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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】張力検出装置及び張力調整装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/16 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B66C13/16 G
B66C13/16 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020214919
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100744
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 健
(72)【発明者】
【氏名】木内 大
(72)【発明者】
【氏名】岡本 良一
(72)【発明者】
【氏名】越川 孝三
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-083217(JP,A)
【文献】特開平08-245162(JP,A)
【文献】特開昭60-055237(JP,A)
【文献】特開平01-162123(JP,A)
【文献】特公昭39-010392(JP,B1)
【文献】特開2019-189396(JP,A)
【文献】米国特許第05224388(US,A)
【文献】特開平07-323990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/16
G01L 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ張力が作用する第1接続部及び第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを両端部に有する本体と、
前記本体内に設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部との間に加わっている張力を、前記第1接続部又は前記第2接続部に接続されている索の張力として検出する張力検出手段と、
前記本体内に設けられ、前記張力の作用する方向を検出する張力方向検出手段と、
前記張力検出手段によって検出された張力と、前記張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とによって出力情報を生成する出力情報生成手段と、
前記出力情報生成手段によって生成された出力情報を出力する出力手段とを有する張力検出装置。
【請求項2】
前記第1接続部又は第2接続部には、搬送手段上に被搬送物を固縛する索が接続される請求項1に記載の張力検出装置。
【請求項3】
前記第1接続部又は第2接続部には、揚重作業における荷揚手段の係止部と、荷揚げされる荷物との間に掛けられる玉掛け索が接続される請求項1に記載の張力検出装置。
【請求項4】
前記出力手段は、出力情報に基づいて生成された表示情報を表示する表示手段を有する請求項1~3のいずれか1に記載の張力検出装置。
【請求項5】
前記出力情報生成手段は、前記張力検出手段によって検出された張力と、前記張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とに基づいて、索の張力のベクトルを生成し、該生成されたベクトルの所望の分解成分を出力情報として生成する請求項1~4のいずれか1に記載の張力検出装置。
【請求項6】
前記出力手段は、出力情報を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された出力情報を受信する受信手段とを有し、
前記表示手段は、前記受信手段で受信した出力情報に基づいて生成された表示情報を表示するとともに、
前記受信手段と前記表示手段は、前記本体とは別個に設けられている請求項に記載の張力検出装置。
【請求項7】
前記出力情報生成手段は、前記張力検出手段によって検出された張力と、前記張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とを出力情報として生成し、
前記受信手段で受信した出力情報に基づいて、索の張力のベクトルを生成し、該生成されたベクトルの所望の分解成分が表示情報として生成される請求項6に記載の張力検出装置。
【請求項8】
前記分解成分とは、鉛直方向成分である請求項5又は7に記載の張力検出装置。
【請求項9】
前記受信手段は、複数の本体から送信される出力情報を受信する請求項6又は7に記載の張力検出装置。
【請求項10】
玉掛け索に設けられ、索の長さを調節する索長調節手段と、
前記出力手段から出力された出力情報に基づき、所定の複数の玉掛け索の張力が所定の値以下となるように索長調節手段を介して玉掛け索の長さを調整する張力制御手段とを有する請求項3に記載の張力検出装置。
【請求項11】
揚重作業における荷揚手段の係止部と、荷揚げされる荷物との間に掛けられる複数の玉掛け索に、各設けられる張力検出装置であって、
前記玉掛け索の張力が作用する第1接続部及び第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを両端部に有する本体と、
