば、1~12個および/または2~8個の炭素原子を含有する)アルキル基であってよい。メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、シクロペンタジエニル、およびt-ブチルアニオンが有用であり得る。
【0059】
例示的な実施形態において、アニオンは、少なくとも1.5(例えば、少なくとも2.5および/または少なくとも3.0)のpKaを有する化合物の共役塩基である。例えば、アニオンが少なくとも9(例えば、少なくとも12および/または少なくとも13)のpKaを有する化合物の共役塩基に相当するとき、より短い活性化時間が見られ得る。アニオンは、最大60またはそれ以上のような、より高いpKaを有する化合物の共役塩基であり得る。9未満(例えば、5未満)のpKaを有する化合物の共役塩基に相当するアニオンは、より長い活性化時間をもたらす可能性がある。使用され得る例示的なアニオンは、アルコキシド、アリールオキシ、アミド、アセチルアセトネート、およびヒドロカルビルアニオンであり、これらは少なくとも9(例えば、少なくとも12、少なくとも13、および/または最大60)のpKaを有する化合物の共役塩基である。
【0060】
第3族~15族金属は、2010年IUPAC元素周期表のIII族~15族のいずれかに含まれる金属である。金属は、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、テルル、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、および58(セリウム)から71(ルチウム)までの原子番号を有するものを含むランタニド系列金属であってよい。使用され得る例示的な金属は、第3族、第4族、第5族、第12族、第13族および第14族のものを含む。これらの中では、スカンジウム、イットリウム、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびスズが、例示的な実施形態で有用であり、それはこれらの金属類が速い重合速度を提供し、および/または極少量のDMC触媒が存在することを許容する傾向があるためである。例えば、アルミニウム、亜鉛、ハフニウム、ガリウム、インジウム、スズ、チタンおよび/またはジルコニウムを使用することができる。
【0061】
例示的な促進剤は、式M4A1
zおよびM4(O)A1
zのいずれかに相当する化合物であり、式中、M4はマグネシウム、第3族~15族またはランタニド系列金属であり、各A1は独立して前述のようなアニオンであり、任意の2つ以上のA1基がともに多価の基を形成してもよい場合、zは静電気的に中性の化合物をもたらす少なくとも1の数である。各A1=は、独立して、少なくとも9(例えば、少なくとも12および/または少なくとも13)のpKaを有する化合物の共役塩基である、アルコキシド、アリールオキシアニオン、アミドアニオンまたはヒドロカルビルアニオンである。任意のA1は、開始剤化合物または、アルコキシル化反応から得られるポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオール生成物を含むポリエーテルモノオールもしくはポリエーテルポリオールまたは、開始剤化合物とアルコキシル化反応生成物の中間の分子量を有するポリエーテルの共役塩基である、アルコキシドアニオンであってよい。
【0062】
促進剤化合物は、硫酸、亜硫酸、過硫酸、硝酸、亜硝酸、塩酸、過塩酸、次亜塩素酸、カーボネート、クロム酸などの無機酸の共役塩基であるアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、スルホン酸メチルなどの硫酸アニオンおよび水酸化物イオンを含まなくてもよい。
【0063】
促進剤の例には以下が含まれる。
a)ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジベンジルマグネシウムなどのマグネシウムアルキル;マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、マグネシウムt-ブトキシド、マグネシウムsec-ブトキシドなどのマグネシウムアルコキシド;マグネシウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているマグネシウムフェノキシドなどのマグネシウムアリールオキシド;ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸マグネシウムなどのマグネシウムカルボキシレート;マグネシウムジメチルアミド、マグネシウムジエチルアミド、マグネシウムジフェニルアミド、マグネシウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのマグネシウムアミド;マグネシウムアセチルアセトネートおよびマグネシウムt-ブチルアセチルアセトネート。
【0064】
b)スカンジウムメトキシド、スカンジウムエトキシド、スカンジウムイソプロポキシド、スカンジウムt-ブトキシド、スカンジウムsec-ブトキシドなどのスカンジウムアルコキシド;スカンジウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているスカンジウムフェノキシドのようなスカンジウムアリールオキシド;ギ酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、プロピオン酸スカンジウム、2-エチルヘキサン酸スカンジウム、安息香酸スカンジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸スカンジウムなどのスカンジウムカルボキシレート;サリチル酸スカンジウム;スカンジウムアセチルアセトネートおよびスカンジウムt-ブチルアセチルアセトネート。
【0065】
c)イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムt-ブトキシド、イットリウムsec-ブトキシドなどのイットリウムアルコキシド;イットリウムフェノキシドおよび1個以上のフェノキシド基がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているイットリウムフェノキシドのようなイットリウムアリールオキシド;ギ酸イットリウム、酢酸イットリウム、プロピオン酸イットリウム、2-エチルヘキサン酸イットリウム、安息香酸イットリウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸、サリチル酸イットリウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸イットリウムなどのイットリウムカルボキシレート;イットリウムジメチルアミド、イットリウムジエチルアミド、イットリウムジフェニルアミド、イットリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのイットリウムアミド;イットリウムアセチルアセトネートおよびイットリウムt-ブチルアセチルアセトネート。
