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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】安全機構を伴うバッテリー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20230727BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20230727BHJP
   H01M 50/574 20210101ALI20230727BHJP
   H01M 50/59 20210101ALI20230727BHJP
   H01M 50/109 20210101ALN20230727BHJP
【FI】
H01M50/588 101
H01M50/543
H01M50/574
H01M50/59
H01M50/109
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020525896
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059931
(87)【国際公開番号】W WO2019094660
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】15/808,799
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】イン、テ、ベ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126421(JP,A)
【文献】特開2017-126405(JP,A)
【文献】特表2013-537904(JP,A)
【文献】国際公開第2016/179499(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104471741(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/572 - 598
H01M 50/543
H01M 50/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーであって、
第1及び第2の極を備えるハウジングと、前記第1及び第2の極の一方と電子的接触を成す少なくとも1つの電子伝導体と、電子絶縁材料を含むスペーサとを備え、前記スペーサは、前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の他方との間の電子的接触が防止されるように前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の前記他方との間に設けられており、前記スペーサが溶解、軟化、又は膨潤でき、前記スペーサの抵抗力が前記電子伝導体の付勢力よりも小さくなり、且つ、前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の前記他方との間の電子的結合が起こり得るように、前記スペーサは水溶液の存在下で物理的変化を受けることができるものであり、
前記物理的変化に続いて、(i)前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の前記他方との間の直接的な物理的接触、又は(ii)前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の前記他方との間に配置された1つまたは複数の更なる介在する電子伝導材料を介した、前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の前記他方と間の間接的な物理的接触、に基づいて電子結合が発生する、バッテリー。
【請求項2】
前記電子伝導体は、前記バッテリーが前記水溶液の存在下となった後に前記第1及び第2の極の他方と電子的接触をもたらすことによって前記バッテリーを短絡させるようになっている、請求項1に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項3】
前記第1の極がプラス極であり、前記少なくとも1つの電子伝導体が前記プラス極と電子的に接触し、前記電子伝導体は、前記バッテリーが前記水溶液の存在下となった後にマイナス極と電子的接触をもたらすことによって前記バッテリーを短絡させるようになっている、請求項1に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項4】
前記第1の極がマイナス極であり、前記少なくとも1つの電子伝導体が前記マイナス極と電子的に接触し、前記電子伝導体は、前記バッテリーが前記水溶液の存在下となった後にプラス極と電子的接触をもたらすことによって前記バッテリーを短絡させるようになっている、請求項1に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項5】
前記電子伝導体は、前記スペーサが前記水溶液の存在下になった後に通常の使用状態中に前記第1及び第2の極の他方と電子的接触を成すことが防止される前記少なくとも1つの電子伝導体が前記第1及び第2の極の他方と電子的接触を成すように第1及び第2の極の他方と係合する方向に向けて付勢される、請求項1から4のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項6】
前記バッテリーが第1及び第2の電子伝導体を備え、前記第1の電子伝導体がプラス極と電子的に接触し、前記第2の電子伝導体がマイナス極との電子的に接触し、前記スペーサが前記第1及び第2の電子伝導体間に位置され、前記第1及び第2の電子伝導体の一方は、前記バッテリーが前記水溶液の存在下となった後に前記第1及び第2の電子伝導体の他方と電子的接触をもたらすことにより前記バッテリーを短絡させるようになっている、請求項1に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項7】
前記電子伝導体は、金属、金属合金、導電性ポリマー、導電性複合体、又は、それらの任意の組み合わせを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項8】
前記電子絶縁材料が少なくとも1つの水溶性材料を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項9】
前記電子絶縁材料は、糖、ポリエーテル、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、プルラン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、低粘度グレードヒドロキシプロピルセルロース、多糖類、天然ポリマー、加工デンプン、前述のコポリマー、その塩、又は、これらの任意の組み合わせを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項10】
前記スペーサが少なくとも1つのヒドロゲルを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項11】
前記スペーサは、NaHPO、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、重曹、砂糖、クエン酸、その混合物、及び、これらの任意の組み合わせを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項12】
前記電子伝導体の抵抗率は、20℃で20×10 -5 オーム・cm未満、20℃で5×10 -5 オーム・cm未満、又は、20℃で0.5×10 -5 オーム・cm~20℃で20×10 -5 オーム・cmである、請求項1から11のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項13】
前記電子絶縁材料の抵抗は、0.5メガオームよりも大きい、5メガオームよりも大きい、又は、500メガオームよりも大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項14】