前記本体内に設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部との間に加わっている張力を、前記第1接続部又は前記第2接続部に接続されている索の張力として逐一検出する張力検出手段と、
前記張力検出手段で検出された張力が所定値を超えるか判断する判断手段と、
を有する張力検出装置。
【請求項12】
玉掛け索に設けられ、索の長さを調節する索長調節手段と、
請求項11に記載の前記判断手段の所定値を超えるとの判断に基づき、所定の複数の玉掛け索の張力が所定値以下となるように索長調節手段を介して玉掛け索の長さを調整する張力制御手段とを有する張力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積荷を荷台に固縛し、あるいは揚重する際の固縛用の索や玉掛け索の張力を検出する張力検出装置及び張力調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラック等の荷台に積荷を索(ロープ)で固縛し、確実に積荷を固定するためには、索に所定以上の張力が掛かっていることが必要である。
一方、揚重作業において、吊り荷に掛けられる玉掛索の張力は、安全に荷揚げ作業を行う為には、各索にかかる張力は均一とはならないこと、更には、急激な衝撃荷重が生じる可能性をも想定し、張力のいずれもが、索に許容される範囲に収まっていることが要求される。
【0003】
以上のように、固縛作業や揚重作業において、索の張力を知ることは、作業の安全を図る上で重要である。そのような索の張力を知る方法として、従来、固縛の際の張力の検出には、例えば、下記特許文献に記載の技術が提案されている。また、揚重作業における張力は、索を作業者が揺すった際の振幅の程度や手に伝わる感覚から、作業者の経験と勘により、判断されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-162123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固縛作業による荷台への積荷の固定は、索の張力によって生じる積荷と荷台との間の摩擦力によって実現される。この摩擦力は、索の張力の鉛直方向成分によって求められる。この鉛直成分は、索の傾斜角によって求められるが、積荷を固縛する索の傾斜角は、それぞれ異なるため、各索の張力が求められたとしても、正確な摩擦力を算出することは難しいといった問題があった。
【0006】
また、揚重作業においては、積荷を収容する吊りボックスの4隅に接続される玉掛け索が4本用意され、これらの4本の玉掛け索を1つのフックに掛けて、荷揚げ作業が行われる。このような吊りボックス内に積荷を載せて行う揚重作業の場合、ボックスの安定性(水平性)を維持することが最も重要で、4本の玉掛け索にかかる張力はボックスの形やボックス内に載置された荷物の位置によって不可避に差異が生じてしまう。荷重を平均化すると索の耐荷重を維持できたとしても、実際の張力ではばらつきが生じているため、吊りボックスに急激な衝撃荷重が生じるなどした場合に、索の許容値を超えてしまい、破断する可能性がある。従って、索ごとに張力を把握し、安全率を十分に加味しておくことが望ましいが、各索の張力を知ることはできなかった。
【0007】
更に、揚重作業においては、積荷の積み下ろし等の為に、吊上げた状態を維持したまま、吊りボックスを一時的に高所に載置(例えば、高所作業車の作業台など)する場合がある。この場合、吊りボックスが載置される場所に、載置許容重量がある場合には、その許容値よりも大きな重量が加わらないように、クレーンを操作し、吊上げ状態を維持させて、載置位置に加わる重量を軽減する必要がある。しかし、従来では、載置位置にどの程度の重量が吊りボックスから加わっているのかを正確に検出する手段はなく、クレーン作業者や玉掛け作業者の経験と勘に頼った作業が行われていた。
【0008】
この発明は、固縛作業や揚重作業に用いられる索の張力を検出する装置及び張力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決する本発明の張力検出装置は、それぞれ張力が作用する第1接続部及び第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを両端部に有する本体と、
前記本体内に設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部との間に加わっている張力を、前記第1接続部又は前記第2接続部に接続されている索の張力として検出する張力検出手段と、
前記本体内に設けられ、前記張力の作用する方向を検出する張力方向検出手段と、
前記張力検出手段によって検出された張力と、前記張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とによって出力情報を生成する出力情報生成手段と、
前記出力情報生成手段によって生成された出力情報を出力する出力手段とを有する。
上記構成によれば、張力検出手段で検出した張力と、張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とに基づいて、張力を所望の方向成分を分解した出力情報を生成し、これを出力する。
【0010】
