(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】静電チャックにおける静電荷の蓄積のリアルタイム制御によって一貫した静電クランピングを提供する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230727BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2020528161
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 US2018063858
(87)【国際公開番号】W WO2019113078
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-18
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マキンタイヤー,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ,ウィリアム
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-535937(JP,A)
【文献】特表2016-508292(JP,A)
【文献】特開平11-251419(JP,A)
【文献】特開平10-127072(JP,A)
【文献】特表2009-527923(JP,A)
【文献】特開2006-5136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電クランプ圧力を制御するためのシステムであって、
静電クランプと、
上記静電クランプと電気的に接続された電源と、
上記電源と動作可能に接続されたデータ取得システムと、
コントローラと、を備えており、
上記静電クランプは、1つ以上の電極を用いて、当該静電クランプに関連するクランプ表面にワークピースを選択的かつ静電的にクランプし、
上記電源は、上記静電クランプの上記1つ以上の電極に、あるクランプ周波数におけるクランプ電圧を選択的に供給し、
上記データ取得システムは、上記1つ以上の電極に供給される電流を測定することにより、測定電流を規定し、
上記コントローラは、上記測定電流を時間積分することにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間におけるクランプ力に関連する決定電荷値を規定し、
上記コントローラは、上記決定電荷値に基づいて、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における所望のクランプ力を維持
し、
上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記所望のクランプ力は、所望の電荷値についての所定の範囲に関連しており、
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることによって、上記決定電荷値が上記所望の電荷値についての所定の範囲内に留まるように、上記1つ以上の電極に供給される上記電流を維持する、システム。
【請求項2】
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることによって、上記1つ以上の電極に供給される上記電流を維持することにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記所望のクランプ力を維持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記所望のクランプ力は、所望のクランプ力についての範囲を含む、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
上記クランプ力に関連する電荷値を記憶するメモリをさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記メモリは、複数のクランプサイクルに亘って、複数の電荷値のそれぞれに関連する複数のクランプ電圧および複数のクランプ周波数を格納する、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
上記コントローラは、上記決定電荷値と上記複数の電荷値との比較に基づいて、上記静電クランプのクランプ能力ステータスを決定する、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
上記コントローラは、上記測定電流の数値積分を実行する数値積分器を備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
上記電源は、A/C電源を含んでおり、
上記データ取得システムは、上記1つ以上の電極に供給される上記電流の1つの極性を測定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
上記静電クランプは、3相静電クランプを含んでおり、
上記電源は、上記静電クランプの上記1つ以上の電極に、選択的かつ交互に3相クランプ電圧を供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
静電クランプ圧力を制御するためのシステムであって、
静電クランプと、
電源と、
データ取得システムと、
コントローラと、を備えており、
上記静電クランプは、当該静電クランプに関連するクランプ表面にワークピースを選択的かつ静電的にクランプし、
上記静電クランプは、1つ以上の電極を備えており、
上記電源は、上記1つ以上の電極に、あるクランプ周波数におけるクランプ電圧を選択的に供給することにより、上記クランプ表面に上記ワークピースを選択的かつ静電的にクランプさせ、
上記データ取得システムは、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数に関連する電流を測定することにより、測定電流を規定し、
上記コントローラは、上記測定電流を時間積分することにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間におけるクランプ力に関連する決定電荷値を規定し、