前記ハウジングがカソード缶及びアノードカップを備え、前記スペーサは、前記アノードカップが前記カソード缶と接触できないように前記カソード缶内へと延在して前記アノードカップを取り囲み、或いは、前記スペーサは、前記カソード缶が前記アノードカップと接触できないように前記アノードカップ内へと延在して前記カソード缶を取り囲む、請求項1から13のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項15】
前記スペーサは、前記電子伝導体の張り出し部と前記第1及び第2の極の他方との間に配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項16】
前記電子伝導体が前記バッテリーのカソード缶に取り付けられる、請求項15に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項17】
前記電子伝導体が前記バッテリーのアノードカップから電子的に絶縁される、請求項15に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項18】
前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の一方とが一体構造を成す、請求項1から14のいずれか一項に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項19】
前記電子伝導体が前記スペーサ内に配置される、請求項1から14のいずれか一項及び請求項18に記載の人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー。
【請求項20】
人又は動物の組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーであって、
第1及び第2の極を備えるハウジングと、電子伝導体と、電子絶縁材料を含む第1及び第2のスペーサとを備え、前記第1のスペーサは、前記バッテリーの第1の極と前記電子伝導体との間に配置され、前記第2のスペーサは、前記バッテリーの第2の極と前記電子伝導体との間に配置され、前記電子伝導体が前記第1及び第2のスペーサ間に配置されており、前記スペーサが溶解、軟化、又は膨潤でき、前記スペーサの抵抗力は前記電子伝導体の付勢力よりも小さくなり、且つ、前記電子伝導体が水溶液の存在下で前記第1及び第2の極の両方と電子的接触をもたらすように、前記スペーサは前記水溶液の存在下で物理的変化を受けることができるものであり、
前記物理的変化に続いて、(i)前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の両方との間の直接的な物理的接触、又は(ii)前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の両方との間に配置された1つまたは複数の更なる介在する電子伝導材料を介した、前記電子伝導体と前記第1及び第2の極の両方と間の間接的な物理的接触に基づいて、電子的接触が発生する、バッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリーに関し、より詳細には、バッテリーが水溶液又は湿組織に晒されるときに、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中で与えられる背景の説明は、一般に、本開示の前後関係を提示することを目的としている。
【0003】
多くの場合に単にバッテリーと呼ばれる電気化学セルは、一般に、電気エネルギー源として使用される。小型バッテリーは、消費者製品の給電において特に役立つ。小型バッテリーには様々なセルタイプがある。一般的な小型バッテリーセルタイプとしては、AAA、AA、B、C、D、9V、CR2、及び、CR123Aが挙げられる。ボタンセル(コインセルと呼ばれることもある幅の広いセルも含む)として知られる他のタイプの小型バッテリーは、腕時計、カメラ、電卓、車両等のためのキーレスエントリーシステム、レーザポインタ、グルコメーターなどを含むがこれらの限定されない様々な製品に給電するために頻繁に使用される。
【0004】
図1は、カソード缶14内に配置されるカソード12と、アノードカップ18内に配置されるアノード16とを備える代表的なボタンセル10の構造を示す。セパレータ20がアノード16をカソード12から物理的に分離して電子的に絶縁させる。絶縁ガスケット22が、電解質損失を防止するとともにセル内への周囲の大気成分の侵入を防いでカソード缶14をアノードカップ18から電子的に絶縁するべくセルを密閉するのに役立つ。ボタンセルは、通常は長い耐用年数、例えば、一般に腕時計の連続使用においては1年をはるかに超える耐用年数を有する。更に、ほとんどのボタンセルは、自己放電が少なく、そのため、負荷がかかっていないときに比較的長時間にわたってそれらの電荷を保持する。
【0005】
ボタンセルバッテリーは、多くの携帯できる消費者電子機器において一般的であるが、これらのバッテリー、特にCR2016リチウムセル及びCR2032リチウムセルなどの直径が20mmのコインセルのサイズ、形状、及び、外観は、特に乳児、幼児、及び、ペットに危険をもたらす可能性がある。これらの危険は、特に周りの他人が知らないうちにセルが飲み込まれる場合に、身体的危害をもたらす可能性がある。また、これらのボタンセルバッテリーの一部は、他のセルよりも比較的大きな危険をもたらす可能性があり、この危険を消費者が十分に理解していない場合がある。例えば、リチウムと二酸化マンガンとの化学反応に基づくCR2016 3Vリチウムセル及びCR2032 3Vリチウムセルなどの3Vコインセルバッテリーは、それらが人の喉に容易に詰まり得るようなサイズであり、したがって、例えば飲み込まれる場合には、体液の電気分解及び/又は湿った食道/臓器組織の燃焼を引き起こす可能性がある。勿論、そのようなバッテリーは、うまく飲み込まれる場合に、かなりの胃部不快感をもたらす可能性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーが提供される。バッテリーは、第1及び第2の極を備えるハウジングを備える。少なくとも1つの電子伝導体が、第1及び第2の極のうちの一方に電子的に結合される。電子絶縁材料を備えるスペーサが、電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間の電子的結合が防止されるように電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間に設けられる。スペーサは、電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間の電子的結合が起こり得るように水溶液の存在下で物理的変化を受けることができる。
【0007】
組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴う更なる典型的なバッテリーも提供される。安全機構を伴うバッテリーは、第1及び第2の極を備えるハウジングと、電子伝導体と、第1及び第2のスペーサとを備える。第1及び第2のスペーサは電子絶縁材料を備える。第1のスペーサは、バッテリーの第1の極と電子伝導体との間に配置され、また、第2のスペーサは、バッテリーの第2の極と電子伝導体との間に配置され、この場合、電子伝導体は、第1及び第2のスペーサ間に配置されてこれらのスペーサと接触する。スペーサは、水溶液の存在下で物理的変化を受けることができ、また、電子伝導体は、水溶液の存在下で第1及び第2の極の両方と電子的接触をもたらすようになっている。
【0008】
本明細書は、本発明を形成すると見なされる主題を特に指摘して明確に請求する特許請求の範囲で締めくくられるが、本発明は、添付図面と併せて解釈される以下の説明からより良く理解される。以下で説明される図は、本明細書中に開示されるバッテリーの様々な態様を描く。それぞれの図が本明細書中に開示される組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーの典型的な態様を描くことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来のボタンセルを示す。
図2A】本開示による典型的な実施形態に係る、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有する、コインセルの形態を成すバッテリーを示す。