【0066】
d)テトラエチルハフニウム、テトラブチルハフニウム、テトラベンジルハフニウムなどのようなハフニウムアルキル;ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラ-t-ブトキシド、ハフニウムテトラ-sec-ブトキシドなどのハフニウムアルコキシド;ハフニウムフェノキシドおよび1個以上のフェノキシド基がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているハフニウムフェノキシドなどのハフニウムアリールオキシド;ギ酸ハフニウム、酢酸ハフニウム、プロピオン酸ハフニウム、2-エチルヘキサン酸ハフニウム、安息香酸ハフニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ハフニウム、サリチル酸ハフニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ハフニウムなどのハフニウムカルボキシレート;ハフニウムテトラ(ジメチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジエチルアミド)、ハフニウムテトラ(ジフェニルアミド)、ハフニウムテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)などのハフニウムアミド;ハフニウムアセチルアセトネートおよびハフニウムt-ブチルアセチルアセトネート。
【0067】
e)テトラエチルチタン、テトラベンジルチタンなどのなどのチタンアルキル;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ-t-ブトキシチタン、テトラ-sec-ブトキシチタンなどのチタンアルコキシド;チタンフェノキシドおよび1個以上のフェノキシド基がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているチタンフェノキシドなどのチタンアリールオキシド;ギ酸チタン、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、2-エチルヘキサン酸チタン、安息香酸チタン、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸チタン、サリチル酸チタン、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸チタンなどのチタンカルボキシレート;チタンテトラ(ジメチルアミド)、チタンテトラ(ジエチルアミド、チタンテトラ(ジフェニルアミド)、チタンテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)のようなチタンアミド;チタンアセチルアセトネートおよびチタンt-ブチルアセチルアセトネート。
【0068】
f)テトラエチルジルコニウム、テトラブチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウムなどのなどのジルコニウムアルキル;ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-sec-ブトキシドなどのジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムフェノキシドおよび1個以上のフェノキシド基がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているジルコニウムフェノキシドなどのジルコニウムアリールオキシド;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム、安息香酸ジルコニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ジルコニウム、サリチル酸ジルコニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ジルコニウムなどのジルコニウムカルボキシレート;ジルコニウムテトラ(ジメチルアミド)、ジルコニウムテトラ(ジエチルアミド、ジルコニウムテトラ(ジフェニルアミド)、ジルコニウムテトラ((ビストリメチルシリル)アミド)などのジルコニウムアミド;ジルコニウムアセチルアセトネートおよびジルコニウムt-ブチルアセチルアセトネート。
【0069】
g)バナジウムメトキシド、バナジウムエトキシド、バナジウムイソプロポキシド、バナジウムt-ブトキシド、バナジウムsec-ブトキシドなどのバナジウムアルコキシド;バナジウムオキソトリス(メトキシド)、バナジウムオキソトリス(エトキシド)、バナジウムオキソトリス(イソプロポキシド)、バナジウムオキソトリス(t-ブトキシド)、バナジウムオキソトリス(sec-ブトキシド)などのバナジウムオキソトリス(アルコキシド);バナジウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているバナジウムフェノキシドなどのバナジウムアリールオキシド;ギ酸バナジウム、酢酸バナジウム、プロピオン酸バナジウム、2-エチルヘキサン酸バナジウム、安息香酸バナジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸バナジウム、サリチル酸バナジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸バナジウムなどのバナジウムカルボキシレート;バナジウムトリス(アセチルアセトネート)およびバナジウムトリス(t-ブチルアセチルアセトネート);バナジウムオキソビス(アセチルアセトネート)。
【0070】
h)ジメチルアルキル、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジベンジル亜鉛などの亜鉛アルキル;エチル亜鉛イソプロポキシドなどのアルキル亜鉛アルコキシド;亜鉛メトキシド、亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛t-ブトキシド、亜鉛sec-ブトキシドなどの亜鉛アルコキシド;亜鉛フェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている亜鉛フェノキシドなどの亜鉛アリールオキシド;ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸亜鉛などの亜鉛カルボキシレート;亜鉛ジメチルアミド、亜鉛ジエチルアミド、亜鉛ジフェニルアミド、亜鉛(ビストリメチルシリル)アミドなどの亜鉛アミド;亜鉛アセチルアセトネートおよび亜鉛t-ブチルアセチルアセトネート。
【0071】
