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特許7320483月別売上計上装置、月別売上計上方法、及び月別売上計上プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】月別売上計上装置、月別売上計上方法、及び月別売上計上プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20230727BHJP
【FI】
G06Q40/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020167754
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059878
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-05-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西澤 慎治
(72)【発明者】
【氏名】北野 繁彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156406(JP,A)
【文献】特開2017-174400(JP,A)
【文献】特開2011-159260(JP,A)
【文献】特開平8-185455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 40/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた月別売上計上装置であって、
前記制御部は、
受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理手段と、
前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理手段と、
を備えたことを特徴とする月別売上計上装置。
【請求項2】
前記売上計上処理手段は、前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月の明細については、請求処理を行って会計システムと会計連携し、当月請求分について、売上を計上した仕訳を作成することを特徴とする請求項1に記載の月別売上計上装置。
【請求項3】
前記売上計上処理手段は、仮売上として計上した仕訳について、発生日を当月締日とした振替仕訳を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の月別売上計上装置。
【請求項4】
制御部を備えた情報処理装置で実行される月別売上計上方法であって、
前記制御部で実行される、
受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理工程と、
前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理工程と、
を含むことを特徴とする月別売上計上方法。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための月別売上計上プログラムであって、
前記制御部において、
受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理工程と、
前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理工程と、
を実行させるための月別売上計上プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、月別売上計上装置、月別売上計上方法、及び月別売上計上プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業会計基準委員会により、2018年3月30日に、我が国における収益認識に関する包括的な会計基準である新収益認識基準が公表され、2021年4月から原則適用が開始される。新収益認識基準に対応するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-87031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、新収益認識基準に対応させて、月別の売上計上処理を簡易に行うことに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、新収益認識基準に対応させて、月別の売上計上処理を簡易に行うことが可能な月別売上計上装置、月別売上計上方法、及び月別売上計上プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた月別売上計上装置であって、前記制御部は、受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理手段と、前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記売上計上処理手段は、前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月の明細については、請求処理を行って会計システムと会計連携し、当月請求分について、売上を計上した仕訳を作成することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記売上計上処理手段は、仮売上として計上した仕訳について、発生日を当月締日とした振替仕訳を作成することにしてもよい。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される月別売上計上方法であって、前記制御部で実行される、受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理工程と、前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための月別売上計上プログラムであって、前記制御部において、受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データ入力する売上処理工程と、前記売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システムと会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理工程と、を実行させるための月別売上計上プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新収益認識基準に対応させて、月別の売上計上処理を簡易に行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、従来の他社システム(仮売上を使用する場合)を説明するための図である。