第1接続部又は第2接続部に搬送手段上の被搬送物を固縛する索が接続された場合には、搬送手段に対して被搬送物を押し付ける方向の索の張力について、出力情報を出力することができる。
第1接続部又は第2接続部に揚重作業における玉掛け索が接続された場合には、吊荷を引き上げる玉掛け索の張力について、出力情報を出力することができる。
出力手段から出力された出力情報は、表示手段に供給され、表示手段において表示され、作業者に対して、索の張力に関する所望の出力情報が表示される。
【0011】
出力情報生成手段は、張力検出手段によって検出された張力と、張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とに基づいて、例えば、索の張力のベクトルを生成し、生成されたベクトルの所望の分解成分を出力情報として生成する。これにより、作業者は、索の張力の所定の方向成分を知ることができる。
【0012】
この他、前記出力手段は、出力情報を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された出力情報を受信する受信手段とを有し、前記表示手段は、前記受信手段で受信した出力情報に基づいて生成された表示情報を表示するとともに、前記受信手段と前記表示手段は、前記本体とは別個に設けられている構成とすることもできる。張力検出装置が作業者から離れた位置に配置された場合には、受信手段で出力情報を確認することができる。
【0013】
受信手段で受信される出力情報を、前記張力検出手段によって検出された張力と、前記張力方向検出手段で検出された張力の作用方向とし、受信した出力情報に基づいて、索の張力のベクトルを生成し、該生成されたベクトルの所望の分解成分を表示することもできる。
表示される分解成分は、鉛直方向成分とすれば、固縛に用いられる索では、被搬送物を鉛直下方に押し付ける分解成分を表示し、楊重に用いられる索では、鉛直上方に引き上げる分解成分を表示することとなる。
複数の張力検出装置から送信される出力情報を、1つの受信手段で受信する構成とすることによって、複数の索の張力を一元管理することが可能となる。
【0014】
玉掛け索に設けられ、索の長さを調節する索長調節手段と、出力手段から出力された出力情報に基づき、所定の複数の玉掛け索の張力が所定の値以下となるように索長調節手段を介して玉掛け索の長さを調整する張力制御手段とを更に備えることにより、玉掛け作業における張力の調整を容易かつ迅速に実施することできる。これにより、吊り荷の吊上げ作業を、より安全に実施することができる。
玉掛け作業おいて、張力検出装置による検出を常時行うことによって、吊りボックス内に積荷を運び込む際に、吊りボックス内での積荷の移動に応じた張力の変化に対応して、各索の張力を即時に調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、索の張力を検出することができるので、作業者の経験や勘に頼ることなく、具体的な数値に基づいて索の状態を知ることができ、作業の効率化と、安全性の強化を、従来以上に図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の張力検出装置の全体断面正面図である。
図2】本発明の張力検出装置の全体断面側面図である。
図3】本発明の張力検出装置の断面平面図である。
図4】角度検出部としての他の構成を示す部分断面正面図である。
図5】本発明の張力検出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】荷台に積荷を載置して固縛した状態を示す全体斜視図である。
図7】外部受信機の構成を示すブロック図である。
図8】外部受信機の制御部の動作を示すフローチャートである。
図9】揚重作業において、玉掛けフックに吊り下げられる吊りボックスの状態を示す全体斜視図である。
図10】外部装置の構成を示すブロック図である。
図11】積載許容荷重のある載置位置に吊りボックスを載せる際の制御部の動作を示すフローチャートである。
図12】チェーンブロックの制御回路の構成を示すブロック図である。
図13】外部装置の制御部と、チェーンブロックの制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の張力検出装置について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の張力検出装置の全体側面図、図2は、同じく全体正面図である。
本発明の張力検出装置1は、筒状のケース2と、ケース2の両端に接続されている第1係止部3、第2係止部4と、ケース2の内側収納部21に収容されている張力検出部5と、張力方向検出部6と、表示部7とを有している。
【0018】
第1係止部3は、ケース2の一端に接続固定される接続部31と、接続部31の開口を塞ぐ天板部32と、天板部32の中央部に接続されたフック部33とを有している。接続部31は、円筒形状であって、一端の開口部は、円筒状のケース2の外側に外嵌される。接続部31の外周面には、4方向からボルト311が挿入され、この4つのボルト311によってケース2に対して接続部31が締着固定される。接続部31の他端開口部は、天板部32によって塞がれており、天板部32の中心には、フック部33の基端が固定されている。フック部33は、鉤状に湾曲形成され、基端部332が天板部32に接続固定されている。フック部33の先端部331は基端方向に向けて湾曲し、先端部311と基端部332との間には、フック部33に挿通する索の離脱を防止する離脱止具34が、揺動自在に設けられている。