図2B】本開示による典型的な実施形態に係る、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有する、コインセルの形態を成すバッテリーを示す。
図3】2つの異なるバッテリーに関するセル電圧対時間のプロットを示し、第1のバッテリーは従来のコインセルバッテリーであり、第2のバッテリーは、本開示による典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルバッテリーである。
図4A】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図4B】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図5A】本開示による更なる典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図5B】本開示による更なる典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図6A】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図6B】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図7】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
図8】本開示による他の典型的な実施形態に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようなっている安全機構を有するコインセルの形態を成す他のバッテリーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電気化学セル又はバッテリーは、一次バッテリー又は二次バッテリーであってもよい。一次バッテリーは、例えば消耗するまで一回だけ放電されてその後に廃棄されるようになっている。一次バッテリーは、例えば、David LindenのHandbook of Batteries(McGraw-Hill、第4版、2011年)に記載される。二次バッテリーは充電されるようになっている。二次バッテリーは、放電され得るとともに、その後、何度も、例えば50回を超えて、100回を超えて、又は、1000回を超えて再充電され得る。二次バッテリーは、例えば、David LindenのHandbook of Batteries(McGraw-Hill、第4版、2011年)に記載される。バッテリーは、水溶性又は非水溶性の電解質を含んでもよい。したがって、バッテリーは、様々な電気化学的結合及び電解質の組み合わせを含んでもよい。消費者バッテリーは、一次バッテリー又は二次バッテリーのいずれかとなり得る。しかしながら、バッテリーに蓄えられる電荷に起因して及び露出した極に起因して、消費者バッテリー、特に小型消費者バッテリーを、湿組織に晒されたときに消費者が傷付かないように保護することが有益である。特に、消費者を電気分解又は火傷に晒さないようにバッテリーを保護することが有益であり、電気分解又は火傷はいずれも例えばバッテリーが飲み込まれる場合に起こり得る。これに関して、バッテリーのプラス極及びマイナス極が湿った体液に晒されれば、水の電気分解が起こって水酸化物イオンの発現とマイナス極に隣接する組織の燃焼とをもたらす可能性があるとともに、潜在的に、組織、特にプラス極(又はカソード缶)に隣接する組織の直接酸化が引き起こされる。加えて、カソード缶自体の著しい酸化は、カソード缶での穴の形成をもたらす場合があり、それにより、バッテリーの有毒な内容物を放出させ得る。
本出願は、水溶液の存在下でバッテリーを短絡させるための安全機構を提供する。水溶液の存在下でバッテリーを短絡させることにより、開示される安全機構は、飲み込まれるバッテリーのセル電圧を有利に低下させ、それにより、飲み込まれたバッテリーの制御されない放電によって引き起こされる組織の損傷及び他の有害な影響を効果的に防止できる。
【0011】
組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーが提供される。バッテリーは、第1及び第2の極を備えるバッテリーハウジングを含む。少なくとも1つの電子伝導体が第1及び第2の極の一方と電子的に結合され又は電子的接触状態にある。「電子的に結合される」及び「電子的接触」という用語は、挙げられた構成要素間での電子の流れが起こり得る関係を説明するために本明細書中で置き替え可能に使用されることに留意すべきである。電子伝導体は、第1及び第2の極の一方に電子的に結合され得る。これは、電子伝導体が該極と直接に物理接触しているからである。或いは、電子伝導体と第1及び第2の極の一方との間には、1つ以上の更なる介在する電子伝導材料が存在し得る。
【0012】
電子絶縁材料を備えるスペーサが、電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間の電子的結合が防止されるように電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間に設けられる。スペーサは、電子伝導体と第1及び第2の極の他方との間の電子的結合が起こり得るように水溶液の存在下で物理的変化(物理的特性の変化をもたらす化学的変化を含むが、これに限定されない)を受けることができる。
【0013】
一般に、本開示は、両方のバッテリー極を電子的に結合する又は両方のバッテリー極にわたって電子的接続を形成することによって、機械的に及び/又は電子的に短絡され得るバッテリーを提供する。プラス及びマイナスのバッテリー極にわたる電子的接続は、バッテリーが「安全状態」に晒された後においてのみ形成され、「安全状態」とは、バッテリーが人、幼児、又は、ペットの動物の喉に留まるようになるときに直面する周囲状態を指す。これらの状況では、人又は幼児又はペットの動物がバッテリーを飲み込むと、バッテリーが唾液、胃液、又は、他の水性流体と接触され得る。したがって、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリーは、水溶液の存在下にあるときに短絡するように構成されて設計される。結果として生じる短絡は、バッテリーの電圧を所望の閾値レベル未満に低下させ、それにより、水の電気分解及びそれに伴う電気化学的に生成される有害なイオン(例えば、水酸化物イオン)の形成を低減及び/又は効果的に防止することができる。望ましい閾値レベルは様々となり得るが、本明細書中で詳述される幾つかの例において、セルは、好適には、1.4V未満、1.3V未満、1.2V未満、1.1V未満、1.0V未満、0.9V未満、0.8V未満、0.7V未満、0.6V未満、0.5V未満、0.4V未満、0.3V未満、0.2V未満、0.1V未満を含む1.5V未満まで、更には約0Vまで短絡され得る。バッテリーが使用されていないとき、例えば、バッテリーが保管又は輸送されているとき、又は、バッテリーが電子デバイスで動作しているときなど、「通常の使用状態」下では、電子的接続の形成が起こらず、バッテリーの短絡が回避される。
【0014】
1つの実施形態において、本開示に係るバッテリーは、最初にバッテリーの第1及び第2の極の一方のみと電子的に接触している電子伝導体を含む。電子絶縁材料を備えるスペーサは、通常の使用状態下で(すなわち、バッテリーが水溶液と接触される前に)、電子伝導体がバッテリー極の両方にわたって電子的接触をもたらすことを防止する。一方、バッテリーが唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液に晒される又は水溶液と接触される際に、電子絶縁材料が物理的変化を受ける可能性がある、例えば、電子絶縁材料が溶解する可能性がある。これは、電子絶縁材料が水性流体に溶けるからである。電子伝導体は、バッテリーの他方の極との電子的接触に向けて付勢されるが、スペーサの抵抗力は、通常の使用状態下での電子伝導体の付勢力以上である。しかしながら、電子絶縁材料の実質的な溶解後、そのような抵抗力は実質的に存在せず、電子伝導体は、バッテリーの他方の極との電子的接触をもたらし、それにより、バッテリーを短絡させ得る。電子伝導体は、例えば、カソード缶(又はその延在部)の圧着中に及び/又はカソード缶とは別個の個別部品である電子伝導体の圧着中に付勢され得る。
【0015】
