(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】格納式滑走路端滑車
(51)【国際特許分類】
B64F 1/02 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B64F1/02
(21)【出願番号】P 2020561666
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 US2019030544
(87)【国際公開番号】W WO2020068167
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-04-01
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504097650
【氏名又は名称】エンジニアード・アレスティング・システムズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ENGINEERED ARRESTING SYSTEMS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2550 Market Street, Aston, PA 19014, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】レヴェスク, クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーリック, ダニエル グレン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, カーク エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ニールド, ケネス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャニー, トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】フェリー, ピート
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03182935(US,A)
【文献】米国特許第03620489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の滑走路表面を横切ってケーブルを配置するための格納式滑車システムであって、
前記航空機の滑走路表面の側部に沿い、且つ内部に空洞を有する基礎と、
前記空洞内に位置付けられるように構成された滑走路端滑車として機能するビームと、
前記ビームと関連するヒンジと、
前記ビームと関連する昇降機構と
、
前記ビームに動作可能に固定された複数のサイド傾斜部とを備え、
前記昇降機構が前記ビームを下降位置に配置する場合、前記ビームは前記空洞内に留まり且つ前記航空機の滑走路表面と面一であり、前記昇降機構が前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記ビームの少なくとも前方部分が前記滑走路表面より上に上昇するように、前記ビームは前記ヒンジに関してヒンジ移動し、
前記格納式滑車システムは滑走路端に取り付けられるシステム。
【請求項2】
前記ビームと関連する前記ヒンジは後部ヒンジを含み、前記昇降機構が前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記ビームの前記前方部分が前記滑走路表面より上に上昇するように、前記ビームは前記後部ヒンジに関してヒンジ移動する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ビームが上昇プレートを備える請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記基礎が、前記ビームを所定の位置に固定するための1つ又は複数の拘束プレートを備える請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記ビームの上昇は前記複数のサイド傾斜部の上昇を含み、前記ビームの下降は前記複数のサイド傾斜部の下降を含む請求項
1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のサイド傾斜部は前記ビームにヒンジで接続され、前記基礎に対してスライド可能である請求項
1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のサイド傾斜部は、前記ビームの上昇により前記複数の傾斜部の対応する上昇が生じるように前記ビームの複数の側面にヒンジで接続されている請求項