上記コントローラは、上記決定電荷値に基づいて、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記クランプ力を制御
し、
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることによって、上記決定電荷値を、(i)所望の値に維持する、または、(ii)電荷値についての所定の範囲内に維持する、システム。
【請求項11】
上記コントローラは、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間におけるほぼ一定のクランプ力を維持する、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
複数のクランプサイクルに亘って、複数のクランプ力に関連する複数の電荷値を格納するメモリをさらに備えている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項13】
上記コントローラは、上記測定電流の数値積分を実行する数値積分器を備えている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項14】
上記電源は、A/C電源を含んでおり、
上記データ取得システムは、上記1つ以上の電極に供給される上記電流の1つの極性を測定する、請求項
10に記載のシステム。
【請求項15】
静電クランプ力を維持するための方法であって、
あるクランプ周波数におけるクランプ電圧を静電クランプの1つ以上の電極に印加し、上記静電クランプのクランプ表面にワークピースを静電的に吸着させることと、
上記1つ以上の電極に印加される上記クランプ電圧および上記クランプ周波数に関連する電流を測定し、測定電流を規定することと、
上記測定電流を時間積分し、上記ワークピースと上記静電クランプとの間におけるクランプ力に関連する電荷値を規定することと、
上記電荷値に基づいて上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御すること
によって、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における所望のクランプ力を維持することと、を含んで
おり、
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することは、上記電荷値を所定の範囲内に維持することを含んでいる、方法。
【請求項16】
上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することは、
以前に格納された複数の電荷値
についての
数値モデルに少なくとも部分的に基づいている、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
上記電荷値に基づいて上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することにより、概ね一定のクランプ力を維持する、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
上記電荷値に基づいて上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することにより、上記クランプ力を、クランプ力についての所望の範囲内に維持する、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の参照]
本願は、2017年12月5日に出願された、「METHOD TO PROVIDE CONSISTENT ELECTROSTATIC CLAMPING THROUGH REAL TIME CONTROL OF ELECTROSTATIC CHARGE DEPOSITION IN AN ELECTROSTATIC CHUCK」というタイトルが付された、米国特許出願No.15/831,972の利益を主張する。当該米国特許出願の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、概して静電クランプに関する。より具体的には、本発明は、静電クランプ上の静電荷をリアルタイムで制御することにより、当該静電クランプに関連するクランプ力(clamping force)を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
[背景]
半導体の製造時において、静電クランプ(静電チャックまたはESCとも称される)は多くの場合、ワークピース(例えば半導体ウェハ)に半導体プロセスが施されている期間に、当該ワークピースを所定の位置に保持するために利用される。このような半導体処理中には、多くの場合、(i)静電クランプに対するワークピースの位置を正確に維持すること、および/または、(ii)静電クランプを介したワークピースのバックサイド冷却によって当該ワークピースの温度を維持することが望まれる。多くの場合、ワークピースの位置および/または温度を維持するためには、ワークピースの静電クランプの表面に所定の接触圧力を維持することが要求される。
【0004】
静電クランプに対するワークピースの位置および/または所定の接触圧力を維持するために、ワークピースのクランプおよび処理の全体を通じて、適切なクランプ力が維持されることを保証すべく、テスト(試験)が実行されることが頻繁である。当該テストは、ワークピースリフティングテスト(ワークピース吊上げ試験)を含みうる。ワークピースリフティングテストでは、テストワークピースに接続されたロードセルによって、静電クランプからワークピースを取り外す(remove)ために必要な力が測定される。続いて、ワークピースを取り外すために必要な力は、ワークピースのクランプを維持するための静電クランプの性能(能力)(ability)を決定するために利用される。
【0005】