図2図2は、従来の他社システム(仮売上を使用しない場合)を説明するための図である。
図3図3は、本実施の形態に係る月別売上計上装置の処理イメージを示す図である。
図4図4は、本実施の形態に係る月別売上計上装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、本実施の形態における月別売上計上装置の全体の処理の一例を説明するためのフローを示す図である。
図6図6は、本実施の形態における月別売上計上装置の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
図7図7は、本実施の形態における月別売上計上装置の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0014】
[1.概要]
企業会計基準委員会により、2018年3月30日に、我が国における収益認識に関する包括的な会計基準である新収益認識基準が公表され、2021年4月から原則適用が開始される。
【0015】
例えば、総合物流業においては一契約の物流に伴い複数の作業が発生するが、業界の慣習としてそれらの収益を請求時点で認識している。そのため売上未請求の場合は通常の収益と分けて仮売上として管理していることが多い。仮売上はシステム的には管理することができず、通常の収益とは別にEXCELなどで管理している。新収益認識基準では、月別の収益計上が求められることになる。
【0016】
従来は、作業完了時点で全作業の収益を認識しているため、月別の正確な収益把握ができない。また、補助簿から会計システムへの連携を行う場合は、「補助簿での明細二重入力」、「会計システム側で仮売上分を売上に振り替える処理や赤黒伝票の作成」を手作業で行う必要がある。この件数は規模が大きい企業だと月に千件を超えることもあり、会計処理の運用の妨げになっている。
【0017】
図1及び図2を参照して、従来の他社システム(仮売上を使用する場合と仮売上を使用しない場合)を説明する。以下の説明では、金額の単位は全て「万円」としてその表記を
省略する。
【0018】
図1は、従来の他社システム(仮売上を使用する場合)を説明するための図である。ここでは、3月~4月にかけて作業が行われ、4/20に請求を行う受注の場合を説明する。他社システムでは、データとして実作業日を保持していない。同図では、参考のために(実作業日)を図示している。図1(C)において、3月は、実作業日が3月分の売上だけ入力して、3/31締で仮の請求書を作成して、図1(D)に示すように、仮売上を計上する。
【0019】
図1(E)において、4月は、3月作業を再度入力して、4/20締の請求書を作成する。3月分の2重入力が必要となる。図1(F)に示すように、2重入力分なので振替仕訳になるような運用・仕組みが必要となる。このように、仮売上を使用した従来の他社システムでは、4月に3月分明細の2重入力が必要となり、システム的に2重入力分から仮売上を計上する仕組みが複雑になり、仮売上台帳の管理が必要となる。原価につても同様である。
【0020】
図2は、従来の他社システム(仮売上を使用しない場合)を説明するための図である。ここでは、3月~4月にかけて作業が行われ、4/20に請求を行う受注の場合を説明する。他社システムでは、データとして実作業日は保持していない。同図では、参考のために(実作業日)を図示している。図2(C)において、3月は、実作業日が3月分の売上だけ入力して、3/31締で仮の請求書を作成する。図2(D)に示すように、3月で売上を計上するが、4月に本当の請求書を作成するので、2重計上にならないように、図2(E)に示すように、会計システムにおいて手作業で赤伝票を用意しておく。図2(F)において、4月は、3月作業を再度入力して、4/20締の請求書を作成する。このように、仮売上を使用しない従来の他社システムでは、3月に会計システムにおいて手作業で赤伝票作成し、4月に3月分明細の2重入力が必要となり、仮売上台帳の管理が必要となる。また、原価についても同様である。
【0021】
新収益認識基準では、「取引の成果が信頼性をもって見積もれる場合に、取引の進捗度に応じて認識されること」となっている。この新収益認識基準を適用する場合、作業完了時点で全作業の収益を認識する従来の方法では対応できず、月別の計上処理が求められるため、運用の複雑化やシステム対応などが必要になると予想される。
【0022】
そこで、本実施の形態では、新収益認識基準を適用する場合に、月別の計上処理を簡易に行うことが可能なシステムを構築し、補助簿システムに日々の入力を行うだけで、スムーズな会計処理を行えるように、収益計上処理の仕組みを簡素化した。
【0023】
具体的には、本実施の形態によれば、(1)売上明細毎に作業日を持たせることで、明細毎の計上内容の判別を可能にし、(2)仮売上から売上の振替が連携時に自動で行われるため、二重入力や手作業での入力は不要・仮売上の管理が補助簿システムでできるので、システム外での管理が不要となり、(3)原価も売上と同じように明細毎に計上日が決められるので、費用収益対応の原則に則り仮売上に対する仮原価(前払費用)の管理もできるように構成した。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る月別売上計上装置の処理イメージを示す図である。本実施の形態の月別売上計上装置では、明細毎に作業日や仮売上計上日を持たせることで、明細毎の計上内容の判別を可能にし、補助簿システムに伝票を入力するだけで、会計システムに仮売上から売上の振替を会計連携時に自動で行う。これにより、二重入力や手作業での入力が不要となり、新収益認識基準を適用する場合に、月別の売上計上処理を簡易に行うことが可能となる。
