(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】排ガス浄化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20230727BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20230727BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230727BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B01J29/76 A ZAB
B01J37/04 101
B01J37/08
B01D53/94 222
(21)【出願番号】P 2021128488
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2022-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】天田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀 恵悟
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓人
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-513305(JP,A)
【文献】特表2015-518420(JP,A)
【文献】特表2015-533343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0107119(US,A1)
【文献】特表2015-505290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu-CHA型ゼオライトを含む排ガス浄化触媒であって、
前記Cu-CHA型ゼオライトは、シリカアルミナ比(SAR)が8以下であり、かつ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含み、
前記Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.20mol/mol-Al以上0.40mol/mol-Al以下であり、
前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムから選択され、
前記アルカリ土類金属が、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選択される1種又は2種以上であり、
前記アルカリ金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.01mol/mol-Al以上0.05mol/mol-Al以下であり、かつ、
前記アルカリ土類金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.03mol/mol-Al以上0.25mol/mol-Al以下である、
排ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量が、0.200mmol/g以下であり、かつ
前記Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量が、下記のようにして測定されるNH
3量の積算値(mmol)を、前記Cu-CHA型ゼオライトの質量(g)で割り付けた値として定義される:
(i)前記Cu-CHA型ゼオライトに対して、100℃にてNH
3を飽和吸着させ、そして
(ii)NH
3を飽和吸着させた前記Cu-CHA型ゼオライトを、N
2ガス流通下に35℃/分の速度で600℃まで昇温させて、排出されるN
2ガス中に含まれるNH
3量を、350℃以上600℃までの温度で積算する、
請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項3】
SCR触媒である、請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
【請求項4】
基材、及び前記基材上の触媒層を含む、排ガス浄化触媒装置であって、
前記触媒層が、請求項1~3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒を含む、
排ガス浄化触媒装置。
【請求項5】
SARが8以下のCu-CHA型ゼオライト、並びにアルカリ金属源及びアルカリ土類金属源を混合して混合物を得ること、並びに
得られた混合物を焼成すること
を含む、排ガス浄化触媒の製造方法であって、
前記Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.20mol/mol-Al以上0.40mol/mol-Al以下であり、
前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムから選択され、