処理中にバックサイドガスがワークピースの冷却に使用される場合には、静電クランプによって得られるクランプ力を決定するための別のテストが頻繁に利用される(いわゆる「ポップオフ」テスト)。このようなバックサイドガスは、静電クランプの表面におけるオリフィスを介して、ワークピースのバックサイド(裏面,背面)に供給される。バックサイドガスの圧力および/または流量(流れ)(flow)は、静電クランプによってワークピースに印加されるクランプ力を、少なくとも部分的に相殺する(counteract)。バックサイドガスの圧力または流量は、ワークピースが静電クランプから分離する(離れる)レベルまで増加させられる。これにより、上記分離に関連するクランプ力の程度、ひいては静電クランプのクランプ能力(clamping capability)のコンディション(状態)を、測定することができる。
【0006】
しかしながら、多くの場合、こうしたクランプテスト(clamping tests)は生産環境において妨害的であることに留意されたい。当該クランプテストでは、特化されたワークピースおよび/またはデバイスがプロセス装置内に挿入されるため、貴重な生産時間が費やされる。さらに、こうしたテストは断続的に実行される(例えば、1回のテストが多くのワークピースクランプサイクル間に実行される)。このため、静電クランプのクランプ能力の急速な劣化(低下)は、容易に認識されず、かつ、補正(修正)されない場合がある。
【0007】
さらに、従来のクランプテストがひとたび実行されると、静電クランプパラメータのセット(例:静電クランプに印加される電圧および周波数)が、後続する(その後の)クランピング(クランプ工程)に対して利用される。この場合、クランプパラメータは、その後のクランプ試験が実行されるまで修正されない。しかしながら、静電クランプにおいて発生するクランプ圧力(clamping pressure)は、多くの理由(例:静電クランプの経年、ESCの表面のコーティング、静電クランプの表面上に存在する汚染など)により変化しうる。従来、クランプ圧力のこのような変動は、ワークピースのクランピングに伴って、リアルタイムで十分に説明されていなかった。
【0008】
[概要]
本発明は、従来の機械的テストからは独立して、静電クランプに関連するクランプ能力を評価および維持するためのシステムおよび方法を提供することによって、従来技術の限界(制限)を克服する。そこで、以下では、本発明の一部の態様についての基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。本概要は、本発明の広範な概観ではない。本概要は、本発明のキーポイント(key)または重要な要素を特定することを意図していないし、本発明の範囲を規定することも意図していない。本概要の目的は、後に記載する詳細な説明の序文(前置き)として、本発明の一部のコンセプトを単純化した形式によって示すことにある。
【0009】
本開示によれば、静電クランプ圧力(electrostatic clamping pressure)を制御するためのシステムが提供される。上記システムにおいて、静電クランプは、1つ以上の電極を用いて、当該静電クランプに関連するクランプ表面にワークピースを選択的かつ静電的にクランプするように構成されている。電源は、上記静電クランプと電気的に接続されている。上記電源は、上記静電クランプの上記1つ以上の電極に、あるクランプ周波数におけるクランプ電圧を選択的に供給するように構成されている。一例として、上記電源は、3相交流電源を含む。
【0010】
さらに、データ取得システム(データ収集システム)は、上記電源と動作可能に接続されている。上記データ取得システムは、上記1つ以上の電極に関連する電流(例:上記電源によって上記1つ以上の電極に供給される電流)を測定することにより、測定電流(測定された電流)(measured current)を規定する(define)ように構成されている。あるいは、上記電流は、例えば、上記1つ以上の電極に関連する1つ以上の導線(electrical leads)を介して、上記1つ以上の電極から直接的に測定される。
【0011】
さらに、コントローラは、上記測定電流を時間積分する(時間によって積分する)ことにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間におけるクランプ力に関連する決定電荷値(決定された電荷値)(determined charge value)を規定するように構成されている。一例として、メモリは、複数のクランプサイクルに亘って、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記クランプ力に関連する電荷値を格納するように、さらに構成されている。上記コントローラは、上記決定電荷値に基づいて、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における所望のクランプ力を維持するように、さらに構成されている。一例として、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることによって、上記1つ以上の電極に供給される上記電流を維持することにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記所望のクランプ力を維持することができる。例えば、上記所望のクランプ力は、所望のクランプ力についての範囲(range of desired clamping forces)を含みうる。
【0012】
一例として、上記ワークピースと上記静電クランプとの間における上記所望のクランプ力は、所望の電荷値についての所定の範囲(predetermined range of desired charge values)に関連している。従って、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、上記決定電荷値が上記所望の電荷値についての所定の範囲内に留まるように、上記1つ以上の電極に供給される上記電流を維持することができる。
【0013】