【0025】
[2.構成]
本実施の形態に係る月別売上計上装置100の構成の一例について、図4参照して説明する。図4は、月別売上計上装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
月別売上計上装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、月別売上計上装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0027】
月別売上計上装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。月別売上計上装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0028】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、月別売上計上装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、月別売上計上装置100と、サーバ200や会計システム400とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114で出力すること等をいい、例えば、モニタ114への表示出力やプリンタ114での印刷出力することの他、外部にデータを送信することを含む。
【0030】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、データファイル106aを備えている。
【0031】
データファイル106eは、受注データ、売上明細データ、請求データ等の各種データを格納するためのファイルである。
【0032】
受注データは、受注NO、行、受注先、受注内容、受注日、請求日(全作業完了日)等のデータを含んでいてもよい。請求日(全作業完了日)は、請求日(全作業完了日)に更新される。
【0033】
売上明細データは、売上番号、受注番号、行番号、売上先、売上内容、売上金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含んでいてもよい。仮売上計上日は、仮売上の計上日に更新される。明細に、売上内容の作業日と仮売上計上日のデータを保持することで、明細毎の計上内容の判別を可能にして、月別の売上計上処理を簡易化している。
【0034】
請求データは、請求先、売上内容、作業日、請求NO、仮売上計上日、請求金額のデータを含んでいてもよい。仮売上計上日は、仮売上の計上日に更新される。
【0035】
制御部102は、月別売上計上装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、受注処理部102aと、売上処理部102bと、売上計上処理部102cと、抽出処理部102dと、を備えている。
【0036】
受注処理部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の受注入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、受注NO、行、受注先、受注内容、受注日、請求日(全作業完了日)等のデータを含む受注データを入力して、データファイル106eに格納する。受注処理部102aは、受注データの請求日(全作業完了日)を請求日(全作業完了日)に更新する。
【0037】
売上処理部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の売上入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、売上番号、受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力して、データファイル106aに格納する。売上処理部102bは、売上明細データの仮売上計上日を、仮売上の計上日に更新する。
【0038】
売上計上処理部102cは、売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については(例えば、請求月>作業月)、請求処理を行わずに会計システム400と会計連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する。売上計上処理部102cは、売上明細データに基づいて請求データを作成して、データファイル106aに格納する。売上計上処理部102cは、請求データの仮売上計上日を、仮売上の計上日に更新する。
【0039】
また、売上計上処理部102cは、売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月の明細については、請求処理を行って会計システム400と会計連携し、当月請求分について、売上を計上した仕訳を作成することにしてもよい。
【0040】
また、売上計上処理部102cは、仮売上として計上した仕訳について、発生日を当月締日とした振替仕訳を作成してもよい。
【0041】
抽出処理部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示の抽出画面上でのオペレータの操作等に応じて、抽出条件(例えば、出力したい年月)を指定し、データファイル106eに格納されている売上明細データ等を参照して、指定した抽出条件に合致するデータを抽出して、抽出結果(例えば、売上内容、発生日、振替月、受注NO、前月残高、計上額、振替額、当月残高)を表示する。
【0042】
[3.具体例]
図4図7を参照して、本実施の形態における月別売上計上装置100の処理の具体例を説明する。まず、図5を参照して、本実施の形態における月別売上計上装置100の全体の処理の概略を説明する。図5は、本実施の形態における月別売上計上装置100の全体の処理の一例を説明するためのフローを示す図である。