他の例において、本開示に係るバッテリーは、最初にバッテリーの第1及び第2の極の一方のみと電子的に接触している電子伝導体も含む。電子絶縁材料を備えるスペーサは、通常の使用状態下で(すなわち、バッテリーが水溶液と接触される前に)、電子伝導体がバッテリー極の両方にわたって電子的接触をもたらすことを防止する。一方、バッテリーが唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液に晒される又は水溶液と接触される際に、電子絶縁材料が物理的変化を受ける可能性がある、例えば、水性流体の存在下で電子絶縁材料が膨潤する及び/又は軟化する可能性がある。これは、電子絶縁材料が水溶液に晒される際に膨潤するポリマーを備えるからである。電子伝導体は、バッテリーの他方の極との電子的接触に向けて付勢されるが、スペーサの抵抗力は、通常の使用状態下での電子伝導体の付勢力以上である。しかしながら、電子絶縁材料の膨潤及び/又は軟化の後、スペーサの抵抗力が大幅に減少され、スペーサの機械的変形、歪み、又は、変位がもたらされる場合がある。これは、電子伝導体の付勢力が、スペーサの電子絶縁材料を「乗り越え」、歪ませ、又は、変位させ、それにより、2つの極の間の電子的接続をもたらしてバッテリーを短絡させるからである。1つの改良において、電子絶縁材料は、水性流体の存在下で電子伝導体により与えられる付勢力に抵抗できないゲルを形成するヒドロゲルである。電子伝導体は、例えば、カソード缶(又はその延在部)の圧着中に及び/又はカソード缶とは別個の個別部品である電子伝導体の圧着中に付勢され得る。
【0016】
一例として、本明細書中の電子伝導体は金属から形成されてもよく、例えば、電子伝導体は、任意の適した電子伝導材料から形成されてもよい。電子伝導体を形成するのに適した電子伝導材料としては、(i)ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼、又は、亜鉛めっき鋼などの鋼を含むがこれらに限定されない金属合金、(ii)炭化物、酸化物、窒化物、及び、前述の組み合わせを含むがこれらに限定されない導電性セラミック、(iii)導電性ポリマー、(iv)導電性複合体、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。電子伝導体は、例えば、カソード缶(又はその延在部)の圧着中に及び/又はカソード缶とは別個の個別部品である電子伝導体の圧着中に付勢され得る。
【0017】
本明細書中に開示される電子伝導体は、一般に、20℃で約5×10-5オーム・cm未満又は20℃で2.5×10-5オーム・cm未満、或いは、20℃で約0.5×10-5オーム・cm~20℃で約5×10-5オーム・cmの抵抗値を有する。幾つかの例において、電子伝導体の抵抗は、20オーム未満、10オーム未満、又は、5オーム未満であり、例えば、抵抗は、約10オーム、約5オーム、又は、約1オームであってもよい。幾つかの例において、電子伝導体の抵抗は、約0.1オーム~約20オームである。
【0018】
電子絶縁材料の抵抗は、常に、電子伝導体の抵抗よりも大きい。幾つかの例において、電子絶縁材料の抵抗は、0.5メガオームよりも大きい、5メガオームよりも大きい、10メガオームよりも大きい、100メガオームよりも大きい、又は、500メガオームよりも大きい、例えば、電子絶縁材料の抵抗は、約1メガオーム、約20メガオーム、約200メガオーム、又は、約1000メガオームであってもよい。幾つかの例において、電子伝導体の抵抗は、約0.5メガオーム~約1000メガオームである。
【0019】
スペーサの電子絶縁材料は、適切な水軟化性材料、適切な水溶性及び/又は水膨潤性材料を含むがこれらに限定されない水が存在するときに物理的変化を受けることができる任意の数の電子絶縁材料(物理的特性の変化につながる化学変化を受ける電子絶縁材料を含むがこれに限定されない)から形成され得る。本明細書中で使用される「水軟化性」という用語は、水溶液の存在下で減少するヤング率を有する材料を指す。有用な水軟化性材料は、通常の使用状態下で電子伝導体の付勢力よりも大きい抵抗力を与えるのに十分高いヤング率を有する。有用な水軟化性材料は、水溶液の存在下の後、電子伝導体の付勢力が水軟化性材料に印加される際に材料が十分に変形できるようにするのに十分低いヤング率も有し、それにより、電子伝導体と第1及び第2のバッテリー極の他方との間の電子的結合をもたらすことができる。また、有用な水軟化性材料は、一般に、水溶液の存在下の後、0.0003~0.15GPaの範囲まで減少するヤング率も有する。弾性率を決定するために、様々な試験システム、例えば、Instronから入手可能な8802サーボ油圧試験システムを使用できる。水軟化性材料は水溶性材料であってもよい。有用な水溶性材料は、50mg/Lを超える、100mg/Lを超える、500mg/Lを超える、又は、1000mg/Lを超える更に一層大きい水への溶解度を有する。有用な水膨潤性材料は、一般に、純水中で30wt.%を超えて、好ましくは水中で少なくとも100重量%吸収可能である。有用な水膨潤性材料は、水溶液の存在下の後、電子伝導体の付勢力が水膨潤性材料に印加される際に材料が十分に変形できるようにし、それにより、電子伝導体と第1及び第2のバッテリー極の他方との間の電子的結合をもたらすことができる。
【0020】
電子絶縁材料は、スペーサの重量に基づいて(すなわち、スペーサをもたらすために使用される固体の重量に基づいて)、5wt.%~100wt.%、例えば、10wt.%~99wt.%、50wt.%~99wt.%、及び/又は、70wt.%~99wt.%の量で存在してもよい。スペーサを形成するために、任意の数の水軟化性、水溶性、及び/又は、水膨潤性ポリマーが単独で又は組み合わせて使用されてもよい。水溶性、水溶性、及び/又は、水膨潤性材料の非限定的な例としては、糖、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリエチレンオキシド(PEO)などのポリエーテル、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアミド(PA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、アクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、プルラン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、多糖類、寒天を含むがこれらに限定されない天然ポリマー、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、及び、デンプン、エトキシル化デンプン及びヒドロキシプロピル化デンプンを含むがこれらに限定されない加工デンプン、前述のコポリマー、それらの塩、及び、前述のいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水軟化性、水溶性、及び/又は、水膨潤性材料は、好ましくは、毒性を伴わない又はほとんど毒性を伴わない生物学的に不活性な材料である。
【0021】
NaHPO、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、重曹、砂糖、砂糖のような物質、及び、クエン酸などの良性の固体が、スペーサをもたらすように電子絶縁材料と組み合わせて含まれ得る。良性の固体は、スペーサの重量に基づいて(すなわち、スペーサをもたらすために使用される固体の重量に基づいて)、0wt.%~30wt.%、例えば、0wt.%~20wt.%、1wt.%~30wt.%、及び/又は、1wt.%~20wt.%の量で存在してもよい。
【0022】
図2A及び図2Bはバッテリー50を示し、該バッテリー50は、任意のタイプの一次又は二次バッテリーであってもよく、図示の例ではボタンセルタイプのバッテリーである。バッテリー50は、バッテリーを取り囲むバッテリーハウジングを含む。バッテリーハウジングは、カソード缶54及びアノードカップ58を備える。カソード52がカソード缶54内に配置され、アノード56がアノードカップ58内に配置される。カソード52及びアノード56は、バッテリー50内のセパレータ60によって電子的に分離される。カソード缶54及びアノードカップ58のそれぞれはバッテリー50の異なる極を形成し、この場合、カソード缶54がプラス極を形成し、アノードカップ58がマイナス極を形成する。
