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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】燃料リザーバを有するバイオセル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/16 20060101AFI20230727BHJP
   H01M 8/0297 20160101ALI20230727BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20230727BHJP
【FI】
H01M8/16
H01M8/0297
H01M8/0273
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020568368
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2019054544
(87)【国際公開番号】W WO2019234573
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】18/55014
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】517017399
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・グルノーブル・アルプ
(73)【特許権者】
【識別番号】511071407
【氏名又は名称】エコル サントラル ドゥ リヨン
(73)【特許権者】
【識別番号】512061294
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ クロード ベルナール リヨン プルミエ
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】ル ゴフ アラン
(72)【発明者】
【氏名】ネデレク ヤニング
(72)【発明者】
【氏名】エイブル カロリン
(72)【発明者】
【氏名】コスニエ セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツィンガー ミヒャエル
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033697(JP,A)
【文献】特開2013-084363(JP,A)
【文献】特開2016-154109(JP,A)
【文献】特開2008-060067(JP,A)
【文献】特開2017-224564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/16
H01M 8/02
H01M 4/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ燃料リザーバを有するバイオセル(1、10、20)であって、前記バイオセル(1、10、20)が、液体媒体と接触させることを意図され、前記液体媒体が、任意選択的にバイオ燃料と、酸化性物質を含む流体媒体と、を含み、前記バイオセルが、第1の電気化学セルを含み、前記第1の電気化学セルが、
-前記バイオ燃料の酸化を触媒することができる第1の酵素と混合された導電性材料を含む固体凝集体で作製されたアノード(5、15、25、35、45、55)と、
-前記酸化剤の還元を触媒することができる第2の酵素と混合された導電性材料を含む固体凝集体で作製されたカソード(7、17、27、37、47、57)と、
-前記アノード(5、15、25、35、45、55)と前記カソード(7、17、27、37、47、57)との間に載置された、電気的に絶縁され、前記液体媒体に対して透過性である分離多孔質膜(3、3’、13、23)と、を含み、
-前記バイオセルが、当該バイオセルを電気的に電気受信機に切り替えるための手段(9、9’、19、19’、29、29’、29”、39、39’)をさらに含み、電気回路における切り替えのための前記手段が、電流が前記カソード(7、17、27、37、47、57)から前記アノード(5、15、25、35、45、55)に流れることを可能にし、
前記バイオセル(1、10、20)が、前記バイオ燃料を貯蔵するため、かつ前記アノード(5、15、25、35、45、および55)に前記液体媒体を提供するための手段を含むことを特徴とし、前記手段が、前記アノード(5、15、25、35、45、および55)と接触し、500~900g/mの単位面積当たりの質量を有する親水性多孔質材料を含む、バイオセル(1、10、20)。
【請求項2】
前記バイオ燃料を貯蔵し、前記液体媒体を提供するための前記手段が、1cm~0.1mmの厚さを有する、請求項1に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項3】
前記親水性多孔質材料が、セルロースベースである、請求項1または請求項2に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項4】
バイオ燃料を貯蔵し、前記液体媒体を提供するための前記手段がまた、前記分離多孔質膜(13および23)であり、かつ多孔質、電気絶縁性、および液体媒体に対して透過性である、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項5】
前記電気受信機をオンに切り替えるための前記手段が、熱分解グラファイトのタブを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項6】
前記アノード(5、15、25、35、45、および55)が、ペレットの形態である、請求項1~5のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項7】
前記アノードが、フレーム内に保持され、前記フレームが、前記バイオ燃料を貯蔵し、前記液体媒体を提供するための前記手段(3、3’、13、および23)、またはPTFEなどの電気絶縁材料のいずれかである、請求項1~6のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項8】
または前記バイオセルが、前記アノードの液体または前記カソードのガスへのアクセスを可能にするように位置決めおよび寸法決めされた開口部を含む、好ましくは可撓性および絶縁性の外側カバーを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項9】
水性液体媒体をさらに含み、前記水性液体媒体が、任意選択的にバイオ燃料を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のバイオセル(1、10、30)。
【請求項10】
電流を生成するための、請求項1~9のいずれか1項に記載のバイオセルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素燃料セル、またはバイオセル、グルコースなどのバイオ燃料の検出または酸化のためのその使用、それを含むキット、ならびに当該バイオセルを組み込んだ電気または電子デバイスに関する。本発明はまた、このバイオセルを製造する方法、ならびに本発明による少なくとも2つのバイオセルを含むアセンブリに関する。
【0002】
従来技術
燃料セル技術は、化学エネルギーを電子エネルギーに変換することに基づいている。グルコースなどの有機分子は、多くの生物にとって最も重要なエネルギー源の1つであり、安全で取り扱いが簡単で、消費可能であるため、生分解性のバイオ燃料とみなすことができる。
【0003】