前記アルカリ土類金属が、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムから選択される1種又は2種以上であり、
前記アルカリ金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.01mol/mol-Al以上0.05mol/mol-Al以下であり、かつ、
前記アルカリ土類金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.03mol/mol-Al以上0.25mol/mol-Al以下である、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属源が、アルカリ金属の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、及び酢酸塩から選択される1種又は2種以上である、請求項5に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ土類金属源が、アルカリ土類金属の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、及び酢酸塩から選択される1種又は2種以上である、請求項5又は6に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排ガス中のNOxを、大気に放出される前に、還元浄化する技術として、選択的接触還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。SCRシステムは、還元剤、例えばアンモニア(又は尿素等のアンモニア源)を用いて、排ガス中のNOxをN2に還元する技術である。
【0003】
このSCRシステムでは、ゼオライトを銅(Cu)でイオン交換した、Cu-ゼオライトが、低温領域におけるNOx浄化能に優れるものとして知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、構造コード「CHA」で表されるチャバサイト型ゼオライトを銅(Cu)でイオン交換した、Cu-CHA型ゼオライトを用いた排ガス浄化触媒が、NOx浄化能に優れると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SCRシステムによるNOx浄化では、副生成物としてN2Oが生成することが知られている。N2Oは、地球温暖化に影響する温室効果ガスであるため、その排出量は抑制されるべきである。
【0007】
この点、シリカ/アルミナ比(SAR)が大きいCu-ゼオライトを用いると、N2Oの生成量を抑制することができるが、NOx浄化能が損なわれる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものである。したがって、その目的は、NOxの浄化効率が十分に高く、かつ、N2Oの生成量が少ない、排ガス浄化触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
【0010】
《態様1》Cu-CHA型ゼオライトを含む排ガス浄化触媒であって、
前記Cu-CHA型ゼオライトは、シリカアルミナ比(SAR)が20.0以下であり、かつ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる、
排ガス浄化触媒。
《態様2》前記Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.10mol/mol-Al以上0.40mol/mol-Al以下である、態様1に記載の排ガス浄化触媒。
《態様3》前記アルカリ金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.005mol/mol-Al以上であり、かつ、
前記アルカリ土類金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.01mol/mol-Al以上である、
態様1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
《態様4》前記アルカリ金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.10mol/mol-Al以下である、態様1~3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様5》前記アルカリ土類金属の量が、前記Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.20mol/mol-Al以下である、態様1~4のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様6》前記Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量が、0.200mmol/g以下であり、かつ
前記Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量が、下記のようにして測定されるNH3量の積算値(mmol)を、前記Cu-CHA型ゼオライトの質量(g)で割り付けた値として定義される:
(i)前記Cu-CHA型ゼオライトに対して、100℃にてNH3を飽和吸着させ、そして
(ii)NH3を飽和吸着させた前記Cu-CHA型ゼオライトを、N2ガス流通下に35℃/分の速度で600℃まで昇温させて、排出されるN2ガス中に含まれるNH3量を、350℃以上600℃までの温度で積算する、
態様1~5のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様7》前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムから選択される、1種又は2種である、態様1~6のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様8》前記アルカリ土類金属が、バリウム及びカルシウムから選択される、1種又は2種である、態様1~7のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様9》SCR触媒である、態様1~8のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
《態様10》基材、及び前記基材上の触媒層を含む、排ガス浄化触媒装置であって、
前記触媒層が、態様1~9のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒を含む、
排ガス浄化触媒装置。
《態様11》SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライト、並びにアルカリ金属源及びアルカリ土類金属源を混合して混合物を得ること、並びに
得られた混合物を焼成すること
を含む、態様1~9のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
《態様12》前記アルカリ金属源が、アルカリ金属の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、及び酢酸塩から選択される1種又は2種以上である、態様11に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
《態様13》前記アルカリ土類金属源が、アルカリ土類金属の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、硫酸塩、及び酢酸塩から選択される1種又は2種以上である、態様11又は12に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、NOxの浄化効率が十分に高く、かつ、N2Oの生成量が少ない、排ガス浄化触媒装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《排ガス浄化触媒》
本発明の排ガス浄化触媒は、
Cu-CHA型ゼオライトを含む排ガス浄化触媒であって、
Cu-CHA型ゼオライトは、シリカアルミナ比(SAR)が20.0以下であり、かつ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる、
排ガス浄化触媒である。
【0013】
本発明の排ガス浄化触媒では、SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライトを用いる。SARが低いCu-ゼオライト、すなわちアルミナの割合が比較的多いCu-ゼオライトは、NOx浄化能に優れる。本発明では、Cu-CHA型ゼオライトのSARを20.0以下に限定することにより、NOx浄化能が特に高められている。
【0014】
また、本発明の排ガス浄化触媒では、上記のような低SARのCu-CHA型ゼオライトが、更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる。このことにより、本発明の排ガス浄化触媒は、N2Oの排出量が低減されている。
【0015】
本発明の排ガス浄化触媒において、N2Oの排出量が低減されている理由は、以下のように推察される。
【0016】
SCR反応によって、NOxが浄化される機構は、以下の反応(1)及び(2)によると考えられている。
2NO+4NH3+2O2→3N2+6H2O (1)
2NO2+2NO+2NH3→3N2+3H2O (2)
【0017】
このSCR反応中に、以下の副反応(3)及び(4)が起こり、N2Oが生成すると考えられる。
2NO2+2NH3→NH4NO3+N2+H2O (3)
NH4NO3→N2O+2H2O (4)
【0018】
このうち、NO2とNH3との反応によりNH4NO3を生成する副反応(3)には、ゼオライトのブレンステッド酸が関与していると考えられる。
【0019】
本発明の排ガス浄化触媒では、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が、ブレンステッド酸を被覆して、上記副反応(3)の進行を制限することにより、N2Oの生成が抑制されるものと考えられる。
【0020】