i)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリベンジルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム化合物;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ-n-ブトキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシド、アルミニウムトリ-sec-ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド;アルミニウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているアルミニウムフェノキシドなどのアルミニウムアリールオキシド;ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウムなどのアルミニウムカルボキシレート;アルミニウムトリス(ジメチルアミド)、アルミニウムトリス(ジエチルアミド)、アルミニウムトリス(ジフェニルアミド)、アルミニウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのアルミニウムアミド;アルミニウムアセチルアセトネート;ならびにジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、メチルアルミノキサン、テトラエチルジアルミノキサンなどのアルキルアルミニウムオキシドおよびアルコキシド。例示的な実施形態では、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、安息香酸基の1個以上がアルキルで環置換されている安息香酸アルミニウムなどのアルミニウムカルボキシレートの使用は避けてもよい。
【0072】
j)トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリブチルガリウム、トリベンジルガリウムなどのトリアルキルガリウム化合物;ガリウムトリメトキシド、ガリウムトリエトキシド、ガリウムトリイソプロポキシド、ガリウムトリ-t-ブトキシド、ガリウムトリ-sec-ブトキシドなどのガリウムアルコキシド;ガリウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているガリウムフェノキシドなどのガリウムアリールオキシド;ギ酸ガリウム、酢酸ガリウム、プロピオン酸ガリウム、2-エチルヘキサン酸ガリウム、安息香酸ガリウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸ガリウム、サリチル酸ガリウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸ガリウムなどのガリウムカルボキシレート;ガリウムトリス(ジメチルアミド)、ガリウムトリス(ジエチルアミド)、ガリウムトリス(ジフェニルアミド)、ガリウムトリス(ジ(トリメチルシリル)アミド)などのガリウムアミド;ガリウムアセチルアセトネート;ガリウムt-ブチルアセチルアセトネート;ならびにジエチルガリウムエトキシド、ジメチルガリウムエトキシド、ジエチルガリウムイソプロポキシドおよびジメチルガリウムイソプロポキシドなどのアルキルガリウムアルコキシド。
【0073】
k)トリメチルインジウムのようなトリアルキルインジウム化合物;インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムt-ブトキシド、インジウムsec-ブトキシドなどのインジウムアルコキシド;インジウムフェノキシドおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているインジウムフェノキシドなどのインジウムアリールオキシド;ギ酸インジウム、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、2-エチルヘキサン酸インジウム、安息香酸インジウム、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸インジウム、サリチル酸インジウム、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸インジウムなどのインジウムカルボキシレート;アセチルアセトネートインジウム;ならびにt-ブチルアセチルアセトネートインジウム。
【0074】
l)リン酸第一スズ;ピロリン酸第一スズ、第一スズメトキシド、第一スズエトキシド、第一スズイソプロポキシド、第一スズt-ブトキシド、第一スズsec-ブトキシドなどの第一スズアルコキシド;フェノキシド第一スズおよびフェノキシド基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されているフェノキシド第一スズなどの第一スズアリールオキシド;ギ酸第一スズ、酢酸第一スズ、プロピオン酸第一スズ、2-エチルヘキサン酸第一スズ、安息香酸第一スズ、安息香酸基の1個以上がアルキル、CF3、シアノ、COCH3、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシルなどで環置換されている安息香酸第一スズ、サリチル酸第一スズ、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸第一スズなどの第一スズカルボキシレート;第一スズアセチルアセトネート;および第一スズt-ブチルアセチルアセトネート。
【0075】
上記に加えて、その他の好適なMG3-15LA化合物には、マグネシウム、第3族~15族、またはランタニド系列金属のアルコキシドが挙げられるが、1個以上のアルコキシド基は、1個以上のヒドロキシル水素原子を(1)後述の開始剤化合物、(2)重合反応のポリエーテルモノオールもしくはポリエーテルポリオール生成物、または(3)開始剤と重合後のポリエーテルモノオールもしくはポリエーテルポリオール生成物との中間の分子量を有するポリエーテル、から除去した後に共役塩基となる。
【0076】
ポリウレタン生成物
ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールなどのポリカーボネート系ポリオールは、幅広い種類のポリウレタン生成物、例えばスラブストックフォーム、成形フォーム、軟質フォーム、粘弾性フォーム、燃焼改質フォーム、硬質フォーム、エラストマー、接着剤、シーラント、および/またはコーティングなどの製造に有用である。ポリウレタン生成物は、様々な包装用途、快適性のための用途(マットレス-マットレストッパー、枕、家具、シートクッションなどを含む)、緩衝装置用途(バンパーパッド、スポーツおよび医療機器、ヘルメットライナーなど)、断熱用途、電子製品の静電防止包装のための導電性、ならびに騒音および/または振動の低減用途(イヤープラグ、自動車パネルなど)に有用である可能性がある。