バイオ燃料酵素セル(バイオセルとも呼ばれる)は、酵素を使用して、酸素、メタノール、グルコース、デンプンなどの生物学的基質からエネルギーまたは電力を生成する。バイオセルは、電力を生成する酵素化合物の存在下でバイオ燃料を変換する。グルコースの酸化(GBFC)によって機能する最もよく知られているバイオセルは、アノードでの酸化によってグルコースを変換してそれに組み込まれた酵素を使用して電力を生成し、反応の触媒機能を有するセルである。カソードの機能は、一般に酸素を還元することであり、この反応を触媒する酵素を含む場合、または含まない場合がある。
【0004】
酵素は、それらのほとんどが中性pHおよび室温で動作し、他の金属ベースの触媒の場合とは異なり、毒性をほとんどまたはまったく提供しないため、貴金属触媒の有望な代替品である。したがって、そのようなバイオ燃料バイオセルは、非常に簡単にリサイクルでき、特に使い捨てデバイス用の電流発生器として環境に優しい代替手段を提示することができる。
【0005】
本発明は、より具体的には、「ボタン」型バイオセル、すなわち、小型であり、金属ベースのボタンセルと同等の電気を提供することができ、任意選択的に環境へのリスクなしに廃棄することができる、バイオセルの製造に関する。これは、今日のボタンセルおよびアルカリバッテリには当てはまらない。このグリーンテクノロジーは、日常的に使用される亜鉛、リチウム、またはマンガンベースのバッテリのリサイクルに関連する問題に対する独自の解決策を提供し得る。金属が存在しない場合、本発明によるデバイスは、金属探知機には見えない携帯型エネルギー源についても説明している。
【0006】
代替的または付加的に、本発明によるデバイスは、他の従来のエネルギー源(風力、太陽光など)が利用可能ではない場合に、特定の必要性のための電気エネルギーの生成を可能にすることを目的とする。実際に、酵素は、液体、活性剤および/または燃料としての砂糖(グルコース)、甘い飲み物、生理液(唾液、血液、尿)、動物または野菜由来(フルーツジュースなど)の特に様々な生体体液の使用を可能にする複雑な媒体での電力の生成を可能にする独自の選択性を有する。この文脈では、「燃料」および「バイオ燃料」という用語は、交換可能である。
【0007】
これらの点で、そのようなバイオ燃料セルを商業用途に投入する前に、重要な課題を克服する必要がある。
【0008】
特に、それらは、好ましくは、サイズが小さい(面積が1~5cm)か、非常に小さく(面積が0.5cm未満)あるべきであり、使い捨てデバイスで頻繁に使用される「ボタン」型のバッテリに交換することができるように設計する必要がある。それらは、有利には、容易にリサイクル可能であり、好ましくは安価であるべきである。
【0009】
したがって、本発明は、特に、バイオ燃料セルを提供する問題、特に安価(ボタンセル型)であるか、単回使用のために設計されており、好ましくは小さな寸法であり、電気化学セルへの燃料と酸化剤の最適なアクセスを有利に可能にして、最大量のエネルギーを生成する使い捨てデバイスでの使用を可能にする設計の問題を解決することを目的とする。さらに、このバイオ燃料セルは、いくつかのバイオ燃料バイオセルまたは電気化学セルのアセンブリで使用して、持続可能で更新されたエネルギーを生成できることが有利である。
【0010】
したがって、一般に、本発明は、バイオセルの容易かつ低コストの製造、および生成される電流密度が前記デバイスを操作するのに十分に高く、多かれ少なかれ洗練された電気回路へのそれらを組み込むという問題を解決することを目的とする。有利には、供給される電圧は、デバイスを確実に動作させるのに十分である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態では、本発明は、バイオ燃料リザーバを有し、液体媒体と接触させることを意図され、当該液体媒体が、任意選択的にバイオ燃料と、酸化剤を含む流媒体と、を含み、当該バイオセルが、第1の電気化学セルを含み、当該第1の電気化学セルであって、
-バイオ燃料の酸化を触媒することができる第1の酵素と混合された導電性材料を含む固体凝集体で作製されたアノードと、
-酸化剤の還元を触媒することができる第2の酵素と混合された導電性材料を含む固体凝集体からなるカソードと、
-アノードとカソードとの間に載置された、電気的に絶縁され、当該液体媒体に対して透過性である分離多孔質膜と、を含む。
前記バイオセルが、電気受信機を有する当該バイオセルの電気的にオンに切り替えるための手段をさらに含み、当該電気的切り替え手段が、電流がカソードとアノードとの間に流れることを可能にする。バイオセルは、バイオ燃料を貯蔵し、液体媒体をアノードに提供するための手段を含むことを特徴とし、当該手段は、当該アノードと接触し、500~900g/mの単位面積当たりの質量を有する親水性多孔質材料を含む。
【0012】
したがって、貯蔵手段は、バイオ燃料および/またはそれを含む液体のための貯蔵器として機能することができる。好ましくは、貯蔵手段は、十分に吸収性であるように、650~750g/mの範囲であり得る単位面積当たりの質量(または秤量)を有する。有利には、その単位面積当たりの質量は、703g/mであり、任意選択的に±20%である。特に、655、660、665、670、675、680、685、690、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、707、708、709、710、711、712、713、714、715、720、725、730、735、740、745、750、755、および760g/mからなる値の群から選択することができる。したがって、貯蔵手段は非常に多孔質の材料である。
【0013】
貯蔵手段は、多孔質パッド、パッド、または英語では「pad」の形態であり得る。貯蔵手段を構成する材料は、好ましくは電気絶縁体である。この材料は、織物繊維、または不織布繊維(フェルト)を含むか、またはそれらで構成することができる。これらの繊維は、好ましくは天然および/または生分解性繊維であり、例えば、それらは、セルロース、特に綿を含むか、または本質的にそれからなるか、あるいはそれに基づく材料であり得る。それはまた、天然ポリマー(セルロース、綿、スポンジ、キトサンなど)または合成(ポリアクリルフォーム、ポリビニルアルコールなど)であり得る。「Xに基づく」という表現は、成分Xの全質量に対して90質量%以上、好ましくは95質量%以上、さらには98質量%以上からなる材料を指すと解釈することができる。したがって、貯蔵手段は、好ましくは一枚の紙、好ましくは吸い取り紙型、例えば超厚質吸い取り紙を有利に含むか、または本質的に構成することができる。また、このパッドおよび/または紙のシートには添加物がないことが好ましい。秤量は、標準NF EN ISO 536 2012年11月に従って測定することができる。
【0014】
貯蔵手段の厚さは、小型化された使用を可能にするために可能な限り薄いものが有利である。しかしながら、他の用途では、この厚さはより実質的で、1センチメートルまたは0.5センチメートルになり得る。したがって、この厚さは、1cm~0.1mm、好ましくは8~2mm、より具体的には約2.6mm、任意選択的に±20%であり得る。特に、1、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9および4mmからなる群から選択される厚さとして選択することができる。
【0015】
有利には、貯蔵手段は、2.6mm±0.2mmの厚さを有する一枚の吸い取り紙である。その多孔性は、燃料(例えば、水、尿、甘い飲み物、血液など)、特に砂糖を含む液体の良好な吸収を可能にしなければならない。本発明の好ましい変形によれば、それは、バイオアノードまたはバイオカソードの埋め込みまたは維持のために十分に剛性でなければならない。
【0016】
有利には、貯蔵手段は、ハーズバーグ法(100mmの水柱を使用)に従って測定して、100~140秒/ml、好ましくは110~130秒/ml、有利には約120秒/100ml、任意選択的に±20%の範囲であり得る液体濾過時間を有する。