【0019】
第2係止部4は、索が挿通する係止孔41を有する環状部42と、環状部42に一端が接続された連結部43と、連結部43の他端に設けられた張力受け部44とを有している。連結部43は、断面形状が円形の棒状に形成され、ケース2の他端部内側に固定されている受け部材22の中央に形成された挿通孔221内を、摺動自在に挿通している。また、張力受け部44の横断面径は、連結部43の外径及び挿通孔221の内径よりも大きく形成されている。このような構成によって、連結部43は、ケース2に対して回動自在、かつ軸方向に移動自在に取り付けられ、ケース2に対して、外方向に抜けることなく連結される。
【0020】
ケース2の内側収納部21において、他端開口部には、ケース2内に固定された受け部材22が設けられている。受け部材22は、ケース2の内側横断面形状と同じ形状の台座220と、台座220の中央に形成された挿通孔221と、台座220の周端辺に沿って円筒状に形成されたリブ部223とを有している。受け部材22は、ケース2の外側から内側に向けて、リブ部223とケース2とを同時に挿通するボルト224によって、ケース2側に、4か所で締着固定されている。
【0021】
張力検出部5は、ケース2内において、受け部材22と、張力受け部44との間に配置されている。張力検出手段である張力検出部5は、中央に連結部43が挿通する孔51を有し、孔51の両端開口部が形成される一対の対向する面に対して、圧縮方向に加わる荷重を検出するセンサである。張力検出手段としては、例えば、ワッシャー型圧縮ロードセルが用いられる。なお、張力受け部44と張力検出部5との間には、環状の緩衝部材52が介挿されている。
【0022】
ケース2の収納部21内において、第1係止部3と、受け部材22の間には、張力方向検出部6が配置されている。図3及び図4に示されているように、張力方向検出部6は、収納部21内においてケース2側に固定された支持部材61と、支持部材61によって回動自在に支持されている回動部材62と、回動部材62の回動軸に対して直交する揺動軸622によって、揺動自在に支持されている検出振り子63と、検出振り子63の移動量(揺動角度)を検出する角度検出部64と、重り65とを有している。
【0023】
支持部材61は、ケース2の収納部21の内側断面形状と同一形状を有し、ケース2の外側から挿通されるボルト611によって、ケース2側に固定されている。支持部材61の中心部には、溝状の回動規制部610が設けられ、回動規制部610の中央には、ケース2の軸線に重なる方向に回動軸挿通孔613が形成され、該回動軸挿通孔613の片側には、より大径の軸受け収容部612が形成されている。軸受け収容部612には、軸受け614が収容されており、該軸受け614によって、回動部材62の回動軸621が、回動自在に支持部材61側に支持されている。支持部材61の第1係止部3側の面には、中央部に凹みが形成されて、回動規制部610が設けられており、回動部材62は、回動規制部610内に収容されている。回動規制部610は、規制部として内壁615が設けられ、内壁615は、回動部材62の外周側面に対向している。
【0024】
回動部材62は、直方体形状に形成されており、底面には、これに直交する方向に回動軸621が立設され、該回動軸621の軸線に交差し、かつ直角に交差する方向に、揺動軸622が回動自在に挿通している。該揺動軸622の一端には、検出振り子63が接続され、回動部材62の反対側に突出した、揺動軸622の他端には、揺動軸622の回動角度を検出する角度検出部64が設けられている。角度検出部としては、例えば、軸の回転量(回転角度)を検出するポジションメータを用いることができる。検出振り子63と揺動軸622の接続位置は、検出振り子63の重心位置から外れた位置となっており、検出振り子63の重心位置が、常時揺動軸622の軸心より鉛直下方に位置するように揺動することによって、ケース2の傾斜角度を検出振り子63の位置で検出することができる構成となっている。
【0025】
また、回動部材62において、揺動軸622の軸線L2に直交する中心線L3上には、調整重り65が取り付けられる。調整重り65は、複数の板部材を重ねて構成され、この重りを取り付けることによって、回動部材62が、ケース2の傾きに応じて、滑らかに回動することが容易となる。つまり、ケース2の傾きは、即ち張力の方向を示すので、索の張力を検出する感度を向上させることができる。調整重り65は、ボルトによって、回動部材62に着脱自在に取り付けられ、板部材の取付枚数を調整することによって重さの調整をすることができる。また、各板部材に形成されたボルト挿通孔は、揺動軸622に平行に形成された長穴状に形成され、揺動軸622に平行な向きに取付位置を調整することができるように構成されている。
【0026】
回動部材62は、ケース2の傾きに応じて回動し、検出振り子63によって、ケース2の傾きを検出する構成となっているが、検出振り子63の揺動角度を、ケース2の傾きとして正確に検出するためには、揺動軸622の軸線L2が、ケース2の傾斜方向に対して直交した状態となるように、回動部材62が滑らかに回動する必要がある。このような回動部材62の動きを確保するためには、回動部材62と、これに取り付けられている揺動軸622、検出振り子63、角度検出部64、調整重り65の全て部品を含めた回動体全体の重心Gが、中心線L3上に位置していることが好ましい。このような重心Gの位置が、中心線L3上に位置するように、調整重り65を構成する板部材を、板部材の長穴651に沿って移動させて、重心Gの位置を調整できるように構成されている。また、揺動軸622の両端に設けられている検出振り子63と、角度検出部64の位置は、予め重心Gが中心線L3上に位置するように、各重量と、回動軸621との間の距離が設定されていることが好ましい。