1~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ビームが上昇したときに前記基礎と複数の傾斜部端との間の複数の開いた空間を覆う複数のガードを更に備える請求項
1~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ビームが前記滑走路端滑車として機能する長尺ビームを含む請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビームを通って移動するテープを方向づけるために、前記ビームが少なくとも1つの水平ローラ滑車と、少なくとも1つの垂直滑車とを含む請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記昇降機構が、空気圧システム、液圧システム、電気的作動、又は機械的作動、又はエアバッグシステムを介した作動を含む請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ビームの前方部分に配置されたテープ接続を更に備える、請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビームと関連する前記ヒンジがサイドヒンジを含む請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
航空機の滑走路表面を横切ってケーブルを配置するための格納式滑車システムであって、
前記航空機の滑走路表面の側部に沿い、且つ内部に空洞を有する基礎と、
前記空洞内に位置付けられるように構成される滑走路端滑車として機能するビームと、
前記ビームと関連する上昇システムと
、
前記ビームに動作可能に固定された複数のサイド傾斜部とを備え、
前記上昇システムが前記ビームを下降位置に配置する場合、前記ビームは前記空洞内に留まり且つ前記航空機の滑走路表面と面一であり、前記上昇システムが前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記ビームの少なくとも前方部分が前記滑走路表面より上に上昇し、
前記格納式滑車システムは滑走路端に取り付けられるシステム。
【請求項15】
前記上昇システムは、後部ヒンジと、昇降機構であって該昇降機構が起動したときに前記ビームの上昇又は下降を可能とする昇降機構とを備える請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記上昇システムは、液圧システム、電気的作動、機械的作動、又はエアバッグシステムを介した作動を含む、請求項
14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照:本願は、2018年5月3日に出願され「航空機拘束システムでの使用のための傾斜物を備えた格納式滑走路端滑車」と題された米国仮出願第62/666,404号に関し、これに基づく優先権を主張し、その開示をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本開示の技術分野は、航空機拘束(停止)システムでの使用のための格納式滑走路端滑車に関する。拘束システムは、航空機のテールフックによる捕捉のために、滑走路を横切ってケーブルを延ばす機能を有する。格納式滑走路端滑車は、ケーブルを上昇及び下降させるように設計されている。格納式滑走路端滑車は、テープコネクタと、パーチェイステープ(purchase tape)の一部分も滑走路表面より上に持ち上げる。開示されるシステムは、傾斜システムも特徴とし得る。
【背景技術】
【0003】
航空機を減速させるために使用される航空機拘束システムのある種は、滑走路を横切ってケーブルを延ばすことによって機能する。これらのシステムは、テールフックを装備した航空機が着陸する必要がある滑走路(商用又は軍用)に、しばしば設置される。使用において、航空機のテールフックは、緊急事態の場合に航空機を安全に停止させるために、ケーブルに係合できる。
【0004】
典型的な航空拘束システムは、テープのリールを備えたエネルギー吸収装置(ブレーキシステム)と、滑走路表面に対して垂直にテープを位置合わせする滑走路端滑車とで構成されている。これは、
図1に示される。これらの部品は、滑走路の両側にあり、各側に1セットの部品がある。
図2に示すように、ブレーキシステムのテープリールから出たテープは、滑走路端滑車を通って供給される。滑走路のどちらの側のテープも、テープコネクタインターフェイスを介して滑走路横断ケーブルに接続される。航空機の拘束中、テープはリールから繰り出され、滑走路を横切って移動する。
【0005】
現在の滑走路端滑車の構成は、滑走路の両側に沿ったコンクリート基礎に取り付けられた、滑走路端滑車/フェアリードビームを提供する。この設備構成は、通常、滑車のどちらの側にも、恒久的に設置されたコンクリートの傾斜物も含む。この傾斜物は、航空機による不測の又は偶発的な滑走路端滑車の乗り越え(ロールオーバー)に対応(適合)するために設けられる。この滑走路端滑車と傾斜物構成は、地上に恒久的に設置される。国際民間航空機関(ICAO)の推奨によれば、この恒久的な地上構成は飛行場の障害物と見なされる。