【0023】
カソード52及びアノード56は、カソード52の横方向の範囲の全体にわたって、例えば実質的にバッテリー50の直径の全体にわたって延びる絶縁セパレータ60によって離間される。絶縁セパレータ60は、それを通じてイオンを自由に伝導できる材料から製造される。絶縁ガスケット62が、カソード缶54をアノードカップ58から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット62は、アノードカップ58の任意の部分がカソード缶54に接触するのを防止してバッテリー50を密閉し、電解質損失を防止する。
【0024】
図示の実施形態において、絶縁ガスケット62は、アノードカップがカソード缶54に接触できないようにカソード缶54内へと延在してアノードカップ58を完全に取り囲むが、アノードカップ58がカソード缶54を取り囲むとともに絶縁ガスケット62がアノードカップ58内へと延在してカソード缶54を完全に取り囲む逆の形態が使用されてもよい。本明細書中に明示的に示される図示の各実施形態(図2A図2B図4A図4B図5A図5B図6A、及び、図6Bに示されるものを含む)は、アノードカップがカソード缶54(又は対応する参照番号)に接触できないようにカソード缶54(又は対応する参照番号)内へと延在してアノードカップ58(又は対応する参照番号)を完全に取り囲む絶縁ガスケット62(又は対応する参照番号)を含むが、逆の形態が使用される安全機構を伴うバッテリーが考えられることが理解されるべきである。
【0025】
バッテリー50は、本開示に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている典型的な安全機構を更に含み、安全機構は、カソード缶54の外縁の周りで全体的に又は部分的に延在する電子伝導体66を含む。電子伝導体66は、前述のように、金属、例えば金属合金材料から形成されてもよい。電子伝導体66は、カソード缶54の外表面に装着固定される取り付けセグメント68を含む。電子伝導体66は、任意の適切な相互接続によってカソード缶に装着されてもよい。例えば、取り付けセグメント68は、機械的に安全な取り付けのためにカソード缶54の外壁に沿う溝(図示せず)との締まり嵌めによって取り付けられてもよい。他の例において、取り付けセグメント68は、接着剤の塗布によって又は溶接継手を形成することによってカソード缶54の外側壁に取り付けられてもよい。
【0026】
カソード缶がアノードカップ58に接触できないように絶縁ガスケット62がアノードカップ58内へと延在してカソード缶54を取り囲む逆の形態(図示せず、簡単に前述した)において、電子伝導体66は、アノードカップ58の外縁の周囲で全体的又は部分的に延在し、カソード缶54に関連して前述したようにアノ-ドカップに固定されてもよい。
【0027】
図2Bに示されるように、電子伝導体66の取り付けセグメント68はカソード缶54に電子的に結合される。図示の形態では、電子伝導体66がカソード缶54と直接的な物理的接触を成している。電子伝導体66は、取り付けセグメント68から延在する接地セグメント70を更に含む。一般に、接地セグメント70は、取り付けセグメント68に対して直交する又は略直交する方向に延在する。
【0028】
接地セグメント70は、バッテリー50の通常の動作中にアノードカップ58から離間され、それにより、バッテリー50の通常の動作中にプラス極及びマイナス極を電子的に結合させず、その結果、バッテリー50を短絡させない。図示の例において、接地セグメント70とアノードカップ58との間の間隔は、接地セグメント70とアノードカップ58との間に電子絶縁材料を備えるスペーサ64を設けることによって達成される。図2Bに示されるように、スペーサは、通常の使用状態中のようなスペーサ64が存在するときに電子伝導体66の接地セグメント70がアノードカップ58(したがって、バッテリー50のマイナス極)に電子的に結合されないように、接地セグメント70の張り出し部と、第1及び第2の極の他方、ここではアノードカップ58との間に配置される。スペーサ64は、接地セグメント70の先端張り出し部まで又は先端張り出し部を越えて延在してもよい。
【0029】
スペーサ64は、例えば、安全状態に晒された後、一般的には唾液、胃液、又は、他の水性流体に晒された後に溶解することによって、物理的変化を受けることができる材料を備えてもよく、それにより、スペーサ64の溶解後、電子伝導体66の付勢力が、接地セグメント70をアノードカップ58(例えば、その上側上端面又は側壁面)と電子的に接触させてバッテリー50を短絡させることができる。他の例において、スペーサ64は、例えば、乗り越えられ、歪まされ、又は、変位され得る材料を備えてもよく、これは、スペーサ64が安全状態、一般的には唾液、胃液、又は、他の水性流体に晒されることに応じて軟化する、膨潤化する、或いはさもなければ、機械的に脆弱化するからである。スペーサ64は、例えば、水性流体がバッテリー50と接触してスペーサ64により吸収されることによってスペーサ64が軟化する、膨潤化する、及び/又は、ゲルを形成するときに、機械的に脆弱化されてもよい。スペーサ64のそのような機械的脆弱化の結果として、電子伝導体66の付勢力は、接地セグメント70をアノードカップ58と係合させて電子的に接触させ、それにより、例えば安全状態(又はバッテリー50と水性流体との他の接触)中にバッテリー50を短絡させることができる。前述のように、安全状態は、人、乳児、又は、ペットの動物がバッテリー50を飲み込んでバッテリー50を唾液又は胃液の形態の水溶液に晒すときに生じ得る。図示の実施形態において、絶縁ガスケット62は、スペーサ64とは別個の構成要素として示され、そのため、バッテリー50が水性流体と接触してスペーサが物理的変化を受けた後に無傷のまま残存することができ、それにより、カソード52及びアノード56の材料をバッテリー50内に維持できる。しかしながら、他の実施形態において、絶縁ガスケット62及びスペーサ64は、一体構造を成すことができ、この場合、スペーサ62は、絶縁ガスケット64としても機能して絶縁ガスケット64を効果的にもたらす。したがって、この実施形態では、別個の絶縁ガスケット64が存在せず、電子絶縁材料を備えるスペーサ62は、接地セグメント70とアノードカップ58との間に配置されることに加え、アノードカップ54がカソード缶54に接触できないようにカソード缶54内へと延在してアノードカップ58を完全に取り囲みもする。勿論、前述のように、逆の形態が使用される安全機構を伴うバッテリーが考えられる。
【0030】
図2Bに例示される例に示されるように、電子伝導体66は、2つのセグメント、すなわち、取り付けセグメント68及び接地セグメント70を含む。各セグメント68、70は、バッテリー50の第1の極(例えば、カソード缶54)に電子的に結合され、また、各セグメント68、70は、スペーサ64によってバッテリー50の第2の極(例えば、アノードカップ58)から電子的に絶縁される。図示の実施形態において、取り付けセグメント68は、カソード缶54、すなわち、プラスのバッテリー極に電子的に結合され(実際には直接的な物理的接触を成す)、また、電子伝導体66の接地セグメント70は、アノードカップ58、すなわち、マイナスのバッテリー極と電子的に接触せず、アノードカップ58と係合する方向に付勢される。
【0031】
バッテリー50のプラス極又はマイナス極のいずれかが電子伝導体66に電子的に接続されていればよいことが分かり、この場合、2つの極の他方は、通常の使用状態下又は保管状態下で張力が付与された電子伝導体66から電子的に絶縁される。したがって、通常の使用状態下又は保管状態下で電子伝導体66とバッテリー50のプラス極又はマイナス極のいずれかとの電子的接触を防止するために、スペーサ64がバッテリー50のプラス極又はマイナス極のいずれかに隣接して配置されてもよいことが更に分かる。したがって、もう1つの方法として、通常の使用状態中に電子伝導体がアノードカップ58の上端面に電子的に結合される(例えば、直接的な物理的接触を成す)とともに電子伝導体66とカソード缶54との間に配置されるスペーサ64によってカソード缶54の側壁から離間されるように電子伝導体66がバッテリー50の周囲に配置されてもよいとも考えられる。
【0032】
