(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】指導を支援するための装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20230727BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B19/00 G
(21)【出願番号】P 2020065124
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮下 朋士
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-225211(JP,A)
【文献】特開2002-140451(JP,A)
【文献】特開2002-007646(JP,A)
【文献】特開2017-073050(JP,A)
【文献】特開2019-191911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラスに対する指導計画の作成を支援するための指導支援システムであって、
前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を
前記クラス単位で選択するように構成された能力選択部と、
選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成するように構成された計画作成部と、を備
え、
前記能力は、学習において生徒に求められる能力であり、
前記質問の各々は、前記複数の能力の各々に対応していて、各質問に対する生徒からの回答が、当該各質問に対応する能力の高さを示すように設定されていて、
前記能力選択部は、前記複数の生徒の各々による回答に少なくとも基づいて、前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値を算出し、算出した前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値に少なくとも基づいて、前記1又は複数の特定能力を前記クラス単位で選択するように構成され、
前記計画作成部は、選択された前記1又は複数の特定能力の各々を強化するためのコンテンツを含む前記指導計画を作成する、
指導支援システム。
【請求項2】
前記能力選択部は、前記
クラス単位の統計値に少なくとも基づいて前記1又は複数の特定能力を仮に選択し、操作者による指示に応じて、前記1又は複数の特定能力の前記選択を確定させるように構成されている、
請求項1に記載の指導支援システム。
【請求項3】
前記能力選択部は、前記クラス単位の統計値が低い能力ほど優先されるように前記1又は複数の特定能力を選択するように構成されている、
請求項
1に記載の指導支援システム。
【請求項4】
前記コンテンツは、第1単位のコンテンツ、及び、前記第1単位よりも細かい第2単位のコンテンツを含み、
前記第1及び第2単位は、クラス単位、教科単位、単元単位、授業単位、及び、授業を進める際の進行項目単位の何れかを含む、
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の指導支援システム。
【請求項5】
コンピュータによって実行され、クラスに対する指導計画の作成を支援するための指導支援方法であって、
前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を前記クラス単位で選択する工程と、
選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成する工程と、を備
え、
前記能力は、学習において生徒に求められる能力であり、
前記質問の各々は、前記複数の能力の各々に対応していて、各質問に対する生徒からの回答が、当該各質問に対応する能力の高さを示すように設定されていて、
前記選択する工程は、前記複数の生徒の各々による回答に少なくとも基づいて、前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値を算出し、算出した前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値に少なくとも基づいて、前記1又は複数の特定能力を前記クラス単位で選択し、
前記作成する工程は、選択された前記1又は複数の特定能力の各々を強化するためのコンテンツを含む前記指導計画を作成する、
指導支援方法。
【請求項6】
クラスに対する指導計画の作成を支援するため
のプログラムであって、コンピュータに、
前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を前記クラス単位で選択する処理と、
選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成する処理と、を実行さ
せるプログラムであり、
前記能力は、学習において生徒に求められる能力であり、
前記質問の各々は、前記複数の能力の各々に対応していて、各質問に対する生徒からの回答が、当該各質問に対応する能力の高さを示すように設定されていて、
前記選択する処理は、前記複数の生徒の各々による回答に少なくとも基づいて、前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値を算出し、算出した前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値に少なくとも基づいて、前記1又は複数の特定能力を前記クラス単位で選択し、