【0006】
地上に留まる他のシステムでは、ケーブルは通常、滑走路のわずかに上(約2インチ(約5センチ))で支持され、これにより、航空機のテールフックによりアクセスし易くなる。滑走路より上にケーブルを配置することは、航空機のテールフックがケーブルを捕捉できない「フックスキップ」を防ぐのに役立つ。一部のシステムでは、このケーブルの支持は、ケーブルの長さに沿って間隔を置いて配置されたゴム製の「ドーナツ」によって提供される。ドーナツは滑走路の表面に直接置かれ、これにより、ケーブルは継続的に航空機に轢かれることになる。これは、ケーブルと滑走路表面の両方に損傷を与え得る。それが障害物となるという事実のため、ドーナツ支持のケーブルは別のタイプの飛行場障害物である。
【0007】
ある設計者達は、地下滑車システムを提供しようと試みた。試みられた解決策の1つに、格納式フックケーブル支持システム(RHCSS)が含まれている。システムの一部は、マーシャル・オブ・ケンブリッジ・エンジニアリング社の資料に記載されている。このシステムは、標準の航空業務の間、ケーブルを滑走路横断トラフ(溝)に収容することにより、ケーブルと滑走路表面を保護することに使用できる。サポートボックスが滑走路の幅を横切って間隔を置いて配置される。航空機の拘束前に、ボックスはケーブルを滑走路より上に持ち上げて、テールフックとの係合を可能にする。使用されてないとき、ケーブルは滑走路横断トラフ(溝)内に置かれる。この下降位置において、格納式フックケーブル支持システムはICAOに準拠する。
【0008】
地下システムの更に初期の例は、米国特許第3,620,489号によって説明されている。この特許において、発明者らは、起動の前にピットに格納される地下滑車システムを提供した。カバーが閉位置においてロックされ、その下で(滑走路横断ケーブルに接続する)繰り出しエレメントに張力が加えられる。航空機が着陸してケーブルに係合すると、事前に張力が加えられていた繰り出しエレメントは、航空機拘束の初期段階の間、更に十分な張力が加えられて、所定の上向きの力を超える。それにより、張力に応じてカバーアセンブリがピットから上昇することを可能とするラッチロックが解除される。ラッチの解除により、航空機の拘束の間、滑車が地上に上昇する。しかし、この滑車システムは、航空機が地面に着陸するまで起動しなかった。滑車の上昇は張力のみによるものであり、上昇及び下降システムによるものではなかった。
【0009】
これらの試みに照らしても、現在、ICAOガイドラインに準拠する利用可能な滑走路端滑車の解はない。地下システムでの以前の試みは、成功していない。したがって、既存の滑走路端滑車設備は、全て地上に取り付けられている。これは、障害物を造り出し、ICAOガイドラインに準拠していない。改善が望まれている。
【発明の概要】
【0010】
本開示の特定の実施形態に従えば、航空機の滑走路表面を横切ってケーブルを配置するための格納式滑車システムであって、内部に空洞を有する基礎と、前記空洞内に位置付けられるように構成された滑車として機能するビームと、前記ビームと関連するヒンジと、前記ビームと関連する昇降機構とを備え、前記昇降機構が前記ビームを下降位置に配置する場合、前記ビームは前記空洞内に留まり(静止して留まり)且つ前記航空機の滑走路表面と面一であり、前記昇降機構が前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記長尺ビームの少なくとも前方部分が前記滑走路表面より上に上昇するように、前記ビームは前記ヒンジに関してヒンジ移動するシステムが提供され得る。前記ビームと関連するヒンジは後部ヒンジであってもよく、前記昇降機構が前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記ビームは、前記長尺ビームの前方部分が滑走路表面より上に上昇するように、前記後部ヒンジに関してヒンジ移動する。他の例において、前記ビームと関連するヒンジはサイドヒンジであってもよい。
【0011】
前記ビームが上昇プレートを備えてもよい。前記基礎が、前記ビームを所定の位置に固定するための1つ又は複数の拘束(抑制)プレートを備えてもよい。
【0012】
いくつかの例において、前記ビームに動作可能に固定された複数のサイド傾斜部も備える。前記ビームの上昇は、前記複数のサイド傾斜部の上昇ももたらし、前記ビームの下降は、前記複数のサイド傾斜部の下降ももたらす。例えば、複数のサイド傾斜部は前記ビームの複数の側面にヒンジで固定され、この結果、前記ビームの上昇が前記複数の傾斜部の対応する上昇をもたらす。前記複数のサイド傾斜部は、前記ビームにヒンジで接続され、前記基礎に対してスライド可能であってもよい。前記ビームが上昇したときに、前記基礎と複数の傾斜部端との間の複数の開いた空間を覆うガードを備えてもよい。