更にまた、図示の例では、取り付けセグメント68及び接地セグメント70が、一体構造を成すように、したがって、それらが互いに連続して電子的に結合されるべく互いに直接に接続されるように示されるが、他の例において、バッテリー安全機構(図示せず)の取り付けセグメント68及び接地セグメント70は、安全状態中にのみ例えば水溶液又は体液の存在に応じて互いに電子的に結合されるようになるべく、バッテリーの通常の動作中に互いに電子的に絶縁されてもよい。したがって、他の例において、取り付けセグメント68は、バッテリー50のプラス極又はマイナス極のいずれかと電子的に接触してもよく、また、接地セグメント70は、バッテリー50のプラス極及びマイナス極の他方と電子的に接触してもよく、この場合、スペーサ64は、2つのセグメント68,70間に位置される絶縁材料を備え、それにより、セグメント68,70は、バッテリーの通常の動作中に互いに電子的に結合されない(したがって、プラス極及びマイナス極が互いに電子的に結合されない)。スペーサ64の電子絶縁材料の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化をもたらすように安全状態(又はバッテリー50と水性流体との他の接触)に直面した後、接地セグメント70は、取り付けセグメント68と係合して電子的に接触することができ、それにより、バッテリー50を短絡させる。前述のように、安全状態は、人、乳児、又は、ペットの動物がバッテリー50を飲み込んでバッテリー50を唾液又は胃液の形態の水溶液に晒すときに生じ得る。
【0033】
図3は、2つの異なるバッテリー、すなわち、従来のボタンセルバッテリー(この例では、Duracell Inc.から入手可能なボタンセルバッテリーDL2032)と、図2A及び図2Bに描かれるバッテリー50などの本開示に係る組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を更に備える同等のボタンセルバッテリーとに関するセル電圧対時間のプロットを示す。バッテリーを1M KCl溶液と約100秒間接触させた後、アノードカップ58でガス供給が開始され、また、バッテリーが短絡し始めるにつれて、試験されたバッテリーの実際のセル電圧が降下される。従来のバッテリーでは、約300秒後に約1.5Vで電圧降下が止まる。1.5Vの電圧は、低下されるが、水の電気分解と水酸化物イオンの生成とを引き起こすのに十分である。したがって、この電圧は、低下される場合でも、バッテリーが人間の喉に留まれば、食道組織の燃焼及び損傷を引き起こし得る。勿論、バッテリーは、うまく飲み込まれれば、かなりの胃の苦痛感も引き起こし得る。これに対し、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を伴うバッテリー50は、水の電気分解がアノードカップ58で実質的にもはや起こらないように更に短絡される。実際に、図示の例では、安全機構がバッテリー50を実質的に完全にほぼ0Vまで短絡させる。図3に示される例では、唾液、胃液、又は、他の水性流体に溶解することができる水溶性材料である電子絶縁材料を備えるスペーサ64が使用された。具体的には、図3に示される安全機構を伴うバッテリー50のスペーサ64は、良性の固体、この場合には、良性の塩、具体的にはNaHPO(約10wt.%)、及び、水溶性材料、具体的にはポリアクリル酸(約90wt.%)を含んだ。
【0034】
図4A及び図4Bにおいて、ボタンセルバッテリーとしても示される他の例のバッテリー100は、カソード缶114及びアノードカップ118を含む。カソード152がカソード缶114内に配置され、アノード156がアノードカップ118内に配置される。カソード152及びアノード156は、バッテリー100内のセパレータ160によって電子的に分離される。カソード缶114及びアノードカップ118のそれぞれはバッテリー100の異なる極を形成し、この場合、カソード缶114がプラス極を形成し、アノードカップ118がマイナス極を形成する。絶縁ガスケット162が、カソード缶114をアノードカップ118から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット162は、アノードカップ118の任意の部分がカソード缶114に接触するのを防止してバッテリー100を密閉し、電解質損失を防止する。バッテリー100は、図2A及び2Bにおいて前述したバッテリー50に関連して示される要素と同じ要素の多くを共有し、したがって、概して、本明細書中では、差異のみが説明される。
【0035】
バッテリー100は、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている安全機構を更に含み、安全機構は、スペーサ164と、該スペーサ164内に埋め込まれる又は配置される電子伝導体166とを備え、スペーサ164は、唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液に晒された後に物理的変化を受けることができる電子絶縁材料を備える。スペーサ164は、絶縁ガスケット162の上方に配置され、スペーサ164がカソード缶114をアノードカップ118から電子的に絶縁するという点で、通常の動作中に絶縁ガスケット162と同様に機能する。図示の例において、スペーサ164内に埋め込まれる又は配置される電子伝導体166は、第1及び第2のバッテリー極の一方、ここではアノードカップ118と直接的な物理接触を成し、したがって、アノードカップ118に電子的に結合されるが、スペーサ164により、第1及び第2のバッテリー極の他方、ここではカソード缶114から電子的に分離される。この例では、電子伝導体166が接触位置150でアノードカップ118に電子的に結合される。図2A及び図2Bに示されるバッテリー50において例示されるカソード缶54と電子伝導体66との間の電子的結合と同様に、電子伝導体166とアノードカップ118との間の電子的結合は、通常の動作中及び保管中の両方において並びにバッテリー100が安全状態に直面した後において、バッテリー100の動作の全体にわたって維持される所定の直接的な物理接続となり得る。接触位置150での電子伝導体166とアノードカップ118との間の接続は、例えば、溶接作業又は機械的接続によって固定され得る。
【0036】
図示の形態において、電子伝導体166は、接触位置150から、アノードカップ118とカソード缶114との間の距離の一部を横断してカソード缶114と係合する方向に向けて付勢される2つの分岐アームセグメントへと延在する。この例では、単一の電子伝導体166のみが示されるが、1つ以上のそのような電子伝導体166が含まれてもよい。唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液と接触した後、スペーサ164の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化が起こり、それにより、電子伝導体166がカソード缶114との電子的接触へと偏向でき、その結果、カソード缶114がアノードカップ118に電子的に結合される。結果として、バッテリー100が短絡され、例えばバッテリー100が人又はペットの動物によって飲み込まれてしまった場合などにおいて、消費者が安全状態中に保護される。図示の実施形態において、絶縁ガスケット162は、スペーサ164とは別個の構成要素として示され、そのため、バッテリー100が水性流体と接触した後に無傷のまま残存することができ、それにより、カソード152及びアノード156の材料をバッテリー100内に維持できる。しかしながら、他の実施形態では、絶縁ガスケット162及びスペーサ164が一体構造を成すことができ、この場合、スペーサ164は、図2A及び図2Bに関連して前述したスペーサ64及び絶縁ガスケット62に関して言及したように、絶縁ガスケット162として更に機能して絶縁ガスケット162を効果的にもたらす。
【0037】
この例では、通常の使用状態下で電子伝導体がカソード缶114との電子的接触へと偏向しないようにスペーサ164の抵抗力が電子伝導体166の付勢力以上である限り、電子伝導体166はスペーサ164内に部分的又は全体的に埋め込まれ又は配置されてもよい。したがって、電子伝導体166がカソード缶114と係合する方向に向けて付勢され得る、例えば、電子伝導体166がカソード缶114の内面と係合する方向に向けて付勢され得ることに留意すべきである。勿論、電子伝導体166がカソード缶114と直接的な物理接触を成すことによりカソード缶114に電子的に結合される一方でスペーサ164によってアノードカップ118から電子的に分離される反対の形態も考えられる。