【0017】
本発明によるバイオセルに含まれる電気化学セルは、アノードおよびカソードを含む。これらの電極は、そのベースに、好ましくは多孔質導電性材料と、触媒される半反応の少なくとも1つの酵素と、を含む固体凝集体の形態である。この多孔質材料は、カーボンフェルト、微孔性カーボン、カーボンナノチューブ、活性炭、カーボンブラック、導電性ポリマーなどの任意のリサイクル可能な多孔質導電性材料であり得る。例では、単層またはより有利には多層カーボンナノチューブ(MWCNT)またはカーボンブラックに基づくペレットは、優れた導電性に関連する優れた多孔性を提供する。「カーボンナノチューブ」とは、少なくとも1つの寸法が1500nm未満であるカーボンナノチューブを意味する。好ましくは、カーボンナノチューブは、100~5000のL/直径で示される長さ(L)/直径比を有する。好ましくは、カーボンナノチューブは、およそ1.5pmおよび例えばおよそ10nmの直径の長さを有する。
【0018】
本出願の本発明の例示的な実施形態では、選択されるバイオ燃料は、この化合物の利用可能性が高く、環境への影響が少ないため、グルコースである。しかしながら、本発明によるバイオセルの構造は、関連する酵素化合物も好適である限り、グルコース以外の基質に適応することができる。
グルコース/O2酵素バイオセルの理論的な反応バランスは次のとおりである。
アノード:グルコース→グルコノラクトン+2H+2e
カソード:O+4H+4e→2H
バイオセル:2グルコース+O→2グルコノラクトン+2H
【0019】
したがって、本発明の好ましい態様によれば、アノードで使用される酵素系は、少なくとも1つのグルコースオキシダーゼを含むことができる。グルコースオキシダーゼ(GOx)は、EC1.1.3.4型(2018年4月分類)のオキシドレダクターゼ酵素であり、グルコース、特にβ-D-グルコース(またはデキストロース)の過酸化水素とD-グルコノ-δ-ラクトンへの酸化を触媒し、その後、それはグルコン酸に加水分解する。グルコースオキシダーゼは、β-D-グルコピラノース(ヘミアセタール型のグルコース)に特異的に結合し、α-D-グルコースには作用しない。しかしながら、溶液中でグルコースは主にその環状形態を採用するため、それらはそのエナンチオメトリック形態でグルコースに作用することができる(pH7で:36.4%α-D-グルコースおよび63.6%β-D-グルコース、線形形態で0.5%)。さらに、β型の酸化と消費により、α-D-グルコース/β-D-グルコースのバランスがこの型にシフトする。GOxという用語は、天然タンパク質とその誘導体、変異体、ならびに/または機能的同等物にまで及ぶ。この用語は、特に、構造および/または酵素活性が実質的に異ならないタンパク質にまで及ぶ。
グルコースオキシダーゼには、触媒作用を可能にする補因子が含まれ、必要である。この補因子は、細胞内の主要な酸化還元成分であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)である。FADは最初の電子受容体として機能し、FADHに還元され、分子状酸素(OはFADよりも還元性が高い)によってFADに再酸化(再生)される。Oは、最終的に過酸化水素(H)に還元される。補因子は市販のGOx酵素に含まれており、GOxとFAD-GOXという用語は同等である。
最も広く使用されているグルコースオキシダーゼは、アスペルギルスニガーから抽出されたものである。しかしながら、他の供給源からのGOxを使用することもできる。例えば、Penicillium種またはAspergilius terreus種の特定の種などである。
Aspergillus nigerのグルコースオキシダーゼは、各々分子量80kDaの2つの等しいサブユニットで構成される二量体である(ゲル濾過による)。各サブユニットには、フラビンアデニンジヌクレオチドと鉄原子が含まれている。この糖タンパク質には、およそ16%の中性糖と2%のアミノ糖が含まれている。また、3つのシステイン残基と8つのN-グリコシル化の可能性のある部位が含まれている。
GOxの比活性は、好ましくは、100,000ユニット/g固体(Oの添加なし)以上である。1ユニットは、35℃、pH5.1で、1分あたり1.0μモルのβ-D-グルコースのD-グルコノラクトンおよびHへの酸化能力として定義される。(Km=33~110mM;25℃;pH5.5~5.6)。
GOxの使用が過酸化水素の生成を伴う限り、カタラーゼを酵素系に加えることができる。
カタラーゼは、反応を触媒する四量体酵素である:2H→O+2HO。各サブユニットには、プロトヘムIX型グループに結合した鉄が含まれている。各サブユニットは同等であり、およそ500アミノ酸のポリペプチド鎖を含む。各サブユニットの分子量は、一般に60kDa(ゲル濾過)である。カタラーゼは、NADPおよびNADPに強く結合することができ、ヘムグループは、互いに13.7Åの位置に位置決めされる。メチルペルオキシドまたはエチルペルオキシドなどの他の水素化アルキルペルオキシドと反応する可能性がある。カタラーゼの活性は、一般的に4~8.5のpH範囲で一定である。その比活性は、好ましくは、2000ユニット/mgより大きく、特に3000ユニット/mgより大きく、例えば、タンパク質のおよそ5000ユニット/mgである。1ユニットは、25℃、pH7.0で1分あたり1.0マイクロモルの過酸化水素(H)を分解する能力として定義され、H濃度は10.3から9.2ミリモルに低下することが好ましい。カタラーゼという用語は、天然タンパク質およびそれらの誘導体、変異体、ならびに/または機能的同等物にまで及ぶ。この用語は、特に、構造および/または酵素活性が実質的に異ならないタンパク質にまで及ぶ。使用されるカタラーゼは、好ましくはウシ由来のものである。
グルコースを変換する他の酵素、特に少なくとも1つのデヒドロゲナーゼを使用することも可能である。実際、この酵素が触媒する反応では過酸化水素は生成されないので有利である。デヒドロゲナーゼは、FADと組み合わせて機能する(上記を参照)。特に好ましいデヒドロゲナーゼは、フラビンアデニンジヌクレオチド-グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)(EC1.1.5.9)である。FAD-GDHという用語は、天然タンパク質とその誘導体、変異体、および/または機能的同等物にまで及ぶ。この用語は、特に、構造および/または酵素活性が実質的に異ならないタンパク質にまで及ぶ。したがって、本発明によるバイオセルの電気化学セルのアノードを製造するために、補因子と組み合わせて、データベース(例えば、SWISS PROT)にリストされているGDH配列と少なくとも75%、好ましくは95%、さらにより好ましくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するGDH酵素タンパク質を使用することができる。アスペルギルス種のFAD-GDHが特に好ましく、効果的であるが、Glomerella cingulata(GcGDH)からの他のFAD-GDH、またはPichia pastoris(rGcGDH)で発現される組換え型も使用することができる。例示的な実施形態で使用されるFAD-GDHは、以下の特徴を有するアスペルギルス種(SEKISUI DIAGNOSTICS,Lexington,MA,No.Catalog GLDE-70-1192)からのFAD-GDHであり、以下の特徴を有する:
外観:凍結乾燥した黄色の粉末。
活性:>900U/mg粉末37℃。
溶解度:10mg/mLの濃度で水に容易に溶解する。
活性の1ユニット:37℃で1分間に1マイクロモルのグルコースを変換する酵素の量。
分子量(ゲル濾過)130kDa