別の例として、メモリは、上記クランプ力に関連する電荷値を記憶するように構成されている。上記メモリは、複数のクランプサイクルに亘って、複数の電荷値のそれぞれに関連する複数のクランプ電圧および複数のクランプ周波数を格納するように構成されていてもよい。上記コントローラは、上記決定電荷値と上記複数の電荷値との比較に基づいて、上記静電クランプのクランプ能力ステータス(clamping capability status)を決定するように、さらに構成されている。
【0014】
例えば、上記コントローラは、上記測定電流の数値積分(numerical integration)を実行するように構成された数値積分器(numerical integrator)を備えていてもよい。上記電源は、A/C電源を含んでいてもよい。上記データ取得システムは、上記1つ以上の電極に供給される上記電流を測定するようにさらに構成されている。上記静電クランプは、3相静電クランプを含んでいてもよい。上記電源は、上記静電クランプの上記1つ以上の電極に、選択的かつ交互に3相クランプ電圧を供給するように構成されている。
【0015】
別の例示的な態様に基づき、静電クランプに関連する静電クランプ力を維持するための方法が提供される。一例として、あるクランプ周波数におけるクランプ電圧を静電クランプの1つ以上の電極に印加することにより、上記静電クランプのクランプ表面にワークピースを静電的に吸着させることができる。上記クランプ電圧および上記クランプ周波数に関連する電流が測定されることにより、測定電流を規定することができる。さらに、上記測定電流が時間積分されることにより、上記ワークピースと上記静電クランプとの間のクランプ力に関連する電荷値を規定することができる。さらに、上記電荷値に基づいて上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することにより、(i)上記電荷値をほぼ一定に維持すること、または、(ii)上記電荷値を電荷値についての所定の範囲内に維持すること、が可能となる。例えば、上記電荷値に基づいて上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することにより、上記クランプ力を、クランプ力についての所望の範囲(desired range of clamping forces)内に維持することができる。
【0016】
別の例では、上記クランプ電圧および上記クランプ周波数のうちの1つ以上を制御することは、電荷値およびクランプ力のモデルに少なくとも部分的に基づいている。
【0017】
上述の概要は、本発明の一部の実施形態の一部の構成についての簡単な概要を与えることを単に意図している。他の実施形態は、上述の構成に対して付加的な構成および/または異なる構成を含んでいてもよい。特に、本概要は、本出願の範囲を限定(制限)するものと解釈されるべきではない。従って、上述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は、以下に記載され、特に特許請求の範囲において挙示されている構成を含んでいる。以下の説明および添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に開示している。しかし、これらの実施形態は、本発明の原則(本質)が用いられる種々の方法のうちの一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点、および新規な構成は、図面を参照しつつ考慮することにより、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の複数の態様に係る静電クランプシステムのブロック図である。
【
図2】本開示によって決定された電荷と別の態様に係る測定されたキャパシタンス(静電容量)との比較を示すグラフである。
【
図3】別の実施例に係る、静電クランプに関連するクランプ能力を維持するための方法を示す。
【
図4】静電クランプに関連するクランプ能力を維持するための例示的なプロセッサベースシステムを模式的に示す。
【0019】
[詳細な説明]
本開示は、概して、静電クランプ(静電チャックまたはESCとも称される)に関連するクランプ能力を評価および維持するためのシステムおよび方法を対象としている。特に、静電クランプに関連する概ね一定のクランプ力を維持するためのシステムおよび方法が提供される。そこで、以下では、図面を参照して本発明を説明する。同様の参照番号は、全体を通じて同様の部材(要素)を指すために使用されてもよい。これらの態様の説明は単に例示的なものであり、限定的な意味合いで解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の説明では、本発明についての完全な理解を提供すべく、説明のために、様々な特定の詳細が開示されている。これらの特定の詳細が無くとも本発明を実施できることは、当業者であれば自明であろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に説明される実施形態または実施例によって限定されることを意図していない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図している。
【0020】
また、図面は、本開示の実施形態の一部の態様についての例示を与えるために提供されていることに留意されたい。従って、図面は、概略的なものに過ぎないと見なされるべきである。特に、図面に示される複数の部材は、必ずしも互いにスケール(縮尺)通りではない。図面における様々な部材の配置は、それぞれの実施形態についての明確な理解を提供するために選択されている。当該配置は、本発明の実施形態に係る実装(実現)における様々なコンポーネントの実際の相対的な位置の表現をしていると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される様々な実施形態および実施例の構成は、特に断りのない限り、互いに組み合わせられてよい。
【0021】