ここで、本発明者らは、ゼオライトのブレンステッド酸には、下記(A)で表される「1Alサイト」、及び(B)で表される「2Alサイト」があることに着目した。
【化1】
【0021】
1価のアルカリ金属イオン(M
AM)は1価の1Alサイトを被覆し易く、2価のアルカリ土類金属イオン(M
AEM)は2価の1Alサイトを被覆し易いと考えられる(下記「(A’)アルカリ金属に被覆された1Alサイト」、及び「B’)アルカリ土類金属で被覆された2Alサイト」参照)。
【化2】
【0022】
そこで、本発明では、NOx浄化能に優れる低SARのCu-ゼオライトに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属双方を含ませることにより、これら2種の金属を併用して、「1Alサイト」及び「2Alサイト」双方のブレンステッド酸を効果的に被覆することにより、副反応(3)の進行を抑制して、N2Oの生成量を低減させた。
【0023】
本発明の排ガス浄化触媒は、上述の機構により、NOxの浄化効率が十分に高く、かつ、N2Oの生成量が少ないものとなっているのである。ただし、本発明は、特定の理論に拘束されない。
【0024】
以下、本発明の排ガス浄化触媒の構成要素について、順に詳説する。
【0025】
〈Cu-CHA型ゼオライト〉
本発明の排ガス浄化触媒は、Cu-CHA型ゼオライトを含む。「Cu-CHA型ゼオライト」とは、構造コード「CHA」で示されるチャバサイト型のゼオライトを、Cuでイオン交換したものである。
【0026】
本発明の排ガス浄化触媒では、Cu-CHA型ゼオライトのシリカアルミナ比(SAR)は、20.0以下である。SARが20以下のCu-CHA型ゼオライトを用いることにより、SCR反応によるNOx浄化率、特に低温領域におけるNOx浄化率が高いものとなる。このSARの値は、ゼオライト中のシリカ(SiO2)のモル量と、アルミナ(Al2O3)のモル量との比(SiO2/Al2O3)として示される。
【0027】
本発明の排ガス浄化触媒におけるCu-CHA型ゼオライトのSARは、NOx浄化率を高くする観点から、18以下、16以下、15以下、12以下、10以下、8以下、又は6以下であってよい。一方で、SARが低すぎると、ゼオライトの合成が困難となり、触媒コストの過度の上昇を招く場合がある。このような事態を回避するため、Cu-CHA型ゼオライトのSARは、4以上、6以上、8以上、又は10以上であってよい。
【0028】
Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量は、本発明の排ガス浄化触媒のSCR活性を高くする観点から、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.10mol/mol-Al以上、0.15mol/mol-Al以上、0.20mol/mol-Al以上、0.25mol/mol-Al以上、又は0.30mol/mol-Al以上であってよい。
【0029】
Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量の上限については、SCR活性の観点らの制限はない。しかしながら、CHA型ゼオライトにおけるCuのイオン交換率を高めることは容易ではない。したがって、排ガス浄化触媒の製造コストを適正に維持する観点から、Cu-CHA型ゼオライトにおけるCu量は、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.50mol/mol-Al以下、0.45mol/mol-Al以下、0.40mol/mol-Al以下、0.35mol/mol-Al以下、0.30mol/mol-Al以下、又は0.25mol/mol-Al以下であってよい。
【0030】
本発明の排ガス浄化触媒では、CHA型ゼオライトに、Cuとともに、Cu以外のイオンによってイオン交換されていてもよい。しかしながら本発明の排ガス浄化触媒では、高度のSCR活性を発現する観点からは、イオン交換によってCHA型ゼオライトに取り込まれたイオン中のCuの割合は、高い方が望ましい。本発明の排ガス浄化触媒では、イオン交換によってCHA型ゼオライトに取り込まれた全イオン中のCuの割合は、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、若しくは99質量%以上であってよく、又は100質量%であってもよい。
【0031】
本発明の排ガス浄化触媒では、上記のようなCu-CHA型ゼオライトが、更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる。Cu-CHA型ゼオライトが、「アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる」とは、Cu-CHA型ゼオライトが、これらの金属元素を、例えば、酸化物、化合物、塩、金属、イオン等、又はこれらの組合せとして含むことをいう。本発明の排ガス浄化触媒において、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化学形態は、排ガス浄化触媒が置かれた状況によって相互可変的である。本発明の排ガス浄化触媒は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいれば、所期の性能を発揮することができる。