【0013】
他の例は、滑走路端滑車として機能する長尺ビームとして前記ビームを含む。前記ビームを通って移動するテープを方向づけるために、前記ビームが少なくとも1つの水平ローラ滑車及び少なくとも1つの垂直滑車を含んでもよい。
【0014】
前記昇降機構が、空気圧システム、液圧(油圧)システム、電気的作動、又は機械的作動、又はエアバッグシステムを介した作動を含む。
【0015】
前記ビームの前方部分に配置されたテープ接続を有してもよい。
【0016】
他の例において、航空機の滑走路表面を横切ってケーブルを配置するための格納式滑車システムであって、内部に空洞を有する基礎と、前記空洞内に位置付けられるように構成された滑車として機能するビームと、前記ビームと関連する上昇システムとを備え、前記上昇システムが前記ビームを下降位置に配置する場合、前記ビームは前記空洞内に留まり(静止して留まり)且つ前記航空機の滑走路表面と面一であり、前記上昇システムが前記ビームを上昇位置に配置する場合、前記ビームの少なくとも前方部分が滑走路表面より上に上昇するシステムが提供される。前記上昇システムは、後部ヒンジと、昇降機構であって該昇降機構が起動したときに前記ビームの上昇又は下降を可能にする昇降機構とを備えてもよい。前記上昇システムは、液圧(油圧)システム、電気的作動、機械的作動、又はエアバッグシステムを介した作動を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、滑走路横断ケーブルを捕捉するテールフックを備えた航空機を示す概略図である。
【0018】
【
図2】
図2は、フェアリードビーム滑車の側面斜視図である。
【0019】
【
図3】
図3は、本明細書に記載の、上昇位置にある格納式滑走路端滑車の一実施形態の前面斜視図である。
【0020】
【0021】
【0022】
【
図6】
図6は、本明細書に記載の、下降位置にある格納式滑走路端滑車の一実施形態の前面斜視図である。
【0023】
【0024】
【0025】
【
図9】
図9は、説明を容易にするために傾斜部が取り除かれた、下降位置にある長尺ビームの一実施形態を示す。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【
図12】
図12は、長尺ビームを基礎空洞に固定するための代替実施形態の上面斜視図を示す。
【0030】
【
図13】
図13は、長尺ビームを基礎空洞に固定するための代替実施形態の代替斜視図を示す。
【0031】
【0032】
【0033】
【
図16】
図16A及び
図16Bは、その下降位置、及び同様にその上昇位置において、滑走路に対して平行を保つ長尺ビームの代替実施形態を示す。
図16Aは、下降位置にあるビームを示す。
図16Bは、上昇位置にあるビームを示す。
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
記載された実施形態は、格納式滑走路端滑車システムを提供する。開示されたシステムは、格納式フックケーブル支持システム(RHCSS)と共に使用してもよい。格納式滑走路端滑車システムは、滑走路端滑車を地上に上昇させ、バッテリー(拘束準備)位置に配置できる。そして、このシステムは、使用しない時に様々な規制やガイドラインを満たすため、滑走路(地表)より下の位置、又は滑走路と面一になるように格納され得る(下降され得る)。RHCSSも、格納式滑走路端滑車の位置に合わせて、上昇及び下降され得る。これらのシステムは互いに連携して機能する。ケーブルが上昇しているが滑車が下降している状態とすることは、拘束のためにテールフックを下げている航空機にとって危険であると見なされるであろう。完全な上昇位置又は下降位置を見出だす両システム間には、わずかな同期遅延があるかもしれないが、安全な操作のために、通常は両方とも完全に上昇するか又は格納される。
【0036】
開示された格納式滑走路端滑車は、滑走路の中心より上の設計された配置へのテープ経路の位置合わせを維持しながら、滑走路端滑車をバッテリー位置に上昇させるように設計されている。ケーブルが滑走路の表面に置かれるほど垂れ下がらないように、上昇した拘束準備位置にある間、ケーブルに対してある程度の張力を維持する必要がある。通常、滑走路端滑車は、単一傾斜滑走路の場合、滑走路表面の頂部(クラウン)又は中心より上の設計された高さに位置合わせされる。また、ケーブルが滑走路の表面に垂れ下がるのを防ぐために、ケーブルに維持されている十分な張力を支持できることを確実とするようにも、設計されるべきである。張力は通常、エネルギー吸収装置のテープ巻き戻しシステムによって付与され、テープを介して、滑走路横断ケーブルに伝達される。テープは滑車の中央に配置されるべきであり、摩擦や結合が発生し得る端部に向かって傾く(偏る)べきではない。このような干渉は、テープの端の摩耗、及びテープの劣化(強度低下)を生じさせ得る。
【0037】