また、以下の説明では、図面に示されている、または本明細書において説明されている、機能ブロック、デバイス、コンポーネント、回路素子、または他の物理的あるいは機能的ユニット間の任意の直接的な接続または結合は、間接的な接続または結合によって実現され得ることを理解されたい。さらに、図面に示されている機能ブロックまたはユニットは、一実施形態では個別の構成または回路として実装されてもよく、あるいは、別の実施形態では共通の構成または回路によって完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。例えば、複数の機能ブロックは、共通のプロセッサ(例:信号プロセッサ)上で実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。さらに、以下の記載において、有線ベースとして説明される任意の接続は、特に断りのない限り、無線通信として実装されてもよいことを理解されたい。
【0022】
従来、静電クランプは、ワークピースを当該静電クランプにクランプするために、当該静電クランプに印加される固定された(一定の)電圧および周波数において動作する。本開示では、(i)静電クランプに関連するクランプ力は、当該静電クランプおよびワークピース上に静電容量方式で蓄積(堆積)された電荷の量に依存し、かつ、(ii)所与の電圧および周波数の設定に応じた蓄積電荷の変動が、クランプ圧力の変動を生じさせる、と理解されている。本開示は、一貫した量の蓄積電荷を提供することにより、(i)さらに一貫したクランプ力と、(ii)一貫したクランプ解除能力(de-clamping performance)と、を提供する。そこで、静電クランプシステムの同時的なインサイチュ(in-situ)の状態に応じて電圧および周波数を選択的に変化させることによって、一貫した電荷が静電クランプおよびワークピース上に蓄積させられる。このため、本開示は、ワークピース毎の(from workpiece to workpiece)一貫した蓄積電荷を維持するために、蓄積電荷をフィードバックとして使用して、静電クランプに印加される電圧または周波数を修正する。その結果、クランプパラメータ(例:クランプ電圧およびクランプ周波数)は、蓄積電荷の目標の設定値(set point)または範囲を維持するために変化しうる応答パラメータ(responsive parameters)となる。
【0023】
本開示によれば、
図1において、例示的な静電クランプ監視システム100が提供される。静電クランプ監視システム100は、例えば、静電クランプ(electrostatic clamp)(ESC)102を備えている。ESC102は、ワークピース104を、当該ESC102に関連するクランプ表面106に選択的かつ静電的にクランプするように構成されている。ESC102は、例えば、1つ以上の電極108を備えている。電極108は、ESCの表面106にワークピース104を静電的に吸着させる(静電的に引き付ける)(electrostatically attract)ように構成されている。ESC102は、例えば、クーロン静電チャックまたはジョンセン・ラーベック(Johnsen-Rahbek)(J-R)静電チャックを含む。
【0024】
電源110は、例えば、静電クランプ102に電気的に接続されている。電源は、静電クランプの1つ以上の電極108に、あるクランプ周波数(f)におけるクランプ電圧(V)を選択的に供給するように構成されている。電源110は、例えば、交流(alternating current)(AC)または直流(direct current)(DC)を供給するように構成されている。さらに、静電クランプ102は、例えば、単相クランプまたは多相クランプ(例:3相静電クランプ)を含みうる。電源110は、静電クランプの1つ以上の電極108に、あるクランプ周波数(f)における3相クランプ電圧(V)を選択的かつ交互に供給するように構成されている。このような静電クランプ102および電源110は全て、本開示の範囲内にあると考慮されている。
【0025】
さらに、データ取得システム112は、電源110に動作可能に接続されている。当該データ取得システムは、1つ以上の電極108に関連する電流(i)(例:1つ以上の電極に供給される電流)を測定することにより、測定電流を規定するように構成されている。あるいは、電流は、1つ以上の電極108から、例えば、当該1つ以上の電極に関連する1つ以上の導線(不図示)を介して、直接的に測定される。データ取得装置112は、例えば、スタンドアロンのデータ取得(data acquisition)(DAQ)ボックスを含みうる。あるいは、データ取得装置112は、(i)データ取得ソフトウェアを有するコンピュータ、オシロスコープ、または他のシステム、および/または、(ii)当該データ取得ソフトウェアがインストールされた、または、当該データ取得ソフトウェアに関連付けられたハードウェアを、含みうる。電源110が交流を供給する場合、データ取得装置112は、例えば、1つ以上の電極108に供給される電流の1つ以上の極性を測定するように、さらに構成されている。
【0026】
本開示によれば、コントローラ114がさらに設けられている。コントローラ114は、測定電流(I)を時間積分することにより、ワークピース104と静電クランプ102との間におけるクランプ力に関連する決定電荷値(Q)を規定するように構成されている。コントローラ114は、決定電荷値(Q)に基づいて、クランプ電圧(V)およびクランプ周波数(f)のうちの1つ以上を選択的に変化させるように、さらに構成されている。これにより、以下にさらに述べる通り、決定電荷値を、(i)所望の値に維持すること、または、(ii)電荷値についての所定の範囲内に維持することによって、ワークピース104と静電クランプ102との間における所望のクランプ力を概ね維持することができる。
【0027】
メモリ116が、さらに設けられてよい。メモリ116は、1つ以上のクランプサイクルに亘って、ワークピース104と静電クランプ102との間におけるクランプ力に関連する、(i)クランプ電圧(V)、(ii)クランプ周波数(f)、および、(iii)電荷値(Q)を、格納するように構成されてよい。
【0028】
本開示をより良く理解するために、ESC102の動作の理解について以下に説明する。ESC102とワークピース104との間の電荷Qは、以下の通り記述できる。
【0029】
【0030】