前記作成する処理は、選択された前記1又は複数の特定能力の各々を強化するためのコンテンツを含む前記指導計画を作成する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラスに対する指導を支援するための装置、方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、教員の負担を軽減するために、各教科における指導内容、指導順序、使用教材、及び、時間配分等が具体的に定められた指導計画の作成を支援するための仕組みが提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の仕組みでは、指導計画の作成に関する教員の負担が軽減され得るものの、作成される指導計画の品質については改善の余地があった。例えば、従来の仕組みでは、教員が担当するクラスの現状に応じた指導計画の作成が十分に支援されているとは言えなかった。
【0005】
本発明は、クラスの現状に応じた指導を支援することを目的の1つとする。本発明の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るシステムは、クラスに対する指導を支援するための指導支援システムであって、前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を選択するように構成された能力選択部と、選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成するように構成された計画作成部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、質問に対する生徒からの実際の回答に基づいて複数の能力の中から特定能力を選択し、選択された特定能力に基づいて指導計画を作成することができる。この結果、上記システムは、クラスの現状の能力に応じた当該クラスに対する指導を支援することができる。
【0008】
また、上記システムにおいて、前記能力選択部は、前記回答に少なくとも基づいて前記1又は複数の特定能力を仮に選択し、操作者による指示に応じて、前記1又は複数の特定能力の選択を確定させるように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、生徒からの回答に基づいて特定能力を仮に選択した上で、操作者が、その他の要因等に応じて、選択される特定能力を変更することを可能とする。
【0009】
また、上記システムにおいて、前記能力選択部は、前記複数の生徒の各々による回答に少なくとも基づいて、前記複数の能力の各々を示す値の前記クラス単位の統計値(例えば、平均値、又は、中央値等)を算出し、算出した前記複数の能力の各々の前記クラス単位の統計値に少なくとも基づいて、前記1又は複数の特定能力を選択するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、能力を示す値のクラス単位の統計値に基づく特定能力の選択を可能とする。
【0010】
また、上記システムにおいて、前記能力選択部は、前記クラス単位の統計値が低い能力ほど優先されるように前記1又は複数の特定能力を選択するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、クラス単位で低い能力が特定能力として選択されることを促す。
【0011】
また、上記システムにおいて、前記計画作成部は、選択された前記1又は複数の特定能力の各々を強化するためのコンテンツを前記指導計画に含めるように構成されている、ようにしてもよい。コンテンツは、例えば、教員に対するアドバイスを含む。こうすれば、特定能力を強化するためのコンテンツを教員に対して提供することができる。
【0012】
また、上記システムにおいて、前記コンテンツは、第1単位のコンテンツ、及び、前記第1単位よりも細かい第2単位のコンテンツを含み、前記第1及び第2単位は、クラス単位、教科単位、単元単位、授業単位、及び、授業を進める際の進行項目(工程を含む。)単位の何れかを含む、ようにしてもよい。こうすれば、クラス単位、教科単位、単元単位、授業単位、及び、進行項目単位等の相互に細かさが異なる複数の単位で、特定能力を強化するためのコンテンツを教員に対して提供することができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る方法は、コンピュータによって、クラスに対する指導を支援するための指導支援方法であって、前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を選択する工程と、選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成する工程と、を備える。
【0014】
この構成によれば、質問に対する生徒からの実際の回答に基づいて複数の能力の中から特定能力を選択し、選択された特定能力に基づいて指導計画を作成することができる。この結果、上記方法は、クラスの現状の能力に応じた当該クラスに対する指導を支援することができる。
【0015】