【0027】
回動部材62は、回動自在に支持部材61に支持されているが、回動部材62が回動する際、その角部は、回動規制部610の内壁615に当接し、所定の角度(例えば、90度)以上に回動できないように回動規制される構成となっている。このように、一方向に連続して回転できない構成とすることによって、角度検出部64に繋がれる電線の捻じれが抑制される。角度検出部としては、図4に示されているように、ポテンショメータ64aを用いてもよい。ポテンショメータ64aを用いる場合には、揺動軸622の他端に、第1コニカルギヤ662を接続し、該コニカルギヤ662に対して従動する第2コニカルギヤ661を、ポテンショメータ64aの入力軸641aに接続した構成とすることもできる。ポテンショメータ64aは、回動部材62の上部に固定された支持片663によって保持される。ポテンショメータ64aを用いる場合には、回動部材62とこれに取り付けられた部品全体のバランスが崩れるので、調整重り65の取付位置を検出振り子63方向に移動させて、重心Gが、中心線L3に位置するように調整することが好ましい。
【0028】
表示部7は、第1係止部3と張力方向検出部6との間に位置し、表示画面が外側に露出した状態で、ケース2内に収容されている。表示部7は、張力検出部5から出力された電気信号と、角度検出部64から出力された電気信号とによって、変換された電気信号を、表示画面に表示する数値に変換し、表示画面に表示する。また、表示部7には、ブザー71、操作つまみ72が設けられている。
【0029】
以上のように構成された張力検出装置1では、第1係止部3、第2係止部4、張力検出部5、回動部材62がケース2の軸線L1上に配置される。第1係止部3と第2係止部4とを引き離す方向に作用する索の張力は、張力検出部5を圧縮する方向に作用することによって、圧力値として検出される。また、索の傾きは、ケース2の傾きと同じ方向となり、ケース2の傾斜によって下方向に回動部材62の調整重り65が振れ、傾斜方向に対して直交する揺動軸622に接続された検出振り子63によって、索の傾斜角度が検出される。
【0030】
以上のような構成における、張力検出装置1の電気回路について、図5の回路ブロック図に基づいて説明する。角度検出部64から出力される電気信号及び、張力検出部5から出力される電気信号は、出力情報生成手段8に供給され、出力情報生成手段8で生成された出力は表示部7に供給される。出力情報生成手段8は、電圧調整器81と、角度信号変換器82とを有し、張力検出部5を構成するロードセルからの出力信号は、電圧調整器81に供給され、角度検出部64を構成するポジションセンサからの出力信号は、角度信号変換器82に供給され、角度信号変換器82で変換された信号とロードセルから供給された信号に基づいて、電圧調整器81が、張力の鉛直方向成分の出力信号を表示部7に供給する。これによって、表示部7では、索の張力の鉛直方向成分が表示される。
【0031】
なお、ロードセルから供給された信号を、電圧調整器81を介さずに表示部7に供給し、索の破断許容値を示す所定値よりも、大きな数値が検出された場合には、フザー71によって報知する構成としても良い。索の破断を抑制することができる。また、表示部7の表示画面には、視覚情報として、具体的な検出値の他、数値の良し悪しを表示するマル、バツなどの表示を示すことで、内容を報知する。
【0032】
トラック等の搬送移動手段の荷台に積荷を載置して固縛するための索の張力を検出する装置として使用される場合について説明する。図6は、荷台に積荷W1を索(固縛ワイヤ)R1~R3で、固縛した状態を示す斜視図である。積荷W1に対して、縦横に覆い掛けられる索R1~R2は、端部が荷台側に接続される位置が異なるために、鉛直方向に対する索の傾斜角度Θ1~Θ3が異なる場合が多い。各索R1~R3には、本発明の張力検出装置1a~1cが接続されているため、各索R1~R3の張力に対して、表示部7の表示によって、その鉛直方向成分をそれぞれ知ることができる。各索R1~R3の張力は、索を手で振動させるなどの行為によって、この振幅などから索の張力を感覚的に感じ取ることができるが、図6に示されているように、各索R1~R3の傾斜角度が異なる場合には、各索R1~R3によって積荷に作用させている鉛直方向の力は、正確に推し測ることは困難である。そこで、本発明の張力検出装置1によって、各索R1~R3の鉛直方向成分を正確に知ることができる。また、各索R1~R3の張力を継続的に、或いは所定の間隔(例えば、1時間、30分)を空けて、張力を検出する構成とすることによって、索の緩みを事前に把握することができ、荷崩れなどのトラブルを未然に防止することができる。
【0033】