Vは、電源110によって供給されるクランプ電圧(clamping voltage)である。Cは、ESC102とワークピース104との間のキャパシタンス(静電容量)である。クランプ電圧VがESC102に(例:電源110によって1つ以上の電極108に)印加されると、1つ以上の電極108において電流iの突入(インラッシュ)が生じる。しかしながら、ワークピース104およびESC102によって規定されるコンデンサがフルチャージ(満充電)までチャージするため、電流の量は漸近的に低下(ドロップアウト)する。
【0031】
そこで、積分回路(例:数値積分器)が、コントローラ114に関連付けられる。この場合、電荷を決定することができる。従って、時間間隔tに亘る電流iの総和(合計)を算出する(summation)ことで、ESC102上の電荷Qの量が与えられる。以下の通り、クランプ圧力Pは、電荷密度σの二乗(charge density squared σ)に比例する。
【0032】
【0033】
γは、(i)静電クランプのタイプおよび幾何学的条件(geometric consideration)を表す導出された係数(derived coefficient)、または、(ii)独立して測定されたクランプ圧力に測定電流を整合させるために使用される自由パラメータ(フリーパラメータ)、のいずれかである。εは、自由空間の誘電率である。従って、ESC102の電極108の既知のエリア(領域)A上に電荷Qが課される(配置される)と、ワークピース104とESCとの間に生じるクランプ圧力Pは、当該電極上の電荷密度σに比例する。
【0034】
従って、本発明では、ESC上に配置される電荷Qの量(ESC上にどれだけの量の電荷Qが配置されるか)に単純に基づいて、ESC102によって生じたクランプ圧力Pを評価することができると、現時点では理解されている。多くの場合、ESC102およびワークピース104によって規定されるキャパシタをチャージ(充電)するために要する時間は、クランプ電圧Vが印加される時間よりもはるかに短いため、ESCにおいてDCドレイン電流が現れる(evidenced)ことが多いことに留意されたい。従って、電荷Qは、以下の通り記述できる。
【0035】
【0036】
inは、期間(間隔)nにおける測定電流である。inは、(i)当該期間に亘る平均値を算出するか、あるいは、(ii)複数の端点のうちの1つにおける電流を、代表的な電流として選択することによって、決定できる。ibkgは、バックグラウンド電流(例:DCドレイン電流に関連する定数)である。tは、時間間隔である。従って、補正された電流を得て、時間間隔を乗算することにより、ESC102上の電荷が得られる。電荷Qを記述する別の方法は、以下の通りである。
【0037】
【0038】
上記積分は、コントローラ114によって行われてよい。瞬時の蓄積電荷Q(instantaneous and build-up of charge Q)は、ESC102の多くのサイクル中、および、多くのワークピース104のクランプ中に、データ取得装置112によって連続的に収集され、かつ、メモリ116に格納されてよい。その結果、例えば、ESC102のサイクルから数月分の電荷データを得ることができる。ESCの「健全性」(良好性,正常性)(health)またはクランプ能力を判定(決定)するために、上記電荷データは、現在測定されている電荷データ(例えば、現在の電流測定値に由来する電荷データ)と比較されてよい。(i)複数の電荷値、および、(ii)当該複数の電荷値に関連するクランプ力が、さらに規定されてよい。この場合、コントローラ114は、静電クランプ102のクランプステータス(クランプ状態)(例:クランプ力)を決定するように、さらに構成されている。さらに、上記複数の電荷値に対し、現在の決定電荷値(currently determined charge value)が比較されてよい。コントローラ114は、例えば、現在の決定電荷値と複数の電荷値とを比較することによって、当該現在の決定電荷値と当該複数の電荷値とに基づいて、静電クランプ102のクランプ能力の、(i)現在のステータス、および、(ii)予測される将来のステータス、のうちの1つ以上を決定するように構成されている。代替的または付加的に、コントローラ114は、電流の測定結果に直接的に基づいて、クランプ能力の現在の状態および/または予測される将来の状態を決定するように構成されている。別の例によれば、(例えば、ESCの静電容量、抵抗、RC時定数などに基づいて)ESC102のモデル118が確認されてよい。当該モデルは、ESC102のクランプ能力の現在のステータスおよび将来のステータスのうちの1つ以上を決定するために、さらに利用される。
【0039】
上述したように、本開示のコントローラ114は、決定電荷値を所望の値または電荷値についての所定の範囲内に維持することによって、ワークピース104と静電クランプ102との間における所望のクランプ力を概ね維持するために、決定電荷値(Q)に基づいて、クランプ電圧(V)およびクランプ周波数(f)のうちの1つ以上を選択的に変化させるように構成されている。例えば、クランプ電圧およびクランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることによって、1つ以上の電極108に供給される電流を維持することにより、ワークピース104と静電クランプ102との間における所望のクランプ力を維持することができる。
【0040】
ワークピース104と静電クランプ102との間における所望のクランプ力またはクランプ力についての所望の範囲は、例えば、所望の電荷値についての所定の範囲に関連付けられてよい。クランプ電圧およびクランプ周波数のうちの1つ以上を選択的に変化させることにより、決定電荷値が所望の電荷値についての所定の範囲内に留まるように、1つ以上の電極108に供給される電流を概ね維持することができる。
【0041】
図2に示されるように、2つの例示的な軌跡(トレース)が、グラフ118に示されている。軌跡120は、
図1のESC102が示す(report)キャパシタンスを表している(refer)。当該キャパシタンスは、ワークピース104のクランプ中における、ESCのキャパシタンスの独立した測定結果(independent measure)である。
図2の軌跡122は、全クランプサイクル(フルクランプサイクル)の間、