本発明の実施形態に係るプログラムは、クラスに対する指導を支援するための指導支援プログラムであって、コンピュータに、前記クラスに属する複数の生徒の各々による質問に対する回答に少なくとも基づいて、複数の能力の中から1又は複数の特定能力を選択する処理と、選択された前記1又は複数の特定能力に少なくとも基づいて、前記クラスに対する前記指導計画を作成する処理と、を実行させる。
【0016】
この構成によれば、質問に対する生徒からの実際の回答に基づいて複数の能力の中から特定能力を選択し、選択された特定能力に基づいて指導計画を作成することができる。この結果、上記プログラムは、クラスの現状の能力に応じた当該クラスに対する指導を支援することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な実施形態は、クラスの現状に応じた指導を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る指導支援サーバ10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。
【
図2】指導計画を作成する際にサーバ10が実行する処理を例示するフローチャートである。
【
図4】能力別アドバイス画面58を例示する図である。
【
図5】能力別アドバイス情報管理テーブルが有するデータ項目を例示する図である。
【
図9】項目選択領域82において、ふりかえりポイントボタン822が選択されている状態の授業単位情報画面80を例示する図である。
【
図10】項目選択領域82において、第2工程ボタン8232が選択されている状態の授業単位情報画面80を例示する図である。
【
図11】工程・能力別アドバイス画面90を例示する図である。
【
図12】授業項目能力別アドバイス情報管理テーブルが有するデータ項目を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の又は類似する構成要素に対しては同一の参照符号が付され得る。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る指導支援サーバ10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。サーバ10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワークNWを介して、教員が使用する教員用端末30、及び、生徒が使用する生徒用端末40と通信可能に接続されている。サーバ10は、教員用端末30を使用する教員による指導計画の作成を支援する機能を有する。サーバ10は、本発明の指導支援システムの全部又は一部を実装する装置の一例である。
【0021】
指導支援サーバ10は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。具体的には、サーバ10は、
図1に示すように、CPU及びGPU等を含むコンピュータプロセッサ11と、DRAM等によって構成されデータやプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12と、操作者等との間で情報のやり取りを行う入出力インタフェース13と、有線又は無線の通信を制御する通信インタフェース14と、磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成されデータやプログラムを記憶するストレージ15と、を備える。コンピュータプロセッサ11は、ストレージ15に記憶されているプログラムをメインメモリ12に読み込んで、当該プログラムに含まれる命令を実行する。
【0022】
入出力インタフェース13は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置、ディスプレイ等の画像出力装置、及びスピーカ等の音声出力装置を含む。通信I/F14は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0023】
ストレージ15は、様々なデータを記憶する。例えば、ストレージ15は、
図1に示すように、標準の指導計画に関する情報を管理する標準指導計画DB151と、能力別のコンテンツを管理する能力別コンテンツDB152と、個別のクラスに関する情報を管理するクラス情報DB153とを有する。
【0024】
サーバ10は、ストレージ15等に記憶されているプログラムに含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって、
図1に示すように、アンケート調査部111、能力選択部112、計画作成部113、及び計画表示部114として機能する。これらの機能の一部又は全部は、サーバ10と、教員用端末30又は生徒用端末40とが協働することによって実現され、又は、教員用端末30又は生徒用端末40によって実現され得る。
【0025】
アンケート調査部111は、クラスに属する生徒に対するアンケート調査に関する様々な処理を実行する。例えば、アンケート調査部111は、生徒用端末40においてアンケートの質問を表示すると共に、当該端末40を介して、生徒からの回答を受け付けるように構成されている。アンケートの調査結果は、例えば、クラス情報DB153において管理される。
【0026】