開示された格納式滑走路端滑車は、滑走路端滑車に続いて、上昇位置及び下降位置に入る任意の(オプションの)傾斜装置を特徴としてもよい。傾斜装置は、上昇した滑走路端滑車に直接当たることによって生じる損傷から、滑走路からそれた航空機を保護するのに役立ち得る。
【0038】
図2は、本開示に従って使用され得る長尺ビーム14の一例を示す。ビーム14は、滑走路端滑車として機能する長尺部材として一般に示され得るが、本開示の範囲内において、代替のビーム/滑車構成が可能であり、且つ考慮されることが理解されるべきである。示されているように、ビームは、フェアリードビームである。フェアリードビームは、一般的に水平である後方滑車において、エネルギー吸収装置からテープを受け取る。テープが滑車内で約90°回転するように、垂直滑車の前方セットを備え得る。これは、ケーブルに対するテープコネクタインターフェイスが所望の位置に位置付けられるように、テープの位置合わせに役立つ。
【0039】
ここで
図3を参照すると、格納式滑走路端滑車10が示されている。システムは、安定した基礎12内に設置されるように構成される。基礎12は、通常、滑走路端滑車が現在、地上において取り付けられている基礎のタイプと類似している、コンクリート基礎とすることができる。しかし、基礎12は、格納式滑走路端滑車システム部品が取り付けられる内部空洞(キャビティ)領域を区画する。
図3~5は、上昇位置にある格納式滑走路端滑車システム10を示す。
図6~8は、格納/下降位置にある格納式滑走路端滑車システム10を示している。
【0040】
ここで、
図3及び4を参照すると、格納式滑走路端滑車システム10は、滑車として機能する長尺ビーム14を有する。特定の例では、フェアリードビームが、長尺ビーム14内に収容され得る。長尺ビーム14は、機構16を介してキャビティ内で上昇及び下降する。機構16は、油圧(液圧)操作、空気圧操作、電気的操作、エアバッグの膨張又はギア及びプーリーシステムなどの機械的操作を介して機能する昇降機構、又は、その他の適切な昇降システムであり得る。2つの持ち上げ機構16が
図5によって示されているが、システムの重量及び上昇リンケージの設計に応じて、単一の機構又は複数の機構が存在し得ることが理解されるべきである。更に、機構16は、長尺ビーム14の下に配置されるように示されているが、機構は、ビームの側面又は上部領域から機能し得る可能性がある。長尺ビーム14は、ヒンジ20を介して後部18に沿って空洞内に取り付けられる。機構16が起動すると、長尺ビーム14は、ヒンジ20に対して上方に回動する。これは、
図4の側面図において見ることができる。ビーム14に入るテープは、それが基礎12に向けられるので、チューブ内の地下を移動し得る。
【0041】
ビーム14の前方部22は、ケーブル26が固定されているテープコネクタ(テープ接続)24を有する。長尺ビーム14の前方部22はまた、上昇プレート28を規定する。上昇プレート28は、長尺ビーム14と共に動く。上昇プレートの前方部は、システムが上昇したときに、テープコネクタのための棚を提供するリップ領域30を有する。上昇プレート28及びリップ30は、基礎12の凹部領域内に納まり得る。
【0042】
これらの図はまた、左右の傾斜(ランプ)部32a,32bを示す。傾斜部32a,32bは、長尺ビーム14の側部(側面)にヒンジで留められ得る。
図4は、傾斜部32の1つを長尺ビーム14に固定するランプヒンジ34の側面図を示す。示されるように、ヒンジ34は、ビーム14の実質的な長さに沿って延び得る。より小さいヒンジのシリーズ(一連のもの)も、代わりに使用可能である。長尺ビーム14が上昇位置にあるとき、傾斜部32a,32bは、
図5に示されるように、基礎12とビーム14との間に上り傾斜を作り出す。この特徴は、オーバーランした航空機がシステム10を乗り越える(ロールオーバーする)場合に、システム10を保護するのに役立ち得る(同様に、航空機とその乗員も保護する)。示されるように、傾斜部32a、32bは、先端を切り取った三角形の形状を有し得る。この形状により、長尺ビーム14が上昇又は下降するかどうかにかかわらず、傾斜部32a、32bは基礎12の実装面積(フットプリント)内に納まることができる。設けられる場合、傾斜(ランプ)32は、システムとともに上昇及び下降するように設計される。
図5に示されるように、長尺ビーム14が上昇すると、傾斜の外縁38が長尺ビームに向かって引き込まれる。これは、1つ又は複数の円筒形ローラの使用を介して発生し得る。これらのローラは、傾斜が上昇するにつれて、基礎12の基部(ベース)に沿って追跡し、内側に転がるように機能する。
【0043】
長尺ビーム14の上方への移動は、傾斜部を、
図6~8に示される平坦な位置から、
図3~5に示される上昇位置まで移動させる。傾斜部の外縁の三角形の形状は、それらが基礎表面から浮き上がるのを防ぐように設計されている。傾斜の縁(ランプエッジ)38と基礎の縁40との間に残された空間に瓦礫が入るのを防ぐために、1つ以上のガードを傾斜の縁38に沿って設けてもよい。