【0032】
アルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等であってよく、特に、ナトリウム及びカリウムから選択される1種又は2種であってよい。
【0033】
アルカリ土類金属は、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等であってよく、特に、バリウム及びカルシウムから選択される1種又は2種であってよい。
【0034】
Cu-CHA型ゼオライトにおけるアルカリ金属の量は、N2Oの生成を効果的に抑制するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.005mol/mol-Al以上、0.010mol/mol-Al以上、0.020mol/mol-Al以上、0.030mol/mol-Al以上、0.040mol/mol-Al以上、又は0.050mol/mol-Al以上であってよい。
【0035】
一方で、Cu-CHA型ゼオライトにおけるアルカリ金属の量は、NOx浄化性能を維持するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.800mol/mol-Al以下、0.600mol/mol-Al以下、0.400mol/mol-Al以下、0.300mol/mol-Al以下、0.200mol/mol-Al以下、0.100mol/mol-Al以下、又は0.080mol/mol-Al以下であってよい。
【0036】
Cu-CHA型ゼオライトにおけるアルカリ土類金属の量は、N2Oの生成を効果的に抑制するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.005mol/mol-Al以上、0.010mol/mol-Al以上、0.050mol/mol-Al以上、0.100mol/mol-Al以上、0.150mol/mol-Al以上、又は0.200mol/mol-Al以上であってよい。
【0037】
一方で、Cu-CHA型ゼオライトにおけるアルカリ土類金属の量は、NOx浄化性能を維持するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対して、0.300mol/mol-Al以下、0.250mol/mol-Al以下、0.200mol/mol-Al以下、0.150mol/mol-Al以下、0.100mol/mol-Al以下、又は0.050mol/mol-Al以下であってよい。
【0038】
N2Oの生成を効果的に抑制するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対する、Cu、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の価数合計(2×Cu(モル)+1×アルカリ金属(モル)+2×アルカリ土類金属(モル))の割合は、0.5mol/mol-Al以上、0.6mol/mol-Al以上、0.7mol/mol-Al以上、又は0.8mol/mol-Al以上であってよい。
【0039】
一方で、NOx浄化性能を維持するために、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対する、Cu、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属の価数合計の割合は、1.0以下、0.9以下、又は0.8以下であってよい。
【0040】
本発明の排ガス浄化触媒は、上記のとおり、Cu-CHA型ゼオライトを含む排ガス浄化触媒であって、Cu-CHA型ゼオライトは、SARが20.0以下であり、かつ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含んでいる。本発明の排ガス浄化触媒は、このようなCu-CHA型ゼオライト以外に、貴金属を含んでいてもよい。この貴金属は、本発明の排ガス浄化触媒に担持されていてよい。
【0041】
本発明の排ガス浄化触媒に含まれる貴金属は、白金族元素から選択されてよく、特に、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びロジウム(Rh)から選択されてよい。
【0042】
本発明の排ガス浄化触媒に含まれるCu-CHA型ゼオライトは、含有するアルカリ金属及びアルカリ土類金属により、ブレンステッド酸(1Alサイト及び2Alサイト)が効果的に被覆されて、ブレンステッド酸量が減少している。
【0043】
本発明の排ガス浄化触媒に含まれるCu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量は、Cu-CHA型ゼオライト1g当たりのブレンステッド酸点のミリモル量として、0.200mmol/g以下、0.190mmol/g以下、0.180mmol/g以下、又は0.170mmol/g以下であってよい。また、Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量は、0.100mmol/g以上、0.120mmol/g以上、又は0.150mmol/g以上であってよい。