【0077】
ポリウレタン生成物は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分とを含むポリウレタン形成配合物の反応生成物として調製することができる。イソシアネート成分は、1種以上のポリイソシアネート、1種以上のイソシアネート末端プレポリマー、および/またはそれらの組み合わせを含み得る。ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールは、イソシアネート反応性成分に含まれる唯一のポリオールまたは2種以上のポリオールのうちの1種(例えば、固形分含有量を所望のレベルに調整するため、またはポリウレタンに特定の特性を与えるため)であり得る。イソシアネート反応性成分および/またはイソシアネート成分は、少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。例示的な添加剤としては、触媒、界面活性剤、発泡剤、および当該技術分野の当業者に既知である、ポリウレタン用のその他の添加剤が挙げられる。
【0078】
イソシアネート成分に関して、例示的なイソシアネートとしては、芳香族、脂環式、および脂肪族イソシアネート、ならびに芳香族、脂環式、および脂肪族イソシアネートの群から選択される少なくとも1個に由来するイソシアネート末端プレポリマーが挙げられる。ポリウレタン生成物を生成するのに使用されるイソシアネート成分の量は、通常、イソシアネート指数によって表される。イソシアネート指数は、100を乗算した、イソシアネート反応性単位(イソシアネート部分と反応するために利用可能な活性水素)のモル数に対する、反応混合物中のイソシアネート部分のモル化学量論的過剰量として定義される。100のイソシアネート指数は、100を乗算した、1.0モルのイソシアネート反応性基当たり1.0モルのイソシアネート基が存在するように、化学量論的過剰量が存在しないことを意味する。実施形態において、イソシアネート指数は、約70~400の範囲であり得る。
【0079】
イソシアネート反応性成分に関して、ポリカーボネート系ポリオールは1種以上の追加のポリオールとブレンドされてもよい。例えば、ポリカーボネート系ポリオールは、イソシアネート反応性成分の5重量%~90重量%(例えば、5重量%~80重量%、10重量%~70重量%、10重量%~60重量%、15重量%~50重量%、15重量%~40重量%、15重量%~30重量%、15重量%~25重量%など)を構成してよい。追加のポリオールは、2~8の公称ヒドロキシル官能価および1,000g/mol~20,000g/molの数平均分子量を有するポリエーテルポリオールであり得る。
【0080】
得られる生成物の特性を調整するために、ポリウレタン生成物を形成するための反応混合物に様々な添加剤を添加してよく、例えば当該技術分野の当業者に既知である添加剤を使用することができる。添加剤は、イソシアネート成分および/またはイソシアネート反応性成分の一部として添加し得る。例示的な添加剤としては、触媒、接着促進剤、界面活性剤、水分捕捉剤、気泡開放剤、酸化防止剤、硬化剤、pH中和剤、UV安定剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤、充填剤、強化剤、難燃剤、顔料/染料、離型剤、および/または架橋剤が挙げられる。
【0081】
ポリウレタン生成物がフォームである場合、生成物はワンショット法、例えば、スラブ材プロセス(例えば、フリーライズフォームとして)、成形プロセス(例えば、型成形プロセスにおいて)または当該技術分野において既知の任意の他のプロセスなど、を使用して形成されてもよい。スラブ材プロセスにおいて、成分は、混合されて、配合物が反応し、少なくとも一方向に自由に拡大して、硬化するトラフまたは他の領域に注がれてもよい。スラブ材プロセスは商業規模で連続的に稼働することができる。成型プロセスにおいて、成分は、混合されて、配合物が反応し、型なしで少なくとも一方向に拡大して、硬化する型/箱(加熱または非加熱)に注がれてもよい。
【0082】
ポリウレタンフォームは、初期の周囲条件(すなわち、20℃~25℃の範囲の室温およびおよそ1気圧の標準気圧)で調製されてもよい。例えば、ポリウレタンフォームは、イソシアネート反応性成分への加熱または加圧を必要とせずに、変性コポリマーポリオールを介して添加される固体機能性添加剤(例えば、100℃を超える融点を有するポリマー)を含み得る。フォーム密度を低減し、フォームを軟化させるために、気圧未満の圧力条件で発泡させることもできる。フォーム密度を増大させ、その結果、押し込み力たわみ(IFD)で測定されるようなフォーム耐荷重性を増大させるために、気圧超の圧力条件で発泡させることができる。成形加工において、ポリウレタンフォームは、周囲条件を超える、例えば、50℃以上の初期成形温度で調製されてもよい。フォーム密度を増大させるために、型のオーバーパッキング、すなわち、必要以上の発泡材料を型に充填することができる。
【0083】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示がない限り重量による。特に明記しない限り、すべての分子量値は、数平均分子量に基づく。
【実施例】
【0084】
様々な実施例、比較例、ならびに実施例および比較例で使用される材料に関して、おおよその特性、特性、パラメータなどを以下に提供する。
【0085】
ポリカーボネート系ポリオールの調製
以下の材料が主に使用される。
【0086】
【0087】
様々な実施例を以下に論じる。
【0088】
実施例1~3-促進剤対促進剤なし
実施例1~3のそれぞれについて、予備段階の間に反応器を130℃に加熱し、1.5時間連続的に窒素パージして反応器の内容物を乾燥させる。これは、DMC、スターター1および促進剤1(使用する場合)添加後であるが、いずれのプロピレンオキシドも添加する前に行う。次いで、反応器を150℃に加熱し、18.4mLのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は11.7psigの初期圧力まで上昇し、触媒活性化の際に圧力は2psig未満に低下する。次いで反応器を100℃まで冷却し、二酸化炭素を供給し通気することにより、70psigにする。二酸化炭素を供給および通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。重合段階の間、プロピレンオキシドと二酸化炭素を表1に示すモル比で反応器に混合供給することによって、圧力を105psigに上昇させる。その後、混合供給を停止し、第1の消化段階では反応器内の圧力を95psigまで低下させる。第2の消化段階の前に、プロピレンオキシドと二酸化炭素の添加を同じモル比で再開し、反応器圧力が再び105psigに上昇するまで続ける。次いで、再び、混合供給を停止し、第2の消化段階の間、反応器内の圧力を95psigに低下させる。各反応物添加サイクルについて、反応器圧力が105psigから95psigに低下するのに要する時間、すなわち触媒活性の指標となる時間を以下の表1に示す。反応器圧力が2回目に95psigに低下した後、それ以上反応物を添加しない。反応器内の圧力プロファイルをたどり、一旦安定したら(すなわち、それ以上変化しない)、反応器を冷却し、反応器圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応のプロピレンオキシド、二酸化炭素および揮発性有機化合物を除去する。生成物をGPCおよびNMRにより分析した。