【0038】
図5A及び図5Bは、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている本開示に係る安全機構を伴う典型的なバッテリー200を示す。バッテリー200は、カソード缶214及びアノードカップ218を含む。カソード252がカソード缶214内に配置され、アノード256がアノードカップ218内に配置される。カソード252及びアノード256は、バッテリー200内のセパレータ260によって電子的に分離される。カソード缶214及びアノードカップ218のそれぞれはバッテリー200の異なる極を形成し、この場合、カソード缶214がプラス極を形成し、アノードカップ218がマイナス極を形成する。絶縁ガスケット262が、カソード缶214をアノードカップ218から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット262は、アノードカップ218の任意の部分がカソード缶214に接触するのを防止してバッテリー200を密閉し、電解質損失を防止する。バッテリー200は、図2A及び2Bにおいて前述したバッテリー50に関連して示される要素と同じ要素の多くを共有し、したがって、概して、本明細書中では、差異のみが説明される。
【0039】
第1のバッテリー極、ここではカソード缶214は、その連続部又は延在部としてカソード缶214に組み込まれる電子伝導体230を含む。したがって、図2Bでは電子伝導体66がカソード缶54とは別の構成要素として示されているが、電子伝導体230及びカソード缶214は一体構造を成し、例えば、電子伝導体230は、バッテリーが唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液に晒された後にバッテリー200を短絡させるべく第2のバッテリー極、ここではアノードカップ218の外表面に電子的に結合され得るカソード缶214の連続部又は延在部を構成する。電子伝導体230は、バッテリー200が安全状態に直面した後に他方のバッテリー極であるアノードカップ218の外壁との電子的接触を容易にする突起(図示せず)を有してもよい。
【0040】
図5A及び図5Bに示される実施形態において、カソード缶214の電子伝導体230は、電子絶縁材料を備えるスペーサ264によってアノードカップ218から分離される。スペーサ264は、バッテリー200の密閉領域に組み込まれ、スペーサ264は、電子伝導体230とアノードカップ218の外壁との間に配置され、それにより、電子伝導体230とアノードカップ218との間の電子的接触を防止する。通常の使用状態下で、スペーサ264は、前述のように共通の絶縁ガスケット262も含む更なるシールをバッテリー200にもたらしてもよい。スペーサ264及び絶縁ガスケット262は、協働して、アノードカップ218とカソード缶214との間の電子的接続を防止し、それにより、これらの2つの構成要素は、通常の使用状態下で互いに電子的に絶縁される。バッテリー200が水溶液又は体液に晒された後、スペーサ264の電子絶縁材料の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化時に、カソード缶214の連続部又は延在部230をアノードカップ218の外壁と係合する方向に付勢して接触させることができ、それにより、カソード缶214の連続部又は延在部230がアノードカップ218に電子的に結合されるようになり得る。結果として、バッテリー200が短絡され、例えばバッテリー200が人又はペットの動物によって飲み込まれてしまった場合などにおいて、消費者が安全状態中に保護される。図示の実施形態において、絶縁ガスケット262は、スペーサ264とは別個の構成要素として示され、そのため、バッテリー200が水性流体と接触した後に無傷のまま残存することができ、それにより、カソード252及びアノード256の材料をバッテリー200内に維持できる。しかしながら、他の実施形態では、絶縁ガスケット262及びスペーサ264が一体構造を成すことができ、この場合、スペーサ264は、図2A及び図2Bに関連して前述したスペーサ64及び絶縁ガスケット62に関して言及したように、絶縁ガスケット262として更に機能して絶縁ガスケット262を効果的にもたらす。
【0041】
一般に、カソード缶214の一体を成す連続部又は延在部230は、バッテリー200が製造される際の圧着プロセス中に形成される。図示の例において、カソード缶214の連続部又は延在部230は、カソード缶214の側壁の延在部として形成される。連続部又は延在部230は、屈曲部を含み、アノードカップ218と係合する方向に向けて付勢される。連続部又は延在部230は、例えば、付勢スされる電子伝導体を形成するように事前に切断され得る。
【0042】
図6A及び図6Bは、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている本開示に係る安全機構を伴う典型的なバッテリー300を示す。バッテリー300は、カソード缶314及びアノードカップ318を含む。カソード352がカソード缶314内に配置され、アノード356がアノードカップ318内に配置される。カソード352及びアノード356は、バッテリー300内のセパレータ360によって電子的に分離される。カソード缶314及びアノードカップ318のそれぞれはバッテリー300の異なる極を形成し、この場合、カソード缶314がプラス極を形成し、アノードカップ318がマイナス極を形成する。絶縁ガスケット362が、カソード缶314をアノードカップ318から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット362は、アノードカップ318の任意の部分がカソード缶314に接触するのを防止してバッテリー300を密閉し、電解質損失を防止する。バッテリー300は、図2A及び2Bにおいて前述したバッテリー50に関連して示される要素と同じ要素の多くを共有し、したがって、概して、本明細書中では、差異のみが説明される。
【0043】
バッテリー300は、バッテリー100及び200(図3A図3B図4A及び図4Bに示される)の特徴と同様の特徴を有する。図6Bに示されるように、バッテリー300は、安全機構が第2の電子伝導体366を含むという点でバッテリー200とは異なり、第2の電子伝導体366は、スペーサ364内に埋め込まれ又は配置されてもよいとともに、アノードカップ318の全周にわたって延在してもよく又はアノードカップ318の外周の一部のみに沿って延在してもよい。第2の電子伝導体366は、アノードカップ318と直接的な物理接触を成すことによりアノードカップ318に電子的に結合される一方で、スペーサ364によって第1の伝導体330、したがってカソード缶314から電子的に分離される。バッテリー300が水溶液又は体液に晒された後、スペーサ364の電子絶縁材料の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化時に、カソード缶314の連続部又は延在部330をアノードカップ318の外壁と係合する方向に付勢して接触させることができ、それにより、カソード缶314の連続部又は延在部330がアノードカップ318に電子的に結合されるようになり得る。加えて、スペーサ364の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化が起こるように、バッテリーが唾液、胃液、水、又は、他の水性流体などの水溶液と接触した後、電子伝導体366がカソード缶314との電子的接触へと偏向でき、それにより、カソード缶314がアノードカップ318に電子的に結合される。結果として、バッテリー300が短絡され、例えばバッテリー300が人又はペットの動物によって飲み込まれてしまった場合などにおいて、消費者が安全状態中に保護される。図示の実施形態において、絶縁ガスケット362は、スペーサ364とは別個の構成要素として示され、そのため、バッテリー300が水性流体と接触した後に無傷のまま残存することができ、それにより、カソード352及びアノード356の材料をバッテリー300内に維持できる。しかしながら、他の実施形態では、絶縁ガスケット362及びスペーサ364が一体構造を成すことができ、この場合、スペーサ364は、図2A及び図2Bに関連して前述したスペーサ64及び絶縁ガスケット62に関して言及したように、絶縁ガスケット362として更に機能して絶縁ガスケット362を効果的にもたらす。