能力選択部112は、予め定められた複数の能力(「資質」と言うこともできる。)からの強化対象能力(特定能力)の選択に関する様々な処理を実行する。複数の能力は、例えば、学習指導要領等に基づいて予め定められた生徒に求められる能力である。本実施形態において、強化対象能力は、対応するクラスにおいて強化すべき能力として選択される。例えば、能力選択部112は、アンケートの調査結果に基づいて、複数の能力の中から所定数の強化対象能力を選択するように構成されている。
【0027】
計画作成部113は、クラスに対する指導計画の作成に関する様々な処理を実行する。例えば、計画作成部113は、能力選択部112によって選択された所定数の強化対象能力に基づいて、クラスに対する指導計画を作成するように構成されている。指導計画は、例えば、標準指導計画DB151において管理されている情報、及び、能力別コンテンツDB152において管理されているコンテンツを用いて作成される。作成された指導計画は、例えば、クラス情報DB153において管理される。
【0028】
計画表示部114は、作成された指導計画の表示に関する様々な処理を実行する。例えば、計画表示部114は、教員による指示に応じて、教員用端末30において指導計画の一部を表示するように構成されている。
【0029】
教員用端末30は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。具体的には、端末30は、図示するように、CPU及びGPU等を含むコンピュータプロセッサ31と、DRAM等によって構成されデータやプログラムを一時的に記憶するメインメモリ32と、操作者等との間で情報のやり取りを行う入出力インタフェース33と、有線又は無線の通信を制御する通信インタフェース34と、磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成されデータやプログラムを記憶するストレージ35とを備える。コンピュータプロセッサ31は、ストレージ35に記憶されているプログラムをメインメモリ32に読み込んで、当該プログラムに含まれる命令を実行する。
【0030】
入出力インタフェース33は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置、ディスプレイ等の画像出力装置、及びスピーカ等の音声出力装置を含む。通信I/F34は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0031】
教員用端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等として構成される。端末30は、ストレージ35等にインストールされているウェブブラウザ又はその他のアプリケーションを介したサーバ10との間の通信を伴って各種の画面を表示する。
【0032】
生徒用端末40は、教員用端末30と同様に、一般的なコンピュータとしての構成を有し、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等として構成される。
【0033】
次に、このように構成された本実施形態の指導支援サーバ10の動作について説明する。
図2は、指導計画を作成する際にサーバ10が実行する処理を例示するフローチャートである。サーバ10は、まず、図示するように、複数の能力の中からの強化対象能力の選択を受け付ける(ステップST100)。強化対象能力の選択の受付は、教員用端末30に表示される画面を介して行われる。
【0034】
図3は、教員用端末30において表示される能力選択画面50を例示する。当該画面50は、図示するように、特定のクラス(
図3の例では、「x年y組」)に属する複数の生徒を調査対象とした複数の能力に関するアンケート調査の結果を表示する調査結果表示領域52と、確定ボタン54とを有する。
【0035】
調査結果表示領域52は、アンケートにおける個別の質問に関する情報を一覧表示し、具体的には、
図3に示すように、質問内容、質問日時、回答比率、及び、クラス平均/学年平均を一覧表示する。また、当該領域52において表示される一覧の各行の先頭(左側端部)において、チェックボックス521が配置されている。
【0036】
ここで、領域52において結果が表示されるアンケート調査は、複数の能力の各々を示す値を生徒自身に回答させたものである。例えば、「振り返り力」という能力に関しては、「何を学ぶことができたか、自分にどんな力が身についたか振り返りをしている」という質問(設問)に対して、「4:とてもあてはまる」、「3:まあまああてはまる」、「2:あまりあてはまらない」、及び「1:まったくあてはまらない」という4つの選択肢の中から自身に当てはまる選択肢を回答として選択させる。同様に、他の能力についても、対応する質問に対して4つの選択肢の中から当てはまる選択肢を選択させる。このように、本実施形態において、アンケート調査における個別の質問は、個別の能力に対応している。
【0037】
調査結果表示領域52において、回答比率は、4つの選択肢の各々の回答比率をグラフ形式で表示する。また、クラス平均/学年平均は、4つの選択肢の中から選択された選択肢に対応する数値(1~4)の平均値を表示する。質問及び回答(選択肢)は、対応する能力が高いほど、選択肢に対応する数値が大きくなるように設定されているから、クラス平値は、その値が大きいほど、クラス全体としての対応する能力が高いことを表す。
【0038】