以上のような構成の他、表示部7の替わりに、或いは表示部7に加えて、発信手段である通信部TRを設け、鉛直方向成分の数値データを、通信部TRを介して外部受信機RTへ送信する。なお、送信される数値データには、いずれの張力検出装置1a~1cの数値データであるか、を識別するための識別情報も含まれる。図7は、外部受信機RTの構成を示すブロック図である。外部受信機RTは、受信部RT1と、制御部RT2と、表示部RT3とを有し、受信部RTで、複数の張力検出装置からの鉛直方向成分の値を受信し、制御部RT2で受信した値に基づく表示内容が決定され、表示部RT3において制御部RT2での判断結果が表示される。
張力検出装置1及び外部受信機RTの間の通信は、例えば、赤外線通信、あるいは、例えばBluetooth(Bluetoothは登録商標)のような近距離無線通信を用いて直接的に通信するものでもよいし、例えばWi-Fi(Wi-Fiは登録商標)のような無線LANによるネットワークを介して行われるものでもよい。
【0034】
図8に示されているフローチャートによって、制御部RT2の処理の一例を説明する。
張力検出装置1a~1cより受信したデータが、受信部RT1により供給されると(ステップS101)、供給された識別情報に基づいて、いずれの張力検出装置のデータであるか判断する(ステップS103)。そして、供給された数値が、十分に固定し得るに足る鉛直方向成分の閾値を超えているか判断する(ステップS105)。超えていない場合には、ステップS101に戻り、超えている場合には、ステップS103で識別した張力検出装置に対応して設けられたフラグを立てる(ステップS107)。このステップS107で、索R1~R3毎に、閾値を超えているか否かを、表示部RT3に表示する構成としてもよい。上記閾値は、積荷のW1の重量、容積、形状などに応じて、予め適宜決定されており、制御部RT2内に記憶されている。
【0035】
各張力検出装置1a~1cに対応しているフラグの全てが立っているか?判断し(ステップS109)。立っていない場合には、ステップS101に戻る。すべてのフラグが立っている場合には、全ての索の張力が検出されたことになるので、表示部RT3で、積荷W1の固縛が完了したことを知らせる報知画面を表示する(ステップS111)。報知方法は、画面表示やランプ点灯等のような視覚情報の他、ブザー等の聴覚情報によって報知する方法、振動等の触覚情報によって報知する方法を採ってもよい。このように、外部受信機RTによって、複数の張力検出装置からの出力値を表示することによって、各索R1~R3の状態を一元管理でき、作業効率が向上する。また、張力検出装置が取り付けられている位置が、装置の表示部7の視認が困難な位置である場合にも、容易に数値の確認ができる利点がある。
【0036】
更に、例えば、トラック等の搬送手段で積荷W1を移送する場合を想定して、ステップS111を実行した後は、更に以下のような、フローチャートを付加してもよい。報知ステップS111(後述の、ステップS123、S127を含む)の後、直前のステップのから所定時間経過したか判断し(ステップS113)、所定時間経過している場合には、受信部RT1によりデータを受信する(ステップS115)。そして、供給された識別情報に基づいて、いずれの張力検出装置のデータであるか判断し(ステップS117)、供給された数値が、十分に固定し得るに足る鉛直方向成分の閾値より小さいか判断する(ステップS119)。閾値より小さい場合には、その索R1~R3に緩みが生じたことを意味するので、報知処理を実行する(ステップS121)。この報知処理は、画面表示やランプ点灯等の視覚情報の他、ブザー等の聴覚情報によって報知する方法、振動等の触覚情報によって報知する方法を採ってもよいが、搬送中である場合を想定すると、聴覚情報又は触覚情報によることが好ましい。
【0037】
なお、外部受信機RTは、更に加速度センサを有していてもよく、この場合には、ステップS113に換えて、通常の搬送状態に比較して特に大きな加速度が検出されたか否かを判断するステップとしてもよい。通常の搬送状態に比較して、特に大きな加速度が検出される場合とは次のような場合である。例えば、急ブレーキ又は急発進をした場合には、前後方向の加速度が検出される。急カーブを走行した場合には、左右方向の加速度が検出される。大きな段差を通過した場合には、上下方向の加速度が検出される。これらの場合には、積荷W1が揺れ、索R1~R3に緩みが生じる契機となるため、これらの加速度の検出の後に、各索R1~R3の張力を検出する。
【0038】
また、特に大きな加速度が加わっていない場合であっても、所定値以上の加速度が作用している状態(例えば、緩やかなカーブを走行している状態、緩やかに制動し、又は加速している状態)においては、回動部材62や検出振り子63の振れ角に狂いが生じるので、加速度が所定値以上の場合には、ステップS115~S121を実行しないとする処理を行っても良い。或いは、搬送状態を検出して、その搬送状態に応じて、ステップS115~S121を実行するとする処理としてもよい。具体的には、搬送している荷台が、停止している状態の時(例えば、トラックの速度計から速度を検出し、速度がゼロの場合(信号待ちで停車している時など))に、ステップS115~S121を実行する。
加速度センサを用いなくとも、大きな加速度が加わった場合には、検出振り子63の振れ角や振れ角の変化量が増大するので、角度検出部64から出力される出力信号をモニターし、出力信号の変化量が著しく大きくなった場合には、加速度が加わったものと判断してもよい。角度検出部64から出力される出力信号をモニターする加速度検出装置83は、例えば、図5に示されている回路において、角度検出部64と角度信号変換器82の間に介在させる。