【0043】
(全体の処理)
図5において、受注処理部102aは、受注入力処理を実行する(ステップS1)。具体的には、受注入力処理では、受注処理部102aは、例えば、モニタ114に表示される不図示の受注入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、受注データを入力して、データファイル106eに格納する。
【0044】
売上処理部102bは、売上入力処理を実行する(ステップS2)。具体的には、売上入力処理では、売上処理部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の売上入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、売上番号、受注番号、行番号、売上内容、売上金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力して、データファイル106aに格納する。
【0045】
売上計上処理部102cは、売上計上処理を実行する(ステップS3)。具体的には、売上計上処理では、売上計上処理部102cは、売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については(例えば、請求月>作業月)、請求処理を行わずに会計システム400と連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する。
【0046】
また、売上計上処理では、売上計上処理部102cは、売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月の明細については、請求処理を行って会計システム400と会計連携し、当月請求分について、売上を計上した仕訳を作成することにしてもよい。
【0047】
また、売上計上処理では、売上計上処理部102cは、仮売上として計上した仕訳について、発生日を当月締日とした振替仕訳を作成してもよい。
【0048】
抽出処理部102dは、抽出処理を実行する(ステップS4)。具体的には、抽出処理では、抽出処理部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示の抽出画面上でのオペレータの操作等に応じて、抽出条件(例えば、出力したい年月)を指定し、データファイル106eに格納されている売上明細データ等を参照して、指定した抽出条件に合致するデータを抽出して、抽出結果(例えば、売上内容、発生日、振替月、受注NO、前月残高、計上額、振替額、当月残高)を表示する。
【0049】
つぎに、図4図7を参照して、本実施の形態における月別売上計上装置100の処理の具体例を説明する。図6及び図7は、本実施の形態における月別売上計上装置100の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0050】
(売上計上処理)
図6において、図6(A)は、受注データの一部の例を示しており、図6(A)に示す受注データの例では、受注NO「J001」、請求日(全作業完了日)「4/20」となっている。
【0051】
図6(B)は、売上明細データの一部の例を示している。図6(B)に示す売上明細データの例では、1行目は、受注NO「J001」、行番号「1」、売上内容「外地の通関費用」、金額「100」、作業日「3/21」、仮売上計上日「-」、2行目は、受注NO「J001」、行番号「2」、売上内容「海上運賃」、金額「200」、作業日「3/27」、仮売上計上日「-」となっている。3行目は、受注NO「J001」、行番号「3」、売上内容「国内の通関費用」、金額「300」、作業日「4/4」、仮売上計上日「-」、4行目は、受注NO「J001」、行番号「4」、売上内容「国内配送」、金額「400」、作業日「4/6」、仮売上計上日「-」となっている。売上明細毎に、作業日と仮売上計上日を保持している。仮売上計上日は、仮売上の計上日に更新される。
【0052】
売上計上処理部102cは、請求データについて、当月の作業分の入力を行い、会計システム400と会計連携する。具体的には、当月が請求月でない場合(請求月>作業月)は請求処理を行わずに会計システム400と会計連携して、発生日を作業日として仮売上として計上した仕訳(借方「債権」/貸方「仮売上」)を作成する。仮売上として計上すると、請求データの仮売上計上日を仮売上の計上日(作業日)に更新する。また、売上明細データの仮売上計上日が更新される。
【0053】
当月が請求月の場合は請求処理を行って会計システム400と会計連携し、当月請求分について、発生日を作業日とした通常の仕訳(借方「債権」/貸方「売上」)を作成し、また、仮売上として計上した仕訳について、発生日を当月締日とした振替仕訳(借方「仮売上」/貸方「売上」)を作成する。
【0054】
3月の処理の例について説明する。3月の作業分の入力を行い、請求処理を行わず会計システム400と会計連携する。3月分の請求データは、図6(C)に示すようになる。図6(C)に示す例では、1行目は、売上内容「外地の通関費用」、作業日「3/21」、請求NO「-」、仮売上計上日「-」、金額「100」、2行目は、売上内容「海上運賃」、作業日「3/27」、請求NO「-」、仮売上計上日「-」、金額「200」となっている。請求月(4月)>作業月(3月)であるので、仮売上として計上し、仕訳データは、図6(D)に示すように、1行目は、借方「債権」、金額「100」、貸方「仮売上」、金額「100」、発生日「3/21」、2行目は、借方「債権」、金額「200」、貸方「仮売上」、金額「200」、発生日「3/27」となる。仮売上として計上すると、図6(E)に示すように、請求データの仮売上計上日が作業日に更新される。
【0055】
4月の処理の例を説明する。4月の作業分の入力を行い、4/20日締めで請求処理をして会計システム400と会計連携する。4月分の請求データは、図6(F)に示すようになる。図6(F)に示す例では、1行目は、売上内容「外地の通関費用」、作業日「3/21」、請求NO「S001」、仮売上計上日「3/21」、金額「100」、2行目は、売上内容「海上運賃」、作業日「3/27」、請求NO「S001」、仮売上計上日「3/27」、金額「200」、3行目は、売上内容「国内の通関費用」、作業日「4/4」、請求NO「S002」、仮売上計上日「-」、金額「300」、4行目は、売上内容「国内配送」、作業日「4/6」、請求NO「S002」、仮売上計上日「-」、金額「400」となっている。