【0089】
実施例1:0.05グラムのDMCのサンプルを99.6グラムのスターター1に溶解させ、次いで上記に概説した一般的手順に従って1リットル容量の反応器中で乾燥させる。次いで、反応器を150℃に加熱し、18.4mLのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初11.7psigまで上昇し、触媒活性化の際に圧力は2psig未満に低下する。次いで反応器を100℃まで冷却し、二酸化炭素を供給し通気することにより、70psigにする。二酸化炭素を供給および通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。次に、続く重合段階の間に、重合条件下で3時間かけて、合計2.7gのプロピレンオキシドおよび2グラムの二酸化炭素を添加する。
【0090】
実施例2:0.05グラムのDMCのサンプルを99.6グラムのスターター1に溶解させ、次いで上記に概説した一般的手順に従って1リットル容量の反応器中で乾燥させる。次いで、反応器を150℃に加熱し、18.4mLのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初11.7psigまで上昇し、触媒活性化の際に圧力は2psig未満に低下する。次いで二酸化炭素を供給し次に通気することにより、反応器を100℃まで冷却し、70psigにする。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。次に、続く重合段階の間に、重合条件下で2.5時間かけて、合計61.5gのプロピレンオキシドおよび10.1グラムの二酸化炭素を添加する。
【0091】
実施例3:0.05グラムのDMCのサンプルおよび0.5グラムの促進剤1を99.6グラムのスターター1に溶解させ、次いで上記に概説した一般的手順に従って1リットル容量の反応器中で乾燥させる。次いで、反応器を150℃に加熱し、18.4mLのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初11.7psigまで上昇し、触媒活性化の際に圧力は2psig未満に低下する。次いで二酸化炭素を供給し次に通気することにより、反応器を100℃まで冷却し、70psigにする。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。次に、続く重合段階の間に、重合条件下で2.5時間かけて、合計75.9gのプロピレンオキシドおよび12.5グラムの二酸化炭素を添加する。
【0092】
【0093】
上記を参照すると、促進剤の使用は、促進剤が存在しない場合と比較して、DMC触媒を使用するときのプロセスを改善することができると考えられる。例えば、実施例3に関しては、実施例2と比較した場合、活性は約6倍に増加し、二酸化炭素組み込みは約34倍に増加した。特に、実施例3は、99.6%のポリオール収率をもたらした。
【0094】
実施例4~6-各種量の促進剤
予備段階の間、表2に示す量の所定量のDMC触媒および促進剤1を144グラムのスターター1に溶解し、1L容量の反応器中で130℃に加熱し、連続的に2時間窒素パージすることにより乾燥する。次いで、反応器を150℃に加熱し、21.6グラムのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初約10psigまで上昇し、触媒活性化の際に圧力は2psig未満に低下する。次いで反応器を表2に示す反応温度(T)まで冷却し、二酸化炭素を供給し次に通気することにより圧力を70psigにする。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0095】
その後、圧力を表2に示す反応圧力(P)まで増減させ重合段階を開始する。重合段階の間、プロピレンオキシドを表2に記載の量(オキシド)に達するまで1mL/分の速度で供給する。オキシドの供給中、圧力が表2に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じてCO2を供給し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したらCO2の供給を停止することで目標圧力を維持する。プロピレンオキシド供給を停止した後、反応器内の圧力がそれ以上変化しなくなるまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持する。その後、反応器を室温に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を30分間窒素パージし、未反応プロピレンオキシドおよび二酸化炭素を除去する。生成物をGPCおよびNMRにより分析した。
【0096】
【0097】
表2を参照すると、実施例4~6は、DMC触媒と促進剤との組み合わせが、温和な温度および圧力条件下という提供された定義に従って、最初に触媒の組み合わせを窒素下にて活性化し、その後低圧で二酸化炭素を添加することで、0.3重量%~10.4重量%のレベルでポリエーテルポリオールへの二酸化炭素の組み込みを可能にすることを実証する。促進剤とDMC触媒は、1:1~20:1(例えば、2:1~15:1、3:1~12:1、4:1~10:1など)の重量比で存在してもよい。
【0098】
実施例7~12-各種温度および圧力
予備段階の間に、DMC触媒(0.027グラム)および表3に示す量の促進剤2を乾燥条件下のボトル内で140グラムのスターター1と混合し、45分間超音波処理する。ボトルの内容物を1L容量の反応器に添加し、その後の全工程において撹拌する。次いで、反応器を130℃に加熱し、2時間連続的に窒素パージする。反応器の通気口を閉じて窒素流を止めた後、二酸化炭素を供給し、次いで通気することによって、圧力を70psigにしながら反応器内の温度を140℃に上昇させる。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0099】