分子量(SDSページ):グリコシル化タンパク質を示す拡散97kDaバンド。
等電点:4.4。
値:5.10 ̄2M(D-グルコース)。
多孔質導電性材料はまた、電子交換を改善するために、1,4-ナフトキノンなどのレドックスメディエーターとして作用する芳香族分子を含むことができる。9,10-フェナントロリン、1,10-フェナントロリン-5,6-ジオン、9,10-アントラキノン、フェナントレン、1,10-フェナントロリン、5-メチル-1,10-フェナントロリンによって形成される群から選択される他の分子、ピレン、1-アミノピレン、ピレン-1-酪酸、およびこれらの2つ以上の混合物も考慮することができる。そのような化合物の使用は、FAD-GDHまたはGOxを含む酵素系の場合に特に有利であることが証明されている。
バイオ燃料セルの酸化剤は、有利には、分子状酸素、特に空気中に含有される酸素であり得る。
酸化剤が分子状酸素Oである場合、カソードで使用することができる酵素系は、有利には、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)を含むことができる。BODは、次の反応を触媒するオキシドレダクターゼ酵素(EC分類1.3.3.5、CAS番号80619-01-8、2018年4月)である:
2ビリルビン+O(2)<=>2ビリベルジン+2H(2)O。
【0020】
最も広く使用されているビリルビンオキシダーゼは、Myrothecium verrucariaから抽出されたものである。しかしながら、他の供給源からのBODの使用が検討され得る。BODの活性は、有利には、15ユニット/mgタンパク質よりも大きく、好ましくは50ユニット/mgより大きく、例えば、約65ユニット/mgタンパク質である。1ユニットは、37℃でpH8.4で毎分1.0マイクロモルのビリルビンを酸化する能力として定義される。BODという用語は、天然タンパク質およびそれらの誘導体、変異体、ならびに/または機能的同等物にまで及ぶ。この用語は、特に、構造および/または酵素活性が実質的に異ならないタンパク質にまで及ぶ。
【0021】
プロトポルフィリンIX(CAS番号553-12-8;2018年4月)は、粗式C3434のポルフィリンユニットを持つ化合物である。これは、多孔質導電性材料、特にナノチューブを機能化し、BODなどの酵素の配向を改善するために使用される。したがって、それは、カソードを構成する材料に有利に含まれる。
【0022】
多孔質導電性材料と少なくとも1つの酵素および/または1つの酵素系とを組み合わせる固体凝集体は、好ましくは、要素の混合物を圧縮することによって有利に得られるブロックまたはペレット、例えば円形の形態である。凝集体は、圧縮によって容易に得ることができ、所望の特定の形状をとることができる。特に、本発明によるバイオアノードおよび/またはバイオカソードは、小さい(直径1~2cm)、または非常に小さい(直径0.5cm未満)ペレット、例えば円形または多角形の形態をとることができる。そのようなペレットは、3.5mmから0.2mmまで変化する厚さ、例えば、0.25mmを有することができる。結果として、本発明によるバイオセルは、様々な形状および小さなサイズのものであり得る。特に、それは2cm以下、好ましくは1cm以下、あるいは0.75cm以下の体積のみを占めることができる。特に、「ボタン型」のバッテリを交換することができるように設計され得る。
【0023】
したがって、本発明の特に好ましい態様によれば、アノードは、好ましくはカタラーゼと組み合わされたGOx酵素、またはFAD-GDH酵素を含む。したがって、この場合、バイオ燃料はグルコースである。どちらの場合も、バイオアノードは、グルコース酸化メディエーター、例えば、1,4-ナフトキノン化合物も含む。好ましくは、バイオカソードは、酸素を還元する酵素、より具体的にはBODを含み、プロトポルフィリンIXと有利に組み合わされる。バイオカソードおよびバイオアノードという用語は、それらの構造における生物学的物質、例えば酵素の存在を指す。本発明のバイオ燃料セルの文脈において、それらは、カソードおよびアノードと同等の方法で使用されるべきである。
【0024】
本発明によるデバイスは、アノードとカソードとの間に載置された、電気的に絶縁され、液体媒体に対して透過性である分離多孔質膜を含む。この膜は、特にアノードとカソードとの間のイオン種の通過を可能にする。
【0025】
本発明の特定の変形によれば、この膜は、紙の薄いシート(厚さ200μm未満)であり得、これは、低い単位面積当たりの質量(例えば、150g/m以下)を有する。特に、そのような膜は、150μm未満、好ましくは100μm未満、好ましくは75μm未満の紙の厚さを有し、これは有利に生分解性である。この選択肢は、バイオ燃料を貯蔵し、液体媒体をアノードが取り囲み、バイオアノードおよび/またはアノードペレット、および任意選択的にバイオセルのバイオカソード(複数可)を支持するための手段を提供する場合に特に好ましい。
【0026】
本発明の別の好ましい変形によれば、電気的に絶縁され、液体媒体に対して透過性である分離多孔質膜もまた、バイオ燃料を貯蔵し、液体を利用可能にするための手段である。有利には、この貯蔵手段は上記のとおりである。
【0027】
本発明によるバイオセルはまた、一般に導電性材料を組み込む切り替え手段を含む。これらの手段は、層、タング、または糸の形をとることができる。そのような層、タングまたはワイヤは、有利には、厚みが薄く、熱伝導率および/または電気伝導率が高く、高配向性グラファイトを含むか、または(実質的に)高配向グラファイトで構成されてもよい。したがって、熱分解黒鉛のシートまたはタブを使用することが可能である(熱分解黒鉛シート)。その厚さは、10~500μm、好ましくは17~300μm、そして有利には40~100μmの範囲として選択することができる。10、17、25、40、50、70、および100μmの厚さからなる群から選択することができる。その熱伝導率(シートの長手方向平面内)は、500~2000W/(mK)、好ましくは700~1950W/(mK)、そして有利には900~1350W/(mK)であり得る。700、1000、1300、1350、1600、1850、および1950W/(mK)の熱伝導率値からなる群から選択することができる。この層はまた、5,000S/cmを超える、好ましくは8000S/cm以上、例えば約10,000S/cmの導電率を有し得る。しかしながら、特に層の厚さが40μm未満である場合、それはより高い導電率、例えば約20,000S/cmを有する可能性がある。この層はまた、耐熱性、例えば、200℃を超える温度、有利には300℃を超える、例えば約400℃の温度に対する耐性を有することができる。
【0028】