【0056】
1行目と2行目は、仮売上計上日に日付が入っているので、仮売上→売上の振替仕訳を作成し、3行目と4行目は、通常の仕訳データを作成する。仕訳データは、図6(G)に示すように、1行目は、借方「仮売上」、金額「100」、貸方「売上」、金額「100」、発生日「4/20」、2行目は、借方「仮売上」、金額「200」、貸方「売上」、金額「200」、発生日「4/20」となる。3行目は、借方「債権」、金額「300」、貸方「売上」、金額「300」、発生日「4/4」、4行目は、借方「債権」、金額「400」、貸方「売上」、金額「400」、発生日「4/6」となる。
【0057】
最終的な仕訳は、図6(H)に示すように、3月分は、借方は、債権「300」/貸方は、売上「0」、仮売上「300」、4月分は、借方は、債権「700」/貸方は、売上「1,000」、仮売上「-300」となる。
【0058】
このように、本実施の形態では、会計連携の時点で、売上・仮売上が処理されているので、補助簿での2重入力が不要、仮売上台帳の管理が不要、余計な赤黒伝票を起こさなくてもよく、何も手作業がいらない。
【0059】
(抽出処理)
抽出処理部102dは、仮売上の発生と売上への振替月を確認できる帳票(売上内容、発生日、振替月、受注NO、前月残高、計上額、振替額、当月残高)の抽出結果を出力することができる。具体的には、抽出処理部102dは、不図示の抽出画面で抽出条件として出力したい年月を指定すると、指定された年月について、請求月>作業月の売上明細データ等を対象にして、以下の内容で金額を出力する。
【0060】
前月残高は、抽出条件の指定月>作業月の金額、計上額は、抽出条件の指定月=作業月の金額、振替額は、抽出条件の指定月=請求月の金額を出力する。会計連携の有無にかかわらず、過去日付を指定しても当時と同様の出力を行うことが可能となっている。
【0061】
抽出条件の指定月=3月で出力すると、図7(C)に示すような抽出結果となる。ここでは、抽出条件の指定月=作業月となるので、計上額に金額が入る。
【0062】
図7(C)に示す例では、1行目は、売上内容「外地の通関費用」、発生日「3/21」、振替月「4/20」、受注NO「J001-1」、前月残高「0」、計上額「100」、振替額「0」、当月残高「100」、2行目は、売上内容「海上運賃」、発生日「3/27」、振替月「4/20」、受注NO「J001-2」、前月残高「0」、計上額「200」、振替額「0」、当月残高「200」となる。
【0063】
抽出条件の指定月=4月で出力すると、図7(D)に示すような抽出結果となる。ここでは、抽出条件の指定月>作業月、抽出条件の指定月=請求月となるので、前月残高・振替額の金額が入る。
【0064】
図7(D)に示す例では、1行目は、売上内容「外地の通関費用」、発生日「3/21」、振替月「4/20」、受注NO「J001-1」、前月残高「100」、計上額「0」、振替額「100」、当月残高「0」、2行目は、売上内容「海上運賃」、発生日「3/27」、振替月「4/20」、受注NO「J001-2」、前月残高「200」、計上額「0」、振替額「200」、当月残高「0」となる。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態によれば、受注番号、行番号、売上内容、金額、作業日、及び仮売上計上日のデータを含む売上明細データを入力する売上処理部102bと、売上明細データについて、作業日に基づいて、当月が請求月でない明細については、請求処理を行わずに会計システム400と連携して、仮売上として計上した仕訳を作成する売上計上処理部102cと、を備えているので、新収益認識基準に対応させて、月別の売上計上処理を簡易に行うことが可能となる。
【0066】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0067】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0068】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0069】
また、月別売上計上装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0070】
例えば、月別売上計上装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて月別売上計上装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0071】
また、このコンピュータプログラムは、月別売上計上装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0073】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0074】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0075】
また、月別売上計上装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、月別売上計上装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0076】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100 月別売上計上装置
102 制御部
102a 受注処理部
102b 売上処理部
102c 売上計上処理部
102d 抽出処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
400 会計システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7