【0039】
次に、玉掛けフックを用いた揚重作業に用いられる索の張力を検出する装置として使用される場合について説明する。図9は、揚重作業において、玉掛けフック91に吊り下げられる吊りボックス92の状態を示す全体斜視図である。吊りボックス92は、直方体形状に組み付けられたフレーム922と、該フレーム922の底部に設けられた板状の床材921とを有し、4つの側面の内、3つの側面には網状の側面部材で覆われ、1つの側面は、積み荷の搬入搬出口として開口923となっている。
【0040】
フレーム922の天井部フレームの4隅には、玉掛けワイヤーである索RY1~RY4の一端が接続される接続部924d~924gが設けられている。各索RY1~RY4の他端は、いずれも玉掛けフック91に接続され、吊りボックス92は、索RY1~RY4によって、玉掛けフック91から吊り下げられる構成となっており、玉掛けフック91をクレーン等で昇降させることによって、同時に吊りボックス92が昇降する。各索RY1~RY4には、本発明の張力検出装置1d~1gが介在して、各索RY1~RY4の張力を検出する。また、4本の索RY1~RY4には、更にチェーンブロック93a~93dが介在し、全索RY1~RY4の長さを微調整できる構成となっている。
【0041】
図9に示されているように、吊りボックス92内に、積荷W2を載せた状態で、玉掛けフック91を吊上げると、表示部7において、各索RY1~RY4の鉛直方向成分の数値がそれぞれ表示される。一方、吊りボックス92内の積荷W2の載置位置に偏りがある場合には、吊上げ状態において、吊りボックス92が大きく傾き、安定的な揚重作業を確保できない場合がある。このような吊りボックス92の傾きを確認するため、最初に吊りボックス92を若干量吊上げ、吊りボックス92の底面が接地面から少し浮いた状態にする。この少し浮いた状態で、チェーンブロック93a、93bを操作して、索RY1、RY4の長さを微調整し、吊りボックス92が略水平となるように、調整する。
【0042】
このように、吊りボックス92の姿勢を調整すると、各索RY1~RY4の張力に差が生じる。4本の索RY1~RY4全体に掛かる重さは変わらないが、各索RY1~RY4に分配される重さには違いが生じ、特定の索に過大な荷重がかかる恐れもある。索に加わる荷重が許容荷重を越えると、索が切れて事故につながることから、各索RY1~RY4に発生する張力は、正確にモニターする必要がある。
【0043】
このため、張力検出装置1d~1gによって、各索の張力を逐一検出し、各張力が所定の値以下となるように、チェーンブロック93a、93bにより索RY1、RY3の長さを微調整する。すなわち、張力の値が索の安全値を超える可能性があると判断した場合は、荷揚げ時のつり角度が小さくなるように長さを調整する。従来では、各索RY1~RY4の張力は、作業者が各索を揺すり、その際の振幅や手に感じる抵抗などから感覚的に判断して、張力の調整を行っている。これに対して、本発明の張力検出装置1では、具体的に張力の値が、索毎に正確に把握できるので、実際の張力の数値を確認しながら、張力値が索の破断値を超えることが無いようにチェーンブロック93a、93bを操作することできる。
【0044】
また、揚重作業においては、吊りボックス92を吊上げて移動させる場合、移動中に、高所作業車の作業台などに一時的に吊りボックス92を載せる場合がある。このような、積載荷重に制限がある個所に、吊りボックス92を載せる場合、本発明の張力検出装置1によって、各玉掛け用の索RY1~RY4から、張力の鉛直成分の数値をそれぞれ確認し、これらの数値の和によって、吊りボックス92が載置されている載置場所にどの程度の重量が付加されているか、容易に知ることができる。
具体的には、[積荷を載せた吊りボックス92全体の重量]-[4つの張力検出装置で検出した鉛直方向成分荷重の総和]<[載置位置の積載許容荷重]となるよう、吊上げ力を調整する。このような鉛直方向の全体の荷重を算出するためには、張力検出装置1d~1fで検出した各数値(図9中、X軸方向に対して逆向き)を瞬時に合算できる構成を有することが好ましい。そこで、例えば、図10に示されているような構成を更に設けてもよい。
【0045】
図10は、通信によって張力検出装置1d~1fで検出された数値を取得し、集計及び表示する外部装置10のブロック図である。外部装置10は、送受信部101と、制御部102と、報知部103と、入力部104とを備えている。送受信部101は、各張力検出装置1d~1fから供給される出力信号を受信し、データ信号に変換して制御部102に供給する。制御部102は、送受信部101から供給されたデータを集計するとともに、吊りボックス92が載置位置に付加している重量を計算し、計算結果を報知部103に供給する。報知部103では、表示画面に表示する数値、やランプの点灯等によって、視覚的に報知する構成と、ブザーなどの発鳴によって報知する構成、携帯機器の振動によって報知する構成など、を採ることができる。許容積載荷重に関するデータは、入力部104を介して行われる。
【0046】
図11に示されているフローチャートに基づいて、積載許容荷重のある載置位置に吊りボックス92を載せる際の、制御部102の動作について説明する。