本実施形態では、アンケート調査における平均値が最も小さいから順に3つの能力が、対応するクラスにおいて強化すべき強化対象能力として自動的に選択される。強化対象能力として選択されると、調査結果表示領域52における対応する行におけるチェックボックス521が選択状態となる。教員は、チェックボックス521を介して、強化対象能力として選択する能力を変更することもできる。確定ボタン54が選択されると、調査結果表示領域52のチェックボックス521を介した強化対象能力の選択が確定する。
【0039】
なお、本発明の他の実施形態では、その他の基準で強化対象能力が自動的に選択される。また、自動的に選択された強化対象能力が、教員による指示(例えば、確定ボタン54の選択)を介することなく、そのまま確定するようにしてもよい。
【0040】
図2のフローチャートに戻る。こうして強化対象能力の選択を受け付けると、次に、サーバ10は、強化対象能力を強化するためのコンテンツを含む指導計画を作成する(ステップST102)。指導計画の作成は、標準指導計画DB151において管理されている情報、及び、能力別コンテンツDB152において管理されているコンテンツに基づいて行われる。
【0041】
本実施形態において、指導計画は、教科別に複数の単元から構成されるカリキュラムと、1の単元に対応する1又は複数の授業の各々の授業案と、を含む。これらのカリキュラム、及び、授業案の基本的な構成は、選択されている強化対象能力にかかわらず、共通である。そして、カリキュラム及び授業案の基本的な構成に対して、選択されている強化対象能力に対応するコンテンツが付加される。
【0042】
図4は、能力選択画面50の確定ボタン54の選択に応じて教員用端末30において表示される能力別アドバイス画面58を例示する。当該画面58は、作成された指導計画において、教科にかかわらず(全ての教科に対して)適用される、強化対象能力を強化するためのアドバイスを表示する。例えば、
図4に例示される能力別アドバイス画面58では、3つの強化対象能力「振り返り力」、「自己表現力」、「理由をつける力」の各々について、能力を伸ばすための教員に対するアドバイスが表示されている。これらのアドバイスは、選択されている強化対象能力に応じて指導計画に付加された能力別のコンテンツである。
【0043】
図5は、能力別アドバイス情報管理テーブルが有するデータ項目を例示する。当該テーブルは、能力別コンテンツDB152に格納される。当該テーブルは、図示するように、個別の能力を識別する「能力ID」に対応付けて、「アドバイス情報」等の情報を管理する。能力別アドバイス画面58において表示される能力別のアドバイスは、当該能力別情報管理テーブルの「アドバイス情報」から取得される。
【0044】
図6は、作成された指導計画を表示するための指導計画画面60を例示する。当該画面60は、図示するように、対応するクラスにおけるアンケート調査に関する活動状況を表示する活動状況表示領域62と、指導計画に含まれるカリキュラムを表示するカリキュラム表示領域64とを有する。
【0045】
活動状況表示領域62は、上述したアンケート調査に関連する活動の実施状況(実施の有無、又は、実施日時等)を表示する。本実施形態においては、例えば、1学期に初回のアンケート調査、及び、当該アンケート調査の結果に基づく上述した強化対象能力の選択が行われ、その後、2学期における2回目のアンケート調査、及び、3学期における3回目のアンケート調査がそれぞれ効果確認のために行われる。活動状況表示領域62は、これらの活動の実施状況を表示する。
【0046】
カリキュラム表示領域64は、指導計画に含まれる教科別の複数の単元を、その順序に従って表示し、具体的には、当該領域64には、各々が個別の単元に対応する複数の単元オブジェクト641が教科別に横方向に並べて配置される。当該オブジェクト641は、単元名を表示する。また、当該オブジェクト641において、その単元を扱う授業の日時/期間の予定/実績等を入力及び表示できるようにしてもよい。
【0047】
本実施形態において、上述したように、カリキュラムの基本的な構成(教科別の単元の内容及び順序)は、選択されている強化対象能力にかかわらず同一である。しかしながら、本発明の他の実施形態において、カリキュラムの基本的な構成が、選択されている強化対象能力に応じて変化するようにしてもよい。
【0048】
カリキュラム表示領域64に表示されている複数の単元オブジェクト641の何れかが選択されると、
図7に例示する単元単位情報画面70が表示される。当該画面70は、図示するように、選択された単元オブジェクト641に対応する単元に関する情報を表示し、具体的には、単元全体の目標、及び、単元を通して身につけたい力を表示する。
【0049】
本実施形態において、単元単位情報画面70において表示される単元単位の情報は、選択されている強化対象能力にかかわらず同一である。しかしながら、本発明の他の実施形態において、単元単位の情報の少なくとも一部は、選択されている強化対象能力に応じて変化するようにしてもよい。この場合、強化対象能力に応じて変化する情報は、能力別のコンテンツとして、能力別コンテンツDB152において管理される。
【0050】
図8は、授業単位情報画面80を例示する。当該画面80は、1回の授業の授業案(進め方)に関する情報を表示し、図示するように、授業を進める際の進行項目を選択するための項目選択領域82と、当該領域82において選択されている項目に対応するコンテンツを表示するコンテンツ表示領域84とを有する。
【0051】