【0044】
図7は、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている本開示に係る安全機構を伴う更なる典型的なバッテリー400を示す。バッテリー400は、カソード缶414及びアノードカップ418を含む。カソード452がカソード缶414内に配置され、アノード456がアノードカップ418内に配置される。カソード452及びアノード456は、バッテリー400内のセパレータ460によって電子的に分離される。カソード缶414及びアノードカップ418のそれぞれはバッテリー400の異なる極を形成し、この場合、カソード缶414がプラス極を形成し、アノードカップ418がマイナス極を形成する。絶縁ガスケット462が、カソード缶414をアノードカップ418から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット462は、アノードカップ418の任意の部分がカソード缶414に接触するのを防止してバッテリー400を密閉し、電解質損失を防止する。バッテリー400は、図2A及び2Bにおいて前述したバッテリー50に関連して示される要素と同じ要素の多くを共有し、したがって、概して、本明細書中では、差異のみが説明される。
【0045】
図7に示されるように、バッテリー400は、カソード缶414と電子的に接触する第1の電子伝導体466と、アノードカップ418と電子的に接触する第2の電子伝導体480とを含む。スペーサ464が、第1の電子伝導体466と第2の電子伝導体480との間に配置される。バッテリー400が水溶液又は体液に晒された後、スペーサ464の電子絶縁材料の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化時に、第2の電子伝導体480が第1の電子伝導体466に接触することによりカソード缶414をアノードカップ418に電子的に結合させることができるように第2の電子伝導体480を第1の電子伝導体と係合する方向に付勢することができる。結果として、バッテリー400が短絡され、例えばバッテリー400が人又はペットの動物によって飲み込まれてしまった場合などにおいて、消費者が安全状態中に保護される。図示の実施形態では、カソード缶414及び第1の電子伝導体が別個の構成要素として示されるが、カソード缶414自体が電子伝導体466として更に機能して電子伝導体466を効果的にもたらすように電子伝導体466及びカソード缶414が一体構造を成してもよいことが理解されるべきである。したがって、この実施形態では、別個の電子伝導体466が不要である。
【0046】
図8は、組織の損傷及び/又は電気分解から保護するようになっている本開示に係る安全機構を伴う更なる典型的なバッテリー500を示す。バッテリー500は、カソード缶514及びアノードカップ518を含む。カソード552がカソード缶514内に配置され、アノード556がアノードカップ518内に配置される。カソード552及びアノード556は、バッテリー500内のセパレータ560によって電子的に分離される。カソード缶514及びアノードカップ518のそれぞれはバッテリー500の異なる極を形成し、この場合、カソード缶514がプラス極を形成し、アノードカップ518がマイナス極を形成する。絶縁ガスケット562が、カソード缶514をアノードカップ518から電子的に絶縁し、絶縁ガスケット562は、アノードカップ518の任意の部分がカソード缶514に接触するのを防止してバッテリー500を密閉し、電解質損失を防止する。バッテリー500は、図2A及び2Bにおいて前述したバッテリー50に関連して示される要素と同じ要素の多くを共有し、したがって、概して、本明細書中では、差異のみが説明される。
【0047】
図8に示されるように、バッテリー500は、第1のスペーサ564及び第2のスペーサ564’を含む。スペーサ564は、カソード缶514の周囲で別個の部分又は連続外周層を構成してもよい。同様に、スペーサ564’は、連続層又は別個の部分を構成してもよい。スペーサ564,564’は、カソード缶514及びアノードカップ518(第1及び第2のバッテリー極に対応する)と電子伝導体566との間に配置される。バッテリー500が水溶液又は体液に晒された後、スペーサ564,564’の電子絶縁材料の溶解、軟化、及び/又は、膨潤化時に、電子伝導体566をカソード缶514及びアノードカップ518と係合する方向に付勢することができ、それにより、カソード缶514とアノードカップ518とが電子的に結合される。結果として、バッテリー500が短絡され、例えばバッテリー500が人又はペットの動物によって飲み込まれてしまった場合などにおいて、消費者が安全状態中に保護される。
【0048】
この明細書の全体にわたって、複数の事例は、単一の事例として記載される構成要素又は構造を実施し得る。構成例において別個の構成要素として与えられる構造及び機能性は、組み合わせされた構造又は構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として与えられる構造及び機能性は、別個の構成要素として実装されてもよい。これら及び他の変形、修正、付加、及び、改良は、本明細書中の主題の範囲内にある。
【0049】
本明細書中で使用される「1つの実施形態」又は「一実施形態」への任意の言及は、その実施形態に関連して記載される特定の要素、特徴、構造、又は、特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書中の様々な箇所における「1つの実施形態では」という表現の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0050】
本明細書中に記載される幾つかの実施形態は、「結合される」及び/又は「接続される」という用語を使用する。例えば、幾つかの実施形態は、直接的な物理的又は電子的接触で示される2つ以上の要素を説明するために「結合される」又は「接続される」という用語を使用して説明される。しかしながら、「結合される」及び「接続される」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接的な物理的接触をしないが、依然として互いに協働する又は相互作用することも意味する場合がある。実施形態はこれに関連して限定されない。
【0051】
本明細書中で使用される用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、又は、これらの任意の他の変形は、非排他的な含有物を網羅するように意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は、装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に挙げられていない或いはそのようなプロセス、方法、物品、又は、装置に固有の他の要素を含んでもよい。更に、反対のことが明示的に述べられなければ、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すのではない。例えば、要素A又はBは、以下、すなわち、Aが存在しBが存在せず、Aが存在せずBが存在し、及び、AとBの両方が存在する、のうちのいずれか1つによって満たされる。
【0052】
更に、「1つ(a)」又は「1つ(an)」の使用は、本明細書中の実施形態の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に、便宜上及び説明の一般的な意味を与えるために行なわれる。この説明及び以下の特許請求の範囲は、1つの又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、また、単数形は、それが別のことを意味していることが明らかでなければ、複数形も含む。
【0053】
全ての想定し得る実施形態を説明することが不可能ではないにしても実用的でないため、この詳細な説明は、単なる一例として解釈されるべきであり、全ての想定し得る実施形態を説明するものではない。現在の技術又はこの出願の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替的な実施形態を実施することができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8