【0044】
長尺ビーム14の上方への移動は、ケーブル26及びそのテープコネクタ24を上方に移動させ、任意の傾斜部32を内側に追随させ、同様に上昇させる。長尺ビーム14及び格納式フックケーブルシステムの上昇により、ケーブル26が滑走路を横切って適切に配置される。長尺ビーム14が下降すると、ビームの上面は滑走路表面と面一となる(同一平面となる)。これにより、ケーブル26も滑走路表面と面一となるか、又は滑走路表面の下となるように移動する。
【0045】
ここで、
図6~9を参照すると、長尺ビーム14が下降位置にある様子が示されている。長尺ビーム14の下降は、昇降機構16の下降によって達成され得る。下降すると、傾斜部32も滑走路表面と面一となる。
【0046】
図8~9は、長尺ビーム14とサイド抑制(拘束)プレート42との関係の一例を示す。サイド抑制プレート42は、航空機がケーブルに係合するとき、全ての負荷(荷重)が適切に管理されるように、上昇位置にあるときに長尺ビーム14を固定するのを助けるために使用され得る。
図9は、検討を容易にするために、傾斜部32の無い長尺ビームを示している。サイド抑制プレート42は、基礎12に対して静止したままである。示される例では、サイド抑制プレート42は、ビームに対向する固定部44を有する。示される固定部44は1つ又は複数の開口であり得る。その開口は、長尺ビームに関連する、1つ又は複数の対応する固定部46を受け入れるように構成されている。図示のように、対応する固定部46は、長尺ビーム14に関連する一連の鍵(キー)又は突起46であり得る。しかし、この構成は、逆にできることが理解されるべきである。この結果、抑制ベースプレート上の固定部44は歯又は突起となり、これら歯又は突起は、長尺ビームに関連する開口を形成する対応する固定部によって受け入れられる。単一の長尺突起を受け入れる、単一の長尺開口が提供され得ることも理解されるべきである。サイド抑制プレートは、空洞内に垂直に配置してもよい。この構成において、サイド抑制プレートは、長尺ビーム14の下部の側壁に沿って配置され得る。長尺ビーム側壁の下部と垂直な抑制プレートとの接触は、横方向の力に抵抗できる。
【0047】
一般的な目標は、長尺ビーム14を安定した構成で固定するために、固定部44,46が互いに嵌合又は入れ子になることである。示されるように、対応する固定部46は、歯/突起46として形成される。これらの歯/突起は、長尺ビームに関連するか、そうでなければビームに沿って配置され得る。
【0048】
図10は、上昇位置にある
図9の長尺ビーム14を示している(ここでも、検討を容易にするために傾斜部32を有さない)。使用中、長尺ビーム14が上昇するため、固定部44、46は、互いに対して入れ子になるか、又は噛合う。示される特定の例では、サイド抑制プレート42の開口は、筐体ベースプレートの突起を受ける。特定の例では、歯/突起は、たとえ位置合わせ(アライメント)が正確でなくても、それらが開口部に入る道筋を見出せるように、それらの上端に沿って面取りされていてもよい。一旦、長尺ビームが上昇すると、固定部44、46間の連携により、長尺ビーム14が所定の位置にしっかりと固定され、留められる。この構成は、長尺ビームをコンクリート基礎に固定するために通常使用されるアンカーボルトの代わりとなる。
図11A及び11Bは、長尺ビーム14の下降及び上昇構成、並びに固定部44、46が互いにどのように連携し得るかを示す。
【0049】
長尺ビームを所定の位置に支持するための他の実施形態では、長尺ビームの下に、1つ又は複数の溶接物を設けてもよい。溶接物は、横方向の負荷(荷重)に抵抗するために基礎の側面を使用する。例えば、
図12に示すように、長尺ビーム14の下側に溶接又は他の方法で取り付けられるベースプレート60を設けることができる。拘束負荷(荷重)を支持しながら長尺ビーム14を上昇位置に案内するのを助けるために、支持フレームワーク62も設けてもよい。支持フレームワーク62は、コンクリート基礎の空洞内に含まれ得る。サイドプレート64は、支持フレームワーク62内に固定され得る。サイドプレート64は鋼であってもよく、ビーム14が支持フレーム62内でスライドすることを可能にする低摩擦材料を提供するために、その外面が低摩擦材料で覆われていてもよい。
【0050】
図13に示されるように、抑制プレートは、空洞の内側に垂直に配置されたサイドプレート70であってもよい。フレーム溶接物66は、コンクリート基礎内に固定され得る。そして、支持フレームワーク(この図には示されていない)は、フレーム溶接部66内に配置され得る。この例では、サイド抑制プレート70は、長尺ビーム14の下部の側壁に沿って配置し得る。長尺ビーム側壁の下部と垂直サイドプレート64との接触は、航空機の拘束中に加えられる横方向の力に抵抗するのに役に立ち得る。
【0051】
図14は、基礎内に配置されているフレーム溶接部66を示す