本発明によるデバイスは、有利には、デバイスの電気化学セル(複数可)を部分的に覆う保護層またはフィルムであり得る外部コーティングを含む。これは、好ましくは、可撓性であり、接着性で、毒性がなく、化学的に安定で、電気絶縁性であり、放射線に鈍感であり、および/または広い動作温度範囲(例えば、-150℃~200℃、または約260℃の温度でさえ)を有する。このコーティング、または外側の保護フィルムは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)型の過フッ素化ポリマー材料またはシリコーンベースの材料などの比較的不活性な材料を含浸させたガラス繊維布を含むか、または(実質的に)作製することができる。PTFEは、Du Pont de NemoursのTeflon(登録商標)、Asahi GlassのFluon(登録商標)、DyneonのHostaflon(登録商標)である。フィルムまたはコーティングは、好ましくは、50重量%を超える当該材料、有利には、フィルムの全重量に対して50~70%、好ましくは57~64%で含浸される。その厚さは、10分の数ミリまたは100分の1ミリメートルでさえある。例えば、それは、0.03~0.50mm、好ましくは0.05~0.30mm、より好ましくは0.06~0.14mmの範囲から選択することができ、例えば、0.07mmである(NF EN ISO 2286-2016年12月3日)。本発明の好ましい態様によれば、コーティングまたは保護フィルムは、接着剤層、好ましくは耐水性を含み、本発明によるバイオセルの電気化学セルの外面に接着することを可能にする。1つの特定の態様によれば、このフィルムは、アノードおよび/またはカソードの1つの面に直接、または回路手段の一部に直接貼り付けることができる。別の好ましい態様によれば、好ましくは可撓性かつ絶縁性であるこの外側カバーは、アノードおよび/またはカソードで液体および/またはガスのアクセスを可能にするように位置決めおよび寸法決めされた1つ以上の開口部を含む。この開口部は、コーティングに事前にカットすることができ、例えば、バイオカソードの反対側に位置決めされた一連の小さな円形の開口部の形をとることができる。付加的または代替的に、この開口部は、コーティングが電気化学セル(複数可)および貯蔵手段を含むバイオセルを完全に取り囲んでいないが、開口部にこれらの要素へのアクセスを与える続けるという事実によって形成することができる。したがって、ほぼ平面形状のデバイスの場合、デバイスのエッジに開口部を残すことができる。
【0029】
本発明の有利な態様によれば、バイオアノードおよび/またはバイオカソード(ペレットまたはボタンの形をしている場合がある)がフレーム内に保持されている場合、当該フレームは、バイオ燃料を貯蔵ための前記手段および液体媒体を利用可能にするための前記手段、またはPTFEなどの電気的絶縁材料のいずれかである。
【0030】
したがって、第1の実施形態によれば、アノードは、貯蔵手段に挿入され、貯蔵手段は、例えば、上記のような吸収性材料のシートであり得る。したがって、この貯蔵手段は、フレームとしても機能し、および/またはバイオアノードおよび場合によってはバイオカソードを所定の位置に支持および維持し、一般に後者と直接接触し、液体媒体および内部に含有されるバイオ燃料と接触し続ける。本発明のこの変形例によれば、デバイスは、本出願に記載されている種類のいくつかの電気化学セルを含むことができ、当該電気化学セルは、直列に接続されている。したがって、そのようなデバイスは、電気化学セルのスタックで構成され、セルの数は一般に10を超えない。例えば、3つまたは4つの個別のセルを積み重ねることができる。
【0031】
上記の別の実施形態によれば、貯蔵手段はまた、バイオセルの膜である。この場合、アノード(および場合によってはカソード)は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの絶縁材料で構成されるフレームまたはジグに挿入することができる。このフレームは、好ましくは、生体電極(複数可)を受け入れ、電極(アノードまたはカソード)を保持および/または位置決めすることを可能にするサイズの開口部を有する。実際、本発明のこの変形によれば、フレームは、アノードまたはカソード型であり得るいくつかの電極を含み得る。フレームは、2つのフレームが互いに向かい合って載置されている場合に、アノードとカソードを互いに向かい合わせに置いて、複数の電気化学セルを作成できるように寸法決めされている。次に、切り替え手段は、これらの電気化学セルを直列に接続するように有利に位置決めされる。
【0032】
本発明の目的はまた、本出願に記載されるようなバイオセルを製造する方法である。この方法は、記載されているように外部コーティングシートを使用することを含み、外部コーティングの内面、好ましくは接着剤、当該切り替え手段に面する少なくとも1つの電極(バイオアノードまたはバイオカソード)をオンに切り替えるための手段、貯蔵手段、および場合によっては膜上に位置決めするステップを含む。外側のカバーシートは、バイオ燃料セルの要素が接着面に位置決めされると、これらの要素の周囲に自由表面が存在するように寸法決めされている。この自由表面は、これらの要素が一緒に結合され、バイオセルを構成できるように位置決めおよびサイズ化されている。
【0033】
本発明による方法の変形によれば、切り替え手段は、最初にコーティングの内面に位置決めされ、次にフレーム(またはテンプレート)が重ね合わされる。第二に、本発明によるアノードまたはカソードを構成する粉末またはペーストの形態の混合物をフレームの開口部の内側に位置決めし、このアセンブリをその場で圧縮して、アノードまたはカソードを構成する固体凝集体を得る。このステップを繰り返して、失われた(missing)電極(カソードまたはアノード)を形成し、貯蔵手段がこれらの層間に位置決めされると、2つのコーティングが組み立てられて、本発明によるバイオセルを形成することができる。これらの2つの部分は、外部コーティングの内部部分上の接着剤の存在によって有利に結合される。
【0034】
本発明はまた、本出願に記載され、水性液体をさらに含み、当該液体が任意選択的にバイオ燃料を含むバイオセルに関する。実際、バイオ燃料は、乾燥および/または固体および/または非可溶化形態でデバイスにすでに存在し、および/または酵素部位に移動することができる可能性がある。例えば、それは、燃料貯蔵手段に組み込まれるか、またはその近くに位置決めされ得る。水(純粋であろうとなかろうと)が加えられると、こうして存在するバイオ燃料(例えば砂糖)が媒体に溶解し、電気化学的交換が起こる。代替的または付加的に、追加された液体は、バイオ燃料を含む。これは、例えば、血液、尿、唾液などの生理学的液体、またはアルコール飲料またはグルコース飲料であり得る。
【0035】
本発明の目的はまた、液体、好ましくは、任意選択的にグルコース、デンプンまたはエタノールなどのバイオ燃料を含む水性液体の存在下で本出願に記載されるように本発明によるバイオセルを載置することを含むバイオセルを得るためのプロセスである。
【0036】
本発明の別の目的は、本発明によるバイオセルと、電気受信機(すなわち、電流を使用(受信)する装置)とを含む装置であり、当該バイオセルは、当該電気受信機に電気的に接続されている。そのような装置は、検査、特に生体液の検査、例えば妊娠検査または血糖検査であり得る。代替的又は付加的に、本発明によるバイオセル(および/またはデバイス)は、電子ディスプレイおよび/または発光を有する電子デバイスに組み込むことができる。より一般的には、本発明によるデバイスは、金属誘導体を使用するボタン型セルで動作する種類のものである。本発明によるそのような装置は、有利には、使い捨ておよび/または生分解性であり得る。
【0037】
本発明の別の主題は、本出願に記載のバイオセルを製造するためのキットであり、使用説明書に関連する本出願に記載のバイオセルと、場合によっては上記の水性液体を含む容器とを含む。
【0038】
本発明の別の目的は、バイオセルの製造またはバイオセル、好ましくは本発明によるバイオセルを得るためのデバイスの製造のための上記のような厚い吸い取り紙の使用である。好ましくは、ブロッティングまたは吸収紙は2.6mm±0.2mmの厚さである。
【0039】
本発明の別の目的は、電流を生成するための本発明によるバイオセルの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施例1に記載されている本発明によるデバイスの部分分解図である。
図2】実施例1のデバイスおよび5mMのグルコース溶液を使用して生成された、実施例1によるGOx/BODバイオセルの分極および電力曲線を表す。
図3図1の発明によるデバイスおよび5mMのグルコースの溶液から生成された、実施例1によるFAD-GDH/BODバイオセルの偏光および電力曲線を表す。
図4】実施例2の実施形態によるGOx/BODバイオセルの分極曲線および電力曲線を表し、燃料は5mMのグルコースの溶液である。