次いで、二酸化炭素を供給することによって反応器を60psigにし、15.6グラムのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初に約10~20psig上昇し、触媒活性化の際に圧力は約60~65psigまで低下する。次いで反応器を表3に定義された温度(T)および圧力(P)にし、それにより重合段階を開始する。重合段階の間、プロピレンオキシドを1mL/分の速度で供給し、259グラムのプロピレンオキシドを供給したら停止する。オキシドの供給中、圧力が表3に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じて二酸化炭素を供給し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したら二酸化炭素の供給を停止することで目標圧力を維持する。プロピレンオキシド供給を停止した後、反応器内の圧力がそれ以上変化しなくなるまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持する。その後、反応器を室温に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応プロピレンオキシドおよび二酸化炭素を除去する。生成物をGPCおよびNMRにより分析した。
【0100】
【0101】
表3を参照すると、実施例7は、促進剤を添加しない以外は実施例8での操作と同じプロセスで操作される比較例である。実施例7は、促進剤を添加して行った同一のプロセスと比較して、著しく長い消化時間および合計バッチ時間を必要とする。
【0102】
特に、実施例7~12は、促進剤の存在下において、二酸化炭素下でプロピレンオキシドなどのオキシドを添加することによって最初にDMC触媒を活性化し、次いで温和な温度および圧力条件の下でオキシドおよび二酸化炭素を添加し続けることで、例示的な実施形態による方法を首尾よく開始し操作できることを実証している。この方法は、窒素雰囲気下で行われる別個の触媒活性化工程の排除を可能にする。さらに、このプロセスは、温和な二酸化炭素圧力下でDMC触媒を直ちに活性化し、その後、そのプロセス(例えば、半回分法)が完了するまで、オキシドおよび二酸化炭素を連続的に添加することを可能にする。したがって、反応器にかける貴重な時間を節約できる。
【0103】
実施例13~17-各種促進剤
予備段階の間に、DMC触媒(0.028グラム)および促進剤(表4に従う種類および量)を乾燥条件下のボトル内で144グラムのスターター1と混合し、45分間超音波処理する。ボトルの内容物を1L容量の反応器に添加し、その後の全工程において撹拌する。次いで、反応器を130℃に加熱し、2時間連続的に窒素パージする。反応器の通気口を閉じて窒素流を止めた後、二酸化炭素を供給し、次いで通気することによって、圧力を70psigにしながら反応器内の温度を140℃に上昇させる。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0104】
次いで、二酸化炭素を供給することによって反応器を60psigにし、16.0グラムのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初に約10~20psig上昇し、触媒活性化の際に圧力は約60~65psigまで低下した。次いで二酸化炭素を供給することにより、反応器を110℃および100psigにする。重合段階の間、プロピレンオキシドを1mL/分の速度で供給し、266.8グラムのプロピレンオキシドを供給したら停止する。オキシドの供給中、圧力が上記に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じて二酸化炭素を供給することで目標圧力を維持し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したら二酸化炭素の供給を停止する。プロピレンオキシド供給を停止した後、反応器内の圧力がそれ以上変化しなくなるまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持する。その後、反応器を室温に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応プロピレンオキシドおよび二酸化炭素を除去する。生成物をGPCおよびNMRにより分析した。
【0105】
【0106】
表4を参照すると、異なる種類の促進剤を使用した例示的な実施形態に従うプロセスが示されている。
【0107】
実施例18-種々のオキシド
予備段階の間に、DMC触媒(0.454グラム)および促進剤2(2.538グラム)を乾燥条件下のボトル内で908グラムのスターター2と混合し、45分間超音波処理する。ボトルの内容物を6L容量の反応器に添加し、その後の全工程において撹拌する。次いで、反応器を130℃に加熱し、2時間連続的に窒素パージする。反応器の通気口を閉じて窒素流を止めた後、二酸化炭素を供給し、次いで通気することによって、圧力を70psigにしながら反応器内の温度を140℃に上昇させる。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0108】
次いで、二酸化炭素を供給することによって反応器を60psigにし、100.8グラムのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初に約10~20psig上昇し、触媒活性化の際に圧力は60~65psigまで低下する。次いで二酸化炭素を供給することにより、反応器を105℃および90psigにする。重合段階の間に、合計4162グラムのプロピレンオキシドと672グラムのエチレンオキシドが供給されるまで、プロピレンオキシドを12mL/分で供給し、エチレンオキシドを1.62g/分で供給する。オキシドの供給中、圧力が表3に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じて二酸化炭素を供給することで目標圧力を維持し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したら二酸化炭素の供給を停止する。プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの供給を停止した後、反応器内の圧力がそれ以上変化しなくなるまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持するまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持する。その後、反応器を室温に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応プロピレンオキシド、エチレンオキシドおよび二酸化炭素を除去する。得られたポリオール生成物はGPC分析によると2837g/モルの数平均分子量を有し、96.7%のポリオール選択性と共に5.2重量%のCO2を含む。
【0109】
実施例18は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および二酸化炭素を含有するポリオールを二酸化炭素の目標重量%の組成で調製することができ、得られたポリオールは、二酸化炭素を使用せずに生成した同様のポリエーテルポリオールと比較して、良質の軟質ポリウレタンフォームを生成することを実証している。