【0044】
上記のCu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量は、下記のようにして測定されるNH3量の積算値(mmol)を、Cu-CHA型ゼオライトの質量(g)で割り付けた値として定義される:
(i)Cu-CHA型ゼオライトに対して、100℃にてNH3を飽和吸着させ、そして
(ii)NH3を飽和吸着させたCu-CHA型ゼオライトを、N2ガス流通下に35℃/分の速度で600℃まで昇温させて、排出されるN2ガス中に含まれるNH3量を、350℃以上600℃までの温度で積算する。
【0045】
上記のような本発明の排ガス浄化触媒は、SCR触媒として好適である。
【0046】
《排ガス浄化触媒の製造方法》
本発明の排ガス浄化触媒は、例えば、
SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライト、並びにアルカリ金属源及びアルカリ土類金属源を混合して混合物を得ること、並びに
得られた混合物を焼成すること
を含む、方法によって製造されてよい。
【0047】
SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライトは、SARが20.0以下のCHA型ゼオライトを、Cuイオンでイオン交換することにより、製造されてよい。このイオン交換は、SARが20.0以下のCHA型ゼオライトと、Cuイオン源とを、接触させることにより、行われてよい。
【0048】
Cuイオン源は、例えば、酢酸銅、硫酸銅等の塩であってよい。
【0049】
SARが20.0以下のCHA型ゼオライトと、Cuイオン源との混合は、乾式混合、及び湿式混合のどちらでもよい。乾式混合は、両者を適当な混合機中で混合することにより、行われてよい。湿式混合は、両者を適当な溶媒中(例えば水中)で混合することにより、行われてよい。
【0050】
アルカリ金属源は、アルカリ金属の硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物等であってよく、これらの内から選択される1種又は2種以上を使用してよい。アルカリ土類金属源は、アルカリ土類金属の硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物等であってよく、これらの内から選択される1種又は2種以上を使用してよい。
【0051】
SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライトと、アルカリ金属源及びアルカリ土類金属源との混合は、乾式混合、及び湿式混合のどちらでもよい。湿式混合は、両者を適当な混合機中で混合することにより、行われてよい。湿式混合は、両者を適当な溶媒中(例えば水中)で混合することにより、行われてよい。
【0052】
SARが20.0以下のCu-CHA型ゼオライトと、アルカリ金属源及びアルカリ土類金属源との、乾式混合又は湿式混合によって得られた混合物は、次いで、これを焼成することにより、本発明の排ガス浄化触媒が得られる。
【0053】
混合物の焼成は、公知の方法によって行われてよい。
【0054】
《排ガス浄化触媒装置》
本発明の別の観点によると、排ガス浄化触媒装置が提供される。
【0055】
本発明の排ガス浄化触媒装置は、
基材、及び基材上の触媒層を含む、排ガス浄化触媒装置であって、
触媒層が、上記に説明した本発明の排ガス浄化触媒を含む、
排ガス浄化触媒装置である。
【0056】
基材は、所望の排ガス浄化触媒装置における基材に応じて、適宜に選択されてよい。
基材の構成材料は、例えば、コージェライト、金属等であってよい。基材は、ストレートフロー型であっても、ウォールフロー型であってもよい。
【0057】
本発明の排ガス浄化触媒装置における基材は、典型的には、例えば、コージェライト製のストレートフロー型又はウォールフロー型のモノリスハニカム基材であってよい。
【0058】
本発明の排ガス浄化触媒装置における触媒層は、本発明の排ガス浄化触媒を含む。この触媒層は、本発明の排ガス浄化触媒の他に、これ以外の任意成分を含んでいてよい。触媒層の任意成分は、例えば、Cu-CHA型ゼオライト以外の無機酸化物、バインダー等であってよい。
【0059】
触媒層に含まれるCu-CHA型ゼオライト以外の無機酸化物は、例えばアルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、希土類元素等から選択される1種又は2種以上の元素の酸化物であってよい。無機酸化物として、具体的には例えば、アルミナ、ジルコニア、セリア等が挙げられる。これらの無機酸化物の1種以上に、貴金属が担持されていてもよい。
【0060】
触媒層に含まれるバインダーとしては、例えば、アルミナ系バインダー、ジルコニア系バインダー、シリカ系バインダー、チタニア系バインダー等が挙げられる。
【0061】
《排ガス浄化触媒装置の製造方法》
本発明の排ガス浄化触媒装置は、任意の方法で製造されてよい。