図5】実施例2の実施形態によるGOx/BODバイオセルの分極曲線および電力曲線を表し、燃料は、150mMのグルコースの溶液である。
図6】実施例3に従って生成されたVulcan(登録商標)炭素上のFAD-GDH/BODバイオセルの分極曲線および電力曲線を表し、燃料は、150mMのグルコースの溶液である。
図7】実施例1に従って生成されたMWCNT上のFAD-GDH/BODバイオセルの分極曲線および電力曲線を表し、燃料は、150mMのグルコースの溶液である。
図8】実施例3のバイオセルの5mMおよび150mMのグルコースに浸漬されたパッドに関する、時間(分)および全グルコース消費量に対する、μW.h単位の6kΩでの連続放電によるエネルギー生成を示す。
図9】実施例3(カーボンブラック)および実施例1のMWCNT上のFAD-GDH/BODのバイオセルの150mMグルコースに浸漬されたパッドに関する、時間(分)および全グルコース消費量に対する、μWh単位の6kΩでの連続放電によるエネルギー生成を示す。
図10】実施例4に示されるバイオセル10の構造の部分分解図およびその正面図、ならびに左側に断面図を含む。
図11】実施例5に示されるバイオセル20の構造の部分分解図とその正面図、および左側に断面図を含む。
図12】150mMのグルコース溶液について、t=0、t=7日およびt=1ヶ月での実施例4によるバイオセルの分極および電力曲線を表す。
図13】μWh単位で対時間(分)での6kΩでの連続放電によるエネルギー生成、および実施例4のバイオセルの150mMグルコース溶液について全グルコース消費量を示す。
図14】150mMのグルコース溶液について、実施例5および図11に記載されているバイオセルの分極および電力曲線を表す。
図15】150mMのグルコース溶液について実施例6に記載されたバイオセルの分極および電力曲線を表す。
【実施例
【0041】
試薬:
Aspergillus Nigerのグルコースオキシダーゼ型VII(GOx)(2018年4月:No.EC:1.1.3.4、No.CAS:9001-37-0、分子量:160kDa(ゲル濾過)>100,000ユニット/g)は、Sigma-Aldrich社(製品コードG2133)から入手。
ウシ肝臓由来のカタラーゼ(2018年4月:No.EC:1.11.1.6、No.CAS:9001-05-2、分子量250kDa、2000~5000ユニット/mg)もSigma-Aldrich Co.(製品コードC1345)から入手。
Myrothecium Verrucariaのビリルビンオキシダーゼ(BOD)(2018年4月EC No.1.3.3.5、CAS No:80619-01-8、15-65ユニット/mg)はSigma Aldrich(製品コードB0390)から入手した。
95%純粋なプロトポルフィリンIXもSigma-Aldrich Co.(製品コードP8293)から入手することができる。
アスペルギルス種(2018年4月:EC No.1.1.5.9)のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH、11580ユニット/mg固体(活性の1ユニット:37℃で1分あたり1マイクロモルのグルコース(β-デキストロース)を変換する酵素の量))はSEKISUI社から入手。
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、Nanocyl社から購入した(純度>95%、直径10nm、長さ1.5μm)。
VULCAN(登録商標)ブランドのカーボンブラックXC72Rは、CABOT社から購入した。
集電微孔質ガス拡散(GDL)層は、Paxitechから購入した。それは、カーボンフェルトの形の炭素繊維の狭いメッシュで構成され、210μmの厚さ、8mΩcmの貫通抵抗率、および70秒の空気透過性を有する。
パッドとして使用される多孔質紙は、VWRリファレンス732-0604から購入した超厚吸い取り紙(グレード707)である。超純水を使用した、無添加の綿100%吸い取り紙である。そのテクスチャは、滑らかで規則的であり、その構造は均質である。その単位面積当たりの質量は、2.6mmの厚さについて、703g/mである。その与えられた技術的特徴は、120秒/100ml(100mmの水柱で)の濾過時間(Herzbergによる)と、Klemm試験(毛細管浸透率)による96秒で75mmの上昇である。
使用される厚さ140μmのセルロースシートは、Sigma Aldrich(ref WHA10334885)によって配布されているWhatman型(技術用の定性濾紙、グレード0903)である。
保護フィルムは、厚さ70μmでPTFE含浸率が61重量%のPTFE(TISOFLON 3 AD、ISOFLON社)を含浸させた布またはガラスフィルムの接着シートである。このフィルムの接着面は、保護用PTFE(テフロン(商標))シートで覆われている。このフィルムは、本発明によるバイオアノードおよび/またはバイオカソードペレットの保持フレームまたはテンプレートとして機能できる保護テフロンシートで覆われている。
酵素は、-20℃で貯蔵した。蒸留水は、Millipore Ultrapure(商標)システムを使用して15MΩ×cmの抵抗率まで水を精製することによって得られた。高純度の酸素とアルゴンは、MESSER社から供給されている。グルコース溶液は、使用前に一晩β-D-グルコースに変換するために放置された。1,4-ナフトキノンを含む他のすべての試薬は、Sigma-Aldrich Incから提供されている。
バイオ燃料セルの電気化学的特性評価では、アノードを作用電極として定義し、カソードを参照電極として接続した。すべての実験は、pH7のMcllvaineまたはリン酸緩衝液中の5(特定の体液の濃度に近い)または150ミリモルL-1のグルコース溶液を使用して実行された。溶液は、少なくとも絶縁コーティングで完全には覆われていないリザーバの端に滴下された。バイオセルは、EC-lab 10.39ソフトウェアを実行するBiologie(登録商標)VMP3マルチチャネルポテンシオスタットに接続された。分極曲線と電力曲線は、30秒の放電後に記録された。すべての実験は、室温(およそ20℃)で実施された。
以下に例示するバイオカソードおよびバイオアノードは、圧縮されたディスクに成形された固体である。
【0042】
実施例1(多孔質シートに挿入されたペレット)
バイオカソードの場合、カーボンナノチューブ(MWCNT)をDMF(ジメチルホルムアミド)の存在下でプロトポルフィリンIXと混合し、80℃でおよそ12時間加熱した。プロトポルフィリンIXは、ナノチューブと比較して酵素タンパク質の配向を促進する。このように機能化されたナノチューブを、蒸留水で数回すすぎ、濾過した。プロトポルフィリンIXで官能化された35mgのMWCNTを、15mgのBODと100μlの蒸留水の存在下で粉砕した。
【0043】
バイオアノードの場合、35mgのMWCNT、15mgのGOx、10mgのウシ肝臓由来のカタラーゼ、および5mgの1,4-ナフトキノンを100μLの蒸留水で粉砕した。FAD-GDHに基づく別のバイオアノードでは、35mgの官能化MWCNT、15mgのFAD-GDH、および5mgの1,4-ナフトキノンを100μLの蒸留水で粉砕した。
【0044】
次に、各均質ペーストを油圧プレスを使用して電気接点GDLタブでそれぞれ圧縮し、直径1cm、厚さ2mmのペレットを取得する。この場合、このGDL9またはGDL9’のGDLタングは、集電装置としても、カーボンペーストを圧縮するためのサポートとしても機能する。
【0045】