【0110】
実施例18のポリオールを、例示的ポリウレタン配合物における使用についてさらに試験する。特に、実施例18をTDI(The Dow Chemical CompanyからVORANATE(商標)として市販されている)と表5の配合で組み合わせて、軟質ポリウレタンフォームを調製する。配合物のフォームを、同様のヒドロキシル当量およびエチレンオキシド含有量であるが、共反応物として二酸化炭素を含まない同様のポリエーテルポリオールと比較する。比較例のポリオールは、DMC触媒を用いて調製された、The Dow Chemical Companyから入手可能な市販のポリオールであるVORANOL(商標)8136を用いて調製される。
【0111】
表5の実施例19~21のフォーム例を調製するために、38cm×38cm×24cmの木箱を箱型発泡成形のために使用し、それを容易に離型するためにプラスチックフィルムでライニングした。高剪断ピン型ミキサーを使用して材料を混合する。KOSMOS(登録商標)29およびVORANATE(商標)T-80 TDIを除く成分を2400rpmの速度で15秒間混合する。次いで、2400rpmでさらに15秒間混合しながらKOSMOS(登録商標)29を添加する。次に、3,000rpmの高速でさらに3秒間混合しながらTDIを添加する。その後、得られた混合物を箱に注ぐ。切断および試験の前にフォームを一晩硬化させる。表5を参照すると、実施例19および20は市販のポリオールを用いて調製される。実施例21は、例示的な実施形態に従って、実施例18のポリオールを用いて調製される。
【0112】
【0113】
実施例19~20のフォームの性質を以下の表6に示す。
【0114】
【0115】
表6に示すように、実施例18のポリオールから調製された軟質ポリウレタンフォームは、CO2を含有しないポリオールから調製された軟質ポリウレタンフォームの性質と非常に類似した物理的性質を有する。
【0116】
実施例22~23-様々な分子量および官能価を有するポリオール
予備段階の間に、DMC触媒(0.0461グラム)および促進剤2(0.258グラム)を乾燥条件下のボトル内で、135グラムのスターター3と混合し、45分間超音波処理する。ボトルの内容物を1L容量の反応器に添加し、その後の全工程において撹拌する。次いで、反応器を130℃に加熱し、2時間連続的に窒素パージする。反応器の通気口を閉じて窒素流を止めた後、二酸化炭素を供給し、次いで通気することによって、圧力を70psigにしながら反応器内の温度を140℃に上昇させる。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0117】
次いで、二酸化炭素を供給することによって反応器を60psigにし、15グラムのプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初に約10~20psig上昇し、触媒活性化の際に圧力は約60~65psigまで低下した。次いで二酸化炭素を供給することにより、反応器を110℃および100psigにする。重合段階の間、プロピレンオキシドを1.5mL/分の速度で供給し、合計538.7グラムのプロピレンオキシドを供給したら停止する。オキシドの供給中、圧力が上記に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じて二酸化炭素を供給し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したら二酸化炭素の供給を停止することで目標圧力を維持する。プロピレンオキシド供給を停止した後、反応器内の圧力がそれ以上変化しなくなるまで、二酸化炭素を供給し消化することにより圧力を維持する。その後、反応器を室温に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応プロピレンオキシドおよび二酸化炭素を除去する。生成物をGPCおよびNMRにより分析した。結果を表7に示す。
【0118】
【0119】
実施例22および23はさらに、異なる分子量、官能価および二酸化炭素含有量のポリオールが例示的な実施形態に従って調製され得ることを示している。
【0120】
実施例24および25-高圧でのポリオール調製
例示的な実施形態によれば、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオールは低圧で調製することができ、これは工業規模の操作に望ましい。しかしながら、実施形態はそのようなポリオールを高圧で調製することも含む。
【0121】
予備段階の間に、表7に示す量でDMC触媒、促進剤2、およびスターター1を、乾燥条件下のボトル内で混合し、1時間超音波処理する。ボトルの内容物を1.8L容量の反応器に添加し、その後の全工程において撹拌する。次いで、反応器を130℃に加熱し、3時間連続的に窒素パージする。反応器の通気口を閉じて窒素流を止めた後、二酸化炭素を供給し、次いで通気することによって、圧力を70psigにしながら反応器内の温度を140℃に上昇させる。二酸化炭素を供給し通気するこのプロセスをさらに2回繰り返す。
【0122】
次いで、二酸化炭素を供給することによって反応器を70psigにし、表8に示す量のプロピレンオキシドの初期装入量を触媒活性化のために添加する。反応器内の圧力は最初に約10~20psig(0.0689~0.138MPa)上昇し、触媒活性化の際に圧力は70~75psigまで低下した。次いで二酸化炭素を供給することにより、反応器を110℃および表8に規定される圧力にする。目標の反応器圧力に達したら、プロピレンオキシドを表8に示す流量で供給し、表8に示すプロピレンオキシドの総量が供給されたときに停止する。オキシドの供給中、圧力が上記に示す反応器圧力より2.5psi下がったら必要に応じて二酸化炭素を供給し、反応器圧力が目標圧力よりも2.5psi高い圧力に達したら二酸化炭素の供給を停止することで目標圧力を維持する。プロピレンオキシド供給を停止した後、二酸化炭素の添加が停止されるまで二酸化炭素圧力を調整し続けることによって圧力を維持する。次いで、反応器を80℃に冷却し、反応器の圧力を通気させる。反応器の内容物を撹拌しながら30分間窒素パージし、未反応プロピレンおよび二酸化炭素を除去する。その後、生成物を室温に冷却し、GPCおよびNMRにより分析する。
【0123】
【0124】
実施例24および25の特性を以下の表9に示す。
【0125】
【0126】
実施例24および25は、実施形態は高圧で実施可能であるが、実施例10で使用したような低圧操作条件下で、同様の二酸化炭素組み込みレベルの、同様のポリオールを調製できることを示している。
【0127】
実施例26-ポリオールを調製する連続法
実施例26は、実施形態のプロセスが連続的なポリオール生成プロセスにおいて実施可能であること、および様々な二酸化炭素含有量のポリオールを、プロセス条件を操作することによって調製できることを示している。