図1のコントローラ114によるAC電圧の反復性サイクル(繰り返しサイクル)を通じて積分された電荷Qを表している。従って、
図2の軌跡122は、任意の所与の時間(時刻)において、ESC上に残留している(left)電荷である。グラフ118は、限定的な意味合いで解釈されるべきではなく、所与の状況のセットにおける全クランプサイクルの一例に過ぎないことに留意されたい。従って、軌跡120および軌跡122は、様々な要因(ファクタ)に基づいて顕著に変化しうる。
【0042】
図示されている通り、軌跡120は、点124において下降(ディップ)し、続いて領域126では平坦(フラット)であり、128において再び下降(ドロップ)する。領域126の平坦部(フラットな部分)は、
図1の電源110からの電圧Vがターンオフ(切断,停止)されている期間である。当該期間において、キャパシタンスはゼロへと下降すると予想されるであろう。しかし、キャパシタンスは、ゼロまで下降していない。このことは、ESC102にワークピースが「固着している」(sticking)などの不具合(fault)または異常(anomaly)を示す。軌跡122によって裏付けられている通り、平坦領域126内では、ESC上に蓄積された電荷は依然として存在している。当該電荷は、以前の測定に由来する軌跡(不図示)と比較して、予期せぬものである。このように、軌跡122の平坦領域126は、ESC102上の電荷Qの異常な挙動を示す(例証する)。従って、
図2のグラフ118に示されるデータは、積分電荷(積分された電荷)Qを、外部的に測定された可視的/巨視的(マクロ)な機能不全(malfunctions)と相関付ける。このように、本開示の積分電荷Qは、ESC102のクランプ能力または「健全性」を決定するためのインサイチュな方法および予測的な方法の両方として利用することができる。
【0043】
本開示のさらなる態様に基づき、
図3は、静電クランプの静電クランプ力を監視および維持するための例示的な方法200を示す。例示的な方法は、一連のアクト(行為)またはイベント(事象)として、本明細書において図示および説明されている。但し、本発明によれば、一部のステップ(工程)は、本明細書における図示および説明とは異なる順序で実行されてもよいし、および/または、本明細書において図示および説明がなされていない別のステップと同時に実行されてもよい。このため、本発明は、例示されているアクトまたはイベントの順序によって限定されないと理解されるであろう。さらに、本発明に係る方法を実施するために、例示されている全てのステップが、必ずしも要求されなくともよい。さらに、当該方法は、本明細書において図示および説明されたシステムと関連して実施されてもよいし、あるいは、例示(図示)されていない他のシステムと関連して実施されてもよい。
【0044】
図3の方法200は、アクト202から開始する。アクト202では、静電クランプおよびワークピースに関連する所望の電荷または電荷についての所定の範囲が決定される。例えば、所望の電荷または電荷についての所定の範囲は、(i)所謂「ポップオフテスト」によって、経験的に(empirically)決定されてもよいし、あるいは、(ii)ワークピースが静電クランプに適切にクランプされる値として与えられてもよい。
【0045】
アクト204では、あるクランプ周波数fにおけるクランプ電圧Vが、静電クランプの1つ以上の電極に印加される。これにより、静電クランプのクランプ表面にワークピースを静電的に吸着させることができる。アクト206では、1つ以上の電極に印加されたクランプ電圧Vに関連する電流iが測定される。これにより、測定電流を規定することができる。アクト208において、測定電流は、時間積分される。これにより、ワークピースと静電クランプとの間におけるクランプ力に関連する電荷値Qを規定することができる。例えば、任意ではあるが、電荷値Qは、メモリに格納されてよい。
【0046】
アクト210では、クランプ電圧(V)およびクランプ周波数(f)のうちの1つ以上が、電荷値Qに基づいて制御される。この場合、電荷値Qは、アクト202において与えられた一定値または電荷についての所定の範囲(predetermined range charges)内に維持される。このため、ワークピース104と静電クランプ102との間におけるクランプ力は、(i)ほぼ一定のクランプ力に、または、(ii)クランプ力についての所望の範囲内に、維持される。
【0047】
例えば、アクト210において、静電クランプに印加されるクランプ電圧およびクランプ周波数のうちの1つ以上を制御することは、以前に格納された複数の電荷値にさらに基づいていてもよい。クランプ電圧およびクランプ周波数の変化(変動)は、現時点において決定された電荷とメモリに格納されている複数の電荷値との比較に基づいていてもよい。別の例では、クランプ電圧およびクランプ周波数の1つ以上を制御することは、数値モデルに少なくとも部分的に基づいている。当該数値モデルは、以前に格納された複数の電荷値に基づいている。当該数値モデルは、後続する電荷値の妥当性をさらに予測することができる。
【0048】
別の態様において、上述の方法は、1つ以上の汎用コンピュータまたはプロセッサベースシステム(プロセッサ搭載システム)において、コンピュータプログラムコードを用いて実装されてもよい。
図4に示されるように、別の実施形態に基づいて提供されるプロセッサベースシステム300について、ブロック図が提供されている。例えば、
図1のコントローラ114は、
図4のプロセッサベースシステム300を含んでいてもよい。プロセッサベースシステム300は、例えば、汎用コンピュータプラットフォームであり、本明細書において説明されている処理を実行するために用いられてよい。プロセッサベースシステム300は、処理ユニット302(例:デスクトップコンピュータ、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、または特定のアプリケーションに応じてカスタマイズされた専用ユニット)を備えていてよい。プロセッサベースシステム300には、(i)ディスプレイ318と、(ii)1つ以上の入力/出力デバイス320(例:マウス、キーボード、またはプリンタ)と、が設けられてよい。処理ユニット302は、中央演算処理ユニット(central processing unit)(CPU)304、メモリ306、マスストレージデバイス308、ビデオアダプタ312、およびバス310に接続されたI/Oインターフェース314を備えていてもよい。