図13の端面図を示す。そして、支持フレームワーク62は、フレーム溶接部66内に配置される。サイドプレート70は、支持フレームワーク62の両側に取り付けられ得る。サイドプレート70は、それに適用される低摩擦材料72を有し得る。そして、長尺ビーム14は、それに固定されたベースプレート60を有し、支持フレームワーク62内に配置される。その他の固定及び移動の選択が可能であり、本開示の範囲内で考慮される。
【0052】
拘束が行われた後、必要に応じてケーブルの手動リセットがあり得る。あるいは、管制塔が、長尺ビーム14を地面に下げるための信号を発し得る。
【0053】
特定の実施形態が示され、記載されたが、代替の選択肢が可能であり、本開示の範囲内で考慮されることも理解されるべきである。例えば、更なる実施形態が、
図15A及び
図15Bに示される。図示のように長尺ビーム14を後部においてヒンジで固定するのではなく、ビームはサイドヒンジ50に沿って作動し得る。例えば、アクチュエータ52(昇降機構16に類似)を使用して、横方向の力を提供し、基礎12の空洞内の下降位置(
図15Aに示す)から、上昇したバッテリー位置(
図15Bに示す)まで、長尺ビーム14を移動させ得る。長尺ビームを上昇位置に維持するために、別個のサイド固定を実施してもよい。ユニットが格納されている間に、航空機の乗り越え(ロールオーバー)によって生じる瓦礫のユニットへの侵入から保護するために、長尺ビームの上部を覆ってカバー54を設けてもよい。
【0054】
更なる代替実施形態では、長尺ビーム14全体を上昇及び下降させ、その結果、バッテリー位置に上昇するか、又は基礎空洞に下降するかにかかわらず、ビーム全体が滑走路表面に平行のままである。背面をヒンジで固定するのではなく、全体として上昇可能な長尺ビームを提供可能である。この実施形態では、長尺ビームは地面に対して平行を維持するであろう。この実施形態は、後部にヒンジ20を有さないが、本明細書に記載されるような任意のタイプの昇降機構を使用し得る。一例を
図16A及び16Bに示す。この例の一実施形態では、システムは基礎12に取り付けられた一連のロッド56によって案内され得る。ロッド56は、ビームプレート上に含まれるベアリングに搭載される。この実施形態は、上記の固定部44,46を使用するように修正できる。昇降機構又はアクチュエータが設けられてもよい。これは、油圧(液圧)シリンダー又は他のタイプの作動機構であり得る。これに代えて、作動力は、長尺ビームの下に配置されたエアバッグ58によって供給されてもよい。
【0055】
更なる実施形態では、
図17A及び
図17Bに示されるようなポップアップ滑車が設けられる。この例では、ビームは筐体内に設けられ、ローラベアリング上で垂直に上昇する。目的は、筐体箱内でビームを上昇及び下降させることである。この実施形態では、水平滑車とは別個のアセンブリ内に含まれる垂直方向の滑車を設けてもよい。航空機の拘束中、垂直滑車は、下から(昇降機構/アクチュエータ、エアバッグ、又はその他の適切な作動機構のいずれかから)供給される力によって、所望の位置まで上昇して移動するであろう。滑車アセンブリは、リニアベアリングなどのガイドを備えており、且つ/又は、筐体内に閉じ込められて、予測どおりに上昇及び下降することを保証し、そして、滑走路のターゲットに対して適切なテープの位置合わせ(アライメント)を提供するであろう。トップカバーを設けて、滑車ビームと共に上昇及び下降させてもよい。
【0056】
本開示の特定の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特定されて記載されているが、本明細書の記載は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図しない。請求項の主題(クレームされた主題)は、他の方法で具体化され得、異なる構成要素又は工程を含み得、そして他の既存又は将来の技術と組み合わせて使用され得る。本明細書の記載は、個々の工程の順序又は構成要素の配置が明示的に記述されている場合を除き、様々な工程又は構成要素間において、これらの特定の順序又は配置を意味(暗示)するものとして解釈されるべきではない。
【0057】
図面に示す、又は上に記載する部品(構成要素)の異なる配置、同様に、示されていない、又は記載されていない部品(構成要素)及び工程が可能であることが理解されるべきである。同様に、いくつかの特徴及びサブコンビネーションは有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照せずに採用され得る。本発明の実施形態は、限定的な目的ではなく例示的な目的で記載されており、代替の実施形態が、この特許の読み手に明らかになるであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態又は図面に描写された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態及び改良を行うことができる。