【0128】
実施例26は、再循環ループ、機械撹拌機、および出口ポートを備えた、500mLの圧力反応器中で調製する。出口ポートには、75mlの体積に等しいチューブの加熱押し出し流れ用セクションを取り付けている。反応器の圧力は、プロセス制御コンピュータの制御下にある制御弁により、押し出し流れ用セクション出口で制御され、これにより反応器圧力を特定の圧力設定値に維持することが可能となる。反応器の出口は圧力制御弁を通ってサンプル収集瓶に到達し、そこで反応生成物が収集される。反応器はまた加熱式の外部再循環ループを備えている。反応器の内容物は、マイクロポンプギアポンプによって再循環ループを循環する。再循環ループは、ABB NIR分析器に取り付けられたNIRフローセルを備えている。NIR分析器は、反応混合物中のヒドロキシル含有量および未反応オキシラン濃度をモニターする。再循環ループはさらに、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、二酸化炭素、グリセリン(スターターとして)のための注入口、および触媒用の、2つの別々の注入口を備える。オキシド類、二酸化炭素、およびグリセリンを、プロセス制御コンピュータの制御下で、Bronkhorstマスフローコントローラを介して貯蔵シリンダーから再循環ループに分注する。
【0129】
DMC触媒を、プロピレングリコール中の2重量%懸濁液として調製する。促進剤2は、ジプロポキシn-ブタノール(DPnB)中の10%溶液として調製する。これらの成分は、Valco Instruments M50モデル分注ポンプを通して、それぞれ別々に、独立した速度で再循環ループに分注され、反応混合物中に所望の定常状態濃度のDMC触媒およびアルミニウムを提供する。
【0130】
全成分の供給比は、目標の数平均分子量、二酸化炭素重量%、エチレンオキシド重量%、およびプロピレンオキシド重量%のポリオールを生成するように制御される。添加速度は、反応器中に特定の滞留時間が生じるように制御される。滞留時間は、反応器の全内容物を一度に完全かつ正確に置換するのに、十分な重量の成分を反応器に供給するのに必要な時間として定義される。
【0131】
実施例18のポリエーテルカーボネートポリオール(375グラム)を反応器に入れる。ポリオールは、2837g/molに等しい数平均分子量を有し、5.9重量%のCO2(提供された定義による)を含有し、また3%のプロピレンカーボネートを含有する。ポリオールは、50ppmのDMC触媒、および5ppmのアルミニウムを含有する。混合物を撹拌し、130℃に加熱しながら窒素でパージする。反応器の内容物を乾燥させるために、反応器の撹拌および窒素パージを行いながら、130℃で90分間維持する。
【0132】
乾燥段階の後、窒素パージを停止し、反応器の通気口を閉じる。反応器圧力調整器を60psigの制御圧力に設定する。反応器の内容物は、反応器の温度が130℃で平衡になるまで、NIRフローセルを通って再循環して反応器に戻る。DMC触媒スラリー(MPG中2%)の添加を11.3マイクロリットル/分で開始し、促進剤2(DPnB中10%w/w)の添加を12.6マイクロリットル/分で開始する。プロピレンオキシドの添加を1グラム/分の速度で開始し12分間行い、次に2グラム/分の速度で12分間行い、次いでプロピレンオキシドの添加を2.67グラム/分に増やしながら、エチレンオキシドの添加を0.35グラム/分の速度で開始し、グリセリンの添加を0.065グラム/分で開始する。これらの流れは、1128g/モルのヒドロキシル当量および2.74のヒドロキシル官能価を有し、11.1重量%のEOを含有するポリエーテルポリオール生成物を生成する。
【0133】
反応器内の圧力が60psigに上昇すると、反応器出口の圧力制御弁が開いて生成物を反応器から流出させて収集瓶に入れることができる。圧力制御弁は、残りの反応器の稼働中にわたって反応器圧力を維持する。
【0134】
オキシドの添加は、320グラムのプロピレンオキシド、39グラムのエチレンオキシド、および28グラムのグリセリンを反応器に添加するまで維持し、その時点でプロピレンオキシドの添加速度を2.63グラム/分に減速させ、二酸化炭素の添加を0.04グラム/分の速度で開始する。他のすべての流れは以前と同様に維持する。反応器の温度を1時間かけて130℃から110℃にゆっくりと低下させ、その後その温度で維持する。低圧法では反応器圧力を46psigに低下させる。
【0135】
これらの流速および操作条件は、3時間の滞留時間、定常状態濃度75ppmのDMC触媒および定常状態濃度46ppmのアルミニウムで運転される連続法において、約1128g/モルのヒドロキシル当量を有し、11.1重量%のEOおよび1重量%のCO2を含有するポリオールを生成する。このプロセスは、合計の未反応オキシド濃度が2.0重量%以下の安定状態で稼働する。
【0136】
全成分の同時添加を、反応器中の滞留時間の24回以上に相当する、合計70時間維持する。得られた生成物を分析し、OH基濃度の滴定により測定して1026mgKOH/gのヒドロキシル当量、2950g/molの数平均分子量およびGPC分析により1.16の多分散度を有することが判明した。ポリオールは、FTIR分析により測定して1.2重量%の二酸化炭素および0.39重量%の環状プロピレンカーボネートを含有する。
【0137】
次いで、プロピレンオキシドの添加速度を2.61グラム/分に低下させ、二酸化炭素の添加速度を0.062グラム/分に上昇させる。DMC触媒スラリーの添加速度を14マイクロメートル/分に上昇させ、促進剤2溶液の添加速度を15.6マイクロメートル/分に上昇させる。反応器圧力を50psigに上昇させる。このプロセスは、合計2.0重量%以下の未反応オキシドの濃度で安定化し、応器中の滞留時間6回以上に相当する、16時間にわたって稼働を続ける。得られた生成物を分析し、OH基濃度の滴定により測定して1.63%のOH基濃度、3139の数平均分子量およびGPC分析により1.16の多分散度を有することが判明した。ポリオールは、FTIR分析により測定して1.5重量%のCO2および0.39重量%の環状プロピレンカーボネートを含有する。
【0138】
実施例26のポリオールから表10の配合に従ってポリウレタン軟質フォームを調製する。このフォームもまた、実施例26をVORANOL(商標)8136ポリオールで置き換えた同じ配合物を使用して調製したフォームと比較する。得られた2つのフォームの配合および性質を以下の表10に示す。
【0139】
【0140】
実施例27および26のフォームの性質を下記の表11に示す。
【0141】
【0142】
表11に示すように、共反応物としてCO2を使用しないで連続法で製造した類似のポリオールから調製したポリウレタンフォームに、非常に類似した性質を有する軟質ポリウレタンフォームを調製するために、連続アルコキシル化法において、共反応物としてCO2を使用して調製したポリオールが使用される。