アノードペレットとカソードペレットに対応する寸法と形状の穴を、厚さ2.6mm、サイズ25mm×25mmのパッド(吸い取り紙のシート)に作製する。各パッド、または「パッド」は、ペレットのフレームとして機能する。次に、バイオセルデバイスが組み立てられる:生成されたペレット/タブの関連付けの各々は、GDLタブを外側に位置決めし、それらのそれぞれのパッドに対して突き出るように、パッドの背面からパッドの開口部の内側に位置決めされる。このようにして、バイオアノードおよびバイオカソードが形成される。電気絶縁体として機能するワットマンセルロースの薄いシートが、バイオアノードとバイオカソードとの間に載置されている。このアセンブリは、電気化学セルの基礎を形成する。図1は、そのようなデバイスの半分解図である。GOxまたはFAD-GDHを含む酵素ペレット5、またはバイオアノードは、燃料タンク3、後部から突出するGDLタブ9に位置決めされる。対称的に、BODを含む酵素ペレット7またはバイオカソードが3’パッドに位置決めされ、9’GDLタブもその背面から突き出ている。電気絶縁体8の多孔質シートは、バイオアノード5とバイオカソード7と、それらのそれぞれのフレーム3および3’との間に載置されている。
【0046】
次に、このデバイスは、2つの電極の背面を覆うガラス布と厚さ70μmのPTFE(図示せず)の接着保護フィルムで覆われて包まれている。突き出ているGDLタブ部分は、この保護フィルムで実質的に覆われていない。さらに、保護フィルムに開けられた直径2mmの4つの穴がバイオカソードの背面に位置決めされ、デバイス内の空気からの酸素の拡散とバイオカソード7への供給を可能にする。
【0047】
図2および図3は、GOx Biopiies(図2)とFAD-GDH(図3)の偏光曲線と電力曲線を表す。FAD-GDHの場合に得られる電力(0.38mW)は、GOxの場合に得られる電力(0.27mW)よりも大きくなる。これは、FAD-GDHがGOxよりもアクティブであり、副産物としてHを生成しないという事実による。実際、Hは細胞の不安定性を高め、カソードでのBOD酵素の活性を阻害する可能性がある。
【0048】
実施例2:スタッキング
図3および図4に、FAD-GOX/BODバイオカソード/アノードを有する3つのセルのスタックを概略的に示す(GDLタブは図示せず)。このスタッキングは、回路を閉じるために外側のタブだけを突き出させたままにすることによって生成された。セルが並置されると、スタックは、実施例1のデバイスと同じ方法で、ガラス繊維およびPTFE布で作製された接着フィルムで覆われた。
【0049】
この例は、これらのバッテリのスタッキングの容易さを示し、単一のバッテリの0.27mWと0.62Vのfemから、5mMのグルコース溶液に浸漬されたパッドを有する3つのバッテリのスタックの0.82mWと1.7Vのfemに移る(図4)。濃縮グルコース溶液(150mM)は、2.2mWの高出力が得られる(図5)。図4および図5は、得られた性能に対するこれら2つの異なるグルコース濃度の影響を示している。
【0050】
実施例3:カーボンブラックサポートを使用したFAD-GDH/BODバイオセル
市販のサンプルへのアクセスまたは毒性の疑いに関してカーボンナノチューブに関連する可能性のある問題を克服するために、MWCNTはすでに多くの市販製品で使用されているカーボンブラックに置き換えられた。
【0051】
酵素ペレットは、実施例1と同じプロセスを使用して得られるが、MWCNTをカーボンブラック(Vulcan(登録商標))に置き換える。次に、実施例1の方法も使用して、A-1セルバイオセルが生成される。図6は、150mMのグルコース溶液の存在下に載置されたときに得られた、Vulcan(登録商標)カーボン上のこのFAD-GDHバイオセルの分極および電力曲線を表す。
【0052】
図7は、同じ濃度(150mM)のグルコース溶液と一緒にされたときの、実施例1のMWCNT上のFAD-GDHバイオセルの分極および電力曲線を表す。MWCNTおよびVulcanカーボン(カーボンブラック)をベースにしたバッテリによって供給される電力は、150mM(およそ0.5mL)のグルコース再充電でそれぞれ1.3mWおよび1.2mWである。2つの材料は同様の電力へのアクセスを提供するため、これらのバッテリの製造に必要な技術的および環境的制約に応じて両方を使用することができる。
【0053】
図8は、実施例3(カーボンブラック)のバイオセルの5mMおよび150mMのグルコースに浸漬されたパッドに関する、時間(分)および全グルコース消費量に対する、μW.h単位の6kΩでの連続放電によるエネルギー生成を示す。図9は、実施例3(カーボンブラック)および実施例1のMWCNT上のFAD-GDH/BODのバイオセルの150mMグルコースに浸漬されたパッドに関する、時間(分)および全グルコース消費量に対する、μWh単位の6kΩでの連続放電によるエネルギー生成およびを示す。
【0054】
MWCNTに基づくセルで最高の性能が得られ、150mMの利用可能なグルコースをすべて消費する連続放電後に400μWhを生成することが可能になる。
【0055】
実施例4:単一リザーババイオセル
図10は、この特定の例によるバイオセル10の構造の図を含む。
【0056】
バイオカソードの場合、実施例1に記載のプロトポルフィリンIXで官能化された8.75mgのMWCNTを、3.75mgのBODおよび25μlの蒸留水の存在下で粉砕した。バイオアノードの場合、8.75mgのMWCNT、3.75mgのGOx、2.5mgのウシ肝臓由来のカタラーゼ、および1.25mgの1,4-ナフトキノンを25μLの蒸留水で粉砕した。
【0057】
各ペレット15および17は、厚さ0.25mmのPTFEシート12または12’を含み、直径1cmの円形の穴が貫通したフレーム上にその場で形成される。このテンプレートは、ガラス繊維の接着シート、および厚さ70μmのPTFE11または11’で構成されるサポート上に載置される。GDLタブ19または19’は、PTFEシート12または12’の円形穴に対して、円形穴と接着シート11または11’との間に位置決めされる。このシート11および11’は、分解図には表示されていない。十分な量のバイオアノードまたはバイオカソードの各均質ペースト(ペレットあたり約12mgの量でテンプレートを充填することが可能)を穴に位置決めし、プレスによってサポート上で直接圧縮する。これにより、直径1cm、厚さ0.25mmのペレットを得ることができる。その場で形成されたサポート上のこれらのペレットは、バイオアノードおよびバイオカソードとして使用することができる。
【0058】
バイオカソードの接着シート11’には、空気からバイオカソードへの酸素の拡散を可能にするために、直径2mmの4つの穴14が貫通している。図10の分解図には、接着剤被覆シート11または11’は示されていないが、図10に示すように、穴がとる位置がその内部に示されている。12または12’のフレームとして機能するPTFEシートの寸法はおよそ20mm×20mmである。保護として機能する外側の支持シート11および11’は、より大きな寸法であり、それらの対向する接着面の接触によって、デバイスの要素を固定または結合することを可能にする。それらの接着面は向かい合っており、それらは互いに結合され、その側面のいくつかでバイオセルを固定することができる。この変種の例は、図10に示されている写真の被写体である。穴14が貫通し、左右から横方向に延在して、互いに重なり合うシート11の対称部分を覆い、接着する可撓性の外側シート11’が見られる。10ユーロセントのコインで、得られたバイオセルのサイズを視覚化している。
【0059】
次に、フレームとして機能するPTFEシートと実質的に同じサイズの厚い吸い取りシート13(前の実施例で使用される)が、バイオアノード15とバイオカソード17との間に載置される。GDLタブ19および19’は、集電装置およびパッド15または17のサポートの両方として機能する。
【0060】