【0062】
しかしながら、本発明の排ガス浄化触媒装置は、例えば、基材上に触媒層を形成することを含む方法によって製造されてよい。
【0063】
基材は、所望の排ガス浄化触媒装置における基材に応じて、適宜に選択されてよい。例えば、コージェライト製のストレートフロー型モノリスハニカム基材であってよい。
【0064】
この基材上に、本発明の排ガス浄化触媒を含む塗工液をコートしてコート層を形成し、得られたコート層を焼成することによって、基材上に触媒層が形成される。コート後、焼成前に、必要に応じて、コート層の乾燥を行ってもよい。
【0065】
塗工液は、本発明の排ガス浄化触媒、及び必要に応じて任意成分又はその前駆体を含んでいてよい。塗工液の溶媒は、水、若しくは水性有機溶媒、又はこれらの混合物であってよく、典型的には水である。
【0066】
塗工液のコート、並びにコート後の乾燥及び焼成は、それぞれ、公知の方法に準じて行われてよい。
【実施例】
【0067】
《比較例1》
(1)排ガス浄化触媒装置の製造
シリカアルミナ比(SAR)26.0、Al原子当たりのCu量0.08mol/mol-AlのCu-CHA型ゼオライト、シリコーン系バインダー、及び水を混合して、固形分濃度30質量%の触媒層塗工用スラリーを得た。
【0068】
見かけ容積約1Lのストレートフロー型のコージェライト製ハニカム基材に、乾燥後コート量が120g/Lとなるように、上記の触媒層塗工用スラリーを塗工し、空気中、500℃において1時間焼成することにより、排ガス浄化触媒装置を製造した。
【0069】
(2)水熱耐久
得られた排ガス浄化触媒装置に、水蒸気10質量%を含む空気を流通させながら、触媒層温度650℃にて50時間の水熱耐久を行った。
【0070】
(3)SCR性能の評価
水熱耐久後の排ガス浄化触媒装置に、下記組成のモデルガスを、空間速度80,000h-1にて供給して、流通させながら、入りガス温度300℃におけるN2O排出量及びNOx浄化率、並びに入りガス温度600℃におけるNOx浄化率を評価した。これらの量の評価は、組成が安定した後の排出ガスの組成に基づいて、以下の基準により行った。
N2O排出量:組成が安定した後の排出ガス中のN2O濃度(ppm)
NOx浄化率(%):{1-(排出ガス中のNOx濃度(ppm)/供給ガス中のNOx濃度(ppm)}×100
【0071】
上記における濃度単位「ppm」は、質量基準の百万分率である。
【0072】
モデルガスの組成を、表1に示す。
【0073】
【0074】
《比較例2及び3》
Cu-CHA型ゼオライトとして、SAR及びCu量が、それぞれ、表2に記載の値のCu-CHA型ゼオライトを用いた他は、比較例1と同様にして、排ガス浄化触媒装置を製造し、水熱耐久を行ったうえで、N2O排出量及びNOx浄化率の評価を行った。
【0075】
以上の結果を表2に示す。
【0076】
【0077】
表2を参照すると、Cu-CHA型ゼオライトのSARが26.0と大きい比較例1の排ガス浄化触媒装置では、N2O生成量は3.4ppmと少ないものの、NOx浄化率も84%と低かった。これに対して、SARが15.0のCu-CHA型ゼオライトを用いた比較例2、及びSARが7.5のCu-CHA型ゼオライトを用いた比較例3では、NOx浄化率は92%と高かったが、N2O生成量は、9.6ppm又は12.7ppmまで上昇していた。
【0078】
これらのことから、本発明は、SARが20.0程度以下のCu-CHA型ゼオライトにおいて、高いNOx浄化率を維持しつつ、N2O生成量の低減を目的とすることが適切であることが確認された。
【0079】
《実施例1》
(1)排ガス浄化触媒装置の製造
比較例3で用いたのと同じ、SAR7.5、Al原子当たりのCu量0.22mol/mol-AlのCu-CHA型ゼオライト、並びにアルカリ金属源及びアルカリ土類金属源を、乳鉢中で30分間、乾式混合した。得られた混合物を、空気中、500℃にて3時間焼成して、アルカリ金属(AM)及びアルカリ土類金属(AEM)を含む、Cu-CHA型ゼオライト(AM-AEM含有Cu-CHA)を得た。
【0080】
実施例1では、アルカリ金属源として硝酸カリウム、アルカリ土類金属源として酢酸バリウムを用い、それぞれ、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対する金属原子量が、K/Al=0.05(mol/mol)及びBa/Al=0.03(mol/mol)となる量を添加した。
【0081】
Cu-CHA型ゼオライトの代わりに、上記で得られたAM-AEM含有Cu-CHAを使用した他は、比較例1と同様にして、排ガス浄化触媒装置を製造し、水熱耐久を行ったうえで、N2O排出量及びNOx浄化率の評価を行った。
【0082】
《実施例2~4、並びに比較例4~11》
アルカリ金属の種類及び量、並びにアルカリ土類金属の量を、それぞれ、表3に記載のとおりとなるように変更した他は、実施例1と同様にして、排ガス浄化触媒装置を製造し、水熱耐久を行ったうえで、N2O排出量及びNOx浄化率の評価を行った。表3において、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の量は、それぞれ、ゼオライト中のAl原子1モルに対する金属原子量として示す。