本実施形態の指導計画において、個別の単元には、上述したように、1又は複数の授業が関連付けられており、授業単位情報画面80は、何れかの単元に関連付けられている個別の授業の授業案に関する情報を表示する。
【0052】
授業単位情報画面80の項目選択領域82は、
図8に示すように、本時目標ボタン821と、ふりかえりポイントボタン822と、工程表示領域823と、ふりかえりボタン824とを有する。また、工程表示領域823は、5つの第1~第5工程ボタン8231~8235を有する。これらのボタン821、822、8231~8235、824の何れかが選択されると、選択された項目に対応するコンテンツが領域84に表示される。
図8に例示される授業単位情報画面80は、項目選択領域82において、本時目標ボタン821が選択されている状態に対応しており、この場合、コンテンツ表示領域84において、「本時(今回の授業)の目標」が表示されている。
【0053】
本実施形態において、項目選択領域82を介して選択されるボタン821、822、8231~8235、824のうちの一部については、その選択に応じてコンテンツ表示領域84において表示されるコンテンツが、強化対象能力に応じて変化する能力別のコンテンツである。例えば、本実施形態において、ふりかえりポイントボタン822の選択に応じてコンテンツ表示領域84において表示される「ふりかえりポイント」は、強化対象能力に応じて変化する能力別のコンテンツである。
【0054】
図9は、項目選択領域82において、ふりかえりポイントボタン822が選択されている状態の授業単位情報画面80を例示する。この場合、図示するように、コンテンツ表示領域84は、今回の授業における3つの振り返りポイントを表示し、これらの3つの振り返りポイントは、選択されている3つの強化対象能力にそれぞれ対応している。
【0055】
また、工程表示領域823に配置される第1~第5工程ボタン8231~8235の各々の選択に応じてコンテンツ表示領域84を介して表示される情報は、選択されている強化対象能力に応じて変化する能力別のコンテンツである。
【0056】
図10は、項目選択領域82において、第2工程ボタン8232が選択されている状態の授業単位情報画面80を例示する。この場合、図示するように、コンテンツ表示領域84は、授業を進める際の第2工程である「課題提示」に関する情報を表示すると共に、当該第2工程に関連付けられている強化対象能力を表示するための能力表示領域841が右側端部に配置される。当該領域841は、工程表示領域823に配置される第1~第5工程ボタン8231~8235の何れかが選択されている場合にコンテンツ表示領域84の右側端部に配置される領域であり、選択されている工程に関連づけられている能力に対応する能力オブジェクト8411を表示する。
【0057】
図11は、能力表示領域841において表示されている1又は複数の能力オブジェクト8411の何れかの選択に応じて表示される工程・能力別アドバイス画面90を例示する。当該画面90は、図示するように、選択中の工程における能力別のアドバイスを表示する。
【0058】
図12は、授業項目能力別アドバイス情報管理テーブルが有するデータ項目を例示する。当該テーブルは、能力別コンテンツDB152に格納される。当該テーブルは、図示するように、個別の教科に含まれる個別の単元における個別の授業を識別する「教科単元授業ID」、及び、授業における個別の進行項目を識別する「項目ID」の組合せに対応付けて、「アドバイス情報」等の情報を管理する。授業単位情報画面80のコンテンツ表示領域84、及び、工程・能力別アドバイス画面90において表示される能力別の情報は、当該テーブルの「アドバイス情報」から取得される。
【0059】
このように、本実施形態では、指導計画を表示するための各種の画面において、選択されている強化対象能力に応じたコンテンツが表示され、教員は、こうしたコンテンツによって、担当クラスの強化対象能力を強化するための指導方法に関する知見を得ることができる。
【0060】
本実施形態において、指導計画に含まれる授業案に従って授業を進めるための機能(例えば、教員用端末30と生徒用端末40とを用いて授業をインタラクティブに進めるための機能等)を実装し、例えば、授業単位情報画面80を介して利用できるようにしてもよい。また、各学期において行われるアンケート調査とは別に、個別の授業で用いられるワークシートや授業の最後に行われるミニアンケート等の教材を提供する機能を実装してもよい。これらのコンテンツは、強化対象能力に応じて用意されてもよい。
【0061】
以上説明した本発明の実施形態に係る指導支援サーバ10は、質問に対する生徒からの実際の回答に基づいて複数の能力の中から強化対象能力(特定能力)を選択し、選択された強化対象能力に基づいて指導計画を作成することができる。また、指導支援サーバ10は、強化対象能力を強化するための知見や教材を提供することができる。この結果、当該サーバ10は、クラスの現状の能力に応じた当該クラスに対する指導を支援することができる。
【符号の説明】
【0062】
10…指導支援サーバ、11…コンピュータプロセッサ、111…アンケート調査部、112…能力選択部、113…計画作成部、114…計画表示部、15…ストレージ、151…標準指導計画DB、152…能力別コンテンツDB、153…クラス情報DB、50…能力選択画面、58…能力別アドバイス画面、60…指導計画画面、70…単元単位情報画面、80…授業単位情報画面、90…工程・能力別アドバイス画面。