【0049】
バス310は、メモリバス、メモリコントローラ、ペリフェラルバス(周辺装置バス)、またはビデオバスを含む、任意のタイプの様々なバスアーキテクチャのうちの1つ以上であってよい。CPU304は、任意のタイプの電子的なデータプロセッサを含んでいてもよい。メモリ306は、任意のタイプのシステムメモリ(例:静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、または読み出し専用メモリ(ROM))を含んでいてもよい。
【0050】
マスストレージデバイス308は、任意のタイプのストレージデバイスを含んでいてよい。当該ストレージデバイスは、(i)データ、プログラム、および他の情報を格納するとともに、(ii)バス310を介して、当該データ、プログラム、および他の情報をアクセス可能とするように、構成されている。マスストレージデバイス308は、例えば、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、および光ディスクドライブのうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0051】
ビデオアダプタ312およびI/Oインターフェース314は、外部の入出力デバイスを処理ユニット302に接続するためのインターフェースを提供する。入出力デバイスの例は、(i)ビデオアダプタ312に接続されたディスプレイ318、と、(ii)I/Oインターフェース314に接続されたI/Oデバイス320(例:マウス、キーボード、およびプリンタ等)と、を含む。他のデバイスが、処理ユニット302に接続されてもよい。追加のまたは少数のインターフェースカードが使用されてもよい。例えば、シリアルインターフェースカード(不図示)が、プリンタへのシリアルインターフェースを提供するために使用されてよい。処理ユニット302は、ネットワークインターフェース316を含んでいてもよい。ネットワークインターフェース316は、有線接続および/または無線接続によって、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)に接続されうる。
【0052】
プロセッサベースシステム300は、(i)他のコンポーネントを含んでいてもよいし、あるいは、(ii)本明細書において説明されている一部のコンポーネントを含んでいなくてもよいことに留意されたい。例えば、プロセッサベースシステム300は、電源、ケーブル、マザーボード、取り外し可能なストレージメディア(ストレージ媒体)、およびケース等を含んでいてもよい。こうした他のコンポーネントは、不図示であるが、プロセッサベースシステム300の一部であると考慮される(見なされる)。
【0053】
本開示の実施形態は、例えばCPU304によって実行されるプログラムコードによって、プロセッサベースシステム300において実装されてよい。上述の実施例および実施形態に応じた様々な方法は、プログラムコードによって実装されてよい。従って、本明細書では明示的な説明を省略する。
【0054】
さらに、任意の制御モジュールおよび/または
図1のシステム100の制御は全て、
図4における1つ以上のプロセッサベースシステム300によって実現されてよいことに留意されたい。異なるモジュールおよびデバイス間の通信は、どのようにモジュールが実装されているかに応じて変化しうる。各モジュールが1つのプロセッサベースシステム300において実装されている場合、CPU304により様々なステップに対するプログラムコードが実行されている時間において、データはメモリ306またはマスストレージデバイス308に保存されていてもよい。続いて、各ステップが実行されている時間において、CPU304がバス310を介してメモリ306またはマスストレージデバイス308にアクセスすることにより、データが供給されてよい。各モジュールが複数の異なるプロセッサベースシステム300において実現されている場合、または、データが別のストレージシステム(例:個別のデータベース)から供給される場合には、I/Oインターフェース314またはネットワークインターフェース316を介して、複数のシステム300間においてデータが供給されてよい。同様に、デバイスまたはステージによって供給されたデータは、I/Oインターフェース314またはネットワークインターフェース316によって、1つ以上のプロセッサベースシステム300に入力されてよい。当業者であれば、様々な実施形態の範囲内において考慮されるシステムおよび方法の実装における他の変形または改良を容易に理解できるであろう。
【0055】
本発明は特定の実施形態に関して図示および説明されているが、上述の各実施形態は、本発明の一部の実施形態を実現するための例としてのみの役割を担っていることに留意されたい。本発明のアプリケーション(適用例)は、これらの実施形態に限定されない。上述のコンポーネント(アセンブリ、デバイス、回路など)によって実現される様々な機能に関して、これらのコンポーネントを説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、特に断りのない限り、説明されたコンポーネントの特定の機能を実現する任意のコンポーネント(つまり、機能的に等価であるコンポーネント)に対応するものであると意図されている。このことは、例え当該任意のコンポーネントが、本明細書において、本発明の例示的な実施形態として説明された機能を実現する開示された構造と、構造的に等価でない場合にも当てはまる。さらに、本発明の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つの実施形態のみに関して開示されている。但し、任意の所与または特定のアプリケーションについて、望ましくかつ有益である場合には、このような構成は、他の実施形態の1つ以上の構成と組み合わせられてもよい。従って、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。