したがって、GDLタブ19は、アノードパッド15に面して位置決めされ、GDLタブ19’もまた、カソードパッド17に面して位置決めされる。これらの2つのタブ19および19’は、それぞれのサポート12および12’から突出している。それらは、PTFEフレーム12または12’と外側サポートシート11または11’の間に位置決めされる。これらのタブ19および19’は、集電装置としても、それらに関連付けられているパッドのサポートとしても機能し、デバイスを電気レシーバーに接続することを可能にする。バイオセル10の正面図では、タブ19および19’は、本発明によるデバイスの反対側から突出しているが、分解図では、これらのタブ19および19’は、同じ側から突出していることが示されている。どちらの配置も可能である。
本発明によるバイオセルの最終的な特定の形状が何であれ、それは、パッド13へのグルコースベースの燃料のアクセスを可能にする通路を含む。ここでは、注射器を使用してグルコース溶液を注入することにより、グルコース溶液を加える。
図12は、バイオセルが1週間後でも1か月後でも、その性能を維持していることを示している。図13は、バイオセルの放電を試験することにより、1週間後または1か月後に開始されたかどうかにかかわらず、100%のパフォーマンスを維持していることを確認できたことを示している。これは、性能を損なうことなく、製造後少なくとも1か月でデバイスに電力を供給するバイオセルの能力を検証するものである。
【0061】
実施例5 連続ペレットバイオセル
図11は、この特定の例によるバイオセル20の構造の図を含む。
【0062】
使用されるアノードおよびカソードペレットは、実施例4のデバイスに使用されるものと同じ種類である。
【0063】
4つのペレット、2つのアノード25および35、および2つのカソード27および37が、ガラス繊維およびPTFE31の第1の接着シートの接着面、および寸法35mm×35mmのPTFE32のフレームの4つの円形開口部内に載置される。これらのシートは、実施例4で説明したものと同じ材料と厚さである。4つのパッドは四辺形のパターンで位置決めされ、各アノードパッド25および35は、カソードパッド27および37と同様に、互いに対角線上に配設される。
【0064】
PTFE32’のフレーム内の4つのペレットの別のセットは、繊維とPTFE31’の第2のシートに配設される。第2のフレーム32’上で、4つのペレットが対称配置で交互に配置されている:2つのアノードペレット45および55、ならびに2つのカソードセル47および57は、それぞれ互いに対角線上にある。
【0065】
電気化学セルは、接着剤外側シート31とPTFEフレーム32との間に配置されたGDLタブ29、29’、および29”、ならびに接着性外側シート31’とPTFEフレーム32’の間に位置決めされたタブ39および39’を使用することによって連続的にセットアップされる。図11の分解図では、PTFEフレーム32上のタブの位置が透明性によって見られていることに留意されたい:タブは実際には、示されているフレームの面の後ろに位置決めされている。これは、タブのそれぞれの位置決めを理解できるようにするために行われる。それらの相対位置は、関連する断面図でよりよく説明されている。PTFEフレーム32’上で、ペレット45と57との間に水平に位置決めされたタブ39は、アノード45とカソード27からなる電気化学セルを、アノード35とカソード57からなる電気化学セルに接続することを可能にする。同様に、ペレット35と37との間に垂直に位置決めされたタブ29”は、アノード35とカソード57からなるセルを、アノード55とカソード37からなるセルに接続することを可能にする。ペレット55と47との間に水平に位置決めされたタブ39’は、アノード55とカソード37からなるセルを、アノード25とカソード47からなるセルに接続することを可能にする。カソード27およびアノード25とそれぞれ接触しているタング29および29’は、回路の外側に反対方向に突き出ており、デバイスを電気受信機(図示せず)に接続することを可能にする。
【0066】
実施例4のように、ペレットは、フレーム32または32’に予め形成された直径10mmの円形の穴にある量のペーストを添加することにより、その場で圧縮することによって形成される。タブ29、29’、29”、39および39’は、ガラス繊維のシートと、サポートとして機能するPTFE31および31’と、PTFEフレーム32および32’との間に事前に位置決めされている。
【0067】
直径2mmの4つの穴24のセットが、4つのバイオカソード27、37、47および57(および対応するGDLタブの部分)の各々の背面のガラス繊維およびPTFE支持シート31および31’に作製され、空気からバイオカソードへの酸素の拡散を可能にする。これらの一連の開口部24の位置は、デバイス20の部分分解図にも示されているが、開口部は、部分分解図には示されていないシート31および31’に作製されている。
【0068】
PTFEフレーム31および31’、ペレット27、35、37、25、45、57、55、47を担持し、タブ29、29’、29”を担持する2枚のシートの間に、厚さ3mmで、PTFEフレーム32および32’のものと実質的に同じサイズまたはわずかに小さいリザーバまたはパッドが挿入される。このパッド23は、パッド27、35、37、25、45、57、55および47の片側と直接接触している。このパッドは、実施例4で前述したものと同じ種類の厚い吸い取り紙で作製されている。
【0069】
保護および支持として機能する外側カバーシート31および31’は、PTFEフレームよりも大きな寸法であり、したがって、これらのフレーム32および32’を超えて突き出ている。したがって、これらのシート31および31’は、それらの反対の接着面と接触することによって、デバイスの要素を固定または結合することを可能にする。それらの接着面は向かい合っており、それらは互いに結合され、その側面のいくつかでバイオセルを固定することができる。この変種の例は、図20に示されている写真の被写体である。一連の穴14が貫通した可撓性の外側シート31’を見ることができ、その縁は、シート31の対称部分を互いに重ねることによって覆い、接着するために、左右に横方向に延在する。
【0070】
フレーム32および32’は、第1のシート32上に載置された各アノードパッチ25、35が、他のPTFEシート32上に載置されたカソードパッチ47および57の反対側にあるように対面して載置されている。同様に、第1のPTFEシート32上に載置された各アノードパッチ27、37は、他のPTFEシート32’上に載置されたカソードパッチ45および55の反対側にある。次に、PTFEシート32および32’と同じサイズの厚い吸い取りシートで作製されたリザーバ23が、それらの間に載置される。次に、デバイス30は、外側被覆シート31および31’を互いに接触させることによって得られる。
【0071】
実施例6:前の実施例のシリアルペレットバイオセルと単一ペレットの比較
本発明によるバイオセル40は、実施例5に記載のシリアルデバイスの効率を、同じ種類であるが、シリアルに取り付けられた4ではなく一対のペレットのみを含み、材料の量が等しいバイオセルと比較するために製造された。直径を除いてすべての点で実施例5と同一である、一対の円形のバイオアノードおよびバイオカソードペレットを含むバイオセルが生成された。ペレットの直径は、20mmである。
【0072】
図14は、20mmペレットバイオセルの偏光および電力曲線を示す。この図は、ペレットのサイズを2倍にすると、およそ2倍の累乗積が得られることを示す。図15は、実施例5で説明したバイオセルの偏光および電力曲線を示す。これは、2つのバイオ燃料セルを同じデバイスに直列に載置すると、emfおよびバッテリ電力が増加することを示す。
図1
図2
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