送受信部101で、張力検出装置1d~1fから送信された張力の鉛直方向成分の数値と、各張力検出装置1d~1fの識別情報を受信する(ステップS201)。受信した識別情報から送信した張力検出装置1d~1fを特定する(ステップS203)。受信した鉛直方向成分値を、各張力検出装置1d~1fに紐付けてメモリに記憶し、フラグを立てる(ステップS205)。記憶した数値は、報知部103において、各張力検出装置1d~1fに対応した数値として画面表示してもよい(ステップS207)。
【0047】
すべての張力検出装置1d~1fのフラグが立っているか判断し、立っていない場合には、ステップS201に戻り、立っている場合には、全ての索について検出できたことになるので、ステップS205で記憶したメモリからすべての鉛直成分値を読みだして、その総和を計算する(ステップS211)。ステップS211で算出した鉛直成分を、吊りボックス92の重量と積荷W2の重量との総和から引いた値が、積載許容荷重よりも小さいか判断し(ステップS213)、小さい場合には、報知部103により、許容荷重内であることを知らせる報知が行われる(ステップS217)。
【0048】
視覚的な報知手段として、緑色のランプの点灯や丸印の表示など、聴覚的な報知手段としては、安心感を与える音色の発音などである。吊りボックス92の重量と積荷W2の重量との総和から引いた値が、積載許容荷重よりも大きい場合には、載置位置が壊れる恐れがあり、安全な作業に支障が生じる恐れがあるので、報知部103より注意を喚起する報知が行われる(ステップS215)。視覚的な報知手段として、赤色のランプの点灯やバツ印の表示など、聴覚的な報知手段としては、注意を喚起するブザー音の発音などである。
【0049】
ステップS215が実行された場合には、吊りボックス92を引き上げて、許容荷重以下となるように調整する。このような操作は、玉掛け索RY1~RY4の張力のみに基づいて行うことはできず、鉛直方向の成分が算出されていて、できる操作である。
既述のように、吊りボックス92内の積荷W2の載置位置に偏りがある場合には、チェーンブロック93a~93dを電動方式とし、各玉掛け索RY1~RY4について個別に検出した張力に基づいて、チェーンブロック93a~93dを介して、玉掛け索RY1~RY4の長さを電気的に制御する構成としてもよい。このチェーンブロックによって、索長調節手段が構成される。
【0050】
図12は、チェーンブロックの制御回路の構成を示すブロック図である。制御回路BCは、制御信号を受信する受信部BC1と、受信部BC1から供給された信号に基づいて、モータMの回転量と回転方向を制御する制御部BC2と、モータMとを備える。図13は、制御部103と、制御部BC2の動作を示すフローチャートである。送受信部101で、張力検出装置1d~1fから送信された張力の数値と、各張力検出装置1d~1fの識別情報を受信する(ステップS301)。受信した識別情報から送信した張力検出装置1d~1fを特定する(ステップS303)。受信した張力の数値を、各張力検出装置1d~1fに紐付けてメモリに記憶し、フラグを立てる(ステップS305)。
【0051】
全索について、検出されたか判断し(ステップS307)、検出されていない場合には、ステップS301に戻り、検出されている場合には、全ての索の張力が所定値を超えているか?を判断する(ステップS309)。この所定値とは、索が破断しない許容値である。この所定値は、安全係数を考慮して設定されていても良い。例えば、衝撃に対する安全係数や、動荷重に対する安全係数、静荷重に対する安全係数等が、作業の内容に応じて設定される。
【0052】
全ての索の張力が所定値を超えていない場合には、ステップS301に戻り、超えている場合には、索が破断する恐れがあるので、吊り角を小さくして各索の張力を減少させるため、各索の長さを伸ばすべく、チェーンブロックの制御回路に対して、送受信部101を介して制御回路BCに指示信号を出力する(ステップS311)。指示の内容は、モータMの回転量と回転方向を、索の長さを伸ばす方向に、予め決められている長さを伸ばす指示である。これにより、すべての索の長さが、同じ長さ分、同時に伸ばされる。すべての索の張力が所定値以下となるまで、ステップS301~S311の処理が実行される。
【0053】
制御部BC2は、受信部BC1を介して指示信号を受信すると(ステップS401)、指示の内容に沿って、チェーンブロック93aのモータMの回転方向と回転量を制御する(ステップS403)。上記ステップS301~S311、及びステップS401~S403によって、張力制御手段が構成される。
以上の説明において、外部受信機RT及び外部装置10を設けた構成においては、出力情報生成手段8において、鉛直方向成分を生成する構成とせず、外部受信機RT及び外部装置10へ、張力の数値と、傾斜角度の数値を送信し、外部受信機RT及び外部装置10側で、張力の数値と、傾斜角度の数値に基づいて、鉛直方向成分を生成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 張力検出装置
2 ケース
3 第1係止部
4 第2係止部
5 張力検出部
6 張力方向検出部
61 支持部材
62 回動部材
63 検出振り子
64 角度検出部
65 重り
7 表示部
8 出力情報生成手段
91 玉掛けフック
92 吊りボックス
93a、93b チェーンブロック
RY1~RY4 玉掛け索
10 外部装置
RT 外部受信機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13