【0083】
アルカリ金属源及びアルカリ土類金属源としては、金属の種類に応じて、それぞれ、以下の化合物を使用した。なお、表3中の「-」は、当該欄に相当するアルカリ金属又はアルカリ土類金属を添加しなかったことを示す。
K:硝酸カリウム
Na:硝酸ナトリウム
Ba:酢酸バリウム
【0084】
以上の結果を、比較例3の結果とともに、表3に示す。
【0085】
〈Cu-CHA型ゼオライトのブレンステッド酸量の測定〉
比較例3及び50、並びに実施例2及び3で得られたCu-CHA型ゼオライトについては、以下の方法によって、ブレンステッド酸量(B酸量)を測定した。
【0086】
各比較例及び実施例のCu-CHA型ゼオライトを用いて、それぞれ製造した排ガス浄化触媒装置に、触媒層温度100℃において、750ppmのNH3を含むN2ガスを、空間速度600h-1にて30分間流通させて、排ガス浄化触媒装置にNH3を飽和吸着させた。次いで、流通ガスをN2ガスに切り替えて、空間速度600h-1にて流通させながら、触媒層温度を35℃/分の速度で600℃まで昇温させた。このとき、排出ガス中に含まれるNH3量の、350℃以上600℃までの温度における積算値(mmol)を、排ガス浄化触媒装置中のCu-CHA型ゼオライトの質量(g)で割り付けた値を、Cu-CHA型ゼオライト量1g当たりのB酸量とした。
【0087】
得られたB酸量を、表3に合わせて示す。
【0088】
【0089】
比較例3と、実施例2及び3と、比較例510とを比較すると、Cu-CHA型ゼオライトに、アルカリ金属のみを含む場合(比較例5)よりも、アルカリ金属及びアルカリ土類金属双方を含む実施例2及び3の方が、B酸点量の減少量がより大きかった。
【0090】
また、実施例1~5と、比較例4~11との比較により、以下のことが分かった。すなわち、アルカリ金属のみを含む比較例4~7では、N2O生成量は抑制されなかった。また、アルカリ土類金属のみを含む比較例8~11では、N2O生成量は抑制され、かつ、低温(300℃)におけるNOx浄化率は維持されたものの、高温(600℃)におけるNOx浄化率には著しい低下が見られた。
【0091】
これらに対して、アルカリ金属及びアルカリ土類金属双方を含む実施例1~4では、NOx浄化率が高いレベルで維持されつつ、N2O生成量が効果的に減少した。
【0092】
《実施例5及び比較例12》
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の種類及び量を、それぞれ、表4に記載のとおりとなるように変更した他は、実施例1と同様にして、排ガス浄化触媒装置を製造し、水熱耐久を行ったうえで、入りガス温度300℃におけるN2O排出量及びNOx浄化率の評価を行った。表4において、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の量は、それぞれ、ゼオライト中のAl原子1モルに対する金属原子量として示す。
【0093】
実施例5及び比較例12では、アルカリ土類金属としてカルシウムを用い、アルカリ土類金属源としては、硝酸カルシウムを使用した。
【0094】
得られた評価結果を、上記比較例3の評価結果とともに、表4に示す。
【0095】
【0096】
表6から明らかなように、Cu-CHA型ゼオライトに、アルカリ土類金属としてカルシウムのみを含む場合(比較例12)では、入りガス温度300℃におけるN2O排出量及びNOx浄化率に実質的な変化はなかったのに対し、アルカリ金属としてのカリウムを、アルカリ土類金属としてのカルシウムとともに含む実施例5では、入りガス温度300℃におけるNOx浄化率が維持されつつ、N2O排出量が効果的に減少した。
【0097】
《実施例6》
比較例2で用いたのと同じ、SAR15.0、Al原子当たりのCu量0.30mol/mol-AlのCu-CHA型ゼオライト、並びにアルカリ金属源及びアルカリ土類金属源を、乳鉢中で30分間、乾式混合した。得られた混合物を、空気中、500℃にて3時間焼成して、アルカリ金属源及びアルカリ土類金属を含むCu-CHA型ゼオライト(AM-AEM含有Cu-CHA)を得た。
【0098】
実施例6では、アルカリ金属源として硝酸ナトリウム、アルカリ土類金属源として酢酸バリウムを用い、それぞれ、Cu-CHA型ゼオライト中のAl原子1モルに対する金属原子量が、Na/Al=0.01(mol/mol)及びBa/Al=0.10(mol/mol)となる量を添加した。
【0099】
Cu-CHA型ゼオライトの代わりに、上記で得られたAM-AEM含有Cu-CHAを使用した他は、比較例1と同様にして、排ガス浄化触媒装置を製造し、水熱耐久を行ったうえで、N2O排出量及びNOx浄化率の評価を行った。
【0100】
得られた評価結果を、上記比較例2の評価結果とともに、表5に示す。
【0101】
【0102】
表4の結果から、SARが15.0のCu-CHAを用いた場合でも、アルカリ金属及びアルカリ土類金属双方を含む排ガス浄化触媒装置(実施例6)では、これらを含まない排ガス浄化触媒装置(比較例2)が示した高度のNOx浄化率が維持されつつ、N2O生成量が低減されることが確認された。